私の母は悪い女でしたがバカではなかったのです。(小雪)VSもうひとつよろしいでしょうか。(宮崎あおい)
ゴージャスな美女とロリータな小悪魔が火花を散らす日曜の夜。
二人の「美しさ」はまったく違うベクトルを持っているようで・・・共演の記憶がない。10歳近い年齢差があるためなのか・・・白と黒のコントラストのためなのか・・・7センチの身長差のためなのか・・・趣味がアロマテラピーと写真で違いすぎるのか・・・神奈川県と東京都の県境のためなのか・・・パリ・コレのモデルとピチレモンのモデルとでは格が違うのか・・・まあ・・・とにかく・・・二人が日本を代表する美人女優であることは間違いないのである。
それは・・・出会う男たちの演技が・・・ハッとするのに楽だろうなあ・・・と思える「美しさ」なのである。
こういう「美」はそれを持たない同性の嫉妬を煽り立てずにはおかない・・・その逆境の中・・・この舞台に立つというのは奇跡のようなものだから・・・「美」の競演はますます神秘的になっていくのである。
で、『篤姫・第四回』(NHK総合・080127PM8~)原作・宮尾登美子、脚本・田渕久美子、演出・岡田健を見た。例によってシナリオにそったレビューはikasama4様を推奨しておきます。今回は島津斉彬特集です。
さて・・・今回は哲姫(吉高由里子)が登場しました。もちろん、アイドルタレント宵町しのぶのご先祖様ではなく・・・島津久光の娘です。島津斉彬(高橋英樹)の姪ということになります。なぜ・・・ここに登場してくるのかを推理すると・・・おそらく・・・哲姫もまた将軍のお嫁さん候補だからなのです。
島津斉彬の従姉妹にあたる篤姫(宮崎)は分家の娘ですが・・・哲姫は現状では本家の娘。身分の上では篤姫より上です。幕府から将軍・家定(堺雅人)のお嫁さん候補を求められた薩摩藩が・・・候補にあげた二人の姫が・・・篤姫と哲姫だったということです。
つまり・・・二人はライバルだったのです。で、ドラマとしては・・・父に教えられた作法通りのまじめな哲姫と・・・余計なことをしでかさずにはいられないお転婆・篤姫との対比を見せていくのですが・・・もちろん・・・篤姫が選ばれるのは・・・政治的なものです。
跡継ぎ問題をめぐって確執のあった兄・斉彬と弟・久光なのです。ようやく・・・当主におさまった斉彬としては弟・久光の娘が将軍の嫁になることは絶対に避けたい事態だったはずです。そのため・・・身分の低い篤姫を自分の養女にして・・・さらに右大臣・近衛家の養女として身分の体裁を整え・・・徳川家に嫁ぐということになるのです。
このような状況をキッドは牧歌的なお家騒動レベルと感じるのですが・・・時代はさらに激しく動いていきます。
このドラマでの篤姫はみっつの運命に弄ばれると言えるでしょう。①島津家のお家騒動 ②列強諸外国による日本侵略 ③幕府弱体化による革命(明治維新)・・・凄まじい動乱です。はたして・・・篤姫の人生のどこまでを描いていくのか・・・現時点では不明ですが・・・最後までやると・・・かなりの問題作になるでしょう。なにしろ・・・しでかさずにはいられない主人公ですし・・・早世する嫁・和宮(堀北真希)が合流した後は悪の匂いをかぎつけては逮捕せずにはいられないからです・・・違うぞ。ワトソンくん。
さて・・・薩摩型の人心掌握術というものがあるのですが・・・それは・・・静かなるドンと名参謀で構成されていると言えます。斉彬の父・斉興(長門裕之)と調所(平幹二郎)もその一例・・・どちらかというとバカ殿の斉興を怜悧な家老・調所が支えるというスタイル。何かあった場合には・・・バカ殿が責任をとるというのが理想ですが・・・そうでないと参謀は最高に悪役に仕立てられます。この形は斉彬・小松相馬(沢村一樹)、久光・小松帯刀(瑛太)と続いていきます。
また・・・下部組織でもこのコンビは成立して・・・西郷隆盛と大久保利通もそういうコンビですが・・・どちらかがコンビを解消しようとすると・・・両雄並びたたずになっていくわけです。コンビを解消された西郷の悲惨な運命は・・・東郷平八郎では栄光に転じます・・・。静かなるドンと策士・・・このコンビネーションはすべての組織運営の基本と言えるのです。
それに対して本編の主人公は現在のところ・・・あんみつ姫ですので・・・まさに日本の夜明けは近いのです・・・きっと・・・幕府はこの姫によって内側から滅びていく・・・そういう展開になるのでしょう・・・違うと思うぞ。ワトソンくーん。
