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2008年12月 5日 (金)

女はこわい・・・こわいは父さん・・・父さんはボクサー(黒木メイサ)七瀬ふたたび玉砕(蓮佛美沙子)がんばろうの神様に祈る(小西真奈美)

父さん(ガッツ石松)が叩けば嵐を呼ぶぜの「風のカーデン」↗16.1%である。そうだよなあ・・・チャンネル変えたくても最初から最後まで涙でコントローラーが見えないからな。

一方・・・今季の低視聴率番組の中では丁寧に作っているのに・・・お客がつかない「小児救命」↘*6.2%・・・花嫁の父が花婿に叱咤激励・・・医師が医師を叱咤激励・・・救命士が患者の親を叱咤激励・・・叱咤激励すぎるのがいけないのか・・・頑張り屋さん冬の時代である。

「おみやさん」↗12.2%の半分もとれない「七瀬ふたたび」↘*4.7%は内容的に仕方ないよう・・・。

「夢をかなえるゾウ」↗*5.1%にも勝てないとなると・・・ちょっと哀れになってきました。

「七瀬」→「小西救命」→「風のガーデン」→「ゾウ」と続きでみると(できの悪さに激怒)→(やや感動)→(涙がとまらない感動)→(落ち着く)で起伏が激しくて疲れます。

で、『七瀬ふたたび・第9回』(NHK総合081204PM8~)原作・筒井康隆、脚本・伴一彦、演出・陸田元一を見た。前提として・・・「生きることに意味がない」という出発点がないのである。だから平気で「超能力があることの意味があるはずだ」というセリフを書いてしまうのだな。もちろん・・・必然としてそれはある。原作にもあるが全く意味が違うのである。

「突然変異」ではなく「潜在能力の顕在化」などとセリフを書いてしまうのだが・・・その違いについて説明する気もない。

自由よりも平等を優先した理想主義のどこが悪いのかという理念はなく・・・邪悪な存在の西尾(今井朋彦)が属する組織だから悪いという展開である。

作劇のテクニックとしては「どんでん返し」を連打。

①悪い組織に洗脳されてしまったような岩渕(塩谷瞬)が漁(水野美紀)を襲う・・・しかし・・・それは仲間を守るための芝居だった。

②これまでずっと献身的に七瀬を支えてきた異常なほどの善人・真弓瑠璃(柳原可奈子)・・・しかし・・・七瀬(蓮佛)がテレパスであることを告白すると手のひらをかえし親友の七瀬を「化物」呼ばわりである。

③西尾が証言を翻し七瀬を犯罪者に仕立てる・・・そして・・・もはや設定的には全知全能の七瀬を敵にまわす組織なのだった。・・・アホか。

ただ一つ言えることは・・・NHKテレビ8版の七瀬は非の打ち所のないおバカさんに設定されているということです。

おそらく・・・脚本家は女はバカであるべきだという信念を持っていると思われます。

・・・心の中のことは人に知られたくない。

人に知られたらイヤだ。

しかし・・・私は人の心を読むことができる。

そのことを親友に知っておいてもらいたい。

親友だから私に心を読まれてもきっとイヤがらない。

告白・・・玉砕である。

まあ・・・幼稚園児版・七瀬ふたたびなら・・・これでいいと思います。

あれか・・・「喰いタン」モードでやっちゃったか。

で、『小児救命・第七話』(テレビ朝日081204PM9~)脚本・龍居由香里、演出・唐木希浩を見た。全9回らしい・・・「オー!マイガール!!」も「Room Of King」も全9回である。まあ・・・ビシネスなので仕方ないのである。

ネグレクト(育児放棄)された過去を持つ小児科医が・・・絶対に患者を受け入れ拒否しない病院を作るという設定も悪くないし・・・主人公・宇宙を小西が演じるのも悪くない。しかし・・・過去にエキセントリックな役柄の多かった小西だけに・・・イメージ・チェンジに失敗した気配が濃厚なのである。

過去を抜きにして・・・「理想に萌えすぎて周囲が見えないキャラ」だと・・・お茶の間は引いて行ってしまったということだ。

さらに・・・その気もないのに・・・山口紗弥加と塚本高史・・・小西と勝地涼のダブル三角関係をフリすぎなのである。

そうかと思うと・・・宇宙の父・青山(大杉蓮)とベテラン医師・赤池(渡辺えり)が知り合いだったことを間延びするほど時間をとって描いたりしている。

そうすると・・・丁寧に描いたことで・・・やや矛盾が生じたりする・・・たとえば・・・赤池が・・・自殺しようとする患者のために・・・自分の過去を告白して・・・赤池が・・・宇宙に共感してしまうシーンとかがやや・・・不自然になるのである。

