急性骨髄性白血病の中学生が恋をしてもいいですか?(須賀健太)余命1ヶ月の花嫁が映画になるくらいだからいいんじゃないの(神木隆之介)
空気を読んで生きることは困難なことなのか簡単なことなのか・・・ケース・バイ・ケースである。
今回のタイトルが空気を読んでいるのかいないのか・・・ケース・バイ・ケースである。
水曜日のダンスはちょっとね。でも一応ね。
「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%
「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%
「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%
・・・本来テレ朝9時のドラマと日テレ10時のドラマのダンスなわけだがTBS9時のドラマが裏と夫婦だわ、日テレのドラマが不安定だわで・・・もうパートナー関係が不明の状態に・・・「相棒」「斉藤さん」のダンスとかが懐かしいわ。
で、『赤鼻のセンセイ・第2回』(日本テレビ090715PM10~)脚本・土田英生、演出・佐久間紀佳を見た。実は「斉藤さん」の脚本家である。周囲の空気を読まない主人公という点は同じである。しかし・・・斉藤さんは「あえて空気を読まない」のであって「本当に空気の読めない赤鼻のセンセイ」とは違うのである。斉藤さんは「空気を読まない斉藤さん」に「空気ばかり読んでいるミムラ」がハラハラドキドキしつつ斉藤さんと女友達の絆を深めていくところがミソだった。
こちらは「空気の読めない赤鼻のセンセイ」を「酸いも甘いも知り尽くす小林聡美」がフォローしつつ男と女の絆を深めていく・・・のかどうか微妙な展開になっている。
はっきり言ってはずしています。
もちろん、本人には二番煎じをしているつもりはないのであるが・・・前回ヒットした要因のことごとく逆を行けば失敗するに決まっているということだけは指摘しておきたい。
さて・・・そのために本来・・・ヒロインとして機能するべきはずの・・・香椎由宇なんて何していいかわからなくなっているし、もう中学生になっている芸達者のツートップなんて・・・小学生のような演技を要求されて・・・立ちすくんでいるのである。
そもそも院内学級というのは特殊すぎて・・・相当に計算しないとお茶の間の理解は得られないのだ。
なにしろ・・・学園もので医療ものなのである。先生と生徒、医者と患者が交錯するのだ。
さらにパッチアダムス(お笑い好きの医師)を赤鼻のセンセイ(院内学級の教師)に変換しようとしていることに無理があるのだなぁ。
だから・・・ドラマの中の設定として大泉洋が浮いているのではなく、ドラマそのものの設定が浮いているのである。
今回、スポットライトがあたるのは急性骨髄性白血病の中学生・和田(須賀)なのであるが、骨髄バンクの発展によって不治の病の香りは薄まったとはいえ・・・夏目雅子や本田美奈子やアンディ・フグを帰らぬ人にした深刻な病気なのである。
そんな和田が外科病棟に入院している女子(金澤美穂・・・東海テレビ「少年時代」にて好きな男の子から転校する好きでもない男の子に胸をさわらせてあげてほしいと頼まれ困惑する学級委員の少女・小夜子を好演)に恋をしていると知った赤鼻のセンセイ(大泉)は和田のためにとばかりにまもなく退院予定の女子を院内学級に強制参加させ・・・机を並べさせ・・・和田を困らせるという展開である。
そこには「明日の命も知れないのに恋を表沙汰にできるかよ」という当事者の気持ちと「命短し恋せよ乙女」という無責任な外野の気持ちが激しく交錯するのである。
もちろん・・・どちらかが正しくてどちらかが間違っている話ではないのだが・・・それでもキッドとしては脚本家に問いたい。①和田が院内告白するのはOKですか? ②和田が院内デートするのはOKですか? ③和田が院内キスをするのはOKですか? ④和田が院内異性交遊するのはOKですか? ⑤和田が相手を妊娠させちゃうのはOKですか?
ようするにいくところまでいく覚悟があるならやってもいいが・・・そうじゃなきゃやるなよ・・・というネタなのである。
脚本家が・・・じっくりと考えていない様子をキッドはこのシーンで感じる。
和田のために女子を連れてきた赤鼻のセンセイは二人に席を並べさせるためにそれまでずっと席をならべてきた慢性腎炎で入院中で院内学級中学生の香(高良光莉)を定位置からどかすのである。もちろん、そこには喘息の八重樫(神木隆之介)がいて絵的には相手にとって不足はないのだが・・・しかし・・・やはり密かには和田に対して好意を持っていた可能性だってあるのだ。
百歩譲って・・・和田と香にそういう気持ちは皆無だったとしても・・・長期入院でただでさえ疎外感を味わっている香にとって院内学級のいつもの席は「居場所」である。その居場所を突然追い立てられる「嫌な感じ」をまったく感じない保証なんてない。
とりあえず香はとまどいの表情でその場をしのいでいた。新人を困らせるような脚本は下手のそしりを免れまい。
とにかく・・・登場人物への暖かい眼差しが・・・この脚本家は全く描けていないのだ。
それでいて・・・「自分の病気を苦にして恋を胸に秘めようとするかわいそうな男の子のために無理矢理別れの挨拶の場を作ること」に燃える赤鼻のセンセイに周辺の人々が一致団結なのである。
そんな歯が浮くような展開じゃ・・・お茶の間は感動しない可能性は高いのである。
「明日世界が滅んでもリンゴの木を植える」という希望のたとえは一歩間違えれば絶望のたとえである。本当の希望とは「世界が滅びないように最後まで努力すること」にしかないからである。
「ドラマが面白くなくてもリンゴの木を植える」のではなく「ドラマを面白くするにはドラマを面白くするしかないのだ」というストレートな言葉を噛みしめてもらいたいよ。
関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー』
金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』(テレビ朝日)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
なんだか、ほんと役者さんが生かしきれてなくてもったいないですね。内容は薄っぺらいのに感動させようって魂胆も嫌い。
悪魔くんの方が良かったかなぁ・・・銭ゲバより悲惨になりそう。
今クールは山ピーだけですかね・・・深キョンとタッキーもあるけど・・・ジャニーズばっか。
投稿: お気楽 | 2009年7月16日 (木) 19時08分
✞✞エコエコアザラク✞✞お気楽様、いらっしゃいませ✞✞エコエコザメラク✞✞
人間って本当に面白い。
そこそこヒットを放った人間は
そのフォームとかを自己分析すればいいだけなのに
よかった部分を削り
悪かったところを増幅したりしてしまう。
このあたりがセンスなのですが
今回の作品は脚本家のセンスの悪さを露呈。
ああ・・・キッドだって
褒めて褒めて褒めまくりたいのに・・・。
今季は「山ピー」「ツヨポン」が勝ち。
「優馬とマッチ」が負け。
「イノッチ」が空気。
という序盤戦。
残るは「スパイ」と「タッキー&NSKD」ですが
ちょっと期待してます。
ま・・キッドは東京ローカルで
ごめんなさいなのですが・・・
「怨み屋」があるから
今季はハッピーなのでございます。
「悪魔くん」か・・・。
「千年王国」ならちょっと期待できるけど
テレビ版だと・・・薄くなりそうだよな・・・。
蒼井優はさておき
大泉はネズミ男でもういいじゃないか・・・。
メフィストはエロ男爵・沢村一樹がいいと思う。
ヒーロー→ヒロイン化なら
松下一郎(千年王国)版なら吉田里琴(天才少女)
山田真吾(一話完結)版なら志田未来(普通少女)
で見てみたい・・・。
投稿: キッド | 2009年7月17日 (金) 03時28分