クレームをつけるなと言われたらつけますとも。(観月ありさ)
昨年は「格差社会」の年であったわけだが・・・人類100万年の歴史で格差のなかった年などないわけだからふつうの年だったと言える。
この国にはかって「中流幻想」というものがあった。そして「普通の生活」とか「普通の家族」とか「普通の人間」とか・・・妄想としか思えない数々のカテゴリーがあったのである。
しかし・・・もはや・・・格差は歴然としてある。それは「のだめカンタービレ」と「歌姫」の視聴率のように歴然としてあるのである。・・・おいおい・・・。
仮に「格差」が不幸の源であったとしよう。もちろん・・・それは幸福の源でもある・・・いや・・・幸不幸と格差は無関係だという考え方もある。その場合の思考はどうなっているのか。①格差なんて存在しない ②比較なんてしない ③忘却する・・・・このようなものであろう。
しかし・・・人は・・・すぐくらべちゃうし、欲しがるし、そしてねたむのである。
やがて社会は混沌とするだろう・・・そして人々は安心する・・・みんなバラバラでみんな不幸だからだ。
で、『斉藤さん・第一話』(日本テレビ・080109PM10~)原作・小田ゆうあ、脚本・土田英生、久保田充を見た。堪え性のない性格の園ママがヒロインの・・・地域社会劇・・・といえば「暴れん坊ママ」を連想するわけだが・・・「暴ママ」がコメディなら「斉藤」はかなりシリアスである。それは無法化しつつある社会に対しての警句を含んでいる。
「ゴミを分別しない」とか「自転車の並列走行」とか「歩行喫煙」とか・・・社会に迷惑をかける行為を注意する人「斉藤さん」・・・この人がルールを無視する悪党に正義のパンチをぶちかますなら・・・コメディーなのだが・・・つきとばされて・・・おでこから流血するのでシリアスだ・・・。もちろん・・・キッドの関係者にこういう人がいたらかなりハラハラすると思う。
それは・・・正攻法だからだ。
怨み屋のようにこっそりとやるべき行動を堂々とする・・・これはかなり・・・幸運がないとできない行為である。
世の中は恐ろしいものだ。猟銃をもって人質をとりたてこもった犯人を射殺した警官が「殺人者」として冷たい目で見られる・・・なんていうええーっなことが日常茶飯事で起るのである。
つまり・・・教育の中で「正義」が主張されず・・・社会的合意の中に「絶対」というものがないのである。
すべては「自己責任」に帰結する。そうなると・・・格差社会では「悪」から身を守るのも経済力か・・・自己鍛錬に頼るしかない。
しかし・・・巨額の費用で警備会社と契約しても・・・その会社に「悪」が混入しない保障はないし、会社ぐるみで「悪」である可能性さえ否定できない。
こうなると・・・もう・・・生きた心地のしない社会なのだが・・・そういう社会が性に合う人もいるだろうし・・・問題はさらに複雑になっていく。
しかし・・・性格的に・・・堪え性のない「斉藤さん」の場合・・・そういうわずらわしい想定は無意味なのである。なにしろ「言いたいことを言わない」という我慢ができないからだ。
神の火をプロメテウスが盗んだとき・・・神はパンドラを作った。パンドラは美と喜びと癒しを備えた美少女である。しかし・・・その手には危険な箱が握られていた。その中には闇と苦痛と細菌兵器が封入されていたのである。「開けるな危険」と書かれた箱を開けないではいられない人間というものは存在する。斉藤さんはその子孫だ・・・「箱の中身はなんじゃろな」と踊りながら・・・斉藤さんは箱を開けてしまうのだな。
さて・・・一回目はほぼ転居してきた真野若葉(ミムラ)一家で展開していく・・・。専業主婦なので・・・格差社会的には微妙なポジションだ・・・。きっと親は資産家なのかもしれない。
彼女は被害妄想患者であり、人格障害の一歩手前である。彼女にとって社会は女友達のたくさんいる自分にうっとりするためにある。そのために・・・障害になる実子を消去したくなるほどの病状だ。夫はラクダ(佐々木蔵之介)なのだが・・・彼は彼女のクレイジーな人格には手を焼いているし・・・腫れ物に触る感じで付き合っている。もう・・・自分はそういう星の下に生れたという諦念に支配されているのである・・・おいおい。
