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2009年9月30日 (水)

365日君が好きだ大好きだ(田中圭)怪談・三日月(成海璃子)

あーっ・・・やはり堀川圭吾(田中圭)死にましたーっ。

生霊→死霊のダブルでーっ。

さすがだな。さすがは深夜ドラマの帝王。田中圭(25)永遠のなんちゃって20才。回想シーンでは十代もこなしているぞーっ。

対する滝井香澄(18)を演ずる成海璃子はまだまだ実年齢17才である。

で、『恋うたドラマスペシャル・三日月・第一夜』(TBSテレビ090930AM0025~)原曲・絢香、脚本・牧野圭祐、演出・吉田秋生を見た。いわゆるひとつの歌謡ドラマである。歌とドラマの組合せは歌劇から歌をモチーフにした寸劇まで様々だが、要するに韻文と散文の融合と考えていいだろう。それはミュトス(物語)に内在するロゴス(真理)とパトス(情念)の分離の後の再結合のようなのものだ。

キッドがたまに歌詞をモチーフにしてレビューを書くのはその変形といっていい。

ドラマもまた世界の流れから手のひらに水をすくいあげたようなものだが歌はそこからこぼれたひとしずくでもある。ひとしずくの水も手のひらの水も流れの水も水である。より、強く水そのものを示すためにひとしずくの水と手のひらの水を合わせ思うこと・・・それが歌謡ドラマという手法なのである。

2008年の恋うたドラマSPは「竹内まりや」の「歌」をモチーフにした加藤ローサ、伊東美咲、財前直美の三作品であったのでキッドとしてはまったくそそられなかったが、今回は第一夜・成海璃子、第二夜・谷村美月である。そそられます。・・・おいっ。

それはたとえば9/30の夕方のニュースのようなものである。「国会議員が公費でキャバクラで飲食することは是か非か」が問われるのである。その一方でニュースは「南太平洋サモア沖で大地震がおき多数の死傷者が発生したこと」を伝えつつ、そのために津波が発生する虞が生じ、岩手県久慈市の「北限の海女・大向美咲さんと小袖妃香理さんのシーズン終了のラスト・ダイビングが中止になったこと」を伝えるのである。二人が本職でないとか可愛すぎるとかいう問題も含めて・・・世界とはそういうものじゃないかっと思うのである。

そこには好むと好まざるとに関らず「萌え」があるのである。

あるいは助兵衛根性が。あるいはスケ(女)とベエ(男)の物語が。あるいは好きというものがたりが・・・。あるのでございます。

国会議員がキャバクラ嬢に感じる萌えもお茶の間がかわいすぎる海女に感じる萌えもキッドが成海璃子に感じる萌えもなるべく差別されないといいと思う。

寂しさで溢れたこの胸をかかえて

今にも泣き出しそうな空見上げて

あなたを想った・・・

それもまた萌えなのである。

香澄は高校三年生。東京近郊のとある大学の付属高校に通っている。

将来の夢はピアニストになることだが・・・音大への進学が難しくなっている。

学力と実技双方で壁にぶつかっているのだ。

彼女には恋人・圭吾がいるが1年前に米国の大学に留学してしまい遠距離恋愛中。

一年前・・・建築を学ぶために留学したいと言い出した圭吾は必ず一年後に帰ってきてデートするし、留学中も絶対他の女の子を好きになったりしないと約束したのだった。

約束の日、麻薬と遊興に溺れ刺激的な日々を過ごした圭吾は暴走のあげくの交通事故で瀕死の状態となる。

そして想いは穏やかだった香澄との初恋の日々へと向かうのである。

やがて・・・帰ってきた圭吾を香澄は迎える。

心に鬱屈を抱える香澄に圭吾は「今日はふたりの思い出の地を巡礼しよう」と提案するのだった。

こうして、おしゃれをして出かけてきた香澄の足音だけが響く二人の最後の一日が始まる。

最初から圭吾は瀕死の姿でベッドに横たわっているのですべては心の病のなせる技である。

ただし・・・二人は同じ夢を見ているのであたかも一緒にすごしているように見える。

「ピアノが弾きたいのにこわくて弾けない」璃子にやさしく手を添える圭吾の超現実的な夢が冒頭にすえられすべてを物語るのである。

「きつねの指遊びの形で耳と耳の間に息を吹き人指し指にキスをする悪魔祓いのゴールデン・ピース」などという圭吾のたわいもない嘘に心が和む香澄。

高校一年の時に大学一年の圭吾に出会った香澄は手が触れるだけで恥ずかしさがピークに達するような幼い恋の日々を過ごしたのである・・・しかも一応「開通」なのである。こっちが恥ずかしいわ。

留学した圭吾の無事を祈り野イチゴに願をかける香澄。そのワイルド・ストロベリーの実を食べてしまい香澄にも強要する圭吾の危ないプレー。

はじめてのデートで靴擦れしておんぶの思い出。

そして語り合う夢。圭吾の設計したホールで演奏する香澄の未来図。

その夢のすべてが八王子出身の大学生と川崎出身の高校生の胸の中だけで終焉していく日。

ついに圭吾が生霊から死霊に変わった黄昏。

香澄「私のピアノの才能なんか・・・小学生で終ってた・・・コンテストは予選で落選・・・先生にも見放された・・・もう・・・私の夢は終ったの・・・」

圭吾「今日という一日は終るけど・・・月が毎日空にあるように・・・二人の今日は永遠なのさ・・・君はピアニストになるために・・・ピアノを弾くの?・・・それとも楽しいからピアノを弾くの?・・・僕は君のピアノが好きだから・・・いつまでもいつまでも君のピアノを聴いていたい・・・」

もう泣かないよ

この消えそうな三日月

つながっているからねって

二人の最後のツーショットに写るのは香澄だけだとしても。香澄はピアノの弾ける幼稚園の先生を目指すことにしたらしい。思いはいつも満ちる日を待つ三日月のようにある。

・・・さて、記念撮影といえば五年間続いた「やぐちひとり」(テレビ朝日2004~2009)が終了である。前日は「おねマス」(テレビ東京)でドッキリ卒業式があり・・・全員が泣いたのに悪魔の女・小川あさ美はやはり泣きませんでしたという爆笑展開があったのだが・・・「やぐちひとりⓒ」はマジで終了なのだった。最後は卒業記念台湾旅行企画だったのだが・・・そこで「五年も二人でレギュラー番組やってたら結ばれちゃうのが普通だから愛の記念写真」というミニ企画があり・・・なかなか普通に素晴らしい企画だったと思う。

「裸で天使の春樹(劇団ひとり)と女神のようにドレスアップした矢口真里のツーショット
は「成海璃子の一人ぼっちのツーショット」と並ぶ名作である。

まあ・・・あくまでキッドの萌えが基準なのでございます。そして田中圭はいないことが田中圭です。

関連するキッドのブログ『加藤ローサのカムフラージュ

牛に願いを

もうひとつのシュガー&スパイス

最後のナイチンゲール

トリック劇場版

瑠璃の島

演歌の女王

1リットルの涙

受験の神様

ハチミツとクローバー

なでしこ隊

木曜日に見る予定のテレビ『本郷猛の猿ロック』(日本テレビ)『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年9月29日 (火)

十津川警部・・・(古川りか)そんな娘はウチの子じゃありません(原田佳奈)そこまでしらばっくれなくても(藤谷美紀)

さて・・・「十津川警部」シリーズである。いつも見ているけどレビューはしたことがない。

なにしろミステリはネタバレに対する心構えが微妙な感じになる。

トリックにしろオチにしろ・・・その「作品」の面白さそのものだったりするので何を語ってもおいおいそれを言ったらおしまいだろう・・・な感じになるのである。

しかし・・・まあ・・・とりとめない感想ならいいかなぁ・・・とつい語りはじめるのである。

まあ・・・「相棒」とか「BOSS」とかも語っているし・・・何を今さらってことなんですけれどもーっ。

本題に入る前の恒例の週末視聴率チェック。「オルトロスの犬」↗*9.5%(フタケタに届かずじまい)、「派遣のオスカル」↘*4.5%(さがるわ~)、「つばさ・最終回」17.0%(最後はがんばった・・・)、「こち亀」↗11.8%(キムタクはがんばった)、「特急かもしか途中下車連続殺人」16.5%(高橋英樹の十津川もがんばった)、「華麗なるスパイ」↗11.2%(最終回はこち亀に敗北)、「再生の街」↘*6.8%(最終回はスパイに敗北)、「天地人」↘19.5%・・・以上。

で、『西村京太郎サスペンス・十津川警部シリーズ42・九州ひなの国殺人ルート』(TBSテレビ090928PM8~)原作・西村京太郎「イヴが死んだ夜」、脚本・安本莞二、監督・池澤辰也を見た。『土曜ワイド劇場』版は現在、十津川(高橋英樹)、亀井刑事(愛川欽也)だが、こちらの『月曜ゴールデン版』では十津川(渡瀬恒彦)、亀井(伊東四朗)である。これまでにも様々なアクターが十津川を演じている。三橋達也とか、天知茂とか、高島忠夫とか、宝田明とか、夏八木勲とか、萩原健一とか、神田正輝とか、若林豪とか、石立鉄男とか、小野寺昭とか、高嶋政伸とかである。高嶋親子二代で十津川達成である。

まあ・・・とにかく・・・みんな・・・十津川が好きなのだな。

十津川警部は警視庁捜査一課係長である。いわゆるひとつの「殺し」担当である。

その相棒が亀井警部補である。この二人が名コンビとして様々な事件を解決するのだが・・・トラベル・ミステリで有名な原作者なので様々な場所へ捜査の手をのばし観光もします。また・・・アリバイ工作でおなじみ時刻表トリックとか移動手段の特定なども絡んできますが今回は・・・東京で殺された被害者・イブの出身地である九州・大分県日田に東京からは羽田より飛行機、大分空港からホバークラフトで大分駅。そして列車で日田まで・・・とルートが紹介されるだけです。

謎解きの主題は・・・イブの身元の特定と・・・イブの正体がわかったのに遺族に引き取ってもらえないイプの死体に秘められた悲しい人生ということになります。

今回は3時間ということでもう一人、亀井刑事の親友の新聞記者の娘でジャーナリストの妙子(藤谷美紀)が被害者と容疑者とは別の立場のゲストとしてからんできます。

もちろん・・・彼女を容疑者リストに加えても構わないのですが・・・十津川も亀井も全く妙子は疑いません。

ミステリはひとつの事件をおもに捜査関係者からみていくわけですが・・・ここはゲストの大物政治家・首尾木大造(西岡徳馬)を妄想追尾です。狩矢警部ではありません。

大造は与党の大物政治家ですが、地元は日田です。中央政界に睨みをきかせ・・・地元では名士。日田は温泉もある観光地で祇園祭があったり、羊羹が特産品だったりします。それなりに田舎の花柳界があって芸者もいます。大造は芸者の雛菊(木村理恵)と深い仲になり、雛菊は大造に何も告げずに身を引き私生児として史郎(RIKIYA)を出産します。

それから月日は流れて大造は汚職をしても隠しきれるほどの大物政治家となりました。妙子の父は新聞記者としてこのスキャンダルを追求しましたが無念の病死。妙子は父の志を継いで大造の汚職暴きを狙っています。しかし・・・それは本筋ではありません。

大造にはすでに他界した妻の残した二人の娘がいて姉・美也子(原田佳奈・・・シバトラの千葉さくらの死んだ妹ゆり)と妹・咲子(野間れい)です。

一方、ロック・シンガーとなった史郎には親友・朝倉(猪野学)がいて朝倉は美也子と婚約・・・将来は政治家を目指しています。共に貧しい母子家庭で育った二人には固い絆がありました。

史郎は東京暮らしでしたが祭りになると日田に戻ってくるのですが町で偶然、保母さんをしている咲子と出逢ってしまうのです。実は二人は異母兄妹なのですが・・・そんなこととは露知らず愛し合ってしまうのです。まあ・・・もうお約束ですが。

史郎から咲子を紹介された雛菊は驚き・・・「この娘だけはだめ・・・」と忠告。

そして大造に真相を知らせるのです。「えっ」となった大造。

このことを咲子は立ち聞き。史郎に真実を知らせます。父親は海の男で生れる前に死んだと聞かされていた史郎は「えっ」となります。ここが父子の遺伝です。

さて・・・ここで微妙な気持ちになったのが・・・朝倉です。娘の婿と・・・本当の息子・・・大造はどちらを後継者と考えるか・・・と魔がさしたのです。

真実を確かめようと・・・雛菊を問い詰めた朝倉は誤って雛菊を橋の下に突き落としてしまいました。雛菊は死亡。事故として処理されてしまいます。

もちろん・・・雛菊さえ死ねば・・・史郎が認知される可能性は低くなると朝倉が考えなかったわけではないのです。

やがて・・・史郎は東京に戻り家出同然に追いかけてきた咲子と同棲生活を始めます。

どうせ戸籍的には無関係なので愛し合ってるなら兄妹でもいいじゃないか・・・とキッドは思いますが二人は思わなかったらしく・・・やがて史郎は酒とギャンブルに溺れ多額の借金を作り、咲子は売春婦となってそんな史郎を救おうとするのです。

そんな二人を筆頭秘書に命じられて監視していた朝倉は客を装って咲子を絞殺します。この辺りはかなりイージーです。おそらく・・・朝倉は咲子と寝てしまい・・・そのことで咲子かに強請られていた可能性があります。

あるいは有名な変態政治学者が咲子の客になったことから・・・ひょんなことで咲子が首尾木の娘だとばれたら困るということで暗殺指令が出た可能性もあります。

そんなことより遺伝子検査をして大造がとっとと認知しちゃえばよかったのにと思いますが田舎の人には田舎の人の考え方がありますからねぇ。

とにかく・・・朝倉は身元が特定できないように・・・咲子の死体を全裸にして放置したのです。

そして十津川刑事出動です。

まあ・・・この後は朝倉がなんとかして身をかわしていこうとするのですが・・・ごめんですんだら警察いらないんだよ的に十津川は犯罪を明らかにしていきます。

やがて・・・部屋にのこされたひな人形や羊羹みつめて泣いていた咲子の目撃証言などからコールガールのイブが首尾木咲子であることが特定されていきます。

そして・・・地元の警察は担当刑事(的場浩司)をはじめ・・・イブが咲子なんてとんでもにいとシラを切るのですが警視庁の刑事をなめんなよ状態で真実は明らかになっていくのです。

まあ・・・朝倉はイブが咲子であることを証言した元・担任教師を殺したり、妙子を拉致監禁したり、史郎をクルマでひき殺そうとしたり、やりたい放題やってくれるわけですが。

さて・・・ミステリの創作にも様々な技法があるだろうが・・・この作品に関して言えば特にトリックはないし・・・ただ目立たないところにいる真犯人が大胆に犯罪を連続していくだけである。

だから・・・ミステリとは考えないで朝倉の人生を考えるだけでも始めることができる。

田舎の貧乏な母子家庭の優等生。彼には親友がいて・・・親友もまた母子家庭。しかし親友には出生の秘密があって・・・という感じである。

そして、ついに朝倉が親友の母親を殺してしまう。ここからがミステリの領域。

しかし・・・田舎で人が橋から転落しても事件にならないので・・・東京で親友の妹を殺害してようやく十津川が登場なのである。ドラマはこの部分から始まり、十津川は過去を掘り返し朝倉はそれを回避しようと犯行を重ねるのである。

朝倉をもう少し丹念に描けば・・・性的に少し変質的なところがあり・・・妙子を殺さなかったのは監禁して凌辱しようとしていたことは明瞭なのだな。

まあ・・・キッドの見どころは朝倉に轢かれた史郎がそうとは知らずに朝倉に病院からの脱出補助を依頼。洗濯係に変装した朝倉が病室に侵入し洗濯籠に史郎を詰めて運び去った後・・・見張っていた村川刑事(古川りか)の「してやられました~」という表情である。村川刑事今回はさりげなくおちゃめな美人刑事でした。

ともかく・・・父親は若い頃、芸者に子供を生ませているわ、妹はその子供と恋仲になり真相を知ってちょっと精神を病んで東京で売春婦になりあげくの果てに殺されて、犯人は自分の婚約者でそれどころか異母兄の母を殺してるし、妹の元担任教師も殺してるし、美人ジャーナリストを山小屋に監禁しているという・・・ものすごい犯罪者であったことが発覚しても淡々としている長女・美也子・・・ある意味・・・凄いなってことである。

まあ・・・三時間も十津川警部とつきあっていると些細なことはどうでもよくなるってことだな。ロック・シンガーが突然刺青を彫り始めてもまあ・・・そういうこともあるかもなー的に。

十津川「自分の娘一人守れない奴に日本が守れますか・・・」

首尾木「ダメな父親がいい政治家ってことなんていくらでもあるじゃん・・・いや、むしろその方が自然じゃないか」

ちなみに視聴率は12.7%でした。

関連するキッドのブログ『シバトラ

               『ちりとてちん

               『おみやさん

               『浅見光彦シリーズ

水曜日に見る予定のテレビ『八木優希の白旗の少女』(テレビ東京)『谷村美月の三日月・第2夜』(TBSテレビ)

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2009年9月28日 (月)

野望の果て(小栗旬)出羽退却戦(妻夫木聡)天地人、散る(長澤まさみ)

かってこのように悲惨な大河ドラマがあっただろうか・・・。

キッドの記憶にはありません。

まあ・・・歴史がこうして捏造されていく・・・という生きた証拠としては素晴らしいのかもね。そうかもね。

本編がこうも妄想の産物だと・・・何を妄想していいかわからなくなるわいな。

もう・・・降参したい気分です。石田小栗三成万歳!

で、『天地人・第39回』(NHK総合090927PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回のあらすじは短めの五行です。まあ・・・あらすじないですもんね。画伯を唖然とさせるとんでも展開の連打。東軍の豊臣方武将が福島正則と小早川秀秋しかいない不思議。仕置き場に石田三成がいるだけで安国寺も小西もいない不思議。いつまでたっても景勝の家来が上田衆しかいない不思議。兼続の息子がクローン人間である不思議。お仙の遺伝子はどうなった。画伯がついに視聴拒否の姿勢。そしてお茶の間への視聴拒否のススメ。だけど視聴率はまだまだ↘19.5%の怪。わはは。わははは。わははははは(発狂)。揚北衆不在をお嘆きの方は本庄繁長の秘密で溜飲をさげてください。

Tenchijin160003 関ヶ原の戦いに前後して豊臣秀吉の正室・北の政所と側室・淀の方との代理戦争である東西陣取合戦が各所で繰り広げられた慶長五年(1600年)の夏~秋。北陸では前田利長(東軍)が丹羽長重(西軍)を打ち破り、信州では徳川秀忠(東軍)を真田昌幸(西軍)が足止めした。九州では黒田如水・加藤清正(東軍)が大友吉統(西軍)を打ち破る。奥羽でも伊達政宗・最上義光(東軍)が上杉景勝・豊臣兼続(西軍)と領地争奪を繰り広げる。上杉は越後でゲリラ戦を展開しつつ出羽併合を目指し、伊達政宗は北陸奥でゲリラ戦を展開しつつ会津奪還を目論む。どちらも来るべき徳川の世に東北の覇者として対抗する意図は明確だった。しかし、結果としては傷み分けに終わり、守勢にまわっていた最上家が一時の漁夫の利をおさめることになる。

敗残の将・石田三成は伊吹山中を彷徨っていた。付き従った犬神衆も落武者狩りの群れに一人討たれ二人討たれと脱落し・・・もはや三成ただ一人となっている。関ヶ原で圧倒的勝利をおさめた東軍は二手に分れ、家康の叔父である水野勝成は徳川旗本衆2万などを引きつれ大垣城に向かい調略により篭城勢を壊滅させる。小早川金吾・福島正則など東軍主力は佐和山城を力攻めにして石田一族を殲滅した。佐和山を目指した三成が見たのはすでに炎上する城の姿である。三成は山中を抜け大坂を目指す。

家康自慢の隠密忍びたちは総掛りで三成を追う。三成は逃亡中もその人気のなさを露呈する。国税役として酷吏でならした三成は農民たちに怨まれていた。行く先々で追いたてを食らったのである。

餓えに耐えられず生米を食った三成は腹を下し・・・発熱した。

闇の中を亡者のように歩く三成の前に鬼火が浮かぶ。腸を撒き散らしながら怨みのこもった目を向けるのは豊臣秀次であった。三成は口を大きく開き、恐怖の声をあげる。「佐吉・・・怨むぞ・・・己が栄達のために・・・この秀次を貶めた・・・そなたの悪行・・・よもや忘れはすまいの・・・」三成は幽鬼の如き秀次に追われ、腰を抜かす。その周囲には血まみれの女子衆がわらわらと沸き起こる。秀次の愛妾たちは血膿を流しながら三成の手足にまとわりついてくる。三成は絶叫しながら草木の間を這い逃げる。しかし・・・そこには首を抱えた茶人が立っていた。「三成殿・・・風情を知らぬ御主にわが首預けるゆえ・・・みごと茶室に飾ってみせよ・・・如何・・・如何」・・・それは千利休だった。法華宗徒である三成は思わず「南無妙法蓮華経」の題目を唱える。しかし、亡霊たちは去る気配もなく三成の周囲を埋め尽くしていく。三成は叫んだ。「お助けを・・・お助けをーっ」

その叫びを聞いた服部半蔵影兵衛は半狂乱のままのたうちまわる石田三成を捕獲した。

関ヶ原の戦い前日に京極高次(東軍)の大津城を陥落された立花宗茂(西軍)は関ヶ原の敗報をきくと大坂に撤兵した。焦土とかした大津を抜け、東軍は京の都から伏見城へ向かう。西軍の伏見屋敷は放火され、東軍諸々の部隊は略奪に励む。敗者を蹂躙するのは世の習いだからである。家康はそれを止めない。今はこの破竹の勢いで大坂を飲み込まなければならないのだ。

