魔王は決別するのです。(大野智)・・・突然花火のように消えて。(小林涼子)
塚原-末続-高平-朝原で4×100㍍リレー銅メダルである。
運も実力のうち・・・という言葉はこのためにあった・・・と言えるレースだったなあ。
もちろん・・・与えられたチャンスを掴み取ることのできる心身を彼らは持っていたのだった。
チームなので・・・ドラマはそれぞれにあるだろうが・・・やはり・・・朝原宣治(36)のドラマが特筆に値するだろう。
マンガみたいだ・・・と本人が言っているのだから間違いない。アトランタ五輪(1996)では100メートル準決勝、リレー予選、走り幅跳び予選と二束の草鞋を履き・・・シドニー五輪(2000)ではリレー準決勝・・・アテネ五輪(2004)では100メートル2次予選、リレー決勝4位・・・である。初オリンピックから12年・・・引退を囁かれながら・・・現役を続けて・・・この日を迎えたのだった。なにしろ・・・準決勝のバトンミスでアテネの1~3位英国、米国、ナイジェリアがすべて姿を消していたのである。これを超ラッキーと呼ばずして・・・なのだ。
朝原夫人はシンクロナイズドスイミングでバルセロナ五輪(1992)のソロとデュエット二つも銅メダルを持っている・・・とにかく・・・よかったなあ・・・と思うのだった。・・・まあ・・・余計なお世話ですけど。
で、『魔王・第8回』(TBSテレビ080822PM10~)原作・キム=ジウ、脚本・西田征史、演出・片山剛を見た。悪というものは魅力的なものだ。なぜなら悪には勝利が含まれているからである。たとえば・・・「生きる」ということだ。殺人は悪だが・・・殺されたものは死という全面的な敗北を与えられ・・・殺したものは勝利するのである。善を尊ぶものは・・・だから勝負を嫌う。悪の中に喜びがあるのでは・・・気まずいからである。
もちろん・・・それは極論であって・・・善には輝かしい勝利が・・・悪には暗い敗北が似合うという考え方もある。
しかし「人の嫌がることはしない」・・・という前提に縛られていては・・・スポーツなんてできないのである。
サッカーでは・・・リードしたチームが「うまく時間を使ってくる」という「悪」が行われる。相手の嫌がることをして・・・勝利を掴むのだ。
野球では強打者を敬遠する。正々堂々と勝負をしないことが勝利への道筋だったりする。
「戦争」は「悪」の最たるものであるが・・・国連の常任理事国が現在も戦争を実行するわけだし・・・「戦争」は映画やドラマなど娯楽の重要な要素でもある。
「犯罪」もまた「悪」なのであるが・・・娯楽の題材としてもてはやされる。
とにかく・・・悪が魅力的であることは認めなくてはならないだろう。
魔王は悪の・・・いわば・・・源であるので・・・魅力はこの上なしなのである。
しかし・・・このドラマの魔王は・・・復讐中なので・・・恋なんてできません・・・という軟弱者だ。そのあたりが悪魔としてはちょっと恥ずかしい。
たとえば・・・「羊たちの沈黙」でお馴染みのレクター教授は「ハンニバル」の中で・・・好きになったクラリス刑事に・・・激しくアタックし・・・絶品料理をご馳走したりするのである。
魔王を名乗る以上・・・復讐しながら据え膳は食い返す刀で浮気するぐらいの野獣性が欲しいものなのだな・・・。
ともかく・・・復讐か・・・恋愛か・・・で迷う成瀬領(大野)は・・・サイコメトラーしおり(小林涼子)の献身的な求愛に触れ・・・自分の行いに迷いが生じるのである。
ちなみにここまで成瀬は悪い弁護士を事故死させ・・・悪い借金取りを病死させ・・・悪い情報屋を転落死させただけで・・・全く犯罪を犯していないと言える。
だから・・・しおりと恋愛したってまったく問題ないと思うのだが・・・それはね・・・善人にとってよからぬ考え方なのね・・・そうなの・・・。
では・・・領はなぜしおりの愛に答えられないのだろうか。・・・それは神秘的なことだな。
