罪状は何ですか?(風間杜夫)VS好きな女の夫に暴行・・・傷害罪(筒井道隆)VS演技に定評がある(升毅)
・・・困った。今回は・・・主役の女性陣はともかく・・・「パズル」も「キミ犯人」もはずす理由がない。特に・・・「パズル」は銀ちゃんにもってかれてるし・・・「キミ犯人」は取調べ室のささやき刑事(升)と太宰刑事(渡辺いっけい)の脱線コントは秀逸。
それに対し・・・「アラ40」は女性を甘やかす・・・癒すといってもいいけど・・・ためなら何でもありの低温浴ドラマと化したのである。
・・・しょうがないなあ・・・もう・・・三本立てで・・・。
で、『パズル・第7話』(テレビ朝日080530PM9~)脚本・蒔田光治、演出・高橋伸之を見た。今回は「~と必ず死ぬ~」シリーズである。で・・・メインとなるのが「聴くと必ず死ぬ落語」・・・演ずるのは今昔亭三之助(風間)である。
前フリとして「聞くと必ず死ぬ(カセット)テープ」 が登場し・・・美沙子先生(石原さとみ)は大道先生(金児憲史)からインチキな鑑定料を巻き上げる。
耳を塞いだ美沙子の前で男子三人組(山本裕典・木村了・永山絢斗)が聞かされたのは・・・「この話を聞いたものは100年以内に必ず死ぬ」・・・という古典的なジョークだった。
さて・・・今昔亭に伝わる財宝の在り処を示した秘伝の演目を師匠から伝授された三之助がお披露目の席を開くことになり・・・ちょい悪女子高校生・ゆうこ(岩田さゆり)の誘いで三人組と美沙子はこの落語会に出席することになる。
こうして・・・始まった落語会・・・実は・・・先代師匠を兄弟弟子に殺された・・・三之助の復讐の舞台だったのである。
もう・・・三之助が素晴らしく・・・色気むんむんの落語家なのである。「聴くと死ぬ落語を聴いたのになぜ三之助さんは生きていらっしゃるの?」と聞く美沙子に・・・「そいつはいい質問だ」・・・と返す三之助・・・。この時の間といい・・・気迫といい・・・銀ちゃんである。ちなみに風間は春風亭小朝の企画などで・・・実際に寄席で落語を披露しているほどの腕前なのである。・・・何でもできるな・・・さすがは戦争で死ねなかったお父さんのために戦後の民主主義を背負って立つディープ山崎である。壇の浦夜枕合戦記で平家の美女たちをすくい上げ幽閉してラブコールの義経である。ああ・・・杜夫・・・怪物だよ・・・杜夫。
もう・・・劇中落語を聴き・・・芸の力で兄弟弟子たちをコントロールし・・・自分の手を汚さずに・・・完全犯罪で・・・復讐を遂げる・・・狂気の落語家を演じきりました。
罪と言えば・・・観客たちを密室に閉じ込めた拉致監禁であるが・・・「呪いのかかった落語ということで・・・大事をとった・・・」という善意によるものと釈明すれば・・・不起訴は確実であろう。
つまり・・・「三人殺してお咎めなし」なのである。
犯罪者の勝利エンドなのだ。美沙子は「真犯人はお前だ」と凄い目で・・・三之助を睨む(もちろん・・・正義の心ではなくお宝入手失敗の怨みをこめてな)のだが・・・それもポーカーフェイスで交わし・・・飄々と任意出頭に応じる三之助。
シリーズ化してください・・・知能犯・三之助VS守銭奴・美沙子・・・続きが気になるぞ~。
だって・・・銀ちゃんがぁ~、もっと見たいのです。
で、『Around40~スイーツの注文の多いオンナたち・第8回』(TBSテレビ080530PM10~)脚本・橋部敦子、演出・吉田健を見た。たとえば・・・脚本家の得意な展開というものがある。『バズル』の蒔田は・・・「正当な殺意を認め・・・逮捕されない真犯人」を登場させ「必ず逮捕される犯人」という「お約束」を覆すことがある・・・。変形として「名医を逮捕させ患者を殺す」とか「占いなんて信じる方がバカ」とか・・・そういう善意を悪意が上回る矛盾をついた展開がある。これは・・・ちょっとひねくれたファンにはたまらない味だ。
