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2009年7月31日 (金)

遠くの堅気より近くの極道って言うだろうが(草彅剛)言わないよ。お節介の介は介護の介だけどな(黒木メイサ)

親の世話になった子供が親の世話をするという道理が希薄になった現代。

もちろん・・・それは不況のせいであるし、個人主義でやりたい放題だった親たちの責任でもあるだろう。

人口増加の時代には一組の親を兄弟姉妹の余力のあるものが面倒見たが、人口減少の時代には義理堅く経済的余裕のある子供をもてるがどうかの一か八かのギャンブルである。

そういう世知辛い世の中に・・・砂漠の中のオアシスとなる任侠ヘルパーたち。まあ・・・実際に介護放棄の人々には「余計なお世話」という話である。

まあ・・・親の子でもあり・・・子の親でもある・・・働く人々が溺れている親と子を見たとき・・・どちらを先に助けるかという問題もある。人類存続のためには子供を助けるのが自然だが・・・ひょっとしたら年金目当てで親を助けるものもいたりして・・・自分が一番かわいい世代・・・おそるべしなのだ・・・。

まあ・・・ふりかえれば悪魔が笑っているのである。

さて・・・いつの間にかドラマ激戦区となった木曜日。「任侠ヘルパー」↗17.8%で突き抜けた感じ。続いて「科捜研の女」↗15.0%で「中村ゆりの猿ロック(深夜)」↘*5.7%「ダンディダディ」↘*5.6%、「ふたつのスピカ(終)」↘*3.1%となっている。まさに格差社会。ドラマ8(外注ワク)は次回作が海外ドラマ・・・経費削減かっ・・・路頭に迷う製作会社なのである。

そんなご時勢に多くの働き盛りの人々は言うだろう・・・「親の面倒なんかみてられっかっ」なのである。

で、『任侠ヘルパー・第4回』(フジテレビ090730PM10~)脚本・古家和尚、演出・葉山浩樹を見た。第1回で認知症のチヨ(池内淳子)から金をくすねていた桜吹雪の彦一(草彅)だったが、第2回のおもらしの幸三(津川雅彦)、第3回の徘徊の節子(森康子)などを経てついに介護の世界に失われた任侠の道を見つけ出したらしい。

リハビリ嫌いのナツ・・・コードブルー藍沢の祖母に瓜二つだが別人(島かおり)の貯金を狙う旅の介護詐欺師・偽名の綾(山田優)に疑惑の眼差しを向ける。

これは「いい女は介護なんてしない」という偏見に基づく直感であることは明らかなのである。

その証拠に・・・「あんたは(大好きな)兄さんに似ている」と彦一に惚れたことをそれとなく仄めかすブクロのりこ(黒木メイサ)が嫉妬にかられて「あんなの(綾)が好みなの?」と聞かれて「ど真ん中のストライクのオー・マイ・ソウルだ」と答えるのである。・・・そこまで言ってないだろう。

山田優といえば介護施設「タイヨウ」の隼会系ではないヘルパーであるイケメンの陽介を演じる山田親太郎の姉である。弟を捜すためにはスローモーション機能が必要だが、ゲストでやってきておいしいところを持っていくのである。「正義の味方」の槇子姉さんの如くである。親太郎も「斉藤さん」の不良高校生やってたときが一番目立ってたな。この後も「猟奇的な空気」「イノセント空気」「RESCUE空気」「婚カツ空気」とキャリアだけは重ねているのだが。空気的なイケメンの弟を持つ重量感のある姉である。

美人だから悪がこれほど似合う女優も珍しいのである。

なんだろう・・・性格が悪そうな外見なのか・・・それとも一部お茶の間の美人は性格が悪くあってほしいという願望の表出なのか。

とにかく・・・綾は玲子やあゆみなどいくつもの偽名を使い老人から金を騙し取る詐欺の常習犯だったのである。老人の貯金を綾に奪い取られた老人の家族から被害届がだされ指名手配中の身の上である。

彦一は自分の縄張りを守るために綾を尾行するが・・・綾は隼会と敵対する鷲津組の構成員とつながりを持っていた。

ここで・・・「新しいシノギ(稼業)の開拓」のために隼会若頭・鷹山(松平健)がタイヨウで研修員となった隼会系ヘルパーに科した掟を再確認しておこう。

一、幹部候補生として地道に介護をすること

一、けして極道であることを堅気の衆に悟られてはならない

一、まして敵対組織との揉め事はこれを禁ずる

一、問題が生じたら連帯責任

・・・なのである。彦一はうかつに綾に手を出せなくなり、問題をタコ部屋(職員宿舎)に持ち帰るのだった。

さて・・・隼会系ヘルパーはある意味兄弟なのである。個人的に兄弟盃を交わしていなくても、故人である隼会の会長の子分として・・・各系列組織の組長である以上、義理の兄弟姉妹関係にある。

だから・・・タコ部屋での会議は擬似親族会議なのである。

兄弟である彦一の持ち帰った問題を家族的に吟味する。どちらかといえば直情的な彦一と対立する秀才タイプのサカスの六車(夕輝壽太)はメイちゃんの執事で竜音寺泉(岩佐真悠子)の執事の木場をやっていた頃のひ弱さはない。「余計な真似して波風おこさないことだ」と彦一に忠告する。

腕に自慢の品川の五郎(五十嵐隼士)は頭にはそれほど自信がないので「どうすりゃいいのかわからねえ」なのである。

ネコ好きでネコをかぶっている日暮里の賢吾は「まあ・・・様子をみることだ」と日和見である。

鷹山の息子だが格下の三樹矢(薮宏太)は員数外だった。

そんな流れにすっかり彦一贔屓であるりこは「じゃあ、指を咥えてみてろって言うのかい」とのぼせ気味である。

険悪なムードを残し、彦一は「勝手にやらせてもらう」ことにしたのだった。引いたらヤクザはやってられない信者なのである。

一方、タイヨウを傘下にしている大手介護組織・ハートフルバード社の代表取締役・羽鳥(夏川結衣)は体調不良である。「介護者(ミイラ取り)が要介護者(ミイラ)になるフラグ」掲揚状態。

そうとは知らず・・・いじめ問題で悩んでいた羽鳥の息子・涼太(加藤清史郎)は兄貴と頼んだ彦一と姉御のりこの苛酷な戦闘訓練の成果により、一撃でいじめっ子を倒すまでに腕をあげていた。たちまち、「先に手を出した方が負け」展開である。やはり、やるからには証拠を残さないできっちり始末するところまで訓育するべきだろう。

しかし・・・所詮は子供の喧嘩と見る親知らずの彦一は「遠足は家に帰るまでが遠足、出入りは手打ちまでが出入りだ」と微妙なたとえを語るのだった。

修羅場を知らない子供の世界である。母からもらった誕生日祝いのグローブを持ち、相手の家に単身乗り込んだ涼太はキャッチ・ボールで仲直りである。

極道の熾烈な争いに耐えかねるお茶の間への一服の清涼剤だった。

彦一の暴走に危険を感じた六車は情報収集力を発揮し・・・綾の正体をつきとめる。

「あの女・・・元は本当の介護ヘルパーだったが・・・親の残した借金のために鷲津組に身売りしたらしい・・・今じゃ、遣り手の介護詐欺師として荒稼ぎしているのさ」である。

周辺地域の老人たちから大金を巻き上げて行方をくらます綾。

しかし・・・悪人にはなりきれず・・・ナツと交わした約束を律儀に守ったところから足がつく。それは・・・足が不自由なために自分では行けないナツの亡夫の墓参り代理だった。

墓前で待ち伏せし、綾を捕らえる彦一とりこ。

綾「アタイが能無しだったら身を売るしかなかったんだ。アタイが介護の腕を生かして家族に捨てられたじいちゃんばあちゃんからおアシ(金)をいただいてどこが悪いっていうのさ」

彦一「それじゃ・・・こっちのメンツが立たないんだよ・・・悪いようにはしないからワビだけは入れてくれ・・・」

彦一は鷹山に頼み込み、上の方の話し合いで鷲津組と綾の腐れ縁を断ち切る代わりにナツに対してワビを言わせるのだった。

しかし、ナツは「いいんだよ・・・あんたは本当の娘みたいなもんだ。娘が悪いことしたら警察に密告(さ)すような親は親じゃないんだよ。子供がどんなに悪い子でも味方・・・それが親ってもんだろう・・・さあ・・・さっさとお逃げ・・・警察なんかに捕まるんじゃないよ・・・」なのであった・・・おいっ。

まあ・・・わが子を殺されたら警察に頼るしかなかったり・・・親が老いぼれたら介護施設にまかせたり・・・そういう社会は弱者救済のいい社会。本当に弱者が救済されるかどうかは別問題という物語でございます。

そして・・・「家族が支えきれない老人をシステムで救う・・・ハートがなくたってソウルがありゃいいじゃないか・・・」と本心を語る羽鳥に心を動かされる彦一。

しかし・・・病魔に侵された羽鳥はよろめき・・・彦一にすがる。

その目に映る桜吹雪の刺青。

そして寄り添う二人を目にしたりこは「ああん、もうっ」なのである。

Oh my soul!(私の魂よ)

Oh my son!(私の息子よ)

Oh my sun!(私の太陽よ)

ヒアリングによっては何れにも聞こえる謎の挿入曲・・・まあ、オーソドックスなゴスペルでソウルフルなナンバーだと言えばそれまでですが・・・こういうのって映像とマッチして心に染みると想像以上に新鮮に感じヒットする可能性があるわけで・・・作曲が河野伸か高見優かは知らないけど職人芸炸裂でございますな。SMAPに歌わせて「そっときゅっと」のB面にしておけばよかったんですな。

ちょいと着メロに「Oh my soul!」を入れたいと思う人は絶対に少なくないと思うのでございます。「サントラ盤」売り狙いか・・・。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(TBSテレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『リミット・刑事の現場2』(NHK総合)『北乃きいのゲゲゲの鬼太郎・千年呪い歌』『夏帆のオトメン(乙男)・夏』(フジテレビ)・・・さて・・・夏って感じ?

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年7月30日 (木)

人間は必ず死ぬのにハッピーエンドなんてあるんですか(高良光莉)不幸だった人生が終る時とか(香椎由宇)ホルン(平岩紙)

水曜日のダンスは・・・

「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%・・・・・・・↗12.3%

「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%↗10.2%↘*9.2%

「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%↘*8.2%↘*7.9%

「爆笑レッドシアター」15.4%であるので「夫婦」の客で「センセイ」に流れなかった客は「赤劇場」に向かっている模様。今回は「手術室のコント」があって・・・ちょっと嘲笑している気配がありました。「すべてをダジャレにしていくコトー」とか「語りたがる医師と看護婦」など医療ものをおちょくっている。その上・・・「赤鼻のセンセイ」は手術とほぼ無縁である。

で、『赤鼻のセンセイ・第4回』(日本テレビ090729PM10~)脚本・佐藤久美子、演出・佐久間紀佳を見た。どういうローテーションなのか不明だが、三人目の脚本家投入である。

ここまで第1回は難治性喘息の中学生・八重樫(神木隆之介)、第2回が急性骨髄性白血病の中学生・和田(須賀健太)、第3回インスリン依存型糖尿病の小学生・森村(八木優希)と来て、今回は慢性腎炎の中学生田中(高良)である。四回使って淡々と登場人物紹介である。こ・・・これは・・・。

とにかく・・・一部の人には生理的に不快なゆうたきいた(まえだまえだ)の見世物芸に始まって、生徒(何れも長期入院患者)と赤鼻のセンセイ(大泉晃)の衝突、いきあたりばったりのイベント、和解という展開である。一話完結で見やすいかというとそうでもない。

これは・・・医療と教育というプラスアルファの要素が難解になっているせいだろう。

これをキャスティング的には主人公の赤鼻のセンセイ(教師)と白衣のセンセイ(医師)である七瀬(香椎)の対立で説明していけばいいと思うのだが・・・二人の対立は教育VS医療ではなく非常識VS常識になってしまっている。さらに院内学級に中学生クラスと小学生クラスがあって、ここでは教育VS教育である。小学生クラス担当はシルク(小林聡美)で下手をすればこのドラマの影の主役になっている。

バランス的には若い赤鼻のセンセイと白衣のセンセイの対立をベテランの院内学級教師であるシルクがなだめるという構図の方が良かった気がします。しかし、脚本家も人の子・・・結果の見えるシルクについ重点を置いてしまい・・・結局・・・どこが面白いのかよくわからないものに仕上げてしまうのである。

さて、今回の脚本家はオムニバスドラマ「一生忘れない物語」(2006)で成海璃子のラブコメを担当している。その後は荒井修子とタッグを組んで「モンスター・ペアレント」(2008)であり、「スクラップ・ティーチャー」(2008)と来ている。変則的な教育もののキャリアを積んでいるのである。しかも・・・一応・・・喜劇的要素の強い作品を担当である。だから・・・今回は少し・・・要素が整理されたと思う。しかし・・・ここまでの流れが流れだからな。焼け石に水という言葉がピッタリなのである。

とにかく・・・設定メチャクチャだからな・・・赤鼻のセンセイは中学のほぼ全教科を教えることのできるスーパー・ティーチャーの上にかなりバカで今回はさらに脈絡なくソフトボールもそこそここなすのである。腰が抜けます。

田中は授業中は漫画ばかり読んで、すべてに無関心な院内学級の生徒。クラスメイトの八重樫や和田にも心を開いているとは言えない。

田中の病状を桜山院長(上川隆也)は「症状が悪化すれば人工透析も受けなければならないし、完治のためには腎臓移植手術を要し、どちらにしろ一生病気とつきあっていかなければならない」と説明する。こういう説明はヒロインにやらせるべきだろう。

なんとか田中の心をつかもうとする赤鼻のセンセイは・・・院内で偶然、祖父を見舞いに来た田中の昔のクラスメイト(滝口希)と田中の不自然な邂逅を目撃する。

田中は昔のクラスメイトさえも避けていた。

赤鼻のセンセイは田中の入院前の母校を訪ねる。するとそこにはシルクが先回り。・・・こういうところが・・・小林聡美依存症である。赤鼻だけで問題ないのだ。

田中は発病前はクラスの人気者でソフトボール部のスラッガーだった。

要するに発病後の田中は人生に絶望していたのである。

そんな田中に赤鼻は発病前の仲間たちの見舞いという「田中にとってもっとも直視したくない現実」をぶつける。たちまち転院を申し出る田中。

切羽詰った赤鼻は田中と直接対決。

赤鼻「がんばって病気を治してもう一度仲間のところに戻ってハッピーエンドにしようよ」

田中「人間は必ず死ぬんだからハッピーエンドなんてないのよ」

盗み聞きしていた・・・白衣のセンセイは「患者の中の絶望」に打ちのめされる。ここがこれまでになかったヒロインをたてたポイントである。しかし、シルクも一緒です。だから小林聡美依存症・・・もういいか。

ここでいつものとってつけたヤケクソ展開である。

赤鼻「じゃあ・・・オレと勝負してオレが勝ったら退院だけはしないでくれ・・・」なのである。

安静を要する患者がスポーツで勝負。医者としては容認できない展開だが・・・田中の中の絶望を知った白衣は勝負を医療的にサポートすることを申し出る。そうそう・・・それでこそヒロインである。

すでに体力の衰えた田中になぜか剛速球を投げ込む赤鼻。

しかし、そこにチームメイトが応援に来て・・・蘇る田中のソフトボール魂。

球に逆らわないスイングでライト前にヒット性の当りを放つ。これでは赤鼻のクビが・・・。

・・・とそこにはなぜかサードのシルクがいてキャッチである。どこまで小林聡美依存症なんだよ・・・でも・・・まあ・・・このオチはいいか。

バットを持つ手が痺れた田中。ショック療法で心が蘇ったのです。ああ・・・そうですか。

まあ・・・難病を抱える子供と赤鼻は・・・深夜番組「NONFIX 戦火の中のゴリラ 秘境からの叫び」とそれを見守る日本のお茶の間のような関係だからな。

果てしない内戦が続くアフリカ大陸のコンゴ民主共和国では男たちは皆残虐な暴徒となり、女子供は皆落花狼藉の犠牲者となる。難民キャンプには教育も医療も食料もない。子供たちは学ぶことはおろか病んで餓えて死を待つばかり・・・そして国際ゴリラ年なのにビルンカ国立公園では野生のゴリラも虐殺されるのだ・・・まあ・・・それがどうしたといわれればそれまでなんですけどーっ。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』『メイド刑事』(テレビ朝日)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』・・・まあ・・・「魔女の宅急便」とか「ゲゲゲの鬼太郎」とかなんどめだシリーズもありますけどねーっ。 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年7月29日 (水)

永遠の愛なんて人間には無理だろう(中山優馬)十年は一昔(加藤ローサ)ばかぁ(桜庭ななみ)

・・・ようやく・・・ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を読んでいる人間が脚本を書いた感じのする今回である。

原点を知らずに「なんとなく」をやってはいけないという厳しい鉄則の証明である。

火曜日のドラマ対決は①「小島楓」↘12.5% ②「恋して悪魔」↗*6.8%

吉本の若手芸人がろくでもない演技をしまくって逆風が吹き、せっかくの名優・宮迫博之もイメージ・ダウンである。このあたりの戦略ミスを・・・頭のいい人たちはコントロールしてください。

まあ・・・第1シリーズに2回を使い、第2シリーズは1回というのがちょっと無理があった。

もちろん、松雪泰子が再登場すれば違うだろうが、「笑う警官」「クヒオ大佐」「沈まぬ太陽」と秋に三本も映画公開されるからな。

「恋して悪魔」はなぜ半澤脚本で始めなかったのかが悔やまれるところ。

で、『恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ・第4回』(フジテレビ090728PM10~)脚本・半澤律子、演出・村上正典を見た。三人目の脚本家登場で明らかに軌道修正が入っているので矛盾したセリフも多いが、その分、作品世界のリアリティーは増している。これは本物らしさと嘘くささの関係を考える上で貴重なサンプルである。

まずヴァンパイア・システムの変更を考えてみる。

①ヴァンパイアに吸血された人間は「永遠」を得る。

これまで、種族としての人間は種族としてのヴァンパイアに捕食される存在で、ルカ(中山)の教導師であるカイト(近藤真彦)は「人は餌にすぎない」と何度も発言している。この矛盾を解消するためには①吸血された人間は不死にはなるがヴァンパイアにはなれず、亜人間にとどまる・・・というシステムの導入。②カイトは男尊女卑の性癖があり、女性ヴァンパイアはヴァンパイアではないという信念を持っている・・・というキャラクター設定の追加などの「手」がある。いずれかによって設定変更の混乱を回避することが可能である。

②ヴァンパイアは人に感情移入すると牙を失う。

感情移入そのものがかなり大雑把な概念だが、カイトは「吸血後にヴァンパイアは真の力を得る」と述べていて、今回はその力の一端を示すシーンがあった。

はじめての吸血行為を尻込みするルカを挑発するために中華料理店「しんじょう」を訪れたカイトは初対面である店主の新條(伊東四朗)と娘の敦子(堀内敬子)の精神制御を行い、偽の記憶を植え付け、「常連客」と思わせた上で、その記憶を消し去るという「能力」を発揮する。これはヴァンパイアは人の心をコントロールできるという伝承に基づくアイディアである。

ヴァンパイアと人間が心を通わすことができることから、未熟なヴァンパイアであるルカが人間の心情に影響されて体調に異常をきたすことはシステムとして予測可能である。

さて・・・このように辻褄が合うことがフィクションにおける本物らしさの基本であることは異論の余地がないのである。

第1話~第3話まではこういう趣向が一切なく、実に嘘っぽいフィクションであったことを指摘しておく。

さて、キッドは人間にとっての完璧なフィクションは「死後の世界」であると考えている。フィクションは虚構である以上、「ウソ」がつきものだが、その「ウソ」がバレるとたちまち構築した世界が崩壊する習性を持っている。その点、「死後の世界」のフィクションは完璧なのである。誰もが本当の「死後の世界」で虚構の「死後の世界」を否定することができないからである。少なくとも、ゴーストの友人を持っていない限りにおいてはである。もちろん、ゴーストの友人を多数持つキッドには本当の死後の世界とウソの死後の世界の分別が可能だが無粋なのでしないのである。

それはハルヒのエンドレスエイトがいつ終るのか明らかにしないのと同じなのである。もう六回同じ話っていい加減にしてくれよ・・・脱線してますよーっ。

失礼しました。さて、ルカは「吸血鬼ではない・・・ヴァンパイアだ・・・」と「チャンコロじゃない・・・中華人民共産党帝国だ」とか「野球じゃない・・・ベースボールだ」と言うような翻訳による意味変更を許さない原典至上主義者なのであるが・・・それも一理ある。

もちろん・・・「ヴァンパイア」という言葉が・・・「カーミラ」や「ドラキュラ」と言ったヨーロッパの古典文学から拝借した言葉である以上・・・その呪縛との関係性にも一定の距離感が必要となる。

で、その使い古された「手」は「物語には一縷の真実が含まれているが実際にはまったくの誤解であることもある・・・」という手である。

つまり、「恋して悪魔」のヴァンパイアが本物で・・・「ドラキュラ」に書かれていることがウソなのだという「手」である。

そのために・・・「人の心をあやつることができる」と「ドラキュラ」に書かれていることは本当だが・・・「空腹になれば死体からも吸血する」というのはウソだとルカが証言するのである。

実に先輩に対して無礼な創作態度だが・・・文句があるなら墓場から蘇ってこいやぐらいの気迫が創作者には必要ということである。なにしろブラム・ストーカーは97年前に墓場に入っており、「吸血鬼ドラキュラ」の著作権は消失しているのでやりたい放題が可能なのである。まさに死人に口なしだ。

さて・・・それもこれも・・・「ドラキュラ」を読んで、ストーカーの考案したヴァンパイア・システムを理解し・・・そして改良するという姿勢が大切なのである。

少なくとも・・・数多くの吸血鬼映画・・・直系であるキム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」・・・亜流であるキングの「呪われた街」・・・極地である萩尾望都の「ポーの一族」・・・ロマンチックなアン・ライスの「夜明けのヴァンパイア」・・・さいはての小野不由美の「屍鬼」・・・数々のヴァンパイアものはそうして命脈を伝えてきたのである。

とにかく・・・第4話にして・・・ようやく・・・「はじめての吸血のために人間世界にやってきて混乱する童貞吸血鬼」と「その童貞吸血鬼が十年前に死んだ初恋の少年にそっくりなために混乱するちょっとずんぐりむっくりな美人教師」の愛と死・・・あるいは恋と生の物語らしくなってきました。

脚本家は「赤い糸」も書いているが「乙女のパンチ」も書いている。原作ものの「赤い糸」よりも「乙女のパンチ」の方がいい味だしていた。

今回も・・・

香織(桜庭)「血を吸われるのって・・・気持ちいいのかしら・・・恍惚で快感なのかしら」

ルカ(ニヤリ)

などと・・・そうそう、そういう場面が見たいのさ・・・というシーンを生み出している。

もちろん・・・ダンドリ的にそうだったとも言えるのだが・・・かねてから必要だった・・・真琴(加藤)の死んだ恋人・歩(中山・二役)の生前の実像も追加されている。

歩は気弱な真琴を勇気付ける前向きな少年だったのである。そして「夏の海」で「十年後も君と一緒にいるよ」と約束して間もなく早世したのである。

前回も述べたが・・・真琴の心情を描くためには「歩」と過ごした日々の描写は不可欠なのだ。

スケジュール的には不可能と承知で・・・徹底的にウエイト・コントロールをした加藤ローサに十年前の歩との青春物語を演じさせてから、少し太らせて現代篇を撮影するぐらいの覚悟がなければ面白くならなかった話だと考える。そうすれば成長期の優馬は似ているが少し大人びたルカをもっと自然に演じられただろう。

ま・・・そういう贅沢な悩みを言っても始まらないので半澤脚本で少し血の通ったヴァンパイア・ワールドを大事に育てていってもらいたいと願うのである。

ついでに・・・ルカの人間の女についての拒絶感を説明するためにはカイトとの恋人関係がもっとも有効だと思えることも記しておく。

ルカ「女の・・・血を吸っても・・・あなたは怒らないの・・・」

カイト「バカだなあ・・・食事をするのと愛の営みはまったく別のことだよ」

カイト、ルカをあすなろ抱きにしてそっと唇をよせる。

ルカ「あ、あーっ」

・・・的なね。・・・単にやおいじゃねーか。・・・す、すまんこってす。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『桜庭ななみのふたつのスピカ』(NHK総合)『猿ロック』(日本テレビ)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『東京少女大政絢』(TBSテレビ)『科捜研の女』『ダンディ・ダディ?』(テレビ朝日)・・・う・・・木曜日・・・いつのまにかドラマが量的に重い。

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2009年7月28日 (火)

目をそらし、顔をそむけ、逃げだした男の罪(山下智久)ブザー(相武紗季)ビート(北川景子)

初回は相武紗季の回。二回目は北川景子の回。そして三回目は山Pの回である。結局、序破急できたか。まあ、三角関係では基本のリズムだよな。

今回も「A DAY IN THE LIFE/THE BEATLES」のインストゥメンタルが挿入される。今回は莉子(北川)と川崎(伊藤英明)が会話をするシーンで性急に関係を結ぼうとする川崎を莉子が言葉巧みに拒絶する場面である。今回のアレンジはピアノをバックにギターがメロディーを奏でていく。妄想を膨らませればピアノが菜月(相武)でヴァイオリニストの莉子がギターということになるだろう。お茶の間の多くは菜月と莉子を全くベクトルの違うキャラクターと受け取るかもしれないが・・・二人は血液型も同じO型だし、同じコインの裏表である。この曲の作為的な使い方があざといのでまず間違いないだろう。二人はさりげなくパートナーチェンジをしながら「女の子の愛の形」を山P相手に踊るのである。もちろん莉子は「自分が落ちた楽団に受かった女友達のコンサートを鑑賞する屈辱がわだかまる人生のある日」なのである。

視聴率は↗14.0%である。平均は14.3%で「婚カツ!」の三回目までの平均12.3%を上回っている。裏番組は「水戸黄門」13.4%、「ニュース」12.9%、「TVタックル」12.3%、「深イイ話」10.5%、「やりすぎコージー」*6.4%で時間帯のトップになっている。まだまだ予断は許さないが「婚カツ!」が残した残土は除去されつつある模様。月9復興の兆しである。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「オルトロスの犬」11.4%(「スマイル」の後番組というマイナス要素を除いてもタッキー&錦戸ではものたりない数字・・・もう少し知能設定アップを期待したい)、「メイド刑事」↘8.0%(時代劇だからな・・・)、「華麗なるスパイ」↘*8.3%(メイド刑事に辛勝)、「リミット」↗*6.1%(モキュ上げキター)、「怨み屋本舗R」↗*4.4%(不吉な微上げキター)、「イケ麺」↘*2.1%(微下げだがどうでもいい)、「官僚たちの夏」↘*8.0%(メイド刑事と並んでどうする)、「天地人」↘21.0%(どんとはれ殿のおそばにいたいのです・・・魔女裁判の香織と菊姫同じキャラかよっ)・・・以上。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・第3回』(フジテレビ090727PM9~)脚本・大森美香、演出・西浦正記を見た。とりかえしのつかないことをしてしまった時、すぐにとりかえしがつかないことをしてしまったと本人が分るとは限らない。ビーム・サーベルで愛する人の搭乗するモビルアーマーを粉砕してしまえばすぐに言えるセリフが「愛」を壊した時にはそうと悟るまでに時間がかかることがある。人は若さゆえのあやまちというのを認めたがらないものだから・・・ずっとずっと後までなぜあの「愛」が失われてしまったのか判らなかったりもするのだ・・・いい加減、ガンダムネタ禁止の警告に気がつけよ。

もちろん、それほどにとりとめないことだから・・・愛が死んだのにまた復活することもある。ここが恋愛ドラマの醍醐味だ。とにかく・・・今回は直輝(山下)が菜月の愛を失うまでの一部始終を緻密にそして冷酷に描いていくのである。

さて、まず・・・直輝は一人のプロのスポーツマンとして崖っぷちに追い込まれていることの念押しである。その象徴が所属クラブのロッカールームの光熱費削減だ。プロは体が資本だから不注意なケガは避けるのが基本である。そのプロ選手たちの部室の蛍光灯が半分に減らされ、部屋が薄暗くなる・・・ということは心理的なわびしさとは別に選手の健康管理能力をチームが失いつつある一つの証拠である。薄暗さの中で転倒などの事故が起きることのリスクを危機管理担当者が安く見積もっているのである。ものすごい危機である。

しかし・・・選手たちは笑い事ですませようとする。

経済的理由から転居を余儀なくされた秦野(溝端淳平)の身の上もジョークの種だ。その秦野と数万円しか年棒の変わらない直輝も笑いの輪に加わる。

「こんなとき・・・お金持ちの恋人がいたら・・・」と嘆く秦野に「そんなこと言うな・・・女は守ってやるものだ」とコーチの川崎が言えば直輝も尻馬にのって同意するのである。

そんな直輝の無邪気な笑顔を・・・代々木(金子ノブアキ)は嘲笑う。

直輝には二年間も交際している恋人・菜月がいる。前のシーズンで「優勝したら結婚しよう」と制約つきのプロポーズをした直輝だったが・・・優勝を逃し・・・結婚話は棚上げになっていた。

そんな直輝と二人きりの夜。自慢の手料理を菜月の部屋で調理した直輝に菜月はあらためて「結婚」を申し出る。

菜月にとって結婚は二人で家庭を築き上げていくもの。菜月は直輝の崖っぷちの状況をすべて理解した上で・・・共に苦労を分かち合おうと持ちかけているのである。

それに対して直輝は「自分の考える経済的な問題や・・・将来に対する不安・・・そして恋人に対する心理的優位性を失いたくない」など様々な気持ちから「今はまだ待ってくれ」と菜月に告げる。「状況はもっと良くなるはずだから」と問題を先送りにしたのである。

直輝の心には菜月とのびしょびしょ濡れのトレーナーが渇くまで抱きあった夏の昼下がりの記憶がある。直輝は将来を不安に思いながらも根拠のない自信を持っていて同じように菜月の心がまだ自分だけに向いていると楽観しているのである。

しかし・・・すでに菜月は代々木と火遊びの一夜をともにしている。

お茶の間だけは知っている・・・「こんな俺でごめん」と直輝が菜月を抱きしめたとき・・・菜月がどこか遠くを見つめていることを。

直輝は崖っぷちに立ち、すでに足は崖からはみ出して・・・爪先が蹴った小石が奈落へと転がっているのである。

菜月は直輝が自分を拒絶し・・・拒絶したことにも気がつかないA型ならではの鈍感さで囁く愛の言葉を途方にくれた思いで聞く。また許さなければいけないのか。

この男の子供じみたわがままを。

秦野の住居問題を解決するために母親(真矢みき)に空き部屋の使用を相談する直輝。

菜月はなんと言っただろうか。「この部屋で一緒に暮らしましょう」・・・菜月は直輝に精神的な自立を求めているのである。しかし・・・直輝はそんなことには全く思いが及ばない。菜月が深層心理では「敵視」している母親に甘えるのである。そこに突風のように現れる嫁いだ姉・雪乃(ちすん)・・・。夫の「浮気」に立腹しての里帰りである。小姑ダブルかよ・・・。妹の優里(大政絢)はまだしもこの弟を支配している風な姉の態度。

直輝の片足はほとんど宙に浮いている感じになりました。

そんな直輝の危うさを全く知らない莉子は・・・これから若かったなにもかもが・・・を始めるのである。

初対面から直輝に強く惹かれている莉子は・・・ルームメイトの麻衣(貫地谷しほり)が菜月を批評して言うところのスポーツ選手を「彼氏」にしちゃうタイプである。莉子と麻衣は似た者同志なのだ。

莉子はコーチの川崎から交際を申し込まれ、キスも奪われ、デートもする仲だったが・・・直輝に一目惚れをしている。無自覚の風を装ってはいるが・・・莉子ははっきりと直輝を「男」として意識している。直輝に恋人がいると知れば苛立ち、直輝に対して川崎から「恋人」として紹介されれば不本意なのである。莉子は「直輝と自分」が恋人でないことの落胆を隠さない。

