幸いなるかな、心貧しき人、汝にとってこの世は天国なり。(観月ありさ)
ついに「相棒」↘15.1%、「斉藤」↘15.4%である。連動ぶりは変わらないが斉藤が相棒に勝ったのだった。
ちなみにサッカーボスニア・ヘルツェゴビナ戦は13.0%。来週は予選だからさすがに相棒は苦戦するのかも・・・。
「相棒」は流浪の麻薬取締り犬マリリンの泣かせる話だったが・・・レビューはしません。キリがないもんね。
で、『斉藤さん・第四話』(日本テレビ080130PM10~)原作・小田ゆうあ、脚本・相内美生、演出・久保田充を見た。
男のいない世界で・・・主役は男の子である。ある意味で異次元空間の物語といえるだろう。昨日の「ハチクロ」に続いて・・・「クリスマスネタ」だ。しかし・・・異次元空間なので・・・それほど違和感はないのだな。
男は基本的に排除されているのだが・・・それは母親たちが「子供を中心に生きている」という基本を大切にしているためだと思われる。
市立こばと幼稚園の園長(古田新太)は言語障害者だし、お飾りである。おそらく障害者雇用枠なのであろう。唯一、男らしいスポーツジムのインストラクター(弓削智久)はゲイなのである。
阿久津高校には市会議員の息子(山田新太朗)がいるが・・・子供だ・・・大人としてふるまうのは女子高校生(石橋杏奈)たちなのである。教師の石川ゴエモンがいるが登場するとあわてて去って行く。場違いだからだ。
唯一・・・真野さん(ミムラ)の夫(佐々木蔵之介)が登場するが・・・ラクダだ。しかも・・・彼は真野家の中にだけ登場する・・・いわば真野さんの妄想と言っても差し支えない存在だ。彼は精神的に不安定な真野さんのために・・・真野さんを優しくサポートする理想の旦那様だが・・・真野家の玄関を一歩出ると煙のように消えてしまう存在なのである。
男たちは飼い犬のフンの不始末を斉藤さんに注意されたりするときだけ・・・幻のように出現するのである。
まして・・・斉藤さんのご主人はあきらかに幻影なのである。
もちろん・・・すべてのドラマはおおかれ少なかれこのような絵空事なのであるが・・・斉藤さんは「男を抜く」ことに余念がないドラマだと思う。
格差社会なので・・・本当は幼稚園などに通えない子供もいるし、市立の幼稚園などには無縁な高貴な人々もいるわけだが・・・そういう「社会」も排除されている。問題がややこしくなるからだ。三上さん(高島礼子)は園ママのボス的存在として配置されているが・・・あくまで特異な存在ではない。苦労しているので斜に構えている程度で・・・斉藤さんの頑固さに気をまわして心配しているに過ぎない。
こうして斉藤さんは・・・用意周到に計画された温室の中でわが道を行くのである。
それが理想的だとすれば・・・温室の中でさえ・・・わが道を見出せない人々がどれほどいるのか・・・ということなのである。
今回、斉藤さんは・・・ゲーム産業を敵に回して子供に「携帯ゲームを買い与えない」道を貫くのだが・・・もしも潤一くん(谷端奏人)がゲームクリエーターとして天才だった場合は非常に損だし・・・もちろん・・・遠回りしたってなりたいものに子供はなるという考え方はある。だが・・・ともかく「自分よりゲーム機を愛するようになったら困る」という母親は「とにかくゲームを所有させないことだ」と考えるのは一理あるのである。
「サキ」の短編小説に「兵隊の玩具を子供に与えるからこの世から戦争がなくならないのだ」という主旨のものがあり・・・一読した時に子供だったキッドはその論理の荒唐無稽さに爆笑したものだが・・・まあ・・・「中国の毒餃子」のニュースが流れたら思わず冷蔵庫の冷凍食品の原産地をリサーチするお弁当作り担当の母親のせつない気持ちもまた真実の愛なのであろう。もちろん・・・キッドはそれはそれで冷笑するのである。
しかし・・・「野球をしてもし大人になって読売新聞をとるようになると困るから」と野球をさせなかったり・・・「サッカーをしてもし大人になって婦女暴行事件を起したら困るから」とサッカーをさせないのとちがい・・・「子供が母親以外のものに夢中になるのは困るから」と言ってゲームを与えないというのは非常にストレートでいい。
困るのはそういう母親がパチンコに夢中になって子供を焼き殺す場合だけである。
斉藤さんの「筋」がどういうものなのか・・・おそらく・・・最後まで語られないに違いないが・・・「盗みは悪いこと」らしい。次に「悪いことをしたのに隠すのも悪いこと」なのだ。そんなの当然だ・・・と思っている人が多数派であれば・・・このドラマは成立しない・・・というのがキッドとしては面白いところである。なにしろ・・・死体が発見されないと殺人事件がほとんど発生しないこの国では毎年2万人が行方不明になっているのである。バレなきゃいいだろうもまた「筋」であり・・・そのまま一生を送る人も大勢なのである。
もちろん・・・映画「手紙」の論理は無視する斉藤さんなのであるが・・・温室の中では・・・「泥棒」と渾名をつけられることもないし、・・・十年後にどこかの中学校で「斉藤は幼稚園の頃から手癖が悪かったからな」と陰口をたたかれることもないだろう。
だが・・・現実ではそうとは限らない。
今回・・・ゲームを買ってもらえず・・・ゲームを盗んだ張本人は矢沢心の演ずる母親の息子である。
