絶対絶命の天地人(妻夫木聡)魚津城血に染めて(長澤まさみ)策士叱られる(小栗旬)
・・・というわけで「ぼくの妹」は月曜日にレビューする予定。どういうわけかは聞かないでください。
フジテレビ深夜では愛が芽生えたようなのだがAround40の年下の彼氏婚、しかもスタッフ×キャストである。花嫁さんものすごく美女ですけどね。そんなところでリアル婚カツかっ!・・・まあ、おめでとうございます。
さて・・・怒涛のごとく押し寄せる織田軍のものすごさは描かないが、景勝と兼続とお船のちょっとした恋のもやもやは描く・・・もう・・・この趣味の悪さは脱帽でございます。(賞賛しています)
で、『天地人・第18回』(NHK総合090503PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。あわせて魚津城攻防戦の秘密も充実しておられます。おおーっ・・・久しぶりに名場面ピックアップありですね。まあ、ここはスタッフの力量と言うよりは魚津城防衛武将たちのもののふ魂に敬意を表してなのでございましょうか。「信長の野望 烈風伝」魚津城攻め直前マップ付です。箱庭作りが楽しゅうございましたね。戦力差逆転の戦術として、主城を空にして敵将を釣りだし直撃という作戦は・・・要するに「桶狭間の合戦」ですが・・・すごく投機的な作戦です。もちろん、上杉謙信は実はこれが得意。しかし・・・信玄はほとんどその誘いに乗らなかったのは風林火山の如し。信長にいたってはそんな前線まで来ないというこの作戦を封じる手をもう獲得しています。「城を出て・・・敵を誘う」も何も・・・すでに圧倒的な大軍がひたひたと押し寄せてくるのに・・・この直江兼続は何を言ってるんだと唖然でございましたよ。まあ・・・なんか言わないと軍師っぽくないから・・・でございますよね。まあ・・・為す術がない場面の描き方としてはまあまあだったとキッドも考えます。どこが運命の三ヶ月なのか・・・全くわかりませんでしたけど~。
で、天正十年(1582年)三月中旬。天目山で武田勝頼が自害して果てた頃・・・時を同じくして織田勢による越中魚津城攻めが始まった。武田攻めと機をあわせて開始された織田軍の越中攻略戦も最後の仕上げに入っている。上杉方の武将たちは新領土となった越中に固執し、果敢な抵抗を試みたが圧倒的な戦力差に押され越中の諸城は次々と降伏していった。能登・加賀・越中の国境に近い木舟城では吉江宗信が敵中に孤立したりしている。意地汚く領土に固執したために引き際を失ったのである。吉江を救出するために越中の上杉勢は少ない兵をさらに減じてしまう始末だった。北国方面司令官・柴田勝家は上杉勢の退路を作り、敵を魚津城に追い込んだ上で・・・秀吉が得意とする包囲攻城戦を仕掛けたのである。勝家の与力武将である能登目付け・前田利家の提案によるものだった。前田利家は放浪時代に秀吉とパイプを作っている。その伝で秀吉の作戦を研究し、実戦にむけて北国攻略を立案したのである。
柴田勝家は内心に不安を抱えていた。昨年、織田家宿老の一人、林美作守が追放の憂き目にあっている。その罪状は信長家督相続の際に「信長弟・信行を支持したこと」である。勝家はその一味であった。本願寺降伏後、やはり追放された宿老・佐久間信盛の罪状は「手柄がないこと」だった。その時、勝家は反証として「越前一国を治め、さらに加賀一国を得たこと」を「手柄」として信長に褒められている。しかし、能登・越中攻めに手こずり、武田殲滅を為した滝川一益に遅れをとったことは否めない。信長がそれを「手柄」とし・・・勝家を「手柄なきもの」と感じる恐れは充分にあった。そうなれば「手柄なきもの」で「信行支持」という二つの罪が勝家の肩にのしかかるのである。
勝家はぬかりなく・・・越中を攻略し・・・越後入りを間に合わせねばならない。
勝家は必死だった。すでに加賀には与力武将として佐久間盛政が配置されている。盛政は血縁であるが勝家の与力(客将)であり、同時に目付け(監視役)なのである。能登の前田利家も、越中の先陣となっている佐々成政も与力であり目付けなのだ。勝家は能登の国人である長連龍、越中の国人である神保長住を調略の頭としつつ、確実で迅速な侵略をなし遂げなければならない。
そのために加賀大聖寺の兵器蔵では軍門に降った門徒学僧を動員して新兵器の大筒の開発を行っている。同時に越中の各所に篭る上杉勢は叛徒となった門徒衆ともども丹念に殲滅していくのである。
そして・・・ようやく・・・勝家本軍と佐久間・前田・佐々の与力衆による魚津城攻めが始まった頃・・・主将・織田信忠を補佐する軍監・滝川一益は武田を滅ぼしていたのだ。
勝家の心にあせりが生ずる・・・「遅れた・・・」という思いである。しかし・・・「急いてはことを仕損じる」という言葉を勝家は心に念じた。鼠を檻に追い込んだ以上・・・仕上げは確実にしなければならない。「窮鼠猫を噛む」の愚は犯してはならないのだ。
