俺と彼女の生きる極道(草彅剛)夏の夜の花火と桜吹雪ですかい(黒木メイサ)
(音楽)「仁義なき戦いのテーマ」
平成を風靡した邪丹会系須磨組は構成員がそれぞれに覇を競うまでになっていた。常勝将軍を謳われた獅子の拓哉はこれでもかと縄張りを広げ、兄貴分の巨人の中居は嫁獲りで黒星をつけたが本業の裏ビジネスは無風である。中国ものや薔薇ビジネスにまで手を広げたふとっちょ香取は警察内部にまで侵食していた。かってブスにまで手を出したダンディー稲垣は血の気が多く警察沙汰も珍しくはなかったのだが、酒の失敗で見せてはいけないものをみせてしまった堀越賞の草彅はついに闇介護の世界に足を踏み入れたのだった・・・。
・・・なんのこっちゃ。
まあ・・・素人が闇社会に手を出すのは危険なのだが、闇社会が表に出てくるのも困ったものである。
「仁侠」とは「二人で挟み撃ちにして敵を倒す」という意味である。古来、中国では刺客として仁侠の人を頼った。仁侠の人は恩義のある人の求めに応じ、どんな強敵(皇帝)にも刃を向ける。その心が美徳とされたのである。物騒な話だが本当です。この依頼者(親分)と実行者(子分)の関係が侠に任せるという任侠の基本なのだ。
素人はヤクザが介護などと聞くと「極道の跡取り娘が高校教師に」という「ごくせん」のようなファンタジーを思い描くのだが・・・実際にヤクザの経営する介護施設は・・・これ以上は書きません。
弱者を食い物にするのは裏社会の鉄則だが、たとえばホームレスをスカウトしてきて生活保護を受けさせ、住居を提供するという名目でピンハネをするなどというビジネスはいたるところで展開しているのである。
認知症となり家族からも捨てられた人間を保護する代わりに飼い殺しにして何が悪いという考え方がそこにはあります。そんな・・・危険な部分にまっこうから手をつっこみはじめたこのドラマ・・・正気かっ。
で、『ダンディ・ダディ?~恋愛小説家・伊崎龍之介・第1回』(タイトル長いわっテレビ朝日090709PM9~)脚本・永田優子、演出・池添博を見た。・・・こっちかよっ。・・・ま、軽くね。「パパとムスメの7日間」(2007年)でガッキーのパパを演じてヒットを放った館ひろしが今度は南沢奈央(幼女時代・宮武祭)のパパを演じる。まるで日曜劇場のようなテイストである。何故、日曜劇場でやらないのだ。それはともかくとして館の演じるのは自由恋愛の素晴らしさを高々と謳いあげる小説家にも関らず、妻を亡くして以来男手ひとつで育てあげた娘のこととなると非常に器の小さい男なのである。
娘と彼氏が観覧車に乗っていると知っただけで遊園地に乗り込み、彼氏を引きずり出すほどの器の小ささである。
しかも勘違いであることが判明すると娘の同級生に責任転嫁するほどの小さい男なのだ。
そして・・・そのために破局した娘の親友カップルへのフォロー一切なしである。
困ったもんですな。年頃の娘を持った父親なんていうものは。作りつけの家具のように粗大ゴミにも出せない。始末におえないとはこのことです。・・・落語家かっ。
まあ・・・小説家父娘と言えばコミック「Papa told me」(榛野なな恵)です。妄想的に言えば脚本家はこれを読んで娘を小学生→高校生に置換したというか、時計の針を進めた気配濃厚です。まあ、パクリとしては基本的な「手」の一つです。「三丁目の夕陽の少年たちが大人になったら20世紀少年」のようなものです。ちなみにドラマ版「Papa told me」(2003年)のパパは風間トオルでした。
まあ、キッドは脇役カップルのその後が気になって、自分(主役)たちの親子関係が修復できればいいという脚本展開に最後まで馴染めませんでした。
ちなみにコバちゃんこと小早川悠樹(石黒英雄)はご存知エリートヤンキー三郎ですから・・・いつもらしてしまうのか・・・妄想が止らなかったのです。仲間由紀恵に似た占い師はいつ登場するのか・・・とか。
視聴率は*9.3%でスタート。夜光の階段の平均10.6%(初回12.5%最終回12.1%)を下回る。夫人死亡に不審な点がなかったからか。
関連するキッドのブログ『エリートヤンキー三郎』
で、『任侠ヘルパー・第1回』(フジテレビ090709PM10~)脚本・古家和尚、演出・西谷弘を見た。「ガリレオ」の脚本・演出コンビなのであるが、主人公に限って言えば「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」「僕の歩く道」という草彅剛の僕道三部作が連想されるものになっている。どこか人の道を運悪く外れてしまったものが・・・ひとつの出来事をきっかけに「人道」に回帰していくという物語である。
