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2009年3月31日 (火)

毎回、殺されるために主演してますが何か?(谷村美月)トリハダ5(佐藤千亜妃)

トリハダの季節です・・・いつだよっ。

意外なことに一度もレビューしていないのだった。ホラーで、谷村美月で、深夜なのにだっ。

それは「世にも奇妙な物語」の後の深夜ということにも関係している。今回も「輪廻ノ村」(伊藤美咲)と「真夜中の殺人者」(相武紗季)と美女と恐怖の二編が「春の特別篇」にあって・・・そちらについて書きたい気持ちもある。

けれど・・・前回の「トリハダ4」あたりから・・・かなり練れてきて・・・というかこの形式にこちらも慣れてきて面白みが高まってきたので・・・トリハダにチャレンジしてみたい。

で、『トリハダ5』(フジテレビ099331AM0135~)脚本・演出・三木康一郎を見た。オムニバス・ホラーであるが、メイン・ストーリーとサブ・ストーリーが混在するスタイル。メイン・ストーリーはつなぎの役目も果たす。このメイン・ストーリーの主役がトリハダ、トリハダ3、トリハダ4、トリハダ5と谷村美月である。ちなみにトリハダ2は佐津川愛美だ。

基本的に谷村美月は一人暮らしで、危うい少女である。そして・・・ストーカー的なものに狙われる宿命であるらしい。

道具立てとして電話あるいは携帯電話はかかせない。春は「はじめての一人暮らし」のシーズンであるから・・・お茶の間のそういう漠然とした不安をベースにしている。本当に一人暮らしを始める人を中心に・・・その家族も恐怖の標的になるし・・・多くの人々が「その頃」の記憶を持っているところも「恐怖の普遍化」を即すのである。

「トリハダ」では深夜のテレビの砂嵐から「寿命」コードが携帯電話で読み取れると知った主人公が試みると残り時間一分だったりするし、「トリハダ3」では窓から主人公をずっと監視していた向かいの家の住人が首吊り死体だったりする。「トリハダ4」ではコインランドリーから暇つぶしに悪戯電話をしていた主人公が「死亡時刻」を指定され・・・オムニバス・ドラマの最終話でヒロイン(佐津川)が出会い系で知り合った狂人に狙われるところをリンクした展開で人違い殺人の犠牲者になったり・・・となかなかおしゃれなのだった。

そして、「トリハダ5」では崎山里香(谷村)となった主人公。一人暮らしのアパートに戻る途中で知人の女性から携帯に電話がある。「あなたの個人情報がインターネットで流出している」と告げられるのである。部屋に戻ってネットにアクセスするとそこには盗撮された彼女の写真と誹謗中傷・・・そして彼女を殺害した者へ賞金を出すといったメッセージが。里香は交際中の男性に電話をして助けを求めるが留守電である。

このメインストーリーをはさみながら・・・ショート・エビソードが語られていくのだ。

ホラーの基本は「死」である。「死」が恐怖の源であることは疑いようのないことだが、そこから湧き出る泉はいくつかの種類がある。その一つは「不安」である。「死」の向こう側は基本的に未知の領域である。そこに何があるのか不明だから恐ろしい。次に「死」を「存在の終わり」と漠然と考えればそこには自己の消滅の恐怖がある。「生」を素晴らしいと感じる人ほどそれを失うことへの恐怖は大きい。そして「死ぬ苦しみ」として語られる「苦痛」への恐れがある。「死ぬほど痛い」ってどれだけ痛いんだ・・・である。

その「死」へ主人公を導くのは様々な運命であるが・・・その一つが「愛」だ。殺したいほど「愛される」というのは実に迷惑な話てある。次に「憎しみ」である。「殺したいほど憎まれる」のには・・・多くの場合、「愛」が介入してくる。そして、最後は「偶然」なのである。「偶然」ほど恐ろしいものはない。それを回避する方法を見つけにくいからである。

人は生きていることに気がつく。それは死ぬことに気がつくのと同時である場合が多い。何かに気がつくのは恐怖の始まりなのである。

若い男(阿部進之介)の部屋に恋人が訪ねてくる。男の卒業アルバムをネタにしておしゃべりに興ずる恋人。男がふと窓から外を見ると路上の電話ボックスに少女が一人立っている。

トリハダではスーパーナチュラルホラーの要素は薄い。どちらかといえばナチュラルな生身の狂気がベースである。その中で、この話はスーパー要素が強い。

それは少女を演じるのが身長138cmの24才、笹野鈴々音だからである。

「ねえ・・・この中であなたが好きだった人いる?・・・じゃ、あなたのこと好きだった人は?」

その他愛もないおしゃべりから男は恐怖を見出す。電話ボックスの少女が少女でないことに気付くのである。そして・・・少女は電話ボックスから男を見上げて微笑むのである。

逆上した男は部屋を飛び出し・・・電話ボックスにかけつけるが・・・そこに少女はいない。

少女は部屋にいた。この素早さがスーパーである。唖然とする男を少女は部屋から見下ろしながら哄笑である。その不気味な顔立ちは血まみれで・・・部屋には恋人が倒れている。卒業アルバムには少女の写真がある。その日から愛している愛している愛している愛している愛している愛している・・・殺してやるだったらしい。

その頃、里香は何度も恋人に電話をするが・・・留守電。思いあまって知人女性に電話をすると駆けつけてくれるという。

無力や弱さは「死」に直結している。安定した社会はそれを隠蔽するが本質は弱肉強食である。

若い女(清水美那)は町会長(鈴木砂羽)から呼び出される。町会の仕事について会話していると突然、ブザーがなる。それは室内のインターフォンのようなものから聞こえるがただならぬ切迫感がある。しかし・・・町会長はまるで何事もなくふるまうのである。

鳴り続ける警告音に若い女は恐怖を感じるが町会長はとりあわない。

やがて・・・ブザーは鳴り止み・・・静寂の中で町会長は別室の扉を開き、中の様子を確認する。おそらく・・・そこには要介護者がいる。いや・・・いたのである。

「あなたは何も聞かなかったわよね・・・」

町会長に告げられて若い女は立ちすくむのだった。

その頃、里香は・・・知人の女性の到着を待っていた。

人は自分の言葉に力があればいいと考えることがある。しかし、言葉に力があると知るのは恐ろしいことである。

ライブチャットでアルバイトをする女子大生(石橋杏奈)は不気味な客に戸惑う。しかしネット越しに会うのは安全であると女子大生は思う。何度か、無言の対面を重ねるうちに・・・女子大生は一方的な身の上話をする。「むかつく女(長谷川恵美)がいてさ・・・死ねって感じよ」・・・そして次のチャットで・・・女子大生は「むかつく女の死体」とご対面である。「あんた・・・何してんのよ・・・警察に言うよ・・・」すると血相を変えた客はライブチャットの画面から遠ざかる。するとそこは女子大生の部屋の前の廊下である。たちまちノックされるドア。

愛の示し方は人それぞれなのである。

そして・・・里香は不安に苛まれながら恋人に何度も電話をする。

花粉症の季節である。おそらくネット通販で入手した瓶詰めのカプセル薬を常用する花粉症の女(佐藤千亜妃)・・・。郵便受けに連日、封筒入りの奇妙な写真が届く。玄関にロックのないマンションの恐怖である。「焼死体」「白骨」「白骨を粉砕」と開ける度に写真を取り落とす花粉症の女だが・・・写真にストーリーを見出すのだった。やがてそれは「白骨の粉」「粉とカプセル」「カプセルと瓶」と続き・・・花粉症女は常用しているクスリの正体を知り吐き気を感じる。しかし・・・もはや成分は彼女の骨肉と化しているらしい。

日常的なものの意外な正体を知ることは恐ろしいことだ。

里香のアパートの前にバイクが停車して見知らぬ男が降り立つ。そこへ知人女性から電話があり「あなたの部屋のベランダに・・・急いで部屋を出て・・・」とせきたてる。あわてて部屋を飛び出した里香は知人女性の車の中で安堵の息を吐く。しかし・・・ドライバーズシートの女の目は闇に光るのである。

夜の電車の中で老人に席も譲らず、携帯ゲームに熱中する男。深夜の路上で突然ロール・プレイング・ゲームが始まる。好奇心は猫を殺すという人生の基本が分っていないのである。コマンド指示は路上にガムテープで装着された紙に手書きで書かれている。「姫を救え」という指示に誘われて、ゲーマーは公衆電話に置かれたサイフ(金貨)、バスストップのベンチで指輪(魔法のリング)、歩道橋の上でくぎ抜き=バール(聖なる剣)を入手する。

やがて・・・地下道で待っていたのは血まみれの死体となった里香だった。

そこで通りがかった女性は「人殺し」と叫ぶのである。ゲーマーの手にあるのが里香のサイフ、里香の指輪、里香を殺した凶器であることは言うまでもない。その証拠に癖で無意識に頬を撫でた男の顔は血塗られたのだった。

気がつかない間に殺人犯に仕立てられた男はパトカーのサイレンを聞く。その音は現場を立ち去る真犯人の女の耳にも届いていた。

なかなか小粋なのである。人々は愛という欲望に燃えて恐怖を生み出し、信頼という誤解に気がつき恐怖するのである。春の夜の恐ろしい夢です。

関連するキッドのブログ『着信アリ Final

水曜日に見る予定のテレビ『湯けむりスナイパー』(テレビ東京)・・・まあ「ショコラ」とか「ドリフ」とか「はねる」とかいろいろありますが・・・。

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2009年3月30日 (月)

仁義なき天地人・縁組無情篇(妻夫木聡)兵法に表裏あり(長澤まさみ)血縁よりも夫婦愛(相武紗季)

ついに「天地人」↘17.8%。まだまだ高いけれど、そりゃそうだろうーっ的な気持ちに。

欲望渦巻く跡目争いをこれだけつまらなくできるって・・・ある意味凄いものな。

景虎の妻・華姫(相武)「夫(景虎)は臣従するつもりだったのに兄(景勝)が裏切ったからいけないのです」って理のあるセリフになってないぞ。

上野の領地はいわば、すでに北条に落ちているので武田の上野侵攻に際し加勢を約したというのが実体だろう。すでに上野支配の北条(きたじょう)、本庄両家が景虎(北条)方についているのが何よりの証拠である。何よりも買収工作がものを言ったはずである。さらに言うならば同盟は武田側が求めた可能性が高い。

で、『天地人・第13回』(NHK総合090329PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューは表紙が歴代石田三成にチェンジしているikasama4様を推奨します。ついにあらすじ二行体制ですがお気持ちは分ります。・・・なんていうか描くべきことは星の数ほどあるだろうにどうでもいいですよ~的なことを延々と描く・・・シナリオでございますからねーっ。しかし、気を取り直してリアルテイスト上田衆書き下ろしついに登場。甘糟景継(パパイヤ鈴木)が義を貫くナンバーワンだとにじみでるタッチです。はたしてドラマはその辺を描いてくれるのか不安でいっぱいですが。真田昌幸に岩松了がキャスティングされたという噂がありますが・・・果たしてどうなのか・・・。未だに北条(ほうじょう)家は一人もキャスティングされていないのに・・・。とりあえず、武田上杉同盟(実話)の真相について徹底考察付です。今回、一番のお気に召しは高坂弾正の「摩利支天にかけて」・・・あ、やっぱりでございまする。

Tenchijin15785 で、長い長い天正六年(1578年)も梅雨に差し掛かっている。すでに景虎から救援要請を受けた後北条(のちのほうじょう)氏は上野国に兵を整えつつあった。上野は上杉領であったが、上杉と後北条の抗争の果てに旗色不鮮明になっている。謙信存命中は謙信が関東に出陣すれば上杉に従い、謙信が越後に戻れば後北条になびくという按配である。越後の北条(きたじょう)高広は上野支配を任されており、謙信亡き後、上野の領地を保証してくれるものとして後北条の血を酌む景虎を支持しているに過ぎない。後北条氏政は同盟者の武田勝頼に出陣を促し、また出羽・陸奥・越後の堺に位置する蘆名盛氏にも応援を頼んだ。盛氏は津川口から蒲原方面に進軍したが越後・揚北衆がこれを撃退した。揚北衆は日和見を決めこんでいたが、蘆名氏の侵攻により、危機感を強め、安田顕元が筆頭に立ち、新発田長敦らを説得して景勝方につくという情勢になる。

後北条氏が上野の安堵という実利を優先している間に武田勝頼は越後・信濃国境に軍勢の集結を終わり、信濃海津城にて越後国内の勢力分析を行っていた。信濃川には戦船が集い、信玄以来の甲州忍びが山岳を越える。

勝頼はこの時齢三十二だった。実は、前年に謙信と勝頼は同盟の約定を進めている。それは対織田戦略の一環である。敵の敵は味方という単純な戦理が宿命の敵を結びつけたのである。しかし、謙信の死によりその同盟は宙に浮いていた。

海津城には城主・高坂弾正と従弟の越後先陣を申し付けた武田信豊、そして甲州忍びの長となっている真田昌幸が参集している。

勝頼は信玄譲りの怜悧さと母・諏訪御料人の短慮をあわせもつ、複雑な性格を持っている。設楽が原の敗戦を乗り越え、甲斐・信濃・三河・遠江・駿河の領土を維持しつつ、越後の跡目争いという難題に挑むことになった今、損得の計算と・・・武田の総領としての自負が危うい決断をさせようとしていた。

「では・・・越後の国衆は景勝に傾いているのだな」

「概ね、その由にございまする」

勝頼の問いに真田昌幸が答える。上杉、北条、武田の大勢力に囲まれた真田一族は忍びの衆として戦国を生き抜いてきた。信玄の信頼厚く、忍びの頭を任されて以来、越後、上野に真田忍びは根を張って諜報網を編んできた。武田上杉同盟の気運は真田忍軍と越後忍びの頭となった直江忍軍の連携によるものである。

今、越後の情勢は昌幸には手にとるように判っている。

「それでは一戦ということになりましょうか」

信玄の腹心であった信繁の跡を継いだ信豊が若々しく問いかける。父がそうであったように主君・勝頼をたてることにそつがない口ぶりである。

勝頼は信豊の口ぶりに自尊心をくすぐられるのである。

「いや・・・それはなるまい。上杉との同盟は・・・信長との戦にかかわるもの。越中での押さえとして越後衆には働いてもらわねばならぬ。その中核となる越後衆と戦したのでは泥沼だわ・・・」

勝頼は諭すように答える。

高坂弾正は二人のやりとりに信玄の在りし日を思う。齢五十を越えて、弾正は体の不調を感じていた。設楽が原の敗戦により、信玄所縁の将はもはや、弾正のみという状況である。三十になるかならずかの・・・勝頼、昌幸、信豊たちはいかにも危うく見えたが・・・もはや武田の命運は彼らに握られているのだ。この席に設楽が原で戦死した息子・昌澄がいないことが悔やまれた。

「では・・・景勝・景虎兄弟に和睦を勧めてはいかがでしょうか・・・跡目は景勝殿にて」

「それで氏政(北条)は納得するかの・・・」

高坂弾正の申し出に勝頼は反駁する。

「景虎が跡目をとれば・・・越後衆は内乱必至・・・景虎が勝利を収めても、武田のうまみはございませぬ・・・」

真田昌幸は高坂弾正の理に内心、頷く。しかし・・・と同時に思うのだった。北条氏政は父・氏康に見放されたと噂される短慮者である。上杉・北条・武田の同盟の利を求めず、景虎跡目の欲に目が眩めば・・・武田家との遺恨を生むかもしれない・・・。

だが・・・と昌幸は思う。それでたとえ・・・武田が憂き目を見ることになっても真田が生き残ればよきこと・・・。

「かねてより・・・上杉との同盟の義、越後の老臣・直江家と勧めておりますれば・・・越後に兵を出し・・・景勝・景虎の和議はその圧力をもってなしうると存じます。その義にはおそらく、越後の軍資金分配、上野の領地支配などの約定を出しても、景勝に恩を売るは可能と存知まする・・・」

勝頼は大きく頷いた。

軍議の席を退いた昌幸は宛がわれた部屋に控えさせた若武者に耳打ちした。若武者は部屋を出ると城の堀沿いに出る。その動きが豹変した。一瞬の後にその姿は堀を越え、場外に出た。

海津城下の名もなき地蔵堂に老尼が潜んでいる。伴は一人、若い僧侶である。間もなくその堂に若武者が訪れた。真田のくのいち・・・初音である。

老尼は信濃・善光寺に庵を持つ直江景綱の娘お悠である。亡父の命を受け、信濃における草(忍び)として役を負ってきたのである。

「これは・・・初音殿・・・」

「真田の頭よりの伝言でございます・・・すべては手筈のごときにて・・・こちらに書状をお持ちしました・・・」

「ふ・・・これで肩の荷がおりました・・・そうそう・・・このものは・・・与六の弟でございまする」

「ほう・・・兄者は元気か・・・」

「初音様の厳しき修行のこと・・・受けたまわっております」

「樋口のものは皆・・・才に恵まれておりまするな・・・」

「ふふふ・・・さすがは初音殿・・・しかし、与六が母は我叔母ですが・・・与七の母は泉の家出身でございます」

「なんと・・・では・・・」

「このものが・・・書状を越後に持ち帰りまする・・・」

「それは頼もしい・・・」

やがて・・・堂を出た与七は闇に消えた。しばらく、気配のあった堂内から人影が消えた。もはやお悠も初音も立ち去っていた。

一人・・・信濃川に沿って春日山に向かう与七の前に敵の気配があった。

夜目の効く忍びにとっても河原に立つ人影は定かではない。

「上杉の家中の方とお見受けした・・・その懐のものをいただこう・・・」

「その声・・・聞き覚えがあるぞ・・・お手前は風魔であろう・・・」

「ふふふ・・・上田衆の小僧か・・・冥途の土産に教えて進ぜよう。我名は久々津陣内」

河原の周囲にゆらりといくつもの人影がたちあがる。

黒装束に身を包んだ忍者の群れである。それぞれが殺気を秘めて与七の左右に散り、前後を挟み、取り囲む。その包囲の輪がゆっくりと閉じていく。

行者姿の与七は右手に持った錫杖を構えるでもなく・・・じりじりと川に寄っていく。

「忍びが名を名乗るなどはお笑い草だが・・・せっかくだから・・・教えて進ぜよう。このオレに水辺で勝負を挑んだことを悔やむ間があればよいがな・・・わが名は泉・・・小太郎」

その瞬間、小太郎は川に向かって跳んだ。風魔たちは抜刀して小太郎を襲撃する。その姿が驚愕にのけぞった。川から夜目にも白い水煙があがり、そのしぶきの向こうから現れたのは巨大な竜であった。

「泉流、秘術・・・竜神」

龍の巨大な影が円陣をしいた風魔忍者の上をのたうった。一瞬後・・・河原には何体かの人形が転がっていた。その中央に老いた忍びが横たわっている。その首は胴体から離れて転がっていた。久々津陣内のあっけない最後だった。すでに泉小太郎こと与七はその場を去っている。

その頃・・・海津城内では厠に立った高坂弾正が卒中で倒れていた。夜明け頃・・・信玄所縁の最後の老将は息をひきとった。

梅雨の雨が降り出している。

関連するキッドのブログ『第12話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『加藤ローサのハンサム★スーツ THE TV』(フジテレビ)・・・相武紗季も出るよ。

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2009年3月29日 (日)

卒業までの半年でスペシャル作ると思ったよ(仲間由紀恵)ごくせん時代かっ(生瀬勝久)

卒業式・・・入学式・・・結婚式・・・お葬式・・・87式・・・自走高射機関砲かっ。

まあ・・・セレモニーはエンターティメントの基本であるからな。

式次第とは構成の基礎を考えるのにいい題材だ。

で、『ごくせん 卒業スペシャル'09』(日本テレビ090328PM0930~)原作・森本梢子、脚本・江頭美智留・横田理恵、演出・佐藤東弥を見た。金持ちケンカせずというか・・・サッカー・ワールドカップ予選の天王山をきっちりよけての変則スタートである。まあ・・・日本テレビのドラマとしては視聴率的に最後の砦だもんねえ。

開会の言葉・・・まあ・・・番組的にはタイトルである。プロローグ的なコントを作ってタイトルというのもよくある手だな。今回の場合は「卒業式直前」ということで・・・おなじみ大江戸一家(家長・黒田龍一郎=宇津井健)の朝食風景に・・・ヤンクミこと山口久美子(仲間)が卒業式で着る衣装が話題となる。任侠集団というヤクザな世界の話なので、極道の妻、和洋に特攻服を加えてスリーポーズのコスプレ。

まあ、こういうコネタは三つそろえるのがトラディッショナルです。「妄想姉妹」が淫乱な吉瀬美智子、淫行な紺野まひる、淫靡な高橋真唯と淫らな三姉妹になっているようなものです。

来賓の祝辞・・・まあ、長いと嫌われるのでテンポよくユーモラスに。「ごくせん」の場合、「ラブシャッフル」以上に笑いは寒いのですが、寒すぎてそれが笑いと気付かれないのがミソになっています。

①「卒業」のために「就職」などの「予定」がからんでくる。

②「先輩」に「後輩」がからんでくる。

この二点がからんできます。

風間(三浦春馬)の就職が不況のために内定取り消しになる。

緒方(高木雄也)の後輩(玉森裕太)がより極道なアラ高から転校してきて荒れる。

ツー・トップをよどみなくはめてきます。

二つのからみにより・・・三年D組は卒業式を前にして分裂の危機に。

余興・・・ヤンクミの憧れの人・校医夏目(小泉孝太郎)との仲を馬場(東幹久)が妨害。繰り返しのギャグで「ばば~」が連発されますが・・・ネーミング・ミスです。ついでにてつ(金子賢)は妄想の果てに両手火傷。

卒業証書授与・・・メインイベントです。ここでは①生徒の就職先を求め、祖父・龍太郎が説教。教師たちが一丸となる。ヤンクミの放課後の努力を生徒たちが見る。

②後輩にヤンクミが説教。後輩に先輩が説教。杯を返すと倉庫で説教。

という二つのからみが融合していきます。

③そして卒業式なのに倉庫に集合です。

倉庫タイムです。生徒たちが崩れた天井の下敷きにならなくてよかったなどと心配してはいけません。

送る言葉・・・「人を信じて思いやりをもって生きていく・・・それがまっとうな人間」という主題は永遠です。

斉唱・・・ここで定番ソングがないのが残念です。まあ、V6じゃあね。

閉会の言葉・・・猿渡五郎(生瀬)「お前たちも立派に出所(卒業)したんだ。二度と戻ってくるな・・・」・・・刑務所じゃねえよ・・・オチです。

まさによどみのない展開・・・まあ、エリートヤンキー三郎じゃなくて本城(石黒英雄)がおもらししないのが残念です。激情版では仲間は占い師ではなくシスターです。ちなみに佐伯日菜子も出ています。

ついでに・・・ごくせんも映画化決定です。仲間由紀恵・・・20代最後の思い出作りかっ。

関連するキッドのブログ『ごくせん・第三シリーズ

月曜日に見る予定のテレビ『相武紗季の世にも奇妙な物語』『谷村美月のトリハダ5』(フジテレビ)

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2009年3月28日 (土)

職業は不良、趣味は非行。(小栗旬)バカはテッペンが好きだよね(黒木メイサ)就活クローズ(貫地谷しほり)

「ルパン三世VS名探偵コナン」(日本テレビ)という「ゴジラ対ガメラ」な企画ものがあったわけたが・・・そんなことして楽しいのか?・・・楽しいよ。

「漫画アクション」と「少年サンデー」じゃ畑違いがすぎるだろう・・・。

まあ・・・虚構のダブルは擬似リアリティーを構成するので楽しいといえば楽しいが・・・居心地悪い・・・特にルパンに仕上がっている。もちろん・・・それはルパンにそれぞれが抱くイメージによって違和感も違うだろうが・・・下ネタオチだから・・・まあ・・・いいか。・・・「コナン」サイド的には満足なゲストだった感じかな。

「若返ったって・・・」「縮んだだけです」「じゃあ・・・アソコは・・・」・・・不二子・・・。

で、『クローズZERO(2007年公開)』(TBSテレビ090327PM9~)原作・高橋ヒロシ、脚本・武藤将吾、監督・三池崇史を見た。「少年チャンピオン」系のヤンキーものである。その筋の人間が大好きな展開である。どんな筋なのかは秘密です。

舞台となるのはどこぞの県にある鈴蘭男子高校。腕自慢の不良たちの巣窟であるが・・・ある意味健全な人々である。不純異性交遊もしないし、薬物乱用もしない、恐喝等の犯罪も起さない。ひたすら・・・ケンカである。ケンカして誰が一番強いか・・・それ以外に目指すものがない一種の地獄・・・逆に言えば極楽が出現している。

誰もが頂点(学校を仕切る番長)を目指すが、チャンピオンにはチャレンジャーが常に現れ・・・果てしなき闘争を繰り広げるために・・・誰も制覇を達成することができずに卒業していく・・・それが宿命となっているらしい。

そこへ・・・転校してきた滝谷源治(小栗)は組織暴力団・劉生会滝谷組の組長(岸谷吾朗)の息子である。鈴蘭OBの父に「鈴蘭統一したら組を継ぐ」と宣言している。親孝行な一面があるのだ・・・そうなのか。

戦国時代のように各組で抗争を繰り広げる鈴蘭学園だが・・・やがて滝谷をリーダーとするG.P.S(GENJI.PERFECT.SEIHA・・・頭悪いぞ)軍団と・・・芹沢(山田孝之)をリーダーとする芹沢軍団とに旗色が分れていき・・・最後は決戦となるのである。

息抜きのために滝谷には行きつけのライブハウスがあり・・・そこでシンガーをしているのがルカ(黒木メイサ)で劇中で歌って踊れる沖縄アクターズスクール出身らしさを示している。ヤンキーの好きな安室奈美恵です。まあ、この設定そのものが爆笑ポイントです。

ルカは途中で・・・芹沢軍団の策士・ブタ野郎戸梶(遠藤要)の策謀で拉致監禁されるがここで貞操の危機などはない・・・登場人物は全員、純情可憐だからである。

まあ・・・後は次から次へと繰り出されるヤンキー・コスプレの数々である。

極悪ツインズ1号2号は最悪映画「デビルマン」のサタン(伊崎右典)デビルマン(伊崎央登)、脳外科手術室に徒歩で向かう男・時生(桐谷健太)、学校一の切れ者と噂される舜(高岡蒼甫)、チラリと出るよ将治(上地雄輔)、やっぱりいたか郷太(波岡一喜)・・・まあ、枚挙に暇がありません。

そして・・・大人のヤクザ世界の抗争狙いで滝谷の命を狙う敵対組織の組長が矢崎(遠藤憲一)である。

セックスはダメだけど・・・ヤクザの暴力は殺人以外はOKというTBSテレビのある意味狂った倫理観には脱帽だぜぇぇぇ。

まあ・・・ヤンキー・ファンタジー・マニアには垂涎の一作です。

で、『ドラマスペシャル・就活のムスメ』(テレビ朝日090327PM1115~)脚本・荒井修子、演出・片山修を見た。「クラブ活動は馬術部、いつも乗っている馬種はホルスタインです」と面接で答えるドジな女子大生・宮城のばら(貫地谷)の就活をめぐる軽いコメディーである。

イケメン・ライバル・九様こと九条貴彦(五十嵐隼士)、恋人的な要素のあるおタクお坊ちゃまの白藤(日村勇紀)、父(緋田康人)、母(池津祥子)、兄(越村友一)、兄嫁(ヘリョン)、行きつけのラーメン屋主人(半海一晃)など・・・出番に応じてコネタをばらまくパターンです。

当然のように就活の妖精・鈴木さん(佐藤二朗)が登場。タイアップのカップアイスをなめつつ・・・のばらを指導。

①「姿勢を正して笑顔を絶やさず大きな声で」②自分の言葉で意見を言う。

なんて・・・基本的なアドバイスなんだ・・・。

で・・・のばらは「何故、この会社で働きたいのか」という質問の答えに悩むあまり・・・面接会場に向かう途中で火事場に遭遇すると・・・ラーメン屋主人の「大切なのれん」を救おうと火事場に飛び込み・・・ハッピを持ち出すという・・・それがやりたいだけだろの爆笑展開です。

まあ・・・「食い扶持を稼ぐこと」と「働く喜びを見出すこと」はその場その場で考える他はない・・・という結論は・・・ある意味、生涯フリーターの脚本家のいつもの世界観でドラマとしてはグダグダですが・・・このドラマから何かを学ぼうなどという間違いを犯さない限り、いつもの変態ものとして充分に楽しめる仕上がりになっていました。

毎週、見たいくらいです。

関連するキッドのブログ『エリートヤンキー三郎

               『ROOKIES

               『モップガール

               『キミ犯人じゃないよね?

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『DOOR TO DOOR』(TBSテレビ)『相棒・劇場版』(テレビ朝日)

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2009年3月27日 (金)

みんな最後は風になります(福田麻由子)それでも時は続きます(田中麗奈)寝てました(池脇千鶴)

監督は「ゲゲゲの鬼太郎」(2007年)、本作品、「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」(2008)で今年はまもなく「鴨川ホルモー」公開である。淡々と作ってます。

当然のように「犬」の話ですが「オカルト」に仕上がってます。

豊川悦司と田中麗奈は父娘でマネージャーと女優ではありません。

福田麻由子→田中麗奈のつなぎはバッチリです。お互いに過去と未来を補完した演技。そこだけでも見応えがある。

主犬のソックスはゴールデンレトリバー。舞台は北海道。しかし・・・常春のようなムードになっています。

ファンタジーだからです。

で、『木曜洋画劇場・犬と私の10の約束(2008年公開)』(テレビ東京090326PM9~)原作・脚本・澤本嘉光・川口晴、監督・本木克英を見た。ちなみに・・・木曜洋画劇場は41年続いて最終回*7.7%です。一応・・・突っ込むと・・・邦画かよっ。

函館に住む中学生・斉藤あかり(福田)は大学病院に勤務する外科医・祐市(豊川)を父に絵が上手な芙美子(高島礼子)を母にもち、恵まれた日々を過ごしている。

しかし・・・母は病に倒れ入院。死期を悟った母はあかりに仔犬を贈る。

母は娘に犬を飼うための10の約束をさせ、破ったら不幸になると遺言する・・・しません。

1.犬の話をがまん強く聞いてください。

まあ、犬は話しませんが。テレパシーということです。

まもなく・・・母は帰らぬ人となり・・・そのためにあかりは寝違えてしまいます。

2.犬を信じて。犬はいつでもあなたの味方です。

「あっち向いてホイ」が幼馴染の星進(佐藤祥太)より強い愛犬ソックス。魔力があるためにあかりのまわらない首を治癒します。ギックリ腰体質には羨望の魔犬。

3.犬とたくさん遊んで・・・。

友達と遊ばずに犬と遊ぶのは人間関係のスキルを上達させませんが、ゲームばかりしているよりは健康的である。

4.犬にも心があることを忘れないで・・・。

しかし・・・父が札幌に転勤するために星家にソックス置き去りです。まあ・・・北海道の恵まれた家庭のすることですから。ちなみに星家はギター教室。父(布施明)はギター教師でやや厳格ですが・・・後の姑となる母(相築あきこ)はなぜかずっと冷淡な性格に描かれている。

5.犬とケンカはやめよう。

暴力反対かよっ。星進は海外留学が決まり、ソックスはさらに置き去りに。父親は責任を感じて勤務医を辞めて開業医になる・・・このあたりの展開はシュールだが・・・まあ、すべて北海道の出来事なのである。

6.犬が言うことを聞かないときは理由があります。

お腹がすいている時である。

7.犬には飼い主しかいません。

まあ、飼い主が一人である場合である。とにかく時は過ぎてあかり(田中麗奈)は獣医学部の大学生になる。そして親友のゆうこ(池脇千鶴)が登場。ついでに星進(加瀬亮)はギタリストになって帰国である。

8.犬が年をとっても仲良くしてください。

旭川動物園に就職が決まったあかり。函館~旭川は特急列車で5時間弱くらい。父とソックス置き去りである。自立期に入ったあかりはソックスを・・・もう必要としないのだ。

9.犬は10年くらいしか生きられません。

星とラブラブになったあかりだが・・・星は事故で指が麻痺。あかりは邪険にしていたソックスに困ったときの魔犬頼みをする。最後の力をふりしぼり星を治療するソックス。もちろん「タイム・アフター・タイム」(シンディー・ローパー)の呪いがかかっているのである。

人が忘れてしまっても

犬は忘れない

あなたが倒れても

犬は側につきしたがう

そして吠えるだろう

くりかえし 吠えるだろう

わんわんわわん・・・と

10.飼い主とすごした時間を犬は忘れません。犬が死ぬときはそばにいてください。

魔法使いだった母は最期の手紙をソックスに託していた。犬小屋を10年も掃除しなかったあかりは幸せだった日々を思い出す。人間は幸せを失ったときにしか幸せだったことに気がつかないものだ。

そして、永遠の春に包まれた北海道で・・・結婚式。花嫁の父も泣かしにかかるがソックスの敵ではないのだった。どんな俳優も子役と動物には勝てないのが鉄則である。

記念写真で犬好きな人々は言うだろう。「マルチーズ」と。

関連するキッドのブログ『福田麻由子の霧の火

               『田中麗奈の猟奇的な彼女

リセット』↗*6.4%は高橋真唯のゲストで魔術要素の濃い展開。いわばリセット(過去修復)という悪魔とタロット(未来改変)という悪魔の混在物語である。まあ・・・ともに時の神クロノスの支配の話。ついでにキャラメルボックスTV(TOKYO MX)は「クロノス」をオンエアである。まさにタイム・アフター・タイムな夜でした。

時間をなんとかしたい・・・人のせつなる願い・・・まあできることをするしかないのですがね。

土曜日に見る予定のテレビ『サッカー・ワールドカップ・アジア最終予選・日本VSバーレーン』(テレビ朝日)『帰ってこさせられた33分探偵』(フジテレビ)『ごくせん卒業スペシャル'09』『妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『アグリー・ベティ』(NHK総合)

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2009年3月26日 (木)

春然らば・・・春になったらという意味です(夏川結衣)春高バレーです(二見梓)

・・・っていうか。もう決勝を残すのみなのである。

東京は桜の季節である。

今年の春高バレー(第40回全国高校バレーボール選抜優勝大会)は「浅尾2世」の呼び声も高い・・・神奈川県代表・大和南高校の二見梓(1年)である。「あずあず」である。

残念ながら準々決勝VS千葉県代表市立船橋でセットカウント1-2で敗退。来年も来てもらいたい。

準決勝で敗退した八王子実戦の持丸結美子(1年)も菊間監督に泣かされる姿が印象的でした。

・・・結局、そういう視点かよっ。

で、『春さらば~おばあちゃん天国に財布はいらないよ~』(テレビ東京090325PM9~)脚本・井上由美子、演出・阿部雄一を見た。軽いコンゲームである。グレイゾーンの詐欺師は訪問介護員の新城かすみ(夏川)で、ターゲットとなるのは介護を受ける老人たち。右半身不随の海野(原田芳雄)、ごく軽度の認知症・富山(市原悦子)、発声の不自由な原川(山本學)という面々。

過去に男に貢いで横領の前科のあるかすみは保育園に通う娘・まゆ(畠山彩奈)を女手ひとつで育てている。その教育方針は「信じていいのはママとお金」である。

前提として「人をだましてお金を得てはいけない」・・・があるので・・・かすみの行為は裁かれることになるのだが・・・本人たちが「だまされたい」って言ってるんだからいいじゃないか・・・と思わないでもない。

