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2009年2月28日 (土)

スーパーラブシャッフル(玉木宏)あびき(貫地谷しほり)ムカムーン(香里奈)おなかすいた(吉高由里子)

てのひら返しましたーっ。

大人になったからもう一度。

うーん。この唐突さは一種の発達障害であることは間違いない。

しかし・・・「考え直してくれ」と言われているんだから「考え直した」と言われれば「よかった」と思うしかないとも言える。

結局、「わがままで何が悪い」っていうことでございますねーっ。それで納得できないのは「他人の気持ちを斟酌しすぎる」ダメな奴だ・・・という考え方もあります。

さあ・・・あなたはどっち?

で、『・第7回』(TBSテレビ090227PM10~)脚本・野島伸司、演出・土井裕泰を見た。人間の意識と意志と記憶の境界線は非常に曖昧なものだ。今週は「銭ゲバ」に始まって、「トライアングル」の亮二、「Q.E.D.証明終了」の犯人と擬似多重人格の連打になっているのだが、基本的には「啓(玉木)を愛しているから別れる芽衣(貫地谷)」と「啓を愛しているから別れない芽衣」は同一人物とは思えない分離があるように見える。しかし、人間なんて気まぐれなもんだと考えれば、二重人格は日常茶飯事なのである。

もちろん、重大な犯罪を犯した人間が犯行時の記憶がないと言った場合、それが虚偽なのか実際に記憶を喪失したかの判断は非常に困難なのである。

しかし・・・たとえば・・・一週間前の昼飯がなんだったのかをすぐ思い出せる人も一年前の夕食となると記憶が曖昧ということはあると思う。

このように実際、人間はたやすく記憶を喪失する場合がある。

キッドが人間の心を「ノイズ」と表現するのはそういう意味である。

心は限りなくあやふやだ。たとえば犬は餌を与える人間を記憶し、その人間の危機に際して防衛的な行動を取る。この場合は記憶が意識に反映し、一つの意志を形勢する。

その場合、記憶と意識と意志は渾然一体となって「犬の心」を存在させるのだが、それが記憶なのか意識なのか意志なのかは判別しがたいのである。

とにかく・・・一度、口に出した言葉に「心」があると考えるタイプの人間には芽衣の唐突な前言撤回はいかにも「そりゃないだろう」的な気分を醸成し、あたかも芽衣が心ない人間に映ったりするだろう。

しかし・・・心が「ノイズ」である以上、どんな奇想天外な心も存在可能なのである。

認知症の人を観察していると人の心がいかに不確かなものであるかがよく分る。

昨日のことと今日のことの区別がつかなかったり、半年前の出来事が今朝の出来事だったりする。

何よりも恐ろしいのは自分が認知症であることも覚えてはいられない。

そうしてそういう人は自信満々でガスに火をつけるのである。

もちろん・・・その直後にガスに火をつけたことを忘れてテレビを見始める。

やがて今日もどこかで消防車のサイレンがなるのである。

そういう将来のことも考えず、恋や愛に情熱を燃やす人々のなんという幸福。

なんという安心感。もちろん・・・当の本人はそれでも不幸や不安に苛まれるのだった。

あれほど望んだ芽衣の前言撤回にもかかわらず啓はもやもやする。

一方、啓と芽衣の幸せを愛瑠(香里奈)はもはや心から祝福できなくなっている。しかし、素直に啓が欲しいのだと口にすることもできない。

たまたま知り合ったカメ(袴田吉彦)にウサギ(啓)への片思いの鬱憤をはげしく八つ当たりするのである。執着心を持たないことに執着してしまう人間の哀れだ。

その頃、啓は自殺予定者の海里(吉高)の前で下半身を鉛筆のようにとがらせながらモデルを務めた後、自称スーパーモデルとして海里の父親(美木良介)に説教なのである。その背景には精神科医菊田(谷原章介)の情報がある。

海里の父親は母親が男を作って家出の後、母親に似た海里を愛憎半ばで拘束し芸術を強制している。

しかし、父親はまったく別の情報を提出する。

海里の母親は死亡。母の死後、海里は自殺願望を露呈し、ただ絵を描いている間は死を忘れるようであった。どうしても海里に生きていてもらいたいと考えた父親は海里に絵筆を握らせ続けている。

啓は混乱する。二つの情報は乖離しているのである。

もちろん、海里は乖離そのものなのであるが、その背後には昔、旺次郎(松田翔太)に似た恋人に自殺されたことのある菊田がなにやら係っている気配である。

旺次郎は海里との間に飼い主とペットの関係を築きつつあるのだが・・・すぐにおなかがすく海里は旺次郎に支配されているのか、旺次郎が海里に支配されているのか微妙なところである。もちろん、ペットと飼い主の関係も同様なのだ。

少なくとも、菊田は海里の自殺予定を否定せず、そして海里を通じて旺次郎を制御しようとしている言動をする。間接的支配は権力者の常套手段だ。

諭吉(DAIGO)は芽衣にとって跳び箱のお手本をするクラスの花形ではなく、鉄棒の逆上がりが出来なくて練習するタイプで、前者にときめく芽衣は後者に胸キュンなのである。

小学生相手の乙女チックな比喩ではそうなるが、社会ではほとんど有能とは言いがたい啓と・・・たちまち上条夫人(小島聖)の夫婦関係までリサーチしてしまう超有能な企業経営者である諭吉の実力差はどうしたものか。

ともかく・・・啓との友情に燃える諭吉は芽衣を盗聴したあげくに・・・芽衣の気になる人が諭吉だと知り、うろたえて国立競技場を貸切にして萌え萌えで鉄棒の練習を始めるのだった。なんじゃそれゃ。

とりあえず・・・ボーリングのボウルを他人の足に落とすのは危険なのでやめましょう。

啓は上条夫人とのすっぽんその他や、海里とのデロンパンダ、そして芽衣への複雑な思いを他所に満月のパワーに犯された愛瑠に唇を奪われる。

結局・・・啓はいい思いばかりしてるじゃねえか・・・と思う気持ちもまたノイズにすぎないのである。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

Hcinhawaii0528 ごっこガーデン。フルムーンのキスは月でモチつく感じのセット。お気楽ゲイ脳人とかバイ輪軽とかよくわからないのね。三上さんたちもやった三人電話。直リンしたら法律違反になるの? ほっぺふにふには胸きゅんだよねみのむしやバ~イ展開ということでオーゲイ?・・・く、苦しい。ドロドロは好きだけど芽衣の言動にはムカムカ~。まあ、愛瑠の場合はそれが原動力?」くう混沌としてきたのだーっ。野島ワールドなのだーっ。海里のタナトスは菊リンの差し金なのかしら? すべては実験なの?」ikasama4海里のかわいさはとにかくたまらんです・・・と手が~手が~・・・先週あたりから私のあつかいがアブノーマルだったのはなにかの予兆・・・?エリ「いつもお絵描きしている画伯をエリが描いてみましたyon! 愛には相性も大切ですがSMみたいに真逆が相性バッチリの場合もありまスーまこしゅべては~満月のせいなのデス! バレンタインキシュでやさしいキシュをしてここでキシュしてもう一度キシュしたかったモノクロのキシュで太陽のキシュであなたにキシュでしゅ・・・はうぅん

日曜日に見る予定のテレビ『石原さとみの包帯クラブ』『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)佳境だ~『天地人』(NHK総合)さらば結婚できない謙信・・・『本日も晴れ。異状なし』(TBSテレビ)そろそろいいエピソードにしてくれ。

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2009年2月27日 (金)

スイーツ三昧テッテケテー(高橋愛)殺人現場でQ.E.D.(中村蒼)血脈の果てに(仲間由紀恵)

長生きするとひ孫の心配もしなければならないのだな。しかし・・・人類は百万年ドミノを積み上げてきたわけで自分の代でぬアーっ(子孫を残さないで死亡)したってどうってことないと全人類が思ったってなかなか滅びないもんだ。そういう意味でナニをしでかすか分らない善人ぶった人々を笑うことに特化した「ありふれた奇跡」↘*9.8%は異常に面白いのだが・・・その笑いを笑える人はかなり少ないみたい。

ついでに「おみやさん」↘10.9%で「Q.E.D.」↗*5.1%である。やはり15~16%ぐらいがドラマをとりあえず見る人々ってことらしい。

ドラマで20%とることがなんだか・・・夢のように感じられる今日この頃。

ちなみに深夜の四夜連続ドラマ「血液型別オンナが結婚する方法」は

(月 )A型・加藤ローサ13.0%

(火 )B型・釈由美子*9.8%

(水) O型・香椎由宇 13.2%

(木) AB型:水川あさみ12.4%

B型いじめだな。

どうせつまんないだろうけどそのすべてを確認したいあなたはコチラへ→お気楽様の血液型別オンナが結婚する方法

「RESET」*5.5%は黒谷友香主演ではなく黒沢かずこである。なんじゃそりゃ。

で、『Q.E.D.証明終了・第8回』(NHK総合090226PM8~)原作・加藤元浩、脚本・相原かさね、演出・榎戸崇泰を見た。原作47話の「罪と罰」をアレンジ。もちろん、ドストエフスキーの同名小説のパクリである。基本は「自己にとって無益な金が自己にとって有益な金となるのなら手段は選ばないという利己的な精神こそが人間のあるべき姿だ」という真理の追求だが、今回は二重人格オチというプラスアルファをしている。

人格Aは「手段を選ばない」が人格Bは「手段を選ばない、ただし殺人は除外」なのである。

このため、見ようによっては燈馬(中村)が「冤罪者」を作ってしまったような演出になってしまっている。終盤まで演出の素人っぽさが出るドラマになっているのだな。

早い話が、ドラマは人格Bの殺人を犯した人格Aの記憶を封印したままの語りで進行するので最後にお茶の間は騙された気分になるわけである。

時系列によってまとめると・・・。

①経済的に行き詰った大学院生・千田川(北条隆博)がいる。

父親の企業が倒産し、学費援助が打ち切られ、バイト生活である。

それだけでは複数の金融機関から総額100万円の返済通告が送られるはずはないのでなんらかの浪費があると思われる。

そのことに触れないことが人格分裂の証である。

ここで、借財を作った人格をAとする。

人格Bはその借財の原因から責任逃避するために誕生した。

彼は理不尽な借金に追われる自分の人生に怒りを感じる。

その怒りは何不自由なく暮らしているように見える自分以外の人間に向けられる。

そのために彼は近所で連続発生している空き巣事件に注目する。

②空き巣の手口を模倣した彼は練習を兼ねて自宅で狂言を演じる。

被害者として警察に接しておくと都合がいいと考えたのである。

しかし、警察関係者に顔を知られることの不都合を考えないのは彼がすでに正常な人格ではない証なのである。

③次に彼はかねてから目をつけていた資産家の家に押し入る。

しかし・・・外出した主人が帰宅して、彼は目撃されてしまう。

パニックに陥った人格Bに変わり、人格Aが浮上する。

彼は簡単に主人を撲殺する。そして人格Bが再浮上する。

目の前に死体を発見した彼は動転しつつも、現金を盗み、現場を後にする。

④犯行現場に戻り、警察の現場検証を見物。顔見知りである水原刑事に声をかけられ、「犯人は何をしたんですか?」と失言してしまう。

以下はドラマの通りである。途中で、水原刑事の娘である可奈(高橋愛)にスイーツをおごり、容疑を向ける父親にとりなしてもらおうとするなど不可解な言動の目立つ千田川だがすでに人格分裂による狂気に陥っているので仕方ないのだった。

最終的にはこの席で被害者の容姿を正確に語ってしまったことが命とりになる。同席した燈馬が聞き逃さないからである。

その後、人格Bは罪を近所の若者になすりつけるために工作をおこなうのだがすべては徒労だったのである。

未成年の一般市民が現場検証に立ち会うことはドラマだからである。

ただし・・・近所の住民が相手なので被害者のサンタクロースみたいな姿を以前に目撃していたことは充分に可能性がある。

このような可能性を残すのは演出が稚拙だからであるが、今に始まったことではないのでいいだろう。

とにかく、父親から明らかに事件解決のご褒美として預かったお金で燈馬におごらない可奈が相当にがっちりしていることは特筆に値するだろう。

燈馬も彼女の理不尽さに魅かれているようなのだからおそらく変態なのだな。

今週は二重人格強化週間なのか・・・。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『赤い糸』(フジテレビ)『銭ゲバ』『妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『中谷美紀の白州次郎』(NHK総合)『RESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)『THE NEGOTIATOR』(テレビ朝日)今週もすごい攻撃ズラ・・・。

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2009年2月26日 (木)

呪われた映画と相棒(水谷豊)呪いの少女とキイナ(菅野美穂)

水曜日のダンスは

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%↗17.3%↗17.9%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%↗14.2%↘13.3%

今回は「水曜ミステリー」(テレビ東京)*9.1%が小林稔侍の定年刑事で「キイナ」を少し削ったかな。

で、『相棒・Season7・第16話』(テレビ朝日090225PM9~)脚本・徳永富彦、演出・東伸児を見た。死体の移動トリックである。自宅浴槽で溺死体として発見された被害者。それはシナリオライター志望の印刷所社員・三村奈津子(岡野真那美)だった。彼女の婚約者の友人であった芹沢刑事(山中崇史)が死体の髪が切られていたことに不審を感じ、右京(水谷)に助けを求める。

久しぶりにレギュラーによる相棒おためし企画である。ついでに映画撮影所での事件シリーズ企画にもなっている。

すでに連続髪切り殺人の容疑者は自殺。被疑者死亡で事件は解決したと捜査一課は芹沢の発見に同意しなかった。

右京はおやおやと・・・乗り出すが「以前の三件はナイフ、今回はハサミで髪が切られているため連続性はない」と指摘する。

しかし・・・現場で被害者の下着を洗濯機の中に発見した右京は「洗濯ネットがあるのに不自然ですねぇ」と事件性を見出すのだった。

やがて、二人の刑事は映画監督・川島敏夫(秋野太作)の呪われた映画『まどろみ』と三村との接点を見出すのだった。

映画『まどろみ』は六年前、撮影中にエキストラが海で事故死、安全管理に問題があったとして製作中止になっていた。川島監督(68)はその後引退同然であったが復帰第一作として『まどろみ』を選んだのである。

やがて、川島映画のファンだった三村が川島監督と知り合い、脚本を共同執筆していたことが分り、疑惑の目は川島にむけられる。

川島は事件当時のアリバイについて証言を拒否し疑いは深まるが・・・。

結局は・・・三村は撮影所でコードにつまずくという間抜けさでプールに倒れ、倒した照明器具で通電した水で失神・・・溺死したのだった。

死体移動の際のトリック、監視カメラの照明による目潰し、はがされたポスター跡の「よごし」による偽装かな・・・撮影現場の技術に詳しいものと右京は推理する。

ここで川島監督は虚偽の自白をするが・・・さらに助監督(渡辺真起子)が真犯人として名乗りをあげる。

監督は隠していたが助監督は「監督がガンで余命いくばくもないこと」を知っていたのである。

現場での事故で撮影スケジュールが狂い・・・監督の寿命が作品完成前に尽きたら・・・という不安が死亡現場の変更を監督思いの助監督に決意させたのだった。

まあ・・・撮影現場で連続して死亡者が出たら、迷信深い映画スタッフは現場に出てこなくなると畏れたのが真相かもしれないし・・・江戸時代かっ・・・監督と仲がいい脚本家に嫉妬した殺人事件だった可能性もあるわけだが。

それよりもなによりも・・・右京さん・・・冤罪被害者を作る寸前だったぜ。

まあ・・・言いたいのは「映画への愛」を誰かが言い出したら沈黙するしかないのがウソ作りでおまんまをいただく人間の常識だということだからな。

ともかく・・・呪われた映画を寿命が尽きる寸前に完成させた監督。

映画『まどろみ』のクレジットには・・・脚本・三村奈津子、監督・川島敏夫の名前が・・・。

すでにこの世にはないスタッフの名前を確認して右京は呪いの実在を確信するのだった。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・第6回』(日本テレビ090225PM10~)脚本・松田裕子、演出・猪股隆一を見た。一点をのぞいては今までで一番練られた脚本だったと言えるだろう。科学というフィクションは迷信というフィクションと敵対するわけだが、スーパーナチュラルホラーの領域をサイエンスが汚すのは神を畏れぬふるまいでなかなかに面白いのである。

小学校教師(泉政行)が自室で死亡していたのが発見される。目立った外傷はなく、部屋が多数のオカルトグッズが装飾されていたために対オカルト特殊対策チームである別班が出動要請されるのである。

班長・キイナ(菅野)は「コレは呪い殺された・・・かも」と班員(平岡祐太)に告げるが・・・班員もかなり慣れてきたのでリアクション薄めである。

死因の解明が待たれる中、小学生の莉子(森迫永依)が「先生を呪い殺した」と自首してくる。呪いの人形にそんな効果があったとは・・・と色めきたつ捜査陣であるはずはなく、判ったのは莉子が技官・真一郎(塚地武雅)の娘だったということだった。

真一郎とキイナの破局の原因は・・・真一郎が妻と死別し・・・三人の子持ちヤモメであることをキイナに言い出せなかったからだったのだ。一応、いい意味でハズシてます。

今回、莉子は科学者の娘なのに呪いを信じるし、父親が死んだ母以外の女性と付き合うことを嫌悪するピュアな小学生。「銭ゲバ」でいけすかないお嬢様を演じた後だったのでいい禊になっていた。

莉子が教師を呪ったのは教師が女教師と交際していたのを目撃したからである。やはり・・・恐ろしい子の役じゃねえかっ。

そして・・・キイナが調査に訪れた学校で会った女教師(入山法子)は「彼には呪いの藁人形がお届けされていた」というのである。

あきらかに怪しい女教師キャスティングであるが・・・これもいい意味でミスリード。

なぜなら・・・現場付近にはマスクの花子さん(江口のり子)が潜んでいたからだ。

ここでキイナは「呪われているという心理的ストレス」によるアンチプラシーボ効果(厳密には偽薬関連の話だから・・・ここでは単に暗示効果で問題ない)による突然死を想定する。つまり、呪われた恐怖で死亡した可能性があるわけである。まあ、そんなことで死亡したりお守り買い込んだりする人に小学校の教師をされている方が恐ろしいという考え方もあります。

やがて・・・娘の日記を盗み読みし、登校途中の娘を影から見守る真一郎が描かれるのだが・・・これだけふったのだから・・・ラストに問題が生じているのである。

ここで解剖の結果、教師の死亡原因が蜂毒によるアナフィラキシーショックによるものであることが判明する。蜂毒による過剰な免疫反応が原因でショック死したのだった。

誰かが・・・ハチを寝室に送り込んだ・・・かも・・・と想像したキイナは・・・教師の家をストーカーしていたマスクの花子さんの素顔を見た莉子による似顔絵を見てピンときたら110番なのである。キイナはかってそのスーパー記憶力により指名手配犯人検挙率ナンバーワンだったのである。

その女には前科があったため・・・たちまち割り出されてしまうのだった。

女はストーカーの前科があり、死んだ教師の同窓生で、しかも大学でハチの研究をしていたのだった。

その頃、赤いマスクの花子さんは・・・目撃者である莉子を抹殺するために街を流していた。

ところで・・・なんで莉子がやたらと目撃するのかと言えば・・・彼女もまた男性教師のストーカーだったからだ・・・やはり恐ろしい子だったのだが・・・今回はお茶の間はそのことに気がつかないかもな。

やがて・・・倉庫に誘いこまれた莉子は花子に襲われるのであるが・・・危機一髪のところを真一郎に救われる。

ここでスタッフは説明不要と思ったのかもしれないが・・・あえて指摘しておく。その点が唯一、説明不足だからだ。

真一郎は娘を溺愛する父として当然、高性能GPS機能で娘を監視しているのである。

異変に気がつく前から尾行していた可能性もあり、ご都合主義で突然現れたわけではないのである。

娘もストーカーなら父もストーカー、犯人もストーカーというストーカー濃度の濃い街外れの倉庫だったのです。

こうしてサネイエ・・・じゃなかったトイレの花子さんじゃなかったマスクの花子さんはかけつけた別班に逮捕されたのでした。

助けられた娘が父親になかなか抱きつかない間もよかった。キモいから心の準備が必要だったというキャスティングなのだな。ああ・・・深く読みすぎると禊にならんじゃないかっ。

とにかく・・・キイナ・真一郎の謎も解かれ・・・いよいよ・・・持ち駒ネタはエロ係長(沢村一樹)の件のみになったのだった。

ちなみにこっくりさんは心理学的に解説されることが多いが、要するに児童の知能格差に乗じた悪い子が一人まぎれていると社会学的に考えた方が話が早いこともあります。子供を騙すのは大人とは限らないということです。

金曜日に見る予定のテレビ『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『歌のおにいさん』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)

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2009年2月25日 (水)

愛ではない神の雫(亀梨和也)愛だったトライアングル(広末涼子)禁断の愛の執事(水嶋ヒロ)

火曜日は愛の日ではなくてドラマ対決である。順位は以下の通り。

①「メイちゃんの執事」↘13.1% ②「トライアングル」↗11.3% ③「神の雫」↘*4.7%

うう~ん。結局、ワインの話は・・・お茶の間向きではなかったということか?

まあ・・・食事抜きで飲みっぱなしなので・・・体には悪そうかもしれません。それに・・・あまりにも「愛と喝采の日々」だからな・・・雫のオヤジが・・・。

それにしても「トライアングル」が「私の初恋」で「銭ゲバ」とかぶるとは・・・。

殺したものは生き・・・殺されたものは追憶の彼方に・・・それが人生なのかもしれません。

で、『メイちゃんの執事・第7話』(フジテレビ090224PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・石川淳一を見た。とりあえず・・・うどんを食べます。薬味がねぎだけというのがそそります。由緒正しい血統を持つメイ(榮倉奈々)ですが、ライバル・ルチア(山田優)の陰湿な抹殺計画に手も足も出ない状態。しかし・・・いつの間に恋が芽生え、いつの間にご学友の友情を勝ち得たのか・・・わかりにくいっていえばわかりにくい流れでした。まあ・・・人々にとっては残酷な支配者ルチアより・・・笑顔の優しいメイを選びたいというのが人情なのかもしれません。

しかし・・・物語としては・・・リカ(大政絢)、泉(岩佐真悠子)、みるく(吉田理琴)、不二子(中別府葵)と戦い、結果的に彼女たちに恩を売っていることになり・・・その度にクラスメートたちの人気はあがり、その間に執事の理人(水嶋)との愛も深まったということです。

ルチア様の嫉妬の描写が控え目なのも分りにくさの要因ですが・・・ついにそのライバル・メイに対する憎悪は沸点に達し・・・メイ抹殺命令を下します。

命令は抹殺だったのですが・・・ルチア様に拾われた下層階級出身、ルチアのお庭番・多美(谷村美月)は何度か・・・殺す機会を逃していることも注意が必要でしょう。最後はその気持ちを察し、下層階級出身の執事・神田(阿部進之介)がメイと剣人(佐藤健)の命を救うわけです。

すべては・・・メイがルチアのライバルであることが問題だ・・・争いを好まないという理由でメイは学園を去る決意をします。

どうやら・・・メイの母ユウ(山下容莉枝)とメイの父・周太郎(橋爪淳)をめぐって恋のライバルだったらしいシスターローズ(堀内敬子)・・・ルチアの説得に乗り出しますが・・・ルチアは「敗者の戯言」には耳を貸さないのでございます。

もちろん・・・メイは多美の正体を明かさないことで多美にも恩を売りつつ、とりあえず撤退です。

しかし・・・すでに理人を愛している以上・・・辛抱できなくなるのは火を見るよりも明らかなのです。

一方、失意の理人はついにルチアの毒牙に・・・恐ろしいことです。

さて・・・心を病んだ・・・ルチアの病状がまだ謎に包まれているのですが・・・それは「権力を掌握するために手段を選ばない」・・・ということでしょうか。それって健康なのではないのかなー。すぐにへこたれて争いから逃れようとするメイの方が心の病なのではないのかなーと・・・思わないのがこの国のもっとも病んだ部分かもしれません。

とりあえず・・・恐ろしい階級社会なので・・・メイの避難先である仲本家があんなに明るいのはおかしいと考えられます。この世界では庶民は寿命制度があって50年で安楽死ぐらいでいいと思いますけど。娘たちは適齢期になったら身売りぐらいの方が笑えるのに・・・。

そういう社会にメイが叛旗を翻し革命を巻き起こす話ではないのか・・・?

だから・・・そう思ってるのあんただけだって・・・。

ええええええええええええええっ。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

Hcinhawaii0527 ごっこガーデン。うっとりの花吹雪セット(香り付)。まこふっかーつ。風邪でうなされている間にくうさんに玉木ロイドを奪われた悪夢をみたのでしゅ。でしゅから・・・まこは復讐の炎をメラメラなのデス。とりあえず、ヒロロイドであすなろ抱きをお試ししておくのでシュー。エマニエル画伯は剣人ロイドも作ればいいのにでしゅ。ROOKIESのぞんざいロイドがあるけど・・・萌え~を楽しむにはリアルロイドが欲しいのでしゅねmari理人ロイドを狙っていたのにまこちゃまにとられたのでドサクサまぎれに山P先輩と執事ごっこをしていますよ・・・ムフフ飯綱遣いは~い。遅刻なのでありましたーっ。第六話をお届けしていまーす。みるく様お許しくださーいっ

で、『トライアングル・第8回』(フジテレビ090224PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・三宅喜重を見た。やはり・・・最初の亮二(江口洋介)の挙動不審ぶりは「心の病をかかえた状態」の表現だったわけだ。分りにくいよなあ・・・。結局、亮二は内なる少年(広田亮平)を抱えて生きる二重人格者(未分離)だったのである。

それは初恋の少女・佐智絵(志田友美)の死体を発見し・・・その時に犯人らしき男から「殺すぞ」と脅されて逃げ出した体験に基づいている。

死への恐怖におびえパニックに陥った亮二は「時効まで犯人はお前を狙い続ける」という暗示を兄から受け・・・心に深い事件の影を宿してしまったのだ。

そのために25年を経た現在も・・・緊張するとうろたえて視線が定まらず・・・自分が何をしていいのか分らなくなるのである。

だから・・・いつも犯人を取り逃がすのだった。

守れなかった佐智絵の代わりにサチ(広末)を身を挺して守ったのが精一杯なのである。

こんな腰抜け刑事が主人公じゃ・・・事件がなかなか解決しないのも仕方のないところだな。

いざとなると失禁するくらいでもいいのにな。

あの時も・・・失禁しながら土手を走ったに違いないのだから・・・。

ともかく・・・出演者のほとんどがまだ犯人である可能性を残すこの段階。謎は一つも解き明かされていません。偽造パスポートがどうのこうの。佐智絵の両親、黒木父子、亮二の友人たち、亮二の妹(相武紗季)たちがつながってたり挙動不審だったりしているのがなんだってんだ。亮二が少女殺害事件現場でふりかえって不審人物にかみついていれば済んだ話じゃないか。おいおい。

今回・・・分ったのは・・・佐智絵の初恋の相手が亮二だったこと。

二人は両思いだったのです。せつねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。

とりあえず・・・犯人が誰であろうと・・・亮二は射殺しないとな。

初恋の相手を殺された人間はそのくらいの根性は見せてもらいたい。

だから、そう思うのはあんただけだってばーっ。

ええええええええええええええええええええええええええええっ。

Hcinhawaii0525 ごっこガーデン。捜査現場の全力坂セット。アンナまーったくラチあかないこのドラマ。こうなるとあちこちで卓袱台のスタンバイが始まっている様子が窺えます。でも初恋と初恋のダブルは切ないぴょん。この切なさを乗り越えるために今日は狸坂で全力坂を開催しま~す、丸さんが撃たれても決行、雨天中止ぴょんお気楽サチの初恋の人が亮二だって今さらわかっても・・・しょうがないじゃん・・・とりあえず年配の人が犯人だから佐智絵のパパ、黒木のパパ、丸山さんのうち誰かだよねくう疑心暗鬼という鬼にとりつかれている亮二・・・25年前とは違う・・・と言ってもやはりまだ抜けてないんだよね~・・・そして身近に確かにいる殺人者・・・まあ・・・哀れって言えば哀れなんだけどさーっ・・・とんでもない結末で・・・感動するのか・・・脱力するのか・・・そこがサスペンスikasama4私は・・・すでにスタンバイ・・・みたいな・・・謎の積み立て方がすごく・・・ガッカリさせる展開・・・みたいな・・・家族の事故死もとったつけた・・・みたいな・・・神の雫はこちら ・・・みたいな麻婆豆腐食べてたら遅刻しました~・・・みたいなミマムとりあえず・・・おくりびとのアカデミー賞受賞があったので・・・広末ちゃんのオーラが倍増していておおっ!と思ったしょー

で、『神の雫・第7話』(日本テレビ090224PM10~)原作・亜樹直、脚本・渡辺雄介、演出・石尾純を見た。とりあえず・・・神咲豊多香(古谷一行)が最後までもてもてだったというところがまずいのかもな・・・と思うのだった。しかも、最後の愛人が霧生(戸田菜穂)でしかも死してなおメロメロにさせているのである。・・・誰の願望なんだ・・・原作者か。まあ、いいかーっ。ロマンなんだからーっ。ま、ある意味、酔っ払いの戯言的なお話ですしーっ。ワインだけにーっ。飲まなきゃやってらんねーよーな状態になってるかーっ。でもまさか・・・その前の愛人がマキ(内田有紀)とか言い出さないだろうなーっ。

さて・・・第五の使徒は「バローロ・カンヌビ・ボスキス2001ルチアーノ・サンドローネ」である。例によって天使テンメイ様が先行レビューなさっているで興味のある方は飛んで行ってくださりませ。

今回も・・・一青(田辺誠一)はひたすら飲んで「おぉぉぉ」に至るのだが、流石に飲みすぎでストレス過多により神経を病み、失明の危険さえあると医師に忠告される。なんだかんだ言っても酒は悪魔の水ですからな。そういうこともあるでしょう。

一方、雫(亀梨)はみやび(仲里依紗)とともにフィールドワークである。大活躍のイタリヤ長介(田口浩正)が光と言えばイタリヤワインの王様・・・バローロだと断言する。ブルコーニュ・ワイン(赤)→ローヌ・ワイン→ボルドーワイン→ブルゴーニュ・ワイン(白)→バローロ(イタリヤワイン)である。出題としてはものすごく分りやすいぞ。

原作的にはシャトーラフルール(ボルドーワイン)が飛ばされているのでこれが第六の使徒となると最後の「神の雫」は意表をついて国産ワインかっ・・・日本経済的にもっ。

さて・・・今回は・・・霧生の回である。なぜならば・・・第五の使徒にまつわる遺言書は豊多香から霧生へのラブレターになっているのだ。まあ・・・ロマンと言えばロマンだがとてもシラフとは思えない展開である。ワイン評論家だけに酔ってたのか。

さすがに・・・大人になった雫は「あんたも父の愛人かっ・・・あのオヤジって奴は・・・性懲りもなく何人も何人も・・・」とは怒りださないのだった。雫・・・悟ったのか。っていうか美人弁護士を前にしては罵詈雑言は言えないのかもしれません。

それどころか・・・父の霧生への愛を代弁する始末である。

なぜなら・・・豊多香の遺言は一枚目の最後に「私の霧生弁護士への気持ちは愛とは呼べない」で終っているからである。そのためにショックを受けた霧生は二枚目を読まずに出題してしまうのである。

それは・・・おそらく子供のいない愛人である霧生が、雫の母や、一青の母に対する嫉妬で目が眩んだ瞬間なのであった。

しかし・・・父・豊多香の著書を基に現地調査(主にバー)を重ねた雫は父が「雫の二十歳の誕生日に一緒に飲もうとワインを準備していたこと・・・しかし・・・雫の反抗でそれが果たせなかったこと・・・そして孤独を感じたこと・・・その孤独を慰めたのが霧生であったこと」をつきとめるのだった。

そして・・・「愛よりも深い感謝を奉げたい」という遺言の続きを明らかにするのである。

霧生・・・愛の早とちりです。

まあ・・・あれだ・・・愛にあふれています。ついでに「息子と酒を飲むのが楽しみ」という通俗的な父親像がありますが・・・下戸の一家にとっては無縁であろうという想像ができます。

このあたりが・・・お茶の間によっては完全スルーされる可能性があるドラマなんだな、きっと。

ちなみに・・・第五の使徒は弥勒菩薩にたとえられるのだが、雫は雅をワインオープナーにたとえるのだった。

雫は「ワインにはやっぱりコレでしょ」と言っているので雫にはみやびはやっぱりコレなのだな。まあ・・・ワインオープナーによって・・・中身が注がれる・・・タナトスではなくエロスです。

まあ・・・やや強めのマザコンである雫にとってみやびの巨乳はいわずもがななのである。

さて、豊多香の愛用店で様々な情報を教えてくれる支配人は佐戸井けん太である。湾岸署の警部補でソムリエ一級の資格を持っているからだ。妻はフィンランド人であるが別居中だ・・・。

・・・ではなくて第五の使徒に例えられた弥勒菩薩である。

弥勒菩薩は仏陀ことシッダールタ元王子が入滅後、56億7千万年を経て、現世に出現し、未来の人類を救済すると伝えられる仏である。光瀬龍の小説『百億の昼と千億の夜』に登場した弥勒は幻影で・・・人々を救済したりはしないのだが・・・要するにあまりにも未来すぎて多くの人々にとってお笑い種だということである。第一、最初の一千万年だって人類が滅亡しないでいられるか怪しいし、百万年だってどうかと思うし、十万年だって無理かもしれないし、一万年だってため息が出ちゃうし、千年だって百年だって十年だって来年だって何の保障もないのである。

しかし・・・まあ・・・そんなに遠い未来に救いがあると考えた人がいるというのが一つの救いなのだろう・・・面白いからである。

弥勒のインドにおける名はマイトレーヤ(慈悲深い者)である。なにしろ、すでに弥勒は兜率天(伝説の異世界の一つ)で修行をしているのであり・・・出現までの長い年月を待っているのである。慈悲深いか気が長いかのどちらかに決まっている。

弥勒像といえばアルカイックスマイルと呼ばれる種類の微笑で名高い広隆寺の弥勒菩薩がある。

東洋の神秘である。

人々を待たせている間、弥勒もまた待っている。その忍従の日々が・・・弥勒の微笑みである。

まあ・・・豊多香のような男を愛する女はみな・・・微笑むしかないのである。

現実世界にそういう女性がいるかどうかは別として。

Hcinhawaii0526 ごっこガーデン。お待たせ弥勒菩薩バー。エリ「もちろんエリも亀雫先輩のワインオープナーなのでスー。もちろん・・・亀雫先輩がオープナーでエリがワインでもいいのでスー。ムフフ。あわわ・・・。いや~ん。今のは内緒ですyon!・・・それにしても戸田菜穂さんは弥勒菩薩そのものですねー。ノーヒントで正解のビッタシカンカンでスー。もう・・・弥勒菩薩に決まっているのだから・・・正解にたどり着くまでまたされちゃいましたyon!・・・でも遺言の後半にたどり着いた時はうるるんなのでしたー。泣かせる愛なのでありましゅね。何も語らずに側にいるだけで心が休まる存在。冬の寒い日には猫だってよりそってきましゅからね。さあ、残り二本、逆転勝利でスー。先輩ファイトー! 