そして・・・直輝の姿を求めて「いつもの公園」にやってくるのだ。

直輝はそんな莉子の気持ちをある程度は知っている。しかし、直輝は自分の気持ちを隠すし、それに気がつかないふりもできる。

ヴィヴァルディの協奏曲「夏」は雷鳴をソロヴァイオリンが奏でる。突然、嵐のように二人は接近したお互いの顔を見つめる。二人は互いを意識しているのだ。

そんな二人のために粗大ゴミを公園に不法投棄するチンピラたち。これは「おい、あんたたちいいムードだね・・・ちょっとオレたちにも分けてよ」パターンの奥ゆかしい変形である。

ビールのために大胆になった莉子は犯罪者との追跡劇を繰り広げ警察まで介入して大騒ぎである。しつこいようだが「体が資本のスポーツ選手」にとっても「指が大事な芸術家」にとってもあってはならない逸脱である。

しかし二人は白いスニーカーを汚さないように裸足で雨の中を歩くのだ。

それは青春の血が騒ぐからなのである。それはかっての菜月と直輝の姿でもある。しかし、菜月が一足先に大人になろうとしているのに対し・・・直輝はまだ青春が不足しているのである。だから・・・莉子の部屋へ行き・・・青春仲間に趣味の清掃や調理で恩をほどこすのである。それが・・・父親が離婚して去っていた女系家族に躾けられてしまった直輝の女に対するいつものアプローチなのである。

「しけたチームに来てしまった」と嘆く代々木が「コートではボールを追い、コートの外では女を追う」ように直輝は「コートの中ではボールを追い、コートの外ではフレンチトーストを作る」のだった。

だから、直輝は・・・危機的状況にありながら浮気を始めた・・・ということだ。

そして・・・再び・・・直輝と菜月。代々木の歓迎会から・・・代々木の挑発的な誘惑に耐えかねた菜月は体調不良を口実に直輝を誘って抜け出した。

その菜月の嘘を真に受けて・・・「お粥」を作り始める直輝。

しかし、菜月は正直に「それは嘘で・・・直輝と愛し合いたいだけだ」と打ち明ける。しかし、直輝は耳を貸さない。菜月とともに新しい生活を始める気持ちがさらさらないからである。その次のステップに踏み出す勇気がない以上・・・菜月の求愛は鬱陶しいばかりなのである。

なぜなら・・・直輝は・・・想像もつかない大成功をおさめて菜月を幸福の絶頂に導くという自分の夢にこだわっているからである。それ以外の形で菜月と生きていくのは嫌なのだ。

そうである以上・・・今の菜月は・・・ダメな自分の恋人にすぎないタダの女なのである。

その夢を破壊しようとする菜月から目をそらし、顔を背ける直輝。

その不実な態度についに菜月の堪忍袋の緒は切れたのである。

「なによ・・・いつかはいつかはって・・・小学生みたいなこと言って・・・今がその時なのよ。今はもうやらなければいけないときなの。現実を見ないでどうしてステップアップすることができるの。目をつぶってシュートをしてどうするの。あなたのプライドは誇り高き男のものじゃない。ただの卑怯者の言い訳でしょう・・・」菜月はたちまち・・・とりかえしのつかないことを言ったと気がつき「ごめんなさい」と謝罪する。

しかし・・・直輝は脱兎の如く逃走するのだった。

そして・・・いい年して(実際には)恋人もいない川崎に誘われるままに「海」へと出かけていくのだった。

そこには青い空とつかのまの慰めがある。白く浮かんだ水着の跡をなぞって雷の音を聞くために太陽が降り注ぐ。

そこで芸術家で虹を捜しているから水着にならない莉子にものたりなさを感じた直輝は「夏の桟橋」とともに菜月に謝罪のメールを送る。

しかし・・・すでに直輝の足元には崖っぷちはないのである。もうとりかえしのつかないことをしてしまった後なのだ。ただ・・・直輝はそのことに気がつかない。

もちろん・・・わがままは男の罪だがそれを許さないのは女の罪なのだ。

代々木に抱かれながら菜月の瞳にはもつれた糸をひきちぎられた女の痛々しい光が浮かんでいる。しかし、直輝という「元の彼氏」にはできなかった。どうしても・・・大人の恋愛は・・・この頃には。

そういう「男」を山Pが切なく演じきったのだった。まあ、チューベローズに続いてチューリップがやりたかっただけなんですけどね。ああ・・・虹とスニーカーの頃よ・・・なのでございます。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

Hcinhawaii0574 ごっこガーデン。七月の濡れた砂浜セット。エリじいや、魔法の国の小人さんロイドで砂浜のゴミを片付けちゃってーっ。山P先輩はお弁当男子だったのでスー。今回もゴーヤのナムルに夏野菜のグラタンにフレンチトーストにお粥・・・永久保存版手料理の数々。これはビジネス展開も可ですがオリジナルはエリが完全に独占するのでスー。冷凍保存、クローン培養コースですyon!・・・登場人物ザワッと来まくりやがってますが一平ちゃんだけは別口?海の家でヤキソバ作ればいいのに~。さて・・・そろそろはうぅんコースへと移動移動お気楽菜月は貧乏にも耐えられるタイプなの?ねえ菜月と直輝ってどこまでの関係なの?どうしてみんな海に行くの?自分勝手な男とつきあったら苦労するよね。菜月はマゾなの?ポロリありませんくうオープニング不足~。一人の男で満足できない女心・・・禁句です・・・でも直輝はもちろんかわいそうだけど菜月もちょっとかわいそう・・・夏ドラマに迷う・・・スポーツ選手の将来は不安。お相撲さんはちゃんこ料理屋があるけど・・・あなたは大丈夫・・・私が守るものと菜月は直輝に言ってあげればいいのに・・・

Hcinhawaii0575 ごっこガーデン。山P先輩三兄弟のいる愛の部屋セット。mariもう・・・好きだよ・・・って言って唇よせて拒否されたら暗黒面に堕ちますよね~。菜月もフタマタだけど~、直輝もなんとなくフタマタ。そして莉子もフタマタ。もう三角三つもできてるんですけど~。イケナイ展開ですねーはうぅん」まったくぼぎゃぁぁんなことデス・・・更新ナシデスikasama4酔って迷惑かける女なんてイヤと言いながら即行で酔って迷惑かける莉子・・・恥ずかしながらノーブラ禁止生活へ移行・・・爽やかで・・・ちょっと怖い夏。青春の香りがしますまこあのもじゃっとした人は新巻じゃけを差し入れてくれる近所の親切なお兄さんにしびれましたでしゅ~。じいやトリプルアイス、おかわりデス・・・今度はパイン・チョコレート・バナナにしましゅアンナ1/2ガンダム発進~、アンナスマスマいきま~すっみのむしう~ん・・・なんとなく夏ドラマに気がむかない・・・そろそろドロドロになるかな~シャブリつばさどん底なのでありました~あんぱんち筋肉と水着で視聴率は上がったのね・・・二股がキライな莉子が二股・・・お約束なのね(爆)・・・ちんけなプライドにお灸をすえてドラマーに抱かれる菜月・・・そして直輝の携帯は運命の携帯に昇格なのかしら

水曜日に見る予定のテレビ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)

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2009年7月27日 (月)

さらば大和大納言より天地人(妻夫木聡)人の優しさが花に勝るならこの身投げ出す値打ちあり(比嘉愛未)

ジュリ~でございます。・・・わからんと思うぞ。

さて・・・長い長いトンネルを抜けて宮里藍が米ツアー初勝利である。まさに出口のないトンネルはないのである。

この大河ドラマも一回くらいは面白いとうなる回があるかもしれない・・・あるといいなぁ。

で、『天地人・第30回』(NHK総合090726PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今週もあらすじは五行をキープ。五行でわかる今週の天地人体制でございます。ツッコミも五行です。主人公絶対主義の下、主人公の妻絶対主義で、評判のいい菊姫をことさらダメ姫に描く今回の趣向。作者がバカなのかクールなのか評価が分かれるところですな。キッドはもちろん前者だと確信しております。まあ・・・武田から上杉の人質を兼ねて婚姻した菊姫が景勝との子を成さないまま、豊臣の人質となる。その哀れさをデフォルメしていると考えれば・・・なんとか・・・こらえられるかな・・・こらえてつかぁさいやぁ・・・。まあ・・・架空の利休の娘(木村佳乃)に「僕の胸でお泣き」と優しい兼続(妻夫木)という場面を描きたいだけで殺された千利休が哀れで目の前真っ暗になりますけどね。まったく省略された徳川の関東移封にええっというあなたには井伊直政の秘密も推奨します。

Tenchijin159101 天正18年(1590年)夏。小田原の役が豊臣秀吉の完全勝利に終ると関白秀吉は直ちに奥州平定に着手。伊達・最上・南部などの主な大名は直ちに秀吉に臣従し、天正19年3月の九戸の反乱を最後についに秀吉による天下一統は完成する。北は陸奥の国津軽氏から南は薩摩の国島津氏まで関白秀吉の配下となったのである。殿下の天下統一。その寸前に秀吉を表裏で支え、戦争と政治両面で秀吉の勝利を演出してきた秀吉の弟・豊臣大和大納言秀長は死んだ。すでに小田原の役から病床に伏し、秀吉は戦場から何度も見舞いの使者を送ったと言われる。秀吉は後継者・鶴松を得て有頂天であったが・・・もっとも頼りとした弟を失い・・・その心は暗く沈んだのである。愛多き男秀吉は失われた弟への愛をわが子鶴松に注ぎ込んでいく。

その心の傾斜を最も利用した男が石田三成である。尾張のお市と近江の浅野の血を引く茶々に接近し、その関係を濃密にすることで秀吉の権力の代理人になることを目指したのである。

三成は家康の転封地を関東と定め、新領地の経営で徳川家を混乱させようと画策した。しかし、長期的視野で見ればこれが豊臣家の滅亡の一因であることは疑いようがないだろう。家康はすでに旧領土・三河・駿河・遠江・信濃・甲斐に深い楔を打ち込んでおり、さらに武蔵・相模・伊豆・下総・上総・上野・下野・安房という広大な領土を手中に治めることになる。石田三成には織田と今川の人質に始まり駿・遠・三の太守に納まった家康の政治力を甘くみたのである。

一方で三成は大和大納言という巨人の死による空前の権力の空白にも対応しなければならなかった。家康と三成の戦いはすでに始まっていたが・・・三成は自分の戦下手を補完するために大和大納言の二人の寵臣のうち・・・戦上手に特化した島左近を手に入れる。一方で家康は権謀術策に優れかつ自分の死後の合戦を託すほどの巧者と見た藤堂高虎に緩やかな調略の手をのばすのであった。

しかし・・・大和大納言死去において三成にとっての当面のライバルは千利休だった。三成は全力を挙げて千利休を抹殺する謀略を展開する。

秀吉と千利休の対立点はいくつかあるが・・・その最大のものは「朝鮮半島経営」に関する対立だった。すでに朝鮮侵略のために利休は配下の忍びを朝鮮半島に放っている。忍びがもたらす情報を分析し・・・秀吉と戦略を練る段階に入っている。

その情報を三成は茶々を通じて入手していた。

茶々は・・・実父・長政、養父・勝家が共に城を枕に討ち死にした過去を持っている。その度に茶々を落ち延びさせ保護した秀吉の側室となり・・・その子を産んだくのいちである。城を守ることに執着があった。その手駒として三成を利用しようと考え、そして三成はそれに応じた。二人の利害は一致していた。

淀城の奥の間に秀吉以外に足を踏み入れることができるのは三成だけだった。

「宗易(利休)はの・・・時期が早いと申しておる。韓(から)の国(朝鮮)の民は疲弊しており、乱を起すはたやすいが・・・多くの民が日の本(日本)を属国と考えている風がある。そういうものにもそっと調略を仕掛ければ事はならんと見ている。それに対して殿下(秀吉)は先に武を用いて威を示し・・・民心を寒からしめねば・・・半島攻略は始まらぬというお気持ちのようじゃ」

「茶道を和のものとした宗易様であるからには唐(から)の気風を恐れるものとも思えませんが・・・」と三成は宗易の心中について茶々の意見を求める。茶々は教養深く、かつ直感が冴え・・・三成のおよぶところではない。

「宗易が和風の茶を起したのは唐(から)のそれを徹底的に見据えた果てのこと。宗易は韓の奥の唐である明の帝の国の実力を見据えておるのであろうず・・・」

「されば韓入り(半島侵略)の時は明が出張るとお考えか・・・」

「韓は常に唐の属国。それは当然のことであろう。叔父上(信長)はまず貿易を行い、調略を重ねて成敗に出る方策だったと宗易は言うのだ・・・」

三成は思わず笑みを浮かべた。最近、秀吉は信長の果たせなかった地点にたどり着き・・・やや・・・信長に対する考えを改めつつある。いわば・・・信長の意をもって秀吉に歯向かうことは反逆のしるしと成せる可能性があると読んだのだ。

三成が狙っているのは・・・千利休の持つ鉄砲商いの利権だった。それを手中に収めれば三成が自由にできる金銀は莫大なものとなる。三成はすでに千利休に謀反の濡れ衣を着せるための策謀をいくつか進行させている。

「征韓論」における秀吉と利休の対立こそは逃してはならない千載一遇の好機だった。

・・・聚楽第に追い込まれた千利休は老いた腕に食い込んだ矢を抜き放った。

(ぬかった・・・)と利休は悔やんでいる。(三成を甘く見たわ・・・)すでに秀吉との和解の道は絶たれていた。利休は秀長毒殺の嫌疑をかけられていたのである。

刺客を放たれたと分り必死の抵抗を試みたが・・・すでに警護の娘くのいちたちも死体となって聚楽第の各所に横たわっている。秀吉の命を受けた真田忍軍が敵対していた。

もはや・・・これまでか・・・と利休は覚悟を決めた。聚楽第の茶室が最後の場になりそうだった。

そしてそこには一人のくのいちが待っていたのだ。

初音だった。

「ふふふ・・・天下一のくのいちにこの命奪われるもまた一期一会のことよな・・・」

「・・・」

「御主の命を巻き添えにすることもできるが・・・それは利休わびの茶としては面白うおまへん・・・どうや・・・わが命・・・買うてもらえまへんやろか・・・」

初音は無言で頷いた。すべては忍びの密約である。

「おおきに・・・」利休は笑みをもらした。「では千家秘術・・・旋風の技・・・お目にかけまひょ。ほな・・・さいなら」

初音は茶室から跳んだ。一瞬で利休の周囲に竜巻が発生している。その竜巻はかまいたちとなり、利休の体を五体バラバラに切り刻んだ。

一陣の風が収まると・・・そこには血煙だけがたなびいていた。

初音がもし・・・利休にとどめをさそうとしていればその渦に巻き込まれていたのである。

初音は合掌すると微塵も老いの影を浮かばせぬ美しい顔に笑みを浮かべた。

「遺言・・・承った」

次の瞬間・・・初音の姿は利休だった骸を残したまま消えていた。

関連するキッドのブログ『第29話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『緊急SP救命病棟24時~救命医・小島楓』『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)

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2009年7月26日 (日)

カレーがなければハヤシを食べればいいのよ(白羽ゆり)私だけじゃ持たない(深田恭子)あなたに抱かれてもモキュ(黒川芽以)

さて、表裏で同じドラマとは思えない温度差を感じさせる「リミット」(NHK総合)と「華麗なるスパイ」(日本テレビ)なのである。

ちなみに事務所公認の黒川芽以の愛称はめいてぃーあるいはmeimeiらしい。しかし、いたるところで目にする黒川芽以を示す言葉は「もきゅ」あるいは「モキュ」である。

一説によると・・・デビュー間もない頃、少しぽっちゃりしてきた彼女の姿が、アザラシを連想させ、その連想がアニメ「少年アシベ」に登場するゴマフアザラシのゴマちゃんの鳴き声「モキュッ」に到達し、黒川芽以を連想される擬音としてモキュが固定化し・・・黒川芽以がモキュになったとという。実に美しい話である。

しかし、それを本人や周囲のスタッフが認めるかどうかは別の話である。

それはセンスの問題と言っていいだろう。もきゅは確かにかわいいし萌えである。しかし、原点がアザラシではアイドル女優としては絶対に受け入れられないという考え方も理解できる。

しかし・・・「ケータイ刑事銭形泪」以後、ものすごい数のチョイ役をこなしながら22歳になってしまった黒川芽衣である。

そして「リミット・刑事の現場2・第3話」のゲストで弁護士でストーカーの甲本雅裕に殺されそうになる愛人・半沢奈々役なのである。「あなたに抱かれても全然気持ちよくない」なんて言っちゃってるのだ。もう結構汚れた役回りになっているのである。モキュ・・・モキュ・・・と言いながら愛し続けるファンの気持ちにこたえてあげてもいいのではないかと思う今日この頃です。

で、『華麗なるスパイ・第2回』(日本テレビ090725PM9~)脚本・君塚良一、演出・大谷太郎を見た。今年6月に行われた欧州議会選挙で「海賊党」が1議席を確保している。「海賊党」の公約は「特許の廃絶」である。党名の由来は海賊版である。つまり・・・当然の如く、著作権も侵害する気満々なのである。創作者の権利が死後70年守られるという法律が正しいのかどうかを議論する気はまったくないのであるが・・・個人利用の目的でレコードからテープに音楽をコピーしていた時代から半世紀近くたち・・・世界でもっとも有名なネズミの権利を手放さないために著作権の延長という法改正を継続し続ける大企業もあり・・・楽しむ者の権利と作り出す者の権利の争いがそろりそろりと表面化してきている。そこには盗作と表現の自由の問題も介在するし・・・興味を持たないわけにはいかないのである。

たとえば・・・このドラマで秘密諜報員が秘密兵器を受領するシーンだって・・・オマージュやパロディーと言えば聞こえはいいがパクリだと言えばパクリである。

敵役であるミスター匠(柄本明)だって存在そのものがパクリだと言えばパクリである。

しかし・・・まあ・・・キッドはどちらかといえば表現の自由の陣営に属する。まして、今はチームで動いているわけではないからこわいもの知らずである。つまり来るなら来いやぁのアウトロー体制だ・・・ま、だれも来ないけどね。

そういう意味で・・・パクリだろうがなんだろうがどんどんやってもらいたいと思う。ただし・・・面白ければねぇ・・・。

今回、登場する敵は①マリー・アントワネットで有名な元宝塚女優のテレビドラマ初登場的な白羽ゆりの演ずるママさんハッカー・紅井令子。②現役のCIAエージェント・デーブ・スペクター演じるニセ札作りのスペシャリスト・ダラーMである。

①は株式会社のディーラーだったが、不正投資の嫌疑で逮捕され会社をクビになりそれ以後、表社会を憎むようになり夫も子供も捨て・・・ハッカーとして株式市場を混乱させ、巨額な資金を稼ぐようになった悪女。

②は元はアメリカのスパイだが対象国の通過を偽造、ニセ札で対象国に経済的混乱を起すことに特化したフリーの工作員となっているゲイ。

・・・もう・・・相手にとってすごく不足がある感じがします。

なんていうか・・・スパイとしてまったく命の危険を感じないというか。

そんなわけで主人公とヒロインが敵に捕獲され頭に拳銃をつきつけられてもまったくハラハラドキドキしません。

ただ心に浮かぶことは・・・デーブ・・・プロならさっさと引き金引いて京介(長瀬智也)の脳漿撒き散らせや。とか。

白羽はどうせ知る人ぞ知るスターでお茶の間誰だか分らない人多いんだから今ならドロシー(深田恭子)をグロテスクに真っ赤に染め上げる残虐行為に及んでも女優Aですむんだから撃っちまいなーっ。とか。

そんなことばかりなのである。

なんてったって・・・多くのスパイたちの名作に心を撃ち抜かれた過去があるお茶の間様である。「ジャガイモだけのカレーが食べたいんだ」などと哀愁っぽく言われても心はこそとも動きませんからーっ。

ま・・・某国工作員に裏側から支配されつつあるメディアで作っている番組になんか言っても無駄か・・・。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)

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2009年7月25日 (土)

てんばちゅ?(滝沢秀明)てんばちゅ(錦戸亮)天罰じゃない?(水川あさみ)やめて!(原田夏希)逆恨みはダメよ(木下あゆ美)

まあ・・・ともかく・・・作品的には「怨み屋本舗R」の足元にもおよばないムードの「オルトロスの犬」であるが・・・初回なのでタイトル参入である。

暖かい眼差しで見れば監察医・前園(原田)は幼児プレー癖がありあえて「天罰」を「てんばちゅ」と言ってかわいさをアピールしたと考えることができる。

しかし・・・やはり、舌がもつれて「てんばちゅ」になったと考えるのが自然で、ディレクターの耳が悪いのか、気にとめなかったか・・・なんにしても演出の手抜かりである。NGを出すべきところでNGを出さない奴にプライム・タイムのドラマなんか作らせるなよ・・・なのである。

一事が万事なので・・・せっかくのファンタジーも台無しの「オルトロスの犬」だった。

で、『オルトロスの犬・第1回』(TBSテレビ090724PM10~)脚本・小林雄次・青木万央、演出・加藤新を見た。ヴァンパイア、スパイに続いて超能力者もの。帝国スター主演のガッカリ・シリーズ第三弾である。脚本はチーム制採用でメインライターは「ウルトラマンマックス」「ウルトラマンメビウス」「ULTRASEVEN Ⅹ」などその手のキャリアを一応積んでいるが・・・結局、センス・オブ・ワンダーに欠けている結果を提示である。造詣が浅いのを露呈してしまうのである。

誰もが思うことだろうが・・・「オルトロス」(ギリシャ神話に登場する双頭の犬)の「犬」ってなんだよってことである。「化け猫の猫」って感じ?

とにかく・・・小学生低学年向きのドラマだってことなのだな。

大企業の社長(柴俊夫)の息子・熊切(八乙女光)は中学生時代からの麻薬常習を克服し、麻薬の売人になり、ヤク中になった女子大生を山中に放置し死亡させたりする悪い奴。

そんなワルとは知らずに仲間となった高校生・加奈(波瑠)は熊切の正体を知り、証拠の麻薬を持ち出そうとして熊切に追われ、高所から転落して脳挫傷で意識不明の重態に。

加奈から相談を受けたのに何もせず放置していたために最悪の事態となった責任を感じた高校教師・涼介(錦戸)は「悪い人たちに改心してもらおう」と説得に出かけます。

一方、麻薬の密売ルートから「女子大生白骨死体事件」と「女子高生転落事件」との繋がりを見出した女刑事・渚(水川あさみ)は単身・・・熊切を追い、熊切グループに逆襲されて拳銃を奪われ射的ゲームの的に。

そこに現れた涼介は渚の命を救うために封印していた力を解き放つ。

涼介は「殺したいと思って相手に触れば相手の命を奪う悪魔の手」の持ち主だったのです。・・・ということを知っているってことは前にも殺してるってことだよね。

しかし、死体解剖をした監察医(原田)は死亡原因を特定できず・・・「自然死」あるいは「天罰」と結論づけます。

教職を退職し、自首してきた涼介ですが法的に彼を裁くことはできません。涼介もいい大人なんだから自首する前にそのことに気がつくべき・・・さあ・・・もう・・・いい大人には耐えられない展開の連続です。

女刑事・渚の行動も行動ですが・・・所属する品川南署からは「魔王」の警視庁渋谷東署の匂いがプンプンしてきます。もうなんちゃって警察丸出しの展開が予想されます。

当然のようにもう一人の「悪魔の手」を持つ男・・・未成年で三人を殺害し、服役中の竜崎のいる刑務所は存在自体がなんちゃって的。竜崎は「触るだけでどんなケガも病気も治すことのできる手」を持っています。それを刑務所所長(六平直政)が利用してビジネスを展開中。

渚は催眠術にかかったように一般市民の涼介と殺人犯で服役中の竜崎の邂逅をお膳立てするのです・・・なぜ・・・そんなことを・・・などと言ってはいけない作品です。

そして・・・意識不明の加奈を助けたい一心で涼介は竜崎の口車に乗せられ、所長を殺して・・・竜崎の脱走に一役買ってしまいます。

そして・・・女刑事・渚はまたしても「止まらなければ撃つ」と警告しながら一発も発砲せずに拳銃を奪われてしまうのです。

竜崎以外みんなバカなので・・・竜崎も大して頭がよく見えないという最悪の展開。

もう・・・いいよね。

まあ、涼介の妹・志穂を演じるのは第9回(2003)国民的美少女グランプリの河北麻友子でアメリカ在住だったために・・・かなり寝かされていた素材だったということです。11才で受賞してもう17才だからな。なんでそんな娘を国民的美少女に選んだのかはさておき。

ちなみにその時のグラビア賞が原幹恵である。

さて・・・一応、オルトロスについて解説しておきましょう。ギリシャ神話に登場するオルトロスは怪物であり、主神ゼウスの隠し子の一人英雄ヘラクレスに退治される存在です。

ヘラクレスはミケーネ王の命令でクレタ島に牛泥棒に出かけ、ゲリオンに仕えて牛を守っていたオルトロスを棍棒で叩き殺すのです。

ちなみにオルトロスはゼウスの宿敵テュポンの息子の一人です。兄には地獄の番犬ケルベロスがいます。ケルベロスは三首(戦闘形態では三千の頭に分裂)ですので弟は頭一つ足りない哀れな子です。

ちなみにオルトロスは生前にスフィンクスの親となっています。スフィンクスは知恵ある獣ですから親の足りない頭を補っています。スフィンクスといえばエジプトのピラミッドの番人ですからいわば冥府の守り手。

ギリシャにおけるケルベロスの役割をケルベロスの弟の子スフィンクスがエジプトで果たしているということです。

それに対してスフィンクスの父であるオルトロスは牛(生けるもの)の番人ですからその辺りが「死をもたらす手」と「生をもたらす手」というアイディアを生んだのかもしれませんね。ま・・・黒魔術(暗殺術)と白魔術(医術)ですけどね。

キリスト教的な悪魔学では「ゼウス」は「全能の唯一神」に置換されますから・・・敵対する神々はすべて悪魔化されます。単に「地上から死者を受け入れ亡者が地上に戻ることを見張る冥府の番人」であるケルベロスが・・・「地獄の番犬」となり、魔王サタンの飼い犬になってしまうわけです。当然・・・その弟であるオルトロスも悪魔的な怪物になります。

もしも・・・悪魔オルトロスが人に「特別な力」を付与したとすれば・・・それは「神への反逆の道具」にすぎません。神は人間に寿命を与え・・・「死ぬまで生きろ」という基本方針を持っているからです。だから「運命に逆らって生かす」のも「運命に逆らって殺す」のも神はけしてお許しにならない。「タナトス(死)の手」も「エロス(生)の手」もともに悪魔の手にすぎないということです。

関連するキッドのブログ『魔王

              『流星の絆

で、『み屋本舗REBOOT・第3回(第2話「もう一人の復讐者」前編)』(テレビ東京0907242412~)脚本・演出・本田隆一を見た。

脚本・演出は「キューティーハニーTHE LIVE・第六話」の担当者である。前・後編スタイルで貫徹するらしい。第一話前・後編も素晴らしかったが・・・第二話もさらに素晴らしい展開なのである。どこまで行くんだ「怨み屋本舗」なのである。ちなみに十二月田は第三話に登場する模様。待ちわびるぞ。

冒頭、例によって架空番組ニュース24でキャスター・大橋未歩が伝えるのは「最近、インターネットを利用した復讐代行ビジネスが社会に氾濫している」ということである。

それは同時に人々の怨みが日常に氾濫しているということだ。

しかし新・情報屋(加藤雅也)の情報によればサイトで検索される業者は五万とあっても復讐代行業とは名ばかりで復讐代行詐欺まであるのだという。

とある企業であるTYエージェンシーでは月例の営業成績発表会が行われている。トップはいかにも好青年の久里浜(野村修一)で最下位はいかにも三枚目の興津(山本浩司)である。山岸社長(団時朗・・・言わずとしれた帰ってきたウルトラマン)から叱咤を受け、久里浜から激励された興津は・・・女子社員からも人気の久里浜を冷たい眼で見る。

一方、山岸社長は山岸社長で秘書の佳恵(池永亜美)に対してパワー・ハラスメント。社長室で刺激的なプレーを求め、下半身にためたものを佳恵の口で解放してもらうのだった。低学歴のための失職の危機に佳恵は屈辱の涙をこらえて性の奉仕なのである。音声的にお茶の間の限界を超えた演出になっています。・・・まあ・・・これを家族で見ている家庭は性的解放の限度を越えているよね。

そこで怨み屋(木下)登場である。興津は久里浜の社会的抹殺を依頼するが・・・「それは逆恨み」だからと依頼を断る怨み屋だった。「営業成績が悪いのは久里浜のせいではないし・・・女子社員があなたの悪口を言うのも久里浜のせいではない。すべてはあなた自身の責任・・・人を呪わば穴二つで・・・逆恨みをしてもロクなことにならない」と無料アドバイスである。

「だって憎いんだよ・・・久里浜の存在そのものがオレを傷つけるんだ」とダダをこねる興津だった。

そして・・・インターネットで別の復讐代行業者を選び出す。興津が選んだのは「復讐チーム・大多喜商会」だった。ホームページがあっさりしているところが興津の信頼性を高めた模様。

公園で会うと代表者は大多喜(中村有志)だった。「料金はAコース50万円、Bコース100万円、Cコース200万円」となっており・・・スカッとする度合いが違うのだという。

しかし・・・興津は50万円を選択する。50万円あればどれだけスカッとする方法があることかと思うが・・・病んだ心の興津に言っても仕方ないのである。

一方・・・山岸社長に弄ばれた佳恵はクラブ「エゴイスト」のママ・水科マキ(夏目ナナ)に泣きつくのだった。元々、お店のホステスだったらしい。それを山岸社長が専属性奴隷を兼ねた秘書として雇用したのだろう。秘書としての仕事を懸命に努める佳恵はもうひとつの役目に屈辱を感じるようになったのである。

マキは「私はあなたの親代わり・・・女を玩具にする社長はこらしめてあげる」と申し出る。

大多喜商会には大多喜の他にいかにも一般人ではない通商・大蛇(緋田康人・・・時効警察の蜂須賀である)といかにも普通人ではない樋渡(大堀こういち・・・ケータイ刑事シリーズのもう一人の鑑識柴田である)がいてラジカル・ガジベリビンバ・システム・ビシバシステム・ナイロン100℃な三角形を構築しているのだった。

彼らは久里浜家を襲撃すると久里浜に暴行して右腕骨折頭蓋骨陥没など全治六ヶ月の重傷を負わせ、久里浜の妻・久美(天彩音のん)に成り行きで性的凌辱を加えたのだった。

一方・・・山岸社長を「特別接待」にご招待したマキは「赤ちゃんなのに反応したらいけないプレー」で55才の帰ってきた赤ちゃんマンを昇天させると・・・その一部始終を収録したビデオを山岸に見せ・・・「これを会社で配布されたくなかったら慰謝料あわせて2000万円、そして会社での佳恵に対する不当な性的要求の禁止」を誓約させるのだった。

一方、自分の依頼がとんでもない事態を招いたことにクレームをつける興津だったが・・・大多喜は興津の依頼時の音声録音をつきつけ・・・「残金は500万円」と通告。もはや恐喝屋である。

切羽詰った興津は再び怨み屋に泣きつく。「300万円で大多喜を始末してほしい」なのである。怨み屋は謎の笑みを浮かべて「しかるべく」なのである。

その頃、東京ベイテレビの報道局では星影記者(長谷部瞳)が上司の城島(田中哲司)から「夫婦襲撃事件」の取材を命じられていた。

犯人探しを楽しむお茶の間のために編集マジック炸裂である。

「基本的にいい奴だけど・・・昔金を貸したことがあった」(友人)

「基本的にいい人だけど・・・昔、別れ話がこじれたことがあった」(知人)

前段をカットして金銭的トラブル、恋愛関係のもつれなど犯行動機を捏造である。テレビ報道の基本的演出方法です。念のため。

そのニュースを病床で見て愕然とする久里浜・・・。

さらに・・・クラブ「エゴイスト」ではマキと大多喜が密会していた。復讐代行業の業者同志の業務提携である。さらにマキは大多喜に強力なライバル企業である「怨み屋」の抹殺を1000万円で大多喜に依頼するのだった。

マキの呼び出しに応じて大多喜商会の待ち伏せを食らった怨み屋。

「女には気をつけることね」と注意をするが大多喜は「遺言として聞いておこう」とニヒルに応じる。

樋渡を倒した怨み屋だったが大多喜、大蛇の連射により・・・ついに被弾。

水中に転落し・・・無惨な姿を水面に浮かべることに・・・つづくである。

しかし・・・アクションがこなせる女優は・・・貴重だよな。脱ぎもしないし殺陣もできない女優ばかりではやはりものたりないものがありますからーっ。いや・・・そういう人がいてもいいんですけど・・・それが主流じゃね・・・。存在するものをないと言い張るバカばかりになってしまいますからーっ。

関連するキッドのブログ『先週の怨み屋

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)

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2009年7月24日 (金)

兄でもないのにアニキと呼び親でもないのにオヤジと呼ぶ世界(草彅剛)小さい男と悪趣味の女(黒木メイサ)黙って鍵を替えるなよ(水崎綾女)

最後だけ「猿ロック」*7.4%である。第1回ゲストで水崎綾女登場。

鍵屋の猿丸(市原隼人)に鍵紛失と称して、愛人の部屋を開けさせ、鍵が開くやいなや「てめぇ・・・アタシに内緒でカギ替えてんじゃねぇぞコラァ」と室内に隠れる愛人をボコボコに。女「どんなに鍵を替えたってアタシの魅力にイチコロのこの鍵屋さんが何度でもあけてくれるんだよ」猿丸「・・・二度とあけません」である。

このツカミだけしか面白くなかったが・・・アクションスターとしてキレのある演技を見せる水崎・・・さすがだ。

シスター・ミキは「ゴーストフレンズ」からココで。ハニー(原幹恵)は「夜光の階段」があったわけだが、シスター・ユキ(竹田真恋人)はどうしたのだ? オーディション落ちまくりなのか。

意味不明の方はコチラへ→キューティー・ハニーTHE LIVE

「猿ロック」は「33分探偵」の福田雄一の脚本。アレが面白かった人はそこそこ楽しめる感じ?

