涙のバースデイケーキ(カレー味)・・・(多部未華子)うちは普通の奴(水沢エレナ)
さて・・・もう夏ドラマとか・・・そういう季節の風味はどうでもいい投げやりさの漂う編成。
一瞬の流行の漢字二文字で・・・「帽子」(NHK総合)は広島原爆で体内被曝した少女(朝倉あき)の数奇な運命をめぐるジジ(緒方拳)ババ(田中裕子)の恋物語。戦後60年を経てババはのほほんと白血病で死ぬのである。
一方・・・ケータイ妄想恋愛小説の呼び声も高い「恋空」(TBSテレビ)・・・鳥が鳴いて川が流れて橋を渡れば蒼空の田舎で・・・女子高生・美嘉(水沢エレナ)と同級生のヒロと恋をしてセックスして妊娠して流産してヒロが末期ガンになってのほほんと死んで美嘉はまた妊娠していることが分るというおバカなラブ・ストーリーである。人を外見で判断するな・・・という主張で始まるドラマだが・・・ヒロインと相手役がそこそこ美少女とイケメンであることは言うまでもない。
まあ・・・映画版の監督でもある今井夏木が思いっきりおバカな物語を美しい映像でとらえているところが素晴らしい。女子高校生は見ると楽しいよ・・・彼氏と見に行くと「妄想っ」て言われるけど・・・だけどガッキーのイメージ強いから慣れるまで大変そう・・・と思うあなたはコチラへ→アンナお嬢様の「恋空」
娘がチャラチャラしたバカと付き合うのが腹立たしいお父さんなあなたはコチラへ→お気楽社長の「恋空」
で、『ヤスコとケンジ・第4話』(日本テレビ080802PM9~)原作・アルコ、脚本・山浦雅大、演出・長沼誠を見た。実は「33分探偵」(フジテレビ)もスタートしたのだが・・・こちらは上野なつひがゲスト出演している以外は一種の拷問のようなドラマである。どっかの小劇場でちまちまっとやっていればいいのではないか。
一方・・・「ヤスコとケンジ」はやせても枯れても土9ドラマ。今回は「バースデイケーキ」をめぐるベタなストーリー展開だが・・・きっちりと泣かせる味を出している。
まず・・・運命の問題である。
運命と偶然は実は同じ意味だが・・・人によっては違うものと考える。たとえば必然と偶然も同じ意味なのだが・・・やはり人は違うものと考える。さらに故意と偶然も同じものなのだが人はそれも違うものと考える。人間はバカだからである。
たとえば・・・デートの待ち合わせに相手が遅刻する。これは偶然なのか・・・運命なのか・・・故意なのか・・・人はあれこれ思い悩むのだが・・・それはまったく同じことなのである。ようするに「相手が遅刻した」だけなのだ。
「仕方なく遅刻した」のと「わざと遅刻した」のは違うと考える人もいるが・・・それは間違いです。「仕方なく遅刻した」のも「わざと遅刻した」のも「ただ遅刻した」だけなのです。それがシンプルな人生を送るポイントです。
さて・・・姓名判断による相性占いで「相性最高」という結果の出た沖ヤスコ(多部)と椿純(大倉忠義)・・・もちろん・・・偶然です。そして偶然なことに二人の誕生日は一緒なのです。まあ・・・365人に一人は誕生日が一緒ですから・・・うるう年生まれの人を除く・・・よくあることです。
さらにその日はヤスコの両親の命日でもあります。もちろん偶然です。
10年前のヤスコ(八木優希)の誕生日にバースデイケーキを買いに行った両親は事故に遭って他界。しかし・・・この偶然の出来事はヤスコの幼い心に深い傷跡を残したのでした。
「私の誕生日のためにパパとママは死んだ・・・私が両親を殺したようなもの・・・」と誕生日が来るたびに自責の念にかられるヤスコ・・・なんて健気で泣かせるおバカさんなのでしょうか・・・。
しかし・・・そんなヤスコの心を癒す恋の季節・・・。純の誕生日プレゼントとして「彼の好きな写真集」をプレゼントすることにします。・・・もちろん・・・兄のケンジ(松岡昌宏)には内緒でエリカ(広末涼子)の店でアルバイト開始・・・すぐさま発覚です。
さっそく・・・どなりこんでくるケンジ・・・おや・・・トーンダウンしてるじゃねえかよ・・・エリカに花束プレゼントで・・・事情聴取。エリカもヤスコの事情を知り・・・暴走族ならではの情の篤さでホロッと来ます。
こうして考え出された・・・ヤスコと純の二人のバースデイ・遊園地でデートだ大作戦・・・決行です。もちろん・・・すべては偶然なのです。
二人のデートの約束現場を目撃したひよこ(小嶋陽菜)留美(西田奈津美)あやめ(松本華奈)の恋敵トリオは嫉妬の炎メラメラです。すべては偶然です。
デート当日・・・ヤスコを待ち伏せしたトリオはプレゼントの写真集とケータイ電話をこっそり奪い・・・ヤスコを罠に仕掛けて転倒させます。明らかに窃盗、強盗、傷害、殺人未遂です。現行犯なら逮捕です。しかし・・・偶然、警官は通りかからないし、ヤスコは被害者としての自覚がありません。それどころか・・・「自分だけが幸せになろうとしたから・・・神様に天罰を下されたのだ・・・」と自責の念をパワーアップ・・・。
神様~・・・何やってんだよ~。
しかし・・・もちろん・・・すべては偶然なのです。池にプレゼントが沈んでしまったと思い込んだヤスコはスブ濡れになって池を捜索・・・晴れ渡る空からスコールです。そしてケンジ登場。
「パパとママはお前の喜ぶ顔が見たいに決まってるだろうっ」
ちょうどいいところに・・・極悪トリオが通りかかります・・・ここで気がとがめて・・・写真集を投げ捨てる描写があるのですが・・・どうせなら・・・二人に気がつかず・・・ただ投げ捨てるくらいでも良かったな・・・まあ・・・その場合はなんらかのお仕置きが必要になるからな・・・。神の不在というものを選択したか・・・それはそれで今風。
すべてが偶然ならバナナの皮ですべって極悪トリオが人知れず池に水没でもよかったのに。
とにかく・・・なんだかんだ待ち合わせ場所では日が暮れても待っている純。遅刻を責めるどころか・・・「待っているだけしかできなくてごめんなさい」なのである。こののほほんとした性格は・・・偶然です。
そして・・・特別に延長された門限にセーフするヤスコ。エリカとカレーショップのマスター(嶋大輔)の手作りバースデイケーキがお土産である。
10年ぶりのバースデイーケーキは涙の味でしょっぱい・・・のではなくてカレー味だった。
すべては・・・偶然なのです。もう・・・それは断固として・・・。
それにしてもついになごやかな・・・ヤスコとケンジ・・・大丈夫かっ。来週から大丈夫なのかっ。極悪トリオはいつかひどい目にあってくれるのかっ。
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月曜日に見る予定のテレビ『太陽と海の教室』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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