基本的に世の中は「騙される側」と「騙す側」で成立しているからである。

「悪」ではあるが「犯罪」ではない・・・を描くのか、「善」ではあるが「犯罪」であるを描くのか・・・後半は好みの別れるところである。

「老人のケア」を「職業化」が時代の趨勢なのだが・・・昔は「家族」が「無償の愛」でやったことを現在は「金銭」に替えるのである。そもそも非生産的な「老人」を「金銭」に換えるので「賃金」は低く設定されざるを得ない。

そのあげくが・・・姥捨て山がカチカチ山になるというのが現実である。

老いた庶民は基本的には「くたばりそこない」なわけで・・・人間らしく扱われるのには限度があるのだ。

ドラマでも基本的には「家族」と断絶した「老人」たちが・・・献身的な介護をするかすみの虜になっていくというのが序盤である。

で、かすみは「水道水」を「名水」と偽って売りつけ、「金の投資話」で「貯金」をまきあげ、「慈善団体に寄付」といってネコババする・・・というように小銭を稼ぐのである。

しかし・・・介護はしないが遺産は欲しい「家族」たちはそんなかすみと老人たちの交流を疑惑の眼差しで見る。そして所轄の刑事(小泉孝太郎・温水洋一)たちも・・・かすみを「介護詐欺師」としてマークするのである。

はっきり言って・・・コンゲームとしては弱い。

かすみの行為は証券の偽造だったり、名水の偽造だったり、明らかな犯罪行為である。そのあげくにかすみに惚れた原川が「かすみに全財産を残す」遺言書を残していたために・・・「捏造」を疑われるのである。

原川は元・教師である。遺言書を本気で残すとしたら第三者(弁護士)等をたてるだろう。遺族が発見したりしたら問答無用で焼却するに決まっているのである。

結局・・・「時価」の問題なのである。魅力的なホームヘルパーと普通のホームヘルパーでは賃金格差が生じて当然ということだろう。それを社会が認めないから・・・知恵を絞って上乗せ分を稼ぎ出す。そのアイディアをもう少し見せてもらいたかったのだな・・・いや・・・コンゲーム的にはです。

結局・・・疑惑をもたれて職場を追われるかすみを・・・老人たちが「やや金の亡者となったかすみにお灸をすえつつ介護は続けてほしいと庇う」という灰色決着。

最後はどうなったのかよくわからない展開である。

大体・・・前科者に世の中はそんなに甘くないよ・・・。

つまり・・・ドラマとしてはアイディアが不完全燃焼になっていたと考えます。

まあ・・・ぐだぐだの人間関係描写を・・・役者たちの熱演でカヴァーということです。

まあなあ・・・本当の詐欺師たちはもっともっとあこぎなわけで・・・ドラマは結局御伽噺なんだな。

かっては身寄りのない・・・お年寄りをボランティアで近所の人間が世話しているなんてことは普通だった。今は役所が介入してそういう奉仕さえも組織化している。予算がないから善意に頼っているわけである。

一方でそれなりに財産を残した人間が相続者を持たなければ身近な誰かに後事を托すことは何の問題もない。老人介護も地獄の沙汰もなんとやらである。

たとえば・・・墓のことである。死後・・・しばらくは法事などを営んでもらいたいと思えば・・・それなりのお金を預けなければならない。もちろん・・・寺などの管理施設に預ける方法もあるがそれなりに気心の知れた人に菩提を弔ってもらいたいというのが人情である。当然それなりの金額は残すのである。それを受けた人がその金を着服したとしても何の問題もない・・・と考えるかどうかは人それぞれであろう。

どちらにしろ・・・永遠に供養することなどはできないのである。死ぬ寸前にそういう気持ちになれただけで充分と考えることもできる。

まあ・・・死後の世界を信じないキッドは即行で無縁仏にしちゃいますけどね。

死後の世界を信じるキッドは化けて出られるとこわいのでそこそこ墓守をします。

いくつかの墓をそうやって管理していると・・・墓の移り変わりが気になってくることがある。もちろん・・・施設の経営者はもっと見えているはずである。去年まであった墓が空き地になっていると・・・引越したならいいけど・・・一族滅亡の場合もあるだろうと想像したりするわけである。

お墓があって墓参りする人がいてその人が自分の死後墓参りをしてくれるだろう人がいると思えること。それもまた幸せなのである。

人間ってバカだなあ。視聴率は10.9%。そこそことりました。

探偵側で介護員は見た!シリーズもあるよな。

関連するキッドのブログ『ありふれた奇跡

金曜日に見る予定のテレビ『ルパン三世VS名探偵コナン』(日本テレビ)『黒木メイサのクローズZERO』(TBSテレビ)『貫地谷しほりの就活のムスメ』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)

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2009年3月25日 (水)

自我が作れるなら寿命設定も・・・(速水もこみち)人工遺伝子も(相武紗季)人工精・・・(水嶋ヒロ)

子作りもできるはずだとか・・・言いません。野暮だから~。

ちなみに「WBC日本優勝緊急特番」26.5%に「絶対彼氏」*9.0%。ナイト・・・木端微塵かっ。

しかし・・・人間とロボットが愛し合って生きていったっていいじゃないか・・・というレベルにまでお茶の間は達しないから・・・ナイト(速水)は復活しては機能停止する宿命なのかもしれません。

で、『絶対彼氏~完全無欠の恋人ロボット~最終章スペシャル』(フジテレビ090324PM9~)原作・渡瀬悠宇、脚本・根津理香・深沢正樹、演出・土方政人を見た。「ありふれた奇跡」では生殖能力がなくても愛があれば結婚できるという考えが提示されるのだが・・・「絶対彼氏」ではやはり生殖能力がなければダメだという結論である。せっかく・・・自我の獲得=科学力の限界で悲恋物語を完成させたのに・・・調子にのってスペシャルをやって・・・より中途半端な結論に・・・。結局、梨衣子(相武紗季)は「ロボットのナイトより人間の創志(水嶋)を選んだ」に過ぎないのです。

ナイト「オレは梨衣子の子供を作ってやれません・・・」

梨衣子「子供なんていなくても家族はあなた一人で充分よ」

という結論だってあるわけですからーっ。

・・・おい、野暮は言わない約束では・・・。

だって・・・ただ一人の女を愛し続けるなんて・・・自我が芽生えたら無理だろう・・・。

・・・それはどうかな・・・。

・・・失礼しました。とにかく・・・「自我」とは何か・・・という問題は人間の根本にかかわりますからね。あまり、突っ込むとろくなもんじゃありません。最後、ナイトは自殺を決意しているわけだし・・・それってロボット鬱なのか・・・という問題もあのますしね。

とにかく・・・玉木宏が「のだめカンタービレ」の千秋先輩の呪縛から逃れられないように、速水もこみちも天城ナイトの呪縛から逃れられなくなる。ナイトになると魅力倍増は間違いないようです。

さて・・・魂のあるロボットに心を奪われた女・梨衣子。しかし・・・魂を得たことにより寿命を得たナイトは機能停止。それから三年、心の傷を癒し、創志と婚約した彼女の前に・・・再び現れるナイト。しかし・・・ナイトは初期化されていたのだった。

ナイトを復活させたのはナイトの生みの親・並切博士(佐々木蔵之介)を上回るマッドサイエンティスト神谷博士(国仲涼子)。並切博士が「鉄腕アトム」の天馬博士なら・・・神谷博士は「8マン」の谷博士・・・なぜなら・・・神谷博士は米国の軍事機密を盗んで来日です。

しかし・・・神谷博士は乙女チックなネクロマンサーでもあります。

彼女の目的は事故死した恋人・純(内田朝陽)に魂(自我)を吹き込むこと。

これが・・・死んだ恋人の願い(封印されて秘密)を叶えることと美化していることがドラマの破綻をギリギリ支えますが・・・致命的な欠陥にもなっています。

まあ・・・自我は人間にだけ許される・・・ロボットが自我を持っても苦しむだけというのはいささか浅薄な倫理観ですからーっ。ある意味、人種差別とか障害者差別とかに通じる危険な部分でございます。

まあ・・・悪魔としてはそれはそれで構わないとも思いますけれどーっ。

「銀河鉄道999」「キャシャーン」「ターミネーター」「アンドロイドは電気羊の夢を見るか(ブレードランナー)」「ギャラクティカ」・・・ロボットと人類が生存競争をするのは宿命みたいなものですから。

それはともかく・・・並切博士には修復不能だったナイトの電子回路を復活させ・・・自分のセクサロイド・純にも「自我」を移植しようとたくらむ神谷博士なのです。

「自分の願いが叶うならば・・・他人の心など眼中にない」・・・清々しいほどにマッド・サイエンティストな神谷博士の陰謀に・・・たちまちナイトと創志の三角関係状態に立ち返る梨衣子・・・成長していません。

本来、ナイトの「自我」は容量不足で「崩壊」するのですから、集積回路の発達で解決できることは明らか。

人間だって・・・神経細胞の発達から情報の集積を経て、自我が芽生えるのに三年はかかるのが普通です。まあ、出産と同時に「天上天下唯我独尊」と言ったシッダルタのような例外はあるわけですが。

「ナイト」も「純」も「恋人を愛すること」に特化したシステムですから、そこに「自我」あるいは「魂」あるいは「意識」が発生した時に・・・純粋でまるで悟りを開いたような慈愛に満ちたキャラクターになるのは一種の洗脳状態のようなものなのてすな。

目覚めた瞬間に「君のためなら死ねる」・・・そうプログラムされているわけです。

とにかく・・・修復と寿命の延長問題にはまだ謎が残りますが・・・神谷博士の計画は成功。ナイトと純は「奇妙な自我」を持ったロボットに進化します。

しかし・・・ついに米国からの追っ手がかかります。軍事機密の回収と・・・国家反逆罪の博士の逮捕が目的なので軍事ロボットが投入されるのです。日本の主権はないのかっ。

っていうか・・・神谷博士、応用技術で何体も恋人型ロボット作っているので・・・情報回収もはや遅いのでは・・・。

とにかく・・・最後は博士と梨衣子を守るためにナイトと純が軍事ロボットとバトルを・・・繰り広げません・・・。

ロボットアクションものではなく・・・純愛ファンタジーですからーっ。並切博士が制御装置を鉄拳一撃、強奪です。まあ・・・普通はその場で銃殺です。

生前の純の望みは・・・神谷博士と結婚して・・・子供のいる家庭を作ること。

「私にはできません・・・」となぜそうなったのか・・・説明のないまま・・・機能停止する純。

結局、自我が芽生えると・・・機能停止する宿命のようです。

しかし・・・そうなったら再起動すればいいわけで・・・自我=寿命の問題は解決。

ドラマとしてはもっとも苦しいところ。

結局、「恋人ロボットは恋人の幸せを最優先」「恋人の幸せは結婚・出産」「恋人ロボットには生殖能力がないので恋人を幸せにできない」という・・・ものすごく低レベルあるいは限定的な人生観の導入で・・・ナイトは自殺を決意する。梨衣子もそれを受け入れるという・・・ちっともロマンチックでない結論に・・・。

まあ・・・仕方ないか・・・これはロボットSFではなくて・・・恋愛ファンタジーなんだからーっ。

しかし・・・ナイトが粉砕されているシーンはないので・・・第三の覚醒はあるのかもしれません。シンデレラのその後はもはやファンタジーではないのでやめておいた方がいいかもねーっ。もこナイトは見たいけどねーっ。

ああ・・・アンビバレンツ・ホールド。

本当はお涙頂戴レビューにしたかったのに・・・自我がそれを許してくれませんでした。

ほら・・・「シザーズ・ハンド」の決着のせつなさが本当はあるんですけどねーっ。愛する女は人間として結婚し・・・老いて・・・孫に愛の物語をする・・・彼女を思いながらロボットはひっそりと暮らすっていう。

そのアンチテーゼであるレギュラー・シーズンの最終回で示される・・・「二人はずっと愛し合い老衰死する梨衣子と見取るナイト」のビジョンが一番美しい愛のエンディングだと感じるキッドは・・・やはり人間失格なのですか?

関連するキッドのブログ『最終回のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『犬と私の10の約束』(テレビ東京)『高橋真唯のリセット』(日本テレビ)

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2009年3月24日 (火)

目を閉じてよ(瑛太)正当防衛なヴォイス(石原さとみ)エコエコアザラク(近野成美)

幼い頃の加地「人間は死んだら終わりなの?」

キッド「そうだ・・・と思うけど証明した人間はまだいないんだ」

まあ、現実的に言えば断言してもいいけど・・・時には懐疑は必要だからな。

このあたりのニュアンスがベースにあるかないかで人間性は問われるのだった。

とにかく・・・かって中学生を性的暴行しようとした男(ダンカン)は死体となったのです。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↗10.1%(平均*8.8%はマジックである)、「警視庁三ツ星刑事」12.1%(特命係の亀山ではありません)、「RESCUE」↗*8.9%(この枠にシリアスは無理なのだな)、「黒部の太陽・前編」16.7%、「後編」18.6%(白無垢綾瀬、据え膳深田、貫通など見所はありました)、「天地人」↘21.7%(とりあえず・・・新潟県周辺の斉京氏一族が喜んだのか・・・)・・・ついでに「ヴォイス」↗13.6%・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~最終回』(フジテレビ090323PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。冬ドラマの視聴率首位を争う「ヴォイス」と「キイナ」なのだが・・・まあ、数字的にはかなり低レベルの戦い(平均視聴率①ヴォイス14.51%②キイナ14.50%)です。「ヴォイス」は死体の最後の声を主人公が妄想、「キイナ」は妄想のような事件を主人公が超能力で解決・・・という妄想の裏と表のような展開だったことが・・・ある意味ミラクルです。

人間の「個性」は不思議なものである。「普通の人間」というものが考えにくい時代でもある。たとえば「キイナ」の主人公は「一度見たものを忘れない」という超能力を保持しているわけだが・・・加地(瑛太)も実はある意味では同様の能力を持っている。

さらに言えば加地は・・・死体が死亡した場所に行くと・・・生前の姿が妄想できるという特技も持っている。同様な能力を持っているキッドには非常にリアリティーを感じる話だが「普通の人間」にはピンと来ない可能性大であると妄想できるのである。

最終回の最後の最後で・・・他大学に転任する法医学教室の佐川教授(時任三郎)は・・・加地との最初の出会いを語る。

「少年時代の君に・・・死体のお医者さんになれと言われて私は法医学者になった・・・だから君にも同じ道を歩んでほしい・・・でも法医学者は想像するだけでなく、データに基づいた根拠を示さなければならない・・・そこが人間のつきあいというものだからだ・・・」

もちろん・・・発達障害の症状を呈する加地への苦言なのである。

発達障害も一つの個性であり、特に障害ではない・・・と考える人はいるかもしれないが・・・たとえば今回、「強姦の容疑者(不起訴)になった男が死体で、正当防衛を主張する加害者の高校生潔美(近野)が強姦事件の被害者(後に自殺)の親友だったので加害者には殺意があった」と言い出せばかなり社会的には問題なのである。

これに対し、佐川教授は「致命傷となった刺し傷の凶器の入射角度や加害者の腕に残った被害者の爪跡の形状から・・・加害者に殺意があった疑い」を警察に進言するのである。

この辺の社会的手続きを容認しない人間は発達障害を疑われるわけである。

しかし・・・同時に佐川教授は加害者が大学の理事長の縁故であるから「留意するように」という教授会からの申し入れを受諾しない。

そのために・・・社会性を問われ、大学を追放される。

つまり・・・教授もまた発達障害の疑いがかかるのである。

逆にいえば、大学社会全体に発達障害の疑いがかかっているとも言える。

こうした「一部の人間の便宜を図るべきか否か」は「公序良俗の問題」と言えるだろう。政治家がリベートをもらうのがおつきあいの範囲なのかどうかということなのである。

これは「赤信号みんなで渡ればこわくない」という発言をビートたけしがすれば「お笑い」であり、小学生が実行すれば「大事故発生」ということと同じようなものだろう・・・おいっ。

まあ・・・とにかく・・・法令と道徳の間のグレイゾーンに「発達障害」は深く関わっていると思われるということだ。

中学時代に友人がレイプされた。友人の親は世間体を考えて告訴を取り下げ、犯人は不起訴処分となった。その後、友人は自殺した。

犯人はその後、更生し結婚して家庭を持つまでになった。それを知った高校生の潔美は犯人が幸せであることに憤り殺意を芽生えさせ、殺人を実行した。

まあ、女子高校生・潔美を演じるのが「エコエコアザラク R-page 」「エコエコアザラク B-page 」(2006年)で黒井ミサを演じた近野成美ですから友達のために復讐を決行しても違和感はないのですが・・・これも一種の発達障害です。「普通の人間」はそうはしないと考えられるからです。「普通の人間」はそこまでするのは二人が親友ではなくて恋人同士だった・・・同性愛的に・・・と考えます・・・おいおい。

まあ・・・この辺をツッコミはじめるとキリがない・・・というのがこのドラマの最大の問題点でした。

実際、この展開ならば・・・「社会的地位を利用して鑑定結果を操作しようとした大学上層部」は徹底的に糾弾されるべきでしょう。

それを・・・まったくせずに折り合いつけて学園を去って行く佐川教授は発達障害がなさ過ぎるといっても過言ではないのです。

とにかく・・・死者の声は加害者が聞いていました。「私が殺しました・・・あの人は最後に言ったのです・・・ずっと後悔していたと・・・自分は何てことをしてしまったのかと・・・ああ・・・私もそう思ったのです・・・自分は何てことをしてしのったのだろう・・・と」

ドラマとしての結論は・・・後悔先に立たずであり、御免ですんだら警察要らないよ・・・なのです。

結局・・・発達障害に溢れ・・・まだまだ未成熟な社会で・・・犯罪物語を捏造するときにはもう少し割り切らないと・・・中途半端な作品になりがち・・・ということになるのでしょう。

とにかく・・・「好きかどうか考えるのはもう好きってことでしょう」と分析する久保秋(石原さとみ)は普通の賢い女子大生役で・・・久しぶりに清々しかった。もうこれでいいや。

実際に・・・犯罪となれば・・・被害者も加害者も個人情報を徹底的に捜査される・・・そうしなければ人間関係を捜査機関が把握できないからである。それが学生によってその辺で収集する情報と同じレベルということになれば「トライアングル」が生れることになるのです。

冬ドラマも最終章なのですが・・・「キイナ」「ヴォイス」「トライアングル」は「相棒」のようにはなれなかった。やはり・・・名実兼ね備えた探偵の道は険しいということです。しかし、「キイナ」や「ヴォイス」にはギリギリ続編のチャンスがあると言えるでしょう。

その時は・・・もっと楽しませてくれるといいのになぁ。

今回のラストで加地は発達障害を偽装する人格障害者のようにも見えました。本来・・・探偵より犯人に向いているタイプなのかもしれません。犯罪者と名探偵は紙一重の関係だということです。

関連するキッドのブログ『第10話のレビュー

ちなみにWBC決勝は延長十回イチローの勝ち越し2点タイムリーで日本5-3韓国で日本軍優勝。

水曜日に見る予定のテレビ『夏川結衣の春さらば』『エリートヤンキー三郎(再)』(テレビ東京)・・・おおっ・・・シーズン・オフだな。

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2009年3月23日 (月)

仁義なき天地人・物資調達篇(妻夫木聡)菊姫見参!(比嘉愛未)

まあ、もうどうしようもない虚構に走っている御館の乱の長い序盤戦。

とにかく・・・菊姫(比嘉愛未)が登場。しかも姫武将モードです。まさかとは・・・思いますが・・・勝頼・母の諏訪御料人との血縁を意識しているような・・・キャラ設定じゃないだろうな。

一応、サイヤーライン(血統)を確認しておきます。

勝頼・・・父・武田信玄、母・諏訪御料人、母の父・諏訪頼重

菊姫・・・父・武田信玄、母・油川夫人、母の父・油川信守

菊姫には諏訪御料人の血は流れていませんからーっ。そこんとこ・・・ヨロシク。ちなみに菊姫15才くらいです。もちろん、血統には諸説ありますので・・・あくまで常識の範囲内の話です。勝頼の娘だとする説までありますからねーっ。そうなると・・・景勝は勝頼の義理の弟でなく・・・お婿さんになってしまいますがーっ。

で、『天地人・第12回』(NHK総合090322PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。まあ・・・とにかく・・・このドラマのスタッフは黒澤明監督の「七人の侍」を見たことないのだと思いますね。戦国の掟「腹の減った侍雇うだ」が分っていないようです。まあ・・・とにかく、上杉景虎の春日山城からの脱出により、第二段階に入った「御館の乱」はまったりと展開しています。天正六年五月中旬から六月下旬については様々な動きが同時に起きていくので時系列を整えるのはなかなか難しい。①越後国内の調略による内部分裂 ②内部分裂による小競り合いの発生 ③春日山城(景勝)勢と御館(景虎・憲政)勢との衝突 ④越後国外での調略による動向 ⑤関東、信濃、陸奥方面からの侵略開始・・・このあたりの日程表確認できます。ついでに卓袱台投げの秘儀を堪能できます。直江信綱の髷で兜の秘術も要チェックですね。まあ・・・金蔵抑えた意味をなしくずしにする兼続(妻夫木)の丸腰・無一文で兵糧調達大作戦で開いた口が今も開いたままでヨダレがダラダラでございますとも。菊姫イラストが楽しみですが・・・あくまでマイペースでお願いします。けしておねだり・・・していませんのでございますーっ。やれやれ┐(; ̄▽ ̄)┌

Tenchijin15784 天正六年五月中旬、春日山城城内での戦に破れた上杉景虎は春日山城の東北、関川の河口を扼する御館に本陣を移した。御館は春日山城に対する、府内の平城である。山城はあくまで防御拠点であるため、平時には謙信もここで政務をとったと言われる・・・いわば越後の国庁である。謙信の庇護下に入った先の関東管領・上杉憲政の住居でもある。憲政が景虎支持を打ち出したために必然的に景虎の本陣が御館になってしまったのだということもできる。平城であるが、堀もめぐらされ、前後に拠点となる神社・仏閣を持つために一応の城としての機能を持つ。二ヶ月に渡る調略合戦の末に・・・一応、旗色は分れ、景虎陣営は御館周囲に野営を開始している。

すでに・・・集結していた諸国の軍勢は半ば・・・帰国していた。また・・・越後国内の武将たちも所領の家来衆の意見をまとめるために本城に戻っているものもある。

北条(きたじょう)高広などは上野国に戻り、着々と北条(ほうじょう)家に臣従するための準備に入っている。景虎は北条高広を通じて兄・北条氏政に越後出兵を要請したのである。氏政は小田原と越後の距離的な問題から・・・妹婿の武田勝頼に出兵を促している。もちろん・・・武田が動かぬままでは北条も動けないという戦国の常識によるものである。

そのため、武田勝頼は従弟の武田信豊に信濃越後国境に軍勢を集めさせている。

その頃、上杉景勝はようやく春日山城全域を掌握するに至っていた。

謙信の後継者である景勝は生前より、養父・謙信に春日山城の秘所を伝えられている。結局、景虎が場外に押し出されたのはこの情報力の差が大きかったのである。

一口に春日山城と言ってもその規模は三段階に分かれている。第一の城は春日山天守閣を中心に春日山全体を城塞化した部分である。一般的にはこれを春日山城と呼ぶ。しかし、その内部には巨大な水の手があり、さらにはいくつかの隠された地下蔵がある。それらは地下通路で連絡されたいくつかの山内屋敷に通じていて、それを知るものは城内において神出鬼没の戦闘が可能となるのだ。最初は様子見をしていた旗本たちが景勝になびいたのはすべて・・・山城内の秘密を知るもの・・・謙信の後継者と認めたからである。

第二の城は春日山周辺に配置された砦群によって構成される。いわば春日山城の出丸である。山城の東南に位置する城下町を守備する東城と四ツ屋の両砦から円を描き長池山砦、番屋砦、城ヶ峰砦、宇津尾砦、滝寺砦などが配置され、山城を包囲する結界を作っている。その中でも最北端に位置する沖見砦は最も重要な砦でそこには謙信の軍船の停泊する郷津港が属するのである。

この港を制する限り、物資の搬送は随意に可能となる。もちろん・・・兵糧不足に陥ることなどありえないのである。また、春日山城は隠し蔵などに隠し兵糧が貯蔵され、2000の軍兵が一年間篭城可能であるとされている。

上杉海軍を支配するのは直江一族であり、景勝の筆頭家老である以上、制海権は景勝が当然のように制している。また水軍衆は利に聡いのが一般的である。金蔵を押さえ、戦国一と噂された謙信の軍資金を手に入れた景勝にとって春日山城周辺での勝機は日に日に高まっている。

しかし、第三の城である・・・春日山支城の領域の旗色は不鮮明であった。

春日山城と御館を府中城と考えた場合、海に面する北を除き、三方に支城レベルの山城が築城されて防衛ラインを形勢している。

東に直峰城があり・・・城主・上杉(古志長尾)景信は景勝の出身上田長尾家との過去の確執の因縁から景虎支持に傾いている。南に鮫ヶ尾城があり・・・城主・堀江駿河守は地理的条件から信濃武田勢力の影響を受け、武田、北条の同盟関係から景虎支援にまわらざるを得ない。西は越中への出口となる不動山城である。城主・山本寺定長は旧国主である越後上杉氏の一族として・・・家来筋である長尾氏出身の謙信・景勝という国主継承には簡単には同意できないという姿勢を示している。

御館の景虎に一種の余裕があるとすれば・・・この第三の城の段階で・・・旗色が自分になびいている気配を感じているからである。実際、すでに景虎の手足となって働く風魔衆によれば、直峰城、鮫ヶ尾城、不動山城は何れも景虎支持を約定したと言う。

「しかし・・・」と御館の奥の間・・・御館城主として君臨する景虎の足下に控える忍者の頭・・・風魔小太郎は忍び声でささやく。「郷津の港が厄介でございます。ここを抑えねば、せっかくの包囲が・・・穴の開いた桶も同然でございまする」

景虎は・・・白髪に覆われた頭部をさらし、蹲る忍びの頭領を薄気味悪く感じていることを顔に出すまいと務めている。景虎は北条氏康の実子ではあるが人質生活が長い。北条宗家の支配する風魔一族の実態をほとんど知らなかった。この男が四代目の風魔小太郎であるのが・・・真実かどうかもわからない。何人かいると言われる影忍びの一人かもしれないのだ・・・。そう思いつつ・・・景虎は問いかけた。

「では・・・どうせよと言うのじゃ・・・」

「まずは武田の軍が北上するまで守りに徹することが肝心でございまする」

景虎の心に反発が生じる。春日の山から追われたことは景虎の自尊心を深く傷つけていた。

「それはできぬ・・・いわば・・・わが軍は敗勢・・・ここは攻めて出て一矢を報いねばならぬ・・・。幸い、直峰城から上杉景信が軍勢が到着しておる。これと府内衆をあわせて・・・春日の城下を焼き討ちにいたす・・・これは今夜・・・決行する・・・御主たちもこれに加勢するのじゃ・・・」

風魔小太郎は顔を伏せたまま・・・しばらく間を取った。しかし・・・諦念したようにさらに頭を低くした。

「かしこまりましてございます・・・しかし・・・くれぐれも深追いは御戒めくだされますように」

「くどい・・・一撃離脱は最初からの決め事よ・・・」

景虎は短気になっていた。急激な主としての采配ぶりという立場の変化が・・・景虎を慢性的な興奮状態に追い込んでいる。

「もう・・・さがってよい・・・」景虎は自分の心を静めるように手を振った。次の瞬間、老いたように見える忍びは目の前から消えていた。とても老人の所作とは思えない。景虎はその不気味さに一瞬、冷静さを取り戻したような心地がした。

春日山の城下に広がる春日町の南の砦には樋口衆が入っている。樋口兼続こと与六は斥候の長として・・・樋口衆の他に、山城周辺の地侍衆を手下としている。何れも軒猿の手のものだった。頭領である担猿が死んで・・・申し合わせにより、謙信直属の忍びであった軒猿たちは直江衆と樋口衆が引き受けている。

忍びは実力がすべてである。年少である与六は・・・信濃真田のくのいち初音の手ほどきで並々ならぬ技量を持っている。そのことで軒猿たちは与六の配下となることに不服を持たない。

兎目と渾名される小柄な忍びが砦の中の与六があてがわれた小屋に戻ってくるなり告げた。

「御館の衆は夜襲に出なさるおつもりでござる」

「人数は?」

「おそらく、四、五百はくりだすかと」

「・・・狙いは春日の町衆か・・・」

「さように存ずる」

「ならば軒猿衆は北の砦に加勢をお願いしたい・・・」

「承知いたした」

兎目とともに小屋を飛び出した与六は「夜討ちあり」の符牒を呼子で吹く。

砦の小屋からは・・・配下のものどもが素早く現れる。何人かは足軽具足をつけ、何人かは忍び装束である。

「兄者・・・迎え撃つのか」と弟の与七が声をあげる。

「いや・・・」と与六は忍び声で答える。「多勢に無勢じゃ・・・砦を守ればそれでよい・・・今宵は風魔どもが出るであろう」

やがて、地響きとともに御館から春日の町へと軍勢が南下してくるのが見える。

北の砦と南の砦からは銃声があがる。しかし、景虎勢は数をそろえて中央を突破していく。何人かは銃撃により即死している。さらに砦からは矢を討ちかける。それでも城下町に突入した軍勢はたちまち火をかけはじめる。

風にのり、町衆の女子供の悲鳴があがる。

「愚かな・・・」と与六は思う。「焼き討ちなどしかけて民を敵に回すだけではないか・・・」

与六は何度か見た景虎の端整な顔立ちを思い浮かべる。「踊らされて・・・血迷うたかの・・・」とその刹那、殺気を感じた与六は地を蹴った。その足下に風魔の使う棒手裏剣が突き刺さる。「風魔じゃ」

その声に応じて、曲者に向かったのは与六とは異母姉のくのいちお銀だった。一撃必殺の抜刀術の使い手である。相手が逃走に移るのに乗じ、身を寄せていく。次の瞬間、走りながら抜刀したお銀の忍び刀が燃え上がり始めた町屋の炎に映える。叫びも残さず、曲者の胴体が両断される。その瞬間を狙って忍んでいた別の忍びが殺気を放つ。お銀の背を棒手裏剣が貫くイメージが掠めるが、忍びが手裏剣を放つよりも先に接近した与七が背後から切り捨てている。

その時には与六はもう一人の忍びと対峙していた。忍びは包囲を恐れて与六に接近戦を挑む。一撃して脱出路を作る意図である。与六は相手の意図にはのらずに攻撃をかわして相手の背後を取った。口には毒を仕掛けた含み針を咥えている。次の瞬間、針は忍びの首に刺さっていた。振り返った忍びの目が与六をとらえた。その目には一瞬悲しみが浮かんだ。そして忍びは自ら、小刀で首を切断した。

「・・・痺れ薬と知って自害したか・・・」

すでに襲撃はおわっていた。与七が最後の死体から覆面を剥ぎ取る。若いくのいちだった。与七がささやいた。「兄者・・・四郎兄様の仇をうったな・・・こやつ・・・あの夜の風魔じゃ・・・」

すでに城下は火の海に包まれていた。山城から追っ手が繰り出し、襲撃者たちは引き上げの体制に移っている。その退き陣に両の砦から銃撃が浴びせられる。炎に照らされて射撃精度はあがり、最初より多数のものが大地に伏す。

やがて・・・手負いのものの呻き声を残して、襲撃者は去った。樋口衆は再来を警戒して斥候を出しながら・・・倒れたものに近付いていく。味方なら担ぎ出し、敵ならとどめをさす。逆襲を許さぬためにとどめは毒を塗った投げ矢を用いる。

略奪もならず・・・かなりの犠牲者を出した景虎勢の夜討ちは明らかに失敗だった。

しかし・・・御館から春日町の火の手を見る景虎の目には喜色が浮かんでいた。ほんの二月の戦・・・歴戦の武将である景虎だったが・・・己の長たる戦は格別の味を持っていた。景虎の心は静かに狂い出していたのだ。

「あはは・・・燃えている・・・春日の町が燃えている・・・景勝・・・思い知ったか」

我知らず・・・景虎は吠えていた。その声を継室の華姫は暗澹とした想いで聞いた。

関連するキッドのブログ『第11話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『絶対彼氏最終章スペシャル』(フジテレビ)・・・あれだけ泣かせておいて復活かよ・・・まあアンドロイドだからな。

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2009年3月22日 (日)

人命救助中叫び続けるレスキュー(市川由衣)赤線の女(深田恭子)長女(綾瀬はるか)次女(末永遥)三女(志田未来)黒部の太陽(香取慎吾)

まあ・・・「RESCUE・特別高度救助隊」も「黒部の太陽」も男たちのドラマなのだが・・・前者は救難活動している間に主人公・大地(中丸雄一)が「僕は僕がどうあるべきかついに分っちゃいました。僕の命は大切だし他人の命も大切だし、命はみんな大切だし、僕の命と他人の命は同じくらい大切だし、大切で大切でびっくりしちゃうくらいですし、僕はわかっちゃたんです~」と解説をし続けるという・・・いくらドラマでもそれはないだろうという展開が毎回ある・・・つまり必ずウンザリする場面がある・・・困った作品だった。

まあ・・・怪獣の出てこない特撮ドラマで・・・アクションの変わりにおしゃべり救助という見せ場がある・・・という考え方もできるが・・・救難活動中に意味なくヘルメットを脱ぎだしたりするので・・・いや、意味は顔を見せるためだということは分ります・・・つまりガッカリするのである。

まあ・・・「RESCUE」について市川由衣が出ているのにレビューしていない理由がここにあります。

で、『黒部の太陽・前編・後編』(フジテレビ090321PM9~)原作・木本正次、脚本・大森寿美男、演出・河毛俊作を見た。先行作品として映画「黒部の太陽」(1968年)や、ドラマ「黒部の太陽」(1969年)があるわけである。物語の骨子となるのは1963年に完成した黒部ダム(殉職者171人)の第3工区のうち関電トンネル(大町トンネル)と呼ばれる扇沢~黒部湖の貫通工事である。

山岳地帯を掘削して、人跡未踏のダム建設予定地と市街地の間に物資の搬送ルートを作る。しかし・・・地質的に破砕帯(断層によって粉砕され脆い岩盤)を多数含んだ工事ルートであったため、工事は大変な困難を伴ったのである。

まあ、自然と人間との戦争は面白いということです。

しかし、じっくり描くと面白さは尽きないのでドラマとしては掘削点を絞り込みます。

殉職者のうち、ドラマの登場人物として取り上げられるのはトンネル人夫の沢井甚太(勝地涼)のみ・・・ただし、若干名の顔を見せない死者の描写はあります・・・そういう意味ではものたりない感じはありますが・・・発破、出水、土砂崩れのリフレインは単調でありながら凄みが出ていました。

実際は・・・高度成長を目指す日本政府が・・・企画した・・・電力増産戦争で・・・戦死ということなので・・・「お国のため」というお褒めの言葉より「遺族への補償」を頼むわ・・・という現場の親方・倉松(香取)と施工主の関西電力・滝山次長(小林薫)の葛藤が軸になっていきます。もちろん・・・単なる労使の関係ではなく・・・戦友となっていくところがミソです。

倉松にとっての心の痛みは子分の人夫・甚太の事故死。そして、滝山にとっては三女の光子(志田)の病死が象徴する「自然との闘いの苦しみ」・・・それが身分を越えて二人の友情を育てていくという展開です。

倉松は主人公なので・・・甚太の婚約者である元売春婦の文子(深田)の面倒を見つつ、滝山の長女・幸江(綾瀬)に慕われるという色恋沙汰をこなしつつ、トンネル貫通に萌える職人気質を見事に演じきります。

