ぞうさんぞうさんお鼻が長いのね(川島海荷)そうよ母さんも長いのよ(稲森いずみ)
人間が人間を再生産する。それが親子関係である。
人間から生れてくるのはほとんどの場合、人間である。
もちろん、遺伝子の突然変異で違うものが生れる場合もあるが・・・それはこの際、計算に入れない。
しかし・・・時には人間が鬼を生むかもしれないし、場合によっては天使を生むかもしれない。
もしも・・・鬼を生んでしまっても・・・母親は生れた子を慈しみ、生れた子を母親を慕う。
そうであってほしいものだ。童謡「ぞうさん」にはそういうせつない願いがこめられていると思う。
ちなみに・・・ピンクの象が見えないのにこの世に生を受けるものがいることとは別問題です。
で、『アイシテル~海容~・第9回』(日本テレビ090610PM10~)原作・伊藤実、脚本・吉本昌弘、演出・国本雅広を見た。くりかえしになるがキヨタンを殺害した智也(嘉数一星)は犯罪者にはならない。14歳に満たないので責任能力がないからである。彼は家庭裁判所で「触法少年」として保護処分を下される。そして児童自立支援施設に送致となったのである。
智也の両親であるさつき(稲森)、和彦(山本太郎)にとっては「親失格」の烙印を審判によって決定されたということである。いわば「あなたたちの手には負えない子供なので国が面倒を見ます」と宣告されたわけである。
しかし・・・このケースをドラマで見ているお茶の間は「そんなことを言われてもな・・・」と思うのが普通である。まさに親としては不運としか言えないからだ。
けれど・・・人によっては「人を殺せる子供=怪物」という認識も働くかもしれない。
特にある程度の知的水準に達しなければ「殺意の認識」ができないとすれば・・・「人を殺そうと思う」こと自体が異常に思えるかもしれないし、「殺意の記憶」がある人間でも「それを実行に移すにはある境界線を越える必要がある」と考えるかもしれない。
しかし・・・そういう人間はダイエットしなければならないのに間食してしまう経験がないか、それと殺意と殺人の実行は別のシステムと考えるタイプなのである。
けれど、本質的にはほとんどの人間が殺意を持つことができるし、ほとんどの人間が殺人を実行できる。ようするに機会に恵まれないだけだという考え方もある。
このように・・・「殺意」「殺人」の認識に限ってだけでも認識を共有するのにはかなり複雑な問題がある。
まして・・・子供が子供を殺した事件を描くことは非情にデリケートな問題だ。
たとえば・・・智也は「人を殺したら死刑になるから自分は死刑になる」と認識していた。
明らかに誤解であるが・・・子供に「人を殺したら死刑になるよ」とウソをついている親はかなりの量になるはずである。
もちろん・・・本当にそういう間違った認識を持っている親もあるだろうが・・・多くは「人殺しは死刑になるほど悪いことだ」と子供に伝えるためにそう言う親なのであろう。
しかし・・・現在ではそういう間違った知識でそういう恐怖を与えることは児童虐待になりかねない。
ドラマの中では智也は「死を覚悟」することによってある意味、心が麻痺してしまった風に描かれる。
第三者を代表する調査官の富田(田中美佐子)はそのことを察知し・・・とまどいを感じるのである。被害者が発生し加害者が存在するのに犯罪そのものがない少年事件の困難さがここにある。
しかし・・・世間というものはそういう微妙な立場の加害者の親たちを容赦なく疎外する。少年事件の認識に立てばそれは無思慮の行為であるが・・・ドラマとしては許容範囲なのである。
なぜなら・・・そういう社会的制裁の描写がなければ優秀な知能を持った子供が触法行為に走る恐れがあるからである。
キッドの場合、小学校一年生くらいで「今なら少年Aですむ」とよく考えたものだ。
もちろん・・・そういう天才少年でなくても中学生くらいになればちょっと悪知恵の働く子供ならそう考えるものだ。
そして・・・親が子供より知性において劣ることなど日常茶飯事である。
だが・・・そういう子供たちの知恵は多くの場合、バランスを欠いているものであり、そこに社会と個人の戦いの縮図のひとつである親子の対立における親のアドヴァンテージがあるのだ。くちばしの黄色いガキがほざくんじゃないとか自分の食い扶持を稼ぐようになってから生意気を言えとか問答無用でぶっとばすことも可なのである。
しかし・・・時には・・・バランスを欠いたまま大人になる子供がいて・・・彼らは時にしつけを虐待と呼び・・・子供を甘やかすことに全身全霊を傾けることがある。そういう人々は親に逆らう子供を簀巻きにして橋からロープでつるして教育する親を頭がおかしいと糾弾したりする。実に困ったことである。
