食中毒のお見舞いには何がいい?(松本潤)・・・スマイル?・・・(新垣結衣)
「アイシテル」の挿入歌で歌声を・・・「スマイル」で表情を・・・サービスしている新垣結衣なのだが・・・それ以外の部分では思わせぶりの作劇だけがちょっと困った感じになっているドラマである。
「あのとき・・・ああしなければよかった」とか・・・「世の中にはどうしようもないことがある」とか・・・愚痴ばかり語り続けるドラマって・・・フラストレーションたまるよね。
なんとなく、「これだけの不幸を用意しましたから甘んじて不幸を受け入れなさい」という神の声を感じる。
まあ、そういうこの世の不条理性を追求していくのも一つの手ではある。
「歌姫」では記憶喪失者の二つの愛(記憶)による三角関係という古典を・・・延々と連続ドラマ化して失笑だったこの脚本家は・・・今度は二つの祖国を持つもののデラシネの愛を主題にしているらしいのだが・・・はやくもウンザリしてきました。
で、『スマイル・第3回』(TBSテレビ090501PM10~)脚本・宅間孝行、演出・石井康晴を見た。昔・・・ブタの王国に一匹の美しいブタ姫がいました。しかし、美しさをねたまれたブタ姫は仲間はずれにされ・・・一人で泣いていました。そこへ通りかかった旅のビト(松本)は泣いているブタ姫に優しく笑いかけてくれたのです。ブタ姫は一目で旅人に恋をしてしまったのです。そこでブタ姫は魔法使いのブタに尋ねました。「私、ガッキーみたいな美少女になって・・・あの人に恩返ししたいの・・・」すると魔法使いは「人間には変身できるけど言葉はしゃべれないよ・・・ブタだもの」・・・もちろん・・・ブタ姫はあの人に会えるなら「言葉なんかいらない」と思ったのです。
こうして・・・とある町角で・・・ビトと花(新垣)は再会したのです。
まあ・・・「鶴の恩返し」と「人魚姫」のミックスですね。
一方、主人公はネグレクトされた混血児・・・日本語しかできないのに日本語もたどたどしいという哀れな存在です。
しかし・・・笑顔だけはとびっきり・・・ブタ姫の花としてはもうそれで充分なのです。
この世界では善人組と悪人組がはっきりと分かれていて、善人組は警察関係者に多く、悪人組は前科者とか執行猶予のついているものが多いという・・・ある意味、逆転した世界。当然、世界はほぼ悪人で構成されています。
「普通ではない人々」にとって「普通であること」は即ち「悪」だからです。
ビトはこの世のスケープゴートです。
なにか・・・良からぬことがあると・・・その罪を背負う宿命にあるのです。
不良同士が抗争すればよからぬリーダーはビトということになるし、麻薬がはびこれば運び屋はビト。そして食中毒が発生すれば大量殺戮テロリストとして指名手配なのです。
しかし・・・ブタ姫の花はそんなビトを守ります。「お鶴」や「人魚姫」がその後、どうなったか・・・言うまでもないことですが・・・この脚本家はそんなことでお茶の間が引っ張れると本当に信じているのでしょうか。
とにかく、役者としての小池栄子を高く評価しているのは間違いありません。
キッドもその点は異論がないのですが・・・お茶の間がそれについてくるかどうかはまったく疑問です。テレビ版「嫌われ松子の一生」とか「歌姫」とか・・・前例がありますから。
まあ・・・歌姫とブタ姫は似ているし、豚インフルエンザとのシンクロなんかは見事ですが・・・厄災だよね。それは厄災。弱毒性が強毒性に突然変異したら笑い事じゃすまないけどね。
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関連するキッドのブログ『第2回のレビュー』
で、『コンカツ・リカツ・第5話』(NHK総合090501PM10~)原案・山田昌弘(他)、脚本・仲村みなみ、演出・岡田寧を見た。どちらかといえば、朝のテレビ小説というか、お昼のメロドラマから毒を抜いたような展開のドラマなのだが・・・同じテーマの『婚カツ!』のぬるま湯のような展開や・・・裏番組の『スマイル』のわざとらしさにもほどがある展開よりも・・・淡々と人の心が伝わってくるドラマである。
主人公たちはAround40の世代で・・・どちらかと言えばAround30の「婚カツ!」よりも瀬戸際な感じがまた味わいがある。
もちろん・・・行き遅れたヒロインが七海(桜井幸子)なので・・・もてもての展開もあり・・・それはそれで特別な例でしかないという弱点もあるのだが・・・まあ・・・ドラマだから。
今回は現実を見据えることのできない梨香子(清水美沙)が離婚調停中の夫と愛人の浮気現場を目撃さらに愛人の妊娠を知り・・・ついに目の前が真っ暗になるのである。
その頃・・・梨香子の息子は七海と遊園地に遊びに行き一枚の絵を描く。
そこには現場にいない・・・両親の姿が描かれていて・・・梨香子母子の面倒を見ている七海の母(松坂慶子)は涙なのである。
世の中には「夫婦は他人の始まり」などという言い回しがあるわけだが・・・キッドは「子は鎹(かすがい)」という言い回しにも祈りに似た気持ちを感じるのである。
世の中には子宝に恵まれない夫婦もいるし、パートナーも得られない人がいる。
それなのに・・・パパ・子供・ママと三人で手をつなぎ子供がクルッと一回転できる幸せを噛みしめない人々がいるということである。なんという・・・傲慢さであろうか。なんという果てしないもの欲望であろうか。
まあ、あえて、つながることに幸せを感じないタイプについては論外にしておきます。
直感的に・・・父親と子供は血縁で、母親と子供は血縁だけれど夫婦は血縁ではないと誰もが思いがちである。
しかし・・・父親と子供が血のつながりを持ち、子供が母親と血のつながりを持つ以上、父親と母親・・・つまり夫婦は子供を通じて血がつながっているのである。
この論理を多くの人たちは胸に馴染ませるべきだとキッドは考える。
父親が子供と手をつなぎ・・・母親が子供と手をつなぐとき・・・父親と母親はつながっていませんか?
