ジンライムがお気に入りの天使なのです。(深田恭子)
さて・・・「ハウルの動く城」の謎を解いてもみたいのだが・・・やはり・・・深夜映画「天使」である。
で、『天使(2006年公開)』(テレビ朝日081004AM0255~)原作・桜沢エリカ、脚本・奥寺佐渡子、監督・宮坂まゆみを見た。
で・・・深田恭子が演じるのは天使(angel)である。けしてダジャレではありません。
はっきりいって深キョンの天使・・・最高です。っていうか・・・このタイプの天使を演じられるのは深キョンだけじゃないか・・・と考える。
たとえば・・・米倉涼子は売り出しの頃・・・天使としてCMに出ていたが・・・あの天使は・・・上司の言いつけ聞かずに自由にふるまうOL天使だった。
「セレンディップの奇跡」では広末涼子が天使役であるが・・・こちらはヒューマンな感じである。
もちろん・・・お茶の間の人々が漠然と天使に抱くイメージは人それぞれだろう。
天使にも大天使ミカエルから堕天使ルシフェルまで多種多様なジャンルがあるわけである。
たとえば・・・恋のエンジェルと言えばキューピッドが連想される人がいるだろうが・・・天使の系譜から言えば・・・クピドはエロスであり・・・どちらかといえば妖魔に近いのである。
キリスト教・・・特にカトリックで整然とした天使の序列の中には・・・恋の天使は居場所を失い・・・どこか・・・疎外されている傾向がある。
もちろん・・・性という自然の営みを象徴する天使は・・・当然・・・神の領域にいるのであり・・・それを人間が人間的な秩序のために勝手に排除するのはひどく冒涜的なことだろう。
そういう意味で・・・神(エロス)でありながら・・・天使(クピド)・・・そして福音を齎すものとして・・・迷い猫のような天使の存在・・・その愛らしさと寂しさを体現する深田恭子はまさに天使なのである。
成人マンガから突出してきた原作者から神様もう少しだけで援助交際からエイズに倒れたコギャル以来・・・10年たってもなんちゃって高校生(学校じゃ教えられない!の回想シーンでも)ができる超越したカワイサを持つ主演女優へ・・・確かに存在する天使がジンライムを飲み干すのである。
マンションの屋上の貯水槽の上が天使(深田)のお気に入りの場所である。天使の目には街の様子は手にとるように映るし・・・階下の住人(西田尚美)は天使の好物であるジンライムをベランダのテーブルにちょくちょく置き忘れるのだ。
天使の姿を見ることのできる人とそうでない人の区別は定かではない。区別などというものと天使は縁がない。ただあるがままなのである。
お人好しだが・・・気が弱いコンビニ店員のカトウ(内田朝陽)は小銭で買い物をする猫おばさん(鰐淵晴子)にも親切に対応するため・・・レジに長蛇の列を作っている。カトウがそこそこイケメンなので興味がないわけではない同僚のユカリ(安藤希)も思わずじれったくなって舌打ちである。
バツイチの吉川(永瀬正敏)と六歳の娘チイ(森迫永依)と二人暮らしである。「私はママに愛されていないから」と言うチイに「そんなことはない」と恋人のいる元妻をかばう吉川だったが・・・「ウソはよくないよ」とチイにたしなめられるのだった。そんな吉川にも恋人カスミ(永作博美)がいて仕事で都合がつかないときなど・・・チイの送り迎えを頼むまでの仲にはなっている。しかし・・・チイとカスミの間にはまだまだわだかまりがあるのだった。
カスミは図書館の司書である。その図書館に頻繁に本を借りに来る女子高校生ユミ(大竹佑季)。彼女はクラスのブタとして・・・のけものになっているので毎日読書は欠かせないのだった。エンディング・テーマ「天使が舞い降りてくる日」を歌っているのは彼女である。孤独なので天使についても造詣が深いのだが・・・彼女には天使は見えない。最近はレイ・ブラッドベリを「死ぬときはひとりぼっち」→「十月はたそがれの国」の順で読んでいる。
ユミのクラスでは・・・友達の好きな子に色目を使ったという疑惑でみづほ(小出早織・・・電車男の花梨→ココ→銭形雷→時効警察の真加出くんである)がハブられて・・・机をユミの隣にする刑に処せられた。ブタとハブの間には気まずい空気が漂うのだった。
さらには恋人と別れたばかりで一人暮らしの美帆(佐藤めぐみ)は飼い猫にも逃げられたのだった。
そして・・・天使は街に舞い降りたのである。
ユカリに誘われてクラブに遊びにいったカトウはユカリが顔なじみと仲良くふるまうので手持ち無沙汰である。ジンライムを注文するのだが・・・それを天使が飲んでしまう。文句を言おうとすると消える。バーテンダーに訪ねるが・・・そんな女は知らないと言う。