家康は秀頼を盾として西軍が大坂城篭城に決することを危惧していた。

しかし・・・西軍の主将・毛利輝元は所詮・・・青二才だった。家康に篭絡された吉川広家の言に従い・・・大坂城をあっさりと受け渡した。輝元は東軍の凄まじき戦ぶりの噂が恐ろしかったのである。

家康は大津城廃墟の本陣で石田三成捕縛の知らせを受けた。すでに秀忠軍が大津に着いている。家康は遅参した秀忠軍を無視していたが・・・この時、ようやく秀忠の参謀としてつけていた本多正信を呼び出した。

正信は「まずは大勝利おめでたきことでございまする」と挨拶した。家康はただ一言応じた。「三成め・・・腰の定まらぬ男と思っていたが・・・あろうことか・・・狂を発しおったわ・・・」

正信は無言で応じた。家康はつぶやいた・・・。「さてもさてもここからの仕上げが肝心であろうず」・・・正信は平伏した。

大坂の真田忍軍は二手に分かれていたが・・・関ヶ原の敗報を受けてひとまず忍び頭初音の元へ集っていた。

彼らの任務は縁ある家の女子衆の警護だった。また・・・落武者たちを落ち延びさせる必要もあった。初音は忍びたちの情報を精査して・・・処置を行う。

「才蔵、小助・・・。上杉の武田夫人(菊姫)をお守りするのじゃ・・・」忍びたちは命ぜられるままに配置についていく。「清海殿、伊三殿・・・宇喜田様が落ち延びられたそうじゃ・・・大坂湊にて船を手配しておくれ・・・。薩摩衆とは話がついておる・・・」忍びたちは再び散っていく。「ぬかるでないぞ・・・徳川の忍びたちがまもなく大坂に入り込んでくる・・・この一日が勝負ぞ・・・」初音たちは敗れた大名の命を金で売り買いしていたのである。忍びにとって大合戦は稼ぎ時なのである。

その頃・・・兼続は出羽・長谷堂城を包囲していた。上杉景勝の戦略は概ね順調に推移している。庄内地方を発した上杉志駄軍は最上川流域の最上氏諸城を順次攻略しつつ山形城に北川から迫っていた。兼続は上杉主力を率い最上義光の篭る山形城の支城を攻める。伊達勢は伊達政宗が岩出山城を出陣し北目城(仙台)まで出張っていることが判明しているがこの時点ではまだ動きはなかった。

伊達勢は緒戦で甘粕景継の白石城を亘理城を発した猛将片倉重綱が陥落させた後は沈黙を守っている。

山形城を囲む支城のうち、北の畑谷城を落とした兼続は別働隊に南の上山城を襲わせている。1000人に満たない守勢の上山城を別働隊一万が陥落させれば、合流して一気に長谷堂城を抜く算段だった。そうなれば山形城は丸裸となる。

緒戦で白石城を失った甘粕は兼続隊に合流し・・・早期の力攻めを主張する。

「長谷堂ごとき小城をなんで悠長に包囲しておるのだっちゃ・・・庄内勢もそこまできておるがそんだなもの待つ必要もないだろうす」

「待て待て・・・まもなく上山が落ちるだべ。しょれから案配するっぺさ」

しかし・・・上山城は落ちなかった。それどころか城主里見氏の奇襲に大損害を出す始末だった。痺れを切らして長谷堂城に突出した甘粕軍は城代・志村氏に手痛い反撃を食らう。兼続たち上杉主力の兵は会津・米沢などの新領地のものが含まれている。統率に問題があると同時に・・・十年の平和が・・・上杉軍の弱体化を進ませていたとも言える。

兼続は考える。「上杉勢の強さが張子の虎になっていると知れたらえらいことだんべ」

しかし・・・結局は兼続に用兵の才が徹底的に欠けているという見方もある。その証拠に本軍の留守中に黒田如水は百姓をかきあつめて九州を制覇する勢いを見せているのである。

その兼続の元に軒猿から知らせが届いた。関ヶ原にて西軍敗れるの報である。狼煙を駆使した速報だ。兼続はたちまち「こんな戦はしとうなかった」的パニックに陥った。同時に伊達政宗・留守政景兄弟の主力軍が最上城にいる母・義姫の要請で山形城に向けて動きだしたことが判明する。

兼続は「退き陣じゃ・・・」と叫んだ。烏合の衆となった上杉勢は一挙に崩壊する。兼続は会津・米沢勢を囮に残し、旧・越後勢を引き連れて神速で撤退した。山形周辺まで進出していた上杉庄内勢も最上衆の反撃に合いたちまち退却する羽目となる。

兼続は逃げに逃げ主城である米沢城も捨て、会津若松城まで逃げた。

「そっだなばかげた戦のしようがあるか・・・へたれのたわけもんがっ」福島城の本庄繁長はこの兼続の逃げっぷりをバカな子ほど可愛い表情を見せつつ一言で吐き捨てた。「そうれ・・・ものども・・・本気もんの上杉謙信公の戦ぶり・・・伊達に目にもの見せるのはオラだちよ。ふんどすすめてかがれ」

総力を結集して福島城を攻め立てた伊達勢は本庄繁長の手荒い反撃に合い撤退を余儀なくされる。こうして・・・出羽合戦は幕を閉じた。上杉勢は伊達に白石城を最上に酒田城を奪われ局地戦的にも敗北したのだった。

景勝は歯軋りした。「天下の上杉も地に落ちたわ」

上杉家に残された手はひたすら恭順し家康に謝罪することだった。

家康の関東守備隊長は豊臣(結城)秀康である。景勝は秀康に家康へのとりなしを文書で申し込んだ。「同じ豊臣の家臣としてどうかお慈悲におすがりしたく一筆したためまして候・・・」

関連するキッドのブログ『第38話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『成海璃子の三日月・第一夜』(TBSテレビ)

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2009年9月27日 (日)

世界が燃えつきる日にほえろ!(長瀬智也)こち亀・二十年後編(香取慎吾)腐ったミカンと臆病な猫(夏帆)

さて・・・夏ドラマも終わりである。最後までゲストだけは豪華だった「こち亀」は木村拓哉で〆るのだった。

今年の夏はそれほど暑くなかった気がする。それでも人々はなんとなく温暖化を感じるらしい。

地球温暖化が幻想であると主張する科学者は絶滅寸前だが・・・一人くらいはいてもらいたいと思う。

誰もが「地球温暖化」を信じている世界なんて不気味だからな。

動物は基本的に二酸化炭素を排出する生き物である。

二酸化炭素を排出することがもし「悪」だとされれば動物は基本的に「悪」ということになる。

もちろん・・・極論を言っているのだが・・・そうならないように懐疑する気持ちを忘れないでもらいたい。

専門家の意見には耳を傾けるべきだが・・・鵜呑みにする必要はないのだ。

もちろん・・・それで世界が滅亡したって別にかまわないじゃないかという立場で語っています。

で、『こちら葛飾区有公園前派出所・最終回』(TBSテレビ090926PM0700~)原作・秋本治、脚本・マギー、演出・英勉を見た。スペシャルゲストとして両津(香取)の小学校時代の同級生・花火屋のたく坊(木村拓哉)が登場する。ドラマのオリジナル・キャラクターで回想シーンにそっくりな子供が登場していたオチになっている。原作はもちろんオー・ヘンリーの短編小説「二十年後」のイタダキ(換骨奪胎)である。幼馴染との再会と運命の残酷さそして可憐な人情が織り成す物語である。その主題をくずさないようにもうひとつの再会を作っているのである。たく坊はいかにも怪しいテロリスト風だが爆弾魔ではなくて花火職人だったというのも・・・いかにもの話だがいいと思う。ま・・・ただの顔見世ゲストでも木村拓哉はきっちりと仕事をする・・・ということである。できればそのパーツのクォリティーで全編作ってもらいたいと思いますけどねーっ。

もう本編の後半はムダにしみじみのシーンが長くて困ったもんでしたーっ。

さて・・・「二十年後/オー・ヘンリー」はこんな話である。

ニューヨークのとある通り。夜更けである。パトロール中の警官はシャッターの下りた店の前に佇む男を見かけ近付く。

男は不審者ではないことを示すために事情を話す。「二十年前・・・ジミーという親友と・・・ここにあったレストランで・・・再会の約束をしたんですよ。私は二十年前にニューヨークを出てシカゴに旅立ったんです。もちろん一旗あげるためですよ・・・そして何があっても二十年後になったらもう一度ここで会おうって約束をしたんです。それが今夜というわけです」

警官は答える。「その店なら確かにあったよ・・・五年くらい前までな」

警官が話を信用したと思い男は咥えていた葉巻に火をつける。約束の刻限だった。

パトロール警官「約束の男が来るといいな・・・約束の時間は過ぎたみたいだが・・・」

男「二十年ぶりですからね。三十分くらいは待ちますよ」

パトロール警官は「良き夜を・・・」と挨拶をして言って去って行く。

まもなく別の男がやってきて・・・最初の男に声をかける。「ポッブか?」と。

ポップと呼ばれた男は「ジミーか?」と応ずる。

暗闇の中で二人は再会を祝す。ポップは懐かしさで胸を満たしながら男に誘われるままに歩き出す。

しかし、ポップは通りかかった終夜営業のドラッグストアの灯に浮かぶ男の顔を見て驚愕する。

ポップ「お前・・・誰だ・・・ジミーじゃないな」

別の男「俺は刑事さ・・・お前はさっき逮捕されたんだよ。俺にな。シカゴ警察から指名手配されているポップちゃん・・・神妙にしてくれるよな・・・だったらこの手紙を渡すよ・・・警官のジミーからだ」

ポップは手紙を開く。「ポップへ。俺は約束の時間に約束の場所に行った。だけどお前が葉巻に火をつけたとき・・・指名手配の男の顔を見つけてしまったのさ。俺はお前を逮捕する気にはどうしてもならなかったが・・・見逃すこともできなかったんだ。ジミーより」

夜の闇に明滅するマッチの火・・・そして店の灯・・・光と闇の織り成す極上の一品でございます。

まあ・・・両津と村瀬賢治(中村獅童)もそれなりにドタバタでしたけどね。

子役の両津(今井悠貴)の香取版両津の顔真似は時々、極上です。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『華麗なるスパイ・最終回』(日本テレビ090926PM9~)脚本・君塚良一(他)、演出・大谷太郎を見た。ついに最後まで面白くならなかったな。

狂気のテロリストが「地球焦土化ミサイル」を開発し・・・東京を実験場とする。

しかし・・・コンピューターで算定すると日本国民全員が打ち水すると涼しくなるという話である。最後の方は総理大臣なんだか東京都知事なんだかよくわからないポジションの渡哲也・・・しかし急速に老いた感じがする。役作りなのか・・・本当にお加減が悪いのじゃないかとそこが一番ドキドキしました。

とにかく、前回、スパイ仲間がボス(寺島進)以外、全員京介を裏切ってしまったという秘密諜報部。

特にドロシー(深田恭子)は総理を射撃してしまう。一命をとりとめた総理だがドロシーは逮捕される。

Gパン刑事もどきのデニム刑事に変装した京介(長瀬)は怪盗ピンク・ピーチに変装した三九(杏)とともにドロシーの脱獄を「パデイ(相棒)だから」と幇助する。

ドロシーは女性専用留置所にいて・・・性転換疑惑を解消する。

ドロシーの怨みとは「一卵性双生児の弟がラクビーの試合中負傷・・・政府の施行した医療制度の不備で救命が間に合わず死亡したこと」だった。

キッドが思ったのは弟は水泳選手「けいいちろう」じゃなかったのかっということです。

まあ・・・双生児でも・・・二人とも男だったということもありえるか。男女なら水泳もしているしラグビーをしているでもいいしな。それなら弟の名は「けいじろう」でなくてもいいけど。このあたりが杜撰すぎるのさ。ああ・・・イライラする。

とにかく・・・「人を許す」ことだけが人を幸せにするという論点をのみこめないとどうにもはやのドラマです。

とにかく・・・総理がドロシーを許すので、ドロシーも総理を許す。ついでに京介は自分を捨てた両親を許し、横恋慕のために地球を滅ぼしかける匠(柄本明)やつまらない脚本も許すということですな。

発明を忘れた秘密兵器開発者はひがみ、バナナの好きな平凡な男は平凡さをそねみ、時代遅れのハッカーは新しいプログラムをねたむ。

十字架にぎって目がキラリンで「人を洗脳できる」超能力者はダメな仲間を洗脳してピンチを脱出です。ふたつの十字架のトリックとかどうでもいいのです。

とにかく・・・いつでもスペシャルできる体制で総理大臣私設秘密諜報部は存続したのです。需要があるかどうかは別として。

まあ・・・「恋して悪魔」「オルトロス」「カレスパ」は2009年夏ドラマ「三大残念」と言える。

もう・・・「ドラキュラ」とか「ギリシャ神話」とか「007」とかの元ネタに土下座してもらいたいよ。キッドは妖怪も超能力もスパイも大好きなのに~。こんなにガッカリをまとめて味わうとはーっ。ですよ。

で、『オトメン(乙男)~夏~』(フジテレビ090926PM1110~)原作・菅野文、脚本・野口照夫、演出・佐々木詳太を見た。視聴率は苦闘中の「オトメン」だが安定した面白さでは「夏ドラマ」の中では抜群である。キッドが爆笑しない日はなかったのだ。しかし・・・個人的に面白いだけかもしれんからな。

今回は「3年B組金八先生」第2シリーズの加藤連行のパロディーが中盤にある。前夜の「オルトロス」がほぼ金八先生みたいだったので二夜連続である。どこが?って土手と高畑淳子がだよ。金八人気だな。

そもそも・・・主人公の家出した父親が第一シリーズの女子中学生(杉田かおる)をはらませる男子中学生である鶴見辰吾である。

金八濃度は濃い目なのだチャンネルは違うけどね。

そしてものすごい美醜の差別ネタが満載である。

イケメンでなければ人でない扱いは凄まじい。もちろん・・・逆もありだが・・・そこは控え目なのである。オランウータンの遺伝子を持つ女子高校生は女装キャスティングである。ここは性別女で男女平等を目指すべきではないか。

女の子の願いがかなう特別な日は1年に三日ある。

それは「自分の誕生日」「聖バレンタインの日」そして「クリスマス」である。

まあ・・・少女マンガの世界の話です。

まもなく誕生日を迎える都塚りょう(夏帆)のために何かしたいと願う飛鳥(岡田将生)である。

今回の夏帆は優香っぽいが「こち亀」に優香が友情出演していた影響かもしれない。

そういう認知バイアスはかかります。ある意味、偽の合意効果です。

これにはきっと井上和香もからんでくるな。

三人ともやや巨乳だしな。

まあ・・・夏帆はかわいく感じるときとそうでもないときの落差があるんだよな。

不思議だ。今度、じっくり分析してみたい。

そんな折、連続通り魔事件が発生し、目撃証言から磯野かつお(ハライチの澤部佑)が容疑者として浮上する。

「犯人は目をみればわかる」と豪語するりょうの父・猛(高田延彦)は教室から磯野を連行させる。

友人たちは「お前を信じている」といいつつ「どう見てもお前は犯人だ」である。

磯野「それでもおれはやってないんだーっ」

たちまち画面はスローモーションになり、「世情/中島みゆき」がかかるのである。

りょうの誕生日プレゼントを猛のために選んだ飛鳥は・・・ご馳走を作ってピクニックにりょうを誘う。

そこで通り魔の真犯人(ハライチの澤部佑/二役)が登場。

偶然落ちていた竹刀で真犯人を倒す飛鳥。

恋愛朴念仁少女であるりょうは・・・「ずっとずっと願っていたことがありました・・・飛鳥さんと・・・真剣勝負の剣道の試合がしてみたい」なのだった。

つまり・・・ほとんど・・・ハライチの澤部佑のドラマなのである。そんなもんで視聴率がとれるかーっと叫びつつ・・・10月からは火曜9時で「オトメン~秋~」が始まるのだ。

大丈夫なのか。

関連するキッドのブログ『第6回のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『秋桜(コスモス)』(日本テレビ)『渡瀬恒彦の十津川警部42~九州ひなの国殺人ルート』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年9月26日 (土)

アベルよ(滝沢秀明)カイン兄さん(錦戸亮)怨みを再起動(木下あゆ美)復讐したら心が晴れました(長谷部瞳)

すごいぞ。怨み屋本舗の再起動(REBOOT)と怨み屋が星影の心の闇に潜む怨みを再起動(REBOOT)することがかかっているなんて・・・なんて洗練されたタイトルなんだっ・・・それにくらべて・・・。

旧約聖書の創世記によれば・・・。

サタン(蛇)の画策によって楽園を追放されたアダムとイヴは他にすることもないので子作りにはげむ。

長男カインは農園の主となり、次男アベルは牧場の主となった。

神に奉げものをする日、カインは農作物を、アベルは極上の羊を奉げた。

神は羊が好物だったのでアベルの奉げものを喜んだ。カインはその気配を察し屈辱を感じる。

そして弟のアベルを裏山に呼び出すとアベルの血で土地を汚す。

兄による弟殺しを知った神はカインをエデンの東に追放する。

アダムとイヴはなす術もなくカインとアベルの弟セツを為した。

セツはノアの先祖である。

・・・ということである。カインとアベルとオルトロスの犬がほぼ無関係なのは言うまでもない。

まあ・・・しいて言えば・・・オルトロスの兄貴のケルベロスはサタンの飼い犬と言えないこともないという程度。

そして・・・カインの心に生じた嫉妬がサタンの息吹によるものではないと断言はできない。なにしろ神は都合の悪いことは全部悪魔のせいにするものだからである。

で、『オルトロスの犬・最終回』(TBSテレビ090925PM10~)脚本・青木万央(他)、演出・今井夏木(他)を見た。最初にどうしようもないものが最後までどうしようもないものであるとは限らないのだがこの作品の場合・・・これが作品と呼べるとして・・・最初のどうしようもなさと最後のどうしようもなさは甲乙つけがたいと思う。

夕暮れの風に途切れた言葉が風に舞うように瀕死の巽(平田満)だった。その場には二人の息子がいた。一人は気を失った殺す力の宿る鬼の手を持つ弟の涼介(錦戸)。もう一人の活かす力の宿る神の手を持つ兄の竜崎(滝沢)は父に神の手を翳す。

父「やめてくれ・・・オレはもうお前にその力を使わせたくない」

竜崎「なぜだ?」

父「さ・・・さ・・・最終回だから」

父親が息をひきとると目覚めた涼介は医者や看護士をなじる。

涼介「なんで一分一秒を争う救命処置を途中で中断してしかも退室したんですか」

医師「だって・・・な・・・邪魔だっていうから・・・」

看護士「そうそう・・・脇役だもん・・・主役の言うことには逆らえないわよね」

舌打ちをした涼介は竜崎につめよる。

涼介「なんで・・・オレだけを助けた・・・」

竜崎「さよならだけでは・・・淋しすぎるから・・・かな」

竜崎が立ち去ると涼介にそっとしのびよる国家を正しく導くのは自分だと信じる男・沢村・警察庁理事官(佐々木蔵之介)・・・。

沢村「実は・・・巽神父は・・・あなたの本当のお父さんなのです・・・あなたのお父さんは竜崎が力を使わなかったから・・・死んだのです。つまり竜崎があなたの父親を殺したも同然なのです。さあ・・・どうする?・・・どうするの涼介先生~」

涼介「あなたの言うことは信用できないので実家に帰ってパパとママに確かめます・・・妹の志穂(河北麻友子)の出番も作らないといけないし」

涼介が病院の扉を開くと実家だった。

志穂「お兄ちゃん・・・気をつかってくれてありがとう」

しかし・・・子供が流産して死のうとした両親だからもう母親は子供のできない体になっている可能性もあり・・・妹だって本当の娘じゃないかもねーっ。どうでもいいけどねー。どっちにしても妹はお兄ちゃんのお嫁さんになれるのだーっ。秘密をなるべく秘密にしておきたいのならお嫁さん候補ナンバーワンだよねーっ。

その頃・・・竜崎は本当に愛しているただ一人の女・澪(熊田聖亜)につきまとっていた。「お兄さんが病気を治してあげる」という竜崎。しかし、「副作用とか心配だからまずとなりの子で試してみて・・・魔法使いのおじさん」と用心深い。となりの子「むかいの子でためしてみて」むかいの子「はすむかいの子でためしてからな」

竜崎はえへへと笑い「こいつら~まとめて面倒みるぞ~」

それをどこからともなく見ていた榊大臣(高畑淳子)は「子供ってあなどれないわ~」と思うのだった。そして計画をたてるよりいきあたりばったりの方が楽かもね~と悟る。このドラマみたいにね~。お茶の間のことなんか気にしないでね~。バカな国民はいつもバカな政府をあてがわれるって昔の人も言ってたし~。

竜崎殺しを涼介に唆すが逆に殺されかかる沢村。そこに爆発物に警察関係の部品が混入していたことを理由に渚(水川あさみ)が乱入。

渚「任意同行を求めます」

沢村「オレを逮捕するのか・・・そんなの証拠にもならんぞ」

話かみあってないぞ・・・。

ついでに榊「私が力貸そうか」

渚「お断りします」

次のシークエンスで渚「榊大臣が逮捕を許可してくれました・・・」

・・・信じられぬと嘆くよりも人を信じて傷つくほうがいいにも限度がある。

涼介は竜崎を殺そうとしているかもと思った渚は二人が兄弟だと伝えようとする。

「ダメよ・・・だってあなたたちは・・・」

目の前にカンペ「それは最後までなんとなく引きます」と出るので窒息しそうになる。

同じように涼介に兄弟殺しをさせまいとする熊切社長(柴俊夫)も「ダメだ・・・君たちは・・・」といいかけるが「そこはかとなくヒミツでお願いします」とカンペが出るのでのどをかきむしるのだった。

ちなみに出番確保のために白川母子双方を殺しかけた熊切ジュニア(八乙女光)は加奈(波瑠)と加奈の母(朝加真由美)に土下座。

ごめんですんだら警察いらないよ。

・・・しかも万引きとかじゃなくて麻薬売買の証拠隠滅のための連続殺人未遂だぞ・・・さらにいえば公衆(武装警官を含む)の面前で殺人未遂現行犯だ・・・その時点で射殺しろよ・・・とにかく人々は竜崎の待つ龍谷ダムへ向かうのだった。

警官にとがめられた渚は警察手帳の存在を忘れちゃうし、ラスト・シーンで目立っちゃダメとクギをさされた殺人犯・二宮(六角精児)は「ここは私が・・・」である。四人殺しているので捕まれば死刑だけどな。

とにかくあれやこれやで沢村は何かを言わないと気がすまないので言う。

カインはアベルを殺すんだ。アベルは弟だけどな。カインは兄だし。

すでに情緒不安定は明らかである。治安維持はなんだかんだで激務なのか。

あいつらオルトロスの犬だし俺ヘラクレス!