最後は超能力者だった光子と光子の描いた絵を見て感激した滝山がいいところを全部持っていく熱演をしますので控え目な主役としてはがんばったと言えるでしょう。

もちろん・・・影の功労者はさらに控え目な態度で支える次女・響子(末永遥)なんですけどね。つまり姉と妹の気持ちの代弁者となるわけです。

このあたりの人間関係の構築のねちっこさは大河ドラマ「風林火山」の脚本家の味です。最後はエーデルワイス(ウスユキソウ=高山植物)でしめるわけですが、「風林火山」でも「死者を弔う花畑」が重要なモチーフになっていたので「またかよっ」というくりかえしのギャグも楽しめます。

エーデルワイスと言えば「白い高貴な」高山植物です。現場に入ると単身赴任で親子の交流のできなくなる父と幼い娘は「お絵かき」という趣味で結ばれています。父は娘のために「高山植物」のスケッチをプレゼントします。やがて白血病となった娘は父親のために最後の一枚を描き、トンネル貫通の直後に病死するのです。

やがて・・・ダムが完成し・・・戦友となった倉松と滝山は「娘の描いたダムのある光景」の見える場所まで登山します。

そこには「絵と同じ光景があり・・・絵に描かれたエーデルワイス」が一輪咲いている。

倉松が「ほら・・・ここに光子ちゃんが・・・」滝山は微笑む。

・・・最後はスーパーナチュラルホラーの輪廻転生オチなのです。

まあ・・・生きて繁栄を楽しむ人々がいて・・・たまたま恩恵に浴さない人がいる。

この辺の社会というものの機微を丁寧に描ききった佳作と言えるでしょう。

Hcinhawaii0541 お気楽プロダクション春の社員旅行。立山黒部アルペンルート。アンナテレビを見れるのも電力供給があるからぴょん。そのためのダム工事で働いた皆さん・・・ありがとうございましたぴょん・・・亡くなった人はナムナムのアーメン。慎吾ちゃんたちの掘ったトンネルは今でもトロリーバスに乗って観光できるのぴょん・・・感動ぴょんお気楽ドラマを見た後でわざわざあのトンネルをバスで観光って・・・もう、いつ、落盤で生き埋めになるかとドキドキだよね。週末はなんだかんだとあったけど、小野花梨ちゃんは明日香(志田未来)の幼年時代の子なのね・・・桜庭ななみちゃん・・・かわいいよね・・・ユーキとめぐるは昭和でも宿命の恋人でした・・・♪エーデルワイス~エーデルワイス・・・サウンド・オブ・ミュージックかよっ

月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)『中谷美紀の嫌われ松子の一生』(TBSテレビ)・・・今度こそ最後までオンエアできますように・・・麻生とか小沢とか頼むよ・・・。

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2009年3月21日 (土)

ラブシャッフル・エピローグ(玉木宏)敏感なの?(貫地谷しほり)敏感なのよ!(香里奈)私が守るもの(吉高由里子)

えぐりこむようにうつべし。・・・それは「あしたのジョー」で「ジャブ」の秘訣として示される。

えぐるというのは回転を意味するので「ひねり」の一種だ。

ジャブはひねるのがセオリーなのである。

ジャブ、ジャブ、ジャブ、ストレート・・・がボクシングの正攻法である。

「あなたは死なないわ」がジャブで「私が守るもの」がストレートと考えてもいい。

とにかく・・・「ラブシャッフル」は執拗なジャブの連打であり、ものすごいテクニシャンであることに魅了される。

たとえば・・・諭吉は芽衣の父親の会社を乗っ取り、政略結婚を強要するという古典を展開するのだが、これがジャブであり、ひとひねり入っている。つまり、愛のある政略結婚なのである。

だから「花婿に逃げられて恥ずかしいあなたの世間体を守るためなので結婚しても指一本ふれない」宣言である。

さらに「今、約束したばかりでなんですが・・・抱きしめる」のである。

そして、結局、イチャイチャで、アツアツで、ベタベタで、はうぅんなのである。

ジャブでジャブでジャブでえぐりこんでえぐりこんでえぐりこむなのだ。

これが徹頭徹尾である。もちろん・・・ストレートはストレートだ・・・「じゃ、ぱんだ」である。

Gパン、チノパン、フライパン、などを経てジャパンである。タラ・コーポレーションである。私を授業参観に連れてってである。爪先立ち不要トランクキスである。月満ちて愛溢るなのである。

久しぶりにブラボー!を奉げたいと考えます。

で、『最終回』(TBSテレビ090320PM10~)脚本・野島伸司、演出・土井裕泰を見た。ハッピーエンドで埋め尽くす最終回。これもまたえぐりこみの一つ。一組くらい外すのが常道なのであえて全組成立。そのために亀井五郎(袴田吉彦)が泣きを見ることになるがシスコンなので姉・美恵(梅宮万紗子・・・アンナの従妹)に慰めてもらえばいいのだ。ちなみに・・・五郎は最初の啓(玉木)のボジションになったのでふりだしに戻ったということもできる。

お茶の間の誰もが予想するカップルに落ち着かせながら・・・最後は月齢的には23日、欠けた下弦の月の夜に満月である。私を月に連れてってなのである。そして、その夜は関東では「ローマの休日」オンエアである。せつない恋はこちらでお楽しみくださいなのである。

今季のドラマはどれも味わい深く・・・ラブシャッフルです。ラブシャッフルがいい味してました。ラブシャッフル人前でキスしすぎです。

・・・なのであった。

さあ・・・結局、最初のカップルは

啓(29)×芽衣(25)

諭吉(29)×愛瑠(25)

旺次郎(26)×上条夫人(34)

菊田(32)×海里(19)

最後のカップルは

啓×愛瑠

諭吉×芽衣

旺次郎×海里(20)

菊田×上条夫人

である。つまり、年相応で無難なカップルに落ち着いたのだった。打たれ強い啓に暴力的な出る幕を求める愛瑠、敏感すぎる諭吉に性的魅力がほどほどな芽衣、シンジな旺次郎にレイな海里、バイの菊田になんでもありの上条夫人・・・啓の愛犬アイアイも納得の相性適合なのであろう。

まあ・・・とりあえず・・・俺たちの愛は始まったばかりさオチで・・・ふり逃げといえばふり逃げですけれどね~。でもラブ・ファンタジーにそんなこと言うのは野暮ですからーっ。

「イエス、ウイ・キャン」に対抗して「イェーイ、ジャパンだ~」は納得のキャッチフレーズだ。

オレたちゃ、日本人、ヘイヘイヘーイ

島国根性で、金儲けが上手くて、長いものにはまかれて、ヘイヘイヘーイ

涙もろくてお人好し ヘイヘイヘーイ

でも怒らせると特攻するよ ヘイヘイヘーイ

・・・なのである。いけいけ日本。どんと行けである。

つまりだ・・・梶原一騎へのオマージュかっ。

さて・・・トランプのクイーンとジャックに憑依されたカップルたちのその後を占っておこう。

のクイーンは芽衣(貫地谷)。ルイ1世の妃イルミンガルドルである。それに対してのジャックは諭吉(DAIGO)は英雄ホルガー。ホルガーは目的達成のためには冷酷非情だが・・・その目的は盲目的な愛だったりする暴走王。十字軍遠征で大活躍。つまり、愛するもののためには何でもできる男なのである。王の妻として良妻賢母になる芽衣とは相性抜群です。まさに無敵の夫婦愛で企業を買収しまくり、タラ・コーポレーションは地球を支配するような独占的巨大産業複合体に・・・二人の死後・・・後継者をめぐって世界が大戦争に突入することはダイヤモンドのように堅実です。

のジャックは旺次郎(松田翔太)。トロイの王子ヘクトルである。トロイア戦争で不死身の英雄アキレスに殺されてしまう運命である。それに対してのクイーンは海里(吉高)。聖書におけるヤコブの妻ラケルである。彼女は中東の旅の途中で産褥死です。二人がそろって・・・戦地に旅立つなんて・・・悲しくて・・・とても占いの結果は口に出せません。人生一寸先は闇ですな。しかし・・・災い転じて福となすのが運命の開拓者というもの。死神と友達の海里が九死に一生スペシャルに登場することはありえるかもしれません。マイナスとマイナスをかければプラスですし。死中に活ありです。

のジャックの菊田(谷原章介)はジャンヌ・ダルクの戦友・ラ・イル。のクイーンは上条夫人(小島聖)でシャルル七世の王妃マリー。夫の愛人・ソレルに苦しめられるが毒薬で暗殺してしまうこわい女。まさに・・・凶悪なカップルといえるだろう。その愛の形は複雑怪奇で暗黒属性。しかし・・・世渡りに関しては常ならぬ絶妙さを持つ二人である。野蛮人にして高尚。理知的で情熱的である。もう愛の狩人としてはとことんです。とことんやっちゃってください。

そして・・・最後はのクイーン愛瑠こと戦いの女神ミネルヴァと・・・のジャック啓こと円卓の騎士ランスロット。騎士を戦いに駆り立てる女神と世界最強騎士ランスロットのペア。これ以上の相性がございましょうか。喝をいれるために往復ビンタ。根性すえるための精神棒にケツバット。尻たたかれていざや戦場へ・・・戦いの火蓋はきっておとされましたから~。まあ・・・死ぬまで戦う戦士が最終的に戦死することは動かしがたい運命ですが・・・それもまた人生の喜びというものなのです。啓の過労死確率上昇中です。

関連するキッドのブログ『第9回のレビュー

Hcinhawaii0540 ごっこガーデン。ラブドロンボー・ホームパーティー会場。お気楽海里のかわいさは異常警戒レベル。まざってるのダッターマン。出た~赤い傘。ジャパンだ。ジャパンだ。・・・最後までだじゃれじゃん!・・・海里はミニストップのCMではキャピキャピしすぎ・・・どっちが素なのかなぁ・・・くう野島(白)ワールド全開ダッターマン2号。今回のテーマはズバリ・・・愛ってバカだわ~ってことかしら・・・寒いと思っていたギャグのひとつひとつが今や別れがたい言葉たちに・・・まさにマジックだよっまこカップル的中率100%達成でしゅ・・・ご褒美に男たちはもらっていくジョ~。パンダの中身はウイッシュか・・・はたまた菊りんか・・・お持ち帰り後のお楽しみでしゅエリうーん・・・パンダの中身が山P先輩ってこともありでしゅか~?」アンナダーリンってことは~?・・・はっ・・・もしや・・・トム?あんぱんち集会のギャラは一人一万かしら・・・。まあ・・・いちご食べてミルフィーユはいわゆる躁鬱病の躁の部分・・・みたいな~(爆)」ikasama4無言劇で・・・さて何をしているところでしょうクイズ、柱の影からストーカー・・・とにかく・・・来るべき衆議院選挙で誰か・・・ジャパンだ!を合言葉にしてほしいです。投票するかどうかは別として集会には参加したい。ジャパンだ!みんなで言えばこわくない。愛はメリーゴーランド、ヘーイヘイヘーイ

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『黒部の太陽・後編』(TBSテレビ)

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2009年3月20日 (金)

ありふれた神の力、ありふれた驚き、ありふれた証拠・・・ありふれた奇跡(仲間由紀恵)

前日の「キイナ」では「リフレーミング」という認知心理学用語が登場した。一言で言えば「見方を変えること」ということである。前提となるフレームと言う言葉は「枠組み」だから「枠替え」と言ってもいい。

「失恋」という言葉を「恋の終わり」と考えるか「新しい恋の始まり」と考えるか・・・という「枠組み」があって、自分にとって都合のいい「枠」を選ぶことを「リフレーミング」と呼ぶと言ってもいいだろう。

これに対して「地図が土地ではないように失恋は失恋だ」という考え方もある。

たとえば・・・火事が発生し・・・火の手がそこまで迫っているときに「火がもうそこまで来ている」と考えるか「火はまだそこまでしか来ていない」と考えるかはあまり重要ではない。命が惜しいものは逃げるべきだし、そうでないものは火に飛び込むチャンスである。・・・おいっ。

「奇跡」はありふれていないから「奇跡」なのか・・・それとも「世界は奇跡に満ち溢れている」のか。

それはフレームしだいという話である。

で、『ありふれた奇跡・最終回』(フジテレビ090319PM10~)脚本・山田太一、演出・田島大輔を見た。今季は終盤に「おみやさん」第11話にゲスト出演し、「終着駅シリーズ・殺人同盟」にもゲスト出演した大村彩子は端整な顔立ちをおはガール1997から維持し続けている奇跡の軌跡を描いているわけだが、末永遥もまたおはガール1999からキュートな魅力を維持し続けているのである。その間には平井理央おはガール1998がいるわけで・・・おはガール・オーディション・スタッフの慧眼恐るべしなのである。もちろん、他にも三年連続おはガールの酒井彩名とか蒼井優とかベッキーとかもいるわけだが・・・とりあえず・・・いつまでも美少女という意味では、大村彩子と末永遥である。

二人は大村(24)、末永(22)なのにである。

で、今回、末永は子供を生めない女である加奈(仲間)と翔太(加瀬亮)が「これからホテルへ・・・」行こうと話がまとまったところで「赤ん坊」を置き去りにするヤンママ・美代役で登場である。「お腹が痛いので五分赤ちゃんを抱いていてください・・・」と言ってダッシュで走り去るのである。なんていうか・・・赤ン坊を置き去りにさせたら日本一か。・・・おいっ。

「みにくいアヒルの子」(1996)で大村と末永は子役共演しているが・・・大村の映画「パラサイト・イヴ」(1997)に対し、末永は幼女時代の代表作に恵まれない。しかし、「轟轟戦隊ボウケンジャー」(2006)のボウケンピンクを経て「ライフ」(2007)の「おめえの席ねえからあ」のみどり、「シバトラ」(2008)のリカとヤンキー系少女連発でココなのである。

流れとして・・・「美少女」→「不良少女」→「ヤンママ」と実にナチュラルで・・・ある意味奇跡である。

まあ・・・ドラマとしての見所はそこにつきるかな・・・おいおいっ。

世界が個人的視点によってしか存在しないとすれば、人間の数だけ世界は存在する。

個人的視点からは「無限」と言ってもいいほどの世界の並立である。

そこでは人それぞれの「世界」がある。そして、その「世界」も人が視点を変えれば無数の「世界」に分岐することになる。

たとえば翔太の祖父・四郎(井川比佐志)は77才。この物語を2009年の出来事と考えると第二次世界大戦の終了した1945年は64年前。四郎は13才だったことになる。「その頃」を四郎はどん底と考える。戦火によって家族を失い孤児となった四郎にとって・・・それは生き地獄だったかもしれない。しかし、その昔は四郎にとっての「昔」であって全人類のそれではない。日本国内にも静江(八千草薫)のように無事平穏に生きた人間もいるし、マッカーサーは日本の統治者として人生の春を迎えていたし、北方領土を占領したソ連軍将校は万歳、戦争で儲けた武器商人は万々歳だし、日本を戦火に追いやった関係者の一人であるコーデル・ハルはノーベル平和賞を受賞している。

同様に・・・四郎が言う「今はあの時ほどどん底じゃない」も四郎の個人的見解に過ぎない。いつの時代、どの場所でも誰もが「どん底」にある可能性はある。

「今」だって「どん底」の人はどん底なのである。

だが・・・とにかく・・・四郎は「どん底の過去に縛られて・・・世の中を常にどん底として見るよりは未来はどん底じゃない」と考えた方が幸せかもしれないとリフレーミングを行ったのである。

まあ・・・そういう御託を並べてそれを聞いてくれる人々がいるということが幸せと言えば幸せなんですけどね。・・・お前もな。

自らの愚かさを自らの賢さが苛み続ける加奈は・・・自分では得ることの出来なくなった乳児を抱いて・・・子捨てをした親を待った。「きっとあの親は帰ってくる」という期待と「いつまでもこの幻の赤子を抱いていたい」という願望が一つの枠組みの中に納まっているからである。

やがて・・・美代は帰ってくる。その「どん底」の気持ちを受け止める底辺の人々。

「上下関係が相対的なものなら多くの人々がどん底ならそれはもはやどん底じゃないよね」

かって加奈と翔太に自殺を阻止された男・誠(陣内孝則)は母子を娘と孫として保護する。

「だから一人じゃない」と考えるか「どこまでいったって人間は一人だ」と考えるかはすべて気の持ちようだという話である。

まあ・・・だからといって・・・この世から「どん底」が消えるわけではありません。

と一応、悪魔として申し上げておきます。

関連するキッドのブログ『第7回のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『黒部の太陽・前編』『帰ってくるのか!?33分探偵」(フジテレビ)『妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『アグリー・ベティ』(NHK総合)『RESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)

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2009年3月19日 (木)

東京にも僻地はあるから不公平な相棒と新相棒(水谷豊)人体発火と神隠しとキイナ(菅野美穂)

水曜日のダンスはスペシャルと延長で華麗にフィニッシュである。

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%↗17.3%↗17.9%↘16.9%↗21.7%↘19.5%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%↗14.2%↘13.3%→13.3%↗14.9%↘14.8%

日テレ09冬ドラマの希望の星、「キイナ」は平均14.5%で終了。残り一回を残す「ヴォイス」は現在、平均14.6%である。これはスリリング。「ヴォイス」は↘14.0%↘10.2%↗12.8%と過去三回、微妙な数字。それにしても平均15%を越えるワンクールドラマが一つもないって・・・。アナログかっ。アナログだからなのかっ。

で、『相棒・Season7・最終回スペシャル』(テレビ朝日090318PM8~)脚本・輿水泰弘、演出・和泉聖治を見た。ついに新・相棒登場、そして最終回である。なんというか・・・リードが上手すぎるよね。さて・・・二つの要素があると思われる新・相棒。一つはキャスティング、一つはキャラクター設定。もちろん・・・両者は不可分だが・・・どう決着するかも推理する楽しみであり、このシーズンはその楽しみもあったので倍面白かったわけです。その間、ほぼ単独捜査あり、犯人と相棒あり、昔の相棒あり、捜査一課から抜擢相棒あり、女相棒あり・・・もう楽しませすぎだろうっ・・・でございました。

そして・・・新・相棒は神戸尊(かんべ・たける)でミッチー(及川光博)である。・・・もう文句ありません。

新・相棒は実はノンキャリアらしい。しかし、警視庁から警察庁と渡り歩き警視まで出世したエリートである。そして特命を帯びて二階級降格して警部補となって特命係に配属。特命特命係である。任務は杉下右京(水谷)の監視および査定である。

もちろん亀山(寺脇康文)との対比が注目されるのであるが・・・プライベートはまだ謎に包まれている。走り屋っぽいクルマ(GT-R)に乗っているのが一応、個性の一つだろう。亀山に比べて知的だが・・・右京には及ばない。ただし・・・右京の絶対的正義観(悪法もまた法なり)に対応して相対的倫理観(情状酌量)を論理的に述べることができ・・・その点では辛口である。

右京「犯罪を見逃せと言うのですか・・・」

神戸「・・・杉下さんがいなければ犯罪そのものが発覚しなかったので・・・犯罪者全体から見ると不公平ですよね・・・不運で犯罪者になっちゃったっていうか・・・死ななくてもいい人が死んじゃったっていうか」

・・・なのである。まあ・・・お茶の間的にはみんなそう思ってるしな・・・。

そして・・・神戸といえば神戸美和子(深田恭子)がいるわけであり・・・富豪刑事の匂いがそこはかとなく漂う。そして、今回は東京のド田舎が舞台になっており・・・そこでは横溝正史の香りを漂わせつつ、村ぐるみの犯罪隠蔽とか、犯行現場の取り壊しとか・・・なんとなく「トリック」のムードも感じられる。ミッチー登場で・・・「相棒」の世界がかなり拡大したような気がします。

さらに「息子の借金返済のために保険金詐欺目的の無理心中に失敗した父親(前田吟)が殺害した妻を病死と偽装」を暴いたついでに「サヴァン症候群の弟の保護に疲れ果てた姉(宮本真希=斐貴きら・・・もちろんグラマーです・・・ヒザの崩し方も絶品でした)の捨て殺し(保護責任の放棄)」を告発する右京。ああ・・・申し分のないサービス。

とにかく、Season8がもうお待ちかね気分に・・・釣られてるな。

関連するキッドのレビュー『先週の水曜日のダンス

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・最終回』(日本テレビ090318PM10~)脚本・吉田智子、演出・猪股隆一を見た。キイナ(菅野美穂)と杉下警部の共通点は「宇宙人や幽霊の実在を信じていること」である。記憶力に関しては杉下警部は極めて優秀だが、キイナは超人の域に達している。

監視カメラの映像を倍速でチェックできるキイナは当然のように、通常映像をスロー視聴できるのである。そのためにサブリミナル効果が期待できない。常人ならば無意識下に収納される「暗示命令」を意識して視ることができるからである。

「銭ゲバ」では主人公・風太郎が実は世界を歪んだ形で視ているわけだが、キイナもまた異常な世界を見ているはずである。

キイナは日常的に瞬間記憶、短期記憶、長期記憶の混在した長期記憶を持っているわけであり、いつ「ここはドコ、私はダレ」になってもおかしくない。

「去年のことが一秒前の出来事」で「目の前の人の顔のズームアップが可能」で「誰かのくしゃみをスローモーション」なのである。

ハンサムとは言えない工藤技官(塚地武雅)にキイナが行為を寄せる理由はそこにある。キイナは基本的に「顔の判別」が無意味な視覚を持っているのだ。その気になればどんな顔にでも差し替えられる画像処理能力を持っているのだから。

まあ・・・そういう超人が実在する世界で・・・たかが認知心理学をちょっと専門にしているだけで、学生にまともに情報伝達する技量もない学者(加藤雅也)が「神になろうとする」のは無理だったということである。

とにかく・・・「不思議なことには理由がある・・・かも」というキイナが仲間由紀恵の「ごくせん」以来・・・久しぶりに日テレが確保したシリーズ化可能なキャラクターであることは間違いないだろう。

他人の見ている世界と自分の見ている世界は違う・・・かも・・・という認知の基本を懐疑するこのドラマ・・・極めればすごいところまで行きそうですが・・・そこまでしないところが・・・小ヒットの要因かもしれません。

とりあえず・・・別班員・山崎尊(平岡祐太)は「お化けがこわいキャラ」を確立。相棒が「尊」でそろったところがダンスです。これからは「相棒」シーズンにあわせて・・・シリーズ化するといいと思うよ。

金曜日に見る予定のテレビ『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『せれぶり3』(テレビ東京)

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2009年3月18日 (水)

そして私たち兄妹は生き残りました(相武紗季)メイちゃんの執事のトライアングルを見たけどな~(谷村美月)

火曜日のドラマ対決は最終回延長なしでそろい踏みである。

①「メイちゃんの執事」↗16.6%(平均14.0%) ②「トライアングル」↗15.5%(平均12.3%) ③「神の雫」(平均*6.1%)

ちなみに日テレSPドラマ「さくら道」は*8.5%だったので・・・「トライアングル」はとりあえずミステリの最終回だけ見る人の底力というものだろう。

ヒロインの榮倉奈々は「ダンドリ。」(2006年・平均視聴率*8.9%)のリベンジをそこそこ果たしたといえるだろう。まあ・・・チア・ガールよりイケメン執事なのですな。そうなのでございますなーっ。お茶の間というものですなーっ。

で、『メイちゃんの執事・最終回』(フジテレビ090317PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・石川淳一を見た。この脚本家は「LIAR GAME」で構成力の腕前を見せてくれたのだが、たとえば「セレブと貧乏太郎」などでも他の作家がグズグズになっているときもこの脚本家の回は筋が通っているように感じさせる力量がある。特にドタバタの場面での積み重ね方が上手い。

今回も、メイ(榮倉)が「本郷家後継者に選定されたお披露目のセレモニー」の途中で留学する剣人(佐藤健)を「お見送りに行くこと」を決断したために理人(水嶋ヒロ)と手に手をとって脱出行を繰り広げられることになる。・・・「セレブと貧乏太郎」でもあったでしょう。

要するに妨害を排除してスタートからゴールまでたどり着くゲームなのである。

ここで、処理しなければならない要件は「メイとクラスメートの友情の証」および「お嬢様と執事たちの絆」になるのでこれを機能的に配置していくのだが、このあたりのメリハリのつけ方が上手である。

①お嬢様の着替え・・・脱出のためにメイをドレスから制服にチェンジ。ここは理人の見せ場でセレモニーの舞台から去るまで・・・「お嬢様の意志に忠実な執事」というコンセプトがセレモニー支配人との葛藤で示される。理人の執事仲間たちが理人をアシストすることでこの後の展開を予想させる。

②警備陣の妨害をクラスメート&執事が排除する一番手はメイの最初のライバルでもっとも派手にお嬢様らしいリカ(大政絢)と剣士の青山(真山明大)でここからすべての原型となる決めセリフと決めのポーズというスタイルが提示される。青山「手加減は・・・」リカ「無用よっ」なのである。

③凛(忽那汐里)と四谷(丸山智己)はこのドラマのオリジナル・キャラであり、定番の霊感設定である。途中エピソードもないのでなんとなくお友達になっちゃったのだが「霊感」という決め手があるので「呪う」「こわいよ~」と言っておけば安心なのだな。しかもポッキーだしな。

④不二子(中別府葵)と根津(姜暢雄)は禁断の「執事との恋愛」に対するチャレンジャーである。ここで敵キャラは目先を変えて由真(臼田あさ美)たち太陽四人衆になっている。すでにギャフンと言わせられることが定番の前座敵キャラである。根津は色仕掛けで四人を誘惑し、別室に連れ込むと・・・そこにはその他のお嬢様たちが監禁のためのガムテープを構えて待っているのである。太陽四人衆が足止めされるのはくりかえしのギャグにもなっている。

⑤玄関ホールという最初のクライマックスには泉(岩佐真悠子)という優等生キャラが使えない執事・木場(夕輝壽太)と待っている。護身術という実力を発揮するのは泉というのも軽く目先を変えている。メイが最初に得た同志であり、お嬢様の在り方をメイが学んだ師でもある泉に見送られてメイはその先に向かっていくのだ。

⑥屋外に転じて、警備陣に包囲されるメイと理人。ここで神出鬼没キャラである多美(谷村)と神田(阿部進之介)が出現。ルチア様(山田優)への忠誠心とメイへの友情の板ばさみに苦しんだ多美が明るさとひょうきんさを取り戻す第二のクライマックス。忍者なので繰り出す技はありえない感じの合気道になっている。

⑦ゴール直前で食い下がる追っ手多数。ヘリポートということで天才幼女・みるく(吉田里琴)と大門(鈴木亮平)が第三のクライマックスを占める。追っ手を阻止するのは大門のロケット・ランチャー攻撃で爆破オチである。ついでにヘリはエンジンが危険なほどに強化されている。

⑧ゴール。理人・剣人兄弟のメイとの三角関係の一応の終止符。しかし・・・実はメイは「恋人は理人」だが「幼馴染の剣人」も手放したくないというムチャクチャワガママな乙女心発動中なので「マメシバ(剣人)の気持ちは変わらないけどメガネウドン(メイ)の気持ちは変わるかもしれないだろう」的帰国まで決着おあずけオチである。ものすごくメイのにきえらない態度にお灸をすえたい状況たが・・・すべてはヒロインに甘口というこの物語の筋は徹底されている。

このように展開によどみがないのである。

これを前半の「メイのために傷を負いつつ戦い勝利する理人」というルチア・忍(向井理)組との最終決着アクションとエピローグ「禁断の愛だから内緒ですよメイ様と理人のキス」でサンドイッチして・・・実によどみない最終回に仕上がっているのである。

そして・・・最後の最後にメイの暴走を手放しで喜ぶ本郷金太郎(津川雅彦)の「孫に対するじいさん馬鹿オチ」なのであった。

「一番大切なのは普通です」とメイは演説する。「普通ってなんだよ」とツッコミが入るところだが、メイはちっとも普通じゃないことを普通と言い出す。「他人に対する思いやりをもち仲間や家族が助け合い励ましあい苦難をのりこえて喜び合うことが普通なのです」であるのだ。ここで初めて・・・お茶の間は体だけでなくメイの器が大きいことを知ることになるのである。

まあ・・・この程度の理路整然とした構成力は「普通」なのだが・・・そうでない最近のドラマの脚本の多さを見ていると・・・「この普通さは貴重と言わざるを得ない」のだった。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

Hcinhawaii0538 ごっこガーデン。おなじみの爆発ヘリポート。お気楽まあ・・・なんとなく翠ちゃんを思わせる展開だったのね。翠ちゃん元気?・・・メイちゃんはちょっと困った娘だけど今季のドラマの中ではまともな結末だったよね・・・メンバー多すぎて出番の少ない人はかわいそう・・・まことりあえず・・・剣人はまこ預かりということにしておくのデス。エリ姉ちゃんキャラを目指して執事イスにチャレンジしてみましゅ~・・・メイ様目~覚ますってだじゃれでしゅかねmariふふふ・・・もう理人様がかっこよくてとろけちゃいました~・・・剣人に一途に愛されつつ、理人を選ぶ・・・そんなうらやましいことが起きるのはドラマだけですか?・・・とにかくメロメロ~メロメロです~あんぱんち妄想姉妹とか・・・ホリキッターをしていたら遅刻しましたわ~くう引き続きトライアングルをお楽しみください・・・さあ・・・理人・・・お部屋に戻るわよーっ・・・むふふ

で、『トライアングル・最終回』(フジテレビ090317PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・吉田喜重を見た。重厚なメンバー、海外ロケ、入り組んだ人間関係・・・を上手く使いこなせなかったドラマとも言えるし・・・「自分探しを人生の最大の目的と考える人々がいる」という主張があまりにもタイムリーでなかったドラマとも言えると思う。とにかく・・・犯人・・・もう誰でもいいやあ・・・的なしまりのない展開をなんとかまとめあげたのは脚本家の力量として一定の評価はしたい・・・もうミステリはやらない方がいいと思うけど。

重層的な「トライアングル」という主題はあまりにも重ねすぎて・・・漠然としたものになっている。

三角形ということでは日本(東京)・フランス(パリ)・中国(上海)の舞台があった・・・ということなのだが・・・別になくてもすんだ話だった・・・。

次に、郷田亮二(江口洋介)、秋本(佐々木蔵之介)、富岡(谷原章介)という殺害された小学生・葛城佐智絵(志田友美)の同級生たちを演じる俳優が三介だったという点があるがドラマの内容とは無関係だ。

もちろん・・・捜査をする三人の刑事・亮二、黒木舜(稲垣吾郎)、丸山(小日向文世)が信頼と疑惑を深めていくというトライアングルもある。

そして・・・佐智絵殺害事件の巨人軍のレギュラーがファースト・中畑、セカンド・篠塚、サード・原だった・・・という三角もあったわけである。

このうち、「中畑」と「原」が事件の重要なキーワードになる以上・・・25年前のプロ野球についての世代を越えた刑事たちのさりげない会話がない・・・というのがある意味、致命的である。

面白さの要素に「リアルさ」・・・というものがある。言葉としては美しくないが対応する言葉は「ウソっぽさ」であろう。「リアルに感じるから面白く」「ウソっぽいからつまらない」という感覚は一般にも通じるところだろう。

で・・・リアルさに通じるのが「さりげない」展開であり、ウソっぽいのが「とってつけたような」展開である。亮二が丸山の言葉尻をとらえ・・・犯人しか知らない情報である「現場に残された中畑の野球カード」に気がつく場面で・・・「さりげなさ」を感じるか、「とってつけたような感じ」を受けるかはドラマの面白さを左右するのである。

25年前、亮二は10才、丸山は25才、そして舜は7才だった。そしてプロ野球巨人戦はONが現役を去った後とは言え、まだまだ娯楽の王様であり・・・現在の視聴率ヒトケタ連発のコンテンツではなかった。三人の刑事が雑談の中で・・・それなりに当時を偲んでいれば・・・たとえば最年少の舜が聞き手というスタイルでもいい・・・つまり・・・丸山がそれなりに「野球」を知っていたという事実が大切だ・・・だからこそ・・・当時のスタープレイヤーである「原」と「中畑」を間違えるはずがない・・・という亮二の確信が生れるからである。

こういう構成がないために「とってつけたような」「ウソっぽい」印象がドラマ全体に漂ってしまうのだった。

「本当の自分を捜したい」という「主張」が空虚なのと同じようにドラマはこういう点でどんどん空虚になっていたと考える。

このドラマのもう一つの弱点は葛城清子(風吹ジュン)の描写だろう。実は清子は最初から人格障害者なのであり・・・最後まで狂気の荒野を駆け抜けているのであるが・・・娘を失って記憶に障害を生じたという「心の病」ばかりが強調されて・・・その他の狂った部分の描写が弱いのである。「夫のある身でありながら痣のある男を愛したこと」を狂気の沙汰と考えたくないという視点があり・・・その視点がドラマを骨抜きにしている。清子が浮気をしなければ佐智絵は死なずに済んだのだし・・・最後までその一点についての反省が見られない以上・・・常識的には清子は精神異常者である。その狂気の描写があまりにも控え目で不明瞭なのだ。サチが死んだことにもそれほど動じない清子、夫のなぐさめを心にとめない清子、心がないように見える清子・・・実は丸山と匹敵するほどの狂気を秘めているのである。

もちろん・・・このドラマでは丸山の狂気もまた・・・狂気としては描かれない。

人間は一瞬、誰もが魔がさすことがある。罪を憎んで人を憎まずだ・・・というのが「自分探し」と並ぶこのドラマの主張なのである。犯人の威嚇におびえて25年間、沈黙を守り続けた主人公といい・・・基本的にヒーローなんていないさ・・・極悪人もいないさ・・・という論理が展開されていく。だから・・・罪もなく殺された人間は黙って耐えるしかない・・・という結論が生じる。そういう考え方も一理あるかもしれないが・・・エンターティメントとしてのドラマとしてはどうかな・・・。

さあ・・・ともかく・・・このドラマにおけるすべての犯罪の根源である・・・丸山の人生をふりかえっておこう。

所轄の警官だった丸山にはドラマには登場しない丸山ユキコという妹がいた。ただしセリフとしては亮二の妹・唯衣(相武)についての言及で「オレにも妹がいる・・・妹の前ではかっこいいアニキでいたい」云々と語っている。

25年前、葛城均(大杉漣)の会社に勤めていた妹は横領の疑いで自殺したというものだった。実際の事件について多くは語られないが・・・使途不明金と妹の関係について・・・丸山は事実無根と考えていた。つまり・・・「妹は無実の罪で殺された」という病的な心理が生じたのである。その狂気は「自分の愛する家族を奪った葛城に同じ苦しみを味あわせたい」という復讐心を生み出す。そのターゲットとなったのが葛城佐智絵だったのである。

丸山は目撃者となった亮二を脅し・・・そして逃げた。

丸山は自分の行為に恐怖する自分と行為を賞賛する自分に分離したと考えるのが妥当だろう。罪の意識におびえながら、一方では「正義の復讐」という「神の認めた行為」をなしとげた自分を正当化していくのだ。

一方、葛城家には進藤という顔に痣のある男をめぐり、夫婦間に相克が生じていた。

そして進藤は詳しくは説明されないが・・・犯罪者としてとりあげられると不都合な男だった。社会的に相当な権力者の縁故か・・・権力者の秘密を握っていたということなのだろう。この点も非常に曖昧である。

