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2008年5月 1日 (木)

いつでも私に言うだけ言わせて知らん顔ですか。(上戸彩)

・・・ううん・・・なんだか可哀想である。イメージチェンジが裏と出ているのかなあ・・・。

上戸彩に対する世間の目というものは・・・結局・・・イメージ戦略で作り上げられたもの・・・。特に視聴率が良かったのは・・・「エースをねらえ」や「アタック№1」そして「アテンションプリーズ」である。これは基本的に70年代スポ根もの実写化やリメイクだった。そして明るさが売り物のCMの数々である。こうなると「ひたむきで明るい」というイメージになる。

しかし・・・100人斬りの「あずみ」や性同一性障害の「金八先生」のように・・・キワモノも演じていてそれなりに評価されているのである。

・・・ここが難しいところなんだよなあ・・・。

とにかく・・・視聴率は①*8.8% ②↗*9.3% ③↘*7.4%・・・という推移である。

キッドのイメージ通りだと・・・視聴率はもっと悪くなるかもしれないが・・・とにかく・・・百恵の色はますます濃密になってきた・・・。もう少し・・・抑制されたひたむきさ・・・を真似ればかなり・・・痺れる感じになると考える。それがお茶の間向きではない・・・とも言えるけど。

で、『ホカベン・第三回』(日本テレビ080430PM8~)原作・中嶋博行、脚本・浜田秀哉、演出・池田健司を見た。無言の灯はかなり「美・サイレント」なのである。はっきり言って上戸彩は非常に魅力的だ・・・。問題は・・・話の内容が・・・伝わりきれていないところかな・・・。もちろん・・・ドラマとしては・・・充分な内容があるのだが・・・どことなく・・・高飛車なのだと思う。

まず・・・ざっと三つの要素が同時進行している。

①灯(上戸)の案件・・・少年の犯した傷害致死事件の被害者遺族の弁護である。この中でも・・・無反省の加害者・・・遺族の復讐感情・・・遺族の生活の困窮・・・など様々な問題が派生している。

②顧問弁護士契約の更新にともなうスター弁護士(りょう)の暗躍・・・企業に対するクレーマーを使った企業への恫喝・・・非情のビジネスである。

③杉崎(北村一輝)の過去の事件・・・杉崎の現在の状況を生み出したらしい首吊り死体の挿入・・・例によって思わせぶりである。

もちろん・・・これらは関連しあって・・・ラストの・・・やるせない灯の演技に流れこむのだが・・・要するにお茶の間はメモをとりながら見ていないので・・・なんだか・・・散漫な印象を受けるのだなあ・・・きっと。

まず・・・大前提として・・・この世は不条理だという問題がある。

午前中にすごくいい人が・・・午後には極悪人になっていることもあるし・・・予防接種でウイルスに感染したり・・・ガソリンが高くなったり安くなったり・・・バターがなくなったりニンジンが廃棄されたり・・・もう・・・一筋縄ではいかない怪奇が世の中の普通の姿なのである。

そういうことから目をそむけて・・・司法試験に合格した新人弁護士・灯のお話しなのである。これは相当にキャラを作りこまないと・・・演じきれない役である。

だから・・・一つ一つのネタが灯に向って流れ込まないと・・・なかなか理解は得られないだろう。

たとえば「私たちの教科書」はワンクール使って「いじめ自殺」というたったひとつの問題をそれでも描ききれなかったのである。

それを・・・「ホカベン」は・・・もう・・・タイトルからして・・・間違っている感じ?

少年が中年男性を衆人環視の中で殺害し・・・逮捕される。被害者には妻(鈴木砂羽)と幼い子供がいて・・・妻は加害者の少年の実刑を希望する。それが今回の灯のクライアントである。

一方・・・加害者少年の弁護士はさっそく・・・遺族に宛てた謝罪文を少年に口述筆記させる。「こんなの書いてなんか役に立つのかよ・・・」と少年には反省の色がないと描写される。そして・・・加害者の母(朝加真由美)は被害者の妻に1000万円で示談を申し出る・・・。

夫を殺された妻は激しく・・・拒絶・・・。人を殺した人間には刑事罰を与えてほしい・・・と灯に訴える・・・またしても・・・新人弁護士の手にはあまりそうな・・・案件である。

そして・・・上司の杉崎はまたもや放任である。もちろん・・・最低限のアドバイスはするのだが・・・明らかに・・・灯を間違った方向に誘導している。このあたりが・・・わざとらしすぎて・・・視聴者を脱落させる一因だな・・・。

「少年法があるから・・・刑事罰を与えるのは難しいよ・・・」と噛んで含めるように指導しても灯が若さゆえの暴走をする・・・失敗・・・という図式の方が分りやすいです。

もちろん・・・灯は前回の試練を乗り越えたので・・・些少は成長している。しかし・・・被害者遺族の感情的な言動にふりまわされ・・・法の限界という全体像を見損なうのである。