もうやけっぱちのタイトルコールである。ラクダの雄叫び天晴れだ。

「兄さん・・・」

「知っていたのか・・・弟よ」

「だって子供の頃・・・仲良しだったもん・・・一目でわかったよ」

「ははは」

「あはは」

二人が仲良くふざけていると嫉妬した沢村が発砲。

なぜ・・・狙撃銃なのに近距離射撃を・・・。しかも歩きながら・・・。

でもさすがに撃たれちゃう涼介。

渚がはじめのての射撃。撃たれちゃった沢村もさらに発砲。竜崎も撃たれちゃいました。

渚が「もういいよね」とばかりに手錠をかけるとどこからともなく現れる所轄の刑事たち。

大人しくお縄をちょうだいしろ・・・である。

その頃兄弟は仲良くダムで水浴びを楽しむのだった。

それからしばらくして・・・。

教職に復帰する涼介。「金八先生が引退したら・・・ボクでどうかなって思ってます」

やがて・・・暮れなずむ街の光と影の中・・・。

おなじみの土手で仔犬を拾わないでさりゆく涼介。

これ以上なくわざとらしくすれちがう竜崎。

これから愛する暮らしの中で竜崎は仔犬を愛するらしい。

二人の力がどうなったのかは謎のまま・・・だってどうでもいいもんね。

お願いだから続編だけは勘弁してほしい。

遠ざかる二人が人ごみに消えた・・・もう届かない残念な感じの言葉。

関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

で、『み屋本舗・REBOOT・第12回(最終話「心の闇・後編」)』(テレビ東京0909252412~)原作・栗原正尚、脚本・川嶋澄乃、演出・森田昇を見た。架空のニュース番組「NEWS 24」でキャスター大橋未歩がお伝えするのは「最後のニュース」である。「この悪夢もしばしの覚醒を迎えるときが近付いている」のだった。

かって日本が敗戦し連合国によって占領統治された時、「忠臣蔵」に関しての映画の上映、演劇の上演は禁止された。もちろん・・・「仇討ち」が内容に含まれるからである。「復讐は何も生み出さない」という論理はここから生じている。しかし・・・それは禁止しなければならないほどの自然な感情とも言えるのである。その瞬間・・・生きながら地獄に落ちた広島や長崎の人々がニューヨークやワシントンに原爆を落としたいてやりたいと願う・・・そんなことは誰も思わなかったとは言い切れないのである。

15年前に両親と弟を殺された奈良崎(山中崇)の取材中・・・怨み屋(木下)の連絡先を入手した東京ベイテレビの星影記者(長谷部)は依頼者を装い・・・直接対決を果たすのだが・・・。

星影「復讐代行業・・・あなたはそれが正義だと思っているの?」

怨み屋「正義・・・フフフ・・・私のしていることは単なる必要悪よ」

星影「あなたのしていることは犯罪です!」

怨み屋「18年前・・・あなたの母親は自殺したのよ」

星影「なんですって・・・」

怨み屋「あなたが一人で留守番をしている時にその男はやってきた。あなたは咄嗟にはさみをにぎりしめ押入れに隠れた。男は部屋を物色し始めた。そしてやがて帰宅したあなたの母親を凌辱したのよ・・・そしてあなたの母親は数日後に自ら命を絶った・・・その後・・・犯人の正体は不明のまま・・・唯一の手がかりは犯人の背中に彫られた女の生首の刺青だけ・・・あなたはあなたの母親をレイプして自殺に追い込んだ犯人が今、どこでどうしているのか、知りたいとは思わないの?」

自ら封印していた記憶を解かれ、驚愕する星影。その瞳には涙が浮かぶ。それは母親の残した怨みの涙だった。心の闇から浮上する隠された怨みに呪縛されつつ必死に人格崩壊を防ごうとする星影。

星影「・・・私は人を怨まない・・・復讐したって何も解決しない・・・」

怨み屋「そんなのはただのうわべの話。あなたからの依頼ならすぐにひきうけるわよ」

去り行く怨み屋を追うこともできず星影はただ衝撃に耐えるのだった。

次々と東京ベイテレビに潜入する怨み屋工作員。

「時効成立後の犯人登場」という状況を最大限利用しようとする報道局デスク・城島(田中哲司)にAP(アシスタント・プロデューサー)見習いとしてもぐりこんだシュウ(小野健斗)は一家殺人事件の資料の中から一枚の写真をさりげなく抜き取り・・・提示する。

「これ・・・誰ですか・・・」

「ああ・・・昔、俺が犯人としてマークしてた男だ・・・散々追っかけて見込み違いだったわけ・・・。まあ・・・よくある話だ・・・こんなのはもう用無しだ」

クズカゴに放り込まれた写真に写っていたのは髪の毛はふさふさだが前回ちらりと登場した謎の男(田山涼成)の面影がある。

謎の男は一家殺人事件の容疑者だったのだ。

真犯人を名乗る久我山(螢雪次朗)は時効になった殺人犯としての体験をもとに「プラス思考で生きのびろ!」を出版しベストセラー作家になっていた。愚民社会である。

そんな久我山に被害者遺族との直接対決を持ちかける城島とシュウ。

「もう視聴率うなぎのぼり、自叙伝売り上げ倍増ガッポガッポでウハウハですよ」

「ガッポガッポでウハウハか~」

たたみかけるように城島の前に姿を見せるフリーのジャーナリスト御岳巌・・・実は工作員・十二月田(前田健)である。巌は18年前の主婦強姦強盗事件の犯人が久我山であり・・・事件後自殺した被害者の娘が星影であることを城島に告げる。

城島の目にジャーナリストとしての商魂が燃え上がるのだった。

怨み屋は「久我山を被害者遺族の心に時効はないということを世間に知らしめた上で実質殺害する件」の依頼人である奈良崎に「対決企画」に応じるよう支持する。

城島の命令で不承ながらも奈良崎の出演依頼に訪れる星影。

奈良崎「いいですよ・・・犯人に被害者遺族の心に時効がないことを思いしらせてやる・・・それに怨みは心にためておくより・・・吐き出してしまうほうがいいでしょう?」

星影「私にはわかりません・・・」

星影は蘇った記憶と作り上げた綺麗事の間で揺れ動き・・・精神安定剤の常用者となっていた。

怨み屋は賑わう「プラス思考で生きのびろ!」出版記念サイン&握手会にショート・カットで登場。胸元を強調したファンを装いつつ・・・久我山に色仕掛けで危機感を植え込むのだった。あの事件当時オウム真理教本部をニヤニヤして見学に行っちゃう愚民社会である。

「ネットに・・・怨む久我山・・・法が許しても俺は許さない。心の時効はないことを、生対談であの男に知らしめてやる。今度は俺があの男の人生をめちゃくちゃにする番だ。・・・って書き込まれているので気をつけてくださいね」なのである。

「時効成立の犯人VS被害者遺族」対決番組当日。生放送である。久我山の控え室にはさりげなくフルーツとくだものナイフが置かれている。

そして工作員・里奈(葵)は偶然を装い星影の目の前で久我山の背中を濡らすアクシデントを発生させる。

星影は久我山の背中に生首の刺青があることに気付かされるのだった。

我を失う星影。

刺青の男。犯される母親。呪う母親。死体となった母親。押入れではさみを握りしめる幼い自分。

母親「怨んでやる」

星影「お母さん・・・」

体調不良を理由に記者として出席することになっている番組の降板を申し入れる星影を叱咤激励する城島。

「逃げるな・・・ここが記者としてのお前の正念場だ・・・仕事をするんだ」

城島には星影抜きでは成立しない隠しダマがあったのだ。

やがて・・・スタジオには謎の男が姿を見せる。この男が真犯人で久我山は真犯人詐欺じゃないかと思わせる展開だがもちろんミスリードなのである。

番組が始まり・・・突然しめされる「18年前の強姦・強盗事件の犯人も久我山さんだった」VTR。

ショックを受けた星影は精神安定剤を求めて自分のカバンをさがす。

サブ(調整室)では城島が叫ぶ「星影を写せ・・・さあ・・・星影、泣け、叫べ、怒れ・・・」

スタジオでは久我山が開き直る。「何が強姦だ強盗だよ。全部時効じゃないか・・・自殺・・・そんなの俺の知ったことじゃないよ。女はオレにおかされて涙流してよがってたもんな」

そっと星影のカバンを渡す謎の男。カバンの中身ははさみだった。

ふりかえる星影の目にキャットウォークに佇む怨み屋の姿が映る。

「あなたの怨みに時効はあるの」

久我山の暴言に耐えかね飛びかかる奈良崎。護身用に久我山が手にしたナイフが落ちる。

無言で久我山の背中にはさみをつきたてている星影。

巻き起こる絶叫。星影は何度も何度も久我山にはさみを突き立てる。

そしてねじ込む。

血しぶきを浴びた星影は息絶えた久我山の側にようやく腰をおろす・・・。

テレビ画面にはしばらくお待ちくださいのテロップが流れ街角でテレビを見ていた人々はブーイングする愚民社会なのだ。

「もっとみせろ」「いくらなんでもやりすぎだ」の賛否両論である。

やがて上司の大川部長(斉木しげる)にとかげの尻尾切りよろしく不祥事としての「殺人現場生中継・視聴率48%の快挙」により懲戒免職となる城島。

茫然自失で街を彷徨う城島を嘲笑する謎の男。

「私はあの男に事件の犯人としてつけまわされ・・・仕事も家族もなくしたのさ・・・」

男の依頼により城島の社会的抹殺を100万円で引き受けていた怨み屋だった。

怨み屋「なぜ・・・実質的殺害になさらなかったの・・・?」

男「殺してしまったらそれで終わりじゃないか・・・私は死ぬまであいつの苦しむ姿がみたいんだ・・・その方が毎晩ビールが美味いからな・・・」

痺れる展開である。さすがだ。脚本・・・見事だ。

そして最終回ならではの〆にさしかかる。

一件落着一石二鳥でうちあげる情報屋(加藤雅也)と工作員たち。

「怨みはこわいね」「怨み屋さんもこわいけどね」「でも怨み屋さんは優しいときもあるし」「それが一番こわいんだよ・・・」

星影の取調べを担当するのは寄木警部(きたろう)である。

寄木「あんたも・・・結局・・・怨み屋によって・・・怨みに飲み込まれちまったか」

星影「私・・・怨み屋さんにはとても感謝しているんです。怨みを晴らしたら・・・心が解放されました・・・今はとってもいい気持ち・・・心が晴れ晴れするってこういうことなんですね・・・そうなんです・・・怨み屋さんは最初から私の心の中にいたんです・・・そして眠っていた怨みに着火してくれたんです・・・たちまち燃え上がる私の怨みの炎は美しいのです」

寄木「えーっ・・・そんなぁ・・・」

星影の満ち足りた心を示す微笑みに絶句する寄木だった。怨み屋本舗だけに許される爽快な結末である。

なだれ込むクライマックスということでは

①刺青の男の正体

②奈良崎の復讐

③謎の男の正体

④星影の末路

⑤復讐が何も解決しないという嘘の暴露

これらが一瞬にして結実する見事な星影の殺人である。

そして・・・闇に消える怨み屋・・・怨み屋さん・・・またきっと逢えるよね・・・その日を待ち侘びてこれからも生きていきます。

怨み屋を追うことだけがただひとつの生きがいの寄木警部の如く。

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2009年9月25日 (金)

死~タナトス~に挑むものを誉め讃えよ(二宮和也)天国はありますか(八木優希)

「銭ゲバ」でこの脚本家を再評価していなければ脱落してしまうドラマだった。

「南くんの恋人」(1994年)・・・「イグアナの娘」(1996年)・・・「銭ゲバ」(2009年)の脚本家である。

「ビーチボーイズ」(1997年)もあるがこれはひたすら広末涼子がかわいいだけのドラマだからな。

で、今回は概ねこの脚本家のちょっと恥ずかしい部分の羅列である。ま・・・それが好きな方にはたまらない魅力なのかもしれません。

つまりだ・・・人間は「優しさ」があればすべて許されるという主張だ。

これは正解なので退屈ということである。

だから・・・根に毒を持つコミックを脚色するとそれを浄化しようとするパワーが脚本家の内面から滲み出ていい感じになるのだ。

で、『天国で君に逢えたら』(TBSテレビ090924PM9~)原作・飯島夏樹、脚本・岡田惠和、演出・土井裕泰を見た。演出家は「ビューティフル・ライフ」、「マンハッタンラブストーリー」がある。つまり王道も邪道もOKのタイプである。ただし、邪道では視聴率がとれないので行き過ぎるのかもしれない。そういう意味では今回は・・・やや・・・オーソドックスに傾きすぎたかな。

ガン治療センターの外科医・四宮(ユースケ・サンタマリア)が精神科医でカウンセラーの野々上の前で躓くくりかえしのギャグがあるのだが、ただ躓くだけである。

ここは「ああ・・・また躓くんだな」とフリをしてから三回躓かないとギャグとしては成立しない。・・・ギャグにするつもりがないのですか。そうですか。

若い精神科医の野々上は大病院での診療に不向きで上司の紹介で千葉の海が見えるステージの高いガン患者専門病院に転職する。

入院患者は主に治癒の見込みのない末期ガンに犯されている。世話役の原田(平泉成)は「私の息子もこの病院で逝ったのです」と遠くを見る。

野々山は優しい妻(井上真央)に励まされてこの「天国に近い病院」でカウンセリングを始める。

カウンセリング・ルームには専属ナースみずほ(宮本信子)が配置されている。みずほは「私の夫もこの病院で逝きました・・・」と遠くを見つめるのである。

病院内の敷地の海辺に立てられた古い一軒屋が舞台である。

ここで野々山は患者たちの悩みを聞き、病める体に健全な精神を宿させるのが仕事なのである。

訪れた患者第一号は愛(八木優希)である。彼女は「働きたい」と申し出る。なぜなら「人は大人になったら働くけれど・・・自分は大人になるまで生きていないので・・・今、働いてみたい・・・」と野々上の目を見つめるのである。

双子(古舘優空・古舘玖優)の父親でもある野々上は涙をこらえて承諾する。

みずほが愛にコーヒーの点て方を教え、カウンセリングルームを訪れる患者はたとえコーヒー嫌いでも必ずブラックで愛のコーヒーを飲み「美味しい」と言わなけれ人でなしと後ろ指をさされることになるのだ。

こうして・・・まもなく死ぬ人々を野々上は毎日毎日カウンセリングするのである。

時には妻(富田靖子)が助からないと知り逆上した夫(津田寛治)が「病気を治せないなんてそれでも医者か」と血が出るほど四宮を殴りつけたりする。しかし、おそらく病院は警察の管轄外なのであるし、警備員はいないのだ。四宮は殴られ損であるどころか「医者のくせに病気をなおせないなんてダメだよなぁ」と野々上に愚痴るほど慈悲深いのだった。

しかし、正気に戻った夫は人々に謝罪し・・・会社を辞めてキャンピング・カーで妻と二人旅に出るのだ。おそらくどこかの崖から飛び出すつもりなのだろうが・・・病院の人々は優しく夫婦を送り出すのだった。

死期の迫った板前の春夫(ゴリ)は「どうしても妻に感謝の言葉を伝えたいのだが・・・口下手で言えない・・・手紙を代筆してくれないか」と野々上に頼む。

春夫の妻・仁美(矢沢心)は手紙を受け取り「いつもお前のことブスって言ってごめん・・・オレはお前のこと世界一美人だとは思わないが・・・いつもすごくかわいい女だと思っている・・・病気になってごめんなさい・・・そしていつも優しくしてくれてありがとう」という代筆された夫の気持ちを読んで涙が止らないのだった。

ナースみずほは「お化粧を直してあげる」と慰める。

化粧をして少しきれいになった仁美に春夫はうっとりしてしまう。そんな春夫の頬に口づけした仁美は鮮やかなキス・マークを残すのだった。

思わず仁美を抱きしめる春夫。

ゴリと矢沢心で泣かされるとは思いませんでした。

これを機にカウンセリング・ルームは「手紙屋HEAVEN(天国)」として新装オープンする。

そこに現れたもうすぐ死ぬサイパン在住のサーフショップ経営者・シュージ(緒形直人)・・・死を受け入れられず自暴自棄になっているシュージは「後は死ぬのを待つばかりだ」と荒れる。天使のような愛が「死んだら天国に行けるのよ」と言うと「ガキに何が分る。死んだらお終いなんだよ・・・焼かれて灰になってそれきりだ」と凄むのだった。

シュージは愛を「野々上の親戚のガキ」だと勘違いしていたのだが・・・愛が余命わずかな自分と同じ患者仲間だと知り・・・腰が抜けるのである。

シュージは覚悟を決めて死を受け入れ・・・野々上に妻への手紙を頼むのだった。

その手紙は「浮気をしてごめん」という告白だった。

やがて・・・シュージはサイパンに戻り死ぬ。一度も海外に行ったことのなかった野々上は旅のついでにシュージのよく日焼けした妻・リサ(木村多江)に逡巡しながら手紙を渡す。

リサはさめざめと泣いた後でシュージから愛への伝言を野々上に托すのである。

「シュージは死ぬまでウォータースポーツの虜だったんです。最後はカイト・サーフィンに熱中していました。そしてついに空へ舞い上がったのです。シュージは愛ちゃんに伝えてほしいそうです。サイパン上空10メートルくらいに天国があった・・・と」

おしゃれな人だったんだなぁ・・・と思う野々上だった。

ま・・・そんなバカヤローな感じのドラマでございました。視聴率*9.3%です。

原作者はシュージにあたる人物で2005年に闘病の果てに永眠されたそうです。冥福をお祈りします。

関連するキッドのブログ『銭ゲバ

               『薔薇のない花屋

                『流星の絆

土曜日に見る予定のテレビ『こち亀』(TBSテレビ)『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『牧瀬里穂の再生の町』(NHK総合)『オトメン(乙男)・夏』(フジテレビ)

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2009年9月24日 (木)

売り切れなんですーっ。(加藤あい)仕事にかまけて家庭を省みない母親(篠原涼子)

さて・・・シルバー・ウイーク明けである。それなのに今日も墓参りをしたのだった。

ちなみにキッドはほぼ死後の世界は信じないタイプである。

それなのに墓参りばかりしているのは・・・基本的にお墓は好きなんだな。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「オルトロスの犬」↘*6.8%(もうだめだな)、「派遣のオスカル」↘*5.7%(もうだめだな)、「こち亀」↗*7.9%(じりじりとあがっているわけだが)、「華麗なるスパイ」↘*9.5%(あがったりさがったりなわけだが)、「再生の町」↗*8.4%(ここといい勝負なのか)、「オトメン・夏」↘*5.1%(すごく面白かったけどな)、「さよならがいえなくて」10.6%(違法薬物に百害あって一利なし)、「カンフーハッスル」12.5%(毎シーズン見たいぞ)、「官僚たちの夏」↘*6.5%(米国が戦争して日本が儲ける・・・古き良き時代よ)、「天地人」↘20.0%(戦がキライな人がちょっといるようです)、ついでに「おくりびと」21.7%(日本人は死体が好きなんだなぁ)、「ブザー・ビート」↗13.8%(珠玉の名作でしたので視聴率は予想通り)、「救命病棟24時」↗19.3%(まあようやくいつもの24時に)、「働くゴン!」10.4%(だらだらしてました)・・・以上。

で、『スペシャルドラマ・働くゴン!』(日本テレビ0900923PM9~)脚本・水橋文美江、演出・南雲聖一を見た。なんとなく・・・豪華キャストによるパイロット版(番組の内容をスポンサーに伝えるための試作品)を見たようである。あるいは気の抜けたサイダーっていうか。まあ・・・それに相応しい視聴率だったけどな。

舞台はテレビ日本(架空)の報道局。主人公は腕利き記者・ゴン(篠原)。しかし、夫に逃げられ逃げた夫に未練はないがお乳ほしがるこの子がかわいい・・・まあ・・・小学生ですけど・・・である。長男(森本慎太郎)、次男(佐藤詩音)だ。逃げた夫(谷原章介)である。

夫は善人過ぎて転んだデブを助けようとしてトラックに引かれて死亡。ゴンはそれまであまりにも家庭を省みなかった自分を顧みるというスタートでよかったと思う。

報道記者の仕事と子育ての板挟みに悩むゴン・・・なのだが・・・キッドがリアリティーを感じられないのは11年間子供を育てた夫が愛人(大島美幸)に心を奪われてそれっきりというところである。もちろん・・・そういう人間がいてもいいが・・・それでは長男も次男もいい子に育ちすぎている。つまり辻褄があっていないのだな。

乳飲み子を捨ててかけおちする妻がいるのだから、小学生2人を残して家出する夫がいたっていいだろう・・・と言われればそれまでですが。

それまで育児放棄していたゴンが急に子供をかわいがりはじめる・・・というのもものすごくとってつけた感じがする。そういう煮込みが甘いのである。

辻褄のあわない設定をなんとか着地させているのは長男の母親に対する態度である。いい加減な両親のそれまでの始末を受けて一人ですべてを表現しなければならない長男・・・光るものがありました。

職場では男女雇用機会均等法と現場のズレのいつもの物語も展開する。

先輩で出世がデスク止まりの篠田(風吹ジュン)・・・女性が部長になれても局長にはなれない社風らしい。

後輩で帰国子女だが恋人もいないし仕事にも不満がある泉(香里美)。

ほぼ同期だが記者魂を失った上原(沢村一樹)と新人の村西(平岡佑太)・・・。

このメンバーが「子供が行方不明だという妻(戸田菜穂)と妻が虐待したから連れ出したという夫(安田顕)の離婚した夫婦の揉め事を徹底報道する顛末」なのである。

離婚後、仕事と子育てに疲れた母親はつい子供にきつい言葉をいってしまい・・・気に病んで子供に会う勇気が出ないという真相に気がついたゴンは・・・。

最後は母親の許可も得ず、勝手に運び出した子供の誕生日プレゼントの自転車に子供を乗せて「さあ・・・お母さんが来たから走っておいき・・・」をニュースとして生中継である。

頭のネジが緩んでいるとしか思えないわ。

とにかく・・・この他にも弁当販売員(加藤)とか肛門科の医師(大泉洋)とか次男の担任教師(小泉孝太郎)とか通りすがりの極道(松方弘樹)とかラーメン屋(小松政夫)とかただの主婦(板谷由夏)とかただの刑事(小野武彦)とか延々と続く水10ドラマ・オールスターのチョイ役大会なのだった。

とにかく・・・あれだな。この番組を成立させた関係者に・・・。

お前はバカかっ・・・と言いたい。

もう少し詳しく知りたいというお方はコチラへ→mari様の働くゴン!

