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2009年5月23日 (土)

胸元に手の甲始めました(新垣結衣)私には夢がある(大野未来)パラパラ童歌(香椎由宇)

「湯けむりスナイパー」のアイドル仲居・由美ちゃん(大野)は16才。一家心中の生き残りである。死んだ父親は食品会社を経営し、外国産の食材中毒事件を起こし妻と子とともに青酸カリ自殺をはかるが中学生だった由美ちゃんだけが命をとりとめ、不憫に思った温泉旅館・椿屋の女将(伊藤裕子)が引き取ったのであった。

おちょくってんのかと思うほどのかぶり方である。

「スマイル」の町村フーズの社長(前田吟)は大手食品会社の毒物混入食材流通事件にあおられ、経営危機となり1億円の保険金目当てで自殺なのである。残された娘(小池栄子)なのであまり不憫ではないのである。

一方、殺人がエンターティメントの素材でしかない本格推理の世界では10人を越える大量の死体を生産し、ヒロイン(香椎)はパラパラを踊りきって勝利のスマイルである。

様々なドラマは通り過ぎていく。そこに学ぶべきものがあろうと、感じるものがあろうと、それは人それぞれである。しかし・・・すべての情報にあなたの心は影響されずにはいられない。それはウィルスのようなものだから。あなたの心も、そしてありとあらゆる情報も。

で、『湯けむりスナイパー・第7回』(テレビ東京090523AM0012~)原作・ひじかた憂峰、脚本・監督・大根仁を見た。原作は殺し屋を自主廃業し、血塗られた過去を封印して温泉旅館の従業員として働く源さん(遠藤憲一)のとりとめない日常を描く物語なのであるが・・・今回はドラマとしては最終的にはどこかの終着点に向かっていることを匂わす特殊な回となっている。

元殺し屋が人並みに生きていくというコミックならではの超倫理観は深夜とは言えドラマではお茶の間に差し障りがあるのである。源さんにもなんらかの社会的制裁がなければならないと考えるのはテレビのスタッフとしては常識の範囲内だろう。

そのために・・・捨て去ったはずの闇社会が・・・源さんに追いすがってくるのは常道の展開だ。原作の「暗闇のサザエさん」的世界観に楔を打ち込むのである。

前半では「秘湯の温泉旅館」にひっそりと咲く由美ちゃんの過去が語られる。

源さんが上半身裸で浴場の清掃をしていると由美ちゃんがやってきて、源さんの背中の刀傷を見てハッと息を飲む。

源さんはその気配に気がつきたじろぐのであるが、由美ちゃんは素知らぬ顔で「ごめんなさい」と言うのである。

そこには「裸の背中の傷跡を見てしまって」なのか「お仕事の邪魔をして」なのか微妙なニュアンスがあり・・・源さんとしては由美ちゃんに「優しさ」を感じる態である。

ただでさえ背中の傷には象徴として複雑なニュアンスがある。一つには傷を負わされたという弱者のニュアンスをベースとして・・・それが敵に背を向けた傷であることから卑怯者のそしりが加わるのである。背中の傷は臆病傷とも言われる所以である。また、逆に背後から不意を襲われた不心得という一面を持っている。つまり、表面上では卑怯であるのは相手であって負傷者ではないという観測がありつつ、やはりそういう隙を見せた本人に責任があるという結論になるのである。その考え方の根本には限りなく個人に優しくない世界の掟が介在しているのである。多勢に無勢の修羅場で負った背中の傷もこれに順ずる恐ろしさなのである。

つまり、武士としての不覚悟である。まあ・・・源さんは武士じゃないけどな。

とにかく、いつも明るく振舞いいつか都会に出て芸能人になりたいと夢見る由美ちゃんを源さんは天使のように思うのである。

しかし・・・そんな源さんに番頭の捨吉(でんでん)は「それはうわべだけのことさ」と由美ちゃんの過去を言って聞かせるのだった。

由美ちゃんは一家心中の死に損ないであり、口から泡を吹いたけれど地獄の淵から蘇った冥い過去を持っていたのである。

源さんはそんな由美ちゃんを気持ちも新たに「年下の先輩なんだ・・・」と尊敬するのだった。

そして、後半、テレビ東京の深夜ならではの予算の範囲内で紅葉も鮮やかな年の瀬を迎える秘境の温泉地。一人の女(星野あかり・・・元ストリッパー「秘書のカガミ」とか「特命係長」とか「妄想姉妹」とかでお馴染み・・・美乳です)が東京から携帯電話を持ってやってくる。