矢沢心と言えば映画『バウンス ko GALS』(1997)の「援助交際でいつも避妊しないので妊娠してしまい連続中絶記録を更新する」高校生だったので・・・その息子ならゲーム機欲しさに盗みぐらいするよな・・・それが本当の世間というものだからな。
まあ・・・町内では斉藤さんの強情さはそれなりに有名になるだろうから・・・後に潤一くんが暴走族の暴走行為を注意して袋叩きにあい・・・運悪く死亡しても・・・ああ・・・やっぱりと肩をすくめることはできるのである。潤一くんに幸あれっ。
ちなみに・・・まるで親の判断でサンタクロースがプレゼントを配布差し止めできるような暴言が各家庭で見られるのだが・・・サンタはちゃんといい子にはプレゼントを配っている。プレゼントをもらえないのは悪い子だけだ。みんな胸に手をあてて考えてみればいいのだ。ちなみにしつこいようだがキッドはいい子なので去年もサンタはプレゼントをくれたのである。
関連するキッドのブログ『第三話のレビュー』
『ちりとてちん・18-3・第100回』・・・どうすれば・・・女が男を演じることができますか・・・という若狭の教えて攻撃をさらりとかわしつつ・・・徒然亭一門の過去を探るシリーズ・四草(加藤虎ノ介)編である。妾の子である四草は研ぎ澄まされたひねくれ者であるが・・・優しさも持っていないわけではないというエピソード・・・。平兵衛(九官鳥)を助けて愛鳥となした話が語られる・・・。加藤虎ノ介は日常的には粗忽者であるらしく・・・スボンの裾を靴下の中にいれていることがたまにあると「スタジオパークからこんにちは」にゲスト出演した草原(桂吉弥)が語っていた・・・そのミニ情報に何の意味が・・・。→18-2
金曜日に見る予定のテレビ『未来講師めぐる』(テレビ朝日)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
メイド・イン・チャイナをいつから食べてたのか
わからないけど、裏までちゃんと表示を見るようになったのはごくごく最近なので非常にびっくりしてます。
もう毎朝、鬼のようにチンチンして弁当箱に
中国産だかどこだかわからない冷凍食品をつめてますので
すぐさま冷凍庫を除きましたとも・・・。
幸い該当するものがなくてほっと胸をなでおろしたところです。
投稿: みのむし | 2008年1月31日 (木) 14時50分
*simple*life*みのむし様、いらっしゃいませ*simple*life*
ふふふ、みのむし様、ご苦労様でございます。
じいやの母などは
消費期限とか・・・賞味期限などというものには
無頓着でしたから・・・
嗅いで・・・臭わなければ大丈夫。
キッドなどは子供の頃
どれだけお腹ピーピーになったことか・・・。
そしてそういう場合は・・・
正露丸飲んどけば平気・・・という方針でした。
文句を言おうものなら・・・
「私が子供の頃にはもののない時代で・・・」
が始まり・・・
「だって・・・今・・・ものがあまっているんだから」
などという反論には一切耳を貸しません。
まあ・・・無事にじいやになったので
それはそれでいいと思います。
一つだけ言えることは
完璧な子育てなんてないけれど
母親の愛情はパーフェクト・・・
ということでございます。
投稿: キッド | 2008年1月31日 (木) 15時16分
日テレのドラマはいつも
時事ネタとのタイミングが絶妙な訳ですが
今回も絶妙です(笑)
そういえばマリリンちゃんは元麻薬犬。
子供には嘘を隠す事を教えて庇い続ける
そうやって麻薬で三回逮捕された人がいましたね(笑)
親は皆こぞって
「うちの子に限って」って思いがあるんでしょうね。
私のうちの場合は
「うちの子ならやりかねん」と思われてますが(; ̄∀ ̄)
ドラマが肉の偽造に触れていたように
昨年から「偽」一色でしたからね。
だからこそ、それをテーマにしたのかもしれませんがね。
サンタさんかぁ。
サンタのデリバリーはあるのかなぁ(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: ikasama4 | 2008年1月31日 (木) 20時19分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ふふふ・・・女優も人の母でございますからな。
今回は正論でしたので
タイムリーは好都合。
邪論を振りかざすとタイムリーは自主規制と・・・
このあたりの加減はもうなんだか・・・
この国の縮図ですね。
そうして異論が排除され・・・
やがてまちがった正論のみの
状況になるのがちょっと楽しみでございます。
今や・・・「ウチの子が何かしでかす前に」
「殺してしまおうか」
という展開もままある世になってきたような気もいたします。
二十年くらい前の日本の農家の倉庫を
見れば禁止リストの農薬の在庫は
いくらでも見つかり
農家では自分の家で食べる米と
出荷する米は分けて生産しておりました。
今・・・中国が同じことをやっているにすぎないのは
火を見るよりも明らか。
時差と地域差の軋轢とでも申しましょうか。
安全な食を求めて晴耕雨読は憧れですな~。
まあ、キッドは毒を食らわば皿までで
生きてまいりましたけれども・・・。
投稿: キッド | 2008年2月 3日 (日) 16時30分