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2008年4月14日 (月)

嘉永六年は永かったが・・・嘉永七年はあっと言う間じゃのう・・・。(宮﨑あおい)

さあ・・・加速してまいりました・・・あれだけ長かった1853年が終った瞬間・・・ほぼ、1854年は一瞬で通過です。まあ・・・篤姫にとっては・・・穏やかに過ごした江戸の日々ということでございますから・・・。いいんですけどね。

さて・・・春ドラマがスタートして・・・ここまでを振り返ると・・・お茶の間の年齢層と・・・キャスティングの年齢層をめぐる工夫というものがそこはかとなく臭ってくる。

まず「無理な恋愛」はともに高めである。これで11.7%スタート。次に「ラストフレンズ」はともに低め。13.9%だ。そしてミドルに合わせた「アラ40」は15.7%なのである。その中で・・・「バッテリー」(*9.6%)は剛速球、「トップセールス」(*9.2%)はかなりの変化球である。

「トップセールス」は題材が70年代で・・・青春ではなく・・・青春の終わりからスタートするという新機軸なのである。もちろん・・・団塊の世代狙いなのだ。「無理な恋愛」とヒロインが同じというアクロバットであわせてみるとタイムスリップしているような気になる。現代編では売れ残り女優・・・70年代編では飛び込みでセールスマンになってしまう・・・夏川結衣なのである。キッドはなんとなくそうやって見ているとものすごく面白く感じる。今度は「無理な恋愛」がどう感じるか楽しみなのだ。

そういう意味で宮﨑あおいという若手ナンバーワン女優を使って・・・幕末という・・・この大河ドラマの23.7%はものすごく理にかなっていると思う。

年寄りは・・・若い者が好き・・・と昔から相場が決まっているからなのです。

で、『篤姫・第15回』(NHK総合080413PM8~)原作・宮尾登美子、脚本・田渕久美子、演出・岡田健を見た。例によってシナリオにそったレビューはikasama4様を推奨します。今回は調伏を真面目に考察してみよう研究付でございます。まあ・・・フィクション濃度の濃い今年の大河・・・チクチクしてもちょっと楽しい特集になっているようです。

Atuhime1854 で・・・なにしろ・・・本編が西郷吉之助を斉彬がお庭方(直属の陽忍)として採用という展開なので・・・しかも「忍びに忍び目付け(陰忍)をつけている」と斉彬がセリフとして言う展開。妄想の邪魔をしないでくれーっ・・・という気分になりました・・・。こうなっては・・・もう・・・真面目に妄想するしかないのでございます。ええ・・・もうみんな忍者ですからーっ。

さて・・・まず年号について。1854年は嘉永六年の暮れから嘉永七年の暮れまででかなりすっきりしていますが・・・1855年は嘉永七年が暮れに安政元年に変わり、そして安政二年の暮れまで続きます。つまり・・・嘉永七年・安政元年・安政二年が1855年に同居するわけです。とにかく・・・篤姫が江戸に来て1年・・・斉彬の病などはあっても平穏な日々がすぎていったわけです。

次に薩摩藩の江戸藩邸について。江戸は基本的には幕府直轄地ですから・・・土地は幕府から各藩に付与されていることになります。一方で町人の勃興による経済の拡大により・・・土地の権利に対する様々な金銭的もつれが生じている時代ですので・・・力のある藩はそれなりに私有地的な土地利用もしていました。薩摩は江戸と江戸近郊に藩の屋敷を複数(最大7~9)所有していたとされています。大名屋敷は江戸城との距離に従って上屋敷(最も近い)中屋敷下屋敷などとも呼称しますし、本邸(大名が居住)としての本屋敷、倉庫としての蔵屋敷など用途としての名称もあり・・・また住所としての芝屋敷、三田屋敷、高輪屋敷としての名称もあって紛らわしいのです。

ここでは・・・芝屋敷を上屋敷・・・斉彬が江戸城登場のために使うオフィス。三田屋敷を本屋敷・・・斉彬一家の住居と藩士のためのオフィス。田町屋敷を蔵屋敷(下屋敷)・・・藩士の住居と物資貯蔵庫。そして高輪屋敷を中屋敷・・・前藩主・斉興の隠居先と考えます。この他にも渋谷屋敷(当時としては江戸郊外の田舎)などがあり・・・火事などの災害の場合の避難施設となっていた・・・これなどを下屋敷としておきます。

