報道にケンカ売りましたー・・・「たらいまわしってなんだよ・・・現状理解して言ってんのかよ・・・助かる命ならこっちだって助けたいんだよー」宣言です。まあ・・・多数決とると医師<患者、医師<国民なので仕方ないんですけどね。
ど深夜の「夢をかなえるゾウ」↘*3.3%の倍を確保した「小児救命」↗*6.6%・・・「七瀬ふたたび」↗*6.2%はおよばず・・・最終回なのにね。
一方、「風のガーデン」↘15.2%は・・・山を過ぎましたか・・・。余命いくばくもない息子の夢をかなえてやりたい父・・・余命いくばくもない父の茶番にだまされたフリをする息子・・・なんていう・・・猿芝居ですが・・・堪能です。
で、『七瀬ふたたび・最終回』(NHK総合081211PM8~)原作・筒井康隆、脚本・伴一彦、演出・吉川邦夫を見た。ようやく・・・終ってくれました。
今回のドラマの主張
①「未知能力」は誰にでもある
②昔の人間は言葉で分かり合えたので未知能力は潜在化した
③今の人間は分かり合おうとしないので未知能力が発現
④殺さなければ殺される
・・・以上です。
妄想補完版最終回「私たちは時々つながっている」・・・七瀬(蓮佛)たち未知能力者(テレパス、サイコキネシスト、タイムリーパー、透視者、予知者などの総称)を利用して世界征服をたくらむNPO法人「パクス・シエンティア」は超未知能力者である七瀬を最大獲得目標にして手段を選ばぬ活動を開始するのであった。・・・恐ろしいことである。
七瀬は覚醒した。世界が七瀬に流入し・・・七瀬が世界に流出する。世界と一体となった七瀬は消失し・・・そして世界も消失した。
その白濁した世界から・・・七瀬は自分を再構成した。七瀬はパクスシエンティアの東京本部で実体化する。
パクスシエンティアの触手の一つである佐倉(光石研)は恐怖を感じた。
七瀬は未知なる心の手で佐倉の脳にタッチした。「なぜここに」「僥倖」「警備員は」「恩師の娘を入手」「世界平和の実現」「クラスアップ」「反省」「歓喜」「心を防備」「麻酔銃」「説得」「てごめ」「処女なのか」「やわ肌」「確保」「人払い」「床の上で」「押し倒す」「歓迎のあいさつ」「万歳」「しかし」「一筋縄では」「たかが小娘」「出世」「勝って兜の緒をしめよ」
七瀬は佐倉の脳に命じた。「あなたは風にゆれる柳になりなさい」
佐倉は風にゆれる柳になった。七瀬は佐倉の脳にある情報を読み取った。
「末端・・・組織の中枢のことは・・・何もしらない・・・小者・・・?・・・すると・・・中枢にいるのは・・・私と同じ・・・アクティブ・テレパシスト・・・可能性は高い」
七瀬の心に怯えを伴った闘志が芽生えた。
闇に潜む好敵手は一瞬・・・七瀬の心をとらえた・・・自分を包み込んで去っていた七瀬のぬくもりの不快さを感じる。好敵手は口元を幽かに歪めた。
真弓瑠璃(柳原可奈子)は言った。「きっと七瀬は私が自分のことそんなにデブじゃないって時々思ってることを知ったのだわ」・・・増田店長(北村総一郎)は慰めた。「いいじゃないの・・・デブなら誰だってそう思うことはあるさ」
ヘンリー(郭智博)は朗(宮坂健太)と街に出た。お腹がすいたからだ。ノコノコなので仕方ないのだ。痩せたマリオのような警官A(徳井優)は驚いてジャンプした。
一番大人で一番知的な漁藤子(水野美紀)は学者バカなのでいかにも怪しいジャーナリスト大野(堀内正美・・・多岐川版の岩淵)を信用する。ウカウカである。
今時・・・国際的なジャーナリストのネットワークがなにほどの力があると言うのだろう。
なにしろ・・・相手は・・・一国の警察機関を制御しうる組織なのである。
まして・・・世界とつながることのできる七瀬にマス・メディアもインターネットもまったく必要ないのだ。