関連するキッドのブログ『ハケンの品格

               『ホタルノヒカリ

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『谷村美月・香椎由宇・山田優の恋のから騒ぎドラマスペシャル』(日本テレビ)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』『田中麗奈・鈴木杏の派遣のオスカル』(NHK総合) 

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2009年9月23日 (水)

救命するぞ救命するぞ救命するぞ(江口洋介)世話女房24時(松嶋菜々子)急患は会議室でも(北乃きい)

出ますよね。出ます。人間のいるところならどこでも。

医療行政と医療現場の落差みたいなものを描くのは相当に勉強しないとならんだろう。

世界に食料はあまっているのに餓死者が出る問題を基本とすると・・・流通という言葉が浮かんでくる。

旅客機の中で急患が発生するとキャビン・アテンダントは「お客様の中にお医者様はいませんか?」と叫ぶわけだが・・・ここには選ばれたものの責任と義務という言葉が浮かんでくる。

どうしても足を切断したくない医師がハウスにいる海外ドラマでは「どのように生存したいのか」という欲望の問題が浮かんでくる。

貧しいのでお薬代が払えませんという時代劇を見ていると・・・悲哀と言う言葉が浮かんでくる。

今夜死んでもいいからきれいになりたいという歌を聴けば・・・人生という言葉が浮かんでくる。しかし、これからは美容整形外科医・工藤(國村隼)も少し思い浮かぶかもね。

で、『救命病棟24時(第4シリーズ)・最終回』(フジテレビ090922PM9~)脚本・一色伸幸、演出・河毛俊作を見た。演出家は「沙粧妙子~最後の事件~」(1995年)とか「きらきらひかる」(1998年)とか最近では「わたしたちの教科書」(2007年)がある。何れも名作といっていい作品でテキストとしては最適である。そういう意味では今回はいろいろあって不完全燃焼と言えるかもしれない。しかし・・・とにかく最終回はぎっしり言いたいことをつめこんで無難にまとめてきた・・・と言えるだろう。返す返すもアクシデントのなかったヴァージョンを見てみたいのだが・・・まあ・・・そんなこと言ってもな。

困難を克服する英雄がいるので根本的な問題が解決しないという問題がある。

たとえばまもなくドラマになる「坂の上の雲」で描かれる日露戦争にもそういう側面がある。

小国・日本と大国・ロシアでは勝負にならないはずだった。しかし、日本は現場の人々の異様な活躍でロシア陸軍を撃退し、バルチック艦隊を殲滅して戦争に勝ってしまうのである。その結果・・・成せば成るという精神論は発言権を得て・・・米国との太平洋戦争で悲惨な結果を招くまで無理な戦争を続けていく。

竹槍で戦略爆撃機を撃墜できるわけはないが・・・そんなことを言ったらできるものもできなくなる・・・と言われてしまうのである。あげくの果ては人間を誘導装置と考えた特攻作戦が展開されるのだ。

いわばこのドラマにおける進藤先生は「目の前のB-29を竹槍で撃墜してしまう」スーパー・ドクターなのである。

・・・おいっ・・・黙って聞いてればそのたとえ・・・たとえとして機能しているのか?

まあ・・・いいじゃないか・・・夏ドラマも最終回シーズンでストレスがたまっているんだよ。

一方、第4シリーズの主要キャラクターである澤井医局長(ユースケ・サンタマリア)は「高高度戦闘機の設計および生産そして実用化のためのシステムを構築しなければB-29は撃墜できない」と主張するふつうのドクターである。もちろん・・・ただのドクターではなく、それもまた優秀なドクターてあると言える。

そういう計画をたてるのは本来、官僚の役目だからだ。しかし、ベンチがアホだから野球ができへん的に・・・政治活動に参画していく澤井なのである。その野球のたとえももう知ってる人少ないと思うぞ。

国家予算の医療費の枠を増やし、さらに救命医療にかける割合を増すこと。そのための過程をもう少しくわしく描くべきだったのだが・・・勉強不足なのか・・・スケジュールの問題なのか・・・あっさりである。

その部分はこうなる。

政治家(佐戸井けん太)「ボク、フィンランド語ができるんだ・・・健康診断は必ず受けてくださいね・・・(おいっ)・・・政治は駆け引きなんですよ。今回は見送る。しかし次回は獲得するみたいなね。今回の医療改革会議では予算の話はなしでお願いしますよ」

澤井「・・・犠牲者は何人ですか。何人殺せば予算をくれるんですか」

澤井の上司である守谷・高度救命センター長(小野武彦)「私の部下の命を何だと思ってるんだ!・・・(おいおいっ)・・・政治家は信用できないぞ。君がドン・キホーテにならないことを祈っている・・・ご苦労さん」

澤井「ボクと雪乃さんの新婚生活はどうなったんですかね・・・(おいおいおいっ)・・・私の尊敬する現場の救命医の言葉を紹介します。助けられる命を見捨てるのは犯罪だ・・・以上です」

まあ・・・こんな感じかな。・・・違うだろう。

とにかく・・・「目の前の患者を助けるために24時間勤務、1999年から無遅刻無欠勤」の進藤先生ではもたないし・・・「理想を政治で実現するためには時間がかかる」澤井では急場をしのげない。

そこで小島(松嶋菜々子)である。澤井「救命のお母さんになってください。そして医師たちにちゃんと休暇をとるように叱ってください。特に進藤先生対策をしっかりお願いします」

小島「つまり・・・進藤先生の首に鈴をつけろってことですか・・・」

さて・・・研修医としてはキャスティング的にやや弱い工藤先生(石田卓也)・・・案の定、最終回はミスしたわけでもない患者の死に過剰な責任を感じて鬱を発症、自殺未遂である。

最後に目が覚めるだけの出番である。

代わりに登場するのが工藤の父(國村)なのだった。

工藤・父「私は人を殺さないですみそうな美容整形を選んだんですが・・・息子はあえて救命を選んだ・・・」

進藤「なぜでしょう?」

工藤・父「その答えは・・・あなたが一番ご存知なのでは・・・?」

(答え)次のみっつのうちどれでしょう?

1、ナース鴨居(北乃)が好きになった

2、ナース山城(木村多江)を好きになった

3、ナース坂口(西原亜希)が好きになった

・・・正解ないだろう。だって脚本がお茶の間に丸投げなんだも~ん。

進藤「オレが救命中毒だっていうのか・・・」

小島「奥様のお墓参りにいってください・・・」

進藤「お彼岸だからか・・・季節ネタじゃしょうがないな・・・」

しかし・・・大爆発事故発生。次々に到着する救急車。三台の救急車のどれかに進藤先生がのりこんでいるか・・・進藤先生が治療した患者が乗っていると読んだ人。ハズレです。

さらに「患者受け入れ要請」で小島が「ああ・・・どうしよう」と思ったときに足から登場するのが進藤先生ですから。

そして・・・新兵器ドクター・カーを自ら運転して現場に向かう進藤。そんなことをしているから撮影スケジュールが・・・おいっ。その件はもういいだろう。

そこにかけつける澤井。「私も救命医ですから・・・」である。

しかし・・・澤井の理想を受け入れる進藤。「現場はオレと小島がなんとかする。あんたは上から金をぶんどってきてくれ・・・」

たちまくる死亡フラグ。さらに二次被害を防ぐための救急マニュアルをベテラン医師二人で無視しまくり。

しかし・・・二人は奇跡の生還。進藤先生万歳です。

そして・・・俺たちの戦いはこれからだオチです。

まあ・・・そこそこ面白いからいいか・・・。

本当の流れを知りたいあなたはこちらへ→お気楽様の救命病棟24時

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『猿ロック』(日本テレビ)『井上真央と八木優希の天国で君に逢えたら』(TBSテレビ)

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2009年9月22日 (火)

あなたの願いは私には叶わない(相武紗季)自分の幸せを願うのはわがままじゃないのよ(北川景子)最後のブザー・ビート(山下智久)

愛って残酷よね・・・だけど愛さずにはいられない。

見事につらぬかれた主題である。リアルな愛とはその一点に尽きるからな。

もちろん・・・そうなると菜月の病んだ愛の行き着く先を夢見る人とか、はかない願いの川崎さん応援団とかがきょぇぇぇぇぇと叫んだり組織的ブーイングをしたりすることになるのだが・・・・菜月は本人が「ちっ」と言ってるわけだし、川崎さん本人が最後のアピールを瞬殺されて「いい人」に進化したりするので納得してもらいたいものだ。このドラマの主人公が直輝であり、ヒロインが莉子である以上・・・それは宿命なのです。

ドラマを妄想レビューして思いつくまま書いていると様々な人が通り過ぎる。

今回なんて月~土まで帝国アイドルの途切れることなし状態である。

よどみない脚本、完璧なキャスティングで本年度最高傑作と思われる「ブザー・ビート」はさておき・・・残念なドラマてんこ盛りだった今年の夏。「●●の悪口書かないで~」というせつないコメントは多数寄せられるわけである。もちろんそういう場合、毒々しい悪意の腐臭が多くのコメントから発している。

たまに気がむけばコメントを公開をして罵倒の限りを尽くしたりもするのだが・・・多くは削除してしまう。

そういう時・・・愛を殺している気分になるのはさけられない。まさにそれがいかに不毛であろうとも愛には違いないからなぁ。

しかし・・・スターへの愛を貫いてファンから恋人になった実例をいくつか知るキッドはそういう愛をけして否定しないのだ。

ただし・・・ひとつの愛が叶うとき・・・周囲は愛の屍で満ちている場合があるということを忘れてはならない。

だから公開しないで削除するのも・・・公開して処刑するのも・・・どちらも愛と言えるのだ。

だって愛は気まぐれなんですもの。そして愛は一瞬である。それは試合中と試合終了の瞬間に煌く「ブザー・ビート」のようなものだと言える。この言葉に愛の物語を托そうと着想した瞬間にこのドラマは傑作になる運命だったのだ。もちろん・・・その後には血と汗の結晶として言葉を紡ぎだす作業を要するのである。だから一瞬の中に永遠があるのである。

そういうものを人は永遠の愛と呼ぶのだな。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・最終回』(フジテレビ090921PM9~)脚本・大森美香、演出・永山耕三を見た。お茶の間を唖然とさせた「別れ」の表明から一週間、オール・オア・ナッシングの莉子(北川)の暴走は止らないのである。「夢の道を歩んでくれ」と愛する直輝(山P)から告げられた莉子は・・・まるでそれを訣別宣言と受け止めたように「直輝断ち」に励むのだった。「直輝の声」を聞いたら決心がにぶるので携帯電話を解約してしまう勢いである。けして何かの証拠が残っているから処分したわけではないのだな。「直輝の寝顔写真」とかはパソコンに送信したとは思います。

まるで「莉子と直輝の愛」が終ったかのような莉子の振る舞いに麻衣(貫地谷しほり)は「本当にそれでいいの・・・」と問いかけます。

それに対して莉子は「私は夢の実現というものを甘く考えていたの・・・でもその入り口に立ったとき・・・その甘さが見えた気がした・・・だから夢の扉を開くためにそこから目をそらさない決心をしたの・・・私は強くならないといけない気がする・・・彼が背中を押してくれたから」

麻衣は莉子が遠くなっていくことに寂しさを感じ・・・その温もりを心に焼き付けようと抱きしめるのだった。

莉子の前世は麻衣のテディ・ベアだったのかもしれない。ふりかえればもっとも早くハッピー・エンド・コースに乗った麻衣は莉子と暮らし始めたことで・・・秦野(溝端淳平)の愛を掴んだのである。もちろん、麻衣と莉子の恋愛履歴が莉子の恋愛中心に語られるのは未だに「直輝と莉子の愛」を知らない秦野へのサービスである。麻衣が隠し事をしているのは言うまでもなく、阿吽の呼吸で莉子も応じているのである。

麻衣は莉子がラブのハートで一杯のハッピー・エンドを迎えることを願っている。それは「秦野と麻衣の愛」がハッピー・エンドであることに抵触しないからである。

すべては怒涛のハッピーエンドのために・・・なのである。

さて・・・直輝が莉子に渡し損ねた最初のひまわりのエピソードをものすごい荒技で回収である。

莉子と麻衣がアルバイトしている書店の店長は直輝の姉(ちすん)の夫・祐介(川端竜太)だったのだ。なんてせまい世間なんだ。代々木の次の駅が軽井沢くらいの距離感である。

そして・・・母親の誕生日プレゼントを買いに来ていた直輝が莉子にひまわりを渡し損ねていたことを姉は莉子に伝えるのである。

ああ・・・運命だ・・・(この時点では浮気です)・・・莉子は愛の雷に打たれ・・・直輝と連絡をとりたくてとりたくてたまらなくなるのだが・・・こらえるのだった。

もちろん、神の目を持つお茶の間にはお見通しのことだが・・・恐ろしい子である直輝は莉子のこの頑なな決心を知らない。秦野経由で莉子の「近くて遠い軽井沢への出発」が明日と知り・・・軽い気持ちで電話をかけるのだが・・・もはや連絡先はこの世のものではないのである。・・・ちなみにこのドラマにおける軽井沢とはクラシック音楽の聖地であり・・・いわゆるひとつの天上世界です。天使の羽根をもっていないとたどりつけない異次元空間なのです。つまり莉子はあの世に旅立つのです。

直輝ははじめて・・・自分の言葉の重さを知り・・・うろたえる。

崖から転落してよこたわる自分の姿が見えたのである。しかし、その指は実際には崖っぷちを捕らえていた。半端な願望には灰色の道しるべしか与えられないのだ。松葉杖をつき、愛が人を強くする公園にたどりついた直輝は・・・莉子の姿を求める。しかし、与えられたのは麻衣のシルエットだけだった。

莉子は白い光の向こうに行ってしまった。直輝はようやく莉子の決心に寄り添う覚悟をする。常識の通用しない相手には非常識で答えるしかないのである。

暴走する莉子に・・・直輝は暴走族と化すのだった。スプレーで公共物にメッセージ書き込みである。

自分にも夢があるという決意を込めて直輝はキャンパスを黒く塗り潰す。

夢に向かってガンバレ! 1番のファンより

花泥棒は罪にならないのは盗人猛々しいのであるが・・・もはや二人の愛の暴走を誰にも止められないのである。眉をひそめたければひそめるがいい。愛も夢もあきらめないのはある意味非常識だってことを思い知らせてやる宣言なのだ。

なにしろ・・・愛し合っているのに二人はお互いに背を向けて夢に向かって走り出しますからーっ。

ここからは・・・二人が距離を置くことになって感じる愛への幽かな怯えと・・・二人の愛に奉げられる犠牲者への美しい残虐の二重構造になっています。

まずは・・・公園の管理人である。「伝言板じゃないのに・・・」と思いつつ彼は松葉杖をつきながら深夜にスプレーでメッセージを書く直輝の後姿に胸を打たれ・・・このメッセージを保存することを決意するのである。メッセージは彼によって時々、修復されているので最後まで鮮明さを保つのだった。

翌日、直輝のメッセージを発見した莉子はかって公園に不法投棄をした男たちを追跡した女とは別人となって看板落書きを公認である。それどころか、携帯を封印してもデジカメがあるじゃないかのフレシキブルさで記念撮影敢行である。

だって愛だからな。愛なんて他人にとっては迷惑そのものだもの。

さて、軽井沢に到着した莉子は直輝への愛を胸に秘め・・・音楽に猪突猛進で耽溺する。

突然、ドラマ「夜逃げ屋本舗」じゃなかった「み屋本舗」で対女性工作員・・・いわゆるひとつの女殺しです・・・初代シュウを演じた竹財輝之助が登場。莉子が属することになる東都ユースオーケストラの先輩チェリスト役である。

彼は莉子と仲良く写真を撮ったり・・・莉子手作りのフレンチトーストを分けてもらったり・・・莉子の周囲にそれとなくつきまとい・・・莉子をロック・オンしているのは明瞭なのだが、莉子はまったくその気はないのである。彼がそのことに気がついた時、チェッて言うのは確実だし、場合によっては莉子に対するストーカーになるものと予想される。

愛とは残酷なものじゃないか。

しかし・・・ひょっとしたら莉子がよろめいて・・・直輝がまた傷つくことになるのじゃないかと・・・息を飲むお茶の間を他所に・・・莉子は直輝一筋を貫き通すのです。

さて「愛は運命」の信奉者である莉子はたまたま上京した時に一瞬、耳に届いた直輝の声を聞き逃さないのであるが・・・かって莉子と麻衣を乗せたバスを直輝が見送ったように・・・直輝と秦野を乗せたバスを見送るハメになると・・・「自分の直輝の愛」はもう交わらないのではないかと不安に襲われる。

そこへ偶然通りかかる川崎(伊藤英明)・・・。直輝と莉子の愛の前にそれはもはや運命ではないのです。

そこで「莉子を最後まであきらめない」と未練な心を明かす川崎を「それはない」と瞬殺する莉子。

愛は残酷だからです。しかし・・・川崎は変えられないものを受け入れる力を持っている大人なのだねぇ。「前を向いていればまた会える・・・未来はどこまでも続いているんだ・・・直輝は君を想いつづけている・・・」と敵に塩を送るのだった。

話は前後するが・・・川崎の愛に関する出番は終了なので・・・川崎だけはてんでハッピーになれないじゃないか・・・というお茶の間に一言。シーズンに一人しかいない優勝監督になれるのであればこれ以上のハッピーはないのです。

怒涛のハッピーエンドに死角なしなのでございます。

一方、莉子に負けないようにと黙々とリハビリに励む直輝。そんな直輝に恋人のように付き添う菜月。周囲はヨリが戻ったなどと噂し・・・まだまだ未熟な秦野は麻衣にご注進におよぶ。もちろん、莉子応援団にとってはハラハラさせられ、菜月応援団には最後の希望を感じさせる件。しかし・・・懸命な読者にはお分かりのように菜月は愛の残酷さを物語るための貴い犠牲なのでございます。

菜月は賞味期限の過ぎた後の恋の味を確かめつつ、そろそろ成果があらわれなきゃ投げ出したい気持ちになってきます。

菜月の最大の弱点はこの根気のなさ。おそらく・・・莉子との最大の違いはここにあるのでしょう。莉子はなにしろ楽器の習得者。根気の長さには定評があるのです。

菜月が献身的な偽りの愛の眼差しをリハビリに励む直輝に注ぎ、「無理しないでね」と直輝を思いやる瞬間。直輝の心にあるのは「莉子と過ごした愛の日々の反芻」なのです。

やはり・・・直輝は恐ろしい子です。

菜月はそろそろ恋人気取りで直輝を取り戻した幻想にひたるのですが・・・直輝は菜月とそぞろ歩き中・・・ふとヴァイオリンの音を耳に止めると・・・世界のすべてを忘れて莉子への愛で心を満たすのです。

そんな愛の天使と化した直輝に菜月が最後のアタック。

菜月「私・・・直輝とやりなおしたい。一年前のあの日に戻りたいの・・・今なら直輝の夢を信じることができるから」

直輝「菜月はきっと幸せになれるよ・・・でもそれはオレには無理なんだ・・・菜月にはすごく感謝してるけど・・・」

菜月「ちっ!・・・ああ・・・もうたくさん・・・そんななぐさめの言葉は時間のムダなのよ。そんなこと言ってるからだまされたり、浮気されたりしちゃうの・・・でもね・・・そんな直輝を・・・あの女・・・莉子さんは信じてたわ・・・私・・・彼女に言われたの・・・直輝の夢をバカにするのは許さないって・・・あ~、やだやだ・・・骨折り損のくたびれ儲けとはこのことね」

