天正元年七月はギリギリありますっ!(相武紗季)
三回続けて笑わせてくれるとはなかなか・・・。それにしても・・・越中へ出陣!(つづく)・・・一週間・・・(つづき)越後へ凱旋!である。どんな戦国時代なんだ・・・。
ちなみに上杉謙信は元亀四年夏、越中松倉城主・椎名康胤を攻め、落城させ、さらに越中富山城の神保長職を攻め、これを滅ぼした。謙信は割拠する一向門徒衆を各個撃破しつつ、天正元年(7月28日に元亀四年から改元)八月加賀に侵入。加賀の一向門徒は一本木城(加賀朝日山城)に集結し、篭城戦に突入。門徒得意の鉄砲部隊が参戦し、上杉勢は血祭りとなり・・・秋口に加賀より戦術的撤退をする。死傷者多数でとても凱旋して戦勝祝いをする空気ではなかったと思われる。
越中に駐屯したのは長尾顕景(上杉景勝)で一向一揆衆との外交戦を指揮している。このため、神保家後継長城や椎名家後継景直が一時帰順している。
だから・・・今回の・・・春日山城のあれこれはすべてフィクションですが・・・ドラマですからーっ。ちなみに上杉景虎と華姫(仮名)は元亀元年に婚姻し元亀二年には長男・道満丸(後に景勝によって殺害)が誕生しています。きっと脚本家は天正元年って言いたいだけなんだな。確かに天正元年はなんかいい感じだし~。・・・アホかっ。
それにしても渋井陽子はお待たせだったなぁ・・・八年(大阪国際としては2004ベルリン優勝もあります)か・・・小1が中2だよっ。
で、『天地人・第四話』(NHK総合090125PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は坂戸城主・長尾顕景(上杉景勝)の譜代家来、上田長尾衆の愉快な仲間たちイラスト大特集、全員十代~二十代とは思えぬ戦国時代ならではの老けぶりを写実的に面白おかしく再現した傑作となっています。後の甘糟景継である登坂藤右衛門(パパイヤ鈴木)は特に爆笑です。それにしても公式にある真田幸村=妹=初音(長澤まさみ)・・・どうするつもりなのでございましょう。まあ、架空の人物である華姫が景勝の姉・清円院の役割をしている以上・・・なんでもありなのかもしれません・・・とにかく初音コスプレイラスト・・・そして待望の織田信長(吉川晃司)書き下ろしイラストと豪華付録付。さらに初音の正体についての考察展開つき。これで本当に幸村の妹でも大丈夫のお墨付きでございます。なかなかに忍耐深いレビューと言えるかもしれません。キッドは戦国不足過ぎにさすがにちょっとあきれています。
で、ようやく、天正元年秋になったわけだが・・・謙信が越中を制圧し・・・加賀に侵攻を開始した八月、織田信長はすでに足利義昭を追放。八月中旬には朝倉攻めを開始する。つまり、加賀を挟んで、謙信は越中を信長は越前をほぼ同時に攻略していたのである。信長は八月中旬には朝倉勢を近江から駆逐し、そのまま越前に侵入。そして九月を待たずに朝倉家当主義景を死に追いやる。その足で近江小谷城を攻め浅井久政・長政父子を自害させた。九月になると北伊勢の一揆を鎮圧。十月に岐阜に戻り一週間休息。十一月には京で三好義継攻めを開始し、これを自害せしめる。そして十二月に岐阜に凱旋である。まさに電光石火・神出鬼没の大活躍である。上杉謙信も数年前には鎌倉まで侵攻したわけだが・・・領土が増えたわけではない。上杉の勢力範囲は越後一国と越中と上野の一部に過ぎない。それに対して・・・信長は尾張・美濃・伊勢・山城・大和・近江・三河・遠江・摂津・若狭という領土をほぼ手中に収めようとしていた。
天正二年正月。信長が浅井・朝倉の髑髏を金杯にして勝利の美酒を飲んでいる頃・・・春日山城では上杉謙信が軒猿の頭、宇佐美定行の報告に耳を傾けていた。その形相が一瞬、曇る。
「なに・・・信長は兵を越前から引かぬ・・・そう申すのか・・・」
「御意」
「奇怪な・・・それでは岐阜の守りはどうなる・・・」
「織田の家では奇妙な軍の慣わしが・・・成りつつありまする・・・家来がそれぞれに鎌倉地頭のようにふるまいまする」
