仁義なき天地人・物資調達篇(妻夫木聡)菊姫見参!(比嘉愛未)
まあ、もうどうしようもない虚構に走っている御館の乱の長い序盤戦。
とにかく・・・菊姫(比嘉愛未)が登場。しかも姫武将モードです。まさかとは・・・思いますが・・・勝頼・母の諏訪御料人との血縁を意識しているような・・・キャラ設定じゃないだろうな。
一応、サイヤーライン(血統)を確認しておきます。
勝頼・・・父・武田信玄、母・諏訪御料人、母の父・諏訪頼重
菊姫・・・父・武田信玄、母・油川夫人、母の父・油川信守
菊姫には諏訪御料人の血は流れていませんからーっ。そこんとこ・・・ヨロシク。ちなみに菊姫15才くらいです。もちろん、血統には諸説ありますので・・・あくまで常識の範囲内の話です。勝頼の娘だとする説までありますからねーっ。そうなると・・・景勝は勝頼の義理の弟でなく・・・お婿さんになってしまいますがーっ。
で、『天地人・第12回』(NHK総合090322PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。まあ・・・とにかく・・・このドラマのスタッフは黒澤明監督の「七人の侍」を見たことないのだと思いますね。戦国の掟「腹の減った侍雇うだ」が分っていないようです。まあ・・・とにかく、上杉景虎の春日山城からの脱出により、第二段階に入った「御館の乱」はまったりと展開しています。天正六年五月中旬から六月下旬については様々な動きが同時に起きていくので時系列を整えるのはなかなか難しい。①越後国内の調略による内部分裂 ②内部分裂による小競り合いの発生 ③春日山城(景勝)勢と御館(景虎・憲政)勢との衝突 ④越後国外での調略による動向 ⑤関東、信濃、陸奥方面からの侵略開始・・・このあたりの日程表確認できます。ついでに卓袱台投げの秘儀を堪能できます。直江信綱の髷で兜の秘術も要チェックですね。まあ・・・金蔵抑えた意味をなしくずしにする兼続(妻夫木)の丸腰・無一文で兵糧調達大作戦で開いた口が今も開いたままでヨダレがダラダラでございますとも。菊姫イラストが楽しみですが・・・あくまでマイペースでお願いします。けしておねだり・・・していませんのでございますーっ。やれやれ┐(; ̄▽ ̄)┌
天正六年五月中旬、春日山城城内での戦に破れた上杉景虎は春日山城の東北、関川の河口を扼する御館に本陣を移した。御館は春日山城に対する、府内の平城である。山城はあくまで防御拠点であるため、平時には謙信もここで政務をとったと言われる・・・いわば越後の国庁である。謙信の庇護下に入った先の関東管領・上杉憲政の住居でもある。憲政が景虎支持を打ち出したために必然的に景虎の本陣が御館になってしまったのだということもできる。平城であるが、堀もめぐらされ、前後に拠点となる神社・仏閣を持つために一応の城としての機能を持つ。二ヶ月に渡る調略合戦の末に・・・一応、旗色は分れ、景虎陣営は御館周囲に野営を開始している。
すでに・・・集結していた諸国の軍勢は半ば・・・帰国していた。また・・・越後国内の武将たちも所領の家来衆の意見をまとめるために本城に戻っているものもある。
北条(きたじょう)高広などは上野国に戻り、着々と北条(ほうじょう)家に臣従するための準備に入っている。景虎は北条高広を通じて兄・北条氏政に越後出兵を要請したのである。氏政は小田原と越後の距離的な問題から・・・妹婿の武田勝頼に出兵を促している。もちろん・・・武田が動かぬままでは北条も動けないという戦国の常識によるものである。
そのため、武田勝頼は従弟の武田信豊に信濃越後国境に軍勢を集めさせている。
その頃、上杉景勝はようやく春日山城全域を掌握するに至っていた。
謙信の後継者である景勝は生前より、養父・謙信に春日山城の秘所を伝えられている。結局、景虎が場外に押し出されたのはこの情報力の差が大きかったのである。