で、西郷吉之助はくぐり衆(薩摩の忍び)から大抜擢されて斉彬直属の部下になるのです。しかし、その行動はまた別の集団に監視されています。つまり、斉彬は少なくとも二つの忍び衆をコントロールしているのです。ここでは便宜的に西郷くぐり、東郷くぐりと呼称します。

まず、薩摩藩主には公式な家来のルートがあります。薩摩においては小松くんが家老としてその頂点に立ち、江戸においては川上くんが江戸家老として仕切っています。

それに対して・・・西郷は下級武士として密命を受ける忍びになるのですが・・・そこで西郷は江戸くぐり衆の頭目になる・・・その西郷にも目付けが付く・・・別のくぐり組織(東郷くぐり)があるということです。

平和な社会とは階級社会であり・・・階級社会であれば監視社会である・・・という冷たい認識が浮かんできます。

同時に呪詛・調伏というある意味、スーパーナチュラルな手法を使わなくとも・・・幼い子供の命を奪うことは簡単に可能であったということです。

斉彬には知られただけでも11人の子供がありますが・・・天寿を全うしたのは側室・須磨の娘・典姫だけ・・・という不幸が続きます。幕末で英雄的な大名として名を残した斉彬の悲劇性はこれだけでも充分伝わるのです。

それが・・・すべて父親の愛人である・・・お由羅の陰謀というのはいかにも無理がありますが・・・久光との相続問題で揺れていた嘉永元年の次男・寛之助の夭折(四歳)には由羅が容疑者として浮上するのはやむを得ないでしょう。しかし・・・由羅もまた久光以外に一男一女を夭折で失っているのです。

英姫も男子一名を生んでいますが夭折・・・。そうなると他の子供たちは皆・・・庶子ということになり・・・正室の嫉妬という意味では・・・彼女もまた容疑者の一人になります。

須磨以外の三人の側室もみな・・・子供を夭折させていて・・・それぞれに動機はあるわけです。

また虎寿丸は近衛忠煕の娘との婚約が予定されており・・・それを好ましく思わない権力者の意向(朝廷側にも幕府内にもある)も関係してきます。

少なくとも・・・虎寿丸には英姫付の一橋根来衆、お由羅の飼う公儀隠密くずれ衆、斉昭の鹿島神道衆、反近衛の藤原の忍び、同盟者の福井藩の松平慶永の越前卍党・・・など・・・ものすごい数の忍びが群がっている。薩摩くぐり衆の必死の防戦虚しく暗殺された可能性は充分にあるのです。

そして・・・たとえ不審死だとしても・・・相続者の死はお家騒動(不祥事)につながることから病死として届けられるのが通例で・・・真実は闇の中なのでしょう。

徳川家康と伊達政宗の血を引く・・・島津斉彬の胸中にどのような復讐の炎が燃え上がったか・・・想像に難くない。

斉彬「仮病じゃ・・・吉之助・・・我はじっくり考えた・・・薩摩藩の世継ぎとして生まれ・・・育った我が・・・子さえ残せぬ・・・その原因はなにか・・・とな・・・我は・・・思い当たったのじゃ・・・この世は・・・腐り果てたのだと・・・吉之助・・・我は・・・いっそ・・・こんな世など滅びてしまえ・・・と呪いたい」

西郷「殿・・・お殿様・・・お労しか・・・お労しゅうございまする・・・じゃっどん」

斉彬「何も申すな・・・吉之助・・・愚痴じゃ・・・しかし・・・我の身に何かあれば・・・この思い・・・吉之助には哀れと・・・感ぜよ・・・我は命を捨てて回天の挙に出るのじゃ」