もちろん・・・七瀬は周知である。しかし・・・敵をおびき出す餌として・・・自分の体を使うために・・・湖畔でのインタビューを承諾する。
七瀬は未知なる心の手で大野の脳にタッチした。「なぜここに」「僥倖」「美人だ」「処女なのか」「腋の下」「嗅ぎたい」「スクープ」「名声」「シリーズ展開」「ギャラ」「カニしゃぶ」「圧力」「報告」「待ち伏せ」「それほどすごいのか」「ゴシップ」「グラビア」「霊能力」「細木」「美輪」「北条」「サバイバル」「ご利益」「へその穴」「嗅ぎたい」「小娘」「転ばぬ先の杖」
七瀬は落胆した。大野は明らかに好敵手ではない。好敵手は用心深い。ゲームを楽しむ気がないのか・・・。
その時藤子が別の未来軸の藤子にスイッチした。藤子は被弾していた。
七瀬は驚愕した。好敵手は・・・時間軸も統合している可能性がある。もしも・・・そうならば七瀬は釈迦のてのひらで踊る孫悟空である。
藤子「遡行・・・藤子不二雄・・・峰藤子・・・藤峰子・・・最近フジテレビのおよびがない・・・刑事雪乃さんはやらないの?・・・」
西尾(今井朋彦)「透視能力者は現在を生きている・・・未来の夢をちょっぴり見るお前には負けられないのだ」岩渕(塩谷瞬)「ここで撃てない奴を演じておけばお人好しの二枚目役がくるかもしれないんだよ・・・オレはイロモノじゃないんだ」西尾「どうせこんなドラマ黒歴史だけどな」
ヘンリーと朗は警官隊に包囲されていた。
七瀬は実体を消去できなかった。好敵手のプレッシャーを感じる。
「私を実体化させたまま・・・殺す気か」
その時・・・岩渕は最後の力を振り絞った。愛する男の痛みが七瀬を混乱させる。
「恒介さん・・・ヘンリー・・・朗・・・藤子・・・みんな・・・あわてないで」
「ヘンリー・・・撃たれた・・・警官Aに撃たれた・・・七瀬さん・・・私はあなたの崇拝・・・」
「七瀬・・・七瀬・・・一回・・・やりた」
「踊る大・・・青島さ・・・」
「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・ボク・・・なぜか勃起しちゃったよお」
その時・・・好敵手は七瀬の背後に実体化した・・・発砲寸前に実体化し・・・発砲後に虚体化する・・・好敵手は小心者だった。
「撃たれた・・・私撃たれた・・・手を伸ばせ・・・届け・・・警官たちの心まで・・・最後の力をふりしぼる・・・あなたたちは・・・サボテンの花になりなさい・・・」
警官たちはサボテンの花になった。
高村刑事(市川亀治郎)「七瀬が朗に入ったか・・・それでヘンリーがキスされてうれしいかどうかは別として・・・あるいは・・・趣味によっては萌えか・・・」
朗「私は七瀬であり朗なのです・・・そしてヘンリーです」
色彩設計が狙いなのか失敗なのかよくわからない草むら。
七瀬「二人のラブロマンスを描きたかったんだって・・・」
岩渕「冗談じゃないで大失敗したのに・・・懲りないのかな・・・」
七瀬「とにかく・・・これでまた・・・やっぱりSFは・・・って言われるわね」
いつだって いつだって 君を困らせてばかりで
ただ黙って 君笑って 僕を許してくれる
甘えるのもほどほどにしてもらいたい。
で、『小児救命・第8回』(テレビ朝日081211PM9~)脚本・龍居由佳里、演出・片山修を見た。今シーズンは通しで脚本を書く作家が結構いて・・・それなりに明暗を分けている。視聴率という一つの指標で言えば「風のガーデン」の倉本、「流星の絆」の宮藤がホッと一息で・・・「イノラヴ」の浅野、「バチスタ」の後藤、「SCANDAL」の井上がハラハラ、「OLにっぽん」の中園が傷だらけで「小児救命」の龍居が血まみれといった感じなのだが・・・「小児救命」はそれほどひどいドラマではないのである。