で「任侠ヘルパー」は↗14.2%と絶対防衛ラインをキープ。地デジ大使にも復活を果たしたし、草彅剛も視聴率の計算できる男に復活か。今シーズンは今夜の「オルロトロスの犬」もくわえてナンバー2の座をかけて剛、山P、香取、タッキー&錦戸、長瀬が激突の気配。結局・・・帝国の支配はまだ続くのか・・・。

そういう意味ではどんなおバカな大河でも孤高を守る妻夫木、小栗旬、松田龍平の反乱軍や、復帰待ちの古豪・江口洋介にもがんばってもらいたい今日この頃である。女の子の好みだって多種多様なんだからぁ。

「ふたつのスピカ」→*3.5%はお涙ちょうだい展開に突入。しかし脚本・荒井修子である。エロ本展開をそつなく挿入はさすがだ。来週、桜庭ななみの鴨川アスミ見納めです。

で、『任侠ヘルパー・第3回』(フジテレビ090723PM10~)脚本・古家和尚、演出・石川淳一。ヤクザは擬似家族である。他人が兄弟の盃をかわし、親分子分は親子関係で家族でもないのに一家を構えるのである。かって・・・戦争で大量に孤児が発生したとき、実の親はもちろん、国家も面倒を見ない浮浪児をヤクザな人々が面倒を見たという時代があった。彼らは否応なくはみ出した子供たちに躾をし、行儀作法を教え、渡世の義理で縛ったのである。

だから・・・ある意味・・・実の子に見放された親を介護するヘルパーたちは本質的にヤクザなのだと言える。

祖父でないのにおじいちゃんと呼び、祖母でないのにおばあちゃんと呼ぶのがその証拠だ。

だから・・・介護の世界に紛れ込んだヤクザたちが妙に面倒見がいいのは・・・習性としてリアルなのである。

彼らは親でもなければ兄でもないのに子分や弟分にヤキを入れるのを務めとしているのである。まあ・・・それが是か否かはそれぞれの幸福度によって変わるでしょうが。

だから・・・妙に面倒見のいい翼彦一(草彅)が羽鳥(夏川結衣)の息子の涼太(加藤清史郎)の喧嘩の腕を磨かせながら、「アニキのママはどんな人?」と聞かれて「覚えてないな・・・」と遠くを見るのは実に基本である。本当の親の味を知らないから極道なのである。

一方、やはり妙に面倒見のいい四方木りこ(黒木)は血縁で跡目継承という極道の別の顔をのぞかせる。擬似家族の中で実の家族は高貴な家柄だからである。非合法の実力社会にあって血縁という非実力的要素は軋轢の元でもあるが・・・擬似家族の中で絶対的価値を生ずるものでもある。極道者でもわが子はかわいいという神秘が存在するからだ。

もちろん、一般社会でわが子を殺す親がいるように心理の中の父性や母性は絶対的なものではない。しかし・・・子供を溺愛する心理はある程度まで普遍性を持っている。

ただの不良娘だったりこ・・・おそらく親がヤクザだったからだろう・・・は同じ血を引くヤクザの兄に守られて育つ。兄が死んだ時「お前は組を継がなくていい」と肩の消化機能を促すツボを抑えられたりこは・・・複雑な気持ちで跡目を相続するのである。

義理と人情秤にかけりゃ義理が重たい世界だからである。

そんな・・・りこがふと関りあった認知症の自宅介護サービス利用中の老女・節子(森康子)・・・孫の高志(忍成修吾)と二人暮らしだが・・・虐待の形跡を発見。

そしてありえない偶然として・・・高志はりこの縄張りである池袋で麻薬を販売するアマチュアのヤクの売人であった。

りこの血縁世襲を面白く思っていない四方木連合・若頭の久米(田中哲司)は「素人になめられちゃ・・・この稼業はやってられねえ」と高志の行方を追っている。

節子が孫の高志から虐待を受けていると疑うりこと堅気ヘルパーの晴菜(仲里依紗)は節子の自宅に一般人として度々訪れる。そこに立ちはだかる他人の壁。

りこは節子に「ヘルパーは所詮、他人だから」と言われてしまう。

一方、「手柄たてたいなら用心深くやれ・・・」という彦一は関心のない素振りを装いながら高志を尾行である。

虐待の現場を押さえようと罠を仕掛けたりこが高志に逆襲されると腰の入ったパンチでピンチを救う。

りこ「どうして・・・」

彦一「何かあったら・・・連帯責任だからな・・・」

いや・・・単に面倒見がいいのである。あるいは人類は一家。人は皆兄弟的なのである。

しかし・・・結局・・・高志は四方木連合の網で捕獲。結局、面倒見のいいりこは山中か海中に処分される前に高志に情けをかける。それはヘルパーとしての擬似家族である節子の唯一の血縁だからである。

「自首して服役してばあちゃんのところへ帰って来い」なのである。

まあ・・・その時まで節子の寿命が持つかどうかは別として。

結局・・・老人介護施設タイヨウに収容される節子。しかし・・・隠されていた認知症の症状はりこや彦一の想像を上回っていた。徘徊そして乱暴狼藉である。

結局・・・身体拘束を余儀なくされる節子。自傷行為があるために仕方ないのである。

羽鳥は「わかったでしょう・・・ヘルパーは家族じゃないのよ」とりこと彦一に告げる。

しかし・・・それは堅気の理屈である。

半分堅気のりこは落ち込むが・・・全うな極道である彦一は「明日も早いぞ・・・」と面倒見のいい声をかけるのだった。

実の親でもない親を持つ極道にとって・・・ヘルパーとしての老女は祖母と同じだからである。とにかく・・・任侠の世界ではそうなのだ。

もちろん・・・彦一にとってりこはすでに妹分なのである。

まあ・・・こういう妄想における論理の飛躍はヤクザ美化のそしりを免れないが・・・まあ堅気の世界だって相当に美化されているのだからいいかと思う。

その証拠に建ててはいけない場所に施設を立て・・・犠牲者を出しても仕方がなかったと誰も指を詰めないのである。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『リミット・刑事の現場2』(NHK総合)

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2009年7月23日 (木)

キミの笑顔のためになら金に糸目はつけない(大泉洋)お母さ~ん(八木優希)

インスリン依存型糖尿病あるいは1型糖尿病の旧称が小児糖尿病である。飲み薬は無効で毎日インスリンを注射しなければ死に至る。血糖値が異常にはねあがるので食事制限も必要となる。そういう病気の小学生・千佳(八木)にお菓子を買い与える赤鼻のセンセイ(大泉洋)だった。ちなみに娘に対してやや苛酷な千佳の母親は芳本美代子である。この日は徹子の部屋に夫婦で出演もしてました。みっちょんの日か。

水曜日のダンスは・・・「落日の世界水泳」*7.4%のためにまたしても変則。

「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%・・・・・・・

「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%↗10.2%

「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%↘*8.2%

妻は夫の不在でフタケタ復帰だが、センセイはさらに下降・・・脚本家もチェンジである。「アイシテル」にはしてやられた「赤劇場」がつまらない笑いにこだわるドラマに風を受けている模様。まあな・・・まえだまえだを見た瞬間にもっと面白いものを思い出すシステムだからな。・・・なぜ、そんなことを?

で、『赤鼻のセンセイ・第3回』(日本テレビ090722PM10~)脚本・根本ノンジ、演出・吉野洋を見た。「セクシーボイス アンド ロボ・第五話」の脚本家投入である。黒川智花、仲里依紗、入山法子、高瀬友規奈、木南晴夏など現役・なんちゃってを大量投入した女子高校生ものの回だった。テーマは「青春なんだから楽しいことしよう」で・・・今回の内容とも符号する。「夏休みなんだから楽しいことしよう」なのである。

後先考えない行動力と社会的常識の欠落・・・それは主人公としてはあってもいいキャラ設定なのだが・・・その人が教師だと知ればわが子を預けたいと思う親は少ないだろうし・・・まして難病の子供たちを教える院内学級の教師となると・・・抹殺したい存在感を帯びてくる。

なにしろ・・・ポケットマネーで児童にお菓子を買ってしまうのである。それは児童たちが自宅に遊びに来た時にお茶菓子を出すのとは違うのである。まして・・・相手は食事制限を受ける糖尿病患者なのである。

もう・・・ダメだ・・・こりゃ・・・なのだな。いつか・・・生徒を殺すよ、この教師は・・・という予感で胸が一杯です。

もちろん・・・援助交際で金銭感覚が麻痺してしまったために・・・他人の家の子に売店でお菓子を買ってあげることに違和感を覚えない人も多いだろう。しかし、キッドは違和感を覚える。それはケジメというものだろう。

ま、そういうキャラなのだからしょうがないか・・・とも思うのだが。

話としては①糖尿病の患者・千佳が入院。「薔薇のない花屋」では父子家庭だが、今回は母子家庭。母親に迷惑をかけないようにインスリン注射も自分でてきるいい子である。②担任は小学生学級担当のシルク(小林聡美)だが赤鼻のセンセイは「入院の歓迎会」を開催しようとはしゃぎ始める。③家計簿までつけ母親を助ける千佳だが仕事を理由に見舞いにも来ない母親恋しさで食べてはいけないものを食べ容態を悪くすれば母親が来てくれるのではないかと考える。④バカが千佳にお菓子を買い与えて院内騒然。千佳は生命の危機に瀕する。⑤千佳の真意を見抜いたシルクが母親に説教、母親が激昂。⑥「歓迎会」を自粛した赤鼻だったが・・・感じるところのあった生徒トリオ(神木隆之介・須賀健太・高良光莉)が開催を後押し ⑦桜山総合病院には専属美術スタッフがいるとしか思えないフェスティバルが開催され屋上で母娘抱擁でハッピーエンドである。

もう・・・後半のありえなさはドラマだから目をつぶるが・・・ドラマとしても非常につらい場面がいくつかある。

たとえば・・・「子供を大人扱いすることで母親としての責任を放棄している」「それは結局、母親のあなたが子供に甘えよりかかっているだけだ」とシルクが千佳の面前で千佳の母親に意見をするシーンである。

これは子供の前で母親を侮辱することになり・・・結局、子供の心を深く傷つけるだろう。

シルクのキャラ設定からあってはならない行為なのである。

ここは・・・別室でシルクと母親が語りあうという展開にする必要があった。

シルクの爆発前に院長(上川隆也)が二人を別室に移しそれを赤鼻や生徒たちが盗み聞きという展開である。

この脚本家はアイディアマンであるので「院内を山に例えて登山。屋上は山頂」とか「山彦を黒子となったシルクが返す」などと素晴らしいポイントがある。しかし、トータルで考えるドラマではつなぎがちくばぐで感動に至らないのである。

これは最後のブラッシュアップ(磨きあげ)が不足しているのである。

たとえば難病の子供を抱え精一杯の母親・・・という点を考えれば最後の花は母親に持たせ・・・母子が笑顔を取り戻して抱擁となるのがセオリーである。

ドラマでは①山彦をシルクがしつくす・・・母子抱擁・・・赤鼻が山彦を求めるがシルク退散でオチという流れになっているが・・・。

ここは・・・①山彦を途中までシルクがする。②千佳が叫ぶと山彦は母親に。千佳は母親に言いたかった「もっとお見舞いにきてほしい」「元気になって一緒に遊びたい」「いつもありがとう」「お母さん大好き」などを叫び・・・母親は途中で涙にくれる・・・そして抱擁である。

まあ・・・タレント行政的な問題もあるでしょうが・・・こういう涙のダンドリでなければ「赤劇場」の「プロのお笑い」には対抗できないと考えます。

結論・・・小林聡美は神様ではないということです。

それにしても相変わらず香椎由宇・・・ヒロインとして見せ場作ってもらえないのな・・・。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

               『セクシーボイス アンド ロボ

                『薔薇のない花屋

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『メイド刑事』(テレビ朝日)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』『榮倉奈々の幸せの贈り物』(TBSテレビ)さて・・・初回のラス前である。どうでしょうか? 

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2009年7月22日 (水)

どういうつもりなのかしら・・・(加藤ローサ)わからない(中山優馬)こっちのセリフですよね(桜庭ななみ)

さて・・・月曜日は頭の中が中森明菜(初期)の歌で一杯になるのだが、火曜日はマッチである。・・・深い意味はありません。しかし、「ギンギラギンにさりげなく」とかちっとも蘇ってこないのだな。

マッチが時々・・・次長課長の河本に見えるのである。「お前に吸わせる血液は無ぇ!」とか言いそうだ。言わないわよ。そうですか。

で、本番前だが火曜日のドラマ対決は①「小島楓」↗15.0% ②「恋して悪魔」↘*6.4%

うっふ~ん。である。たしかに20代の松嶋は貴重だしな。須藤理彩さえハットリくんでなく菅野美穂に見えたりするほどだ・・・見えるかっ。甘々のストーリー展開もダイジェスト編集でスマートに見えるのである。次回は松雪泰子パートに突入だがフィーチャーされるのは宮迫か・・・。なるべく木村多恵多めにしてもらいたい。

ドリカムも「朝がまた来る」から「いつのまに」にチェンジしてそして「何度でも」でしめて、第4シリーズ「その先へ」へ突入か・・・。期せずして「お待ちかね」になるのか「待ちくたびれ」になるのか・・・。

で、『恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ・第3回』(フジテレビ090721PM10~)脚本・大久保ともみ、演出・根本和政を見た。脚本家チェンジである。ここまで演出家も毎回チェンジなのであるが・・・もう誰がやっても・・・状態に突入。

基本的に次の二点の「謎」から問題点を考えてみる。

①「黒宮ルカ(16)と10年前に海で事故で死んだ歩(享年16)の関係」

②「ヴァンパイア・システム・・・このドラマにおいてヴァンパイアとは何者か」

さて、生徒であるルカとヒロインである高校教師・夏川真琴(加藤)の特殊な関係は「ルカが真琴の若くして死んだ恋人にそっくり」という点に起因する。

これまでのところ、その関係は真琴の心の内でルカに対する特殊な心情を抱かせている要因でしかない。

つまり・・・真琴が「ルカは死んだ恋人にそっくりなので気になる」だけである。

これに対していくつかの展開が考えられる。

①最後までただそっくりだったということ。

②実はルカは歩だったという展開。

①でやる場合は・・・なんでそんな設定にしたんだという疑問がわくばかりなので放置する。

②の場合は「何故、歩はルカになったのか」という問題が浮上する。

その場合は「ヴァンパイア・システム」が綿密に構築されている必要が生じるのである。

で・・・その点については「システム」とともに後述する。

さて、「ルカ・歩同一人物」の場合、現在、3話を消化してそれを明らかにしていないのは・・・視聴者をあっと言わせたい気持ちが作り手にあるということが想像できる。あるいはそれが判明したら話が終わりというようにしかアイディアを持っていないのである。

そのために・・・話はほとんど進展しない。なぜか・・・ルカは運命の女として真琴を選び、そしてなぜか・・・ヴァンパイアとして必要な吸血行為が真琴にしかできず、さらになぜか・・・その行為を全うすることができない。

1~3話までまったく同じ展開である。

もちろん・・・年齢よりも幼い発達障害の男の子が転校という環境変化によって友人ができたり、周囲の人間関係に悩んだりする成長物語としてはエピソードはあることはあるのである。だが・・・それならヴァンパイアである必要はないだろう。

簡単に言えば・・・些少無理があっても・・・高校時代の加藤ローサのなんちゃって女子高校生を全面に押し出すしかなかったのだ。そこで10年前の青春を濃密に描くことでしか、二人の隠された関係を隠しておくことはできないからだ。

10年前、二人が登校中にトーストくわえて自転車で衝突し、交際開始、デートしたり、三角関係に悩んだり、ファーストキスしたり、海辺でケンカして泣きながら帰る道だったり、初めての夜だったり、エトセトラを度々、真琴が回想するという作りにすれば良かったのである。その思い出の積み重ねがルカに対する複雑な感情を物語るのだ。

今回の同級生半田(中島健人)のエピソードなんかは回想向きなのである。

10年後の半田ポジションの人間はもっと攻撃的で陰湿な方が面白いからである。

そんな回想をまぜながら・・・新人ヴァンパイアとしてもたもたしているルカを描く分には話の進まなさももう少し解消しただろう。

さて・・・そこでヴァンパイア・システムである。

ここまでは次の点が明らかになっている。

①人間界からは見えない場所にヴァンパイアの世界がある。

②ヴァンパイアは人間の女性(運命の女)から吸血することで永遠を手にいれる。

③最初の牙発現から次の満月の晩までに吸血しないと塵となるらしい。

④日光には過敏だが白昼もフードがあれば行動できる。夏ドラマとしてはそれだけでもう暑苦しくて嫌な感じ。ニンニクは苦手だが餃子が自慢の店にあえて下宿する。パジャマの十字架模様は苦手。女の涙に過度に反応するが入水可能。

⑤カメラには写らないがピアノには映る。

⑥ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を愛読している。

⑦瞬間移動したり、念力で鍵を破壊したりできる。

まあ、実になんとなくヴァンパイアなのである。まずこの「システム」において最大の謎は「吸血された女性のその後」である。

一応、オーソドックスに考えてみると・・・吸血された女性はヴァンパイアになるものだが・・・ここでは案内人のカイト(近藤真彦)が「相手を殺してしまう場合がある」と言っているのでこの「システム」ではそうではないらしい。

「人間」と「ヴァンパイア」は別の種族であり・・・「生かさず殺さず寿命まで吸血対象となる」のが「女たちの宿命」なのかもしれない。

もしそうだとすれば・・・人間のように人間の女を愛してしまったルカの悲劇的な未来が予想されるのである。

「自分だけが生き残るのなら・・・塵になってしまいたい」という愛のカタチがあるからである。

もちろん・・・これは恋愛観の問題である。ともに白髪が生えるまで愛し合うことが美徳とされるのはあくまでやがて死滅する人間のものであって、相手もヴァンパイア化すれば「永遠夫婦」はどれほど倦怠することか想像もできないのである。

次に異種の生殖の問題がある。もしも男性しかヴァンパイアになれないとしても、ヴァンパイア(男)と人間(女)によって増殖が可能となる。その場合、母や娘は老衰で死に・・・父と息子は永遠を生きるのだ。それはそれで一つのロマンなのである。

また、古くは高貴な血を持つ貴族的な男性ヴァンパイアとゾンビ化した花嫁たちの構図がある。彼らは人間より永く生きるがゆっくりと老衰していく。

古い城に収められた・・・棺桶のベッドと・・・薔薇園に眠る愛人たち・・・これが恐ろしくも美しいのがヴァンパイアものの基本なのだ。

まあ・・・そういう定番を無視してなんとなくヴァンパイアをやられてもな・・・なのだが・・・ここはもう少しだけ考えてみる。

このシステムでは歩は一度死んで生まれ変わったという「手」はある。人間からヴァンパイアへの輪廻転生だ。しかし・・・それは宗教色が強くなりすぎるのでいただけない。

そうなると・・・「高貴な血」と「人間の血」という「手」がある。

「人間」をヴァンパイアにするのは「高貴な血」である。それは男ヴァパイアから人間男への吸血行為として表現してもいい。この場合、人間はヴァンパイア化するのである。つまり・・・カイトとルカは恋人同士なのだ。

ルカが女から吸血するのを尻込みする理由でもある。

つまり・・・海で溺れた歩(人間)はカイトによって救助され・・・カイトによって吸血され・・・眠りにつく。そして10年後・・・ルカ(ヴァンパイア)として目覚めるのである。

10年の間に人間としての記憶は払拭されている。しかし・・・その心の奥には恋人の真琴の記憶が眠っているのである。

この「手」ならばなんとか・・・辻褄も合い・・・ルカの中で葛藤も適度に生じるだろう。

ちなみにドラキュラが十字架を恐れるのは神が実在する世界の話であり・・・ドラキュラ自身が信仰を失う以前は敬虔なクリスチャンだったからである。

聖書を読んだこともなさそうなルカが十字架を恐れるなんてあまりにもなんとなくが過ぎるのだなあ。

まあ・・・ヴァンパイアの憂鬱も知らず・・・コントみたいな展開を続けるのはいい加減にして欲しいとキッドの横でドラキュラ伯爵の娘の愛人の息子の娘の息子の息子の娘が赤い目でブラッディーマリーをなめながら・・・獣のような息を吐きかけつつささやきかけるので・・・それだけは記しておきます。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

それでも光陽学院高等学校2年3組の座席表が気になる人はコチラへ→飯縄遣い様の恋して悪魔

木曜日に見る予定のテレビ『桜庭ななみのふたつのスピカ』(NHK総合)『猿ロック』(日本テレビ)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『東京少女桜庭ななみ』(TBSテレビ)

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2009年7月21日 (火)

上手なキスでもげっ無我夢中でバ~カ(北川景子)はじめてのブザービート(山下智久)んー?(相武紗季)

そこそこのキラー・コンテンツ「はじめてのおつかい」15.7%の裏で「ブザー・ビート」↘13.5%である。「TVタックル」が13.5%で「20世紀スポーツ名勝負ライバル伝説」が13.3%・・・実にしのぎを削る月9になっている。だから・・・この数字はよくしのいだと言えるだろう。後は「婚カツ!」で逃げ出したお客さんがどれだけ戻ってくるかの問題だな。

緻密な脚本に・・・キムタクをのぞけば唯一数字が計算できる男性スター山P(松本潤は「スマイル」で脱落)、そして濃密に描写される乙女心。

絶対に負けられない戦いが展開されている。

さて・・・前回に続いて登場する「A DAY IN THE LIFE/THE BEATLES」のピアノ・ソロ。今回は莉子(北川)とヘッド・コーチ(伊藤英明)のデートするピアノ・バーでさりげなく流れて出すという趣向である。しかし・・・それは菜月(相武)を送る直輝(山下)の場面へと流れこんでいく。休日を過ごす二組のカップルの「人生のある日」だからな。そこで菜月は二週連続のキス・シーン。そして今回が交際中の恋人とのキスなのである。そして・・・キスの熱烈さは前回の方が高いのである。すでに黒の天使となった菜月・・・おシャレである。

本当に久しぶりに歯ごたえがあってねっとりとした脚本です。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「コールセンターの恋人」↘*5.6%(ついに電池切れたか・・・手動充電回すか?・・・赤道カイロよどこへ行く)、「不死鳥の騎士団」20.5%(はじめてだものね・・・すごいしね)、「華麗なるスパイ」15.6%(夏休みの勝利かっ)、「踊る大捜査線TM2」16.6%(なんどめだ・・・君塚合計32.2%)、「リミット」↘*5.1%(君塚にお手上げ)、「天地人」↗21.9%(そして遠山はいなくなった)、「官僚たちの夏」↗10.6%(国民全員と全世界が納得する結論なんてないんですよを教えてくれるドラマ・・・吹石は一人英語でしゃべらナイト)、ついでに「ハンチョウ」↗11.6%(奥貫薫と浅野ゆう子で最終回)・・・以上。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・第2回』(フジテレビ090720PM9~)脚本・大森美香、演出・永山耕三を見た。たとえば最大の疑問として・・・山Pみたいな容姿に恵まれた人間が崖っぷちに追い込まれることなんかあるのかよっと拗ねてしまう人はドラマなんか見るなよっと言っておきたい。山Pはあくまでものすごい崖っぷちに追い込まれているヒーローであるプロ・バスケットボール・プレイヤー・上矢直輝を演じているのであってもちろん・・・見事に演じきっているのである。

ものすごい崖っぷちにいます。

まず、日本でプロのバスケットボール・プレイヤーであることがすでに崖っぷちなのである。

もちろん・・・スポーツ選手というものはどんな競技だって崖っぷちに立っている。何年、何十年と練習を積み上げ、ライバルを倒し、頂点を目指していても一瞬のミスや場合によってはミスなしでも負傷して・・・そして競技生活を失ってしまうことがあるからだ。

しかし・・・直輝の場合の最大の崖っぷちは自分がそういう立場であることに気がついていないという気配が漂うことである。

なぜなら・・・彼は無我夢中で生きているからだ。

けれど・・・彼は最近そこはかとない不安を感じている。それはプロとなって以来、技術が伸び悩んでいること。プロとしての体格の不利。そして成績不振。さらに契約更新による年棒の下落である。・・・いい加減、自覚しろよ・・・なのである。

しかし・・・彼は小学生の時、ブザー・ビート(試合終了間際のゴール)で勝利を掴んで以来・・・10年以上も夢を追いかけてきたのだ。

しかし・・・そろそろ・・・自分の人生を見据える時が近付いていたのである。

彼は思う。「いつまで夢を追いかけていられるのだろうか?」

疑問を持つことは大切である。

とある休日。直輝は恋人の菜月を自宅に招く。二人の交際は二年以上も続いているらしい。直輝は自分の愛する家族と恋人と過ごすことがとても「よいこと」だと思っている。家族たちも聡明で美しい菜月を好ましく思っている。妹の優里(大政絢)は菜月に会えると思うとうれしくてテンションがあがるほどだし、母親の真希子(真矢みき)は息子が不安定な立場にあることをある程度自覚していて菜月のバックアップに期待してる。できれば菜月を逃がしたくない。

菜月はにこやかに上矢家を訪れ・・・おしゃれなお土産を持参し・・・優里にはバースデイ・プレゼントの花束を用意するなど・・・気を使い愛想をふりまき肩がこるのだった。

直輝にとって素晴らしい家族も菜月にとってはもし直輝と結婚したら姑と小姑になる人間にすぎない。それはどんなに心優しい人間だったとしても時には鬱陶しい存在なのだな。

訪問中に菜月の携帯電話を鳴らすのは直輝のチームの新参者。代々木(金子ノブアキ)だった。菜月は「一度寝たくらいでいい気にならないで・・・あれは遊びよ」と代々木を罵倒するが・・・M気質である代々木は身悶えるのだった。

その夜の菜月の不在がふと話題になり狼狽する菜月。

しかし・・・菜月が優里に贈った花束にはチューベローズが紛れ込んでいた。チューベローズ(月下香)の花言葉は「魅惑的で危険な関係」である。

彼女もまた不安を抱えている。

彼女を送りに出た直輝のキスは・・・情熱を欠いている。

チュー・・・ベロ・・・ウズ・・・ではないのである・・・おいっ。

夜の街で彼女の不安はたちまち不満に姿を変えていくのだった。彼女は鬱屈した気持ちを煙草の煙で紛らわせようとするのだ。

直輝は公私ともにまさに断崖絶壁に立っている。そしてそのことにまだ気がついていないのだ。

一歩足を踏み出せばまっさかさまに堕ちてdesireなのである。

しかし・・・今回は莉子のターンだった。冒頭のあらすじを受けて・・・バスケット・ゴールのある空き地・・・あるいは「愛は力」公園で知り合った直輝と莉子はお互いの名前も知らないままおしゃべりをするようになっていた。

どちらかと言えば大胆で無防備な莉子は直輝の手作りおにぎりをいただいてしまったりしている。

その上・・・「バイオリンなんてならうような裕福な家庭じゃなかったのに・・・小学生の時からバイオリンに惚れこんで公務員の親に無理をさせてきた。大学入試用のヴァイオリン購入のために親は私の結婚費用の積み立てを解約したので私は結婚式のできない女。それほど執着したバイオリンなのに・・・それで生計を立てることができないことに・・・悩んでいる」などとざっと身の上話も打ち明けてしまう。

直輝は莉子の話に相槌を打ちながら・・・「子供の頃からの夢を追いかけているところは似ているが自分は一応それで食べているんだからマシか・・・」などと思っているのに違いないのである。

そして・・・直輝と菜月が家族ぐるみのデートをしている頃、莉子とルームメイトのプロのフルート奏者・麻衣(貫地谷しほり)は期せずして直輝のチームのヘッド・コーチ川崎とチーム・キャプテンの宇都宮(永井大)を相手にダブルデート中である。

ヘッド・コーチは莉子狙い・・・その店は生演奏を聞かせる店でお金を稼ぐバイオリニストを目の前にした莉子は複雑な気持ちになるが・・・ヘッド・コーチは強引に交際申し込みをするのだった。

莉子と麻衣は音楽大学在学中にそれなりの恋愛体験を積んでいるが現在は彼氏がいない。麻衣は「新しい恋」にむかってやる気満々で・・・莉子もまたなんとなく恋をしたい気分になっていく。孤独な菜月と違い・・・莉子は麻衣に癒されて流されるのである。

そして・・・二人と一人は夜の街ですれ違う。

たわいもなくおしゃべりな莉子と麻衣・・・そして押し黙る菜月だった。

もちろん・・・お茶の間には菜月の光と影が強調されるのだが・・・実は・・・莉子もそこそこ暗がりを持っていることがそれとなく暗示されるのである。

麻衣はオーケストラに受かり・・・莉子は不合格だったからだ。

たとえ・・・デートで莉子が麻衣よりも些少もて気味であったとしても莉子の心の中には不満がくすぶるのである。喫煙の習慣のない莉子はその鬱屈を夜空に吐き出す術を持たないのだった。

ここで・・・防水機能のない形態電話をバスルームに持ち込み、菜月からの帰宅メールを律儀に待ち・・・無意味な安堵を得る直輝の入浴サービスがあってようやくタイトルである。

なんと濃密な流れではないか。先週、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」が流れてからキッドの脳裏には「傘がない/井上陽水」を経て「飾りじゃないのよ涙は/中森明菜」に到達し・・・中森明菜が流れっぱなしである。

そのために・・・まさにじれったい じれったい 何歳にみえても 私 誰でも じれったい じれったい 私は私よ 関係ないわ 特別じゃない どこにもいるわ ワ・タ・シ 少女Aの菜月はもちろん・・・莉子もまた中森明菜的であることが確信として存在する。

・・・頭、大丈夫か。

まあ・・・とにかく、その後はコーチと莉子のはじめての単独デート・・・年齢的に後がなく性急でウソツキで上手で強引なキスにより莉子なんとなくもげっモードに突入、「モップガール」ほどのキャラを「キミ犯人じゃないよね?」で確立できなかった麻衣に「私にはB子がある」とキャラの退行現象を起させたりハゲ新郎の結婚式でフルート吹いたり・・・あれほど菜月と一緒に過ごしたいと迫っていたくせに子供向けバスケットボール教室で直輝が明かした「子供の頃の思い出・・・彼氏の知らなかった一面」に菜月の心が揺れお部屋デートに誘われたもののゲームしたら帰るという直輝のワガママな行動に菜月の下半身立ち往生を経て、菜月の代々木締め出しプレーなどあって・・・菜月、菜月の部下のセーラー・ヴィーナスしおん(小松彩夏)、メールアドレスをさりげなく交換して麻衣とのフラグを立てた秦野(溝端淳平)や麻衣、ヘッド・コーチ、代々木などすでに複雑な関係になっている一同が会す、直輝の母校チームとの練習試合がスタートである。

コートの中に「バスケットが上手でおにぎりもくれた近所の大学生」を発見した莉子は脳内に予期せぬ認知のドーパミンが放出され、軽い興奮状態に・・・「あの子・・・知ってる・・・あの子・・・おにぎりくれた・・・私がファン1号・・・なんで試合に出ないの・・・」

自分のプレーに対する懐疑から自信を喪失し・・・スランプに陥っているとコーチに判断された直輝はスターター(先発)になれずベンチを暖めていたのだった。

コーチはそれによって直輝の魂に火をつけようとしたが・・・失敗である。

コートに送り出した直輝は不甲斐ないプレーを連発するのだった。

「子供からの夢を追いかけている・・・でも不調」という直輝の中に鏡に映った自分を発見する莉子。ああ・・・あれが・・・今の私・・・そんなの許せないである。

やはり・・・莉子もまた中森明菜だったのだ。愚図ね カッコつけてるだけで何もひとりきりじゃできない 過保護すぎたようね 優しさは軟弱さの言い訳なのよ 発破かけたげる さあカタつけてよ やわな生き方を変えられないかぎり 限界なんだわ 坊やイライラするわ!なのである。

「あんたもっとできるでしょ。何こわがってんの。あなたは強いの。もっと上手なの。あんたバカァっ」・・・セーラー・マーズ=惣流・アスカ・ラングレー =真っ赤な女の子・莉子である。

ふと我を取り戻し・・・試合場を自主退場する莉子・・・そのぐらいの野次はプロなら当たり前だけどな。・・・今はそうでもないのか?