神秘とは妄想である。たとえば・・・宇宙に輝く星が恒星だったり惑星だったり衛星だったりすることと同じように虚構なのである。実は・・・星はすべて悪魔の瞳なのである。ウソだと思ったら・・・確認しに行ってもらいたい。ケンタウルス座アルファ星まで四光年である。
とにかく・・・領はこう思う・・・「しおりは・・・汚れなき天使だ・・・復讐のために他人の手を汚し悪事を重ねる自分は相手としてふさわしくない・・・」・・・なんという根性なしだろう。
そのくせ・・・抱きしめたりして・・・罪作りな男なのである。
そんな・・・領の心を見抜いた共犯者の山野(清水優)は「命を奪われた英雄の怨みを忘れるのですか」と計画立案者である領をさしおいて・・・計画を実行である。
おりしも・・・葛西(田中圭)は不倫の事実を・・・宗田(忍成修吾)に知られ恐喝され・・・同時に不倫相手の夫で上司でもある典良(劇団ひとり)にすべてを把握されてしまう。
そして典良は葛西に宗田の始末を命じるのだった。
そんな二人に送られたカードは・・・「ワンドの5」=「小アルカナの杖の5」である。剣のエース(第5話)のところでも述べたが小アルカナはほぼトランプカードに準じている。ジャックの代わりにナイトがあり、これを武官だとすると文官にあたるペイジが加わっている。だから一つの種類が14枚あるのだ。
剣のカードに対して杖(ワンド)のカードには宗教的な意味合いがある。その本質は聖なる火である。だから杖には松明のニュアンスも含まれている。ちなみに杖(ワンド)の5はスポーツの象徴である。五つの大陸をシンボルとする五輪だが・・・実は杖の5のニュアンスを含んでいるのである。スポーツは競争であるが・・・ルールに基づいた競い合いのニュアンスがある。平和的な争いという矛盾した要素を持っている。この意味から転じて内輪もめという意味が生じてくるのである。四大元素である地水火風に加わる五つ目のエレメントは元素の混合で生じるのだ。だから・・・5なのである。
同時に杖は宗教=正義の象徴でもあるから・・・正当性を求める争いを意味する。
同じ犯罪の隠蔽に加わりながら・・・エリートとなった葛西を怨む宗田。
宗田による脅迫に怒る葛西。
そして・・・飼い犬に手を噛まれた典良。
それぞれが・・・自らの正義を主張しながら・・・悪に誘惑されるのだ。
すべては直人(生田斗真)の過去の過ちが種火となっていることは言うまでもない。
聖なる炎と地獄の炎の区別は人間にはつかないのである。
一方・・・しおりが恋を占い引いたタロットカードは・・・「ナイト・オブ・ソード」=「小アルカナの剣の騎士」である。剣は風のカードであり・・・基本的には戦いを示す。「剣を持った騎士」は整合的な組合せであるが・・・それは威力倍増のニュアンスがある。・・・まあ・・・水を得た魚です。そのために・・・「戦闘開始」を暗示するし・・・「戦いのための勇気が高ぶる」状態であり・・・気分が高揚することから転じて「激怒」を示すのである。もちろん・・・恋をためらうものがこのカードを引けば「勇気を出して告白」のサインとなる。さらには・・・カードの絵柄はしおりにとっては「白馬に乗った王子様」に映ったことは間違いない。しかし・・・実際は・・・激怒する復讐者である成瀬領を示していたのだ。
つかのまの逢瀬を楽しんだしおりと領・・・しかし・・・ある雨の日の情景から・・・一本の傘をめぐり・・・しおりは・・・領が真中友雄であり、雨野真実であることを確信する。
そして・・・高塚刑事(上原美佐)たちの協力で・・・過去の補導調書からついに直人は領と友雄の接点を発見するのだった。
関連するキッドのブログ『第7話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『コードギアスR2』(TBSテレビ)『篤姫』(NHK総合)『Tomorrow』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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