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2009年8月13日 (木)

天涯孤ドクター(香椎由宇)私の愛したぬいぐるみ(八木優希)造血幹細胞移植を待ちながら(須賀健太)

水曜日のダンスは・・・。

「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%・・・・・・・↗12.3%↗13.2%↗13.9%

「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%↗10.2%↘*9.2%↗*9.8%↘*8.1%

「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%↘*8.2%↘*7.9%↘*6.9%↗*7.9%

かろうじてダンス復活である。今回は白衣の小児科医・七瀬(香椎由宇)のメイン回だったのだが・・・そもそも第6話でそうなっていることが敗北の原因である。繰り返して書いているが、このドラマのヒロインは七瀬であるべきで、シルク(小林聡美)ではない。小林は名女優だがあくまで名脇役に徹するべきなのだ。

それなのに・・・つい彼女を軸にしてしまったスタッフは本質を見失っていると言わざるをえない。

で、『赤鼻のセンセイ・第6回』(日本テレビ0090812PM10~)脚本・土田英生、演出・茂山佳則を見た。人はつかのまの人生を生きる。その人生はけして誰もが平等には見えないし、多くの場合苦難に満ちている。しかし・・・つかのまであるということにおいては平等なのである。そして・・・誰もが幸せになれないとは限らない。

最近、核兵器廃絶の声が高まっているが、核兵器の抑止力がなくなれば通常兵器による果てない殺戮が始まるだけだという考え方もある。そういう点についてキッドはただ無力なので祈るほかないのである。人類がある限り戦争はなくならないと考えるし、それが自然であると思うからだ。

たとえば、昨夜は「星条旗の下に生きたヒバクシャたち」(NHK総合)というドキュメンタリーの再放送が行われていた。急性骨髄性白血病から復帰した俳優・渡辺謙が「ヒバクシャたち」を訪ねインタビューを重ねるという趣向である。

「ヒバクシャ」とは彼らが特殊なカテゴリーによる原爆被害者であることによる名称である。太平洋戦争(1941~1945)開始前に米国で生まれ、米国市民権を持つ日系人が日本に帰国中に開戦・・・広島・長崎で原爆による被曝者となるのである。その後・・・彼らは米国に再び暮らし始める。二つの祖国は加害者であり被害者である彼らに原爆症という負債を背負わせる。

日本では「原爆投下は仕方なかった」と発言すれば職を失うほどの失言となるが、米国では多数派は「原爆投下は戦争終結を導いた正しい選択」という意見を持つ。「ヒバクシャ」たちは日本で原爆により家族を失い、米国ではその後遺症に苦しみ生きてきた。

彼らの辛さを理解するためには相当に想像力を働かせなければならない。

「ヒバクシャ」の一人、山岡明は米国育ちの孫娘が6才になった時に帰日し孫に広島平和記念資料館を見せる。少女は展示された残酷な光景に恐怖し、数日間悪夢にうなされたという。

その少女が大人になり老いた祖母に一篇の散文を贈る。

それは概ね、次のような内容だ。「壁には見知らぬ文字が刻まれている。私にはその意味を読み取ることはできない。けれど私は泣いている。私の姉も泣いている。私の母も泣いている。祖母はこの建物には入らない。しかし、彼女もまたきっと泣いているのだろう。そこにいる人々は誰もが泣かずにはいられないのだから。人々はここにはいない祖母のために。祖父のために。母親のために。父親のために。兄弟姉妹のために。友達のために。息子のために。娘のために。あるいは親しい人々のために泣いているのかもしれない。もしかするとそれらすべての人々のために泣いているのだろう。だから私も泣かずにはいられないのだ。ここに立てば誰もが泣かずにはいられないのだ・・・」

通常兵器もまた人を殺さずにはいられない。しかし・・・核兵器や化学兵器・・・そして生物兵器は時には生き残った人々も殺すのである。

その苦しみが悪であると考えれば核兵器は格別に悪いのである。

その犠牲者に悪いのだと言われて返す言葉はない。ただ泣くしかないのである。

それは病気の人を前にするときも同じなのだ。痛いのだと言われて返す言葉はないのである。ただ泣くだけだ。

このドラマはそういう主題を持っている。しかし・・・このドラマの主人公である赤鼻の教師・石原(大泉洋)は生活のために院内学級に勤めるただの男に過ぎない。重い病と闘う生徒の苦しみに直面してもただ泣くしかないのである。

しかし・・・白衣の小児科医である七瀬は違う。入院患者の子供たちの病気と一緒に闘う医者なのだ。

子供たちの将来の社会復帰のための手当てとして義務教育の補助を行う教師と・・・生存の瀬戸際に立たされた子供たちの命を救おうとする医師。

その立場の違いは実に明確である。その違いによる落差をシビアに描いていけばかなり面白いドラマになっただろう。

いや・・・もちろん・・・ドラマとしてはそれを描こうとしているのだが・・・本題に入るまでがあまりにも遠回りなのだった。それは小学校担当の教師・シルクにあまりにも時間を使いすぎたからだと思う。

今回・・・白衣の医師は子供たちの小さな反抗に遭う。急性骨髄性白血病の中学生・和田(須賀健太)は闘病に疲れ受診拒否をする。小児糖尿病の小学生・千佳(八木)は母親の手作りのぬいぐるみを没収(入院患者にそばアレルギーのものがおりぬいぐるみの中身がそば殻だったため)されて受診拒否である。

そのうえ、大病院への転属の噂が広まり、院内学級閉鎖の危機と誤解した赤鼻は大騒ぎをする。しかし・・・白衣はただ・・・和田の化学治療に必要なデータを大学病院に請求しただけだったのである。

生真面目に治療に取り組む白衣に・・・子供たちは心を開く。

白衣はシルクに手伝ってもらい・・・ぬいぐるみの中身を綿にと移植手術をするのだった。

まあ・・・タイトル的には鉄仮面ドクターでもよかったのだが・・・なんとなくおたんこナースな気分だったのである。

今回だって・・・内容的にはグズグズだったのであるが・・・ただデータを渡すのに院長(上川隆也)をセッティングする必要ないし・・・とかね・・・まあ・・・ともかく、白衣を中心にした話こそが核心なのだということが明確になってよかったと思う。っていうか・・・このドラマはこのエピソードから始めるべきだろう。

ともかく・・・骨髄バンクの話題が一度も出ないまま・・・来週・・・和田の身になにか恐ろしい運命が待っているようだ。どうか・・・無駄死にになりませんようにと祈るばかりである。

素人の書いたエッセイで涙が止らないのにプロの書いたドラマで泣けないのは困ったことだよな。もちろん・・・笑えませんし。

人生は戦争なのだということが・・・分ってないのか。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』『メイド刑事』(テレビ朝日)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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