しかし・・・ついに目覚めた直輝。ブザー・ビートまで決める大活躍である。相手アマだけどな。試合後・・・莉子を追いかける。

そして二人はお互いの名前をはじめて知るのだった。

菜月→直輝←莉子の由緒正しいひと夏の三角関係スタートである。

まあ・・・もう・・・キッドの目にはみんな中森明菜(初期)の歌の中の人に見えるのですけれどもーっ。

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

Hcinhawaii0572 ごっこガーデン。Love makes me strongな空き地セット。エリ今日も山P先輩は大サービス・・・なんと手作りおむすびプレゼントです。じいや~冷凍保存よろしく~。もうこの夏ナンバーワンドラマ決定でス~。大切にされすぎてスランプに陥っていった直輝。大切にされすぎて欲求不満の菜月。そして心の底では何かを激しく求めている莉子。みんな大人なのに激しく青春なのでしゅね~。女はみんなSで男はみんなM・・・理想ですか・・・それが理想世界なのでしゅか~。すぐに愛を口にするけどそれじゃ何も解決しないのでしゅか~。はうぅんお気楽ドキドキがなくなったら次の人に行きたくなるよね~。タイミングずれるとドロドロになるよね~。はあ・・・そんな青春は・・・菜月の本心はどこにあるの・・・彼氏を大事にしたいけど浮気な心・・・それとも倦怠期で回数減ったのが不安なの・・・難しいお年頃なの?まこまこも歌いましゅ~。Love Is The Mysteryわたしを呼ぶの~愛はミステリィ~不思議な力で~。智哉と呼んでの川崎さんはチュー・・・でも上矢くん、白川くんと呼び合う二人はお似合い・・・青春のニヤニヤざんす~。練習試合はチアなしでしゅか~・・・じゃあ、じいや、プール~アンナぬけがらになった私にはプールにガンダムを浮かべて~スマスマだけが楽しみ~ぴょん山Pシーズン到来!でも更新ナシデス

Hcinhawaii0573 ごっこガーデン。山P先輩三兄弟のいる夜道セット。mariうふふ・・・ハンチョウ・最終回あげてたら遅刻しました~それはともかくはうぅんはしなくてはなりませぬikasama4ふう・・・なんとか山Pロイド09ヴァージョン・アップ終了。ジョーダン・回路はジョークを言う装置ではありません。モゴモゴよりもゲームって・・・ま・・・そういう季節もあるでしょうがー・・・もっとディープなプレ・・・失礼しました。ウソツキなの時々ねはヒットですなくう私には菜月が分らない・・・すごく直輝を愛していて理解していてそれでも不満で近場で浮気って最悪だわ~・・・でもドラマだからな~本当はそこを楽しんでたりして~とにかくオープニングは最高~あんぱんち「クイズは間違えるがキスははずさない男・海猿とのだめの目立たない音大生のその後みたいなムッとしてもかわいいモップガール。かならずヒロインは別の男を経由しなければ山Pにたどりつけないルールなのかしら。ドラマじゃなかったらJCアークス内・・・愛のもつれでチーム崩壊確実(爆)」シャブリついに12%台をたたきだしたつばさにハラハラなので遅刻なのでありましたーっみのむしわお・・・クロスファイア呼んでたら遅刻ルルル・・・まだ上巻なの・・・夏休みはキスばかりじゃなく読書もしようね

テンメイ様はサイドストーリー的に菜月肉食系女子懐疑論を展開。興味のある方はご参照ください。

水曜日に見る予定のテレビ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)

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2009年7月20日 (月)

えっさえっさえさほいさっさ小田原提灯天地人(妻夫木聡)あのーもう出産してるんですけどぉ(深田恭子)

実は直江(豊臣)兼続の長女・次女の生年は不詳である。だから・・・ドラマでは上杉の佐渡攻め(1589)の間に生れたということでもいいのだが・・・翌年の小田原の役で兼続が越後に凱旋すると長女はものすごい成長を見せているし、お船は次女を妊娠している風である。これは今週から突然・・・長女お松1585年出産説が導入されたとしか思えない。

つまり、佐渡攻め中に生れた子供ならまだ一才半のはずなのに・・・突然五歳児くらいになっているというものすごさなのである。

今年の大河が一味違う、おバカさんの切れ味を見せるのはこういうところなのだ。

だから、佐渡攻めの頃に生れている秀吉と茶々の第一子・鶴松が未だに出産されていなくても問題ないのだ。現在妊娠二十ヶ月目くらい・・・。天地人の淀君は超人的な体力である。

ホームドラマ的には秀吉の息子(早世)死亡と兼続の次女(早世)死亡をあわせる気満々であるな。

きっと脚本家は歴史年表が大嫌いだったのだな。そして世の中は歴史年表を憎む人々は多い。だから今年の大河ドラマは予想外の高視聴率キープなのであろうか。

「ウチの子が・・・(涙)」「ウチの子も・・・(涙)」なのか・・・。

で、『天地人・第29話』(NHK総合090719PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。お習字再録終了です。「ねるとん」関係者としては伏しておわび申し上げます。いや、ひょっとしたらゴールデン・ハーフの名曲「チョット・マッテ・クダサイ」(1971)からの引用かもしれませんよ・・・誰も知らんわっ。今週のあらすじは五行をキープ。かって上杉滅亡の危機において失われた者たちのことを今、自分たちが北条を滅亡させようとしていることで回想する。そのやりきれなさを表現するならまだしも・・・犠牲があって今がある・・・でも戦はよくないよねっ・・・という論理展開がもう・・・何を言っているのか理解不能でございますよね。華姫(相武紗季)声だけ・・・ってなんだよでございます。関ヶ原まで10年、兼続の平和を求める願いは続くなどとナレーションしていますが・・・まさか・・・朝鮮の役はなかったことになるのか・・・恐怖の予感で一杯でございますな。戦国時代ファンの皆様には小田原の役・推移マップ付北条氏政兄弟の秘密でお口直しをお勧めします。

Tenchijin159001 で、天正18年(1590年)の小田原の役である。秀吉は天正15年(1587年)に関東・東北地方に大名同士の私戦を禁じた惣無事令を発しており・・・天正17年の真田領名胡桃城を北条勢が奪取したことを咎め北条氏の討伐令を号したのである。これを受けて北条氏は篭城作戦で対応しつつ、抗戦か降伏かの会議を・・・小田原城降伏まで半年に渡って繰り広げることになる。世に言う小田原評定である。総力戦としては秀吉軍22万に対して小田原軍8万という兵力であったが、広大な支配地域を持つ北条氏は勢力を分散しつつ、将を小田原城に集中させるという矛盾した作戦を遂行。秀吉軍は別働隊により北条勢を各個撃破しつつ、小田原城を完全包囲孤立化させるという物量作戦を展開。危機的な局面を迎えることなく後北条氏を滅亡に追い込んだ。

関白秀吉軍の水軍総帥は秀吉養女の豪姫(前田利家の娘)を妻とした宇喜田秀家である。副将として毛利水軍を束ねる毛利輝元、四国水軍を束ねる長宗我部元親を配し、これに徳川水軍(旧今川水軍)や伊勢水軍(旧織田水軍)を加えた大艦隊である。後北条氏への多年の交誼から抵抗の気配を見せた相模、伊豆、武蔵の海賊衆たちも、織田信長由来の鉄甲船の改良型である巨大戦艦「尾張」「大和」「山城」「伊勢」「土佐」「備前」の六隻が沖合いに姿を見せるやいなや一戦も交えず全面降伏をした。三月には関東の制海権は関白側のものとなり、北条氏は各地で孤立したのである。

関白陸軍先発部隊は相模駿河国境線に集結。これを風魔小太郎(四代目)率いる奇襲部隊が襲撃。若干の被害を与えたが、徳川家康は信州での訓練を終えた伊賀・甲賀・信州・甲州合同の隠密部隊を投入。事実上、風魔の主力部隊を壊滅させた。この戦いで風魔小太郎(四代目)は服部半蔵影丸(初代)に敗れ死亡している。ここに100年続いた甲州スッパと相州ラッパの忍び戦は一応の決着を迎えたのだった。もちろん、後の公儀隠密となった徳川忍者と盗賊に身をおとした風魔との戦いは江戸時代初期まで続くのである。

風魔を排除した関白主力軍はたちまち相模国内に侵入、水軍からの潤沢な補給を受けながら、小田原城包囲攻城のための付け城(石垣山城)築城を開始する。

一方、関東各地に分散した北条勢駆逐のために前田利家・上杉景勝・真田昌幸・丹羽長重などからなる関白北国軍が南下。上野から武蔵に至る北条勢を席巻する。

周辺諸城が秀吉への臣従を申し出る中、北国軍に最初の抵抗を見せたのは大道寺政繁の篭る上野・松井田城であった。新発田重家攻め、佐渡攻めの戦勝で戦慣れした上杉軍は一気果敢に攻めかかるが、上杉・武田・織田と度重なる攻撃対象となった上野国衆の防衛意識は高く、徹底抗戦が繰り広げられる。

鉄砲忍び重武装の前田勢、鉄砲騎兵の真田衆もかっての織田勢の残した大量の鉄砲を確保した上野衆の徹底した篭城戦に苦戦したのである。

落城までにほぼ一月を費やしている。篭城軍はほぼ全滅したが、城主・大道寺政繁は降伏。それ以後、上野国内の各城への降伏使として大活躍し・・・大道寺政繁一人で上野国は攻略できたと噂されることになる。秀吉は城兵を全滅させてから降伏しその後は裏切り者として関白軍に尻尾を振り続けたこの武将に戦後切腹を命じている。

関白北国軍が着々と攻略を進める頃、小田原城包囲体勢を整えた主力軍は武蔵の北条勢を攻略のために分派隊を送り出す。主将は石田三成。戦略目標は忍城であった。この別働隊を指揮することによって石田三成は死ぬまで戦不得意の者という汚名を浴びることになるのである。

主戦場からやや外れた武蔵・上野の国境の寒村に伊賀の才蔵は身を潜めていた。

上方から薬の商いにきて戦に巻き込まれ往生した態で百姓屋に滞在しているのである。ただし、黒川城の金蔵から金をくすねてきたので懐具合は暖かかった。

百姓といえども油断はできないが、幸い、家の主は戦に借り出され、村に残るのは老人と女子供だけだった。才蔵は金を使って、居食いを決め込んでいるのだ。

関東には晩春の気配が満ちている。山も野も緑に覆われ、すぐ近くで未曾有の大合戦が行われているとは思えないほどだ。

畑仕事に出た家の者を送り出して居候のくせに留守番をしている才蔵はのどかな空気の中に殺意をかぎつけた。思わず、息を殺して才蔵は気配を窺った。

村の外れの野原に二人の男が対峙している。一人は北から・・・一人は南からやってきて偶然、この村で出会ったようである。身形は武家の装いだったが、ともに刀を腰に差している以外は・・・薄汚れた旅の漂泊者の風情がある。しかし、二人の挙動にはどこかただならぬ趣があった。

足を忍ばせて接近した才蔵は「旅の芸者(武芸者)か・・・」とつぶやいた。

おりしも二人の兵法者は名乗りをあげたところだった。

「里見家家臣・・・御子神典膳でござる・・・」

「北条家家臣・・・上泉主水でござる・・・」

二人は声をあわせ「故あって主家を離れ流浪の身・・・」といいかけ・・・苦笑した。

ともに神流の流れを組む剣術使いであると知ったのである。

「みこがみ殿・・・流派は・・・」とやや年長の主水が尋ねる。

「伊藤一刀斎より・・・一刀流を伝授されました。上泉様と申されれば新陰流剣聖様のお身内か・・・」

「上泉伊勢守はわが祖父でござる・・・」

「これは・・・したり。かようなところで会うのも剣神の導きでござろうか。一手ご指南いただけまいか・・・」

「・・・参られよ」

言うなり・・・主水は抜刀していた。一刀流は北国の古流であったが・・・典膳の師、一刀斎によって暗殺剣として完成した。一方、剣聖・上泉伊勢守の開いた新陰流は剣理の中に達人の域を見出す哲学的な要素が強い。

殺人を極めた一刀流と活人を目指す新陰流は戦乱の渕で邂逅したのだった。

その時、すでに典膳は虚空にあった。その剣の流れはいくつかの変化を含みつつ正確に主水の急所を切り裂いていく。

主水はまさに死を覚悟した。その刹那、祖父である剣聖の伝える秘太刀が心中に蘇る。

主水の剣が一閃した。

典膳の剣は主水の体を一刀両断にしていたが・・・実際の剣は刀身を半ばから真っ二つに切断され宙を待っていた。

すでに典膳は折られた刀を捨て・・・その場を駈けるように立ち去ってる。敗れた殺人剣においては退避も兵法のうちなのである。

主水は残心の形を解くと剣をおさめた。そして・・・ゆっくりと才蔵が身を潜める草むらを見る。才蔵もまたゆっくりと気配をたった。

やがて陽射しが静寂を包み込む。主水は典膳の去った方向とは逆へ道なき道を歩み去って行く。

北条に見切りをつけた二人の剣客が勝負を終えた頃・・・石田三成は忍城攻めに手こずっていた。

忍城は沼地の中に構築された城である。平城だが周囲は湿地帯であり、城側は防御のための銃撃に手馴れていた。城兵は三千に満たなかったが石田三成指揮下の二万人の軍勢は何度かの突撃で多大な死傷者を出している。

「弥三兄者・・・」と三成は補佐としてつけられた四つ年上の兄正澄に疲れた顔を向けた。

攻城三度・・・忍城は暗闇の向こうに無傷である。忍びの報告では北国軍が大石勢の守る八王子城を下し、こちらに救援を差し伸べる模様である。「それはまずい・・・」と三成は思う。言わば・・・北国軍は外様衆・・・三成の別働隊は秀吉普代軍である。面目が立たないと思うのだった。

弟の困った顔に正澄は弱かった。どちらかと言えば戦の不得意な弟よりもさらに文官気質の兄であった。しかし・・・案を求める弟に何か言わなければ心が落ち着かない。正澄はおそるおそる口を開いた。

「地形を見るに・・・高松城の手はどうじゃろう・・・水攻めじゃ・・・災い転じて福となろう・・・」

季節は関東も梅雨にさしかかっていた。三成は愁眉を開いた。

「名案じゃ・・・」三成は忍川の水を堰きとめる堤防工事を開始した。北国軍から真田の救援隊が来援する前に決着をつけてやる・・・と三成は希望に頬を染めた。おりしも雨が降り出し・・・雨脚は徐々に強まった。

「天佑じゃ・・・天佑じゃ・・・」三成は中国攻めの昔を思い出しつぶやいた。

忍城の城主・成田氏長は評定のために小田原に登城し・・・不在だった。留守を守るのは18才になる氏長の娘で藤原の忍びの流れを組むくのいち・・・甲斐姫だった。甲斐姫の城内における人気は凄まじい。早がけの名人で男顔負けの武勇は近隣に鳴り響いている。しかも美少女だった。

「この忍の名を軽んじるか・・・石田とやら・・・よほどの粗忽ものかの・・・この忍の城を水攻めにしようとかかるとは・・・ハハハ・・・冗談じゃないよぉ・・・上方のものに関東名物秘術忍ぶ川逆流を見せてやれぃ」

成田の忍びたちにより堤防が爆破され・・・石田勢が濁流に飲まれ全滅するのは数日後のことだった。

埋もれた石田三成たちを間一髪で土砂から掘り出したのは直後に到着した真田忍軍である。

三成は数日・・・無言だったと言う。

その頃・・・万策尽きた小田原城では・・・開城降伏の決定がなされている。

関連するキッドのブログ『第28話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『緊急SP救命病棟24時~救命医・小島楓』『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)

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2009年7月19日 (日)

日本にはスパイなんていないという幻想(長瀬智也)三日坊主明日天気にしておくれ(深田恭子)

日本には聖徳太子の時代からスパイが存在する。

スパイとは基本的に権力に秘密の奉仕をする人間である。

英語で言えばシークレット・サービス・マンだ。

そういう人間がいると思わない人間は愚かだし、いると言ってしまう人間は馬鹿である。

だから「殺人許可証を持つ男」はシビアな存在だし、「殺人許可証」そのものはお笑いなのである。

だからテレビドラマにも「0011ナポレオンソロ」があれば「それ行けスマート」があるのだ。

その中間に「スパイ大作戦」があり「チャーリーズ・エンジェル」がある。

この作品に「靴の受話器」が登場する以上、それは「それ行けスマート」へのオマージュであるのだが、「スパイ・コメディー」への尊敬があってもスパイそのものへの尊敬が薄い。

だから、作品そのものは「キイ・ハンター」の面白さに遠く及ばないのである。

まあ・・・お子様向けの冒険活劇にそんなこと言っても余計なお世話かもね。

で、『華麗なるスパイ・第1回』(日本テレビ090718PM9~)脚本・君塚良一、演出・大谷太郎を見た。日本のテレビドラマの演出力の限界から・・・もっとも手を出してはいけないジャンルに手を出して・・・キッド的には玉砕の観のある第1回でした。

まず・・・日本にテロの恐怖を持ち込もうとするミスター匠(柄本明)は実は中華人民帝国の下部組織である半島共和国の独裁者である。その証拠に中国人の工作員王凱歌(ワン・カイコー)などが下っ端要員として暗躍している。それなのに正体不明の存在としてキャラクター設定してあるのは英国諜報部の「007」が平気で中国や北朝鮮という実在国家と敵対するのとは雲泥の差の腰の引け方である。

超法規措置で30年の刑期の残る受刑者・鎧井京介(長瀬)を仮釈放し、エージェントとして採用しておきながら、鎧井が非合法で入手した民芸品の代金を他のエージェントが払ったりしている・・・誰に気遣いしているんだよぉ・・・なのである。

その中で一人毒を吐くドロシー(深田恭子)・・・ポリシーあるなぁ。

祖父が総理大臣(渡哲也)であるためにクラスメートにいじめられる亜美(井上真央)。実際は凶悪な爆弾おタクである。いや、その前になんちゃって女子高校生(22)である。

亜美が苛められている事実に気がついたドロシーはいじめっ娘たちを「しめちゃうかっ?」なのである。

そのくせ・・・亜美本人をなぐさめようとして・・・「大変だよねえ・・・総理大臣の孫娘ともなると・・・だってあの総理大臣のせいで日本は不況のどん底でしょう。クソ総理大臣だもんねえ。クソ総理大臣の孫で略してクソ孫だもんね。もっと略したらクソだもんね」とちっともなぐさめていないのだった。

二時間番組の中で面白かったのがこのシーンだけというクソドラマだからな。

・・・それはいいすぎだろう。深田恭子のバスガイドとか、深田恭子のバスの運転手さんとか、深田恭子の発砲とか・・・女だと思ってなめてみたら男だったとか・・・可愛いシーン満載だったじゃん。

訂正・・・深田恭子以外はほとんどクソドラマです。

まず・・・「怨み屋」を裏切ってこっちにきている情報屋(寺島進)・・・失敗だろう。

情報屋の愛人・ジョセフィーヌ(KIKI)、京介監視要員アンヌ(平手舞)、東スポの記者で「恋人はスナイパー」みたいな設定の下宿先の定食屋の娘・三九(杏)・・・区別がつかんわ。

事務員(峯村リエ)の存在感にくらべて存在感のない吉本の三人、友近、ナベアツ、ライセンス藤原・・・せめて誰か一人にしろよ・・・このキャスティングだけでガッカリするわ。

天才詐欺師という主人公の設定は脚本家の絶対的脚本力を必要とするわけだが・・・初回に関していえば・・・片鱗も窺えないのである。まあ・・・「裏」が「レインボーブリッジを封鎖中」だったので気兼ねがあったのか。

そして・・・「伏線」をはりめぐらしてます的な思わせぶりの数々・・・落胆で腰が抜けるわ。

第一の刺客、爆弾魔・ボマーK(手塚とおる)がアジアの片隅で軍用トラックを爆破した時、走行中のトラックは爆破と同時に停車である。

同様にクライマックスでバスが爆破されるときも爆破と同時に停車である。

別にCGを使用したって構わないが・・・この世の中に慣性があるという事実から目をそむけないでもらいたい。

そういう事実から目をそむけた絵作りばかりでは絵空事は面白くならないのである。

ロッカーの自由落下エレベーターからしてそうなのだ。その場がなんとなく面白いだけで・・・ドラマ世界の経済性がリアルでなくなり・・・後は何をしても鼻で笑われるだけの世界になってしまうのである。

ああ・・・またしても作らない方がマシだよな・・・という作品を日本テレビが作っています。

ゆっくりと走行中のバスにぶらさがる主人公の体当たり演技が可愛そうな感じだし。

まあ・・・来週は実在する正真正銘で現役のCIAエージェント・ディブ・スペクター登場だし、深キョンが可愛いから結局また見るけどね。

「キズナ食堂」のモー娘。同窓会にお呼ばれしなかった加護亜衣が「イケ麺そば屋探偵」で体内に納豆内臓のワラ人形人間・うらみ益代で登場。芸能界のリアルな実態の方が大爆笑なんだよな。「キズナ」では懐古VTRでゴマキが存在しなかったような見事な編集ぶりだったし・・・。土曜日「こち亀」「スパイ」で鉄壁のリレーを期待していただけに・・・。ものすごくガッカリだ~。

関連するキッドのブログ『彼女が死んじゃった。』

月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ~神南署安積班』(TBSテレビ)『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)

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2009年7月18日 (土)

もしも私を裏切ったらあなたの命はありません(木下あゆ美)

さて・・・いじめのリーダーが担任教師だと知った工作員・里奈(葵)は「まさか先生が・・・」とお約束のセリフを吐くのだが・・・怨み屋(木下)は「教師だって人間よ」とこれまたお約束で応じるのである。

現実というフィクションでは2009年7月17日には青森県教育委員会が三戸郡内の公立中学校教諭(39)を懲戒免職処分にしている。処分理由は「未成年者に対して痴漢や盗撮をくりかえした」である。この教師は「岩手県まで遠征し、盗撮行為で張り込み中の警官に任意同行を求められ犯行を自供した」のである。

まあ・・・今や教職員の犯罪行為は日常茶飯事だからな。年間600人でも一日平均一人以上が逮捕されているのである。

ついでに今週は「任侠ヘルパー」はまだしも「コールセンターの恋人」では認知症の老母行方不明、「恋して悪魔」では高校生が老人ホーム慰問である。高齢化社会に対応したネタなのだが・・・そういう中、「夏山登山で高齢者が集団遭難死」である。犠牲者には哀悼の意を奉げるが・・・ドラマをはるかに凌駕する老人たちの活発さをドラマスタッフは研究するべきだろう。

現実認識の深さとドラマの面白さは比例するのが普通なのである。

そういう意味でも「怨み屋本舗」は抜群なのである。

で、『み屋本舗REBOOT・第2回・第一話・教室の悪魔(後編)』(テレビ東京0907172412~)原作・栗原正尚、脚本・監督・仁木啓介を見た。例によって大橋未歩アナによる擬似報道番組が事件の背景を伝える。「学校裏サイトやプロフなどを使った新たないじめの手口が発生・・・」その結果、中学2年生の戸蓑あやね(斉藤はるか)は「学校内トイレなどでの集団暴行、クラスメートによる売春行為の強要、屈辱的な写真の公開などを苦にして自殺」してしまうのである。

それに対して・・・学校は責任を回避。残されたのは童女釈彩信女(戒名)となったあやねの母親(古村比呂)の晴らされない恨みだった。

怨み屋登場である。新・情報屋(加藤雅也)によりたちまち暴かれる自殺の構造。

いじめの実行犯は邪悪な顔立ちの赤坂チサト(守山玲愛1995年生)、醜悪な体型の松村時子(峯崎亜里沙1993年生)、元AKB48だけにやや小悪魔な紙田鈴(増山加弥乃1994年生)であり、携帯電話で閲覧可能な学校裏サイトを利用し正体を隠してイジメを指導してきたのはいじめ部部長こと担任教師の手塚(正名僕蔵)だった。

母親に依頼内容を確認する怨み屋。料金はターゲット一人につき500万円。中2トリオは社会的抹殺、教師の手塚は実質的殺害でしかるべくである。

さっそく、生徒たちの心のケアを隠れ蓑に国立児童精神医療センターの心理学者・兼高に変装した怨み屋は助手の小島に変装した里奈と中学校に潜入。

「赤坂チサトが・・・いじめによって死者が出たことを訴え出た」というニセ情報を手塚に流し、チサトに対して時間長めのカウンセリングを行う。

たちまち・・・いじめ部部長から「裏切り者チサトの抹殺指令」が発令される。

「私・・・密告なんてしてないよ・・・」と訴えるチサトを時子は無視、鈴は「もう・・・あんた奴隷なんだから・・・がんばって生きのびな・・・」とアドバイスである。

一方、いじめの真実を報道したいとニュース・レポーターの星影静香(長谷部瞳)は「いじめの実態を暴かなければあやねちゃんの死はムダになってしまう」と母親にインタビューを申し込むが・・・母親はすでに怨み屋との契約を終えていた。

「私のことは死ぬまで秘密にすること・・・もしも裏切れば・・・」と母親に守秘義務を通告する怨み屋。

インタビューを拒絶された星影は上司の城島にケツをたたかれる。「中学生から情報を引き出せ」星影「でも緘口令が・・・」城島「口を割らせるのがお前の仕事だろう・・・取材協力費出してやるよ」

校門で中2トリオをキャッチした星影は「一人5000円で・・・」と持ちかけ「そんなはした金で・・・」と鼻で笑われてしまう。しかし・・・その後で地味な男子生徒がやってきて・・・「本当に5000円くれるの?」で爆笑である。

星影は「学校裏サイトの情報」を聞きだした!・・・なのであるが怨み晴らし遂行中の事件が表沙汰になるのを回避するために新・情報屋は学校裏サイトを削除し、別サイトに移転してしまうのだった。星影またしても失点である。まあ、報道なんかされても体制に影響ないけどね。

あやねと同様にチサトに売春を強要しようとかかる時子と鈴。そこへ「30万円で男3人がかりで一人の女の子に強姦プレーOK?」のオーダーが携帯に入電。

チサトを男たちとの待ち合わせ場所に連れ込んだ時子と鈴だったが・・・待っていたのは怨み屋だった。

「これは・・・私のアルバイトなんでお互いに内緒にしてね・・・」という怨み屋。

つまり・・・怨み屋としてではなく・・・人身売買の売り手としてのアルバイトということである。奴隷の女子中学生の相場は時価である。

たちまち、現れた三人の男に拘束され・・・闇社会に拉致される三人の女子中学生。

「あなたたちはこれから死ぬほどつらい(性あるいは肉)奴隷として生きていくのよ・・・こんな場所にのこのこやってきて罠だと思わないなんてまだまだ子供ね・・・そういうのがカモになるのよ・・・」

最後に教育的指導である。まあ・・・二度と社会復帰できない子供たちに言ってもムダだけどな。

もちろん・・・彼女たちのその後については猛烈に妄想が膨らむのだがアグネスに怒られるので妄想内容は書かないことにする。

一方、顔見知りになった里奈は手塚をバーに誘い、催眠薬で身柄確保である。

目醒めた手塚は学校の屋上の手すりの外に拘束されていた。

「死んだあやねの怨みを晴らさせてもらうわ・・・部長の名前を借りてあなたのクラスの生徒たちにあなたの抹殺指令送っておいたから・・・」

「なんてことするんだ・・・オレは教師だぞ・・・命だけは助けてくれ」

「・・・」

やがて屋上に現れた生徒たちは「空飛ぶ教師の写メコンテスト」で高額ポイントをゲットするために手塚を空中に突き放すのだった。

早朝、責任回避のために沈黙を守る校長(諏訪太郎)は・・・取材失敗を挽回しようとする星影につきまとわれながら・・・校庭で生徒に取り囲まれた手塚の死体を発見する。ここは省略されているがもしも手塚が墜落死を免れていたとしても生徒たちはポイント欲しさに手塚の息の根を止めているのである。場合によってはいじめに加担しながらも心を痛めていた生徒が正義の鉄槌を下した可能性もある。

とにかく・・・手塚は実質的に殺害され・・・校長の人生も終焉した。いじめのあったの学校の生徒の烙印をおされたクラスメートたちや学校関係者に与える余波は怨み屋のビジネスとは無関係なのだった。

ただし・・・母親には「奴隷になった加害者たちのその後」のレポートのアフター・サービスを持ちかける。しかし・・・母親は充分に満足したのだった。

怨み屋は母親の中に「復讐者に芽生える偽善的反省の芽」を見出すが・・・軽い説諭に止めておくのである。

「このことはくれぐれも内密に・・・また怨みが生じたら・・・気軽にご相談ください」なのであった。リピーターは営業戦略的には大切だからな。

ついに後編でも工作員シュウ(小野健斗)も工作員十二月田猛臣(前田健)も出番なし。にもかかわらずこの超絶的展開・・・怨み屋・・・天晴れだ。

関連するキッドのブログ『第1話(前編)のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)

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2009年7月17日 (金)

オムツはいてもらいます(草彅剛)はきません(黒木メイサ)バシッ(夏川結衣)

「ふたつのスピカ」↗*3.5%では海岸で走るという夏の青春を謳歌しているわけだが「任侠ヘルパー」↘13.8%では海岸で一本背負いである。「八月の濡れた砂」といえばたこさんがどこまでもどこまでも泳いでいった海を連想するわけだが、老人介護施設の近くに海というのはちょっと黒い匂いがする。

