江戸城は燃えているか?(宮﨑あおい)篤姫の出番控え目です!(堀北真希)
今回は架空の唐橋(高橋由美子)と実在の小の島(佐藤藍子)の出番を作ってみました回である。
もちろん・・・この物語のもう一人の主役である勝海舟の妻・・・ではなくて典型的な良妻賢母として描かれるお幸(樋口可南子)という「篤姫の母」の薩摩おごじょぶりの念押しでもある。
おごじょは諸説あると思うが漢字で書くと「御御女」だと思う。
女をたてまつりあげた表現だ。
これはキッドの「九州男ダメダメ伝説」に符号する言葉なのである。九州は男尊女卑の国だが、その虐げられた女はたくましく優秀である。そして・・・男を徹底的に甘やかす。男子は宝物のように扱われるのである。それに対して女子は「御御女」として育てられる。つまり・・・男を仕上げるのは女という理屈である。
その結果・・・西郷隆盛のような怪男児を時々、生み出す・・・そしてほとんどの男はろくでなしになるのである。
このドラマでの小松帯刀が一例です。
九州男児の皆さん・・・あくまで妄想仮説ですから・・・。
で、『篤姫・第45回』(NHK総合081109PM8~)原作・宮尾登美子、脚本・田渕久美子、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオにそったレビューはikasama4様を推奨します。未亡人が出戻ることについての苦悩についてたっぷり再現。そして王政復古があっさりすぎるぞ記念小松帯刀・唐橋二大ぞんざいイラスト付・・・爆笑です。そして大政奉還・内閣総辞職政権放棄比較論考証を展開。まあ・・・政治というものはいつの時代もいかなる場所でも似たようなことをやっているわけで・・・こうした歴史こそが・・・今・・・あの場面なのだなと連想することで・・・だから次はこうなる・・・と先読みができるということになるわけです。しかし、政治の難しいところは最悪の結果がすでに先例としてあるところなのです。そして人間は時々わかっちゃいるけどやめられない生き物なのですよね。
で、ついに江戸幕府最後の年、1868年に突入である。西暦と元号はづれを生じる。 ここでは西暦の方が先に新年を迎える。1868年1月1日は慶応3年12月7日なのである。そして1868年9月8日から元号は明治に変わる。だから・・・1868年は慶応3年の師走、慶応4年、そして明治元年でもある。この西洋歴(太陽暦)と旧暦(太陰暦)のズレは1873年まで続きます。
年号ひとつとってもややこしい・・・動乱の時代である。その1868年1月3日・・・王政復古の大号令が下る。早い話が・・・イギリスに後援される関西政権(維新政府)とフランスに後援される関東政権(旧幕府政権)が対峙する内乱の危機を迎えたのだった。
まさに一瞬即発の危機だった。
そして・・・その危機の重圧を一身に背負う徳川慶喜は・・・赤子のようにすやすやと眠っていた。大阪城本丸天守閣で天璋院と幾島がその寝顔を見ている。
「これは・・・また・・・よくお休みで・・・」
幾島はしみじみと慶喜の寝顔を眺めていた。思えば・・・幾島の任務はこの慶喜を将軍にすることだった。紆余曲折を経て慶喜は将軍になった。しかし・・・もはや将軍職そのものがないのである。
篤姫は久しぶりに会う幾島に心が安らかになるのを感じていた。先代半蔵の死によって情報戦に支障が生じている。公儀隠密の諜報網が乱れているのだ。跡目を継いだ新半蔵も懸命に努めているが・・・刻々と変わる戦況に対応するのが精一杯だった。
「京の様子はいかがじゃ・・・」
「なにしろ・・・西郷の火炎で焼け野原になっていて・・・復興がおくれております・・・それにもまして・・・貿易のために・・・国内の物資が不足しているのです・・・坂本龍馬の暗殺犯を捜すどころではない状況です。・・・御所を守る忍びにも人手を欠く始末で・・・」
「・・・龍馬を殺したのは・・・異人たちかもしれぬな・・・」
「あるいは・・・異人に魂を売った・・・浪人たちかもしれません・・・」
「とにかく・・・妾は・・・江戸に戻らねばならぬ・・・それで・・・公方様・・・いや慶喜を幾島に頼みたい・・・なにしろ・・・もはや・・・幼子の智恵しか持たぬお方だ・・・」
「もはや・・・くぐり衆も・・・藤原の忍びも・・・統制がとれておりませぬゆえ・・・この老骨にいかばかりの働きができましょうか・・・」
