世界の中心で箱の中身はなんじゃろなと叫んだ獣。(田中麗奈)
・・・とにかく問題作である。TBSテレビが韓国よりなのか中国よりなのか混沌とさせるからである。まあ、事大主義的には韓国と中国は一体のものなのかもしれません。
これはあくまでキッドの妄想であるが・・・漢字的文化圏において・・・「漢字」から「ひらがな」を発明した日本は表意文字表音文字併用という独自の文化を築いてきた。それはひらがな(初心者)漢字(専門家)という文字習得の段階性を可能にして・・・日本の文盲率を低下させるのだが・・・同時に深みのある感性育成にも一役買ったと思う。一方、同様にハングルを生み出した韓国では影響力排除のために漢字を禁じてしまった。そのために非常に短絡的な国民性を育成してしまったようだ。
「猟奇的な彼女」から連想されるイメージと「りょうきてきなかのじょ」から連想されるイメージを比較してもらいたい。日本人ならピンと来ることが韓国人には理解不能であると思われる一例である。
リプキ(猟奇)は韓国語ではもはや「ちょっと風変わりでかわいい」というニュアンスになってしまった。もちろん・・・原作や原点となる韓国映画を見れば・・・日本人にもそれが「かわいいいたずらっ娘」であることは理解できる・・・しかし・・・日本人には「猟奇的」という漢字の持つ淫靡で面妖なイメージも浮かぶのである。
まあ・・・日韓がその国民性の溝を埋めるのは困難であるが・・・中国が怪物的な素顔を見せ始めた現在・・・仲違いしている場合ではないことを・・・遺伝子をある程度共有する列島民族と半島民族は考えてもいいと思う。そして、その団結には両国を軍事的に支配している米国の協力は不可欠だと考える。
かってソ連は人民の水源地確保のために核爆弾を使って貯水池を作るという荒技を実行して不毛の大穴を作り出すという一神教(マルクス主義はキリスト教の狂信的分派である)ならではのおバカぶりを披露したのだが、いまや中国共産党帝国は「金儲けのためなら毒餃子を積極的に輸出」という経済全開教と化している気配があり、世界はもっともっとこのやくざな漢人一族国家の脅威の認識を共有しなければならない段階に入っている。
本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「パズル」14.1%(石原さとみファンは長い禁断症状がさぞや苦しかったのだろうな)、「Around40」↘14.2%(このドラマには「僕」シリーズの女性版と「金妻」の現代版という二つの方向性がある・・・方向をスタッフが間違えないことを祈る)、「キミ犯」↗10.4%(う・・・あがったよ・・・いいのか?)、「ROOKIES」12.2%(さあ・・・この数字で・・・夏まで持つのか?)、「ごくせん」26.4%(どひゃあああ・・・どこに視聴者は潜んでいたのだ・・・篤姫も圧倒するのかよっ)、「トップセールス」↘*7.8%(・・・それでもしのいだと言えるかもね)、「猟奇的な彼女」13.5%、「篤姫」↘22.4%・・・以上。
で、『猟奇的な彼女(日本版)・第一話』(TBSテレビ080420PM9~)原作・キム・ホシク、脚本・坂元裕二、演出・土井裕泰を見た。この脚本家は「私たちの教科書」は視聴率は度外視して書いた・・・次は獲得する方向で・・・と言っていたのだが・・・一度、そういうことをすると軌道修正は難しいとキッドは知っている。それでも「私教」の平均視聴率11.2%よりも最終回視聴率12.4%よりもあげてきたのである。しかし「私教」は初回視聴率14.2%だったので非常に微妙だ。
ブームというのは不思議なもので・・・ブームになるためには魅力が必要であるので「それ」には確かに魅力がある。しかし、ブームになったものはやがて魅力を減ずるという法則がある。一方でブームはマニアも残す。ブームを追うものにとって「かってブームだったもの」は「過去のもの」という感覚が強い。「去ったものにこだわるマニア」を「まだそんなものに・・・」という蔑むのは「流行」というシステムに深く関係している。あるいはブーム・マニアの存在である。
「ブームマニア」は「ただのマニア」を「鈍感」と感じるし、「ただのマニア」は「ブームマニア」を「浅薄」と感じる・・・まあ・・・キッドはどちらの気持ちも分るような気がする鈍感で浅薄な人間である。
問題は「韓流ブーム」が終ったのに「韓流マニア」が作り手になってしまった場合である。これは視聴率を獲得できないレシピだと思うのだな。それでも趣味に殉じるという人を誰がストップできるだろうか。