直輝は莉子と菜月の間にただならぬ暗闘があったことをようやく悟るのだが・・・そのことについて語ることはしないのだった。

菜月はこみあげてくるものを必死にこらえながら女の意地を見せるのだった。「もう行って・・・私の愛だってもうとっくに死んでたんだ。あんたの夢をかなえなさいよ。誰かのためじゃなくて・・・あんた自身の大切なプライドのためにね・・・」

直輝は自分が為す愛の残酷さに耐えながらその場を去るのだった。

どこか遠くへ逃げたら楽になるのかな・・・そんなわけないよね・・・どこにいったって失恋は失恋なんだから・・・と泣き崩れる菜月。

しかし、怒涛のハッピーエンドはそんな菜月を放置はしないのである。

愛の放置プレーは「直輝と莉子」のものだから。

すべてを立ち聞きして影のように菜月に寄り添い続けてきた宇都宮(永井大)登場である。

宇都宮「昔好きだった人が結婚してから三年間、ずっと菜月が好きだった・・・でも直輝に先を越されちゃって・・・それでも菜月を忘れられなくて・・・」

菜月「いつか・・誰かとまた恋におちるとしても・・・明日の今頃は私は直輝を思い出してきっと泣いてるわ・・・」

宇都宮「でも・・・ケーキを一緒に食べるくらいはできるだろう・・・」

菜月「一人じゃ・・・孤独を感じられないものね」

宇都宮「オレはタイムリミットに怯えないタイプなのさ」

シーズンが始まり快進撃を続けるJC ARCS。その優勝の瞬間に宇都宮が菜月を担ぎ上げ・・・菜月が宇都宮にすべてを委ねて笑顔を浮かべても菜月の心の闇が消えていないと信じたい人は信じ続けても構いません。

さて・・・別れがたい恋人たちとのつきあいも終局に差し掛かっています。

ついに復活した直輝は大活躍でチームをプレーオフ進出に導きます。恋敵でありヘッドコーチでもある川崎に背を押された直輝は軽井沢へ第4のひまわりを届ける。

コンサートを控え練習もおいこみにはいった莉子とはすれ違うが・・・莉子が夢に向かって突き進んでいることを確信する直輝。

莉子は残されたひまわりを見て・・・直輝が迎えに来たことを知る。

コンサートと優勝決定戦の日はずれているが・・・レッスンが重なるという微妙なスケジュール。

莉子の心は夢と愛のメトロノーム状態に・・・そしてついに試合当日のレッスンの最中に心が止ってしまう。放置プレー終了です。

ここで・・・職場放棄だとか・・・責任感がないとか・・・大人としての節度とかを言い出すのは野暮なのである。

コミック「いつもポケットにショパン/くらもちふさこ」(1980)でピアニスト志望のヒロインのピアニストの母親はヒロインに「料理」だとか「裁縫」だとか「掃除」だとかピアノ以外の日常の大切さを教える。技術だけでは音楽に深みが出ないことを知っているからだ。

「私・・・行かなくちゃいけないんです。大事な人の大事なときだから。今・・・応援しないとダメなんです」

と言い出した莉子の心を愛を知る指揮者のヴォルフガングは読みきるのだった。

「そりゃ・・・行かないといけないね。愛してるならそれがすべてなのだから。音楽のために愛があるのではなくて・・・愛のために音楽はあるのです。お行きなさい。すぐに行きなさい。走って行きなさい」

ありがとう・・・と莉子に言われるとなんだかせつない芸術家一同だった。

軽井沢-東京を愛のハイウェイは制限速度亜光速で無料開放なのである。意味不明だぞ。

白熱する優勝決定戦はブザービートをお膳立てる直輝のフリースロー。

静まりかえる会場に莉子ただ今参上。

ちょっと!・・・そこの8番!・・・ちゃんときたから~・・・ちゃんとファン一号が応援に来たから!・・・ちゃんと勝ちなさいよ!・・・ばーかっ!

会場全体が恐怖で莉子から目をそらした瞬間、直輝は愛で強化された自分を莉子に披露する。

そして・・・ブラザー代々木(金子ノブアキ)から慰謝料こみのパスを受け取った直輝は栄光に輝くフザービートを決めるのだった。

優勝決定!

勝者の歓喜と敗者の失望にわく会場。

その全部を振り捨てて・・・二人の世界に跳躍する直輝と莉子。

おそらく・・・スポーツチャンネルやスポーツニュースそして場合によっては東スポ紙面を飾る公開キスである。

直輝「バーカはひどいと思うけど君に会うと全部フッ飛んじゃうよ・・・もう・・・はなさない」

その時、母(真矢みき)「あれが・・・直輝の心からいやされる娘・・・ふっ・・・おそろしい子」

川崎「くそ~、見せ付けやがって・・・優勝インタビューのために考えてたコメント忘れちゃったぞ~」

麻衣「もう、秀治くんたら・・・先輩を見習いなさいよ!」

秀治「す、すみません」

代々木「えーと・・・・・・・・・しおんはっと」

しおん(小松彩夏)「愛の天罰、落させていただきます・・・キライなものはしいたけです」

宇都宮「今夜こそっ・・・オレも」

菜月「・・・もう宇都宮さんでいいや」

妹(大政絢)「寄せる・・・愛のさざなみ・・・」

愛はまさに周囲にとって迷惑なものである。しかし迷惑はいつだってお互い様なのだ。

さて、今回の「A DAY IN THE LIFE/THE BEATLES」のインストゥメンタル挿入は莉子と麻衣の「恋愛史年表」のお披露目の場面である。ついに最後まで挿入され続けたのでこれは「ひとつのこだわり」と言えるだろう。物語そのものは誰にでも分る面白さを求められるのだが・・・こうしたある意味隠れた要素はそれだけでは物足りないお茶の間へのサービスと言える。クラシック音楽とバスケットボールという二つの領域にまたがるこのドラマゆえにこのスタンダード曲の印象的な挿入というのは目印としても機能している。

愛は残酷。しかし愛は必然。このテーマにそって・・・勝者であるヒロインが敗者に残酷を与えるにあたって・・・莉子の愛の歴史を示すことは重要だからである。莉子はかって愛の残酷な仕打ちに耐えた。二回も愛の両てんびんにのせられ・・・結果として敗者になった過去を持つことの再確認である。

莉子はその痛みに耐えて蘇る過去を蹴っ飛ばし人生を変えてしまう別の一日にたどりついた。

直輝と出会いやさしさがつらかったりあいまいな態度に不安にさせられたりしながらも癒せない傷なんてないことを示してみせる。

そしてひとつの愛の理想にたどりついたのです。

愛は時には残酷だがそれは避けては通れない喜悦を含んでいる。

それを知っている人も知らない人も直輝と莉子の未来を祝福できるといいのになぁ。

関連するキッドのブログ『第10回のレビュー

Hcinhawaii0590 ごっこガーデン。愛はあなたを強くする公園清掃週間セット。エリはうぅ~ん。シュテキなシュテキな夏が去っていきましたyon!世界中の恋人たちに幸せがありますように。祈りをこめて愛の夢を奏でまスー。Pちゃまトリオはひと夏で全員ヴァイオリンが弾けるようになっちゃいましたーっ。ごっこの成果なのでスー。最終回の見所はいきなりリハビリでアンヨが痛くてウゥッとなる直P先輩の渾身のあえぎ演技でスー。もうたまりましぇーん。じいや、エリにもラブ運のいい部屋をキープしてぇ。エリも心から安らげる乙女ににるのでスー。半年も会わずに耐えるなんて放置プレーの極みなのでスー。でも火山爆発のような愛の噴火があるのかしら。山P先輩の次のドラマが待ち遠しいのよーっ。ラブカツ丼を食べて待つのでスーお気楽本屋の店長=直輝の義理のアニキ・・・存在感薄すぎてまったく気がつかなかったのね。まあ、あの後、どうなったのかは別のお話なのね。ダブルでシンデレラ・ストーリー・・・。莉子は指揮者のOKもらってるんだからコンサートはやるんだよね。それで毎年・・・優勝決定戦だけ見にくるの?・・・七夕?カラカラシュー」まこ逮捕しちゃうぞってラブカツ丼はどこですか~?・・・まこ麗子は恋泥棒しゃんを捕まえちゃうのデス。そして恋のテクニックを習っちゃうぞ。秘訣は狙った獲物はあきらめないでしゅか~?打ち上げのカラオケは1曲歌ったらKiss & Cryで得点待ちシステム導入シマス~ikasama4まさに予想通りのラスト。そして全員が最高に絵になっています。しかしなんといっても( ̄⊿ ̄)チッこれにつきますね。まあ・・・続々と量産されるカップル・・・ハッピーエンドに万歳でございますくううう~ん。莉子タイプの女の子に馴染めない私・・・だってさ、だってさ・・・自由すぎる・・・それに菜月のように痛い女の子につい感情移入しちゃう私・・・まあ・・・ヒロインは菜月じゃなくて莉子だから・・・しょうがないの?・・・うう~ん。納得いかないよ~カラカラシューみのむしドロドロも好きだけど超ハッピーエンドも好き。かゆいところに手の届く最終回でした。川崎さんはもうただのいい人になっていたしーっ。最後に莉子が天界から下るところは・・・いわば神々の世界の阿吽の呼吸で・・・庶民には理解しがたいのかも~。そんな大事な仕事の最中にキャンセルはないよね~。せめてお腹が痛くなっちゃったとかズルすればいいのに~え?それは違う?」あんぱんちいろいろあった今年の夏も終わりですね・・・ってちょっと中川モードになってみたわーっ(爆)・・・夏の終わりもいろいろといそがしくて遅刻なのよ~許してね~

Hcinhawaii0591 ごっこガーデン。優勝決定戦三千人動員会場セット。mariはうぅん・・・恋愛はファンタジーじゃないってママは言うけれど・・・心が安らげる女の子をさがしてキラキラしたものを見つけろって・・・ナイス・アドバイスもするのですね。男の子にアドバイスしているより女の子にアドバイスしてるみたいなんですけど・・・。先週がひとつの最終回だとすると今週はもうひとつの結末みたいなものかもしれませんねうぇぇぇぇん、ハッピーエンドでよっかったぁぁぁぁ。更新アリマセンシャブリおっとーっ。派遣のオスカル見てたら遅刻しました~。おそろしい子たちブラボー!akiシルバーウィークも仕事中・・・じいや~、こっちにもラブカツ丼ちょうだいーっミマムフリースローが入って2点差・・・ブザービートで3点ゴール!・・・まるでドラマみたいな試合経過っ・・・ドラマだわ。リアルな恋の描写・・・ほどよいすれ違い・・・久しぶりにザ・月9だったしょ~。最後のキスはやはり・・・菜月に対する教育的指導かしら・・・それとも愛の贈り物・・・きっと直輝と莉子は天使なのね。菜月が次のステップをあがるための・・・。後は秀治と麻衣のカップルとダブルで結婚式かしらね~・・・ホワイト・アウトでグッバイ・サマーなのね~ちーず最終回も間に合わず。10話でヨロシク。ふふふ・・・あらすじ的には超展開の軽井沢だったけど最後は実はファンタジーなのかもってじいやは思うのね?」アンナおなじみのスマスマ〆ですびょん。こち亀にはダーリン登場ですぴょん。絶対絶対絶対みのがせませんぴょ~ん

水曜日に見る予定のテレビ『働くゴン!』(日本テレビ)

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2009年9月21日 (月)

関ヶ原の激戦(小栗旬)長谷堂城攻略戦(妻夫木聡)天地人血に染めて(長澤まさみ)

突然、関ヶ原の戦いである。まあ・・・もう・・・この程度でも戦日照りの果てだけにそこそこ楽しかったかな。

番組的に関ヶ原の戦いの主な参戦武将は以下の通り。

東軍

徳川家康(松方弘樹) 

井伊直政(長森正人)

福島正則(石原良純)

黒田長政(有吉崇匡)

藤堂高虎(一岡裕人)

遠山康光(螢雪次朗)

西軍

石田三成(小栗旬)

島左近(若林豪)

宇喜田秀家(須賀貴匡)

長束正家(菊地真之)

大谷吉継(津田寛治)

小西行長(山田洋)

長宗我部盛親(川野誠一)

小早川秀秋(上地雄輔)

毛利秀元(水間貴弘)

・・・まあ・・・細川忠興吉川広家本多忠勝島津義弘池田輝政安国寺恵瓊もいないのに遠山康光はいるのだな。

康光の一族相模遠山氏は徳川家の旗本となる。相模遠山家は同じく旗本となり、後に遠山の金さんを生む美濃明智遠山氏の分家である。まあ・・・ここで登場する康光ははぐれ風魔であろう。康光は上杉景虎の死に殉じていると伝がある。ちなみに東軍には景勝の義理の弟・上杉(畠山)義春も参戦しています。

まあ・・・最初にこの関ヶ原と出逢ってしまった小中学生は徳川家康がさぞや「悪」に見えたことだろう。・・・やれやれ。

で、『天地人・第38回』(NHK総合090920PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はあらすじ五行で突っ込み祭りを開催でございます。まあ・・・全編ツッコミどころ満載でもうどこから突っ込んでいいのかわからない仕上がりですからねぇ。まず秀忠VS真田父子の対決のナレーションが炎上です。もちろん遠山康光も火あぶりです。そして奥州側では伝令が爆死。そして江守徹版石田三成書き下ろし特別イラストが喝を入れます。しかし島左近にはうっとり・・・小早川秀秋の「関白と聞いただけで蒼白」もお受けになられた模様。まあ・・・とにかく・・・関ヶ原の本当の主役・・・吉川広家の秘密もお楽しみください。

Tenchijin160002 で、慶長五年(1600年)秋・・・関ヶ原の戦いである。八月に福島正則の尾張・清洲城に入った東軍先鋒部隊は・・・西軍に属した美濃・岐阜城の織田秀信(三法師)を攻める。信長の孫を相手に旧・信長家臣団は容赦なく攻めるが・・・秀信か降伏すると命は助けるのだった。一方、西軍は琵琶湖南端の大津城に篭る京極高次、丹後・田辺城の細川幽斎、伊勢・安濃津城の富田信高などの孤立した東軍諸将を攻撃する。その頃、徳川軍は家康隊3万と秀忠隊4万に分れ、それぞれ東海道と信濃路から美濃を目指していた。美濃・大垣城に入った石田三成は各所に分散した西軍部隊の集結を待ちながら、東軍が攻略した岐阜城の出方を探る。

岐阜城占領の知らせを受けた家康は九月初旬に江戸を立ち、九月中旬に清洲城に着陣した。ここから家康の行動は加速していく。

家康は濃密な諜報網を作り上げていた。松平党は本来、山伏の集団である。これに服部半蔵を中心とした伊賀・甲賀衆。さらに本多(忠勝)党、本多(正信)衆という戦忍びと謀忍びの集団があり、また黒田長政指揮下の飛騨忍軍、藤堂高虎指揮下の柳生忍軍を加え美濃・近江で謀略の限りを尽くす。

一方、挙兵したばかりの石田三成は配下の犬上衆だけが頼りである。西軍の主力は中国勢、九州勢、四国勢でいわば侵略軍であり、地の利については詳しくなかった。安濃津城を攻略した毛利勢が北上し、大垣城周辺の軍勢が10万にふくれあがった西軍だったが指揮系統は乱れている。

石田三成、大谷吉継、島津義弘、小早川秀秋、長宗我部盛親、豊臣(宇喜田)秀家、毛利秀元、小西行長らが大垣城で戦評定に望んだのは9月13日であった。

徳川征伐の発起人は三成だったがその手勢は家老・島左近や蒲生郷舎などを含めてようやく五千人であった。最大の兵力は毛利秀元と吉川広家の中国勢二万人である。これに次ぐのが豊臣秀家の一万五千人強、そして小早川秀秋の一万五千人弱である。さらに長宗我部が五千人強、小西が五千人弱と続く。大谷勢も加勢を合わせて五千人弱であった。

身分としても、豊臣秀家や小早川秀秋の方が石田三成を上回る。西軍指揮官はいわば不在だった。かたや、三万人の旗本衆を引き連れた内大臣・家康を指揮官とする東軍である。東西の統率力には雲泥の差があった。

西軍にあって兵力は千人をわずかに越える小勢だったが・・・抜群の戦歴を持つのは惟新入道こと島津義弘である。齢65、初陣以来半世紀に渡り戦を勝ち残った猛者である。朝鮮の役では10万の敵を1万の兵で全滅させた武勇伝を持っている。

「ただちに夜討ちをかけるのでごわす」島津が提案するが・・・反応は鈍い。石田三成の側に控える島左近はわが意を得たりと感じたが発言を控える。

岐阜城の兵力はおよそ五万・・・およそ二倍の兵力を持つ西軍の夜討ちは成功すれば奇襲として恐ろしい威力を発揮するだろう。

しかし、逆に言えば正攻法でも充分に勝機はあるのである。すでに家康と内通している小早川が反対すると三成も同調する。三成は山城や大坂からのさらなる兵力増強を待っていた。三成は勇んで決起したがいざ戦となると不安を感じる性質だった。

島津は無言で立つと軍議の席から退場した。

長宗我部がその後姿を追う。彼は家康との内通の道を探っていた。

島津が大垣城に作られた控えの間に戻るとくのいち普賢が待っていた。島津は兵力は僅少だがくぐり衆の忍びを多数周辺に放っている。

「申せ」と島津は促す。普賢は答えた。「内府(家康)様は清洲を出てはや岐阜にお入りになったとのこと」

島津が顔色を幽かに変える。「さすがでごわすな・・・」島津は呟きつつ家康の動きを読む。将としての直感を駆使して敵将の行動を予測するのは勝敗を決定付ける能力だった。島津は冥想にふける。

島津は家康が岐阜城を出た家康が大垣を迂回して中山道を西へ向かい、赤坂、垂井を抜け関ヶ原へ向かう姿が浮かぶ。

「捨てがまりを食らわしてやりもうそう・・・」

島津は目を開いて普賢を見た。

闇の中を普賢に率いられた島津衆が行く。島津が読んだ待ち伏せ地点に到着すると・・・普賢はあらかじめ与えておいた暗示の真言を伝える。島津衆はたちまち仮死状態となり・・・土に埋もれた伏兵と化す。

家康は先鋒部隊に続き、前後を旗本衆に守られ14日の夕刻から移動を開始する。

三成の居城・佐和山城を襲うと見せかけた陽動作戦である。家康は十中八九、三成が釣りだされると読んでいる。家康の周囲は隠密どもが結界を張りながら移動しているが、その輪の中へ島津衆は息をひそめたまま入り込む。

家康はふと殺気を感じた。

それは普賢が暗示を解くために鳴らした鳥笛の音に秘められた幽かな気の乱れによるものだった。

家康を射程に捕らえたくぐり衆の鉄砲忍びが狭い間道の両側に百人ずつ・・・あわせて二百人。突然、姿を見せる。家康周囲の旗本衆は一瞬の狼狽を見せる。その時、轟音とともに家康を無数の鉛玉が襲う。

遠巻きに様子を眺めた普賢は思わず「しとめたり」ともらす。

しかし・・・一瞬の静寂の後、家康は馬上で体を揺らしていた。家康の弾丸ギバチの術はすべての玉をよけていた。兜、陣羽織には無数の穴があき、乗馬もすでに息絶えていたが家康は無傷だった。

くぐり衆は抜刀すると「じぇぇぇぇぇぇぇぇ」と雄叫びをあげて家康に殺到する。しかし、その時には無数の隠密が行く手をさえぎっていた。

普賢は思わず舌打ちをした。

服部半蔵影三郎の指揮する最強護衛部隊はくぐり衆の必殺の一撃を受けつつ、相打ち覚悟で忍び居合いを放つ。血風が舞い上がり・・・忍びたちは次々と息絶える。その時、家康は馬を変えると何事もなかったように歩を進めていた。

普賢は追いすがる隠密たちと戦いながら決死の脱出を試みる。

家康出陣の知らせを受け、大垣城からは留守居2万の兵力を残して西軍およそ8万が家康の進路を阻むために関ヶ原に進む。

先鋒軍五万を要所に配置しながら三万の旗本衆に囲まれ家康は関ヶ原の西、桃配山に陣を置く。中山道沿いに長蛇の陣が伸びていく。

一方軍師・島左近は家康の陽動を逆手にとって包囲殲滅のために東の南宮山に毛利勢、南の松尾山に小早川勢を置き、本陣を西の笹尾山に設けて東軍の進路を遮断する。島左近の作戦では夜が開け、朝霧が晴れる頃・・・家康は籠の鳥になっているはずだった。

東軍は先鋒に福島正則、殿に池田輝政を配して長蛇の列を鋒矢の陣に整える。変容した先端は左翼の福島正則から田中吉政、筒井定次、加藤嘉明、細川忠興、そして右翼の黒田長政までおよそ二万五千が小勢島津豊久を中央に置き、北に島左近、蒲生郷舎、南に小西行長、豊臣秀家という不揃いの雁行の如き二万五千に相対する。さらに中央から松平忠吉と井伊直政の五千人が鉄砲隊を押し出していく。

石田三成は笹尾山の本陣から猛将豊臣秀家が東軍を正面から圧倒しつつある様子を見て思わず愁眉を開いた。家康の背後には毛利勢が・・・横手には小早川勢が包囲を完成させていた。「勝てる」という思いが三成に笑みを浮かべさせる。

それが三成の生涯最後の笑顔だった。

伊吹山中の初音は小早川勢が山を降り大谷勢に攻め込んだことを見て取ると筧重蔵を呼寄せた。

「上田の城へ・・・父上に伝えよ・・・西軍大敗北じゃ・・・」

毛利勢など二万五千が動かず、小早川一万五千が叛旗を翻し敵対した戦場は東軍12万対西軍4万の戦いになっていた。おしつつむように前進する東軍に西軍は退き・・・たちまち壊滅に至る。

関連するキッドのブログ『第37話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『救命病棟24時』(フジテレビ)

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2009年9月20日 (日)

僕と彼女とバイクの走る道(内村光良)こち亀・本田編(香取慎吾)二重スパイがいっぱい(深田恭子)

実は「オトメン(乙男)~夏~・其の七・ガラスの乙面」は爆笑の連続だった。しかし、前座に映画「カンフー・ハッスル」があると正常な判断力は失われがちなのである。

「カンフー・ハッスル」略してカンフルは麻薬のようなもので・・・その異質性、悪魔のようなロマンチック、有無を言わさぬ破壊力は鑑賞力をほとんどマヒさせるのだ。なんでも面白くなっちゃう可能性がある。

くわえて「ERⅫ」は怒涛のシーズン最終回である。主要な登場人物がほとんど瀕死のままつづくって反則そのものの攻撃を耐えるのである。

だから・・・どんなに少女マンガの世界で押し続け、岡田将生と夏帆がシュールな領域のくりかえしのボケを展開し、女装した鶴見辰吾が実の息子の前で「自分に正直であれ」などと物騒なアドバイスをしたりしてヒーヒー笑ってしまったとしても・・・「カンフル」と「ER・シーズン最終回」の隙間に生じた亜空間の出来事だったのかもしれないのだ。

まあ・・・ほとんど意味不明の前置きだが・・・こればかりはわかる人でないとわからないと思うのだった。

さて・・・そこそこ面白かった「こち亀」とある意味すでに死に体の「カレー・スパゲティー」のレビューをいい加減な感じで始めよう。

で、『こちら葛飾区有公園前派出所・第7回』(TBSテレビ090919PM0756~)原作・秋本治、脚本・マギー、演出・坪井敏雄を見た。相変わらずドラマとしてのオリジナリティーに微妙な違和感が漂い続けるのだが・・・それを邪推するとこうなる。

「こち亀」のファンは百万人くらいいるので何をやっても大丈夫だ。だから結構独自色を出してみたい。何しろ、みんなに愛されているキャラだから・・・少しくらい遊んでも大丈夫だろう・・・あれ?