関連するキッドのブログ『先週の日曜日のレビュー』
で、『佐々木夫妻の仁義なき戦い・第二話』(TBSテレビ080126PM9~)脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。今回は法倫(稲垣吾郎)の乳首も小川(山本耕史)の乳首もサービスされたので・・・目の保養をした一部ファンの人々も多いと思う。
さて・・・律子(小雪)である・・・美人で弁護士・・・夫も弁護士で・・・茶道家元(江波杏子)の御曹司・・・格差社会において・・・こんなに反感を買う主人公設定も凄いのであるが・・・いくつかの・・・中和剤が投下されていて・・・これが素晴らしく効果的なのである。
まず・・・何よりも律子は愛人(銀粉蝶)の娘だ。その日陰育ちのおいたちが・・・一挙に庶民の反感を打ち消すのである。
さて・・・人間が魅力を感じるのは大別して二つのベクトルがある。一つはバカに対する視線である。愚かなもの・・・劣ったもの・・・貧しいもの・・・そういうものに人々は激しく魅力を感じる。それは優越意識による悦楽に基づくものであり・・・非常に分りやすい。しかし、これはもちろん・・・蔑みという負の要素を伴うのである。
もう一つはスターに対する視線である。素晴らしいもの、超越したもの、豊かなもの・・・そういうものに人々は憧れを感じ、夢を託したりするのである・・・そして・・・これにもまた・・・妬みというネガティブな部分がある。
だから・・・魅力とは非常に矛盾したものだ・・・そして人々は流れの中で・・・バカを尊敬したり、スターを軽蔑したりもするのである。
さて・・・そういう意味で律子のもう一つの弱点はがさつなところである。とにかく・・・飲んで・・・玄関で寝てしまう・・・このがさつさはとんでもない欠点であるが・・・これがまた美点に転じていくところが・・・「可愛げ」というものなのだな。
で・・・ストーリーは律子がグイグイと引っ張っていくのだが・・・弱点を持たない・・・夫・・・法倫・・・御曹司で弁護士で弱い人の味方になろうとする善人・・・鼻持ちならないタイプである・・・うらやましい存在だからだ・・・もまた・・・律子を妻にすることで・・・魅力的になるのである。
酔った妻の寝顔を見て・・・いい酒だったか・・・悪い酒だっか・・・判断したり・・・育ちのいい姑と育ちの悪い妻にはさまれて・・・身の置き所がなかったり・・・大切な時計を壊されて川に投げ捨てられたりしてしまうので・・・いい気味・・・いや、同情を買えるのだ。
こうして・・・視聴者の複雑な感情の方向性をいろいろと転換させながら・・・ついには佐々木夫妻は離婚してはいかんのじゃないか・・・結構・・・お似合いの夫婦だし・・・というムードに持っていく実に巧みな脚本なのである。キッドとしてはちょっとそねむのである。
構成としては最初の20分で「今日の事件」を解決。今日の事件は会社社長で愛人に子供を作った夫(泉谷しげる)とそんな夫に手を焼きながら会社を軌道に乗せた敏腕妻(朝加真由美)との離婚訴訟である。妻が法倫の母の知り合い・・・夫が律子の友人の知り合いということで・・・敵味方になる佐々木夫妻・・・第一・・・敵対する両者を弁護することはできない。結局、夫についた律子が主導権を握り・・・「私は愛人の娘でした・・・」という爆弾発言を敢行しながら和解にこぎつける・・・という展開。
次の20分で事案の後処理を廻るホームドラマである。ものすごく嫌な小姑に母をなじられて「離婚の危機」は爆発寸前に・・・。「あんな母親離縁して・・・してくれないならあんたはマザコン」「君だってすごいマザコンじゃないかっ」・・・教養のある夫婦ゲンカなのである。
最後のの20分で解決した「今日の事件」が再燃・・・。妻が夫に分与する財産をすべて自分名義に書き換えていたので・・・夫は一文無しになってしまうと怒鳴りこんできたのだ。ここでホームドラマと弁護士ドラマが合流。理不尽な主張をする依頼主に困り果てる妻を夫がかばい・・・そして弁護士事務所一同が立ち上がって・・・離婚夫婦の新たなる心情がひもとかれていくのである。ううん、テクニカル。
まあ。構成としては序破急の三部構成になっており・・・実にスマートでもある。