進藤が容疑者に浮上したことで・・・事件そのものがうやむやにされるという事態が発生する。

丸山は予想外の展開に狂気を募らせる。同時に唯一の目撃者である亮二が気がかりになっていく。

亮二がいる限り・・・自分の身は安全ではないのだ。

そして最初の事件から10年目、現時点からは15年前に・・・一家ごと亮二を殺そうとして、結果的に亮二の両親と兄を焼死させることになる放火殺人を実行する。

その結果、丸山はこの時点でもう四人を殺しているのである。

痣のある男は丸山の変装であることは明らかで・・・隠蔽のために捜査不可侵領域の進藤を利用しており・・・犯罪としては悪質の極みである。

しかし・・・狂気の分裂人格となっている丸山はその冷酷な行為を隠蔽し続ける。

そして・・・放火殺人も時効となった25年目・・・ついに沈黙していることに耐えられなくなった亮二は・・・捜査の不透明さから警察組織に疑念を抱きつつ丸山の前に登場するのである。

もちろん・・・最初の事件で怨恨の線は疑われるべきであり、被害者の父親の会社に勤めている妹が横領がらみで自殺している以上・・・事件現場近くの交番勤務の丸山が捜査線上に浮かんでこないのは・・・実にリアルさに欠けるのである。ウソっぽい上にリアルさにかけるのでは面白くなりようがない。

しかし・・・まあ・・・頭のおかしな男がやることなので仕方ありません。

丸山は亮二兄妹に自分と妹を重ねながら亮二を殺害しようと意図しほとんど無関係の志摩野(堺雅人)・サチ(広末涼子)の兄妹を誤って殺してしまうことになる。

丸山家・・・妹自殺

郷田家・・・兄妹殺害未遂

志摩野家・・・兄妹殺害

丸山の狂気がもたらす兄妹のトライアングルの形成である。

まあ・・・とばっちりで殺人犯(正当防衛だけど)になってしまった富岡とか、辞表を出すハメになった黒木信造(北大路欣也)とか愛車に死体を詰められた唯衣とか・・・まあ・・・頭がおかしいことは場合によっては社会的にすごく迷惑だ・・・ということでしょう。

ともかく・・・「人を愛する人は愛する人が復讐のために人を殺すなんてこと・・・望むはずはない・・・オレはかわいそうじゃないし・・・かわいそうなのはあんただよ」と決め付けた亮二。

まあ・・・頭のおかしな人(丸山)にそんなこと言ってもムダですけどね。

とにかく・・・唯衣と舜は一人暮らしとなった唯衣の部屋で愛を育むのか・・・それとも離島の駐在所にとばされてしまうのか・・・ドラマの知ったことではないようです。

丸山が死刑になるのかどうかも不明です。精神鑑定の結果で無罪かもね。

最後の最後まで・・・サービスの悪いお店に入ったような気分で客たちは店を後にするのでした。

Hcinhawaii0539 久しぶりにやってまいりました卓袱台祭り。やはり期待の高さ×ガッカリ÷2くらいが卓袱台投げの公式のようですな・・・野島に続いて水橋まで・・・まあある意味これも名誉なことかも・・・トライアングル卓袱台祭り会場。お気楽実の娘と義理の娘・・・二人も殺されてあの落ち着き・・・丸山と同じくらい葛城母も狂ってるよね。とにかくあ~あって感じ。あ~あアンナデッキがこわれたぴょ~ん。とにかく最後は喜多善男?な丸山刑事・・・もうその演技力におんぶにだっこだっぴょ~ん。じいやぁぁぁぁデッキこわれたぁぁぁぁぁくう自分の人生へと旅立つ主人公・・・めでたしめでたし・・・っとどこがじゃぁぁぁぁぁぁぁ。葛城父ひっかけの丸すけ犯人なんて・・・なんてみえすいた手を~・・・ああ・・・さっぱり解らないこと多すぎて・・・ちっともサッパリしないよぉぉぉぉ・・・じいや卓袱台もう1ダース~よろしくぅネコちゃんのためのおしゃれなエリザベスカラーを買ってたら遅刻です~、でも卓袱台は投げときます~ミマム犯人はネガティブ善男だったのね~・・・って、思わせぶりが多すぎて・・・まだ丸さん犯人なのも思わせぶりな気がするっしょ~ikasama4・・・さてと・・・次は結婚できない男チーム「白い春」登場か・・・あまり期待しすぎると何ですが・・・これよりはかわいそうなことにならんといいなー・・・ぽーにょぽにょぽにょ陣釜さんみのむしおっとー・・・そろそろ春ドラマですかーっ・・・とりあえずえいやっと飯綱遣いおっとーっ・・・メイちゃんの執事・最終回間に合ったのに~、つい卓袱台祭りに来てしまいました~。メイちゃんの部屋でわだかまりをかかえるメイとタミーのせつなさとか・・・最終回かなりまとめてきましたよね~・・・とりあえず縁起物なので投げときます。おりゃぁ

木曜日に見る予定のテレビ『おみやさん最終回スペシャル』(テレビ朝日)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)

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2009年3月17日 (火)

尊厳死、安楽死、自殺幇助、嘱託殺人的なヴォイス(瑛太)カレーライスと四つの祈り(石原さとみ)

とりあえず「ヴォイス」は不親切なドラマであることは間違いないだろう。この作者は「プロポーズ大作戦」という時間遡行による試行錯誤ものというファンタジーを作ったときに原理は説明しない手法でそこそこ成功をおさめたわけだが、法医学ものにこの論理を持ち込むのはいささか冒険が過ぎると思う。

瑛太の妄想が「真実」なのかどうかをあえて曖昧にすることで何かを表現しようとしているらしいが・・・ものすごく分りづらいのではないでしょうか。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↘*7.0%(ガリガリくんガリガリくんガーリガリくん)、「歌のおにいさん」↘10.7%(魔王好きの人ご苦労さまでした)、「RESCUE」↗*8.8%(うんうんこの視聴率は好き)、「銭ゲバ」↗10.5%(惜しい!平均視聴率*9.9%だがやりきった感じ)、「終着駅~殺人同盟」14.5%(大村彩子のスマートなボディよいつまでも)、「上地雄輔ひまわり物語」14.1%(小栗旬か・・・)、「堀北真希と黒木メイサでチャンス」↘*8.2%(成海璃子もドコモも・・・このシリーズって気の抜けた炭酸飲料だよねいつも)、「天地人」↗22.8%(すげえ・・・とドラゴン桜的におだててみる)、「本日も晴れ、異状なし」↗*8.4%(ここに落ち着く話ならもっとファンタジーでよかったのに・・・)、「落日燃ゆ」11.1%(何故早春にこれを?・・・クリスマスにやるべきだろう)・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~第10回』(フジテレビ090316PM9~)脚本・金子茂樹、御出・松山博昭を見た。たとえばはるな愛が昔、松田聖子のものまねで天使のようなかわいさを発揮していたあの大西くんだと気がついた時の驚きや、トークショーなどで「性同一性障害」であることや、中学生時代にいじめにあっていたことなどを知った時のショックはテリー伊藤が麻生総理大臣と同席している映像を見るよりキッドの心を揺さぶる。もちろん、それはすべて過ぎ去った昨日の出来事で現在のキッドの日常とは無縁なのであるにも関らずだ。もしもいじめで「彼/彼女」が自殺とかしていたら・・・ものすごく鬱になっただろうと思うからである。その起きなかった過去への妄想が心を騒がせる。

人の「死」はいかに取り繕っても・・・それなりに衝撃的であるのだな。

このドラマに感じる「違和感」はそのあたりにあるような気がするのである。

何て言うか・・・倫理観のズレのようなもの・・・それが故意なのか偶然なのかも読みきれない。

主人公の加地(瑛太)がやや対人関係において抑制のきかない発達障害を思わせるキャラクターであることを考えると確信犯のようにも思えるが・・・一体、何を確信しているのかも定かではないのである。

あえて・・・簡単に空気を読まないキャラクターと言うことにしてみよう。

今回の話もある意味、空気を読まれなかったために起きた悲劇と言えるからだ。

空気を読まなかった人はたくさんいるのだが、まずゲストとしては死亡した作家(田村亮)の妻・瑠美子(麻生祐未)であろう。

法医学教室ものとしては「作家の死因」が問題になるのである。

「作家の死因」は物語の伸展につれて変化していく。

①「末期ガンによる容態急変の病死」・・・ここがスタートである。

石末(生田斗真)は父・貴之(名高達郎)が「作家のカルテ」を改竄したことを偶然知り、「作家の死因」に疑念を抱く。

そして「容態が急変したのは不自然だ」と直感したのか、ただ単に「夫の急死」を受け入れる気持ちになれないのか・・・不明ながらも「おかしいおかしいおかしい夫が死ぬなんておかしい」と心乱れるいつものホンキートンクな演技がキュートな未亡人・瑠美子に「作家の解剖」を勧めるのだった。

まあ・・・とりあえず・・・この二人が空気を読まないわけである。

さて、ネタバレであるが・・・二人が読まなかった空気とは「作家と貴之の男の友情」だったのである。

その前に・・・やや・・・複雑な問題である「尊厳死」について説明が必要だろう。たとえば緒方拳の遺作となった「風のガーデン」では終末医療のあり方についていくつかの倫理的問題が提出されていた。病院で延命措置をしながら寿命を延ばすのと自宅で家族に看取られながら寿命を縮めるのとではどちらが正しいのか・・・という問題である。

そんなものに正解はないのだが・・・法律というものはそこに正解を求めずにはいられないのである。

医学者と法学者はどちらも知的エリートであると言える。その両者が見解を相違するのがこの「死」の問題であることは間違いない。「法医学」という両者の融合した分野では「死」はさらになんだかわからないものになっている。

たとえば「脳死」の問題がある。法的には脳死こそが「死」であると日本では決着がついている。しかし、実際に「脳死」が「死」であるかどうかは誰にもわからないのだ。それは「死後の世界」の有無ほどに正解のない問題である。

法律はそういう曖昧な問題にも法的決着を着けずにはいられないので・・・とりあえず「脳死」は「死」なのである。

そこにはニュアンスとして「脳死」ならばもはや「個人の意志」が戻ることはないからという暗黙の了解があるわけである。

当然、そこで尊重されるのは「個人の意志」であって「個人の心臓」ではない。だから、「心臓」は「他人」に移植可能である。それが生前の「個人(故人)の意志」だったからということになる。シャレで笑いをとろうとしていません。念のため。

ところが・・・法律では「個人の意志」が尊重されないことはいくらでもある。

たとえば「自殺」は「個人の意志」でも「許されない行為」になっている。

もちろん、「自殺」も「自殺未遂」も犯罪にはならないが、他人が自殺に関与する場合は自殺関与罪、自殺幇助罪が適用される。

「オレが殺してくれって頼んでんだ・・・法律には触れないだろう・・・」というわけにはいかないのである。

一概には言えないが、薬物投与による自殺の場合、薬物を用意すれば「自殺幇助」である。そして、他人が投与すれば相手が望んだ場合でも「(嘱託)殺人罪」が適用される。

尊厳死と安楽死の区別も曖昧であるが・・・延命による苦痛を長引かせないために治療行為を控えることが「尊厳死」・・・苦痛を終らせるために「死」を積極的にもたらすことが「安楽死」と区別するならば、日本では「安楽死」は犯罪となるのである。

なぜ・・・最後に貴明が息子に伴われて警察に出頭するのか・・・分らない幼い視聴者のためにあえて言うと・・・貴明が「人殺し」だから「自首」したのであります。

さて、その最終結論に至る前に・・・法医学と私的捜査により判明した「作家の死因」がある。

②「医療ミスにより不適当な薬物投与による事故死」が疑われるのである。

投与された抗癌剤がカルテから消去されていたことに疑問を持った石末は「作家の前担当医」を訪問し、その薬物が患者にとって危険な薬物であったことを知ってしまう。

息子からこの事実を突きつけられた貴明は先手を売って「医療ミスがあったことを謝罪する記者会見」を開く。

しかし・・・それもまたウソであったことを例によって妄想一筋で東京における長崎県人専用下宿の存在を探知し・・・「貴明と作家の特殊な関係」から加地が真相を暴くのだった。

③「脳に転移したガンによる認知症の発症を察知した作家が愛する妻にボケた自分を見せたくないというダンディズムから安楽死を親友で医師の貴明に懇願し、貴明がそれを了承する。さらに自殺したと妻が知ると傷心するかもしれないので秘密にしてもらいたいと頼むので、殺人を隠し、疑念を抱かれると医療ミスであると言い逃れようとしたのだった。ああ・・・まわりくどいことを・・・。

もちろん・・・そんなことができるのは医師を親友に持つ選ばれた人間であるという傲慢さもチラチラと漂います。

そして・・・結局・・・最高に空気を読まない男(主人公)の追及によって「男の約束」は反故にされ・・・貴明は「作家の未亡人」にすべてを告白するのです。

なぜなら・・・結局、最後は「男と男の約束」より・・・「息子にただの悪人と思われたくない」という父親としての「欲望」が勝利するからです。まあ、それを息子への父親の愛と言ってもいいですけど。

そして・・・真実を知った未亡人は「男と男の友情」に感激して、とりあえず「ありがとうございましゅ・・・」と感謝の言葉を贈るのでした。

まあ・・・そうなる前にもう少し大人として振る舞い、「暗黙の了解」で乗り切ることは可能だったわけですが・・・空気を読まないことが売りのドラマなので暴いて暴いて暴きまくっちゃうのです。

もっとも・・・途中で若い担当医が・・・「男の友情のとばっちり」で謂れのない苦悩を味わっており・・・最後は公的機関に裁かれないとどうにもならん状況だったわけです。

要するにこのドラマは・・・法は万能ではないが・・・非情なので・・・大人はしかるべくあうんの呼吸でグレイ・ゾーンを突破する必要があると言いたいのだと思います。

ま・・・お茶の間はただとまどうばかりかもしれませんが・・・。

まあ、あまりにくどいと久保秋(石原さとみ)があきてしまう可能性があるのでここまでにしておきます。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)『相棒最終回スペシャル』(テレビ朝日)ミッチーかよっ・・・『エリートヤンキー三郎』(テレビ東京で深夜に再放送中)

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2009年3月16日 (月)

仁義なき天地人・謀略篇(妻夫木聡)愛染明王煩悩即菩提(長澤まさみ)君のためなら死ねる(相武紗季)

「あんた・・・越後の血をひく妾を捨てて名分立つと思いなさるね」と華姫が問うと「オレは裏切られるのはもう沢山なんだよぉ」と拗ねる景虎・・・び、微妙だ・・・もう、いいことにするか?

忍者妄想していなければまさに「仁義なき戦い」の世界である「御舘の乱」だ。

まあ、普通に考えて、たとえば、半島と列島の二つの国があって・・・列島王キムタクが死んで、跡継ぎを列島生まれの山Pにするか半島生まれのヨン様にするかで意見が割れたとしても・・・たとえ韓流ブームの最中だったとしてもヨン様が列島国王になるのはかなり無理があるのである。

その無理を通そうとしていくのが景虎なのである。そこにはやはり、本家の力というものが働くのだ。

「関東から跡目はぜひとも景虎のアニキでって話が出てますぜ。こりゃ、武田の親分を承知のことなんでさ」と子分衆がささやくのである。

そこに引退した前々総長が乗り出してくる。「オレの跡目を譲ったのは謙信親分だが・・・そりゃ、オレが男と見込んだからよ・・・謙信親分がおっちんだ以上、跡をとるのは・・・景虎の・・・おめえさんしかおらんと思うとるんよ。そしたら・・・こっちにも少し良い目を見さしてもらわんとのう」

すると、関東の本家とコネのある独立勢力や、前々総長に恩義のある反主流の組長たちが一丁博打にと燃え出すのである。「景虎の親分のためにあっしも一肌脱ごうと思っておりやす・・・」なのである。

その時、仙桃院は「あんた・・・子の分際で・・・越後を二つに割ってそれで仁義の道が全うできると思うとるかい。死んだ総長を草葉の陰で泣かせようって魂胆かい」

しかし、景虎はドスを抜き「大姉さん・・・こらえてつかあさいや・・・ここで退いたら・・・オレの男が立たねえんだ。兄弟に怨みはねえが・・・首取らしてもらうけん」・・・なのである。

で、『天地人・第11回』(NHK総合090315PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正憲を見た。いかにも遠山康光(螢雪次朗)が景虎(玉山鉄二)の生母の姉婿つまり伯父であり、華姫の結婚前に景虎の側室であった女(景虎の従姉)の父親であることを無視したセリフ「張子の虎ではなかったのう」があったりして仰天するわけだが、今回はどうしようもない脚本をそこそこ地道な演出でカバーな大河ドラマになっています。ともかく例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。まあ・・・ブログの表紙が「独眼竜政宗」(1987年の大河ドラマ)になっていたりしますけど・・・画伯こらえてつかあさいやあ・・・。いきなり脱力の「なんてったってホーンマール、なんてったってホーンマール、イェィ」で先手必勝の理を耐えてあらすじを書く・・・武将の鑑でございますね。キッドはカラオケでこの曲を歌う人がいたら嫌いになりそうな傷跡が心に残りましたが・・・学歴のないのを気にしてスタジオの隅でひっそりと読書をしていた小泉今日子にどんな罪があるというのでしょう・・・。まあ、仁義なき戦いに義をもちこむのが無理なのですが、それが第六天魔王にも飛び火。魔王と鬼の力関係もこの脚本家の前には五十歩百歩のようでございます。ともかく「御舘の乱」序盤スケジュール付、御舘の乱勃発要因分析特集・・・ご苦労さまでございました。脚本家に熟読してもらいたいくらいです。

Tenchijin15783 で、謙信の死からおよそ二ヶ月経過である。天正六年(1578年)三月中旬、上杉謙信を失った越後はゆっくりと崩壊しつつあった。その崩壊を食い止めたのは上杉景勝家臣団と謙信の遺臣団の折衝である。いわば内政的にはそれで終息する可能性もあった。しかし、ここに北条の流れを組む上杉景虎が存在したことで・・・外交的にもつれていったのが乱の原因である。平和的な跡目相続の実現という意味でもっとも罪があるのは他でもない謙信の前の関東管領上杉憲政である。彼は後北条氏によって関東を追われ、越後に逃げ、謙信の庇護に入るために関東官僚を譲った形になっている。いわば、内政と外交のどちらにもある程度、発言権のある立場と言っていいだろう。その証拠に春日山城に対する平城ともいうべき越後府中に御舘を構えているのである。その憲政が・・・すでに地元出身で謙信にもっとも近い血縁で謙信がお実城(本丸)様と呼ばれたようにお中城(ニノ丸)様と呼ばれていた景勝がすでに本丸に入り、謙信の跡目を相続したと宣言しているのに対し、「跡目は景虎に・・・」と言ったことはすべて欲に目が眩んだ発言といって差し支えないだろう。

景虎が跡目を相続した際には「オレの一言があったから・・・」と恩を着せる気満々なのである。景勝に言ったのでは「あんたに言われなくても跡目はオレだ」と言われてしまうからである。

こうして、越後に二人の国主が立候補したのである。

それから二ヶ月・・・。両勢力は謀議を重ねまくったのである。そうなったのは他にも特殊な事情がある。謙信が死去した時、春日山城周辺には関東出陣の将と軍勢が集結していたのである。その数、五万。ある意味、衆議をするにはもってこいの環境と言えるし、騒乱の火種ここに極まると言ってもいい。

謙信の出兵が関東であり、その場合の敵対勢力は北条氏である。しかし、北条氏出身の景虎が人質を経て養子になった経緯がある以上、越後の中にも親北条派というものがある。それは越後を分断して日本海にそそぐ信濃川の東側、つまり関東寄りの諸将が景虎に着いた理由の一つになっている。北条(きたじょう)高広など関東に進出している者もいれば上杉景信など長尾一族もいる。そういうものたちは謙信なき後の越後が後北条氏に飲み込まれる図式が描かれている。それならば後北条氏の血を持つ景虎に利があると読むのである。

謙信の生前には西に織田勢力、東に後北条勢力を敵に回し、勢力拡張中だった上杉勢は一転、守勢に立たされている。

謙信死後、毘沙門堂に篭った仙桃院は越後忍びの頭領となった直江お船と密議を重ねている。仙桃院としては、一子景勝が跡目を継ぎ、二人の娘を嫁がせた上杉(後北条)景虎と上条(畠山)義春が両翼となって支える体勢を描いていた。しかし・・・武将たちの思惑はそれを許さない情勢だった。第一に景虎はすでに越後国主を目指して動き出しているのである。

越後を狙う敵勢力は西から織田、南から武田、東から後北条とあり・・・北には蘆名盛氏がいる。謙信存命中には歯牙にもかけなかった勢力だが、すでに国境には兵の集中の兆候があった。

本丸を押さえた景勝は蘆名に対し「跡目相続」をすでに報告している。

「しかし・・・」とお船は言った。「報告では蘆名盛氏は北条側と景虎殿に味方する盟約を結んだ由にございます・・・」

お船の指揮する忍びは直属の直江衆の他、謙信伝来の軒猿衆(首領・担猿死亡)、信濃忍びでもある樋口衆など多数に渡っている。本丸を押さえたことにより、謙信の備蓄した豊富な軍資金を得た景勝は諜報にも惜しみなく金を使っている。

利で動く忍びたちを動かせるのは謙信が関東と北越から収奪し溜め込んだ金があるからだ。

すでに越後領内に多数入り込んだ後北条子飼いの忍びである風魔衆との戦いをなんとか互角に持ち込んでいるのは・・・信濃の忍びを多数雇っているからである。

主だった将は城下に集まっているものの越後全土から越中・能登・上野・北信濃に広がった上杉勢に連絡をとるためには忍びの数はいくらあっても足りないのである。

景勝側からも景虎側からも各地の城へ「陣営参加」を呼びかける使いが出る。場合によっては敵の使いを殺し、敵の動向を妨害する必要もある。当然、敵もまた味方の使いを殺そうとするのである。

春日山城での攻防戦が膠着状態に陥ると・・・忍びの戦いは越後全土に広がり始めていた。

両陣営から誘いを受けた将の中には日和見を決め込むものがあり、また旗色を明らかにしたものは敵対するものとの間ですでに小競り合いを始めている。しかし、何よりも血筋と本丸の資金を抑えたことにより・・・景勝側の有利は膨らみ始めている。

それと同時に春日山城と・・・関川の湊(直江津港)の中間地点にある御舘は日に日に重要性を帯びてくる。御舘の主である上杉憲政の元へ、景虎側の将が陣を移し始めているのである。それが後にこの戦が「御館の乱」と名付けられる理由である。

「愚かなことよ・・・」と仙桃院は日々募る焦燥に繰り返す愚痴を吐いた。「憲政殿が口出さねば丸くおさまったやもしれぬものを・・・」

仙桃院の脳裏には親が子を殺し、子が親を殺す、戦国の道理が染み渡っている。無惨な骸をさらす・・・景勝の姿が・・・あるいは華姫と孫・道満丸の姿が去来するのである。しかもここまでくればどちらかがそうなることはもはや避けがたい。

「北条は遠国・・・」とお船は主の懊悩を断ち切るように話題を移した。「急ぎの出兵は難しゅうこざいましょう・・・そうなれば・・・同盟の武田に合力を求めるは必定。戦となればまず、信濃口から武田の軍が押し寄せるでしょう」

「武田とは陣払いの約定があるがの・・・」と仙桃院は現実に戻った口調で答えた。

川中島をめぐり、戦を繰り広げた武田と上杉だったが、信玄の上洛戦とそれに続く死と激動する情勢に一種の休戦状態となっていた。続いて武田勝頼の織田に対する大敗。そして上杉の対織田戦参戦となり、敵の敵は味方の論理から言えば、ともに本願寺と同盟している武田と上杉は味方とも言える関係なのである。

しかし、武田と後北条は同盟関係にあり、その後北条と上杉が戦となれば敵である。

戦国の怪奇さがそこにある。

「お実城様(謙信)ご存命の頃より、わが姉・お悠が信濃・善光寺にて調略を重ねて参ったのはすべてこのようなときのため・・・武田襲来の際にはその手が生きることを願う他ありませぬ」

お船の言葉に仙桃院は毘沙門堂の背後の本丸を振り返る。

「ふふふ・・・我が弟・謙信は・・・戦も上手であったが・・・商売も上手であったからな・・・そのためにためこんだ金が内輪の争いで費えるとは・・・この世の無常さが身に染みるわ」

その嘆きを打ち消すように一発の銃声が夜の闇に響き渡った。

続いて、一の廓(回廊)の下に位置する三の丸方面で兵火の音が騒ぎ出す。

五月四日の夜、何度目かの景勝からの挑発的夜襲で始まった小規模戦闘は断続的に続き、五月五日の未明、ついに戦闘は城下にまで波及していった。第一次大場の陣である。景勝側の武将たちが、談判のために御館に向かうのを阻止しようとした景虎側の武将はすでに鎧甲冑に身を固め、武将同士の武力衝突に発展する。

周囲には日和見する武将の陣が点在し・・・まさに観客席に見守られての異様な戦闘が始まっていた。

景虎側の主力は旧上杉官僚家恩顧の侍たちである。これに関川東北にある直峰城から上杉景信の軍勢がくりだして、景虎に味方し、大場は一進一退の攻防の場となる。

全力を出し合うというよりは相手の出方を探る戦は古風な色彩を帯びていた。

「それ・・・お屋形様(謙信)が手厚く庇護なされた府中の御舘殿(憲政)に手だしする慮外者はどこのものか・・・」

「ご実城様(謙信)の定めた遺名に逆ろうて、仇なすものはそちらじゃろうて」

「これこれ、ここは東条佐渡守の縄張りなるぞ、狼藉はならぬ」

「こっちはご一族の上条様がついてらあ・・・構うことはねえ、やっちまえ・・・」

名乗りをあげての取り組みが各所で巻き起こるという有様である。

一方、一つの山城内で続く、景勝と景虎の戦いはゲリラ戦の様相を呈している。けれどじわじわと景勝の投入する銭の威力は景虎の旗色を弱めていた。

およそ、一週間続いた内戦は・・・ついに三の丸に篭城する景虎勢を景勝が包囲する状況を示し始めた。

その夕刻・・・景勝は樋口兼続を呼んだ。

「与六(兼続)よ・・・今宵あたり・・・三の丸は・・・落ちるだろう」

「御意・・・」

兼続は主の暗い表情を読んだ。

「景虎殿の気性ゆえに・・・落ちるとなれば・・・潔く・・・腹を切るかもしれん・・・」景勝は瞑目して言葉を繋いだ。「母上はさぞ・・・お嘆きだろうて・・・」

「しかし・・・ここで雌雄を決せねば・・・戦は越後全土に広がりましょうぞ・・・」

斥候(うかみ)の術に長けた忍びである与六兼続には情勢分析が済んでいた。ここで景虎一族を滅すれば、内戦の被害は最小限に留まり、外国勢力も手控えせざるを得なくなるのである。

「わかっておる・・・しかし・・・母の涙を見とうはないのじゃ・・・」

(甘い・・・)と与六は口には出さない。景勝の小姓となってから、城で過ごした与六には景虎の妻となっている華姫には馴染んだ思い出もある。まして・・・景勝には実の妹にあたるのである。

「では・・・城下に通じる影道を退き口として開けておきまする・・・華姫様ならばお気がつき遊ばれるでしょう・・・」

「・・・そうか・・・バーカな頼みですまぬ・・・」

その夜、直江衆の鉄砲隊を中心にした攻撃が始まると、三の丸から火の手があがった。

「おう・・・」

「敵は火を放ったぞ・・・」

「景勝様のお勝利じゃ・・・」

燃え盛る炎を背に、坂戸城以来の華姫付樋口くのいちに囲まれた景虎一族は城下への間道を下っていた。

華姫は一度だけ幸せな時を過ごした春日山城を振り返った。

「この城に・・・戻ることは・・・もうあるまい・・・」華姫がそっとつぶやいた言葉を耳にしたものはお側衆にはいなかった。炎の轟音を聞きながら誰もが命からがら山を下っていたのである。

その模様を後に初音から聞いた信長は安土城天守閣で微笑んだ。

「義を唱え・・・神になりし謙信も・・・その光景を浄土とやらで眺めおろう・・・この世のあさましきこと・・・おぞましきこと・・・みにくきことに・・・いかに目をつぶろうとも・・・一度目を開ければそれがそのままにあることに変わりはなし・・・謙信もまた心弱き・・・ただの人であった証・・・であるか」

その頃、羽柴秀吉は播磨にあって三木城の別所氏を攻めている。明智光秀は丹波にて八上城の波多野氏を攻めていた。そして信長は手痛い打撃を受けた毛利水軍に復讐するため・・・鉄甲船の完成を待っていたのである。待ち受ける殺戮の宴。その瞳には敵が落ちていく地獄の炎が暗く揺らめいていた。

「儂(わし)が滅するか・・・戦の相手がすべて滅するか・・・勝負も瀬戸際だがや」

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火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『薬師丸ひろ子・志田未来のさくら道』(日本テレビ)

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2009年3月15日 (日)

銭ゲバであることに耐えられないから死ぬんです(松山ケンイチ)傷跡と痣のない世界(木南晴香)銭ズラ(ミムラ)

結局、少年漫画の「銭ゲバ」・・・あるいはジョージ秋山の世界は「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」の裏返しの世界なのである。長谷川町子やさくらももこが決して描かないこの世のもうひとつの姿。

だから・・・このドラマの主人公が死を決意した瞬間、風太郎(松山)や場合によっては緑が見ていた幻想は思いっきり反転して・・・「サザエさん」の世界となっていく。

そこでは・・・サラリーマンの父がいて専業主婦の母がいる。少年野球に熱中する友達と笑い、大学で出会った彼女と恋に落ち、就職、結婚、そして出産。せまいながらも楽しい我が家。峠を越えたら私の青空なのである。

で、『銭ゲバ・最終話』(日本テレビ090314PM9~)原作・ジョージ秋山、脚本・岡田惠和、演出・大谷太郎を見た。極貧ゆえに愛する母を失い、脆弱ゆえに実の父親に世界を歪められた風太郎は超法規的行動で社会の底辺から可能な限りの頂点へ登りつめる。そこで最終的な虚無を感じた風太郎は自滅することを決意するのである。

「死ぬと決めたのは・・・反省したからでも・・・追い詰められたからでもないのね」

もう答えがでたからですよ・・・つまり飽きたんです

「あきらめがいいのね」

ふふふ・・・あきらめる以外に僕がこの世で学んだことがあると思いますか?

「絶望は愚か者の結論なのよ」

あなたは・・・どこまでいってもお嬢様なんですね・・・

「私を連れて行って」

邪魔をしないと約束するならいいですよ

「私はいつだって・・・あなたの想う通りにしたじゃない」

感謝します

小屋の中で風太郎はダイナマイトを腹に巻き導火線に火をつけた。

小屋の外で緑(ミムラ)はその時を待った。

導火線は長かった。

柱には風太郎が銭ゲバという下級悪魔に身を捧げたときの請願が彫りこまれている。

お金持ちになって幸せになってやるずら

火花と煙と呪文は風太郎が見る歪んだ世界を怪しく揺るがす。

風太郎には自分の殺した死者たちの姿が見えている。

わかっているよ・・・

死者たちはただそこにいるだけで風太郎の心を揺らす。

お前たちを消してやるよ・・・俺が消えることでな

死者たちはあくまで無言である。

だけど・・・俺は自分が間違ってたとは想わないよ

小屋の外では緑が風に吹かれ、こらえきれずに嗚咽をもらした。

最初から失われた幸福の幻影が緑にも見えたかのように。

その幸せは・・・いつ失われたのか・・・悪意ある他人が風太郎の父親を貶めた時か。

荒んだ父親が風太郎の視界を醜く歪めた時か。

それともやはり幼い緑が風太郎の母親を辱めた時か。

あるいは・・・最愛の母親を風太郎が失った時なのか。

だから緑は風太郎の命を惜しむのか。

幸せの世界で風太郎はお小遣いで少年サンデーを買った。

母(奥貫薫)は無駄遣いを叱る。

お金を計画的に使う訓練をしなさい。

しかし・・・母の手料理はハンバーグだ。

こんがり焼けた三個のハンバーグ。父と母と風太郎の三人分。

やがて帰宅した父(椎名桔平)はゴルフクラブを妻に内緒で買い叱責される。

これだけは特別なんだ。これは買わないわけにはいかないんだ

父親とキャッチボールをしている間に母親の病気は手術をして直る。

風太郎は大金の入った財布を拾う。

それを近所の大好きなお兄さんに見せる。

落とした人はきっと困っていると想うんだ

風太郎が撲殺したお兄さんは微笑む。

通りかかった警官は・・・お兄さんのお兄さんだ。

お前が弟を殺したんだろう」とは言わず落し物のサイフを届けた風太郎の頭を撫でる。

坊やは偉いな・・・

やがて、時は流れていく。

父親がそれなりに出世したのか、洋風のキッチンを備えたモダンな家に引っ越した風太郎一家。

風太郎は父親が会社で自慢できる程度の父親と同じ大学に入学する。

そこでは、痣のない茜(木南)が受験番号を取り違えて以来・・・風太郎の恋人になっている。

風太郎の受験番号は4219(死に行く)だった。

茜の父親を殺して自殺した男は風太郎の親友になった。

二人の学費稼ぎのアルバイト先には風太郎が絞殺した男が働いている。

どうやら役者を夢見て芝居に熱中しているらしい。

なにが暮しだ2LDKそれが幸せか

女房は一人が子供は二人かそれも幸せか

いやだよこのままで

いやだよ死ぬなんて

などという甘い夢に溺れつつ。

やがて・・・風太郎は茜に緑を紹介される。

その席には風太郎が裏山に埋めた白石がやってくる。

もうひとつの別の世界では貧富の差はなくなっている。

お金より心が大切な世界だから。

緑に奴隷あつかいされる白石はただ愛の力関係によるものだ。

白石は愛する女の妹の恋人である風太郎に囁く。

今度、二人で飲もうじゃないか

風太郎は就職し・・・緑と職場を共にする。

初任給では父に酒を奢る。

水面に浮かぶボートの上で茜と風太郎は愛を育む。

茜の耳をふさぎ告白する風太郎。

君が好きだ。世界で一番君を愛してる

茜は風太郎を見つめる。

愛してる

僕もだよ

知っているわ・・・だって全部聞こえていたから・・・

そうだ・・・あの時も茜はすべて聞いて・・・俺の本心を知って・・・それでも俺を愛してくれたんだ。

やがてマカロンを手土産に三國家を結婚の申し込みのために訪れる風太郎。

なかなか勇気の出ない風太郎を乱入して手助けする緑。

すべては夢の世界だ。

サラリーマンたちの集う居酒屋では家政婦(志保)が仲居をしていた。

悪いのは誰のせいでもない。全部自分の責任だと思いなさい」と説教をする緑。

茜と風太郎の結婚を祝福する母。

そして、生まれてきた風太郎と茜の愛の結晶の小さな手。

子供はさあ・・・もうつかれたなと想った頃に生れてきてよし、もう少しがんばるぞ・・・と思わせてくれる。そして本当にもうだめだと思った頃には子供が大人になってがんばってくれる・・・そうやってさあ・・・人間はずっとやってきたんだよ・・・

父親のたわいない言葉にもそれなりに含蓄がある。

自分の子供と茜に窓辺からお見送りされる風太郎。振り返って二人のいた窓辺を見つめる風太郎。微笑む風太郎。

しかし・・・その風太郎の目に映る世界は・・・風太郎には与えられなかったのだ。

だから・・・俺は間違っていたとは思わない。

俺は人殺しだ。

地獄とやらがあるならそこで責めるがいいさ。

だけど・・・俺にとってこの世界はとっくに腐っていたとしか思えない。

お前らはそこで生きるがいいさ。

飼いならされた豚みたいに生きるがいいさ。

俺が消えたって・・・俺みたいな銭ゲバは

いくらだって生れてくるずら。

いや・・・今だって世界は銭ゲバだらけずら。

気付かんフリをしているだけなんだろう。

それであんたらはヘラヘラ生きているんだろう。

それで充分幸せなんだろう。

ボクがこの世にやってきた夜

おふくろはメチャクチャにうれしがり

おやじはうろたえて質屋に走り

それから酒屋をたたきおこすんだろう

俺はもうたくさんズラ。

じゃあね。

ああ・・・ひぃ・・・ひぃ・・・ああ・・・死ぬズラ・・・死ぬのはこわいズラ・・・緑・・・あけてくれ・・・ひぃ・・・行く・・・行ってやる・・・ああ・・・ぁぁぁ・・・ああああああああああああ。

爆発する炎の中で風太郎は消えた。

緑は取り残された。しかし・・・風太郎のために墓を作った。黒い墓だった。

緑はそこに一円を手向けた。

それを愛の証と呼んでもかまわないだろう。

父は取り残された。父は風太郎の自殺の新聞記事から息子の写真を切り取り、酒の相手をさせた。それは報いというものだろう。

風太郎が整形手術をして・・・真一と入れ替わったと考える人は完全犯罪マニアである。

そして・・・家政婦が新たなお屋敷の前に佇むシーンが一番好きという人はメイド好きである。

幸せな茜も不幸な茜もどっちも好きだという人はきっとかしこさんもベビーエロも赤い女も黒い女も好きなのである。

夕暮れの街

仰ぎ見た空

さよなら ただ ただ ただ ただ 愛しき日々よ

ずっと忘れないだろう 僕は君を

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月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)

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2009年3月14日 (土)

ラブシャッフル・ゲーム・オーバー(玉木宏)死んだフリをしています(吉高由里子)

さて、今季は(月)「ヴォイス」・・・法医学教室、(火)「トライアングル」・・・少女殺人事件、(水)「キイナ」・・・不可能犯罪、(木)「ありふれた奇跡」・・・自殺未遂、(土)「銭ゲバ」・・・連続殺人と毎日が「死」の匂いに彩られた日々だったのであるが・・・日本、大丈夫か?

