ためるな・・・(阿部寛)ためるのね(大橋のぞみ)ためるわよ(吉高由里子)ためるだけで・・・(堀北真希)
ついにサービスの種が尽きたか・・・。まあ「防護グラス装着で催涙ガス噴霧始めました」(堀北真希)でもよかったのだがそれをサービスと感じる需要少なすぎるだろう。
一方、ご時勢的には合格点の数字に達してきた「白い春」・・・もう全員、間をとることに情熱を傾けているのである。どれだけ固唾を呑んで見守らせる気だっ。
火曜日のドラマ対決は①「白い春」↗13.9% ②「アタシんちの男子」↘*9.8%・・・平均視聴率で1%以上の差がついたのでもはや逆転は不可能になってきた。関西テレビの勝利は確実だろう。しかしフジテレビとしては下に「婚カツ」があるからな・・・。火9スタッフの風当たりは月9防風林で弱まってラッキーかもしれない。
で、『アタシんちの男子・第10回』(フジテレビ090616PM9~)脚本・武藤将吾、演出・松田秀知を見た。奇想天外なお子様向けドラマとしては抜群の出来なのであるが・・・ラブコメ要素が薄すぎるのだな。もう少し、古典の研究をするべきだろう。
致命的なのは新造と千里(堀北)が「おさな妻」でも「形だけの夫婦」でもなくて「実の父娘」だったというオチである。もちろん・・・このドラマには表面上の性的描写は必要ないと言ってもいいのだが、それだけにスッキリさせすぎなのである。
逆に言えば・・・翔が子持ちのホストだったという設定は生臭すぎるのである。そんな汚れたキャラではヒロインとの恋愛沙汰に持ち込めない。
このあたりが奇をてらっているだけの脚本という印象を抱かせるのである。
まあ・・・それが持ち味と言われればそれまでですが。
実は、「アタシんちの男子」も「白い春」もホームドラマの変化球である。「アタシ」はヒロインがホームレスだがシンデレラのようにお城に迷いこみそこで家を見出す物語。「白い春」は殺人の前科者が平穏な家庭に紛れ込み家の夢を見る物語なのである。そして千里もさち(大橋)も育ての父を実の父と信じていたヒロインである。同じタイプでありながらもう一つ客をつかみきれない「アタシ」はもう少し古典を研究して「手」の使い方を感じ取るべきなのだ。
ただし、ドタバタとしてはついに戦争モードに突入。幻想的なセットとそこそこモブ・シーンがあり楽しい。要するにもって行き方の問題です。
キッドはなんとなくイヴ・ロベール監督の映画「わんぱく戦争」(1961)を思い出す。もちろん・・・このドラマはほとんど子供の役者は登場しないのに対し、映画は子役中心の話。仲の悪い二つの子供グループがあり、ずーっと戦争しているという物語である。ただ・・・ドラマの登場人物は基本的に体は大人でも心は子供なのである。それはやりての秘書・時田の言動からあきらかなのである。最終的にはヒロインの腹違いの兄である風と時田の友情の物語になれば・・・それは構造的には「わんぱく戦争」だ。
映画では性的描写も限りなく「萌え」を感じさせるものになっている。子供たちは戦争が一段落・・・つまり家に帰る頃・・・するとその日の捕虜からズボンのボタンを奪ってしまう。そうするとスボンがずりおちてまことに情けなくなるのだ。だからルイ・ベルゴーの原作小説は「ボタン戦争」というタイトルである。子供たちの戦争は日々エスカレートしていくのだが、時にはボタンを奪われないために全裸で突入という作戦が登場したり、親のトラクターを持ち出して機械化作戦が展開されたりもする。ワクワクします。そしてある日・・・そういう子供の時代が終焉する哀愁が待っているのだ。悪ガキのリーダー格二人は寄宿舎に送られ・・・やがて友情を芽生えさせるのである。
こういう一つの形を想定しておくだけでも崩壊しかかる物語の破綻は意外に食い止められるものだ。お茶の間がその作業をしなくても作り手がツボを心得ておけばそれでよろしい。そのあたりのことをもう少し考えて欲しいのだな。
今週の妄想イケメン度査定。
①故・大蔵新造(草刈正雄)・・・回想シーンで登場。生前の仲むつまじさを感じさせていたのに二人には肉体関係はなく・・・婚姻届も提出しておらず・・・あろうことか父と娘だった。まあ・・・だからどうしたという感じがしないでもありません。とにかくこの世界の人々は正雄の遺骨の混じった大気を呼吸していることを忘れてはならない。↗。
②時田修司(山本耕史)・・・理想の秘書。メイドで忍者の井上さん(江口のりこ)は帰ってきたが、暗躍や陰謀をするときには声が震えるかわいさをアピールしつつ時田はトリックハート城とりこわし作戦を決行。どこまで本気なんだかいまだに不明→。
③大蔵風(要潤)・・・無職の長男、実は新造の実子であることが判明。ハードゲイ(HG)にも手を出すバイセクシュアルである。最近はすっかりお兄さんである。どころか腹違いながら千里の実の兄だったのだった。うっかり関係していたらどうするんだって・・・それはそれで面白いだろう。しかしお茶の間の支持は得られないぞ。→。
④大蔵翔(向井理)・・・ホストの三男、すっかり、千里びいきになり、あれこれと手を尽くす。風とはナイスコンビになりつつある。今回も千里にそれとなくアプローチするが。あまりにも汚れキャラなので物語的にはかなりハードル高し。ケータイ小説ならOKなのか↘。