携帯電話に連絡をしてきたのはアジア系のマフィアの顔役であるQ(長門裕之)だった。

源さんとQは親密な関係にあり・・・源さんが唯一、居場所を教えた闇社会の人間である。そして源さんの貯金を委託している相手らしい。表向きの職業は歌舞伎町周辺の屋台のおでん屋だが、具は近所のコンビニおでんで調達するお茶目さんである。

そんなQは謎の組織の男(志賀廣太郎)から「消えたスナイパーの行方」を問われ・・・忠告のための連絡をよこしたのだった。しかし・・・源さんの声に・・・なんらかの変化を感じたQは忠告することに無粋さを感じ・・・言葉を収めたのだった。

このまま・・・永遠の時を刻む物語なのか・・・それとも強烈な幕引きがやってくるのか・・・どちらにもとれる上手い展開である。

まあ、それも思わせぶりといえば思わせぶりなのだが・・・湯けむりの里の鄙びたスナック花子での新年会気分に浸れればそういう憂さも晴れるのである。

だって、いいね、いいね、いいね、あなたが私のドレミファソなのである。気まぐれなキスでいいのである。ドラマ「エコエコアザラク」のブラウン・シュガーのエンディング・テーマなんて誰も知らないぞなのである。

で、『名探偵の掟・第6回』(テレビ朝日090522PM1115~)原作・東野圭吾、脚本・大石哲也、演出・七高剛を見た。本格推理小説のパロディーをドラマ化という・・・かなり難解な設定なのであるが・・・今回は演出がそこそこフレッシュでまあまあ楽しく見ることができた。

相変わらず、説明役の大河原(木村祐一)がつらいといえばつらいのだが・・・贅沢を言ってもキリがないからな。

ひとつだけ具体例をあげておく、このドラマでは大河原は「名探偵のストレートな推理」に対して「暴投気味のボケ推理」をする脇役警部という役どころと・・・そういうお決まりの筋立てをあえてやっているというアピールをする司会進行役という二つの立場を持っている。

その切り替えの演技を本格的に要求するとかなりの難役なのである。

最初の立場では「おとぼけ推理」をしている間抜けさをそれなりに演じなければならず、二番目の立場ではすべてを分っている苦労人の怜悧さをみせなければならない。

で、今回はそれほどでもないれけれど探偵の出番を作るために「まったくお手上げだ~」と棒読みのセリフを言うわけである。基本的に標準語にくらべて関西弁の棒読み表現は難しい。関西弁そのものが標準語に対してわざとらしく棒読みになりにくいからである。

そこでこの複雑なニュアンスのある「まったくお手上げだ~」である。

いつもセリフを棒読みしている演技の素人が・・・そんなニュアンス出せるわけがないのである。

しかし・・・今回は・・・演出がなかなかに計算高く、大河原の演技の出来なさを計算した控え目のアングルを多用していて・・・かなり見やすかったのです。

もちろん・・・キムニイの演技力が少し向上したという考え方もできる。与えられたチャンスなのでしっかり精進してもらいたい。

ゲストは天下一探偵(松田翔太)をタレントとして起用したバラエティー・ショーのディレクター・鴨居(黒川智花)である。もちろん、ヒロインの藤井刑事(香椎由宇)とかぶり、犯人でも被害者でもないが・・・探偵を「へっぽこ」と言い切る毒舌を吐く得意のキャラクターである。藤井刑事もがんばっているが・・・鴨居の存在感・・・圧倒的でした。この演技力を開花させる舞台がないのが歯がゆいほどである。

で、『悪辣なスマイル・第6回』(TBSテレビ090522PM10~)脚本・宅間孝行、演出・石井康晴を見た。ビト(松本潤)を不幸にする事件を中心に考えると、第一の事件・麻薬不法所持冤罪編に続き、第二の事件・幼女毒殺疑惑編の完結である。要するにビトがあらぬ疑いをかけられて右往左往するという話を前・中・後編くらいの3回構成でやっているわけであり、ダラダラグダグダして当然なのである。