木曜日に見る予定のテレビ『Q.E.D.証明終了』(NHK総合)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)『おみやさん』(テレビ朝日)

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2009年2月24日 (火)

本当の私なんかただの医学生ですよ。(瑛太)ドルアーガのヴォイスかっ(石原さとみ)

もしも・・・自分が医学生で・・・法医学教室の一員なら・・・。

遺体の夫が石橋蓮司だった瞬間に「殺ったのはコイツだっ」と思うに違いない。

そりゃ、もう「銭ゲバ」のちょっと頭の悪い刑事以上にそう思うよ。

だって・・・調理器具のおたまをナニにナニするような男だぜ。(映画「牛頭」より)

そして・・・疑惑に対応するように遺体の腹部に皮下出血の痕跡あり。

夫は一度、承諾した行政解剖を中止させるために解剖教室に乱入である。

理由が「あの時は気が動転していたから・・・」

前回、ついに犯罪がらんだので・・・いよい本格的に死に秘められた暗い謎に踏み込むのかっとドキドキしながら見守っていると・・・ものすごく癒着した昔ながらの夫婦愛を見せられてしまうのだった。

ヴォイス・・・さすがだな。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↘*8.3%(やはり日本人にこういう愛はわからないのかもね)、「歌のおにいさん」→10.2%(ものすごい固定だ)、「RESCUE」↗10.9%(日本人はスペクタル詐欺に弱いらしい)、「銭ゲバ」↗10.2%(勧善懲悪ファン微増かっ)、「ガラス色の恋人」*7.9%(吹石このワク常連なのか・・・)、「スターウォーズEP3」15.1%(たかがベーダーされどベーダー)、「赤い糸」↘*7.0%(ついでに見るドラマなんだな)、「本日も晴れ。異状なし」↘*6.3%(みんな嵐を待っているんだよな・・・それか素朴な南の島を)、「天地人」↘23.1%(こうして人々は妄想日本史に汚染されていくのか)・・・ついでに「ヴォイス」↗15.4%、「加藤ローサの血液型Aのオンナが結婚する方法」13.0%・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~第7回』(フジテレビ090223PM9~)脚本・金子茂樹、演出・松山博昭を見た。前回、死体が登場せず、「命なき者の声」はどこいった・・・と思ったのだが今回は目覚まし時計のヴォイス・レコーダー機能に「命なき者の声」が入っていたのだった。まあ・・・生前のものですけど。

・・・事件にならない事件をドラマにしています・・・という意味では頑張っているのかもしれません。

今回の死体は「靴職人の妻(赤座美代子)」である。夫婦は二人暮らし。夕刻、買い物帰りの路上で突然死したために行政解剖となった。いよいよ医学生たちも解剖に参加することになり、加地(瑛太)と暴走族あがりだけど死体がこわい彰(佐藤智仁)が指名される。彰はよほどこわい事故死体を過去に見たのか。

しかし、死体の夫の変心で解剖は中止となり、死因は不詳となる。

「つまびらかにならなくていいんですか・・・いえ、けして奥さんを開くというシャレではなくて・・・本当のことが・・・知りたくないのですか・・・」

とかって母の死因に疑念を抱いた過去をもつ久保秋(石原)は死体の夫に訴えるが。

「40年も一緒にいるんだ・・・女房の気持ちは分る・・・死んでまで痛い思いするなんて・・・かわいそうじゃないかっ・・・」

と解剖を望まぬ遺族のありふれた言い訳をする死体の夫。心証としては完全にクロである。

日本人は死体に愛着が深い国民であるという話がある。映画「永遠に美しく」で欧米にも死体装飾家がいるのは明らかだが、東洋的な神秘に彩られた「おくりびと」がアカデミー賞を受賞するあたり・・・納棺師はまだジャパネスクなのかもしれない。

映画「おくりびと」について知りたい方はコチラへ→くう様のおくりびとエリお嬢様のおくりびとヤマト様のおくりびと

死後の世界を信じるキッドはどちらかと言えば・・・死体はすでに物質に過ぎないと思うし、死後の世界を信じないキッドも死体はすでに物質になったと思う。衛生的な問題がなければ死体を損壊するのに何の問題もないし、死体の有効利用には賛成だし、遺族の気がすむようにすればいいと思うが・・・沈没した船から遺体を引き上げても遺体を一目見たいという気持にはそれほど共感しない。海のもくずでいいじゃないか・・・とも思う。

もちろん・・・それも一種の情緒の発達障害であるという考え方もできると思う。

しかし・・・たとえば殺人事件の犯人が遺体が解剖されないために無罪を勝ち取ることは公序良俗に反すると思うのである。

まあ・・・宇宙生活者が死体を資源として再利用するという概念に幼い頃に接し、妄想上の死生観と一般的な感慨とがすこしずれているかもしれないなと考えることもあります。

・・・とにかく・・・遺族が失われた家族の最後の姿ができる限り幸せそうであることを望むというのは自然ということにしておきます。確かに殺人犯が遺体を解体して下水に流すのはそれだけで死刑に値すると思いますし。

しかし・・・キッドが思ったように・・・死体の夫は何かを隠そうとしていると医学生たちは思わず、あくまで親切心で・・・夫から解剖への同意を勝ち取ろうとするのである。

加地は少し・・・久保秋の心に友達として答えようとしているようでもあります。

おそらく・・・加地は週末に「ラブシャッフル」を見て、「彼を愛しているけれど結婚はしたくない」というヒロインの言動に・・・そんな残酷な・・・「ふられたら・・・さっさと目が覚めた方がいいだろう・・・恋の夢から何度も目覚めさせられるなんて最悪だ」と思ったに違いないのです。

まあ・・・実は、夫は生活面においてまったく妻に頼りきりの古き良き職人ライフを送っていたので・・・妻が側にいないことですでにパニック状態に陥っていたわけですが・・・そのあたりのことは死体の夫の怪しさを追うためにうやむやにされていて、ちょっと惜しいです。

ついでに「実は妻は夫に末期ガンを隠していた」というオチがつくわけですが・・・ここも胃ガンの地獄のような苦痛に対して甘いかもなあ・・・と思うわけです。相当に優秀なペイン・クリニック医師がいたのか・・・。だから内蔵破裂の傷みにも耐えられたのか・・・。

つまり、妻は余命二ヶ月の段階で・・・体調不良を夫に悟られず、日常の暮らしをしていたわけで・・・あまりにも超人的な夫思いの妻だったということです。

ついでに言うと夫はどんだけ靴だけを見つめ続けていたかってことです。

しかし・・・夫婦の愛の姿なんか・・・人それぞれですからね。そういうメルヘンな夫婦がいてもいいかな・・・と思うわけです。

やがてスヌーズ(居眠り・二度寝防止機能)つきの目覚まし時計を買った電気店と転倒して内臓破裂したマーケットの店員の証言から時系列が明らかになってきます。

電気店「お腹をおさえて苦しそうだったのに相撲中継の朝青龍を見てモチハダをうらやましがっていました」

マーケット「肉の安売りタイムサービスは相撲中継の後でした」

つまり、転倒事故の起こる前に妻は苦痛を訴えていた。さらに・・・夫婦は新型の洗濯機購入で口論をしていた。予想されるのは口論の果ての家庭内暴力ですが・・・。

そうは問屋が卸さないのがヴォイスです。妻は超人的な精神力で末期ガンの苦悶を夫に隠しつつ、自分の死後の心配をしていたのでした。

淋しがりやの夫のために犬を飼い、家事の苦手な夫のために簡単洗濯機を買い、これが最後と思いながら夫の好物である肉豆腐を作り続け・・・そして目覚まし時計には自分の声を吹き込んだのでした。

「あなた・・・朝ですよ・・・起きてください・・・」

甘い・・・甘すぎる夫婦鑑よのぉ。

そんな麗しい夫婦愛につい涙腺が緩む久保秋を見つめる加地。

うふふ・・・うふふ・・・と以心伝心です。

目と目で通じ合うのかよっ・・・そういう夫婦になるのかよ。

まあ・・・ドラマに文句いってもあれだよな。とにかく・・・石橋蓮司にできない役はなく、赤座美代子は死体になっても名女優の巻なのでした。

靴をプレゼントするのかしないのか・・・好きなのか嫌いなのか・・・キスをするのかしないのか・・・そんな甘酸っぱいキャンパスライフをさりげなく送る加地と久保秋なのです。

仲良し五人組も二人のカップルと三人の男組にさりげなく分岐していくのです。

ま・・・青春ですね。そういえば・・・ここは月9なんですからーっ。総理大臣もヤンデレも犯罪者の妹も恋をするのが当たり前なのでしたーっ。ちょっと忘れてたよ。まあ、先週は禁断の兄妹愛、今週は異常なほど模範的なおしどり夫婦。確かに愛でしたーっ。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)『相棒』(テレビ朝日)・・・『エリートヤンキー三郎』(テレビ東京で深夜に再放送中)

ねんドル・岡田ひとみ情報

岡田ひとみの最新刊が出る模様。

3月16日発売決定!でございます。

「ねんドル岡田ひとみのねんどで食育!ミニチュアフード図鑑」
著 岡田ひとみ
(版元・定価・ISBN)
ダイヤモンド社刊
定価1500円(税込み)
B5版/並製/オールカラー/108頁

興味がある方はコチラへ→ねんドル岡田ひとみのねんどで食育!ミニチュアフード図鑑

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2009年2月23日 (月)

泣かない約束したばかりなのにもう泣いて天地人(妻夫木聡)どろろ~ん(長澤まさみ)

ふう・・・今回の脱落者は*0.1%であるか。

みんな・・・辛抱強いなぁ・・・それとも楽しんでるの?

謙信公は雨の降るのを待っておったのじゃ。そして得意の夜襲を仕掛けた。謙信公は義の戦をするお方だったから逃げるものは追わなかった。織田方は川でおぼれて勝手に死んだのじゃ。

どうして・・・雨が降ってたのに鉄砲撃とうとしたの?・・・信長は雨でも鉄砲使えるようにしたので強かったんじゃないの?・・・夜襲って奇襲だから相手が鉄砲構えている時点で失敗じゃないの?・・・ねえ・・・どうして?

細かい男は嫌われるぞーっ。

それに最初のナレーションで「数万人近い・・・」って言ってたけど、「一万人近い」とか「数万人」なら分るけど「数万人近い」って日本語としてどうなの?

言葉というものはまちがってナンボなんじゃ!

どうして日本地図を逆さまにするの?・・・どうして北斗七星なのに一人なの?・・・見上げると南の空なのはどうしてなの?・・・どうして戦が終ると謹慎が解けるの?・・・ねえ、どうして?

斬新な演出、主人公絶対、主人公方向音痴、予算の都合じゃ。

どうして・・・謙信は一人も殺さないで戦に勝てるの?・・・どうして首実検しないの?・・・どうしてみんな春日山城のまわりでブラブラしているの?・・・あ、逃げた。

で、『天地さかさまじゃなかった天地人・第8回』(NHK総合090222PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松数万人ちかく江里子、演出・高橋紅葉大好き陽一郎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回の「書」第六天魔王はなかなかに風格がございますね。大自在天は破壊神シヴァ・・・仏の敵である以上、切支丹の宣教師にとっては聖者の意味であり・・・魔王サタンとは無関係・・・まあ・・・この大河のスタッフには馬の耳に念仏ですよねえ。毘沙門天とは格が違いますからね。この世の破壊神と宝物殿の番人くらい・・・。毘沙門天の本体は・・・夜叉ですから。信長様の教養・・・おそるべしです。っていうかシナリオにそったレビューどんどん短縮していますね。まあ・・・シナリオがないとも言えるから仕方ないかぁ。今回は武田信玄イラストにまつわる畠山当主説に始まる、名門・能登畠山氏滅亡の謎徹底解説付きです。まあ・・・謙信は陰謀に手をそめない正義の人というありえない展開に・・・裏切って織田派の長一族を虐殺、城をあけわたした家老・遊佐続光も・・・どうしていいかわからず立ちすくんでいる様子が見えます。ああ・・・この大河・・・どこへ向かっていくの?・・・どうしてこんなに視聴率高いの?・・・毎晩、眠れません。

Tenchijin15772 で、上杉謙信、最後の合戦、越中・能登・加賀攻略の終盤です。天正五年(1577)年秋・・・謙信は包囲を続ける能登七尾城の周囲に信長の手勢が出現したと知り、増援をするために出陣。結果的に見れば、織田と上杉の戦に見える謙信最後の合戦だが・・・実際は国主不在になっていた能登・越中・加賀の三国に謙信が国獲りを仕掛けた戦である。その証拠に足利一族である畠山氏を攻めているのである。七尾城には・・・主戦派と降伏派がいて・・・主戦派は信長に救援を求め、降伏派は謙信を主と仰ぐということになってしまったのに・・・義もくそもないのだな。もちろん、謙信自慢の軒猿たちは城内に毒を使い・・・七尾城内に避難している能登の民を大量虐殺しているのである。もちろん、信長配下の柴田勝家が能登侵攻の好期到来と見て出兵するのである。この頃、信長は石山本願寺攻めにかかっている。信長配下の軍団は半独立勢力である徳川家康が美濃軍団の長である織田信忠(信長長男)とともに武田勝頼にあたり、佐久間信盛を主将に山城周辺諸国の軍勢で対本願寺に当たっていた。手持ちの札として若狭丹羽長秀軍団、山城明智光秀軍団、近江羽柴秀吉軍団、伊勢滝川一益軍団を持っている。

安土城天守閣には信長が尾張熱田の忍びの頭領として指図をする忍びの間があった。尾張半国の主だった頃から数十年・・・。父信秀死後の織田一族の内紛を生き延び、桶狭間に今川義元を討ち、美濃を獲り、上洛し、ついに宿敵武田に痛恨の一撃を与えるまでになった信長は・・・常に情報を戦の要と考えてきた。

信長は独立勢力として気ままにふるまう野武士たちをたくみにとりこみ、ついに戦国無比の忍びの頭領となっていたのである。

その中には尾張の忍び木下一族から出世した羽柴秀吉、その配下となった美濃の蜂須賀党主小六、甲賀忍者であった滝川一益、美濃明智忍軍の惣領・明智光秀など、すでに一軍の将となった陽忍たちがいる。しかし、彼らもまた人を疑う天才である信長によって忍びの隠し目付けにより動向を見張られてるのである。

情報の真偽はリスクの分散によって達成される。信長はいくつかの組を別働させ、その通報を総合して情勢を判断するのである。信長に最も近侍する森一族さえもが・・・別の忍びに観察されているのだ。しかし・・・夏頃から大和方面に関する調べを聴く信長の顔に憂鬱が浮かぶのを少年忍者森乱丸は見逃さなかった。春には河内の根来衆、紀伊の雑賀党とおそるべき鉄砲集団に背かれている。京の南西はまだ不穏な空気に包まれているのだ。

そして・・・信長は決断した。

「ハゲネズミ(秀吉)に使いせよ。長浜の鉄砲作りが滞っておるじゃ」

乱丸は緊張を押し殺した。それは即時撤兵の符牒だったからである。

信長の忍びの一部は黒法衣と呼ばれる伝令の騎馬武者だった。各自は陽忍であり、密書を各地に伝播するのである。安土城を飛び出した早馬は近江を渡り、越前を越え、最前線加賀へ伝報を送る。その流れは信長の支配した領土にくまなく配置されており、滞ることはない。もちろん・・・それとは別に忍びの道を隠忍が走っているのである。

羽柴秀吉は加賀・末森城でその知らせを受け取った。秀吉軍は忍びの集団である。その顔ぶれはまがりなりにも武将たちで構成される他の信長軍団とは色合いが変わる。副将の蜂須賀小六、軍師の竹中半兵衛、弟の羽柴秀長、川並衆の前野長康、長浜で拾った石田佐吉、顔をそろえた幕僚たちは全員忍びであった。

秀吉は笑みを浮かべた。もちろん、この小男は基本的に笑顔なのであり、本当に笑ったかどうかが分るのは苦楽を共にした墨俣以来のものだけである。

「退き陣じゃ・・・半兵衛どう思う?」

「・・・おそらく、大和信貴山の山城守殿でしょう・・・」

「ふふん・・・茶釜頭が・・・またもや・・・沸きおったかや・・・よくまあ・・・信長様が辛抱なされることよ・・・なあ、小六」

「大殿は大仏殿の件がお気に入りなのよ・・・」

「なるほどなあ・・・仏を焼いたもの同志か・・・ははは」

一同は笑い終えると城内から消えた。

羽柴勢が陣営から消えたという報告を受けた柴田勝家は一瞬顔を引きつらせた。

すでに織田軍先鋒は能登に向けて、金沢城を目指している。若狭の水軍衆を率いる丹羽長秀軍も北上していた。前田利家、佐々成政の鉄砲隊を主軸にする勝家の与力たちも待ち伏せのための配置を終えていた。

信長軍では珍しい騎馬隊を主流とする柴田本軍と秀吉の忍軍が手取川を越え、金沢城から七尾城に向けて一気に突入する手筈が狂ったのである。

「又左(利家)よ・・・お前の長屋仲間の気まぐれにも困ったものだでや」

「おそらく・・・大阪あたりで何事か起こったのですわ」

「ならば・・・こちらにも馬が参るでな・・・」

勝家に知らせが届いたのは七尾城を陥落させた越後衆が手取川を渡河した織田先鋒部隊を目指して南下しているという知らせと同時だった。

手取川の渡河点で知らせを受け取った勝家は左右に控える佐久間盛政、勝政の兄弟を見回した。

「おみゃあたちの叔父御が不手際じゃ。松永に背かれおったわ・・・越中・能登攻めは様子見せいと御大将のおおせだわ」

「しかし、父上、上杉の軍はおびきだされて近付いておりますれば・・・」

加賀大聖寺攻めで百人もの坊主侍を討ち取り、武名をあげ勝家の養子となった勝政が言上した。

「まあ・・・攻めるが・・・謙信を引き出すまでにはいたらぬだろう。最初の攻め手が薄いわ」

信長が勝家に授けた作戦は次のようなものである。

一、七尾城の救援。

二、七尾城落城せし時には手取川にて対陣し、敗勢を見せて越後勢を加賀に引き込み、包囲殲滅これあること。

つまり、信長は負け戦を起こし、長篠の二の舞を待ち伏せによってなそうとしたのである。

「だが、猿(秀吉)の殿(しんがり)がなきゃ・・・上杉が乗ってくるかどうか・・・この勝家、退却戦は不得意じゃからの・・・」

天正五年九月二十三日。案の定、勝家は上杉軍団と衝突し、退却したが・・・上杉謙信を釣り上げることはできなかった。

あっさりと引き上げた織田の軍を見て謙信は嫡子と目される養子・景勝に告げた。

「景勝・・・織田の戦ぶり・・・どう見る・・・」

「・・・いかにも誘いの気が見えまする」

「よい・・・その通りであろう・・・此度の戦で能登・越中二国と加賀半国を得た。もはや、冬も間近じゃ・・・七尾に戻り、名月を愛でて・・・越後に戻る・・・これが潮時じゃ・・・」

「しかし・・・父上ならば・・・あえて誘いに乗っても勝機を見出すも可なりと存じます」

「・・・信長在陣ならば・・・それも面白かろうが・・・信長めが、近江の城から出て参らねば勝負にならぬわ・・・信長め・・・恐ろしき奴だ」

「父上が恐れるとは・・・」

「景勝・・・相手あっての戦ならば・・・わしは神にもなれよう・・・しかし・・・相手がおらずば不覚をとるものぞ。わしが信玄に負けなんだは・・・死中に克を求めたからじゃ・・・奥にいるものの心は読めぬわ・・・景勝よ・・・次の戦のために・・・追い忍びをはなっておけ・・・」

景勝は樋口与一を呼び出すと・・・敗走する織田軍の追い討ちを命じた。敗軍に混じり織田の戦法を研究するためである。

樋口与六は配下の越後忍びとともに加賀の地侍に変装し・・・夜の闇に消えていった。

その頃、本願寺包囲網の戦列から外れ、本願寺・毛利・上杉の足利元将軍同盟に加担した松永久秀は大和・信貴山城に篭城していた。近江・羽柴秀吉軍と合流した美濃・織田信忠軍は大和へ向けて進発する。山々は紅葉が散り終っていた。

久秀が名物・平蜘蛛とともに爆死するのは天正五年十月十日のことであった。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』『釈由美子のB型オンナが結婚する方法♪』(フジテレビ)『神の雫』(日本テレビ)

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2009年2月22日 (日)

マカロンで擬態を喝破それが銭ゲバずら(松山ケンイチ)そっくりさんは二度死ぬ(木南晴夏)

そろそろ・・・モラルの虫が騒ぎ始めたか。

インモラル(背徳)的な行為は作家にとって必要不可欠なものだが、表層的な部分ではなにかとつらいものだ。

たとえば・・・作家は殺人者の描写をする。

時には殺人者の心を描くし、殺人を肯定的にとらえたり、殺人に快楽を見出したりする。

虚構ではすべてが思いのままだからだ。だってウソなんだもん。

しかし・・・それが思考の実験だったり、あるいはどんな人間も殺人に喜びを見出せる資質をそなえているという検証だったりしても、そのことに同意できなかったり、いろいろと思考の発達に問題のある人は・・・そういうお約束が理解できなかったりする。

たとえば・・・作家の家族が・・・「もうドラマの中でも人を殺さないで・・・世間の目がこわいから」と涙ながらに訴えたりしたら・・・筆が鈍るのが人情というものなのである。

子供に「人殺しは別に悪いことではないという考え方もある」と教えるのは難しいものだ。

近所で「あの作家は人殺しのドラマを書いているのよ」「あの家のご主人、人殺しの気持ちなんてよくわかるわね」「人を殺したことあったりして・・・・」「あの方、人殺しなんですってね」「まあ、いやだわ、近所に殺人鬼が住んでいるなんて」ということになり、作家の家族は買い物も満足に行けず、作家の子供が学校で砂場に埋められるのである。

だから、つい、悪の栄えたためしなし・・・というドラマを書いてしまっても仕方ないのである。

まあ・・・芸術家である前に小市民だからな。

で、『銭ゲバ第6回』(日本テレビ090221PM9~)原作・ジョージ秋山、脚本・岡田惠和、演出・大谷太郎を見た。どんな夢を見ているのか、隠すのはある意味、本質を曖昧にしようという作戦である。「心の底で罪の意識に苛まれている」というお約束をお茶の間に想像してもらおうという魂胆である。トイレに行きたいのにトイレがなくて困っている夢を見ているだけかもしれないのに。

夕べ見た夢を話さない

よくある話かもしれないけど

夢の中で

一人の子供が

色とりどりのマカロンを食べていた

ところが

ふりかえるとそこには

巨大なマカロンが立っていて

ボクをペロリと飲み込んだのさ

そのお菓子のような舌触りと

生臭い香り

そして喉の奥に広がる極彩色の暗闇

マカロンだ

マカロンだ

悪魔マカロンだ。

ぬおおおおおっと風太郎(松山)は目覚めた。

茜(木南)は風太郎の苦しみを分かち合おうとするが、風太郎は体面をとりつくろうことができなかった。

夢は無意識の警告である。何かを・・・見落としていると風太郎は考えた。

醜い痣の娘は大丈夫。この女は口汚くののしっても・・・それを愛情表現と誤解するタイプだ。試してみよう。

俺に触るな・・・目障りなんだよ・・・

「はい」

ほら・・・見ろ・・・こいつは大丈夫。こいつはもうお仲間だ。親を殺されても平気で殺した相手を愛することができる奇妙な生き物だ。

それじゃあ・・・危険はどこに潜んでいる・・・マカロンか・・・そうか・・・なるほどね。

人間はモチベーションしだいの生き物だ。奉仕することが快楽と感じれば、どんなくだらない仕事だってやってのける。毒ガス工場では社会を明るくする運動が必要なのだ。

世界平和のために天才的な科学者たちが原子爆弾を作り出す。

それがモチベーション効果というものだ。

そのあたりを上手にコントロールしてやることが大切なのだ。プレッシャーに弱い人間には本番を練習試合だと暗示をかけ、トロフィーが必要な人間には偽の賞金を与える。そういう手加減が勝利の方程式というものだろう。

金は人を裏切らないが・・・人は裏切るからな。

風太郎は街で母によく似た野良人間の雌を見かけた。

その姿に風太郎は我を忘れた。

ははは、笑うじゃないか。

どんな冗談なんだ。お前はあの女に・・・母さんを見出すのか。

だって、僕は宝クジに当選したら・・・母さんとディズニーランドに行きたかったんだ。母さんのために豪邸を建てて・・・母さんの病気を治療して・・・元気になった母さんと世界旅行に出かけるんだ。母さんはそう僕が言うと・・・僕を抱きしめてくれた。

それじゃあ・・・金を与えてみるがいいさ。どんなことになるか・・・楽しむとしよう。

あの母さんに似た人はすごくすごく喜ぶんじゃないかな。僕は母さんを喜ばせるのが得意なんだよ。お墓なんか作ったって・・・天国の母さんとは無関係だろう。

おいおい・・・天国なんてないさ。あの人は苦しみから自由になって・・・消えてしまった。それだけだろう。まあ・・・もしも天国があったって・・・お前が行くのは別の場所だからな。

だから・・・いいだろう・・・僕は・・・この世で母さんの喜ぶ顔が見たいのさ。

母親によく似た女を金で買うか・・・それも一興だよな。

君は本当に・・・悪魔みたいだね。

おやおや・・・それは言わない方が身のためだろう。だって、俺はお前なんだから。

刑事は言った。「なんで・・・君が犯人だと俺が考えたか教えてやるよ・・・あの夜。殺された弟がバットをもっていた子供を追いかけて走っていたという目撃者がいたんだ」

風太郎は答えた。「だから、小学生が犯人だと・・・その目撃者ではなくて・・・

刑事は「それは盲点だったな・・・」と帰っていった。

風太郎は「バカだな・・・」と思った。

それから・・・風太郎は母親そっくりな女(奥貫薫・二役)に金を渡した。

そして・・・刑事を呼び出した。

風太郎は言った。「お金が余ったのであげますよ・・・これで奥さんの病気を治療できるでしょう

刑事は答えた。「弟の仇をとるためには女房は捨てる。それがどうした文句があるか」

風太郎は答えた。「バカは死ななきゃなおりませんね

それから風太郎は自分のそっくりさん(松山・二役)にも金を渡した(と思われる)。

刑事の妻は風太郎によく似た男に病院の階段から突き落とされた。

ついでに風太郎は父親(椎名桔平)にも10億円を渡した。

風太郎「約束通り・・・死ぬズラ

父「無駄遣いするなあ・・・」

風太郎は湯水のように金を使うが、世の中はあるところにはお金はあるのである。

しかし、食堂の娘(石橋杏奈)は拾ったお金を風太郎に返す。世の中に金のないところがある理由だ。

家政婦(志保)は死体を見つけた裏庭を彷徨う。心は乱れる。しかし、家政婦は見られていた。

家政婦「私を殺すの・・・」

風太郎「殺すもんか・・・俺の汚れた服をクリーニングしてくれ、美味しいものをたべさせてくれ、汚れた食器をピカピカにしてくれる・・・そんないい娘をなぜ殺す・・・お給料を倍にするさ・・・新しい主人は君を幸せにするんだ

家政婦「ありがとうございます・・・ご主人様・・・うれしいズラ」

風太郎「ズラ喫茶か・・・きっと流行しないよね

すべての準備を整えて・・・風太郎/風太郎は廃人モードの緑(ミムラ)の前に立った。

そこには巨大なマカロン盛り合わせが置かれていた。

君を騙すのは簡単だったな・・・だって君は自分がひどい目に会う・・・そういう経験が不足しているもんね

ふふふ・・・その調子だ・・・お前にしては上出来だ。

昔・・・僕は君に初恋をした・・・泥水をかぶった後で・・・入浴して・・・さっぱりして・・・天国にいるような気持ちだった・・・そしてマカロンを一口食べて・・・君は僕の母親を侮辱したんだ・・・

おいおい・・・告白かよ。そんで逆恨みかよ。

君にとっては・・・ある夏の日のささいな出来事・・・僕にとっては用心に用心を重ねて・・・貧乏であることを苦にしない母親が・・・薬も買えない母親が・・・せめて僕がいい子であることで・・・救われていたことを・・・壊さないように・・・給食費も・・・遠足の写真も・・・友達の付き合いも・・・お金にまつわる・・・あれやこれやを・・・感じさせないように・・・タイトロープをつま先立ちで歩いていたのに・・・すべてぶちこわしにしたあのマカロン・・・

そんなことじゃ・・・お嬢様はビクともしないぞ。こうするんだよ。

おい・・・何をする。マカロンがもったいないじゃないか。

お嬢様に口で何言ったってダメなんだよ。心の出来具合がお前と違うんだから。

そんな・・・マカロンがドロドロのグチャグチャに・・・。

さあ・・・お嬢様・・・「不潔っ」て言うだろう。お前の芝居なんてコレまでだ。お嬢様はこれでも食らえっての。

緑の仮面ははがれた。お嬢様には床に落ちたものを食べるということは考えられない衝撃的な出来事だったのだ。思わず・・・手が出るのだった。

「この、貧乏人の小倅・・・なんて無礼な・・・あなたは恐ろしい人だから・・・私は死んだフリをしていただけよ・・・そうでなかったら・・・あなたに殺されるかもしれないと思ったから・・・そしてつくづく考えた・・・どうすればあなたのように恐ろしいケダモノになれるかって・・・つまり・・・貧乏ってそういうことなんでしょう。親が親なら子も子なんでしょう。貧乏が悪魔を生み出す・・・いつか・・・殺されたお父様が言っていた・・・その通りなのね・・・貧乏人はみんな悪魔なのね・・・ああ・・・私は今ほどお金持ちに生れてよかったと思ったことはない。お金持ちは天使ですもの。貧乏人になってあなたのような悪魔にならずにすんだと思うとホッとするわ・・・もしも・・・私があなただったらと思うとゾッとするんですもの。あなたはそうやって毎日、毎日、落ちたマカロンをお食べになっているの・・・?」

本当に・・・本当に・・・お芝居だったの・・・ショックでおかしくなっていたんじゃないの・・・。

バカだなぁ・・・そんな臭い芝居に騙されるなんて・・・お前は本当に子供だよ。

恥辱でテーブルにすがりついた風太郎の元へ・・・刑事がやってきた。妻への傷害罪の容疑者として逮捕すると言う。

ほらほら・・・馬鹿な刑事が来たぞ。貧乏人の敵は貧乏人だよな。

そんな・・・金持ち女に騙されるなんて・・・。

ふふふ・・・手錠なんてかけちゃって馬鹿な刑事だ。

風太郎を愛している茜。風太郎を人間と思わない緑。風太郎におびえている家政婦という三人の女を残し・・・風太郎は連行される。

その途中。

見ろよ・・・金を渡した野良人間が殺されたらしいぜ。野良人間の敵は野良人間なんだな。

ああ・・・お母さんがまた死んだ。お母さんはお金があってもなくても死ぬんだね。

だから言っただろう・・・お金は用心深く使わないとダメだってさ・・・お坊ちゃん。

そうか・・・君は僕の良心なんだね。

そうだよ・・・風太郎・・・上位自我が・・・分裂して悪魔になるのは・・・多重人格ではありふれた出来事なんだ。

ああ、なんてことだ・・・良心が悪魔に魂売り渡しているなんて・・・もう・・・いやだいやだいやだいやだぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ。

風太郎はほくそ笑みながら絶叫した。風太郎の心はバラバラになり・・・また一つに統合された。すべては計画通りだからだ。神に計画があるように悪魔にも計画はあるのだから。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)

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2009年2月21日 (土)

ジョーとパンダとラブシャッフル夫人(玉木宏)うさタンをプロデュース。(貫地谷しほり)セッ(香里奈)くすっ(吉高由里子)

些細なことが気になる場合・・・それが些細なこととは限らない。

気になるのは人間の特徴ではなく、猫も気になっているように感じられるときがある。

そう想像するのは人間の特徴と言えるかもしれない。

「ラブシャッフル」はストレートに面白いドラマである。楽しくて面白い。CMの効果としてはおそらく視聴率以上の高さがあるだろう。要するにこの面白さが分る人間とそうでない人間に格差は広がっていくのだろう。

で、『・第6回』(TBSテレビ090220PM10~)脚本・野島伸司、演出・土井裕泰を見た。たとえば・・・ウサたんこと啓(玉木)がもてもてになる時、ああ・・・とそういう気持ちが分かる人間がいる。もてもてになったことがない人間は想像するしかないのである。もてもてになったことのない人間は自分が多数派だと思うかもしれない。しかし、それは間違っている。大体人間が10人いれば、もてもてになったことがあるのが六人、そうでない人間が四人という感じだろう。

もてない人間が少数派なのである。

どうしてそうなるのだろうか。もてない人間というのは魅力のない人間である。あるいは自分に魅力がないと思い込んでる人間だ。どちらかと言えば男に多い。現代は男も化粧する時代になりつつあるが、そうでない時代、男は化粧なんてしても無駄だと思うから化粧をしないわけである。

その点、女は化粧をする。なぜ、化粧をするかと言えば化粧をすれば魅力的になれると信じるからである。

そういう意味では女は10人いればほとんど10人が自分には魅力があると思っているのである。

つまり、人間が10人いれば5人は確実にもてもて体験があるのである。

さて、人間がもてもてになると・・・とても一人を独占するのが難しくなる。月~金は一人に奉げても土日は別の人のためにあけなくてはならないという事態が起こる。そうなると月~金の相手は土日がヒマだ。そうなると他の誰かと付き合う必要がある。するとその時点で相手ももてもてになるのである。

日替わりでチェンジだと六人にもてもてで日曜日くらいは休みたい。当然、相手の六人はまたもてもてになるのだ。

結局、もてない人間とは想像を絶するくらい高望みをいるタイプか、異性より鉄道模型が好きなタイプに限られるのである。それが・・・10人に4人くらいはいるわけである。

まあ・・・世の中の人々は思ったよりもてもてなのかもしれないという妄想です。

とにかく・・・啓は本人が思う以上にもてもてなのである。しかし、下等動物並みの認識しか持っていないため・・・そのことを利用できないのだった。

辞表をたたきつけた会社に部長待遇で復帰する啓。たちまち・・・四人の部長ファンクラブが結成されるのである。

別格の海里(吉高)も啓の獲得したデロリンパンダ(デロリンマンではない)に愛着を感じているし、やはりエマニエル夫人だった上条夫人(小島聖)もすっぽんを食べさせるほど啓に好意を寄せている。明らかに愛瑠(香里奈)は啓に惚れてしまったようだし・・・そして実は賢女である芽衣(貫地谷)も啓が好きで好きでたまらないのであった。

これほどもてるのはただの人間ではない・・・と芽衣は考え・・・だからこそ、啓とは結婚できないと結論したのである。・・・なんでそうなるのと思う人は啓と同じ下等動物レベルだということなのだ・・・あくまでこのドラマの上ではです。

もちろん・・・同性である菊田(谷原章介)としては「買いかぶりすぎだ・・・」と思うこともあるのだが・・・実は・・・別に好きな男がいるので・・・そう思っているだけなのだった。

菊田の好きな男・旺次郎(松田翔太)は愛瑠が啓を好きなことを見抜くし、諭吉(DAIGO)にいたってはすでに啓を世界で一番大切な人間と感じているのである。

しかし・・・本人にはその自覚はなく・・・IT企業に勤めているのにコンピューターに興味がないという異常を押し通すのである。一体・・・啓はこの企業でどんな仕事をしているのか。

さて、次々に疑問が明らかになった今回。

菊田の死んだ恋人のそっくりさんは旺次郎。

海里には実際になにか得体の知れないものが憑依している。

そして上条夫人の性交三昧は夫公認なのだった。夫は不能で・・・上条夫人の浮気は公認・・・そして場合によっては上条夫人の仕事は夫のための後継者を妊娠出産することなのかもしれない。不特定多数を相手にするのは父親に情をうつさぬ覚悟かもしれない。啓のような「演説家」の資質が望ましいという夫(尾美としのり)の発言からも男たちが「子種要員」であることが察せられる。また外見もある程度は重要らしく、眼鏡をとったらかわいいことでようやく諭吉も対象になれたのだった。

上条氏の職業は・・・外交官とか政治家とか弁護士とか宗教家とか工作員とかなのだろう。

さて・・・もはや・・・海里の「かわいさ」展示場になりつつあるこのドラマ。①「ジョー」だけ言う。②かりかりしながらお告げをする ③写真が心霊写真 ④とにかくつきまとう ⑤凍えるまで待つ ⑥ウソのくしゃみをする ⑦視線を彷徨わせる ⑧シャッターをおでこでコンコンいく ⑨下品に食べる ⑩上品に食べる・・・キリがないのでやめておきます。

