テッテケテー?(高橋愛)Q.E.D.かくのごとく示された!(中村蒼)ありふれたトリックだったな(仲間由紀恵)
木曜日はまとまってスタートである。木曜日のドラマは対決としては見ない方針なのだが。
初回の視聴率を見ておくと・・・「証明終了」*6.2%、「特命係長」11.9%、「ありふれた奇跡」12.5%となっている。
「七瀬ふたたび(最終回)」→「証明終了」はプラスマイナスゼロ。「小児救命」→「特命係長」はプラス*4.9%。
「風のガーデン」→「奇跡」はマイナス*5.1%で・・・前ドラマとの対比では①「特命」②「証明」③「奇跡」という順位になっている。
失敗の後は楽だし、成功の後は苦しい。番外地はどこまでも番外地なのである。
で、『Q.E.D.証明終了・第一話』(NHK総合090108PM8~)原作・加藤元治、脚本・藤本有紀、演出・伊勢田雅也を見た。少年向け素人探偵のミステリーが原作でメインとなる事件は第12話の「青の密室」である。
ドラマとしての主人公はおてんばな女子高校生・水原可奈(高橋)であるが、役割は探偵役の同級生・燈馬想(中村)の助手である。ちなみに中村は実年齢17才で現役、高橋は実年齢22才のなんちゃって高校生である。誰のせいというのではなくどことなく姉さん女房の空気が漂っています。
高橋といえば早口で抑揚のない口調がモールス信号のような響きを持っているモーニング娘。の現リーダーである。デビュー当時、「うたばん」で石橋貴明が「何を言ってもテッテケテーと聞こえる」という名言を残している。この口調に萌えを感じるかどうかが賛否の分かれ目であるが・・・キッドは萌えるので絶賛します。
これを基本としてあやや(松浦亜弥)のような舌足らずのハイトーンとミキティー(藤本美貴)のようなドスのきいたロートーン。この三種類の使い分けが演技プランのすべてである。それは見事なほどに機械的なので・・・そこにテクニカルなものを見出せないと「硬い」というイメージが漂うと考えます。
しかし・・・猪突猛進であり、けれど情緒は豊かという主人公を描いていくのであれば充分な技術です。結局・・・ステージばかりやらされているのでそのキャラがお茶の間に馴染んでいないということがネックになるかもなーと思うのですね。
モー娘。関係者の戦略がステージの収益に偏った結果、テレビ的に生存しているのが里田まい(カントリー娘。)だけというおバカな状況になっているのが結構面白いのだな。
ドラマとしては「天下騒乱」(2006年テレビ東京)の徳川和子役、「阿久悠物語」(2008年日本テレビ)の味唯(ピンクレディーのミー)役などもあるが、何れも単発であり、連続ドラマとしてはドラマ愛の歌「ミニモニ。でブレーメンの音楽隊」(2004年NHK教育)まで遡らないとならない。この年齢でこのキャリアじゃ風あたりは強いのである。モー娘。関係者のドラマがほぼ100%失敗するのはこのためである。
まあ・・・そういう厳しい状況だが・・・がんばってもらいたい。跳び箱飛ぶような肩車は素晴らしいお色気がありましたし。・・・そこかよ。
一方、視聴率的には最悪のドラマだった「学校じゃ教えられない」からここの中村蒼(あおい)は・・・チビであることが価値がある少年向けドラマの主人公としてはやや背が高い。プロフィール的には174cmだが・・・成長期だしもっとありそうだ。そのハンディ・キャップを抱えつつ、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)を飛び級で卒業した天才少年の天才ゆえの孤独感、異端感をさりげなく演じている。おそらく「失われた青春」を捜しに高校に編入してきたはずで・・・凡人たちからはリンチに遭いかねないポジションなのである。
