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2008年11月14日 (金)

男の子による乙女の祈り(神木隆之介)七瀬ふたたびネズミの旅(蓮佛美沙子)

たとえば・・・「懐柔」などと聞くとヒヤリとする。そこは「手懐けること」だろうと思う。あるいは「丸めこまれること」か。

視聴率を取りにいくための病気であり・・・もはや・・・その心配はしなくてもいいのだが・・・「懐柔」を大胆に使ってくる倉本先生の茶目っ気を微笑ましくは思えないのだな。

そして「怪獣になんかならないっ」と岳(神木)が妄想することを妄想するのだった。

だから「風のガーデン」↘13.5%は納得の数字なのである。懐柔分*0.1%下がったのだ・・・(妄想)。

もっとも・・・サッカーのオープン戦による時間変更であおりを食らったとも言えるのだが・・・その最大の被害者は「小児救命」↘*5.4%かもしれない。

脚本家の変更で先週からちょっと面白くなった「七瀬ふたつき」↗*6.3%、先週の展開がもうひとつだった「夢ゾウ」↘*3.6%はともに前回の出来に左右される視聴率として理解できる。

まあ・・・「渡鬼(オヤジバンド)」↗15.3%とか「ひみつのアラシちゃん(整形ニューハーフ)」↗13.0%とか・・・今世間はゲテモノ好きらしいです。

で、『七瀬ふたたび・第六話』(NHK総合081113PM8~)原作・筒井康隆、脚本・真柴あずさ、演出・吉川邦夫を見た。原作のアレンジ展開である前回のオチとほぼドラマ・オリジナル展開の今回は・・・それほどイライラしなかったが・・・まったくイライラしなかったわけではない。

たとえば・・・精神感応というフィクション(虚構)の辻褄の問題がある。

まず・・・精神感応力というものを原作では他人の思考を読み取る力と規定している。思考も基本的には表層意識だが・・・時には記憶や・・・無意識を含む場合がある。

原作の年代では・・・大脳生理学や神経学が心の機能局在をまだ充分に解明していないので・・・もちろん今でも解明されたとは言えないが・・・どちらかと言えば心理学的なアプローチである。

まあ・・・人間にとって心がどのようなものであるかはなかなか共通認識できないものであるが・・・能力の格差もあるし・・・ある意味妥協的な・・・心のようなもの・・・を読むのが七瀬というテレパス(精神感応能力者)なのである。

たとえば・・・心に・・・近親者の顔・・・あるいは鏡に映った自分の顔を思い浮かべてみてください。それもまた心の機能なのである。

優秀なテレパスであれば・・・それを読み取ることにより・・・あなたの近親者の顔やあなたの顔を読み取ることができるのです。

つまり・・・聴覚的な言語だけが・・・心ではないということ。

また・・・今・・・あなたがこのブログを見ているというのは心の機能の一つです。

視覚的な情報は眼という視覚感覚器(センサー)を通じてあなたの脳に情報としてとりこまれ複雑な処理手続きで言語的な記憶領域とのやりとりが行われることにより生じるなんらかの意味を理解することも心の機能の一つです。・・・視聴率とれないわ。

そうなると・・・七瀬はあなたの目を通してものを見ることが可能なエスパーです。

だから・・・心を読み取ることができれば・・・相手の位置を特定することはかなりの範囲で可能なのです。

たとえば・・・原作では七瀬とヘンリーによって殺害されている西尾(今井朋彦)は透視能力者です。西尾が七瀬の体を透視して・・・裸の七瀬を見ているとき、七瀬は西尾の心を読むことによって自分の裸を見ることができるのです。

また・・・西尾はかなり遠方の人間を発見できる能力があります。その心を七瀬が読めば・・・自分が発見されていることが分ったりもするわけです。

七瀬は・・・基本的には男たちが自分を見るとまず想像で裸にすることを熟知しています。もちろん西尾は例外で実際に透視で裸を見ます。

人一倍照れ屋の岩渕(塩谷瞬)はだから・・・「オレの心は読むな」と絶叫するのです。恥ずかしいからです。

さて・・・今回のドラマ版では・・・このあたりの七瀬の能力は「目覚めたばかり」という設定で非常に曖昧になっています。本来・・・超能力ものとはありえない能力の設定で楽しむ知的ゲームですから・・・その点は非常にものたりないのです。