「そして・・・」と勝家は歴戦の将として欲も出す。「上杉景勝を釣りだすことが出来れば・・・越後攻めの一番手柄を得ることもある」・・・勝家は不安を打ち消し、最も理想の形を心に生じせしめようとした。
四月、上杉勢の中から能登の国人衆である長景連が能登に海路攻め入る。勝家はすでにそれを予見していた前田利家を褒めつつ、能登留守居の長連龍に撃退を命ずる。越中はほぼ制圧し・・・上杉勢は魚津城とその支城である松倉城に篭城するばかりである。勝家は包囲による兵糧攻めをしつつ・・・景勝が援軍に出れば討ち取る手筈を整えていた。
その頃、旧・武田領では信長の仕置きによる配置が終っていた。信濃は信長の腹心であり、対浅井・朝倉戦で討ち死にした森可成の惣領・森長可に与えた。森一族は無論、忍者である。甲斐は信秀以来の普代衆・河尻秀隆に与え、そして最前線である上野を甲賀忍者を父に持ち、伊勢志摩・海賊を母に持つ成り上りの忍者・滝川一益に与える。信長は左右対称性を好む癖がある。西に秀吉、東に一益という成り上り者の両翼配置に・・・ご満悦だった。
一益はそういう信長の奇癖をうっそりと思い出しながら・・・居城とする上野厩橋城で対面する沼田城主・真田昌幸の到着を待っていた。やがて・・・小姓が真田の到着を知らせる。一益は対面の場を利根川を見下ろす庭にある庵と決めた。
一益はすでに57才である。昌幸は未だ35才であった。
一益は庵で主人として昌幸を茶でもてなすと決めた。
昌幸は恐れることもなく・・・供を置いて庵に入った。
一益は秘蔵の茶道具を昌幸に馳走する。
武田信玄の配下の中で信長が名指しで一益の与力とした昌幸である。一益はそこに幾分かの秘事を感じている。
その気配を察したように・・・昌幸が言葉を発した。
「此度・・・沼田の城を安堵くだされ・・・織田右大臣様の温情ありがたきことでございます・・・。また・・・滝川左近殿の与力仰せ付けられましたこと・・・真田昌幸・・・一命をかけて御仕えする所存でござりまする・・・」
一益は笑みを浮かべた。
「ふふふ・・・そのように堅苦しいことはよかろうず・・・」一益はすでに昌幸の立ち振る舞いから並々ならぬ力量を感じ取っていた。察相は一益の得意とするところである。「噂によると昌幸殿はたいそう美しい小鬼を飼っておられるとか・・・」
「これはしたり・・・信濃は山深き土地なれど・・・さすがに鬼を見たことはございませぬ・・・ましてそれを飼うなど・・・御戯れを・・・」昌幸は顔色を変えず応じる。
「そうか・・・かって飛び加藤と申す名人が・・・信玄・謙信両君を影殺しにかけ・・・その身ほろぶ前に育てた小鬼と聞き及ぶぞ・・・」一益は笑顔を絶やさず水をむける。
「そのような恐ろしき・・・小鬼あれば・・・なんで主君をむざと討たせましょうか・・・」
昌幸は淡々と応じるばかりである。一益はようやく遊びを終えた童のような顔を作った。
「さても・・・盛者必衰はこの世の習い・・・一族の長ともなれば・・・主換えも義なることであろうず。古より名のある滋野忍び、真田党の力・・・この一益、頼りにさせていただこう・・・沼田領主・・・真田源五郎昌幸殿・・・越後・荒戸城攻めの先陣申しつける・・・これより城に戻り戦仕度なされませい・・・」
真田昌幸は平伏した。昌幸は入室して以来一度も隙を見せぬ、一益の忍者ぶりに舌を巻いていた。その威は亡き信玄にも劣らぬものだった。
(このお方を手足のごとく使う信長とは・・・おそろしきものはまだ世にあるものよな)
昌幸と従者は城内で一晩のもてなしを受け・・・翌日・・・陣ぶれを待つ居城に戻っていった。信濃・上野の真田忍びの総力を結集し・・・越後攻めにあたる覚悟はすでにできていた。そのためのものみ(偵察)の忍びがすでに越後領内に入っている。時を待たずして上野国主・滝川一益の先鋒として与力筆頭・真田昌幸は対上杉戦に突入するのである。
五月・・・すでに東海の富士見物を終えた信長は安土に戻り・・・それを追う様に駿河一国拝領を礼するために家康も安土へ向かう。
そして・・・琵琶湖の畔では明智光秀が五月雨の落ちる音に耳を傾けていた。
関連するキッドのブログ『第17話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『アタシんちの男子』『白い春』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
魚津城・織田編、面白いですねぇ ̄▽ ̄
佐久間、林が追放され次は自分ではないかと
恐れる柴田の内情、なかなかのものでございます。
何にしても織田家では功績をあげる事が全てという事なんでしょうね。
一方でリストラされた佐久間や林の領土のその後とかが