テーマも充分にリアルで重いものだし・・・その展開も悪くない。ただし・・・ドラマとしてはそれだけでは魅力的なものにならない・・・と言う問題もあるし・・・なにしろ・・・裏が「渡る世間は鬼ばかり」↗14.9%なのである。
善悪の狭間にある人情ものでは勝てないという計算が必要なのである。で・・・医者=善、患者(の家族を含む)=悪の構図になってしまうとこれがまたつらいのだな。
きっと・・・誰か一人・・・あの人のパフォーマンスを見たい・・・と思えるキャラがいればよかったのだが・・・不在である。
その結果・・・みんながひたすらに「がんばるしかない世界」を延々と続けているような按配になっている。実は・・・それはそれで面白いのだが・・・その面白さが伝わりにくいのである。
なぜなら・・・エピソードが分断されているし・・・それがスピーディーでないという矛盾をかかえているのである。
今回のエピソードは次のようになっている。
①名波医師(藤原一裕)の患者だった亜美(大森絢音)が手術で失明
②クリニックの経営(赤字問題)についての宇宙(小西)と狩矢(塚本高史)の応酬
③赤字問題にともなう看護師たちの待遇改善要求
④赤字問題にともなう小暮救命士(勝地涼)の進退問題
⑤赤字問題にともなう宇宙の父(大杉漣)への借金申し込み
⑥真柴医師(田実陽子)の成長
⑦樋口医師(山口紗弥加)の心情
⑧柾医師の実子が水難事故で危篤状態のままたらいまわし
・・・である。この中に・・・片桐医師(苗木優子)の主婦であり母でもある悩み、赤池医師(渡辺えり)の軽いツッコミなど・・・もうあふれんばかりなのである。
そこに亜美の母親(横山めぐみ)だの柾医師の妻(秋本奈緒美)だのも乱入なのである。
・・・これはある意味豪華です。そして・・・相当・・・しぼりきれません。
たとえば・・・失明して落胆する亜美を宇宙がピアノを弾かせて笑顔にさせる。これでもう充分オチなのですが・・・その後で柾医師の息子を全員集合で緊急救命・・・さらに柾医師が目玉を落としそうな熱演で感激・・・その上・・・たらいまわし批判で殺到する取材に宇宙が医師の立場で「たらいまわしって言うな!」の大演説。
もう・・・内容的にはかなり過激にはみ出しているのですが・・・どうやら・・・お茶の間にはその熱意がつたわっていない模様・・・一言で言えば・・・メリハリ不足です。誰かーっ・・・ろくでなしをやってくれるといいと思います。
何ひとつ欠けても 駄目なんだよ
今きみと ともにいる この場所が好き
生きてれば 会えるだろう
いつかまたここで
って気持ちはわかりますけれど。
で、『風のガーデン・第十話』(フジテレビ081211PM10~)脚本・倉本聰、演出・宮本理江子を見た。十話タイトルのユーフォルビアはトウダイソウだが・・・それはロウソク灯す燭台に似ているからである。クリスマスでお馴染みのポインセチアはこの一種である。ポイセチアには「祝福」と「情熱」という二つの側面がある。
貞三(緒形拳)は黄色い花のユーフォルビアアムジラッサに「乙女の祈り」という花言葉をつけるのですが・・・乙女の祈りは・・・祝福と情熱に満ちているのでしょう。
あの世の先輩である二神(奥田瑛二)は「花園のような安楽な世界」へ貞美(中井貴一)を誘います。
この花園の清らかなイメージと・・・登場人物たちの生臭い息遣いがメリハリです。
そして・・・イノセントを代表するのが永遠童子・岳(神木)・・・幼女に悪戯したり幼女を殺害したりすることもなく・・・清らかに生きているのです。
