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2009年4月 7日 (火)

人生に正解は無数にあるが不正解はそれを上回る(阿部寛)心の涙かよ(山下智久)涙は心の汗だでしょ(長澤まさみ)

さて・・・連続ドラマの谷間の季節である。かっても「木更津キャッツアイ」とか「彼女が死んじゃった。」とか再放送レビューをしているわけだが、現在、関東で再放送中のドラマには「結婚できない男」と「ドラゴン桜」という阿部寛の珠玉の二作がある。「結婚できない男」は昔、レビューしたので、最終回を迎えた「ドラゴン桜」をとりあげたい。

大好きな作品なのだが、脚本家はう、撃たないで~の人である。ま、おちょくり対象だが、そうなったのは理由があります。つまり、「ドラゴン桜」があまりに上出来なのです。その期待感をもって、その後の作品に接してしまい・・・期待を裏切られる・・・まあ、かわいさあまってにくさ百倍と似た展開ですね。

このあと、「花嫁は厄年ッ!」(篠原涼子)↘「鉄板少女アカネ」(堀北真希)↘「ジョシデカ!-女子刑事-」(仲間由紀恵)↘「ホカベン」(上戸彩)↘と見事に駄作を連打なのである。・・・う、撃たないで~。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「コンカツ・リカツ」*6.2%(面白いけどなー)、「キンスマ・ベッキー」17.7%(おはー)、「奥様は警視総監4」12.0%(メンバー地味だ・・・)、「帰・33分探偵」↘*7.9%(エネゴリくんのCMと同じくらいの面白さ)、「法律事務所・芦ノ湖畔高級別荘地連続殺人」16.4%(早口言葉かっ)、「つばさ」15.4%(かなり面白い)、「天地人」↗19.8%(野球よりフィギュアスケートに弱いのだな)、「座頭市」12.0%(なんどめだ)・・・以上。

で、『ドラゴン桜(再放送)・最終回』(TBSテレビ090407AM0204~)原作・三田紀房、脚本・秦健日子、演出・塚本連平を見た。最初のオンエアは2005年の夏ドラマである。初回視聴率が17.5%で最終回が20.3%、平均16.4%(全11回)、金曜ドラマ枠としては春ドラマ「タイガー&ドラゴン」平均12.8%よりも上げて、秋ドラマ「花より男子」平均19.8%には及ばなかったポジション。つまり、まあまあである。

主演の桜木(阿部)は元暴走族の弁護士というありえない系であるが・・・倒産寸前の私立龍山高校の再生案として特別進学クラスを設定。落ちこぼれの生徒たちで「バカやブスこそ東大に行け」を合言葉に東大合格者五人達成を宣言する。

そして・・・生徒たちは桜木に反発しながらも受験の魅力にとりつかれ、東大受験という受験戦争の最前線に送り込まれていくという展開。「東大受験」を見えない壁との戦いと喝破し、誰でもその気になれば東大にいけるという主題は刺激的なのだった。

まあ・・・ドラマ内容には詭弁が満ち溢れ・・・要するに戦争青春映画なのだが・・・受験テクニックや、錯覚の構図の検証など・・・毎回、面白情報に満ちているのである。少なくとも「努力すれば夢はかなう」系のドラマとしては非常にお手本になる構成になってます。

とにかく・・・基本は勉強は丸暗記に勝るものなし・・・です。落ちこぼれの生徒たちが実は非常に記憶力が優れていることは公然の秘密となっています。

その生徒を的外れな情熱で支えるのが井野真々子(長谷川京子・当時26才)・・・英語教師なのに世界史の教師をさせられたり、生徒を助けるためにチキン・レースで埠頭から海に転落したりと・・・コミカルなところを見せます。これが空前絶後のはまり役。まあ・・・「華麗なる一族」のキムタクの妻もはまり役といえばはまり役でしたけど。

しかし、なんと言っても特進クラスの生徒たちが粒よりだったのが大きいでしょう。

まずは矢島(山下智久)。原作では単なる高校生ですが・・・ドラマ版では、父親が騙されて蒸発、多額の借金でど貧乏と設定変更され・・・美人の彼女もいるし、かわいい幼馴染もいるというキャラにアレンジされています。この「勉強はできないけどかっこいい」的な設定がこのドラマのエンターティメント度を引き上げます。つまり、かっこいいということは頭が悪いわけではないという伏線なのです。

実際に・・・矢島は「質入したトランペット」が自分が売った金額より高く売られていることに立腹するほどのおバカさんだったのが、桜木の教育により・・・どんどん賢くなっていき・・・最後には受験に失敗した仲間を叱咤する桜木の言葉を「あんた心で泣いているじゃん」と読心するほどの領域に達していきます。まあ、全国の山Pファンが熱狂の成長ぶりを示すわけです。この後、山Pは主演で「野ブタ。をプロデュース」「クロサギ」「プロボーズ大作戦」「コード・ブルー」とヒットを重ねますが成長物語の主役の原型をこのドラマで掴んでいることは間違いありません。矢島は受験には成功しますが・・・東大進学はしないという結末もよどみがありません。ちなみに母(石野真子)です。