西郷「・・・」

一方・・・くぐり衆くのいち筆頭の幾島は高輪薩摩藩中屋敷の庭にいた。燈籠に浮かぶ合図の炎に一人佇むお由羅は闇を見据えて微笑む。

由羅「・・・藤田か・・・久しいの・・・三田の屋敷で分れて以来か・・・いくらか肥えたの」

幾島「お由羅様は・・・月日の流れもない様でござりまする」

由羅「忍びの化粧じゃ・・・あたいも老いたわさ・・・郁姫は残念じゃったの・・・」

幾島「近衛のお家に忘れ形見をお残しなれば・・・心慰められまする・・・」

由羅「ふふふ・・・上方で雅になったの・・・公家の味はいかがじゃった・・・」

幾島「殿方に上も下もございませぬ・・・」

由羅「・・・藤田・・・いや・・・幾島か・・・お主の今度の玉は・・・なかなか・・・面白そうじゃ」

幾島「・・・姫様にはくぐり衆総出で目を配りますゆえに・・・」

由羅「手出し無用と・・・この由羅に釘を刺しにまいったか・・・」

幾島「おそれいりましてございます・・・」

由羅「・・・ふふふ・・・敵は意外なところに潜んでいるもの・・・福井の坊主どもには気をつけることじゃ・・・」

幾島「・・・卍・・・」

由羅「・・・篤姫のご機嫌伺いの件は承知した・・・旦那も・・・叔父が姪に会うのに何の支障があろうと言ってるし・・・まあ、きっと・・・評判のお姫様で目の保養をしたいんだねえ・・・」

その頃・・・土佐の下忍・坂本龍馬は一時帰郷のために東海道を下っていたが・・・江ノ島では長州一の狂い忍者・吉田松陰が密航に失敗していたのである。

関連するキッドのブログ『第14回のレビュー

さて・・・『日本沈没』も堪能したのだが・・・明日・・・船越ミステリがつまらなかったら・・・語ることにしたい・・・。

火曜日に見る予定のテレビ『絶対彼氏』(フジテレビ)・・・ふふふ・・・火曜日今回はバラバラのスタートでうれしいよ・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

全50話で15話を終えてまだこの段階。
今後、加速装置が大活躍しそうな勢いです(笑)

まさか、このドラマがモロ
忍を採用してくるとは、このスタッフに
かなりの妄想マニアがおるのかもしれませんねぇ。

自分はお由羅が
呪詛なんてある訳ないと思うんですがねぇ。

「呪詛」という名の毒殺ならアリでしょうね(苦笑)


藤沢周平の「用心棒日月抄」を思い出しますねぇ。
国許と江戸での嗅足組の争い・・・シビレマス( ̄ー ̄)b
いつの時代もアンフェアな抗争があるって事で。

斉彬に関る人たちが次々に亡くなった事について

自分が考える容疑者としては篤姫もリストに挙がるんですけどね。

まぁどんな真実があったとしても
全ては忍によって闇の中に葬っていくんでしょうな。

投稿: ikasama4 | 2008年4月15日 (火) 08時22分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

そういえば広島でもキューティーハニーTLが
ようやく始まったとか・・・そちらでは
いかがですか?

明治140年・・・まだまだ地方格差はございますよね。

江戸と薩摩・・・同じ藩内でも
いざこざがあることは
藤沢文学で周知が行き届いており
きっとスタッフも
常識として・・・忍びを配置してしまうようです。

まあ・・・浪人とかの暮らしとは
ほど遠いお姫様生活にも
影の気配は忍びよります。

こんなに暗躍があって・・・
どうして生き延びる人がいるのか・・・
と素人の方は考えるわけですが
生き残るのは・・・手練れのみなのですよね。

西郷はどちらかといえば
影忍びには向かない体型ですから
・・・まあ・・・「サスケ」の大猿とか
例外はありますが
陽忍になったわけですよね。
しかし・・・手裏剣とかは
サクサクっとかわしたわけです。

斉彬も体力衰えるまでは
自分の身は自分で守れた。
・・・しかし・・・幼い子は・・・。
ということですね。

篤姫は伏魔殿の大奥に出陣して
無事に生還するわけですから
相当な使い手だったのでございましょう。

桜島や富士山に挨拶かかさないところから
山伏系の忍法使いであることは確実。
逆に呪詛は得意技だった可能性高しなので
ございます。

投稿: キッド | 2008年4月15日 (火) 20時30分

昨日の篤姫を待てばいいのですが、
ちょっと急ぐのでこちらに・・。
http://www.youtube.com/watch?v=MpDHWtGXkBc
幾島はやはり・・

投稿: シャブリぴょん | 2008年4月21日 (月) 09時33分

▯▯black rabbit▯▯シャブリ様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯

ふふふ・・・ちりとてちん一座
なんでもできます展開ですね。

それにしてもやはりおタク度の高さと
ちりとてちん愛好度は比例すると・・・。

こういうお遊びを見ていると思いますです。

ふふふ、順ちゃんは
どうしても無敵キャラになるのですねえ。

キッドとしては
ちりとてちんのだめ
ちりとてちん華麗なる一族
実写版ガンダムちりとてちん
とかも・・・やってくれないかと
思っています。

投稿: キッド | 2008年4月23日 (水) 02時03分

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