さらば大和大納言より天地人(妻夫木聡)人の優しさが花に勝るならこの身投げ出す値打ちあり(比嘉愛未)
ジュリ~でございます。・・・わからんと思うぞ。
さて・・・長い長いトンネルを抜けて宮里藍が米ツアー初勝利である。まさに出口のないトンネルはないのである。
この大河ドラマも一回くらいは面白いとうなる回があるかもしれない・・・あるといいなぁ。
で、『天地人・第30回』(NHK総合090726PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今週もあらすじは五行をキープ。五行でわかる今週の天地人体制でございます。ツッコミも五行です。主人公絶対主義の下、主人公の妻絶対主義で、評判のいい菊姫をことさらダメ姫に描く今回の趣向。作者がバカなのかクールなのか評価が分かれるところですな。キッドはもちろん前者だと確信しております。まあ・・・武田から上杉の人質を兼ねて婚姻した菊姫が景勝との子を成さないまま、豊臣の人質となる。その哀れさをデフォルメしていると考えれば・・・なんとか・・・こらえられるかな・・・こらえてつかぁさいやぁ・・・。まあ・・・架空の利休の娘(木村佳乃)に「僕の胸でお泣き」と優しい兼続(妻夫木)という場面を描きたいだけで殺された千利休が哀れで目の前真っ暗になりますけどね。まったく省略された徳川の関東移封にええっというあなたには井伊直政の秘密も推奨します。
天正18年(1590年)夏。小田原の役が豊臣秀吉の完全勝利に終ると関白秀吉は直ちに奥州平定に着手。伊達・最上・南部などの主な大名は直ちに秀吉に臣従し、天正19年3月の九戸の反乱を最後についに秀吉による天下一統は完成する。北は陸奥の国津軽氏から南は薩摩の国島津氏まで関白秀吉の配下となったのである。殿下の天下統一。その寸前に秀吉を表裏で支え、戦争と政治両面で秀吉の勝利を演出してきた秀吉の弟・豊臣大和大納言秀長は死んだ。すでに小田原の役から病床に伏し、秀吉は戦場から何度も見舞いの使者を送ったと言われる。秀吉は後継者・鶴松を得て有頂天であったが・・・もっとも頼りとした弟を失い・・・その心は暗く沈んだのである。愛多き男秀吉は失われた弟への愛をわが子鶴松に注ぎ込んでいく。
その心の傾斜を最も利用した男が石田三成である。尾張のお市と近江の浅野の血を引く茶々に接近し、その関係を濃密にすることで秀吉の権力の代理人になることを目指したのである。
三成は家康の転封地を関東と定め、新領地の経営で徳川家を混乱させようと画策した。しかし、長期的視野で見ればこれが豊臣家の滅亡の一因であることは疑いようがないだろう。家康はすでに旧領土・三河・駿河・遠江・信濃・甲斐に深い楔を打ち込んでおり、さらに武蔵・相模・伊豆・下総・上総・上野・下野・安房という広大な領土を手中に治めることになる。石田三成には織田と今川の人質に始まり駿・遠・三の太守に納まった家康の政治力を甘くみたのである。
一方で三成は大和大納言という巨人の死による空前の権力の空白にも対応しなければならなかった。家康と三成の戦いはすでに始まっていたが・・・三成は自分の戦下手を補完するために大和大納言の二人の寵臣のうち・・・戦上手に特化した島左近を手に入れる。一方で家康は権謀術策に優れかつ自分の死後の合戦を託すほどの巧者と見た藤堂高虎に緩やかな調略の手をのばすのであった。
しかし・・・大和大納言死去において三成にとっての当面のライバルは千利休だった。三成は全力を挙げて千利休を抹殺する謀略を展開する。
秀吉と千利休の対立点はいくつかあるが・・・その最大のものは「朝鮮半島経営」に関する対立だった。すでに朝鮮侵略のために利休は配下の忍びを朝鮮半島に放っている。忍びがもたらす情報を分析し・・・秀吉と戦略を練る段階に入っている。
その情報を三成は茶々を通じて入手していた。
茶々は・・・実父・長政、養父・勝家が共に城を枕に討ち死にした過去を持っている。その度に茶々を落ち延びさせ保護した秀吉の側室となり・・・その子を産んだくのいちである。城を守ることに執着があった。その手駒として三成を利用しようと考え、そして三成はそれに応じた。二人の利害は一致していた。
淀城の奥の間に秀吉以外に足を踏み入れることができるのは三成だけだった。
「宗易(利休)はの・・・時期が早いと申しておる。韓(から)の国(朝鮮)の民は疲弊しており、乱を起すはたやすいが・・・多くの民が日の本(日本)を属国と考えている風がある。そういうものにもそっと調略を仕掛ければ事はならんと見ている。それに対して殿下(秀吉)は先に武を用いて威を示し・・・民心を寒からしめねば・・・半島攻略は始まらぬというお気持ちのようじゃ」
「茶道を和のものとした宗易様であるからには唐(から)の気風を恐れるものとも思えませんが・・・」と三成は宗易の心中について茶々の意見を求める。茶々は教養深く、かつ直感が冴え・・・三成のおよぶところではない。
「宗易が和風の茶を起したのは唐(から)のそれを徹底的に見据えた果てのこと。宗易は韓の奥の唐である明の帝の国の実力を見据えておるのであろうず・・・」
「されば韓入り(半島侵略)の時は明が出張るとお考えか・・・」
「韓は常に唐の属国。それは当然のことであろう。叔父上(信長)はまず貿易を行い、調略を重ねて成敗に出る方策だったと宗易は言うのだ・・・」
三成は思わず笑みを浮かべた。最近、秀吉は信長の果たせなかった地点にたどり着き・・・やや・・・信長に対する考えを改めつつある。いわば・・・信長の意をもって秀吉に歯向かうことは反逆のしるしと成せる可能性があると読んだのだ。
