歯磨けよ!宿題やったか?結婚しろよ・・・泣く(天海祐希)いただき!(貫地谷しほり)
・・・女、39歳、一人温泉帰りにホームにて号泣である。ここまで淡々と涙の理由のフリが続くオーソドックスな展開。『僕の生きる道』シリーズの脚本家42歳ぐらいの作品である。『ナースのお仕事』の松下由樹や『百年の恋』の筒井道隆など脇役陣とも馴染んで・・・「結婚と仕事と人生に悩む女」をそつなく描いていく。
一方、「トリック」「おみやさん」「相棒」「ケータイ刑事」「探偵学園Q」とある意味、姑息なトリックの職人脚本家48歳くらいは演技力抜群の貫地谷しほりを迎えて姑息なトリックを炸裂させている。まあ・・・この脚本家よりも・・・「もげっ」で革新した荒井修子のヴァージョンに期待しているわけだが。
ああああああああ。金曜日も二本立てかよっ・・・おまけに天使テンメイ様の軽い感想宣言で・・・悪魔としての対応焦点拡散にも対応しないといけないのだっ・・・。こうして一日一本化計画は早くも挫折の危機を迎えているわけだが・・・まあ・・・計画通りに行ったことなんかないのだから・・・いいか・・・。
で、『Around40~注文の多いオンナたち~・第一話』(TBSテレビ080411PM10~)脚本・橋部敦子、演出・吉田健を見た。昔からいい脚本は凡庸な演出家にも秀作を与えるし、凡庸な脚本は優秀な演出家に駄作を授けると言われるわけだが・・・この脚本家は・・・この格言の例としてあてはまると思う。基本は地味なのだが・・・ひとつひとつの場面、ひとつひとつのセリフにムダがなく・・・気がつくと登場人物たちの気持ちがわかってしまうのである。
そして・・・終盤・・・今回で言えば「社会的にも認められた仕事について容姿端麗だけど未婚の40歳直前の電車に乗り遅れたオンナが号泣」という悲哀が無理なく伝わるのである。
そして・・・一転・・・彼女の福音となる・・・新しい出会いが訪れ・・・それがコミカルな波乱を含みつつ・・・次回を期待させる・・・連続ドラマとして・・・全く文句のない展開である。
とにかく・・・視聴率云々は別にして昨日は20代向け青春群像劇としてフジテレビ得意の「ラスト・フレンズ」・・・今日は大人向けオンナの人生劇としてTBSテレビ得意のコレと・・・王道の連打なのであるな。フジが宇多田ヒカルなら・・・TBSは竹内まりやである。
おそらく・・・ドラマファンはこういうのが見たいのである。しかし・・・そうでない人はマンネリだと言うし・・・時には視聴率も下がる・・・そうなるとスタッフは奇をてらいたくなる。ところが奇をてらって視聴率はさらに下がったりする。もう・・・何が面白いのかわからなくなってしまうのだ。だから・・・たまには王道に帰ってみるのは正しいと思う。
かってのオヤジはプロ野球観戦、オフクロは専業主婦の時代なら・・・そこから外れる人はちょっと変わった人だった。しかし・・・男女雇用機会均等法施行以来・・・価値観の多様化は社会の中核を奪ってしまった。もはや・・・ちょっと変わった人しかいないのである。
そういう時代の王道って困難だし・・・よほどの天性が求められる。そういう意味で昨日も今日もある種の天才脚本だと思う。
これで15%ぐらいの視聴率が確保できれば成功という時代なのかもしれない。
たとえば・・・今回で言えば・・・主人公の同窓会からは・・・離婚の問題は軽く省略されている。パーセンテージで言えば・・・離散家庭の問題はもう少し深刻なはずである。しかし、同窓会に参加しなかった男友達(筒井道隆)がおそらくそういうポジションであるのだろう。
産まず後家という言葉があり・・・それはかなり腐羊水的な危険なニュアンスの言葉であるが・・・主人公が「子供を生むことを前提に40代未婚の異性」を求めると片桐はいりに全否定されてしまう年齢だったりすることも・・・後添えとしての父親の再婚相手(加賀まりこ)の配置でバランスがとれている。