もちろん・・・それは・・・養父でありながら・・・親バカである青山をアピールするためには有効なのだが・・・面白みには欠けるのである。

丁寧に描くなら・・・宇宙はやはり・・・一人一人に白羽の矢をたてて・・・それなりに医師たちをスカウトしていくところから始めるべきだった。

その上で・・・それぞれの医師のエピソードを成立させることは可能のはずだし・・・主人公のキャラクターの深みが増したはずである。

実の親に虐待され・・・心を失いかけていた宇宙をこの世に呼び戻したとされる養母(大塚良重)が・・・求婚にきた狩矢(塚本)に「宇宙を幸せにする幻のペンダント」をかけるシーンなどは絶妙なのであるが・・・51歳の女優が演じるやや早すぎる認知症・・・の過程も伝わりにくい。

「我が家の歴史は一言ではすまない」と花嫁の父は・・・やや不機嫌に・・・狩矢にあたるのだが・・・描写のバランスが悪いのでお茶の間をそういう気分にさせては・・・せっかくのいい話がもったいないことになってしまうのである。

まあ・・・やはり・・・もう少し・・・話のポイントを絞るべきだったんだなあ。

小児外来版「ER」は「コード・ブルー」よりパクリそこなっているとも言えます。

これにチャレンジするときは・・・リーダー作家と個別エピソード作家のチーム制が必要かと思われるのです。

で、『風のガーデン・第9回』(フジテレビ081204PM10~)脚本・倉本聰、演出・宮本理江子を見た。緒形拳の回であり・・・圧巻だった。これが最後の役かと思わずにはいられないのだが・・・そういう気配は一切感じさせないのである。人生に意味などないが・・・素晴らしい人生もあるということである。

余命いくばくもない・・・もうすぐ死んじゃう人の話では・・・「優しい時間」も「拝啓、父上様」も少し・・・だれた感じがしたのであるが・・・本作の今回は・・・もう余白がないほどすべての場面が涙腺を刺激する展開になっている。

まあ・・・演じる役者の力量もありますけどね。

今回の白眉は・・・息子・修(平野勇樹)の不始末をわびる養蜂家・石山猛(ガッツ)である。

息子から・・・白鳥家の令嬢・ルイ(黒木メイサ)にプロポーズしたと聞いた猛は・・・息子の狼藉に我を忘れ・・・鉄拳制裁である。猛の感覚では・・・ルイに修が求愛することは拉致監禁暴行殺人をしたのも同然だったのだろう。

もう・・・世間に顔向けが出来ない気持ち・・・息子の馬鹿さ加減に不憫な気持ち・・・が入り混じって・・・嵐のようなワンツーワンツーなのである。この場面を演じるために生れてきたような迫真の演技だった・・・。

そして・・・息子・貞美(中井貴一)をの悪行を懲らしめるために勘当した過去を持ち・・・今・・・そのことを悔やんでいる父・貞三(緒形)は・・・貞三にわびようと息子を折檻する猛を止めるために猛の頭をポカポカなのである。

前後・・・涙なくては見られないシーンだったので爆笑して鼻水が出ました。

さて・・・前回・・・勘当したけど心では可愛い息子に再会できると喜び勇んで特製・末期医療キャンピングカーを訪問した貞三は・・・息子の寝顔を楽しむ間もなく・・・息子を襲っている病魔を察知します。

息子の病状探偵と化した貞三は・・・息子の親友である水木医師(布施博)を直撃。

ここでも・・・私用なので律儀に水木の仕事が終るのを待つ貞三だが・・・それは息子の病状を一刻も早く知りたい気持ちと怖くて聞きたくない気持ちが早くも葛藤していると見ることもできる。

水木から・・・息子の余命いくばくもないことを告げられた貞三は・・・街を彷徨う。

姿勢正しく凛として足取りはしっかりしているが・・・よろめくのである。

姉の春江(草笛光子)の家を訪れた貞三は・・・「息子がもうすぐ死ぬときかされて頭が混乱して・・・どうればいいのかわかりません・・・」

かわいい弟とかわいい甥の悲しい運命に春江は顔を覆って泣きました。

一方・・・天使ガブリエルとなった貞美は知能に障害のある息子・岳(神木隆之介)と風のガーデンで会話を弾ませています。

神木にこの役をふったのは見事な配剤だなあ。美少年天才子役から俳優のステップをあがるために・・・このぐらい普通でない役を当てた方がのびのびとやれるものな。

岳はまだ恋愛をしないようなのでラヴはないわけであるが・・・文字通りイノセントである。

永遠童子として生きていく宿命にあり・・・姉ルイとのコンビで実は春江・貞三と対応している。

春江は貞三をいくつになってもかわいい弟と見るのだが・・・ルイは見るだけでなくずっと弟の面倒を見る覚悟を持った姉なのである。そう考えると妻子を持った男との不倫をするルイが少し悲しく浮かび上がるだろう。