そういう幸せが・・・得られる幸せを夕陽の彼方に感じられる人の幸ということです。
まあ・・・人間って奴は愚かにもその幸せをぶち壊しますけどね。時々。
建材と建材を接合するための建材・・・鎹・・・を子供に例えるなんて大工さんかっというツッコミはさておき・・・ドラマ「アイシテル~海容~」のバックボーンがここにあると思いました。
で、『芸術劇場・劇場中継・イキウメ短編集』(NHK教育090501PM1030~)作・演出・前川知大を見た。多くの知人・友人から観劇の招待が舞い込む・・・かってはスケジュールをひねり出すのに苦労しつつ、劇場に足を運んだのだが・・・最近はいつでもいけるのにいかない。もちろん・・・億劫だからである。心は不義理の抑圧で不安になるのだがそれよりもものぐさ根性が勝利するのである。
「書を捨てよ町へ出よう」という寺山修司の呪文はもう効かないのである。
しかし・・・芸術劇場は時の流れを越えて存在するのであった。それはつかこうへいの「オヤジ金玉痛快丸かじり」を耳にした時以来・・・とにかくのぞきたくなる番組である。
残念なのは公演をリクエストできないことである。だから・・・好みの舞台にめぐりあうまで辛抱しなければならない。
チラッと見て・・・気に入らなければゲームでもすればいい。すると半年に一度くらい・・・最後まで席を立てないものと遭遇する。
イキウメは前川知大の主催する劇団である。前川は第53回岸田戯曲賞の候補になっている。惜しくも受賞は逃している。候補作は『表と裏と、その向こう』だった。
今回のオンエアは「NHKシアターコレクション'09イキウメ短編集」と題された作品でNHKふれあいホールで2009年1月に上演された。
基本的に「不思議な味わい」のショート・コントの連作と言えるだろう。
筋立てそのものがアイディアに満ちているので詳細を書くのは憚れるのだが・・・たとえば「飛び降り自殺しようとする女と二人の男」というありふれた題材をとりあげても・・・二人の男が人間ではないことから始まり・・・天使とも悪魔とも思える二人と自殺志願者のやりとりがオチまで飽きることなく展開されていく。最後は女が殺していた男が復活し、女は消息不明というシュールな展開だが妙な説得力があるのである。
さらには「輪廻転生を検証する機械を発明したホームレス」が弥勒菩薩に会いに行ったりするのである。ちょっと楽しくなってくるのだな。
もうひとつ印象に残ったのは「隕石を拾うことを趣味とするニートと地球侵略の行方」というコントである。
四国の山の中に落下した隕石。その隕石を拾った若者。しかし、その隕石を目にすると人間は我を忘れ幸福感にひたり死ぬまで動けなくなるのだ。
他人に視線をはずしてもらうとなんとか誘惑から逃れることができるのだが・・・つい見てしまうのであった。
やがて・・・すべての人々が隕石を見てしまう計画という恐るべき侵略の手口が明らかになっていくのである。
それが主人公とその姉、そして主人公の年上な友人というほぼ三人の会話で明らかになっていく。絶妙である。
侵略ネタコレクターとしてはコレクションに加えておきたい一品でございました。
まあ・・・芝居とドラマは似て非なるものなのだな。そのあたりのことを「スマイル」のスタッフたちはもう少し研究してもらいたいよ。
日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『ぼくの妹』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさま、こんにちは。
いや~エゲツナイ展開が続きますね~。
見ている側の人間性まで問われるようです(笑)
>ブタ姫は一目で旅人に恋をしてしまったのです。
ああ・・・ナルホド!それなら合点がいきますね。
(てっきり2話の回想でランドセルとってあげた
小学生かと思ってましたが)
それで喋れないんだ・・・吉沢くんは魔法使いなのね?