彼岸にあるのは救いかもしれないじゃないか。

しかし・・・「八十になっても宇宙へ行く」と宣言したあすみ(桜庭ななみ)がNASA留学の合否を伝えられる場面でのヒップラインの色っぽさは尋常でない。その後は生意気な感じの胸元サービスはあるのだが後姿はヒップ控え目である。その後姿を佐野(田辺誠一)が見送るシーンでは・・・。

「いいケツしてんな」

と思わずモノローグをアフレコしました。

「ふたつのスピカ」でさえこれだけセクシーなのに「恋して悪魔」は何やってんだとぞ思う。

で、『任侠ヘルパー・第2回』(フジテレビ090716PM10~)脚本・古家和尚、演出・石川淳一を見た。ゲスト老人に津川雅彦を迎え、オムツ着用問題で1時間である。やるよね。

行間を読むということではどこまでも奥深いのだが読まない人もそれなりに楽しめるということでは今季一番、隙のないシナリオである。

一時期、ゆとり教育の問題が囁かれたが・・・義務教育で情報をつめこまない弊害はじわじわと来ていると思う。結局、優秀な脳というのはある意味、情報量の密度の問題に還元される。たとえば知能指数というのは平均的な情報保有量に対して、個体がどのような情報を保有しているかの指数だ。10才で知能指数200なら20才ぐらいの平均的な情報量を持っているということだ。

そういう意味でゆとり教育とは知能指数の下落を促す教育方針だったのである。

およそ、人間の記憶量は20才までにどれだけ詰め込んだかに左右される。もちろん、個人差はあるわけだがゆとり教育中の人間の知能指数は前後の教育にくらべて明らかに低下しているわけである。

それが標準的な「連想力の低下」を招き・・・基本的な情報が不足するので当然連想は不自由となる・・・いわゆるひとつの「空気を読めない」問題を生むのである。

ただでさえ、別メディアに客を奪われているテレビとしてはここが頭の痛いところ。

もちろん・・・表現の二重構造は昔からあるテクニックだが・・・「バカにも分り、賢い人にはより深い暗示がある」というドラマでなければもはやそこそこのヒットにもならないのである。

犠牲者は中間派であろう。「バカにも分る部分が物足りなく感じ、賢い人向けの部分までは理解できない」・・・この層の人がつらいんだよな。しかし・・・どんな社会にだって犠牲はつきものだからな。

さて・・・寿命に不自由しない国家で、自殺者が増加するのが恥ずかしいことなのかどうかと言う問題を暗示する今回である。

まず、老人介護と言う言葉が使われ始めた頃から、「有償ボランティア」とか「無料サービス」とかある意味、意味不明の言葉が登場する。「ビジネス」と違って、無償の行為である「ボランティア」や「サービス」に対して料金設定をする困難さが生じてきたわけだ。

それは老人介護が「老人の面倒を見ること」や「老人の世話をすること」であり・・・人としてなすべきこととお仕事との差異が微妙になったのである。

そのために・・・まだ「老人」ではない「若者」が・・・「子供笑うな来た道だ・・・老人笑うな行く道だ」の想像力を欠く場合のゴタゴタがいろいろと噴出するのである。

柔道四段の本村老人(津川)はやっかいな老人である。体力の衰えとともに失禁してしまった経験があるが・・・またまだオムツの世話にはなりたくないと主張する。

入所者の自主性を重んじる介護施設「タイヨウ」としては扱いに困る老人なのである。

その上、業務提携をする「ハートフルバード社」の羽鳥(夏川)は「業務の効率化」のために「人類オムツ化計画」を推奨する。

オムツなし介護・・・効率悪く介護の稼働率低下。

オムツあり介護・・・効率良く介護の稼働率向上なのである。

羽鳥「採算がとれなきゃビジネスじゃない」なのである。

これにちょっと反発を感じる翼は「高級介護施設ではオムツなしでもありなんだろう」と問いただすが。

「格差社会だからもらうものもらってりゃ当然なのよ」と正論で応酬である。

「それがいやなら・・・ボランティア(無償奉仕)で稼働率あげるしかないの」とニヤニヤと正論のダメ押しである。

翼は面白くないのでいじめられっ子である羽鳥の息子(加藤清史郎)から五千円カツアゲしてジュースを買い溜飲を下げるのだった。

さて・・・低料金施設での「従業員の善意によるサービス」に応じるもう一つの妥協案が「入所者が施設のサービス内容を理解して受け入れる」ということ。

つまり、協調性のないものは追放ということになる。

「老い」を受け入れられず施設の人間に厄介者として認定される本村。しかし、世間のつまはじきものである極道の翼にはどうしても共感してしまう部分がある。

しかし・・・本村はシニア柔道大会のライバルの老衰で寝たきり老人化した姿を見て・・・ついに弱気になってしまう。

「過去の栄光の象徴であるトロフィー」を捨てるように翼に頼み、そして「オムツ」を承諾するのである。

本村が廊下で失禁してしまい・・・美空(仲里依紗)は「年をとったんだから恥ずかしくない」となだめるが・・・同時に「恥ずかしくないはずはない」と思ったりするし、「女だから極道でなくてもいい」と下っ端に言われれば手近な包丁で相手の指を千切りにしかねない凶暴な女・りこ(黒木)もかける言葉がみつからず沈黙する。

しかし・・・翼にはそういう我慢はできないのである。

男伊達の渡世だからである。

そこで本村を海岸に連れ出すと砂浜に投げ飛ばす。

「じじい・・・お前の根性見せてみろや・・・」である。

もちろん・・・辛口ならここで本村絶命でもいいのだが、お茶の間向け甘口に仕上げます。

気合の入った本村は奇跡の根性で翼を一本背負いで投げ飛ばすのである。

翼は腰を傷め立ち上がれなくなるが・・・男と男は気持ちよく空を見上げるのだった。

女と女は男気に惚れ惚れとするのだった。

結局・・・他の施設に転出する本村。

「オムツさせた方が儲かるのよ」と嘯く羽鳥に「あんたもすればトイレに行く時間も稼げるぜ」と応ずる翼。

セクハラなのでビンタ一閃である。

そのやりとりをこっそり聞いたりこは翼にも惚れるが羽鳥にもちょっと惚れるのだった。

今週の結論。「任侠ヘルパーもオムツをはかせてナンボでござんす」

ああ・・・結局・・・人間は最後にはこう思うものだ。・・・楽に死にたいねぇ。

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『リミット・刑事の現場2』(NHK総合)

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2009年7月16日 (木)

急性骨髄性白血病の中学生が恋をしてもいいですか?(須賀健太)余命1ヶ月の花嫁が映画になるくらいだからいいんじゃないの(神木隆之介)

空気を読んで生きることは困難なことなのか簡単なことなのか・・・ケース・バイ・ケースである。

今回のタイトルが空気を読んでいるのかいないのか・・・ケース・バイ・ケースである。

水曜日のダンスはちょっとね。でも一応ね。

「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%

「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%

「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%

・・・本来テレ朝9時のドラマと日テレ10時のドラマのダンスなわけだがTBS9時のドラマが裏と夫婦だわ、日テレのドラマが不安定だわで・・・もうパートナー関係が不明の状態に・・・「相棒」「斉藤さん」のダンスとかが懐かしいわ。

で、『赤鼻のセンセイ・第2回』(日本テレビ090715PM10~)脚本・土田英生、演出・佐久間紀佳を見た。実は「斉藤さん」の脚本家である。周囲の空気を読まない主人公という点は同じである。しかし・・・斉藤さんは「あえて空気を読まない」のであって「本当に空気の読めない赤鼻のセンセイ」とは違うのである。斉藤さんは「空気を読まない斉藤さん」に「空気ばかり読んでいるミムラ」がハラハラドキドキしつつ斉藤さんと女友達の絆を深めていくところがミソだった。

こちらは「空気の読めない赤鼻のセンセイ」を「酸いも甘いも知り尽くす小林聡美」がフォローしつつ男と女の絆を深めていく・・・のかどうか微妙な展開になっている。

はっきり言ってはずしています。

もちろん、本人には二番煎じをしているつもりはないのであるが・・・前回ヒットした要因のことごとく逆を行けば失敗するに決まっているということだけは指摘しておきたい。

さて・・・そのために本来・・・ヒロインとして機能するべきはずの・・・香椎由宇なんて何していいかわからなくなっているし、もう中学生になっている芸達者のツートップなんて・・・小学生のような演技を要求されて・・・立ちすくんでいるのである。

そもそも院内学級というのは特殊すぎて・・・相当に計算しないとお茶の間の理解は得られないのだ。

なにしろ・・・学園もので医療ものなのである。先生と生徒、医者と患者が交錯するのだ。

さらにパッチアダムス(お笑い好きの医師)を赤鼻のセンセイ(院内学級の教師)に変換しようとしていることに無理があるのだなぁ。

だから・・・ドラマの中の設定として大泉洋が浮いているのではなく、ドラマそのものの設定が浮いているのである。

今回、スポットライトがあたるのは急性骨髄性白血病の中学生・和田(須賀)なのであるが、骨髄バンクの発展によって不治の病の香りは薄まったとはいえ・・・夏目雅子や本田美奈子やアンディ・フグを帰らぬ人にした深刻な病気なのである。

そんな和田が外科病棟に入院している女子(金澤美穂・・・東海テレビ「少年時代」にて好きな男の子から転校する好きでもない男の子に胸をさわらせてあげてほしいと頼まれ困惑する学級委員の少女・小夜子を好演)に恋をしていると知った赤鼻のセンセイ(大泉)は和田のためにとばかりにまもなく退院予定の女子を院内学級に強制参加させ・・・机を並べさせ・・・和田を困らせるという展開である。

そこには「明日の命も知れないのに恋を表沙汰にできるかよ」という当事者の気持ちと「命短し恋せよ乙女」という無責任な外野の気持ちが激しく交錯するのである。

もちろん・・・どちらかが正しくてどちらかが間違っている話ではないのだが・・・それでもキッドとしては脚本家に問いたい。①和田が院内告白するのはOKですか? ②和田が院内デートするのはOKですか? ③和田が院内キスをするのはOKですか? ④和田が院内異性交遊するのはOKですか? ⑤和田が相手を妊娠させちゃうのはOKですか?

ようするにいくところまでいく覚悟があるならやってもいいが・・・そうじゃなきゃやるなよ・・・というネタなのである。

脚本家が・・・じっくりと考えていない様子をキッドはこのシーンで感じる。

和田のために女子を連れてきた赤鼻のセンセイは二人に席を並べさせるためにそれまでずっと席をならべてきた慢性腎炎で入院中で院内学級中学生の香(高良光莉)を定位置からどかすのである。もちろん、そこには喘息の八重樫(神木隆之介)がいて絵的には相手にとって不足はないのだが・・・しかし・・・やはり密かには和田に対して好意を持っていた可能性だってあるのだ。

百歩譲って・・・和田と香にそういう気持ちは皆無だったとしても・・・長期入院でただでさえ疎外感を味わっている香にとって院内学級のいつもの席は「居場所」である。その居場所を突然追い立てられる「嫌な感じ」をまったく感じない保証なんてない。

とりあえず香はとまどいの表情でその場をしのいでいた。新人を困らせるような脚本は下手のそしりを免れまい。

とにかく・・・登場人物への暖かい眼差しが・・・この脚本家は全く描けていないのだ。

それでいて・・・「自分の病気を苦にして恋を胸に秘めようとするかわいそうな男の子のために無理矢理別れの挨拶の場を作ること」に燃える赤鼻のセンセイに周辺の人々が一致団結なのである。

そんな歯が浮くような展開じゃ・・・お茶の間は感動しない可能性は高いのである。

「明日世界が滅んでもリンゴの木を植える」という希望のたとえは一歩間違えれば絶望のたとえである。本当の希望とは「世界が滅びないように最後まで努力すること」にしかないからである。

「ドラマが面白くなくてもリンゴの木を植える」のではなく「ドラマを面白くするにはドラマを面白くするしかないのだ」というストレートな言葉を噛みしめてもらいたいよ。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』(テレビ朝日)

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2009年7月15日 (水)

やめないでください(松嶋菜々子)これは・・・夢?(桜庭ななみ)

さて・・・火曜日はドラマ対決の日なのだが・・・もうダメだこりゃであるな。

でも、一応・・・①「緊急SP救命医・小島楓」(実質総集編)13.1% ②「恋して悪魔」↘*7.5%

まあ・・・生れて初めて吸血鬼ものを見た人だっているだろうからな。全日本吸血鬼協会会員は恥ずかしくて火曜日の夜の外出は控えているらしい。

で、『緊急SP救命病棟24時~救命医・小島楓・第1回』(フジテレビ090714PM9~)脚本・林誠人、演出・佐藤祐市(他)を見た。すべての責任は湘南爆走族2代目リーダーの江口洋介が41才にもなって大型バイクに乗って転倒・重傷を負ったことにあると思うが・・・無事の回復を祈るばかりである。こればかりは運命だからな。

で、とりあえず「第4シリーズ」の開始までに4回、ちょっぴり新作プラス総集編でつなぐのである。

第1回は主に第1シリーズの総集編と「2008年の現在」の救命医・小島楓(松嶋菜々子)をスケッチである。第1シリーズは1999年の冬ドラマで松嶋菜々子は当時25才。初々しい研修医であった。まあ・・・一言で言うと若いって素晴らしいということだな。

進藤先生(江口)は小島の指導医となって・・・救命医の現実を小島にたたきつける。

小島「心臓停止してから60分たったら心臓マッサージやめるんですか」

進藤「ケース・バイ・ケースだ」

小島(患者の子供に必ず助けると根拠もなく約束した小島・・・その患者の心臓が停止し・・60分経過)「・・・やめないでください」である。

進藤は仕方なくマッサージを続け・・・すると奇跡的に患者が回復。

なんだかんだいってものすごい甘口設定です。

企画としては「ER」の明らかなパクリなのだがかなり温めの設定。それでも当時はハードすぎると批評され・・・第2シリーズ(2001年)はさらに甘口になります。第3シリーズ(2005年)にいたっては「東京大震災」というスペクタクルものです。

まあ・・・懐かしいから・・・いいか。ちなみに杉本哲太はこの時から脳外科医。沢村一樹は内科医でした。

ダイジェストでどのエピソードで攻めてくるか・・・ファンはそこを楽しむしかないな。

で、『恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ・第2回』(フジテレビ090714PM10~)脚本・小川智子、演出・都築淳一を見た。まあ、ある意味、素人の書いた脚本で作っているドラマを今週もオンエアしていてそれを見ている人が*7.5%もいるってすごいことだよな。

今週判明したこのドラマにおけるヴァンパイア・システム①「吸血のための牙の生えたヴァンパイアは次の満月までに女の生き血を吸わないと塵になる・・・吸血すると永遠を手に入れて病気もせずに長生きできるらしい」

②「人間の世界とは別にヴァンパイアの世界があり、一度人間界に足を踏み入れると吸血するまで元の世界に帰ることはできない」

なんか・・・すごくガッカリなシステムなんですけど。

とにかく・・・ヴァンパイアの世界は男の世界らしい。増殖の仕方とかは秘密である。なんとなく・・・ヴァンパイアの世界=ジャニーズ事務所みたいな気がしてきました。

デビューしたら女性ファンを虜にして稼がない限り塵となるんだな・・・。

推薦されてドラキュラの物語を読み始めた香織(桜庭)・・・こわい夢を見て夜中に目を覚まします。

なんか・・・もう少しサービスあってもいいよね・・・下着で寝てるとか・・・男の子はもうそこしか見るところないんだし。

一方、根拠なく、ヴァンパイア・ルカ(中村優馬)につきまとう女教師(加藤ローサ)・・・下等人間というか・・・家畜としてのブタのムードが・・・撮影中にどんどん太ってるんじゃないのか。

結局・・・ヴァンパイアとしてルカは一種の発達障害なのか・・・健常なヴァンパイアなら自然にできることができないみたいな・・・。

まあ・・・そういうシステムを求めてもムダなんだよな。

脚本家・・・夢遊病状態で書いてるのかもしれないし・・・。

こうなるともう・・・後はもう伊東四朗が実はヴァンパイアハンターだったとか。

姜暢雄はヴァンパイアでローサを狙ってたとか。

そんな感じ?

とにかく・・・もう・・・こわいものみたさで見るしかないレベルだよね。

だってお腹がすいて目がまわるほどの状態ならもうとりあえず吸血するよね。

第一・・・ヴァンパイアが吸血するために・・・「夜明けを待って」・・・という理屈が意味不明だわ・・・。

まあ・・・ヴァンパイアの気持ちが分からなくて当然と言われたら返す言葉はありませんが。

だったら・・・正体不明の不気味さで楽しませてほしいよね。なんか・・・それも無理な願いなのかな。

ああ・・・全国の青少年の皆さん・・・ヴァンパイアをこんなもんだと思わないでくださいね。ヴァンパイアはもうね・・・本当はね・・・背筋も凍るほど魅惑的なものなんですからーっ。

(ドラキュラ・・・ルーマニア語で悪魔の子・・・さめざめと泣く)

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『桜庭ななみのふたつのスピカ』(NHK総合)『釈由美子のLOVE GAME』(日本テレビ)『科捜研の女スペシャル』『南沢奈央のダンディ・ダディ?』(テレビ朝日)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『東京少女桜庭ななみ』(TBSテレビ)

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2009年7月14日 (火)

煙草吸って裏表のあるビッチはじめました(相武紗季)ブ、ブザー・ビート(山下智久)もげっ(北川景子)

さて・・・「婚カツ!」によって最終回視聴率10.5%(平均10.5%)と落ちるところまで落ちた月9なのであるが「ブザー・ビート」の初回視聴率は15.5%となんとか盛り返したのである。もちろん、あの「婚カツ!」でさえ、初回視聴率は16.3%あって・・・予断を許さない。

ただし・・・キッドの個人的見解では・・・「ブザー・ビート」はものすごい傑作になる感じがする。もちろん、ものすごい傑作なので視聴率はそれほどとらないだろう。ただし、「婚カツ!」の平均ははるかに上回る気がする。

どのあたりが傑作かはさておき・・・「カバチタレ」「ロング・ラブレター」「ランチの女王」と脇役で山Pを使ってきた脚本家が満を持して山P主役ドラマを描こうとしている気合がビリビリと伝わってくるのである。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「コールセンターの恋人」↘*7.2%(傷物商品でないものを傷物と偽って売ってそれが売れて何が悪いのか)、「メイド刑事」↗9.4%(白石美帆でなく中山忍キター)、「怨み屋本舗R」↗*3.9%(たとえ東京ローカルだろうとも・・・)、「アズカバン」14.9%「賢者の石」14.7%「踊る大捜査線TM」11.8%「県庁の星」11.4%「釣りバカ2」10.5%(なんどめだ)、「MR.BRAIN」↗20.7%(平均20.1%でフィニッシュ・・・流石だ)、「リミット」*8.4%(ドロドロの極みである)、「魔女裁判」↗*8.7%(結局魔女の圧勝って・・・なんじゃそりゃ主役石田ゆり子だったのかよ)、「天地人」↗21.8%(もう日本はどうなってしまうのか)、「官僚たちの夏」↘*9.1%(官僚たちピンチだからな・・・っていうか1回で飽きた人多すぎ)、ついでに「ハンチョウ」↘10.6%(塚地主役回だからな・・・ゲスト清水美沙だけど)・・・以上。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・第1回』(フジテレビ090713PM9~)脚本・大森美香、演出・永山耕三を見た。まず、誰もがのけぞるのが相武紗季演じる七海菜月の普通に黒いキャラクター設定だろう。少なくとも初回においてはこのドラマの主人公は菜月だと言っても過言ではない。

もちろん・・・それはギリギリの境界線をキープしたタイトロープの緊張感を持っている。

主人公である上矢直輝(山下)をしっかりたてながら・・・菜月が普通のヒロインではないことを物語っていくのである。

少なくともタイトルベースで暗示されるこのドラマのヒロインは白川莉子(北川景子)だからである。

ただし・・・ドラマの推移によっては逆転もある含みを残している。

なぜなら・・・菜月は「ランチの女王」(2002年)におけるなつみ(竹内結子)の気配を持つヒロインである。影はあるがヒロインなのだ。

一方、莉子は麻衣(貫地谷しほり)とペアを組むことによって「カバチタレ!」(2001年)おバカさん・希美(常盤貴子)としっかりもの・千春(深津絵里)の再現になっている。

「ランチの女王」と「カバチタレ!」はともに脚本家としては成功作である。この後は変態が過ぎて失敗作の山を築いているのだ。

その両方のヒロイン・パターンを準備して・・・主人公にぶつけてきているところが凄い。

ちなみに・・・山下智久は両方のドラマで年下の男の子、あるいは弟というポジションで参加しているのである。

さて・・・主人公はプロ・バスケットボールの選手でかっては天才と評されたプレーヤーなのだが・・・壁にぶちあたっている。

まず・・・日本において・・・野球選手でもサッカー選手でもないところが主人公の甘さを物語っている。バスケットボールでは食えないのが目に見えている。さらにプロになって実力が伸び悩んだ主人公は「契約更新で年俸が400万円台から300万円台になってしまうこと」という現実を受け止めることができない。

「理想の自分」と「現実の自分」のギャップがプライドが邪魔をして見えない・・・つまり甘えがあるのだ。

しかも主人公はプロとして致命的な欠陥・・・勝負どころに弱いという難点も抱えている。

主人公の所属するチームの親会社の社員でもあり、専属チアリーディングチームのキャプテンでもある菜月は・・・主人公・直輝と結婚を前提とした交際をしている恋人なのだ。

直輝が肝心要のシュートを外す試合でもチア・リーダーとしてサービス満点なのである。

そして・・・「優勝したら結婚するつもりだった」直輝がめげれば「心配しないで私はいつでも側にいる」と励まし・・・「契約更新をしないでダダをこねる」直輝には「今はこのチームでがんばることが大事」とアドバイスするのである。

しかし・・・「今度手料理をごちそうするよ」という直輝に笑顔を見せた後で「手料理が食べたいわけじゃないんだな」と黒い部分をお茶の間だけに見せ始めるのである。

直輝たちの年棒がカットされた分、来期チームに招聘される選手は代々木(金子ノブアキ・・・「池袋ウエストゲートパーク」でお馴染みRIZEのドラマーで母・金子マリである)だった。アマチュア時代には一つ下の直輝の後塵を拝していたがプロになって伸びたらしい。

代々木は直輝に勝負を挑み・・・完勝するのであった。

すっかり心が折れた直輝は代々木の歓迎会の出席を拒むお子様モードに。

ここで・・・菜月は「このヘタレが・・・」と毒づく。

基本的にヒロインというものは純情をベースにする。ツンデレだろうがヤンデレだろうが一人の男を愛してナンボなのである。そうでないものはたちまちビッチに転落と言う宿命を負っている。

だから・・・そこへ至る道は丁寧に描かれる。

菜月は「代々木の歓迎会」に直輝を誘う。

しかし、直輝は拒絶。

仕方なく菜月は直輝が来るだろう自宅に帰りかける。

直輝は思いなおして会場へ。

菜月は直輝に電話をするが直輝は電話に出ない。

そして・・・代々木が菜月に誘惑の手を伸ばすのである。

「本当は悪い娘なんだろう」

「だから・・・何よ」

「オレとは相性がいいと思うのさ」

唇強奪。キスで応答。脱衣・着衣である。

一部愛好家熱狂の展開です。

さて・・・とにかく・・・直輝と菜月の恋愛は破綻寸前となるわけだが・・・そのターニング・ポイントとなったのは・・・「減給」にショックを受けた直輝を菜月が優しくフォローする場面にあった。

ここでさりげなく挿入されるのは「ザ・ビートルズ」の「ア・デイ・イン・ザ・ライフ(人生のある日)」のインストゥメンタルである。

その日の出来事は悲惨だったけど

思わず笑ってしまう自分がいる

その男は信号が変わったのに気がつかないときたもんだ

ああ・・・本当はあなたを何とかしてあげたいの

世界は結局戦争だけど

多くの人々は見ないふり

けれど登場人物はシナリオ通りにするしかない

ああ・・・本当はあなたと幸せになりたいの

とにかく一服して落ち着きたいわ

現実を見ればかなりヤバイ状況

そんな時は夢を見るに限る

ああ・・・あなたをひっくりかえすにはどうしたらいいの?

あるいはしゃんとさせるには?

この菜月のせつなさが分るか・・・単なるビッチと理解するかでこのドラマの奥行きはかなり変わってくるだろう。

さて・・・もう一方のヒロインはゆっくりと着実に直輝に向かってやってくる。

バスの中で携帯を拾い・・・街角ですれちがう。

絶対音感で直輝のドリブルを「ド(C)」ととらえ・・・そして・・・バスケットのゴールの下でヴァイオリンを奏でるのである。

二流の音大を卒業後、ヴァイオリンの演奏では食べて行けず本屋でバイトしながら夢を見る莉子は憧れの音楽プロデューサー・中西(鈴木一真)に「君程度の実力で音楽の仕事で食べていくなら枕営業の一つもしないとね」と迫られ泣きながら脱走してきたのである。

落ちこぼれ心の折れた二人は・・・ふと出会ってしまったのでした。

この三角関係はかなりそそる・・・。もちろんヘッド・コーチ(伊藤英明)は対象外だからな。

ちなみに菜月の有能さを引き立てる後輩社員・しおん(小松彩夏)である。

つまり、セーラー・ヴィーナス(小松)、セーラー・マーズ(北川)そろい踏みです。がんばって生き残っている美少女戦士に幸あれ・・・。

ついでに守口(青木崇高)と麻衣で徒然亭草々夫婦そろい踏みである。

まあ・・・彼らも射程外だよな。

とにかく、山Pをめぐって相武と北川が火花を散らす・・・夏だ青春だ恋愛だ・・・をじっくりと楽しみたいものだ。

関連するキッドのブログ『コード・ブルー

               『絶対彼氏

                『モップガール

Hcinhawaii0571 ごっこガーデン。愛と青春のバスケット・コート。エリキャーっ。興奮しすぎて昨日は眠れなくて遅刻なのでスー。とりあえず、食わず嫌いのPちゃまでお茶を濁しまスー。ああーっ、いきなり恋の大ピンチを迎える山P先輩。もう手痛く傷つけられる先輩を想像するだけでゾクゾクしましゅ~。この夏一番大本命ドラマはじまりはじまりですyon!・・・じいや、喉渇いた~ソフトドリンクのコーラショックをお願いね~お気楽ようやく月9らしい月9。ベタだけどやる気でるよね。もうサービスたっぷりだからサービスしやすいし・・・すべての場面が絵になってるしねさてさて~どの恋のシュートが決まるのか・・・皆さんの夏ドラマはお決まりですか~みのむしおっと~遅刻しました~。早くも夏バテっていうか月9にご無沙汰だったからねーっまこブラック菜月・・・御主も悪よの~な相武ちゃんしゅてき~。カップル乱立のぐふふ~な恋模様。こんな月9を待ってたホイ。じいや・・・コーラショックは本当はアルコール飲料だじょ~くういつかはいつかはって、いつまでガキのつもりなのよ・・・はぁ~ん。もう・・・待ってましたこんな月9・・・スパスイ効かせておいて・・・最初のファンになってあげるで甘~く落とす・・・ウキウキするわ~アンナでねーっ・・・神秘の生命体に遭遇してダッシュで鍛えたから・・・このぐらいは朝飯前ぴょ~ん。じいやーっ。アンナもコーラショック~mariあらあらじいやちゃま、早起きですね~・・・Pちゃまドラマに出遅れるなんてーっ・・・私としたことがikasama4フェイントかけて女性ファンをドキドキさせておいて・・・最後は一部男性ファンを絶叫させる・・・そうかと思えば筋肉対決で別のファンを自然に動員・・・キャラ設定にまったく無理がなくストーリーもテンポが良くて・・・とにかくチア・リーディングです・・・ううん山Pロイド新作の季節なのか・・・夏は暑いからなぁ・・・シャブリおっと~遅刻なのでありました~つばさも盛り上がってますし~あんぱんちコソコソでネチネチでズブズブな黒い菜月(爆)脱いでいいよ・・・俺が脱がすか・・・今日も嫌な感じの鈴木一真(爆)・・・運命のボールはキックオフされたのね~(爆)」

天使テンメイ様は山P自転車についての先行記事興味のある方はどうぞ。 

水曜日に見る予定のテレビ『新・警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)

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2009年7月13日 (月)

みちのく一人旅道連れ天地人(妻夫木聡)その場しのぎのなぐさめ言って(杏)

さて、今回のものすごいところは・・・。

「戦などというものは時代遅れでござる」と豊臣兼続が奥州・米沢城の伊達政宗に意見した後で・・・帰国後、即行で佐渡攻略作戦を行い、抵抗する本間勢を殲滅していることである。

ほぼ同時に伊達政宗は蘆名を摺上原の戦いで破り南下、会津占領を成し遂げる。

伊達政宗のその行動を佐渡を占領した景勝・兼続主従が「好戦的」だと批判するのである。

こんな独善的な主人公造形は大河ドラマ史上初の試みと言っていいでしょう。

伊達政宗には「お前が言うかっ」と叫んでもらいところでございます。

で、『天地人・第28回』(NHK総合090711PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・野田雄介を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は書き下ろし伊達政宗・片倉景綱主従・イラスト(ぞんざいヴァージョン)付。あらすじは五行で一行減。しかし、ツッコミは万遍なくほどこされお得です。政宗・信長相似論、徳川・北条待遇格差論など奥行きのある展開になっており感服です。ついでに大河ドラマストリー本に対するあますことなき批評ありで「後編」買って片腹痛かった人にはお奨めでございます。大河ドラマに歴史とスペクタクルと戦国ロマンを求める方は藤堂高虎の秘密もお楽しみください。

Tenchijin158901 で、ドラマは天正17年に突入しているのだがここは天正16年(1588年)にまで戻りたい。この年18才である茶々は秀吉の側室の一人になる。秀吉は柴田勝家を滅ぼした後、残されたお市の方の遺児三人を織田家から京極家に移しよく観察した。そして長女の茶々を側室にすることに決めたのだった。美男美女から必ず美男美女が生れるとは限らないが、茶々は信長の妹で美女のお市の方と美男だった浅井長政の配合で天下一の美貌を受け継いでいたのだった。ほぼ天下を手中におさめたと感じた秀吉が天下一の美女を求めるのは当然の帰結である。しかも相手は尾張半国の王の娘と近江半国の王との間に生れたサラブレッドなのである。

九州制覇を終えた秀吉は昼は関東経営の戦略を練りつつ、夜は大阪城下の京極屋敷に忍び入ることが日課となっていた。

京極屋敷は万事心得て秀吉の訪れを待つ。

秀吉は往時を忍ぶ。信長の在りし日・・・秀吉は信長の伴をして愛妾吉乃の待つ生駒屋敷を訪問したものだ。信長には正室の帰蝶を慮る風情があった。

「余も同じじゃ」と関白となった秀吉は思う。「寧々を敬い畏れておる・・・」その心理にはかって寧々によって愛妾に生ませた子を殺された怨みがこもっている。「しかし」と秀吉は考える。「あの頃は寧々も若かった」・・・「今では子ができれば喜ぶだろう」と秀吉は思う。「けれど」と秀吉は用心深く考える。「女というものは油断できぬ・・・」と。だから・・・秀吉は茶々をかくまうように京極屋敷に置き、石田三成に警護を命じている。北政所(寧々)と縁の薄い近江出身の石田を起用しているのが秀吉の遠慮である。

京極屋敷の殿下の間には酒肴が整えられ・・・茶々が待っている。

灯に照らされた茶々は天女のような美しさだ・・・と秀吉は思わずにはいられない。

しかも・・・茶々は会話の名手だった。実の父親の生前と死後に渡って・・・お市の方が念入りに仕込んだくのいちの芸術品。それが茶々だったのである。

最初の夜・・・茶々は秀吉に生前の母の話を所望した。相手は亡き母を死に追いやった張本人である。しかし、秀吉には主君の妹として慈しみ浅井への嫁入りには警護し・・・そして出世の糸口となった越前攻略戦での殿の栄誉。それはお市の諜報によるものだった。さらに浅井家滅亡に際してのお市と三人の娘の受け取り・・・お市には様々な思い出があった。