(金)「ラブシャッフル」もまたやってることは恋愛ゲームなのに・・・「死」の記号に満ちている。恋人の自殺、家族との死別、死に魅入られた少女・・・そして父親の判らない子を堕胎希望である。

改革の求められる世界では人々は保守的になる。・・・のかどうか、オンリー・ミー&オンリー・ユーの愛を否定する・・・かのように見える「ラブシャッフル」の視聴率は低迷しているのだが・・・ドラマそのものは波乱に満ちて刺激的である。

「愛」を表面的に受け入れていた主人公は「愛のゲーム」に参加することで「愛の迷宮」に彷徨いこむ。「愛」ってなんだよ・・・という素朴な疑問に答えなどないのだが・・・それを求めて不毛地帯に侵入してしまったのである。愛もまた・・・物質に過ぎない。欲張らないのがセオリーだが、人は見果てぬ夢を見てしまう。なぜなら、素晴らしい世界が待っているような気がするからである。

で、『・第9回』(TBSテレビ090313PM10~)脚本・野島伸司、演出・山室大輔を見た。衝動的という言葉がある。突然、ラーメンが食べたくなるという時に衝動的にラーメンを食べようと思った・・・などと使うのである・・・使うかっ。

まあ、衝動的に人を殺したくなったりする場合に使います。そのうち、自分を殺したくなるのが自殺で・・・衝動的に自殺を決意などと言うわけです。

逆に「衝動的に生きようと思った」という場合もあるわけで、この場合は日常では「計画的に死のう」としている・・・ということになるでしょう。衝動買いに対応するのは計画的購入ですからね。

まあ・・・多くの人間はこのあたりのことは・・・漫然としていて・・・どちらとも言えずに生きているとも言えるでしょう。

もちろん、「計画的に生きている」ことを楽しいと思うかどうかも人それぞれです。

確定申告の締め切りが迫っているわけですが・・・国家というものは国民に計画的に生きることを推奨しています。なぜなら税金の算定がしやすいからです。毎日、家計簿をつけて収入と支出のバランスを考え、なるべく多く税金を納めてもらいたいという姿勢です。

つまり、社会は「人間が計画的に生きること」を前提に作られているわけです。

このあたりのことを学校はもう少し計画的に教育するべきなんだよな。

しかし、マンションの高層階から路上の通行人にポリバケツの水を浴びせかけるなどということを計画的にするバカはそれでも生れるかもしれません。

衝動的に一回くらいなら、謝罪すれば許容されるかもしれませんが、常習となると死刑にしてもいい行為ですね。

しかし、そんなバカでも親はかわいいわが子かも知れず、「死刑」だけは勘弁してください・・・と泣いて世間に縋るかもしれません。

ともかく・・・「生きること」を前提とする人からは「バカ」でしかないのが海里(吉高)です。とにかく「死ぬこと」を前提としているらしい。で、そんな「バカ」な娘を親(美木良介)はやはり「かわいく思う」わけで・・・なんとか「生きてもらえる」ように精神科の医師に相談したりしています。

「死にたい」と思うことは「生きている」ことになるわけですが、この辺の回路の問題はまだ未解明。「生きたい」がベースの人には「難解」だったり「我儘」だったり「勝手」だったりするとも思えるし、単に「心の病気」と考えるしかなかったりします。

その道のプロである精神科医・菊田(谷原章介)にとっても海里の精神構造あるいは病状は相当に手ごわく・・・ついに常軌を逸した荒療治に踏み切ります。

まず、菊田の基本的な「生死と人間精神」の概念を解説しておきましょう。

①人間には「生」の願望と同じように「死」の願望がある。

②死の願望をタナトス。生の願望をエロスと名付ける。

③その両者は「混沌」(カオス)の中に潜んでいる。

④一般的に人間はエロスに支配されている。

⑤一般的に人間が死にたいと感じるのは生きることが苦しい場合である。

⑥しかし、稀に「生きたい」と思うように「死にたい」と思う人間が存在する。

⑦海里はその稀なタイプであるらしい。

⑧普通の治療方法では海里の自殺は阻止できない。

まあ、菊田は精神科医である以上、些少は頭がおかしいのですが・・・朱に交われば赤くなるからです・・・とにかく、ここまで有効だったのは「期限を設けることで死を先送りする」ということでした。

「死の使いであるタナトス」と「20才の誕生日に死ぬこと」を約束させることで「延命処置」を行ったわけです。

しかし・・・この治療法の欠陥は「20才の誕生日」になると死なれてしまうというところです。

「じゃ、延長すればいいんじゃないの・・・」と思うのは素人で何しろ、相手は「死にたい」のですから「延長に応じない」可能性は充分にあります。

そこで・・・菊田が考えたのは「死後の世界を見せる」大作戦でした。

①自分の死んだ恋人そっくりの旺次郎(松田翔太)と海里を恋に落とす。

②旺次郎に海里は死んだと思わせる。

③旺次郎の悲嘆を観察させる。

④旺次郎の立ち直りを観察させる。

⑤自分がいない場所(タナトス)で復活する旺次郎に海里が不快感を感じたらそれは愛による嫉妬という生の芽生え(エロス)に転じるかもしれない。

⑥あくまで仮説(妄想)だが何もしないよりマシなので・・・つまり祈りである。

まあ・・・ドラマですから。

とにかく・・・エロス的な人間らしい・・・旺次郎は愛瑠(香里奈)のおにぎり、啓(玉木)のはげまし、街の暴力・・・そして時によって復活を遂げます。

そして・・・そのすべてをこっそり見ていた海里は親友の恋人に告白して両方を失った諭吉(DAIGO)と再会、「出るタイミングが難しい」と氷をガリガリして・・・今週もコケティッシュです。

一方、子作りして退場したと思われた上条夫人は夫の浮気発覚で・・・理想の夫婦愛が挫折・・・夫に不倫をなじられ・・・堕胎を決意です。

まあ・・・世界は自分の思惑通りにはなかなかならないということですね。

さて・・・死後の世界の体験は役割演技ゲームの一種です。そこでの役割は幽霊(ゴースト)になるわけです。幽霊の疑似体験をすることで「自殺」の不合理さを考えるという趣向。

この論理を聞いた啓はふと・・・「自分が死んだら・・・誰か嘆いてくれるのか」という疑念を抱いてしまいます。

まあ、この理論がおかしいのは「死んだら虚無かもしれない」という可能性から目をそらしているところですが・・・ドラマですから。

ただし、死んでいればできないことを生きていればできるという点は強調されるべきでしょう。

もっとも、心底死にたい人間は生きてしたいことがない人間だったりする場合もあるんですが。息をするのもいやだというほどに。

さて・・・実は啓の愛を確かめたいだけだった芽衣(貫地谷しほり)・・・しかし、諭吉への愛にも目覚め・・・思いっきり封じ込める体制に。

啓と芽衣は結局、空虚な想いを抱いてしまいます。

啓は・・・愛瑠を愛してしまったようですし・・・芽衣はそれを見抜きつつ諭吉への思いも募らせる。男と女のラブゲームおそるべしです。

こうして人々はせっかくの青い鳥を鳥かごから追い出してしまうのですな。

さて・・・最初のカードで戦いの女神であるミネルヴァをモデルとするスペードのクイーンを引いた愛瑠。キスを迫る啓をはりとばし、悪魔の計画を語る菊田をぶっとばす。まさに戦いの女神のキャラクター爆発でございますな。

一方、円卓の騎士ランスロットをモデルとするクラブのジャックを引いた啓。とにかく姫と浮気をする宿命ですから・・・結局、芽衣と結婚するのは諭吉で・・・昔の恋人として時々浮気相手になるのかもしれませんね。まあ・・・英雄となるかどうかはまた別の話でございますから。

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Hcinhawaii0537 ごっこガーデン。一度は彷徨したい夜の東京タワーセット。まこふふふ・・・愛を盗ませてもらいましゅ。心を盗むのは簡単なのでしゅ~、しかし体ごといただきでしゅ、ケダモノのように奪いましゅっ、それそれ~やっておしまい~、♪ハートのエースが出てこない~(くりかえし)」お気楽キスは全部未遂ダッターマン。芽衣の諭吉への気持ちは醒めちゃったの?・・・それともまた本心隠してるの・・・面倒くさい娘だよね~くう菊リンはいいものダッターマン2号、愛に気がついたら孤独になるって・・・逆説だわ~、これで最年少カップル、最年長カップル、ウジウジチェンジにキラキラチェンジ・・・怒涛のハッピーエンド突入ですかーっikasama4ふふふ・・・うまく言い逃れした菊りんですが・・・心にポッカリ穴をあけられた旺次郎たまったもんではないですなーっ・・・個人的な復讐心明らかにちょっぴりありですなーっ・・・科学者として困ったもんですなーっ・・・しかし、気持ちはわかったりなんかしてー

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『本日も晴れ。異状なし』(TBSテレビ)『落日燃ゆ』(テレビ朝日)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年3月13日 (金)

アメリカに帰ら・・・アメリカに帰っテッテケテー(高橋愛)君は僕の花だからQ.E.D.(中村蒼)お腹痛いのウソだからーっ(末永遥)

「Q.E.D.証明終了」↗*4.8%は平均視聴率*5.1%でフィニッシュである。男女ペアの高校生の謎解きドラマ。裏番組にほぼ同じコンセプトで長期シリーズ展開をしている「おみやさん」↘13.1%があって・・・微妙な数字に終っているわけだが、俳優としてはほぼ新人と言ってもいい高橋愛と中村蒼の配役なので・・・まったく仕方ないと言えるだろう。

それでも・・・渡瀬恒彦・櫻井淳子ペアとは新鮮度が違うので年齢別にはかなり、偏った数字をたたき出している気がする。原作はミステリファンのミステリとも言うべき本格ありファンタジーありのお子様ランチなので・・・ミステリの入門篇としては高品質である。

そして・・・何よりも頭のいい男の子と元気がいいけどちょっとバカな女の子の淡い初恋の底流がそこはかとなく効いてます。ちょっとバカな女の子マニアには当然抑えるべき一本となっていました。・・・どんなマニアだよっ。

で、『Q.E.D.証明終了・最終回』(NHK総合090312PM8~)原作・加藤元浩、脚本・藤本有紀、伊勢田雅也を見た。原作・54話「立証責任」をアレンジ。ボデイ&ソウルは人間の区分のひとつだが、行動派の探偵と頭脳派の探偵というコンビネーションも想起させる。たとえば現在は解散中のドラマ「相棒」の特命係はアクション担当の亀山と推理担当の杉下という役割分担を持っている。「Q.E.D.証明終了」の場合は可奈(高橋)が行動派の探偵である程度の情報を収集し、燈馬(中村)が事件の真相を推理するというスタイルである。

今回は・・・二人が同じ模擬裁判に参加することで・・・二人の役割は同等になってしまう。最終回にコレを選択することの妙味があるわけである。

では・・・可奈はどんな行動をとったのであろうか。それは「燈馬くんは数学の天才なので請われて渡米してしまうことが決定するのだが可奈はそれでもいいのと友達の衿子(ちかげ)たちに唆され模擬裁判に参加してもしも頭が悪い可奈が裁判員として有罪か無罪か燈馬くんと同じ選択をすることができたら神様が・・・アメリカに行かないで・・・と可奈が燈馬くんにお願いしてもいい証拠だ」ということで模擬裁判に裁判員として参加するという行動なのである。

つまり・・・模擬裁判占いである。裁判員としてあの人と私が同じ結論に達したら二人は結ばれるの・・・はうぅんである。けして、実際の裁判員として参加するときは真似しないでください。いや・・・そうじゃないと真剣に裁判なんかやってられるかよっ・・・という人はいいですけど。

なぜ、可奈がそんなアクションをするのかと言えば・・・燈馬くんが好きだから・・・に決まっているわけだが、燈馬はポーカーフェイスである。しかし、超人的な頭脳を備えた燈馬は推薦されて裁判員を引き受けた自分と違い、何故、可奈が立候補してきたかは推論するわけで・・・当然、すべてお見通しだったと考えてもかまわない。

模擬裁判の判例は裁判官しだいで有罪とも無罪ともとれる内容になっている。そして、先に選択するのは可奈であり・・・つまり「好き」と言っているわけである・・・燈馬にはイエスともノーとも言える選択権があったのだ。

そして・・・燈馬は「僕も好き」を選択するのである。ああ、甘酸っぱい。

さて、裁判は「推定無罪」の原則から始まり、検察の「有罪の立証責任」が問われ、完璧な立証が不可能である以上、公明正大を理想とする裁判官が有罪が立証されていると感じたら「有罪」・・・そう感じなかったら「無罪」と決するという概容を持っている。

もちろん、隙間だらけの制度だが、実力者の一存で事の理非を決してしまうよりマシであるという考え方を反映しているわけである。一般の人々には戯言に聞こえるかもしれないが事実である。

だから、「死刑反対」を唱える人々の論拠の一つがこの「曖昧さ」となるのである。しかし、制度というものに完璧を求めることは無意味である。たとえ、曖昧であろうとも、言論によって理非を問う「裁判」は際限なき殺し合いよりマシだというのが正論だからだ。

「理想」を求める人々は時々、この「折り合い」というものに盲目になるのである。

模擬裁判の判例は「被告が被害者の女性から金品を強奪したか否か」を問うものであった。検察(飯田基佑)は「被告が金に困っていたこと、被害者が金を引き出した銀行周辺で目撃されていたこと、襲撃現場で被告の声を聞いた証人がいたこと、現場付近で被告が強奪された現金を所持し拘束されたこと」を理由に「有罪」を主張する。

一方、弁護士(原千晶)は「被告が音楽活動を再開し希望に燃えていたこと、銀行で被告が目撃された場所からは被害者が引き出したかどうか確認できないこと、襲撃地点の証人が被害者の悲鳴を聞いていないこと、被告が所持した現金は拾得物であったこと」を理由に「無罪」を主張する。

可奈は無罪を選択する。理由は「夢を持っている人が犯罪なんてしないと思うから」である。・・・このちょっとバカなところがたまりません。

そして燈馬は「(立証責任が果たされていないので推定)無罪」なのであった。

ああ・・・神様が味方だ・・・と可奈は思った。しかし・・・盗み聞きの達人・・・気配を忍ばせ聴覚に優れているからである・・・である可奈は別室で話す裁判長(田村亮・・・ヴォイスで医療ミス死していた作家からココ)と燈馬の謀議を聞いてしまう。

裁判長「私は有罪だと思うのに君は何故無罪なんだね」

燈馬「僕も彼は犯人だと思います。被告と被害者はおそらく顔見知りで、しかも闇の男と女の関係でした。たぶん、ホストと客でしょう。被害者は被告との関係を知られたくなかったので通報による犯人逮捕により事件が明るみに出たことで困惑したことでしょう。被害者が犯行現場で声をあげなかったのはそのためです。犯人は当然、被害者がその日、大金を引き出すことを認知していたと思われます。しかし、検察がそれを立証していない以上・・・無罪です」

裁判長「・・・」

可奈「・・・」

燈馬くんは私とはレベルが違う。そんな燈馬くんを私の一存で引きとめるなんて・・・許されないのでは・・・と可奈のちょっとバカな頭は懊悩するのです・・・ああ、かわいい。

そして・・・屋上の別離。可奈「アメリカに帰ら(ないで)・・・アメリカに帰・・・アメリカに帰っても・・・がんばって・・・・」

燈馬「・・・」

そして、燈馬渡米の日は可奈の18才の誕生日。可奈は燈馬くんのお見送りに行かなかった。「それは恋だね」と推理する可奈の父(石黒賢)・・・可奈は逃げるようにいつもの屋上へ。

そこには可奈の追試のために燈馬くんが書いて教えてくれた英文が少しかすれて残っています。

たどたどしい・・・発音でそれを読み上げる可奈。ちょっとバカな子の見せ場です。こういうポイントを分っているところが流石。

「ブ・・・ブリ・・・ブリジット・・・」

せ、せつない。

「それはbright(晴れ晴れ愉快な)です」

燈馬と可奈の再会。そして焼きソバパンで桜を見る二人。

「僕は可奈さんという花を見るために日本に来たのです」

まあ、こんなこと言われたらバカな子としては「え~えっちぃぃぃぃ・・・」と赤面するしかないのですが・・・そこで事件発生・・・窓ガラスが割れボールが転がり人影はない・・・燈馬くんの手をとって駆け出す可奈・・・二人のコンビはまだ始まったばかりだエンディングでした。

もうテッテケテーなタイトルを考えることができないのか・・・と思うと残念です。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

で、『ありふれた奇跡・第10回』も見たのだが、妊娠能力のない加奈と翔太のカップルに「お腹が痛いので赤ちゃんを五分だけ抱いていてください」と言って駆け去るヤンママが末永遥だったこと以外には特筆することはありません。翔太・・・ホテルにまた行けなかったよ。翔太の祖父(井川比佐志)、「野卑」と言う役柄を好演。シルヴァーナ、うしろうしろーっ。視聴率10.0%。まさに可もなく不可もなくーっ。

土曜日に見る予定のテレビ『堀北真希のチャンス!』(フジテレビ)『銭ゲバ』『妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『RESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)『大村彩子の終着駅・殺人同盟』(テレビ朝日)

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2009年3月12日 (木)

見知らぬ共犯者と相棒と元相棒(水谷豊)死体の呪いとキイナ(菅野美穂)

いろいろと大変だった2009年冬ドラマ(一~三月期)も終盤戦である。しかし、水曜日のダンスはしかるべく。

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%↗17.3%↗17.9%↘16.9%↗21.7%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%↗14.2%↘13.3%→13.3%↗14.9%

なんだか・・・落ち着く数字です。

で、『相棒・Season7・第17話』(テレビ朝日090311PM9~)脚本・櫻井武晴、演出・東伸児を見た。中々、登場しない新・相棒なのであるが異色の元・相棒・陣川警部補(原田龍二)再々登場である。指名手配犯の見当たり捜査を趣味とする捜査一課一係の経理担当者であり、いかにも怪しい事件関係者が美人の場合必ず惚れるという特徴があり・・・右京としてはあまり関わりたくない人物なのだった。

ここまで、Season3やSeason6に登場している。

で、今回は冒頭、ダルマ船(河川に停泊中の貨物船)内に右京とともに監禁されているところから始まる。

二人は別々の場所で襲撃され・・・失神状態で拉致監禁されたらしい。

しかも、匿名による通報で・・・監禁から解放されるのである。

一体、二人は何故、拉致監禁され、何故、程なく解放されたのか。

現場に残された携帯電話を手がかりに久しぶりに「相棒あり」の捜査が始まる。

とにかく・・・亀山を2ランクぐらい使えなくしたキャラなので・・・このまま、新・相棒に納まることはないのだが・・・そうなったら・・・うざいと思うぞ。

現に右京も「謹慎中ですから大人しく自宅にいてくれると助かるのですがねぇ」と本人相手に言うのである。

携帯電話の持ち主は学校の教師(金子さやか)だった。渾名は魔王である。しかし、これは本名が真央であるから悪意によってつけられた仮称だった。

その悪意の存在する場所は電脳空間(ネット)である。

ネットに無数に張り巡らされたコミュニケーションツールとコミュニティーはある意味希薄であり、ある意味濃密な人間関係を構築する。

現実もフィクションの一つに過ぎないと公言するキッドが言うのもなんなのだが、夢(フィクション)と現実(ノンフィクション)の境界線は実に曖昧になっている。

もちろん・・・現実とはあらゆるフィクションの母体である。

そういう意味で第一の虚構というべきものだろう。第一の虚構(ファースト・フィクション)は人間の数だけ存在する。しかし、第一の虚構が存在するのはただ一つの世界であると仮定することもできる。それを現実世界と名付けても問題はないだろう。

第一の虚構で「私」が死亡すれば、「私の虚構の全て」は更新されなくなる。もちろん、「私」の生み出した虚構の記録は暫くは残るのである。そういう意味では「第一の虚構」である「私」が死亡した後に「私の死体」が残ることと似ている。

「私の死体」には「所持品」や「未消化の食物」なども残っているし、DNAなどの個人情報も採取可能である。だが、やがて時間の経過とともに「私の死体」は「現実世界」に還元されていき・・・たとえば地球というものの一部になってしまう。これをロマンチックに表現すると「人は死んだら星になる」と言うわけである。

だが、「第一の虚構」の中で人間は別の虚構を生み出すことができる。昔はそれを「ウソ」と言ったのだが、今は「かりそめの私」というべきだろう。

どんなことでもビジネスにしようと思えばできるので「ウソつき」に特化すれば「作家」だとか「宗教家」だとか「詐欺師」になれるのである。

現在は「ネット」の世界でそういうフィクションが無数に花開く時代である。

「現実世界」では見知らぬ人間と「虚構の人間関係」を比較的安易に構築できるのが「電脳世界」の特質だ。

「虚構」の中にも「情報」は存在し、人間の「意識」や「感情」を伝えることができる。そこでは「現実」では起こりえない「意志」が発生する場合もあるのだ。

ネット以前には多くの人間は「周囲の人間」との関係に留意すれば事足りた。しかし、いまや、不特定多数の人間が常に周囲にある。大袈裟に言えば、一人一人の人間が全世界の人間との関係に注意する必要があるのだな。

まあ・・・そのためには人間の脳には限界があるので・・・運を天にまかせる部分も生じてくるのである。

ネット内のコミュニティー(小規模)で発生したいじめ事件を追求した女教師はいじめを画策したコミュニティーの管理人を警察に告発したことにより、逆上した管理人により復讐のターゲットとされる。

「学校関係者や警察関係者に悪意を持つもののコミュニティー」を構築することにより、管理人の悪意は増幅されてしまう。「誰もが平等に参加する世界」であれば「反対意見」あるいは「善意」がコミュニティーの空気を中和する場合もあるが、「反対意見(アンチ)の削除」によって空気の制御に介入すれば「偏向した意見の捏造」も可能である。

こうして・・・コミュニティー(掲示板)に参加したどこかの誰かが「女教師の携帯」を盗み、どこかの誰かが「右京」や「陣川」の「住所」を特定し、どこかの誰かが「二人」を襲撃し、どこかの誰かが「二人」を搬送し、どこかの誰かが「二人」を監禁し、どこかの誰かが現場に「女教師の携帯」を放置したのである。そして・・・どこかの誰かが警察に二人の監禁場所を通報したのだった。

最後の通報者は無関係の善意の人に見える通りがかりで不審な物音を聞いたOL(原史奈)であった。

鑑識米沢守(六角精児)によって本人はたちまち特定されるのだが・・・キャスティング的にはただの善意の人ではないのは明らかである。

OLはかって万引きの集中攻撃で廃業に追い込まれた本屋の娘だった。

ネット内の別のコミュニティーで「昔、いたずら半分に近所で集団万引きをそそのかしたことがある」という女教師の発言を読んだOLは彼女が同窓生であることを知り「何もしてくれなかった警察」と「万引き犯人のリーダー」に復讐するべく・・・どこかの誰かを誘導したのだった。

しかし・・・実際にそれが現実のものとなると・・・恐怖を感じ・・・解放のための通報をしたのである。

相手が美人なので交際しようとしていた陣川はガッカリなのだが、右京のお説教も控え目だった。

「先生が集団万引きを指揮したのは・・・コンビニだったんですよ・・・ただし・・・それで彼女の悪事が消えるわけではありません。そして・・・同様にあなたの悪意もまた許されるわけではないんですよ」

だからといってどうなるものでもない・・・と右京は沈黙するのである。

だが・・・犯罪者はこの世のある限り消滅することはないのだからそれでいいのである。

「悪」もまたフィクションに過ぎないのだから。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・第8話』(日本テレビ090311PM10~)脚本・田中一彦、演出・山下学美を見た。「相棒」が仮想空間で増幅された「悪意」の話なら・・・こちらは現実空間で隠蔽された「悪意」の話である。

特殊な記憶能力を持つキイナ(菅野)の上司・警視庁捜査一課強行犯係・雅係長(原翔太郎→沢村一樹)の胸にはある事件が秘められていた。

幼馴染である真理子(北村一葉→松岡璃奈子)の失踪事件である。

現場に大量の血痕が残されていたために・・・死体なき殺人事件とされたこの件の時効が迫っていた。身元不明の死体が発見される度に現場に足を運んだ15年の歳月なのである。

強い思いは現実と夢想の区別を曖昧にする。覚醒時に真理子の幻影を見るようになった雅係長はある意味、狂い始めているのだ。

キイナがそれは「磁気の乱れ」ですと慰めても心は休まらないのである。

そして・・・時効直前、西多摩の山中から屍蝋化によって生前の姿を止めた真理子が土砂崩れによって発見されたのである。

キイナはそこが心霊スポットであることに夢中になるのだが・・・重要なのは死体の埋まっていた山林の持ち主だった。

それは真理子の婚約者・常夫(袴田吉彦・・・今季ジャックにカメと大活躍)の父親・桑島代議士(宍戸錠)の地所だったのである。

そして・・・屍蝋化したことによって生前の現状を維持した真理子の爪からは加害者の皮膚の断片が発見される。

恒夫から採取されたDNAとは一致しなかったが・・・親子関係は疑えるはずである・・・そうでないと出生の秘密が・・・とにかく・・・キイナの出番である。現場に残された遺留品の腕時計が・・・15年前に桑島代議士の腕にはめられていたのをかってちらっと見た新聞記事から思い出すキイナなのである。・・・まあ、特殊能力ですから。

これにて一件落着・・・とにかく・・・時効前だったので死者の怨念というあなたの知らない世界の匂いは・・・そこそこしました。まあ、表現したのはセクスィー部長でしたけど。

さあ・・・来週最終回。日本テレビドラマ陣でついにヒトケタを知らずにフィニッシュなるか。場合によっては今季の連続ドラマ1位もある「キイナ」・・・びっくりだ。しかも相手は月9「ヴォイス」だし。

金曜日に見る予定のテレビ『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『歌のおにいさん』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)

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2009年3月11日 (水)

勝利の神の雫(亀梨和也)忘却のトライアングル(広末涼子)戦いなくして勝利もない(水嶋ヒロ)

ドラマ対決の勝者は・・・数字で示される。

①「メイちゃんの執事」↘13.4% ②「トライアングル」↗13.3% ③「神の雫」↗*5.4%

ついでに「バラエティーニュース・キミハ・ブレイク Goro'S Barドラマスペシャル」は*5.4%であった。アンナ様のダーリンは顔出しゲストそのものでした。

あの「トライアングル」が結末直前でやや上げである。なんだよ、作戦勝ちなのか・・・。

まあ・・・豪華なメンツのメンツにかかわる問題だしな。「せまい日本そんなにいそいでどこへいくということわざも・・・」「交通安全の標語ですー」「わざとだよ」的な。

で、『メイちゃんの執事・第9話』(フジテレビ090310PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・木下高男を見た。ついに最後の最後まで・・・メイちゃんこと東雲メイ(榮倉奈々)は積極的に戦わないのである。ある意味、寝業師だな・・・。男らしくないこと夥しい・・・女の子だよっ。

しかし・・・ルチア様こと本郷詩織(山田優)も戦うというよりは苛めるという姿勢であり・・・そんなに邪魔ならさっさと片付けろっと思う展開である。

何よりも、東京都の1/3がお嬢様専門学園に接収されている未来封建国家である。ひょっとして殺人罪は消滅している可能性もある。

メイの両親の事故死も合法的な殺人の可能性があるわけだし。

しかし・・・ドラマだからな。妄想的には・・・やはり、本郷金太郎(津川雅彦)と本郷詩織の間に緊張関係があると考えられる。

遠縁の娘で養女である詩織にとって・・・実の孫娘であるメイを凌駕する関係を構築するためには金太郎(70)の後妻に納まるのが理想的である。「アグリーベティー」なら足フェチで主を従が陥落させるわけだしな。

結局、ルチアはそこまでの根性がないか、金太郎を落すだけの魅力に乏しかったということになる。

さて・・・縁故と実力という問題が当然浮上してくる。

血縁には当事者同士の愛憎という問題もからむが・・・政治的には平等主義で平和主義の香りが漂うのである。たとえば・・・一国の首長の相続を血縁によってするというのは実に平和的な手段なのである。

そこには血縁者以外の参加は基本的に許されず・・・そのために競争も限定される。

一方、これを実力主義によって行えば「誰にでもチャンスはある」ことになり、その血なまぐささは組織そのものを崩壊させかねない。

しかし・・・血縁者が必ずしも有能であるとは限らないために・・・執事という存在が浮上する。

例として日本の場合を考えてみよう。あくまでたとえなので他意のないことをお断りしておきます。

日本は古来、天皇制度があり、それは実質的な政権とは距離を置く首長制度と言える。

現代でも天皇(首長=血縁主義)、国会(政治権力=実力主義)となっている。もちろん・・・こうした二分割はあくまでたとえである。国会に二世議員がいるように平和な社会では血縁も実力のうちになっていくのが普通である。

自由と平等は常に侵食しあう相容れない概念だが・・・人々はできるだけ自由に、できるだけ平等に、なろうとする傾向がある。それを昔は人類の進歩と調和などと言ったのだが、要するに金持ちケンカせずということである。

そういう世界ではバランスがもっとも大切だ。ルチアは有能であるが・・・その有能さゆえに大衆から敬遠される。メイは無能だが無能だけに大衆に愛される。

ここにルチアの悲劇が生じるわけである。ルチアは支配者として最も有能であろうとするが・・・メイは無能であるがゆえに支配されるものに選択されるのである。

なにしろ・・・メイはただ執事(理人=水嶋)と一緒にいたいだけなのである。

なぜ、メイはほとんど何もしないのに・・・クラスメイトに愛されてしまうのか・・・なぜ、下層階級出身者で姓もない学園長・シスターローズは恋敵の娘を応援するのか・・・なぜ、理人は猛烈にメイをお慕い申し上げるのか・・・全ての答えは血は水よりも濃いという一点に集約されるのである。

平和を愛せば当然、そうなるのである。

ちなみに・・・執事といえば映画「ミスター・アーサー」はかかせないのであるが・・・映画の中で執事がアーサーお坊ちゃんの頬をやわらかく撫でるシーンがある。実は叱責のシーンである。執事がお仕えするお方に手をあげるというのは・・・死を覚悟の愛情表現である。もちろん・・・わが子に躾をする親、生徒に制裁する教師、皆、心を鬼にしてこれを行う。この場合は・・・これだけはお伝えしたいことを言うのである。アーサーの執事の場合は「愛されようと思ったらまず愛しなさい」であった。

「メイちゃんの執事」は無言である。しかし・・・「戦わずして逃げるのでは死んでいるのと同じです」というようなニュアンスをキッドは感じました。まあ・・・「こんなに愛しているのにおわかりにならないのですか」という風に解釈してもよろしいでしょう。ま、「がんばって~」でもいいですけど。あなたは何を感じたのでしょう?・・・そしてメイちゃんは・・・。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

Hcinhawaii0533 ごっこガーデン。謎の刺客だんご射的ゲーム会場。お気楽メイちゃん失踪、発見・・・毎回同じじゃん!・・・本郷家襲撃作戦が一番手っ取り早いよね・・・さすがはみるく(吉田里琴)様・・・結局、来週めでたしめでたしなんでしょまこしょれしょれーっ・・・い矢ぁぁぁぁぁって、だじゃれでしゅかっ!・・・矢ぐらいなんでしゅか、ウチのじいやなんてダイナマイトで爆破してもピンピンしてましゅ~、じいやーっ、うどん食びたい~mariスマスマでは天然ヒロくん・・・そしてメイちゃんではダメダメお嬢様に甘々~、愛のビンタ炸裂~、メイちゃん覚悟よ覚悟なのよ~、最終回くらいビシッと決めてね飯綱遣いチャンス!~彼女が成功した理由 第1話とかで遅刻なのでありましたーっあんぱんち天国の弟に届け!フィッシュストーリー・レポートとかで遅刻なのよ~ご冥福をお祈りします・・・くう卒業シーズン・・・引き続きトライアングルでお楽しみください

で、『トライアングル・第10回』(フジテレビ090310PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・木内健人を見た。第1話で・・・「自分探し」というテーマに強烈な違和感を感じたのだが・・・ついにそのまま「本当の自分」とかにこだわり続けてここまで来ました。ミステリで捜すのは「自分」じゃなくて「犯人」だろうがーっ・・・という気分を毎週感じます。その頂点が・・・瀕死の重傷を負いながら・・・救命センターでもない病室で・・・吸入器をはずして長い長い今際の際を演じるサチ(広末涼子)である。

「私・・・一つ気がついたことがあるの・・・」おおっ・・・ついに重要な手がかりか・・・まあ・・・最悪・・・「亮二さんのことが好きでした・・・」でもいいかっ・・・と思っていると「本当の自分に出会ったら・・・もっと傷つくことになるかもしれないって・・・」・・・おいっ。

そして・・・さらに違和感を覚えるのが、実の娘佐智絵(志田友美)に続いてサチを失った葛城夫人(風吹ジュン)の態度である。

「・・・あなたのためにサチの人生はひどいことになった・・・でも・・・あなたには本当の人生を捜して欲しい・・・」・・・おいおい・・・。元はと言えば・・・あんたの浮気で・・・娘死亡したんだろうがっ・・・。それが全ての発端だろうがっ・・・。どうやら・・・自分探しをしている人間に一点の非も曇りもない・・・というのが底辺に流れているらしい・・・。なんていうか・・・スタッフがそういう世代なのか。

とにかくだ・・・アザのある男・進藤、サチの兄・志摩野、サチと謎めいた登場人物たちが次々と死んで・・・結局・・・事件とは無関係みたいな・・・恐ろしい展開である。

Hcinhawaii0536そして・・・これ以上なく・・・怪しい言葉尻をとらえた展開。最初からへんな定食の食い方教えたり・・・葛城(大杉漣)の愛人の家宅捜査の怪しさ・・・そして拳銃の意味不明な紛失騒動・・・中畑か・・・中畑が決定的証拠なのか。

ちなみに・・・葛城佐智絵殺害事件でアップになった野球カードは・・・キッドの記憶によれば・・・こうです・・・。

巧打者・篠塚・・・エイトマン原・・・キャッチャー山倉・・・・・・・・絶好調男・中畑いないよーっ。

25年前か・・・何もかも・・・懐かしい・・・。来週、葛城の父を呼び出して丸さん(小日向文世)罠にはめる展開なら卓袱台祭り開催は決定的なのですなーっ。それともまた単なるミスリードですかーっ。ミスリードのダブルですかーっ。なぜ・・・そこまで・・・あえて無能の捜査を・・・。刑事たちはーっ・・・刑事たちはーっ・・・・。まさか・・・捜査陣一同・・・自分探しをしていたのか?