そして「豚インフルエンザ」を撒いたかどで
ビトは極刑になり、一馬が控訴し続けて「東京拘置所」にいる・・・と?
投稿: なおみ | 2009年5月 2日 (土) 10時54分
♬バンビダンシング♬なおみ様、いらっしゃいませ♬ヤッサイモッサイ♬
この脚本家は俳優でもあるので
結構作品世界のイメージが作者のイメージと
重なってしまうという弱点が
ありまする。
現在朝の「つばさ」に出演中ですが
一言で言って・・・
うさんくさい
これにつきるキャラクター。
だからどうしてもドラマもうさんくさいんですよね。
松潤はこれまでにも
様々なキャラを演じているわけですが
この役ってダメージ大きくないか・・・
とちょっとヒヤヒヤしています。
ランドセルとってあげた小学生は
もう人間になったブタ姫だったのです。
まあ・・・予想されるのは
ブタ姫はビトを助けるために
事件に巻き込まれて死亡。
そして犯人としてビトがでっちあげられている
というのが予想されます。
まあ・・・真犯人が他にいるのに
ヘラヘラ笑ってたら
限度を越えてうさんくさいので
それはないと思いますけれどもーっ。
とにかく・・・困ったドラマでございますなーっ。
やはり歌姫の失敗に懲りない人々が
意地になってるとしか
思えないのですぞ。
投稿: キッド | 2009年5月 3日 (日) 02時57分
キッドさんお久しぶりです。
いつ何のドラマでコメントしたか忘れてしまいましたが。汗
なんだかちっとも話にのめりこめません。
そして誰にも感情移入できないし共感できない感じです。
主人公にいたってはハーフ云々というより
軽率な行動で自ら災いを呼びこんでるように見えますし
唯一の光がガッキーの可愛い仕草と表情ですが
それもあのストーリー展開の中で繰り広げられると
あいたたたな行動で頭の弱い子のようにしか見えない始末。
脚本家は冒頭から察するにオチを先に考えたのでしょうが
そこに向かう為に無理矢理展開し過ぎですね。
子供向け漫画じゃあるまいし善悪をはっきり分けるのではなく
善の中の悪、悪の中の善を描いてこそ人間は描けると思うのですが。
そして痩せ過ぎで台詞回しが危ういいしだあゆみが心配です・・・。
松潤には社会派?やヒューマンラブストーリーより
夢のある世界やファンタジーを具現化して夢を見させてほしいです。
リアリティのあるドラマが似合う同じ嵐の二宮君とは真逆の存在ですね。
投稿: みやぶ | 2009年5月 3日 (日) 13時45分
松潤はハデ✰~みやぶ様、いらっしゃいませ~✰二宮はジミ
みやぶ様での投稿は記録にないですね。
ひょっとしたら違うハンドルネームだったのでは?
もしくはホームページへの投稿だと
記録がないんです・・・すみません。
ドラマのストーリーは
相変わらず脚本家の構成病が
過ぎているんてすよね。
これが舞台なら
客はその日に一部始終を観ることが
できるので
ややこしい構成・・・
未来になったり過去になったり現在に戻ったり
そこで伏線をしかれても
なんとか理解できるのですが
謎を残したまま
連続ドラマでこれをやられると
最終回まで一度も面白いと
思うことができなくなるわけです。
その間はよほどサイドストーリーが面白くないと
持ちません。
そしてこの作家はサイドストーリー作りが
あまり得意でないのです。
それなのに・・・なぜ?
と思うのですが
これがこの作家のうさんくささを助長します。
「花より男子」が大成功なのは
基本・・・オリジナルじゃないからです。
ま、というわけで
役者のファンの皆様は
このうざったい仕掛けに
我慢して付き合わないといけないのです。
もう、各自妄想で
自分好みの物語を構築しないと間が持たないでしょう。
キッドはピンクのブタさんが
大好きな花なので
前世はブタ姫だったに違いないと
思うことにしています。
花が懸命にジェスチャーをしているとき
キッドにはガッキーの声で
ブヒブヒというのが空耳で聞こえるのです。
それはとてもキュートなのでございます。
まあ、悪の中の善とか
善の中の悪とか
そういう感覚をこの作家に求めるのは難しいのでは?
おそらく浮気の中の本気とか、本気の中の浮気とかが
得意の人なのではないかと思うので。
みやぶ様、また、遊びにいらっしゃってくださいね。
投稿: キッド | 2009年5月 4日 (月) 01時26分