アパートに戻ったカトウは自分でジンライムを作って飲もうとするのだが・・・またしても天使に飲まれてしまうのである。「お前・・・なんなんだよ・・・」と問うが天使は答えない。最後まで天使はセリフなしである。
しかし・・・天使はキスをするのである。これに対しカトウは「いいのかよ」なのである。ロマンチックのかけらもないのだが・・・積極的に天使の唇を奪うカトウ・・・すると・・・浮くのである。二人で空中浮揚なのだ。気がついたカトウは驚愕して落下する。カトウはうとい・・・が鈍感であるので・・・この奇妙な存在を認める。しかも・・・その姿を見るものが限られることになかなか気がつかないのだった。
天使はカトウが気にいったのでしばらくつきまとう。何よりもカトウはジンライムをつくるのである。
母子家庭で忙しい母親とも疎遠なみづほは自殺を考えるようになる。そんなみづほのカバンについたウサギのアクセサリーに目を留めた天使は興味に体を光らせる。天使は「カワイイモノ」が好きなのだった。
そして・・・みづほは天使が見えるのだった。
チイもまた・・・天使が見えた。コンビニで棚の上に座る天使を見て・・・周囲に訴えるが大人たちは素知らぬ顔をするのだった。
天使はチイも気に入ったようだ。ちびまる子ちゃん的カワイサがあるからだろう。
ごらん・・・パレードが行くよ・・・なのである。
天使は夜の街に抜け出したチイと夜遊びをする。マンションの屋上の貯水槽で奈津(西田)と恵美(小林明実)の姉妹に発見されたチイは迎えに来た父親に叱られた後で抱きしめられ・・・心のしこりが溶けるのだった。
チイの父親・吉川とカスミの仲も行き詰まりを感じていた・・・吉川の中には別れた妻に対するモヤモヤとかチイに対するモヤモヤがあり・・・カスミの中にも同じモヤモヤがあるのである。
やがて・・・ぶどうの食べすぎで盲腸炎になった吉川は天使に助けられて一命をとりとめるが・・・カスミとの仲を清算しふるさとに帰る弱気の決断をする。
その頃・・・母親とケンカして発作的に陸橋から鉄道線路への自殺を図ったみづほは天使に救われる。
そして・・・カトウと美帆は出会う。
天使は神の計画の一部である。
天使に善意があるわけではない。
天使が気まぐれなわけでもない。
神のまわす巨大な運命の歯車によって・・・人間のはかない営みは転輪していく。
その小さなひずみ・・・わずかな歪みを天使は修復するのだった。
たとえば神は有能であることを求め・・・そして従順であることを求める。
その相性の悪さを補うのが天使の職務なのである。
ユミ「どんな天使が見えるの?」みづほ「なんだか野良猫みたいな奴」
いつしか・・・会話を交わすようになったユミとみづほ。それどころかいじめっ子のカナ(高瀬友規奈・・・のだめのマキちゃんである)との関係まで修復されるのである。カナのイヤリングにつきまとう天使を笑うみづほに悪の気配を感じるのだった。
ユミ「高校にいる間・・・ずっとずっと一人ぼっちだったら・・・退屈で死ぬかと思った」
いつしかみづほの心からも死への誘惑は消えていたのだった。
猫屋敷の猫おばさんと猫探しを通じて仲良しになったカトウは聞く。
「なんで見る人と見ない人がいるのでしょう」
猫おばさんは答える。
「人はね。見る必要があるものを見るの」
やがて・・・天使は雪を降らせることにした。季節はずれだが雪もなんだか好きなのだった。
雪の日に図書館を訪ねた吉川は「もう一度やり直さないか」とカスミに持ちかける。
カスミ「やり直す気なんかない」
吉川(ガッカリ)
カスミ「一から始めるのよ」
吉川(はうぅん)
・・・また、このパターンか。
その頃・・・すっかり大人の関係になったカトウと美帆の前に三毛猫が帰ってくる。例によってベッドから出た美帆は完全武装である。
些細な修正作業を終えた・・・それを人は癒しと呼ぶ・・・天使に一筋の天使のはしごが下ろされる。
天使は何処とも知れぬ世界に光とともに帰還していくのだった。
関連するキッドのブログ『未来講師めぐる』
『山おんな壁おんな』
『下妻物語』
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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさん、こんにちは~♪♪
お久しぶりです
年明けのドラマから
ドラマレビューはじめると言い切りましたが
非常に迷っています。
何故なら、
「夢をかなえるゾウ」・・・
ヤマトは水川あさみさんが好きで、
なっかなか主演してくれないなぁーって
やきもきしてて、やっと主演!
