椿咲く春なのに上陸作戦天地人(妻夫木聡)寧々めぇぇぇぇぇ(深田恭子)姫の心姫のみぞ知る(比嘉愛未)
北政所を良妻と見るか悪妻と見るかで評価の分かれる今回。
キッドは豊臣家を嫉妬に狂って滅亡させたのは北政所と観測しているので・・・淀の方のパートに関する限り・・・今年初めて「大河ドラマ」を見た気分になりました。
今までのすべての茶々を越えて深キョン茶々は真実に一番近い場所に到達しています。天才だな。
いや・・・寧々信者の皆様にはとんでもない描写の連続かもしれませんけどーっ。
で、『天地人・第31回』(NHK総合090802PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はあらすじが12行も・・・まあ・・・一部ツッコミまじりですけど。確かに鶴松暗殺から秀頼懐妊まで北政所と淀の方の確執は丹念に描かれていましたからな・・・その間に朝鮮全土をほぼ制圧した太閤殿下軍の武将たちの華々しい活躍は全く描写なしでございますけどねーっ。そして今回は直江家の家紋の秘密大解説。まあ・・・家紋なんてものは人によっていくつも持っていてなんの問題もないもの・・・意匠ですからな・・・しかし商売がらんでくると地元商店街目の色変わってきます・・・。まあ・・・そういう騒動にうかうかのって・・・ありえない家紋に到達する美術スタッフ、衣装担当の皆さん・・・お疲れ様です。さらに愛妾不足にお嘆きのあなたに秀吉愛妾の基礎知識解説付きです。まあ・・・秀吉にただ一度お手つきになった姫から馴染みになった姫まで英雄色を好むの代名詞ですからな。秀吉が切支丹禁止を発したのは一夫一婦制度を推奨するからではないかとまで疑えます。戦国終焉も近いのに戦皆無の大河ドラマ・・・時代を遡って戦三昧の朝倉宗滴の秘密もお楽しみくださいませ。
さて天正20年(1592年)である。鶴松の死と秀吉の朝鮮の出兵を結びつける発想は多いが・・・そもそも秀吉は鶴松の生前から着々と開戦準備を進めている。兵員輸送の船舶は一朝一夕でできるわけもなく、すでに九州統一戦以前から建造が始まっているのである。そもそも、李氏朝鮮と倭王家(天皇家)は断交していたわけではなく、開戦寸前まで外交は継続されていたのである。ただし・・・秀吉は李氏朝鮮王家に「無条件降伏」に近い要求をつきつけておりそれを朝鮮側が受諾しないことも想定内だったのである。侵略の中継地となる対馬の宗王家は寸前まで朝鮮王家と倭王家に二重服従の形をとっていた。かっては朝鮮王の侵略を撃退するほどの実力を持っている宗王家だったが・・・太閤軍の進駐に関しては無条件で傘下に入っている。李氏王朝と倭王朝(太閤軍)の戦力分析をして宗王家が太閤軍の勝利を疑わなかったことは間違いない。すでに太閤直属の水軍は何度か実地演習を試みている。そして朝鮮に将も兵もないことを確認済みなのである。また暗殺された千利休の意図するほどではなかったが半島勢力への調略も進行しているのである。
朝鮮王・宣祖は倭王の侵略意図について朝議を開いたが議論百出実りはなかった。朝鮮宮廷では東人・西人による内部抗争が続いており、太閤秀吉が「宣戦布告」を朝鮮の外交官に行った後もその真偽をめぐり、議論が起こるほどだった。朝鮮宮廷に出廷していた倭王朝の外交官が退去して・・・はじめて秀吉の本気を信じたのである。
しかし、その時、秀吉軍は博多~対馬を経由して半島上陸を開始していた。すでに釜山周辺は太閤軍に降伏し、上陸作戦は無抵抗で成功した。第一軍指揮官・小西行長は後続の到着を待たずに進撃を開始したほどだった。
文禄の役とは後世の呼び名である。その証拠に作戦開始から作戦のほぼ終了時までは天正20年の出来事である。その年の瀬に後陽成天皇の即位となり元号は文禄に改まる。