Hcinhawaii0534 ごっこガーデン。いけない夜更けの繁華街セット。お気楽サチが撃たれた時、亮二と葛城は何を隠していたの・・・。中畑のカードは堀込(マギー)がパクったの?・・・結局・・・10回もかけて・・・調べようと思えばとっくに調べられたことを調べ始めるって・・・イライラさせるな~もうアンナはあぁぁぁぁぁ、さっぱりわかりゃにゃい~、でもアンナは黒木パパはいい人だと思ってたぴょん・・・今は丸さんが絶対に怪しいよね~。とりあえず・・・ゴロちゃんドラマのゲストで期待しすぎて・・・お熱まで出たのに・・・出番少なすぎ・・・連れ多すぎ~・・・じいや・・・とりあえずモツ鍋~くうカレーが美味しかったって・・・どんなに愛情に餓えていた・・・哀れな少女だったのでしょうか・・・くすん・・・でも一人の少女が死んで・・・別の少女が温もりを与えられるとか・・・この運命の皮肉さは・・・軽くスルーなんですよね・・・重要な登場人物も死んだらそれまでって感じで・・・なんだか・・・ストーリーテラーが無機質ですごくドライな感じがするんだよっみのむし早く犯人教えなさいよっ・・・てそれだとドラマ終わりか・・・黒木パパ・・・綺麗事言ってるけど・・・事件と出世は無関係とは言えないよね・・・気がつかないのも立派な罪じゃないのかな・・・アザをとるのは大変だけど・・・つけるのは簡単だよね結局、サチを殺した犯人、放火犯(両親・兄殺し)、進藤殺し、志摩野殺し、サチ殺し・・・もう七人も殺されているのに・・・何一つ分ってないこのドラマ・・・ハッピーエンドはないのですかーっ・・・これでハッピーエンドならすごいのに~・・・無理なのかしらikasama4もう・・・大穴狙いで宮地さん(浅野和之)に全部っ・・・特殊工作捜査員だったりして・・・ミマム一週またいで・・・サチが死んじゃった・・・おくりびとでアカデミー賞にいったから・・・かな?・・・なんとなく死ななくてもよかったような・・・もう救いはないよね・・・なんとなく・・・凶器は誰かが投げた石で・・・ある意味事故死・・・現場でその石を警官がなんとなく蹴っちゃってそのまま川に転がり落ちちゃって・・・見つからなくなって・・・それでずっと大騒ぎしてたりして・・・ま、丸さん・・・?飯綱遣いだから遅刻なのですってばーっ・・・もつ鍋は食べます~

で、『神の雫・最終回』(日本テレビ090310PM10~)原作・亜樹直、脚本・渡辺雄介、演出・中島悟を見た。まさに「美味しんぼ」のエピソードのような展開である。偉大な父、この場合は兄が病に倒れ・・・宿敵である主人公がピンチヒッター・・・最後は兄がかけつける・・・ついでに兄の恋人が妊娠出産・・・主人公もついでに告白。めでたしめでたし・・・である。ヒントというか、前座で国産ワイン「登美1997」が登場。結局、ドラマ版の神の雫は原作者がコラムで奇跡のワインと名付けた「シャトー・ル・ピュイ2003」だった。例によって天使テンメイ様の先行記事があるので、興味のある方はどうぞ・・・。

最後はかなり・・・駆け足で走り去ったドラマだったな。結局・・・雫(亀梨)の父・豊多香(古谷一行)は恋多き男だったけれど・・・女たちに尽くされ・・・息子たちにも愛され・・・孫もできたりなんかして・・・子孫繁栄万歳というオチである。・・・まあ・・・お茶の間には絶対支持されないな。

しかし・・・多くの子供たちは・・・普通あるいはそれ以下の経済力のある家に生まれ、それほどの才能にも恵まれず、親がなにかしでかせば・・・とりかえしのつかない場合もあり・・・それを全部・・・運命だとか・・・忍耐とかで・・・割り切って生きていくのは・・・難しいとは思います。

そんな時・・・それもまた人生・・・誰かを怨むよりそのままの人生に喜びを見出そうというメッセージはまあ・・・悪くはないでしょう。ある意味、メッセージなんてみんな綺麗事ですからね。

たとえばスティーブン・キングの小説「セル」(2006)は人類の産物が時に凶悪であることの物語である。そこでは携帯電話を使って天才的で・・・ある意味狂った・・・何者かが人類を初期化してしまうという悪夢が描かれている。

ある種の人間は新しく生れた馴染みのないものを嫌悪するという傾向を持つ。

それはもちろん・・・対応力の問題もある。

たとえば日本語をずっと縦に読んできた人間にとって・・・もはや横書きを読むことが普通になってしまったことは・・・何か・・・心苦しいものだ。

ノートにペンで書くのが日常だった人間がモニターに向かってキーボードをたたいているのも腑に落ちない気がする。

どうして・・・連絡がつかないのです・・・と云われ・・・言い訳ができなくなってしまった携帯電話の時代を時々憎むのである。

病院で携帯電話が基本的に禁止されているのは不便であると同時にホッとするルールだったりするのである。

しかし、人間はあらゆるものに慣れ、あらゆるものに臨機応変に対応していく生物である。

新しいものは・・・時には悲惨な状況を作り出す。核兵器に限らず、あらゆる武器の発明は犠牲者にとっては・・・とんでもない結果をもたらしている。自動車だってなければ交通事故の件数は激減するわけである。

しかし・・・それでも人間は欲望のおもむくままに新しいものを生み出し、それを謳歌するのだ。

たとえば・・・ドラマ版の「神の雫」は無農薬が売りのワインである。

それは同時に「昔ながらのワイン」を意味する。変わらないものが美しいという主張である。

しかし・・・農薬によって・・・楽になった人間はそれをエンジョイするし・・・それで問題はないとも思う。それによって・・・薬害が恐ろしい症状を引きおこし・・・新たなる苦痛の種が生まれ・・・場合によっては人類が滅びるかもしれないが・・・それはそれで運命なのである。ま、悪魔だからそう思うということです。

もちろん・・・虫も殺さない環境で育った食物が・・・それなりに人体に優しいというのは頷ける話だろう。農薬のない時代を生きて子孫を繁栄させてきた人類が・・・そういう昔ながらの味を美味と感じるのは当然なのである。

要するにその折々で何が佳くて何が悪いと考えるのも人間の特質なのである。

だが・・・遡れば・・・酒のない時代だって人類は生きてきたのだ。そこで酒を発明したバッカスは・・・場合によっては悪魔の水の発明者として・・・毒ガスの発明者なみに後ろ指をさされたかもしれないのである。

結局・・・そこにあるのは戦いだ。酒を飲むものと・・・飲まないものとの戦い。それは果てしなく続き・・・現在に至っている。そのあげく現代ではクルマと飲酒者の共存が問題になったりしているのである。喫煙者は禁煙車で駆逐である。

そういう人類が発明するもの・・・それは文化と言っていいだろう。

文明は衝突するが文化も衝突する。ワインと日本酒は衝突するし、時には日本でぶどう酒が作られ、外国で米酒が造られる。そしてぶどう酒はワインと、日本酒は米酒とまた戦争するのである。外車と国産車が競争するが如しである。

消費という立場で考えれば・・・よりよい品物をより簡単に手に入れられるのは素晴らしい・・・で済むが・・・生産者はそうとばかりはいえない。

そして人間は右往左往するのである。あるものは行き過ぎを叫び、あるものは不足を罵る。それを虚しく感じるものもいれば面白いと感じるものがいる。

すべての人間の営みが滅びに向かっての精一杯の努力だと思う人間もいるし、少しでも遠くに少しでも永くこの世に留まることを目標にするものもいる。

ワインの奥は深い。少なくとも一人の人生より古いワインがあり・・・そこでは微生物が人間と付き合っている。しかし、人間が変化するように微生物も変化するのである。

ある日、突然、ワインが毒薬に変わる日が来ないとは言い切れない。しかし・・・その時はワイン好きは死に絶え・・・ワイン嫌いが生き残る・・・ただそれだけである。

まあ・・・すべてのことはかくの如し。

飲む阿呆に飲まない阿呆。酔ったものが時には勝利者ということもあるわけだ。

そうやって・・・人々は生きて死ぬのである。

だから日本テレビの火曜日の夜のドラマは・・・この日・・・寿命を迎えたのだった。最後に相応しく・・・息も絶え絶えの視聴率だったが・・・それもまた生きた証なのだな。

古きものには愛着がわく・・・しかし新しいものには希望が満ちている。

人生は素晴らしい。

そしてさよならだけが人生だ。

Hcinhawaii0535 ごっこガーデン。素直に告白の屋上バー。エリ背後から好きだーって言われて・・・ふりむいて・・・もう一度言って・・・顔を見ながら言って・・・って言いながら先に私もすきーって言っちゃう・・・はうぅん・・・青春でしゅ。みやびちゃん・・・かわいいのでスー。チューなしでも許しちゃうのですyon!・・・罪の意識から自殺未遂・・・しかしそれを止めるのは母なる自然の呼び声です・・・一青はぺろべろばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぐらいでもよかったと思います・・・おもらししてたら・・・・ほぉぉぉぉぉでもおかしかったかもーっ。兄さん・・・雫・・・兄弟和解にほのぼのでしたyon!・・・亀雫先輩お疲れ様でしたーっまこ目覚めよ、バッカス・・・おぉぉぉ~~~・・・さおり・河原毛・木戸のトライアングルも決着か・・・♪春なのにお別れですか~春なのに~春なのに~・・・じいや次は朝まで春ソングに突入しましゅーikasama4妊娠発覚、奇跡の復活、不倫解消、無期限休職・・・なんとなくすべてを微笑んで許せる・・・それが神の雫の世界・・・新生児ズバリ予測賞はソフビバッカスですか・・・なんとなくのほほん・・・なんとなく・・・春の海・・・♪お皿たたいてチャンチキおけさ~

木曜日に見る予定のテレビ『Q.E.D.証明終了』(NHK総合)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)

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2009年3月10日 (火)

本のヒモはスピンと言いますが栞の一種です(瑛太)彼女が髪を指で・・・(石原さとみ)

・・・それは「栞のテーマ」でございます。

序盤は良かったのに途中から次週予告になって意味不明な決着は生放送で途中からWBC日本VS韓国0-1を見ていたような腰の砕け方だったな。

週末のドラマは面白いのに・・・日曜日と週明けはガッカリなんだよな。だけど深夜の「ドラゴン桜」の再放送はものすごく面白いんだよね。あの脚本家の作品とは思えない面白さに・・・人間の脈拍を感じるのです。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブ・シャッフル」↘*7.5%(しのいだ・・・と言えるかな)、「歌のおにいさん」↗11.8%(まあ、みんな好きで歌のおにいさん見てるんだよね)、「RESCUE」↘*6.4%(死んでも野球を見ない層だな)、「銭ゲバ」↘*6.4%(やっぱりね・・・木南晴夏の美しい死に顔に乾杯)、「チャンス!」*8.6%(はるはるの後のまきまき・・・添乗員さんネタか・・・)、「天地人」↗22.2%(フフフ・・・フフフ・・・フフフ・・・あがるのかよっ)、「本日も晴れ」↘*6.8%(昼間の再放送も効果なし・・・キャラ設定が間違っているとしか言えない)・・・まあとにかく・・・WBC37.8%韓国にコールド勝ちは凄いということがわかった週末だった。ついでに「ヴォイス」↘10.2%・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~第9回』(フジテレビ090309PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。ビルの窓拭き従業者の墜落死・・・事故か自殺か・・・を死因から判定する法医学教室。しかし・・・墜落死の前に睡眠薬を飲んでいたからといって自殺とは断定できないだろうとか・・・生命保険会社と法医学教室の闇の関係が香りたつとか・・・うつ病による自殺の場合は病死扱いになるだろうとか・・・様々な疑問が浮かんだ末に・・・「お父さんは家族に金を残そうと保険金詐欺目的で偽装事故による自殺をしたわけだが最後にはバレちゃうんだからいいとこなしだったよね」と加地がまとめる・・・って何が言いたいのかちっとも分らないエピソードになっているのはキッドが悪魔だからですか?

それにしても「相棒」・・・詩人が自殺、「銭ゲバ」・・・妻が自殺、「ラブシャッフル」・・・美大生が自殺(?)、「ありふれた自殺」と自殺ネタ多しなのである。まあ、ミステリとか青春とかに自殺はつきものだし・・・このドラマなんか死因の話なので避けて通れないからいいか・・・とも思うが・・・結局・・・「自殺って面白い」ということになるわけで・・・それでいいのかよ・・・と悪魔も不安になる今日この頃です。

キッドの身近な人間に「もう死にたい」が口癖の人間がいて・・・「じゃ・・・殺してやろうか」と言うと「それだけは勘弁してほしい」と言うのです。

人間は・・・口では何とでも言えるわけで・・・それを実行する・・・自殺とか殺人をです・・・人となんとなく言ってみる人との間にどれほどの格差があるのか・・・それともないのかをもう少し練り上げてもらいたいと思うのですよね。

今回・・・自殺した父親を「バカだ」と言う息子がいて・・・赤の他人である主人公が「君のお父さんは家族のことを案じながら死んで行った・・・ただバカだったわけじゃない」としんみりさせようとするのですが・・・「死」はただ虚しいだけという冷酷な事実がポッカリ抜け落ちているのでございます。

「生命保険」は所詮、ギャンブルでございます。胴元である保険会社はなるべく出費を抑えようとする。ギャンブラーたちは不確実な配当を確実に得ようとする・・・そういうしのぎあいがベースです。保険金未払いはフェアじゃないし、不当行為で配当を騙し取ろうとするのもフェアではない。しかし、ファールプレイはまたジャッジ的にセーフならオーケーというのも勝負のあやというもの。

ドーピング検査で一発アウトの事故偽装でなんとかなると考えていた場合・・・覚悟の自殺だったかどうかは裁判官の心情次第のグレーゾーン・・・もちろん・・・借金を帳消しにする闇のシステムならば・・・他殺を事故に偽装することは明らかに簡単明瞭なわけです。

もちろん・・・心優しい大学生たちの「やさしさ」を売りにしようとする甘口ドラマにあれこれ言うのもなんなのですが・・・なんなの?と思わずテレビに向かって叫びたくなる回でした。

そして・・・父親のカルテ改竄・・・医療ミスの隠蔽の追求を決意した石末(生田斗真)のエピソードが割り込んでくる変則形式も実に見難い。

まあ・・・脚本家が四苦八苦している空気は実に明解なのですが・・・お茶の間はそんなものを見せられても喜びませんよぉ。

関連するキッドのブログ『第8回のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)『相棒』(テレビ朝日)・・・『エリートヤンキー三郎』(テレビ東京で深夜に再放送中)

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2009年3月 9日 (月)

仁義なき天地人・代理戦争(妻夫木聡)挑発して唆して煽って(常盤貴子)

おお・・・それなりに時間が止っている。妖怪「大顔」になった上杉謙信の亡霊が見守る中・・・跡目相続をめぐる火花が散り始める。・・・もう少しスリリングでもよかったか・・・。

とにかく・・・一度は密会しないと気がすまない兼続(妻夫木)とお船(常盤)はさておき・・・物語は樋口惣右衛門(高橋政伸)と遠山左衛門尉(螢雪次朗)のねっとりした視線で綴られていく。

汚れ仕事はみんな脇役に押し付ける気だな。

イケメンでk-1みたいな殺陣で押し競饅頭のような合戦・・・ある意味凄まじいぞ。もう好きにしてくれって感じ。

いつから・・・後北条家は名門になったんだ・・・成り上りの代表格だろうがっ。

で、『天地人・第10回』(NHK総合090308PM8~)原作・コレデイイノカ火坂雅志、脚本・ヤリタイホウダイ小松江里子、演出・ヤラカシチャイマス高橋陽一郎を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。おおっ・・・今回は結構シナリオにそっていただけてます。ありがたいことでございます。イケメン・ショックから素早く立ち直り、それなりに物語に寄り添う。若さの勝利ですね。もう、ロートルはしばらく頭真っ白でございましたよ。一応、人質から養子に昇格した景虎(玉山鉄二)のひねくれた心情の変化をそれなりに描いている・・・ということへの評価でしょうか・・・まあ・・・そういうことは最低限の基本ですけれどねー・・・ここまでそれすらもなかったからな・・・飲酒運転で交差点に突っ込むようなドライバーが踏み切り前でいったん停止ができました・・・みたいな? もちろん・・・ドラマのかゆい部分に手が届く解説記事の感度抜群はいつもの如く。一目で分る春日山城武将棲み分けマップ、そして春日山城秘録・・・妙高山の北の守護神は燃えているか?・・・多聞天と毘沙門天は同一人物これ常識的直感。そして兜かぶれよ兜徹底追及でございます・・・毎度お疲れ様でございます。

Tenchijin15782 で、天正六年(1578年)三月はゆるりと過ぎていくのだった。飛び加藤こと加藤段蔵がくのいち初音を育てることから始めた上杉謙信暗殺計画をついに遂行し・・・飛び加藤は信玄・謙信を屠った忍びとして忍びの世界の殿堂入りを果たしたのだった。忍びの者が芸者である以上、その芸は誰かが買ったわけだが・・・その買い手が誰であったのかは忍びの世界でも謎に包まれている。それが一流の証とも言えるし・・・空前絶後の天才忍者として・・・飛び加藤が己のすべてを表現したかっただけであるという・・・ロマンさえ可能性として残るのである。そして・・・結局・・・北国に真空地帯が生じたことだけは歴然としている。

東北から蘆名盛氏が、関東から北条氏政が、信濃から武田勝頼が、そして越前から織田信長が・・・その空白地帯へとなだれこむ気配を濃厚に漂わせる謙信没後の二日目。三月十五日・・・葬儀の行列によって謙信の死を実感した見物の衆は・・・どこか熱気に包まれはじめている。

その日、関東侵略の合戦開始日が関東管領の葬儀の日に変わったことは一つの時代の象徴だった。すでに・・・京都には足利幕府はなく・・・新たなる関東管領を任命する組織そのものが消失した戦国の一つの極みがその日にあったといえる。

結局、戦国における義とは支配する権威をどのように確保するかという問題なのである。

それは安全保障の一つの形である。

主従というものは従うものの権利を主が保証し、そのために主を従が擁立するというシステムである。主がどのような性質を持つかは・・・あまり関係がない。本願寺門徒は一向の教え主を主とし、それに従うことで己の生を保つ。寄らば大樹の陰であり・・・主が多くの衆を集めれば集めるほど安全が保証され・・・リスクは軽減するのである。

しかし、その主が倒れたとき・・・大きければ大きいほどリスクは高まるのだった。

なぜなら、どんな大河にも主流と反主流(支流)が生れる。

主の死は反主流にとって一発逆転のチャンスであり・・・河は氾濫する宿命なのだった。

後世の歴史では上杉景勝と上杉景虎のどちらが主流だったのかで意見が分かれるが・・・もちろん・・・勝てば官軍なのである。

嵐の前の静けさを感じながら・・・謙信の姉であり・・・実子景勝を謙信の養子とした仙桃院は春日山城の頂上階とも言える一の廓、毘沙門堂で祈りを奉げていた。

平氏である長尾一族のトーテムは当然の如く蛇である。その血にはヤマタのオロチの血脈が流れているという伝承がある。

弟・・・謙信は「尾が長いからと・・・蛇とは限りませんぞ・・・案外、尾の長い猿かも知れません・・・」とよく冗談を言ったものだ・・・と仙桃院は祈りの間にふと幼い謙信の面影を連想し涙を流す。その弟はもういない・・・。

戦に明け、戦に暮れた男だったと仙桃院は弟の人生を一瞬で振り返る。

「哀れなこと・・・」思わずもらした一言で仙桃院の乱れた心は静まった。足利幕府における長尾氏は・・・鎌倉公方足利氏の執事だった上杉家の家令として発した。下克上の波はいつしか執事を管領にし・・・家令を国主としたのである。その戦の日々を生き抜いた長尾の血が仙桃院にも流れている。その自覚が仙桃院の心から感傷を払拭させた。

越後国主長尾家が・・・そして関東管領上杉氏が・・・今、重大な局面を迎えているのだ。

その気を読んだように毘沙門堂に灯る灯明が幽かな風に揺れる。

「お船・・・ここに・・・参上いたしました」

長尾家の執事長と目される直江の惣領娘が・・・その美しい髪を忍び頭巾に包み、跪いていた。宇佐美定満が死に、直江景綱が死んだ今・・・越後忍びの頂点に君臨するのは実は・・・くのいちであるお船だった。

それを知るのは亡き謙信と仙桃院・・・そして直江衆と姻戚関係を結んだ上田長尾衆の忍び樋口一族の主だったものだけである。

仙桃院の実子景勝さえも知らぬ秘事だった。

仙桃院は微笑みを浮かべてお船を見下ろした。

「城下の様子はどうか・・・」

「お実城様(謙信)のご逝去を知り・・・一部のものは動揺しておりますが・・・多くのものは様子見をしているというところでしょう」

「戦をしに参ったものが葬儀をして簡単には帰れぬからな・・・」

「明日にも新しき陣触れを出さねば騒動がおこりましょう・・・」

「触れは出す・・・陣払いの触れじゃがの・・・」

「では・・・跡目は景勝様でございますね」

「他に手はないわ・・・お屋形様(謙信)は・・・跡目は景勝と決めておった・・・やはり最後は血じゃ・・・景虎と華姫が一子道満丸までの道は遠い・・・お屋形様が・・・あと十年・・・いや五年でもご存命であったら・・・他の道はあったろうし・・・この道ももそっとなだらかとなったであろうがな・・・」

「・・・」

仙桃院は己の愚痴を自ら聞きとがめ、唇をゆがめた。

「せんなきことよ・・・西よりは織田が、南よりは武田が・・・東からは北条が・・・越後という獲物を見て舌なめずりしているのが目に見えるようじゃ・・・今はとにかく・・・越後を一つに縛り直さねばならぬ・・・。内は火種を消し、外は風除けを築かねばならぬのだ・・・」

「武田は・・・わが姉、お悠がつないでおりますれば・・・」

「武田の御曹司しか・・・釣れぬのじゃ・・・跡目相続はつらきもの・・・謙信公存命の間は・・・大国の跡目で最も新参は武田の四郎勝頼じゃった。織田も徳川も北条も跡目を継いで辛酸をなめたものばかり・・・勝頼はいわば新参の四面楚歌を味わっていた。そこへ上杉の跡目相続が起き・・・若き跡目を見下ろすためには・・・勝頼殿は越後に手を差し伸べるしかないのじゃからな・・・」

「そうなれば・・・三河衆はさぞや嗤うことでございましょう」

「うむ・・・この縁組・・・武田を滅ぼすことになるやも知れぬ・・・しかし・・・上杉長尾が生き残るためには・・・手段は選べぬ・・・」

「二の廓、三の丸の殿(景虎)は・・・しきりに風魔衆につなぎを出しておりまする・・・」

「あれが・・・望もうと望むまいと・・・それが戦国の定めよ・・・府中のお館の方(上杉憲政)も・・・黙ってはいられまいて・・・足利将軍の運命をご存知あろうに・・・名門の末は性懲りもないことぞ・・・」

「・・・城下から・・・忍びどもが・・・山に登り出してございます・・・おそらく・・・北条の手のものかと・・・」

「ふ・・・今宵は忍びどもの血の匂いで山が咽るようであろうな・・・お船・・・抜かりはないか」

「刺客に破られた結界はすでに埋め戻してこざいます・・・切り口鮮やかゆえに・・・直りも早いが如くです」

「皮肉なものよの・・・では・・・妾は・・・お屋形様の魂魄に夜を徹して祈るばかりじゃな・・・さあ・・・参れ」

すでに・・・お船の姿は消えていた。仙桃院の真言の響く中・・・その足元ではすでに本丸確保を目指す忍びたちの暗闘が始まっていた。

実城と呼ばれる春日山城の本丸を中心に防戦のための障害は螺旋を描いて城下へ続いている。上杉景勝に忠誠を誓う武将たちの手のものは最上層である一の廓を占拠し、防衛体制を整えていた。そして夜の闇に落ちた巨大な山城の周囲には・・・その防壁を突破しようと無数の忍びがとりついていた。

担猿(軒猿の頭)の率いる前線警戒部隊はすでに敵の接触を受けている。

「謀反じゃ・・・」最下層の三の廓の一画から声があがる。謙信の春日城入り以来の忍びたちは声には耳を貸さず、迫り来る殺気に対応した。

たちまち・・・忍者たちの暗闘が始まった。

担猿は戦いの気配を読みながら・・・眉をしかめた。想像以上に手強い敵が出現していたのだ。すでに・・・三の廓のいくつかが突破されていた。

戦術の見直しを迫られた担猿の背後に・・・浮かび上がった影があった。

担猿は必殺の棒手裏剣を放ちながら、後退した。

闇から現れた影はその手裏剣を杖で受け止めた。

「ふふふ・・・小童・・・冥途の土産じゃ・・・わが名を聞くがよい・・・我こそは風魔小太郎・・・」

担猿は息を飲み、その息を吐かぬうちに絶命した。担猿の胸は自ら放った棒手裏剣で背後の木立に縫い付けられていた。

風魔の首領を名乗る影がはっきりと姿を見せた。驚くべきことに男は乗馬していた。そしてその愛馬は漆黒の巨馬だった。そして男を乗せた馬は跳躍して障壁を越え・・・山城を登り始めた。

「乱心法・・・月の輪の術・・・」

狂い馬の周囲を円月輪が滑空し・・・軒猿たちの陣は切り裂かれていく。

強敵の出現に・・・二の廓を包囲していた樋口一族は引き釣り出された。

ニの丸に潜む樋口兼豊は四男四郎と七男与七の部隊をつぎ込んだ。

その開いた空間に・・・風魔の足柄衆に守られた猛将・柿崎晴家が突入した。一の廓に侵入した柿崎隊は・・・本丸までの小道に殺到する。

その目の前に奇妙な光が現れた。その怪しさに猛り狂った柿崎の郎党の足が止る。

「おのれ・・・面妖な・・・」柿崎晴家は槍をしごいて光につきかける。光は割れて・・・いく人かの子供の姿が現れた。その子供たちは突然、宙に舞い・・・郎党たちの首にすがりつくのである。次の瞬間、郎党たちは頚動脈をかき切られていた。頭上から清らかな女人の声が囁く。

「直江流・・・小子部の術」

「お小人かっ・・・」

すでに散った直江の小人忍者たちは風魔たちとの暗闘に移っていた。

取り残された柿崎晴家の前に一人の武者が立ちはだかった。

「兄者・・・ここまでじゃ・・・」

「己は・・・柿崎の家の興りを邪魔立てするか・・・」

「兄者・・・俺は・・・影武者の暮らしに飽いたのじゃ・・・柿崎の家は俺が景勝様の下で栄えさせてみせるわ・・・」

晴家は怒りの形相とともに槍を突いた。しかし・・・晴家の槍を相手の槍先が切り裂いた。むなしく空を切った晴家の胸に凶暴な衝撃音を発して相手の槍が突き刺さった。

「憲家・・・腕をあげたな・・・」

「兄者・・・許せ・・・」

柿崎憲家は・・・一卵性双生児の兄に隠しとどめをさした。

柿崎隊突入の失敗を悟った風魔忍者久々津陣内は合図の花火を打ち上げた。

陽導戦を展開していた風魔忍者たちは引き際も鮮やかだった。

苦戦を強いられた樋口衆も敵の撤退に救われた。

「兄上・・・」

兄与六の姿を見た与七が声をあげる。

その足元には二人の兄・・・樋口四郎のもの言わぬ骸が転がっていた。

与六は無言で短く合掌した・・・。山風に乗り幽かに仙桃院の真言が響いている。

謀反の神輿に担がれた上杉景虎の座すニノ廓・三の丸は息を潜めるように沈黙を守っていた。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『神の雫』(日本テレビ)『バラエティーニュース キミハ・ブレイク~Goro's Barドラマスペシャル』(TBSテレビ)きゃ~メイちゃんピンチーっ。アンナ様のダーリン来襲!

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2009年3月 8日 (日)

人は生きるに値しないのが銭ゲバズラ(松山ケンイチ)・・・(木南晴夏)バカね(ミムラ)

喜びの後に・・・悲しみの後に・・・たとえ今・・・この世界が滅んでしまっても。

生きとし生けるものがすべて消え去ってしまっても。

君よ・・・君だけは・・・。

・・・という気分が分らないと風太郎がダイナマイトを腹に巻く気分は分らないだろう。

で、『銭ゲバ・第8回』(日本テレビ090307PM9~)原作・ジョージ秋山、岡田惠和、演出・大谷太郎を見た。風太郎(松山ケンイチ)が茜(木南晴夏)の「死」に影響を受けたか受けなかったか・・・人によってはそこが問題になるだろう。

「自殺」を絶対に肯定できない人間にとっては・・・それはあってはならないこと・・・という前提が生じる。「人が命を絶つことで・・・いいことなんか何ひとつない・・・」という譲れない一線に抵触するのである。

しかし・・・このドラマは大胆にもこの一線を軽く踏み越える。

馬鹿だな・・・死ぬなんて・・・茜・・・馬鹿だ

と風太郎がつぶやく以上・・・いくら・・・「君が死んでいようが生きていようがどうでもいい」と風太郎が言ったとしても・・・「どうでもよくなかっ」のは明瞭なのである。

そして・・・茜の「死」は風太郎の心を撃ち抜いたのである。

風太郎の過去を探り・・・想像以上の風太郎の生い立ちを知り、風太郎の生い立ちを知ることで自分の妹である茜の風太郎への愛をようやく理解した緑(ミムラ)は同時に茜の心の闇を知り・・・それを知ったことを茜に伝えようとある意味、生れて初めて姉らしい気分になって帰宅したのである。

「・・・お姉ちゃん・・・ちっとも知らなかったよ・・・茜がそんなに傷ついていたなんて・・・そしてどうしてあんな風太郎を愛せるのか・・・分らなかったよ・・・でも今は少し・・・茜の気持ちがわかるような気がするの・・・それはきっと・・・」

などとガールズトークをする気満々でいたのに茜はすでにこの世を去っていたのだった。

お嬢様なので為す術もなく家政婦を呼んだ緑は愛と涙と怒りと喜びを風太郎にぶつけるのだった。

「なぜ・・・あなたに茜は愛をあたえたのに・・・」

僕は人を愛さないのです

緑の喜怒哀楽は殺意に転化した。

しかし・・・それは所詮、お嬢様の殺意だった。少年時代から殺人の場数を踏んだ風太郎には余裕の応対が可能である。

あなたは僕を殺したいと思う。でも、それは一瞬で消え去る気持ちにすぎない。それをすればあなたは僕を人殺しと罵ることはできなくなりますよ。あなたのお父さんや・・・茜とも天国で会うことはできない。だって僕を殺せばあなたは地獄行きの片道キップをみどりの窓口で購入したことになりますから。それはキャンセルできないんですよ・・・第一、あなたは僕と約束したじゃないですか・・・僕の哀れな末路を最後まで見届けるって・・・自分で決着つけるのはちょっとルール違反だな・・・

緑の殺意は消えた。茜と二度とおしゃべりできないからとい理由で・・・茜の愛した男を殺すというのは行き過ぎだと反省したからである。

そして・・・緑は見た。風太郎の苦悩する魂を。

茜・・・茜・・・馬鹿な茜・・・愛を知らない茜・・・愛を知った茜・・・暗闇の中で・・・お母さんと同じぬくもりを僕にくれた茜・・・僕がどんな言葉を言ったって信じる必要はないじゃないか。僕の心を知った上で・・・懐かしいぬくねりを・・・くれたんじゃないのか・・・茜・・・茜・・・お母さんの温もり・・・愛はあるんだって言ってくれ。僕の分の愛があるって言ってくれ。拾った一円も必要ない。お金で買えない僕の分の愛。教室の後に貼り出された遠足の写真のように。給食費を払えなかったから与えられなかった昼食のように。幻の母子のディズニーランドのように。夢の中に消えた茜。冷たい沈黙。冷たい。冷たい。冷たい手ともの言わぬ口と飛び出した目と汚れた足と・・・静けさ。いやだ・・・いやだ・・・もう・・・いやだ・・・会いたいよ・・・君に逢いたいよ・・・茜・・・茜・・・お母さん・・・。

悪夢にうなされる男を見つめていると緑は風太郎の愛がそこにあるように感じた。それを愛と呼んでいいのか・・・自信はなかったけれど。

「あなたには・・・お礼を言うべきなのね。妹はあなたと出会って・・・初めて幸せを感じたって言っていた。つまり・・・私は何一つ妹を幸せにしてやれなかったのよ。あなたはそれも私に気付かせてくれたのね。あらためて・・・お礼を言うわ・・・妹を幸せにしてくれてありがとう。そしてお悔やみを言うべきよね。茜は世界でたった一人・・・あなたの心に寄り添っていた・・・人生の伴侶・・・掛替えのない理解者を失って・・・ご愁傷様でした」

緑さん・・・そこまでおっしゃってくれるなら・・・付き合ってくれませんか?・・・お好きでしょう?・・・ドライブが・・・あいつが死んだ時もあなたは小旅行をしていたわけですから・・・僕は行ってみたい場所があるんです

そこは・・・海辺のうち捨てられた小屋だった。

父(椎名桔平)はよく・・・商売女を家に連れ帰ってきたんです。その度に母と僕は家を追い出されたのです・・・そして・・・僕たちは・・・この小屋に避難してきたんですよ・・・どんなにつらい目にあっても・・・人間は雨風を凌げるだけで・・・時にはホッとするんです

「・・・」

母(奥貫薫)が貧乏だから・・・医者にもかかれずに死んで・・・僕がお金欲しさに初めて人を殺した夜・・・やはり僕はこの小屋に逃げてきたのです。母はもういなかったけれど・・・お金はあった。僕は喜びのようなものを感じました。お金持ちになって幸せになろうって決心したのはその夜のことです

