ブタさんがスキスキス~でスマイル(新垣結衣)日本語ペラペラで涙(松本潤)鬼太郎カラス(小栗旬)
脚本家としては「花より男子」で大成功、「歌姫」で大失敗と登り下りの激しい金曜ドラマ枠である。
「花より男子」からは松本潤・小栗旬のツー・トップ。
「歌姫」からは恋敵役の小池栄子をピックアップ。
最強アイドル女優の新垣結衣とヴェテラン・スターの中井貴一を迎えて、「絶対に負けられない」体勢である。
社会的弱者の救済という「鼻につく」主題をあえて設定に反映させるのは失敗の素なのであるのが、そこは反省しないらしい。
日本は世界標準で言えば、豊かな国である。豊かな国は貧しい国に手をさしのぺなければいけない。
この建前と「ギリギリでやってんだ」という本音が交錯するのがお茶の間だからである。
人口の3/4が戦後生まれの日本人には戦前の責任を問われても困惑する気分がある。年間数万人の自殺者を出すほどにサバイバルは痛烈だ。世界的な大不況の渦は必然的に自国民の生活優先感情に到達する。
外国人の犯罪者が麻薬を密輸し、強盗をし、殺人をし、不法入国をしている以上、厳罰をもって取り締まるのは国家の役割である。そこで行き過ぎが発生したら法にのっとってとがめればいいことで・・・ある程度は目をつぶったっていいほどであると感じるものもいるだろう。そこでお涙頂戴を作ろうとすると・・・火傷する可能性があります。
で、『スマイル・第1回』(TBSテレビ090417PM10~)脚本・宅間孝行、演出・石井康晴を見た。現在・過去・未来の交錯するやや分りづらい構成。早くも・・・「歌姫」の失敗に懲りない姿勢です。まあ・・・どうしても・・・というのなら・・・いいでしょう。
五年後(2015年頃)の未来、主人公のビト(松本潤)は獄中にいます。さわやかな笑顔で面会に来た弁護士の伊東(中井)を迎えますが・・・差し入れの大トロが許可されず絶望します。しかし・・・刑務官の柏木(勝村政信)とも湧き合い合いで穏やかな刑期を務めているようです。そして、ビトが冤罪であることが暗示されます。
そして・・・現在(2009年頃)・・・町の弁当屋・町村フーズで働くビトは保護者代わりの社長夫婦(前田吟・いしだあゆみ)を慕いつつ穏やかな生活を送っています。夫婦の一人娘が新米弁護士のしおり(小池)です。
町村フーズは前科ありの人々の社会復帰を助ける企業的色彩を帯びています。仕事仲間の・・・デブに対して偏った性的嗜好を持つ金太は不良だった過去を持っているし、ビトもその一味でした。健児(鈴之助)にいたっては傷害事件で執行猶予中の身上です。
そこで過去(2000年頃)・・・少年だったビトはチーマー同士の抗争に参加しています。ビトの属するチームのリーダーは悪魔のような男・林(小栗)です。敵対するチームのリーダー甲斐(松田悟志)の顔をナイフで切り裂く残忍さ。その後、林は服役、甲斐はヤクザになっています。
どうやら・・・過去に人死にの出る事件があり・・・ビトはそれに関与した模様です。
話の展開ではそこでも「濡れ衣」を着せられた模様。このまわりくどさ・・・それをお茶の間の関心を引き寄せる謎と考えてしまうところに・・・連続ドラマと舞台の構造上の違いがまだ分らないのではという危惧を感じさせます。
しおりの務める弁護士事務所の所長が伊東弁護士ですが・・・彼もまた名前を変えるほどの過去を隠しています。
万引き事件(濡れ衣だったかどうかも実は曖昧)をきっかけにビトに接近する少女・三島花(新垣)は失声症の女子高校生ですが・・・家庭環境やなぜ声を失ったかは謎のままです。
ビトという名前はフィリピン人男性と結婚した日本人女性の母が映画「ゴッド・ファーザー」の主人公・ドン・ヴィトー・コルレオーネからネーミングしたらしいのですが、マフィアのボスの名前を子供につけてしまうという頭の悪さが凶悪レベルだったようです。
しかし・・・その両親がその後、どうなっているのかも謎です。
麻薬事件を調査中の古瀬刑事(北見敏之)はビトを見るなり「フィリピン野郎で人殺しのビト」と連想するほど・・・悪いイメージをもたれているのが何故なのかもまだ謎です。
とにかく・・・周囲の人間には「明るくて真面目で将来の夢である多国籍料理の店を開く」に向かってバンビーノなビトが・・・昔の顔見知りの不良に嵌められて麻薬不法所持の嫌疑をかけられ・・・町を逃げ回り、結局・・・雨の中で警官に包囲されて「オレはなにもしてないー」と泣き喚き・・・つづくです。