ともかく・・・視聴率を狙いにいった脚本家は122分の映画を連続ドラマにするわけである。これが成功したのは最近では「華麗なる一族」であるが・・・他にも「電車男」や「セカチュー」などがあるが・・・このワクでは成功とは言いがたい「いま、会いにいきます」があり・・・演出家は映画版の監督である。
まあ・・・お手並み拝見なのだが・・・。
いきなり・・・主人公・三郎(草彅剛)の恋人(岩佐真悠子)登場である。見知らぬ韓国人(キョン・ジュン)を連れ込んでセックスしているという際どい役柄であり・・・レギュラーに鈴木えみ(スターダストプロモーション)がいて・・・キャラがかぶっていると言えばそれまでだが・・・弱小プロによる下積み稼業の悲哀を感じるのである。もうそれだけで泣けてきたよ・・・がんばれ・・・岩佐真悠子と叫びたい。
しかし・・・逆に言えば豪華な配役である。
そして・・・「Over Time-オーバー・タイム」(1999)以来の連続ドラマ登場のヒロイン・凛子(田中麗奈)である。どちらかといえば人間離れした美しさの女優なのでテレビドラマには向かず・・・戦略的には成功している女優といえるだろう。竹内結子や、広末涼子という同世代の女優と戦うことなく・・・フレッシュなままで存在感を高めている。
まあ・・・テレビドラマの女優としてはほとんどニューフェイスでも通るくらいだ。
もちろん・・・正統派美人ではなく・・・ファニーフェイスだが・・・優香とも酒井若菜とも戦わないし・・・もちろん、箕輪はるか(ハリセンボン)や大島美幸(森三中)とも戦わないのである。
まさに・・・満を持しての登場といえる。岩佐真悠子とくらべたら同じ人間かと思うほどの過保護ぶりである。普通・・・賞味期限切れるぞ・・・。
それでもドラマ形式のCMと地味だが長い映画のキャリアにものを言わせて・・・堂々たる存在感なのだった。キッドはなんとも言えない微妙な気持ちになるのだった。それはなんとなく・・・深窓の令嬢がちょっとブスだったときのアンニュイな気持ちと言ったら分ってもらえるだろうか・・・分りません。
とにかく・・・こうして二人は出会うのだった。
キッドは大学生の時に好意を寄せる女子にゲロを吐かれ両手で椀を作り受け止めた経験があるので三郎が凛子を好きになってしまう気持ちが良くわかるのである・・・まだそうなってないぞ・・・そうなのか。
ともかく・・・幻想と現実の狭間で二人の恋は始まるのであるが・・・三郎の幼馴染が浅倉南(松下奈緒)だったり・・・圭輔(谷原章介)が「もげっ」のキャラクターから外人マニアを抜いただけだったり・・・上川隆也が「ハケン」に影響されてマグロの解体ショーをしたりと・・・脚本家が酔っているとしか思えない展開に背筋がゾクゾクと寒くなるのだった。
この「おかしな世界」のまま・・・好きになってもらおうとしているのかもしれないが・・・それは微妙なのであるな・・・。
とにかく・・・この話の原点はキッドにとっては小説「ティファニーで朝食を」(カポーティー1958)であり同名映画(1961・主演・オードリー・ヘップパーン)だと考える。「僕だけのマドンナ」(2003)ほどのストレートさはないが・・・日常生活に侵入してきた奇妙な謎の女性とその正体にまつわる泣かせる結末・・・という意味では「猟奇的な彼女」は立派な後継者である。
もちろん・・・「猟奇的な彼女」が主人公につきまとう理由の・・・韓国的なストレートさをどうするかは重要なポイントだ。「ティファニー」→「猟奇」の換骨奪胎が成功しているのはアメリカ人と韓国人のストレートさが・・・近似しているためだと思われるからだ。
だから・・・「奇妙さ」に秘められた「ありきたりさ」が胸に染みるという構図なのである。
そういう意味で・・・いろいろと付属物をちりばめた今回のアレンジは大失敗の可能性が大きい・・・しかし・・・田中麗奈の特殊性がそれを大逆転勝利に導く展開もあると思う。
だからキッドにとってこの作品はやくざの条件だった岸壁に沈められたトランクの中身や深夜に食事をする留置場の奇妙な人々の正体と同様にかなりスリリングなものと言える。
ちなみにキッドの妄想では「猟奇的な彼女」は「クラリス的な恋人」のイメージである。「羊たちの沈黙」は猟奇的な殺人事件を題材とするサスペンスだが・・・映画のヒロインを演じるジョディ・フォスターは男なら一度は恋に堕ちたい魅力的なクラリスを生み出した。
その魅力は実は「猟奇的なレクター」が恋に堕ちるほど輝いているわけだ。
物語の中では恋をしないのに・・・観客が恋をするヒロインは凄いのである。