一口に春日山城と言ってもその規模は三段階に分かれている。第一の城は春日山天守閣を中心に春日山全体を城塞化した部分である。一般的にはこれを春日山城と呼ぶ。しかし、その内部には巨大な水の手があり、さらにはいくつかの隠された地下蔵がある。それらは地下通路で連絡されたいくつかの山内屋敷に通じていて、それを知るものは城内において神出鬼没の戦闘が可能となるのだ。最初は様子見をしていた旗本たちが景勝になびいたのはすべて・・・山城内の秘密を知るもの・・・謙信の後継者と認めたからである。
第二の城は春日山周辺に配置された砦群によって構成される。いわば春日山城の出丸である。山城の東南に位置する城下町を守備する東城と四ツ屋の両砦から円を描き長池山砦、番屋砦、城ヶ峰砦、宇津尾砦、滝寺砦などが配置され、山城を包囲する結界を作っている。その中でも最北端に位置する沖見砦は最も重要な砦でそこには謙信の軍船の停泊する郷津港が属するのである。
この港を制する限り、物資の搬送は随意に可能となる。もちろん・・・兵糧不足に陥ることなどありえないのである。また、春日山城は隠し蔵などに隠し兵糧が貯蔵され、2000の軍兵が一年間篭城可能であるとされている。
上杉海軍を支配するのは直江一族であり、景勝の筆頭家老である以上、制海権は景勝が当然のように制している。また水軍衆は利に聡いのが一般的である。金蔵を押さえ、戦国一と噂された謙信の軍資金を手に入れた景勝にとって春日山城周辺での勝機は日に日に高まっている。
しかし、第三の城である・・・春日山支城の領域の旗色は不鮮明であった。
春日山城と御館を府中城と考えた場合、海に面する北を除き、三方に支城レベルの山城が築城されて防衛ラインを形勢している。
東に直峰城があり・・・城主・上杉(古志長尾)景信は景勝の出身上田長尾家との過去の確執の因縁から景虎支持に傾いている。南に鮫ヶ尾城があり・・・城主・堀江駿河守は地理的条件から信濃武田勢力の影響を受け、武田、北条の同盟関係から景虎支援にまわらざるを得ない。西は越中への出口となる不動山城である。城主・山本寺定長は旧国主である越後上杉氏の一族として・・・家来筋である長尾氏出身の謙信・景勝という国主継承には簡単には同意できないという姿勢を示している。
御館の景虎に一種の余裕があるとすれば・・・この第三の城の段階で・・・旗色が自分になびいている気配を感じているからである。実際、すでに景虎の手足となって働く風魔衆によれば、直峰城、鮫ヶ尾城、不動山城は何れも景虎支持を約定したと言う。
「しかし・・・」と御館の奥の間・・・御館城主として君臨する景虎の足下に控える忍者の頭・・・風魔小太郎は忍び声でささやく。「郷津の港が厄介でございます。ここを抑えねば、せっかくの包囲が・・・穴の開いた桶も同然でございまする」
景虎は・・・白髪に覆われた頭部をさらし、蹲る忍びの頭領を薄気味悪く感じていることを顔に出すまいと務めている。景虎は北条氏康の実子ではあるが人質生活が長い。北条宗家の支配する風魔一族の実態をほとんど知らなかった。この男が四代目の風魔小太郎であるのが・・・真実かどうかもわからない。何人かいると言われる影忍びの一人かもしれないのだ・・・。そう思いつつ・・・景虎は問いかけた。
「では・・・どうせよと言うのじゃ・・・」
「まずは武田の軍が北上するまで守りに徹することが肝心でございまする」
景虎の心に反発が生じる。春日の山から追われたことは景虎の自尊心を深く傷つけていた。
「それはできぬ・・・いわば・・・わが軍は敗勢・・・ここは攻めて出て一矢を報いねばならぬ・・・。幸い、直峰城から上杉景信が軍勢が到着しておる。これと府内衆をあわせて・・・春日の城下を焼き討ちにいたす・・・これは今夜・・・決行する・・・御主たちもこれに加勢するのじゃ・・・」
風魔小太郎は顔を伏せたまま・・・しばらく間を取った。しかし・・・諦念したようにさらに頭を低くした。
「かしこまりましてございます・・・しかし・・・くれぐれも深追いは御戒めくだされますように」
「くどい・・・一撃離脱は最初からの決め事よ・・・」
景虎は短気になっていた。急激な主としての采配ぶりという立場の変化が・・・景虎を慢性的な興奮状態に追い込んでいる。