秀吉は茶々の求めるままに話に興じ・・・飽きることを知らなかった。

そして不意に茶々が秀吉に身を寄せてきたのだった。

「結局・・・母上は不幸なお方だった・・・しかし・・・幸せなお方でもあった。なぜなら・・・ここに妾が生きてこうしているから・・・殿下は・・・今は不幸せなお方・・・。けれど・・・妾が幸せにしてあげまする・・・殿下のお子をお生みいたしまする」

秀吉は思わず、茶々の目を見た。茶々の目はその名の通り茶の色をしている。その茶色の瞳が突然、怪しい色をおびはじめた。それは色を失ったと思うかと思えば・・・桃色に染まったのである。

秀吉は下半身にかって覚えたほどのない熱さを感じた。茶々の手がいつの間にか秀吉の下半身に伸び・・・そして手指が蛇のように這い回っている。その一つ一つが性の秘孔を探り当てていく。秀吉の男のものは果てがないように怒張し続ける。

「おおぅ」と秀吉は思わず声を漏らした。気がつくと秀吉の下半身は露わになっていて妖しく半裸となった茶々がその上に蔽いかぶってくる。

秀吉はまるで夢を見ているような気分になった。

「関白殿下。茶々の処女を奉げまする。そして織田家秘術・種参りの法をとくとお試しなされ・・・」

秀吉の心は快楽で満たされた。そして長い絶頂感が訪れた。茶々の秘所に吸い込まれた秀吉の男のものは秀吉が悶絶するまで精を放ち続けたのである。

それ以来・・・秀吉は茶々の虜囚となったのだった。そして天正十六年の秋・・・茶々の懐妊を告げられた秀吉は愛妾のための城・・・淀城の建築を命じたのだった。

そして・・・天正十七年の初夏・・・茶々は秀吉の子・捨を出産したのだった。

秀吉は天にも登るような喜悦を感じつつ・・・上杉景勝に佐渡・本間攻めの許しを与えたのだった。一方で秀吉は関東・東北地方へ停戦命令を発布する。つまり、それは秀吉の許しがなければ戦をしてはいけないという宣言だった。

直江津に巨船が来航していた。加賀の前田家が建造した鉄甲船である。信長と九鬼が開発したものよりも防備は軽量化されているが南蛮船の研究により航行性が向上している。豊臣秀吉から豊臣兼続への出陣祝いだった。

船を届けにきたのは前田家一の歌舞伎者と噂された前田利家の甥・前田利益だった。

すでに五十代を過ぎた年頃だったが・・・長身の体に赤い着流し、背中に槍を背負っているというその姿に・・・迎え出た兼続は思わず吹きだしそうになったが忍びなので幽かに頬を歪める程度に自制したのだった。

「拙者・・・槍働きをしとうござるが・・・よろしいかのう・・・」倍する年齢の老いた武者にそう告げられ、兼続は頷くばかりだった。

利益はニヤリと笑う。それだけで凄みがあった。「拙者のことはひょっとこ斎とお呼びくだされ・・・」利家はそう言いつつ懐から干し柿を取り出すとむしゃぶりついた。

やがて直江水軍は鉄甲船を中心に船団を組んで渡海し・・・佐渡への上陸作戦を開始した。

佐渡を支配する本間一族は・・・上杉謙信存命の間は越後と提携していたが、謙信死後は叛旗を翻し独立勢力となっている。景勝は本間家の反主流派を調略し、先手として道案内させることに成功していた。

そして、佐渡の領主・本間高統に組する佐渡勢の殲滅戦に突入したのである。

上杉景勝は佐渡を完全に掌中におさめるために根切り作戦を断交した。これにより、女子供も容赦なく殺害し・・・佐渡は死臭に覆われた。

その渦中でひょっとこ斎は獅子奮迅の活躍をし、一刀で五人の首を刎ねるという力技を見せ、上杉衆の度胆を抜いたのだった。

火攻めを受けた佐渡本城は跡形もなく消失していた。

血の匂いを漂わせた前田利益が城跡を見分する兼続に身を寄せる。

「ここに新城を築かれるのか・・・」

兼続・・・「もはや・・・佐渡には大城は無用・・・寺でも建てることにいたしまする」

前田利益は兼続のその言葉に諧謔の匂いをかぎつけ凄惨な笑みを浮かべた。

すると兼続も密かに笑みを返すのだった。

その頃・・・伊賀の才蔵は流れ流れて会津黒川城に雇われていた。摺上原の戦いに蘆名方として参戦し、敗残兵と化している。蘆名勢は総崩れとなり、黒川城主蘆名義広は城へ帰還することもままならず、実家である佐竹領に逃げ戻る始末である。

落武者狩りの追っ手の中には北条からの援軍の風魔や奥州忍びの山神衆も混じり・・・才蔵も磐梯山周辺を命からからがら脱出したのだった。

最後の最後で霧隠れの術を使い不敵な哄笑を残しながら・・・才蔵は心でつぶやいた。

「また・・・負け戦かよっ」

大阪城天守閣。秀吉は摺上原の戦いの模様を忍びから伝え聞く。

そして・・・微笑んだ。「所詮は信玄袋の中の戦さであろうず・・・」

関連するキッドのブログ『第27話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『緊急SP救命病棟24時~救命医・小島楓』『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)・・・火曜日のドラマピンチだな・・・。

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2009年7月12日 (日)

ミスター・ブレイン涙のインスピレーション(木村拓哉)傘の柄でツボ圧ししてたから犯人取り逃がしたじゃないですか(綾瀬はるか)

「合成アグネス・ラムはじめました」でもよかったのだがコラージュについて言及するのは最終回にふさわしくないと考え自粛である。

キッドはこのドラマはすべては「事故に遭遇して意識を失った九十九(木村)の内面世界・・・つまり夢の出来事」だと疑っているのだが・・・最後でどう考えても機内持ち込みが不可能そうな装備を身につけた謎のハイ・ジャック犯人(香取慎吾)の登場でますます、その意を深めたのである。

しかし・・・夢を見ているのは由里(綾瀬)なのかもしれない。

もちろん、そう考えないと辻褄の合わない場面がいくつかあるからである。

たとえば・・・飴玉の連絡方法だ。足のつかない携帯があるご時勢にそれが「合理的な連絡方法」とはとても考えられない。

だが、赤い飴玉、黄色い飴玉、青い飴玉には視覚的、味覚的、臭覚的、触覚的、聴覚的な面白さがあり、その道具立ての面白さを優先させるわけである。

だからこそ夢の世界である。

ちなみに飴玉の聴覚的な趣向とは「しゃぶる音」あるいは「噛み砕く音」である。それは一種の「美・サイレント」なのである。

で、『MR.BRAIN・最終回』(TBSテレビ090711PM0756~)脚本・時田光治・森下佳子、演出・福澤克雄を見た。精神分析あるいは心理学では人間の心を「上位自我・自我・無意識」と規定している。あるいはそう考えていた時代があったと言うべきかもしれない。神経科学の研究が進み、心のシステムが解明されるにつれ・・・その説明はあまりにもシンプルすぎるのではないかと考えられたからである。この瞬間に心理学は過去のものとなった。しかし・・・脳のすべてを数式で解き明かすことはまだ成果とはなっていない。脳の構造的分析により・・・たとえば電子的に記憶を取り出すことはまだ可能ではないのである。

もちろん・・・闇の世界ではそれが実現化しているが表沙汰にはなっていないという可能性はある。それは不老不死がすでに完成している可能性とそれほど変わらないだろう。

少なくとも遺伝子レベルでは一般人の知らない恐るべき成果が達成されていることは充分に妄想できるのである。

まあ、それはさておき、このドラマは「脳科学」を語り出すと・・・古色蒼然たる心理学的なアプローチが始まるというお約束があるわけである。

まず、前回から語られる「微笑み」の二つのスタイルを例に挙げておこう。

ここでは「心」は二分割されている。「意識」と「無意識」である。「無意識」の「笑い」は自然であるが・・・「意識」による笑いはぎこちない。九十九が語っていることは昔懐かしい心理学の話に過ぎない。

もちろん・・・このドラマの脚本は最初からそれを織り込み済みなのである。

最後の最後までネタとして使われる「人間はウソをつくときに右上を見る」というのは「科学的」ではないと九十九自身が明らかにするシーンは初回からある。

同様に最後は冤罪の犠牲者である北里(上川)と九十九の対決で次のような会話でこのことが示される。

九十九「人を殺せば殺した人の魂も死ぬんです」

北里「そんなの科学じゃないだろう・・・」

九十九「科学とはすべて直感で始まるものなのです。それを実証していくだけなのです。僕はいつか僕の直感の正しさが証明されると信じています」

ある意味、実に「寝言」なのである。

しかし、その「寝言」は正しいとも証明されていないが、間違っているとも断言できない性質を帯びている。

そしてキッドは九十九は昏睡状態にあると考えるので「寝言」を言ってもなんら問題はないのだ。

「寝言」が人の心を動かすことだってあるのだからな。

さて、警察庁副長官狙撃事件、尾崎議員誘拐事件、菊池議員爆殺未遂事件の実行犯の一人、相沢(光石研)は確保されるが主犯格でないことが判明する。

主犯である北里の存在や・・・その背後で暗躍する武井刑事(市川海老蔵)についてお茶の間は知っているが捜査陣は知らない。

そして・・・手がかりを得た林田刑事(水嶋ヒロ)はそれを上司の丹原刑事(香川照之)に伝えないまま、まんまと罠にはまって爆発に巻き込まれてしまう。

しかし・・・不死身なのか・・・一命は取り留めるのである。

「自分が携帯を持っていなかったからこんなことに・・・」と反省した九十九は携帯電話を買いにでかけ・・・丹原刑事は刑事の直感でこれを見抜くが、由里は見抜けないのだった。

人は失敗に学ぶ生き物なのである。捜査は手詰まりになるが、奇跡的に意識を回復した林田によって隠されていた情報・・・「尾崎議員の息子が武井刑事と黒い噂のある広域暴力団の事務所と関係していこと」が判明すると第一の進展がある。

犯人の遺留品である「×」印の血液のDNAと無断採取された尾崎議員の息子のDNAが一致したのだった。

さっそく、尾崎議員の息子に事情聴取がなされるが・・・九十九と丹原は直感で尾崎議員が犯人ではないことを見抜いてしまう。そして尾崎議員の息子には事件当日のアリバイがあるのだった。

科学警察研究所の生物学担当・難波は「一卵性双生児、もしくは骨髄移植手術を行った場合、DNAが一致する可能性がある」と示唆するが・・・尾崎議員の息子はそれを否定するのである。

一方・・・あくまで武井刑事を疑う九十九は単独で尾行。飴玉の秘密に肉薄するのだが慣れない行動のために肩がこり、張り込み場所で思わずマッサージをしてため息をついたために北里を取り逃がす。

再び、手詰まりになる捜査陣だが・・・またしても林田刑事が突破口を開くのだった。

深手を負った体を投げ出し沈黙を守る警察庁副長官に直訴である。

「あなたを撃った犯人・・・尾崎議員を誘拐した犯人・・・そして菊池議員を狙った爆破事件の犯人は・・・何が目的なんですか・・・そしてあなたは何を隠しているんですか・・・一般市民に負傷者が出ているし・・・菊池議員は殺害を予告されているのです・・・警察は警察を守るためにあるんですか・・・僕は違うと思います・・・」

ここで警察庁副長官の心理は自我と上位自我に分かれる。自我は保身のために沈黙を守っていたのだが、モラルや人情や良心といったものを司る上位自我の支配力により・・・ついに警察庁副長官は口を割るのである。

三人のターゲットは過去にとある事件の捜査関係者と検事だった。

そして・・・その事件とは「殺人事件」であり、現場に残されたDNAと北里の事件が一致したのを証拠として有罪判決が下され、北里は刑に服した。

それが17年前の事件であった・・・しかし、獄中から再審請求を続ける北里。

その後、DNAの鑑定技術が発展し・・・かっては「100万人に1人の確率」という精度だったものがより精密になったのだった。そして・・・新しい技術の元で犯人のDNAと北里のDNAは不一致と判定されたのである。

おりしも・・・北里は獄中で白血病を発症していた。そして偶然にも尾崎議員の息子が骨髄移植可能者だったのである。

三人は共謀して北里に「再審請求の取り下げ」と「移植手術の実行」という取引を持ちかけたのである。いわば脅迫である。

その結果・・・北里の無実を信じていた両親は自殺という最悪の結果が生じる。

刑期を終えた北里はその復讐を実行していたのだった。

この真相に警察も科警研も心(上位自我)あるものは全員うなだれる。

しかし・・・北里は消息不明・・・そして北里の部屋からは「事件の裁判官の講演会」のチラシが発見されるのだった。

裁判官の講演会場である科学博物館に急行した捜査陣。しかし・・・時すでにおそく・・・裁判官は拉致されていた。しかも・・・会場には爆弾が仕掛けられていたのである。

どうせ最後は強行突破するのならこっそり逃げ出した方がよかったのでは・・・などと考えてはいけないドラマなのだった。

すべては・・・九十九が自分を嘲笑した犯人に会い、一言文句を言ったり、由里の携帯電話を尻ポケットから盗み、由里には一瞬変なことを想像させ、後に九十九を発見させて、そうなると信じてましたと言って由里のハートを直撃したり、飴玉の秘密を北里に問いただしたり、北里にこれ以上罪を重ねないように説得したかったりしただけなのである。

したかったから仕方ないのである。

ここでは心は二分割される。自我の意思と無意識の欲望である。

やりたいことをするのである。

こうして・・・九十九は北里と出会う。

九十九は説得に成功しかかるが・・・「お前の両親もお前の無実を信じていた」と尾崎(濱田晃)が空気を読まない・・・あるいは心(上位自我)ないことを言ったために台無し寸前に。

この場合、北里の心は上位自我と自我に二分割される。一般的に両親に育てられた子供は道徳的な情報を両親から伝達される。そのシステムは上位自我となり、自我の暴走に歯止めをかけるとされている。立てこもり犯人の説得に「ご両親が泣いているぞ」と呼びかけるのは上位自我のシステム発動を促しているのだ。人間の良心とは両親の心なのである。

もちろん、親が子供をしつけない場合、このシステムは最初から崩壊しているのである。

尾崎の息子の良心が崩壊している以上・・・教育不在の連鎖によって尾崎の良心もまた存在しない可能性は高い。

そのために結局は自分が自殺に追いやった北里の両親の話を持ち出しても尾崎の心(上位自我)は自分の心(自我)を咎めないのである。

北里の内部では「無実を信じて裏切られ自殺した両親の復讐をしたこと」が結局罪を犯し両親を裏切っているという「上位自我」が発動し、衝動的に自罰的な殺意を覚え、混乱した「自我」は自殺を図ろうとするが無意識の「生」への欲求を克服できず・・・九十九や駆けつけた丹原に阻止されてしまうのだった。

おりしも・・・警察庁幹部とともに科警研の佐々(大地真央)」は出番を確保するために謝罪するのである。その頭の下げ方がいかにも不誠実に見えてしまうのが宝塚的演技の欠点である。いつもちょっと不誠実な役をやっている真矢みきのそこそこの成功の原因はここにあります。

そして・・・九十九はおとりの銃のテクニックを携帯電話に応用したことを明かす。

北里は心から苦笑するのだった。

人間は学ぶ生き物だからである。

そしてコピーに敗れたオリジナルは苦笑するか裁判に持ち込むかのどちらかなのだ。

そして・・・林田刑事は九十九から学びすぎてやや恥ずかしいそっくりさんになってしまったのだった。

さて、インスピレーションとは霊感のことである。この場合、スピリッツ(精霊)が入ってきてひらめくことを言うのである。

これと肩を並べる言葉にintuition(直感)がある。霊感と直感。この区別のつかない人は多いだろう。厳密に言えばキッドにもつかない。

intuitionは見た上で・・・あるいは見たからには・・・あるいは見たまんま・・・といったニュアンスを持っている。長いシッポをもって足音を忍ばせ振り返ってニャアと鳴く生き物を見てそれが「ネコ」だと分ること。それが直感だ。

しかし・・・それが「ネコ」だということの真偽はまた別の問題なのである。

同様に羊を見て羊と思うことも直感なのである。しかし、それが羊の皮をかぶった狼だと見抜いた場合は・・・直感でもあるがニュアンスとしては霊感的な感じもする。

羊の皮をかぶった狼のフリをした北朝鮮の工作員だと見抜くようになるとかなり霊感が湧いている気がするし、さらに羊の皮をかぶった狼のフリをした北朝鮮の工作員に見えるマイケル・ジャクソンだと看破するようになると頭に蛆がわいている場合があるので注意してください。

人が人を理解したと思うこと。人が人に理解されたと思うこと。

それもまたインスピレーションのなせるワザである。

そういう時・・・人は涙を流すことがある。なぜなら心に何かが入ってきて痛いからなのだな。

とにかく・・・このドラマは九十九のインスピレーションの物語だったのだ。

ところで・・・九十九は由里に「もしも進化したと思ったならば・・・」の後に何をささやいたのだろう。

①今度はパートナーになろう

②アメリカまで自費でおいで

③映画化決定

正解はコチラで・・・。(ヒント・反転)

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

Hcinhawaii0569 ごっこガーデン。アンナとダーリンの初共演メモリアル・シアター。アンナダーリンのお仕事に初めての共同作業。アンナのスピリッツはダーリンのスピリッツと一体化して異次元の扉を開いたのぴょん。こんな素晴らしい仕事を目のあたりにしたら金輪際文句は言えないのぴょ~ん。その上、ギューっとされたりしたらはうぅんなのでしゅーっ。もう硬直なのぴょん。この胸の高鳴りは落涙レベル~。携帯電話どころか・・・アンナのハートはダーリンに盗まれっぱなし~やんだ~お気楽お疲れちゃん・・・展開が早くてあれよあれよと解決しちゃったよね。結局リンダ刑事のケガの功名ってこと?・・・最終回なので多めにサービスしときますみのむしクライマーズ・ハイとかDVDで見てたら遅刻しました~まこ土曜日見るもの多すぎてヘトヘトでしゅ~エリさあ、いよいよ月曜日はブザービートはじまりはじまりでスー

Hcinhawaii0570

 ごっこガーデン。神秘のミスター・ブレイン打ち上げ会場。くうとにかくリンダ刑事の無事が確認できてよかったわ~。そして最終回は事件を解決したのはほぼリンダくんのお手柄だよね。あの泣きで黙秘していた警察幹部を落としたわけだから~。拳銃を持つのもイヤなビビリの役柄だからこそ、おびえながら警官を助けに戻り・・・そして名誉の負傷・・・だから説得力があったのよねikasama4リミット見てたらレビューするの忘れそうになりました。とにかく、出演者多すぎで・・・時々、肝心な説明が省略されているような気がするんですよね・・・北里の狙撃の技術とか・・・共犯者の出所とか・・・お子様向けの部分とすごく大人向けの部分がやはり消化不良なのかもあんぱんちメイド刑事見てたら遅刻なのね。アンナちゃんお疲れ~シャブリやはり・・・アメリカで待ってる・・・かしら。まあ、アグネスのグラビアより、はるかちゃんのグラビアの方がそのまんま過激なような気がしたりもするのでありました~。あ・・・ドラマでしたね。ハイジャックのニュースを伝えるアナウンサー役はTBSの升田尚宏アナでした~mari結局、武井の正体は不明のまま・・・警察内部の派閥抗争を暗示しているようでしたが・・・ただ単に人間界に潜り込んだ悪魔のような不気味さもありました。丹原林田の凹凸コンビは面白かったのですaki結局・・・宿題が残された・・・っていうのは続編なのでしょうか。それともあえて後味の悪さを狙ったのか・・・そうなると最後の最後はまさか・・・本物だったりして・・・

月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ~神南署安積班』(TBSテレビ)『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)

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2009年7月11日 (土)

あなたが死んでも相手は笑うだけ(木下あゆ美)

久しぶりにいいセリフ来たーっ。しかるべく来たーっ。

「私の仕事は心のケアですから」も意味深である。「私の仕事は怨みを持つ人の心のケアですから」と考えることができる。

相変わらず、スタッフ一同、実にいい仕事ぶりである。

唯一の気がかりは情報屋(寺島進)の不在であるが・・・「彼」は消息不明で新・情報屋(加藤雅也)の登場という設定が「彼」の再登場の含みを持たしているところが乙である。

また狂言回しとしての寄木刑事(きたろう)は「死んだ」とも「意識不明の重態」とも囁かれていて、代わりにニュース・レポーターの星影静香(長谷部瞳)とその上司・城島(田中哲司)が新登場。星影は過去に忌まわしい記憶を宿しているようでリセットされた「怨み屋ワールド」にようこそ・・・なのである。

前回の総集編プラス寄木刑事の査問で織り成された「第0話」は視聴率*3.3%だが・・・そんなの関係ない番組であると断言できる。「コールセンターの恋人」とか「メイド刑事」とかは問題外の作品なのである。下手すれば「オルトロスの犬」だってふっとびかねない・・・それはさすがにないか。

で、『み屋本舗 REBOOT・第1話・前編』(テレビ東京0907032412~)原作・栗原正尚、脚本・監督・仁木啓介を見た。冒頭は大橋未歩アナによる擬似報道である。「区立中学校の女子生徒がいじめを苦に自殺。しかし、学校側はいじめの事実を全面否定しています・・・」

新オープニング主題歌は「夢/鴉」である。

夢を見たよ

僕が死んだ時

すべての幕がおりて

その記録を事細かく綴ってる

誰かがいた・・・

これもいい。そして・・・例によって淡々と怨みの誕生が語られる。

携帯掲示板・学校裏サイトの「イジメ部部長」からの支持に基づき・・・「部活」と称して嗜虐的な暗い遊戯に熱中する中二トリオ。邪悪な顔立ちの赤坂チサト(守山玲愛1995年生)、醜悪な体型の松村時子(峯崎亜里沙1993年生)、元AKB48だけにやや小悪魔な紙田鈴(増山加弥乃1994年生)、ほぼ現役一部なんちゃって中学生キャストである。

この凶悪な女子中学生三人組の生贄は戸蓑あやね(斉藤はるか)というクラスメイトだった。苛めの発端は示されないが、学校裏サイトを支配する「オニの部長」が彼女たちを誘導した形跡はある。トリオを部費の徴収と称してあやねから一日3万円を徴収し、携帯掲示板に示される指示に従ってトイレにてトイレットペーパー巻き、モップ責めなどをウォーミングアップとして行う。心あるお茶の間は早くも「絶対に許さない、絶対にだ」体制だろう。

トリオはその行為に心の底から愉悦を感じている。

廊下で担任教師・手塚(正名僕蔵)に出会ってもアグネス・チャンが口から泡を吹きそうな倫理規定ギリギリの線であやねのスカートをまくりあげ、「エロオヤジ」と挑発する有様である。もちろん、正名僕蔵なのでダメ教師の見て見ぬフリは極めてナチュラルに演じられる。

そして・・・「部活内容」として新たに下された「指令」は「あやねに携帯掲示板サイトを使って援助交際(売春)させること」だった。

トリオは喜んであやねと客をセッティングする。

こうして処女喪失したあやねはその日のうちにデブでブサイクな青年を二人目の客としてあてがわれ、売春行為を強要されてしまう。「逆らったら家に放火して家族ごと焼き殺す」と脅かされたからだ。実際、やりかねない連中である。

そして・・・純潔を汚され「もう・・・お母さんに会わせる顔がない・・・」と団地の屋上から投身自殺である。その描写が爆笑テイストで描かれ、冷徹で人の命をなんだと思ってんだ空気も最高潮なのである。

そして・・・あやねを自殺に追い込んだトリオは退屈で死にそうになるのだった。

あやねの家は母子家庭である。残された母親(古村比呂・布施博夫人)は「いじめについて」のあやねのノートを発見し、いじめの実態追及を警察と学校に托す。新情報屋のデータによれば中学生のいじめは年間一万件を越え、中学生の自殺者は年間300人を越えるが「いじめによる死者はゼロ」なのであった。調査の結果「いじめの事実はなかった」と学校と警察は発表するのだった。「責任はあるが責任はとらない」と言う姿勢は母親への土下座となって現れる。最初は同情を装った父兄たちも「わが子の進路に差し障り」が出ると自殺した娘の母親を白眼視するのだった。

「ごめん・・・あやねのために何もしてあげられなかった・・・」似た者母子である。無念を胸に陸橋から線路に投身しようとする母親。

そこへいつもの音楽(音楽・P.P.M)とともに・・・怨み屋(木下)登場である。

「娘さんと同じように自殺をしても・・・怨みは晴れませんよ・・・あなたが死んでも相手はただ笑うだけ・・・」といつもの名刺を母親の足元に落とすのだった。

さっそく、依頼交渉のために怨み屋を自宅に招く母親。

「対象者の社会的抹殺、実質的殺害、いかようにも。今回は一人につき500万円でしかるべく」

母親は「わかりました・・・メモに残された三人の悪魔と部長を探し出して・・・復讐してください」

さっそく・・・新・情報屋の元へ行き・・・調査を依頼する怨み屋。情報屋は残された破損した携帯電話や、学校内の盗撮・盗聴などにより、たちどころに極悪トリオの正体を暴き出すのだった。さらに・・・「部長」はああ、やっぱり「ハゲ校長命令で生徒にモーニングコールをかけさせられる男」担任教師の半ハゲ手塚エロオヤジである。

警察の調査も何事もなく終焉し、そろそろ部活動を再開しようと考える「部長」と「トリオ」だった。

その時、工作員・杉河里奈(葵)を引きつれ、文科省から派遣された心療カウンセラーに変装して件の中学校に潜入する怨み屋。「生徒に自殺者が出たことで動揺する生徒たちの心のケアに来たので・・・いじめの調査ではありません」なのである。

しかし・・・手塚を相手にあやねの机に残された「怨」の文字を示すのだった。

「先生・・・あなたはいじめがあったことを知っていましたね」

・・・つづくである。工作員シュウ(小野健斗)も工作員十二月田猛臣(前田健)の出番もないままにこの圧巻の展開・・・怨み屋・・・流石だ。

来週は死ぬより苦しい地獄の扉が確実に開くのである。

関連するキッドのブログ『怨み屋本舗 超闇の正義スペシャル・マインドコントロールの罠

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)

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2009年7月10日 (金)

俺と彼女の生きる極道(草彅剛)夏の夜の花火と桜吹雪ですかい(黒木メイサ)

(音楽)「仁義なき戦いのテーマ」

平成を風靡した邪丹会系須磨組は構成員がそれぞれに覇を競うまでになっていた。常勝将軍を謳われた獅子の拓哉はこれでもかと縄張りを広げ、兄貴分の巨人の中居は嫁獲りで黒星をつけたが本業の裏ビジネスは無風である。中国ものや薔薇ビジネスにまで手を広げたふとっちょ香取は警察内部にまで侵食していた。かってブスにまで手を出したダンディー稲垣は血の気が多く警察沙汰も珍しくはなかったのだが、酒の失敗で見せてはいけないものをみせてしまった堀越賞の草彅はついに闇介護の世界に足を踏み入れたのだった・・・。

・・・なんのこっちゃ。

まあ・・・素人が闇社会に手を出すのは危険なのだが、闇社会が表に出てくるのも困ったものである。

「仁侠」とは「二人で挟み撃ちにして敵を倒す」という意味である。古来、中国では刺客として仁侠の人を頼った。仁侠の人は恩義のある人の求めに応じ、どんな強敵(皇帝)にも刃を向ける。その心が美徳とされたのである。物騒な話だが本当です。この依頼者(親分)と実行者(子分)の関係が侠に任せるという任侠の基本なのだ。

素人はヤクザが介護などと聞くと「極道の跡取り娘が高校教師に」という「ごくせん」のようなファンタジーを思い描くのだが・・・実際にヤクザの経営する介護施設は・・・これ以上は書きません。

弱者を食い物にするのは裏社会の鉄則だが、たとえばホームレスをスカウトしてきて生活保護を受けさせ、住居を提供するという名目でピンハネをするなどというビジネスはいたるところで展開しているのである。

認知症となり家族からも捨てられた人間を保護する代わりに飼い殺しにして何が悪いという考え方がそこにはあります。そんな・・・危険な部分にまっこうから手をつっこみはじめたこのドラマ・・・正気かっ。

で、『ダンディ・ダディ?~恋愛小説家・伊崎龍之介・第1回』(タイトル長いわっテレビ朝日090709PM9~)脚本・永田優子、演出・池添博を見た。・・・こっちかよっ。・・・ま、軽くね。「パパとムスメの7日間」(2007年)でガッキーのパパを演じてヒットを放った館ひろしが今度は南沢奈央(幼女時代・宮武祭)のパパを演じる。まるで日曜劇場のようなテイストである。何故、日曜劇場でやらないのだ。それはともかくとして館の演じるのは自由恋愛の素晴らしさを高々と謳いあげる小説家にも関らず、妻を亡くして以来男手ひとつで育てあげた娘のこととなると非常に器の小さい男なのである。

娘と彼氏が観覧車に乗っていると知っただけで遊園地に乗り込み、彼氏を引きずり出すほどの器の小ささである。

しかも勘違いであることが判明すると娘の同級生に責任転嫁するほどの小さい男なのだ。

そして・・・そのために破局した娘の親友カップルへのフォロー一切なしである。

困ったもんですな。年頃の娘を持った父親なんていうものは。作りつけの家具のように粗大ゴミにも出せない。始末におえないとはこのことです。・・・落語家かっ。

まあ・・・小説家父娘と言えばコミック「Papa told me」(榛野なな恵)です。妄想的に言えば脚本家はこれを読んで娘を小学生→高校生に置換したというか、時計の針を進めた気配濃厚です。まあ、パクリとしては基本的な「手」の一つです。「三丁目の夕陽の少年たちが大人になったら20世紀少年」のようなものです。ちなみにドラマ版「Papa told me」(2003年)のパパは風間トオルでした。

まあ、キッドは脇役カップルのその後が気になって、自分(主役)たちの親子関係が修復できればいいという脚本展開に最後まで馴染めませんでした。

ちなみにコバちゃんこと小早川悠樹(石黒英雄)はご存知エリートヤンキー三郎ですから・・・いつもらしてしまうのか・・・妄想が止らなかったのです。仲間由紀恵に似た占い師はいつ登場するのか・・・とか。

視聴率は*9.3%でスタート。夜光の階段の平均10.6%(初回12.5%最終回12.1%)を下回る。夫人死亡に不審な点がなかったからか。

関連するキッドのブログ『エリートヤンキー三郎

               『栞と紙魚子の怪奇事件簿

                『パパとムスメの7日間

で、『任侠ヘルパー・第1回』(フジテレビ090709PM10~)脚本・古家和尚、演出・西谷弘を見た。「ガリレオ」の脚本・演出コンビなのであるが、主人公に限って言えば「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」「僕の歩く道」という草彅剛の僕道三部作が連想されるものになっている。どこか人の道を運悪く外れてしまったものが・・・ひとつの出来事をきっかけに「人道」に回帰していくという物語である。

ただし、「僕道」ではそのために周囲の人間が綿密に設定されており、そこに澱みはなかった。

しかし、今回は組織暴力団の幹部候補生が介護ビジネスに参入するために研修を受けるという非常にリアルな設定のために・・・やや大味になっている予感がある。

たとえば・・・広域暴力団隼会・池袋地区貸元・四方木連合・組長(代表)・四方木りこ(黒木メイサ)はシビアな肩書きとは裏腹に甘口設定である。

主人公の隼会・六本木地区貸元・翼工業・組長(社長)・翼彦一(草彅)の裏のシノギ(ビジネス)がオレオレ詐欺の組織的経営であるという汚れ方をしているのに・・・いかにも黒服着て蓮っ葉な口をきいたらヤクザだろう的な匂いが立ち上る。

