結婚しようよとかなごり雪とかそういう青春時代の監督の四日間の奇蹟です。(尾高杏奈)
さて・・・そういうことなのだが、大晦日は地獄(悪魔にとっては天国)の体制である。
そこでとりあえずの仮記事でお許しください。誰に許してもらうつもりなのだ。
うわあ・・・もう一時間前だよ。
で、『四日間の奇蹟(2005年公開)』(TBSテレビ081231AM1~)原作・浅倉卓弥、脚本・砂本量(他)、監督・佐々部清を見る予定です。見たらレビューする予定。でも予定は未定だからな。・・・(幻の08大晦日・09元旦を経過)・・・だが、どうにか予定をクリアできた。自分でも時々天才だなと思うことがある。でもってなんだよ。
さて、ベストセラーの映画化である。様々な人生がおりなす物語でやや散漫な部分もある。ミステリーと聞いて怪奇小説を浮かべる人は前半裏切られるし、犯罪小説を思い浮かべる人は最後まで裏切られる。トリック小説を期待する人はいくつかのヒントを見出すかもしれない。ハートウォーミングストーリーを求める人にはそこそこ推奨できる。ラブコメとしてはまあまあである。なんとなく心霊ストーリーだからである。「ゴースト~瀬戸内海の幻」ということです。
物語の中心を占めるのは瀬戸内海に浮かぶ小島。背景となるのはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、ドヴォルザークの「新世界より~家路」、ベートーヴェン「月光」、ショパン「子犬のワルツ」「ノクターン(第二番)」「別れの曲」などのピアノの定番曲。
クラシック音楽という特殊な世界で才を発揮していた敬輔(吉岡秀隆)は海外での演奏旅行中、強盗事件に巻き込まれる。このあたりの経過の描き方があっさりなのでなにか秘密があるのではとミスリードである。しかし、そういう展開はまったくない。とにかく、そのため左手の中指を失った敬輔はピアニストとしての絶望の渦中で同時に両親を失った孤児の千織(尾高杏奈)を事件被害者同士という成り行きで引き取る。しかし、知的障害のある千織はいわゆるサヴァン症候群の特異な症状を示し、のだめ的ピアノの才能を持っていたのだった。
一方、敬輔の高校時代の後輩だった真理子(石田さゆり)は敬輔への憧れを胸に秘めつつ、学生時代に知り合った旅館の跡取り息子の嫁となる。結婚披露宴で歌われる「瀬戸の花嫁」がいわば庶民の象徴である。しかし不妊症であるため夫から離縁されわだかまりを抱えつつ脳機能障害者施設の職員となった。
知的障害のある天才ピアニストとして注目を集める千織は育ての親の敬輔とともに真理子の働く障害者施設で慰安演奏をすることになる。付属する脳科学研究所の医師・倉野(西田敏行)はサヴァン症候群について興味を持ち招聘に一役かっているが、推進したのは初恋の思い出に萌える真理子だった。
障害者施設は瀬戸内海に浮かぶ小島にあり、本州とは橋で結ばれている。実はこの橋を渡り島にたどり着いた時から敬輔と千織は異界漂流者となっているのである。
島では障害者とその家族が一緒に暮らし隔離された人生を生きている。倉野医師も妻(松坂慶子)が事故によって植物人間状態である。ただし、光合成をするわけではない。いわゆる植物を連想させるような病状というたとえである。念のため。このあたりまではミステリーの序盤とまだ見せかけている。
憧れの敬輔と再会した真理子は「こんなに好きなのに相手にはまったく覚え」がないという現実に軽くショックを受けたりするのもリアリティーがある。
しかし・・・施設で患者や職員に頼られる存在として生きてきた真理子は無遠慮な態度で千織の心をつかむ。
演奏会も終わり、島を去ろうとする二人にせつない気持ちを抱く真理子。
そこで落雷事故が発生し・・・千織をかばった真理子は致命傷を負う。
ここからはミステリー的ムードの中に身を潜めていたファンタジーが牙をむき出すのである。
さて・・・サヴァン症候群は極めて特異な脳の活動を示す例を含んでいる。映画「レインマン」では数字の暗記力だけに驚異的な才能を示す主人公が描かれているがこれもサヴァン症候群の一例とされる。
