仁義なき天地人・黄金沙汰篇(妻夫木聡)屋根の上の大風呂敷(長澤まさみ)政略結婚物語(比嘉愛未)
「天地人」↗19.8%・・・しぶといわっ。
とりあえず・・・「覗き屋」のようなトリミング画面構成、輝く金のつぶ(納豆にあらず)、スローモーションにストップモーション・・・酔っておるのかっ。
まあ・・・とにかく・・・今回は「ふつうです」かな・・・もうツッコミ中枢マヒしているのかも・・・。
で、『天地人・第14回』(NHK総合090405PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・高橋陽一郎を見た。例によってシナリオにそったレビューはikasama4様を推奨します。ついに三連続卓袱台ひっくり返し記録達成。怒涛のツッコミ12連発でドラマの流れが一目瞭然でございます。兼続も景勝も信長も勝頼も草葉の陰でどつかれまくっている気分でございましょう。まさに死人に口なし。おバカ脚本家天衣無縫状態だ。そしてメイン解説記事は武田滅亡五つの要因徹底分析!前編です。運命の怪しい糸に導かれ、信玄没後9年で滅ぶ武田家はなぜ没落していったのか・・・後編が楽しみです。まあ・・・菊姫婚姻がその分岐点であったのは疑いようのないことでございましょう・・・。まあ・・・天地人かと問われれば風林火山その後だと答えるしかありませんけれどーっ。
で、御館の乱もクライマックス直前である。天正六年(1578年)六月、武田信豊を先陣とする武田勢は越後に侵攻した。この間、信濃の上杉勢は沈黙を守っている。やがて、武田勝頼も越後入りし、およそ、二万の軍勢で春日山城に迫る姿勢を見せる。この勝頼の出陣は上杉景虎を支持する後北条氏政の依頼によるものだった。氏政の父、氏康には史上に見られるだけで15人の子があるが、氏政は次男にあたる。そして六女は天正五年15才で武田勝頼に嫁している。さらに八男が上杉景虎である。つまり、景虎は勝頼の義理の弟になる。越後国内は景勝支持にかたまりつつあったが、上越地方では景勝の春日山城を御館、直峰城、不動山城、鮫ヶ尾城で包囲した景虎は互角の体勢を整えている。そこへ義兄の勝頼が圧倒的な軍勢で到着したのである。景虎はまさに「勝った」と考えただろう。
しかし・・・春日山城の南、木場に陣を構えた勝頼の使者の知らせは景虎の耳を疑わせるものだった。
「和睦の勧め」である。しかも・・・勝頼は上杉の跡目を景勝と考えている旨を示したのである。
使者は武田信豊である。御館に信豊を迎えた景虎は思わず、言葉を返した。
「・・・なんと・・・仰せられた」
「武田の御屋形様(勝頼)は・・・上杉家の混乱をお鎮めしたい意向でござる。西に将軍家を追放した大敵・織田信長を迎える今・・・本願寺を通じて和睦した当家と上杉家は・・・力を合わせて織田家の野望を挫かねばならぬこと必定。これは亡き謙信公と武田家の密約でござった。その節に跡目は景勝様と内々の約定ありしこと。今、悪戯に相続の争いにて越後に乱あるは理なきことと仰せの如し」
「・・・しかし・・・北条よりの使いによれば・・・武田家は我陣営に味方いたしてくれしものと・・・」
「さればこそでござる。景虎様が景勝様と和すれば・・・武田・北条・上杉の絆、ここに極まることになり申す」
「・・・それは」
「わがお屋形様は・・・御妹君、菊姫様を景勝様に嫁す所存でござる」
景虎は絶句した。景虎の継室・華姫は景勝の姉妹である。今、信玄の五女・菊姫が景勝に嫁げば勝頼と景勝は義兄弟になる。景勝と景虎はすでに義兄弟であり、景虎と勝頼もすでに義兄弟である。景虎の兄である氏政と勝頼も義兄弟である以上、義兄弟の祭典状態なのだった。
景虎は・・・和議を受け入れた。その胸には血縁・地縁の虚無の風が吹いていた。
一方、景勝の使者は勇躍、越後領内に散った。
「武田と盟約なり、跡目は定まった」の報である。
