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2008年6月 2日 (月)

心のままに生きよ・・・やがて尽きる命ならばこそ。(宮﨑あおい)

阿部ちゃんが・・・阿部ちゃんが死んじゃう・・・全国の一部愛好家の願いも虚しく・・・死亡フラグ立ちまくりの老中・阿部正弘(草刈正雄)は史実通りに逝去したのだった。

老中生活14年・・・老中首座として10年・・・である。ちなみに・・・阿部が老中となったのは1943年・・・アヘン戦争で清国が英国に敗れ・・・植民地化が本格化した翌年である。当時の超大国である清帝国が・・・はるかな遠国に敗れ・・・香港を割譲する・・・。

日本の心あるものは震撼したのである。

二の舞になってはならぬ・・・と冷や汗をかいたのである。

しかし・・・心無いものは・・・結局・・・権力闘争に明け暮れたのだった。

ゆっくりと・・・幕末の騒乱は幕を開き始めていた。老中・阿部の死は・・・まさに風雲急を告げ・・・試合開始のゴングとなったのだった。

で、『篤姫・第22回』(NHK総合080601PM8~)原作・宮尾登美子、脚本・田渕久美子、演出・堀切園健太郎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は幕末老中在籍期間早見表付。1841年から1860年までの幕府老中が一目で分るすぐれものです。さらに・・・権力闘争の相関図特集。将軍継承問題における一ツ橋派と紀州派・・・外交問題における尊皇攘夷派と開国派が入り乱れる人間模様の理解にはうってつけでございます。親藩・譜代・外様が入り乱れ・・・老中と大奥がせめぎあう・・・複雑な人間関係・・・ここに倒幕派と佐幕派が発生すると・・・もう何が何やらになっていく・・・幕末の混迷を復習したい方はぜひ・・・ご一読を。

Atuhime1857b で、今回は当然のことながら・・・幕末の隠れた英雄とも言うべき・・・阿部侍従正弘の最後を妄想してまいります。安政四年の夏・・・江戸・辰の口・阿部屋敷。城から戻った老中・阿部は・・・奥の間に篭っていた。冬に引いた風邪の気が春になっても抜けず・・・体がたえず熱っぽい。気がつけば・・・梅雨もあける気配である。・・・何か・・・悪い病にかかったかもしれぬな・・・と阿部は思う。まだ・・・四十前だというのに・・・疲れが抜けぬ・・・しかし・・・もう何年も・・・体を休めておらぬからな・・・疲れが溜まりに溜まっておるのかもしれぬ・・・。

異国の脅威とともに・・・始まった・・・阿部の老中生活であった。そして・・・その脅威は減ずるどころか・・・ますます増幅してきたのだった・・・ロシアが・・・イギリスが・・・そしてアメリカが・・・虎視眈々と・・・日本を狙っているのである。それに加えて・・・将軍の継承問題があった。家慶から家定も難儀だったが・・・その家定の後継者についてはさらに困難があるのである。・・・疲れた・・・と阿部は思わず口に出しそうになった。・・・その時・・・風が動いた。書見のための灯明が揺らぐ。

部屋の暗がりに・・・忍びのものが控えている。

「・・・麟太郎か・・・」

忍びのものは旗本勝家の養子である。文武において才能を見せ・・・西洋兵学を研究していたために・・・阿部が目を留めたのだった。科学忍者・佐久間象山との親交があり・・・阿部が使うにはやや危険な部類に属するものだったが・・・そういうものをあえて使うところが・・・阿部の懐の広さなのだ。

「神戸より・・・戻りましてございます・・・」

阿部は素早く勝麟太郎の来意を見抜く。

「清国の情勢じゃな・・・」

「御意・・・草よりの報せを吟味しましたので・・・お耳にいれようと・・・」

「東海道を駆けたか・・・で・・・どうなのじゃ」

「この冬に始まりました・・・英国と仏国の・・・清国への高圧的な態度はすでに・・・戦へと発展しております・・・」

「やはりな・・・華北や・・・広西での賊徒の動き・・・裏には欧米の手引きありしと思うていたが・・・」

「英国は広州を艦隊により砲撃・・・仏国もナポレオンⅢ世がこれに同調せし模様・・・。英仏両艦隊は・・・沿岸部を中心に・・・各地で威嚇の砲撃を加えております。おそらく・・・上海、天津と歩を進め・・・北京を陥落せしめる意図ありかと・・・。早ければ・・・来年にも北京は侵略を許すことになろうかと・・・」

阿部は脳裏に・・・清で荒れ狂う欧米列強の・・・近代兵器の・・・猛威を思い浮かべる。

「アヘン戦争の再来じゃな・・・つまり・・・欧米列強の欲望に限りはないということか」

「弱みを見せれば・・・どこまでもつけこんでくる・・・輩と存じまする」

阿部はふっと顔を歪めた。

「ふふふ・・・そういうことは洋の東西を問わぬがな・・・。麟太郎・・・科学忍法の時代が迫っておる・・・異国とつきあいつつ・・・異国から盗まねばならぬ・・・神戸のこと・・・頼んだぞ・・・」

「御意にござりまする・・・しかし・・・まだまだ時がかかりまする」

「ふふふ・・・その時間は稼いでみせる・・・鬼のような異人たち・・・愚かな大名たち・・・もの知らぬ公家たち・・・なかなかに・・・手ごわいがのう・・・なに・・・これまでも・・・なんとかやってきたけん・・・やるしかないんじゃ・・・」