「自分が幸せかどうかは自分で決めたい」と主張する主人公も志を同じにしていたはずの後輩(大塚寧々)に裏切られると・・・心穏やかにはいられないのだった。
ほらほら・・・配役がすごく・・・計算されているのである。
それでも人は人生に年齢制限はないと・・・意地を張りたい時があるし・・・そうでも思わないとやってられない時があるだろう。
そして、もう40歳なのか・・・まだ40歳なのか・・・ここは悩みどころである。しかし・・・最近・・・父親が「似てきたな・・・」という主人公の母親は40歳で他界なのである。
つまりタイムリミットはあるのである。なぜなら人生はゲームだからだ。ファンタジーのロスタイムライフと違って試合終了時間は未定のこのゲームで・・・プレイヤーがどんな素晴らしいプレイを展開してくれるのか・・・。心の病の専門家(天海)と心の悩みの専門家(藤木直人)がトライする大人の恋愛ゲーム・・・スタートの笛が今、吹かれました。
ちなみに『注文の多い料理店』を連想すると・・・『注文の多い通過点』がだじゃれタイトルとしては無難だと思う。もっと毒を入れると『注文多いとノーリターン』とかもあるかな。あと『注文の少ない在庫品一斉処分』・・・もういいか。
関連するキッドのブログ 『藤木直人のホタルノヒカリ』
で、『キミ犯人じゃないよね?・第一回』(テレビ朝日080411PM1115~)脚本・林誠人、演出・植田泰史を見た。毎度おなじみのミステリ・コメディーである。「トリック」「時効警察」「モップガール」など歴代アベック探偵ものに続き・・・小説家の卵・さくら(貫地谷)とお坊ちゃん刑事・宇田川(要潤)の登場である。で・・・問題は・・・ケータイ刑事シリーズでお馴染みの鑑識の柴田(金剛地武志)の転属である。はっきりいってどうでもいい。あえて言うなら主役がらみで遊ぶべきだろう。少なくとも・・・さくらの子役は八木優希でないとダメではないかと思う。・・・まあ・・・あくまで・・・個人的な感想ですからーっ。
「ケータイ刑事」シリーズは今をときめく宮崎あおいや・・・堀北真希などを生んでいるし・・・それなりにステータスはあるのだが・・・金曜ナイトドラマはもう少しメジャーで・・・もう少しイージーではないのだと考える。
「探偵学園Q」も微妙に・・・ケータイ刑事ノリがあって・・・それが失敗していた。
たとえば・・・今回は最初の密室トリックがヒモを使ってドアの前にものを置くである。
で・・・今回の主人公さくらは「瞬間画像記憶保持」と「推理小説マニア」という二つの個性を持っているのだが・・・このトリックを解明するのはおそらく・・・後者の個性によるものだろう・・・。そのための説明が不足しているのです。
「ヒモでドアを閉めるなんてトリックの基本中の基本ですよ」ぐらいで始めて・・・ヒモを使ったトリックの古典の作品名ぐらいはあげる・・・という緻密さが必要なのである。
そうしておけば・・・ありふれたトリックを使う言い訳にもなるし、主人公のキャラも立つのだ。
ケータイ刑事ではこういういい加減さがある意味、味なので・・・つまり、リアリティーのなさを開き直ってるわけである。今や・・・演技力に定評があり・・・それなりに期待を持って見られる貫地谷には不向きな作品に対する姿勢と言える。
こうした・・・バランス感覚の不足が決定的になるのが犯人のミキ(黒谷友香)が第2の密室トリックのために室内に潜んでいて・・・隙を見て室外から来たように思わせる時のセリフである。
さくら「どうしてここに・・・?」
ミキ「気持ちの悪い声でここに来るようにと電話があって・・・」
・・・ミキは一体どうして・・・気持ちの悪い声の電話の指示に従う必要があったのだろうか・・・?・・・少なくとも一切必然性がありません。
こうした・・・トリックを成立させるための不自然さは・・・トリックを暴くための快感を激しく減ずるものではありませんか?