三成が狙っているのは・・・千利休の持つ鉄砲商いの利権だった。それを手中に収めれば三成が自由にできる金銀は莫大なものとなる。三成はすでに千利休に謀反の濡れ衣を着せるための策謀をいくつか進行させている。
「征韓論」における秀吉と利休の対立こそは逃してはならない千載一遇の好機だった。
・・・聚楽第に追い込まれた千利休は老いた腕に食い込んだ矢を抜き放った。
(ぬかった・・・)と利休は悔やんでいる。(三成を甘く見たわ・・・)すでに秀吉との和解の道は絶たれていた。利休は秀長毒殺の嫌疑をかけられていたのである。
刺客を放たれたと分り必死の抵抗を試みたが・・・すでに警護の娘くのいちたちも死体となって聚楽第の各所に横たわっている。秀吉の命を受けた真田忍軍が敵対していた。
もはや・・・これまでか・・・と利休は覚悟を決めた。聚楽第の茶室が最後の場になりそうだった。
そしてそこには一人のくのいちが待っていたのだ。
初音だった。
「ふふふ・・・天下一のくのいちにこの命奪われるもまた一期一会のことよな・・・」
「・・・」
「御主の命を巻き添えにすることもできるが・・・それは利休わびの茶としては面白うおまへん・・・どうや・・・わが命・・・買うてもらえまへんやろか・・・」
初音は無言で頷いた。すべては忍びの密約である。
「おおきに・・・」利休は笑みをもらした。「では千家秘術・・・旋風の技・・・お目にかけまひょ。ほな・・・さいなら」
初音は茶室から跳んだ。一瞬で利休の周囲に竜巻が発生している。その竜巻はかまいたちとなり、利休の体を五体バラバラに切り刻んだ。
一陣の風が収まると・・・そこには血煙だけがたなびいていた。
初音がもし・・・利休にとどめをさそうとしていればその渦に巻き込まれていたのである。
初音は合掌すると微塵も老いの影を浮かばせぬ美しい顔に笑みを浮かべた。
「遺言・・・承った」
次の瞬間・・・初音の姿は利休だった骸を残したまま消えていた。
関連するキッドのブログ『第29話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『緊急SP救命病棟24時~救命医・小島楓』『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)
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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
いつもながら書くことがない物語ですが(; ̄▽ ̄)ゞ
こちらでは早々と本多政重が登場ですねぇ ̄∇ ̄
個人的には秀吉の側室の方々をいっぱい見たいのですが
この大河は淀が独占してそれを許さないみたいです。
菊姫はその昔の大河「武田信玄」の三条夫人みたいな
気位だけは高い嫉妬キャラにしたいってとこでしょうか。
何にしても
薄いですねぇ。
物語の出来栄えとか厚みとか
とにかく薄いです(; ̄▽ ̄)
こちらの物語の野心家・三成いいですねぇ。
「秀吉」の真田広之を思い出します。
三成を描くならばとことんやって欲しいものですが
あまり、エグくならないのは
何か事務所の意向でも働いているんでしょうか。
それとも脚本家の意向とか。
まぁどちらにしても勘弁して欲しいものです。
投稿: ikasama4 | 2009年7月29日 (水) 13時03分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
そうなのでございますよね。
いつもならマップが実際の登場人物で
埋まる頃なのに
一部を除いては
画伯の創作意欲をほとんど刺激しない・・・。
残念な内容なのですな。
もう・・・登場人物に深みがない・・・
この一語につきますな。
秀吉の妻妾のバラエティーさ加減こそが
大奥の原点ですからな・・・。
景勝も兼続も
妻の貞操の危機を心配するぐらいの方が
自然なのに・・・。
とにかく・・・秀吉が家康と
違うのは一人の愛妾のために
城を一つ作ってしまうところ。
家康が計画的に子作りに励むのに
情に溺れて結局・・・子孫を残せなかったところですな。
まあ・・・寧々が片端から殺していたという
憶測もありますけどね。
茶々が豊臣家を潰したという考えもありますが
そうさせたのは北政所という見方もできますし。
まあ・・・三条夫人のように
悪役にしやすいポジションを
そうしてしまうというのは作劇術としては
OKなのですが
ここまで歴史ロマンのない姿勢でやられると
味気ないことこの上なしなのです。
三成は負け組みなので
捏造されて悪いイメージがある・・・
という常識とともに
やはり負けるには負けるだけの
理由があるわけでございます。
このあたりが三成を描く上での
面白さだと思います。
キッドは秀吉の真田三成は結構好きです。
あの野心家なところがいい。
「リング」「らせん」に通じる
ホラーな感じもいたしますしね。
小栗旬は「スマイル」で
あそこまでやらされているわけですから
なんでもありなのだと思いますけどね。
結局・・・スタッフの作劇感覚の限界なのでございましょう。
まあ・・・キッドは千利休ファンなので
架空の娘のあまり面白くない泣きで
しめられても・・・
モジモジするばかりの今回でございました。(ノД`)
投稿: キッド | 2009年7月29日 (水) 21時27分