トルエンを吸うとバカになるのは本当だがトルエンはバカしか吸わないのだ。(市川実日子)
なんとなく・・・脱力感があり・・・「細モノ」とかレポートする気になれないのである。春なのだな・・・。
そういう時に・・・「ダメジン」である。
まあ・・・いいか・・・と投げやりな気分になるには・・・これ以上なく・・・うってつけなのだった。
なんか森本健成アナがドラマ「ちりとてちん」第150回終了直後のNHKニュースで「最終回もお楽しみに・・・」ってコメントしちゃって・・・ザワザワみたいなのもこの映画の延長戦にあるかのようだった。 ま・・・シャブリ様には長い疑念が解けて歓喜の一瞬だったかもしれません・・・。
で、『ダメジン(2006年)』(テレビ東京080328AM0255~)脚本・監督・三木聡を見た。とにかく・・・「大人だけど夏休み中の三人組がなんとなく楽しく生きている」という映画である。
もちろん・・・彼らが何者なのかの説明はまったくない。
いつものように旅客機の離陸とか豪華客船の投錨とか・・・楽しい乗り物の描写あって冒頭・・・リョウスケ(佐藤隆太)の友人(吉岡秀隆 )はサマー靴店を訪ねる。
数年前に注文していた靴を引き取りにきたという彼にアルバイトのチエミ(市川)は投げやりに応対するが・・・「実は・・・夏休みが終ったら恋人にプレゼントするつもりだったが・・・夏合宿で恋人がコーチを刺して障害で逮捕されてしまい・・・それきりになっていた・・・」というので・・・倉庫に捜しに行く気になるのである。
しかし・・・倉庫に向かう途中で・・・三年間音信不通だったヤクザのササキ(篠井英介)と再会し・・・チエミはササキの情婦だったのである・・・そのまま・・・バイトを辞めてしまうのだった。
二人はうらぶれた食堂でエビフライを食べようとするが・・・店主はシェスタ(午睡)をしていて店内には醤油を盗みに来たリョウスケがいるだけである。
リョウスケは「海老買いに行って来ます」といって店を抜け出す。
路上ではヒラジ(緋田康人)とカホル(温水洋一)が黒猫のサンデーを丸焼きにしていたのだった。まあ・・・猫好きの人々はここで卒倒しながらチャンネルを変えたり・・・抗議のメールを送りつけたりするのかもしれない。キッドは猫好きだが、猫食い好きでもあるのでノーリアクションだった。「猫さえ食えれば食うものに困らない」かどうかは需要と供給のバランスを考えるとどちらとも言えない。
二人は・・・猫牧場・・・いやハナ肇のように猫屋敷に住むネコ爺(笹野高史)を訪ねる。バスタブで沸かしているコーヒーをふるまわれながらインドへの移住を薦められるのだった。
インドにはムードがあるからである。
巨大なガスタンクの頂上では白いリボンのセーラー服の少女・タンク(伊東美咲)が風に吹かれている。チエミとはトルエン仲間であるが・・・ラリって事故死しており今は地縛霊なのである。しかし・・・未だにトルエンをやめられないチエミはタンクと世間話を交わせるのだった。女の友情は永遠伝説である。
チエミにトルエンを横流ししている女(片桐はいり)のいる工場にはカズエ(ふせえり)が務めている。リョウスケもチエミもカズエも・・・顔馴染みである。そして工場の社長(岩松了)はネコ爺に女が出来たので絶縁宣言されることをまだ知らない。
まあ・・・こんな調子です。じっくりと落ち着いた描写でくだらない展開がどこまでも続いていくのです・・・。
四年間も御蔵入りしていたのが納得の映画ですが・・・時代が来ればこうして日の目を見る・・・という・・・焦点の問題を含んでいます。
もちろん・・・ひとつひとつのネタは丁寧に作られていて・・・味わうのは心地よい・・・。しかし・・・もちろん・・・トルエンを吸っているバカとか・・・生理的に受け付けない人も多いのではないかと想像できる作品です。
でも・・・キッドは・・・好きだーっ・・・大好きだーっ。
チエミはササキに靴で足を踏まれたり・・・ゴムパッチンをされたり・・・テレビを窓から投げ捨てられたり・・・旅先で置き去りにされたりするのですが・・・けして・・・くじけない・・・強い女です・・・ちょっとMに見えますが・・・ただ・・・トルエンで脳が縮小しているだけなのです。
この「かわいい女」を見るだけでも・・・充分に価値ある作品です。
人間はダラダラし続けると・・・ついシャンとしたくなる生き物であると思う。でも・・・例外はあり・・・ずっとダラダラし続けられる人もいるかもしれない。もちろん・・・それはシャンとしないと生きられない人間のないものねだりでもあるだろう。