そういう「あぶない人」にも斉藤さんは容赦しないのだ。「母親なんだから自分より子供を優先しなさい」なのである。
これに対し若葉は呆然とする。「そんなそんなことってありえない私がいるからこの子が生れて私がいないとこの子はいないの私が幸せでなければこの子がいる意味ないししししし私私私の名前は天才クッキーママ」なのである。
しかし・・・斉藤さんは若葉の耳の穴から手をつっこんで壊れた脳みそを引きずりだして・・・ネジを巻くのである。
いつしか・・・若葉の中には斉藤さんへの依存心がムクムクと頭をもたげてくる。
一方・・・徳川泰平の夢をむさぼる園ママ大奥化計画のリーダー三上りつ子(高島礼子)は斉藤さんの堪え性のなさに苛立ちをつのらせる。「もしも斉藤さんが覚醒剤中毒の包丁男に注意をして自分の子供がとばっちりを受けて刺されたらどうしよう」と不安でいっぱいなのである。もちろん・・・我慢強いりつ子はなんとか・・・根回しで斉藤さんの国外退去命令を獲得しようと運動する。斉藤さんにバカと言われても耐えるのである。極道の妻だからである。
ついに「言いたいことを封殺された斉藤さん」は国外追放中のパパに電話するのだった。もちろん・・・こんな親に育てられているので子供は辛抱強くなっているのである。
・・・このレビューに対するクレームは一切受け付けません。
ちなみにこばと幼稚園の園長(古田新太)は言語障害で認知症で発達障害者らしい。差別的だと思われても・・・キッドはこんな園長のいる幼稚園にわが子を通わせる親は問題外だと思います。
関連するキッドのブログ『私を旅館に連れてって』
久しぶりに観月の当り役になりそうな予感・・・初回視聴率は15.3%(これは私旅館の平均視聴率と奇跡のシンクロである)だが・・・今後どうなるのか・・・まったく予想がつかない・・・。この挑戦的態度でフタケタ維持なら立派なのだが。
『ちりとてちん・15-3・第82回』天狗トリオ(安田大サーカス)・・・この調子で・・・次々と一発・・・一世を風靡した芸人が若狭レポートに登場したら・・・もはや朝ドラマではない・・・と断言してもいい。若狭・・・素っ頓狂という言葉を君に捧げたい。オ、オムライスはどうなりましたか・・・?→15-2
金曜日に見る予定のテレビ「チャーリーとチョコレート工場」(日本テレビ)「エジソンの母」(TBSテレビ)「未来講師めぐる」(テレビ朝日)・・・うーん、ティム・バートン&ジョニー・デップVS壁おんな山おんな連合軍・・・火花散るな・・・。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
大変遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します(__)
「のだめ」にトラバもコメントも送れなかったのです~。
すいませんでした。
私も、こんな幼稚園には子供を通わせたくないですね。
日和見主義は保護者だけにしてもらいたいです。
投稿: くう | 2008年1月10日 (木) 23時30分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
くう様、あけましておめでとうございます。
ワールドツアー、ご苦労様でございます。
お嬢様方のお世話よろしくお願いします。(じいや)
今年はお子様の受験の年でございますとか・・・
どうか・・・御武運をお祈りいたします。
平常心が大切でございますので
くつろぎの時も大切になさいますように・・・。
リラックスでございますよ。
ものすごく
「正しいこと」の見えにくい世の中で
ございますが・・・
なくしてはいけないもの・・・
というのはやはりどこかにあると思うのですね・・・。
このドラマが最後までそれを
描ききれるかどうか
・・・ま、それはおそらく・・・
「勇気」でしょうけど・・・。
見守っていきたいと思っています。
投稿: キッド | 2008年1月11日 (金) 13時43分