天正20年四月に上陸を開始した太閤軍は破竹の勢いで進撃。五月には加藤清正が漢城(現ソウル)を占領し、六月には黒田長政が平壌を占領する。宣祖の悪政にあえいでいた民衆は歓呼の声で太閤軍を迎えたのである。
宣祖は命からがら北へ北へと逃亡していた。
半島の戦況を早船で戻った忍びより博多城で聞いた秀吉は表情を変えなかった。すべては予定通りの作戦経過である。釜山周辺には進軍ルートをはずれた全羅道を本拠とする朝鮮海賊・李舜臣一味が出没し・・・輸送船団に若干の被害を与えていたが、秀吉自慢の戦艦群には敵対する実力はなかった。後に英雄と祭り上げられる李舜臣だが太閤軍の海での被害は基本的に熱帯性低気圧によるものである。しかし、それらも想定の範囲内だった。
半島からの忍びが退出すると京・大阪の情勢を探ってきた飛騨の忍者・赤影が姿を見せる。
「鶴松様暗殺の手配はやはり・・・北政所様によるものでした・・・」
赤影のその一言で太閤の顔に一瞬朱がさした。
「・・・つまらぬことをするものよ・・・あの悋気持ちは・・・性懲りもなく・・・」
才色兼備で並々ならぬ内助の功を示す秀吉の正室・北政所はただ一つの欠点を持っていた。それは石女で・・・それゆえに生じる尋常ではない嫉妬だった。秀吉はすでに何人もの子を北政所に殺されている。しかし・・・・浅野長政、加藤清正、福島正則など・・・秀吉の直属の武将を育てたのも北政所である。秀吉の出世の半分は北政所の実力によるものであり・・・男としては耐え難いことも耐えねばならぬ秀吉だった。北政所は秀吉自慢の忍び衆さえ半分を握っているのである。目の前の赤影さえも・・・うかつには信用できなかった。北政所の悪行を報告する忍びさえも北政所の手の内なのかもしれなかったのだ。
茶々と鶴松の安全を思い・・・淀城まで構築しても北政所の魔手を逃れることはできなかったのである。
おそらく・・・と秀吉は思う。熱田の忍びにも三成配下の甲賀衆にも北政所の息がかかっているに違いない。そういう秀吉の暗澹とした気持ちを少しも察する様子もなく赤影は報告を続けた。
「大阪城では春日(はるひ)姫と京極姫の間でも確執が起こっておりまする」・・・春日姫は信長の娘で蒲生氏郷夫人の妹である。京極姫とは京極竜子で・・・春日は織田の血筋で、竜子は浅井の血筋で淀の方の従姉妹になる。逆に言えば秀吉は三人の従姉妹同志を側室にしていることになる。織田も京極も浅井も秀吉にとっては主筋につながる血族である。秀吉はその血族に憧れ・・・そしてその血族の生み出す容姿に魅かれていた。
その秀吉の愛を競う女たちは当然・・・葛藤を抱えるのだった。
秀吉はせわしなく考える。次の淀の方の子供を守る手立てを・・・である。淀を育んだ京極もだめ・・・母系である・・・織田も・・・蒲生も危険だ。そうなると・・・後は・・・真田・・・あるいは・・・。
赤影が去ると・・・小姓が豊臣兼続を呼び入れる。
兼続の用件は出陣願いであった。連戦連勝を続ける太閤軍の噂に・・・後陣の兵どもはしびれを切らしていた。とりわけ兼続は文弱の徒だった。朝鮮半島にある漢籍の輝きに誘われているのである。
「・・・小西は商人・・・清正や政長は武辺者・・・貴重な韓や唐の文物が灰燼に帰すのではないかと・・・この兼続・・・気が気ではありませぬ・・・一刻も早く渡海の沙汰を・・・」
秀吉は漢籍狂いとなった兼続を呆れた目で見た。もちろん・・・秀吉も唐ものには目がないために兼続の気持ちは分るのである。しかし・・・秀吉の心痛は別のところにあった。
「・・・兼続よ・・・息子とみこんで・・・この父に頼みがある・・・京に残る大国実頼・・・いや泉小太郎と・・・越後の軒猿衆を・・・この太閤に貸し与えてくれまいか・・・」
兼続の目が光る。
「・・・どなたか・・・ご懐妊でございますか・・・」