百万人に愛されるものはかなり普遍性を持っている。しかし、百万人は視聴率にすると1%にしかならない。実は百万人には一般的な百万人と特殊な百万人がいて・・・「こち亀」のファンはかなり特殊な百万人なのである。

この場合正解は特殊性を薄めるアレンジなのだが・・・本作はさらに特殊な方向にアレンジして袋小路に入っているのだ。

しかし・・・今回は二重人格ネタで・・・実にシンプルなキャラである本田速人の登場である。白バイに乗ると豪胆無双、下車するとオトメンというものすごくわかりやすい二重人格である本田のラブコメは鉄板である。それをウッチャンが演じるのである。

もはや脚本家のしゃらくさいアレンジを受け付けない強固さがあるのだな。

だから・・・今回はかなり面白く仕上がっています。

まず、主要メンバーのポジションが明確。

①両津(香取)・・・本田の昔馴染み・・・本田の性格をすべて知っていておちょくる。

②麗子(香里奈)・・・本田と初対面。二重人格のスイッチであるエンジン音やバイクのハンドルといった小道具をふるために配置。

③中川(速水もこみち)・・・本田と初対面。本田の恋を持ち前の経済力でバックアップするという本来のポジションに徹する。

④大原部長(伊武雅刀)・・・孫へのプレゼントである三輪車を壊されるだけという外野の定位置をキープ。

ああ・・・スッキリしてるぞ。

そして本田が恋に落ちる相手は幼稚園の美佐先生(本上まなみ)である。隙がない布陣。

さらにストーリーは起承転結なのである。

①本田が登場・・・引ったくり犯人(尾上寛之)相手に傍若無人ぶりを披露。通りすがりの美佐に「乱暴なおまわりさんはキライ」とイメージされるがそれが本田とは思われない。

②両津が失恋王・本田のために面白全部で美佐とのデートを設定する。中川と麗子がこれをアシスト。

③限度外で予想外の恋のライバルである幼稚園の園長(温水洋一)がオトメンである本田を貶めようとするが・・・両津のエンジン音を使った一瞬凶暴本田によってピンチをのりきる。美佐は本田の秘められた男らしさに好意を持ち・・・本田は正体を隠したまま交際を開始する。仮のカップル成立。

④突発事件が発生。バスジャック犯(前田健・・・十二月田出番がないと思ってたらこんなところでアルバイトを・・・)によって美佐と園児が人質に。両津は壊れたハンドルで本田の変身をうながす・・・本田は美佐に嫌われることを覚悟でハンドルを握り凶暴に。お約束のカンフー・コントがあって一件落着である。そして美佐は「私・・・勘違いしていました・・・あの白バイのおまわりさんは乱暴をしているのではなくて・・・誰かを守るために戦っていたのですね・・・」・・・合体・・・じゃなくて真のカップル成立である。さらに美佐もバイクに乗ると暴走族になって「本田と本田の彼女をなめんなよ」オチである。

つまり・・・感動させてもいいが・・・このくらいにしとけよっ・・・てことなのだ。来週は木村拓哉登場です。MR.BRAIN?

構成としては5話→6話→7話→4話でスタートしておくべきだったよ~。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『華麗なるスパイ・第9回』(日本テレビ090919PM9~)脚本・君塚良一、演出・石尾純を見た。ちょっと整理してみよう。

①総理大臣吉澤(渡哲也)は総理大臣の権限で秘密諜報部を極秘に創設した。テロの脅威から日本を守るためである。

②秘密諜報部のエースとして服役中の詐欺師・京介(長瀬智也)を起用する。

③日本を狙うテロリストは全員ミスター匠(柄本明)に統括されている。匠は吉澤の幼馴染であり吉澤の最初の妻・さくらをめぐって三角関係になる。京介はどちらかの子供であるらしい。

④匠の科学力は「超」である。

⑤ドロシー(深田恭子)には性転換疑惑がある。

⑥三九(杏)は京介に惚れているらしい。

⑦匠の手下は無尽蔵にいる。

⑧結局、匠は吉澤のストーカーなので吉澤が殺されるか辞職すれば日本は平和だ。

・・・ああ・・・そうか・・・この話が盛り上がらないのはここだな。

もう・・・国家とか国民とか世界情勢とか・・・関係なく・・・ただの痴話ゲンカの常軌を逸した話なのである。

それがスパイごっこに置換されているのだ。

そうね・・・国際的テロ組織が個人的な怨恨で動いていくというのはお笑いスパイものの王道だものなぁ・・・。

それを匠VS吉澤にしただけなのだ・・・そして京介は痴話ゲンカ孤児であると。

ああーっ・・・すっきりしない話。元はドロドロなのにやっていることはドタバタ・・・そして家族愛とか友情とかの無理矢理な人情話にこじつける・・・。

「踊る大捜査線」てさ・・・いろいろあったけど・・・刑事の生き様は淡々と描いていたよね。責任とらない上司とか・・・婚カツする女刑事とか・・・容疑者との禁断のふれあいとか・・・接待ゴルフとか・・・つまり・・・警官だってサラリーマンだ・・・だから悩むという含みがあった。

そうね・・・だから・・・きっと今なら秘密諜報部員だってハケン社員だ・・・という含みくらいでやればよかったのかも。愛人とか・・・詐欺師とか・・・ハッカーとかが失敗なんだよな。

公務員になったのに気がつくと秘密諜報部員に配属されていた主人公・・・そんなテイストで見たかった気がします。

まあ・・・それができないのが土9だと言われればそれまでなんですがーっ。

「ごくせん」(学園)とか「女王の教室」(学園)とか「野ブタ。」(学園)とか「マイ☆ボス」(学園)とかそういう路線のヒットが足枷になっているのは確かなんだよなぁ。

初回・修学旅行もの(学園)15.6%で、第4回・水泳部もの(学園)12.7%・・・ここまでの平均10.8%・・・ねーっ。

まあ・・・もう来週、最終回だし・・・どうでもいいか。

本当に残念なことでした~。

それにしても(月)山P (火)優馬 (水)イノッチ (木)草彅剛 (金)タッキー・・・帝国の攻勢すさまじい夏だったな・・・。 

月曜日に見る予定のテレビ『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)

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2009年9月19日 (土)

オルトロスの犬?(滝沢秀明)日本の国みたいな(錦戸亮)じゃ、ヘラクレスの人じゃね?(水川あさみ)あなたの心に時効はあるの?(木下あゆ美)

まあ・・・「東京都の都」というとかぶった感じがするが、「東京の都」ならちょっときどった言い方でなくはない。

「日本国の国」はあきらかにくどいが、「日本の国」なら、「日本の言葉」とか「日本の人々」とかと区別する意味でも普通の言い回しである。

しかし・・・オルトロスの犬は・・・まあ、いいか。

ちなみにヘシオドスの「神統記」をたどってみると

カオスからガイアが生まれガイアがポントスを生み母なるガイアと子の海神ポントスの母子相姦によって海の怪物ケトが生れる。

ガイアとポントスは母なる大地の神と不毛の海の神だが生れた娘ケトは怪物となり・・・数々の魔獣の祖先となるのである。

ケトが兄である入江の神ポルキュスと兄妹相姦して生れるのが蝮の神エキドナである。

エキドナは上半身は美女、下半身は蛇体だった。

エキドナの祖母ガイアはまた地獄の神タルタロスと交わり魔の神テュポンを生む。

ケトは叔父にあたるテュポンの妻となり、合体獣キマイラ、地獄の番犬ケルベロス、百頭竜ラドン、海蛇ヒュドラなど数々の怪物を生み出すのである。双頭の犬オルトロスもまたしかりだった。

オルトロスは祖母ケトの姉である鋼の神ゲリオンに遣わされゲリオンの牛の番犬となる。

そこに牛泥棒のヘラクレスがやってきてオルトロスを殴り殺してゲリオンの牛を強奪するのである。

一方、オルトロス殺害犯人のヘラクレスの出自は次のようになっている。

ガイアは天の神ウラノスと交わり時の神クロノスを生む。クロノスは姉である地の神レアと交わり雷の神ゼウスを生む。

ゼウスはやがて神々の王となり、浮名を流す。特に人間の娘を愛人にするのが好みなのである。アルゴス王女ダナエを犯して生ませたのが英雄ペルセウスである。さらにペルセウスの孫娘アルクメネを犯して生ませたのがヘラクレスなのである。まさに奢れる神は獣の如しである。

嫉妬深いゼウスの妻ヘラはこの夫と人の娘との不義密通の子供たちに様々な呪いをかけるのであるが・・・その理不尽な苦難に打ち勝ったものを人々は英雄と呼ぶのだ。

ヘラクレスが牛泥棒になったのもすべて嫉妬の女神ヘラの差し金だが・・・そのために罪もないオルトロスが撲殺されるのはまことに不憫なことだ。

同じガイアの子孫でありながら英雄ヘラクレスと番犬オルトロスの運命の隔たりはまさに格差社会の縮図なのである・・・それはどうかな。

で、『オルトロスの犬・第8話』(TBSテレビ090918PM10~)脚本・小林雄次(他)、演出・吉田健(他)を見た。もう脚本も複数、演出も複数で編集してみるまで何がどうなっているかわからない大混乱が現場に巻き起こっていると思われるわけだが・・・今回はようやく話の流れが見えてきて、なんとか無難にまとまってきたのである。もうオチに差し掛かっているので話が破綻しないですむようになってきたのだな。それが面白いかどうかは別にして。

現実の社会では経営者党が労働組合党に敗北し、総理大臣は吉田茂元総理大臣の孫から鳩山一郎元総理大臣の孫にバトンタッチされたわけだが、このドラマの社会では現職総理大臣が後任の総理大臣を指名できるシステムらしく・・・榊大臣(高畑淳子)は瀬川総理大臣(大和田伸也)のお気に入りになるために全精力を傾けるのだった。

まさに密室政治である。

榊大臣の切り札は「超能力医療管理法」の立法である。どんな法律なんだよ。

どうやら・・・それは行政府が竜崎の委託を受け、超能力医療の施行を全面的に管理運営するというものらしい。

竜崎(滝沢)が委託の同意書にサインすると自由になれるらしいが・・・それでは行政府が管理運営できないじゃないか。

とにかく、何故か、涼介(錦戸)の殺した刑務所長のプライベートな特別監獄に居座る竜崎。まあ・・・セット費用の節約なんだよな。

もてもてなので女性客が次々に訪問である。

まずは加奈(波瑠)の父親・武田(布施博)に傷つけられた腕を治療する観察医・前園(原田夏希)。自称・美人である。

竜崎を誘惑するが「ムダにセクシーなのはキライだ」と意味不明な拒絶である。

しかし・・・前園は竜崎の血液を入手する。

次に渚(水川)が「あなたが社会に復帰しようとしたのは涼介の存在と関係あるんでしょう」と核心をつくが「母親なんだからこんなところで愛想ふりまいてないで澪(熊田聖亜)と過ごす時間を作ったらどうだ・・・」と痛い所をつかれて追い返される。

そして・・・榊登場である。

「利用できるものはなんでも使って総理大臣になって国民を幸せにするわ・・・」という榊に竜崎は「正直でいい女だ」と何故か殺し文句を言うのである。ま、あざといです。

一方、竜崎の治療を受けたことでわざとらしく迫害される加奈と母親(朝加真由美)。そこへ逮捕された武田の弁護士の紹介だと言って現れるカトリック教会の神父・巽(平田満)・・・。

彼は加奈たちの居住先を手配するのだった。

巽の教会を訪れた涼介は「償えない罪について」の悩みを相談する。

涼介「ボクは汚れちまったんです」

巽「人は皆今日も小雪のふりかかる罪人なんですよ。私もまた罪を償うために神におすがりしているのです」

涼介ともデートをする渚は澪の子守りとして前園を同行させる。

前園は涼介の髪の毛を採取する。

不良の息子・勝(八乙女光)を溺愛する熊切(柴俊夫)はなにやら画策しながら、榊と警察庁理事官・沢村(佐々木蔵之介)の日本私有化の陰謀チームに復帰するのだった。

そして・・・渚のかっての恋人・正人(忍成修吾)は「神の手研究チーム」の一員として前園とともに竜崎と涼介の遺伝子解析に取り組む・・・神の手の超能力は遺伝子レベルでは解明できないと思うぞ。

その結果、判明したのは竜崎と涼介が遺伝子的に兄弟である可能性が極めて高いということだった。そんなことかわかっても奇跡の解明にはならんがな。

沢村と竜崎の二重スパイとして働く二宮(六角精児)は解放された竜崎を巽の元へと導く。

ある意味・・・二宮こそがオルトロス(竜崎・涼介兄弟)の犬なんだな。二宮主役で最初から作りなおせばいいのに。まあ・・・番組がヒットするとかしないとかは別として。

そして、実の父親である巽と再会した竜崎は過去の真相を語るのである。

隠れ切支丹の村である龍谷村の神社の血脈には「神の手と鬼の手を生じる血」が流れていた。神主である巽の父親は孫兄弟が病気を治す神の手と人を殺す鬼の手を持ったことを知ると鬼の手を持つ弟を嫁と一緒に入水させて殺そうとする。

しかし・・・涼介は一命をとりとめ、たまたま旅行中の夫婦に拾われたのである。

巽は父親からも妻からも息子たちの恐ろしい超能力からも逃げ・・・行方をくらましていたのだった。

しかし・・・神に仕える身となって・・・人の生死を左右する子供たちの力が神の教えに背くと狂信した巽は涼介の殺害を決意したのだった。

父親の決心を変えるために竜崎は涼介を教会に呼び出し、全ての真相を明かそうとする。

しかし・・・巽はどこから入手したのか不明な大量のダイナマイトで竜崎もろとも爆死しようとするのだった。キリスト教の神を狂信しての行動だがキリスト教では自殺が禁じられていることは忘れているらしい。まあ・・・平田満が演じる敵役にそんな整合性を求めてもムダだがな。

涼介が生きていたことを知り爆破を中止しようとする巽だったが起爆装置は二宮が細工して解除不能のものとなっていた。

竜崎の抹殺を図る沢村の工作だが・・・そんな手間のかかることしなくても部下に狙撃させれば済む話でもある。しかも「究極の暗殺兵器」として入手したい涼介は監視対象になっているはずで爆破に巻き込まれるのを阻止しないのは本末転倒である。

おっと・・・また・・・マジになっちゃった。

大爆発。近所迷惑である。

重傷を負う巽と涼介と竜崎。

とりあえず現場近くでなんとなく二宮を逮捕する渚。

しかし・・・救急隊員に搬送される竜崎は涼介の傷を神の手で治すと・・・自分自身も治療するのだった。

「神の手で自分のケガは治せない」のは真っ赤なウソだったのだ。

それをどこからともなくあられた前園は見た。

そして竜崎は瀕死の父を見つめる。

それをどこからともなく監視しながら沢村は・・・

「あの兄弟オルトロスの犬みたいだろ・・・でもオルトロスの犬はヘラクレスに殴り殺されちゃうのさ」

どさくさにまぎれてタイトルコールである。もうこっそり言っておくしかないんだよね。さすがだ。さすがはラクダ・・・とぼけた顔してヘヘーイヘーイである。

ああ、ようやく終ってくれるよ。

もう少し内容を知りたい人はコチラへ→シャブリ様のオルトロスの犬

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『み屋本舗REBOOT・第11回(最終話「心の闇・前編」)』(テレビ東京090182412~)原作・栗原正尚、脚本・川嶋澄乃、演出・森田昇を見た。架空のニュース番組「NEWS 24」でキャスター大橋未歩がお伝えするのは「時効が成立した一家三人殺害事件の犯人を名乗る男が現れました・・・この後、独占インタビューでお伝えします」なのである。

刑法は一部改正され、2005年から死刑にあたる罪についての時効は25年となっているがそれ以前に犯された死刑にあたる罪の時効は15年である。

殺人を犯した犯人が時効を経過して被害者遺族の前に現れるという起こりうる悪夢をドラマ化なのである。

現実に・・・時効成立後、すでに冤罪によって刑に服しているものとは別人が真犯人として自首した例もある。

恐ろしいことである。

その数日前。オフィスの自分の席に何者かが置いたオトギリソウの花瓶によって衝撃を受ける東京ベイテレビ報道記者・星影(長谷部瞳)。脳裏に浮かぶ刺青の男と母の怨みの叫び・・・・。気をとりなおしたその後で報道局デスクの城島(田中哲司)の命令で星影が取材に向かったのは・・・。

それは15年前に両親と弟を殺害された奈良崎(山中崇)の記者会見だった。事件は犯人を特定できないまま時効を迎えたのである。被害者遺族として奈良崎は「たとえ時効を迎えても犯人を絶対に許さない」と宣言する。

取材を終えた星影はニュース・ショーで記者としてコメントを求められ「これからの奈良崎さんには罪を憎んで人を憎まずの気持ちで前向きに生きてほしい」と答えるのだった。

それを新・情報屋(加藤雅也)のオフィスで視聴した怨み屋(木下)は「そんなの綺麗事よ」と一笑にふすのだった。

すでに・・・情報屋は「例の事件の真犯人」をおさえているのだった。

その資料にある「女の生首の刺青」の写真に興味を覚える怨み屋。

星影と城島は居酒屋で「奈良崎一家殺害事件の犯人」を名乗る男・久我山学(螢雪次朗)と出あう。城島は「顔出しをしないこと」を条件に100万円の謝礼でニュース・ショーへの出演を交渉する。

「焼き鳥屋がおいしい焼き鳥を客に出すようにニュース屋はおいしいニュースをお茶の間に届けなければならない」と城島は反対する星影の口を封じる。

やがて・・・「時効後の真犯人の独占インタビュー」はセンセーショナルな話題を巻き起こす。

最初は渋っていた城島の上司・大川部長(斉木しげる)も狂喜である。

城島は予算を獲得し・・・ついに1000万円で顔出し・実名登場の久我山の独占・インタビュー放送に成功する。

久我山「オレは殺人犯じゃなくて・・・元・殺人犯なんだ。そこを間違えないでくれよ。悪いとは思ってるよ。しかしその頃、ギャンブルで500万円の借金があってよ。通りがかりで押し入ったわけ。当時は怨恨かとか言って騒いでいたけどまったく赤の他人だったよ。あの小便もらしたガキが騒がなきゃ何も殺さずにすんだのによ。それにすべては格差社会のせいなわけ。オレだってそういう意味じゃ被害者なんだよ。しかし時効制度のおかげでこうして敗者復活できたわけ。人を殺しても15年逃げのびれば許されるってことなんだよ」

食事中にテレビでそれを見た被害者・遺族の奈良崎は憎悪でのたうちまわり、自分の枕を箸で刺すのだった。そこへ舞い込む・・・怨み屋本舗の名刺である。

奈良崎「あいつを・・・たとえ時効が成立しても罪からは逃れられないと世間に知らしめる形で実質殺害してください・・・」

怨み屋「3000万円でしかるべく・・・」

やがて人殺しだが時効が成立した男としてスターとなりもてはやされる久我山。

そんな久我山を怨み屋は「どうせ使い捨て」と断定する。

しかし・・・街角には有頂天の久我山を不快そうに見つめる謎の男(田山涼成)がいた。

ベイサイドテレビの受付には工作員・里奈(葵)が・・・報道局にはアシスタント・プロデューサー見習いとして工作員・シュウ(小野健斗)が配置される・・・どんな手段を使ったのかは不明である。