「それで・・・あなたはお金持ちになって幸せになれたの?」

あなたは今・・・幸せですか?」

緑と風太郎はお互いを求めていることに気がついたが・・・それが求めても得られないものであると悟った。

妻に死なれた夫と・・・妹に死なれた姉の・・・周囲に漂う終末の予感。

その匂いを家政婦(志保)は敏感に嗅ぎ取った。

宙吊りになった元・刑事は風太郎を尋ねた。

風太郎は彼の弟を殺し、彼の妻の命の恩人である。

「もう・・・オレには正義を語る資格はない・・・ただ・・・来週最終回なので一つだけはっきりさせておきたいことがある・・・なんで弟は殺されたんだ?」

たまたまですよ・・・

「そうか・・・弟は君に殺されるようなことをしたわけではないんだね・・・」

善いことをしても・・・最悪の結果になるなんて・・・よくあることじゃないんでしょうか

「弟は・・・殺される前の晩に・・・君を引き取ろうと・・・俺と電話で話したんだ」

起こらなかったことを話すのは起こったことを話すよりも虚しいとは思いませんか?」

「仕方ないだろう・・・俺だって出番が欲しいんだ」

結局・・・すべてはなるようになるんです・・・特別なことなんてないんですよ

元刑事は・・・退場した。もう、いいんじゃないかな。

食堂・伊豆屋では放蕩息子・真一(松山・二役)の残した借金で・・・一家が危機に陥っていた。借金が払えなければ命で払え。生命保険はそのためにあるのだからシステムの襲来である。

その非常事態に真一の妹の女子高生(石橋杏奈)は「私の体を買ってください」と風太郎を訪れる。

風太郎は「全部脱げ」と命令したが・・・途中で辛抱できずにベッドに押し倒した。

結局・・・銭ズラ

食堂を訪問した風太郎は「襤褸は着てても心の錦」が口癖の夫婦に借金を申し込まれる。

僕が金持ちだから・・・返すあてのない借金をしてもいい・・・と言うことですか

という風太郎に夫婦は夫婦包丁の共演で金を出せと迫る。

金はないけど・・・心にはやっぱり何もあるはずがないよ・・・だったのである。

夫婦の攻撃を軽くいなした風太郎は借金申し込みをお断りするのだった。

やっぱり・・・銭ズラ

三國家で夜を過ごす・・・風太郎と緑に他人とも言えず、家族とも言えない空気が漂いだすと風太郎の父がやってくる。

緑は席を外すが・・・義理の弟とその父の会話に耳をすます。

「せっかく・・・もらった10億円だけど・・・落ち着かないから返すよ・・・俺は6万5千円くらいが似合う男なんだ・・・」

命が惜しくなりましたか?」

「・・・お前が死ねというのならいつだって死んでやる・・・しかし金は返す・・・」

お母さんが言ってました。お父さんは本当はいい人だ。でも悪い人にだまされて・・・何もかも失って・・・ダメになってしまった・・・だからお父さんをひどい仕打ちを許してほしいと・・・だから僕はお母さんの言う通りにあなたを殺さなかった。憎かったけれど哀れんだ。たった一人のお母さんとの約束だからです

父は惜しい女を亡くしたと・・・愚痴をこぼして去った。

「子供は親よりも先に死ぬな・・・それが鉄則だ」と捨てゼリフを残して。

どんなルールにも例外はあるし・・・僕の生きている親はもっともその言葉に相応しい男ですよ

父は口のへらない息子を頼もしく感じた。

すべてを聞いた緑の心は拡大を続けていた。今、緑には風太郎の心が手をとるように分った。それは共感というには痛々しく、同情というには気恥ずかしい心情を緑に感じさせ・・・緑自身にも意味不明な微笑みを浮かばせるのだった。

緑はそれを「虚しさ」だろうと感じたが・・・「虚しさ」に不慣れなものはそれを扱いかねるだろうと予測した。

虚しさに包まれた風太郎は・・・悪夢から解放された。

風太郎は自分が特別な存在ではないと確信ができたのである。すべての人間が風太郎になれば風太郎として生きるしかない。

風太郎は苦しみや悩みがもはや自分に触れないことを知り、安堵した。

風太郎に罪はないのである。なぜなら、この世には罪などないのだから。

この世に罪がない以上、風太郎は罪を背負うことはできないのである。

風太郎は悟った。

人には生きる価値はない」ということを。

翌朝・・・自決を決意した風太郎を緑がキャッチした。

「死ぬことにしたのね」

はい

「もうこの世に未練はないの?」

ええ・・・もうお金持ちになったし・・・この世に手に入らない幸せはもうありませんから

「私も連れてって・・・あなたの最後を見たいから」

お嬢様に耐えられますかね

「絶望に囚われた愚か者が・・・ただ消えるだけのことでしょう?」

僕と緑さんの約束ですしね・・・それでは行きますか

風太郎は想い出の小屋に一人入っていった。

緑は無表情で見送った。

そして・・・最終回への導火線に点火する銭ゲバ。

さよなら ただ ただ ただ ただ 愛しき日々よ

ずっと忘れないだろう 僕は君を

たとえこの世界が

慄き震えつつ滅んでしまっても

君よ君だけは

限りない宇宙のどこかの星に伝えて下さい

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)

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2009年3月 7日 (土)

実はスーパーマンだったラブシャッフル(玉木宏)スーパーパンダ・・・(吉高由里子)

どうやら、全10回らしいラブシャッフル、すると今回を入れて後三回なのである。

もはや・・・ラブシャッフル的ルールはグズグズで・・・いわばフリータイムに突入している模様。

デートの途中で本命との結婚式の準備を始めるわ、ウサ晴らしでグループ外のデートに行くわ、男全員呼び出して妊娠を告げるわ、行方不明になるわ・・・である。

結局、アクションを起しているのは女性軍なのだな。

そして・・・男たちは仕方なくリアクションに出るのである。すると・・・女性が二人退場。男が二人余ることになってしまう。余った二人が同性愛に走るのは自然の成り行きというものだろう。・・・おいっ。

で、『・第8回』(TBSテレビ090306PM10~)脚本・野島伸司、演出・坪井敏雄を見た。二順目に入ったラブシャッフルもついに最終局面。前回、そもそもの発端となった啓(玉木)と芽衣(貫地谷しほり)のカップルが復活。「スッキリした」という芽衣に「モヤモヤ」の残る啓なのであり、この二人は同年齢の入れ替え戦と言える芽衣と諭吉(DAIGO)の組合せ、啓と愛瑠(香里奈)の組合せでデートをするわけだ。

しかし、諭吉は最初のデートで芽衣を「ひどい目にあわせた」のに「優しくされた」ことと芽衣の「気になる人」が自分であったことを盗み聞きして以来、芽衣のことをものすごく意識しているのだった。

そんな芽衣が啓との結婚準備でバタバタしているのを見ているうちに・・・ものすごく惜しい気持ちになってきたのである。何が惜しいかと言えば・・・可能性の芽が摘み取られることがである。運命というものと可能性は密接な関係がある。人は過去の「可能性がなくなったこと」を運命と呼ぶが、「未来の可能性」を運命と感じたりもするのである。

だから・・・運命が時に残酷なものである以上、可能性というものは残酷さを孕んでいるものだ。

結婚しようと思っている相手が別の相手と結婚すると聞かされた時を想像してもらいたい。

お腹いたくなっちゃいますから。

そして・・・別に結婚しようと思っていなくても、好意を寄せている相手が別の相手と結婚すると聞かされたら胸が痛くなっちゃう可能性があります。

そういうわけで・・・別の相手(この場合は親友の啓)のための花嫁衣裳を着た芽衣を見た瞬間、諭吉は涙が出ちゃうのである。

一方、芽衣にお似合いの「キラキラカップル」と評された啓と愛瑠のカップルは前回、「キライキライはスキのうち」的月光キスを愛瑠に奪われ、せっかく、芽衣を奪回したのに心定かではなくなった啓。しかし・・・愛瑠はバイリンガルであることを盾に「情熱のキス」を「挨拶のキス」とすり替えて、部外者である亀井(袴田吉彦)とのデートに出かけるのである。

芽衣と愛瑠・・・手法がまったく同じです。気のあるそぶりをみせておいて別口へ。嫉妬を煽る古典的テクニック。相手によっては刺されることがあるので注意が必要です。

とにかく・・・啓も諭吉もまさに思うツボ状態だ。

さて・・・ある意味、健全なラブシャッフルを展開するこの二組の男女とは裏腹に・・・。不健全一直線の残り四人である。

実は、最年少カップルである旺次郎(松田翔太)と海里(吉高由里子)は実質、一番青春が許される二人である。なにしろ、海里は今回、二十歳の誕生日を迎える初々しさである。実際、パジャマの下はノーパンで指でクリームなめたりしたら・・・心の置き所がなくなるコケティッシュに満ちた海里と・・・元暴走族のカメラマンの組合せはナイスカップルと言う他はない。ただし、海里は自殺志願者(自称)である。実際、自傷行為をしているわけだが・・・ここへ来て・・・その正体がまたもや・・・不可解になってきた。

つまり・・・前回、バイセクシュアルであることが明らかになり、旺次郎そっくりの恋人に死なれた過去を持ち、海里の心の病の担当医でもある菊田が実に心の闇を抱える登場人物として再浮上してきたからだ。

今回を見る限り、海里に自殺を示唆する死神タナトスは菊田自身であり、海里は旺次郎の心を惑わす刺客として仕立てられたという展開になっている。

海里は旺次郎の心を奪い・・・その後失踪することによって、旺次郎の心を粉砕。その廃墟に菊田が潜り込むこと。それが・・・菊田提唱ラブシャッフルの真の目的だったらしい。・・・手のこんだことである。

そして・・・本来の旺次郎の相手だった上条夫人は生殖能力のない夫に代わり、種馬を求めてラブシャーに参加。まんまと子種を仕込んで退場なのであった。

「立派な政治家になるためにきれいな顔の男が必要なのよ」

・・・である。遺伝子はそんなに単純なものではないというのも大人気ないので・・・。

まあ・・・かって文豪と女優によって交わされた会話を思い出しておこう。

女優「あなたと私の子供が生れたら素晴らしいと思わない?」

文豪「なぜ?」

女優「あなたの知性と私の美貌をあわせもつ子供になるんですもの」

文豪「私の容貌とあんたの知性をあわせもったら・・・子供が哀れじゃないか」

・・・ま、そういうことですな。美男美女から美男美女が生れるとは限らないというのが遺伝子の醍醐味ですからーっ。

ともかく・・・海里が失踪し・・・上条夫人が退場。

啓は愛瑠が他の男の元へ行こうとするのを引きとめる。

諭吉は「思いを封印しようとする」芽衣を抱きとめる。

そして・・・菊田は旺次郎を薬で眠らせて・・・おいっ。

いつか夢は現実に

現実は夢になっちゃうよ

だからさあ 合体しよう

ひとつになって

声をあわせてやろうじゃないか

そうすれば愛が生れる

勝利の炎が輝きだす

そして幻想の中で宇宙は永遠に続くのさ

さあさあ合体しよう

心をひとつにしてしまおう

この世は愛ズラ

愛がすべてズラ

燃え上がる欲望としての愛

みんな愛には勝てないズラ

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

Hcinhawaii0532 ごっこガーデン。恋人も濡れる街角セット。まこうぇーん・・・海里はどこに行っちゃったのでしゅかーっ。心配で眠れないのでしゅー。し・か・し、街角のバイリンガルキスは決めておきましゅる・・・はうぅんお気楽目が醒めたらお尻がヒリヒリしてた・・・なんてことになったら怒るよね・・・怒らない人いないよね・・・っていうか犯罪じゃん・・・前科一犯だ~くう嘘だといってよジョー・・・少し慣れました・・・ジョーと女王は似てる・・・アンパイヤは審判だ~みのむし腐女子ドラマだったとは・・・オレより先に死んではいけない・・・ってさだまさしかっ・・・エリ入れ替えカップルはいいとして・・・愛の無理強いはダメでスー。玲子様はデカメロンパンだ~ikasama4少年がはくのは短パンだ~。話し合いは談判だ~。お腹いっぱいパンパンだ~。頭の中も妄想でパンパンだ~・・・旺次郎逃げて~ウシロウシロ~あんぱんち菊田医師によるマインドコントロールで生み出された擬似タナトス・・・悪魔も恐れぬ振る舞いだわーっ・・・キス・キス・キス・・・小倉・うぐいす・こしあんパンだーっmariOちゃんがステキなプロボーズを決めた・・・のに・・・菊リン・・・なんちゅう医者じゃっ・・・制裁もんです・・・ガツンと一発、鉄板だ~オー、イェー

Newimagebirthdaymovieeri3 H☆Cお誕生日記念シングル第三弾! まこ様ヴゥージョン先行妄想リリース!

まこ「お誕生日シングルは定額給付金でのまとめ買いをお奨めしまっしゅ!・・・売り上げ金はまこのお小遣いにしましゅから~」→H☆C最新情報はお気楽プロダクションで!

日曜日に見る予定のテレビ『機動戦士ガンダム00』(TBSテレビ)『天地人』(NHK総合)『本日も晴れ。異状なし』(TBSテレビ)

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2009年3月 6日 (金)

君よ君こそがテッテケテー(高橋愛)宝物なのだQ.E.D.(中村蒼)今回モテモテです(桑島真里乃)

「おみやさん」が留守なのだが「Q.E.D.」↘*3.5%である。

まあ・・・「ワールドベースボールクラシック・東京ラウンド日本VS中国」28.2%なので、視聴率があっただけでもありがたいのかっ。

ドラマ「ちりとてちん」の主人公の少女時代を演じた桑島真里乃が高橋愛の少女時代役で登場。今回は凛々しい。凛々しいぞーっ。 これを見逃す人がいるなんて・・・ま、いいか。

いろいろあって「報道ステーション」20.6%、「ありふれた奇跡」↘*8.9%である。四苦8.9なのだな。傷だらけの恋人たちはしかし・・・ラブシャーよりも見つめられているというのが不可思議なのだった・・・そうでもないし・・・いい勝負だし。

で、『Q.E.D.証明終了・第9話』(NHK総合090305PM8~)原作・加藤元浩、脚本・藤本有紀、演出・伊勢田雅也を見た。原作50話の「夏のタイムカプセル」をアレンジ。卒業シーズンを控え、若者たちのノスタルジーというある意味矛盾した主題の小道具は神社や学校の庭に埋めたタイムカプセルである。空き地に埋めたりするとショッピングセンターやラブホテルが建ったりするので注意が必要です。

そして、少女たちはみな記憶喪失者なのである。今を生きるからな。

さて、ドラマ「ちりとてちん」第一話の脚本・演出がヒロインの少女時代を演じた桑島真里乃を使って・・・可奈の忘れていた少女時代を描いていくわけだ。

関連するキッドのブログ『ちりとてちん・第一話のレビュー

おてんば少女の子供時代はやはりおてんばだったわけだが・・・貫地谷しほりの幼女時代も高橋愛の子供時代も上戸彩の幼年期もそつなくこなす・・・桑島真里乃だった。

ちなみに「Q.E.D.証明終了第2話」にも登場しています。

今回は・・・可奈の悪い友達が心理的な誘導によって・・・悪いイメージの少女時代の記憶を作り出し、解決部分で本当はいい子だったという展開である。セリフもほとんどなく表情だけど善悪の両面を演じる必要があり・・・それを巧みに表現している。同期に森迫永依と沢木ルカがいるわけだがこの世代も充実してるな。

人生を四季に例える場合、青春・朱夏・白秋・玄冬となるわけだが、郷愁(ノスタルジー)は単なる懐古ではない。過ぎ去った時間だけでなく変貌する世界というものを惜しむ気持ちが介入するのである。

四季に色がつくのはそういう色合いなのである。

春の時があり、夏の時があり、秋の時があり、冬の時がある。

青の世界があり、朱(赤)の世界があり、白の世界があり、玄(黒)の世界があるのだ。

では青春とはいつの時代なのか。

一説によればそれは16才からだと言う。つまり・・・幼年時代が終わり、大人として生きていく最初の季節が青春である。もちろん・・・時代や社会によって大人の概念は変わる現代日本では16才は未成年なのだ。しかし・・・教育というものを考えると義務教育は終っており・・・そこでは16才は大人の資格を持つのである。

では青春はいつ終るのだろうか。

就職が決まって髪を切ってきたとき、もう若くないよと言い訳するときなのか。

それとも十代の終わりなのか。

いや、二十代の終わりなのか。

一説によると大体Around30なのか。

いや、青春には終わりはないのさ・・・なのか。

実は不明である。

そもそも、人生の四季を示す言葉は青春以外はほとんど死語なのである。

北原白秋がややがんばっている程度じゃないか。

そうなると人生は青春以前と青春と青春以後という三分割になってくるのだな。

さて、可奈は今、高校生である。一説による16才を越え、十代なので・・・青春バリバリであると言える。その可奈の過去を封印したタイムカプセルはつまり、青春以前の記憶であるのだな。

さて、人生四季説の異端として・・・人生は玄冬から始まるという考え方がある。めぐるめぐる季節の中の話だからである。

つまり、青春以前は冬の時、黒の世界に人間はいるのだ。

幼年時代に人は暗闇を歩いているのである。

だから・・・可奈が封印された過去について何も覚えていないのは当然といえば当然なのだった。

もちろん・・・そういう人間ばかりではありません。

探偵同好会というよりはオカルト研究会と呼ぶのが相応しい江成姫子(垣内彩未)らによって発掘された可奈の小学校三年生の夏。一枚の記念写真。そして時価10万円のゲームソフトと甲子園出場高校の名前の記された硬球。そしてハズレクジ。

その暗闇の中に迷い込んだ可奈を燈馬(中村)が救い出すのである。まさに白馬に乗った王子様の物語なのである。

ゲームソフト欲しさに黒魔道師・西丸(中山卓也)は可奈に呪いをかけます。

「お前は邪悪な幼子だった・・・」と言うのです。

その理由は・・・友達のことを忘れたから・・・。

そして・・・可奈は実際に友達のことを思い出せないのでした。

そのことで自分を見失いそうになる可奈に燈馬は語りかけます。

「失われた子供たちは・・・君に大切な贈り物をくれた・・・どうしてだと思う?・・・それは君が瞬間を大切に生きるキラキラした存在だったからさ。だから・・・君は彼らを忘れても何も問題はない。今もまた・・・君は輝いているから・・・」

まあ・・・つまり・・・美しき着飾った「バカ」であるという表現ですが・・・着飾るというのは青春でもっとも大切な要素ですからね。

そして可奈はますます塔馬を好きになっていくのである。

ああ、青春である。せつないのである。そして・・・そうやってキラキラしている以上、終わりの時は近い・・・来週最終回だしな。

ああ・・・視聴率がもう少しよかったなら・・・原作はまだまだいくらでもあるのに・・・と思わないでもないですけど。

さて・・・幼年期もまた色彩に満ちているとも言える。まず・・・生れたての乳児は・・・赤子である。赤ん坊とも言う。そして、くちばしが黄色いと呼ばれ、青二才と罵られるのである。

赤(マゼンタ)、青(シアン)、黄(イエロー)、色の三原色そろい踏みである。

三原色の幼年時代や・・・青春とか朱夏までをカラーの時代と考えれば、白秋と玄冬はモノクロの時代とも言える。

そうなると色ありと色なしの二分割である。

色とりどりの世界からグレーの世界へ。そのように移ろうことに儚さを感じるか・・・うれしさを感じるか・・・。

その感性が・・・人間の姿を世界に映すのである。

人はそれを人生と呼ぶ。

様々な世界で・・・様々な時代を生きる人々に幸あれと・・・祈る。

こうして可奈は心のシャッターチャンスを逃さずにセンメンタル・フォトグラフィー(感傷写真)をものにするのだった。ただし・・・明日には忘却している場合があります。

今回はそんな秀作でございました。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『堀北真希のチャンス!』(フジテレビ)『銭ゲバ』『妄想姉妹・文學という名のもとに』(日本テレビ)『中谷美紀の白州次郎』(NHK総合)『RESCUE・特別高度救助隊』(TBSテレビ)『THE NEGOTIATOR』(テレビ朝日)

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2009年3月 5日 (木)

私が愛した詩人と相棒と泪(水谷豊)催眠による殺人教唆とキイナ(菅野美穂)

水曜のダンスは

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%↗17.3%↗17.9%↘16.9%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%↗14.2%↘13.3%→13.3%

おっ、なかなか斬新なステップだな。→が出るとやや変則な感じがするよね。

で、『相棒・Season7・第16話』(テレビ朝日090304PM9~)脚本・波多野都、演出・和泉聖治を見た。探偵助手でもあり捜査依頼者でもある編集・アシスタント瑛子役を務めるのは黒川芽以である。かって『私を旅館に連れてって』(2001年フジテレビ)で観月ありさの義理の娘・高邑志保を演じた後、ケータイ刑事銭形泪である。愛(姉)や舞(妹)ほどではないが、独特の萌え具合を持っています。ですよねぇ~。

水曜のダンスが「相棒」「キイナ」になってから、ミステリ同士ということもあって内容が微妙にかぶるのであるが・・・今回は相棒が「自殺」という行為であり、犯罪となるのは「自殺幇助」である。一方、キイナは「心神喪失者の殺人未遂」という行為であり、犯罪となるのは「殺人教唆」あるいは「殺人の間接正犯」である。これをかぶっているとするかどうかは各人の認識にもよるだろうが・・・自殺なら自殺、殺人なら殺人ではっきりしてもらいたいという微妙な空気が漂い、その空気の感じが似ているとキッドは考えます。

まず・・・相棒である。舞台は詩壇である。日本では詩人そのものがあまり社会的地位があるとは言えない現状の中、その社会・・・詩で生きる人々・・・の内実は知られざる世界に近い。基本的に詩人という職業が成立しているのかどうかも怪しいのである。

もちろん・・・作詞家やコピーライターも詩人と考えればそうでもないのだが・・・そう考えないと・・・歌人とか詩人とか俳人とかは道楽者か、研究者ということになる。

当然、そこには援助者とか学術者が介在してくるのであって・・・そこで翻弄される天才詩人たちの物語である。

かって・・・天才詩人と謳われた梅津朋美(清水美那・・・映画「蕨野行」のヌイ)は盗作疑惑の渦中で服毒自殺をする。

そして・・・彼女に感化されたという天才詩人の安原(三浦涼介・・・ドラマ「のだめカンタービレ」のロラン・・・三浦浩一・純アリス夫妻の三男である)が詩の朗読会の壇上で服毒死。

捜査一家トリオは自殺として処理するが・・・安原の処女詩集を出版する予定の出版社で働く瑛子は事件性を直訴。右京(水谷)出動である。

いきなり、詩壇の重鎮・五十嵐(西沢利明)と詩人で学者の城戸(中島久之)が登場。

完全に怪しいのである。

物語は・・・二人とも関係の深い天才詩人・安原が何らかの秘密を握っていたために口封じで殺されたことを匂わせて進行する。それもすべて・・・現代のランボーに魅せられている瑛子が「かっこいい彼が自殺するはずはない」「爺二人が怪しい」と決めつけてくるからである。もう分りやすくていいぞ。

こうなると・・・スカシは・・・瑛子自身が犯人が一番濃厚なのであるが・・・そこまでのミスリードはない。

結局、若年性アルツハイマー型認知症を病んだ安原が「愛する梅津朋美の汚名を晴らすために仕組んだ覚悟の自殺」だったのである。

右京は真相を捜査する過程で安原の目論んだ「梅津朋美の詩を盗んだ五十嵐と城戸の悪事」を暴き、二人の社会的信用を失墜させる。

もしも・・・自殺が罪であるなら、その目的が復讐である以上、目的を果たさせた右京もまた罪人ということになるだろう。

もちろん・・・右京を罰する法律がない以上、自殺もまた罪ではないのである。

ただし、自殺は違法であるが責任が阻却されているだけだという考え方もあります。

しかし・・・安原の自殺意図を知りながら、安原の処女詩集の売り上げ向上を狙い、自殺の準備に協力した・・・瑛子の上司・堀江(三上市朗)は自殺幇助の罪に問われるのである。

ここが・・・自殺に関する法律の醍醐味なのである。

そして・・・限りなく灰色だった瑛子は真相を知らなかったことによって結果的には限りなく純なポジションをキープなのであった。うまく逃げました。

まあ・・・一瞬、右京さんが「人の命をなんだと思ってるんですかーっ」とガクガクブルブルして瑛子が「まあいいじゃないですか」って言うのかと思ったんですけど。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

で、『キイナ・不可能犯罪捜査官・第7話』(日本テレビ090304PM10~)脚本・吉田智子、演出・田中峰弥を見た。とりあえずぶほっと吹くのは殺人未遂の被害者・田所(三上市朗)である。犯罪者→被害者の連打かよっ。で、最終的には犯罪者(詐欺犯)だしな。

ともかく・・・催眠により緑の猿が・・・いやキイナがケケケっと言い出さないのは残念なことであった。

しかし、夢丸の催眠術攻撃に影丸が太股をクナイでグサリは忍者コミックの定番ですよね。

さて・・・津田主任(金田明夫)の妻・真美子(宮崎美子)が見知らぬ他人を殺人未遂。・・・自供シーンこわすぎ・・・。

そして彼女が通院していた精神の病の医院の医師・霧島貴子(荻野目慶子)である。・・・暴露シーン怪しすぎ・・・。

以上・・・と言いたいくらい分りやすい話である。

霧島医師は田所に投資話で金を騙しとられ、復讐するために患者である真美子を殺人兵器として精神改造したのだった。

そういうことが可能であるかどうか・・・とか、可能だったとしてもそれを立証できるものなのかとかは・・・ドラマだから・・・です。

偽造記憶の移植と暗示により、真美子が心神喪失状態にあったと立証されれば、真美子は無罪。霧島医師は殺人未遂の間接正犯となります。つまり、真美子は霧島医師の凶器にすぎないと見なされるわけです。

一方、精神的に正常とはいえないとは言え、実際に殺人未遂を実行するにあたり、その最終的判断を真美子がしたと判断された場合、真美子は心神耗弱であったとされ、罪は軽減されますが犯罪者となります。この場合は、霧島医師は殺人未遂の教唆犯ということになるでしょう。

霧島医師の天才的な手法による精神改造を見抜いたキイナは「あなたは殺人教唆の罪に問われます」と因縁をつけるわけだが・・・真美子の無実を信じるならば、ここは「あなたは殺人(未遂)の間接正犯です」と言うのが正しい言葉の使い方と言える・・・かも。

まあ、ドラマの・・・しかもとんでもドラマのセリフだから・・・なんでもいいやという考え方もあります・・・かも。

まあ、天才詩人も天才精神科医もある意味・・・キチ・・・(後略)でございますからーっ。

結局、なんでもありですよーっ。

ただ一つ言えることは・・・人間の記憶なんて所詮ノイズに過ぎないのです。

だから・・・すべての犯罪、すべての事件、すべての喜怒哀楽、すべての人生、全宇宙は夢幻の如くなり。小沢党首の悪行の数々とかも全部、キッドの妄想にすぎないんだってばぁぁぁぁぁぁぁ。・・・おいっ。自分で自分の太股刺せや。

金曜日に見る予定のテレビ『ラブシャッフル』(TBSテレビ)『歌のおにいさん』(テレビ朝日)『せれぶり3』(テレビ東京)

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2009年3月 4日 (水)

兄弟の絆は神の雫(亀梨和也)仕組まれたトライアングル(広末涼子)兄弟拳でメイちゃんをゲット(水嶋ヒロ)

火曜日は三角関係の日ではなくて・・・ドラマ対決である。

順位は①「メイちゃんの執事」↗13.5% ②「トライアングル」↗12.1% ③「神の雫」↗*4.9%

「メイちゃん」では兄と弟がメイちゃんをめぐって拳で対話、「トライアングル」では恋人と父の対決に娘が割って入って負傷、「神の雫」では異母兄弟が父の愛をめぐって飲みくらべである。

しかし・・・どうして・・・かぶるかな・・・それだけ狙っているっていうことだが・・・まあ、三角関係はドラマの基本だからいいか。

で、『メイちゃんの執事・第8話』(フジテレビ090303PM9~)原作・宮城理子、脚本・古家和尚、演出・岩田和行を見た。学園の仲間に対して危害を加えることをルチア(山田優)の走狗・多美(谷村美月)に示唆されたメイ(榮倉奈々)は故郷に戻る。執事としてあるまじきメイに対する恋心に懊悩する理人(水嶋ヒロ)はメイの決定に唯々諾々と従うほかはなかった。学園の仲間たちはすっかり、メイに親愛の情を抱くまでになっていたのでメイが去った後の学園生活に火の消えたような寂しさを感じるのだった。

理人の弟でメイの幼馴染である剣人(佐藤健)は兄と同様にメイに恋心を抱いたため・・・もちろん、本郷家の執事としてふるまうために柴田家の兄弟は洗脳されて、メイに対して反射的に恋心を抱くように躾けられているのだ・・・執事見習いを辞してメイとともに故郷に戻る。そしてメイの中の理人に対する恋心を・・・自分へのものに軌道修正するために試行錯誤するのだった。

メイもまた理人や学園の仲間たちへの思いを封印し・・・かっての生活に戻ろうと努力するが・・・心の中のもやもやはなかなか克服できないのである。

メイの学園からの退去がルチアの策謀による本郷家の跡目相続がらみであることを知った学園の仲間たちは退学決定のタイムリミットまでにメイを連れ戻そうと・・・メイが下宿する仲本家に大挙押しかける。

「私は心機一転やりなおす決意だ」とメイは虚勢を張り、剣人と交際宣言をする。

翌日、デートをすることになったメイと剣人は泉(岩佐真悠子)、リカ(大政絢)、不二子(中別府葵)の見守る中、心ここにあらずのデートをするのだった。

しかし・・・仲間たちはそれを見抜けず、「激励の寄せ書き」を残して去る。

だが・・・剣人だけは愛するメイの心がどこにあるかを察知してしまう。

その頃、学園長シスター・ローズはメイの元へ訪れ、秘話を語る。

メイの母親・東雲ユウが没落貴族の娘であり・・・別の婚約者がいた本郷周太郎を略奪してメイを出産したというのである。おそらく、周太郎の婚約者はローズ本人なのであろう。ローズとユウは学園の同級生だったのだ。

「戦わないものは幸せをつかむことはできない」

ローズの言葉がメイの心にのしかかる。

学園に戻った剣人は・・・ルチアの執事となった理人に拳での決着を挑む。

「メイを譲るわけにはいかない・・・」という弟の一言に兄はついに心を定めるのだった。

「私もだ・・・」

兄弟の決闘をみるく(吉田里琴)に知らされたメイは学園に戻る。

そこには傷ついた二人の男が・・・勝者となった理人はメイに手をさしのべる。

「もう絶対におそばを離れません」

そしてメイはその手をとるのだった。

愛するメイと兄の主従を・・・弟は祝福しつつぼやくのだった。

「ああ・・・オレは・・・何やってんだ」

しかし・・・すべては本郷家後継者のためにと躾けられている剣人には他になすすべはなかったのである。

かくて・・・ルチアVSメイの跡目相続争いはようやく本格的に始まったのだった・・・おいおい、もうすぐ終わりじゃないかっ。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

Hcinhawaii0529 ごっこガーデン。羊の群れから執事を捜せゲーム会場。お気楽よーい、ドン・・・といったらスタートです。よーい、どうでもいいけど、結局、恋愛が一番なのね・・・少女マンガみたい・・・あ・・・少女マンガなのか・・・トライアングルはコチラでイライラしてくださいまこ「♪けんかをやめて~二人を止めて~私のために争わないで~もうこれ以上~じいや・・・次は愛をくださいを歌いましゅ~ってひつじロイド増産しすぎでしゅーっmari戦う意志のないものに幸せはめぐってこないのよ~、山P執事はどこかしらーっ、お姫様気分を味わうためにここは勝利をかちとりますからね~・・・ちっ・・・剣人かみのむしでおくれました~。っていうかメイちゃんにはもっとガッツ出してもらいたいーっ・・・人生攻め攻めよ~攻めて攻めてナンボのもんよーっくうこの後、トライアングルです。とにかく言えることは亮二・・・サチをガクガクしすぎーっ・・・あんた・・・元は医者だろ・・・おっと理人ゲットだぜ

で、『トライアングル・第9回』(フジテレビ090303PM10~)原作・新津きよみ、脚本・水橋文美江、演出・木内健人を見た。佐智絵(志田友美)は死んだ・・・そしてサチ(広末涼子)も・・・死ぬのかよ?・・・すべては亮二の恋の成就をはばむターミネーターの仕業か・・・亮二の子供は未来の救世主なのか?・・・そういう話じゃないと思うぞ。

さて、例によって思わせぶりで進行するこのドラマ。「誰かに操られているような気がする・・・」という亮二(江口洋介)は何故・・・そう思いつつ、操られたままの行動をするのか・・・ものすごく不可解です。

まず・・・自分の拳銃がないことに気がついた丸山刑事(小日向文世)というのがものすごく嘘くさい。もし、これが亮二と佐智絵の父(大杉漣)との密会の現場をサチから聞き出すための狂言だとしたら・・・演出的にはかなり杜撰である。さらには狂言で盗まれた拳銃で亮二を撃つ計画だったとしたら・・・もう犯人は丸山で決まりになってしまう。

最後の場面では亮二も佐智絵の父も拳銃を隠し持ったスタイルをしているわけだが、これがミスリードを誘う演出だとしたら・・・両方があるいはどちらかが殺意がなかったとしたら・・・あまりにもわざとらしい。

「仕組まれている」というセリフからは・・・誰かが・・・この場合は黒木刑事の父(北大路欣也)か丸山が仕掛け人になるわけだが・・・亮二の目から佐智絵の父が佐智絵殺害犯人であるように見えるように・・・佐智絵の父の目には亮二が佐智絵殺害の犯人に映るように仕組んでいるということになる。

目的はどちらかが復讐を遂げ、どちらかが死亡することによって・・・両者を排除することができる・・・という目論見である。

つまり・・・生き残った方は殺人犯として社会的に抹殺されるのだ。

ということは・・・二人とも真犯人ではないのである。

佐智絵殺害事件が未解決になったのは・・・警察の無能ではなく、あえて解決しなかったというフリが何度かなされており、この場合はそこに「警察関係者の不祥事」が関係していることが予想される。

その場合は黒木の父と丸山とが最初から共犯者ということになる。

すべては茶番だったのだ・・・ということになると丸山はなかなかに役者なのである。

そこで・・・佐智絵は何故殺されたのか・・・ということが問題になる。

ここまで提示されたのは①痣のある男・進藤が性的悪戯目的で衝動的に。②佐智絵の父が佐智絵を進藤の子と疑って衝動的に。③同級生の誰かが恋がらみで衝動的に。・・・とどれも佐智絵を殺すことそのものが動機となっているのだ。

しかし、不祥事がらみとなれば・・・そこには当然、「口封じ」が浮上する。何か見てはいけないものを見た佐智絵はそのために殺されるのである。

そうなると・・・今までに登場していない誰かが登場する必要が生じてくる。なんていうか・・・ミステリとしてはかなり反則である。

そして・・・突然、浮上した・・・亮二の両親と兄が死亡した郷田家別荘火災事件。

最初に亮二を疑った黒木(稲垣吾郎)がそれについて今頃調べ始めるというのは・・・刑事としての能力が問われる展開なのだった。かといって、わが子かわいさで黒木の父が黒木を遠ざけただけ・・・というのもなんだかな~なのである。

さて、死体を見ただけという亮二、現場を走りさる亮二を見ただけという秋本(佐々木蔵之介)、そして・・・「ふりむくな」と言った男。

亮二と秋本のどちらかが嘘をついているのか。

そして、男は黒木の父、佐智絵の父、丸山のうちの誰かなのか。

それ以外には亮二の兄と黒木の父の部下・浅野ぐらいしかいないのである。

佐智絵の母の証言が虚偽ならば進藤という可能性もあるが・・・。

とにかく・・・一つだけ言えることは・・・毎週毎週言っているわけだが・・・ここまで何一つわかっていないのである。物証がない以上、すべては証言にすぎないのであり・・・証言が虚構ではない保証はどこにもないのだ。9回かけて何一つ進展してないのである。