『猟奇的な彼女』の坂元は「彼女の失恋相手は実は不治の病」がお好きである。『私たちの教科書』ではヒロインの離婚した夫が実は早期認知症を発症していて「キミを幸せにできないからキライになったフリをした・・・」に愛着があるのである。
他にも必ず脚本の辻褄合わせの出来が悪い『ホカベン』の秦とか・・・う、撃たないでぇ~・・・など・・・つい・・・いつもの手を使ってしまうクセみたいなものがある。
橋部の場合・・・男の家庭環境に問題があり・・・愛を上手く表現できない場合・・・父親が仕事人間で・・・家父長的態度によるトラウマは・・・定番なのだな。
しつこいようだが・・・『僕と彼女と彼女の生きる道』を例にとる・・・美山加恋が・・・父と祖父による・・・女性抑圧の歴史に苦しむ犠牲者・・・という構図である。
ま・・・それが・・・味であり・・・傑作も生れるのであるが・・・今回はしつこすぎて・・・ちょっとお腹がもたれました。
①瑞恵(松下由樹)の夫との諍い・・・夫は仕事一筋で・・・妻をいたわらず・・・瑞恵にとっての義母の母の日を忘れたとクレームをつける・・・どうしようもなく悪い夫である。もちろん・・・瑞恵もちょっとバカだが・・・悪いのはとにかく女性を大切にしない男だ。
②奈央(大塚寧々)と夫との不仲・・・夫は仕事一筋で・・・家庭に仕事を持ち込むくせに・・・職場にブライベートは持ち込ませない。妻に横恋慕した男に職場に乗りこまれ殴られても仕方のない男なのである。だって子作り計画に参加しないなんて夫として最低でしょう。奈央もちょっとわがままだけど・・・悪いのはそれを可愛いと思わない男だ。
③聡子(天海祐希)の彼氏(藤木直人)が結婚しない理由・・・とにかく・・・彼氏の父親が高圧的で・・・威厳があって・・・教育に厳しい父親だった・・・これが一番いけない。子供を甘やかさない男親なんていつも最悪。特に・・・女児よりも男児を優先的に指導する父親なんて死ねばいいのよ・・・卒倒して・・・中気になって・・・字がブルブル・・・ふふん・・・いい気味だわ・・・自業自得よ・・・だって悪いのは全部男なんですもん。
・・・なのである。はいはい・・・わかりましたよ。ついでに・・・いえば・・・聡子も彼氏の姉(片桐はいり)も・・・働き者の父親の犠牲になった哀れな長女・・・まさに・・・男に生れてごめんなさい・・・の展開である。まさに回を追うごとに甘いデザートが追加発注されているようなのだ。・・・虫歯になりそうである。
まあ・・・そこがいい・・・のだとしても。
で、『キミ犯人じゃないよね?・第8回』(テレビ朝日080530PM1115~)脚本・林誠人、演出・都築淳一を見た。犯人は「別に犯罪がバレたわけじゃないけど・・・占い師としてのタレント活動に限界を感じたのでもう犯人でいいや」の小百合(梅宮万紗子)である。
これはミステリとしては・・・最低の展開だが・・・もう・・・そういうジャンルではないからな。
で・・・劇中劇『ささやき刑事』の主役で準レギュラー・藤村寛平(升)が小百合の工作によって殺人の嫌疑をかけられ・・・レギュラーの太宰刑事(渡辺)に取調べられることになる。
太宰「あなたのロッカーから・・・凶器が見つかった・・・」
藤村「私が犯人でないことは・・・少なくとも二人の人間が知っています」
太宰「それは・・・どなたですか・・・」
藤村「まず・・・一人目は・・・私・・・」
太宰「ほう・・・では・・・もう一人はどなたですか・・・」
藤村「もちろん・・・真犯人です・・・」
太宰「なるほど・・・しかし・・・本当に二人は・・・別の人間でしょうか・・・同一人物だったりして・・・二人じゃなくて・・・一人だったりして・・・つまり犯人はあなただったりして・・・」
藤村「うん・・・あなたはいい刑事だ・・・演技に幅がある」
太宰「わーい・・・褒められたー」
・・・とノリノリになっていく二人。
ま・・・その他の部分に興味がある人はコチラへ→お気楽様のキミ犯人じゃないよね?