もう・・・2009年を代表するかわいい女優だな。

ふと気がつくと・・・謎は芽衣が気になる人は誰か・・・だけか。まあ・・・それは来週のお楽しみである。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

Hcinhawaii0524 まこちゃんハウス。緊急看護ベッド。まこむ~ん。まこは風邪ひきしゃんだジョー。う~ん・・・旺次郎の・・・おしりが・・・あぶにゃ~い・・・タニショー・・・エロ目モードぉ・・・う~ん・・・エマニエル画伯・・・見えちゃいますよぉぉぉぉ・・・う~ん・・・あんぱんちさん・・・やっぱり・・・そうだったのデスかーっ・・・はうぅ~ん・・・ラブ・・・メイメイやぎしゃん・・・ひつじしゃん・・・カツラのバケラッタ・・・啓のおかゆはまだでしゅか・・・お気楽旺次郎は海里をふって菊リンと結ばれるの?・・・菊って!・・・時々・・・オフコースのさよならが聞こえる気がするよね・・・スケジュールがあるから早く風邪なおしてねあんぱんちまあ・・・また誤解を招くような熱にうなされた妄想して・・・彼女じゃなくて彼なのよ・・・使えるうちに使う派ですから~くうまこちゃんがダウンしている間、啓ロイドはあずかっておくよっ・・・しかし、思った通りに菊りんは旺ちゃん狙い・・・こうなると芽衣はアイアイ狙いかっ?ikasama4カボスです・・・私は芽衣は諭吉狙い派です。芽衣→諭吉→アイアイ→啓→芽衣でリングになるので貞子(特別ゲスト)も出やすいし・・・イカサマ・シルビア・クリステル・・・夢でよかったエリまこちゃま・・・大丈夫・・・ワインで作った卵酒を用意しまスー

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『本日も晴れ。異常なし』(TBSテレビ)

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2009年2月20日 (金)

コーヒーカップとドーナッツはテッテケテー(高橋愛)ともに同相でトーラスでQ.E.D.(中村蒼)ぬアーッ(加瀬亮)

実は「ありふれた奇跡」↘10.4%は相当に面白い。

しかし・・・きっとこれは嫌な面白さなんだと思う。

親子三代の二つの家庭。いろいろあって、祖父→父(離婚)→息子(自殺未遂)一家と祖母→父(女装)母(失恋)→娘(妊娠不能)一家になっている。娘と息子は自殺未遂の男(鬱)を人命救助して知り合い・・・いつしか友情と恋愛の周辺を彷徨う。

設定がすでに嫌な感じである。

娘は若さゆえのあやまちで心身に傷を負い優秀だがややこしい臆病で頑固な女になっている。何よりも男の心変わりがこわくてこわくてこわくてたまらないのである。男は逃げ出した過去を持つ。二人は優しいが弱い。

すごく嫌なカップルだ。

「子供を生めないこと」が娘を頑なにしている。男は「子供なんて産まなくてもいい」とつい言ってしまう。それが娘の祖母に言った言葉だったために誤解を招く。

実は偶然にも二人の父親は女装仲間だった。しかし・・・娘の父として「子供をいらない」という男と結婚を許すわけにはいかないと・・・実は女装が表沙汰になる可能性を危惧しているのだが・・・男の家庭と衝突が起こる。

娘の父は興信所を使い、男が借金を背負い自殺未遂した過去まで調査する。

もう凄く嫌な展開だ。

そして・・・実は「娘が子供が生めない」のに娘の両親も祖母も「精子なき男」と娘を結婚させるわけにはいかないと男を居丈高に責めるのである。

どんだけ嫌な感じなんだ。

つまり・・・現在娘の家族たちは娘の不幸を知らず・・・男を責めることで・・・娘の心を踏みにじっているのである。

すると・・・もう・・・ワクワクしてくる。いつか・・・その善意と悪意の狭間にある残酷な気持ちが逆転することがわかっているからである。

この期待感が・・・もう嫌な感じなのです。

こんなに面白い嫌な感じのドラマ・・・初めて見ました・・・。

で、『Q.E.D.証明終了・第7回』(NHK総合090219PM8~)原作・加藤元浩、脚本・相原かさね、演出・榎戸崇泰を見た。視聴率は↘*4.4%である。4.4もかなりかわいい数字だ。原作56話の「エレファント」をアレンジ。数学者の海賊ジャック(袴田吉彦)と昔の恋人沙織(古村比呂)の結婚できなかった男女の挽歌に燈馬(中村)と可奈(高橋)は同相で同調していくのである。男と女はどんな組合せでも男と女にすぎないからである。

そんな哲学に・・・一体何人がうんうんと頷けるというのだ・・・。小学生向けドラマのくせにーっ。

まず、数学者たちの言うことは基本的にすべて妄想であることを指摘しておく。これは人間が生きていることを証明できないようにすべての定理は公理という仮定にすぎないからである。死後の世界が証明されない以上、生前の世界も証明できないのである。

その妄想の一つに「宇宙はボールであってドーナツではない」という推測があり、これを推測した人物にちなみ、20世紀初頭にポアンカレ予想と名付けられた。以来、100年間に渡って天才と呼ばれる数学者たちがこの難問に挑んだ。そして己が天才ではなかったことを証明したのである。

海賊ジャックもその一人、「女より数学を愛した」ジャックは恋人を残し、妄想の世界へ旅立っていった。

しかし、2003年、ロシアの数学者ペレルマンは微分幾何学と物理学を用い、ついにポアンカレ予想を証明したのである。2006年、世界はこれを公認し、かくて世界の他の数学者は全員鬱になったのだった。

海賊ジャックもがっかりである。

彼は・・・昔の恋人の元へ戻り・・・彼女の宝物を奪おうとする。

そんな青春の終わりの儀式に巻き込まれた可奈。

数式で会話するジャックと燈馬に疎外感を感じるのであった。

夢を追いかけたジャックと実生活で生きる沙織は一定の距離を置く。

沙織の金庫をタイヤ・マジックで盗みだしたジャックは金庫の中身が「エレガント(ステキ!)」ではなく「エレファント(だせぇ!)」であると知り、去って行くのである。

まあ、夢追いかけて夢やぶれた男の話であるが、少年マンガなので男が実生活では大成功しているらしいニュアンスで幕を閉じる。少年が幻滅しないようにという配慮である。

なお、数学者は成功しても天才すぎて廃人になったりする場合もあります。

可奈は大好きな燈馬くんもいつかどこかに去って行く不安に襲われるのだ。誰も証明したことはないが青春が永遠のものでないと誰もが予想できるから。

とりあえず21世紀は宇宙が球体であることが証明された世紀なのである。

探偵同好会が主に入浴シーンで活躍するが高橋愛や垣内彩未のサービスはありません。そんなことでは「おみやさん」↗12.9%には勝てないぞ。・・・あっても勝てないだろうが。

で、『ありふれた奇跡・第7回』(フジテレビ090219PM10~)脚本・山田太一、演出・谷村政樹を見た。やはり・・・というか・・・今さらというか養子里親制度に行き着きました。「子供が欲しい・子供ができない」という加奈(仲間由紀恵)がそれを発想しないのは・・・加奈の一家の血縁絶対主義に起因するということだろう。わが子でなければ人でなしである。

兄弟の多い時代の夫婦の子供の視点で見ると・・・血縁は鬱陶しいものだ。

兄弟愛に縛られた夫と兄弟愛に縛られた妻は・・・夫婦であっても血縁ではない。

理論的にいえば、夫婦は血を分けた子供によって血縁者となる。

夫から見れば、子供には妻の血が流れている。夫と子供が肉親であり、子供と妻が肉親であるから、夫と妻も肉親になるのである。

しかし、認識によって実際に血を分けた兄弟よりも妻に対して、あるいは夫に対して血縁意識の薄い夫婦は多い。

血縁重視主義者は、時に配偶者よりも実の兄弟を重視したりして混乱を招くのである。

混乱するのは多くの場合、夫婦の子供だ。

夫が妻の兄弟と、妻が夫の兄弟と不仲になるのはありふれた出来事なので・・・そういう場合、夫婦の子供は「親戚が憎しみあうこと」を学ぶのである。

そして、歴史上の人物たちが、妹の夫を殺したり、娘の夫を殺したり、実の兄を殺したり、実の弟を殺したりすることになんとなく納得できるようになるのだな。

まあ・・・その一歩手前のひたすらの身内びいき、我が身かわいさをこれでもかと展開するホームドラマ。恋人をかばったゆえに恋人の家族から翔太(加瀬)が自殺寸前までひたすら責められるターンである。もちろん、そのすべてはお茶の間にお見通し・・・恋人たちの幸せを願わなければ来週の逆転劇はスカッとさわやかカタルシスになるのだな。うっしっし。・・・意地悪ばあさんかっ。

まあ・・・加奈は聡明な女。聡明ゆえに翔太に過去の男を重ね合わせる。一人一人に名前があるのを忘れたように。濁った心の目は曇る。しかし、晴れた日に永遠が見えるとも限らないのである。

関連するキッドのブログ『先週の木曜日のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『赤い糸』(フジテレビ)『銭ゲバ』『妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『吹石一恵のガラス色の恋人』(NHK総合)『RESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)

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2009年2月19日 (木)

おいらくの恋と相棒(水谷豊)亡霊のナースとキイナ(菅野美穂)

水曜日のダンスは

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%↗17.3%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%↗14.2%

とようやく、落ち着いたステップ。

しかし、世間では有能と無能が激しくせめぎあい・・・観測が困難な状況を作り出している。

ライバルが次々に転び、転がりこんだイスに・・・疑惑を感じるべきなのは当然だが、それを知ってバカを演じることと本当にバカなことを見極めるのはなかなかに難しい。

マンガ宰相はそれなりに粋なのだが、背後に文学的教養を持つ必要がある。ルビなしで漢字を誤読した時にもそれをユーモアに変えるかどうかはその深みである。極道宰相にはそれがあった。その人とケンカして勝てるかどうかの見極めもできないのか・・・。あえて火中の栗を拾わんとしているのか。この辺りが解読不能であるな。

日本は超大国にはさまれたナンバー2である。日本史的に言えば、織田(アメリカ)と武田(中国)北条(ロシア)にはさまれた徳川のポジションなのである。もう相当にスリリングだ。信長に妻子を殺せと命じられたら殺すしかなかった家康の心情を我が国の宰相は常に想起しないといけないのですけどね。

で、『相棒・Season7・第15話』(テレビ朝日090218PM9~)脚本・古沢良太、監督・和泉聖治を見た。いかにも相棒らしい展開なのだが・・・そういう話が相棒なしで成立してしまうところが相棒の微妙なところである。しかし、出演者のギャラ配分の難しい局面なのだな。

今回は

痣のある未婚の美しい老婆(犯人)・・・岸恵子

結婚詐欺の常習者で毒薬を持つ初老の男(被害者)・・・国広富之

老婆が大学でフランス語を教えていた頃の学生で現在刑事の右京・・・水谷

・・・以上である。

まあ・・・県警の捜査ミスを警視庁特命係がまた暴いてしまいましたーっ。・・・なのである。

それにしても・・・岸恵子(76)・・・達者だなぁ。濡れ場までこなすとはーっ。

これは許された特殊なキャラだけが可能なことなのでけして真似しないでくださいレベルである。

顔に痣のある女(木南晴香)に対応して体に痣のある女で一本作ったかのような展開だ。ま、気のせいですけどね。

学生時代・・・フランス文学の師・悦子は学生・右京に単位を与えなかった。

それは右京にはおフランス式の愛が馴染まないと見抜いたからだった。

しかし、悦子はまた裸になって男性に拒否され・・・心に傷を負った醜い体の持ち主だったのである。

才色兼備の外面と服の下の欠陥。悦子の心は美しくねじれていく。

右京は悦子の見抜いたとおりに女心の分からない男に成長し、結婚に失敗したのだった。

そんな師弟が再会するのは・・・悦子が人生の最後に訪れた愛の物語を右京に聞かせるためである。

悦子の屋敷で服毒自殺した男。お約束の密室トリック。そしてB.G.M.はブラームスとかドヴォルザークとかモーツァルトとかおなじみマーラー5-4とかドラマチックにかけまくり、コーヒーしかないのよで始まり美肌効果のあるハーブティーオチである。アモル、アモル時、アモレば、アモール。パロール、パローレ、パロリーヌである・・・なんのこっちゃ。

まあ・・・結婚して殺害して遺産相続(保険金を含む)の常習犯である榊が・・・歪んだ心で悦子の愛に溺れ・・・悦子は初めての歓喜に震えつつ、乙女のように男の愛を疑い・・・榊の正体を知って逆上して毒殺・・・しかし・・・榊は今回は本当に愛していたので悦子を庇って密室トリックを完成させるのだった。

右京「あなたは良心の呵責に耐えかねて・・・私を呼んだのですね。・・・自首をお奨めしますよ・・・」

悦子を一人にする右京。横溝正史なら絶好の自害場面だが・・・悦子はおしゃれに着替えて登場。

悦子「本当に女心が分らない人ね・・・私は素晴らしい恋愛をしたことを誰かに自慢したかっただけなのよ・・・お礼に軽井沢駅前の薬膳カレーでもご馳走するわ・・・」

右京「・・・はいぃ?」

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・第5回』(日本テレビ090218PM10~)脚本・山崎淳也、演出・山下学美を見た。今回から「お前の渾名はビビリーだ」と呼ばれない別班刑事(平岡祐太)は別班長・天才捜査官・キイナ(菅野)に振り回され、神経性の急性胃腸炎を発症、緊急入院するのだった。

しかし、それは霊能ナース・ぐっち(浅見れいな)が不吉な予感におびえて手頃な刑事を召喚したのだった・・・かも。

だが、結局、刑事ビビリーはお役に立ちませんでした。そして刑事キイナもまた未然に犯罪を防ぐ能力は神から与えられてはいないのである。ドラマに登場する刑事たちは事件が起きるまでは傍観が鉄則である。

そして・・・密室での自殺トリック2である。かぶるな~。

今回はオーソドックスな犯人こっそり抜け出し、第一発見者にアリバイを証言させるテクニック。見つかるか見つからないかは五分五分だからな。

目撃者の証言なんて何一つ信用できない・・・と考えれば、「無関係な女性を性的欲望目当てで殺害したあげくに死体を解体して下水に流した男を死刑にできない裁判官」も成立するのである。間接的に人殺しができないなら裁判官なんてやめちまいな。

そして、保身のためには殺人も行為の一つであると考える医師・宮下(吹越満)は「病院の本当にこわい話サイト」に「呪いで自殺した看護師の話」を書き込むのだった。

しかし・・・この事件を冷静に見つめる元世田谷区役所勤務のナース麻衣子(西尾まり)はすべてを読んでいた。もちろん・・・背後に朝倉がいることを彼女は知っている。

しかし・・・犯人が朝倉が顔を変えた宮下である可能性もあり・・・他人の空似を装うナース麻衣子は沈黙を守る。

そのころ、残留思念モードとなったナースぐっちは病院を彷徨っていた。

「私は宮下医師の犯した投薬指示のミスによる殺人事件の口封じのためにころされましたぁぁぁぁぁ」と叫ぶのだが人々は現世の生活に忙しいのである。

そこへ鏡の霊がやってきた。自殺した女子高校生の浮遊霊である。

「ああたあしい、しいんんだあのお・・・」

「ちょっと早口でお願い」

「あぁたぁしぃ、しぃんぅだぁのぉ?」

「もうちょい・・・」

「あたし、死んだの?」

「お亡くなりになったわ」

「そうなんだ・・・」

「あんたも死んだの?」

「そうみたいね」

「あたし、死んだら、おわりだと思っていた」

「まあ・・・死んだらどうなるかなんて・・・誰も知らないと思うけど」

「そっか・・・ああ」

「どうしたの・・・」

「どんどん・・・意識が遠ざぁかぁぁぁあるうううううううううう」

「消えるのね・・・消えていくのね・・・原子より細かい素粒子に還元されるのね」

「さあぁぁあああぁぁぁぁよぉぉぉぉぉぉなあああああらーーーーーーー」

「わたしも・・・まもなく」

実は心霊刑事であるセクスィー係長刑事(沢村一樹)はすべてを知っていた。

「ごめん・・・でも・・・そんなこと言い出すと・・・病院行きになっちゃうからな・・・それに幽霊にはエロいことできないし・・・」

実は超能力探偵であるハンサム課長刑事(草刈正雄)は慰めた。

「普通の天才はいいよな・・・実力が実績に即決しやすくて・・・」

そして・・・キイナは見るに見かねたナース麻衣子のヒント「ナースの悩みはドクターの悩み、ミスをしたのはどっちだ?」でたちまち正解にたどりつくのである。

実は犯罪実録サイトの管理人である婦人警官・桜(小池栄子)はライバルサイトに宮下の書き込みを発見する。サイトごとつぶすチャンスに桜は微笑んだ。

「呼びました?」と夕実(さくら)婦警は言った。

「本番中だからーっ」と桜は注意した。

「紛らわしい役名ですまん」とネーミング担当者は謝罪した。

宮下がパソコンを起動すると自動的に地獄通信(偽)が開いた。

「なんだぁ・・・これ・・・」

ナースぐっちこと殺された看護婦・小久保(幽霊)は最後の力をふりしぼった。

「あなたのヒミツを知っています・・・あなたは・・・ズ」

「やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ」

逃げ出した宮下は待ち構えるキイナとビビリーにすべてを白状するのだった。

今日も病院ではたくさんの幽霊が誕生しています。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『スティール』(フジテレビ)『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『歌のおにいさん』『ムーラン・ルージュ』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)・・・ドーフにするかキッドマンにするか・・・迷う。

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2009年2月18日 (水)

神の雫で雪山遭難お兄ちゃん(亀梨和也)トライアングルお兄ちゃん(広末涼子)メイちゃんの執事のお兄ちゃん(谷村美月)

火曜日はお兄ちゃんの日・・・ではなくてドラマ対決の日なのだが・・・順位は以下の通り。

①「メイちゃんの執事」↗14.0% ②「トライアングル」↘10.8% ③「神の雫」↘*4.9%

なんでこんなことになったかといえば「報道ステーション」18.2%だからだろう。ワインで酩酊が中山大臣辞任とダブルだったのである。まあ・・・酒は身を滅ぼすという一例ですな。

そして・・・「神の雫」は異母兄弟に異父兄妹で、「トライアングル」は江口洋介と堺雅人と小日向文世の三人兄貴、「メイちゃんの執事」は改造人間兄弟愛の争奪バトルだった。お兄ちゃんが多すぎるっ。

まあ、愛煙家は喫煙者に甘く、愛飲家は飲酒者に甘い。そしてお兄ちゃんは弟や妹にメロメロなのである。

愛のことばかり考えていると溺れるよね。

で、『メイちゃんの執事・第6話』(フジテレビ090217PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・城宝秀則を見た。やはり、政略結婚用人材育成学校だった聖ルチア学園なのだった。おそらく世界は新封建時代に突入し、非婚同盟は過去の遺物となっているのだろう。サナダムシこそ理想の乙女状態なのである。昼ドラマみてないとわからないこと禁止。つまりだ・・・大人しく・・・政略結婚して見知らぬ男(主に爺)に嫁ぐのが・・・貴族の娘の使命なのである。

当然、男子禁制なのであるが、男手は必要である。こういう場合、大奥ならば男勝りの女を起用するし、中華帝国ならば後宮に宦官である。

この世界は近未来であるから、去勢手術以外の手段で執事を制御している可能性がある。たとえば催眠暗示でお嬢様には手がだせないようにしているとか、局部が興奮すると電流が流れる貞操帯の装着などである。みるく(吉田里琴)の執事・大門(鈴木亮平)が不二子(中別府葵)のために鼻出血するのはそのようなシステムの一貫なのであろう。お嬢様と性行為をすると出血多量で死ぬように人体改造されているのかもしれない。・・・身の毛のよだつ世界である。

ともかく、そういう世界なので・・・執事とお嬢様の恋愛はあくまでプラトニックラブなのである。

・・・にもかかわらず、メイ(榮倉奈々)の執事・理人(水嶋ヒロ)はメイに対してあすなろ抱き(男性が女性を背後から抱きしめ愛を示す姿勢・・・「あすなろ白書」で命名された)を実行する。何故そんなことができるのかは不明だが、考えられる可能性としては理人が特殊な執事である・・・たとえば貴公子の武者修行中。抑制暗示の克服・・・それほど愛が強かった。電流刺激の克服・・・倒錯している。・・・などいろいろ妄想できます。

「あすなろ抱き」の他にも・・・あるジャンルに支配されたそういう定番はいくつかある。「お姫様抱っこ」とか「おでこにチュー」とか「眠りにつくまで手を握る」とか「肩車」とか「片肩車」とか「おんぶ」とか「紫のバラを贈る」とかである。すべてに「あすなろ抱き」みたいな隠語があればいいのに。

とにかく・・・一目見て好きになる世界では相手の心は軽視されるものである。

メイがいつどうして理人を好きになったのか・・・とか・・・理人がメイのどこを愛しているのか・・・などを理解しようとしてもムダなのである。「人を殺すのがいけない」という不文律と同様に「ヒロインとヒーローが相思相愛」は鉄則なのである。

そういう前提をもとに・・・ルチア(山田優)は敵役として「ふりむかない男」の顔をありとあらゆる手段を使って捻じ曲げようとするのであり、そういうプレイなのである。

一方、メイの幼馴染で、理人の弟である剣人(佐藤健)は・・・メイと理人の間になんとか潜り込もうとするのであるが・・・「愛しいメガネウドン(メイ)はお兄ちゃん一筋であり自分がマメシバ(愛玩動物)にすぎないこと」に悶々とするのだった。

もちろん、「別の人を好きな人を好きになってしかもそれが実の兄で哀愁」プレイなのである。みんな変態だな。

そして・・・今回はルチア様の陰謀・理人様を強奪・執事シャッフルなのだった。

この執事シャッフルは公明正大な出来レースなのである。

まあ、とにかく、このエピソードで不二子の執事・根津(姜暢雄)がクローズアップされるのだが、中華共産党帝国が滅亡していて東アジアが中華マフィア(秘密結社)に支配されていることも同時に推測できるのだった。

・・・基本的にこの学園の背後に広がる暗黒世界を妄想するのが一番楽しいところです。

そして・・・今まで・・・仲間を装った中立的立場だった多美(谷村)がついに覆面ではなく帽子を脱いで・・・ルチア様の隠密乙女であることを明らかにするのである。

忍者が相手に正体を示すのは相手が確実に死ぬと決まったときなので・・・メイの命は風前の灯なのだった。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

Hcinhawaii0521 ごっこガーデン。胸騒ぎの執事シャッフル会場。お気楽ゴールがどこか分らないで走るレースです。キツイよね。残りの時間とか計算できないし。いい娘だと思ってたら敵だったりするのもツライよね。そういうの乗り越えて大人になるときっとコワイ人になるかも。疑うことと信じることが表裏一体になってたりして・・・mari次々とよからぬことをしかけてくるのは忍とルチアの極悪タッグ。メイと理人はいつも受身・・・そろそろ逆襲してもらいたいなあ。メイの初あすなろ抱きをパネルにするタミー・・・真犯人バレバレですよねまこまこはズバリ、タミーのスパイをみやぶっていましたーっ。曲者くささがプンプンしたのでしゅものーっ。理人を狙うルチア様、メイに恋する豆柴、ダブル恋の三角関係に鼻血ブーでしゅ~あんぱんち帽子を脱いだら暗黒派のタミー・・・いかにもこのためのキャスティングだったのね。忘年会のゲーム大会の司会もこなせるアピールなのね・・・営業する気かしら?くうはい・・・今回もごっこだけ~。レビューはトライアングルですが・・・何か?・・・この後、ルチアに着替えてにぎにぎおねむをする予定ですが・・・何か?

で、『トライアングル・第7回』(フジテレビ090217PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・木内健人を見た。親として機能しない人間を親に持った子供たちの悲劇の連鎖は続いていく。佐智絵(志田友美)の母(風吹ジュン)は愛人と自宅で逢引をしていた。

その時刻に殺害された10歳の佐智絵が未来の自分に書いた手紙には

母の愛人である痣のある男への怨み

が綴られていた。

同級生だった亮二(広田亮平)は未来の自分(江口洋介)への手紙に

大人になったら佐智絵を守りたい

と書いたが・・・その願いは虚しかった。

何者かに撲殺された佐智絵を亮二は発見し・・・手は佐智絵の血液で濡れた。

そして何かを見た。

現場から逃げるように立ち去る亮二を同級生の秋本(佐々木蔵之介)は目撃した。

しかし・・・それを警察には報告しなかった。

数年後、志摩野(堺)の母は上海で夫に死なれ、精神に変調をきたし、志摩野を置き去りにして日本に帰国。さらに生後まもないサチ(広末涼子)を施設に捨てた。そしてほどなく死亡する。

上海の心ある人に引き取られた志摩野は母を訪ねて来日するが・・・妹が施設にいることを知り・・・いつか迎えに来ると誓い・・・後ろ髪をひかれながら上海の養父母の元へ戻る。

そして時は流れ・・・30才となったサチと再会した志摩野は・・・亮二の身代わりで何者かに毒殺される。

志摩野は事業に失敗し、姿を消そうとしていたらしくサチに手紙を書いている。

志摩野は他の事業は整理したがサチのための絵画教室だけは残したのである。

君に逢えてよかった。君に幸と名付けたのは僕だから。君には幸せになってもらいたい。

そこには「さようなら」と書かれていたので・・・一度は遺書と考えたサチだが・・・亮二の推理通りに自殺したのではなく他殺であるとすると単に「再見」という中国語の日本語訳「さよなら」だったのかもしれない。さよならは別れの言葉じゃなくて再び逢うまでの遠い約束・・・としても遺書じゃなかったとしたらさよならは違和感があるなぁ・・・

サチは乱れた想いを封じるように上海を歩く「兄と妹」の絵を描き始めていた。

亮二は心に傷を負った。初恋の人の死因を追い求めた結果・・・無関係のサチから兄を奪ったのが亮二の行動とは無関係ではなかったからだ。

亮二はサチにすべてを打ち明けることで心の負担を軽くしようとした。

悪いのは俺じゃない。佐智絵を殺したあいつだ。そして俺に毒をもろうとした誰かだ。

しかし・・・亮二の意志がなければ死なずにすんだ志摩野・・・。

自分の部屋に志摩野を泊めたのは亮二だった。

そして・・・亮二に毒を飲ませようとした誰かが佐智絵殺害事件と無関係である可能性は低かった。

信念に基づく正しき行いの結果に・・・亮二の心は乱れていた。

志摩野に似ている丸山刑事(小日向)は「兄ってのは妹の前ではかっこいいとこ見せたくなるよな・・・」と言う。

亮二は妹の唯衣(相武紗季)と自分の関係を想うと妹と一瞬しか触れ合うことのできなかった志摩野の命が奪われたことに憤怒以外の何かを感じるのだった。

俺がサチから兄を奪ったのも同然じゃないか。

だから亮二はサチに電話をした。いよいよ隠された亮二の秘密が・・・(つづく)である。

Hcinhawaii0522 ごっこガーデン。サチのお兄ちゃん追悼会場。くうけして公式を見ないでください。本編で隠し続け公式でばらし続ける・・・バランス悪いったらありゃしませんアンナ亮二(子役)は誰を見たのぴょぉぉぉぉぉん。何を見たのぴょぉぉぉぉぉぉぉん。イラッとしたら・・・全力坂をリピするのが一番ぴょん。ダーリン不足解消してぇぇぇぇぇぇ飯綱遣い裏切ったのかどうか不明な黒木刑事。最初からよくわからない秋本。そういう二人を試す亮二。ずっと挙動不審の演技を続けているのだけどちょっと神経症っぽい気がするのでありましたーっ。久しぶりに先着~!脚本、思わせぶりが過ぎて何を思わせたいのかも意味不明ですよぉ。志摩野はもっともっとサチにお兄ちゃんと呼んでもらいたかったよね・・・そしてニヤニヤ妹萌えがしたかったよね。犯人でもないのに・・・亮二が時効にこだわった謎の理由・・・来週こそは教えてもらえますかぁ?

で、『神の雫・第6話』(日本テレビ090217PM10~)原作・亜樹直、脚本・渡辺雄介、演出・中島悟を見た。ドラマ版は第一の使徒ブルゴーニュの赤ワイン、第二の使徒ローヌの赤ワイン、第三の使徒ボルドーの赤ワインと来て・・・第四の使徒はブルゴーニュの白ワインである。ある意味分りやすい出題でございます。

ここまで雫(亀梨)の勝ち、一青(田辺誠一)の勝ち、両者不正解~延長~両者正解で引き分け。お互いに一勝一敗一引き分けだったのだが・・・第四試合は雫の不戦敗である。これで一青の1ポイントリード。使徒は残り二本、「神の雫」をあわせると三本である。まあ・・・おそらく・・・この後・・・雫が負けつづけても最後の「神の雫」はボーナスチャンスで正解すると100ポイントの配点がありますっ・・・とかかもしれないしな。

なんとなく・・・残り三本で残り3話という感じだと・・・ちょっとものたりない気がするが・・・まあ・・・この視聴率だとちょっといろいろ大変そうだからな。まあ・・・すべての始まりあるものはいつかは終るのが宿命なのであるよね。

第4の使徒「生産者・ミシェル・コラン・ドルジェ・銘柄・シュヴァリエ・モンラッシェ・生産年2000年」については例によって天使テンメイ様の先行記事がございます。モンラッシェは「禿山」の意味があるとされますが・・・要するに未開の山で・・・逆に葡萄畠には適していたということになるのでしょう。まあ・・・地名ですから「禿山一族」が住み着いただけかもしれません。シュヴァリエはフランス語で騎士の名称ですが、ニュアンスとしては名誉ある称号ということになります。モンラッツェ村の丘の上方部の畑が禿山の騎士の畑と呼ばれるわけです。そこの畑でとれるぶどうから作ったワインが「シュヴァリエ・モンラッシュ」を名乗っているのです。まあ・・・騎士にもいろいろありますが、ここでは前衛的な味わいのある気高さを感じるから・・・ということにしておきたいものです。まあ、「三銃士」の著者・アレクサンドル・デュマはモンラッシェのワインをこよなく愛したということですし。

まあ・・・騎士が飲んだくれて不品行をするというのはご愛嬌なのですが・・・大臣が酒でしくじるというのは・・・ちょっと唖然とする話です。そしてそれが世界中に注目されるとなると世界はまだまだ他人の落ち度を待っている危険な社交場ということになるわけです。

でも、やっちまったことは仕方ないですよね。それにしても酒に飲まれて失敗する福島正則タイプの人材が・・・大臣になれる日本は・・・もう終焉の一歩手前ということなのでしょう。喫煙者が一人もいなくなったら・・・次は飲酒者がターゲットになるに違いありません。そして愛飲家が絶滅すると・・・世界は「日本人は酒の文化がない」などと言いはじめるので何事もほどほどが肝心なのですな。

しかし・・・そういう庶民レベルとは違い、超人的で求道的な天才たちのファンタジーは別物です。

今回は「めざめよ、バッカス」をみやび(仲里依紗)が雫から奪う形になるわけですが、突然、冬山に行こうと思って・・・幻の山に雪山登山、単独行で無事下山する雫はある意味、「山をなめんなよ」と山小屋のオヤジに叱られそうな無謀さですが・・・そのふるまいからヴェテラン登山者の薫が漂ってくるわけです。だからオヤジは口をはさめない。

山で父・豊多香(古谷一行)の幻影を見るほどですから・・・実は・・・登山家としての英才教育も雫は受けているのでしょう。万里の長城に行ったこともあるように・・・雫はきっと小学生くらいでチョモランマをこっそり制覇しているということが省略されているのです。

だからこそ・・・イタリヤ長介(田口浩正)たちが「雫の使徒」として選抜した使徒候補のワインから「雪山の湿った風」を想起できるということになるのです。

ワインの道を極めようとして巨人となった父。

父は雫を愛したからワインの道に雫を連れ出したのか。

それともワインの道を共に歩けるから雫を愛したのか。

雫は一瞬・・・思い悩むわけです。その雫の悩みは一青の頬打ちによって生じています。

「一夫一婦制の常識の道をはずれ・・・複数の女を愛したみだらな父」への嫉妬から周囲にあたり泣き喚いた雫を庶兄が年長者として愛のムチをふるう。

「本家の由緒正しいお坊ちゃまが・・・そういう態度では・・・妾宅育ちの私の立場はどうなりましょう」なのですな。

雫も「ああ・・・戸籍上の父親を持つ身に対して・・・たった一人の血を分けた兄の苦悩を思いやることもできないなんて・・・なんて自分は無分別だったことだろう」と反省します。

その罪悪感で・・・雫は「遺産相続ゲーム」の放棄を決意します。

しかし・・・兄にとっては雫はかわいい弟・・・幻の父の忘れ形見です。兄として弟を見捨てることなどできません。

「お前は俺の知らぬ父を知っている。その父を俺に見せてこそ・・・お前の謝罪がなるのである」という論理で雫を揺さぶります。

雫は「父を憎む気持ち」と「父を愛する気持ち」の板ばさみに逃避を選択して「かわいそうな兄に道をゆずったいい弟」を演じることに失敗したのです。

驚くべき傲慢さが・・・雫の中には潜んでいます。

そのために・・・雫は「生と死」の罰ゲームを自分に科すわけです。

ゲームの途中放棄は雫にとって耐えられないほどの屈辱です。そこで「冬山」という「死の道」を通り・・・「再生」することによって雫は自らを浄化しようとします。

その行為は一般人の目からは滑稽に映りますが・・・神に選ばれた英雄にとっては避けて通れない道行きなのですな。

日本アルプスのような、穂高のような、槍のような、大山のようなどこぞの山にでかけた雫。きっちり重装備。しかし・・・冬山では何が起こるか分かりません。

現に・・・チョモランマを制した雫さえもがうっかり斜面を転げ落ちたりするわけです。

とにかく・・・冬山登山のシーズン真っ最中に貸切状態のような雪山で無理矢理ビバーク(山中一泊)した雫は幻の最高峰に登頂成功します。とりあえずみやびは娘さんよく聞けよ山男にゃ惚れるなよ山でふかれりゃよ行かず後家さんだよの危機は回避したのです。

雫も工作員の強奪した核爆弾搭載スティルス爆撃機の墜落現場に遭遇することもなく無事に登山案内所のような山小屋に戻ってきたのでした。

山には山の神がいます。たとえば神前結婚式を山の神の前でおこなった場合、山の神への誓いを破る時は・・・いわゆる離婚表明です・・・恐ろしい罰がくだるので・・・その旨をもっと高い山に登って取り消してもらう必要があります。同じ山ではダメなのです。山の神様は役所ではありませんから。だから離婚する予定のある人は富士山での山神結婚は避けた方がいいでしょう。海外遠征は費用がかさみますから。

山は異界として・・・死のシンボルでもあります。頂上では死が必ず訪れますが・・・下山すれば再生の道が開かれるのです。これも禊の一種なのです。

登山・・・死に向かう。下山・・・生に向かうということです。

こうしていったん死んだ雫は・・・試合放棄という罪を許されたと自己満足し・・・再び決戦場へ向かうのです。お坊ちゃまの気持ちの面倒くささ・・・さすがです。

さあ・・・そういうわけで・・・体調不良の中・・・雫の復帰を願って孤独な挑戦を続けた兄はやんちゃな弟を笑顔で迎えます。父亡き後・・・年長者は父の気持ちを自動発動するシステムです。

もはや・・・禁断の愛を感じさせる兄弟に亡き父の友人ロベール(竹中直人)は大満足なのですが・・・突然・・・牙を向いたのは謎の弁護士・霧生(戸田菜穂)・・・どう考えても・・・ほのか(一青の母)、雫の母に続く第三の女のムードが漂ってきました。豊多香にとって最後の女の香りさえ感じさせます。次は赤子を抱えて登場し・・・「本当の後継者はこの子よ」とワインに毒を盛る気配満々です。

「あの二人に・・・あの人の跡なんか継がせませんことよ」です。

はたして・・・雫、一青、そしてどんだけ分りやすく演技が未熟なんだセーラ(佐々木希)の運命やいかに・・・。まあ・・・そういうドロドロ遺産相続ものならもう少し視聴率とれたかもね。