「京のことは・・・お琴のくのいち衆が味方してくれる・・・大阪の公儀隠密と・・・くぐり衆で妾の下に残ってくれたものを・・・幾島につける・・・このお方をお守りすることが第一じゃ」
「・・・それは是非もないことです・・・」
「幾島・・・頼んだぞ」
「それにしても・・・異人たちの狙いはどこにあるのでしょう」
「・・・異人たちには異人たちの利があるが・・・一枚岩ではないのじゃ・・・清国や朝鮮国とは違い・・・この国がやすやすと手に入らぬと分った以上・・・無理をするものとそうでないものとが分かれておる・・・妾たちは・・・その乱れに乗ずるほかはない・・・今・・・国生みの戦は避けられぬとしても・・・被害を最小限でくいとめ・・・そして虎狼の餌食にならんですむ道をさぐらねばならん・・・メリケンでは南北戦争があり・・・その結果・・・より強き国が生れたという・・・おそらく・・・薩摩や長州・・・そして公家の一部には・・・そういう志を持つものがいるだろう・・・」
「いずれにしろ・・・細き道でございますな・・・」
「・・・ふふふ・・・幾島・・・それでも・・・道は一筋なのじゃ・・・縁があったら・・・また逢おう・・・達者でな・・・」
「姫様・・・」
すでに・・・天守の間から篤姫の姿は消えていた。
その頃・・・西郷党と名を変えた・・・くぐり衆の一団はすでに東海道を下っていた。
江戸城の周囲も騒然としていた。関東周辺を荒らす打ちこわし一揆の群れは・・・江戸近郊の宿場にも姿を現すようになっている。その中には忍びくずれも多い。また・・・食い詰めた浪人や・・・土地を失った農民を積極的に指揮する旗本さえもがいた。
将軍が留守をして長い江戸の警備を担当するのは庄内藩の酒井左衛門尉忠篤である。徳川四天王の一人酒井忠次の血を引く・・・15才の少年大名は・・・懸命に任務に努めていたが・・・各地で勃発する騒乱への対応に追われていた。
新撰組と同系列と言える臨時雇いの浪士隊・新徴組がその配下として活動している。組頭は・・・沖田総司の義理の兄にあたる・・・沖田林太郎・・・じつは新半蔵だった。
沖田は・・・忠篤の寝所に忍びいり直答することを許されていた。篤姫の采配である。
「林太郎か・・・」
すでに寝床についた忠篤が気配に気づき・・・身を起す・・・。
「どうした・・・」
「かねてから・・・探索しておりました・・・薩摩の忍びが・・・江戸城に討ち入るおそれ・・・これあり・・・」
「馬鹿な・・・」
「しかし・・・江戸城には・・・慶喜様を鬼道に導いた魔物たちが潜んでおります。狙いは・・・そのものたちの駆除かと・・・」
「だが・・・江戸城での騒動は・・・さけねばならん・・・手配せよ・・・」
「すでに・・・新徴組の忍びを忍ばせました・・・拙者も・・・これより・・・」
「我もまいる・・・」
江戸城大奥ではすでに・・・西方から戻った和宮の指揮の下・・・臨戦態勢が整えられていた。
「・・・滝山・・・状況を報告せよ・・・」
「・・・江戸城二の丸に・・・多数の魔族が集結しておりまする・・・おそらく・・・亀之助様の御身を狙ってのこと・・・」
「愚かな奴らめ・・・慶喜さんの代わりを作る気か・・・大奥・・・卍の陣を・・・ご覧にいれてさしあげなされ」
「御意」
重野に指揮された大奥しのび衆と・・・唐橋に指揮された大奥くのいち衆は本丸から大奥への通路と・・・二の丸から大奥への忍び道を固めている。
そこへ・・・半人半獣となった元の旗本衆やその一族が侵入を開始する。
だが・・・その戦闘力は魔人となっていた慶喜にははるかにおよばない。一人また一人と大奥しのびの餌食となっていく。
大奥にはりめぐらされた迷路はやがて卍の形を為してくのいちたちを吐き出していく。
大奥を襲った獣人たちはすでに守勢にまわっていた。
二の丸御殿に続く通路に和宮が現れた。
「今宵・・・ケリをつけるのでおじゃる・・・おフランスの魔物たちを焼き払っておしまい!」
二の丸に殺到するくのいちたち・・・。しかし・・・その姿が断末魔の叫びとともに空中に舞い上がる。
二の丸の壁がくずれ・・・姿を見せたのは巨大な蛇だった。
「おのれ・・・こんなところに潜んでおったか・・・」
和宮の顔色が蒼白になった。坂本龍馬の青龍変化によっても息の音を止められなかった相手と悟ったのだ。
荒れ狂う蛇は大奥のくのいちたちをなぎ倒し・・・逃げ遅れたものを飲み込んだ。