個人的に気になるとこですかね ̄▽ ̄
でもって、此度の兼続の策ですが
生兵法は怪我のモトってやつですかね。
この頃の信長の戦い方というのは
圧倒的物資と兵力を背景に守りながら攻め
そして、凄惨な城攻めを見せ付ける事で
敵方を内部から崩壊させていく手法ですからね。
そういう点では後一歩だったんでしょうねぇ。
ちなみにこういうのを見ると
頭でっかちで融通がきかないとことか
慶長の役で武功派と激突した石田三成と
仲良くなったというのも分かるような気がします。
個人的にこの頃の秀吉の「軍師」というか
補佐役としては黒田官兵衛か羽柴秀長であって
それほど三成を持ち上げるのはいかがなものかと
思ったりするんですけどね。
滝川一益と真田昌幸との絡み
なかなかに楽しい限りでございます。
滝川一益が出れば前田利益も出番がそろそろでしょうか ̄▽ ̄
ドラマに関しては正直なところ
兼続が登場するだけで気分が萎えています(; ̄∀ ̄)ゞ
彼の主張を聞くと、ガックリする事が多々多々(; ̄∀ ̄)ゞ
主人公なのにこの感じはドラマとしては完全に致命的(; ̄∀ ̄)ゞ
トドメがお船でございますからね。
最近は40分強のドラマで
悪いとこがあまりにも多いので
いいとこをどうにか探すとこで
テンションを保っている今日この頃です(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: ikasama4 | 2009年5月 5日 (火) 02時07分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
まあ・・・ドラマには
ドラマの狙いがあるのでしょうが
織田と上杉の両面を描くといっても
現場で戦っている柴田勝家を飛び越えて
すでに気分は中国地方、四国地方の処理という
信長様にふられてもね~なんですよね。
ましてや・・・
援軍に向かうしかなく
撤退するしかなかった
景勝軍の進退を
凄い名案のように言われても
どうしていいか困るわけです。
もうテレビの前でモジモジです。
基本的に斬られるところはみせない
死ぬところはみせない
という方針が感じられ
斬られた場合は末期なし。
末期ありの場合は斬られる場面なし。
というものすごく婉曲な殺人表現の連続です。
じゃあ・・・戦国大河なんか
やめればぁぁぁぁでございます。
元禄ものでもやってればいいのに。
まあ・・・これでは
殺すか殺されるかの
戦国時代の人間関係なんて
金輪際伝えることはできません。
なぜ、織田軍ががむしゃらなのか
なぜ、明智光秀が謀反するのか
根本的に理解不能ですものね。
基本的に考えて、上杉軍は最大8000
織田軍は柴田勝家軍30000
森長可軍10000
滝川一益10000
という動員兵力。
これが越後に入った場合は
すでに叛旗を翻した新発田家同様に
降伏する越後武将続発間違いなしなのです。
まあ・・・この後起こる出来事は
「ラッキー」以外のなにものでもないと察します。
ただ運がよかっただけの男を
辣腕風に描いているところが
もう・・・たまらんのでございますよね。
この後は織田家内乱の後の殿下統一。
朝鮮半島侵略の間のつかの間の和。
そして権力構造の軋轢による駆け引き。
これにもまれてそこそこ智将に成長するだけの人物です。
新しい税金を次々に思いつくことで秀吉に買われた
石田三成とは・・・まあ・・・ちょうどいいコンビだった。
ということでしょう。
石田三成には根強いファンがいて
当然、相方の直江兼続も応援する。
直江兼続ファンも石田三成を応援する。
そうして作られた石田・直江かっこいい説。
こんな小物にロマンを感じるのは
きっと男のロマンじゃないと・・・
キッドは思う・・・今日この頃です。
女性の皆様には内緒でございます。
前田利益はすでに存在自体が妄想的で
ございますからね・・・。
扱いが難しいのですな。
まあ・・・兼続の与力になって
実在する以外には
何やってんだかわからない者なので
そこそこ活躍はさせる予定です。
義父前田・実父滝川と忍者としては
サラブレッドですが
母のくのいちの正体が謎に包まれていますからね。
実の父とも祖父とも伯父とも言われる滝川益氏そのものが
神秘です。
まあ・・・とにかく・・・前田利家の利と
滝川一益の益をあわせもつ男は
怪しくないわけないですからなー。
まあ・・・妄想・初音と同様のおいたちを
甲賀の里で送っていたと考えるのが
常道だと思います。
まあ・・・とにかく・・・いつか
ちょっとは面白くなることを信じて
手に手を携えて・・・乱世を乗り切りたいものです。
本能寺の変・・・ドキドキ(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: キッド | 2009年5月 5日 (火) 09時46分