ただし、「僕道」ではそのために周囲の人間が綿密に設定されており、そこに澱みはなかった。
しかし、今回は組織暴力団の幹部候補生が介護ビジネスに参入するために研修を受けるという非常にリアルな設定のために・・・やや大味になっている予感がある。
たとえば・・・広域暴力団隼会・池袋地区貸元・四方木連合・組長(代表)・四方木りこ(黒木メイサ)はシビアな肩書きとは裏腹に甘口設定である。
主人公の隼会・六本木地区貸元・翼工業・組長(社長)・翼彦一(草彅)の裏のシノギ(ビジネス)がオレオレ詐欺の組織的経営であるという汚れ方をしているのに・・・いかにも黒服着て蓮っ葉な口をきいたらヤクザだろう的な匂いが立ち上る。
池袋だから少女売春を組織的に運用して、外国人売春婦をタコ部屋に押し込み、トリハダたつようなこわい女をホテルに派遣しているような女ながらに酷薄・・・ぐらいのイメージでもいいと思うのだが・・・結局、主人公の危なっかしい行動にヤキモキするお嬢様のような行動になっているのである。
ある意味、ボケエロ老人にお尻触られるサービスのために登場しているようなのだ。
しかも、狂気のような主人公を羽交い絞めにして拘束できる実力がありながら、認知症の老女(池内淳子)は取り逃がしたりします。
この脚本家は設定的にキッチリ詰めるタイプなので・・・まあ・・・そこはドラマ的面白さのためにご都合主義を導入したということかもしれませんが・・・そういう穴もしっかり埋めると文句なしの大傑作になりそうなのに・・・と思うのでございます。
まあ・・・しかし・・・お仕着せの制服を脱いで、タンクトップになり、後姿で黒の見せパン、制服で石を包んで即席凶器とそれなりに黒木メイサの魅力はサービス・サービスなのですごく文句があるわけではありません。
さて・・・主人公・翼は親の味を知らないで育ったらしいヤクザ。妄想の中では仁王のように精悍な顔を見せるのだが日常のシノギは「強きに上納金を納めるために弱きからしぼりとるだけしぼる稼業」である。
隼会の会長はそんな翼にとって親のようなものであるはずだが、その描写はない。
会長の死を契機に後継者と目される隼会若頭の鷹山(松平健)から「これからのヤクザのシノギは老人介護ビジネス」と説諭されて「新・若頭候補生」たちは老人介護施設「タイヨウ」(オーナー・大杉漣)に身分を隠して派遣される。山田優の弟・親太郎とか山本裕典とか、ベテランのような新人ヘルパー・仲里依紗が働く大衆的な施設である。
そこで翼は知り合った認知症の老女に息子扱いされ・・・金をせびりとるのであるが・・・いつしか情にからめとられていくという話である。
どこにもない憧れの任侠世界に絶望しつつ、介護の世界にはそれなりにあるべき姿を求める翼。
そこに老人介護ビジネスの成功者・ハートフルバード社の代表取締役・羽鳥(夏川結衣)とその子供店長でいじめられっ子「いじめられとうはなかったのじゃ」涼太(加藤清史郎)が現れる。ついでに秘書(中別府葵)です。禁煙社会代表の羽鳥は喫煙だけは許さないのだった。飲酒は許すタイプだな。
そして・・・ヤクザで老女から金を搾り取っている翼を理想主義者と勘違いして・・・「現実は甘くないの」と説教するのだった。
翼の中で何かが揺れている。それは「家族の味」を知らぬものの「家族」への憎悪と憧憬である。
翼は老女の中に「おっかさん」を見出す古典的なヤクザなのであった。その証拠に最後は若い頃、オードリー・ベップバーン(春日ではない)にそっくりだった老女のために選別として300万円を借金までして包むのである。
「一度してみたかったんだ・・・親孝行」なのである。まあ・・・ちょっとお茶の間向け言い訳の要素もあります。
この辺りの展開の速度が「僕道」シリーズの皮をかぶった「ガリレオ」ということです。
ま・・・エンターティメントなので・・・大傑作でなくてもいいよね。毎回、黒木メイサに「死ねバ~カ」とかのセリフがあれば一部愛好家昇天だもんね。
ちなみにヤクザの組織にもいろいろあるが・・・ここでは店の主人・番頭・手代・丁稚のような序列になっています。会長(死亡)・若頭(マツケン)・貸元(ツヨポン)・構成員(向井理)という感じです。
夜の公園で花火で桜吹雪を見る。まあ・・・時事ネタですね。草彅剛35才の誕生日です。
老女が本当に認知症なのかどうか不明の人は認知症の恐ろしさを知らない幸福な人間だということです。認知症には辻褄は合わないのです。本当にわけがわからないんだってば。