「もう・・・さがってよい・・・」景虎は自分の心を静めるように手を振った。次の瞬間、老いたように見える忍びは目の前から消えていた。とても老人の所作とは思えない。景虎はその不気味さに一瞬、冷静さを取り戻したような心地がした。
春日山の城下に広がる春日町の南の砦には樋口衆が入っている。樋口兼続こと与六は斥候の長として・・・樋口衆の他に、山城周辺の地侍衆を手下としている。何れも軒猿の手のものだった。頭領である担猿が死んで・・・申し合わせにより、謙信直属の忍びであった軒猿たちは直江衆と樋口衆が引き受けている。
忍びは実力がすべてである。年少である与六は・・・信濃真田のくのいち初音の手ほどきで並々ならぬ技量を持っている。そのことで軒猿たちは与六の配下となることに不服を持たない。
兎目と渾名される小柄な忍びが砦の中の与六があてがわれた小屋に戻ってくるなり告げた。
「御館の衆は夜襲に出なさるおつもりでござる」
「人数は?」
「おそらく、四、五百はくりだすかと」
「・・・狙いは春日の町衆か・・・」
「さように存ずる」
「ならば軒猿衆は北の砦に加勢をお願いしたい・・・」
「承知いたした」
兎目とともに小屋を飛び出した与六は「夜討ちあり」の符牒を呼子で吹く。
砦の小屋からは・・・配下のものどもが素早く現れる。何人かは足軽具足をつけ、何人かは忍び装束である。
「兄者・・・迎え撃つのか」と弟の与七が声をあげる。
「いや・・・」と与六は忍び声で答える。「多勢に無勢じゃ・・・砦を守ればそれでよい・・・今宵は風魔どもが出るであろう」
やがて、地響きとともに御館から春日の町へと軍勢が南下してくるのが見える。
北の砦と南の砦からは銃声があがる。しかし、景虎勢は数をそろえて中央を突破していく。何人かは銃撃により即死している。さらに砦からは矢を討ちかける。それでも城下町に突入した軍勢はたちまち火をかけはじめる。
風にのり、町衆の女子供の悲鳴があがる。
「愚かな・・・」と与六は思う。「焼き討ちなどしかけて民を敵に回すだけではないか・・・」
与六は何度か見た景虎の端整な顔立ちを思い浮かべる。「踊らされて・・・血迷うたかの・・・」とその刹那、殺気を感じた与六は地を蹴った。その足下に風魔の使う棒手裏剣が突き刺さる。「風魔じゃ」
その声に応じて、曲者に向かったのは与六とは異母姉のくのいちお銀だった。一撃必殺の抜刀術の使い手である。相手が逃走に移るのに乗じ、身を寄せていく。次の瞬間、走りながら抜刀したお銀の忍び刀が燃え上がり始めた町屋の炎に映える。叫びも残さず、曲者の胴体が両断される。その瞬間を狙って忍んでいた別の忍びが殺気を放つ。お銀の背を棒手裏剣が貫くイメージが掠めるが、忍びが手裏剣を放つよりも先に接近した与七が背後から切り捨てている。
その時には与六はもう一人の忍びと対峙していた。忍びは包囲を恐れて与六に接近戦を挑む。一撃して脱出路を作る意図である。与六は相手の意図にはのらずに攻撃をかわして相手の背後を取った。口には毒を仕掛けた含み針を咥えている。次の瞬間、針は忍びの首に刺さっていた。振り返った忍びの目が与六をとらえた。その目には一瞬悲しみが浮かんだ。そして忍びは自ら、小刀で首を切断した。
「・・・痺れ薬と知って自害したか・・・」
すでに襲撃はおわっていた。与七が最後の死体から覆面を剥ぎ取る。若いくのいちだった。与七がささやいた。「兄者・・・四郎兄様の仇をうったな・・・こやつ・・・あの夜の風魔じゃ・・・」
すでに城下は火の海に包まれていた。山城から追っ手が繰り出し、襲撃者たちは引き上げの体制に移っている。その退き陣に両の砦から銃撃が浴びせられる。炎に照らされて射撃精度はあがり、最初より多数のものが大地に伏す。
やがて・・・手負いのものの呻き声を残して、襲撃者は去った。樋口衆は再来を警戒して斥候を出しながら・・・倒れたものに近付いていく。味方なら担ぎ出し、敵ならとどめをさす。逆襲を許さぬためにとどめは毒を塗った投げ矢を用いる。