これは・・・結末の見えない素人に対して予測のできる玄人という立場からは問題外である。なにしろ・・・ビジネスなのだ。

法律を使ったゲームなのである。もちろん・・・ギャンブル性もあるのだが・・・「最高得点をあげること」よりも「失点をいかに抑えるか」がキーポイントになるわけだ。

つまり・・・裁判沙汰においては加害者も被害者もすでにマイナスの立場なのである。

被害者はすでに被害を受けている(今回の場合は死亡)・・・もちろん加害者は罪を償う必要がある・・・事件外の人々の視点ではどちらもすでに敗者なのである。

弁護士は両者の間にたって・・・損失を補填しあうわけだ。被害者は勝利してもプラスになるわけではない。まして加害者はさらにマイナスになっていくのである。

「人の命はお金では買えない」という幻想は最初から適合しないのだが・・・灯はまずそこでつまずいてしまうのである。

「示談金を拒否し・・・刑事罰を望んだ」被害者の望むままに灯は手続きを行うが・・・結局・・・前例に沿って・・・保護処分が妥当という結論に至る・・・限りなく無罪放免に近い処分・・・。

一方・・・稼ぎ手を失った被害者遺族の家計は火の車となり・・・このままでは・・・家も生活も破綻しそうな事態に・・・。切羽詰った被害者の妻は・・・損害賠償請求に目標を切り替えるしかなくなってしまう・・・。

しかし・・・罪が罪でなくなった以上・・・賠償には応じられないと手のひらを返す加害者の母・・・。

こうして・・・灯は今回も困り果てました・・・。

そこで・・・上司に救難信号発信です・・・。「不正に対する・・・怒りはないのですか・・・」と直訴する灯・・・。ここが・・・つらいんだよなあ・・・そういう問題じゃないから・・・。

しかし・・・杉崎も「あるよ」と応じるのである。・・・だったら最初から・・・方策たてて・・・指導するべきじゃないのか・・・下請け企業にまる投げしてただろう・・・あんた・・・。

しかも・・・そのアドバイスが・・・加害者の母の何気ない一言「少年院送りにならなかったのだから・・・」を指摘するだけなのである。そして・・・後は裁判のお楽しみなのだな。

前回も書いたが・・・これは作劇の問題なのである・・・裁判のシーンでお茶の間をあっといわせるためのテクニックなのだが・・・実は・・・少年は過去に傷害事件を起していて・・・保護観察処分になっていて・・・身元引受人が加害者の母だった・・・という証拠が隠し玉として提出されるのである。・・・そこが不自然なのだよな・・・。

その証拠を得るまでの・・・段階を踏んだ描写がないため・・・お茶の間はキツネにつままれてしまうのである。

すごい・・・逆転があった・・・ということだけしか・・・伝わらないのである。

これは・・・問題少年を持ってしまった母親に全面的に罪をかぶせる・・・灯の母親に代表されるお茶の間の意見の代弁である。もちろん・・・朝加真由美は指導力も監督力もない・・・無能な母親であり・・・印象的には本人も邪悪な気配を漂わせるのであるが・・・さすがの演技力で・・・それ以上に・・・問題児に疲労困憊した・・・もう一人の被害者を匂わせている。もう少し・・・ここに焦点をあわせれば・・・最後のシーンの重みはさらに深まっただろう・・・。何も・・・訳知り顔の杉崎が「重み」をセリフで強調しなくてもいいのである。

被害者遺族の生活を守るために・・・損害賠償金を受領しにきた・・・灯・・・そこには家を売却し・・・それでも賠償金を準備しきれなかった無惨な加害者の母親が待っていた・・・。

「結局・・・金なんだろう・・・」

撒き散らされた札束を・・・無言で拾い上げる灯の・・・心に虚無の風が吹き渡る・・・せつなくもやるせない苦い勝利・・・。その虚ろな瞳の灯は現実をじゃりじゃりとかみしめているのである。ものすごい名作ラストなのに・・・あと一歩だったのだなあ・・・。

ここは・・・泣いてもいいんだよなあ・・・。

動かない大きな目が泣いているみたい・・・悲しいわ・・・。

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金曜日に見る予定のテレビ『パズル』(テレビ朝日)『Around40・注文の多い女たち』(TBSテレビ)『キミ犯人じゃないよね?』(テレビ朝日)『秘書のカガミ』(テレビ東京)・・・・・・・・絞るけどね・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

少年法で裁けないからと、問題が少年から母へとすり替わっていたんですね。
巧みでしたね。
逆転劇が面白いのでついついハマってしまいますが、
この少年の事件はどこにも救いがないです。
罪に問われることがなく社会に放せば猛獣と化し、
家庭においては親に負担ばかり。
結局金で始末なのね。
エムザ自体が金で動く企業なわけで灯が金を得たことで勝利としてますが、実際の話、どこに勝利があるんだか。
とりあえず、一つの命が消えて灯の尽力で家が残ったという話でした。
そうかあ、ラストは泣いてもよかったですね。
まずは頑張ったのね、灯は。
うん、百恵ちゃんに似てきたかも。