まあ・・・とにかく・・・そういう法を施行する国家で起こってはいけない事件がおこり関係者一同困り果てています。
被害者の母親「キヨタンは殺されるような悪い子ではなかった・・・でも美帆子(川島)がもし誰かを殺したら・・・と思うと加害者の母親の気持ちも分る・・・一人の人間として」
被害者の父親「そんなこと言ったって現にキヨタンは殺されていないじゃないか・・・加害者も加害者の両親も死んでしまえばいいと思う自分もいるし・・・家族のことを思うとそんな自分が恐ろしくもある」
被害者の姉「キヨタンが死んで・・・両親の愛情はともかく・・・子供としての経済的権利は独占できて加害者には感謝したいくらいだが・・・そう思ってしまう自分が人間として悲しいと思う」
加害者の母親「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。あっカブトムシ」
加害者の父親「どうしていいかわからないよ・・・でもビッグニュースだな」
調査官「ああ・・・またそんな中途半端な抱擁して・・・結局・・・この母親ってば恥ずかしがりやさんなんだわ。かっこつけすぎでぎこちなくなるタイプ。で・・・子供ははにかむタイプ。でも心の中では恥ずかしいことに執着しているのね。これはまどろっこしいわ・・・恥ずかしがらないタイプの親と恥しがりやの子供の方が相性いいのかなあ・・・うざいって言えばすむし・・・」
被害者の母「キヨタンのお墓の前で待ってます」
加害者の母「すみません、すみません、すみません了解(ラジャー)」
ぞうさん ぞうさん
誰がすきなの
あのね 母さんが すきなのよ
関連するキッドのブログ『第8話のレビュー』
水曜日のダンスは・・・
「臨場」・・・・・14.1%↗14.5%↘12.8%↗14.8%↗15.2%↘14.6%↘14.5%↗15.6%(↗サッカー16.1%)
「海容」・・・・・13.2%↗13.7%↗14.2%↘13.0%↗14.8%↘13.9%↗14.0%↗15.6%↗16.6%
「夫婦道」・・・*9.2%↘*8.9%↘*8.6%↘*7.9%↗*9.2%↘*6.7%↗*8.2%↘*6.3%↘*5.8%
ダンス休止なのに「夫婦道」・・・。
金曜日に見る予定のテレビ『ツレがうつになりまして。』(NHK総合)『新垣結衣のスマイル』(TBSテレビ)『湯けむりスナイパー』(テレビ東京)『香椎由宇の名探偵の掟』(テレビ朝日)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
ぞうさんぞうさん…
遅くなってしもたー
怖いのは「人を殺しても児童施設へ行けばいいんだ」と
思ってしまわないですかねぇ。
>親が子供より知性において劣ることなど日常茶飯事である。
これはありますね。
それを感じてるならまだしも、
「まだまだ子供だ」なんてのんびりしたこと言ってる親は多いかも。
戸塚ヨットスクールはありだと思って
ニュースを見てたのを思い出しました。
>かっこつけすぎでぎこちなくなるタイプ
確かに~。
キッドさんの妄想劇、ウケる!
てかスカッとする(笑)
そして、
「私があげたシュシュは絶対付けないつもりね。
恥ずかしがり屋さんのくせに無神経な人」
富田さんは、さつきの髪飾りを見てそう思ったに違いない(笑)チガウカ
投稿: mana | 2009年6月15日 (月) 00時39分
ぞうさんぞうさん
いえいえ・・・お好きな時間にどうぞどうぞ。
まあ・・・できれば
児童施設よりも
父親や母親と暮らせることが
何よりだという家庭を築くことですが
それは・・・運命のなせるワザなのかもしれません。
百人いれば百人が
小学生を殺すような小学生に
わが子を育てたいとは願わないでしょうからね。
しかし、101人目に
殺されるくらいなら殺す子を
育てようとする親がいるかもしれないっ
とキッドは妄想を膨らませるわけですけど。
キッドの時代はスパルタ教育とか
しごきとかは
まだまだ必要不可欠と信じられていた時代。
獅子がわが子を千尋の谷に
突き落とすのは日常茶飯事でしたから
わんぱくでもいいたくましく育ったのかもしれません。
結局・・・弱い子は死んでも仕方のない時代があった
ということでございます。
それにくらべたら
弱さが罪にならない時代は
天国なのか
それとも・・・地獄なのか。
悪魔はちょっと微笑むのでございます。
さつきはいわゆる一つの天然ボケキャラですね。
しかも自分が人並みはずれて鈍感だと
まったく気がついていない
恐ろしさがございます。
まあ・・・そういう人でも生きていけるんだ・・・
という安心感を子供が感じれば
それはそれでいい親になれるのでございますけれど。
投稿: キッド | 2009年6月15日 (月) 04時41分