登場人物の中で比較的シャンとしているのはササキである。ササキは「いつまでもダラダラしてちゃダメだ・・・ヤクザでもやらないか」と三人組に説教する。人間・・・ヤクザに説教されるようになったら・・・ダラダラも極まっていると思う。
ササキが「小さい頃・・・両親の不和で実現しなかった鍾乳洞観光」に誘い・・・ちょっとしたすれ違いで三人組はゴールデンチャイルドの金子から「インドへ行って地球を破滅から救う」というお告げを受ける。
このダラダラとした旅の間に・・・リョウスケとチエミは恋におちる。しかし・・・チエミはササキの愛人だし・・・リョウスケはダラダラしているのにモヤモヤするばかりなのであった。
インドネシア人・インド人ルートでインドに行くためには一人100万円が必要と知った三人組は郵便ポスト強奪切手換金で金を稼ごうとするがたこ焼きを買ってしまう。
一人・・・モヤモヤしていたためにカッとなったリョウスケはファンファン(岡田真澄)が上司のファーストフードで働き始めるのである。
そして・・・頭のおかしな科学者の作ったロケットの秘密をリョウスケと共有したチエミはトルエン断ちを決意するのだった。
タンク「なんか・・・あったの・・・」
チエミ「・・・いつまでも・・・トルエンやってても・・・なんだしね」
タンク「・・・トルエンやめても・・・私のこと忘れないでね・・・」
この時のツーシトョットで・・・なんとなく・・・宮崎アニメのカオナシに似たニュアンスでムネナシという言葉がキッドの心に浮かびました・・・ラリってんのかよ。
このあと・・・急にシャンとし始めた人々は・・・「赤信号みんなで渡ればこわくない」のアレンジで「銀行強盗みんなで襲えば大成功」をします。なっの先輩(謙吾)は伝説になったのです。
やがて・・・トルエンだからぶっとぶはずのロケットは大爆発炎上。サカモト(加藤歩 )をヒットして菅原洋一のハーモニカを遺品に残しササキは無煙仏ではなくて灰になるのです。
もはや・・・インドになった日本・・・三人組とカズエとともに「インドでは死んだ人を川に流す」から散骨をするチエミ。
川に住む・・・人生が永遠であることの恐怖におびえるインバ(村松利史 )は「人生早く終わんないもんかね~」といいながら・・・川を流れていきました・・・。
ダラダラと生き続けるのは難しいもの・・・結局・・・みんな時々・・・シャンとしてしまうのだ・・・という物語です。
かって・・・「日本のチベット」という言葉があった。もちろん・・・今だってあるのだが・・・空気を読む時代に封殺されている言葉である。格差社会の到来と・・・中央と地方の軋轢をダラダラした人々がインド人になったり・・・チベット人になったりすることでのりきる時代がくる・・・この映画は偶然のように・・・それをプレコグニション(未来予知)しているとキッドは妄想いたしました。日本の中に中国やインドやチベットがあるって本当ですか。・・・結婚相手は神野美紀ですか。
環境VTRとして常時流しておけばいながらにして日本だけどインドじゃないかと思うあなたはコチラへ→ヤマト様のダメジン
関連するキッドのブログ『亀は意外と速く泳ぐ』
『ちりとてちん・26-4・第149回』・・・草若の息子が成長して登場したことに若狭が気がつかない・・・というのが・・・リアリティーとしてはギリギリ・・・アウトのような気がする。妹弟子が兄弟子の長男のことを・・・弟弟子のおかみさんとしても・・・冠婚葬祭がらみでずっと目にしないというのは・・・難しい・・・と思いますから・・・ま・・・そこまで気がきかない若狭だという表現としてならギリギリセーフか・・・。ともかく・・・その日は突然・・・やってきました。何度、わかった気になっても・・・わからない・・・スポットライトを浴びるだけが人生ではないし・・・人は自分のことだけではなく・・・他人のことを考えられる心を持っている・・・ということを若狭がわかる・・・瞬間です。「ダメジン」なら「人間は自分のために働くのではなくて誰かのために働くのだから誰かがいなければ働く必要はない」という論理です・・・それはどうかな?・・・それがおもてなし・・・うらありの心なのです。→26-3
土曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『刑事の現場』(NHK総合)『ロス:タイム:ライフ』(フジテレビ)『栞と紙魚子の怪奇事件簿』(日本テレビ)『サイレン』(テレビ朝日)・・・さらば3月の土曜日です。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
森本アナ、Youtube発見!