ちなみに神々の王ゼウスは実母レアと近親相姦して娘ペルセポネを生ませる。さらにこのペルセポネと近親相姦してザクレウスが生れた。しかし、ザクレウスはゼウスの正妻ヘラの嫉妬により殺されてしまう。ここでゼウスはザクレウスの心臓をこっそり保管し、愛人セメレーの息子・ディオニソス(バッカス)に与えるのである。

兄の心臓を得た弟・・・一青と雫のモチーフはこのあたりにあるのだろう。

やがて長じたバッカスは人類に狂気と喜びを含んだ水を贈る。それがワインなのである。人間がそれに触れるときは用心深さが必要であることは言うまでもないのでございますよ。

Hcinhawaii0523 ごっこガーデン。おなじみの雪山遭難バー。エリびびびっとびんたをした一青・・・ジーンとしびれた亀雫先輩・・・禁断のはぅ~んなのでスー。登山家スタイルも似合う亀雫先輩さすがでスー。それにしても二人をこんな境遇に置く父親って性の暴走機関車でしゅか~。おおお~の一青、ぎゃおーんの亀雫先輩・・・吠えるのは豊多香の血が騒ぐのかもですyon!・・・仲間に愛され、お母さんの違う兄にもたちまち愛される亀雫先輩。魅力あるものの勝利なのでスー。霧生だって今にメロメロになっちゃうと思いましゅ!」まこ完敗に乾杯にチェリオーっ。エリ姉ちゃん・・・もう帰ろうよぉぉぉぉぉ・・・なんでこの気温に耐えられるのでしゅか~ikasama4亀雫先輩の防寒着には愛のヒーターATフィールド内蔵ですから。どんな巨大で険しい雪山でも安全です。まあ、雪崩を引きおこすのが欠点ですな・・・私のパソコン埋って壊れちゃいました・・・」

木曜日に見る予定のテレビ『Q.E.D.証明終了』(NHK総合)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)『おみやさん』(テレビ朝日)

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2009年2月17日 (火)

フィクションとノンフィクションはミュンヒハウゼン男爵が区別した(瑛太)ほらかよっ(石原さとみ)

子供の頃からどうしてもわからないことがいくつかある。なぜウソをつくことが悪いことなのか。そしてなぜウソをつくとドキドキするのか。そしてなぜウソをつくとすぐにバレるのか・・・などである。

少し、大人になったのでいくつかの答えは持っている。「ウソをつくのは犯罪である」というルールがある。ウソをつくのは楽しいし、バレると叱られる場合が多いので、それを思うとと恐ろしい。人間は楽しみに心ときめき、恐ろしさにドキドキするのだ。そして、駄菓子屋での買い食いを禁じられていた少年時代、内緒でかき氷を食べると舌がメロンシロップで緑色に染められる。ママに「あーんしてごらん」と言われるとウソはバレてしまうのだった。そういう場合は走って逃げ、ほとぼりがさめるまで家出をしてしまえばよろしい。そうして何人かは赤痢になったりしたから恐ろしい時代である。

しかし、そのようなウソにまつわる謎は人類100万年の歴史の中で何人かはなんとなく疑問に思ったことであり、最近では「ミュンヒハウゼンのトリレンマ」がそれを説明している。

それは「ウソではないことの根拠は得られない」という提言である。ミュンヒハウゼンは18世紀の実在の男爵で別名を「ほらふき男爵」と言う。彼はドイツとロシアを股にかけた冒険家である。

ある時、男爵は乗馬をして騎行中、底なし沼に遭遇し、馬ごと突入してしまった。男爵はズブズブと馬ごと沈みかける。しかし、ここで男爵はあわてず騒がず、自分の髪をつかみ、自分で自分を馬もろとも沼から引きずりだして事なきを得たのである。

ここで男爵の体験談を聞いていた人々は唖然とするのだが、経験上、自分の髪をつかんで自分を引き上げることができれば人は空を飛べるはずだと考える人がいて「ウソだろう」と叫ぶのである。

しかし、男爵はこう答える。「ウソなものですか・・・私が底なし沼の底でなく、生きてここにいるのが何よりの証拠です」

つまり、何かを証明するためには証明された何かが必要であり、その証明された何かを証明する証明された何かが必要となり、その証明された何かを証明するための・・・という具合に無限に証明が必要となり、人間は相当長生きでないと何も証明できないということなのだ。

そういう屁理屈をこねる人が多いので人は「ルールを作る」のである。「ウソに罪はないがウソついたら針千本飲まされる」のがこの世の掟なのである。

だから・・・このドラマがいかに根拠のない妄想をくりひろげても主役の言うことなのでお茶の間は受け入れるしかないのだな。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↘*8.9%(最高に美しい吉高を見逃した人可哀相)、「ホームアローン2」14.3%(さすがだな・・・)、「歌のおにいさん」↘10.2%(転校生にチョコを手渡すカレンダーネタだぜ)、「RESCUE」↗10.7%(毎週が全焼詐欺である)、「銭ゲバ」↘10.1%(猛攻撃に耐えすぎズラ)、「お買い物」10.8%(東京物語かっ)、「本家法医学教室・整形美女」17.2%(さすがだな・・・)、「銀色のシーズン」12.5%(青春映画閑古鳥の季節)、「赤い糸」↗*8.9%(薬物常用者の母に引き裂かれる初恋の二人哀れ)、「天地人」↘23.2%(まだこんなに人気あるのかよっ)、「本日も晴れ。女子中学生と同棲中」↗*7.3%(夏未エレナと松下奈緒の区別が時々つかないわけだが)、「ミッドナイトイーグル」11.8%(工作員上陸しすぎ・・・)・・・ついでに「ヴォイス」↘15.2%・・・以上。

で、『ホラ吹き医学生の冒険・・・ではなくてヴォイス~命なき者の声~第6回』(フジテレビ090216PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。今回はいよいよ死体も登場しない。もちろん、法医学は法学と医学の境界線を彷徨う学問であるから・・・医学的なことで法に抵触すればどんなことにも介入できるのである。容疑者の責任能力の有無を診断する精神鑑定などがその例である。

今回は未成年者に対する虐待の事実が疑われ、その根拠を医療現場が法医学の研究者に求めるというスタイルで進行する。

大腸炎で入退院を繰り返す中学生・朋子(志田未来)その病歴から詐病が疑われ、法医学教室の精密検査により、ペニシリンの投与が病因であることが判明する。

そして両親のいない家庭で親代わりとなり朋子を育てる実の兄で薬科大学の学生・泰人(石田卓也)が定期的な薬物投与により妹に発病させていた事実が発覚するのである。

ここで、妹の発病によって苦しむ姿を見て性的興奮を覚えると立派な犯罪者なのだが、ここでは泰人は「代理ミュンヒハウゼン症候群」の患者として診断される。

詐病のうち、実利をともなわず、病気であることで精神的満足を得る人格障害を虚偽性障害と呼称し、その中でも慢性的で重篤な症状をミュンヒハウゼン症候群と呼び、他人(母親に対する児童など肉親であることが多い)を人為的に病気にしてそれを看護することを目的にしたものを代理ミュンヒハウゼン症候群と診断するのである。つまり、心の病である。

わかりやすく日本語訳すると「代理ほらふき男爵症候群」となり、ちっともわかりやすくならないので横文字まじりで定着している。

もちろん、かわいい妹と性的欲望の旺盛そうな兄の組合せだとさらにいろいろな妄想が広がるわけだが、ドラマ的にはそれは許されないのだ。

精神病の診断基準によれば、「成人の人格および行動の障害」を示すF6群に「ミュンヒハウゼン症候群(F68.1) 」は含まれるわけだが、この群には小児性愛(F65.4) やサディズム・マゾヒズム(F65.5) あるいは性の発達と方向づけに関連した心理および行動の障害(F66) も含まれる。

妹に対する性的欲望の倒錯から薬物を投与して苦悶する姿に性的興奮を覚えていなかったという立証は一度もなされていないにも関わらずだっ・・・そのぐらいにしておけよ。

とにかく・・・そうした精神の病に対する応対は非常にナイーヴなものだが・・・兄のこの行為を容認し、さらには愛を感じている妹はかなり危険な状態であるとも考えられる。しつこいようだがそれにも関わらず精神科医あるいは心療内科医としてなんの資格も実績もない加地(瑛太)が妹の心にズカズカと踏み込み、結果オーライな展開を見せるのは毎度おなじみのことなのであった。

「お兄ちゃん・・・薬物投与なんて・・・カレーの具が大きいことにくらべたらなんでもないよ・・・また帰ってきたら二人きりで気持ちのいい愛の暮らしをしようね」と矯正施設入りする兄を養護施設行きの妹は見送りつつ、涙ながらに語るのだが・・・これって本当にハッピーエンドなのか・・・キッドにはとてもそう思えないのだった。

もちろん・・・本質的には頭のお菓子な人は70億人近くいるという発想もあるのであり、その前提の上でなら何も問題はありませんけどーっ。

とにかく、納豆とマヨネーズとツナと醤油をごはんにかけてまぜて食べるのは小腹のすいた時にはそこそこ美味しいです。

不幸せな病的で癒着的な兄妹に対応して、久保秋(石原)の離れて暮らす弟(冨浦智嗣)が登場。幸せで健康的で自立的な姉弟として描かれる。

どんだけご都合主義な展開なんだよっ。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)『相棒』(テレビ朝日)・・・『エリートヤンキー三郎』(テレビ東京で深夜に再放送中)

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2009年2月16日 (月)

戦わないものが愛される・・・それが無能の時代の天地人(妻夫木聡)

たとえば・・・「ラブシャッフル」の本質は「愛とは勝ち取るもの」だと言える。だから受けない。「メイちゃんの執事」もまた「友達とは勝ち取るものだ」という発想がある。だから思ったより視聴率は伸びない。「ミッドナイトイーグル」は「平和とは勝ち取るものだ」という主張である。もちろん、お茶の間は背を向けるのである。

今、お茶の間は「必死」である。なにしろ、時代は明らかに曲がり角に来ている。恐ろしいほどの「弱肉強食」の時代が始まろうとしているのだ。

そういう時にお茶の間は「どうすれば生き残れるか」という情報を今さらドラマに求めたりしない・・・ということも言えるし、「戦いがある」ことそのものから必死に目をそらしているとも言える。だから、一国の総理大臣候補が公衆の面前で「おねむちゃん」になっちゃったりするのは大失態なのだな。切腹すればいいのに。すごくその後のストレスたまるタイプだとうかがえるから・・・周囲の人は気をつけるべきだとも思う。

で、『天地人・第7回』(NHK総合090215PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・高橋陽一郎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。・・・いつもより名場面抽出少な目ですが・・・名場面がないのだから・・・仕方ないのでございます。その分、今回は結婚したことを隠す芸能人なみにさらっと流されたお船の最初の夫・総社長尾家という名門の出身である直江信綱(婿)の書き下ろしイラスト大公開です。その後は歴代大河ドラマでもワースト3入りは確実というおそまつな歴史考証についての指摘多数で盛り上がれます。北高全祝は信濃にいるだろうは誠にごもっとも。まあ・・・きっと影坊主なのでございましょう。そしてお楽しみはキュートな死体泥棒、妖怪「火車」物語付。戦場の兵どもが夢の後はどうなるのか、疑問の方は必見です。ま・・・とにかく・・・戦国時代でも戦がない方がお茶の間に受けるという読みは慧眼すぎてゲンナリするのでございますよねーっ。いつまでこの無戦国時代ものに耐えられるのか・・・心配でございまする。

Tenchijin1577 で、天正五年(1577年)に突入である。ここで歴史考証というものについて短く触れておく。たとえば現在からおよそ430年前の話である。一般的に当時から生きている人は少ないだろう。だからインタビューはできないのである。そこで遺物の調査と分析が基本である。その主体となるのが文書である。文書にも様々なものがあり、公文書から、手紙、そして墓碑銘まであらゆる文字が一つの証拠となっている。さらに書には当然のことながら真偽がある。また内容が歴史上の本人によるものか、その本人について誰かが書いたものかという違いがある。ついでに本人を直接知るものと伝え聞いたことをまとめたものの違いもある。当然、誰もが知るものとそうでないものとでは信憑性に差が生じる。また、勝者と敗者ではあることないことの捏造の差が出るのだ。結論から言えば歴史的事実などというものはないという暴論も成立する。しかし・・・研究者たちは地道な努力を続け、古文書を解読し、墓を掘り起こして・・・真実を探求するのである。

たとえば、数ある上杉の猛将たちがほとんどキャスティングされていないのに柿崎景家の子、柿崎晴家が度々登場するのは後々に後継者争いが起きるときに晴家が景虎に味方する武将だからである。その父・柿崎景家は上杉四天王の一人とされる猛将だが・・・最初から登場しない。この景家は天正三年に織田信長に内通したとされ落命していると伝えられている。しかし、その子、晴家がその後も重用されているのは不合理だという検証がある。そこで・・・晴家が景虎に味方し、景勝が勝者となったことから・・・晴家の父で名のある景家も汚名を捏造されたという疑いが生じるのである。

そしてその真偽は藪の中なのである。だから・・・歴史にはロマンがあるという考え方があり、妄想でいいじゃないかという発想もあるのだな。

たとえば、相当に身分のあるものをのぞき、女性の名は残されにくい。そのために武田勝頼の母・諏訪御寮人の名が不明だったりする。天地人では上杉景勝の姉と妹の名が実は不明である。ドラマでは妹が華姫という名で景虎に嫁いでいるが定説では妹が嫁いだのは畠山義春で・・・景虎に嫁いだのは姉だということになっている。このあたりがロマンなのである。そして・・・景勝の正妻となる菊姫の名前が残り・・・二人の姉妹の名が残らないこと・・・ここに戦国のリアルな恐ろしさがあると言える。名前が残らぬことが二人の姉妹の行く末を暗示するわけだ。

同様にやがて、直江兼続の妻となる・・・直江景綱の娘・お船の名は伝わるが、謙信の侍女だったとされるお船の姉の名は伝わらない。実在さえ疑われるがドラマ「天地人」ではお悠(吉瀬美智子)という名で出ています。

お悠はくのいちである。越後国直江庄の地侍だった父・直江大和守か藤原の忍びの一族であるため、当然くのいちなのである。上杉の忍者といえば軒猿の一族が高名だが、これは謙信の軍師と言われた宇佐美定満の支配下にある忍びを中核となしている。

直江大和守は謙信を擁立した地侍の頭目でもあり、謙信が出世した後は与坂城を根拠地としている。お悠はくのいちとして一流であり、その役目は謙信の警護であった。

与坂城の南、越後の国から上野の国に向かう辺境には坂戸城がある。ここは上田長尾と呼ばれる一族の領地である。謙信の姉・仙桃院・綾姫が坂戸城主・長尾政景の正室となり、景勝と姉妹の母になる頃、直江大和守の父・親綱は娘・お藤を・・・政景の家来である樋口兼豊に嫁がせている。お悠の叔母にあたるお藤は当然くのいちである。

すでに述べたが、樋口一族は木曽義仲の愛妾で女武将の呼び声高い巴御前の血族である。信濃海野一族もその係累だ。つまり相当に由緒正しい忍びの一族なのである。

つまり、上杉→綾姫→上田長尾という主筋の婚姻関係が、直江→お藤→樋口という家来の間でも結ばれたのである。

つまり・・・後に直江兼続となる与六の戸籍上の母、お藤は忍びの頭領から別の忍びの頭領に嫁いだくのいちということだ。

もちろん・・・後に与六の妻となるお船もくのいちであることはいうまでもない。

お藤、お悠、お船・・・そして与六。その忍びの主は直江大和守である。その大和守の寿命が尽きたために・・・樋口の里にも動揺が走っていた。

坂戸城は越後の辺境だが、上杉謙信の勢力は上野国まで及んでいたので最前線は上野・沼田城になっている。城主は本庄秀綱である。いわば坂戸城はその後衛である。敵となるのは関東の雄・北条氏である。上杉と北条は手切れと手打ちを繰り返し、その主従関係は複雑化している。上杉謙信の養子の一人である景虎が・・・敵である北条家当主・氏政の弟であるのが一つの証拠である。

謙信は軍事的な天才であったが・・・戦略的にはかなり無謀なところがあったことは周知の事実である。その歪みはやがてお館の乱となって現れるがその導火線はすでに坂戸城下でも点火していた。

北条が景虎につけた風魔衆と景虎の妻となった仙桃院の娘・華姫につく樋口(直江)衆との反目である。それは上杉が北条を支配するか・・・北条が上杉を支配するかという根源的な問題であり・・・血を見るのは火を見るより明らかだったのである。

その日、越後上野国境を越えた風魔一族の動向は海野一族である真田忍びから樋口一族に通報されていた。

使いは甚八という真田の忍びだった。根津一族の血を引くものである。

与六の父、樋口兼豊は屋敷で、お藤とともに甚八にあった。

「風魔小太郎の配下が忍びいるのは珍しいことではないがの・・・」

兼豊は笑みを浮かべて甚八の言葉を受けた。

「されど・・・能登七尾城の攻城戦が峠を越える按配にて・・・氏政の恐れは尋常なきこと・・・」

「お館さま(謙信)の戦ぶりが変じたと見たわけじゃな」

「しかり。関東管領様は戦勝しても領地を奪わずが信条でしたが・・・此度は越中・能登の諸城に上杉方城主を配り、国盗りの様子。信濃善光寺にも手を伸ばしていることをわが主(勝頼)も案じる仕儀ならば・・・氏政殿もいささかたじろぐことでしょう」

「そこで・・・直江様のご病状を見て・・・坂戸の忍び狩りを決めたか・・・」

「風魔衆の中でも忍び討ちのてだれとされる足柄の忍びが選ばれております・・・」

「ふふふ・・・この樋口の忍びもあなどられたものよ・・・のう・・・お藤・・・」

お藤は老いを感じさせぬ顔に殺気をのぞかせた。

「油断は大敵なれど・・・関東の腐れ忍びなど・・・返り討ちにしてくれましょうぞ・・・」

すでに・・・お藤は里にいる樋口の七人の愛妾たちをつなぐ結界で警戒線を張っている。

お藤が育て上げた樋口の子息たちは北斗七つ星の陣で、雪どけぬ早春の国境線に散っている。指揮をとるのは与六の兄、与一である。お藤は本陣に夫と実子の与七を残し・・・実戦に出るつもりだった。うかみに長けた与六がいれば・・・とお藤が思うが・・・与六は跡取り景勝に従って越中富山城にいる。

・・・雪の上に鮮血がほとばしった。樋口与一は自慢の忍者刀術で風魔忍者を一刀両断にする。

風魔衆と樋口衆の血戦の舞台は雪の残る辺境山岳戦に移っていた。

お藤による待ち伏せの網にかかった風魔足柄衆はほぼ殲滅され・・・撤退する忍びを根切りにかけるために樋口衆が追跡しているのである。

白装束に身を固めた樋口与一を核とした追撃部隊は谷川岳方面に進出していた。

その後方ではお藤が陣頭指揮をとっている。

はだれ雪が風に舞う銀世界である。雪の洞に身を潜めたお藤は殺気を感じて飛びのいた。お藤を襲ったのは熊であった。風下から来襲したので血の匂いに気がつかなかったのはお藤の落ち度だった。もちろん、手負いの獣を使うかく乱の術である。

お藤は背後から忍びよる風魔の忍者を手裏剣で二人仕留めていた。しかし、すでに数箇所に傷を受けている。

それを確かめたように・・・樵姿の忍びが姿を見せた。

「ふふふ・・・樋口の忍びを甘くみたわ・・・」

「風魔の木っ端か・・・」

「せめて・・・樋口くのいちの頭・・・お藤様を討たせてもらい・・・帳尻あわせをいたす」

「熊を使ったはおぬしか・・・名乗るがよい」

「足柄の時丸・・・」

風魔の忍びの言葉が終らぬうちにその体はのけぞって倒れた。

お藤が必殺の指弾による兜割りの秘術を見せたのである。

「見たか・・・直江流・・・雪蛍の術・・・」

お藤は言葉を残し・・・雪上に身を横たえた。すでに・・・風魔に受けた傷から毒が心の臓に達していた。

「おまえさま・・・」

お藤の脳裏に夫樋口兼豊の顔が浮かび・・・その顔が父・大和守に重なった時・・・お藤は暗黒に落ちた。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『神の雫』(日本テレビ)

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2009年2月15日 (日)

一発目で神が死に二発目で銭ゲバが生れるズラ(松山ケンイチ)人殺しだから愛してる(木南晴夏)やったー!(椎名桔平)

「赤い糸」もまた社会の底辺を描いた物語だが登場人物たちには「愛」への疑いはない。

それどころか「貧富」への疑いもない。

さらには「善悪」への疑いもない。

そして「美醜」への疑いもない。

ただ・・・そこにあるのは「運命」への思慕である。なにもかも運命だったら人間は安心できるのだ。

すごく・・・愚かだが・・・そこが甘美である。

で、『銭ゲバ・第5回』(日本テレビ090214PM9~)原作・ジョージ秋山、脚本・岡田恵和、演出・狩山俊輔を見た。春一番が吹き荒れて生暖かい13日の金曜日の翌日の聖バレンタインの日。汚れたものと聖なるものは風太郎(松ケン)の心を常に引き裂き続ける。

夜毎見る夢

懐かしい夢

母は麗しい 母は麗しい 母は麗しい

夜毎見る夢

忌まわしい夢

母は奪われた 母は奪われた 母は奪われた

夜毎見る夢

呪われた夢

歪んだ顔の子供たち 夜の死体の血の香り 暗がりに潜む怪物たち

血まみれのクラスメート 息絶えた世界の肺 冷えていく温もり

湿った袖口の気味悪さ 善は滅び悪は栄える すがりつきながら走る

足はもつれる 銭を探る手に 虚しさがまとわりつく

夜毎見る夢 夜毎見る夢

辱められた母が叫ぶ

口惜しいねえ なんだかとっても口惜しいねえ

こわいよ こわいよ こわいよ こわいよ こわいよ

夜毎・・・うなされる愛しい人を茜(木南晴夏)はうっとりと眺める。苦悶に歪むその顔こそが愛の証。醜い歪んだ夫婦の絆だ。神に愛されないことを知る者同志の魂のふれあいだ。どれほどの憎しみを。どれほどの呪いを。どれほどの悲しみを。愛しい人は心に刻みつけているのだろうか。悪夢にうなされるその顔が。愛おしさをつのらせる。いつまでもいつまでも眺めていたい。愛しい人の底知れぬ闇の向こう側を・・・と茜は祈るのだった。

裏庭には死体が埋まっているという悪戯の告発。緑(ミムラ)は風太郎の顔に浮かぶ醜悪な表情を見た。醜い顔の男が心の醜さを曝け出している。緑の中の疑いを持たない心が感じている。自分の中に美を見出すことに慣れた心は確信する。この男はやはり汚れている。やはり醜いものの中に美しいものが潜んでいることなどないのだ。

醜い妹が幸せそうな顔をして編み物をしている。それは幻想だ。醜い妹が幸福になることなどは間違っているのだ。確かめたい。この正しさを確かめたい。自分の美しさを。自分の賢さを。自分の目の確かさを。そうね。そうだわ。この刑事は何かを知っている。この刑事があの男を見る目。醜いものが醜いものを見る目。この刑事の醜い心のうちにあの男の醜さが隠されているに違いない。

荻野刑事(宮川大輔)は語った。「弟はあいつに殺されたんです。そうに決まっている。それ以外にはないんです。私には分るんです。あいつの目。あいつの目は人殺しの目です。あいつは小学生の時にもう人を殺せる目をしているんです。俺はいつも弟に言ってたんです。小学生を甘く見るなと。小学生だって俺よりも身長の高い奴がいるんです。そんな恐ろしさを小学生は持っているんです。俺は弟が殺された時に犯人は小学生だと確信しましたよ。やりやがった。小学生が俺の弟をやりやがった。そして俺は見つけたんです。俺のかわいい弟を殺した小学生を。あいつです。あいつがやった。あいつは小学生の時に人を殺すような奴なんです。大人になったらどんなひどいことだってやりますよ。もう何十人殺しているかわかったもんじゃありません。ま、何一つ証拠はないんですけどね」

緑は刑事の言葉を信じた。緑は自分の信じたいものを信じる性格である。

ああ・・・やはり醜い男は醜い。醜い妹は幸せになれない。私の思った通りね。

風太郎は義理の父親となった三國社長(山本圭)の秘書として頭角を現していた。

風太郎は知っていた。貧乏人の中にも馬鹿はいるし、金持ちの中にも利口はいると。そして貧乏人の中にも利口はいるし、金持ちの中にも馬鹿はいると。そして銭は馬鹿には手に負えないし、利口には力を与えることを。銭の力を知るものが銭に愛される資格があるのだと。銭は光なり。銭は秩序なり。銭は神なりと。風太郎は銭に全身全霊を奉げている自分が銭に愛されていることを信じていた。銭が神なら・・・自分は神の子であると。

その神の目は犠牲を捕らえた。銭の神は犠牲をお好みだ。風太郎は知っていた。銭の神に不遜な言葉を吐いた愛しい母親を銭の神が許さなかったことを。

そして・・・銭の神の使徒・枝野(柄本時生)は神の子である風太郎に拝礼した。

「あなたは銭に愛されているのですね。あなたのように銭に愛された方を私は知りません。私は銭に愛されない父と銭に愛されない母のもとに生まれ、銭に愛されることなく生きてきました。父も母も銭に愛されぬまま、死にました。そしてまもなく自分も銭に愛されぬまま死ぬのです。私は残された命をどのように使えばよろしいのでしょうか」

風太郎は答えた。「銭を愛するズラ

使徒は重ねて問うた。「亡き母はお金のためになんでもするものの名を銭ゲバと呼ぶと私に教えました・・・もしや・・・あなたが・・・その伝説の銭ゲバ様なのでしょうか」

風太郎は答えた。「俺はお前の友達さ

使徒は跪き、風太郎の靴に口付けをした。

夜の闇の中で、風太郎は実の父親・健蔵(椎名)と邂逅した。

聖なる銭を知らぬ父親は我が子を見つめた。「お前はすでに・・・俺を越えた銭を身につけた。お前はまだ未熟でこの世のこわさを知らぬ。人を殺した後の証拠を隠滅する厳しさを知らぬ。そんなお前が今の地位を築けたのは僥倖というものだ。もういいのではないか。もう満ち足りて人の幸せに身を委ね・・・父に施しをくれたまえ」

風太郎は父をたしなめた。「銭の力に身を捧げた私はもうすでに幸せなのです。あなたはまだ世迷いごとをおっしゃるのですね。どれほどの銭があればあなたの迷いを断ち切ることができるのでしょう

父親は算段した。「10億円くらい」

風太郎は微笑んだ。「それでは10億円をあなたの命の証としましょう

父親はふと恐怖を感じた。「この世に銭の神の他に神はないのでしょうか」

風太郎は答えなかった。

自分を愛してくれる神を愛すれば・・・他の神は無用である。風太郎は哀れな父への言葉を闇に隠した。

緑は哀れであるべき妹に自分の信じる真実を語った。妹が不幸に顔を歪めるのが見たくて見たくてたまらなかったのだ。

緑「茜・・・風太郎さんは恐ろしい悪魔なのよ。あなたを愛してなんかいなかった。あの人は殺人者で、鬼で、クズなの・・・あなたを騙しているのよ」

茜「お姉様・・・あなたにはそんなこともわからなかったの? ・・・私には最初からわかっていた。人殺しだっていい・・・お姉様やお父様が生れてから一度も私にくれなかったものをあの人は私にくれる・・・私の心の開いた暗闇を熱いもので満たしてくれる・・・私にとっての愛があの方の中にあふれている。そして、愛は私にそそがれる・・・お姉様にはこの愛を壊すことはできないのよ」

緑「なんですってぇぇぇぇぇぇ」

美しい姉と醜い妹の結局はどこにでもある姉妹喧嘩を家政婦・春子(志保)は盗み聞きした。

三國社長は自分に酔っていた。

何不自由のない暮らしに茜がやってきたときは・・・心に漣がたったものだ。若気のいたりで昔愛してそして捨てた貧しい女の怨念が・・・我が身の不幸となったのかと疑ったものだ。しかし・・・それなら長女はなぜ美しい。私はたちまち悟ったのだ。醜い妹は平穏な生活に変化を与える贈り物だと。肉料理のスパイスだ。我が人生の隠し味だと。そして茜は緑とは違い、私の人生を豊なものにしてくれた。茜がいるから緑の美しさがひきたち、その両方を愛せる自分を満足させる。そして・・・茜は青春時代のちょい悪だった自分を懐かしく思い出させてくれる。それだけではない。この思ったよりずっと掘り出し物だったこの男。醜さゆえに有能な男を私に与えてくれたではないか。神は私を愛している。すべては恩寵の賜物だ。茜の醜さもこの男を私に与える神の計算だったのだ。私の人生は常に薔薇色なのだなぁ。

三國社長は義理の父親として風太郎を亡妻の墓に案内した。

「私の妻は茜の幸せだけを気に病んでいた・・・それが今杞憂となったのだ」

風太郎は微笑んだ。

三國社長は自分が引き上げてやった男に愛犬に感じるような気持ちを持った。

「君の好きな食べ物を教えてくれないか・・・」

風太郎は生贄を食堂・伊豆屋に案内した。生贄に相応しい「聖なるベラの煮付け」をふるまうためである。それは最後の晩餐に相応しいだろう。

三國社長は最後の祈りを唱えた。「昔、愛した女を捨てて・・・金持ちの生活に戻った時・・・私は安心感を感じたものだ・・・逆に君は金持ちの生活に不安を感じるかもしれない・・・そういう時にはここで貧乏を懐かしむのもいいかもしれんぞ。金持ちが貧乏人気分を味わうのは逆より簡単だからな。まあ、時々、政治家が金をばらまきたくなる気持ちと似たりよったりかもしれん。あさましい人間は人のあさましさを眺めてみたくなるだろう。それが高みの見物というものさ」

風太郎は微笑み続けた。

あなたは銭の神への生贄にふさわしい人だ。

そして風太郎は聖なる屠殺場へ三國社長を導いた。

あなたも立派な大人だ。一人で歩いていけますね。

三國社長は幼子のように喜んで祭壇に歩み去った。

一人になった風太郎はこみ上げる邪な喜びを隠しきれなくなった。

銭の神よ・・・銭の神よ・・・あなたに犠牲を奉げます・・・。

そして・・・一発目の銃声が響いた。風太郎は神の祝福を感じた。

しかし・・・最初の鐘の後・・・最後の鐘が鳴るまでの永遠が風太郎を不安に陥れた。

どうした・・・お前は・・・ともだちだろう・・・お前は金で両親の墓を買っただろう・・・お前は屠殺を金で請け負っただろう。そして金で自分の命を売っただろう。どうした・・・お前は・・・怖気づいたのか・・・お前は銭の神を裏切るのか・・・お前は余命いくばくもない・・・お前は俺への愛を感じながら死んでいく機会を逃すのか・・・お前は引き金を引くのを躊躇うのか・・・お前は迷うのか・・・。

だが・・・永劫の時は一瞬で過ぎ去り・・・二度目の銃声がこだました。

風太郎は至福を味わった。祈りは聞き届けられたのだ。銭の神の存在を強く感じる。

風太郎は安堵した。

風太郎は感じた。ともだちの自分への思い。自分への共感。自分への祝福。そしてそれがすでに失われたことを。感謝と侮蔑、満足感と寂寥感が津波のように風太郎を押し流す・・・風太郎は涙腺を刺激され・・・聖なる涙で頬を濡らす。

風太郎は冷徹に三國造船のすべての資産を継承した。

風太郎はそれまでの小さな銭の神の神殿を持って人工の断崖にたった。

そして・・・新たな神殿のために銭を撒くのだった。老若男女よ・・・銭をあがめよ・・・銭を敬え・・・銭は善なり。銭は悪なり。銭は全てなり。風太郎は神に成り代わり哄笑した。

女子高校生・由香(石橋杏奈)は驚異的な視力で銭ゲバを視た。銭の雨が降る天に。銭の魔物が踊っている。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)

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2009年2月14日 (土)

なんとなくラブシャッフル(玉木宏)カボス(香里奈)タコス(貫地谷しほり)ケルベロス(吉高由里子)

目を閉じると君の温もりが強くなる

胸の鼓動の高まりを感じる

夢を見ているようだ

この夢に終わりがないといいなって

本当にそう願う

君の名前を呼ぶだけで

いつも心に太陽が

輝き出す

君が側にいるだけで

生きていけるって思うんだ

燃え尽きない愛で胸がいっぱいになるんだよ・・・

「お別れのキスをして・・・」・・・「うん」・・・ドッキリでした~っ!・・・まあ、顔に落書きの復讐としては順当だな。

で、『ラブシャッフル・第5回』(TBSテレビ090213PM10~)脚本・野島伸司、演出・土井裕泰を見た。一種のインターバルで最初のカップルに戻る。「ラブ」(愛)を「ライフ」(人生)にとって大切なものと考えるか、単なる「ゲーム」(遊戯)と考えるかでこのドラマの肌触りは変わってくるだろう。

たとえば上条夫人(小島聖)は「愛は人生にとって特別なもの」と考えている。

だから「愛(ラブ)と性行為(セックス)は関係ないわ」と言い切るのである。

まあ・・・昔から男の多くは本心ではそう思いつつ「君を愛しているから我慢できないんだ」とおねだりをし続けてきたわけですがーっ。

もう、スパムもハンバーグも知ったことかっ。

インターバルに相応しく、選手交歓会である。交歓パーティーであって乱交パーティーではないのである・・・念のため。ついでに言うとラブシャッフルであってスワッピングではありません。・・・気がすんだか。

で、ゲームプレイなのか、ライフワークなのかという対立概念を愛瑠(香里奈)は同じマンションの男たちにたとえてこう語る。

菊田(谷原章介)・・・・・結婚相手タイプ(ライフワーク高濃度)

旺次郎(松田翔太)・・・恋人タイプ(ゲームプレイ高濃度)

啓(玉木)・・・・・・・・・・・ともだちタイプ(帯に短し襷に長し)

しかし・・・常に「同情から発する恋」をし、「男を見直す」ことで愛を深めるタイプの愛瑠にとってこの「ともだちタイプ」は「ウソから出たマコト」、「瓢箪から駒」になっているようである。

もちろん、「愛は唯一」のものという建前(平等主義)と「あっちもこっちも大好き」という本音(自由主義)はそれぞれの自分ルール(主義)によって多くの場合、カオス(混沌)としている。もちろんカボス(柑橘系)のように鼻につくけどさっぱりしていたりもする。

そして、平等主義・・・一夫一婦制の信念に基づいて、愛瑠は上条夫人に純情クレームである。

「人妻がラブシャに参加していいのかよっ」である。

これに対し、いわゆる天然ボケ(無知で無頓着)の芽衣(貫地谷)は「えー、旦那様寛大ですねー」である。

ここで、上条夫人は「夫に内緒なのか夫が許認可済なのか」は想像にまかせるととぼける。

その上で「死を欲望する少女」海里(吉高)を「心の病の人」と紹介し、海里が誰かに恋をしたら「生を欲望する少女」になるかもしれないのでターゲットが重複しないことが望ましいと提案する。

もちろん・・・上条夫人は「愛」とは無関係の「セックス」は全員試食し終わってのゆとりの発言である。

人間の争いとは似た者同志で起こることが多い。「同じものを欲しがるから争う」のである。

元彼の諭吉(DAIGO)の他の三人とほぼ同居し、ある意味、全員を手中に納めている愛瑠はなんだかんだ・・・上条夫人と似た者同志なのである。

愛瑠の反感は自分はゴール前のランナーであり、上条夫人はゴールしているはずじゃないかという気持ちである。「参加賞のノート二冊目をもらう気かっ」という憤怒なのである・・・そのたとえはどうかな。