⑤大蔵知(瀬戸康史)・・・ひきこもりの高校生の五男、まあ・・・もう・・・ほとんど影がありません↘。
⑥大蔵明(岡本知樹)・・・生意気な中学生の六男、完璧な棒演技で追従を許さない。ちょっとしたナイス・ツッコミも棒であるところが救いである。今週の棒「お母さんじゃなかった」・・・↗。
⑦大蔵猛(岡田義徳)・・・ホスト見習いの次男、よっちゃんやうっちーであってそもそもイケメンではないのだが。実の父親と暮らすために旅立つが一家の危機のために里帰り。サウナでそろい踏みでは風並みのナイスボディー↗。
⑧大蔵優(山本裕典)・・・カリスマモデルの四男、女性恐怖症でおネー系男子、どちらかといえばキモカワレベル。千里も好きだが知も好きなボーイズラブにも目覚めたバイセクシュアルである。まあもう知の相方みたいな感じ↘。
⑨国士豊(つるの剛士)・・・ネットカフェの千里親衛隊長・・・空気だが今回は自覚なきストーカーとして工作員化。ついに千里の部屋を爆破→。
⑩真島平次(永山絢斗)・・・ネットカフェの千里親衛隊員・・・空気だが自覚あるストーカー。しかし時田に洗脳されてよくわからない立場に↘。
順位変動しないじゃないかっ・・・という人もいるでしょうがけして手抜きではなくそういう査定だからです。
まあ・・・結局・・・他人のために涙を流せる人は愛される・・・それが作者の言いたいことなのだと思います。まあ・・・それはある意味正論ですが・・・そんなこと今さら言われてもな。
関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー』
で、『白い春・第10話』(フジテレビ090616PM10~)脚本・尾崎将也、演出・植田尚を見た。こちらは原点が限りなく融かされて上手い具合に料理されている。一番近い手だと「レオン」なのである。さらにいえば「大岡越前のお裁きの話」なのである。そうでありながら実にオリジナリティーの極みの芳香を放つわけである。勉強してるよなぁ。
心臓手術のために手術室に入るさち(大橋)。てんやわんやの手術室に不安になる育ての父であるパン屋(遠藤憲一)と叔母の佳奈子(白石美帆)。この二人の関係も不透明だがそれはあまり気にならない。些細なことだ。
そして手術室のランブが消え・・・手術を終えた医者(小須田康人)がすでにためます。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・娘さんはがんばりました・・・・・・・手術は終りました・・・・・・・・・・・手術は成功です」
ぷはぁぁぁぁぁぁである。
手術の成功とさちの無事を祝うパン屋一同。しかし・・・春男(阿部)は笑顔を見せない。パン屋を裏庭に呼び出して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「よかったな」
ふはぁぁぁぁである。
やがてさちは順調に回復。パン屋が病院に行って不在の時に春男は禁断の二階に上がる用ができて・・・ふと・・・さちのおいたちアルバムを目にとめてしまう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・春男はこらえきれずにさちの写真を見てしまう。
ぷはっ。
・・・・・・・・二度見る。
ぶはぁぁぁぁっである。
実の父である春男に「私を海に連れてって」と誘うさち。春男がプレゼントした絵の具を発見する育ての父・パン屋。二人の父親のもやもやのプレッシャーに息も絶え絶えの佳奈子が「こうなるのが心配だったのよ」
ぷはっ。
父親に捨てられた栞(吉高)の父親(佐戸井けん太)の居所が判明する。
幼い頃に父にもらった玩具の首飾りを身にまとい・・・春男と栞は父親の写真館に正体を隠して近付く。そこには栞の父親の新しい家族・・・しかも妻と娘がいる。揺れ動く栞の父萌え魂・・・・・・・。
・・・・・。・・・・。・・・・。・・・・・・・・・・・栞はネックレスを服の下に隠した。
はぁぁぁぁぁ。
そして・・・さちとパン屋の幸せを願い・・・二人のために海への一泊旅行を手配した春男は旅立ちを決意。
家を出た春男を追いかけて・・・心臓病手術を終えたばかりのさちが走る。走る。走る。
春男「走るな・・・」
心を鬼にしてさちに別れを告げる春男。意気消沈するさち。
そのとぼとぼと歩く姿を発見した栞はさちに・・・。
「おじさんはね・・・本当はね・・・・・・・本当は・・・さっちゃんの・・・・・・。・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・つづくかよっ。来週までためにためて最終回です。もちろん・・・消えた殺人のギャラの行方もたまっています。
そして最後の舞台は食い逃げ食堂かっ。ためるなぁ。
木曜日に見る予定のテレビ『桜庭ななみのふたつのスピカ』(NHK総合)『釈由美子のLOVE GAME』(日本テレビ)『中年悪女大集合の夜光の階段』(テレビ朝日)『戸田恵梨香のBOSS』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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