オレの愛し方とは違うなあ(内野聖陽)同時性多重人格ですけどなにか?(京野ことみ)
人は何かを強く思うことがある。そこにはもはや存在しない妻をいると思い続けること。
その思いが一線を越えるとそこにはいない妻がいるという心理に到達する。
それは言うならば狂を発した状態とも言えるが・・・本人が幸せならそれでいいじゃないか。
妻の代わりに妻の愛した植物たちにささやきかける夫。しかし・・・夫には妻の囁きが聞こえるのだ。妻の温もりが。そして妻の微笑みが。それは・・・結局、同時性多重人格なのだが・・・まあ、いいのである。
一足先に「アイシテル」がフィニッシュしているので水曜日のダンスはなし。
ここまで最終回を迎えた民放春ドラマの平均視聴率ベスト10は以下の通り。
①「アイシテル~海容~」14.8% ②「臨場」14.5%(最終回↗15.3%) ③「白い春」12.6% ④「京都地検の女」12.2% ⑤「ザ・クイズショウ」12.1% ⑥「アタシんちの男子」10.9% ⑦「夜光の階段」10.6% ⑧「名探偵の掟」*9.5% ⑨「ゴッドハンド輝」*8.7% ⑩「夫婦道」*7.7%(最終回↘*6.8%)
参考までにNHKには「遥かなる絆」*7.7%、「ゴーストフレンズ」*3.6%などがあります。・・・つまり今回の水曜日のダンスはまあまあだった模様です。ちなみにテレビ東京の「命のバトン・第一夜」は*6.9%。つまり、南沢奈央は本仮屋ユイカに勝ちました・・・そこかよっ。
で、『臨場・最終回』(テレビ朝日090624PM9~)原作・横山秀夫、脚本・佐伯俊道、演出・橋本一を見た。昔はともかく・・・最近の内野聖陽の定番の役柄と言えば「愛する女を殺された男」である。まずは「風林火山」(2007年)で山本勘助を演じて・・・勘助の子供を身ごもりながら武田信虎(仲代達矢)に殺されたミツ(貫地谷しほり)を死後も心底愛し続けます。次は記憶に新しい「ゴンゾウ 伝説の刑事」(2008)で黒木刑事となり・・・少女時代から愛し守ると約束した女・佐伯杏子(小野花梨→池脇千鶴)を猟奇的な殺人者・乙部(内田朝陽)に殺され心を病みます。そして、今回はいきなり・・・妻・雪絵(京野)が殺害され事件未解決のまま時効を迎えた状態でスタート。「ガーデニング」をこよなく愛し「花たち」に話しかけ、「家庭菜園」のトマトやキュウリを慈しみながら食す男・検視官・倉石として「殺された妻を愛し続ける男」を演じたわけです。今回はその解決篇。
もう・・・狂おしいほどに一度愛した女は愛し続ける・・・オンリー・ミー&オンリー・ユーの鑑です。それ以外の役柄考えられんぞ。
倉石の妻・雪絵が殺害されたのは17年前。警察官の銃が強奪され連続通り魔事件が発生。奪われた銃で警官、教師・大瀬(大杉漣)の妻、そして雪絵が射殺されたのだった。そして事件は未解決のまま時効を迎えた。
当時、刑事だった倉石に犯人逮捕を誓った立原刑事(高嶋政伸)にとっても悔いの残る事件だった。
二人は飲み下せないしこりをかかえたまま日々を生きてきた。
しかし、新たな射殺事件が発生。使用された銃が強奪された件の銃であることが判明する。被害者は寺島弥生(岩橋道子)・・・過去の調書を根こそぎ調べた立原は・・・事件の容疑者として弥生の夫・省吾(矢柴俊博)の名を発見する。
省吾のアリバイを証明したのが・・・当時、交際中だった弥生だったのだ。
弥生の友人から弥生の偽証と省吾の拳銃所持の情報を掴んだ立原は寺島家を家宅捜索する。しかし・・・「弥生を殺したのはオレじゃない」と遺言した省吾は拳銃自殺を図り即死。事件は・・・やりきれない結末を迎えたように見えたが・・・もちろん・・・死体を検視した倉石は・・・「オレのとは違うな」なのであった。