とにかく、芽衣は「どうして死にたいの?」というボケをかまし、

海里は「どうして生きたいの?」と変則鸚鵡返し。

さらに「私は海里の彼氏を略奪したりしない」と宣言する芽衣。

「こういう娘が一番奪うのよね」と最年長の観測を見せる上条夫人。

ここで愛瑠は「愛は勝ち取るもの」と上条夫人に反発しつつ、結論は一緒というボケをみせるのである。愛瑠もまた若いのである。

しかし、芽衣は「女の敵は女だから、情報は正確とは限らない」と・・・突然、天然ボケではなく、天然ボケぶりっこであることをのぞかせる。

ここで愛瑠は「これまでただの鈍くさいお嬢様だと思っていた芽衣が油断のならないお嬢様であること」に驚愕するのだった。

その間、最年少、海里は多くを語らず、ロムり戦術である。その上、啓とのデロリンパンダ(デロリンマンではない)の思い出、旺次郎とのベッドの思い出、諭吉との氷カリカリの思い出などに浸ることも忘れない。

ある意味、決戦の火蓋は切られたのだった。

さて、愛はミステリーなので・・・様々なクイズが提出されている。愛を「クイズ」と考えるタイプにはたまらない展開です。

①芽衣はどうして啓と婚約解消しようと思ったのか?・・・このドラマの基本軸である。

啓くんの答え「芽衣のコネで就職してキラキラを失った自分が哀れになったから・・・だから会社に辞表を提出して・・・キラキラをとり戻せばOK」・・・ブブーっ。大不正解。その結果、啓は芽衣に叱責された上に失業者となって街を彷徨い、天下りするなら職をくれと街頭演説の上、無銭飲食の現行犯逮捕なのだった。

②芽衣の気になった人は誰か?・・・なんだかんだと芽衣はこのゲームの主導権を握るのである。なぜなら・・・大衆的人気を誇る啓・・・つまりみんなのターゲット・・・を惹きつけているのは芽衣だから。

ここまでの展開では・・・菊田に手を握られ「山椒魚」読まれてドキドキした。旺次郎の内気を読み取りキスした。諭吉をかわいそうだけどかわいいと評価。啓のことは最初から気になっている。つまり、全員ターゲットであるとも言える。その上であえて「誰かが気になったのかどうか」も気になるのである。

③菊田の「自殺した昔の恋人」は誰に似ているのか?・・・「ラブシャッフル」を提案した真意とともに謎である。「海里」の治療のためから「恋人に似た誰かへの複雑な感情」へ動機は変転していく。海里のデリカシーを特別視し、凡俗の人間の心なんて少しくらい傷つけても回復力あるから平気と断言する凶悪さものぞかせつつ・・・謎を深めるのだった。

愛瑠は「消去法で芽衣」と言う。つまり、患者の「海里」ではない。ふられた「自分」ではない。写真を見た「上条夫人」ではない・・・ということだが・・・予告ではあっと驚くらしいから・・・恋人が誰に似ていたのか男性陣も含めて、まったく不明なのであった。

④そもそも・・・最終的に何組のカップルが成立するのか?・・・あるいは何人が生き残るのか?・・・という考え方もできる。

予想されるバッドエンド。芽衣・・・実は不治の病で余命三ヶ月。死亡。啓、そうとは知らずトラックにひかれて死亡。愛瑠・・・啓への愛に気がつき、自殺。上条夫人、夫と心中。諭吉、昔のいじめっ子に逆上されて刺殺される。異次元生命体・魔獣タナトスの憑依体として魔界天使・海里によって生贄として選ばれた旺次郎は合体魔神キングタナトスに変化し暴走、東京壊滅。廃墟に佇んだ菊田は「なぜだ・・・なぜなんだ・・・」と嘆くのだった。焼け跡にはデロリン・パンダが転がっている・・・。

この記事は昨日「ef - a tale of melodies.」を見たので「(前略)痛くて熱くて苦しくて悲しくて辛くて泣きたくて耐えられなくて逃げられなくて逆らえなくて終わらなくて背けたくて叫びたくてもがきたくて吐きたくて止めたくて抵抗したくて刃向かいたくて抗いたくて逃げ出したくて隠れたくて避けたくて篭りたくて拒絶したくて噛み付きたくて跳ね除けたくて振り払いたくて追い詰められて捕らえられて引きずり出されて攻め立てられて強制されて赦されなくて束縛されて締め付けられて押し付けられて引き千切られて投げつけられて虐げられて呻きたくて喚きたくて狂いたくて堪えられなくて掴まれて殴られて裂かれて砕かれて蹴られて焼かれて刻まれて焦がされて穢されて破られて荒らされて壊されて嬲られて弄ばれて潰されて踏みにじられて飽きられて放り出されて(後略)ブレスなしだと呼吸困難に呪われて」に汚染された可能性があります。

関連するキッドのブログ『第4回のレビュー

Hcinhawaii0520 ごっこガーデン。どっきりキス我慢選手権会場。お気楽まんまとひっかかるよね。さっさとキスしておけば得したのかな。こういうのって人によったら自殺しちゃうよね。その場合は殺人罪は適用されないのかな。舐められたところって後で臭くなるよね。カニカニまこ最近・・・啓もいいけど・・・旺次郎もちょっといいなと揺れる乙女心でしゅ~。うさタンはピーターパンになるのかな・・・アンナぴょんはピーターケロリンになってましゅ。ケロリンとピーターは衣装の使いまわしができましゅ~エリ元鞘カップルの回なのにあんまり元鞘デートはしないのでスー。一度刺激を知ったら後戻りできないの?・・・ムチもどんどん強めを要求するタイプばっかなの?・・・カオスとはこの世の源・・・エロスとタナトスのスープなのyon・・・煮えてきて食べごろでスーアンナケロリンは全力で坂でぴょんぴょん・・・アンナ魂の旅は明日も続く~ぴょ~んくうもう愛瑠は啓にもってかれてますよね~。海里の悪魔の微笑みは美しすぎてこわいくらいだわーっ。あのショットだけでも見る価値あるよーっikasama4怪物になりたいの・・・笑顔・・・ゾクゾクするのぉぉぉぉぉぉ・・・ですね。どう考えても海里は悪魔と契約していますね。タナトスがどんなSFXで登場するのか・・・期待で胸がいっぱいです・・・あったらいいなあをカタチにしてほしいmari幸せ終着駅は通過してしまいましたね。もはやラブ・トレインの行き着く先はまったくミステリーのようです。もう、アイアイとうさタンで途中下車してゴ~ルしちゃえばいいのに~

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『本日も晴れ。異常なし』(TBSテレビ)『金子さやかのミッドナイトイーグル』(テレビ朝日)

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2009年2月13日 (金)

腫れ物を触るように扱ってください(仲間由紀恵)知っているのに知らんぷり(加瀬亮)テッテケテー的に無理なのだ(高橋愛)

「おみやさん」↘12.0%が帰ってきて「Q.E.D.」↘*5.4%である。平均が*5.6%なのでこれが固定視聴者ということなのだろう。素人探偵もののファン層がそのくらいなのかもしれない。

「渡る世間は鬼ばかり」↗16.6%で「ありふれた奇跡」↘10.5%である。まあ、連続性という点を考慮しなければならないが、女性的なベタ・ホームドラマと男性的なベタ・ホームドラマの落差が5~6%ぐらいあると言える。

「只野仁」→10.6%。安達祐美の更衣室効果観測不能だ。胸の開いたドレスと下着姿のバストショットの違いを感じる男性メカニズムの神秘がここにあるはずなのだが。

「RESET」↘*4.5%。村川絵梨もいいのにねえ。仲里依紗をほっそりさせたけどまだふっくらみたいな。

まあ・・・木曜日はなんかのんびりするよね。

で、『Q.E.D.証明終了・第6回』(NHK総合090212PM8~)原作・加藤元浩、脚本・相原かさね、演出・榎戸崇泰を見た。原作37話の「賢者の遺産」をアレンジである。なんでもありなのだがついにタイムトラベルものである。そして夢オチにみせかけた時間旅行達成オチ。つまりファンタジーなのである。マンガだからな。

マッドサイエンティスト・天真爛丸(中村有志)の屋敷の廃屋で突如発動したタイムマシン(時間旅行駕籠・回転系転送装置)で昭和9年(1934年)に時間軸平行移動した可奈(高橋)は燈馬そっくりの書生・塔場(中村蒼)に出会うのだった。なぜ、そっくりなのかは聞かないでください。携帯電話の圏内表示がアンテナ立ってることとか、天真博士の消息も聞かないのが礼節というものなのです。ちなみに可奈に失恋した塔場はその後、結婚し、可奈の剣道の師匠・時田奏恵(かなえ)の祖父となります。あれから3/4世紀、現代では90代のご老体になっています。

さて、昭和9年である。やっぱりそこかっ。1月1日、東京宝塚劇場(東宝)開場である。後に風船爆弾の工場となります。2月1日、日比谷映画劇場開場である。オープニング上映は「南の哀愁」(オーストリア映画)「ウィンナ・ワルツ」(イギリス映画)である。まだ鬼畜米英ではなかったのだな。2月19日、愛知県蒲郡市に最初の国際観光ホテル・蒲郡ホテルが誕生。そして3月1日、満州国にて溥儀が初代皇帝となります。

4月、忠犬ハチ公銅像設置。5月、ボニーとクライド射殺。6月、東郷平八郎国葬。7月、岡田啓介内閣発足。 8月、ヒトラードイツ大統領当選。9月、室戸台風日本上陸。10月、中国工農紅軍が長征開始。11月ベーブ・ルースら大リーグ選抜チーム来日。沢村栄治はクリーンナップを四連続奪三振で伝説となる。

12月、ソ連でスターリンがおよそ70万人を死刑にする行動を開始。これを大粛清と呼ぶか、大量虐殺と呼ぶかについては現在でも意見が分かれる。

まあ・・・ざっとこんな面白い時代に転移しながら・・・可奈といえば、燈馬くんそっくりの塔場くんのピンチを助けたり、ちょっと萌え~となったり、資産家の遺産相続問題に首をつっこんだりして現代に帰還である。なお、塔場と一夜をともにした可奈の貞操についても質問してはいけません。

ちなみに、龍門寺虎男(藤岡弘)の娘羊子(坂本祐祈)はフリーアナウンサーである。

関連するキッドのブログ『第5回のレビュー

で、『ありふれた奇跡』における加奈(仲間由紀恵)の秘密は「元彼が他の女を妊娠堕胎させたので別れてそしたら自分も妊娠して海外できっちりとかたつけようとして堕胎したら過剰掻爬で不妊になってしまったこと」であった。心の病だからそうなったのか・・・そうなったから心の病なのか。神のみぞ知るである。まあ・・・だから・・・なんだっての?・・・という気持ちはどうしてもありますな・・・で・・・結局・・・そんな私だけど・・・優しくしてね・・・っていうことですか?・・・まあ・・・やがて遺伝子登録法が整備され、「現在、登録中の捨て子ですと・・・お客様の遺伝子に一番近いのは加奈様適合率66%、翔太様59%の推定2才女児ですねぇ。健康状態も良好ですし、お買い得になってます」加奈「・・・あの・・・でも・・・こんなの・・・やっぱり・・・私・・・メール」翔太「いいんじゃないかな・・・子供がいてもいいんじゃないかな」加奈「私は怒ってる・・・でも・・・それでいいと思う」担当者「・・・それでは命名はどうしますか・・・」翔太「忍で・・・」加奈「あ・・・私はシルヴァーナとかにしたい・・・」とかになれば問題解決しますか?

土曜日に見る予定のテレビ『佐藤江梨子の銀色のシーズン』『南沢奈央の赤い糸』(フジテレビ)『木南晴夏の銭ゲバ』『高橋真唯の妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『市川実日子のお買い物』(NHK総合)『市川由衣のRESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)

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2009年2月12日 (木)

コギャルだった頃を思い出すわ(さとうやすえ)悪魔のキスを(奥山佳恵)エコエコアザラクを(菅野美穂)スケバン刑事を(南野陽子)

まあ・・・どんなアイドルたちも大人の女になっていくのですな。

水曜日のダンスはサッカー中継延長で30分交錯。ちょっと足がもつれました。

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%

まあ、しかし、ダンスをしているからこそのステップでございますな。

で、『相棒・Season7・第14話』(テレビ朝日090211PM0930~)脚本・佐伯俊道、演出・近藤俊明を見た。「私たち正義のために戦います・・・それが命をかける戦いであっても・・・私たち一歩もひきません・・・悪を蹴散らして正義をしめすのですっ」

走れ 光速の 帝国華撃団

唸れ 衝撃の 帝国華撃団

・・・ってそれは違うな。帝都歌劇団の「男装の麗人」をめぐるエルの世界のミステリであるが・・・エル度低めで女の友情設定になっています。そこがややものたりないかっ。

実業家の昌子(小宮久美子)が自宅で変死。心臓に疾患があるのに扇風機を浴びたため心臓麻痺を引き起こした事故死であると思われたが・・・着衣に付着した薔薇の花粉から右京はエアサーキュレーター(空気循環器)を使った未必の故意(罪を犯す意志)による計画的犯行を疑う。扇風機遺体間には薔薇の花瓶はなく、エアサーキュレーター遺体間に薔薇の花が置かれていたからである。まあ、生きている間に扇風機花瓶軸の延長線上に移動した可能性もありますが。

そして・・・右京の捜査線上に宝塚・・・ではなくて帝都歌劇団の元・男役スター・荊城紫雨(奥山)が浮かび上がるが・・・関係者の一人・史恵(さとうやすえ)が犯人しか知りえない情報を知っていたため・・・途中からは犯人の正体を探る展開となる。もちろん、この手の話で美人の役割はスターのライバルだった過去を持つことがお決まりなので犯人・史恵は紫雨と昌子に役者生命を奪われた男役スター・潮風うららだったのである。

もちろん・・・歌劇団のパトロンである昌子が愛人の紫雨から別の歌劇団スターに心変わりして紫雨の経営するタレントスクールに嫌がらせを敢行。窮地に墜ちた紫雨が過去の怨念を利用して・・・うららに犯行を起させたのである。

エアサーキュレーターで死ぬかもしれないとうららは賭け・・・うららが昌子を殺すかもしれないと紫雨が賭ける。その間に過去の事故を演出した実行犯(おタクな男)は自殺・・・そんな女のミステリの世界である。

しかし・・・話はそのようには展開せず、せりあがる右京(水谷豊)で一笑いとったあとは・・・。

うらら「青春の日々を歌と踊りに賭けた私たちを邪な想いで汚したあの人(パトロン)が許せなかった」

紫雨「うららが犯人なら私も犯人です」

「紫雨・・・」「うらら・・・」と妄想の世界へ。

「まあ・・・すべては無駄骨でしたねぇ・・・」とまとめる右京だった。男たちの愛には優しいが女たちの愛には冷たい右京である・・・さすがだ。

まあ、「おみやさん」には大村彩子(パラサイト・イヴ)がママ役で出ていたりして麗しの少女たちのその後を連夜で見ているのだな。みんな健在でよかったよ。

関連するキッドのブログ『第13話のレビュー

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・第4回』(日本テレビ090211PM10~)脚本・松田裕子、演出・猪股隆一を見た。タロット占い師・星宮(南野陽子)登場である。このドラマは不思議と科学の中間を目指していたはずだが・・・結局、オカルト(神秘)を実証主義者が粉砕するというノーマルなものになっている。ちっとも面白くないのですが。

日常に支配されている人々には不思議は刺激である。不思議に感じるから、満天の星空にロケットを打ち上げるまでの科学力を身につけたのである。マジシャンたちの手品の種を明かして、善良でちょっとバカな市民が詐欺にひっかからないように警告するのも大切だが・・・科学が万能ではなく、死後の世界の否定が実証されることはないというこの世の綾をもう少しお届けしてもらいたいと思う。

タロットカードの大アルカナ・第10番「運命の輪」は実は神と人間の対峙を示している。

たとえば・・・人が誰かに恋をする時・・・それが恋をした人間の意志によるものなのか・・・それとも神がそのように仕組んでいるのか・・・この見極めは人間には不可知なのである。もちろん・・・神を否定するものには恋を人間のものにすることに何のためらいもない。しかし、神を肯定も否定もできないものには「恋」が「それぞれの男女」のものだったり「大いなる自然の営みの一部」だったりするわけである。

宗教にもピンからキリまであるが、たとえばキリスト教などはフィクションとして壮大に構築された巨大なシステムである。米国の新・大統領が「無信仰者」も市民であるとしてあえて言及するほどキリスト教の信仰者の影響は大きい。つまり「神なんかいるわけない」と真っ向から否定することは差し障りがあるということである。これは中国で「共産党なんてバカじゃね」と言うのと同じくらい差し障りがあるのだ。

たとえばタロットはそういう宗教と無関係ではない。運命の輪は神々の王が回している。ギリシャ神話では神々の王ゼウスがそれにあたり、キリスト教ではイエスの父がこれにあたる。キリスト教の原点であるユダヤ教では主神と邪神の拮抗が運命の輪の原動力である。そしてギリシャの科学では四大元素・火・水・土・風(空気)の変転が運命の輪を回すのである。

人間が「運命」に感じる恐怖・歓喜・諦念・希望がこのタロットには封じ込められているのである。

タロットの輪にとりつくのは智恵の守護者・スフィンクスと魔神テュポーンである。善と悪が輪を支配しようとしているのが現世だからである。それを世界を構築する四大元素の守護神たちが厳かにあるいは冷たく見守っている。火の竜サラマンダー、水の精オンディーヌ、風の気シルフ、土の霊ノームはさらに大いなるものの指図で運命が逸脱しないように監視しているのである。

これはどんな運命もさらに大きな運命の一部に過ぎないという無限の不思議を示しているのである。

そのような運命に対していかにも無力な人間が・・・あえてチャレンジすることの意義を示すのが「運命の輪」のカードの真意である。

たとえば・・・恋をした一人の少女が「運命の輪」を引く。それを引いたことにより、少女は「恋を伸展させる決意や覚悟」を促されるのである。たとえば恋は成就するかもしれない。しかし失恋に終ることもある。しかし、それはすべて運命なのだという慰安。それがタロットに含まれる神秘なのだ。

このあたりのロマンがちょっと弱いのだな。

小アルカナの「剣の四」は「戦いの終焉」を意味する。人生が戦いならばその終焉はすなわち「死」である。しかし、戦争の終焉は「つかのまの平和」も意味するのである。剣は風を加護する一族なのでその終焉とはつまり凪を意味する。穏やかな海は平穏のように見えるが風力を欲望するものには死活問題でもある。

すべてのカードには両面があり、その意味を探るのは結局、心のありように影響される。

しかし、すべての出来事には終焉があるという啓示はいかにも有効なのである。

不眠不休で働くのには限界がある。去っていった恋人を想い続けることに益があるか。永遠に終らないドラマを録画する媒体がどこにある・・・ということなのだな。

マジシャンたちのトリックを暴くのはマジシャンである。

するとマジシャンはさらなるトリックを創作する。どちらのマジシャンがステキな人なのかはそれぞれの心の問題である。

犯罪者たちは犯罪を創作する。刑事たちは犯罪を捜索する。

どちらを愛するのかも人それぞれだろう。

もちろん・・・キッドは思いついてしまう犯罪者たちを愛する。その刃がこちらに向けられない限りは。

それにしても第一発見者を疑わない刑事たちって・・・あまりにもご都合主義が過ぎますよね。

基本的にキイナは・・・オカルトに期待し続ける性格設定にするべきだろう。しかも・・・多くのオカルトが偽であることにちょっと悲しみを感じる方がいい。

スケバン刑事が「ウソ」を言っていることに気がついたキイナの微笑みは悲しみに彩られているくらいがいいなあ・・・と思います。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『鉄コン筋クリート』(フジテレビ)『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『歌のおにいさん』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)

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2009年2月11日 (水)

日々を慰安が吹きぬけて神の雫に酔いしれる(亀梨和也)私は管理された淋しさ(吉田里琴)お兄ちゃんをダブルで(相武紗季)

火曜日はドラマ対決の日なのだが、今日は祝日である。視聴率については明日追記したい。

追記である。①「メイちゃんの執事」↗13.6% ②「トライアングル」↘11.5% ③「神の雫」↗*6.0%

まあ、視聴率はともかくとして、それぞれに中盤戦に入ってきて味わい深い展開である。

「メイちゃん」は少女マンガの王道でありながら「基本的人権」の消滅した日本の近未来という過激なコンセプトを持っているし、「トライアングル」はミステリの仮面をかぶったバラエティー・ショー。「神の雫」は親子関係の是非をワイン醸造をネタに問う哲学展開である。お茶の間がついてこれないのがよくわかります。

で、『メイちゃんの執事・第5話』(フジテレビ・090210PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・石川淳一を見た。以前から触れているが、このドラマの世界は一種の異次元空間である。というよりは・・・日本がひょっとしたら数年後にはこうなっている可能性のある近未来であると言える。

人々は激変ということに慣れないものである。なぜなら、慣れるとは変化しないから可能な行為なのだ。1970年代に始まった薔薇色の未来は「石油ショック」だとか「東西冷戦」だとか「中東戦争」だとか「女子高生コンクリート殺人事件」だとかとはほぼ無関係に進行し、1990年代の「バブル崩壊」まで続くのである。その間「株価は上がり続ける」という幻想だけは人々の慣れ親しんだものであった。それから、今日まで「不況」は絶えず、人々の脳裏を離れず、景気がよいときも悪いときもなんとなく「不況」に人々は慣れてきた。

そういう意味で「基本的人権」の精度が日々向上していくという幻想も人々が慣れ親しんでいるものだ。

しかし、冷静になれば「自由」と「平等」という相容れぬ両輪を持つこの制度はいつ崩壊してもおかしくないし、そもそも「基本的人権」などというものは一度も実現していないという考え方もある。

たとえば「憲法九条」で戦争を放棄した「日本国」は「軍事費」を「交際費」や「経済発展のための設備投資」にあてたために「北朝鮮に拉致された日本人」の基本的人権はまったく保障されないという現実を生んでいる。

「人を殺したら死刑」という応報の刑罰を捨て去ったことにより、殺人者の人権は向上したが被害者の尊厳は死体となった。このために権力者による「口封じの殺人」は「オウム真理教事件」でも「石井議員暗殺事件」でも「ライブドア事件」でも滞りなく実践されるのである。

そのように目指すべき「理想の基本的人権」は常に矛盾を孕んで動揺している。

だから、日本が明日・・・特権階級とそうでない人との階級国家として存立することは充分ありえることなのである。

当然、そこには階級別人権が存在する。

まったく、説明がないが、たとえば主人公・メイ(榮倉奈々)と今回のスポット・ライト・キャラであるみるく(吉田里琴)はまったく別の階級に属する人間なのである。どちらかと言えばメイは現在の日本国の憲法が保障する基本的人権を有する階級にあると言えるだろう。一方でみるくはそのような自由と平等からは全く隔離された階級に属するのである。

ドラマでのみるくの発言をみてみよう。「私は三才から政府機関の管理下におかれ、国策に沿った研究開発を行うための道具として生きてきた」のである。

みるくの設定年齢は7才であり、小学校低学年にあたるキャラクターである。

おそらく、この異質な世界では遺伝子工学についてのタブーは解禁され、みるくが人工的に生産された人間であることは間違いないだろう。みるくは「感情を持つことが問題行動と評価される」機関に属する電子部品のようなものなのだろう。

当然、みるくを殺しても殺人罪は適用されず、所属機関はみるく殺害に関して犯人に「損害賠償」を請求することになるだろう。

そのような事情をお茶の間が何の説明もなく理解するのかどうかはとても疑問ですがーっ。

実力が伯仲すればゲームをコントロールするのは難しい。そうなると何かをしそうな「運」を持った選手がポイントになってくる。なんだかんだ言って大久保が面白いのは絶対にからんでくるところだな。そしていかにも頭が悪そうな絡み方をしてしまうところだ。パスはつながってたしシュートもまあまあだったのに大久保が邪魔にならなければ勝ってた試合だったみたいな。

(一部サッカー・オースラリア戦)の感想が混入したことをお詫びします。

しかし・・・材質が人間である以上、みるくは「道具」である自分に悩むのである。

さて、平和の続く社会ではすべてが学校のクラス単位の出来事に集約される。最近では大河ドラマもそうだが、権力闘争の雛形としてはこのドラマの方がよほど参考になる。

遠縁の娘とはいえ、ルチア(山田優)は成り上りである。可能性としてはみるくと同じ階級に属していた場合さえある。

つまり、超特権階級(本郷家)

平民階級(東雲家)

道具(人工人間=奴隷階級)

があると考えると、ルチアは道具→超特権の成り上りである。

だからこそ「支配欲の塊」とみるくはルチアを呼ぶ。二人の会話にはなんとなく・・・同じ階級(奴隷)出身者の対等感があることが窺える。

ルチアにとって「社会の維持」がすなわち「自己保身」である。そのために「手段」は選ばない。「排除のために部隊を出動させたが実力行使をしないで撤退させた」ことを「恩」として売ろうとしたルチアを「馬鹿馬鹿しい」と否定することでみるくはルチアの「怨み」を買うと同時にそれを秘密にしないことで「恩」も売っているのである。このあたりの損得勘定の表現がかなり知的であることは間違いないだろう。

「権力者の長男の長女」という純血種であるメイに加担することはみるくの中にしたたかな計算があることが分る。

王権は貴族階級の合議によって保持されることが多い。たとえば聖徳太子時代の天皇家は蘇我氏、物部氏、大伴氏、中氏などの豪族たちの合議制に基づいて権力を維持していた。現代もたとえば派閥のリーダーは派閥の支持があってリーダーたりえる。そういう権力のシステムは時代を越えて存在するのである。

聖ルチア女学園の権力闘争は・・・ルチアの支配に叛旗を翻す貴族たちの盟主にメイが担ぎ上げられる構図になっているのである。

今回、超天才でありながら、非人間階級であるみるくがメイを巻き込んで逃走劇を展開したのは・・・正統な後継者であるメイに賭けた行動なのである。

泉(岩佐真悠子)が派閥のリーダーとして、メイ-みるくの養護にまわるとき、すでに根回しのすんだリカ(大政絢)が一度敵対してみせるのもポーズなのである。不二子(中別府葵)と凛(忽那汐里)という小派閥のリーダーたちに1VS3という構図を見せてから、リカが意見を変化させることで2VS2という流れを作り、一挙に4VS0に持ち込む。

ルチアはまだまだ権力の座からは動いていないし・・・派閥のリーダーたちの一人をスパイとして動かしているわけだが、すでにメイの正体が自分のライバルであることを明示した以上、かなりの苦境に追い込まれているのである。

その武器が法という秩序維持の道具である以上、「お嬢様と執事の恋愛禁止」という掟を破ったという口実でメイと理人(水嶋ヒロ)を糾弾するのは極めてセオリー通りなのであろう。

この一点でこの世界の構造がまた垣間見える。

ジジイ

お嬢様

イケメン執事

平民

という階級構造である。お嬢様たちはジジイの「花嫁候補」であることが泉の件でも明らかなのだ。

もちろん・・・この歪んだ世界ではお坊ちゃまは抹殺されているのに違いない。あるいはイケメン階級に降格されるのである。なぜそうなるかいえば、この世界ではおそらく高度な寿命延長工学が実現しているのである。つまり、ジシイたちは永遠の青春を生きているのである。

メイの母が・・・秩序を破り辺境に身を潜めた経緯が窺えるのだな。

おそらく・・・メイは理人との愛を育むためにこの世界の秩序を根本から破壊することになるだろう。お嬢様たちが急にメイに傾いたように見えるのには理由があるのだ。どこのお嬢様が・・・ジジイの花嫁になることを本心から望むだろうか。

そうと知りつつ・・・ルチアではなく・・・実の孫に愛されることを願う金太郎(津川雅彦)・・・。現実社会から観測すれば変態の極みであることが一目瞭然なのでございます。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

Hcinhawaii0518 ごっこガーデン・突然嵐のようにあすなろ抱き橋。まこきゃ~さすがはちーず様のライバルみるくちゃん、志田未来が太刀打ちできなかったルチアちゃんをバッサリでしゅ~。反逆のノロシはあがったのでしゅ~。このドラマで一番心ズタズタなのは剣人でしゅけど・・・それはさておきあすなろ抱きはしておくジョー飯綱遣いはいっ・・・一週間遅れでありました~・・・みるく様、お許しくださ~いikasama4はい。扉絵銭ゲバになりました~。トライアングル、そして神の雫になってますくうレビューはトライアングル、ごっこはメイちゃん、なにか文句ありますかっあんぱんちまあ、みんなトライアングルに流れて・・・そんなことでは・・・槇子さま・・・いえルチア様の怒り炸裂でございますわよ・・・ねちねち苛められても知らないからっ・・・はたしてスパイは誰か?・・・ポッキーそれともくのいち谷村美月?みのむしはーい、トライアングルに引きづられてまするるる・・・ツッコミやすいし・・・わかりやすくドロドロだしぃ

で、『トライアングル・第6回』(フジテレビ090210PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・白木啓一郎を見た。なぜ・・・いつもケーキばかりをおみやげに・・・。たまにはドーナツにしなさいよ。本当に気がきかないんだからっ・・・という唯衣(相武)の営業戦略的な怒りは別として・・・なんだか・・・高速道路を制限速度でずっと走り続けるようなこの展開。ああ・・・イライラする。まあねえ・・・キャスティングが豪華すぎるのでいろいろと気を使ってたら・・・こうなったってか。

そして痣のある男・新藤(宅間伸)は死体に。

なぜ・・・気絶している男・富岡(谷原章介)に新藤(先生ではない)が殺せたのか、なぜ・・・富岡は亮二(江口洋介・進藤先生ではない)の妹・唯衣の車に死体を隠匿できたのか、なぜ・・・富岡が佐智絵(志田友美)が殺されたと聞いたときの怒りをここまで隠してきたのか・・・もう、ミステリとしてはぐだぐだですがな。これに一番似ているドラマといえば歴史なき大河ドラマ「天地人」だな。今回はミステリではなくて「お兄ちゃん大会」である。

そして・・・事件はふりだしに戻ったのである。

本当に戻っているのでびっくりだ。

そして・・・キッドが最初から怪しいと思っている「未来への手紙を書かせた女教師」(中村ゆり)久々の登場である。妙にソフト・フォーカスでますます怪しい。これで事件と無関係だったら怒るぞ。

で、新藤(宅間伸)は遺言で「俺はやってない」と告白。ま、何の証拠もないがな。人間、死に際にウソはつかないという時代じゃないし。そして、新藤殺害犯として富岡退場である。そして・・・それと入れ替わるように・・・堀込の告白でもう一人の友人、秋本(佐々木蔵之介)の名前があがるのである。

ギラギラのラクダの出番なのである。なんか、交通整理のようなドラマ展開だよね。

とにかく、事件は何の伸展も見せないまま、舞台は上海へと移る。

なんだろう・・・この最高級の具材を用意してすきやきを始めたのにカレーライスになりましたみたいな気持ちは・・・。

黒木(稲垣吾郎)は黒木パパ(北大路欣也)サイドに寝返ったという展開。

黒木パパは佐智絵パパ(大杉漣)とつながっていたという展開。

佐智絵ママ(風吹ジュン)は間男・新藤と自宅でイチャイチャしていたために娘が帰宅できずに殺されちゃいましたーっという展開。

そして、佐智絵ママは佐智絵パパのなんらかの秘密を握っている展開。

そういう思わせぶりの一つ一つが鼻につくのはなぜなんですかーっ。

そして・・・志摩野(堺雅人)はサチ(広末涼子)のお兄ちゃんでしたーっという展開である。

生き別れの妹がいて・・・兄はそこそこ成功・・・妹は芸術家として開花。そして再会である。なにか・・・問題でも?