略奪もならず・・・かなりの犠牲者を出した景虎勢の夜討ちは明らかに失敗だった。
しかし・・・御館から春日町の火の手を見る景虎の目には喜色が浮かんでいた。ほんの二月の戦・・・歴戦の武将である景虎だったが・・・己の長たる戦は格別の味を持っていた。景虎の心は静かに狂い出していたのだ。
「あはは・・・燃えている・・・春日の町が燃えている・・・景勝・・・思い知ったか」
我知らず・・・景虎は吠えていた。その声を継室の華姫は暗澹とした想いで聞いた。
関連するキッドのブログ『第11話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『絶対彼氏最終章スペシャル』(フジテレビ)・・・あれだけ泣かせておいて復活かよ・・・まあアンドロイドだからな。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
誰が主かようわからんくらいに
兼続を賛美というよりも崇拝してるかのような
物語構成にただただ愕然としております。
信綱さんがキレる気持ちがよく分かりました ̄▽ ̄
個人的にはタイトルも気に入らんのですけどね。
この流れだとどうも、新発田長敦は
出てきそうにないような気もしてきました。
そうなると新発田重家はどうなりますやら(苦笑)
ちなみに女性陣に関しては
菊姫を描こうかドロンジョ様を描こうか悩んでおります。
ホント、どっちがいいかなぁ(; ̄∀ ̄)ゞ
とか言いながらちゃくちゃくと過去の大河ドラマの
作品の人物を描いたりしてるんですけどね(; ̄∀ ̄)ゞ
とりあえず、いずれ折を見て
近いうちに公開します( ̄ー ̄)/~~
投稿: ikasama4 | 2009年3月23日 (月) 21時01分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
今回の中では信綱の
「オレでは直江の跡継ぎとしては不足か・・・」
これが痛々しいセリフでしたね。
上杉-長尾-直江という主従関係ですから
関東長尾家といえども-守護代家である総社長尾家の
一族である信綱が陪臣に婿入りしているのですから
「こんな家に来とうはなかった・・・」
と言って拗ねるべきです。
まあ・・・脚本家の脳内を
のぞいてみたくなる展開の数々も
なんか・・・シュールな域に達しています。
なぜ・・・戦国武将たちを
そこまで貶めようとするのか・・・
不可解です。
まあ・・・妻夫木を主役にしたいから・・・
と言われればそれまでなんですけど・・・。
なんか・・・一言でいえば
あこぎな匂いがプンプンします。
ホストクラブで有閑マダムが
書いているかのような筋立てなんですものーっ。
新発田長敦はもとより
この時点で公式サイトに
北条氏政のキャスティングが
なされていないのが・・・
どんだけーっ・・・でございます。
なぜか・・・今年の大河ドラマの
話になるとどんだけーというフレーズが
頭の中で渦を巻くようになってしまいました。
一種の「頭がおかしくなる機械」に
テレビがシフトチェンジするようです。
精神異常者と話しているような倦怠感を感じます。
どんだけーっ。
昔のようなレビューのない時代だったら
発狂してしまいそうな出来ばえですよね。
ふふふ、菊姫はとりあえず清涼剤ですな。
そして各所で深キョンは大活躍ですなーっ。
初音、華姫、菊姫、淀姫と
美少女そろい踏みなのに
まったくワクワクしてこないのは
脚本家が彼女たちに感情移入させない
態度で満々だからなのですなーっ。
美人たちはちょっとおバカに描き・・・
あき竹城を一番丁寧に描いている気がするのは
キッドだけですかーっ。
もう・・・どんだけ~。
とにかく・・・もはや
ボヤッキー態度で観測するしかない今年の大河。
それはそれとして新作イラスト。楽しみです。
オダギリ・まさみ兄妹が
面白かったら・・・そちらに乗り換える事態も
ありえる・・・春がそこまで・・・来ていますが~。
投稿: キッド | 2009年3月24日 (火) 01時49分