復習計画は着々進行中の模様だが・・・怨み屋は何故か・・・星影に電話をかけ「あなたの心に時効はあるの?」と問いかける。

星影が即行でリダイヤルすると「現在つかわれていない番号」である・・・どんな番号なんだよ。

続いて星影の前には寄木警部(きたろう)が忠告に現れる。

寄木「あの女からは手を引くんだ・・・この事件にも絶対あの女がからんでくる」

寄木の恩は仇となり・・・ヒントを得た星影は奈良崎を訪問するのだった。

「あなたの言うように・・・前向きに生きていきますよ」と嘯く奈良崎だったが・・・星影は奈良崎の部屋で怨み屋の名刺を発見する。

電話番号を入手した星影は・・・怨み屋に・・・「怨みを晴らしてもらいたい」と告げるのだった。

はたして・・・星影の真意は?・・・奈良崎の怨みは晴れるのか?・・・久我山は本当に犯人なのか?・・・そして謎の男の正体は?・・・十二月田の出番はあるのか?・・・いよいよ(おそらく)衝撃のクライマックスである。

怨み屋とのお別れの時も迫っているのだなぁ。秋もやればいいのになあ。ずーっとずーっとやってくれてもいいのだが。まあ・・・ネタにも限度があるだろうが・・・。

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)

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2009年9月18日 (金)

任侠ヘルパーも今宵限り・・・(草彅剛)ファースト・キスもらいます(黒木メイサ)

くどいようだが・・・任侠ヘルバーで極道者が介護に関係していることは珍しいことではない。

ごく日常的な現実なのである。

任侠ヘルパーのフィクションの部分は主人公が義侠心に満ちた極道者である・・・ということなのである。

そんなヤクザはいないのが現実です。

ともかく・・・最終回は↗15.6%でフィニッシュ。平均視聴率15.0%でした。

で、『任侠ヘルパー最終回』(フジテレビ090917PM10~)脚本・古家和尚、演出・西谷弘を見た。くどいようだが組織暴力団・隼会は次のような組織であると思われる。

隼会・会長・死亡のため空席。

会長代行・若頭・鷹山源介(鷹山組組長・松平健)

傘下の有力な組織の組長(幹部候補生)

翼組・翼彦一組長(草彅)

四方木組・りこ組長(黒木)

六車組・六車組長(夕輝壽太)

二本橋組・二本橋組長(宇梶剛士)

黒沢組・黒沢組長(五十嵐隼士)

鷹山組次期組長候補・鷹山三樹矢(薮宏太)

なお、表向きでは翼組は翼工業という企業名を名乗っている。

今回、彦一たちが目標としている幹部の席とは何かといえば・・・鷹山源介が隼会会長の跡目を相続した場合の隼会若頭の座なのである。

つまり、会長-若頭-各組という権力構造があるからだ。

ちなみに・・・鷹山組の有能な組員である和泉(山本裕典)が介護施設「タイヨウ」に潜入していたのは個人的事情もあるが・・・基本的には鷹山組内の内部抗争があったと思われる。

つまり・・・実子・三樹矢の継承問題だ。三樹矢はおそらく鷹山組若頭なのだが・・・このボンボンが若頭じゃやってらんない問題が過去にあったと推定。

とにかく、最終的には源介隼会会長・鷹山組長・三樹矢、鷹山組若頭・和泉で決着したらしい。

老人介護施設「タイヨウ」の業務停止処分により・・・研修は終了・・・隼会若頭は彦一に内定する。

つまり・・・結局は隼会会長の跡目相続がなったということである。すべては継承問題でゴタゴタしたくない鷹山の時間稼ぎだったということです。

しかし・・・介護ヘルパーの研修を通じて覚醒した彦一の任侠魂はそれをよしとしないのだった。

密かに彦一に惚れて乙女の純情を奉げたいと思っているりこだったが・・・つぶさに彦一を観察しているので彦一の心情は手にとるようにわかるのだった。

彦一は・・・老人介護を通じて老人介護を食い物にしている極道社会に背を向けたがっている。

彦一は・・・子分の羽鳥涼太(加藤清史郎)をかわいがりすぎて親心が生じ、涼太の母である晶(夏川結衣)に惚れくさってる。

ということである。

そこへ姥捨て山行きのバスがつき、運転手(渡辺哲)は新たなじいさんばあさんを不法投棄するのだった。

一方、涼太の実の父親であり、晶とは違う女を妻に持つ役人・藤堂(陣内孝則)は老人介護行政の立場から組織暴力団の資金源化した老人介護の行く末を案じるのだった。

しかし・・・老人介護の深刻な現状は老人介護のために設定された法を有名無実化していくのだった。なぜなら親を捨てるような子供はヤクザ以下だからである。

しかし・・・市民がヤクザ以下の存在であるとは口がさけても言えないので・・・現状にはそぐわない法を強制執行するしかないのだ。

彦一「おい・・・現にここに捨てられているじいさんばあさんをどうするつもりだ」

藤堂「まあ・・・最悪、保健所に連れて行くしかないかな」

彦一「じいさんやばあさんだって捨てられたくて捨てられてんじゃねえぞ。子だってな・・・好きで親を捨てたんじゃねえんだ・・・仕方なくなんだよ・・・それをお前ら・・・犬か猫みたく言いやがって・・・」

藤堂「仕方ないだろう・・・オレたちは法を執行することでお給金もらってる身分なんだ。法が自己責任に傾けば・・・基本的人権はないがしろになる運命なんだぜ」

彦一「気にくわねえ・・・お前ら役人はクズでカスでクソだ」

藤堂「仕方ねえだろう・・・義理と人情秤にかけちゃあ、なんねえのが役人渡世なんだよ・・・」

一方・・・認知症が進行する晶は別の施設に移り、涼太は藤堂の元へ引き取られるが継母に苛められるので施設に戻ってくる。涼太に泣きつかれてまんざらでもない彦一。

それを見たりこは覚悟を決めるのだった。彦一に土下座をして「若頭の座を譲ってくれ」である。りこは愛しい彦一が晶・涼太母子の元へ行けるようにと背中を押したのである。

インテリヤクザ・六車の法の網目をくぐる作戦で「介護施設」(厚労省担当)から「住宅」(国土交通省)に使用目的変更することで一時を凌ごうとするタイヨウ組だったが・・・インフルエンザの集団感染で・・・それも困難となる。

強制執行で退去を命ずるお役人たちに・・・追い詰められたタイヨウ組はバリケード封鎖による立てこもりを敢行するのだった。

彦一「介護施設タイヨウも今宵限り・・・かわいい子分のお前たちとも別れ別れになる門出だ・・・」

藤堂「執行開始・・・」

ついに始まる暴力沙汰。管轄の機動隊・・・いい迷惑である。

ライダーキックなどの荒技をくりだして暴れるタイヨウ組。いろいろあってりこに忠誠を誓うようになった四方木連合一同も助っ人に駆けつけ・・・大騒動である。

死者はでなかった模様。かけつけたマスコミが仁義なき戦いにお涙ちょうだい要素をみつけ・・・世間は介護施設側に同情模様・・・。政治家たちは「法」の見直しを迫られるのだった。

政治家「誰もが納得する福祉なんてできるかよっ・・・安楽死法案通す方が簡単じゃん?」

藤堂「タテマエとしては強きをくじき・・・弱きを助ける方向でないと弱い有権者の皆さんが納得しませんぜ・・・」

やがて・・・すべては忘却の彼方に。六車はハートフルバードのっとりに成功した模様です。ヘルパー美空(仲里依紗)はいろいろ経験してヤクザがこわくなくなった模様。

隼会会長となった鷹山と親分子分の盃をあらため隼会若頭となったりこは出所した彦一を迎える。

りこ「お勤めごくろうさん・・・」

彦一「若頭(かしら)ともなるとすごい羽振りだな」

りこ(とりあえずはじめてのキスを達成)

彦一「・・・おい」

りこ「かしらって呼んでもらおうか・・・」

彦一は晶のいる施設を訪ねる。晶の症状はかなり進み・・・涼太も彦一もわからない。

しかし「どんなになろうとも惚れた女は惚れた女だもんな・・・」と彦一は微笑むのだった。

涼太が凄腕できわめてかわいく転び・・・幕は閉じたかのように思われたが閉ざされた「タイヨウ」の封印を元のオーナー・園崎(大杉漣)がこじあける・・・お~埋葬・・・お埋葬である。まあ・・・長生きなんてするもんじゃないが、そうなったらそうなったで死ぬまで生きていくのが人間というものなのです。そうしているうちにドサクサにまぎれてこのドラマのようにくるべきときはきますから~。

関連するキッドのブログ『第10話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『こち亀』(TBSテレビ)『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『牧瀬里穂の再生の町』)『ERⅫ・最終回』(NHK総合)『オトメン(乙男)・夏』(フジテレビ)お彼岸か・・・お墓の掃除をせねば・・・。

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2009年9月17日 (木)

チューしてよ(黒川芽以)ごめん(塚本高史)帝王めぇぇぇ(津田寛治)

さて・・・「天地人」に大谷吉継役で登場した津田寛治。

大谷といえば白頭巾でお馴染み・・・顔を見せない武将である。

ならではですな。

そして・・・「新・警視庁捜査一課9係」では主任の村瀬警部補である。どちらかといえばさえない役なのだがそのさえないキャラの中で精一杯になるところが味である。

刑事ドラマとしては殺人犯の要求に答えて民間人の医師を送り出すという・・・原沙知絵の出番を作るためには何でもします的な失笑ストーリーの連続なので特に語ることもないのだった。

まあ・・・「相棒 Season8」までのつなぎドラマだからな。

手術費用のない子供たちのために誘拐でお金を稼ごうとする犯人(風見しんご)がいい人だみたいな展開だし。

もう語れば罵詈雑言になるので・・・最終回だがやめておきます。

で、『帝王・最終回』(TBSテレビ090917AM0029~)原作・倉科遼(他)、脚本・演出・森岡利行を見た。夜の商売ものである。実在のキャバクラ・チェーンのオーナーのサクセスストーリー。深夜ドラマに相応しい題材を淡々と・・・である。

高校を卒業後・・・工員となった主人公・坂木(塚本高史)は夜の世界に足を踏み込みホストを足がかりにやがてキャバクラの経営を始める。そして出火、借金、裏切りなどの苦難を乗り越え実業家として成功する・・・という話で。まとめは「こんな(底辺出身の)ボクでもなんとかなったんで(底辺の)みんなもがんばれ」ということになる。

がんばればなんとかなるとは限らないががんばらなければ始まらないという教訓はそこそこあります。がんばらなかったために底辺の人にはためになるのかもしれません。

さて・・・最終回は・・・ほぼ成功をおさめた主人公。チェーン展開する夜のお店は順調で・・・六本木支店も出すのである。

その支店長・今川が津田寛治である。今川は赤字は出さないが大きな黒字も出さない。しかし・・・店は大盛況なのである。主人公が調査に乗り出すと・・・今川は株売買の損失補填で使いこみをしていたことが判明。「家族がいるので警察だけは勘弁してくれ」と言うのでヒューマンな主人公は五千万円の損失をなかったことにする。実話とは思えない太っ腹なのだった。

主人公は花屋の娘・陽子(黒川)と交際中。陽子は主人公に夢中なのだが主人公は仕事に夢中でガッカリなのだった。

そんな主人公にぞっこんの男が原田(木村一八)である。もう39歳になるのか・・・時の経つのは本当に早い。

原田は妻に先立たれているが中学生の娘・彩花(森岡朋奈(15)・・・未来講師めぐるの千鶴である・・・いわゆる一つの美少女だ)と別居中。最初に娘に会いに行ったときには走って逃げられ、次に行った時には無視された。しかし今度は叱責されちょっとうれしいのだった。

そんなのほほんな日々が続いていると・・・結局、離婚して何もかも失った今川が逆上してナイフを持って主人公を刺しに来るのである。

主人公をかばって・・・刺される原田だったが・・・タフなので死なない。主人公は原田の娘を入院中の原田のベッドにお届けして父娘は和解・・・めでたしめでたしなのであった。

そして金主である大河内(竜雷太)に「災い転じて福となすとはまさにこのこと」と褒めてもらうのだった・・・おわりである。

まあ・・・キャスティングが微妙にそそる以外は時代を超越したドラマだったということでしょう。「あらびき団」の後の番組だけにドラマ自体が「あらびきネタ」のようでした。

関連するキッドのブログ『相棒の黒川芽以

               『未来講師めぐる

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『谷村美月のさよならが言えなくて』(テレビ朝日)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』『田中麗奈・鈴木杏の派遣のオスカル』(NHK総合) 

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2009年9月16日 (水)

おひさー。(野村佑香)ストーカーなのだ(水橋研二)汚染洗浄24時(松嶋菜々子)

「患者に総理大臣も医者もない」

進藤先生が見得をきる。・・・歌舞伎かっ。

まあ・・・総理大臣はいないけどな。進藤としてはややオーバーな表現で皮肉を言ったわけだ。

その点がちょっと微妙。

で、『救命病棟24時(第4シリーズ)・第6回』(フジテレビ090915PM9~)脚本・二木洋樹、演出・佐藤祐市を見た。火曜日のドラマ対決は休止中だが、「救命」は↗18.9%、「チーム・バチスタの栄光SPECIAL」は12.1%だった。「恋して悪魔」最終回*7.5%より*4.6%の上昇である。お客はいるんだよねぇ・・・。

さて、ゲスト患者に野村佑香(25)登場である。一年に一回ぐらい出るのか?

いきなり、硫化水素中毒で仮死状態で登場である。

上川由梨(野村)は自宅の浴槽で発見。後に半年前から無職で友達に「死にたい」ともらしていた、などと情報が補足されるのだが・・・最初から自殺者扱いである。

研修医・工藤(石田卓也)は「前なら自殺者の命なんて助ける意味ないと思っていたけど・・・今は進藤先生のありがたい教えで助かってもらいたいと思うようになった」などと言っている。

ナース鴨居(北乃きい=18)は「私と同い年・・・どうして自殺なんか・・・」風である。

ミス・リードを誘いたいがために事実誤認の脚本になっています。まあ・・・現場がそう思い込んだ・・・でもいいわけですが。

警察の捜査では現場から立ち去った不審な男が目撃されているわけで・・・自殺なのか、無理心中なのか、殺人未遂なのかはまだ不明の状態なのでそれなりの配慮があってしかるべき。

要するに所轄の刑事に進藤先生クラスのスーパーエースがいない。硫化水素中毒=自殺という推察に支配されてしまったということなのかもしれないのですが・・・なんとなく奇をてらった感じがして・・・安っぽい感じがします。

まあ・・・第4シリーズはなんとなくずっとそうですが。

雑然とした感じの処理の仕方が甘い・・・のです。

先週の土曜日の「ERⅫ」が「イラクで軍医をしている夫の訃報が届いた女医」「先週アフリカの難民キャンプから帰ってきた医師の内面的葛藤」「愛人を殺されて神経症になった医師の発狂」「家庭内暴力から幼い弟を守るために父親を殺した少年」「ダメ医者と名医の興奮初体験」などものすごい量のネタをスマートに処理しているのとくらべるとものすごく見劣りしますが・・・まあ・・・そんなこと言っても仕方ないとも思います。

なんといっても夏ドラマ平均視聴率ナンバーワンのこれなわけですから。

とにかく、救命チームは滞留薬物除去のため豪雨の中でテントをはっての屋外治療などてんやわんやの大騒ぎ。

居局長の澤井(ユースケ・サンタマリア)は医療危機の政治的解決をはかるために議員(佐戸井けん太)と接触中。この世界ではまだ政権は安泰らしい。

その中で腕から出血する不審な患者と遭遇します。明らかに異常者風の浅越(水橋研二=34)です。応対した澤井は結局、患者を追い返した形に・・・。

すると突然、始まる悪戯電話の嵐。ネットの掲示板の書き込みによる嫌がらせである。

まあ・・・不特定多数の人間に電話をかけさせる朝越の発想力は脚本家なみということです。

浅越をモンスター・ペイシェント(怪物のような患者)と見なした救命チーム。澤井は責任を感じ謝罪に出向きます。

謝罪を受け入れた朝越はいかにも国家試験浪人生のちょっと精神的安定を欠いた人風に演出されています。こういう点も甘いです。

それは議員秘書(石井愃一)が「頭のおかしな人間を前にしてこの人は議員なんだからと頭の悪い行動をする」のと同様に実にわかりやすすぎるキャラクター造形なのです。

いや・・・それは別に悪いことじゃないんですが・・・お安いのです。

とにかく・・・浅越の部屋で野村佑香の写真を発見した二人は・・・「もうひとりの自殺未遂者」ではないかと・・・警察に通報します。

キッドなら喜多嶋舞の写真を見て仲間由紀恵と区別がつかないので逡巡するでしょう・・・誰もそんな心配しないぞ。

続いて件の議員が心臓発作で倒れ救命に・・・議員秘書は特別扱いを要求し、澤井がそれに応じると反発する救命チーム。

進藤先生は「特別な患者なんていない」と主張しますが・・・澤井は「医療改革が伸展しなければその患者がたくさん犠牲になるのだ」と釘を刺します。

そこで目覚める由梨。まずは目覚めの半狂乱。続いてストーカー浅越に襲われ殺されかかる回想シーン。熱演です。まあ、そういう演技を求められる女優ということです。

まあ・・・ここまでの流れで彼女が野村佑香だと分る人はファンだと思います。

浅越がストーカーだとわかって慄然とする救命チーム。警察に通報すると浅越はすでに行方をくらましていて・・・もう病院に到着しています。

硫化水素発生セットとナイフを持って乱入。「由梨ちゃんをだせーっ」なのです。

由梨「キャーッ、殺されるーっ」なのです。

とにかくただ一つ言えるのはこの高度救命センターのある総合病院には警備員はいないのかっ・・・ということですね。

とりあえず患者を守って負傷する進藤先生。次々と人質になるスタッフや患者。

しかし、進藤先生が死んだフリをすると、小島(松嶋)と澤井が熱演で患者の注意をそらし、進藤が混ぜると危険な薬品を強奪。そこに警察が到着。

追いつめられた浅越は頚動脈を切って自殺未遂。

固まっていたスタッフは一斉に救命活動開始です。

ここで議員秘書は興奮しながら「その男は先生を刺した犯人ですよ・・・そんな男の命を救うのですかーっ」・・・まあ・・・そんなことを言うようでは議員秘書はつとまりませんな。

やがて・・・嵐は去って・・・由梨「命を救ってくれてありがとうございました」

最後は笑顔でしめる野村佑香だったのです。

そして・・・怒涛の最終回に向け、澤井が政治活動のために勇退、小島医局長案が浮上。さらに「スーパーヒーローすぎる進藤先生にはやめてもらう」と澤井が宣言します。

まあ・・・そんなこと言われても言うことを聞く進藤じゃないとみんな知ってるわけですが。

こうなってみると江口洋介が事故らなかった別の世界の第4シリーズ見てみたかったなぁ・・・。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『猿ロック』(日本テレビ)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『東京少女岡本杏理』(TBSテレビ)

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2009年9月15日 (火)

夢と現実の境界線は濃くなった(山下智久)翼はなくても一緒に(相武紗季)目覚めのブザー・ビート(北川景子)

とにかく・・・二人はどうなっちゃったの・・・。

終った瞬間にそう思った人50%、遠距離恋愛が始まったのだと思った人25%、なんで二人は別れるのと思った人15%、その他10%くらいかな。

キッドは必殺技「最終回前なので曖昧にしてみました」かよっとテレビの前で拳を握りしめました。

もう・・・自由奔放だ。もう自由自在でもう自由って素晴らしいなのである。

ついに残り一回、一分の隙もなく、オーソドックスで重厚なラブ・ストーリーを展開中です。

もう・・・あとは本当のブザー・ビートを決めるだけだもんな~。天才。

で、本題に入る前に週末の視聴率チェック。「コールセンターの恋人」→*6.1%(→キターっ。ファンがついたか)、「ワールド・トレード・センター」13.7%(実話だがタワーリング・インフェルノを見るが如く)、「オルトロスの犬」↘*7.0%(総集編より落ちたか)、「派遣のオスカル」↘*6.0%(やっぱり猫娘が一番だな)、「メイド刑事」↗*9.6%(有終の美を飾ったか)、「こち亀」↗*7.6%(メイド刑事に負けた~)、「華麗なるスパイ」↗10.2%(つまらないのにがんばってる)、「だましゑ歌麿」15.2%(鈴木杏樹が水谷豊に・・・驚愕)、「薬師丸ひろ子の戦場のメロディ」12.0%(普通の戦争ものもお願いします)、「再生の町」↘*6.5%(さげたー)、「天地人」↗21.6%(歴史は今週も死んだ)、「官僚たちの夏」↘*7.2%(弱者は弱者救済を望む)、「9.11最後の真実」12.1%(実話だがタワー・・・みたいに見れない)・・・ついでに「ブザー・ビート」↘13.7%・・・以上。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・第10回』(フジテレビ090914PM9~)脚本・大森美香、演出・西浦正記を見た。今回の「A DAY IN THE LIFE/THE BEATLES」のインストゥメンタル挿入は直輝(山P)と代々木(金子ノブアキ)の和解のシーンで流れる。・・・と思ったのでちょっと確認しようと思って録画をチェックしてみる。・・・ハッと気がつくとラストシーンで莉子(北川)が泣いているのである。どんだけブザビが好きなんだ・・・という瞬間である。