そうすると・・・ボケ担当の刑事・太宰(渡辺いっけい)の捜査ミスも・・・犯人に惚れたために逃がそうとしてさくらに手錠をかけてしまう大ボケかます坊ちゃん刑事も・・・劇中ドラマの悪徳刑事を演じるささやき刑事(升毅・友情出演)の快演も・・・・「いもじょうちゅ・・・」の要・しほりのバナナ食べつつキス顔共演も・・・天才「かしこまりましたー」も・・・すべてトーンダウンしてしまうのである。
この・・・ヴェテラン脚本家の・・・手抜き工事の失態を新鋭・荒井修子が拭いさることができるか・・・この期待があるために・・・仕方なく・・・二本立てなのだった。
のほほん・・・と見せるためには・・・スタッフはのほほんとしていてはいけない・・・と思う。
最後に・・・さくらはミキのファンだったというくだりがあるのだが・・・そのとってつけた感・・・寒気がしましたよ・・・。
さくらの妹役でおはガールの小島藤子が登場。姉妹には隠された過去があるという横筋があるのだが・・・この妹の出し方も・・・ほとんど工夫がない・・・。まあ・・・脚本家の情熱がもうこぼれてしまっている後だというのはよく分かります。
関連するキッドのブログ『貫地谷しほりのちりとてちん』
日曜日に見る予定のテレビ『コードギアスR2』(TBSテレビ)・『篤姫』『サラリーマンNEOシーズン3』(NHK総合)『日本沈没』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
この手のTBSの作品は
見たまんまを楽しんでくれって感じが
バンバンしてきます。
以前の日テレでの
干物女と天然男のバトルを思い出します。
今回の天海さんはその干物女の年齢を一気に引き揚げて
フルアーマー装備しているような感じです(苦笑)
TBSはこういう映像での演出は上手いですね。
ドラマのテンポは役者さんの技量でカバーしていて
バランスもよくて面白いです。
難点といえば
視聴者層がちょ~~~っと高目で
若い方にはちと縁遠い世界かもしれません(; ̄∀ ̄)ゞ
まぁ周囲の思惑はどうあれ
私が面白ければそれでいいです(笑)
投稿: ikasama4 | 2008年4月12日 (土) 22時05分
キミハン・・・
やっぱり、脚本なのか・・この淡白さは。
荒井さんに早く変わって欲しいのですが、2話はまだこのままみたいですね。
投稿: シャブリ | 2008年4月13日 (日) 01時44分
おはようございます 今回もサラッとアップしようと
思ったのに、徹夜になっちゃいましたよ (^^ゞ
エッ、テンメイ様のせいで一日一本化計画が挫折しそう
なんだ! じゃあ、貫地谷を切ってください♪
さすがキッドさん。不評の嵐の中で、良く見てますよね☆
かなり地味だけど、やっぱ脚本家は優秀なんじゃないかな。
それに比べて、演出がもう一つって気がしましたね。
例えば、聡子が泣く前の温泉で、もうちょっと
悲哀を映し出すことくらい出来たと思うんだけど。
つまり、前回の温泉からの事態の進展or悪化。
あと、もう少し笑いを増やした方がいいかも。
ま、来週から藤木が本格的に笑わせてくれるのかな。。
演出はともかく、幸せは自分で決めるなんて話はもちろん、
建前とか強がり。その揺らぎを描くわけで、挑戦的な脚本。
僕は、ラスフレも良かったけど、むしろアラフォーの方を
支持します。不評には喜多善男で鍛えられてるし♪
人生は有限。様々なリミットがある中での営み。
だからこそ、無限の可能性からの選択が重要でしょう。
少なくともCHANGEが始まるまでは、軽い記事くらい
書きたいと思います。ラスフレをどうするかは別問題。
速攻アップでアクセスも好調でしたしネ
投稿: テンメイ | 2008年4月13日 (日) 09時53分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ふふふ・・・ある意味・・・女性版の