上越での停戦は成った。それを見届けた勝頼は軍を引く。武田・上杉の婚儀の準備があるからである。勝頼は異母妹の花嫁衣裳は豪華にしてやろうと考えた。上杉金により懐が暖かであったのだ。
一方、小田原城では武田勝頼と上杉景勝の同盟の報を受け、後北条氏政が杯をとりおとした。
「なんと・・・それはいかなる仕儀じゃ・・・」
相談役として詰めていた大叔父(氏政の祖父・氏綱の弟)の北条幻庵(75~85才・諸説あり)は枯れた顔を見せた。
「武田の小童め・・・上杉・北条の単独の和に恐れをなしたのでございましょう・・・」
「しかし・・・どうするのじゃ・・・弟ども(氏照・氏邦)はすでに上州に出陣しておるぞ・・・」
幻庵はうろたえる氏政に目を細めながら・・・進言した。
「まずは・・・攻めるがよろしかろう・・・一城おとせば一城分、北条の力となりますれば・・・上杉、武田のことはその後に図ればよろしいと存ずる」
「なるほど・・・成り行きにまかせるのじゃな・・・それはお気楽なことじゃ・・・これ・・・酒をもて」
氏政は取り落とした杯を見つめて小姓に命じた。その振る舞いに幻庵は笑みを漏らす。小賢しい甥だった前当主・氏康よりもその子氏政を幻庵はいたくお気に入りだった。バカな子ほどかわいいの理である。
天正六年の秋、集結を終えた北条勢は三国街道を北上した。
武田との同盟締結以前から北条軍の侵攻を必至と観測していた景勝軍は国境の防備を固めるために地元・上田長尾衆に命じて、いくつかの拠点を城砦化していた。
上州沼田城から侵攻する北条軍に対し、最前線の越後湯沢・荒戸城を改築し、樋口一族の猛将・樋口主水助を配した。そこから魚野川西岸の樺沢城に深沢刑部、東岸の坂戸城に栗林冶部、後詰の浦佐城に清水藤左衛門を置き、北条氏の北上に備えたのである。
斥候の術に優れた与六は景勝の命を受け、上州に潜入し・・・荒戸城に戻っていた。
「伯父上・・・北条軍はおよそ一万、大軍でござるゆえ・・・引き際が肝心と思し召せ」
城将・樋口主水助に敵の陣営を伝えた後、与六はそう付け加えた。
「ふふふ・・・与六よ・・・戦は最初が肝心よ・・・」と戦慣れした主水助は凄惨な笑みを浮かべる。「先のお屋形様ありし時より・・・負けを知らぬ上杉の戦ぶりが変わらぬことを北条の衆に思い知らせるが肝心じゃ・・・手痛き目を見せてやらねばの・・・」
「しかし・・・越後国内の国衆も北条に付くもの多き模様。多勢に無勢となりますぞ」
「与六よ・・・越後衆の旗色不確かなこと・・・これを明らかにするのも・・・わが働きよ・・・おそらく・・・最後は坂戸城が砦となろう。そこに敵を入れぬためにも・・・ここで敵と味方をはっきりさせておくのも肝心なことなのじゃ」
与六は主水助の瞳に決死の覚悟を見て口を閉ざした。
与六の配下には真田忍軍から助っ人が送られている。直江お悠の配慮である。与六は配下の樋口衆を荒戸城に残し、真田衆を連れて夜明け前にものみの大嶺に登る。真田衆は二十人ほどの人数であるが・・・それぞれが手練れだった。おのおの十人の下忍を率いる小頭は海野五郎、望月四郎と名乗っている。二人とも与六よりも年上であったが、初音仕込の猿飛の術を使う与六は一目置かれている。
「ほほう・・・さすがは・・・初音様仕込みじゃ・・・」
海野五郎の追従に与六が微笑みを返したとき・・・北条の前衛が姿を見せた。手引きするのは越後衆の長尾景憲である。三国街道を埋めた北条勢はたちまち散開して荒戸城に攻め寄せる。さらに、味方城である後方の樺沢城から出陣した河田重親の軍勢が後方から荒戸城を攻め始めた。
予測されたことであったが・・・与六は越後勢の分裂に臍を噛む思いを生じる。前後から敵を受け、荒戸城は正午前に落城した。
「叔父上・・・」と与六は胸に主水助の成仏を祈りつつ・・・後方に下がる。すでに風魔の気配が感じられた。獣が通る忍び道をたどりながら、樺沢城を目指す与六は展開されつつある風魔の結界包囲の陣を抜けつつ、何度か相衆ラッパとの闘争を行った。