何をもったいぶって・・・志摩野はいろいろと暗躍しているのか。その答えは上海にあるらしいが・・・これがきっとすごくどうでもいいことである可能性はすごく高いような気がするのはキッドだけですかーっ。

とにかく「お兄ちゃんはすごくすごくいい人なんだからなんてったって私のお兄ちゃんなんだからーっ」(唯衣)で始まり・・・。

「ニヤニヤ」(志摩野)「お兄ちゃんなの・・・なんか似てるっていえば似てるかも」(サチ)「ニヤニヤしてみな」(志摩野)「ニヤニヤ」(亮二)「ニヤニヤ」(サチ)「ニヤニヤ」(唯衣)・・・やはり堺雅人はニヤニヤ全日本王者なのだな・・・「ニヤニヤ・・・上海で待ってます」(志摩野)で終るのだった。もう凄くミステリの香りがしないんですけど・・・。

Hcinhawaii0517 ごっこガーデン。全力警察署阪セット。お気楽エンディングだけ見ると凄く豪華な感じがするんだけどとにかくエッフェル塔になんか秘密があるような感じなんだよね。なんだか結局悪い人は一人もいなかったみたいな展開だったら困るよね。じゃあ、佐智絵の失われた人生はどうなるのさ・・・CLUB Rico会員必見のメイちゃんの執事はコチラ」・・・おっとっとな酒瓶見ていたら遅刻しましたーっ。とにかく・・・窓際刑事な小日向文世さんの男気に敬意を評して名誉カエル会員として表彰します。特典はカエルバッヂで~すミマムふふふ・・・坂は登れば上がり坂、降れば下り坂・・・サチの幸はどこにある~ってまだ歌のおにいさんですけど~アンナ出口の見えない迷宮を彷徨うお茶の間・・・ふと気がつけば警察前。黒スケは寝返ったフリだよね~。ね~、ダーリン。過去と向き合うのは勇気がいることなのかな~。でもアンナはまた一つ坂を制覇したのでご褒美あすなろ抱き中ぴょ~ん

で、『神の雫・第5話』(日本テレビ090210PM10~)原作・亜樹直、脚本・渡辺雄介、演出・石尾純を見た。まあ・・・このドラマを見ていて・・・職場に河原部長(升毅)が出てくると、鬱の校長先生とか、ささやき刑事とかに扮装しているが実は梶浦なんだよな~と思うとときめくのである。特にワインである。一青(田辺誠一)もかぁぁぁぁっとクビグビだらんだらほぁぉぉぉぉぉぉとケンシロウになるのであるが・・・河原部長にもワインを豪快に飲んでもらいたい。そして世界を滅ぼす視線をいただきたいのである。今回なんか・・・みやび(仲里依紗)は部長のワインをくすねたりして・・・ああーっ殺されちゃうぞっとドキドキなのです。

「沙粧妙子」ネタ禁止・・・そうですか。

さて・・・結局・・・モナリザとは「力強さと優しさを兼ね備えたワイン」というほぼシャトー・パルメに与えられたキャッチ・コピー通りの展開に落ち着くのである。

ここで、いくつかのキーワードを考えてみる。まず、前提として「モナリザ」は「愛しき女」なのである。つまりこのワインは女性なのである。次に「力強く優しい」を一言で言うと「包容力がある」ということになる。「女性」の「包容力」ということで「胎児を孕んだ妊婦」というフレーズに帰着する。つまり、ここで「モナリザ」は「母」なのである。

キッドは人間の心はノイズに過ぎないと考えている。

たとえば聖書には「一に光ありき」と記されている。「光」とは「物質の根源的な姿」である。生命はこの世界で最初に光を感じながら生れたというのがその主張だ。聖書が書かれたときから幾千年を経ても・・・たとえば「ビックバン仮説」のように「一に光ありき」を表現する試みは続いている。

たとえば生物には走性がある。光という刺激源に向かえば走光性となる。原生動物のミドリムシから・・・誘蛾灯に誘われる昆虫、そして真夏の海を見ると走り出すギャルまで生物は概ね光に向かうのである。

もちろん、人間には五感があり、刺激されるのは光源だけではないと考えることもできる。

優しい声に誘われ、鼻をくすぐる匂いに誘われ、舌をさす味に溺れ、肌で感じる女体の神秘だったりもするわけである。しかし・・・そうした様々な刺激も体内に入れば、神経を伝導する電気的信号・・・つまり光に過ぎないのだ。

人間は結局、光に反応する生物なのである。

そして、その伝達のシステムによって・・・情報という意味が形成される。つまり、光あることと光ないこと(闇)の誕生である。コンピューターの発達によって、光と闇が様々な意味を生むことは明瞭になっている。

世界という光源があり、乱反射する光は人体という感覚器を刺激する。世界という光に意味が生じる時、意味を感じる「それ」・・・たとえば「私」は闇である。

つまり、人間にとって基本的には世界は光であり、自己は闇なのである。

しかし・・・複雑に発達した感覚器は世界に闇を見出す。同時に自己に光を見出すのだ。その光と闇の交錯の総体が今・・・この文章を打っている「私」であり、この文章を読んでいる「あなた」である。私にとってあなたは世界の一部だが、あなたにとって私は世界の一部なのである。そういう場合、私もあなたも世界にとってはノイズにすぎないし、そう感じる心もノイズに過ぎない。生きるというのは結局、ノイズを撒き散らすことだし・・・そういう意味では世界そのものがノイズなのである。

しかし・・・人間はそのノイズを愛しく感じたりする。「私」も「あなた」も同じノイズを愛しく感じるかもしれない。それがこのドラマの言わんとするところだと「私」は思うのですが「あなた」はどうですか。

一つのワインの銘柄をめぐって・・・三人の男たちが認識を競い合う。一人は先達である。彼は「ワイン」の光を言葉に変換した。そして後継者はより正確に言葉を光に還元する。先達の残したキーワードから隠されたワインの銘柄を捜索するのがこのゲームのポイントだが・・・当然、出題者は解答者が正解にたどり着くように出題しているというのが大前提である。

なんのためにそんなことをするのだろうかという疑問はわく。

それについて私は思う。「彼」は自分が「ノイズ」であることに我慢ができないのだと。

なるほどと私は思う。「ノイズ」は伝達されることができれば「ノイズ」ではなくなると「彼」は考えたのだな。

もちろん、それも「ノイズ」に過ぎないと私は知っているが・・・ノイズの中にささやかな微笑みをもらすのである。

アルコールは人に酩酊感を齎す。酩酊は人がノイズに過ぎないという認識を打ち消すノイズである。お分かりだろうか。人がノイズに過ぎないということもノイズに過ぎないのである。

そういう虚しさをアルコールは打ち消すのである。

バッカスとはその行為を司る神なのだ。

ダ・ヴィンチはそういうノイズの狭間に「モナ・リザ」を固定した。「モナ・リザ」は彼にとって商品であり作品である。「モナ・リザ」は世界に「光」として愛され、多くの闇に受け継がれた。ノイズたちは重なりあい・・・一つの方向性を生む。「モナ・リザ」「愛しき人」「万人の母」そして「謎の微笑み」である。それらがすべてダ・ヴィンチの内なる闇に潜んでいたのかどうかは問題ではない。「モナ・リザ」は今、確固たる光として世界に置かれているのである。

さて、以前にも触れたが「神の雫」は「美味しんぼ」の亜流である。少なくとも「本物を愛した男」が息子もまた「本物を愛せるように」と幼い頃から「本物」を与えるという趣向はまったく同じだし、息子がそのことに全く感謝しないのも同じである。

ここに光と闇の攻防があります。

しかし、そういう伝授は芸事の世界では珍しくはない。幼い頃から特殊な情報を与え続けることによって「蛙の子が蛙になる」可能性は高まるのである。

しかし・・・兄弟のあるものは知っている。親の血をひく兄弟が全く同じものにはならないことをである。まなかなはかなり同じようだが、それでもやはり違うのである。

ということは子供は親とそっくりにはならないという宿命を負っていることがわかるのである。

親が子に後継を求めることは時には子にとって我慢ならないことである。それはノイズが所詮ノイズであることの証なのだ。

しかし・・・時には・・・子が親に従い、親を受け入れることがある。織田信秀は戦国武将として生まれ、尾張一国をほぼ統一した。そして子である織田信長は尾張一国の統一事業を受け継ぐとともに全国制覇の先駆となるのである。

こういうのは宝クジにあたるようなものだから一種の奇跡である。

さて・・・そうした傲慢な親を持つ雫(亀梨)は自分の愛した唯一の母親である実母以外に父親が愛した女性を持っていたことに愕然とします。

そして、そんなことは到底、受け入れることができないと叫ぶのです。

実子として訓育を受け、何不自由な暮らし、すでに成人している人間が父親の浮気あるいは多情が許せないなんて・・・なんて甘えん坊さんなんだろうと感じる人は多いと思います。

まして・・・そこにはつい最近まで籍にも入れてもらえず、庶子として父親の顔を思いだせないほど放置され、私生児として扱われていた愛人の生んだ兄がいるにも関わらずです。

しかし・・・それこそが雫の実子の証なのです。彼の体内には傲慢な父の血が脈々と流れているのですから。

究極のお坊ちゃまが自分の傲慢さに気がつくのかどうか・・・それは彼がみやびと結婚して・・・別の誰かを愛人とするまでは父を許さないのかどうかにかかっている。そんな「ノイズ」が今・・・虚空を漂っているのです。

悪魔の聖書には「一にノイズありき」と記されていますので。

例によって登場するワインについては天使テンメイ様が先行記事をお書きになっています。

Hcinhawaii0519 ごっこガーデン。モナ・リザ・オーヴァドライブなバー。エリ亀雫先輩の涙にええいああ・・・もらい泣きでスー。ほろり・ほろりのえ~んえんでスー。まあ、ロベールが残酷だぁとか、雫の純情ぶりをさらにもりあげるわけですが・・・先に愛人の方に子供ができちゃったので・・・雫パパとしてはえーっそりゃまいったなーって感じ。で、その後に本妻にも子供ができてまたまたえーっこりゃまいったなーって感じでしょうか。まあ、甲斐性ありってことですめばよかったのでスー。でも、勝負はこれからですから~。亀雫先輩には逆にあすなろ抱きをしてもらって応援ですyon><。涙には涙が一番効くのでスー・・・ところでワインたくさんあるのでしゅね?」じいや「世界のワインの総生産の半分は平成財閥が仕切っておりまする・・・ちなみにモナリザは真作1ダースそろいでございます」

木曜日に見る予定のテレビ『Q.E.D.証明終了』(NHK総合)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)『大村彩子のおみやさん』(テレビ朝日)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年2月10日 (火)

あちら(実証)をたてればこちら(法医学)がたたず(瑛太)ひよこ~?~噴水な~んだ?ヴォイス式パズル(石原さとみ)

どうして、ねえ、どうしてボクの妄想って決め付けるの・・・ほら、今回は証拠の写真があるじゃない・・・死因の特定とはあまり関係ないけどさ・・・血栓の発因現場と発症現場を点と線でつなげたからミステリっぽいでしょ。どうして、ねえ、どうして一方的な間接キスなの。ボクの食べ残しを彼女が食べて、彼女の食べ残しをボクが食べる。それでこそ由緒正しい間接キスでしょう。ねえ、そうでしょう。あれじゃ、間接キス泥棒じゃん。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↗*9.6%(フタケタ届かず。V字回復なるか今週勝負)、「隠し剣鬼の爪」14.6%(藤沢映画一度まとめてオンエアしてくれ)、「歌のおにいさん」↗11.6%(幼児にわかるレベルの大人のドラマという正解)、「RESCUE」↘*8.9%(火消し大明神の加護もこれまでか)、「銭ゲバ」↗10.7%(フタケタ復帰だが来週はサトエリの映画と実日子のドラマの挟み撃ちだ・・・猛攻が続くな)、「警官の血・一夜・二夜」14.0%・15.4%(兄ちゃん、キタロー、海猿の警官三代をいたぶる椎名桔平・・・ただそれだけなんですがー・・・そそる)、「赤い糸」↘*8.0%(結局お水のヤンママの子供たち物語だからなお里が知れるぜ・・・っていうか愛ゲバ)、「天地人」↗24.4%(謙信最後の戦のような独走・・・ヘタレ妻夫木に常盤も長澤もメロメロというだけのドラマですけど)、「本日も晴れ」↘*7.1%(脇役ヒロインの設定の仕方が下手なんだよな・・・これはこの脚本家のいつものことだけど・・・はまるときははまるのになぁ・・・頑固なのか)、ついでに「ヴォイス」↗16.0%・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~第5回』(フジテレビ090209PM9~)脚本・金子茂樹、演出・石井祐介を見た。裏番組の「熱血!地球教室2009カンボジアで夢と希望の特別授業…地雷に負けるな子どもたち 」(TBSテレビ)*8.6%の緊急援助を受けているが視聴率的には持ち直したこのドラマ。

①登場人物・紹介も終わり、主人公・加地(瑛太)の単独行動を軸にした展開が見やすかった。

②新しいお父さんができる傷心の子供(小林海人)を癒すというお約束

③加地のいつもの妄想が「写真」という物的証拠で裏づけられた感じがこれまでと違う。

④相棒の鑑識(六角精児)や医龍の木原(池田鉄洋)が今回の死体・妻に捨てられた男・岡原(吹越満)の同業者として登場。さりげなく・・・フリーのカメラマン同士の男の友情が漂う擬似同性愛展開。

⑤クリーニング屋の薫がするミッチョン(芳本美代子・・・菊池桃子・石野真子とならび時計が止っているアイドル)が登場。

⑥ゆで卵を食べる久保秋(石原)がツンデレすぎる。

⑦ルービックキューブ同好会、餃子愛好会、ひよこファン、めんつゆ友の会、寝袋組が画面に釘付け。

⑧玲子(矢田亜季子)が石末(生田斗真)と技官(泉谷しげる)を無駄なく処理。

⑨法医学と関係ないことにお茶の間が慣れた。

⑩学生たちが少し学生らしくお勉強していたのが好感度アップ。

・・・などの理由が考えられる。

ゆでタマゴに塩をつけて食べたくなるドラマ・今季ナンバーワン認定。

男の子の不幸について「神の雫」とかぶるわけだが、下を向いて歩く姿勢としては正しいだろう。「両親に不満」の子供は「両親離婚の子供」と比べると自分の幸せを感じる。「両親離婚の子供」は「離婚後父親死亡の子供」と比べて自分の幸せを感じる。そうやって下を向くことが人生を幸せに生きる秘訣である。

そうして下を向いて誰もいなかった人は「自分が全人類の幸せを支えている」という使命感で幸福を感じることができます。

さて・・・父親とケータイしりとりをしていた少年。父親が無機物に還元されてしまったので心やさしい加地は少年と男の約束でしりとりを継続することを誓ったらしい。

ひよこ(死んだ父親)→?(少年)→噴水(加地)である。記憶力格差解消のために時々しりとりをするといいだろう。

語彙を捜索する頭の体操である。

二人で遊ぶ時は

A「こま」から「リス」なーんだ?

B「鞠」・・・じゃ、「スイカ」から「スイス」なーんだ?

A「カラス」・・・「スリッパ」から「ツイスト」なーんだ?

・・・と続けていくのだ。語頭と語尾を当てるしりとりである。

それでは「ひよこ」から「ふんすい」は何でしょう。

ドラマ的にはまあ・・・子供の知る範囲で「コンビーフ」かな。ミッチョンのおふくろの味レパートリーしだいでは「高野豆腐」も。

キッドが最初に思いついたのは「コズン専用グフ」・・・そんなものはない。それにガンダムネタは禁止だと言ってるだろうがっ。「古代くんが見た真っ赤なスカーフ」・・・ヤマトまで遡るのかっ。「コロニー・レーザー・ナイフ」・・・巨大すぎるな。「コスプレ・ライフ」・・・どんな専門店じゃっ。「コムサ・デ・モードの財布」・・・バブル親父かよっ。「この不況ドミニカならないかというセリフ」・・・DAIGOかっ。「こじんまりした政府」・・・反オバマかっ。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)『サッカー・ワールドカップアジア最終予選・オーストラリア戦』『相棒』(テレビ朝日)

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2009年2月 9日 (月)

間違った戦国時代が語られています、正しい歴史認識のために天地人総とっかえしてください。(妻夫木聡)

かって「功名が辻」(2006)を見ていて・・・こりゃ・・・ひどいなあ・・・まあ、大石静だから仕方ないか・・・と思ったのだが・・・今回・・・「天地人」はそういうレベルの問題ではないのではないか・・・という気がしてきた。大石版戦国大河だって確かに・・・どこでも山内一豊だったり、光秀・濃姫濃厚恋愛絵巻だったり、苦笑の場面多数であったのだが、それでも歴史ロマンのかけらはあった。まあ・・・好きなんだからしょうがないか・・・という納得感もあった。甲賀忍者・小りん(長澤まさみ)も哀愁があったし、第一初々しさにあふれていたのである・・・そこかよっ。

しかし・・・「天地人」はひどいよね。なんか・・・脚本家は高校レベルの日本史も満足にクリアできていない感じがする。もちろん・・・ドラマだから・・・フィクションの原作からして史実通りである必要はないが・・・リアルに感じさせてこその虚構の面白みなのである。これで冬ドラマ最高の視聴率って・・・お茶の間バカばっかりってことかいっ。

このまま関ヶ原とかを・・・どう描くつもりなのか・・・背筋が凍りつきます。こうして決戦の火蓋は切られた(1分)・・・その頃、直江兼続はお船と濃厚恋愛絵巻を展開していたのだった。「死んではなりませぬぞ」「はい、危ないところへは行きません」(30分)・・・そして、西軍は敗北した(1分)・・・こういう感じか。

わは・・・わはは・・・わははは・・・わはははははははははは。これで戦国時代もどんと晴れかっ。えいえいおーっ。えいえいおーっ。えいえい・・・とほほ。

まあ・・・男の戦国ロマン「風林火山」(2007)から女の幕末ロマン「篤姫」(2008)と傑作が続いていただけに・・・ちょっと落差が激しくて正常な評価ができてないのかもしれませんが・・・役者が大根に見え始めたら危険信号でございます。(注意・絶賛していません)

で、『天地人・第6回』(NHK総合090208PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・高橋陽一郎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は題字パロディーからスタート。すでに後継者候補ナンバーワンであった景勝を嘲笑するような上杉軍の兵がいるや否や。天正四年の越中攻めで敵軍が全員、織田木瓜の旗指物なのはあるや否や。能登・安土を一足飛びの初音の快速は特急や否や。疑問は多々あれどぐっとこらえて愛をくださいレビュー。そして「主人公・直江兼続はこんな人、その戦ぶりの基礎知識」解説付きでございます。まだまだドラマは始まったばかり暖かい目で見てくださいの熱烈支援。スッタフの皆さん・・・この熱い声援に応えてくださいよ。収録終わりに酒ばっかり飲んでないでーっ。「直江兼続は戦下手・・・ただし撤退戦はそこそこ」・・・達筆でございました。

Tenchijin1576 で・・・もう原作も本編も知ったこっちゃないのですぅ。勝手に手酌でやらしてもらいますわ。とにかく・・・内容はともあれ、時代はとんとん拍子で進行して天正四年(1576年)でございます。樋口兼続も16才となりました。元服も終わり、戦国時代なら立派な若武者です。特に樋口家は由緒正しい木曽武者の家系。戦場で遅れをとることなどまずありません。そんな根性なしはそれ以前の扱きの段階で落命しています。戦国武将をなめるなよっでございます。天正三年、長篠の戦で武田勝頼に痛恨の一撃を与えた信長は越前軍団長の柴田勝家に越中攻めを指令。越中に乱入した柴田軍は一向一揆の拠点を撃破。越中・加賀の一向一揆総大将に任じられた下間頼照(本願寺顕如による任命)を頂点とする門徒一万人あまりを虐殺したのです。

この事態に本願寺・武田同盟により・・・敵対していた上杉謙信との和睦を本願寺は決意した。過去の越中攻めで一向一揆の鉄砲戦術に苦しめられていた謙信は愁眉を開き、再び越中攻めに乗り出すのだった。天正四年夏・・・越後春日山城には続々と越後衆が集結していた。城内にある毘沙門天堂に篭った謙信の前に越中に放った軒猿どもから報告が届く。軍神と恐れられた謙信の怜悧な頭脳はすでに何度も侵攻した越中の風景を精密に記憶していた。その侵攻路、敵味方の城砦、山川を思い描きながら謙信は一人作戦を練り上げていく。

謙信は過去を振り返る。戦に明け暮れた日々であった。戦えば必ず勝つ。不敗の神話を作り上げたこの武将は・・・しかし・・・味方の反乱に悩まされた武将でもあった。関東で越中で信濃で・・・謙信は勝利し・・・そしてまた背かれた。それどころか、越後国内でさえ反乱は起きた。愚か者どもめ・・・謙信は歯軋りしながら叛徒を討ち・・・そしてこれを許した。たとえば後継者候補の一人・・・自らの旧名を与えた上杉景虎は・・・同盟の人質として越後に送られた北条氏康の七男である。その北条家とはすでに手切れになっている。しかし・・・と謙信は思う。次に関東入りするときは景虎を先鋒に立て・・・そして関東を上杉の分国とすることが可能となるであろう。いよいよ・・・関東管領として・・・最後の号令を下すとき・・・関東は一国となり・・・義による統一がなるのだ。

毘沙門道に奏者の声が響く。

「ご一門筆頭・・・長尾顕景様、ご到着」

すでに二十歳を越えた甥が毘沙門堂の扉前に着座していた。長尾顕景は越中における上杉の拠点松倉城から召喚されていた。

「喜平次(顕景)・・・息災であったか・・・」

無口な顕景は畏まる。その姿に目を細め・・・謙信は言葉を述べる。「和尚(わし)はのう・・・喜平次・・・最近・・・疲れがとれぬ・・・右腕に痺れが出ておるのじゃ・・・もう・・・この世に残された日々は少なかろう。この越中入り・・・そして次の関東入りで和尚の戦は仕舞いじゃ」

「殿・・・」顕景は謙信の突然の申し出にますます言葉を失う。

「そこで喜平次に申しつける。和尚亡き後は越後の国を継ぐのじゃ。上杉景勝と名乗るが良い・・・此度の戦によって越中は上杉に従うじゃろう・・・加賀・越中・能登の国は・・・一向門徒が威勢を揮い、守護畠山家の力衰えて久しい。和尚の度々の出陣により・・・武田に組した椎名家・・・その敵なる神保家・・・その主たる畠山家・・・それぞれの力を削いで参った。今、一向門徒と手打ちいたすは契機というもの・・・椎名の名を継ぐ長尾景直・・・畠山の名を継ぐ上条政繁を一門衆といたし・・・越後・越中・能登・加賀を支配いたせば・・・上杉の道は開かれるであろう・・・そして・・・その力を集め・・・そなたの姉婿のために上野から関東を攻め取らば、越後上杉と関東上杉は天下を制することも可なり・・・」

平伏した顕景こと上杉景勝は・・・謙信が始めて語る壮大な軍略に心を打たれ瞼の奥が熱くなるのを感じた。

「喜平次よ・・・戦の先行きを物語るがよい・・・」

景勝は勇を振り絞って偉大なる岳父に戦況を語った。

「越後より富山城までの道ははや開かれたも同然でございまする。松倉城一円の門徒衆が上杉になびいた今・・・小城に篭る椎名康胤は滅ぶのを待つばかり・・・富山城には織田側に心よせる神保の衆もおりまするがその大半は門徒と上杉の手打ちにより転びましょう。織田の旗色濃い気配なれど若年の神保長城には守る城もございませぬ。父上ご出陣なれば越後衆の行く手を阻むものあらずが如しでありましょう。ただし・・・能登七尾城は堅城なればいささか難し。されど佐渡より戦船にて裏手に渡り・・・城を囲めば・・・能登衆に為す術はなかろうと存知まする」

「然り」と謙信は短く甥を褒めた。「わが意を得たりじゃ。九月に入りてすぐ・・・和尚の軍は越中に入る・・・喜平次は今宵は城中にて家族と歓談し・・・明日は越中に先陣いたせ」

「御意にござりまする」ようやく景勝は面を上げ・・・謙信と目を合わせた。自愛に満ちた謙信の瞳が景勝の心を穿った。

天正五年十月・・・越中を破竹の勢いで席巻した越後勢はすでに能登への侵攻を開始していた。謙信の中核は常に五千の兵によってなる。荷駄隊をあわせても一万には及ばない。しかし・・・越中の松倉、富山の2城を中核にして・・・飛騨口を押さえた砦などの軍勢、そして能登に攻め入った軍勢の総数は三万に達していた。

謙信はすでに能登七尾城を包囲する本陣として石動山に城を設営している。

後詰として富山城に入った上杉景勝に従い・・・与六こと樋口兼続は忍びを率い・・・金沢方面、飛騨方面の織田軍の動きを探っていた。

与六の使う忍びの小頭は与六の兄たちである。忍びの戦で命を落とした次郎丸と与三を除き・・・長兄の与一、四郎、五助はそれぞれ上田忍び衆、越後飯縄衆、信濃善光寺衆を率いて・・・情報収集の任務についている。

旅芸人、行者、行商人、渡り巫女などの下忍たちは越前、飛騨、信濃へと諜報網を広げ、今や大敵となった織田家の動向を探索する。

越後飯縄衆を率いる樋口四郎が・・・飛騨での斥候を終えて・・・富山城下に戻ってきたのはすでに北国の早い冬の始まりの頃であった。

与六は山路につながる荒れ寺に仮住まいしている。

「四郎兄者・・・難儀かったなら・・・」

「ふふふ・・・飛騨の衆はいよいよ・・・信長につく按配よ・・・」

「次郎丸兄者らが仇の影の一族は・・・」

「頭はどうも・・・三木殿の奥方につながっているようだ・・・」

「すると・・・姉小路頼綱の正室か・・・」

「信長の正室の姉にあたるお方よ・・・」

「信長の正室は道三の亡き後は縁が切れておるかと聞いたがな・・・」

「蝮の娘はやはり蝮よの・・・信長の家来に光秀というのがおっての・・・これが妹の方につながっておるのだわ・・・」

「すると飛騨の斉藤夫人は・・・」

「近江の羽柴秀吉につながっておるのだわ・・・」

「なるほど・・・秀吉・・・姉小路・・・二人の濃姫・・・光秀か・・・これは玄妙なつながりよ・・・」

「織田方は・・・殿の動きに対して・・・伊勢の滝川・・・近江の羽柴・・・山城の明智などを越前の柴田に助太刀させる様子じゃ・・・」

「どれほどの軍勢になるじゃろうか」

「ざっと見て・・・滝川が二万、羽柴が二万、明智が一万、これに柴田の越前衆が与力衆を合わせて四万・・・ざっと九万というところじゃろう・・・」

「恐ろしき軍勢じゃの・・・」

「じゃが・・・謙信公がおわす限り・・・どれほどの人数があろうとも同じことよ・・・」

「それはそうじゃが・・・」

「どちらにしろ・・・戦は・・・来年じゃ・・・それも秋口になるじゃろう・・・」(つづく)

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『神の雫』(日本テレビ)

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2009年2月 8日 (日)

銭ゲバの子供は銭ゲバズラ(松山ケンイチ)ノック、ノック、ヘヴンズ・ドア(木南晴夏)カニ食って裏表(椎名桔平)

警官三代の軌跡を描く「警官の血」で敵役の悪徳警官を演ずる椎名桔平・・・ダブルブッキングすぎるだろう。

まあ・・・悪の華のやることなので仁義もへったくりもないのだった。

それはそれで・・・ステキ!である。しかも戦場恐怖症のために倒錯同性愛で殺人鬼の刑事だ。そして善人面した江口洋介、吉岡秀隆、伊藤英明をなぶりまくるのである。・・・テレ朝は変態かっ。

で、『銭ゲバ第4回』(日本テレビ090207PM9~)原作・ジョージ秋山、脚本・岡田恵和、演出・大谷太郎を見た。現実には殺人事件は毎日のように起こっているのだが、刑事が殺人事件を追うドラマは問題なくても、主人公が殺人を犯すドラマはいろいろと差し障るのが広告の付録にすぎないドラマの限界である。虚構から殺人について学ぶ時は有料のソフトを購入すべきだというのが資本の論理である。

しかし・・・競争主義と平等主義の狭間で・・・社会が安定を保つには安全保障の論理を広く知らしめる必要がある。

勝者は常に少数者であり、多数者の脅威にさらされている。脅威の核心は自暴自棄の爆発である。たとえば、死後の世界を設定する宗教は「死んだら帳消し」という危険な思想を呪縛する枷である。しかし、宗教は「殉教者は天国行き」という逆の手段も有している。

アメリカ同時多発テロが物語るように・・・暴発の結果は勝者と敗者を無差別で殺傷する。

このことから・・・敗者を「生かさず殺さず」の状態に保つことは勝者だけではなく敗者にとっても重要だ・・・ということを告知することは勝者にとって必要不可欠なはずだ。目先の利益にとらわれず、テロリストの論理をひもとくことは企業にとっても有益であることを申し上げておく。

というわけで・・・殺害方法や死体運搬・処理方法は明示されないが、行く手を阻む特権階級の御曹司・白川(田中圭)を殺害し、三國社長(山本圭)宅の広大な裏庭に埋葬したらしい風太郎(松山)。三國社長に取り入るための狂言・傷害事件の真相を追究するものを排除して・・・ついに三國社長の次女・茜(木南)から「風太郎さんと結婚させてほしい」という父へのおねだりを引き出すことに成功する。

三人目を殺すというリスクをおかして、手にいれたリターンである。迎え入れられた朝食のテーブルで・・・対面する社長の気持ちを考慮しながら・・・風太郎はこみ上げる笑いをこらえて言う。

それは・・・無理ですよ・・・茜さん・・・僕はあなたを愛しているが・・・結婚となると話は別なのです。第一・・・あなたのお父様がそれを許すはずがない。あなたの生れた世界と・・・僕の生れた世界は違うのです。僕は母親を亡くし、父親は行方知らずの放蕩者です。そういう境遇で育った僕にはあなたの世界で生きていく術がないのです。第一・・・そのことで茜さんとお父様の仲がこじれるのは僕の本意ではありません

茜は風太郎の真意を測りかねたように反論する。「それでは・・・私は・・・この家を出ます・・・あなたの世界へ私を連れて行ってください・・・」

それが・・・無理だと言うのです。あなたは貧乏の恐ろしさを知らない。貧乏はあなたの美しい心を歪ませることもできるのです。そして・・・貧乏な僕にはあなたを守ってあげることもできないのだ・・・僕にはそれが耐えられない・・・茜さん・・・僕はあなたを愛しているから言うのです・・・あなたはあなたの生れた世界で・・・お父様に守られて・・・あなたにふさわしい方と結ばれるべきなのです・・・そうでなければ・・・あなたは幸せになれません

「そんな・・・そんなことはない」と美辞を連ねようとする長女・緑(ミムラ)を制止、風太郎はターゲットの三國社長に土下座をする。

こんなことになるとは・・・僕の本意ではありませんでした・・・どうか、許してください。そして僕がこの家を出ることをお許しください・・・

「風太郎さん・・・」生れて初めての恋の叶った相手の予想外の行動に呆然とする茜や・・・自分の言いたいことを相手に言われて言葉のない三國社長・・・そして父と妹の間に入って呆然とする緑を残して風太郎は悠然と去って行くのである。

ふふふ・・・どうだ・・・三國社長・・・あんたはこういう貧乏人がお好みなんだろう。従順で謙虚、そして無欲。奴隷としての分を弁え、けしてあんたの領域を侵そうとしない。実に模範的な貧乏人じゃないか。分るよ・・・金持ちは臆病なものさ。自分の金を盗まれまいといつもアコムしているのだから。持っている金が大きければ・・・大きいほど・・・心配も大きくなるのだものな。もちろん・・・そうして心配してきたからこそ・・・先祖代々、お前たちの金は守られてきたんだろう。しかし・・・金持ちの娘がいつも賢いとは限らないし、いつも美しいとは限らない。いっそ・・・醜い娘を愛せないほどのあんただったら善かったたろうに・・・あんたは醜い娘を愛しているようだ・・・そしてその娘は俺を愛しているようだ。貧乏人にとって愛など一文の価値もないが・・・あんたにとって愛は金にもまさる宝なんだろう。それがあんたの弱みさ。そして持つものの弱みにつけこむのが持たざるものの唯一の強みなんだぜ。さあ・・・おかね・・・いや・・・あかね・・・俺のために愛の証をみせておくれ・・・そして三國社長・・・あんたは愛のために・・・俺に屈することになるズラ・・・

そして・・・風太郎は待機期間に入った。三國造船での派遣労働をしながら愛に溺れる茜が「なんらかのリアクション」を起すことを待つのである。

その結果がどうなるのか・・・風太郎にも確信はない。しかし、愛するものを失いかけた時、人間が何かをしないではいられないことを風太郎は知っている。タイムカード(出社)・単純作業・タイムカード(退社)のリフレインを味わいながら・・・風太郎の想いは彷徨う。

愛する母親(奥貫薫)が危篤となった時・・・風太郎は医者に走った。しかし・・・医者を連れて戻った時には母親は冷たくなっていた。母親は一人で死んだのだ。

果報を待つ苛立ちに・・・心が冷えた風太郎は・・・母の温もりの残滓である「おふくろの味」・・・「ベラの煮付け」を出す食堂・伊豆屋を訪れる。

それよりも一瞬早く・・・伊豆屋には風太郎そっくりの真一が立ち寄っていた。妹の由香(石橋杏奈)の心配を他所に新規事業のための金の無心をしに現れたのである。

新・ビジネスモデルの提案

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現在、出資金を募集しています !!

・・・甥の頼みになけなしの売上金を出資する兄妹の叔父で店の主人(光石研)だった。

真一と入れ替わりに入店した風太郎はその顛末を聞かされる。

お店のお金を使って大丈夫なのですか・・・」と問う風太郎に店の主人は応える。「大切なのは・・・お金じゃない・・・心だってことでさ」

風太郎の心に母の教えが蘇る。「お金よりも大切なのは心だよ・・・心があれば人間は生きていける」・・・「じゃあ・・・母さん・・・どうしてあんたは死んだんだ

鬱屈した風太郎は店を出た後で・・・店の前に札束を捨ててみる。それを発見した伊豆屋一家がネコババをする様を見学しようという趣向である。

しかし・・・伊豆屋一家は通りすがりの警察官に落し物を届けるのだった。

貧乏人の上に・・・馬鹿ズラ

風太郎の心に賭けに対する不安がよぎる。ちょっとした座興に失敗したので本命に影響するのではないかという杞憂である。自分はついていないかもしれないというギャンブラーにありがちな心の迷いを発したのだった。

しかし・・・その頃・・・茜は風太郎恋しさで自殺未遂をしていた。

ようやく・・・風太郎を迎えに来る緑(ミムラ)・・・妹がそうなる前になんとかしないのが緑である・・・「父の許しも出ています・・・どうか・・・妹と結婚してあげてください・・・」

風太郎は賭けに勝った。三國の家に戻り、茜の婚約者となった風太郎。

野末の花を一輪・・・埋葬した白川の名もなき墓に添える風太郎。

天国の暮らしは楽しいですか・・・僕はこちらで元気にやっています・・・あなたのお望み通りにはいかず・・・乞われて三國家の一員となりましたよ・・・あなたの世界からあなたが消えて代わりに僕が迎えられたのです・・・計算合ってますよね

しかし・・・持つものになった以上・・・持たざるものからのターゲットになるのである。早速、三國家に訪れるハイエナは・・・風太郎の父・健蔵(椎名桔平)だった。

「いやあ・・・めでたい・・・私の息子は・・・辛い境遇を生きて来ました・・・幼くして母に死に別れ・・・そのために・・・私は呆然自失になってしまい・・・親らしいことを何一つしてやれなくなりました・・・それどころか酒に溺れた私は息子の顔に傷跡を残すほどの折檻をする始末です・・・それなのに・・・親の私が言うのもなんですが・・・息子は真面目で立派な男になりました・・・私はもう少し楽しく生きてもらいたいと願うほどです・・・しかし・・・皆様のような立派な家族を与えられて・・・風太郎もやっと幸せになれる・・・そう思うと・・・私は絶っていた酒を飲んでもいいような気持ちになるのでございます」

健蔵は如才なくふるまい・・・三國家の高級な酒にもありつく。風太郎の心はかき乱されるのだった。

その夜・・・風太郎の部屋に宿泊した健蔵は本心を吐露する。

「よくやったな・・・流石は俺の息子だ・・・どんな手を使ったんだ・・・あんな金持ちどもをたらしこむとはな・・・」

何しに来たズラ

「もちろん・・・あいつらの金を全部奪うつもりなんだろう。見たか・・・あいつらの顔を笑いながら俺たち貧乏人を軽蔑して・・・いや・・・軽蔑どころか・・・ゴミあつかいしてやがる・・・あいつらにこの世の苦しみを味あわせてやる・・・そう思っているんだろう・・・俺にも一口かませろよ・・・」

金をやるから・・・とっとと出て行ってくれ・・・

「ふふふ・・・冷たいねえ・・・風太郎ちゃん」

風太郎は・・・眠った。しかし・・・健蔵は夜行性だった。

その頃・・・緑は連絡のとれない白川の携帯電話を呼び出していた。

その着信音は怨念の風に乗り・・・家政婦の春子(志保)の耳に届く。

誘われるように・・・音源を求める春子。それは裏庭の土の中にあった。暗い予感にせきたてられて・・・土を掘り返す春子。そして・・・土の中に人間の指が埋まっているのを・・・家政婦は見た。

それを見たために蒼白になって屋敷に戻る春子の姿を健蔵は見逃さなかった。

あの時・・・殺していればよかった・・・」と悪夢にうなされる風太郎。しかし、夢の中で健蔵は囁く。「他人を殺すのと親を殺すのでは一味違うだろう・・・俺だってお前を殴った時、ちょっと嫌な気分になるものな・・・ふふふ・・・ははは

翌朝・・・健蔵は消えていた。緑と茜とともに結婚式の衣装合わせに出向く風太郎。

ウエディング・ドレスを試着する茜を待ちながら・・・緑は風太郎に説教をする。

「風太郎くんは・・・お金持ちの世界とか・・・貧乏人の世界とか・・・区別するのはよくないと思うの・・・お金持ちにだっていろいろな人がいると思うのよ。この世にお金持ちなんて名前の人はいないのよ・・・これは姉から弟へのアドバイスなの」

僕はお金持ちの世界を外からしか見ていなかった・・・でも・・・緑さんや茜さんに出会ってお金持ちの人にも素晴らしい人がいることを知りました。ありがとう・・・お姉さん

しかし・・・風太郎の目には痣のある少女の晴れやかな笑顔も・・・純白のウエディング・ドレスも・・・ただの札束にしか見えないのだった。「一人、一人のあんたらの名前・・・そんなもの意味はない・・・だってあんたらは俺の目にはお金にしか見えないズラ

その頃・・・警察には匿名の電話がかかっていた。「三國家の裏庭には死体が埋まっている」

その情報により・・・三國邸を訪れた刑事たち。

「悪戯だと思うが・・・気持ち悪いので調査してください」と応じる三國社長。

発掘作業が始まり・・・風太郎の心は絶体絶命の境地にたどり着く。

その風太郎の顔色を窺う・・・家政婦の春子。そして弟を風太郎に殺されたと疑う荻野刑事(宮川大輔)・・・。

ドラマ版の風太郎の顔はマンガ版の風太郎の顔にどんどん変形していくのだった。

誰が・・・誰が・・・通報した・・・誰が・・・それを知っていた・・・やめろ・・・それ以上・・・掘るな・・・もう充分じゃないか・・・それ以上・・・掘ったら・・・だめだぞ・・・グロテスクなものが出てきてスポンサー全社撤退だぞぉぉぉぉ・・・やめて・・・もう・・・やめて・・・地獄極楽ド畜生・・・南無阿弥陀仏の人生さ・・・誰だ・・・誰が・・・俺の人生をメチャクチャにしようとしているのか・・・許さんズラ

しかし・・・埋まっていたのは死体ではなく一枚のへのへのもへじだった。

馬鹿が見るぅ・・・・

オヤジ・・・

その頃、健蔵は息子からせびった金でカニを食っていた。

「ふふふ・・・風太郎ちゃん・・・お前の首ねっこをお父ちゃん・・・つかまえちまったよぉ」

健蔵はとにかくカニを食うのだった。(つづく)

関連するキッドのブログ『第3回のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年2月 7日 (土)

