目を閉じてよ(瑛太)正当防衛なヴォイス(石原さとみ)エコエコアザラク(近野成美)
幼い頃の加地「人間は死んだら終わりなの?」
キッド「そうだ・・・と思うけど証明した人間はまだいないんだ」
まあ、現実的に言えば断言してもいいけど・・・時には懐疑は必要だからな。
このあたりのニュアンスがベースにあるかないかで人間性は問われるのだった。
とにかく・・・かって中学生を性的暴行しようとした男(ダンカン)は死体となったのです。
本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ラブシャッフル」↗10.1%(平均*8.8%はマジックである)、「警視庁三ツ星刑事」12.1%(特命係の亀山ではありません)、「RESCUE」↗*8.9%(この枠にシリアスは無理なのだな)、「黒部の太陽・前編」16.7%、「後編」18.6%(白無垢綾瀬、据え膳深田、貫通など見所はありました)、「天地人」↘21.7%(とりあえず・・・新潟県周辺の斉京氏一族が喜んだのか・・・)・・・ついでに「ヴォイス」↗13.6%・・・以上。
で、『ヴォイス~命なき者の声~最終回』(フジテレビ090323PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。冬ドラマの視聴率首位を争う「ヴォイス」と「キイナ」なのだが・・・まあ、数字的にはかなり低レベルの戦い(平均視聴率①ヴォイス14.51%②キイナ14.50%)です。「ヴォイス」は死体の最後の声を主人公が妄想、「キイナ」は妄想のような事件を主人公が超能力で解決・・・という妄想の裏と表のような展開だったことが・・・ある意味ミラクルです。
人間の「個性」は不思議なものである。「普通の人間」というものが考えにくい時代でもある。たとえば「キイナ」の主人公は「一度見たものを忘れない」という超能力を保持しているわけだが・・・加地(瑛太)も実はある意味では同様の能力を持っている。
さらに言えば加地は・・・死体が死亡した場所に行くと・・・生前の姿が妄想できるという特技も持っている。同様な能力を持っているキッドには非常にリアリティーを感じる話だが「普通の人間」にはピンと来ない可能性大であると妄想できるのである。
最終回の最後の最後で・・・他大学に転任する法医学教室の佐川教授(時任三郎)は・・・加地との最初の出会いを語る。
「少年時代の君に・・・死体のお医者さんになれと言われて私は法医学者になった・・・だから君にも同じ道を歩んでほしい・・・でも法医学者は想像するだけでなく、データに基づいた根拠を示さなければならない・・・そこが人間のつきあいというものだからだ・・・」
もちろん・・・発達障害の症状を呈する加地への苦言なのである。
発達障害も一つの個性であり、特に障害ではない・・・と考える人はいるかもしれないが・・・たとえば今回、「強姦の容疑者(不起訴)になった男が死体で、正当防衛を主張する加害者の高校生潔美(近野)が強姦事件の被害者(後に自殺)の親友だったので加害者には殺意があった」と言い出せばかなり社会的には問題なのである。
これに対し、佐川教授は「致命傷となった刺し傷の凶器の入射角度や加害者の腕に残った被害者の爪跡の形状から・・・加害者に殺意があった疑い」を警察に進言するのである。
この辺の社会的手続きを容認しない人間は発達障害を疑われるわけである。
しかし・・・同時に佐川教授は加害者が大学の理事長の縁故であるから「留意するように」という教授会からの申し入れを受諾しない。
そのために・・・社会性を問われ、大学を追放される。
つまり・・・教授もまた発達障害の疑いがかかるのである。
逆にいえば、大学社会全体に発達障害の疑いがかかっているとも言える。
こうした「一部の人間の便宜を図るべきか否か」は「公序良俗の問題」と言えるだろう。政治家がリベートをもらうのがおつきあいの範囲なのかどうかということなのである。
これは「赤信号みんなで渡ればこわくない」という発言をビートたけしがすれば「お笑い」であり、小学生が実行すれば「大事故発生」ということと同じようなものだろう・・・おいっ。
まあ・・・とにかく・・・法令と道徳の間のグレイゾーンに「発達障害」は深く関わっていると思われるということだ。
中学時代に友人がレイプされた。友人の親は世間体を考えて告訴を取り下げ、犯人は不起訴処分となった。その後、友人は自殺した。
犯人はその後、更生し結婚して家庭を持つまでになった。それを知った高校生の潔美は犯人が幸せであることに憤り殺意を芽生えさせ、殺人を実行した。
まあ、女子高校生・潔美を演じるのが「エコエコアザラク R-page 」「エコエコアザラク B-page 」(2006年)で黒井ミサを演じた近野成美ですから友達のために復讐を決行しても違和感はないのですが・・・これも一種の発達障害です。「普通の人間」はそうはしないと考えられるからです。「普通の人間」はそこまでするのは二人が親友ではなくて恋人同士だった・・・同性愛的に・・・と考えます・・・おいおい。
まあ・・・この辺をツッコミはじめるとキリがない・・・というのがこのドラマの最大の問題点でした。
実際、この展開ならば・・・「社会的地位を利用して鑑定結果を操作しようとした大学上層部」は徹底的に糾弾されるべきでしょう。
それを・・・まったくせずに折り合いつけて学園を去って行く佐川教授は発達障害がなさ過ぎるといっても過言ではないのです。
とにかく・・・死者の声は加害者が聞いていました。「私が殺しました・・・あの人は最後に言ったのです・・・ずっと後悔していたと・・・自分は何てことをしてしまったのかと・・・ああ・・・私もそう思ったのです・・・自分は何てことをしてしのったのだろう・・・と」
ドラマとしての結論は・・・後悔先に立たずであり、御免ですんだら警察要らないよ・・・なのです。
結局・・・発達障害に溢れ・・・まだまだ未成熟な社会で・・・犯罪物語を捏造するときにはもう少し割り切らないと・・・中途半端な作品になりがち・・・ということになるのでしょう。
とにかく・・・「好きかどうか考えるのはもう好きってことでしょう」と分析する久保秋(石原さとみ)は普通の賢い女子大生役で・・・久しぶりに清々しかった。もうこれでいいや。
実際に・・・犯罪となれば・・・被害者も加害者も個人情報を徹底的に捜査される・・・そうしなければ人間関係を捜査機関が把握できないからである。それが学生によってその辺で収集する情報と同じレベルということになれば「トライアングル」が生れることになるのです。
冬ドラマも最終章なのですが・・・「キイナ」「ヴォイス」「トライアングル」は「相棒」のようにはなれなかった。やはり・・・名実兼ね備えた探偵の道は険しいということです。しかし、「キイナ」や「ヴォイス」にはギリギリ続編のチャンスがあると言えるでしょう。
その時は・・・もっと楽しませてくれるといいのになぁ。
今回のラストで加地は発達障害を偽装する人格障害者のようにも見えました。本来・・・探偵より犯人に向いているタイプなのかもしれません。犯罪者と名探偵は紙一重の関係だということです。
関連するキッドのブログ『第10話のレビュー』
ちなみにWBC決勝は延長十回イチローの勝ち越し2点タイムリーで日本5-3韓国で日本軍優勝。
水曜日に見る予定のテレビ『夏川結衣の春さらば』『エリートヤンキー三郎(再)』(テレビ東京)・・・おおっ・・・シーズン・オフだな。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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