「ほう・・・それはいかなるものか・・・」
「軍は将と兵より成り立ちまするが・・・兵の多くは田畑を耕す男どもでございましょう」
「然り・・・」謙信は怪訝な顔で死んだ宇佐美定満の跡を継ぎ・・・軒猿の長となった定満の末弟の顔を見た。何を当然のことを・・・という苛立ちが目に宿る。
「信長の兵は戦のみを行いまする」
「なんと・・・それでは田畑のことはどうするのだ・・・」
「田畑を耕すものを兵にしないのでございます・・・すべては信長の采配で品々が動かされ、国のまつりを運びまする」
謙信は沈黙した・・・その顔に苦渋が浮かぶ。
「すると信長は一年中・・・戦を続けることができるのか・・・」
「御意・・・わが越後の兵はおよそ五千。越中や上野の家来衆をあわせても・・・一万に足りませぬ・・・しかも・・・その動員には時の限りがございます。一方、信長は三万の兵を好きなときに動かしまする。最大動員をすれば十万の軍をおこせる計算となります」
「・・・十万・・・」
「越前には柴田勝家なる織田家の譜代衆が残り・・・織田家の慣わしで軍を練りなおしているとのこと・・・」
「おのれ・・・信長・・・そんな手で・・・のしあがりおったか・・・」
謙信は虚しく過ぎ去った過去を想起した。関東に遠征し・・・上洛し・・・戦えば必ず勝った軍の日々である。しかし・・・名誉は得れど手にしたものはあまりにも少なかった。それどころか越後一国のうちでさえ国人領主(土豪)たちは時に謀反をするのである。軍神は思わず立ち上がり・・・虚空を睨んだ。
一瞬の沈黙の後で謙信はようやく・・・信長の奇抜さを飲み込んだ。
「それならば・・・吾もその手を真似るまでだわ。京への道を顕景(景勝)にまかせ関東へは景虎を用いて・・・分国を作る。幸い・・・信玄なきゆえに・・・信濃国境は無風じゃ」
謙信は出遅れた早駆けをおのれの戦ぶりでまだまだ挽回できると読んだ。
その頃・・・老いた忍びが信州真田の里の隠居所を訪ねていた。
かって一族存亡の時を経て・・・滋野忍びの一族をどうにかまかなってきた真田幸隆は病の床にあった。部屋の灯明のかすかな揺らぎに幸隆は微笑んだ。
「飛び加藤か・・・」
「久しいの・・・どうやら・・・」
「寿命じゃ・・・命すりへらしての家業ゆえの・・・この年の秋葉は見れまいて・・・」
幸隆は飛び加藤の背後の人影に気がついた。
忍び装束に身を包んでいるが女の芳香が幽かに匂う。
「ものになったかの・・・」
「このものをあたえてくれたこと・・・この加藤段蔵・・・義に感ずるわ・・・初音の名・・・授けたゆえ・・・許されよ・・・」
「初音か・・・」
真田幸隆は記憶をまさぐり微笑んだ。それは遠い昔・・・幸隆と契った女の名だった。幸隆は女を見た。
「初音のことは・・・武藤を継いだ倅(後の真田昌幸)に託してある。符牒はこうじゃ」
幸隆はいくつかの忍び言葉を告げた。
「承知した。初音は・・・すでに織田家に変化でつながっておる・・・真田の世過ぎにも織田家はかかせぬだろうて・・・」
「ふふふ・・・飛び加藤・・・お館様を討ちしお前を仇討ちせねばならぬが・・・もはやそれもかなわぬ身じゃ・・・」
「幸隆殿・・・今宵は・・・初音を預けておく・・・その秘儀を堪能するがよい・・・」
その言葉の終らぬうちに・・・飛び加藤は姿を消した。残された初音は忍び装束を解いていた。幸隆は一目で己のうちに眠っていた情欲が首をもたげたことに驚いた。
音もなく白い裸身を幸隆の寝床に滑らせた初音は忍び声で囁いた。
「初めて・・・御目文字いたします・・・初音でございます・・・」
幸隆は早くも快楽のうねりに飲み込まれた下半身に抗いつつ、囁いた。
「ふふふ・・・幼き頃のお前を知っておる・・・そなたは・・・わが子・・・昌幸の娘・・・わしの・・・孫娘だて・・・」
幸隆はそう言いながら初音の中に精を放っていた。その快楽は果てがないように思えた。
「・・・初音・・・」幸隆は胸の内でくのいちの名を呼んだ。
その頃、満月に照らされた越中と加賀の国境では無言の闘争が行われていた。