そして・・・それに順ずるのが・・・仮想乙女・ルイ(黒木メイサ)ということになるでしょう。
もちろん・・・不倫の過去を持つルイは清らかとはいえないのですが花としてそれが自然なお年頃でもあります。
生臭い人生を送ってきた貞美は岳やルイに安らぎを求めています。
それはある意味おこがましいことですが・・・かってはそれを怒った貞三も自身が看護婦との色恋沙汰の過去を持つ親子二代のナース食いなのでもう許しまくるのです。
もちろん・・・貞美は貞三に「ルイの花嫁衣裳が見たかった」などとほざくのですがそれもまたある種の社交辞令で・・・貞美はただ安らぎたいのです。
しかし・・・生臭いメンバーや、フィナーレにイヴェントを用意したい脚本家としては・・・その結婚式を実現せずにはいられないのです。
ここで・・・①実際の恋愛を描いていくという方法もあるのですが・・・貞美の本心を考えると・・・それは躊躇するしそんな時間もないということで②偽装結婚でいいじゃないかということになります。
まあ・・・どうして・・・岳は天使ガブリエルとあえてお別れをしなければならないのか・・・とピンとこない人も多いでしょうが・・・そういう障害を永遠童子が抱えていることを貞三もルイも承知しているということです。それでも・・・岳は来週はそれなりに出番を確保するでしょう。
厳かな「死」と生臭い「生」の狭間を永遠童子は生きているからです。
さて・・・貞三、ルイ、岳の貞美の安らぐ三人の反対側に・・・生臭い三人が配置されています。
一人は長年の愛人・妙子(伊藤蘭)、最後の愛人・茜(平原綾香)、そして最初の愛人・エリカ(石田えり)です。彼女たちはある意味・・・見捨てられたという立場でそれぞれにコミカルなのですが・・・今回はエリカがその立場を充分に発揮します。本当は「昔の愛人として・・・最後の女として・・・甘い抱擁を交わしたい気持ちが充分」なのですが・・・貞美にはこれっぽっちもその気がないというのが微笑ましいのですね。
来週は妙子もがんばって女の意地を見せてもらいたいところです。
まあ・・・まもなく貞美が行くつもりの天国の妻がどういう目でこれを見ているか・・・を考えますとまた爆笑ですがね。
ラジオから流れる茜の『カンパニュラの恋(日本語詞)』は『ノクターン(英語詞)』とくらべるとかなり生臭いのがポイントです。
Love true love それは ただひとつ
あなたに捧げる愛
Love true love いつか 私が愛した
あなたの声を忘れられる日はくるの?
・・・でございますからね。
そういう生と死の中間に立つのが石山修(平野勇樹)・・・。道化役に描かれていますが彼こそは貞美の若き日の生臭さの象徴です。若さの持つ素晴らしさを・・・彼は本当には知らない。けれども・・・彼が初夜に恵まれますようにと心から祈りたい今日この頃です。
彼こそはノクターンで歌われる貞美のsoul mate(魂の友だち)に違いないのですから。・・・おいおい。
さあ・・・貞美と貞三のどっちが長生き競争も最終コーナーを曲がったようです。
すごい・・・デッドヒートだなあ・・・。
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土曜日に見る予定のテレビ『ブラッディ・マンデイ』(TBSテレビ)『おとり捜査官北見志穂』(テレビ朝日)『南沢奈央の赤い糸』(フジテレビ)『トンスラ』(日本テレビ)『アグリー・ベティ』(NHK総合)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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