今回はビトの土下座で悪い会社の一員が良心に目覚め、ブタ姫・花(新垣)の探索で網にかかったブタ姫仲間の美奈子ブタ(村上知子)が改心するという展開で一件落着である。

ブタ姫でなく、ただのブタだと人間になってもしゃべれるらしい。あるいは言葉は容姿と引き換えに失われるのか。ブタ姫の法則の興味深いところである。

とにかく・・・人間になったブタは結婚詐欺とかにひっかかりやすいらしいのでブタの皆さんは注意してください。

さて・・・スマイルである。スマイルは笑顔であり、時には「愛」や「平和」の象徴としてバッヂになったりするわけだが・・・時には不気味であったりする。たとえば・・・笑いの原点には勝利の笑顔がある。これは肉食動物が獲物を倒し、牙をむき出して獲物の肉を貪り食らうことにルーツがあるのである。

人間ともなるとその複雑な表情からは様々なニュアンスが読み取れるのだが・・・当然・・・スマイルとはそもそも悪辣なものであるという考え方もあるのだな。

そういう意味で悪魔のような人間・林(小栗旬)の悪辣なスマイルこそが・・・このドラマの主眼であると受け取ることもできる。

つまり・・・太宰治の「正義と微笑」のような清々しさは・・・「悪意と哄笑」の禍々しさと表裏一体なのだということである。

まあ・・・花の「遅刻したら怒っちゃうぞ」メールとかは・・・いつもメールなら話が早いよねとかを思わないかぎり・・・かわいくてかわいくて困っちゃうわけである。とにかく口をすぼめておちょくり加減でほーっと感心するような表情は絶品でございますね・・・結局、そこなのか。

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ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

名探偵の掟。
やっと、天下一のたちの苦悩が見えたと感じた回でした。
わらべ唄殺人は全部殺されなければならない。
笑いました。

そうそう。ここに書いておけばあとで意見を聞けるかな~と思って・・
「MR.BRAIN」では、嘘をつくときに右上を見る。
「クイズショウ」では、嘘をつくときに左上を見る。
どっちが正しいんでしょうね。
聞き間違いかしら・・。

投稿: シャブリ | 2009年5月23日 (土) 22時34分

wine▯▯black rabbit▯▯シャブリ&飯綱遣い様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯wine

わらべうた殺人は
一種の予告殺人であり
脅迫の手段がメインですが
そこに便乗殺人を乗せるのも
ある程度は決まり手。

まあ、本格推理パロディーとしては
一応、オチも作れてまあまあの出来でしたね。
今回は踊り続けた香椎もちょっと
かわいさがアピールできましたしね。
これはケイゾク中谷
トリック仲間に準じるプリティーです。

ふふふ、ウソをつくときに視線が
どちらかに流れるのは人それぞれです。

ポリグラフ(ウソ発見器)同様に
そこにはいかなる科学的根拠もありません。

もはやビデオが普及している時代なので
各自が実験できますし。

基本は尋問法のテクニックの一つです。

「お前はウソをついたな・・・
目がおよいでいるぞ・・・」
と尋問者が攻めることで
尋問相手の動揺を誘うのが主眼です。

もっともらしい根拠として
脳の左半球に言語野を持つ人が
統計的に多いという事実が利用されます。

それを出発点として
ウソをつくためには左半球が活発になり
そのために視線が左側に流れるというウソだったり
しかし、人間の抹消神経は
左右逆に脳に投射されるので
視線が右側に流れるというウソになるのです。

こうしたもっともらしいウソで
尋問相手の顔色の変化や挙動の変化を観察し
尋問者がことの真偽を見分けるというトリックです。

だから・・・右も左も
正解ですし・・・基本的にはウソなのでございます。

たとえて言えば
「ウソついたら針千本飲ます」と
同じということです。

映画なので連邦捜査官が
このテクニックで尋問するのですが
だから本当のことだと信じる人は
騙されやすい人と言えるのでございまする。

投稿: キッド | 2009年5月23日 (土) 23時36分

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