長尾顕景の使う・・・樋口忍び衆が・・・富山城下に侵入した他国の忍びを狩っているのである。富山城主だった神保長職の嫡子・長住が配下の土豪とつなぎをつけている。長住の背後には織田家の影があった。
樋口与六兼続の父・樋口兼豊は信濃源氏、信濃滋野衆とつながる忍びの一族の頭である。泉氏、須田氏などの信越の武将たちの娘を妾として・・・多数の子を生しその樋口兄弟衆を小頭として信越国境の忍び衆を使っている。
国境まで織田の忍びを追い詰めたのは樋口次郎丸と樋口与三に率いられた信濃黒姫衆だった。
追い詰められた忍びは小山に身を潜めようと枯れ木の間を縫っている。
次郎丸は包囲が整ったと読み、口元を緩めた。その刹那、次郎丸の首が茂みの上に転がった。その周囲で配下の黒姫衆が次々に断末魔の声をあげる。
その気配に与三は唇を噛みしめた。背後から殺気が襲い、身をかわした与三は地面につきささる手裏剣の黒い輝きを見る。すでに命ある味方は自分だけのようだった。
与三は脱出路を求めて・・・追跡していた忍びの進路に足を踏み入れる。その胸に槍が突き刺さった。「無念・・・」呻きつつ与三は敵に奥の手である含み針を仕掛けた。
その針は槍を持つ人影に吸い込まれる・・・しかし・・・そこにあるのは一辺の枯れ枝だった。与三は槍に体を支えられた姿勢で息耐えた。
背後から仮面をつけた忍びのものが現れた。忍びはひっそりとつぶやいた。
「飛騨の忍者赤影参上・・・」(つづく)
関連するキッドのブログ『第二話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『神の雫』(日本テレビ)
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コメント
いやはや、お恥ずかしい限りで。
今後に備えて色々ネタを考えてたんですが
今回はもうネタがなくて
ないネタを搾り出したところ
神様仏様飯綱権現様となってしまった次第で(; ̄∀ ̄)ゞ
しばらく心の萎える物語が続くみたいで
ここ最近は
早く謙信公が死なないかなぁ
早く御館の乱が起きないかなぁと
願う日々でございます(-人-)
投稿: ikasama4 | 2009年1月26日 (月) 19時11分
なにしろ視聴率が↗26.0%なので
文句のつけようがないのです。
華姫(相武)「あなたをけして一人にしない」
・・・なんて今後のことを考えると
せつないシーンで
それなりによろしいのですが・・・
なんとなくこの調子で行くと
手に手をとりあって脱出。
何もかも忘れて二人でひっそりと暮らし
それなりに幸せな二人だった・・・とか
やらかしそうで恐ろしいです。
なにしろ・・・「敵は逃げ出した」
つまり「殺していない」なんて
わざわざセリフにしてくる脚本ですので。
なんか・・・峰打ちじゃ・・・安心いたせドラマの
方向性大ですな。
まあ・・・とにかく14才与六とか17才お船とか
もう専用色眼鏡が欲しい展開でございます。
そして幼女・初音もねえ・・・。
海路があるから越前を確保した信長が
謙信に進物を贈れるという
展開も説明不足ですし・・・。
一向門徒が描かれないので
謙信が一向門徒に手を焼き
一向門徒と和睦することで
対信長戦の緒戦に勝利するという
基本も描かれない・・・。
まあ・・・真田が織田と手を組む過程に
くのいちをからませるのは
予想通りだったのですが・・・
それでも長篠の戦の前ですからね。
武田勝頼も北条氏政も登場していないのが
ものすごく不気味です。
とにかく・・・もう少し
戦国時代を描いてほしいなあ・・・。
いざとなれば戦いは非情だといいなあ・・・。
と思うばかり。
泣くのかなあ・・・
華姫が死んだら泣くのかなあ・・・
でも菊姫を見たら
美人で笑うのかなあ・・・
と思うばかり。
とにかく越後に悪人なしの描き方なので
菊姫がどう描かれるのか興味津々です。
もしや・・・コードブルーのイメージだけで
描くつもりなんじゃ・・・('A`)y━・~~
投稿: キッド | 2009年1月27日 (火) 04時58分