樺沢城ではもう一度、荒戸城の惨劇が繰り広げられるだろう・・・と与六は予測した。そして・・・最終防衛ラインである坂戸城が戦の要となるはずである。
「叔父上・・・北条勢に手痛き目を見せてやりますぞ・・・」
与六は主水助と命の炎を燃焼させたであろう配下の下忍たちの顔ぶれを思い描きながら闘志が沸き立つのを感じた。
前方に生じた敵影を初音譲りの忍者刀によって一撃で撃破しながら血煙を残し、与六は疾った。樺沢城に残留している味方の退陣を手伝うためである。
御館の乱は春日山城周辺の上越地方から、上野国・越後国国境へと舞台を移していた。
関連するキッドのブログ『第13話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』(フジテレビ)・・・加護亜依も出るよ。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
| 固定リンク
« 飛翔体と落下物と誤探知は見抜けません(藤木直人)イケ麺そば屋探偵と馬とお稲荷さん(武藤彩未) | トップページ | 人生に正解は無数にあるが不正解はそれを上回る(阿部寛)心の涙かよ(山下智久)涙は心の汗だでしょ(長澤まさみ) »
コメント
ただただ、唖然の一言ですねぇ。
毎度毎度の義の安売り押し売りのオンパレード
たまらんですねぇ。
個人的にはこの辺の展開は景勝への忠義をメインで進んで欲しかったですね。
若さも相まって忠義のために突き進んでいくものの
勝利の果てにあったのは論功行賞によって
仲間内で再び血が流れるという状況に
愕然とした中で後の兼続像が形成されていくような
感じがしっくりくるんですけどねぇ。
それはそれとして仙桃院にも呆れましたが
惣右衛門には完全にヤラれました。
この感じでいくと
上杉憲政は最後まで登場せずに乱が
終結しそうな予感がします(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: ikasama4 | 2009年4月 6日 (月) 21時16分
キッドさん、こんばんは。
>仁義なき天地人・黄金沙汰篇(妻夫木聡)屋根の上の大風呂敷(長澤まさみ)政略結婚物語(比嘉愛未)
毎度毎度ナイスタイトルですね~!?
今回は特に五臓六腑に染み渡りました。
このタイトルだけで今回のドラマの内容が
ツブサニ伝わってきますよ。
>「天地人」↗19.8%・・・しぶといわっ。
確かに確かに!あれでこれだけ取れるなんて
全国ネットは強いですね~(><)
>今回は「ふつうです」かな・・・もうツッコミ中枢マヒしているのかも・・・。
本当に見ていて「もういいかな・・・」
という気分になるだけで
怒るのもバカらしいかな~というレベルになりますよね。
しかし仙桃院の口の軽さには
流石にショックを受けましたが。
投稿: なおみ | 2009年4月 6日 (月) 23時09分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ふふふ、なんと申しますか・・・今回は
あきらめに似た境地で見ていたので
まあまあ・・・かなと思ってしまいましたよ。
基本的におざなりでなおざりなんですよね。
たとえば・・・お船と与六の交際ごとを
どうしても描きたいというならば
それでもいい。
きっとみんながそう思っていると考えるのですが
今回で言えば
実母の諫止をふりきって
お船が与六に逢いにいく。
その理由が「上杉家存亡の危機」だから。
なるほど・・・と思うのですが
与六と会ったお船が
何を言うかといえば・・・「がんばって」ですから。
ああ、そうですか。
と頷くしかないわけです。
もう・・・ドラマとして盛り上げる気持ちが
そよとも動いていないとしか思えません。
脚本家のこだわりの部分がコレですからね。