ちなみに・・・劇中ワイドショーのレポーター・小川(金子さやか)、司会・青井(中沢純子)・・・ともにフジテレビのビジュアルクイーンである。ついでに言うと犯人は「アラ40」の恵太郎の元カノで・・・梅宮アンナの従妹である。
ミエール・カルダン・・・ミエール・サンドロヴィッチ・・・ロベスミエール・・・ムッシュ・ミエールなどというが・・・意味は不明である。ピエール瀧・・・いや・・・ミエール瀧はなかった。ルノワールもな。
ついでに今回のささやき刑事のお相手・平野由希は元・ミニスカポリス(13代目)で、同期には松嶋初音がいる。
関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『コードギアスR2』(TBSテレビ)・『篤姫』『サラリーマンNEOシーズン3』(NHK総合)『猟奇的な彼女』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
おはようございますあれ、ダメでしたか♪
僕は面白かったですよ。女性向けの超甘口だけど。
奈央が可愛く見えたし☆
ほぅ、『僕と彼女』もそうだったんですか。
そんなに父の抑圧がお腹にもたれました?
僕はあっさり軽めの描写に感じましたよ。
片桐はいりの長い台詞はちょっともたれたけど。
瑞恵の旦那って、そんなに悪く感じましたか。
僕はどっちもどっちに近く見えましたけどね。
瑞恵はやる事やってないし、約束も守ってないから。
それに対して、奈央の旦那は極端でしょう。
この後、どうするんだろって感じ。離婚ってのもね。
マーくんはしめしめって感じだろうけど、ベタ過ぎ。
父親をそう受け止めましたか。
まあ、僕の考えはウチの記事でってことで。
今回は久々に、切ろうって気が失せました♪
投稿: テンメイ | 2008年6月 2日 (月) 11時02分
○-○)))テンメイ様、いらっしゃいませ。○-○)))
ふふふ・・・悪魔的にはちっともダメではないのですが
「ラスフレ」担当になっておりますので・・・。
それと今回は「パズル」に風間杜夫という
キッドにとって大の贔屓役者が
登場したので・・・しかも怪演!
どうしても配分的に
「アラ40」の分が悪い感じです。
キッドとしては
人間として壊れた主人公の再生
というテーマで
いつもは男性主役を女性で・・・
というところに注目していたのですが
この作者はどうしても
女性を壊すことに抵抗があるらしく・・・
脇役の男性陣が軒並み壊れています。
二人の担当する患者も
男性の占める割合・・・圧倒的でございますでしょう。
心の病は本来・・・女性の特権・・・
なにしろ・・・男のヒステリーは
みっともない・・・という決まり文句があったほどに
ヒステリーは女性のものなのに・・・。
もちろん・・・奈央や瑞恵はそこそこ壊れているが
あくまで被害者というイメージ。
キッドはラスフレで
職場の先輩はDV加害者が望ましいと
考えているので
瑞恵が夫や子供に暴力を振るい始める
くらいの「アラ40」を見たいのです。
まあ・・・無理な望みなんですけどねーっ。
投稿: キッド | 2008年6月 4日 (水) 07時00分