視聴率は17.5%でスタート。「BOSS」の平均視聴率17.0%(初回18.1%最終回20.7%)を上回る。推移によっては平均越えも可能である。要するに極道社会に対するお茶の間の認識のズレの克服が勝負だな。闇介護についての一般の認識は薄いからな。
データついでにイケメンヘルパー向井理の軌跡。「のだめカンタービレ」(2006年秋ドラマ)→「バンビ~ノ」(2007春ドラマ)→「暴れん坊ママ」(秋)→「ハチミツとクローバー」(2008年冬ドラマ)→「おせん」(春)→「正義の味方」(夏)→「スクラップティーチャー」(秋)→「メイちゃんの執事」(2009年冬ドラマ)→「アタシんちの男子」(春)→「ふたつのスピカ」(梅雨)→ココである。「暴れん坊ママ」から秋冬春夏秋冬春夏と2年間連続民放連続ドラマにレギュラー出演中である。貴重なイケメンヘルパーなのだな。
関連するキッドのブログ『僕の歩く道』
土曜日に見る予定のテレビ『MR.BRAIN』(TBSテレビ)『魔女裁判』(フジテレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『リミット・刑事の現場2』(NHK総合)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
今観ました。
向井理はやっぱり胸元Vゾーンセーターが命。
「のだめカンタービレ」(V首セーター)
「バンビ~ノ」(プライベートはV首セーター)
「暴れん坊ママ」(ポロシャツ? 惜しい)
「正義の味方」(官僚なのに私服はV首セーター)
「メイちゃんの執事」(は違った)
「アタシんちの男子」(もちろんV首セーター)
「ふたつのスピカ」(宇宙ヤバイ的にV首セーター)
今回もスーツに開襟シャツだけでなくV首サマーセーターでちゃらちゃらして向井理ここにありって感じにしてほしいけど、ちょっと物語のポジション的には無理でしょか。って役名が「ななみ」って~。
黒木メイサは『拝啓、父上様』でのミステリアスな少女(?)が今のところ最高の使い方なんでしょうか。シスター・アンジェラには意外に萌えなかった……。
池内淳子とからむ、名もないコンビニ女性店員役の名もない(あるだろうけど)役者さんの心境ってどんなもんなのかと思ったり。
所長は「晴菜ちゃんの、おっぱいを賭ける!」とは言わないのかっ。
と思ったら与六の口を挟んでのあにょでしにしちぇくらさいは反則! いいかげん「こども店長」で露出大杉君になりかけていたのに、本能的にキャワイイ!と……べ、別にそんなこと思うわけないんだからねっ。
B.G.M. 『SPのテーマ』
投稿: 幻灯機 | 2009年7月12日 (日) 12時22分
✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪
ものすごくアバウトな言い方をすると
向井理は半島系・北方系・弥生系美男子
黒木メイサは大洋系・南方系・縄文系美少女
・・・でございます。
後は受ける側がどちらに属するかで
両者に対する評価に差異が生じてきます。
同じ種族ならば同族的美を見出すし
異種ならばエキゾチックなものを感じるわけです。
平坦な顔立ちと
ホリの深い顔立ちに対する
とんかつに
ソースをかけるか醤油をかけるか
といった好みの問題は
こういう背景があるとキッドは考えます。
また文化の問題から言えば
北方系には人工的なものを
南方系には野趣を感じる
という傾向があるようです。
そういうことを勘案しますと
向井理には三番手くらいのイケメン
真面目で心が冷たい役
服装はなるべくあっさり
がまわってきます。
そして黒木メイサには
ちょっとバカな修道女
留学に邁進するお菓子職人
自由奔放な医者にはなれない医者の娘
純情可憐な極道の組長
がまわってくるのです。
まあ、結局、縄文人は虐げられ
弥生人は冷酷な支配者であるべきだ
というのが日本の大衆の総意なのだ
とキッドは妄想したします。
「結婚できない男」のコンビニ店員は幸せになりましたけどね。
まあ、所長は勝負師としてよりは
「僕道」シリーズの流れの共演という感じなのでしょう。
子供店長与六が増長して
いやな感じの大人にならないことを
祈るばかりです。
かわいい子役の悲惨な人生率やや高めですからな。
B.G.M. 『子連れ狼のテーマ』
投稿: キッド | 2009年7月13日 (月) 03時40分