秀吉は思わず膝を打った。
「さすがは・・・兼続よのう・・・」
その頃・・・半島の北端ではついに蛮族の女真族に庇護された宣祖が一人の朝鮮忍びを呼び出している。金花姫・・・李王朝につかえる朝鮮くのいちの長だった。
「もはや・・・倭の軍の将軍に・・・賄賂を送る他あるまい・・・利で釣れるものがあるかのう」
宣祖は身分卑しきくのいち相手にすがるように問う。
金花姫はひれ伏して答えた。「しかるべく・・・国を売るものはどの国にもおりますれば」
関連するキッドのブログ『第30話のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『緊急SP救命病棟24時~救命医・小島楓』『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
いいですねぇ。
この北政所のキャラ ̄▽ ̄
まぁ全ては淀殿をとにかく悲哀のキャラにするために
やってみましたって感じもしますが ̄▽ ̄
見方によって善にも悪にも
変わってしまうものですからね。
北政所にもそれ相応の
大義名分があってもおかしくないんでしょうけどね
とりあえず秀吉の実情を描くならキッチリやって
欲しいもんですが、それだと兼続が主役である存在意味が
なくなってしまいそうですが、以前からそんな感じなので
今更どーこーもないんですけどね ̄▽ ̄ゞ
朝鮮出兵に関しては
どの大河でもナレーションで終わりますからねぇ。
島津義弘とかが主演ならば
ガッツリやってくれるんじゃないかって気がします。
あくまでもこの作品を見てる限り
今は気がするだけなんですけど ̄▽ ̄ゞ
そして、金花姫ですかぁ。
女に篭絡されて国を売った武将は
金と共に花柳病をもらうとか
そこまでやってしまう恐るべき怨みの力です。
投稿: ikasama4 | 2009年8月 4日 (火) 23時00分
ふふふ・・・北政所を
ちょっと悪にしているところが
今年の大河唯一のそそられポイントに
なってきました・・・。
まあ・・・主人公サイドが
愛と義をふりかざしているうちに
偶然そうなってしまったようにも
見えるのが残念なところでございます。
キッドの妄想では
若村麻由美・北政所が
ニッコリ笑いながら
謀略の限りを尽くす・・・
黒寧々様に萌えが発生しております。
今回のここまでの流れなら
豊臣兼続が秀吉の腹心となって
スーパー兼続くん状態で
大暴れくらいのが笑えるのに
パパ兼続はひたすら主夫道まっしぐら・・・
いざ出陣となるとつづく・・・ですからな。
どうせ来週は
帰ってくるところから始めるんでしょう・・・
とすねるばかりです。
とにかく
朝鮮戦役に関しては
日本による朝鮮半島統一や
戦後の分割占領問題など
いくつものフィルターが
かかって
どう描いてもクレームがつき
だから描かない。
よって・・・後続のスタッフは
イメージが作れないという
悪循環ですな。
ポイントは
秀吉は朝鮮半島はほぼ制圧した。
占領軍の貿易重視派が明国の計略にのせられた。
イラクを占領した米軍状態発生。
秀吉死亡で日本軍撤退という流れ。
このくらい描けないのかよっ・・・
といつも思います。
そのために日本軍は苦戦したとか
秀吉の半島侵略は失敗だったとか
まったく信憑性のない情報が
常識化しているという恐ろしいことに
なっておりますからーっ。
まあ・・・本編の進行具合にもよりますが
朝鮮くのいち花姫には
そのあたりの真実を妄想炸裂で
物語ってもらいたいと期待していますーっ。
金で釣り
体で釣り
最後は心を萎えさせ
鼻をとろかせ落とすという
朝鮮くのいち怨みの秘術・・・
ご照覧あれ・・・でございます。
投稿: キッド | 2009年8月 5日 (水) 02時15分