当然のようにあえて敵陣突破する意味もわかりませんし。
変装して検問というのは古典的な場面作りですが・・・
全く工夫なし・・・って。
勧進帳のレベルでもないですし。
画伯のおっしゃる通り
主役としての兼続の成長というか
心の振幅を見せるのなら
景勝が主君の座につくまでのかけひき(攻め)と
その後のなりゆき(守り)の
変化を見せるだけでも
ぐっと引き締まるでしょうにね。
なんとなくお手柄で
気の向くままに大成功になってます。
そもそも偽の遺言という設定そのものが
とってつけた話ですからね。
景勝サイドでは真と言うしかないし
景虎サイドでは偽と言うしかない。
そもそも遺言の真偽で葛藤すること自体が
なんのリアリティーがないわけです。
もう・・・センスが悪いとしか
言いようのない作劇術でございます。
まず、綺麗事があって・・・そこにウソを重ねるので
何がなんだか分らない話になってます。
たとえば・・・景勝は跡目を継ぎたかった。
景虎も跡目を継ぎたかった。
ここが出発点で・・・。
しかし・・・景勝は華姫の心情を思うと心が揺れる。
景虎も華姫の心情を思うと心が揺れる。
華姫は母を思い、兄を慕うけれど最後は夫に殉じる。
そこが美しいところだというのが素直な流れでございましょう。
そういう流れがまったく作れていないのですよね。
ドラマですから省略は当然あるべきですが
上杉憲政や北条氏政が
まったく登場しないで
延々と御館の乱を描くのは
相当に無理があると思いますです。
あげくの果てが
結局は父の手の上で踊らされる兼続になってます。
なんじゃ・・・こりゃですよね。
まあ・・・兼続の父というよりは
竹中秀吉の弟秀長のように見える配役なんですけど。
華姫の出産シーンを作り・・・
華姫、道満丸、景虎の憩いのシーンを
積み重ねるとか
するだけで来週はぐっと盛り上がるはずなのに
ありえない兵糧不足やら
ありえない敵中突破やら
ありえない密会とか
時間をどれだけ無駄に使ったら気がすむのか・・・
そんな大河ドラマにトホホでございます。
投稿: キッド | 2009年4月 8日 (水) 00時22分
♬バンビダンシング♬なおみ様、いらっしゃいませ♬ヤッサイモッサイ♬
タイトルをお褒めいただきありがうございます。
御館の乱は四回くらいかな・・・
と思っていたので仁義なき戦いのパロディーで
行こうと思っていたのに
長々と続くのでどんどん変な感じになっております。
仁義なき戦い(1973年)
仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年)
仁義なき戦い 代理戦争(1973年)
仁義なき戦い 頂上作戦(1974年)
仁義なき戦い 完結篇(1974年)
という感じで・・・完結篇は誤解を招くので
最後は「仁義なき天地人 越後死闘篇」
にしようと思っているのですが
なかなか・・・使えない。
来週・・・本当に決着ついて欲しいと祈る日々です。
仁義というのは仁愛と義理の合成というニュアンスですが
今回の大河ドラマは仁愛に満ち溢れているという
口上だけがあって
仁も愛もまったく胸にせまってこないですよね。
古い歌で恐縮ですが・・・
義理と人情 秤にかけりゃ
義理が重たい男の世界
というのが無理なら
人情が重たい女の世界でも
かまわないのでございます。
それすら・・・ないんだもんなーっ。
なのでございます。
仙桃院は息子かわいさで馬鹿だった・・・
でいいのになんだか
娘の婿に懸想しているような
展開になってますし・・・。
なんじゃ・・・こりゃ・・・です。
一言で言うと・・・この脚本・・・気持ち悪いです。
来週はせめて
母や兄との血のつながりよりも
夫との体のつながりをとった
相武華姫の
愛の散華を美しく見せてもらいたい・・・
祈るような気持ちのキッドでございまする。
投稿: キッド | 2009年4月 8日 (水) 00時49分