やるときはやるのがラブシャッフル(玉木宏)いや~ん(香里奈)おっきい(吉高由里子)

・・・完全にスパムあつかいですともっ。脚本的にはまったく別の意味で使われても検索語句としてはじかれる・・・これはある意味引用拒絶の姿勢か・・・。

「銭ゲバ」同様、ものすごい裏番組の攻撃にさらされているのだが、どんどん面白くなっていく「ラブシャッフル」・・・ジョージ秋山・野島伸司の路線は世界に何かを問いかけているのか・・・。

そして世界は聞く耳持たないのか。まあ・・・聞きたくない気持ちもわかるけど・・・。

で、『ラブシャッフル・第4回』(TBSテレビ090206PM10~)脚本・野島伸司、演出・山室大輔を見た。やはり、ミステリーとしては「ヴォイス」よりも「キイナ」よりも「トライアングル」よりも「ラブシャッフル」が面白いのだな。やはり愛が一番ミステリーだもの。

まず、今回は怪しい人妻・上条夫人(小島聖)が「私を甘く見ないで」とメンバー全員を完食である。もしも・・・彼女がエロス(生の天使)の仮面をかぶったタナトス(死の天使)なら男性陣全員昇天である。つまりHIV感染者という場合があるわけである。

もしも、そうだとすると今回、タナトスが見える美大生・海里(吉高)を水難救助したカメラマン・旺次郎(松田翔太)は上条夫人の最初の愛人である以上、陽性(ポジティブ)であり、暴走族時代の渾名「死神」の名の通り、命を助けた夜に死を配ったのだった。

こうなると・・・上条夫人、旺次郎、ウサギの啓(玉木)、株成金の諭吉(DAIGO)、心療内科医の菊田(谷原章介)、そして海里はすでにタナトスの支配下にあるのであり・・・後は社長令嬢の芽衣(貫地谷しほり)とアイアイこと愛瑠(香里奈)がいつ誰と関係して毒牙にかかるのか・・・最後まで生き延びるのはどっちだという話だ・・・。

まあ・・・今回、「海辺でデートしていると暴走族が来て暴行」という月並みな状況が・・・すべて「狂言だった」というひとひねりをしているので月並みな「エイズ全滅オチ」はないと思いますがね。・・・いつからそのオチが月並みになったんだよぉ。

ついでに、旺次郎は海里を「いかれてる女はいかしてる女だ」というわけだが、ある年代にとっては「いかしてる女」という言い回しが下品に感じるかもしれない。

これは性的で露骨な言葉だからだ。性行為において絶頂に達することを「いく」と言うわけだが、かっこいいを意味する「いかす」は語源をここに求めることができる。つまり・・・見るだけで絶頂感に達するような男らしさ、女らしさを「いかしてる」と表現しているのである。

まあ・・・些少面白がりながら・・・ある時代のスターたちは「いかしてる」を連発するわけである。当然、「いけてる男」の略称「イケメン」もこれに属するわけで、「イケてるよね」とか口にするとき、人々は白昼堂々「あ~ん、いくいく~」と言っているのも同然なので注意してもらいたい。

さて、それでは「いかれてる女」というのはどういうものなのか。もちろん、感じやすい女なのである。男がいかそうとする前にすでにいかれてるので男は立場がなかったり・・・面倒臭がり屋さんにとっては楽でいいタイプということである。

おい・・・ある意味、本当にスパムな内容になっているぞ・・・ま・・・これを低俗な話と感じるか教養を深める話と感じるかは読者の判断におまかせします。

まあ・・・仲間内でこっそり「イケメン」の話をするのは問題ないが・・・公衆の面前で連発は下品なことだなぁと思うのですけれど。まっ、・・・いやらしい。

さて・・・ここで謎を整理しておこう。まず、諭吉は虚言癖があるが・・・今回で言えば芽衣に「啓は線路に落ちた人を救い、横断歩道で老人の手をひく」などと言いたい放題である。しかし、「小中高といじめられっ子」であること。「人間関係はすべて雇用関係」と信じていること。そして「恋人や友達も金で買える」と考えていることなどはウソではなかったようだ。もちろん、タラちゃんずキャラクター・グッズのストラップが発信器入りであることはもとより、啓の部屋は盗撮カメラ、盗聴器で監視され、探偵が24時間監視していることも間違いないようだ。後は大量破壊兵器を保有しているかどうかだけだな。

啓については謎はほとんどない段階である。謎を作らない主義なのだな。同様に芽衣にも謎はない。もちろん・・・心には愛という謎があるのだが・・・それは通俗的な「甘やかされて育ったお嬢様」の域を出ないように調節されているだろう。

諭吉との相性は「愛を金で買う男」と「愛を買い与えられた女」で一致している。芽衣にとって諭吉がかわいいのは「自分の父親」と同じ性質を諭吉に感じるからである。

愛瑠の謎は病死した双子の兄である。二人が肉体関係にあったのかどうかが謎なのであった。

死者を愛人としている共通点を持つ菊田は・・・最年長・上条夫人の明晰な頭脳によって自殺した恋人に新たなる謎が深まっている。

①明らかなことは恋人の墓参りに愛瑠を伴ったことと上条夫人が「ラブシャッフルメンバー」に似ている人がいるということである。

②謎は・・・誰に似ているのか。似ているのは他人の空似なのか、それとも遺伝子的なつながりがあるのか。どうして・・・そのことを他のメンバーに知られたくないのかである。

たとえば・・・未登場の海里の母親もしくは姉妹だったりするかもしれない。離婚あるいは結婚していれば姓が変わり、愛瑠に見られても平気な墓だったかもしれない。逆に言えば愛瑠の関係者である可能性は低い。

さらに言えば・・・恋人が女性だったとは限らないのだが・・・そうなると可能性があまりにも漠然とする。もちろん、他人の空似ならなんでもありなのである。

このマンションに住居のある、旺次郎、愛瑠、芽衣(啓の所有ではない)は何らかの関係があってもおかしくないだろう。

芽衣と愛瑠の友人関係から芽衣を除外すると・・・残りは旺次郎である。

旺次郎の人生も波乱に満ちている。暴走族の総長、ボクサー、戦場カメラマン、女性専門のカメラマンで26才である。どれほど変転していて・・・どれほど才能あるのだというキャラクターである。彼の家族・・・母親や姉妹が・・・菊田の恋人である可能性がある。

その場合は「死ぬなんて言うのは甘えなんだ・・・生きたいと思っている兵士の死に様を時価で売っていたオレが言うのもおこがましいが・・・暴走族でスピードに命賭けていたオレが言うのもなんだけど・・・生きていてるくせに死ぬ死ぬ言うな」という言葉の重みがちょっと変わってくるわけである。

そして、ベッドで「しぬしぬ」と言ったかどうかは謎だが、頬の柔らかい巨乳好きの娘海里。このラブシャッフルがただのミステリーでなくてスーパー・ナチュラル・ホラーになる可能性を秘めた存在である。そうなるともう随喜の涙の展開なのであるな。

彼女にしか見えない・・・死の天使の姿を・・・啓が見ることになったら・・・。

「嘘だと云ってよ、ジョー」がものすごいオチになってくる可能性があるのだ。ないぞっ。

さて・・・イエスの先祖としての母・・・つまり聖母の聖母であるラケルのカードを引いた海里が見ているタナトスはどんなものなのだろう。

①幻視型多重人格としての母または姉妹。この場合、彼女は愛瑠や菊田と同じく、死者に縛られた存在である。

②ゴースト(幽霊)としての母または姉妹。この場合はとり付かれています。

③死の天使としてのタナトス。この場合は彼女は人間としては禁断の能力を持って生れた異端児として常に霊界からの監視を受け・・・死の執行猶予期間中。

④妖怪としてのタナトス。残留思念としての何らかの呪縛霊に憑依されている場合。インチキ霊能者に詐欺に遇う可能性があります。

まあ・・・謎が謎を呼ぶ・・・それがラブシャッフル。しかし・・・ともかく・・・今回はずっと孤独だった男が・・・慈愛に満ちた男に出会い・・・少し癒されたお話しだったようです。

目を閉じると君の温もりが強くなる

胸の鼓動の高まりを感じる

夢を見ているようだ

この夢に終わりがないといいなって

本当にそう願う

君の名前を呼ぶだけで

いつも心に太陽が

輝き出す

君が側にいるだけで

生きていけるって思うんだ

燃え尽きない愛で胸がいっぱいになるんだよ

関連するキッドのブログ『第3回のレビュー

Hcinhawaii0516 ごっこガーデン。ガチンコの屋上ヘリポート。お気楽飯島愛も死の天使に逢ったのかな・・・ご冥福をお祈りします。視聴率が悪いのはすぐにセックスするからかな? お金の格差社会もあるけど・・・愛の格差社会もあるからねまこアイアイや芽衣のためだけでなく・・・諭吉のために戦ううさタン・・・その任侠の精神にはうぅ~んなのでしゅ~。さあ、まこアイアイのためにイケ♂パラの佐野(弟)=大東俊介をノックアウトしちゃって~ikasama4ううう・・・海里と旺次郎が・・・そんな・・・ライアーゲーム的にも喜多善男的にも不純な・・・玲子は天使か悪魔か・・・とにかく・・・今度こそは薔薇で裏切られたあの世界の再構築を・・・期待しています・・・くうすごく面白くなってるんだけど・・・今の人たちには通じないのかなぁ・・・男と女・・・人間の人生に秘められた愛と悲しみを・・・さらっと楽しくみせてくれる・・・それがラブシャッフル・・・これが野島ワールドエリ私に還りなさい・・・記憶をたどり・・・優しさと夢の水源へ・・・魂のルフラン・・・ちょっと面白くなってきましたyon!・・・さすがのさすがなのでスー。女の子だってママのおっぱいが時々恋しいのでスー

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『本日も晴れ。異常なし』(TBSテレビ)『警官の血・第二夜』(テレビ朝日)

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2009年2月 6日 (金)

必殺パチンコでテッテケテー!(高橋愛)男のロマンでQ.E.D.(中村蒼)おだまり!(青田典子)

♪じゃぁじゃぁじゃ~ん。火曜サスペンスよ、もう一度である。失われたコンテンツは戻ってこないわけだが。

「おみやさん」がなかったので「Q.E.D.」↗*7.1%である。ついでに「ありふれた奇跡」↘11.1%である。岸部一徳と風間杜夫の女装父親コンビはさすがだね~の女形ぶりだったが・・・お茶の間はそんなことではくいつかない。仲間由紀恵の「秘密」は「自分のせいで子供の生めない体になったこと」・・・で・・・「何故そうなったか」は隠す小出し展開。これはつまり・・・他人にとってはたいしたことのないことでも本人にとっては大問題の表現なのだが・・・加瀬亮の気分を味わいたい人は別として手法としてはどうかと思う。・・・だってさ。いじめられた人の気持ちはさ。いじめっこには分らないって言うでしょう。そういうことをさ、脚本家は描きたいってことじゃないのか。でもね、その「秘密」がたいしたことじゃないということを明示しておいて・・・そんな些細なことを言えない人がいるっていう描き方の方が見やすいでしょう。・・・どうしてさ・・・どうして見やすいドラマを見たがるのさ。・・・だって娯楽ですよ。わざわざ嫌な気持ちになるもの見たくないでしょう。・・・だけどやりたいんだからしょうがないじゃねえか。ほらさ・・・そういうのがあるからいい年こいて乙女気分の人妻だとか、変態のくせに変態相手に危惧する微妙な心配症とか、性欲と孤独の境界線とかいろいろサービスしてるじゃない。ナニが不満なのよ。・・・数字ですよ。数字。世の中数字ですから。こちとら広告あつめておまんま食ってんだ。・・・すみません。NHKはいいよなあ。営業が別系統で・・・。・・・妄想もほどほどにしておけよ。

深夜の「リセット」↘*5.0%はゲストに平愛梨が登場。先週の木南晴夏より低刺激だが結局、「20世紀少年」PRキャスティングのような気がする。芸人キャスティングも別に構わないのだが、旬の人じゃないので臭みがあるんだよなぁ。木南の体当たり演技に比べて平は大人しめ。一個年上だがキャリア不足だからな。仕方ないか。

さらに深夜に行くと「女子大生会計士の事件簿」(BS-iのおさがりオンエア)で銭形雷こと小出早織が登場している。キッチリの大人メイクを見ていると萌えないし若い頃のふせえりを連想したりもしてしまう。時効警察の真加出みたいな役をいつまでもやっていられないのは分るが・・・まだできるだろう・・・。お前の希望を誰が叶えると言うのだっ。

で、『Q.E.D.証明終了・第5回』(NHK総合090205PM8~)原作・加藤元治、脚本・相原かさね、演出・榎戸崇泰を見た。原作第41話の「狙われた美人女優」を「サスペンス刑事/狙われた美人女優/迫りくるストーカー/断崖にこだまする銃声/可奈と想は全部見ていた」にアレンジである。可奈(高橋愛)を見ようと思って見るとお騒がせ女優・渚幸代(青田典子)ばかり出ているし、想(中村)を見たいと思ってもお騒がせ刑事・笠山杉道(松尾諭)のどアップに辟易することになる回である。

夜道を歩く・・・想と可奈・・・何をしていたのだ・・・は不審者に遭遇。襲い掛かる不審者を可奈が撃退するのだがアクション控え目である。想は・・・不審者が駐車場のサスペンスドラマの女王・渚の車に細工していたことを察知する・・・なぜ、渚の車であることまで知っているのかは謎である。

その頃、渚はロケ先のホテルで新人女優(井上美琴・・・半島系の顔立ちの美形である・・・潜伏期間長過ぎ・・・)にシングル・ルームを嘲笑される。なぜ、スイート・ルームでないのかとマネージャー(住田隆・・・ラジカル・ガジベリビンバ・システム→ビシバシステム→なんでも鑑定団)を叱責すると「落ち目だから」と言われてしまう。ちなみにここがオチの伏線である。ちなみに一々、役名がテロップされるがこれもパロディーのうちである。

マネージャーにそそのかされ、話題作りのために「ストーカー被害」の狂言を始める渚。

そして・・・マネージャーは笠山刑事に白羽の矢を立てる。なぜ、マネージャーが笠山の人柄を把握しているのかは不明である。

笠山刑事は・・・「サスペンスドラマ」をこよなく愛し・・・事件にロマンを求める男で・・・キイナのセクスィー係長とは真っ向対立である。彼は「くだらない障害事件」や「つまらない窃盗事件」ではなく・・・「哀愁と悲恋に彩られた殺人事件」を求めるラ・マンチャの男なのである。ついた仇名が「火曜サスペンス劇場をセリフ暗礁するほど愛する刑事=火サス刑事(でか)」だった。もう・・・真面目にミステリをやる気はないらしい。

ちなみにロマンという言葉は実に複雑な言葉だ。ロマン主義を理想主義と訳すとなんとなく・・・待ち合わせに遅刻しないタイプを連想するのだが・・・実はロマン主義は空想主義と訳すべきなのである。・・・つまり・・・待ち合わせに遅刻して実は途中でゴジラに襲撃されてさ・・・と言い訳するタイプなのである。

ロマンには二つの反意語がある。一つは古典(クラシック)で一つは現実(リアル)である。ロマンのromanとはローマ人のことである。ローマ人が現代(モダン)であるのはギリシャ人に対してである。学術的に言えばギリシャのラテン語で書かれた教養に対し、俗語であるローマン語(広義で考えるとフランス語もドイツ語も英語も)で書かれた文献ということになる。つまり・・・文明の源であるラテン語ではなくオレたちの言葉で話そうというのがロマン主義の一側面なのである。

さらにギリシャには哲学があり、それは合理的である。つまり、「平行な直線は交わらない」のである。しかし・・・現実には直線というものが実在しなかったりする。この実在しない直線を求める気持ちが「ロマン」なのである。つまり・・・「ラテン」から「ロマン」へ気分だけを引き継ぐのである。

そのためにロマンは現実的な理屈より理屈っぽい気分を大切にするのだな。このあたりが不条理の導火線なのである。

つまり・・・「ロマン」は「現実には存在しない正義」とか「現実には存在しない恋愛」とか「現実には存在しない人間らしさ」とかを信じる行為なのです。

まっすぐな線なんて引けやしないよ、まっすぐな定規を使わなければね・・・という皮肉をものともせず「オレがまっすぐを求めればそれがまっすぐだ」というメチャクチャこそがロマンの神髄なのです。

だから・・・現実に「火サス」のような事件を求める笠原刑事のロマン主義は現実認識に鋭敏ゆえに現実というものの不確実性を知る想にとってなんだか心和む存在なのである。もちろん直感的に現実を精妙に把握する可奈にはピンとこないのである。

また・・・サスペンスの女王として・・・いつまでも美人で知的という玉座に座り続けるロマンを求める女優・渚(本名・おだまり)とは相性バッチリということなのです。

かくて火サス道を極めようとするドン・キホーテ笠原刑事とともに愛馬ロシナンテ・可奈と従者サンチョ・パンサ想は主演女優と真犯人を求めて断崖絶壁にたどり着くというのが今回の趣向である。

そしてお騒がせロマン刑事とお騒がせロマン女優は真犯人・・・マネージャーと対峙するのだった。すべてはギャラを使い込んだマネージャーの犯行だったのである。銃刀法不法所持までしていたマネージャーだったが可奈の必殺パチンコ射撃とエンディング・パンチで事なきを得る。パンチラではありません。念のため・・・おいっ。

そしてロマンとロマンは結ばれてロマンス(妄想的に理想的な空想的恋愛)になるのだった。二人の豊満な肉体の抱擁に可奈は赤面、想は幻惑されるのだった。

かくて笠原と渚婚約発表ハッピー・エンドである。

まあ・・・ドラマなんて・・・よくもわるくも基本的には全部こうなのです。

関連するキッドのブログ『第4回のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『南沢奈央の赤い糸』(フジテレビ)『木南晴夏の銭ゲバ』『高橋真唯の妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『栗山千明の警官の血』(テレビ朝日)『市川由衣のRESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2009年2月 5日 (木)

街の灯(菅野美穂)暗くなるまで待って(平岡佑太)キイナは歩く死体を見た(紺野まひる)

死体が蘇ったら死体じゃないよね・・・小学生かっ。

水曜日のダンスは暴走中のテレ朝が編成的停止である。来週は30分繰り下げ。ゲスト・南野陽子VS奥山佳恵なので迷うじゃないか。

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%

「キイナ」ただ今、冬ドラマ平均視聴率トップを進行中。ええーっ。

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・第3話』(日本テレビ090204PM10~)脚本・吉田智子、演出・山下学美を見た。まあ・・・キッドは趣味と実益を兼ねることになんの問題もないと思うので・・・「面白い事件なんてない」なんてことは言いません。第一、面白い犯罪目当てでワクワクしているお茶の間に失礼だろう。殺人事件と聞いてワクワクしながら現場に乗り込んだってキッチリ犯人逮捕できれば職務を全うする優秀な刑事なのである。人間として被害者遺族に同情したり気配りしたって犯人を捕まえられないのでは単に無能だ。

しかし・・・キッドは知っている。警官たちは犯罪を憎みつつ・・・自分たちが人間の暗部と格闘していることを自覚していると。警察署にはいつだって人間の血と汗の匂いが漂っている。だって死体安置所には死体が安置されているんだもの。お仕事ご苦労様です。

そして・・・幽霊は歩き出すのである。

久しぶりに死後の世界を信じる方のキッドの出番かっ・・・と勇むのだが・・・結果はそもそも死んでませんでしたーっである。

入れ替わりによる保険金詐欺事件である。

そこにはやはりモラル崩壊の兆しがあるのだった。ものすごい犯罪の連鎖である。

犯罪者は二人。

一人は建設現場で働く渋沢圭吾(山崎樹範)。

一人は同僚の河野(松尾敏伸・・・風林火山の武田信廉)である。

①圭吾はホームレスを会社に無断で事務所に宿泊させていた。管理責任を問われる行為である。

②河野は会社の金を横領。圭吾はそれを知りつつ会社に報告するのを躊躇する。共犯に準ずる行為である。

ここまで・・・圭吾の行為を人として許容する人もいるだろうがとんでもないことだ。施しは自分の実力の範囲の内でおこなってこそ善なのである。

③河野は圭吾の毒殺を決意。コーヒーに毒を盛る。

④圭吾はコーヒーを身寄りのないホームレスに与える。ホームレスは薬物中毒死。

ここで・・・圭吾はなす術がなかったと告白するが救急車を呼べば助かった可能性もあり、そうしなかったのは無断で会社の施設にホームレスを宿泊させることが露呈するからだという邪推も可能だ。さらにコーヒーに毒物が入っている可能性を予見することができた状況証拠があり・・・あえてそれを飲ませた・・・殺意ありの可能性もある。

⑤圭吾はホームレスになりすまし、偽装工作の上、事務所に放火。死体損壊である。

・・・ホームレスの人間としての尊厳を考慮すると圭吾は極悪人じゃねえか。

⑥圭吾は自分が死んだことにして保険金を妻・瞳(紺野)に不正に受給させる。その金を瞳の視力回復手術に当てる目的で・・・ここが美談らしい。杉下右京に長めのお説教をしてもらいたい展開である。

⑦河野は横領の罪を圭吾に着せる。

⑧圭吾を目撃したという情報が得て、河野は渋沢邸に家宅不法侵入。帰宅した瞳に暴行。

まあ・・・このように心弱いものの犯罪の顛末である。死体火葬後の灰から毒物が発見されるわけだが・・・爆発火災の現場の不審死である。ふつう司法解剖だろう。

まあ・・・どうしても死体が歩く話を作りたかったのでこんな風になっちゃいましたか。

もちろん・・・この話の原型はチャップリンの映画「街の灯」である。チャーリーは目の見えない花売り娘のために手術費用を稼ぎ、無実の罪で投獄される。そしてみすぼらしい浮浪者となるのである。

しかし・・・圭吾は薄汚れた犯罪者にすぎない。右京さんがダメならセクスィー係長(沢村一樹)に叱り飛ばしてほしかった。キイナだと「愛」の問題になっちゃうからな。「せっかく瞳さんが瞳を取り戻してもあなたがいなくちゃダメじゃないですか」・・・ではないのだな・・・「悪いことしちゃダメでしょう」でないと。

また一部はオードリー・ヘップバーンの映画「暗くなるまで待って」である。盲目の主人公が犯罪に巻き込まれ恐怖を味わう。まあ・・・瞳は一発殴られただけですみました。しかし・・・紺野まひるを気絶させておいて・・・それですむとは思えない人も多いだろうけどな。

ただし・・・画鋲による点字の伝言を読み取る、監視カメラの映像を早送りでチェックできるなどキイナの特殊技能の生かし方のアイディアはまあまあでした。もちろん、最初の目撃ですぐに定点カメラを発想しないのは・・・まあ・・・キイナのキャラ・・・かもしれません。

とにかく・・・すぐ殺される田中圭、尻にしかれる向井理、主役に登りつめた瑛太などとならぶ影の薄いイケメン平岡佑太は視聴率の獲れる脇役の座を確保中である。これもキャリアだからな。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『隠し剣・鬼の爪』(日本テレビ)『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『歌のおにいさん』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2009年2月 4日 (水)

神の雫より生まれ出ずる悩み(亀梨和也)汚い手でお嬢様に触れるでない(水嶋ヒロ)トライアングルを検索中(稲垣吾郎)

かっては子供を持つ親はたくさん持った。持たないものは一人ももたなかった。子供にとって親は唯一だった。親にとって子供は代わりのあるものだった。

そういう時代を越えて・・・一人っ子の時代がやってきた。唯一の子を持つ親はなかなか大変なんだなぁ。

そして、火曜日のドラマ対決なのである。みんなテレ朝の暴走に草臥れてるのだな。

①「メイちゃんの執事」↘12.0% ②「トライアングル」↗11.6% ③「神の雫」↘*5.0%

みんな・・・節分疲れか・・・。

で、『メイちゃんの執事・第4話』(フジテレビ090203PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・木下高男を見た。「花より男子」と「イケ♂パラ」の両方の要素を持つこのドラマ。そのために連続ドラマと一話完結の両方の手段が簡単にとれるのだが、結局、あんまり引いてもダメだという結果になっている。そういうお客さんではないのだな。

この手のドラマの裏筋は「ふつうの女の子がいつの間にか男の子にモテモテになる」のが基本である。しかし・・・それと「女の醜い戦い」がセットになっているので加減が難しい。

このドラマの「男」の設定が「執事」であり、「お嬢様の剣となり盾となって」・・・デュエル(決闘)するのが肝心だとすると、今回はお嬢様同士の直接対決である。そのあたりがもう一つ不安なのだな。

メイ(榮倉奈々)と執事・理人(水嶋)

その他の皆さん

というスタートから始まってクラス分けで・・・。

多美(谷村美月)と執事・神田(阿部進之介)

が最下層クラスでニュートラルになる。

最初の決闘で・・・

リカ(大政絢)と執事・青山(真山明大)が仲間になり

同時に幼馴染・剣人(佐藤健)が執事見習いになる。

ここで・・・気をつけなければいけないのはあくまで執事は仕えるお嬢様に向いているのだがお嬢様が西向きゃ、執事も西という点である。

つまり・・・お嬢様を一人陥落させると執事(イケメン)もメイに好感を持つということなのだ。このニュアンスを上手く伝えないと・・・いけないのだな。

今回、メイVS泉(岩佐真悠子)の対決にあたり・・・観戦者となったリカは表情の演技で・・・メイを応援し、心配するという素振りを見せているのだが・・・この当たりはもう少しデフォルメするべきだろう。年若いお茶の間には味方が増えているとはっきり示した方がいいのである。ニュートラルの多美が徐々に馴れてきた感じのシーンを作っているのだからもう一歩踏み込まないと。

もちろん・・・お嬢様とともに執事たちのメイに対する好感度が上がっていることを示すことも大切だ。

少なくとも宝探しバトル終了(メイの勝利によって泉に恩を施す)後の現在は

メイと執事・理人

リカと執事・青山と執事見習い・剣人

泉と執事・木場(夕輝壽太)

多美と執事・神田

その他の皆さん

となっているのだ。つまり、メイは理人、剣人、青山、木場の四人の執事を獲得しているのである。この獲得感をもう少し出さないとね。

本命・理人はきっちりキープで、ツンデレだけどぞっこんの剣人、そして青山、木場がそこはかとなくちやほや・・・このあたりで乙女心をくすぐらなければ立派なホスト・・・執事物語とは言えないのです。

とにかく陰湿女王・ルチア(山田優)と執事・忍(向井理)を頂点に太陽四人衆(執事はどうしたの)だとか天才少女みるく(吉田里琴)だとかメン☆ドル奈央(小嶋陽菜)だとかポッキー凛(忽那汐里)だとかウオ☆バタ不二子(中別府葵)だとかその他の皆さんは手薬煉挽いて待っているのである。

もちろん、リカはまだしも・・・泉にはそれなりに手下がいるはずで・・・ルチアに比べたら弱小ながら一派を形成し始めたメイ。ここが一番面白いところなんだから・・・丁寧に描いてもらいたい。

実戦をメイに任せながらも手下を使って理人はスキのない手配をしているというのが今回の隠し味なのだが・・・剣人のライダーキックはともかく・・・理人の手下が忍の手下より強いというのももう少しはっきり見せた方がいい。

お嬢様が「知らない間も守られている」というのが胸きゅんポイントだからな。筋立てはきちんと出来ているが場面の作り方にもう一工夫なのです。

Hcinhawaii0513 ごっこガーデン・ときめきの宝探し会場。まこ忍ロイドも考えましたがーっ・・・ここはやはりラブシャロイドなのデス。ついでにアンナちゃんのケロリン帽をパクリましゅたーっ・・・じいやーっ・・・賞金は100億円でしゅかーっくうレビューはトライアングル、ごっこはメイちゃん・・・なにか文句がありますかーっ・・・おっとー、きこり様印のねこラーメンゲットだぜっあんぱんち主演は大根でもすらーっと長いのよ・・・すらーっと長いのは七難隠すのよ・・・ホホホ飯綱遣いただ今まとめアップ中、今ヴォイス4話を仕上げました~・・・ふぅみのむしおかげさまで順調ですilasama4ご自愛ください・・・神の雫・・・トライアングルになってます

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『トライアングル・第5回』(フジテレビ090203PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・三宅喜重を見た。先週はミステリなのにラブコメだと思ったトライアングルなのだが・・・今回はミステリなのに主人公が説教ドラマである。いや別にミステリにどんな要素が入っていたっていいのですが・・・キッドはミステリが見たいのになんだかうるさいよと感じてしまうのです。年でしょうか。

その基本的な主張は「自分自身の人生生きているか~い」です。なんて言うか・・・一つ屋根の下の家族に言うのでもギリギリ・・・青春時代に友達に・・・職場の上司が飲み屋で・・・怪しい宗教の勧誘員が街角で・・・言ってもらいたいセリフだよ。ある意味、余計なお世話だよ。

とにかく・・・初恋の女の子が死んで・・・それ以来ちょっとおかしくなっている亮二(江口洋介)の言うことだから仕方ないと思うしかないのでしょうか。救命病棟で「職場にいい加減な恋愛気分を持ち込むな」と叱っている分には気にならないのですが。

ともかく言うのです。「世界中で猟奇的な殺人事件が起こっている。次から次へと起こるので段々感覚が麻痺してくる。でもさあ・・・人が死んだっていう衝撃は忘れちゃいけないと思うのさ」・・・しかし、事件解決を目指して雨の日も風の日も黙々と捜査している人々はいつの時代もいると思いますよ。個人的動機で一つの事件に固執したりせずに。

「だからさあ・・・時効を迎えた事件で・・・警察が隠蔽しようと思っている事件だって・・・出世を棒にふったって・・・オレに渾名で呼ばれたかったら・・・オレに協力して・・・真実を暴き出すの手伝ってよ」なのである。

そして刑事・丸山(小日向文世)は表彰状を返還して・・・上司の意向に逆らい・・・「自分の人生」を生き始めるのです。おいおい・・・もらうものもらっといてからでも全然平気だろう。まして事件の隠蔽を黒木パパ(北大路欣也)が画策しているのだとしたら・・・丸山の背中を押すような挑発「君も案外簡単な男だったな」に何の意味が・・・。これで黒幕は別にの伏線だとしたら・・・それはそれで面倒くさいよね。

なんだろう・・・この無理矢理盛り上げようとしています感の漂い方は・・・。

しかし・・・とにかく・・・ようやく・・・信じたい父の過去よりも・・・謎を解き明かしたい、唯衣(相武紗季)の気をひきたい、亮二をお兄さんと呼びたいという様々な欲望に目覚め・・・今を生きる感じになった黒木刑事(稲垣)・・・。警察の内部資料にアクセスして父の経歴をチェックするのだった。

一方・・・まったく明らかにならないが・・・佐智絵(志田友美)の母(風吹ジュン)と痣のある男・進藤(宅麻伸)は何らかの不純な交際があり・・・佐智絵の死に関与しているらしい。

ニヤニヤ志摩野(堺雅人)に体を狙われていると豪語するサチ(広末涼子)はお説教を聞きたくなって亮二に電話するのだった。「お母さんが・・・痣のある男と会います・・・いやな予感がするのです・・・きっと何か起こります」なのである。野生の証明かっ。まあ・・・とにかく上海からんでこないと事件伸展しないんだな。犯人は中国関係の幼女趣味の外交官だったとかだったらとってもスリリングだけどな。ジャッキー・チェンの「香港国際警察」で悪いのはアメリカや日本に留学していたヤツラだってすごい洗脳してたから・・・ありえるよね。

佐智絵の母と進藤の思い出の場所を求めて右往左往する三匹の刑事。

亮二が・・・ビルの窓から見下ろし路上の進藤を発見・・・しかし・・・。

今週のフリーホールオチ。ある日、唯衣が自家用車の後部ハッチを開けると、そこには痣のある男の死体がありました・・・とさ(つづく)

Hcinhawaii0514 ごっこガーデン。うだうだのホーム・パーティー会場。お気楽泉は自分があげたプレゼントを忘れちゃったの・・・お嬢様だから・・・なのかなあ・・・こういうところのメリハリのつけ方も甘いんだよね。ピンポンブーでいいじゃん。ルチアは結局、失恋のショックで車イスに座ることになったのね・・・なんだかなぁ・・・あ・・・ここトライアングルごっこか」ミマム「音楽がいいのよねーっ。同級生たちもみんな心を痛めていた・・・刑事たちも・・・殺された少女の無念に想いをはせた・・・はたして・・・本当の悪は・・・どこに潜んでいるのでしょうかーっ・・・ってアンナちゃん・・・ゴロウロイドを放置して何してるの?」アンナ「♪~全力坂、全力坂、ちょいトライアングル・・・全力坂、全力坂・・・ダーッシュぴょ~ん・・・トラアンはわからないからもういいの・・・ダーリンと越えたい全力坂~リピリピぴょ~ん♪

で、『神の雫・第4話』(日本テレビ090203PM10~)原作・亜樹直、脚本・渡辺雄介、演出・中島悟を見た。親の不仲に悩む子供というものは永遠の主題である。「お父さんとお母さんのどっちが好き?」という質問は時と場合によっては人格を破壊しかねない。まあ・・・時が流れ・・・それなりに大人になって・・・どうでもよくなることもあるが・・・そこから一歩も抜け出せずに人生を棒にふる人もあるだろう。人々の自我が自由奔放になったり、経済的な深刻な問題があったり、男が女になったりして離婚件数が増加、一夫一婦制度が一部崩壊している現代。両親が円満で成人式を迎える子供は僥倖に恵まれていると言えるだろう。

とりあえず・・・子供は親の愛の結晶という幻想で自分というものを確立していくのが筋である。

その過程でたとえば・・・男の子が父親の浮気を知った場合と母親の浮気を知った場合。そして女の子が父親の浮気を知った場合と母親の浮気を知った場合。それぞれで心理的な影響が些少異なるだろう。さらには知る年齢によっても変わってくる。

ここでは・・・雫は大人になって・・・父親に愛人がいるのではないかという疑惑にとりつかれたという設定らしい。そのあたりもかなり靄をかけてくるのだが・・・母親の死んだ日に「ほのかと実りを祝う」というメモがあり・・・雫の心はズタズタになったのだ。

まあ・・・ここもなる人とならない人がいます。

女の子の場合は「お父様って不潔よ!」と叫んで走り去ることも可能だが・・・男の子はどんよりとするのである。

母と父と男の子の三角関係の場合・・・父に愛人ができる。じゃあ、母さんはボクがもらうよという一件落着のスタイルがあります。

しかし・・・まあ・・・そういう過度のマザコンを除去すると・・・愛する母を裏切った父。母さんが可哀想。ひどいことした父親は敵だというのがオーソドックスな流れです。

さらに・・・すでに自分の中に浮気な男を発見している息子の場合、オヤジもなかなかやるなあ・・・と男として徒党を組むという展開もあるわけです。これはある意味健康的ですね。

ついでなので母親の浮気について考えてみましょう。今季では「ありふれた奇跡」で加瀬亮の父・風間杜夫は妻・キムラ緑子に男と一緒に駆け落ちされています。

これは・・・もうやるせない。不義密通で手討に出来ない現代の悲劇ですね。まず・・・男の子としては愛する母親を別の男にとられたというのがショックです。今までは父親が相手だから我慢していたのに・・・他の男と・・・どうして自分でないのだという絶望があります。

まあ、そういう過度にマザコンでなかった場合は・・・哀れな父親が浮上してきます。そして父親は女に捨てられた男です。さらに自分はその男の子供なのです。やがて自分も女に捨てられてみじめになるのではないかという恐怖が心を支配します。その支配からの卒業のために女に対して特殊な殺意を芽生えさせたりして危険なのです。

いえ、母親に捨てられた誰もが殺人鬼になるわけではありません。

一方、母親に対しては裏切られた感じが強く残ります。母親は女性の象徴のようなものですから、女性そのものに裏切られたという観念が発生する場合があるわけです。そこから女性不信になります。そして女を愛することができなくなります。そうなるともうオカマになるしかありません。女になってしまえば女に裏切られることはないからです。こうして同性愛に走るのです。

いえいえ・・・母親に捨てられてもゲイにならない男は少しはいるようです。

まあ・・・とにかく・・・子供のことを考えたら簡単に別れたりするのはどうかと思うのですが・・・だって亭主はすごく凶暴だったり甲斐性なしだったりして・・・仕方ない場合もあるのです。まあ・・・そういう場合は子供もそれなりに判ってくれるでしょう・・・おい・・・どんな人生相談なんだよう・・・。

まあ・・・とにかく・・・父親に愛人がいたくらいでオタオタするなよっという考え方もあると思うので・・・いやオタオタする人はするさっと言いたかったのでございます。

まあ・・・ドラマなんだから・・・愛人に生ませた腹違いの兄がいて、財産を継ぐのは巨人の星をつかんだものだけだ的な父親の遺言があってもいいじゃんかと思うばかりです。

そして・・・今回のお題である第三の使徒は略すと「モナ・リザのようなワイン」です。

ロベール(竹中直人)はそこに残酷な秘密が仕掛けられているとしつこいほどに念を押すのですが・・・さすがに眠たくなりました。ちょっと語りすぎではないのかしら。

霧生(戸田菜穂)も「あの二人に父親を継ぐ資格があるのかしら」などと意味深なことを言い出して・・・そういう煙幕はなんだか・・・本当に必要なのか・・・と思う今日この頃です。

しかし・・・まあ・・・すべては「ワイン道」の達人の後継者として父の仕組んだ壮大な罠を越えるという遺言ゲームを楽しむ以上、ファンファーレのようなものだと苦笑するしかないのかもしれません。祖父から父へ父から子へと受け継がれるべき大量の盆栽を前にして園芸にちっとも興味がない息子が呆然とするようなものです。まあ、親が子に何を残そうが親の勝手だと言えばそれまでですから。

さて、一方、雫は業務命令で「バレンタインデー販促用ワイン」を選定しなければなりません。「愛しい人」に贈るワインで・・・「モナ・リザ」を「愛しい人」と呼んだ父親の出題と絡んできます。雫はもう一人の敵・・・本間(田口浩正・・・「たったひとつの恋」では弘人(亀梨)の会社の金を持ち逃げした従業員)と「フランスワインとイタリーワインどっちがお買い得?」で戦うのでした。

結果は甲乙つけがたいのですが・・・最後は本間が雫の選んだ「アルタ・エゴ・ド・パルメ 2000」を試飲して「モナ・リザ」と叫び・・・「ボルドーのシャトー・パルメのセカンドワインを出されたら勝ち目はないですよ・・・坊ちゃん」と負け犬根性で去って行くのです。さすがです。

さてワインの代名詞であるボルドーワインの中でも・・・厳選されたシャトー・マルゴー。

その階段を降下すると同じマルゴー村のその他のシャトーがあるわけです。その一つがシャトーパルメ。つまりシャトー・マルゴーのようなワインです。そのシャトーパルメのようなワインが「パルメの別の顔」と名付けられた「アルタ・エゴ・ド・パルメ」なのです。シャトーマルゴーが大佐ならシャトーパルメが中佐、アルタ・エゴ・ド・パルメは少佐です。な、な、なんで軍人の階級にた、た、たとえるのかな。

まあ・・・そういうわけで雫は「シャトーパルメ 2000」を選択するのです。例によって天使テンメイ様の先行記事がございます。

「モナ・リザ」が「愛しき女」であり・・・父の愛しき人は母であると考えた雫は「優しさ」にあふれるこのワインを「モナ・リザ」と推理したのでした。

一方、一青(田辺誠一)はマキ(内田有紀)との胸乳プレイからヒントを得て母・ほのかの思い出に至り「モナ・リザ」に「母の強さ」を見出します。

しかし・・・選んだワインはやはり・・・「シャトーパルメ 2000」でした。

まあ・・・「シャトーパルメ」は「優しさと強さの混交した複雑な味」という定評があるのでそのまんまじゃねえかという考え方もあります。マンマミーヤ!