当然、刑事を父(石黒賢)に持つ可奈とはそこそこ友情と恋情を育むはずであり、そのあたりのサジ加減が・・・「音楽隊」「ちりとてちん」の脚本家の双肩にかかっているのだな。ま・・・視聴率は期待できないけど・・・せめて知る人ぞ知る「名作」は目指してもらいたい。
さて・・・どうしてこの事件を「最初」にもってきたかは謎だが・・・「死体を飛行機でじっとさせておく方法」とか「死体、犯人の順でスカイダイビングしたら犯人に容疑がかかるだろう」とかものすごいネタではある。飛ぶ寸前まで生きていたとして状況的には犯人にしか犯行できないわけだから。警察は何をしていたのだ・・・。
ま・・・子供相手のミステリーにそんなこと言うのは大人げないか。
トリックは名札の裏返しトリック。犯人である魚脇(友井雄了・・・「ちりとてちん」の和田友春)の「UOWAKI」が被害者の野巻の「NOMAKI」と逆さにすると恐ろしい偶然で一致するという話である。
ちなみに魚脇も野巻も珍しい苗字だが実在する。魚脇はかなり珍しいが、野巻は春日氏小野氏横山氏とたどれる由緒正しい姓である。
とりあえず・・・亜流だけれど想と可奈が金田一少年と美雪のような歴代を作る名コンビを見せてくれるかどうかが楽しみです。
で、『特命係長・只野仁(第4シーズン)第一話(通算第32話)』(テレビ朝日090108PM9~)原作・柳沢みきお、脚本・三上幸四郎、演出・秋山純を見た。金曜ナイトドラマ枠からの出世作である。「トリック」以来だな。それより早く「モップガール2」をやって欲しいよ。お茶の間でもげって言いたいよ。「時効警察3」とかも見たいんですけど~。ついでに関係ないけど「富豪刑事3」もね~。「スカイハイ3」でもいいですよーっ。
柳沢みきおと言えばストーリーテラーである。しかし・・・その物語は要約すると「主人公はモテモテ」ということになる。初期の代表作である「月とスッポン」はこれといってとりえのない男の子が幼馴染というだけで美少女に熱愛される話だし、中期のヒット作「翔んだカップル」はさえない男の子がモテモテなのである。で・・・その後もとりあえず主人公がモテモテであることは基本的に変わらない。まあ・・・コミックの読者としてはただそこにいるだけでモテモテ感を味わうことができるのであり・・・そういう職人としては一種の最高峰の作家と言えるだろう。
で、「特命係長」も例外ではない。さえないサラリーマンだが・・・夜になればモテモテなのである。
ま・・・この夢はどこまで行っても「男のロマン」なのでどんなに圧倒的な支持があっても視聴率的には限界があります。
今回は「韓流ドラマ」そのものを男のロマンでおちょくるわけですが・・・ま、レギュラーの櫻井淳子、三浦理恵子はもちろん、ゲストの田中美里にも特命係長(高橋克典)がモテモテであることは言うまでもないでしょう。
で、『ありふれた奇跡・第一話』(フジテレビ090108PM10~)脚本・山田太一、演出・田島大輔を見た。映画では地道にキャリアを積み重ねている加瀬亮だがお茶の間的には高橋愛と同じようなポジションである。キッドのレビュー的にも黒沢清「叫」で・・・主人公の役所広司を赤い服の女に導く船員を演じているのだが触れられないほどだしな。
しかし・・・役者としては自然な演技を見せるわけで・・・主役と脇役が渾然一体となる感じは「風のガーデン」に続いて・・・最近では珍しいドラマにはなっている。
ただし・・・もう一人の仲間由紀恵はいわゆる一つのビッグスターなのだが・・・その個性が災いして・・・ちょっとシリアスを演じようとすると必ずこけるというめぐり合わせになっている。
キッドも①「トリック」の山田②「エリヤン」の謎の占い師③「功名が辻」の山内④「ごくせん」の山口という面白仲間とそれ以外ではまったく別人のような気がするのである。
おそらく「神様、もう少しだけ」でエイズ患者の深キョンのいじめ役だったことが尾をひいているのだろう。マジな顔の仲間はなんとなく・・・悪い感じがするのである。