矢島の幼馴染が水野(長澤まさみ)。こちらは原作に忠実で母(美保純)の経営する居酒屋と母の教育観がドラマの重要な要素になってきます。「私の娘が東大になんか行けるわけがない・・・だって親に似てバカだもの・・・」・・・泣けます。酔っ払い相手の客商売に反発を感じつつ、受験と店の手伝いの両立に悩む鬱な設定が矢島の友情以上恋愛未満の微妙なアプローチとよく馴染んで青春を盛り上げるのです。そして必殺技、走って揺らすをすでに完成しているところも見逃せません。最後は母の病気で受験を断念というところがお約束です。

矢島の彼女が香坂(新垣結衣)。矢島が優しすぎるので嫉妬の連打。さらに悪い仲間と交際するギャル系。矢島への依存度は高く、受験の動機が「矢島が行くから」です。嫉妬心は受験の原動力にも障壁にもなっていくというのがミソ。実はメンバーの中では成績優秀という隠し味も利いています。やがて・・・彼女は自立心を芽生えさせ・・・水野とは女の友情を育み・・・そして「矢島が行かなくても私は東大にいく・・・だって知るって面白いんだもの」という勉強の極みに到達します。

もう、ここまでで凄い組合せです。長澤は「プロポーズ大作戦」のヒロイン。新垣は「コード・ブルー」のヒロインと・・・山Pとのその後の共演を成功させているわけです。

さらに矢島のバンド仲間でお坊ちゃんの緒方(小池徹平)。母(あいはら友子)、父(須永慶)。母親は溺愛、父は一橋大卒のために「息子が東大受験」と聞くと心中穏やかではなくなるところがミソです。緒方は父との間の葛藤をかかえまずが・・・最終的には受験に失敗することで父親と心を通わせます・・・それは違うんじゃないか?・・・とにかく主役を引き立てるポジションでありながらそれなりに人気になる絶好のポジションでした。この後は「医龍」を経て「シバトラ」ではついに主演です。

緒方とコンビを組むアイドル志望の小林(サエコ)です。友人のグラビアアイドル戸田明日美(堀朱里)にライバル心を燃やし、現役東大生アイドルとなるために受験を決意。そのモットーは絶対にあきらめない。そうです。韓国との決勝戦で土壇場で同点に追いつかれつつ奇跡のイチローの勝ち越し打を生み優勝投手となったダルビッシュの妻ですもの。

そして最後は奥野(中尾明慶)、典型的な三枚目ですが、優秀で邪悪な二卵性双生児の弟(水谷百輔)に腐ったサンドイッチを食わされつつ・・・「ウンコのこと」を必死で念頭から消し去りついに東大に合格する奇跡のヒーロー役。この後も「セーラー服と機関銃」そして「ROOKIES」と三枚目街道を驀進中。濱田岳と並ぶ貴重な本当に三枚目な三枚目スターとなっています。

ま・・・このように・・・登場人物を語るだけで充分に面白い。そこが「ドラゴン桜」の素晴らしいところ。他にも魅力的な講師陣とか、ダメ教師の群れとか、真々子の友人(矢沢心)とか、最悪モードの理事長(野際陽子)とか、ナレーション(小林清志)とか・・・実に隙がないキャステイングになっています。それなのに・・・この脚本家・・・どうしてこの後は・・・う、撃たないで・・・。

関連するキッドのブログ『結婚できない男

水曜日に見る予定のテレビ『ゴッドタン・神の舌』(テレビ東京)『谷村美月の探偵Xからの挑戦状』(NHK総合)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

Pのお誕生日記念になりそうなじいやさまの記事ですね。
ありがとうですわ~。
ドラゴン桜、良かったですよね。
あの時の特進科の子たち全員大出世してますもんね。
金髪Pさまの見た目は好きじゃなかったですが
ストーリーは本当に面白くてはまりました。
あの方法で東大に合格たら最高。
真似したところも出たんですよね。
しかもお笑いにもよどみがなく
暗い現実も青春論で消え去るような夢のようなお話でした。
あら、あの脚本さんだったのね。ふふふ

投稿: エリ | 2009年4月 9日 (木) 17時19分

✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿

山P先輩のお誕生日に平成財閥からは
ミニチュアダックス専用ミニプールを
発送しておきました。

ドラゴン桜は何度見ても面白いのですな。
そして一話見終わると先を知っているのに
続きが見たくなる稀なドラマでございます。

阿部ちゃんと山P先輩の
ちょっと不良同志の反発と
最終的な共感。
なにしろ・・・高卒の弁護士を
目指すわけですからね。

そしてまさみのふにゃふにゃも
結衣の一本調子も
実にマッチしたとりあわせで
女子高校生萌えの極地でしたし。

まさみ、結衣、サエコのトリオは

エリ、アンナ、まこのお嬢様トリオには
およばないとはいえなかなかでございます。

とにかく・・・東大を受験しようと
思った人は増えたこと確実です。

やはり、若者に大切なのは
チャレンジ精神に尽きるのでございます。

そしてなぜ、これ以上のベストがこれ以後
尽くされないのか・・・
あの脚本さんの不思議です。

投稿: キッド | 2009年4月 9日 (木) 23時31分

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