・・・。だ(松岡昌宏)・・・。かよ(広末涼子)・・・。なのね(多部未華子)
殺人米を売った業者は殺人未遂で起訴されないのか・・・と思う。
不正教員採用関係者は大分市中引き回しの上・・・磔にならないのか・・・と思う。
福田総理は辞任後・・・切腹しないのか・・・と思う。
まあ・・・キッドの心のどこかでそう思う部分がある。
もちろん・・・キッドの心は複雑だから・・・食の安全なんてギャンブルだし、採用試験なんてギャンブルだと思うし、総理大臣なんてギャンブラーだと思うから・・・別にいいじゃんとも思うのである。
生きているのはそれだけでああ、みっともないさあ・・・と思うのである。あいつが死んだ時もキッドは飲んだくれてたから・・・。
で、『ヤスコとケンジ・第8回』(日本テレビ080906PM9~)原作・アルコ、脚本・山浦雅大、演出・大谷太郎を見た。初心というものがある。芸の世界では初心(しょしん)は忘れてはならないものである。水商売では客に触られて騒ぐようだと初心(うぶ)なネンネじゃあるまいしと言われる。初心は純粋だし・・・初心は純情である。初心が大切なのは基本だからだし・・・初心が汚れないのはおニューだからである。
そして・・・誰にだって最初はある。
人間の記憶力は個人差があるもので・・・さらに言えば記憶の回想力にも個人差がある。
キッドのよく知る認知症の女性は・・・お昼何食べる?と聞くとわからないと言うし・・・朝何食べた?と聞くと覚えていないと言う。それなのに「不安に思う気持ち」は忘れない。自分が何かを忘れていることをいつも不安に思っている。キッドは早く「不安」も忘れてしまえばいいのにと思うのである。英国の首相だった鉄の女サッチャーも認知症らしい。彼女もまた朝食のメニューをお昼までには忘れるらしい・・・なんだか他人ではないような気になるのである。
そんな彼女たちも・・・かっては様々なことを記憶し・・・そして回想できたのだ。
ドラマを見る人々も・・・いろいろなドラマを見る。
そして・・・個人差はあるけれど・・・いつか見たドラマと同じような手口に遭えば・・・「またか」と思うのである。
人間は何を面白いと思うか?・・・と言う質問の答えは様々だと思うが・・・体内麻薬物質による自己報酬について考察するとキッドは二つのジャンルを想起する。
一つは「新しいものの発見」である。これは「好奇心」という言葉で示される。欲望が満足することでエンドルフィンが発生し・・・人は快感を得る。これを人々は面白く感じるのである。食欲で言えば「美味しさ」を感じるようなものだが・・・それも「新鮮な味」に特定することもできる。
そうなるともう一つは「慣れ親しんだものの知覚」である。これは「安心」という言葉で示される。たとえば・・・帰宅した時に感じる安堵感。環境に満足することでエンドルフィンが発生し・・・人は快感を得る。これを人々は面白く感じるのである。今日も元気だゴハンがうまいのである。それは「ふるさとの味」に特定することもできる。
もちろん・・・その二つは見慣れないものへの拒絶感や・・・親しみすぎた果ての倦怠感にも通じていて・・・人間の感情を複雑にしていく。
エンターティメントはそうした・・・複雑な観客の気持ちにこたえていかねばならない。
だから・・・ヒット作には二面性がある。
キッドはそれを「珍しくて懐かしい」と表現するときもあるし・・・「複雑だけどシンプルだ」と表現することもある。
たとえば・・・「ごくせん」というドラマは怪物コンテンツだが・・・それは「長髪教師(金八)」という伝統や・・・「極道の妻たち」という伝統をふまえた「なつかしいもの」でもあり・・・「極道の娘が教師になる」という「珍しいもの」でもあるのだ。最後は問題を乱闘で解決というのは「時代劇」でもあり・・・夕日に向かって走るのは「青春ドラマ」でもある。
当然・・・そうなると「暴走族が少女マンガ家」は同系列の作品ということになる。
もちろん・・・「ごくせん」ほどのヒットがないのは「イケメン生徒に偽装した高級ホストクラブ」テイストが欠けているという分析もできれば「ごくせん」が先行しているので飽食しているという分析もできる。
