わが子第一主義で何が悪いの?(木村佳乃)私が一番だから(米倉涼子)
夏ドラマ第一弾である。夏っていうより梅雨ドラマだ。
火曜日はフジ(関西テレビ系)の(火10)「モンスターペアレント」初回視聴率14.2%
来週7/8スタートでフジの(火9)「シバトラ~童顔刑事・柴田竹虎」
7/15スタートで日テレの(火10)「学校じゃ教えられない!」
・・・と順番にスタートしていくのである。
キッド的には米倉くん→大後寿々花→深田恭子とターゲットが変化していくわけで・・・夏ドラマも火曜日は危険な一日になりそうだ。とりあえず・・・三本そろった頃には「CHANGE」が終了しているので・・・あっさりレビューの複数チェックもありかもしれないが・・・まあ・・・結局、気分しだいだな。
で、『モンスターペアレント・第一話』(フジテレビ080701PM10~)脚本・荒井修子、演出・小林義則を見た。頭のおかしな人の言動を書かせたら抜群の脚本家なのだが・・・それでいいのか・・・どうか・・・微妙である。
なにしろ・・・オリジナル脚本で・・・社会的題材のテーマである。
基本的には教育問題に詳しい「監修者」からのデータ提供、関連する書籍のリサーチ、関係者への取材に基づいて・・・架空の事例をでっちあげ・・・おもしろおかしく・・・物語にしていくという作業である。
このおもしろおかしく・・・の部分が・・・キャラクターのおかしい部分に集中していく気配が濃厚である。・・・ある意味・・・登場人物のすべてが・・・ちょっと頭がおかしくて・・・不気味な仕上がりになっている・・・そう思うのはキッドだけでしょうか?
まず・・・主役の国際派弁護士・高村樹季(米倉)は時給・7万円(自称)である。ちなみに東京都の最低賃金が739円なので底辺の人の95人分くらいをお稼ぎになるのだ。もちろん・・・所属事務所がピンハネするので・・・あくまで手取りは下がるのだが・・・とにかく・・・一月に20時間も働けば月収が100万円である。まあ・・・脚本家としては夢を見たいお年頃なんだよな。
専門分野が経済問題・・・主に企業買収の「ウィルソン・城山法律事務所」の売り上げトップ弁護士が・・・不毛の教育現場に突っ込むのは・・・ボスの城山(草刈正雄)の発注だからである。
このあたり・・・作家と弟子の関係が暗示されている。もちろん・・・登龍門があり・・・最初からスター作家としてデビューするものもいるが・・・作家教室からデビューする人もいて・・・そうなると徒弟制度の色彩が強くなるのである。
いろいろな関係があるが・・・売れっ子作家と弟子の場合は・・・師匠がやりたくない仕事とかが弟子の手に渡るのである。基本的に・・・ギャラが安かったり・・・注目度が低かったりする仕事である。そういう時・・・弟子はありがたいと思うと同時にクソっと思う。
次に巨匠と天才的弟子の場合がある。そういう場合・・・巨匠はわざといやな仕事を回して・・・弟子に試練を与える場合がある。そういう時・・・弟子はありがたいと思うと同時につぶしにかかってきやがったなと思うのである。
まあ・・・あくまで・・・例である。
売れっ子・子分弁護士に・・・報酬の割には困難な仕事を与える親分・弁護士の意中を想像するともやもやします。
①慣れない分野外の仕事をして視野を拡げさらに実力アップしてもらいたい。
②人間関係のゴタゴタに巻き込まれ仕事に嫌気がさしてしまえばいい
さあ・・・ボス・城山弁護士の気持ちはどっちなのさ。
さて・・・ともかく・・・バリバリの弁護士を気取る高村なのだが・・・「ボスの頼みを聞くとイイコトあるらしいぜ」と同僚の加藤弁護士(眞島秀和)に囁かれると・・・その気になる欲望丸出しのタイプでもある。
そこで彼女は・・・S市教育委員会教育長(角野卓造)の「不透明な依頼」に応じるのであった。
ドラマとしては・・・この依頼が「具体的でない」といういうところがミソなのだが・・・お茶の間的にはどうだろうか・・・キッドはちょっと辛いかなと思うのである。
せめて・・・紹介者→海外出張、依頼人→雲隠れではなくて・・・「もう色々問題あって大変なんです・・・先生・・・なんとかしてください」というスタートラインが欲しかったな。
もう・・・弁護士とクライアントの信頼関係もクソもないのである。
まず・・・お金の話から入れば・・・「顧問料」なのか「相談料」なのか・・・あくまで上司の縁故による「奉仕」なのか・・・そのあたりはっきりしてくれないと気持ち悪いんですけど。
まあな・・・新人作家というものは・・・とりあえず会議に呼ばれて・・・なんだかんだ時間を過ごして・・・「縁があったらまた会いましょう」と言われて・・・枕を涙で濡らす・・・そういう夜を過ごしてナンボだからな・・・怨みか・・・脚本家のそういう怨みなのか。
ともかく・・・不承不承で教育現場を視察した高村は法治国家の網の目をくぐる些細で深刻なトラブルに遭遇するのだった。
それは・・・「教師と教え子と教え子の親をめぐる三角関係」なのであった。