で・・・今回は相当に微妙で複雑で・・・しかも考えようによってはどうでもいいことを深刻に考えているヒロインの役である。
うわーっ・・・またしくじりそうだーっ。
ただし・・・腐っても山田太一なので・・・そこそこは見せることができるのではないかと想っている。
とにかく・・・お茶の間との妥協点が問題なのだな。祖母(八千草薫)、父(岸部一徳)、母(戸田恵子)という豪華な家族の娘として・・・隠された内面を持つ加奈(仲間)がどれほど女心を満たすことができるかどうかというのがポイントなのである。
一方、脱サラ左官屋の翔太(加瀬)は祖父(井川比佐志)、父(風間杜夫)と家を出た母(キムラ緑子)とそこそこ面倒くさそうな家族なのである。
この二つのホームドラマと・・・火事によって妻子が焼死体となりホームドラマを失った男(陣内孝則)が出会うわけである。
赤の他人の三人が・・・陣内は自殺をしようとして・・・加奈と翔太はそれを止めることで・・・知り合う。
おせっかいな警官(塩見三省)が三人を再会させることにより・・・面倒くさい人間関係の幕が開くのであった。
男「私が死のうとしていたというのが分ったということはあなたたちも死のうとしてたってことじゃないかと・・・いや・・・死のうとしたことがあるっていうか・・・そうじゃないかと」
加奈(目をそらす)翔太(顔をそむける)・・・つづくである。
うわあ・・・自殺問題ですか。自殺問題はな・・・結局鬱だからな。
関連するキッドのブログ『風のガーデン』
土曜日に見る予定のテレビ『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 新春スペシャル』『赤い糸』(フジテレビ)『イノセンス』(日本テレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
| 固定リンク
« 信者と書いて儲かると読む・・・この世に正義はないのよ・・・しかるべく怨み屋本舗(木下あゆ美) | トップページ | ぐっち(浅見れいな)ミチコマン(中村ゆり)ジョナ(野波麻帆)意地悪ばあさん(市原悦子) »
コメント
お茶の間で観られる只野仁を作ったのかと思いきや、やっぱり女子更衣室シーンがあってしまったわけで、このあとベッドシーンがあると困るのでウチではチャンネルを変えました( 谷)。
エロゲーのファミコン移植みたいな配慮は欲しいなと。
あと、相対化してあるとはいえ寒流をもってきたことで、寒流ギライのジジババには開幕草々の作中作の影響で番組自体が寒流ドラマなのだと思えたみたいで、"第一話"でやるにはちょっとなぁと思ったのでした。
投稿: 幻灯機 | 2009年1月10日 (土) 07時03分
✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪
ふふふ・・・今回はベッドシーンはありませんでしたぞ。
ただ更衣室のシーンがちょっと
ムチムチ度が高かったので
お茶の間には警戒警報が発令されたのですな。
昔は「時間ですよ」とか
「大江戸アンタッチャブル」で
脱衣所の裸は自然の前提があったのですが
最近はますますエロに抵抗力がない
お茶の間の模様です。
まあ・・・キッドはシモネタ愛護教会会員ですので
シモネタ嫌いのディレクターととっくみあいも
したことがあり
どんどんやれぇぇぇぇぇぇと
思ったりもします。ヽ(゚∀゚)ノ
まあ・・・ナイトドラマ枠で
大人しくしていればいいのに・・・。
とも思うのでございます。
とくに特命係長の下半身のためにも・・・。
まあ・・・韓流スターが
マフィアの配下とか
KCIAの匂いを感じさせるところなどは
おちょくり方としてはまあまあでしたけど。
投稿: キッド | 2009年1月10日 (土) 17時24分