その蛇の前に沖田林太郎が・・・立ちはだかった。
「天然理心流奥義・・・鹿の角」
抜き打ちで仕掛けた林の剣が一瞬巨大な鹿の角のように古き蛇の胴体をなぎ払う・・・しかし・・・蛇は熱気を放って・・・その剣を溶解させた・・・。
「・・・なんと・・・」
呆然とした沖田の肩をつかむものがいた。
「おいどんが相手をいたすでごわす・・・国を思う気持ち・・・これあり」
忍び装束を解いた西郷吉之助は巨大な蛇をひと睨みした。
その夜・・・江戸城二の丸は炎上し・・・全焼した。
風下の江戸八百八町の民は・・・へびの蒲焼の匂いをかいだ。
関連するキッドのブログ『第44話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『オー!マイ・ガール!! 』(日本テレビ)『セレブと貧乏太郎』『チーム・バチスタの栄光』(フジテレビ)
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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
本編では戦闘シーンらしい戦闘シーンがないので
こちらの外伝でその辺りを堪能しております。
いいですねぇ、「鹿の角」
「馬の骨」と匹敵するネーミングです( ̄ー ̄)b
蛇は蛇という事で
我が国に眠るヤマタノオロチが召喚されるかと
思いきやオイシイとこは全部西郷さんが持ってきますね(笑)
魔神はもう無敵の強さですねぇ( ̄▽ ̄)
蒲焼は美味そうですが
海外モノは色んなものが混じってそうで
それを食べたら使い魔になりそうです(笑)
まぁそれはそれで魔獣兵として使えばいいんでしょうけど。
それにしても古来より
「賢者は他人の過ちから学び、愚者は自分の過ちから学ぶ」
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
私もそうですが今も昔もグシャグシャです(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: ikasama4 | 2008年11月11日 (火) 21時04分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
まあ・・・幕末で大奥もの・・・
というかなり変則的な趣向の大河ドラマでしたからね。
賛否両論あるでしょうが
篤姫というヒロインをめぐる物語としては
なかなか秀逸だったような気がします。
まあ・・・幕末好きな人や
戦が三度の飯より好きな人には
歯がゆいことこの上なしの展開ですけど。
戦争をやめろっ
と遊星仮面(古のアニメです)のような
ことを言う篤姫ですが
少なくとも安政の大獄から
西南戦争にいたるまで
大日本帝国の誕生には
かなりの血が流されるわけですし
その帝国が滅びるまでには
半端でない流血があるわけです。
日本国となって半世紀・・・
国民全部が沙慈・クロスロードなので
戦争が遠い異国での出来事という人が
前々世紀の内戦なんて
実感できない・・・ということなのでございましょう。
まあ・・・妄想では
なんでもありになりますが。
秘剣・鹿の角がうけてうれしい限りでございます。
江戸の警備担当は庄内(鶴岡)藩ですから
それは海坂藩も同然。
あの用心棒(元禄時代)の子孫が
江戸で警護の世話役をやってたりしたかもなあ・・・
とか想像がふくらむのでございます。
沖田(兄)にちょっとイメージをたくしてみました。
ま・・・オチ担当はおいどんですが。
きっと最終回ももっていくような予感でいっぱいです。
まあ・・・西郷☆さんですから。
江戸幕府が存続すればフランスの半植民地に
なったであろうことが濃厚ですが・・・。
そうはならない不思議。
正史の流れは理解しても・・・
どうしてこうなったんだろう・・・(明治維新)
とふと不思議な気持ちになるのが
幕末。
あらゆる可能性が満ちていたような気がします。
まあ・・・米国の南北戦争から3年・・・。
アメリカの真似の第一歩が
日本の南北戦争(戊辰戦争)だったと
思う今日この頃です。
最後くらいはドンパチしてもらいたいのですが
・・・しないのでしょうねえ・・・。
投稿: キッド | 2008年11月12日 (水) 04時59分