「僕と彼女と彼女の生きる道」
という感じがしましたね。
人として・・・懸命に生きてきた
それなのに
いきづまってしまう・・・不思議。
男性が主役の場合は
かなり・・・主役の非人間性を
厳しく描いていたわけですが
今回はかなりオブラートに
包んでいる。
それでも・・・
なんとなくブラックな匂いを
女性陣は嗅ぎ取っているようです。
キッドは温泉でドリフを
見ている主人公が
「歯磨いたか」
「磨いたわよ」
「宿題やったか」
「やったに決まってるでしょ・・・」
と応答したあげくに
「結婚したか・・・」
と幻聴を聞いたり
「なんで結婚しろよって言ってくれなかったの」
とぼやいているような気がいたしました。
理想の配偶者にめぐり合わないと
妥協して結婚していた時代と
独身をつらぬいてしまう時代の
交差点・・・。
そして・・・さあ・・・どうするの?
このままでいいの?
と語りかけるドラマ。
まあ・・・救いは
この作者がいつもそこそこ
幸せな結末に着地するところでございましょうか。
狙い通りなら大ヒットしそうな感じです。
投稿: キッド | 2008年4月14日 (月) 21時29分
▯▯black rabbit▯▯シャブリ様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯
ふふふ・・・ねえ・・・
悪くないんですが・・・
なんか・・・もう少しサービスしてくれよっていうか
お店の女の子同志で盛り上がっている
場末のキャバクラみたいな感じが・・・。
たとえが・・・お下品でしたーっ。
ともかく・・・濃厚サービスの
荒井修子の入店に期待したいのでごさいます。
指名ができればいいのにーっ。
TBSが久しぶりの本格派だけに
落差激しいのも仇だな・・・と思います。
投稿: キッド | 2008年4月14日 (月) 21時33分
○-○)))テンメイ様、いらっしゃいませ。○-○)))
ふふふ・・・お笑いとミステリで貫地谷とも
なると切るのは至難のワザなのでございますよ。
そうでなくとも安めぐみのおっぱい大安売りドラマを
スルーパスしているのですから・・・。
本当なら安さ爆発でそちらをとりあげたいくらい。
テンメイ様のブログとの出会いも
この作者の「僕の歩く道」のレビュー
だったかもしれず
ああまた自転車なのか・・・
と思いました。
あの時は自閉症者のブログと思い違いを
したわけでございましたなあ・・・。
「ラスフレ」「アラ40」
と本格派の連打で
意外にブロガーに不評だった「アラ40」が
視聴率で優位に立つなど
ブロガーの深層心理的にも
なかなかに興味深い展開です。
まあ・・・ここの作者が
関西テレビワクから
離脱して・・・TBSでお店を拡げたというのも
面白いところなのですが・・・。
こういう時ってある意味、ギャラのランクアップが
からんだりしてます・・・。
まあ・・・作者としてははずせないところ。
キッドは渾身の一作を感じました。
少なくとも脚本的には。
演出はオーソドックスですが
役者がみんな大人で
しかも演技派そろいなので
まったく問題なく表現されているようです。
後は・・・作者が
おそらく投げつけてくる
「幸せなんて個人的なものでしょなんてウソでしょ」
というリアルな風を
主人公がどう吹かれ
どう自力で帆をふくらませていくか・・・。
ここにかかってくると思う。
安易にコメディーにしたら
大失敗しますからね。
この作者の笑いはかなりシニカルなもの・・・
だとキッドは考えていますから。
それにしてもCHNGEが始まるまでの
つなぎとしては・・・
なかなかにあなどれない・・・二つのドラマと
思いますですよ。
投稿: キッド | 2008年4月14日 (月) 21時51分