昔、シナリオ新人賞みたいののドラマで
主演してましたが、あれも良かったな。
あああぁぁぁレビューしてえぇぇぇ!なのです。
今日は2回めですね。うぐぐ・・・。
1回め出遅れたから、
本命ドラマであるクドカンか鈴木京香様かなあ・・・
と・・・レビューしたくてたまらない胸の内を告白。
結婚まで忙しいって思っていたら・・・
忙しくないんですよ。
ダンナサマが全部手配して下さるので、
あまり忙しくないのです。
ダンナサマサマサマです。
昨日はお仕事帰りに式と新婚旅行の手配を全て終わらせて下さり、
本日もお仕事を早退して新居である物件契約に行ってくれており、
ヤマトはこうして会社で・・・のんびり・・・。
あああぁぁ、ありがたい、美味しいお料理沢山作ってあげる!
ここにのろけに来たのではないのだった。
この映画の原作は、
ヤマトが23歳のときスタートしたのです。
ローソンで立ち読みして、
あまりの絵&物語の美しさに体中に電気が走り、
雑誌を買って、漫画本になったらそれも即買って、
ヤマトは、「天使」の大大大ファンです。
深キョンとはナイスキャスティングです。
そして「ハウル」より「天使」を選んだキッドさんに
スタンディングオベーションです。
ひとりスタンディングオベーション。
翌日上司に個室に呼ばれ
「疲れているなら少し休暇をとりなさい」
と言われそうな、
静かなオフィスでいきなり
ひとりスタンディングオベーションです。
で、ヤマトは入籍まであと3週間あるので、
ブログの内容も比較的おとなしくしています。
TBする記事がなくてすみません
ではでは!
そうそう、
今「乙女~」の方のブログ全体メンテしてて、
ひとつひとつの記事を保存しなおしているので、
TB欄にキッドさんのTBURLがあったりして
間違って昔のレビューのTBがいってしまったりしていたら
申し訳ありませんが、削除願います、
こればっかりは大変です
ものすごい長文になっちゃったな、すみません
投稿: ヤマト | 2008年10月 9日 (木) 16時50分
ふふふ・・・男に二言はなくとも
女の方には三言も四言もあってよろしいかと。
ギターは六弦ほどにもかように思います。
まあ、合コンでしゃべるなは
禁じ手でございますけどな。
まあ・・・要するに美形の問題なのですな。
意味ありげに無口。
意味ありげに微笑み。
意味ありげに憂い。
意味ありげにウフフ。
意味ありげにため息。
ぶっとばされます。
水川あさみは
のだめ→風林火山→33分→ココ
とどちらかといえば
笑える女優路線ですな。
どこか・・・幸薄そうな顔立ちが
逆に面白いというところ・・・。
嫌味が消えますからね。
そして・・・
幸せ絶頂のヤマト様。
オヨメ千感ヤマト発進おめでとうこざいます。
まあ・・・急にやめると
調子が狂うので
ボチボチおやりになるとよろしいですよね。
来年のことを言うと
鬼がウフフなので
とにかく・・・旦那様を
大切におとりあつかいくださりますよう
お願いもうしあげます。
キッド・・・夫婦生活にもっとも必要なのは
気遣いだと考えております。
まあ・・・尽くすタイプだと
問題ないのですが
尽くしたら尽くしてもらわないと
気がすまないタイプだと
アレなんですよね。
大変・・・おこがましいようですが
ヤマト様の場合・・・
甘えたがりなので・・・
ご主人様には犬のように接するといいでしょう。
もちろん・・・癒してもらえるのですが
お世話をするのは人間の方ということです。
ここの境目が難しいのでございますけどねねーっ。
自分の機嫌と相手の態度を
混同しないことなのです。
犬が態度悪くてもそれは・・・
気のせいですからーっ。
桜沢エリカは
スラム街の砂糖菓子ですね。
キラキラしてメルヘンで
だけどロングショットにすると
どよよ~んでございます。
この映画の良さって
わからない人にはまったくわからないのでは
ないでしょうか。
現実と幻想の境目に立つ
深キョンの天使。
その非人間的なキャラ。
その神々しい存在感。
誠に素敵でございます。
まあ・・・普通の人間にこれを
要求しても無理なのです。
深キョンだって飲みすぎた次の日には
でへぇぇぇぇぇとなっているのに違いない。
それでもジンライムを
ガバガバ行くかもしれませんが・・・。
一人スタオベは
一人ディズニーランドよりも
メルヘンかもしれませんが
ヤマト様の褒め上手
中田ママクラスになってきましたね。
じじいは世界樹に上りますぞ。
その調子で旦那様をコントロールしてくださりますように。
キッドは今記事の総数が922。
1000になったら整理しようと思うのですが
そう考えて整理したことのない
我人生をふと振り返りました・・・。
それでは・・・独身最後の秋。
独身最後の10月はたそがれの国。
独身最後の年を・・・
楽しくお過ごしくださりますように・・・。
お祈りを奉げます。
メリーメリーメリークリスマス!・・・早いよ。
投稿: キッド | 2008年10月11日 (土) 01時14分