早速貼り付けてしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=CfoTZ0NePE0
投稿: シャブリぴょん | 2008年3月28日 (金) 20時13分
▯▯black rabbit▯▯シャブリ様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯
ふふふ・・・久しぶりにオンエアで見ていて
スタジオのノイズが
生々しく感じられ
わはははと笑ってしまいましたぞ。
アドリブなのか・・・原稿なのか
微妙でしたが
あの表情が
いつもドラマを受けていたのでは
というシャブリ様や皆様の感覚が
正しかったと証明されて
よかったのでございます。
投稿: キッド | 2008年3月29日 (土) 16時33分
キッドさん、こんにちは~♪♪
TBが貼れた気配が無かったけれど貼れたかなぁ。
チエミとタンク良かったですね。
チエミ可愛かったですね。
女の子って可愛いな。タンクも可愛かったな。
「可愛い女」ていうと
世の男ドモは
笑顔を振り撒いて
もちあげてくれて
媚びてシナを作る女だったりすると思うのです。
センスが無いとこの一言につきる。
チエミの魅力を何人の男が理解できましょうか。
・・・つまらん。
ブランドモノのカバン持ってパンプスはいて
茶色い髪くるくる巻いてるようなのが皆好きかな。
チエミの可愛さ・・・
あ、今若い男が嫌いなんです、
しばらくしたら治るけど。
高いスーツで自分の安さをごまかして
名刺に印刷されてる社名で自信の無さを必死でカバー、
本当のところ面白いことあんまり言えない男の子たちは
それでも自分を過大評価して
女子に尊敬されるために必死で上げ底の知識作って
UNOで必死でなんか鳥の巣みたいなアタマ作って
くっさい香水朝からつけてるのですね。
そこに来てリョウスケは素晴らしい。
是非お付き合いしたいです。
チエミの魅力を解するあたりにもシビれるし、
アタマボーボーお顔真っ黒にもシビれます。
バーガー屋店員のマニュアルに壊れるあたりも最高。
「またトルエン買ってくれるってー」
とチャリをこぐはいりさん・・・
肺に空気入れるために皆でコンセント探すし、
どうなっちゃってるんだかかなり笑いました。
投稿: ヤマト | 2008年4月 8日 (火) 14時00分
☆*⋄◊✧◇✧◊⋄*ヤマト様、いらっしゃいませ*⋄◊✧◇✧◊⋄*☆
メンテナンスの影響でしょうか。
一応、キッドが自家製TBをお作りいたしましたので
ご容赦ください。
チエミとタンクで
ドラマ化してほしいほどです。
チエミがいろいろと
問題に巻き込まれ
最後はタンクが
助けてくれる・・・
そういうミもフタもない
幽霊譚で・・・充分楽しそうです。
お若い女性が
お若い男性を
嫌ってはなりませんぞ~
基本的にあんなものはバカなのですから
もう・・・優しくしてやる以外にないのです。
そうするとつけあがりますから
あくまで心の中だけで
優しくしてやるのが秘訣ですぞ。
精神衛生上の問題ですから。
まあ・・・それがツンデレというもの
でございますが~。
まあ・・・世の中とは
見ようによっては
いくらでも
そういうエンターティメントで満載なのですが
バカはバカにされることに
何故か敏感なので
ひっそりと
楽しむのが肝心。
三木監督はそういう手の達人なので
ございましょうね。
投稿: キッド | 2008年4月10日 (木) 18時10分