投稿: エリ | 2008年5月 1日 (木) 15時03分

なんか上戸さん演じる弁護士の正義感が
どうも浮いてますかねぇ。

彼女自身が救難信号発信してる感じです(苦笑)


被害者の遺族の心境
加害者の母親の心境

そこにある少年法とその法律が抱える矛盾
そこに向き合う弁護士の思い

結構見応えがあったんですが

全体的に見るとなんか物足りなさがあります。


この問題に対して言いたい事が
多すぎたのかもしれませんね。

個人的にこのドラマのタイトルは
「黒い衝撃」とか「弁護師」ってのを
考えてみたんですがいかがでしょう(笑)

投稿: ikasama4 | 2008年5月 2日 (金) 20時02分

✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿ribbon

いつもながら・・・お嬢様の的確で
向上心あふれる番組チョイスに
じいや感激でございます。

「私教」に続いて
ドラマとしてはテーマも完成度も
素晴らしいのに視聴率が苦戦・・・。
ここがテレビドラマの面白いところです。

最近では
「ニコロボ」とか
「鹿男」とか
なぜなんだろう・・・
と腑に落ちない番組は多いのですが
そういうものこそ分析のしがいが
ございます。

まあ・・・「歌姫」とか
「4姉妹」とか当然の数字と思うものもあって
・・・好みの違いかもしれない・・・
ということを常に念頭においておりますが・・・。

今回など・・・中々の浪花節で・・・
ラストの灯(上戸)の
痛々しさなどは・・・
もしも自分のお預かりするお嬢様だったらと
想像すると・・・。
裁判所も取引銀行も
おとりつぶしにするべきだ・・・
とじいや憤慨しましたぞ・・・。

お嬢様の心に虚無の風を
吹かせるなんて・・・
いや・・・灯は庶民なので
いたしかたないのでしたな・・・。
そういう点で・・・上戸には
現代のちょっと明るい百恵に
なってもらいたい・・・じいやなのです。

オスカープロもタレント展開・・・
・・・もうひとひねりなんだけどな・・・。

投稿: キッド | 2008年5月 3日 (土) 03時27分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥pencil

まあ・・・この脚本監修の人の
ドラマがいつも抱える問題点なのですが・・・
主役がちょっとバカに見えてくるのですよね・・・。
かわいいバカでなくて
ちょっとイライラするバカ・・・。
どうしても・・・書き手のキャラが
反映してしまうものなのですな。

しかし・・・原作の持つ・・・
本当らしさが・・・
それをスン止めで支えているというのが
現状でしょうか。

女タレ芸能プロとしては「第二の百恵」は
常に宿題・・・。

もう雨後のタケノコの如く・・・
百恵二世候補はいるのですが・・・
その中でもキッドは
上戸が一番・・・近いと考えています。

しかし・・・百恵を越えるためには
まず百恵と肩を並べる必要があり
そのためには模倣も必要。
それはしかるべく。

キッドは百恵の本質は
「静かに燃える情念」
だと思います。
それは「口下手だけど口に出すからには心を射抜く」
というセリフ発声の味です。

そういう意味では
上戸はまだ一本調子で叫びすぎるのですね。

ささやくように叫び
叫ぶようにささやく・・・。
これは真似るしかないのです。

そして・・・泣くべきところは
間を効かせて泣く。
これは脚本と演出にも意図が必要なので
上戸の問題だけではないのですが・・・
もう少しで「百恵」を掴みそうだ・・・
とキッドは予感しています。
しかし・・・そうなると
結婚引退してしまう可能性がありますけど・・・。

ふふふ・・いい感じですね。
キッドは「赤ベン」でもよかったと思います。
赤子のような弁護士だから・・・。

投稿: キッド | 2008年5月 3日 (土) 03時43分

>赤ベン
あはは、じいや、すっごーいgood
私もこれは「痛い」弁護士ものだと思っています。
かなり灯の”おばか”さにイラつきます。
だから同室の二人が放っとく?これが、タッグを組めば
また違う楽しみになるのにね。

投稿: mari | 2008年5月 3日 (土) 12時02分

❁~✾~❁~~✾mari様、いらっしゃいませ✾~~❁~✾~❁tulip

泣いて泣いて泣くけど
挫けずに弁護士として成長していく・・・。
そういう「赤ちゃん弁護士」
というコンセプトでよかったような気がします。

上司とパラリーガルの二人は
パパとママで
手がかかるけれど
可愛いので夜泣きに耐える・・・
という構造で・・・。

まあ・・・原作つきなので
文句もいえないのですが・・・
じいや・・・
このタイトルが下品で
好きになれません・・・。
ホカホカのベン・・・って・・・。
こんもりしていそうで
ございますよ・・・。

投稿: キッド | 2008年5月 4日 (日) 02時32分

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