ルイは・・・ある意味・・・苦労知らずの元・暴走族・猛を「弟に悪影響を及ぼす」と追い払うのだが・・・そのために・・・ことさら厳しく弟に作業を命じ・・・うっかり・・・そのことを忘れて帰宅・・・弟の不在にあわてふためき・・・台風の中・・・嵐に備えるガーデニングを続ける弟を発見し・・・抱きしめるのである。

「ごめん・・・姉ちゃん・・・忘れんぼで・・・」

姉弟の前途を憂う嵐のガーデンなのだった。まあ・・・楽天的な元暴走族と・・・親子二代看護婦と火遊びの祖父と父を持つルイ・・・永遠童子の岳はそれなりに楽しそうな家族になりそうなのが・・・嵐の向こうに見える仄かな希望の光なのです。

一方・・・祖父から父の病状を聞いたルイに「生前葬」の話をして・・・ひどい!・・・と言われてしまった貞美の幼馴染(ふせえり)は最初の女(石田えり)と軽い漫才。えり・えりで~す。

えり「もうすぐ死ぬ人に生前葬とかしてしまったっしょ~」

えり「そりゃ葬儀代金浮いてちょうどよかったっしょ~」

二人「行動・感動・でっかいど~」

・・・失礼しました。そして・・・本日のメインエベント~である。

貞三・貞美父子ご無沙汰を侘びるの幕。

貞三「お前・・・オレより先に逝くかもしれないんだってなあ・・・」

貞美「・・・すみません・・・」

貞三「お前・・・今・・・やりたいこととか・・・ないのか・・・」

貞美「・・・子供たちに・・・何かしてやりたいんですけど・・・何をしてやればいいのか・・・」

貞三「・・・家に・・・帰ってこい・・・オレに世話させてくれ・・・」

貞美「・・・父さん・・・」

そして・・・夜更け・・・娘の好きな花の球根を野に植える貞美。スープを作って届けにきた娘に・・・「来年の春には・・・すごい花園見せてやるぞ~」・・・春まで父が持たないと知る娘は・・・涙をこらえて・・・素知らぬ顔で作業を手伝うのだった。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『ブラッディ・マンデイ』(TBSテレビ)『黒木メイサの男装の麗人・川島芳子の生涯』(テレビ朝日)『南沢奈央の赤い糸』(フジテレビ)『トンスラ』(日本テレビ)『アグリー・ベティ』(NHK総合)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

8時のNHKは序盤こそ良かったんですがねぇ。
日曜のドラマの撮影で人材が奪われてしまったのかも
しれませんがねぇ。

子供向けにするのか大人向けにするのか
作ってる本人もわからんようになったんでしょうけど
これは完全に玉砕です。


小児救命は
面白いのは面白いのですが
どうも社会の問題点とかを集めようとしてて
時々収拾がつかなくなってますねぇ。

ガンバレ、コニタン(゚ー゚)


風のガーデンは相変わらずの上手さですね。

ガッツ石松さんと緒形さんのポカポカシーン
ちょっとした癒しにもなるのですが

エンディングで修の治療をしてるとこで

こんな風に殴っても
また一緒にこの親子は暮らしていく

それが出来なかった貞三は
羨ましかったかもしれないと思わせるような
余韻を感じさせます。

ドラマ序盤は演出で見せたとこがありますが
終盤に来て役者さんの技量をこれでもかというくらい
存分に見せてくれます。

今期の中で一番安心して見られます( ̄▽ ̄)b


ただ、お子ちゃまに
濡れる⇒オンナの説明を求められると困りモノですが(; ̄∀ ̄)ゞ

投稿: ikasama4 | 2008年12月 6日 (土) 18時03分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

まあ潤いの問題については
「女の子は泣き虫」だからだよ~
などとごまかすのが親心というものですな。

基本的に・・・あえて
こういうコトバを使うのは
作者の稚気というものですが
大先生だから許されるということでしょう。

前半のダプル不倫も
きっともう少しネチネチ描きたかったのかも
しれませんが

まあ「生」から「死」へと向かう話として
「性」をある程度匂わすための
必要以上にならず
よかったと思います。

まあ・・・北海道ならではの
野卑なおおらかさというのは
石田えりが一身に請け負う感じですが・・・。

最初の愛人(石田)よりも
長年の愛人(伊藤蘭)よりも
最後の愛人(平原綾香)よりも
・・・家族がいい・・・
というのが骨子でしょうからね。

どうしても死ぬまで現役の
(例)織本順吉じいちゃん
泥臭さをアピールされたい気があるのですが
ここはグッとこらえて
メルヘンにもっていってもらいたいと
希望するキッドです。

コニタンにはがんばってもらいたいです。(*´∀`*)

七瀬は・・・もう・・・なんていうか・・・
また・・・SFはダメだ・・・
とか言われるような気がして・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

投稿: キッド | 2008年12月 6日 (土) 19時43分

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