本作ではいきなり・・・ファンタジーの「心あるいは魂」としての映画「転校生」的な人格転移が描かれているわけだが、実はサヴァン症候群の特殊な例として人格転移を描くことも可能であったと考える。心に鬱屈をかかえながら他人の愚痴の聞き役に徹していた真理子が知的障害をかかえる千織に自分の心のウサを吐き出したと思える描写があるからである。
特殊な記憶力を持つ千織は一瞬にして真理子の人格を模写してしまった可能性があるのである。
しかし・・・それは説明が面倒なので・・・事故のショックで千織の体に真理子の心が憑依したという展開で物語はすすんでいく。千織の心は行方不明だが・・・その後は真理子となった千織が「神様が残り時間を教えてくれた」とか「千織の体が敬輔の心を包んでいる」とか「キスして」とか神がかった発言をするのでもはやファンタジーを見るしかないのである。
まあ・・・体は千織で心は真理子になってからは・・・「千織を助けたけれど指を失って時々後悔する敬輔」や「初恋の人とは言葉も交わせず旅館の嫁になったが石女だから離縁され仕方なく障害者たちの相手をクタクタになるまでしている真理子」そして「両親を失い頼りにしている敬輔の中に自分への憎しみを感じたり初潮を向かえ女として敬輔を意識して困惑する千織」のこわばった心や頑なな心やとまどう心を「奇蹟」がほぐしなだめ癒していく物語となっていく。
おそらく灯台に超時空から飛来した異次元生命体が妙な機械を設置して特殊な粒子を放射していたと考えるのが妥当である。
やがて・・・その時が来て・・・新しい家族ができる。敬輔はパパで夫となり、真理子の心を抱えた千織は娘でありママであり妻となるのである。二人だけど三人家族なのだ。実に幻想的な決着である。もちろん擬似近親相姦であるが・・・それは清く美しく優しい関係なのです。
関連するキッドのブログ『パパとムスメの7日間』
木曜日に見る予定のテレビ『相棒 元旦スペシャル ノアの方舟』(テレビ朝日)『黒沢清の叫』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
本年も大変お世話になりました。
あまり更新も、訪問もできず申し訳ありませんでした。
来年は更新頑張るつもりです。
携帯を使ってででも更新頑張ります。
投稿: 結城 美里 | 2008年12月31日 (水) 15時23分
こちらこそお嬢様たちの取材を
いつもありがとうございます。(じいや)
ふふふ、無理はいけませんぞ~。
マイペースでお願いします。
キッドなんか今、フラフラでございます。
今はラジオを聴きながらのんびりしていますけど。
聴いているのはNHK-FMです。
紅白とダウンタウンもチラ視してますけど。
美里様もどうかよいお年をお迎えくださりますように。
投稿: キッド | 2008年12月31日 (水) 21時51分
キッド様
昨年は大変お世話になりました。
CHANGEでは、キッド様様でありがとうございました。
後半、なかなかお邪魔出来ず失礼なヤツですみません。
今年もキッドじいやについていきます~!
ごっこガーデンも楽しみにしています~!
2009年楽しく過ごせますように!
また宜しくお願いしま~す!
投稿: アンナ | 2009年1月 1日 (木) 12時30分
じいめはたった今、気がついたのですが
アンナお嬢様のお出迎えコメントの絵文字は
サーファーのアンナ様のダーリンを
イメージしていたのですが
よく見るとスノーボードなのでございました。
ずーっとボケていましたぞ。
けれど・・・ココログの絵文字、
スノーボードがあってサーフボードがないのは
どういうことでございましょう。
スノーボードの方がサーフィンより
メジャーなのでしょうか。
そうか!五輪にサーフィンないからか!
と合点したじいでございます。
心ゆくまでダーリンを堪能するアンナ様、
ステキでございましたぞ。
アンナ様の幸せがじいめの幸せでございますからーっ。
これからもとことん
ダーリン道を突き進んでくださりますように。
お嬢様の道は幸せあふれる一本道でございまする~!
投稿: キッド | 2009年1月 3日 (土) 17時03分