だ、大丈夫なのかーっ・・・と心配になる初回でございましたとも。
しかし・・・ブタのぬいぐるみをこよなく愛するガッキーの悩殺的かわいさは大炸裂しているので前日に続いてドクターヘリ・チーム的には大成功と考えることも可能です。
しかし・・・「歌姫」だって相武の可愛さだけは充分だったわけで・・・それだけでは不十分なんだよな。まあ・・・涙の松潤が見れれば満足の人の数にかかっているのか・・・。
関連するキッドのブログ『バンビ~ノ』
で、『名探偵の掟・第1回』(テレビ朝日090417PM1115~)原作・東野圭吾、脚本・大石哲也、演出・宮下健作である。「トリック」「富豪刑事」「時効警察」「キミ犯人じゃないよね」など・・・おふざけミステリの系譜に続くのであるが・・・原作はミステリ作家の自嘲的ミステリ・パロディーである。そのあたりの間口の狭さが微妙なのだが・・・やはり微妙な仕上がりだったな。
しかも、あまり出来がよかったとはいえない他局の「33分探偵」と限りなく近いニュアンスになってしまっているというダメージが加わっている。
たとえば、推理小説には「本格」というジャンルがある・・・ということが常識かどうかという問題なのだ。さらにその「本格」の定義がまた人によってことなるということもふまえておかなければならない。
ミステリのファンは拡大し、そのジャンルも多岐に渡っている。いわば「羊たちの沈黙」から「涼宮ハルヒの憂鬱」までがおしなべてミステリなのである。その本格がどのあたりを本格というか・・・基本的には1000冊くらいミステリを読んでなんとなく体得することなのである。
そういうことをお茶の間に求めるのは無謀なのだった。
「火曜サスペンス劇場」によくあるシーンとかで「崖の上の告白」をおちょくるのとはレベルが違うのである。
まあ・・・仮に「整合的なトリックがあり・・・探偵役の登場人物が事件の謎を捜査によって提示し・・・探偵が推理結果を示す前に読者がその推理を推定できるもの」を本格ミステリと限定しても・・・古典と新作の間に生じる様々な葛藤・・・結局なんでもありになってしまうような微妙さへの粉飾といった趣味的な問題が生じるからである。
日本にもようやく洋風の密室の普遍性が出現しているのであるが・・・和風建築には本来密室になりにくい土壌があったりしたのである。
今回、本格推理の王様として「密室」がとりあげられるのであるが・・・たとえば「鍵」を使った密室トリックへの言及はない。そうすると、鍵密室愛好会からクレームがつくという世界なのである・・・どんな世界だよ。
まあ・・・ミステリ好きにはもちろん・・・そこそこ楽しめる。
主演の探偵・天下一(松田翔太)の二代目二枚目としての線の細いところ、芸人あがりの素人芝居でも面倒見のいいアニキキャラだからなんとかなっているように見えてやはり鼻につくボケ刑事・大河原(木村祐一)、顔が整いすぎていることがいつまでたっても弱点の新人刑事型アシスタント・茉奈(香椎由宇)なのである。
まあ・・・いろいろと微妙なのだが・・・構成的には茉奈の役割が「名探偵にフォーリング・ラブするかもしれないペーパードライバー」であることを前半にふっている以上、それに対応するのがお約束というものなのだ。
後半で探偵と二人きりになったり、探偵が人情話的なオチをつけたりと・・・発情するチャンスは何度かあったのだが・・・スルーなのである。
お約束の初歩から勉強してもらいたいよ。
関連するキッドのブログ『篤姫』
日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『ぼくの妹』(TBSテレビ)『バイオハザードⅡアポカリプス』(テレビ朝日)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
こんばんは
いつも楽しく拝見しています。特に山下くんのドラマがあるときは、はやく書いて〜と願いながら拝見していました。
今回はやはり元共演者の方と同じジャニーズという事で注目をしていました。やっぱり新垣さんはかわいかったですね。(ドクヘリではあまり思いませんでしたが、、、笑)
今松潤の人気はすごいものがあるので、視聴率はいくのではないでしょうか!