そして・・・「弱い人のために泥舟の事務所を立ち上げようとした」夫と「その夫を助けようと泥舟に乗り込んだ」妻は和解して・・・お互いに相手へのブレゼントを購入・・・夫が妻に妻の欲しかった時計を贈り・・・妻が夫のための時計を出そうとした刹那。夫の口から「離婚しよう」・・・でつづくである。キッドはここはちょっと遣りすぎだと思うが・・・つまり平穏な日曜日の夜のために・・・まあ・・・視聴率的に低迷していたワクだから仕方ない・・・とも思う。策士、策に溺れる・・・という事態にならねばいいが・・・と思うのだ。
策に溺れるといえば大阪国際女子マラソンの福士加代子・・・30キロ地点に散るである・・・独走状態の沿道で両親に見せた笑顔と19位ゴールの競技場で見せた笑顔・・・両親の阿鼻叫喚の落差は大きすぎた。ダメージも心配だが・・・いいコーチ選びも大切だと思う。
火曜日に見る予定のテレビ「ハチクロ」「あしたの・・・」(フジテレビ)「貧乏男子」(日本テレビ)「キューティーハニーTL」(テレビ東京)・・・早い・・・火曜日が来るのが早すぎるよ・・・。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
今回もしっかりと拝ませていただきました。
ナムナム・・・。
投稿: みのむし | 2008年1月28日 (月) 17時18分
於哲の台詞が棒読みだったので
あれは間違いなく宵町しのぶでしょう(笑)
今回、調べてみて面白かったのが
於一に一目惚れしたという忠教の息子。
彼は忠教の次男・久治で後の藩主・忠義の弟みたいですね。
若くして家老になりますがすったもんだあって
家老を辞職して31歳で亡くなったそうで。
そういえば小松帯刀は36歳の若さで死去。
13代将軍・家定も34歳で死去。
このドラマの設定でいくと
篤姫(於一)を好きになった者達は皆
30代で死んでしまうという事でしょうかね。
う~ん、なんだか「呪」の臭いがします。
パターン1
於一「菊本、調伏とは何じゃ?」
菊本「姫様、それではばあやが調伏の秘法を授けましょうぞ」
パターン2
父・忠剛が死後、霊となって
篤姫に思いを寄せる男共を呪った。
島津忠剛(1806-1854)
徳川家定(1824-1858)
小松帯刀(1835-1870)
島津久治(1841-1872)
う~ん、どうでしょう(笑)
さて、「佐々木家」の方は・・・飽きました(; ̄∀ ̄)ゞ
どうもやり過ぎた感がしてねぇ。
いつものTBSの悪いとこが出てきた感じですかね。
投稿: ikasama4 | 2008年1月29日 (火) 00時42分
*simple*life*みのむし様、いらっしゃいませ*simple*life*
ふふふ・・・あのシーンでは
みのむし様が頭に浮かんで仕方ございませんでした。
時間が許せば久しぶりに妄想ムービーを
仕上げたいと思います。
エリお嬢様のお誕生日の妄想もあるので
スケジュールのやりくりが
なかなかに難しいのですが・・・。
妄想的にはかなり楽しそうなので・・・。
気長にお待ちくださいませ。
投稿: キッド | 2008年1月29日 (火) 08時34分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
お哲はなかなかにハッとする美少女でございましたね。
棒だけど・・・なかなかにうれしい存在感です。
キッドとしてはタッキー義経の時のゴマキクラスの
萌えを感じました。
「棒萌え」はもはや新ジャンルでしょうか。
・・・やや「腐女子デカ」に影響されております。
ふふふ・・・篤姫男殺し伝説。
さげま・・・いえいえ、美人まわりが薄命なのですな。
パターン3としてはすでに
調所の怨霊が篤姫にとりついている
という可能性がありますね。
もう・・・篤姫は中高年殺しのあんみつ姫ですから・・・。
調所は篤姫を一度はこの手で
抱きたいと思いながら・・・死んでいったのかも
しれませんな。
これを打ち払うのは
おそらく勝海舟ということになるのでは・・・。
「佐々木」は・・・夫婦喧嘩は
ケンカするほど仲がいいで
おさめておき
「事件」と「弁護士」たちの腕前やキャラで
見せればいい人情ものになる予感・・・
それなのに
どうして「奇」をてらいたがるのか
本当に意味不明でございますね。
投稿: キッド | 2008年1月29日 (火) 08時46分