「阿部様・・・お顔の色が優れぬようですが・・・医師を・・・」

「ふふふ・・・医師など・・・危なくて・・・呼べんもんね・・・自分の体のことはわかっとるもんね・・・ぐふ・・・」

「阿部様・・・む・・・春花の術か・・・」

阿部を介抱しつつ・・・勝は忍び笛を鳴らした・・・。

しかし・・・すでに・・・屋敷内では・・・忍びと忍びの暗闘が始まっていた。

阿部家には影の流れとして・・・安倍晴明の陰陽師系忍びが付属している。京都の土御門とは反目する・・・裏安倍家なのである。それは阿部が科学忍法を受け入れる土壌なのだった。そして・・・その武装は短筒であった。

忍び筒(消音器)を備えた・・・短筒を構え裏陰陽師たちは襲撃者に対して・・・発砲を繰り返す。しかし・・・襲撃者たちの体術はその予想をはるかに越えた速力にあった。

「・・・弾丸より・・・速いのか?」

裏陰陽師たちは来襲者が春花の術によって・・・感覚を鈍化させる麻薬を周囲に散布していることに気がつく。

「ちっ・・・術に落ちたか・・・」

しかし・・・裏陰陽師たちも薬物は得意分野である・・・それぞれが秘薬によって対処する。ついに銃弾が・・・敵をとらえた・・・しかし・・・。

「む・・・赤い鉄甲か・・・彦根の赤忍者・・・」

鎧を着込んだ赤忍者と裏陰陽師たちは肉弾戦に突入した・・・その乱戦に勝麟太郎が参戦する・・・勝は直心影流の奥義で連弾短筒射撃をする。鎧の隙間の急所を射抜かれ次々に倒れ伏す・・・赤忍者たち・・・。

勝は思わずつぶやく・・・「バカ野郎・・・お国の一大事に・・・てえげえにしやがれえ」

その時・・・黒い風が阿部の部屋に突入する。黒猫・・・もちろん忍び猫である。その口から無数の針が噴出される・・・刹那・・・阿部の体の前に新たな黒い影が出現する。影は阿部を針の嵐から守りつつ・・・黒猫を襲撃する・・・獣たちの交錯・・・黒猫の屍骸を咥え・・・立ち上がったとき・・・すでに全身ハリネズミとなった忍びの犬・・・獅子丸は針の毒が回り・・・絶命していた・・・。

「・・・篤姫様の・・・忍犬か・・・おかげで・・・しばらくは・・・寿命がのびたようじゃ・・・ほんのしばらくじゃがの・・・」

阿部は解毒剤を飲みつつ・・・何割かは刺さった毒針を静かに抜き始めた。体にはゆっくりと毒の回る気配がある。

「ふふふ・・・愚かよ・・・愚かなことよ・・・」

阿部は誰にともなく囁いた。

関連するキッドのブログ『第21回のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『絶対彼氏』(フジテレビ)『おせん』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

今回は速攻ですね( ̄ー ̄)b

この事態を乗り切るためには
優秀な人材を積極的に用いなければならないとして
阿部ちゃんが遺した
水戸を筆頭に尾張、薩摩、土佐、宇和島等々
本来ならば幕府の政治に関与できない外様・御三家等の野党の面々

一方、そのような今までの政治を壊す事に反発する
従来より政治を掌握してきた譜代ら与党の面々

まぁ国のためを思ってる人もいれば
現状の状態を壊したくないという人もいるだろうし
新たな欲を望んでいる人もいるだろうし
その結果、その場その場によって状況が変わっていく。

有体に言えば
いつの時代も握った権力は手放したくないようです(笑)


ちなみに1860年で老中任期を打ち止めしたのは
これ以降の任期がほぼ1、2年単位でコロコロと変わるためです。
それだけ国が混沌としてた証拠でもあるんでしょうけど。

今回の慶喜はビックリするくらいかなり黒いです。

消臭フラグをつけても、あの不気味さは消えんです(; ̄∀ ̄)

「私にそのような事は出来ませぬ」とか言って
そしらぬ顔で水戸藩士を煽動して自分の邪魔をする人物は
バンバン削除していそうです(苦笑)


P.S.
忍犬・獅子丸お悔み申し上げます(-人-)ナムー

投稿: ikasama4 | 2008年6月 2日 (月) 08時22分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

CHANGE体制があるので
篤姫をなんとか・・・早目にアップしたいのですが
結局・・・CHANGEは水曜日までずれこみました。

幕末の主役たちには
それぞれ趣きがあって・・・
誰もが善玉にもなれるし
誰もが悪役にもなれます。

もちろん・・・普通の人間としても
魅力的です。

しかし・・・舞台を整えて
早々と去っていったということでは
阿部老中は群を抜いています。

ここから・・・幕府側は基本的に
敗北者・・・。
そしてなんとか・・・ドローに持ち込んでいく
勝や徳川慶喜は
ある意味・・・阿部の準備した人材と
言えなくもないわけです。

そして・・・次の主役は
桜田門に名を残すあの方になっていくわけで
しばらくは赤忍者とひこにゃん猫忍の
暗躍が続きそうです。

獅子丸の最後・・・思わず
泣きそうになりました・・・。
惜しい忍犬を・・・なくしたものでございます。

投稿: キッド | 2008年6月 4日 (水) 06時49分

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