しかし・・・なんだかんだ・・・五輪のある年の夏ドラマで・・・平均視聴率が①コードブルー15.3% ②太陽と海の教室14.4%につぐ・・・③ヤスコとケンジ12.5%(Tomorrowも12.5%だがヤスケンの方が*0.01%上回っている)・・・は失敗とは言えないのである。
そこで「ベタの強み」というものが浮上するのである。
今回のストーリーはこうである。
①前回・・・マンガ家桜葉れいかが元暴走族だったことが発覚し・・・読者の夢を壊した責任をとって断筆を決意したケンジ(松岡)は転職する。
②いろいろな仕事を探すが・・・問題があって長続きしない。
③昔なじみのマスター(嶋大輔)が男の勲章ラーメンを世話してくれる・・・しかし・・・本人も周囲も・・・本当は桜葉れいかの復活を望んでいる
④・・・ファンを裏切った責任をとったケンジの前に続行を求めるファンたちが殺到し・・・ついにケンジは「男に二言はない」という前言を撤回する。しかし・・・男の意地を通して・・・桜葉れいかは死んだが・・・桜葉れいか。がデビューします・・・オチである。
つまり・・・切腹・・・地獄・・・復活の儀式・・・復活という起承転結で・・・もうこれ以上なくベタなのである。
もちろん・・・「その手は飽きた」という人も多いと思うが・・・世の中には生れて初めてドラマを見た人もいて・・・そういう人には「斬新」なのである。
また・・・味を知るためには・・・何度か味わう必要がある。「ドラマ」を何作か見て・・・このドラマでようやく・・・ドラマの楽しみ方を覚えた人もいて・・・そういう人には「初めて面白いと思ったドラマ」なのである。
さらに・・・「ドラマ通」でも・・・「こういう単純明快なのが好き」という愛好家もいれば・・・この手の「ベタさ」のコレクターとして好感を持つものもいるのだ。
たとえば・・・ヤスコ(多部)は必ず転ぶという「お決まりの場面」あるいは「くりかえしのギャグ」を持っている。そういう手法が新鮮な人も・・・お約束好きも・・・さらには今度こそ何かが見えるのではと期待する人もいる・・・というのも同様なのである。
まあ・・・そういうわけで・・・ややパンチラ好き男性向けのドラマではあるが・・・イケメンがケンジと純(大倉忠義)とアジダス(渡部豪太)の少数精鋭主義なので女性客はとりそこねているという分析もできる。
しかし・・・ドラマの初心者(基本的に小学生ね)も楽しめ・・・お茶の間のベテランもそこそこ楽しめる・・・そういうベタさ加減の作品としては・・・キッドはいいお手本だと思う。
少なくとも・・・毎日・・・これだけドラマばかりを見ているキッドが・・・最後にファンが集まってきたシーンではちょっと泣けましたから・・・それはお前が異常に涙もろいだけなのではーっ。
ま・・・原点のモーニング娘。を知らない人もきっともうかなりいるよね。
こうして・・・人間は面白さを覚えていき・・・いつしか飽きて・・・だけどまた新鮮に思い始め・・・やがて何もかも忘れ・・・ついには本人も忘れられてしまう生き物です。
関連するキッドのブログ『第7話のレビュー』
月曜日に見る予定のテレビ『太陽と海の教室』(フジテレビ)『窓際太郎17』(TBSテレビ)
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コメント
同じく毎日これだけドラマを見ている私でも、
ああいう場面ではホロッとしてしまうのです。
ベタだしメチャクチャだと思うのに泣けてしまうし
笑えてしまう、このドラマが、とっても好きだったりします♪
「どっかで見たようなドラマ」は、いくらでもあるのに、
泣けてしまうドラマと、けっ、またか(-_-;)と
思ってしまうドラマの違いは、どこにあるのか、
その正体は自分でもイマイチよく分かりませぬ。
ただ、素直にそう感想を書くしかないんですわ~。
じいやの、この記事、とっても好きですわ。
投稿: くう | 2008年9月 8日 (月) 00時06分
>イケメン生徒に偽装した高級ホストクラブ」テイストが欠けているという分析
大笑いしてしまいました。
なるほど~奥が深いです~。確かにそれはあるかも・・・。でも多部ちゃんがいるし、広末さんも
いるのに、それでも不服な男子が多いんですか?