しかし・・・答えは不正解。まあね・・・モナ・リザが「母」のシンボルなら・・・二人にとっては祖母をイメージしないとね・・・と浅薄に考えたしね。

それにみやび(仲里依紗)もマキも不満だよね。「私がモナ・リザじゃねーのかよっ」と暴れるところです。

そして・・・両者不正解・・・ロベールは「勝敗に溺れワインへの愛を忘れた」とお説教です。だから・・・勝負は熱くなったら負けだけど熱くならなかったら面白くないんだよっての。

とにかく・・・一勝一敗一引き分けのゲームに・・・ロベールは延長戦を宣言するのです。それって遺言にあったのかどうかは疑問ですが。

さて・・・「モナ・リザ」の秘密は来週に持ち越しってことで・・・ナット・キング・コールでも聞いてお茶を濁します。

モナ・リザ モナ・リザ

みんなリザ嬢って呼んでるよな

あんたが微笑むと謎のレディーって感じだもんな

モナ・リザみたいにクールに微笑むから

野郎どもは悪態ついたりそっぽをむいたりだ

もちろん惚れちまう奴もごっそりさ

本当は照れ隠しなんじゃねえのかよ

けんもほろろのあつかいでどいつもこいつもくたばった

あんたホントはホットなの?

それともお高いだけなのかい?

ま・・・男性は時には自分と似た女性を愛する。なぜなら男の子は母親に似るって言いますからね。

Hcinhawaii0515 ごっこガーデン。神秘が微笑むバー。エリう~ん。一青と雫は異母兄弟なんですか~?・・・そいでセーラが一青と兄妹。またまた異母兄妹?・・・そうすると豊多香に第三の女登場。それとも異父兄妹・・・そうなるとほのかと豊多香はダブル不倫でスー。もう・・・ややこしいですyon><。すると・・・セーラと亀雫先輩も兄妹ですかーっ?・・・それを知らないで恋をしたら近親・・・デンジャラスでムフフでスー。ところでじいや・・・これレプリカ?」じいや「とんでもございません。これはダ・ヴィンチ様が15世紀に来日された際にお嬢様のご先祖をモデルに書き下ろされた正真正銘のモナ・リザでございまするーっ」エリ「・・・そうなんだ・・・ちょっとワインこぼしちゃったけど

木曜日に見る予定のテレビ『Q.E.D.証明終了』(NHK総合)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)

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2009年2月 3日 (火)

覚悟の自殺でした(瑛太)逃避よね(石原さとみ)パシリですから(田中圭)ヴォイス(生田斗真)

「事故死と自殺とどっちが心が癒されますか」(瑛太)でもよかったのだが・・・若いものの世界観はこのドラマに関する限りちょっととんでもない方向に行ってるよ。違法の格差問題だな。キッドは殺人も大麻吸引も違法に違いないと思っている。違法行為に値段をつける時点で・・・もうモラルは崩壊です。

「ちょっと待って・・・私も行く」(石原さとみ)であらぬ方向に妄想ふくらませるしか楽しいところのないドラマになっていると思うのはキッドだけですかーっ・・・やめとけってば。

しかし、節分にバレンタイタインデーネタって先取りしすぎ・・・なんかあったか・・・大麻だからタイマリーだと思って先だしか?・・・結論的には大麻ぐらいいいじゃないかって内容だったしな・・・パセリセージローズメリーターイマ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブ♡シャッフル」↘*8.2%(うわーそれはひどい)、「20世紀少年もう一つ」18.6%(やはりこれかっ)、「RESCUE」↗12.8%(バックドラフト)、「銭ゲバ」↘*9.0%(ある意味しのいだな・・・)、「50時間SMAP」20.2%(アンナ様のダーリン改造人間に不服一杯)、「アルマゲドン」14.9%(まだとるか)、「赤い糸」↗*8.4%(デートかっ)、「天地人」↗24.2%(顔見世興行かっ)、「本日も晴れ」↘*8.4%(つらいよね)、「パイレーツ・オブ・カリビアン・デッドマンズ・チェスト」 19.8%(海賊より全力坂なのかっ)、ついでに「ヴォイス」↘12.3%・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~第4回』(フジテレビ090202PM9~)脚本・金子茂樹、演出・松山博昭を見た。ある意味、「銭ゲバ」とは対照的な綺麗事ドラマなのだが・・・脚本の持つ世界観が幼くて・・・今回・・・綺麗事なのかどうかも不明になっていましたーっ。

ふと思ったのだが・・・この主人公って・・・「エジソンの母」(08TBSテレビ)の小学生・花房賢人(清水優哉)だよな。「どうして、ねえ、どうして着信音を相手によって変えるの、ねえ、どうして」とりあえず一発殴りたくなるのはキッドだけですかーっ。

ここまで、①飛び降り自殺キャッチ ②感電死 ③クラッシュ・シンドローム・・・と来て今回はエビアレルギーである。しかし・・・ヴァリェーションに富んでいるように見えるが・・・実は毎回死因は同じなのである。

①は子供の飛び降り自殺を咄嗟に受け止めて打撲死・・・死因は自己犠牲の精神である。

②漏電で感電死。しかし、妻のために料理を作ろうと医者に行かずにコンビニへ・・・死因は自己犠牲の精神である。

③家族のために勤労する主婦。鉄パイプのためにクラッシュ・シンドロームを発症するが医者に行かない・・・死因は自己犠牲の精神である。

④悪い人に大麻売買のルート開拓を強要されて拒絶しようとエビ食べてエビアレルギーで死亡・・・死因は自己犠牲の精神である。

つまり・・・ある意味、自殺(あるいは自殺的行為)ばかりだ・・・なんじゃ・・・こりゃ。

しかも・・・結局はすべての結論は加地(瑛太)の妄想にすぎないんだよな・・・。毎回、何一つ立証されてないんだから・・・。

だから・・・このドラマってある種の単館上映のカルト・ムービーというか「時効警察」のノリなのである。つまり・・・一種のシュール・レアリズム(超現実主義)の実験映画みたいな。

「すべては空虚なんだよね・・・どうして、どうして死体は冷たくなるの・・・どうしてレンジでチンして資源を有効活用しないの・・・どうして」みたいなセリフが挿入されてもまったく違和感ない作りなのである。

その中に・・・同性愛者である石末(生田)と五十嵐(田中圭)の高校時代のカップルが登場してきて・・・死んだ五十嵐から石末へバンタインデーに期日指定のプレゼントが届く。そこには「高校時代・・・机にチョコを入れてたのはボクでした~」と手紙が・・・「なんだそうか~」・・・和む学生たちみたいなシーンがあったり。

画面の遠くの方で「なによ~」「なんだよ~」「うふふ」「えへへ」みたいな加地と久保秋(石原)のイチャイチャがあったり。

「お父さんと同じ土俵では勝負しないんだ・・・別世界でお父さんを乗り越えるよ」みたいな・・・じっくり考えるとのりこえてないセリフをものすごく深刻に悩んだ末に真面目にがんばって石末が語ったりして・・・ひょっとしたら笑わせようとしているのかと疑うシーンがあったりするのである。

しつこいようですが・・・なんじゃ・・・これ・・・なんか・・・ちぐはぐさをわざと構築しているのか?

どうして・・・月9でどうしてそんなことするの?・・・なんか得することがあるの?

という気分になります。

五十嵐の父(小野武彦)「結局、息子は大麻を吸って朦朧としてエビ食って死んじゃうような馬鹿野郎だったってことでしょう・・・」

加地「それは違います・・・確かに・・・息子さんは誘われて大麻吸っちゃうようなミュージシャンとか力士なみに馬鹿野郎な大学生だったのですが」

久保秋「・・・おい」

加地「そして悪いいじめっ子にいじめられても抵抗できない弱虫毛虫の馬鹿野郎でしたが」

石末「・・・おいおい」

加地「いじめっ子から麻薬売買のルートを開拓しろと言われても・・・それを実行できる能力もお断りする根性もなく・・・もう死ぬしかないと思いつめてエビを食って自殺した馬鹿野郎なのです・・・そういう馬鹿野郎だと思います」

五十嵐の父「・・・」(やり場のない気持ちに肩が震える)

石末「・・・」(うつむく)

久保秋「・・・」(視線をさまよわせる)

加地「あれ・・・久保秋・・・ここにいたっけ?・・・どうしてここにいるのさ。ねえ、どうして?」

関連するキッドのブログ『第3回のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)ただ今、冬ドラマ平均視聴率第1位です。えーっ。

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2009年2月 2日 (月)

義を見てせざるは勇なきなり(長澤まさみ)据え膳食わぬは男の恥(小栗旬)

って言う感じの大河ドラマでございます。もう・・・腰が抜けましたわ。なんていうか歴史ロマンを愛する気持ちゼロっていうか、歴史音痴丸出しだ・・・。ひょっとしたら・・・真田家が武田家の配下にあった・・・ということさえ知らないで脚本書いているのでは?・・・と疑える内容。さすがですわ~。ここまで現代感覚でゴリ押せるって天才的ですわ~。(注意・絶賛しています)

単純に言えば、上杉謙信は元亀四年~天正元年、越中にて一向一揆と激戦。応援に来た門徒衆の鉄砲隊に大打撃を食らって撤退です。天正二年には上野沼田城を基点に武蔵を転戦。そして迎えた天正三年です。

その謙信が「信長は仏門のものたちと戦をしている・・・それは義に背く」なんて言うはずないのです。この年、謙信が戦をしないのは・・・内政に専念したからで・・・これまで自治を許してきた越後の国衆たちを信長の独裁体勢を見習って締め付け直した一年だったのです。つまり・・・それまでの烏合の衆から上杉軍団を結成するターニングポイントだったと考えられます。翌年、信長の越中侵攻に一向一揆が脅威を感じ・・・上杉に和睦を求めたことにより謙信は対織田戦に踏み切るのです。謙信は電光石火で越中へ侵攻。反上杉勢力を駆逐します。さらに能登・七尾城攻めでは計略を用い、畠山家臣遊佐続光を裏切らせて七尾城を落城させました。戦国最強武将・上杉謙信に義もへったくりもないんですから~。

まあ・・・でも視聴率↘24.2%に何言っても聞く耳持ちませんよね~。(注意・絶賛しています)

で、『天地人・第5回』(NHK総合090201PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は待ちに待った特製・織田信長(吉川晃司)書き下ろしイラスト公開です。狂気を秘めた魔王の魅力をあますところなく再現です。ついに直接対決することのなかった軍神・謙信と魔王・信長の水面下の戦を表現する幻の樋口兼続(妻夫木聡)、信長様に直接聞いちゃいましたなどの名場面採録にくわえ・・・「これが一向一揆だ」完全解説付きでございます。浄土真宗の名のもとに坊主だけれど戦国大名に登りつめた本願寺一族の野望がマップ付で簡単に理解できる大特集。特に老いてもなお盛ん。少子化対策にかかせない「蓮如スタイルのススメ」付です。これを読めばあなたも「一向専念無量寿仏」でございます。ご苦労様でした~。

Tenchijin1575 で、天正三年(1575年)となったのだった。ちなみに信長は前年に謙信に洛外洛中図を贈り、その返礼を受けていた頃はまだ信玄の死亡、将軍追放、越前侵攻、摂津侵攻と東海と近畿での戦の処理に追われており、同盟国である謙信の使者を闇討ちすることなどありえないことを一言申し上げておきます。そして・・・天正三年・・・彼の怒りはもっと別のところに向けられていたことは歴史上の事実なのである。もちろん・・・実の弟を殺し、叔父を殺し、幼馴染を殺し、妻の弟を殺し、妹の夫を殺し、敵対するものを殺しに殺して天下布武を目指す魔王の心にはいつの時も絶えることのない悲哀と憤怒が渦巻いているわけだが・・・。

樋口一族は上杉謙信の股肱の将、直江景綱の配下である。本来は坂戸城主・上田長尾衆に属したが謙信の登場により直江家と縁組し、陰の忍びから陽の忍びへ転じた。樋口兼続が上田長尾当主で、謙信の嫡子となった長尾顕景の小姓に抜擢されるとその陰の部分は顕景に属するようになっていた。

越後国主・謙信が使う軒猿は宇佐美一族に統括されていたが・・・それとは別に顕景(後の景勝)と樋口一族の忍びの集団が形勢されていったのである。

謙信の命により、越中国境の経営を担当する顕景にとって樋口一族の目と耳は欠かせないものになっていたのである。

一方、北条と上杉が手切れとなり見捨てられた形となった上杉景虎にもお側集として風魔一族がついている。

つまり越後には謙信の使う軒猿、顕景の使う樋口衆、景虎の使う風魔と三種の忍びが暗躍しているのだった。

越後に土着した樋口一族だが信濃の忍びと縁が深く・・・当然、信濃忍びの上忍である真田一族ともつながっている。

その縁で少年忍者・樋口与六は真田忍びのくのいち初音と出会うのだった。

忍びの所以は多々あるが・・・その一つは斥候(うかみ)にある。偵察行動には忍びはかかせない。また適切な諜報には現場で起こっていることを的確に把握する情報収集力が求められる。樋口一族の申し入れにより・・・真田一族は一人の忍びの仕込みを請け負った。

仕込まれるのは樋口与六。仕込むのが初音だった。

越後越中の国境の一つ、黒姫山の山中で身を潜めていた与六はふと・・・腰の忍者刀の刀身が消えていることに気がついた。一瞬、気が動転する。思わず、周囲を見渡す与六は鞘に重みを感じた。消えたはずの忍者刀が戻っていた。・・・面妖な・・・と思う間もなく、目の前に人影が立っていた。それは山の樵のような毛皮を纏った娘だった。娘は符牒を告げる。与六は気を飲まれながら符牒を返した。

「樋口のものよ・・・名を申せ」

「与六じゃ・・・」年若い娘に対し・・・早くも侮る気持ちを芽生えさせながら与六は名乗った。

「ふふふ・・・師に対し、その心か。自分の刀で自分の首をはねてみるかの・・・どうじゃ」

娘の威嚇に与六は屈した。相手の技量がなみなみならぬものであることを悟るほどには与六は修行を積んでいた。その気配を読んで初音は言葉を続けた。

「初音と呼ぶがよい。ついてまいれ」

言葉の終らぬうちに初音は山奥に向けて歩き出していた。与六は無言で後を追った。

山歩きは忍びの修行の基本の一つである。与六も樋口の忍びとして一通りの扱きを受けている。しかし、城での暮らしによって体は鈍っていた。初音は与六の息遣いをはかりながら歩行速度を加速させていた。

やがて日が落ち・・・山中は夜の闇に包まれた。その岩土と木々に覆われた道なき道を初音はまったく休まずに進んでいく。与六は何度も己の限界を味わっていた。しかし、その体力の極みを試すように初音は進んでいく。最初は初音の体力に驚嘆していた与六だがすでにその余裕を失っていた。ただただ初音の後を追う。無心の境地だった。

夜が明け、森の上から陽射しがこぼれ、やがて再び陽がくれた。その間、二人は誰にも会わなかった。人里はなれた山をどこまでも歩いて行くのである。朝日、乗鞍、雪倉、白馬、唐松、五龍、鳴沢、赤岩、槍、穂高・・・後に日本アルプスと呼ばれる山々を初音は行きつ戻りつしながら緩やかに南下していた。

三日目が過ぎ・・・四日目の朝が来た。その朝日を感じながら与六は初音の声を聞いた。

「よかろう・・・ひとやすみじゃ・・・」

与六はその場に崩れ落ちた。

半年ほどが過ぎていた。すでに与六は初音にさほど遅れることなく、山を歩けるようになっていた。しかし・・・初音と日々を過ごすほど・・・忍びとしての技量の桁違いの凄まじさを知る与六だった。

「初音様・・・」と与六は初音を呼ぶことに何の抵抗もなかった。初音はもはや与六の忍びの師であった。「あれが岩村城でございますか・・・」

美濃・信濃国境の霧たちこめる森の樹上から彼方に見える山城の石垣を認め与六が訊いた。

「そうじゃ・・・織田信長にとって怨み強き城よ・・・」そこで初音は城にまつわる物語を聞かせた。うかみにとってそういう情報の積み重ねが情勢判断の正否を決めるのである。

「古には東美濃は遠山一族の支配する土地。岩村城はその要じゃ。永禄年間、信長は遠山氏と縁組した。信長は亡父・信秀の妹のおつやの方を岩村城主・遠山景任に嫁がせたのじゃ。さらに景任に跡取りがないゆえに信長五男坊丸を養子とした。元亀元年から始まる信玄の上洛戦で別働隊となった武田の将・秋山信友は信濃からこの城を攻め立てた・・・しかし・・・この要害じゃ・・・簡単には落ちん・・・元亀二年、景任が病にて死んだ後も正式に後を継いだ坊丸とおつやの方を主として・・・元亀四年まで・・・城は落ちなんだ・・・しかし、三方ヶ原の戦いで織田・徳川軍が大敗した報が伝わると美濃衆にも動揺が伝わった。当時、信長は将軍家、浅井・朝倉、本願寺に武田と四面楚歌の状況じゃ・・・そこで秋山が奇策に打ってでたのじゃ・・・あろうことか・・・後家を文で口説いた・・・」

「なんと・・・」少年忍者・与六は思わず、口をはさんだ。初音は珍しく微笑んで先を続けた。

「そして・・・あろうことか・・・信長の叔母であり・・・信長の実子を養子としたおつやの方は・・・秋山の誘いに乗ったのじゃ・・・」

「それは・・・」初音は今度は与六をジロリと睨んだ。「・・・」

「・・・おつやの方は開城し・・・坊丸は人質として武田方に送られた・・・まあ・・・東信濃の衆が武田の旗色を読んだというわけじゃ・・・しかし・・・直後に信玄が死んだから・・・運命と言うものはあなどれんものよ・・・」初音は信玄の死に深くかかわる己の師・飛び加藤をふと思い描いた。

「それでは・・・信長は・・・」

「ここから岐阜城は目と鼻の先じゃ・・・喉仏に身内から刃をつきつけられたような気になったであろうな・・・」

「・・・」

「信長殿は・・・恐ろしくも悲しいお方じゃ・・・」

初音は飛び加藤の案内で信長に面会した日を想起した。信長のあの・・・神の如き瞳。その美しさは初音の胸を高鳴らせた。

「さあ・・・参るぞ・・・信濃国境を抜け・・・長篠へ・・・信長の戦ぶりを見て・・・うかみの仕込みを仕上げるのじゃ・・・」

二人は再び・・・山中に消えた。

そして・・・二人は見た。織田信長の恐ろしき戦ぶりを。最前線・高天神城から三河を抑えるために長篠城を攻略中の武田勝頼軍一万五千は・・・織田・徳川連合軍三万に設楽ヶ原に誘い込まれ、三千丁の銃撃を受け・・・自慢の騎馬軍団を壊滅させられ・・・信濃へと敗走していったのである。天正三年・・・五月のことであった。

「与六・・・達者でな・・・」三河・信濃の国境で初音は仮初の弟子である与六に別れを告げた。与六はこみあげてくる情念に謝意の言葉を詰まらせた。その時・・・与六の刀がチンと音を立てた。「猿飛び流秘伝・抜刀空鳴りの術」・・・声を残してすでに初音は姿を消していた。

天正三年、十一月、孤立無援となった岩村城は織田信忠軍三万に包囲され降伏開城した。信忠は父におつやの方と秋山信友の助命を信長に願い出たが信長は無言で座を立った。

おつやの方と秋山信友は並んで長良川の河原に逆さ磔となった。

血液が頭に落ちて・・・目穴、鼻穴、耳穴から血液を滴らせ美貌の姫武将は甥の名を呪詛しながら絶命した。

信長はその報告を聞くと「色狂いじゃ・・・あの世でちちくりあうがよかろうず」とつぶやいた。その蒼顔には暗い憤怒が浮かんでいた。(つづく)

関連するキッドのブログ『第三話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『神の雫』(日本テレビ)

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2009年2月 1日 (日)

人間は殺しあうために生まれて来るズラ(松山ケンイチ)おねだり娘(木南晴夏)風立ちぬ妄想の旅人(高橋真唯)

人間は地上最強の生物ゆえにお互いに殺しあうのが宿命である。そうでないと思うのも自由であるが、現実から目をそらしてはいけない。できる限り殺し合いを避けるためにルールを作り、仲間うちでの殺し合いを避けるために敵と殺し合う。自分が殺されないために相手を殺すのはけして罪ではないのである。問題は相手が殺そうとしているのかいないのかの見極めだが・・・そんなことは本来、神でもない人にはできないのだと考える。そんな人間が人を愛し自己犠牲を他人に奉げるのは一種の病であるという考え方もある。

妄想姉妹~文學という名のもとに~」(日本テレビ)は三女・節子(高橋真唯)の主役回。肌の露出控え目で濃厚キス・シーンありである。病んだ女との愛といえば「風立ちぬ」(堀辰雄)より「春は馬車に乗って」(横光利一)の方が好きなキッドなのだが・・・まあ・・・結局ダイジェストだからどうでもいいや。それより気になったのは紺野まひるのヤンデレ解説である。ツンデレ・・・ツンツンした女を愛すること。ヤンデレ・・・病んでる女を愛すること。・・・どんなボケなんじゃ。ま・・・しかし・・・隠語だからな・・・違うと言っても証拠がないのである。しかし・・・正しくはツンデレ・・・ツンツンしているけど愛してる。ヤンデレ・・・心の病を感じるほどの愛してるである。「ガンダム」で言うとアムロに対するセーラがツンデレ。カミーユに対するロザミアがヤンデレです。「エヴァ」の場合は碇指令に対しシンジがツンデレ、レイがヤンデレです。・・・それはどうかな。「キューティーハニーTL」ではハニーに対しミキがツンデレ、ユキがヤンデレです・・・誰も知らんわっ。

で、『銭ゲバ・第3回』(日本テレビ090131PM0854~)原作・ジョージ秋山、脚本・岡田惠和、音楽・金子隆博、演出・狩山俊輔を見た。常に制度というものは安定を前提とする。そのために制度に不安を与えるものは不適当と見なされるのが基本である。中国のように共産党独裁に間違いはないとして異議を唱えるものが一人もいないという姿勢を示すのが好例だろう。中国では餃子に毒を入れる悪人がいるはずはなくすべては日本人の陰謀だという姿勢なのだ。それと同じように悪事を働いた人間が不幸にならないのを許容しないのがお茶の間に対するテレビドラマである。

ネタバレだが・・・原作的には本編の主人公は最後まで社会には裁かれない。殺人などの違法行為を重ねるがついにそれを制止できる他者は存在しないのだ。そんな主人公をテレビドラマが描ききることができるのか・・・実に楽しみである。

そういう意味で主題歌の「さよなら/かりゆし58」は実にスリリングな歌詞である。

さよなら ただ ただ ただ ただ 愛しき日々よ

ずっと忘れないだろう 僕は君を

僕が生きる今日はもっと生きたかった誰かの明日かもしれないから

このように世界に訣別していく主人公を描きますという決意表明なら天晴れなのである。

そのように信じてみれば主人公・風太郎(松山ケンイチ)のけして望んでそうなったわけではない反骨の魂が限りなく愛おしく思えてきます。

そのように信じている者が・・・もし・・・原作のような結末でなかったら「いつか殺してやる」という気分になるかもしれませんが。それもまた一興なのでございます。

未曾有の不況に対して企業の生き残りをかけ・・・ワーク・シェアリングではなく、リストラを選択する経営者たち。風太郎が派遣社員として働く三國造船でも解雇の嵐が吹きまくっていた。不当解雇を訴える男・田辺(正名僕蔵)の手渡すビラの受け取りを拒否する風太郎。

田辺「金持ちが貧乏人に死ねというのをあんたは認めるのか?」

風太郎「金持ちは貧乏人に死ねなんていいませんよ。貧乏人が勝手に死ぬんです。死ぬ貧乏人と死なない貧乏人の格差なんていつの時代にだってあるんです。ずっと昔から今もそして未来永劫にね。金持ちは貧乏人に死ねなんていわない。だって金持ちには貧乏人が必要だから。貧乏人がいなかったら金持ちだっていないんだ。貧乏人はお金持ちのために生きていける。貧乏人が死ぬのは貧乏人の勝手なんですよ

風太郎は生まれついての醜貌のために孤立していた茜(木南晴夏)の心を巧みに捕獲し、三國造船の社長宅に住み着くことに成功していた。風太郎の心に潜む邪悪なものを家政婦の春子(志保)は目撃していたがなぜか口を噤んでいる。

緑(ミムラ)と茜の姉妹の父親・三國社長(山本圭)の「得体の知れない男が家に入り込んだ恐怖」を懐柔するために風太郎は三國造船での仕事の継続を「茜の話し相手としての使用人」を引き受ける条件にする。

風太郎「僕は船が好きなんです。末端の作業でも船作りに関わっていたいのです

家族と使用人の食事を差別化する三国屋敷で風太郎はひたすらに猫をかぶるのである。

妹の茜とは違い、経営する側のリスクを考える緑は・・・同じ立場の御曹司の一人、白川(田中圭)に時計の一件を話す。白川は「時計のことは問題じゃない。貧乏人は悪にそまりやすい。もちろん・・・一万人に一人くらいは貧しく清く美しい人間もいるかもしれないが奇跡はそう簡単に起らないから奇跡なんだ。貧しければ普通は心がすさむ。ましてあの男はあんなに醜い顔なんだ。心が荒まないはずはない。危険だから一刻も早く追い出した方がいい。君たちのことが心配だから」と忠告する。

一方、風太郎を弟殺しの犯人と疑う荻野刑事(宮川大輔)は風太郎を尾行中に風太郎の父・健蔵(椎名桔平)との再会の場面に遭遇する。

健蔵「お前に金を借りに来た」

風太郎「あんたがオレに会いに来るのは飲む金がなくなった時だけだものな

健蔵「ふ・・・いやなら殺すか?」

風太郎は健蔵の首を絞めるが健蔵は簡単には殺されない。

風太郎「一円やるズラ

自分の心の内を読んでいる父親に風太郎は危険な匂いを感じていた。

親子の獣のような闘争を黙っていた見ていた荻野と菅田刑事(鈴木裕樹)は健蔵に職務質問をするのだった。

荻野刑事は弟・宏(近藤公園)と蒲郡家の交流から健蔵を罵倒する。

荻野「お前、ひどい父親だったそうだな」

健蔵「あんたの弟はオレの女房とできてたんじゃないだろうな」

荻野は健蔵に貫禄負けして解放する。

健蔵「オレの嫁はどうなったんだ?」

荻野「自分の女房が死んだのも知らんのか・・・」

一人になった健蔵は「そうか・・・オレの息子は人を殺したか」と感無量なのだった。

父親との再会に心を乱された風太郎は亡き母・桃子(奥貫薫)の思い出の味・ベラの煮付けを求めて食堂・伊豆屋を訪れる。

行方不明の息子によく似た風太郎に好意的な伊豆屋一家。風太郎も促されるままに母の思い出を語る。

風太郎「母は美しい人でした

しかし・・・何気なく店主・保彦(光石研)の口にした社交辞令が風太郎の心を石化させるのである。

保彦「ちょっと悪さしたっていい・・・人を殺さなければ人間なんだってやっていいんだ」

風太郎はすでに少なくとも二人殺していた。

一人は恩人の宏。他人の金を奪おうとした風太郎に説教したからである。

一人は同僚の寺田(田口トモロヲ)。風太郎の金を奪おうとしたからである。

風太郎は開きかけた心を用心深く閉じた。

風太郎の帰宅を待ちわびる茜。その表情はせつないほどに心の動きを示していく。風太郎のいない空虚。風太郎を感じる喜悦。風太郎は茜と唇を交わしながら・・・やがて・・・茜の耳を塞ぎ・・・心の声を口にする。

風太郎「もう時間がないんだよ。俺が頼りにできるのはお前だけなんだよ。俺がすべてを手にいれるためにお前の力が必要なんだ。お願いだ。俺のためにお前の父親を口説いてくれよ・・・

風太郎の耳塞ぎプレーを愛のゲームと信じる茜は無邪気に微笑むのだった。

風太郎は緑を偵察する。緑の心は揺れている。風太郎「白川さんから・・・僕がこの家には相応しくない男だと言われました。確かに・・・僕が信用されない人間であるのは間違いないことです。僕は・・・緑さんに従います・・・出て行くのも残るのもあなたの決定次第です

緑はたちまち善い子になった。「いいえ・・・あなたを信用しているわ・・・また船上パーティーに参加してくださらない・・・茜もあなたが一緒なら参加すると言うし・・・」

風太郎「喜んで・・・

マリーナの船着き場で・・・田辺はナイフを手に緑を襲う。風太郎は体を張って緑を庇い・・・足を刺されて重傷を負う。しかし・・・それは狂言だった。

逃走する田辺を追いかけた白川はコインロッカーから金を取り出す田辺の姿にカラクリを見抜くのだった。疑惑は慧眼の源だからである。

しかし・・・現実の本当の恐ろしさを知らない白川は・・・時計の事件で屈辱を与えられた風太郎に直接復讐し、優越感に浸るという手段をうかつにも選択する。

手当てを終えた風太郎は・・・命の恩人として緑の信頼も得た。

松葉杖で歩行しながら・・・仕事を休まない風太郎。そこへ・・・白川がネズミを見つけたネコの目を光らせて訪れる。

白昼。子供たちで賑わう公園の片隅。

白川「君が仕組んだ茶番劇はボクにはお見通しだよ。金で雇った男に襲わせるなんて見え透いた手口じゃないか・・・。君に怨みはないが・・・ボクらは仲間を守る義務があるのさ。見逃してやるから・・・とっととどこかへ消えてくれ。そして二度と顔を見せないでくれたまえ」

風太郎「・・・ふふふ・・・僕もあんたには怨みはないですよ。ただ・・・この世界では誰もが幸せにはなれないんですよね。僕の母親は貧乏で死にました。僕に安い魚の煮付けを食べさせる金はあっても、病院にかかるお金がなかったからです。僕は死のうって思いました。だって貧乏だと幸せにはなれないことがわかったからです。だから母のいる天国に行ってしまおうって。でもね・・・母は口惜しかったんじゃないかと思いなおしたんです。貧乏に負けて死んだことが・・・。なんだか口惜しいね・・・なんだか口惜しいねって母が囁くんですよ。だから・・・僕は戦うことにしました。僕はお金と戦って勝ってやろうと決めたんです。だから僕はそのためには手段を選ばないんです。お金に勝つためにはなんだってやるんですよ。それが僕の生きる意味なんです。生きる限りやめられないんです。もう人だって何人も殺しているんです・・・本当にごめんなさい・・・

白川は風太郎の言葉に引きこまれていた。その言葉に魅了されていた。気がつくと暗闇が襲ってきた。人間は的確に行えば静かに人間の命を奪うことができると白川は最後に学んだ。風太郎は植え込みに置いたトランクに白川を詰めた。そして白昼の死角からそっと抜け出た。

茜は待ちわびた風太郎の帰宅を天使の降臨を見た教徒の熱狂で示した。風太郎は囁いた。「僕のすべての荷物を持ってきたよ

広大な屋敷の裏山に・・・風太郎は穴を掘った。そこに袋詰めにしたものを落とした。そして土をかけた。

あんたは天国に行けるかもしれませんね。きっと何一つ罪を犯していないんだろうから。だって罪を犯す必要がなかったんだろうから。でもあの世では地獄があるから天国があるんだよね。もし地獄がなかったら天国もないかもね。でもこの世ではさ・・・貧乏人がいるから金持ちがいるんだよね。だからこの世では俺は・・・金のためならなんでもするズラ

すべての労働を終えた風太郎はシャワーを浴びる。流れ去る罪の汚れ。しかし上着には汚れが残っていた。その汚れをまたしても家政婦の春子は見ていた。

翌朝・・・風太郎は家族の食卓に招かれた。娘の命を救った風太郎に三國社長の警戒心はレベルダウンしていた。風太郎は三國家と同じメニューの朝食を許されたのだ。

その席で茜は父親におねだりをするのだった。

「風太郎さんと結婚させてください」

その瞬間・・・顔を伏せる風太郎。待ちに待った瞬間に仮面が壊れてしまいそうだから。そこには暗い歓喜が滲んでいる。しかし・・・紡がれた言葉は。

それは・・・無理だよぅ・・・」(つづく)

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ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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