それは「ナウシカ的な恋人」だったり、「峰不二子的な恋人」だったりするのだが・・・ここに女優というものが何を演じるべきかという・・・一つのヒントがあるような気がする。
韓国映画版の監督は「僕の彼女を紹介します」(2004)を撮るのだが、そのヒロインが刑事と知った時・・・キッドの感じた親近感は並々ならぬものだったことを記しておきたい。
その監督が綾瀬はるかで撮る「僕の彼女はサイボーグ」・・・きっとキッドはそれがどんな駄作でも許せる気がするのである。
関連するキッドのブログ『日本沈没』
『月曜映画・N.Y.式ハッピー・セラピー』(2003)はまあまあでした。まあ・・・怒り抑制セラピーなんて無理だよな・・・。
水曜日に見る予定のテレビ『ケータイ捜査官7』(テレビ東京)『週刊真木よう子』(テレビ東京)『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『ホカベン』(日本テレビ)
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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
ご無沙汰しています。
このドラマ、田中麗奈さんは間の取り方や、全体の乗りはさすがと思ったのですが、
「次も絶対みたい?」と訊かれたら、「微妙~~」ですね。
いくらかつて韓国ドラマにドップリ浸かっていた私(笑)としても、
毎回豪華な(?)ゲストが沢山出て、しかも必ずサプライズな韓国俳優がいたとしても、
「じゃあ、絶対見る!」とは言い切れませんでした。
今後の展開によっては、裏でやってる韓国ドラマ(ファン・ジニ)そのものを観る方になっちゃうかも?
投稿: aki | 2008年4月22日 (火) 08時53分
こんにちは。前期までドラマの本数に楽しく追いまくられていましたがさすがに疲れて、そこへきて『パズル』のアレさにますます今期はドラマ離れしそうなところな私です。でもまあ『猟奇的な彼女』は観ようと思っています。「条件はナンデスカー」のくだりはオリジナル版にあるものなかどうか全く知らないのですが、なんだか手塚治虫のマンガ的で良かったデス。
大変気になってしまうマイナス点は、『砂時計』の映画版がいま公開されている松下奈緒が主人公の幼馴染みとして登場というのは、狙ってなのか違うのか、それともこれが「指来たっスね」なのかぁ????というあたりですね(笑)。
投稿: 幻灯機 | 2008年4月22日 (火) 23時20分
☀華韓何処ダンス教室~aki様いらっしゃいませ~華韓何処ダンス教室☀
ふふふ・・・プロの韓流ウオッチャーとしては
微妙な感じでございましょうね。
韓流に対する媚というかサービスもあり
「東京ラブストーリー」の
焼き直し気分ありで
結構ちぐはぐな作品になっているというのが
キッドの率直な感想。
「猟奇」は韓国のカルト作品ですから
韓流のメジャーには位置しない
というこれまた微妙なボジション。
みんなの知っている「アレ」をやるのと
知る人ぞ知る「アレ」をやるのでは
料理法が異なるので
なんとも中途半端な感じがします。
まあ・・・田中というドラマにとっては
隠しだまというか・・・希少価値の新鮮さで
どこまで押していけるか・・・
キッドはもう少しつきあってみたいと思います。
投稿: キッド | 2008年4月23日 (水) 02時38分
✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪
ふふふ・・・キッドは一日一本を
目標にしているのですが
今回もまた・・・微妙にくずれています。
(火)の「絶対彼氏」→「おせん」
(金)の「パズル」「アラ40」「キミ犯」
がネックですねえ・・・。
「猟奇」は韓国版でも劇中劇の要素があって
そこで・・・まあ・・・姑息な笑いをとっているので
そのニュアンスを反映した場面が
いくつかあったわけです。
そこには「なげっぱなし」の「ギャグ」
が散りばめられたわけですが
それを是とするかどうかは
微妙でございました。
キミ犯の「内輪受け」ギャグよりもマシだけど
「自己満足」ギャグを連打でやられてもなあ・・・
という気分もあります。
まあ・・・「マジメに見ないで・・・」という
看板が立てられた作品として
珍しい田中麗奈を鑑賞・・・
というのが
このドラマに対するキッドの基本方針です。
・・・だじゃれは嫌いじゃないですし・・・。
投稿: キッド | 2008年4月23日 (水) 02時50分