池袋だから少女売春を組織的に運用して、外国人売春婦をタコ部屋に押し込み、トリハダたつようなこわい女をホテルに派遣しているような女ながらに酷薄・・・ぐらいのイメージでもいいと思うのだが・・・結局、主人公の危なっかしい行動にヤキモキするお嬢様のような行動になっているのである。

ある意味、ボケエロ老人にお尻触られるサービスのために登場しているようなのだ。

しかも、狂気のような主人公を羽交い絞めにして拘束できる実力がありながら、認知症の老女(池内淳子)は取り逃がしたりします。

この脚本家は設定的にキッチリ詰めるタイプなので・・・まあ・・・そこはドラマ的面白さのためにご都合主義を導入したということかもしれませんが・・・そういう穴もしっかり埋めると文句なしの大傑作になりそうなのに・・・と思うのでございます。

まあ・・・しかし・・・お仕着せの制服を脱いで、タンクトップになり、後姿で黒の見せパン、制服で石を包んで即席凶器とそれなりに黒木メイサの魅力はサービス・サービスなのですごく文句があるわけではありません。

さて・・・主人公・翼は親の味を知らないで育ったらしいヤクザ。妄想の中では仁王のように精悍な顔を見せるのだが日常のシノギは「強きに上納金を納めるために弱きからしぼりとるだけしぼる稼業」である。

隼会の会長はそんな翼にとって親のようなものであるはずだが、その描写はない。

会長の死を契機に後継者と目される隼会若頭の鷹山(松平健)から「これからのヤクザのシノギは老人介護ビジネス」と説諭されて「新・若頭候補生」たちは老人介護施設「タイヨウ」(オーナー・大杉漣)に身分を隠して派遣される。山田優の弟・親太郎とか山本裕典とか、ベテランのような新人ヘルパー・仲里依紗が働く大衆的な施設である。

そこで翼は知り合った認知症の老女に息子扱いされ・・・金をせびりとるのであるが・・・いつしか情にからめとられていくという話である。

どこにもない憧れの任侠世界に絶望しつつ、介護の世界にはそれなりにあるべき姿を求める翼。

そこに老人介護ビジネスの成功者・ハートフルバード社の代表取締役・羽鳥(夏川結衣)とその子供店長でいじめられっ子「いじめられとうはなかったのじゃ」涼太(加藤清史郎)が現れる。ついでに秘書(中別府葵)です。禁煙社会代表の羽鳥は喫煙だけは許さないのだった。飲酒は許すタイプだな。

そして・・・ヤクザで老女から金を搾り取っている翼を理想主義者と勘違いして・・・「現実は甘くないの」と説教するのだった。

翼の中で何かが揺れている。それは「家族の味」を知らぬものの「家族」への憎悪と憧憬である。

翼は老女の中に「おっかさん」を見出す古典的なヤクザなのであった。その証拠に最後は若い頃、オードリー・ベップバーン(春日ではない)にそっくりだった老女のために選別として300万円を借金までして包むのである。

「一度してみたかったんだ・・・親孝行」なのである。まあ・・・ちょっとお茶の間向け言い訳の要素もあります。

この辺りの展開の速度が「僕道」シリーズの皮をかぶった「ガリレオ」ということです。

ま・・・エンターティメントなので・・・大傑作でなくてもいいよね。毎回、黒木メイサに「死ねバ~カ」とかのセリフがあれば一部愛好家昇天だもんね。

ちなみにヤクザの組織にもいろいろあるが・・・ここでは店の主人・番頭・手代・丁稚のような序列になっています。会長(死亡)・若頭(マツケン)・貸元(ツヨポン)・構成員(向井理)という感じです。

夜の公園で花火で桜吹雪を見る。まあ・・・時事ネタですね。草彅剛35才の誕生日です。

老女が本当に認知症なのかどうか不明の人は認知症の恐ろしさを知らない幸福な人間だということです。認知症には辻褄は合わないのです。本当にわけがわからないんだってば。

視聴率は17.5%でスタート。「BOSS」の平均視聴率17.0%(初回18.1%最終回20.7%)を上回る。推移によっては平均越えも可能である。要するに極道社会に対するお茶の間の認識のズレの克服が勝負だな。闇介護についての一般の認識は薄いからな。

データついでにイケメンヘルパー向井理の軌跡。「のだめカンタービレ」(2006年秋ドラマ)→「バンビ~ノ」(2007春ドラマ)→「暴れん坊ママ」(秋)→「ハチミツとクローバー」(2008年冬ドラマ)→「おせん」(春)→「正義の味方」(夏)→「スクラップティーチャー」(秋)→「メイちゃんの執事」(2009年冬ドラマ)→「アタシんちの男子」(春)→「ふたつのスピカ」(梅雨)→ココである。「暴れん坊ママ」から秋冬春夏秋冬春夏と2年間連続民放連続ドラマにレギュラー出演中である。貴重なイケメンヘルパーなのだな。

関連するキッドのブログ『僕の歩く道

土曜日に見る予定のテレビ『MR.BRAIN』(TBSテレビ)『魔女裁判』(フジテレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『リミット・刑事の現場2』(NHK総合)

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2009年7月 9日 (木)

病弱児を相手に無神経にも程があるよ(須賀健太)コホコホ(神木隆之介)クスクス(高良光莉)

16才を代表する子役スター・神木と14才を代表する子役スター須賀にはさまれてメガネ娘を演じるのは2008年ホリプロタレントスカウトキャラバン・グランプリの高良光莉(13)である。

「歌のおにいさん」のマカロンキッズのみちるからココである。

院内学級ものと言えば「電池が切れるまで」(2004)があるわけだが、長期入院を余儀なくされた子供たちのうち・・・和田(須賀)は急性骨髄性白血病・・・田中(高良)は慢性肝炎で・・・電池が切れる可能性は高い。

石原(大泉洋)、太川(小林聡美)、七瀬(香椎由宇)のトライアングルでそこそこコミカルに見せているが・・・泣かす気満々である。

さて、関係ないが深夜アニメの「涼宮ハルヒの憂鬱」はとんでも展開に入っている。キッドはコレを「チバテレビ」で視聴しているのだが・・・「第12話」~「第14話」までのサブタイトルがずっと「エンドレスエイト」なのである。ストーリーはタイムスリップ・ループもの(例「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」の無限学園祭前夜)なのであるが・・・その手法がある意味とんでもない。「第12話」はハルヒのワガママな夏の思い出作りのための8/17~8/31までの夏休み生活を淡々と描くものだった。「第13話」はほぼ同じ形でそれがループしていることに気がつくという内容である。展開はほぼ同じなので使いまわしの極みなのである。そして「第14話」はいよいよ解決篇かと思うとさらにループなのである。・・・こ、これはココでしかできない手法だな・・・。すでにループが始まって15499回目なのである。こうなると次こそは解決篇・・・いやこれはもはやオチで来週はまったく違う話が始まるのか・・・それともさらにループを・・・おタク以外・・・誰がコレに付き合うというのだ・・・。

まあ・・・くりかえてもいいと思うエンドレス・サマーの思い出を持っている人は幸せなのである。

で、『赤鼻のセンセイ・第1回』(日本テレビ)脚本・土田英生、演出・佐久間紀佳を見た。さて水曜日はダンスの日だが「新・9係」もゲスト(多岐川裕美)で豪華だったり、「となりの芝生」も大倉孝二が嫌な感じの夫を爆笑で演じていたり甲乙つけがたくパートナーが定まらない。それに対していかにもな子役・病気・赤鼻のパッチ・アダムス展開の水10である。

しかもパッチ・アダムス(お笑い好きの医師)に対して石原参太郎(お笑いくずれの教師)である。この的外れ感がそそります。

脚本家は「斉藤さん」で面白いのか面白くないのか微妙なテイストでついに勝利(お茶の間の心=視聴率)をつかんだ実績があり・・・二匹目の泥鰌がいそうな気配。

そして・・・何よりも高良光莉が萌えさせてくれる逸材なのかどうかチェックする必要があります。・・・そこかっ。

だから・・・水曜日は「赤鼻のセンセイ」に一本化すればいいと思うよ。

と・・・いつもの天井がキッドに囁きかけてくるのです。

石原はお笑い好きのダメ人間。人を笑わせるのが三度の飯より好きだがはっきりいって笑いのセンスはゼロである。失業中の石原が教員免許を持っていることに眼をつけた謎の人物は愛情ホルモン・オキトシトンを愛する脳科学好きの桜山(上川隆也)が院長を務める総合病院の院内学級の教師としてスカウトする。

石原は軽薄に人生を生きることが何より大切と考える真面目なタイプの人間だった。

そのために「空気をよめない」「後先考えない」「人の心が分らない」ダメ人間になっていたのだ。

そんな石原が院内学級の中学生担任になったことを危惧する小学生担任のシルクちゃんこと絹(小林聡美)・・・そして融通のきかない美人を演じさせたら日本一の香椎演じる小児科医・七瀬である。

案の定、無神経な言葉で難治性喘息で苦しむ八重樫(神木)を喘息の発作に追い込み・・・生命の危険を感じさせる事態に・・・。

それでも反省の色を見せない石原に絹が説諭です。

「弱」と言うことの意味が分りますか。あなたのたいして面白くもなかった中学生時代の記憶さえ・・・あの子たちには高嶺の花なんです。あなたのようにバレーボールの特訓もバンド活動も初恋告白失恋も・・・あの子たちには白い壁の向こうの夢に過ぎない。弱肉強食で言えばあの子たちは食べられちゃうお肉なんです。闘病、闘病、闘病です。この院内学級制度ではあの子たちのことを何て呼ぶか知っていますか?・・・病弱児なんですよ。

これはぐっときた。

自分の弱さを認めるのも辛いが他人の弱さを認めるのも辛いものだから。

石原は生れて初めて泣きそうになりました。

しかし・・・そんなことで軽薄が治るもんですか。軽薄も立派な病気ですから。

やがて・・・石原はなんとか八重樫の気分を軽くしようと試行錯誤。

ついに夏の花火作戦を実行して・・・またもや八重樫を瀕死状態に。

けれど・・・そのドタバタ騒ぎの渦中で・・・八重樫はついに知ったのです。軽薄に生きることも案外楽しいのかもしれない・・・と。

軽薄は伝染しやすいので良い子の皆さんは注意が必要です。

しかし・・・子供の命を二度も危険にさらした石原は柄にもなく反省。

退場を決意するのですが・・・絹が呼び止めます。「まだ初回じゃないか」

そこでたちまち軽薄を取り戻した石原。シルクちゃん贔屓の花火師(半海一晃)の協力を得て夏の夜空に予算度外視の打ち上げ花火(一部資料映像))を・・・。

まあ・・・こうして・・・大物子役二人に大物アイドル候補という少数精鋭の生徒に軽薄教師という院内学級ドラマの始まりです。

はたして・・・最後まで生き残る患者は誰か・・・そして石原は一回くらいは笑いをとれるのか・・・。

尾美としのり、光石研、平岩紙、入山法子と次々に繰り出されるおなじみのメンバーに・・・つい最後まで見てしまう予感がいっぱいです。

関連するキッドのブログ『斉藤さん

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』『福田沙紀のメイド刑事』(テレビ朝日)

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2009年7月 8日 (水)

世界で一番美しいうなじを捜して(中山優馬)ヴァンパイア(加藤ローサ)システム(桜庭ななみ)

プライムタイムに吸血鬼登場って・・・初じゃないのか。

おそろしいことだな。まあ、アニメなら「怪物くん」のドラキュラがいるけどな。特撮ものなら吸血怪獣や怪人ゴロゴロしているし。・・・あ、水谷豊がいたか。さすがだな。

シェリダンの「カーミラ」、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」以来、一世紀以上の時の流れを越えて吸血鬼マニアがついにここまでである。

日本・・・大丈夫か。

・・・初回視聴率、*8.5%・・・杞憂だったみたいだ。

で、『恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ~・第1回』(フジテレビ090707PM10~)脚本・小川智子、演出・村上正典を見た。さて、番外地ドラマ8の「バッテリー」で男として最高のタマを投げていた中山優馬がこの枠の史上最年少主演である。「バッテリー」で弟役だった森本慎太郎も付属品のように下宿先の少年役で登場である。

ドラマ8といえば現在「ふたつのスピカ」主演中の桜庭ななみがヒロインの恋敵役で登場。

そしてヒロインは女帝・加藤ローサである。

黒宮ルカ(中山)高校2年生。夏川真琴(加藤)担任教師。高木香織(桜庭)高校2年生という設定である。

しかも、ルカは真琴の16才で溺死した恋人のそっくりさんという設定である。

つまり、高校生と女性教師の禁断の恋物語なのである。そういう意味では展開は常識を越えたメロドラマ展開で転校したルカの下宿先である中華料理店に真琴が押しかけて紹興酒飲んで餃子食って「初恋の人にそっくりなんですーっ」なのである。

ついでに回想シーンではなんちゃって女子高校生(24)を披露である。

まあ、恋人型アンドロイドの物語がOKなら吸血鬼ラブロマンスもOKなのだな。

さて、気になるのがヴァンパイア・システムである。

まあ、最近では大河ドラマでもなんとなく戦国時代をやっているので、基本がファンタジーである吸血鬼ものがなんとなくヴァンパイアでも構わないのだが・・・不確実なものこそ、はっきり設定してもらわないとなんでもありになってしまう。そうすると・・・面白さも曖昧になってしまう気がするのである。

たとえば萩尾望都の「ポーの一族」ではその設定が巧妙で実にロマンチックだった。

まずは「高貴な血」である。もっとも有名な吸血鬼であるドラキュラは伯爵だった。つまり貴族なのである。由緒正しい吸血鬼・・・このアンビバレンツな存在感こそがヴァンパイアの魅力なのである。

続いて「永遠の命」である。不死こそがヴァンパイアと人間の最大の違いだ。キリスト教世界では神は人間に「死」を与えたのであり、それを受け取らないヴァンパイアは神への反逆者・・・すなわち悪魔の眷属ということになる。

だから「呪われた一族」なのである。

「ポーの一族」は「高貴な血」「永遠の命」「呪われた一族」のミックス加減が抜群である。

彼らは繁殖する。その方法は人間からの選抜である。「永遠の生を分かち合うに足る美と知を備えたもの」だけが「高貴な血」を与えられ・・・「呪われた一族」の一員になることができるのだ。そこには与えられるものと与えるものとの「愛」が不可欠なのである。

さらに「ポーの一族」では吸血ではなく「エナジー」という考え方を導入している。

家畜としての人間から「一族」が吸うのは生気であり、「一族」は「血」を与えるのである。

ここに「魔が人を誘う」アイロニーが隠されているのである。なぜなら「一族」は元をただせば「人」だからである。

だから「一族」には「滅び」も用意されている。寿命は永遠だが「事故(アクシデント)」に遭遇すれば・・・「一族」は滅びるのである。「永遠」を生きるものにとって「パートナーの滅び」は「人」の喪失感を上回るという空気が醸成されるのです。

さあ・・・そういう意味で・・・明らかになんとなく度の強いこのドラマ。

きっちりと秘密が用意されているのかどうか・・・心配です。

ルカを導く先輩ヴァンパイア・カイト(近藤真彦)は人間を下等動物と見なしているのですが・・・その年齢さえも定かではない。なにしろ、ヴァンパイアの中には1000才のものもいるわけです。

また見た目年齢の問題もあります。「精霊」としてのヴァンパイアは実際には姿形はなく見るものの目に見せているだけというタイプがあります。その結果が「鏡にうつらない」という特徴になるのです。

また「高貴なる血を受け継いだ年齢で止る」というタイプがあります。カイトがそのタイプなら44才でヴァンパイアになり、見た目は44才だが、実は444才かもしれないのです。

ここで今回のドラマのありがちなフリから考えれば真琴の死んだ恋人がルカである可能性は充分あるわけです。

溺れた真琴の恋人に「愛」を感じた444才のカイトが「高貴な血」を与え・・・ヴァンパイアの心の故郷ルーマニアに隠した可能性は高いのです。そして十年の月日が流れ・・・真琴は成人したが・・・恋人はあの日のまま・・・そしてルカとなって現れたというのがオーソドックスな流れでしょう。

まあ・・・そういうシステムだったとしてです。

「ドラキュラ」以来・・・映画、小説、コミックでヴァンパイア・システムは練りに練り上げられている。その上澄みをなんとなく吸血鬼ものはかすめとるのですが・・・しっかりしないとなんだかわからないものになりがち。

ヴァンパィアは人を魔に落さなければ愛を表現できない悲しい生き物。

その辺りをきっちりとおさえて・・・闇の世界にルカと真琴が旅立つ最終回だとよろしいのですがね。まあ・・・悪魔としては魔王に祈るばかりでございます。

今のところ、日光もニンニクも十字架もただのシンボルでございますからーっ。

浅いかな・・・二人が飛び込んだ夜の海のような浅さかな。

はたして・・・「処女の生き血」設定はどうかな・・・あれば桜庭ななみの逆転勝利もあるかもね。

まあ・・・単に怪物ランドからやってきた異属と人類との異種交流なのかも・・・それは視聴率とれないぞ~。

関連するキッドのブログ『バッテリー

               『女帝

木曜日に見る予定のテレビ『桜庭ななみのふたつのスピカ』(NHK総合)『釈由美子のLOVE GAME』(日本テレビ)『科捜研の女スペシャル』『南沢奈央のダンディ・ダディ?』(テレビ朝日)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『東京少女桜庭ななみ』(TBSテレビ)・・・さて・・・メイサが当りを引きますように。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年7月 7日 (火)

道なき道を16馬力の国産車が進む時泥濘で圧すは人力(吹石一恵)

戦後の日本は小鹿の如く奔るのだった。音楽・佐橋俊彦(「ちりとてちん」「鹿男あをによし」など)である。

なかなかにそそるドラマなのだが、とりあえず初回は「ぼくの妹」方式でレビューである。

月9が「山P」である以上、「婚カツ!」のようには扱えないので最後のレビューになる可能性大である。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「コールセンターの恋人」*9.3%(来週は「釣りバカ日誌2」「ハリー・ポッターと賢者の石」「県庁の星」VS「南極アイス」容赦ないな)、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」12.7%(綾波レイ14才の乳首が表現の自由の砦なのか)、「メイド刑事」↘*8.2%(時代劇色強すぎ特撮色強めで頼む)、「MR.BRAIN」↘18.3%(ここで平均20.0%である・・・来週が20%以上かどうかで決まる分りやすさ)、「富士山頂」12.8%(なにもかもがなつかしい・・・)、「スピード」14.5%(なんどめだ)、「ビニールシート」↗*6.4%(だから吹石を現場に出せと・・・最終回か)、「官僚たちの夏」14.5%(「ぼくの妹」から倍増ならず)、「天地人」↘20.1%(そろそろ主役が何かしないとな・・・)・・・以上。

で、『官僚たちの夏・第1回』(TBSテレビ090705PM9~)原作・城山三郎、脚本・橋本裕志、演出・平野俊一を見た。「そうか、もう君はいないのか」(1月)12%、「落日燃ゆ」(3月)11.1%に続いて今年三本目の城山三郎原作ドラマである。なんでだ?・・・まあ、それはともかくとしてキムタクのいない「華麗なる一族」みたいな感じなのであった。時代的には五年ほど遡るのである。より・・・敗戦後の匂いは強い。

昭和30年(1955年)敗戦から10年である。2001年に経済産業省となった通商産業省を舞台にしたほぼ男たちの物語である。紅一点は通産省初の女性キャリアとなった坂本春生をモデルとした山本真(吹石)である。ニックネームは「お人形さん」である。まあ・・・半世紀以上も前の出来事ですからーっ。

その他は道子(床嶋佳子)の夫で貴子(村川絵梨)の父の風越(佐藤浩市)、ニヤニヤの庭野(堺雅人)、ハゲハゲの鮎川(高橋克実)が保護貿易主義、2時間ドラマの帝王(船越英一郎)と特命係長(高橋克典)が自由貿易主義で対立。仲をとりもつ上司(西村雅彦)、後輩(杉本哲太)、そして後の池田総理大臣がモデルの政治家・池内(北大路欣也)である。

・・・男臭すぎるわ。

そして、国内自動車産業育成のモデルとして登場するアケボノ自動車社長(蟹江敬三)で後継者(加藤虎ノ介)である。もう汗まみれな感じです。

とにかく・・・この男たちのおかげをもちまして・・・日本は今あるこういう姿になったということです。

とりあえず・・・何もかも失った状態から日本が北朝鮮にも韓国にもならずに日本になったことはよかった・・・という他はないのですな。

いや・・・もっといい道もあったという人もいるでしょうが・・・はたしてその道が「奇跡の復興」に通じていたかどうかは謎です。

過去を振り返って語るのは簡単ですからねえ。

今や、日本はまたもや、大中国の復活におびえて戦々恐々な日々を過ごしているわけですが、それもまた追われる立場、奪われる立場という「豊かさ」のシンボルでございますから。

とにかく・・・いろいろご不満もございますでしょうが・・・それを成し遂げた男たちの物語・・・もちろん、全員エリートです。もちろん、いくたの名もなき人々の血と汗の結晶をしぼりとった男たちの物語でもあるわけです。ここが賛否両論分かれるところでしょう。

しかし・・・その男たちの栄光は・・・「報われるためにやっているわけではない」・・・つまり、報国なのであり・・・どこか悲壮な哀愁が漂うのでございます。

アケボノ自動車は架空の会社ですが・・・作っている車はスバル360のようなものなので・・・つまり・・・富士重工業(スバル)がモデルです。スバルの前身は中島飛行機。戦争中は一式戦闘機「隼」とか零式艦上戦闘機(ライセンス生産)とか夜間戦闘機「月光」とか艦上攻撃機「天山」とか特殊攻撃機「橘花」(試作)とか、陸上攻撃機「富嶽」(計画)とかを作っていた軍用機メーカー。

その技術の粋を集めて軽自動車を作ったのですから・・・ある程度成功しないと嘘だろうなのでございます。

大日本帝国の敗因は様々に列挙できるのですが、その核心の一つにモータリゼーションの後進国だったというものがあります。

つまり、国民の大多数が車なんて触ったこともない状況で・・・突然、戦闘機のパイロットや戦車のドライバーになれるかっということなのです。

そして・・・その戦闘機の部品は女子中高校生が生産という悲惨。勝てるかっ・・・でございます。

だから・・・臥薪嘗胆としての国産車普及作戦です。「まだ戦争は終ってない」と主人公が語るのはそういう意味です。

今なら、国民の大半がいつでも戦闘機や戦車の運転手に転用できる時代。ついにその時は来たのです。ただし・・・国民の大半は戦意皆無です。通産省の男たちも平和の恐ろしさに対する理解が不十分だったということです。

関連するキッドのブログ『男たちの大和 YAMATO

水曜日に見る予定のテレビ『新・警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年7月 6日 (月)

宵闇の大阪は二人連れ天地人(妻夫木聡)もっと大きくするがよいのじゃ(深田恭子)

カルピスの元の忍びからビール姫に選手交代なのである。ある意味パーツの担当かっ。

まあ・・・二人とも持ってる武器が同系統だからな。キッドはフニャフニャ系とキンキン系で異種に分類しますが。

さて、時代考証があったようななかったような深キョン茶々姫のためのエビソード作成である。これは創作としてはいいと思います。

ただ少し妄想豆知識を。大国も小国も古くからある名前で、元は地方行政官の官職名です。大国造や小国造は開発した国の規模を示していて、ある程度大きな国土を有すれば大国造が、小規模なら小国造が天皇家から命じられたという話。そして、それを世襲したものなどが大国や小国を姓としたわけです。

しかし、与七が婿に入った小国家は清和源氏源頼光系の源頼行が越後小国の庄で小国を名乗ったわけで地名によるものと思われます。まあ、越後国の土豪としては名家だったということです。ちなみに景勝は中央集権化の一貫として腹心の樋口一族の与七に名跡を継がせ、しかも先祖伝来の名を改姓させたわけでそれは上杉家の高圧的な政治姿勢の表れと見ることができます。そういう意味で小国家の家来衆との軋轢こそあったかもしれませんが・・・婿として苦労することなどはありえません。

また・・・このドラマでは朝廷から下される官位について褒美的色合いを重視したおバカぶりをするわけですが、乱世が収まるにつれ、ないがしろにされていた権威が復活するのは世の常。中央との和解は平和への道程であり義を重んじる兼続はありがたくお受けしたと思われます。歴史音痴の脚本家なので言ってることが支離滅裂なのは一笑にふしてください。

ちなみに最初の上洛(1586年)で景勝は従四位下左近衛権少将に、兼続は従五位下山城守に叙位任官されていて、与七こと大国実頼は聚楽第建造祝いの上洛(1587年)で従五位下但馬守に叙位任官されたのである。景勝主従の再度の上洛(1588年)では景勝は従三位参議に昇叙し、兼続は秀吉から豊臣姓を賜るのである。ドラマではこの辺の史実を無視してとんでも展開をくりひろげているわけなのだな。

まあ・・・景勝主従がとっくに秀吉に飼われた犬となっていることはあくまでシカトなのである。ちなみにすでに京・大阪は首都として機能し始めていて、大国実頼が京都における越後大使館の役割を担うことは自明の理である。そのことが大国の豊臣政権との結びつきを強固にし関ヶ原の戦いの後に徳川家と実質的な手打ちをした上杉家家老の兼続との緊張関係を作ることになるのである。

それにしてもいくら上杉家家老のドラマだとしても家康上洛と新発田制圧の間にある九州征伐をすっとばすって思い切ってます。上杉家の関東管領への野望と密接な関係にある話なんですけどね。

で、『天地人・第27回』(NHK総合090705PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・野田雄介を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はぞんざいなサルとタヌキが漢字に添えられておちょくりにも風情がございます。あらすじが六行の出血大サービスでございます。兄弟仲良く殴り合うのエピソードがあってもいいのですが公衆の面前ではないだろうと考えます。密かに殴り合う奥ゆかしさがありません。景勝としては処分しなければならなくなり、喧嘩両成敗なら両家ともお家断絶ものですがな・・・。兼続は実はおタクで本の虫。朝鮮の戦では書庫から書籍を強奪してきたほどですからね。秀吉も相当な読書家だったので兼続の異例の出世はおタクの友情関係だったと思われます。これに加えて実頼は秀長に似た社交家だったと考えられます。まあ・・・それはともかく・・・深キョンの茶々・・・かわいすぎる・・・。歴代茶々でも最高級茶々ではないかと思われ・・・(; ̄∀ ̄)ゞ ・・・ともかく関東の要の今後については北条幻庵の秘密もご参照ください。

Tenchijin158701 で、天正15年(1587年)秋である。停滞していたかと思うと猛スピードで通過である。この車輌は「秀吉の九州征伐」「秀吉の命による新発田征伐」には停車しないのでご注意ください・・・なのか。天正14年の暮れから天正15年の春にかけて秀吉の日本統一は九州征伐に向けられる。家康との上杉・徳川との手打ちがなった秀吉は後顧の憂いなく大動員をかけ、初戦では善戦した島津勢を物量作戦で撃退し・・・夏までには島津家の臣従化に成功するのである。こうして新たに封土となった九州で、秀吉はさっそく唐入りの準備段階に入る。一方、京・大阪の都市化はさらに進行し、聚楽第を落成。秋には新発田重家に降伏勧告を発し、重家が下らぬと分ると直ちに上杉景勝に命じて新発田家を滅亡させたのである。与七こと泉太郎は陽忍としての名・大国実頼として・・・越後統一の戦勝と聚楽第落成の祝いの使者として対新発田戦の血まみれの甲冑を脱ぎ・・・上洛したのだった。

京にも大阪にも上杉屋敷が構築されている。京の屋敷を支配するのは兄嫁の姉である直江の姫・お悠だった。ご存知の通り、くのいちである。京の上杉屋敷には樋口家のくのいちも数人出入りしている。何れも子沢山の父・兼豊の種で与七の腹違いの妹だった。

屋敷の奥の間でお悠は与七の挨拶を受ける。中庭からは秋の風がそよいでいる。空には満月がかかっていた。

「戦はいかがであった・・・」

「新発田様は見事なお最後でございました・・・」

「そうか・・・謙信公以来の侍大将も・・・数えるほどになったの・・・」

謙信の愛妾でもあったお悠は往時を忍ぶ目になる。謙信死後・・・内乱の続いた越後はようやくひとつの節目を迎えたのである。

「それにしても時の流れとは面白きもの・・・かっては敵の中の敵の家来であったものが・・・今や・・・主とはの・・・」

「・・・」お悠とともに越後内乱をくぐりぬけてきた与七にはお悠の気持ちが充分に分ったが返す言葉もなかった。泉流忍者の宗家として忍び戦には自信のある与七も陽忍としての務めは未知の領域である。不安があった。

「ふふふ・・・」与七の不安を見抜いたようにお悠は老いを見せ始めた顔に笑いを作る。「案ずるでない。京都のことはこのお悠が・・・大阪のことは汝の兄・樋口与一が万事図るゆえにの・・・ただし・・・京には真田屋敷に初音殿がおられるが・・・真田の立場はちと微妙になったゆえ・・・昔のように気安くは参らぬので用心することじゃ・・・」

与七も真田忍軍の噂は聞いている。初音を中心に新たに組織された真田忍び衆は越後忍び、徳川忍び、関東忍びと敵対しつつ独自の忍び衆をこの京阪の地にも築いているらしい。

「そして大阪には殿下(秀吉)の忍びがあって・・・軒猿衆にはとても手が出せぬ暗部が作られておる。特に最近は不審な動きがあって成り行きを窺っておるところだ。殿下の配下に不審死が続いておる・・・まあ・・・忍び同志の戦いでよもや泉太郎殿(与七)が遅れをとるとは思わんがな・・・」

やがて・・・京都の料理の膳が運ばれ・・・与七は京風の作法についてお悠に教授を受けた。

大阪では忍者同志の暗闘が行われている。標的となっているのは大阪の蒲生屋敷を守る甲賀忍者だった。

大阪城下町の楼閣・翡翠楼の店主・清海は坊主頭をなでながら丼酒を煽っている。そこに音もなく忍び出たのは真田の少年忍者・穴山小助だった。小助は清海を見るとなぜかからかいの言葉をかけたくなるのだった。

「また宵の口からそんなに酔っ払って・・・一応・・・お坊さんでしょう・・・」

清海は破戒坊主らしく濁った目で小助を睨む。「ふん・・・これはな小僧・・・般若湯というものよ・・・どうじゃ・・・小僧・・・今宵はわしがかわいがってやろうぞ・・・お前の尻をちょいと貸してみよ・・・」

「そんなことより・・・初音様に伝言だよ・・・蒲生の件・・・判明したと伝えてよ・・・」

「聞こう・・・」奥の間が開き・・・姿を見せたのは女郎姿の初音だった。小助は平伏して報告を始める。清海は無言で酒を飲んでいる。

小助は配下の真田忍びとともに蒲生屋敷を張っていた。蒲生家から要請があったためである。そして甲賀忍びとともに張った結界にかかったのは殿下の忍びである飛騨の忍びだった。飛騨の黒影である。

さっそく・・・忍び同志のつなぎがあり・・・飛騨忍者の頭領・赤影が事態を把握した。

「恐ろしい使い手でした・・・」

飛騨の黒影は甲賀忍者を襲撃したところを甲賀・真田・飛騨の連携による包囲陣に囲われた。そこから黒影は修羅の如き働きで忍びたちと戦ったのである。

黒影の秘術は影縫いであった。黒影の手裏剣で影を縫われたものは身動きができなくなり、止めを刺されてしまうのである。

しかし、穴山小助は鉄砲忍びの陣でついに黒影をしとめたのである。

「どうやら・・・黒影は何者かに暗示の術をかけられていたらしく・・・最後に正気をとりもどすと・・・金色の目・・・邪眼じゃ・・・と言い残してこときれました・・・」

初音は小さく・・・頷いた。

「影縫いもまた・・・暗示の術と聞く。その使い手に暗示をかけるとはおそろしき使い手だの・・・忍び噂によれば朝日姫の輿入れの際、襲撃したくぐり衆のうち逃げ延びたものがあったそうだ・・・その追っ手の一人が黒影じゃ・・・黒影はそれ以来・・・あやつり人形となっていたのじゃ・・・くぐつの陣内でも出来ぬ業じゃの・・・」