弥生殺しが大瀬の妻殺しのコピーであり・・・寺島家に脅迫電話がかかっていたという証言から・・・倉石と立原の疑惑の眼差しは・・・大瀬に注がれるのである。もうキャスティング的にもそれしかないのである。
結局・・・時効後に妻の殺害現場に花を手向けにきた省吾を「犯人」と直感した大瀬は・・・法外の復讐を実行したのだった。
大瀬「警察が何もしてくれなかったから・・・こうなったんだ・・・復讐するしかなかったんだ・・・倉石さん・・・あんたなら・・・オレの気持ちが分かるはずだ」
倉石「あの日から・・・オレは妻のことを一日だって忘れたことはない。俺が忘れない限り妻は死なない。今でも・・・妻は生きている。あんたなら・・・分るだろう」
まあ・・・狂ったもの同志の応酬ですが・・・実行力に優れた大瀬は新たな犯罪者となり・・・妄想力に優れた倉石は脳内でハッピーだったということです。
どちらが正しいとかの問題ではありません。ただ大瀬は逮捕です。
溜飲を下げ・・・ついにグラスを合わせる倉石と立原。温泉女将同様、あまり空気を読むのが上手くない雪絵の妹・真理子(伊藤裕子)はさりげなく倉石に再婚を奨めるのですが余計なお世話なのです。だって雪絵は倉石の心の中で永遠に生きているのだから。
そして・・・ついに倉石の妄想妻・永遠に若々しい雪絵登場・・・だから二人はいつまでも幸せなのです。
関連するキッドのブログ『第9話のレビュー』
金曜日に見る予定のテレビ『新垣結衣のスマイル』(TBSテレビ)『湯けむりスナイパー』(テレビ東京)『福田沙紀のメイド刑事』(テレビ朝日)・・・もうかよ。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
内野聖陽(単語登録済み)と大杉連が静かな校庭で魂の叫びをぶつけあう演技合戦が無料で観られるなんて、私は幸せだと思いました(涙)。
ちなみにウチの父親は『臨場』ことを最後まで「ゴンゾウ」と呼んでいました(笑)。
阿部寛に次ぐ、新たなるエターナル・チャンピオン((c)マイケル・ムアコック)の誕生ですね( 谷)。次も同じ路線でお願いします。
投稿: 幻灯機 | 2009年6月25日 (木) 20時40分
まさに名優対決ここにありですな。
あう・・・とか
むむ・・・とか
そういう演技できるタイプというのがございます。
これが絵になる人というのは稀有ですからねえ。
ふふふ、臨場、ゴンゾウ・・・果たして次は?
でございますな。
悪をもって悪を制す。
黒の剣を持つ永遠の戦士は
夢を見続けるのでございます。(・o・)ゞ
投稿: キッド | 2009年6月26日 (金) 01時33分
結局奥さんのことってあんまり触れられなかったですよね。京野さん写真だけの出演でギャラはいくらなんだろう?と気になりました。
投稿: みのむし | 2009年6月26日 (金) 09時06分
ふふふ、顔を貸すだけで
銭になる
まことにタレント稼業は
やめられませんなぁ。
最後は
それまで倉石が花や野菜たちに
語りかけていたのが
妻の口癖だったことが
知れるわけです。
今回はそこに哀愁がありましたな。
おそらく、妻の生前は
そんな妻を
「可愛い」と思いつつ
鼻で笑っていた倉石。
妻の死後
在りし日の妻を思うあまり
妻に代わって倉石は
花や野菜たちに語り始める・・・。
そこが省略されているのが
隠し味とじいめは考えます。
投稿: キッド | 2009年6月26日 (金) 12時02分