ドラマの基本要素の一つに「善人が悪人にだまされる」というものがあります。原点としては「赤ずきんちゃん」があるでしょう。赤ずきんちゃんは狼に騙されて食べられてしまいます。狼が丸呑みするので命は助かるのですが・・・普通は噛み砕かれて死にます。

ところが・・・七瀬は・・・テレパスなので・・・騙されるということはありません。

それじゃ・・・お約束の手が使えないじゃないか・・・と脚本家が思うと・・・「心を読んだり読まなかったり」自由自在という手口が浮上します。原作者はこのご都合主義を使わずに七瀬をしっかりとピンチに追い込みますが・・・脚本家にはそこまでアイディアを練りこむ時間はないのでオリジナルになるとたちまち・・・辻褄があわなくなるのです。

そこで・・・登場するのが心の声の手法です。声というものが持っているイメージを使って視聴者をごまかすテクニックです。

さて・・・ドラマ版ではテレパスの先輩である朗(宮坂健太)から心にフタをすることを教えてもらう七瀬ですが・・・原作では逆・・・そのために七瀬は「だまされる女の子」のボジションを獲得することができるのです。

しかし・・・原作のそういうテクニックはあくまで「不特定多数の意識を排除」することが目的で・・・雑音が多すぎて煩わしいですから・・・読むべき心を読まないテクニックではありません。

普通の人間が初対面の人と会うとき・・・その人が善意の人なのか・・・悪意の人なのかを判断しようとするのは常識でしょう。そして七瀬にはそれができるのに・・・しないということはまずありえません。

しかし・・・ここでは心にフタをしたから・・・普通の人間としてふるまえるという展開を許しているわけです。

そう・・・そういうお約束ならまあ・・・許せるわけです。

しかし・・・最後は「父親(小日向文世)の声」が七瀬に届いてしまいます。・・・おいおい・・・前の約束はどうなったんだ・・・と絶叫するポイントです。

そこで声です。この場合・・・父親は心で絶叫していたのだ・・・ということです。優しく語りかけているように見えますが・・・心の声を大にして呼びかけたので心のフタを通過したということなのです・・・ふう・・・なぜ・・・お茶の間にいる方がそんな努力を・・・。

まあ・・・しかし・・・この脚本家はどちらかといえば・・・そういう知的ゲームよりも心のぬめぬめっとしたところをお届けするタイプなので大目に見ます。

たとえば・・・原作では女に保険金をかけて事故にみせかけて殺そうとするような悪い男の手から女を救い出すエピソードをドラマでは・・・些細な母親の罵詈雑言によって傷ついた少女ミサト(宮本侑芽)が自殺をはかるのを食い止めるというアレンジになっています。

漁藤子(水野美紀)と時間遡行をすることで自殺前の時間に現れた七瀬は・・・テレパスとして母親の心を読み・・・お説教することで・・・カウンセラー的役割を果たすのです。原作では悪い男が再びチャンスを求めることには関知しないドライな展開であるのに対して・・・こちらでは母子の関係改善をはかるウェットな展開になっています。

一見・・・よりよいアレンジになっているように見えますが・・・原作で仕掛けられている藤子の時間遡行力に秘められた恐るべき欠陥・・・あるいは罠を考えるとそのアイディアを使うのならば抜本的解決にはならないということを指摘しておきます。

原作では七瀬たち・・・能力者を排除する組織は最後まで謎の存在ですが・・・ドラマ版ではどうやら・・・具体的な組織として登場する気配。

原作では圧倒的な少数派である能力者たちが・・・結局はいかに無力かを強調する恐ろしい展開なのですが・・・そのためには具体的でないことが実に効果的でした。

こちらの世界では・・・佐倉(光石研)のおそらく絡むであろう謎の組織「パクス・シエンティア」・・・早くもみみっちい匂いが漂い始めています。シェンティアScientiaはラテン語で理解すること・・・つまり・・・分かり合うことで維持する平和・・・を名乗る団体です。

まあ・・・展開としては・・・善意で超能力の存在をオープンにしたNPO法人を旧人類の保守的勢力がターゲットにして七瀬たちが巻き込まれるというひねりもあるわけですが・・・さてさて・・・残り回数を考えると・・・ストレートできそうで・・・こわいです。