初音はかって戦った風魔衆の暗示の名手を思い出しつつつぶやく。

「おそらく・・・薩摩にあるという邪眼の術。薩摩と手打ちになったとは言え・・・その使い手が健在かと思うと・・・恐ろしい気がするの・・・しかし・・・その者とは手あわせをしてみたいものだ・・・」

初音は無敵の忍びとして久しく感じなかった忍びとしての闘争心が心の内にあるのを知った。

「ふ・・・」初音はそのことがおかしくもあり・・・そして物悲しくもあった。

「諸行無常じゃ・・・」と一言叫んだのは清海だった。しかし、清海はすでに白河夜船を漕いでいる。

「であるが・・・」と初音は微笑んで小助に告げる。「次の戦は関東であろう・・・」

大阪城天守閣・・・秀吉は一人、信長の残した日本国絵図を眺めていた。秀吉の目はすでに関東から東北へと移っている。秀吉は天下一統まで残り四年と読んでいた。

その背後の暗がりには茶々が潜んでいる。信長の妹の娘である茶々は・・・もちろん・・・くのいちだった。闇に光る眼は悪戯っぽい色を湛えている。

関連するキッドのブログ『第26話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)・・・ここにも桜庭ななみかっ・・・。

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2009年7月 5日 (日)

ミスター・ブレイン嘲笑のシナプシス(木村拓哉)微笑みをどうしてくれるんですかっ(綾瀬はるか)

本筋から外れるが「お笑い」についての考察があったので妄想しておきたい。

「微笑みの誕生」である。脳科学者九十九(木村)の語る仮説はあくまで仮説であって科学的に証明されたことではない。威嚇のために歯をむき出したことから攻撃の停止による表情の変化が「微笑」であるというのは想像の範囲内と言って良いだろう。

次に「心からの微笑み」と「作られた微笑み」の差異については「感情」から生じるものと「意思」から生じるものでは顔面筋肉の制御に差が出るという話である。これは一種の演技論で訓練によって「完璧な作り笑い」をつくるのと「内面に笑顔をもたらす気持ちを作って自然に笑う」という方法論の問題である。最終的には「作られた笑い」が観察者にどのような印象をもたらすかということになるので鏡で自己採点することになる。そのためには「演技者」は「客観的な自然な笑い」というものの「イメージ」を持っている必要がある。演技者は常に人の表情を観察し記憶に止める必要がある。しかし、人をジロジロ見るのは失礼になる場合があるため、研究素材として演劇、ドラマ、映画などで「他人の演技」が研究対象となることがある。その場合に何が自然な笑いで何が不自然な笑いかを判別することはほとんど無意味化していく。

「笑い」そのものの原点は多くの研究者が「勝利の笑い」について考察している。サルもまた戦いに勝利をすれば笑うのである。当然、そこには優越的なニュアンスが含まれる。敗北を積み重ねるものが笑顔を疑うのはそのためである。笑顔には邪悪の匂いがあると感じるからだ。

劇中で犯行を重ねる男(上川隆也)に嘲笑されて九十九が激怒するのは基本的な対応と言える。

研究者たちがもう一つの「笑い」の原点と考えるのは授乳後の乳児の笑みである。食欲が満たされることによって生じる弛緩の表情もまた「微笑み」の原点なのである。

「乳児の微笑」と「勝利の笑顔」が複雑にからみあって「社交的な笑い」が誕生する。困ったときの「はにかみ」や社交辞令としての「笑み」さらには周囲が笑うから笑う「つられ笑い」・・・もちろん・・・「お笑い」はそんなに簡単に語れるものではないが、基本的にはこんなところで要点としてはいいだろう。

で、『MR.BRAIN・第7回』(TBSテレビ090704PM0756~)脚本・蒔田光治・森下佳子、恩出・山室大輔を見た。前回、意地悪をするけれど本当は優しい人だと由里(綾瀬はるか)が気付き、本格的に「脳科学」を勉強しようと決意をした瞬間、九十九が研究のために渡米するかもしれないという科学警察研究所瀬田所長と九十九の密談を立ち聞きして「どうしてくれるんですか」とくってかかる由里である。

それに対して九十九は由里の意図を知ってか知らずか・・・笑顔についての怪しい仮説を説く。結局、笑顔と渋面の間を彷徨う綾瀬はるかの変顔ショーである。まあ、必殺のウサギの口は出なかったが・・・結局、変な顔でもかわいさキープが女優なのである。

そんな綾瀬を照準におさめる男・北里(上川)が登場する。

今回、警察関係者の過去の悪事がからんでいるらしいのだが、そのために事件は複雑になっている。

まずは被害者は三人である。第一の被害者は北里に狙撃されたらしい警察庁副長官(大林丈史)・・・昏睡状態となる。

第二の被害者は元・警視庁刑事部長の尾崎衆議院議員(浜田晃)で誘拐されてしまう。

第三の被害者は元・検事の菊池衆議院議員(清水紘治)で爆破事件に巻き込まれる。

これに第四の被害者として謎の男・相沢(光石研)が加わるが実は狂言誘拐で実行犯の北里とは共謀していたらしい。しかし・・・捨て駒だったようで北里は脱出した相沢を見捨てて走り去る。こうなると「血染めの×」の血液は相沢のものである可能性もある。

さて・・・第1回に登場した組織暴力団との癒着で汚職を疑われる武井刑事(市川海老蔵)がずっと思わせぶりに再登場である。九十九はその時から犯罪者への内通者として武井を疑い・・・内通者と聞いただけで直行である。都内に刑事が何人いると思っているんだなのだが・・・ドラマですから。ちなみにキッドはどんなにあわてていてもエレベーターのスイッチは一度しか押しません。

とにかく・・・九十九は武井に赤い飴玉をもらい「いやな予感」を覚えるのである。

一方、故意か偶然か・・・武井が街角に放置した青い飴玉を北里は拾い食いである。良い子のみんなは真似しちゃダメだよ。

相変わらずドラマの中での立ち位置がもう一つ掴みきれないままに九十九に「愉快犯としての脳」で犯人の行動を予測することを命ずる佐々法科学部長(大地真央)だった。

そして・・・後手後手に回りつつ・・・なんとか・・・犯人の行動パターンを見出そうとする九十九。そして犯人は「誘導することが得意な人」という結論に達するのである。

しかし・・・時すでに遅く・・・「気をつけていってらっしゃい」「はい」と危険な旗を立てて出発した丹原(香川照之)、林田(水嶋ヒロ)はまんまと爆弾の罠にはまっていた。予告編に丹原の無事は確認できたがキッドの見る限り林田消息不明である。ここまであまりにもコミカルに新米刑事を演じてきただけに殺されてもおかしくないポジションである。ちなみに「トリック」ではシリーズごとに配役が変わるポジションなのである。まあ・・・一人くらい殉職した方が最終回が盛り上がると考えるかどうかだな。

まあ・・・どう考えても死んでいる経過だが・・・逃げ足の速さから生きている可能性もあります。加速したかもしれないしな。どちらにしろ・・・基本的に九十九の夢の中の話だとキッドは考えています。

さて・・・シナプシスである。最近はシナプスでいいらしいがシナプシスの方がなんかかっこいいと思う。シナプスとは神経細胞のシグナル伝達部位である。たとえていえば、情報を伝達する窓口である。神経細胞はシナプスを通じて情報を入力しそして出力する。

脳とは脳細胞で構成され、機能局在のための変異があるが基本的には神経細胞の集積体であると考えることもできる。

脳で生じる心を考えるにあたり・・・その本質は何かを考えるとき・・・キッドにはそれはシナプスではないかと思われるのである。

ではシナプスとは何かと言えばそれは「伝えるもの」であると言うことができる。

神経細胞のシナプスの一つ一つが伝えて伝えて伝えまくる。それが「心」の原点なのだな。

光があれば光を伝え、音があれば音を伝え、熱があれば熱を、痛みがあれば痛みを、臭ければ臭いと美味しければ美味しいと伝えて伝えて伝えまくるそれがシナプスなのだ。

その結果、走光性のものは光に向かって走り、誘蛾灯に誘われて飛んで火にいる夏の虫なのである。

だから・・・伝えていることの意味などはあまりないのだとキッドは時々考える。役者は演技を通じて何かを伝えようとする。親は子に人生を伝えようとする。人は人に愛を伝えようとする。教えたがりは何かを教えようとする。そしてキッドもまたブログを書いているのである。なぜか・・・それはシナプシスの基本が伝えることだからである。

脳を構成する神経細胞の本質が常に「伝えたがっている」のであるから人は誰もが何かを伝えたくて伝えたくてたまらない状態になるのである。

たとえ・・・それが伝える価値も意味もないことだとしても・・・たとえそれが人を不快にさせる嘲笑だったとしても。

人には「伝えたい呪い」がかかっているのです。

当然、伝えられないともどかしい。伝わらないと歯がゆい。

だから・・・九十九は叫ぶ。「連絡をとってくれ・・・伝えたいことがあるんだ」・・・助手はあわてて連絡をとる。伝えたい気持ちは共感の基本なのだから。しかし・・・それが伝わるかどうかは来週のお楽しみだとお伝えしておきます。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

Hcinhawaii0568 ごっこガーデン。唇ふさぎ放題の科警研セット。アンナついにあんぱんち会長に続いて現場に突入したのぴょ~ん。ごっこガーデンでダーロイドと遊ぶのとはまた別の神秘の体験なのだぴょんぴょんぴょ~ん。奇跡の生命体との遭遇にアンナは大人の階段を一歩昇った気持ちになりましたぴょん。もう自分がアイドルであることを忘れてしまいそう~~~。ああ~・・・もう来週で九十九ぴょんともお別れです・・・泣かないで笑顔の練習に励むのぴょんくういや~、とにかく、林田殉職だけはなにがなんでも阻止しますーっ。そんなことになったら殴りこんでやるーっお気楽おっさんばかり多くてあらすじも面倒なんだよね。でも面白はるかはサービスサービス~みのむしおっとーっ、メイド刑事やらちっとも意味不明のエバやらをレビューしてたら遅刻したのるるるまこ最終回は爆弾で赤と青ですか~まこはアメ玉を所望でしゅ~エリいよいよ・・・MR.BRAINも来週最終回!・・・さあ、じいや、ブザービート会場の準備をするのでスーあんぱんちおっと~夏本番ライブの季節なのよね~、じいや記事早めで珍しく遅刻者多数(爆)シャブリそういう時こそ仮記事で追いつくのでありました~。しかもシャブリの部屋でも出ています~。はるかちゃん抱擁~なので来週は必見であります~ikasama4尾崎議員の息子(鈴木一真)実に怪しい香りを醸し出していましたな~。実は黒幕だったりして。それにしても現場に巨大なメッセージを書いている犯人はドキドキしないものなのでしょうか。最後は両津も登場か?・・・そんなことして・・・まさか映画につづくではないでしょうな~。まあ・・・アンナちゃんはそれでいいとして

月曜日に見る予定のテレビ『ハンチョウ~神南署安積班』(TBSテレビ)

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2009年7月 4日 (土)

南極アイスって南極2号を知ってるのか知らないのか微妙なネーミングですよね(ミムラ)

もうすぐ50才になろうとしているプロデューサーと脚本家である。

知らないはずはないのである。もちろん南極アイス(名取裕子)が「テレビ・ショッピングの売り子の女王」で「南極でもアイスを売れるほどの売り上手」だからというネーミングなので理にかなっている。だから下品な妄想をする受け手の根性が腐っているのである。

なにしろ・・・ちょっと似ているタイプだと思うのである。

最後にギャフンとなって口を丸くあけたりされたら・・・妄想で爆死しそう。

で、『コールセンターの恋人・第1回』(テレビ朝日090703PM9~)原案・山口雅俊、脚本・中園ミホ、演出・片山修を見た。脚本家の流れで云うと「ハケンの品格」(2007)→「OLにっぽん」(2008)ときてコレなので、企業雇用者ものシリーズになっている。「やまとなでしこ」だってそうだと言われればそうなのだが、仕事と恋愛のバランスがかなり違っているのだった。「ハケンの品格」では非正規雇用者の問題を、「OLにっぽん」では人材の国際化問題をとりあげ、前者は大成功。後者は大失敗しているのである。

このあたりはお茶の間とスタッフの間の国際感覚のズレも考慮しなければならないだろう。

まあ、とにかく、前二作が日本テレビなのに今回はテレビ朝日である。しかも現代劇になると視聴率的にはドロドロの金9・・・。かなり冒険が許されているのかもしれない。

アタリをとった「ハケンの品格」の三番手だった小泉孝太郎の主役起用。今回見る限りキャラクターそのままである。

さて大失敗だった「OLにっぽん」の主人公は観月ありさだが・・・観月ありさの最新のヒット作は「斉藤さん」でその時にヒロインとしていい味を出したのがミムラである。

今度はミムラを「仕事のできる謎の女」としてヒロイン化する気なのである。

舞台は携帯県外の千葉県勝浦市周辺の陸の孤島。発想がかなりチベットなのである。そこには「テレフォン・ショッピング」のコールセンターがあって受注もするが苦情も受けるのだった。

企業の人事にまで嘴を突っ込むことができる南極アイス(名取裕子)の陰口を聞き咎められ本社からコールセンターへ左遷された男が都倉(小泉)である。

そして・・・そこには苦情処理のエキスパート・青山響子(ミムラ)が水筒をぶら下げて待機していたのだった。ついでにおしゃれ小鉢のように宇野(安田顕)もついてきます。

おそらく・・・定番の商品→南極誇大広告→青山苦情処理というパターンの中で都倉が人間的に成長し・・・そして恋にも落ちるのだろう。

最後にヒロインが流離の旅に出るのもお馴染みの設定だ。

今回は「高枝切りバサミ」の登場である。

庭も園もない都会のマンションに住むものには永遠の憧れ。高枝切りバサミである。

ゲスト(小倉久寛)は職を失い、日照権も回復できず、喉がかわき、他人の庭の桃を伐るのである。・・・なんじゃ・・・こりゃ・・・のオチですが・・・それはいつものことですからーっ。

まあ・・・国際競争という美名の下に繰り広げられる仁義なき経済戦争を描いて失敗した前作にくらべて地方格差と通販生活ぐらいの要件なので今回はそこそこまとまる模様。

関連するキッドのブログ『斉藤さん

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)

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2009年7月 3日 (金)

犯罪を犯罪で贖うことは出来ません(沢口靖子)VS宇宙から地球を見てディスカバリー(桜庭ななみ)

久しぶりに女優まっこう対決である。

まあ・・・横綱VS新幕内対決なので・・・勝負になっていないのだが・・・。

「ふたつのスピカ」桜庭*3.1%

「科捜研の女」沢口15.9%

まあ・・・ドラマ8という番外地だから・・・シリーズものだから・・・とはいえ・・・五倍ってすごいよね。

ランチに換算すると500円のコンビニ弁当と2500円のフレンチ懐石弁当みたいな・・・どういう比較だよ。

で、『科捜研の女2時間スペシャル・第1回』(テレビ朝日090702PM8~)脚本・櫻井武晴、演出・辻野正人を見た。それにしても沢口靖子・・・いつまで美しいんだっ。血が騒ぐぜ。スペシャルだから殺人鬼はダブルである。

いきなり・・・深夜の殺人事件発生・・・犯人はいかにも猟奇的な男(篠井英介)である。

凶器はいかにもな軍用ナイフ。

そして殺された男(金井良信)は探偵で元刑事。

そして適度な流血。おなじみの下足痕(げそこん)。

法医学研究員の榊マリコ(沢口)が「犯人は被害者と向き合って背中から心臓を一突き」と言えば解剖担当の法医学教授・風丘(若村真由美)も「犯人は被害者と向き合って背中から心臓を一突き」とリフレイン。

美しい研究者たちが犯人の行動を的確に再現なのである。

もう・・・このたたみかけでも・・・類似商品は老舗の味に舌を巻くのだった。

そして・・・2時間ドラマタイプのスペシャル篇は・・・猟奇的に始まって人情沙汰に持ち込むのだった。

事件の経過。北陸の田舎の断崖に女子中学生(後の京野ことみである)を呼び出した担任教師は抵抗されて石で撲られ死亡。現場を逃げ出した中学生とすれちがった高校生(後の坂上忍である)は死体の第一発見者となり逮捕され冤罪を引き受けて少年刑務所にて服役。

そして時は流れた。中学生は菌類学者に、高校生は出版社社長となっていた。

一方、関西圏を騒がす連続女性刺殺事件が発生。しかし、犯人は発見されず突然犯行が途絶え・・・二年の月日が流れていく。

菌類学者の研究施設に留学していた猟奇的な男が帰ってきたのと、菌類学者と出版社社長が再会したのが重なったのは運命の悪戯だったのである。

猟奇的な男が殺人犯である動かぬ証拠(記念日ナイフ・コレクション)を発見した菌類学者は・・・横領の罪で窮地に陥った・・・自分の身代わりに罪を償った男に報いるために・・・猟奇的な男を使って邪魔者を消す悪魔の計画を実行する。

①二人を誘導し猟奇的な男に探偵を刺殺させる(冒頭の事件) ②その現場を出版社社長を糾弾する部下が目撃したと偽装・・・猟奇的な男に刺殺させる。

しかし・・・「なぜ・・・男ばかり刺殺するハメに・・・」と猟奇的な男が嘆かずに出版社関係者を連続して殺し始めたために菌類学者は舌打ちをする。そこで猟奇的な男の毒殺をはかる。

そこへ・・・科捜研から菌類学者に残留物の鑑定依頼が舞い込むのである。

背中合わせの犯人と探偵は「手」の一つだが・・・ここでは三つ巴の「犯人」と「探偵」と「黒幕」である。まあ・・・京野ことみがキャスティングされた以上そうなるしかないのが運命というものです。

さらに新たな糾弾者が出現して・・・菌類学者はついに自分で刺殺。

さすがにいろいろな方面に協力を要請した佐久間刑事部長(田中健)とマリコの父(小野武彦)のおかげで真相にたどりつく土門刑事(内藤剛志)とマリコだった。

追い詰められた菌類学者死のジャンプである。

京都の空の下。「なんで彼女はあんなことを・・・」と疑問に思うマリコに(そんなの中学生が高校生に恋をしたからに決まってるじゃないか)とは答えずに「人生をやり直そうとしたんじゃないのか・・・」と意味不明な言葉でお茶を濁す土門だった。

それに対して「犯罪で失敗した人生を犯罪でやりなそうとするなんて無理に決まってるじゃない」と最後のセリフを決めるマリコだった。まあ・・・聞き方によっては「一度罪を犯したらやりなおしなんてできない」と聞こえるのだが・・・それが職業に忠実なマリコの信念だからーっ。・・・なのである。

で、『ふたつのスピカ』(NHK総合090702PM8~)原作・柳沼行、脚本・松居大悟、演出・塚原あゆ子を見た。ドラマの中で重要な要素となっている日本主導の有人宇宙船の墜落事故。「なんで墜落しなければならなかった」と問うセリフがあるのだが・・・そんなもの・・・中華人民帝国の工作員の仕業に決まってるだろうと思うのである。・・・おいっ。

アスミ(桜庭)は自ら危機的状況を作り出し(うっかり頭をぶつけて通信機破壊)、敵対媒体(遠隔操作ロボット)を暴走させ(うっかりスイッチレバーを下げて熱パイプから蒸気噴出させ制御不能に追い込む)、最終的な勝利を演出。宇宙で一番大切なものはやはりラッキーということである。

それともアスミ・・・本当はどす黒いのでは・・・。

まあ・・・1/5・・・こんなもんか。

土曜日に見る予定のテレビ『MR.BRAIN』(TBSテレビ)『魔女裁判』(フジテレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)

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2009年7月 2日 (木)

夏ドラマはなんちゃって女子高生から始まる(松本若菜)私のこと?(福田沙紀)

メイド刑事・若槻葵(福田)の設定は18才で女子高校生ではなく元・レディースのメイドである。メイドが亭主を「旦那様」と呼ぶか「ご主人様」と呼ぶかは好みの問題だが、亭主が女性だった場合は「奥様」と呼んでは語弊がある場合があり、ここは「ご主人様」で良いだろう。使用人が主人を呼ぶわけだから。

ただし・・・主人の娘に対してはお嬢様、姉妹がいる場合には名前プラスお嬢様、主人の母は「大奥様」、主人の姉妹は名前プラス様、こういうメリハリも大切です。

福田沙紀は堀越高校を卒業、制服を着る時はなんちゃって女子高校生1年生だが、すでに「ゴーストフレンズ」でなんちゃってデビュー済みです。

「メイド刑事」は石野真子・国広富之をゲストに迎え、第1回をスタートしているのだが、「キューティー☆クリーナー」を使った殺陣を始め・・・すべてが中途半端。岩下悠子やハセベバクシンオーなどのクセのある脚本家待ちだな。・・・単に福田の特攻服サービスがものたりなかっただけじゃないのかよ。

「深夜のローカルテレビ」では「涼宮ハルヒの憂鬱」が実に変則的なカタチで新作発表しているのだが、同じ一部世代的カリスマ・アニメの「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の公開によって津波に押し流される傾向にある。

同様に・・・金曜日にはテレビ東京に「怨み屋本舗REBOOT」が来るし、タッキー&錦戸という強力なジャニーズが「オルトロスの犬」で襲い掛かるのである。「メイド刑事」絶対絶命だ。

で、『新・警視庁捜査一課9係・第1回』(テレビ朝日090701PM9~)脚本・深沢正樹、演出・吉田啓一郎を見た。・・・・・・・そっちかよ。まあ・・・水曜日はダンスの日だからな。これまで「9係」はSeason1~3までが放送されてきたのだが、今回は「新」を銘打ってきた。登場人物たちは加納係長(渡瀬恒彦)と浅輪刑事(井ノ原快彦)を中心に引き継がれているのだが・・・今回から監察医として早瀬川(原沙知絵)が登場する。それはそれでいいのだが・・・二人も殺人死体が登場したのに・・・鑑識チームが不在なのである。そのため鑑識課の夏樹(加賀美早紀)も登場しない。「夏樹ちゃん、この土調べといて」「夏樹ちゃん、この汚れも採取して」「夏樹ちゃんこっちも」がないのである。フェイドアウトなのですかーっ。「9係」唯一の「萌え」ポイント消失。

村瀬主任(津田寛治)、青柳刑事(吹越満)、矢沢刑事(田口浩正)に紅一点が小宮山刑事(羽田美智子)という布陣である。ヒロインとして加納の娘で浅輪の交際相手・倫子(中越典子)がいるのだが・・・それにしたって萌え処がありません。

その上・・・夏樹ちゃんがいない「9係」なんてレビューの可能性ひたすら減少である。

で・・・今回、ゲストでなんとかしようとした気配があり・・・投入されたのが強力ななんちゃって女子高校生二人組である。一人は意志薄弱のために悪い友人に誘われるままに売春サークルに参加し、覚醒剤に耽溺したあげく自殺した弥生(松本若菜・・・1984年生の25才。「仮面ライダー電王」の美貌の姉・愛里でおなじみである)ともう一人は悪女で恐喝を得意とする後の占い師マリー(伴杏里・・・1984年生の23才。「ULTRASEVEN Ⅹ」のエージェント・エスである)なのである。・・・まあ、無理があります。

しかし・・・些少の無理こそはなんちゃって女子高校生の醍醐味ですから。

今回の事件の背景にあるのは「スーパーフリー事件」(2003年)早稲田大学正規のサークル団体だったこともあるスーパーフリーが起した集団強姦事件であることは言うまでもない。強姦罪に集団強姦の条項が新設される契機となった事件である。

まあ・・・この事件を知ったいい大人たちの感想がドラマでは事件の取調べにあたった刑事たちの口から事件の黒幕である議員秘書(加藤虎ノ介)にあびせかけられるわけです。

草若師匠「男と女は助け合ったり愛し合ったりするものでどちらかがどちらかを一方的に利用するものじゃない・・・そのことを刑務所で勉強して来い」なのだった。まあ、大学では教えてくれないことを刑務所では教えてくれるということなのでしょう。

ちなみに秘書が殺した死体の第一発見者であることを偽証する秘書の婚約者(浅川稚広・・・1978年生の30才。浅川千裕などの芸名でかってのいわゆる一つのお菓子系写真誌のグラビアアイドルだった)・・・幼い顔立ち(いわゆるひとつのロリ顔)はある・・・という見本である。

まあ・・・芸能界は最高のサバイバルワールド・・・愛しい人々の健闘を祈るばかりの今日この頃です。

関連するキッドのブログ『ちりとてちん・ミニミニレビュー

で、『となりの芝生・第1回』(TBSテレビ090701PM9~)脚本・橋田壽賀子、演出・荒井光明を見た。夫・井ノ原と妻・瀬戸朝香の裏表である。春ドラマでは平均視聴率が「臨場」14.5%、「夫婦道」*7.7%とほぼダブルスコアだったこの枠だったのだが・・・初回の対決は「9係」13.5%、「芝生」11.4%とさすがに橋田壽賀子ドラマなのだった。

まあ、NHKの「となりの芝生」(1976年)から33年の時の流れを越えてやってきたこのドラマ。100%橋田壽賀子ドラマなのである。清少納言の「枕草子」から嫁姑は犬猿の仲と・・・実家の小姑の聡子(渋谷飛鳥)が言うほどの永遠不変のテーマなのだから。

とにかく・・・松尾瑠璃(11)のファンは必見だが・・・それ以外の人は別に見なくても困らないと思うよ。

水曜日はダンスの日だが・・・「赤鼻のセンセイ」のパートナーがどちらになるのかは予断を許さない状況なのであります。

夏ドラマ何を見るのか迷っているあなたはコチラへ。

エリお嬢様の夏ドラマメモ

アンナお嬢様の夏ドラマ覚書

まこお嬢様の夏クールドラマチェック

くう様の7月期ドラマ見る予定表

ikasama4様の第3クールのドラマあれこれ

みのむし様の夏ドラマ一覧

金曜日に見る予定のテレビ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(日本テレビ)『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』『福田沙紀のメイド刑事』(テレビ朝日)

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2009年7月 1日 (水)

マン(男)とウーマン(女)でムウです。(玉木宏)女装しないのか(谷村美月)主役爆死って・・・(佐藤健)

手塚治虫が変態かどうかを訊かれたら変態だと答えると思う。

第一、医者になるのも大変なのにマンガ家にもなってしまうのが変態的だし、日本を代表するマンガ家になってしまうのだから大変態と言っても過言ではない。

それに昆虫が好きとか・・・ウランちゃんが好きとか・・・女装・男装の主人公が好きとか・・・いろいろ変態と言える要素はあると思う。

その中でも「MW」はかなり変態的だから・・・今の軟弱なお茶の間には向かない題材だと思うのだが、案の定、視聴率*9.9%でした。それでもセクスィー部長の「カイドク」*8.5%よりは高かったのだった。

痩せても枯れてもさすがは手塚治虫原作である。

で、『MW-ムウ-第0章~悪魔のゲーム~』(日本テレビ090630PM9~)原作・手塚治虫、脚本・木村春夫、演出・岩本仁志を見た。原作は1976年~1978年に「ビッグコミック」に連載されたコミック。2009年に公開される映画と連動したドラマである。1969年の沖縄米軍基地の化学兵器(サリン)流出事件にヒントを得ていると推される作品である。米軍と日本政府の密約は特に軍事機密の分野においていろいろと作家的想像力を刺激するわけだが、手塚作品の場合はそれが単なるセンセーショナルな話題としての素材にすぎないと考えるべきだと思う。それほどの政治的意図はなくて「受ける」というのが原動力である。まあ・・・あくまでキッドがそう考えるということです。

ちなみに・・・日本には「非核三原則」があり、核兵器を製造もしないし、所有もしないし、搬出搬入もしないという建前があったのだが・・・核戦略による核の抑止という実効的要素から少なくとも「米軍の核兵器の持込」は確実であると予測できる。最近、米国政府ではライシャワー元駐日大使が「密約」の存在を証言している。もちろん・・・日本政府は頑なにこれを否定しているのだが・・・まあ・・・密約とはそういうものだからな。

「それがとんでもないこと」なのか「どうってことないこと」なのかはそれぞれの認識や政治的立場で変わるものだと思う。

原作では・・・「米軍の化学兵器MWによってとある日本の村が全滅・・・政府がその事実をひたすら隠蔽する」という架空の背景の中・・・生き残り復讐のためにモラルを失った主人公・結城(玉木宏)とその友人で恋人の賀来(山田孝之)が男色の匂いをかもし出しながら相克する。

もちろん・・・「殺人」や「殺人兵器」に対してのヒューマニストとしての憎悪と・・・そういうものに憧憬に近い愛情を感じる手塚の内面の相克でもあるわけだ。

ま・・・そういう点がちっともお茶の間向きではないのである。

今回はその前哨戦・・・。隠蔽された事実の確証を掴むために踊らされる哀れな青年・隆志(佐藤健)の物語である。

孤児として施設で育った隆志は施設を出て工場に勤めていたが不況のために職を失う。

そこへ工場の同僚だった桜田(小出恵介)が現れ・・・仕事を紹介する。仕事は胡散臭い「運び屋」だった。やがて・・・隆志の育った施設の運営者が死去し、残された娘・ゆかり(谷村)が相談に訪れる。大金が必要となった隆志の前に桜田のボスである結城が姿を見せる。

やがて結城の指示に従い政治家の表に出せない金を強奪し、隆志は施設の危機を救うことができる。

しかし・・・結城の真の目的はそこにはなかった。

ジャーナリストだった隆志の母は「MW事件」の真相に迫ったことによって政府関係の隠密組織によって隆志の妹ともに抹殺されたのだった。

真相を知った隆志の父(小市慢太郎)は息子の命を守るために息子を施設に捨て自らも身分を偽装して暮らしていたのだった。

犯罪に関ったことをゆかりに責められた隆志が自首を決意した瞬間、結城の残酷な罠がゲーム化される。

ゆかりを時限爆弾とともに幽閉し・・・導火線を青い服の男と赤い服の男につなぐ。

そして・・・どちらか正しい答えである男を殺せばゆかりが救えるというゲームである。

正しい答えとは「隆志の母親を殺した犯人」だった。

結城は「人間には二種類ある。必要な時に人が殺せるタイプとそうでないタイプだ」と告げる。

そして・・・青い服の男は隆志の実の父。そして赤い服の男は組織に金で雇われた隆志の母を殺害した実行犯だった。

もつれあう・・・男たち。しかし・・・隆志には結局誰も殺すことはできない。

そして・・・結城の目的は「殺人事件の背景にMW事件があることを隆志の父に証言させること」だった。

全員を抹殺するためにやってきた桜田。しかし・・・桜田の意図を見抜いた隆志と父親は逆襲に成功する。しかし、桜田も父も赤い服の男も死亡。

ゆかりを救出に来た隆志はゆかりを救うか自分が助かるかの二者択一を迫られる。もちろん・・・隆志にできるのは前者の選択だけである。

刑事(林泰文)の到着は間に合わず・・・隆志は爆死する。

こうして・・・結城は貴重な証言を入手し・・・そして関係者を全員抹殺したのである。

結城はどのように世界を変容させるつもりなのか・・・答えは映画に・・・というスタイルです。

はっきり言っておきますが・・・映画にも大した答えはありません。だってそんな答えがあったら・・・とっくに世界は変容しているわけですからーっ。

それにしても女装しない結城なんて・・・気のぬけた炭酸飲料でしかないよな。

関連するキッドのブログ『銭ゲバ

木曜日に見る予定のテレビ『桜庭ななみのふたつのスピカ』(NHK総合)『釈由美子のLOVE GAME』(日本テレビ)『科捜研の女スペシャル』(テレビ朝日)『東京少女桜庭ななみ』(TBSテレビ)・・・桜庭ななみの日か・・・。

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