なんじゃ、こりゃ。

一体、このドラマは何をやろうとしているのか・・・まったく読めません。

それを登場人物がセリフで言ってるからな。

「確かな証拠がない限り・・・真実なんてどこにもない」・・・と。

まさか「結局・・・真実なんてどこにもなかった」というお茶の間に残酷な結末だったりして。「藪の中」か。「藪の中」をやろうとしているのか。「羅生門」なのか。とにかくもうすぐ終わりだ。まさか・・・佐智絵の霊が黒木の父に憑依しているとかいうオチじゃないだろうな・・・それだけは絶対にありません。

Hcinhawaii0530 ごっこガーデン。疑惑のエッフェル塔セット。飯綱遣いメイちゃんの執事が今、間に合ったのでした。更新で更新で更新なのでありましたーっ・・・犯人探しは全登場人物リストですると楽しいですよ~アンナサチが撃たれて死亡と思ったら・・・予告で生きてた・・・公式サイトはネタバレ注意報発令中・・・謎だらけでもう疲れちゃうのぴょん・・・真犯人がダーリン(ゲスト)だったらいいのになー、どんなに辻褄あわなくてもすべて許すのになーミマムもう、サチを撃ったのが誰かさえも明示しないこの手法・・・疲れます・・・とりあえず志摩野殺しの犯人を葛城パパに限定するためのとってつけたような家捜し・・・丸さん・・・怪しいっしょーっ・・・?」お雛様を飾ってたら遅刻しましたーっ・・・もうすぐ春ですねぇ・・・てへっ

で、『神の雫・第8話』(日本テレビ090303PM10~)原作・亜樹直、脚本・渡辺雄介、演出・中島悟を見た。第六の使途はやはり、ボルドーワインで非メドックの一つドルドーニュ川右岸地区の内のポムロール村の「シャトー・ラフルール1994」(原作では第四の使徒)だった。例によってテンメイ様の先行記事があるので、興味のある方はどうぞ。

父の愛人関係に悩んだ雫(亀梨)はついに恋愛自由主義に目覚め、父の最期の愛人である霧生(戸田菜穂)に暖かい言葉をかけ・・・異母兄の一青(田辺誠一)とも熱い血潮で結ばれた実の兄弟(半分)愛を分かち合うのだった。

まあ、いわゆる女にだらしない父親・豊多香(古谷一行)の不始末を寛容に許していく展開であり・・・古き佳き男のロマンのゴリ押しである。お茶の間はさすがに一部ファン以外はついてこない模様だが・・・もう当然ですよね。

だが・・・これは青年の見る夢なのであって・・・いつか痛い目にあって目が覚めるか・・・最後まで女を泣かせ続けるかは甲斐性次第なのでございます。

少なくとも、死後、遺児が「お坊ちゃま」と執事に傅かれる程度の資産は必要とされると考えます。

もちろん・・・こういう場合、実子と愛人の子供が骨肉の遺産相続争いを繰り広げるのが一般的です。上杉謙信の死後、弟・景勝が姉婿の景虎を抹殺し、織田信秀の死後、兄・信長が弟・信行を抹殺する。現代でも・・・それはやめておきます。

しかし、あくまでドラマですから・・・。

そんな身勝手な男の世界に一人、反逆するマキ(内田有紀)・・・仲間はずれです。

まあ・・・一夫一婦制度に基づく恋愛倫理に・・・ドラマが反逆の狼煙をあげても粉砕されるのがオチというのがよく分る一例と言えます。勉強になったよね。

その上に・・・女よりもワインが大事って・・・どこまで男らしいんだ。

まあ、骨肉の争いとは矛盾するようですが・・・なぜ、雫と一青の二人があそこまで愛しみあうのかといえば・・・やはりコレクターの血が騒ぐのです。

同胞・・・つまり母や父を同じくするということは・・・お互いの存在が希少価値ということなのです。たとえば、二人兄弟の場合、女は人類の半分もいるのに対して、兄や弟はたった一人なわけです。そこがポイントなのですな。

女の代わりはいくらでもいるが兄弟の代わりはいないじゃないか・・・という認識です。

もう・・・とんでもないドラマでございます。

さあ・・・そこで今回の豊多香の息子たちのメッセージは島崎藤村の25才の時の処女詩集『若菜集』(1897年)から『初恋』の引用です。まあ・・・ある意味、手抜きです。

まだあげ初めし前髪の

林檎のもとに見えしとき

前にさしたる花櫛の

花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて

林檎をわれにあたへしは

薄紅の秋の実に

人こひ初めしはじめなり

リンゴの木の下でデートする若い二人。リンゴを食べろと勧めるのが女なら・・・まさしくそれはアダムとイヴが・・・神を裏切る一瞬です。女はともかく・・・男はそれが初めてと言うのですから・・・もう爆発的なエネルギーが噴出する瞬間であり、禁断の情事の予感があります。豊多香としては「まあ、いろいろ、悪さをした俺だけど純な頃もあったんだよな」と息子たちに語りかけているわけで・・・うんうんと頷くかたいがいにしとけやっと罵るかどちらかしかありません。まあ・・・その時の遍歴というかもてもて具合でリアクションも変わるところでございましょうね。

ワインには「寝かせる」という概念が色濃くあります。つまり、「商品」となってから「飲み頃」までの期間が設定されているわけです。ヴィンテージには二重の意味があるわけです。つまり、葡萄の収穫の質によってその年々でワインの出来が変わるということ。もう一つは「商品」となってからどれぐらい「寝かせた」という一つの目安です。

これを恋愛に置き換えると、一つの恋愛も出会いから別れまでのサイクルがあるのと同時に・・・一つの恋愛が記憶となる過程というものも考慮する必要があるということになります。

まあ・・・無惨な失恋も・・・歳月を経るとそれなりに甘酸っぱい思い出になるということでしょう。

今回のワインはどちらかと言えば「寝かせるタイプ」のワインであることが、いい年した親父が初恋について語るということと符牒しているわけです。

まあ・・・それを息子がありがたく聞いてあげるというのも一種の親孝行とか苦行とかそれぞれの感性で受け取るしかありません。キッドなら後ろからスリッパではたいてやりたいところですけど。

ともかく・・・

わがこゝろなきためいきの

その髪の毛にかゝるとき

たのしき恋の盃を

君が情に酌みしかな

・・・ときて、「髪に息吹きかけプレイ」などと結構、肉体関係のことまで、言い出そうとするオヤジに嫌悪感を覚えるのか、性的興奮を覚えるのかもそれぞれの感受性によるわけですが・・・雫は「若さゆえの恋の拙さ」を連想し・・・「青いリンゴ」のイメージを得ます。

ここで、注意したいのは「青リンゴ」と「青いリンゴ」は違うということです。

「青リンゴ」はそういう品種であり、「青いリンゴ」はまだ熟れていない・・・未熟なリンゴという意味ですからーっ。「青いリンゴ」ではない「青リンゴ」はどちらかと言えば甘々な品種でございます。

雫のイメージはあくまで未成熟なリンゴちゃんなのだと考えます。

まあ・・・早い話がロリコンです。

結局、男なんてものはマザコンでロリコンなのだということです。・・・おいっ。

林檎畑の樹の下に

おのづからなる細道は

誰が踏みそめしかたみぞと

問ひたまふこそこひしけれ

・・・というわけで豊多香と雫の間に世代を越えた男の共感の架け橋がかかるわけです。

お前も男、俺も男だ・・・なっ・・・という感じです。

目下の雫の恋人であるみやび(仲里依紗)は雫の正解(これで対戦成績はイーブンに)素直に喜ぶのですが・・・喜んでいる場合じゃないだろうとそこはかとなく思うのでございました。

Hcinhawaii0531 ごっこガーデン。初恋の来た道カラオケ・バー・セット。ikasama4人の力→団欒→愛→試練→感謝→人の道と教訓を残す父の教え・・・ある意味、家訓でございます。まあ、盗人猛々しいというか、お前が言うか・・・という気がしないでもないのですけど・・・それに健気に応じる雫・・・いい子ですなエリコルクをクンクンでワインがわかる亀雫先輩はさすがなのでスー。クンクンしたコルクはエリが全部コレクションしておくのですyon!それにしてもわざと手をはなしてるようにみえたり、予告編にあったセリフが消えてたり、ナイフを手にとったり・・・マキだけが不遇なキャラとなっていましゅ。まあ・・・善人ばかりだとお話行き詰るから・・・ね・・・これが必要悪でしゅか?まこ「♪好きだよと言えず初恋は~ふりこ細工の心ぉぉぉぉぉ、じいや、次は私鉄沿線・・・おっ・・・その前に・・・これは歌わんと・・・♪青いリンゴを抱きしめても~思い出さえ帰らない~甘いくちづけさえ二人は知らない~・・・ゴローっ・・・まだまだ歌の道はけわしいのでしゅ~

木曜日に見る予定のテレビ『Q.E.D.証明終了』(NHK総合)『ありふれた奇跡』(フジテレビ)『リセット』(日本テレビ)

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2009年3月 3日 (火)

臆病者ですから勇気が貴いんです(瑛太)パーマン・ヴォイスかっ(石原さとみ)

火災現場に残されたきれいな子供の遺体と焼死体(平田満)・・・ヤス・・・また死んでました。

中盤で炭化した子供の手が映り、ネタは割れるわけですが・・・たたみかけるように孤独な仕事バカの生前の姿が浮かび、美人薄命を物語ります。

悪い奴ほどよく眠り、善人は長生きできない。これがこの世の真理なのでございます。

ナイス・エピソードだと思うんだ。・・・そうか?・・・単に死に場所を探してただけだったりして。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↘*7.6%(海里のあまりの萌え加減にお茶の間が乖離か)、「50年秘蔵映像・名曲篇」19.3%(百恵と友和デュエットか・・・)、「歌のおにいさん」↗10.6%(ものすごい安定感だ)、「RESCUE」↘*8.3%(納得)、「銭ゲバ」↘*8.3%(はるはるの名演技またしても報われず)、「NEGOTIATOR」17.1%(凶悪顔のオンナのファッションショー人気)、「白州次郎」12.8%(おぼっちゃまくん万歳)、「赤い糸」↘*8.9%(もつれた糸をたぐりよせハッピーエンド)、「本日も晴れ」↗*7.0%(東京からアニキが主人公を奪いにくる・・・そういうノリはいらないワクなんだってばって何度言えば)、「天地人」↘20.3%(熱狂的ファンの知人が手術中だったからな)、「スパイ大作戦3」15.6%(チャリエンの方が好き)、「新堂本兄弟・ドロンジョ(深田恭子)」13.8%(アタマはサエてるよ)・・・ついでに「ヴォイス」↘14.0%、「チームバチスタの栄光・映画版」11.7%・・・以上。

で、『ヴォイス~命なき者の声~第8回』(フジテレビ090302PM9~)脚本・金子茂樹、演出・石井祐介を見た。レーザーで剥離した患者の前立腺を掲げて「コレだけ切りました」と説明する女医さんとかを見ると実に凛々しいと思ってしまうのだが、そう感じられるようになるまで一般人は年季を必要とする。死体を前にして科学者(医者)たちがどのような「もやもや」を感じるかは人それぞれでいいと思う。その人の生命が終ったことを惜しむ気持ちがあってもいいし、標本を見る目で見てもいいし、食欲を感じてもいいと思う。要するにそれを遺族などの死体の関係者に自由に表現してはまずい場合があるというわけである。

そういう意味で「職業的な態度」というのは存在するのであり、そこには作法のようなものがあってしかるべきである。仕事の手腕と儀式の礼節を併せ持つものが「プロフェッショナル」と呼ばれるのが相応しい職業はある。

ホテルの客が下着姿で廊下を歩いてはいけない・・・というのが社会というものだ。

だから、死体なんてただの物体だと考えるタイプの人間も尊厳を感じるスタイルを演じるべきなのだ。人生とはある意味茶番劇の連続だからである。同時に感染症の恐れについて常に神経を行き届かせてふるまうことも大切だ。

今回はそういう話である。

しかし、梅毒患者の手術中に指切っちゃう医者は「静かなる決闘」(黒澤明監督)など定番である。面白いからだ。

どんな仕事だって危険はある。毎日のように飛行機に乗るビジネスマンは墜落の危機ととなりあわせだし、オフィスで働いていたって飛行機が墜落してくることはある。しかし、軍人とか警官とか消防士とか、いかにも死と隣り合わせの職業はあるし、実は医者もそうなのである。なにしろ、死にそうな病気の人と出会うチャンスが多いからである。

そういうことを意識している人と意識していない人は「医者」という職業に抱くイメージが変わってくるわけである。高収入だけど危険な汚れ仕事と感じる人もいるだろうし、崇高で面白い仕事と感じる人もいるだろう。

産婦人科医で出産専門と中絶専門ではイメージがかなり変わるという人もいるだろう。

そして法医学教室の医師たちは死体専門なのである。そこにはかなりの偏見が生じてもおかしくない。

しかし・・・死体が相手だけに間違って患者を殺す心配がない・・・という考え方もある。

臆病者はそこに魅力を感じるわけだが・・・逆に人を殺す何かが潜んでいるものと常に向き合うことをうっかり忘れていたわけである。

そのことに突然気がついた哲平(遠藤雄弥)はビビります。・・・今さらかよっ。逆におそろしいわ。

B型肝炎に感染している遺体のサンプルを処理中、指を傷つけた哲平は感染の疑い(最悪の場合は発症して死亡)を生じ、法医学者であることのリスクを認識して、将来に不安を感じるのです。

同時に、たまたま解剖を哲平にチェンジしてもらっていた久保秋(石原)は哲平が身代わりになったような申し訳なさを感じ落ち込みます。

友人の心情を思い、暗鬱な気分になる学生チーム。

しかし、例によって空気を読まない加地(瑛太)は「死体(平田満)が赤の他人の子供の遺体を防火素材のカーペットでくるんでいた謎」に夢中なのです。

そのため、険悪なムードになってしまい、今回、加地と久保秋の愛のメモリーは不足気味です。ま、ないならないで問題ないところがまた問題なんですけど。

やがて・・・死体の正体が科学捜査研究所の元技官であることがわかり、彼が後輩のミスでB型肝炎に感染したこと、そして、こたつつけっぱなし火災現場で無惨な子供の遺体を見てそれがトラウマになりこたつ恐怖症になってしまったことなどを知るのです・・・おいっ。

死体は「子供を助けようとしたしたのではない・・・遺族のために遺体の損傷を防ごうとしたのだ・・・命懸けで」と喝破する加地。

その「市民の心まで守ろうとする公僕魂」にかっこよさを見出した哲平は「もうやめる」と言っていた発言を撤回、「やっぱりやる」と宣言するのだった。まあ、男に二言はないのはもはや伝説だからな。

とりあえず、まずはめでたしなのであった・・・はぁ・・・。

とにかく、ヤスは焼け死んでも近親相姦の極悪父親ではない・・・ということだ。

しかし・・・それほどまでに職務に忠実だった男が身寄りのない淋しい男だったことには誰も言及しないのだった。

無縁仏にならずに墓があるのはある意味、ファンタジーである。

みんながお墓参りに行くために異次元空間から出現したのか?

まあ、遺体(平田)、遺体の上司(志賀廣太郎)、遺体の後輩(田中実)と豪華で渋くて怪しいラインナップで妄想膨らんだので元はとれました・・・どんな損得計算なんだよ。

その他の細かい出演者が気になる人はコチラへ→飯綱遣い様のヴォイス

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『キイナ・不可能犯罪捜査官』(日本テレビ)『相棒』(テレビ朝日)・・・『エリートヤンキー三郎』(テレビ東京で深夜に再放送中)

ねんドル岡田ひとみ情報

岡田ひとみの最新刊が出る模様。

3月16日発売決定!でございます。

「ねんドル岡田ひとみのねんどで食育!ミニチュアフード図鑑」
著 岡田ひとみ
(版元・定価・ISBN)
ダイヤモンド社刊
定価1500円(税込み)
B5版/並製/オールカラー/108頁

興味がある方はコチラへ→ねんドル岡田ひとみのねんどで食育!ミニチュアフード図鑑

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2009年3月 2日 (月)

仁義なき天地人・頂上作戦(妻夫木聡)夫より頼りにしています(常盤貴子)

自己満足陶酔タイプの演出家の担当回が終わり、ともかくホッとした空気の漂う今回。

視聴率もようやく20.3%まで下げてきた。まだまだ高いよ。

脚本のくだらなさは相変わらず。お家騒動の真っ只中で前主君の重臣の奥方が立ち話で後継者の家来に身の上相談なんかするかっての。バカもここまでくると哀れになってくるな。

前主君の姉で後継者の母と前重臣の妻とその娘で現重臣の妻と後継者の家来が密談して・・・その内容を後継者本人が知らないようにする・・・暗殺の密議かっ。

まあ・・・とにかく、謙信死後、景勝が自分の姉妹や甥を含めてライバル景虎一族を抹殺することは歴史上の事実であり、樋口兼続がその殺戮劇の主要人物であることは避けられないのであり、どんな甘い嘘八百をならべたてるのか・・・来週が楽しみっていえば楽しみだけどな・・・結局、釣られてるじゃね~か。

で、『天地人・第9回』(NHK総合080301PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。ついに名場面再現なしのあらすじのみになってしまいましたが・・・ここでの妄想にくらべればまだしっかりとドラマに沿っているのがさすがです。その上、史実レポートは充実の内容。謙信昇天秘話あれこれ。そして、景勝VS景虎・後継者候補の背景解説、そして越後仁義なき戦いの武将たちの動向一覧、越後および周辺諸国の旗色別城マップ。謙信亡き後の越後を狙うハイエナ武将マップ。「御館の乱」の予備知識はこれを読んだらパーフェクト。腱鞘炎療養中なのにご苦労様でございました。お大事になさってくださりますように。

Tenchijin15781 で、天正六年(1578年)三月である。すでに一月に上杉謙信は支配下にある越後、越中、能登、加賀、上野、北信濃、飛騨に陣触れを発し、諸国の軍勢が二月上旬から春日山城周辺に集結しつつあった。三月初旬にはその軍兵は五万人に達したと云われる。しかも、関東出兵を知らされた配下の武将たちは坂戸城沼田城の関東出兵ルートの警戒に着任している。さらに、先発隊に続いての本隊など、春日山城を目指す部隊はなおも進軍中なのである。まさにごった返した様相を示す城下だった。春日山城から前関東管領・上杉憲政の居住する御館、そして越の港に至るまで着陣した武将たちは宿営し、その日々の食事、備品調達など様々な需要をみこんで多数の商人たちもこの地に集まってきている。まさに活気に満ちた名実ともに備えた関東管領の居城周辺だったのである。それは後になってみれば蝋燭が消える前の炎の盛り、あるいは混乱の前のひと時の平安だったのだが・・・。

越後国内の主だった武将たちは多くのものが各地の居城に留守居役を残し、春日山に参集して・・・謙信の采配を待っていた。跡目と目される上杉景勝は謙信の住む本城の一画に主だった家臣とともに部屋住みをしているが、その日常は集結した武将たちの世話に追われるものであった。大部隊の駐屯と、その縄張り、謙信との会見の日程調整など事務仕事は膨大なものとなっている。もちろん、謙信直属の事務方もあるわけだが、跡目として景勝の家来衆は充分に機能しなければならない。

本来、文官系の少ない越後の衆にとって・・・こうした仕事は直江家の専科となっていた。しかし、先代死去から間もない直江家では娘婿が仕切るだけでは手が足らず、自然、景勝の率いる上田衆に仕事が回るのである。その中において、斥候(うかみ)の秘術を身につけた忍者・樋口兼続は頭角を現すことになるのだった。

「河田豊前守様の支配の石動衆がご到着じゃ・・・いかがする」

「居多ヶ浜の八幡社に空きがありまする」

縄張り担当のものが兼続を頼るほどにその記憶力は抜群であった。城下の縄張り、武将の格、両方を知らねば悶着の元になるのである。謙信の元に参集する味方といっても相手は誰をとっても猛々しい武装集団なのである。

当の兼続は主君・景勝の出陣の準備をしながら、城方の上役の便利に使われていた。ふと空き時間ができるとつい思い出すのは境川合戦の後の加賀・越前偵察行であった。勝利をおさめた上杉軍を待ち構えていたのはおそるべき陣容の織田軍であった。その軍の様子から、誘いに乗らず、追い討ちをかけなかった謙信の戦術眼を賞賛する暇もなく、兼続こと樋口の忍び与六は待ち受ける織田忍びの包囲陣を命からがら突破したのである。

山を抜け、越後に帰り着くことができたのは与六ただ一人だった。

手早く、夕餉を終えた与六は物見の間に出・・・春日山城の城下を見渡した。そこには人の存在を示す営みの炎がはるか遠くまで広がっている。

与六にはその光景が恐ろしく思えている。この膨大な人の中にどれほどの敵が潜んでいるか計り知れないのである。そのものの中には多くの他国ものがあり、小者ともなればどのような素性かは知れたものではない。また、商人や芸人、行者や僧侶などもどれほどが忍びのものであるか探りようもない。

「戦に破れた形の信長が・・・手をこまねいているはずはない・・・」と与六は考える。「また、戦の的になる北条もうかみをせずにはいられぬだろう。それに・・・徳川との戦に苦戦しているとはいえ、北条と同盟している武田もまた・・・北信濃、飛騨にまで支配を広げた上杉を安穏と見守っていられぬだろう・・・」

樋口一族は信濃の忍びとの繋がりから武田配下にある真田忍びとも影でつながっているが・・・それもまたいつ寝首をかかれるか定かではない関係である。

「影狩りを掛け、お屋形さま(謙信)を狙うには千載一遇の機会かもしれぬ」

与六の目には城下に集結した軍勢の賑わいもそう映っていた。

定められた出馬の日、三月十五日を数日後に控えたその夜。春日山城、毘沙門堂にて最後の軍略を練るために人払いをした謙信もまた・・・微かな殺気を感じていた。すでに神がかりとなり、人智を越えた観相の粋に達している謙信は、人々の気の乱れを敏感に察知する。

毘沙門堂の周囲は虚空蔵の陣が敷かれ、軒猿たちが結界を張って謙信を守護している。その北の一角に隙が生じている。謙信は見分していた上野国の地図を置き、般若の太刀を手に取った。

敵は右回りに結界を破っているようだった。腕自慢の軒猿の気配がまたひとつ消える。

軒猿たちは互いに繋がりながら、結界を構成しているのであり、それを破るためには十重二十重に張り巡らせた警戒網を突破しなければならない。それを沈黙の間におこなう敵はおそるべき実力を備えていると見るべきだった。

齢五十になろうとしている謙信の中で武芸者の血が騒いだ。

謙信は武将であるよりも芸を好む男だった。将に号令する関東管領ではなく一人の武神としての己を常に心に潜ませている。その心性が今、謙信に激しい高揚をもたらしている。

そして、毘沙門堂の入り口に影が姿を見せた。

「ふ・・・加藤段蔵か・・・」

「お屋形さま・・・久しゅうございますな・・・」

「その方・・・信玄を討ったか?」

「御意・・・信玄・・・謙信・・・天下の二将をこの手で取るは忍びの誉れでございまする」

「ふふふ・・・そう簡単にこの首獲れると思うてか」

「加藤段蔵・・・剣にてお相手つかまつる」

「よかろう・・・参れ」

謙信と段蔵は同時に鞘を払った。段蔵は黒塗りの忍者刀、謙信は秘蔵の般若の太刀である。

謙信の体に熱気が満ちてくる。段蔵は一瞬の隙のないその姿に久しく忘れていた恐怖を感じる。まさに・・・謙信の気迫は神性を帯びていた。謙信と武具が一体となっていることが対峙する段蔵にも察することができる。謙信を斬ることは炎に飛び込むことと同じというイメージが段蔵の脳裏に浮かぶ。

次の瞬間、宙を飛んだ段蔵は暗黒を見た。両断された段蔵の体は謙信の眼前で左右に分れ、謙信の背後まで進んで地に落ちた。噴出した血液や内臓が謙信の両側を沸騰しながらすり抜けていく。

段蔵の死の余韻を感じながら、残心を解いた謙信の目が見開かれる。

謙信は生れて初めて太刀を取り落とした。首に痛烈な違和感を感じたからである。

謙信は己に毒針を打った相手を見定めようと、背後を振り返ろうとしつつ、尻餅をついた。

そこにいつの間にやら一本の手槍が直立していた。

すでに痛覚の麻痺した謙信は自分の体重によって下腹部を槍刃が突き抜ける様子を微かに察した。

「加藤流猿飛奥義・・・影猿」

(猿の影に小猿が潜んで・・・おった・・・か)

次に息をもらした時、謙信は神ではなくなっていた。

くのいち初音は自分の仕事の結果を確認することもなくすでに退避に移っていた。破られた結界を埋めようといる軒猿たちの動きを寸前でかわしながら闇を縫っていく。

異変に気付いた侍たちが毘沙門堂にたどり着く頃・・・加藤段蔵の秘蔵の弟子はすでに春日山を降りていた。

謙信死後の越後の進退について目まぐるしく回転する頭をふりながら・・・主君景勝を追って・・・もはや死の気配を漂わす毘沙門堂に足を踏み入れた与六は・・・血肉にまじりなつかしい香りを嗅いだ。

「お師匠様・・・」

与六は初音の面影にしばし呆然とした。その時、関東攻めから一転、越後における仁義なき戦いの幕が開いたのである。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『メイちゃんの執事』『トライアングル』(フジテレビ)『神の雫』『ギャラクティカ』(日本テレビ)

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2009年3月 1日 (日)

金がなければ愛もないのが銭ゲバズラ(松山ケンイチ)お金があれば愛もあるのよ(木南晴香)慟哭(ミムラ)

ふたたび、そっと原作によりそったこのドラマ。

お茶の間対策で言葉足らずの部分もあるが、言ってはならないことを口に出している感じは漂っている。

お金よりも大切なものがある。それは命だ。ということは誰憚ることなく言える。

しかし、命よりも大切なものがある。それは幸せだ。ということは物議をかもすことになるだろうからだ。

幸福とは気分のことであるから。

命よりも大切なものがある。それはその時の気分だ。ということになり、なにをおっしゃいますかということになるのだな。

もちろん、悪魔は命より大切なプライドとか。命より大切なコレクションとか。命より大切な苦痛からの逃避とか、命より大切なものはいくらでもあると思う。ただ、命より大切なものはないと考える人はそれを認めたくないのである。命がなくなってプライドやコレクションやあるいは心が何の意味があるだろうかと人は言うだろう。しかし、命を失うということはすべてを失うことなのであり意味なんてすでにどこにも何一つとしてないのだ。

で、『銭ゲバ・第7回』(日本テレビ090228PM9~)原作・ジョージ秋山、脚本・岡田惠和、演出・狩山俊介を見た。手術をしなければ余命いくばくもない刑事(宮川大輔)の妻を階段から突き落とした障害の容疑で逮捕された風太郎(松山)。その直前、騙されて自我崩壊に追い込んだはずの緑(ミムラ)から逆襲され、呆然自失の上、幼児退行に追い込まれた風太郎。

しかし、自閉の中で風太郎の反骨心はたちまち鎧を取り戻す。

ああ・・・びっくりしたズラ・・・お嬢様にもしぶといタイプがいるのダラ

風太郎は銭を信仰すると同時に軽蔑している。それは神を愛しながら憎むのと同じだ。「人間にとってお金以上のものはない」という偏りは風太郎の人格形成の基礎である。そのために風太郎は「人間は金のためには何でもする」という証明に拘泥する。風太郎が自己保身のために画策しているように見えることはすべてギャンブルなのである。それが単なる優秀な犯罪者と金の亡者である風太郎の差異なのだ。

風太郎は生きながら銭に葬られているのである。

独房の中で見る夢こんな夢

親切なお兄さんをバットで撲り殺した後

街をあてもなくさまよった

雨に打たれ寒さに震えゴミを食べた

廃品回収業の老人が

雑炊をふるまってくれた

老人は心に隠してあることを話せば楽になると微笑んだ

勇気を出して秘密を打ち明けると

老人はその秘密を売り出した

ほら・・・やはり・・・すべては金によって動くのだ。あの男。風太郎に似たあの男。真一(松山・二役)は「お金よりも大切なのは人の心だ」という貧しい一家に育てられたが・・・きっと「金で動くだろう」・・・風太郎はそれを確かめずにはいられない。そして貧しい一家にも悔い改めてもらいたい。「お金によりも大切なものはない」と思い知ってもらいたい。

風太郎は祈りにも似た気持ちでそう願う。

そして・・・案の定・・・真一は借金返済のために刑事の妻を突き落とし、さらにお金をもらうために自首をするのだった。

風太郎は問題を証明した数学者のように微笑んだ。

三國家の食卓に父親を殺された姉妹と風太郎が顔をそろえた。

風太郎「すべては計画的なことです。三國家の財産をすべて乗っ取るために仕組んだのです。わざと緑さんの車にはねられ、みにくい茜をターゲットにして偽りの愛を育みました。邪魔になった緑さんの友人を殺し、緑さんの心を得るために狂言で刺されました。お父さんを殺させたのも僕です。どうです・・・そんな僕と食事の喜びをわかちあう気分は?」

緑「ケダモノなら害を為せば殺せば済む。しかし、人間は人間として罪に苦しむべき。死ぬよりつらい思いをするべきと思うばかりよ」

風太郎は無言で席を立つ。それを追う茜(木南晴夏)・・・。

緑「茜・・・よしなさい・・・あの人は私たちのお父様を殺した血も涙もない男なのよ」

茜「馬鹿なお姉さん・・・あの人が死ぬよりつらい目にこれまであったことがなかったと本当に思っているの・・・死ぬよりつらい目にあわないで・・・どうしてあんな風になれると思うの?・・・あの人がどんな人だろうと・・・私の愛の炎は消えたりしないのよ」

緑は妹の言葉の意味が分らなかった。自分の存在そのものが妹を傷つけていることを想像したことがない以上、妹の愛の形は緑には不可解なものなのである。

茜は風太郎に愛を告白した。

かって風太郎が示した愛のゲームの形を借りて茜は真心を伝えたのだ。

「風太郎さん私はあなたを愛している。あなたは私のことをどう思うの。私が存在することが許せないのかしら?」

どうでもいい・・・お前には最初から興味がない。お前の役目は終ったから・・・お前が生きてようが死んでようが俺にとってどうでもいいことだ

「私にはね。あなたの気持ちがよくわかる。私だって人を呪って生きてきたから。でもあなたに会って自分がどれほど恵まれていたのかを知ることができた。そして私は人を愛する喜びをあなたにもらったの。違う人生で最初から人を愛するもの同志で出会ったらもっともっとあなたと愛し合うことができたかもしれないと思うけど。でも愛はあるんだよ。私はあなたと出会えて、あなたと一緒にいられて幸せでした・・・ありがとう」

くだらないこというなよ

お前とは人を呪う仲間じゃないか・・・。

「はい」と茜は胸いっぱいに広がる風太郎の愛の言葉を感じ、湧き上がる喜びを噛みしめた。この人のために何かをしてあげたい。この人の喜ぶことを何か。茜は自分にできることを考え始めた。そして精一杯の愛を示すのだ。

真一のために濡れ衣を着せられた風太郎という誤解に基づき謝罪に訪れた伊豆屋の人々。風太郎は同じ人間として彼らと接することに耐えられなくなった。

虫けらは虫けらとして生きるがいい

風太郎は言わなくてもいいことを言った。それは風太郎にとって社交辞令だった。

風太郎からもらった十億円とともに全国さすらい旅の実の父・健蔵は故郷に錦を飾る決意をした。1億円を寄付すると言うと冷たかった故郷の人々は手のひらを返した。

その頃・・・妹の言葉によって・・・憎しみの炎に冷水を浴びせかけられた緑もまた風太郎の故郷を訪れていた。風太郎の過去を知ることによって自分の憎しみを正当化しようと考えたのである。

そこで・・・緑は風太郎に泥水を浴びせた自分を思い出す。心に残る少年の笑顔。かっての風太郎一家の住居は廃屋となって残っていた。その柱に刻まれた背比べの傷痕。「いつか父親を追い越そう」という少年の健気なつぶやき。その想像以上の貧しさに自分が考えていた漠然とした貧乏感を払拭される緑。

「貧しいって・・・貧しいってこういうことなの」

「こういう貧しさの中にいた子供に」

「マカロンひとつのことで騒ぎ立てた子供の頃の私」

「貧しい母子をしかりつけた私」

「私って一体・・・」

そこで緑と健蔵は出会った。

これね。息子のくれたお小遣い・・・これをやるから死んでくれなんて心にもないことを言ってましたがね・・・

自分の子供とした約束なら・・・死ぬ前に一つくらい守ったらどうですか

緑は風太郎の心を理解している自分に気がついた。一人になった緑は泣いた。生れて初めて自分以外の誰かのために泣いた。緑は「人を思いやる気持ち」を手に入れた。

そして・・・茜がなぜ風太郎を愛しているのかを理解した。緑はそれを風太郎に伝えなければいけないと決意する。緑はその時、ようやく「姉」になった。緑の独善は一皮むけて超独善となったのだ。緑の顔に希望の光がさしこんだ。

刑事の妻は発作を起こし命の瀬戸際に立たされていた。ついに刑事の心は折れた。

移植手術を受けるための金を風太郎から受け取る決意をしたのだった。

風太郎はまた賭けに勝った。

勝つたびに金という虚構の虚しさは風太郎の心を虚ろにしていくのだ。

刑事はやめます・・・妻の命を助けるお金をください・・・結局、大事なのは金でした

刑事は風太郎に恵んでもらった金を抱きしめた。愛おしく抱きしめた。なぜならその金は妻の命と同じものだったからだ。

その朝。「いってらっしゃい」と風太郎を笑顔で送り出した茜は家政婦の春子に「ありがとう」と告げた。

家政婦は素直に喜んだ。

それから・・・茜は不自由な体を懸命に動かして、梁にロープをまわした。首をいれるための輪を作り、ロープの片側をしっかり固定した。踏み台の上で首を輪に差し入れた。そして精一杯の力で踏み台をけった。ロープは苦しい窒息の死ではなく、頚動脈の圧迫による脳への血流低下による死を茜に賜った。茜は最後に愛おしい風太郎の顔を思い出すことができた。やがて、茜の筋肉は弛緩し、体内のさまざまなものが引力に引かれて落下を始めた。

風太郎は帰宅し、その姿を見た。

風太郎は喪失感を感じて脱力した。生きている限りどんな人間にも失うものは必ずあるのである。

妹の愛を風太郎に教えてやろうと意気込んで帰宅した緑は誰よりも愛しく思えてきた妹がすでにいないことを知り絶叫した。

(茜・・・馬鹿ね・・・風太郎を地獄で待つつもりなの・・・愛のために自殺したら・・・地獄へは行けないのよ・・・天国にも行けない・・・あなたは煉獄行きなのよ・・・地獄行き決定の風太郎と・・・永遠に会えなくなっちゃったのよ・・・どうして・・・生きてお姉ちゃんを待っていてくれなかったの・・・あなたと愛について語ることがあったのに・・・生きて悪の限りを尽くさなくちゃ・・・風太郎と一緒に地獄に行けないじゃない・・・茜)

「あかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

さよなら ただ ただ ただ ただ 愛しき日々よ

ずっと忘れないだろう 僕は君を

僕が生きる今日はもっと生きたかった誰かの明日かもしれないから

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月曜日に見る予定のテレビ『ヴォイス・命なき者の声』(フジテレビ)『竹内結子のチームバチスタの栄光』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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