まあ・・・とりあえず・・・前回-今回の脚本家は・・・親には親らしくあってほしい乙女チックな少女の願いを貫徹ですね。

とにかく・・・70年代の親子テイストと現代のそれをくらべたら・・・かなり甘口になっているということでしょう。もちろん・・・あくまで表面上の問題で・・・本質はそれほど変わらないとは思いますが・・・。

・・・暖かい・・・冬の訪れを感じさせない暖かさだ・・・この家をこれほど暖めるとは・・・娘の考えることは・・・何故かおそろしい・・・この火という奴を・・・これほど巧につかいこなせるとは・・・ただの毛の薄い変わり者と思っていたが・・・もう・・・我慢できない・・・かわいそうだが・・・明日こそは殺してしまおう・・・わが子は・・・サルとして異常すぎるから・・・。

で、『風のガーデン・第6回』(フジテレビ081113PM10~)脚本・倉本聰、演出・宮本理江子を見た。まあ・・・ようやく・・・最近の倉本ドラマらしい視聴率になって緒形拳さんさよなら祭りは終ったらしい。しかし・・・今回は・・・ドラマの中で・・・二神(奥田英二)がこの世を去り・・・主人公の白鳥(中井貴一)は大天使ガブリエルとして風のガーデンに降臨するという核心に迫る内容だったのです。

かって・・・家庭を顧みず・・・障害を持つ息子を見捨て・・・妻が死んだ時も他人の妻と不倫していた・・・罪・・・により・・・実の父(緒形)から・・・楽園(故郷)を追放された白鳥。

しかし・・・末期ガンによる死を宣告され・・・里心がついて「父帰る」なのである。

菊池寛版では「あんな父親・・・死んだのも同然だ」と許せない長男なのだが・・・このドラマでは長男・岳は知的障害を持つこともあって・・・まもなく・・・天国に逝くことになる父親を「よろしくお願いします」と大天使ガブリエル(実は白鳥)にお願いするのであった。息子を持つ父親・全員涙である。

ドラマでは楽園を追放した・・・白鳥の父と・・・長女・ルイ(黒木メイサ)が長男の役割を引き受け「絶対に許さないポジション」を維持している。

しかし・・・白鳥には「余命いくばくもない」という絶対的切り札があり・・・それをどこで使うかがドラマのポイントになっている。場合によっては最後まで使わない手もある。

また・・・白鳥の父は高齢であり・・・息子に先立つ不幸を許さない事態も想定され・・・そこも気になるところなのだな。

妻を看取ることのなかった白鳥としては父親を看取ることで贖罪をするという可能性もあるのである。

そうなればドラマでも死に現実でも死んだ役者魂はお茶の間にインパクトをもたらすのである。

若い役者は・・・その生き様に触れて・・・ある意味・・・幸せと言えるだろう。

その幸せを生かすも殺すも役者次第だか・・・少なくとも・・・かっての神童(神木)は名演技を披露しているようだ。

一方・・・馬としてのルイは・・・満を持しての登場でヒロインとしての風格を漂わせている。

しかし・・・風格としては白鳥の最初の頃の女・エリカ(石田えり)が今回の白眉を持って行くのだった。

実録・児童養護施設育ちの女優である。その深み・・・何人の追従も許さないのである。

石田エリといえば映画「遠雷」(1981)でトマト栽培農家の男(永島敏行)と見合いしたその足でモーテルに行く女である。そして・・・いきなり婚前交渉である。

その即物的な行動の中に・・・時代の魂をよどみなく肉体で表現しているのである。

だから・・・「白い尻を見せ合った仲」である白鳥の気持ちは全員が共有しようと思えばできるのである。

そこが・・・理屈を越えて素晴らしいとキッドは思います。

最近の・・・アイドル女優の皆さんにもぜひ見習ってほしい・・・そこかよっ。

もちろん・・・未成年者の裸体は性的な虐待にあたるという倫理的な問題をふまえての話ですが表現の自由にもたまにはがんばってもらいたいと思う今日この頃です。

ネットの世界でたまに発見する実際のおぞましいにもほどがある虐待の存在を描けなくなってはドラマの価値は下がると思うからです。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『ブラッディ・マンデイ』(TBSテレビ)『スクラップ・ティーチャー』(日本テレビ)『ルーム オブ キング』(フジテレビ)『トンスラ』(日本テレビ)『ジャッジⅡ』『アグリー・ベティ』(NHK総合)『告知せず』(テレビ朝日)『サニー千葉のゴルゴ13』(テレビ東京)・・・志穂美悦子出るからな・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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