これからもキッドさんの感想を、楽しみにしています!
投稿: ちー | 2009年4月18日 (土) 22時14分
涙の松じゅんは。。。あまり見たくないかも(-_-;)
って言うか、イジメに遭う松じゅんは見ていて辛いくうなのです。
きっと、救いはあるだろうと思って見続けますが~。
「探偵」は他局の探偵と限りなく同じノリでしたね~^^;
「トリック」も入ってるような。。。
もう少しオリジナリティが欲しいところ。
投稿: くう | 2009年4月18日 (土) 23時59分
青春アミーゴ♡ちー様、いらっしゃいませ♡ミリオンセラー
ちー様、ご愛読ありがとうございます。
年男山Pは「コードブルーSP」以来
ドラマが途切れていて淋しいですね。
夏ドラマに登板があるとよろしいのですが。
新垣結衣は医師から女子高校生と
年齢を超えた変身を見せているのですが
やはり、女子高校生の方が
無理がありませんね。
もう・・・20才ですけどーっ。
未来の時点でまだ生きているとすると
23、4才になっていて
少女と大人の演じ分けで
真価が問われるわけですが
声を失った出来事次第では
とんでもない過去があるのかもしれず
ドキドキでございます。
まあ、松潤は10代から20代の終わりまでを
演じているわけで
それがそうは見えないところも
ちょっとドキドキなのでございます。
はたして視聴率はどうなるのか・・・
ドキドキなのです。
また遊びにいらっしゃってくださいね。
投稿: キッド | 2009年4月19日 (日) 04時52分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
・・・でございますよね。
松潤だけによもや・・・とは思うのですが
ドラマ的には失点要素が
結構あって・・・
週明けの結果発表がちょっと不安でございます。
大風呂敷広げすぎ~という感じが
ヒシヒシとします。
キッドは安易に警察関係者を貶める
構図のドラマには
それだけで危険信号を感じるのですが
まるで麻薬犯罪を取り締まる側が
悪のような展開にゾッとしましたぞ。
ただでさえ・・・麻薬による芸能界汚染が
問題化しているのにです。
こういう・・・ある意味、反体制的なドラマは
相当な理論武装を構築しないと
バッシング対象になってしまいますからな。
ビトの現在・過去・未来が
「スマイル」しても許されるものか
どうか・・・
よどみなく構築されていることを
祈るばかりでございます。
「探偵」はまあキムニイを
我慢して・・・
台本の薄さに目をつぶれば
ミステリの基本の入門篇としては
そこそこ楽しいのでは
ないかと思っています。
翔太は「本格ごっこ」をやっているときと
素に戻ったときのメリハリがもう少し欲しいですね。
お父様はそういうの大得意だっただけに。
投稿: キッド | 2009年4月19日 (日) 05時06分