あ。お色気が足りなかったのか?そっちか?
投稿: みのむし | 2008年9月 8日 (月) 18時16分
たくろうさんってお元気なんでしょうか。
認知症が近づきつつある人間にとって、歌詞の一部でググれるのってすごく有難いことですね。
おかげさまで昔熱愛した歌に再び出会うことができました。
このドラマに関しては逆に過去の記憶が邪魔して見てません。ある女優に関して昔熱愛した記憶と、その後激しく憎悪した記憶がまだまだ鮮明なんで、姿さえ見るのに耐えられないんで。
投稿: rhforever | 2008年9月 9日 (火) 04時56分
ふふふ、くう様にお褒めいただき
じいや・・・赤面でございますっ!(=´Д`=)ゞ
やはり・・・人がやせ我慢しているところで
救いの手がさしのべられる・・・
それも多数・・・という場面に弱いようでございます。
日常的にはありえないような
展開ですので・・・ドラマならではですが・・・。
やはり・・・作り手の心意気というか
一本芯の通ったところがあると・・・
いつもの手でも
きちんと通じるということですよね。
大体・・・手というものに
そんなにバリエーションが
あるわけではなく・・・
ようするに心がこもっているとか
きちんと一本になっていることが
大事だと思うのでございます。
まあ・・・それを言葉にするのは
難しいのでございますが
またくう様に褒めてもらえるように
じいやも老骨にムチうち
精進いたしまするっ。(`・∞・´)
投稿: キッド | 2008年9月10日 (水) 00時24分
まあ・・・基本的にテレビは
女性客が本流なのでございます。
まあ・・・娯楽商売の基本ですけど・・・。
女性を落せば男はついてくる・・・みたいな。
そういう意味で
お水の花道よりも伝説のホスト・・・
しかし・・・真面目な方には
ホスト(商売)はイヤ・・・という方も多いので
表向きは学校・・・
表向きは教室・・・
そういう番組は多いですよね。
ウォーターボーイズとか
イケメン♂パラダイスとか
花より男子とか・・・
同じ主旨の女性版をやると
必ず失敗も鉄則ですが・・・
女性は実は女性が好きですから
たまには成功します。
そういうのは基本的に
友情ものなんですな・・・これが。
今回も
広末と多部は世代を超えた女友達設定です・・・。
だから・・・テレビから
男性用お色気番組は
駆逐されていくのでございますよぉ・・・。
投稿: キッド | 2008年9月10日 (水) 00時34分
ふふふ・・・お役にたってよかったです。
昔の歌の方がやはり
よく覚えているようです。
まあ・・・キッドの場合は
実話ですけれど。
大学時代の友人が
焼身自殺した夜・・・
山の中で朝まで飲んだくれてた経験があります。
吉田拓郎氏は今年の二月オールナイトニッポンで
パーソナリティーやってましたね。
もう62歳か・・・長生きしてくれるといいですね。
ふふふ・・・かわいさあまってにくさ100倍は
人生の基本ですからね。
キッドは執念深い方なので
怨みは滅多に忘れませんが
まあ・・・認知症になれば
それもまた夢のまた夢でございます・・・。
投稿: キッド | 2008年9月10日 (水) 01時59分