古来から「親バカ」というものは存在する。言葉があるのがその証明である。「わが子がかわいい」のは人類繁栄の原動力なのである。そのために中国では暴動が起きるくらいありふれた気持ちである。
そして・・・もう一方に教育という・・・人類繁栄の必殺技がある。人類はこの情報の蓄積・伝達によって百獣の王(実質)になったのである。古来から「先生」というものは存在するのである。
しかし・・・親バカとバカ親は似て非なるものらしい。そしてここではバカ親はモンスターペアレントと呼ばれるほど・・・バケモノ化しているらしいのである。
しかし・・・先生も・・・反面教師という言葉が示す通り・・・理想的ではない場合がある。バカ教師がいてモンスターティーチャーもいるのである。
モンスターペアレントとモンスターティーチャー・・・二者に関係しているのは・・・もちろん・・・子供であり・・・教え子である。さすがに・・・モンスターに囲まれると子供は危険なのである。
もちろん・・・高村のクライアントとなる教育委員会にとって・・・一番大切なのは教育を受ける人間(主に子供)なのであるが・・・それにはどうしても教育機関を守らなければいけない。
だから・・・この番組のタイトルはモンスターペアレントなのである。
実際に・・・生徒や児童を盗撮したり、売春したり、性的虐待したり、えこひいきしたり、いじめを放置したり、いじめに参加したり、自殺に追い込んだりするモンスターティーチャーがいたとしても・・・とりあえず・・・それほどひどくない教師を誹謗中傷する親の方が悪いという立場で・・・教育環境の改善を図る・・・というのが高村に与えられた使命なのだ。
まあ・・・いやな匂いのするドブに手をつっこんで落し物を捜す・・・みたいな作業です。
そんな汚れ仕事できるか・・・とエリート街道まっしぐらの高村が思うのは仕方ないよね。
さて・・・今回のモンスターペアレントは「わが子の遠足の写真の登場回数の少なさに激怒、ストーカー行為の果てに担任教師を性的異常者呼ばわりして自殺に追い込む小学生の娘の母・渡辺秋枝(木村)」です。
高村・・・呆然としている間に・・・自殺未遂におわった担任教師(内田滋)は教職を辞すのでした。
ボスが言うには「高村くんでも・・・負けることがあるんですねえ・・・」
高村「・・・負けた?・・・私が・・・負けたの?」
まあ・・・事件と事件のようなものの境目にある案件を八方丸く治めるという苦行のような勝負にあえて挑むらしい高村・・・Mの素質はあるようです。
もちろん・・・モンスターママ1号渡辺は・・・あきらかに人格障害者ですが・・・家族の同意を得て隔離するとなると・・・残された子供が不憫というあたりが・・・この問題の困難なところなんですよね。
まあ・・・キッドがこの教師だったら・・・木村佳乃につきまとわれる喜びをかみしめるばかりなのでございます。
来週は南野陽子と紺野まひるがゲストらしい・・・。毎週・・・親(S)で先生(M)のショーだからな・・・一部愛好家は熱狂的に支持するだろう。主役はどっちつかずで今回は辛かったが・・・最終的にはSに対してどSという変態的立場になるのだと思う。
関連するキッドのブログ『交渉人~THE NEGOTIATOR』
木曜日に見る予定のテレビ『乙女のパンチ』(NHK総合)『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさん、お久しぶりです!
そうそう、高村さんの今回の「お仕事」は一体なんなのか?
よくわからなかったですよね・・?
1時間7万円もする人を雇えるの、あの町は・・?
縁故価格なんでしょうが・・
それにしても教師からも親からも反感買いそうなあの見た目
弁護士にTPOっていうのはないんでしょうか?(^▽^;)
投稿: Eureka | 2008年7月 2日 (水) 21時42分
✛✛Paradise✛✛Eureka様いらっしゃいませ✛✛Paradise✛✛
ふふふ・・・
自他境界線の定かならぬ人というのは
いつの時代も困り者ですからね。
キッドは妄想家ですが虚実境界線は
なるべく守りたいと思っています。
たとえばホームドラマで
なごやかなお茶の間の団欒が描かれると
無口な家族の穏やかな幸せが
時には色褪せることもありますな・・・。
「口に出さなきゃわからないよ」
があまりにも肥大して・・・
「阿吽の呼吸」が否定されたりして・・・。
はっきりものを言った方が勝ち
の世の中には・・・
殺伐という危険がつきものですからね。
「監禁」とか「社会人失格」とか
TPOを弁えず刺激的だから使ってみる・・・
こういう人は昔は「黄色い救急車を呼べ」の
一言ですんだりですけど・・・いつの時代じゃ。
それでも・・・
いじめられたなら
いじめられた
と誰かにいわなければ
苦しいですし
誰かがやりすぎてると思ったら
まあまあ・・・と言わなければならない。
難しいです・・・。
観阿弥・世阿弥が
秘するが花・・・
という境地に達したのも
分るような気になりますが・・・
ドラマは
わかりやすいことも大切だ・・・
と思ったりもいたします。
投稿: キッド | 2008年7月 3日 (木) 18時47分