構成的には序破急序破急序破急で9回を終え、最終章と銘打った10~11回はフリオチである。だから・・・前回の引きである「帰国した川崎(伊藤英明)が直輝の不実さに心が乱れた莉子を抱きしめているところへ・・・直輝が向かっている」は拍子抜けするほどあっさり決着する。

直輝は自分の不実さを思い至り菜月(相武)に訣別を告げたのである。ここで莉子が川崎と結ばれてしまうようなことになれば・・・話は振り出しに戻りすぎるのだな。

直輝は「莉子の不実の現場に遭遇しない」・・・部屋から出てきた暗い顔の川崎と遭遇するのである。ここで・・・直輝が現場を見ないのは・・・莉子が不実をしなかったからだが・・・それは次のシークエンスで明らかになる。シンプルな展開だが・・・やはりここにも小さなフリオチが作られていて脚本の上手いところなのである。

「愛が人を強くする広場」で直輝と川崎は男と男の話をする。恋に破れた川崎を直輝が鞭打つシーンだが・・・直輝がゆっくりとだが成長していることを物語るのである。

直輝「ごめんなさい。川崎さんが好きだということを知っていながら・・・釘まで刺されていたのに・・・友達のつもりが・・・行くところまで行っちゃいました。本当にすみません。でも彼女は悪くないんです。僕がどうしても我慢できなくなってやっちゃったんです」

川崎「お前に彼女を守れるとは思えんな・・・(嫉妬に燃えて)オレが今、彼女の部屋で何をしていたか分るか?・・・お前に泣かされた莉子ちゃんをオレがやさしく抱きしめてやったんだぞ」

直輝「(挑発に気がつかず)・・・確かにボクはダメな男でした。自分に自信がなくて・・・劣等感に苛まれ・・・周囲には甘え放題・・・でも彼女に逢ってもっと強くなりたいって心の底から思えたんです。夢を叶えるためにはあきらめないことしかないって彼女を見ていて分ったんです。だからボクは強くなりたい。そして彼女とどこまでも夢を追いかけたいって決心したんです。どうか許してください」

川崎「(直輝の幼さに萌えて)・・・まったく・・・若いってたまんないよな。オレ・・・今、莉子ちゃんに同じこと言われたとこ・・・直輝は悪くない・・・悪いのは自分だ・・・でも直輝のことが好きで好きでたまんなくてオレなんか眼中にないってな・・・指輪も受け取ってもらえなかったよ・・・もう・・・いいわ。結局・・・もう世代がズレちゃったってことだよな。まあな・・・お前たちが小学1年生の時、オレもう高校生だったし・・・オレ棄権するわ。その代わり・・・愛で強くなったお前って奴をしっかりみせてくれよ・・・」

去って行く川崎・・・男の引き際が見事である。麻生総理大臣にも見習ってもらいたいところだ。

そして・・・男たちの決着をいつもの窓から眺める莉子だった。

莉子と直輝はもう一度、お互いの心を確認する。若いのでそういう儀式は何度でも大丈夫なのである。

直輝「すべてオレが悪かった・・・でも心配をかけたくなかったんだ」

莉子「足は大丈夫なの・・・」

直輝「大丈夫だけど・・・なんでそれを知ってるの?」

莉子「・・・それは秘密・・・」

莉子は直輝の元彼の菜月のことは話せない。なぜなら本当のことを話すと菜月の悪口になってしまうからで・・・直輝がそういうことを嫌うからである。もちろん・・・単に菜月のことなんか話したくないという気持ちもあります。

そして当然のことだがそれを秘密にするからには・・・二人の愛はまだまだ菜月に翻弄されるということなのである。

直輝「莉子だってバイトをクビになったこと隠していただろう」

莉子「それは直輝に心配かけたくなかったから・・・」

直輝「ほら・・・莉子だって・・・一緒じゃないか・・・」

馬鹿野郎である。まあ・・・オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」のヴァリエーションだから古典だ。

相手のためにしたことが結局仇になるのである。

しかし・・・お互いを信じることができれば・・・二人は愛に触れるのである。

本当の優しさをどこかで間違って覚えていたと直輝は言う。まわりばかり気にするのはもう終わりにしよう。だからボクの愛を信じて・・・なのである。

もちろん・・・菜月の存在がなければ・・・それでよかったのかもしれない。

ヘッドコーチ川崎が戻り・・・シーズン前の仕上げ的な練習に突入したプロバスケットボールチーム「JC ARCS」・・・。その練習場に菜月がやってくる。笑みを浮かべた菜月は直輝の姿を見ると凍りつく。

莉子「直輝をバカにするのは許さない」

直輝「オレはオレの道を行く」

蘇る夢見る二人の言葉。たちまちダーク・サイドに落ちた菜月の呪いは直輝を直撃する。

ネズミ(遊離した軟骨)が動いて激痛に襲われた直輝は転倒し起き上がることができなくなってしまう。

ここで「夢の実現」に対する莉子と直輝のバランスは入れ替わっていく。

それは案の定・・・一本の電話から始まるストーリーなのだった。麻衣(貫地谷しほり)が秦野(溝端淳平)との家庭内恋愛によった莉子との間に生じた微妙なズレを埋めるぺく・・・ガールズ・トークを繰り広げると運命の電話がかかってくる。

会員制バーの仕事を莉子から奪った八尾(升毅)は演奏活動を支援する音楽団体・東都音楽財団の大物(理事)だったのである。

そして莉子の音楽性に磨けば光る宝石の原石を見出していたのである。

莉子は一週間の特訓を受け・・・その成果次第ではかなり有名な楽団のヴァイオリニストの欠員を埋めるためにステージに立てるというのだ。しかもヌードはなしである。ヌードありでもやれよ。それが夢にすべてを賭けるってことだろう・・・そういう流れはお茶の間が許しません。そうですか。

そんな夢のような話があるのか・・・と思う人は多いかもしれないが・・・意外とあります。しかし・・・そこからがまた長いのですけどね。

結局、すべてはレースなのである。分れ道に出逢う度に選ばなかったもう一方の道が輝いて見えたり・・・守るべきもののために今日も何かを犠牲にしたりしても・・・たったひとつの願いを祈るものは・・・いつかその地点にたどりつく。

学生時代に・・・オーディションで不合格の時に・・・たどり着けなかった地点に会員制バーで到着することがある。努力の成果はある日突然、花開くものだ。

こうして絶望的だった莉子の夢には一筋の光が差し・・・シーズン開幕直前に直輝の夢は前途多難となるのである。

またしてもすれ違っていく直樹と莉子の夢。

死んでいる菜月。死にかける直輝。生き返る莉子。三人の奇妙なダンス。

そして・・・まるでもう一つの別の現実を見ているような瞳の菜月は忍び足で直輝と莉子の間に割り込んでいく。

少なくとも菜月はもう普通の精神を失っているようだ。ざわめき苛立ち夜に飛び込む心。こわれゆくのを恐れ声を押し殺したカナリアのような感情のない言葉。

ただ泣かないと決めただけなのか。

とりあえず・・・宇都宮(永井大)がそんな菜月をせつない目つきでみるところをカメラは捉えました。

ねずみの早期手術を推奨する医師に直輝は「今シーズンは瀬戸際だから手術はできない」と訴える。しかし立ち会った菜月は「すぐに手術のスケジュールを決めてください」と告げる。

直輝が抗議すると菜月は答える。「これはあなたのためでもあり・・・チームのためでもあるの・・・もし試合中に今のような発作が起きたらチームに迷惑がかかるのよ・・・今は治療を優先するしかないの・・・・・・・・・まったく私がいれば・・・もっと早く決断できたのに」

莉子なんて女ではなくてこの私が。

直輝は言葉を飲み込む。やがて・・・もたらさせる莉子の幸運なチャンス。直輝はまた莉子に秘密を作るのだった。

菜月は正論を振りかざす。そこには悪意はないように見える。しかし・・・目はあくまで死んでいるのである。相武紗季・・・名演技だな。

そして・・・これまでの長いトンネルがウソだったように・・・優秀な指導者に優雅な環境でコーチされる莉子。その瞳は輝きを増していく。

そして直輝は自分が踏み外してきた崖の下に横たわっていることを強く意識するのだった。

ゆっくりとすれ違っていく二人。

それでも直輝は莉子の心を乱さないように細心の注意を払う。慣れない環境に戸惑う莉子を励ますはじめてのデート。

戯れながら温もりを感じる二人。キスを求める莉子に直輝は・・・優しく・・・口付けをする。

さあ・・・またしてもキスは優しくなってしまいましたーっ。

莉子「レッスンに戻らないと・・・」

直輝「がんばって・・・」

一人になった直輝は運命を呪う。

そんな直輝を気遣う母(真矢みき)と妹(大政絢)・・・。試合を見に行くと負けるというジンクスを持つ母は冗談めかして言う。「今度は試合を見に行こうかな・・・先週出番なかったし・・・」妹「私もー私もー」である。

手術の当日。練習さえできなくなった直輝の前に現れる代々木。二人の男の仲直りのために・・・今週はしおん(小松彩夏)の出番なしである。

直輝「この間は・・・急に殴って悪かったな・・・」

代々木(シュート外れる)「今日手術かよ・・・」

直輝「お前はオレの代わりにチーム・プレーにはげんでくれ」

代々木「そんなことブツクサ言ってるヒマがあったらとっとと直して・・・帰ってこいよ」

直輝「・・・」

代々木「このお人善しが・・・」(シュート入る)

そんな男と男の一日だった。

その頃、オーディションを受ける莉子は己のすべてを発揮して指揮者のお眼鏡にかなうのだった。四日後の夢のステージの切符を手にした莉子はスキップをしながら自宅に戻る。

待っていたのは・・・秦野→麻衣ルートのいつもの情報漏えいである。莉子は走ります。長澤まさみの場合、正面が見せ場ですが北川景子は後姿に味がある。

そしてかけつけた直輝の病室に蜘蛛の巣を張り、待ち構えるスパイダー菜月。

莉子は体がすくんで動けない。もしもこの世界が勝者と敗者のふたつきりにわかれるならああ私はいつだって勝者なのよと莉子を威嚇する菜月。

そして・・・莉子の前であえて直輝との親密ぶりをアピールする菜月。そして莉子には気付かないまま笑顔で菜月に身をまかせる直輝。

あら・・・今頃やってきてどうしたの。どうせまた大切なことは何一つ打ち明けてもらえなかったのでしょう。それなのに私はこうして直輝のすべての世話をしてあげたの。今さら来ても遅いのよ。さあ、もう直輝はもうおやすみ。あなたはもうお帰り。

そこに到着する母と妹。莉子の存在は疎外される。菜月は世話女房ぶりを発揮し・・・直輝と母と妹に対する親密ぶりをアピールする。

「直輝さんと別れたことを今でも後悔しているんです。失ってはじめて直輝さんの大切さが身に染みたんです。今でも直輝さんを忘れられないんです」

何が今の彼女よ・・・家族にも紹介されてないくせに。私なんかほら・・・家族ぐるみのおつきあいなのよ・・・。

怪しい毒蜘蛛の視線に莉子は耐え切れず逃げ出すのだった。

菜月・・・やはりもはや黒魔術の領域に踏み込んでるな。

しかし・・・莉子を慰める直輝からの長い長いメール。

「やあ、莉子、合格おめでとう。実はボクは今日手術をしました。心配かけると思って黙っていてごめん。手術は成功したから大丈夫・・・・演奏会・・・楽しみにしています・・・必ず見に行くからがんばって」

逢いたくて逢いたくてせめて声が聞きたくて・・・でも。

練習を邪魔しないように電話をしない直輝。

リハビリを邪魔しないように電話しない莉子。

演奏会当日。莉子もまた少し強くなっていた。

夢にまで見た幸せはつかむまでが一番いい・・・けれど。

今、莉子の願いはたったひとつだけ。

直輝がいるそれだけで・・・。

CMをはさんで開く扉の向こうには・・・。

松葉杖をついてひまわりの花束をかかえ直輝が立っていた。

莉子はドヴォルザークの弦楽セレナーデに身を委ねる。1875年・・・オーストリアの奨学金を手にした34才のチェコ人ドヴォルザークはウキウキした気分でこの曲を作ったのである。やがてその才能はブラームスの目にとまり・・・まもなく花開くのである。

今、莉子もはじめての成功を手にしていたのである。

そして次のステージは一年間の軽井沢の楽団勤務であった。

「でも・・・それは断ろうと思うの・・・だって一年も直輝と離れていたら淋しいし・・・」

菜月が何をしてくるかとても不安だからとは言えない莉子だった。

ステージ用のメイクを落としながら直輝には言えない言葉を麻衣に告げる莉子。

「直輝を失いそうでとても軽井沢には行けない・・・」

そして・・・いつもの場所で直輝と莉子は別れの道を選ぶ二人になる。

直輝「この場所で君に会えたことで僕は強くなれた。くじけそうなときに君が勇気をくれた。だからオレはがんばれた。だから・・・莉子にも夢を追い続けて欲しい。軽井沢に行って欲しいんだ」

莉子「嫌だ・・・私は直輝と」(・・・菜月さんに負けないようにただ一緒にいたいだけだもの)

直輝「大丈夫・・・離れていても莉子を応援しているから・・・俺たち・・・もう夢だけじゃなく現実も見なきゃいけない年頃だけど・・・最後まで夢を追いかけていこう・・・軽井沢に行って来い・・・」

莉子(莉子は涙を流す・・・静かに幕が降りていくのを感じながら)「うん・・・わかった」

莉子は2つそろいのカップの直輝の分を渡す。

今夜、今日がとても楽しいと明日もきっと楽しくてそんな日々が続いていくと思ったあの頃は終るのだ。そして全てが不器用で遠回りして傷つけあう日々が始まるのかもしれないのだった。

莉子「夢をあきらめないって約束したから・・・」

直輝「離れていても莉子を思って俺は強くなるから」

莉子「私も強くなる・・・」

言葉とは裏腹に遠ざかる二人。

莉子「さよなら・・・」

直輝「さよなら・・・」

何が正しいのか・・・誰にもわからない。ただ二人は一緒に・・・少しおびえていた。

莉子が去った後で・・・直輝の頬を伝う涙は・・・美しく花開いた季節が静かに散っていくかのようだった。何・・・どうしたの・・・軽井沢なんてすぐそこにあるじゃない・・・というお茶の間の絶叫を残し最終回へのフリ終了である。

果たしてこの恋は通過駅なのか・・・それとも始発駅で終着駅でもあったのか。まあ・・・二人ともすでに乗り換えてますけど・・・。直輝まさか・・・途中下車して・・・逃げたんじゃ・・・。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

Hcinhawaii0588 ごっこガーデン。川崎さん失恋残念会会場セット。エリあーっ。遠距離恋愛で泣いちゃったりしてぇぇぇぇ。銀河の果てまで離れてもワープすればすむ話なのでスー。もう来週、最終回なんて信じられないのですyon! 莉子ちゃんにもらい泣きするのは~。秋の訪れがせつないからでもありましゅ~。それにしても菜月のイマカノいたぶりプレー・・・しゅごく参考になりまスー。心のひだの奥をグリグリゆさぶる感じ~。ひょっとして莉子・菜月のカップルが一番燃えてたりして~。でもね。やっぱり・・・ネズミの激痛に悶える直P先輩がシュテキ~お気楽ラスボスが軽井沢だったとはね。直輝が莉子を迎えに行ってそのまま打ち上げに突入か・・・。いや・・・メンバー的には試合会場か・・・。直輝は莉子のご両親に紹介されたの・・・まあ・・・元カノがこわくて夢をあきらめるってある意味超展開だけどね・・・秦野ネズミはサービスしときます・・・ヴァイオリンのコーチはサービスしなくていいよねまこもう・・・会わない・・・とか思わせぶりっこでしゅね~。なんか・・・もう莉子は最初から菜月との戦いに敗れてる感じ?・・・ラブ・ドロンボーの精神には反するのでしゅ。まこどろんじょは奪って奪って奪いまくりましゅ~・・・さあ・・・あゆの後はヒカル?」ikasama4それにしてもウツさんの女性の趣味は・・・かなり来ています・・・。あれだけ複雑だった相関図が一挙にシンプルに男と女の三角関係と夢と夢の愛と愛の夢と愛と・・・くんずほぐれつですね。川崎さんはアタックはドロドロ、引き際はスマート・・・海猿ロケでシェイプアップしたせいでしょうか。莉子のステージ用とすっぴん風のチェンジ、チーク赤めの菜月・・・計算されたメイクがこのドラマのポイントですね。秀治は直輝の穴を埋めて大活躍?」くう川崎・・・ケツの青い二人に敗れたり・・・鳩山式お見合い戦略で嫁取りかしら~。もう莉子は恋に酔いどれすぎですから~。もうプロとしてしっかり自覚を持って出世の階段かけあがらんか~・・・菜月はもう狂気の世界の一歩手前まで来ている感じがひしひしと・・・一番心配だよ~みのむしるるる・・・川崎さん男前だったっす~。惚れ直しましたから~。さて・・・莉子と直輝の愛はぶっこわすタッグが解散・・・孤立無縁の菜月の強い味方は軽井沢さんですかーっ。確かに自転車だとちょっと遠いかなー?」あんぱんち倉木麻衣テレフォンショッキングの出待ちしていたら遅刻だわ~(爆)、じいや・・・来週は宇多田じゃなくて倉木がお勧めよ~安室って手もあるわよ~(爆々)」

Hcinhawaii0589 ごっこガーデン。恋する二人のための夜の水際セット。mari二本目のひまわりをもらって一本目のひまわりのことを話す莉子を見つめる直輝のちょっとうれしそうな顔・・・。胸きゅんですね。でも莉子のかかえる秘密はもっと深刻・・・。今夜も菜月劇場は拍手喝采。一幕目直輝とイチャイチャ。二幕目直輝ファミリーをちやほや・・・莉子ちゃんはノックアウトですよ。してやったりの菜月・・・もはや魔性です。この精神攻撃が効いて・・・ただの遠距離恋愛がとてつもなくこわいこわい感じに。反則のPちゃま涙もあって・・・直Pも菜月の術中にはまったのかしら・・・もうウツさんにも浄化は不可能なのかも・・・う・・・また暗いことに・・・でも最後はきっとぼぎゃぁぁぁぁんデス。更新ありまセンわ~い、アイブデビル完成記念・キャンディー・ムーン・コスプレ大会です~。ミョウガ・アルテミス参上。・・・なので遅刻しました~復習のために9話で・・・ミマム川崎さん・・・淋しげに退場・・・大人っしょ~。升さんなのに・・・ものすごくまともキャラ・・・きっと女には興味がないタイプの方だと思ったのに~いってらっしゃい~いってきますじゃなくてサヨナラ~サヨナラってどういうことなの~軽井沢って地の果てなのかしら~akiビートルズ関連の番組多いな~とか思っていたら・・・大遅刻っしょ~、復習のために8話を・・・シャブリブザー・ビートについて大森美香さんが新聞に記事を書いていたのでありました~。恋する喜び伝わっているかな~。川崎さんがさわやかすぎるのもそういうこと?・・・最後は停電で・・・予告編なし~。直前生放送で山Pがクランクアップがまだと言ってたからもう撮って出しレベルの追い込みか~がんばれブザビの皆さんなのでありました~アンナスマスマですよ~。ふう・・・久しぶりのコスにサイズが・・・成長期だからね~。みんな夏バテに気をつけて~。アンナももうおやすみしましゅう・・・ダーリンの夢をそっときゅっと見るのだぴょん

水曜日に見る予定のテレビ『新・警視庁捜査一課9係』(日本テレビ)

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2009年9月14日 (月)

忠義一途の天地人(妻夫木聡)直江状全国一斉販売中(長澤まさみ)うっとり(小栗旬)

ついに妄想で家康の断末魔を描くようになったか・・・キッドのブログを越えたな・・・。

天晴れだ・・・天晴れ天地人。

それにしても愛姫(杏)・・・なんの説明もなく蜂の一刺しをするわけだが・・・お茶の間的には意味不明の人が多いと思う。

本来、大坂城にいる大名の夫人たちは豊臣秀頼に対する人質である。たとえば菊姫(比嘉愛未)は上杉景勝が謀反人になった時点で殺されてもおかしくない立場だがすでに戦国の世ではないために拘束され監視下におかれる程度になっている。処分は決着がついてから・・・という流れである。

豊臣政権では大坂城と伏見城が共に首都機能を持っていたために主要な大名屋敷はそれぞれにある。

人質が大坂城下の屋敷にいるか伏見城下の屋敷にいるかは各大名家の都合によって変わる。

もしも直江状が実在したとしたら・・・上方の上杉屋敷は大混乱になったはずで・・・うっとりしている場合ではないのである。

その家康が上杉討伐軍を引き連れて関東に出陣する。討伐軍に参加した大名の奥方は討伐軍司令の家康の人質のニュアンスが生じる。その留守を狙って石田三成の発案で毛利輝元が大坂城を占拠するのである。すると今度はクーデター司令官の石田三成の人質になるわけだ。

この時点で・・・伊達政宗は徳川についており・・・愛姫は微妙な立場になったのである。

そこであえて・・・「けっ」て言っちゃう愛姫・・・面白すぎるぞ。

この時点では徳川軍も石田軍もどちらも豊臣軍である。

しかし・・・敵味方が生じると人質たちも混乱する。そのために・・・命を落とす人質も現れる。

そういう流れはまったく説明されず・・・うっとりだったり、「けっ」だったりもう意味不明だよな。ま、いつものことだけどさ。

で、『天地人・第37回』(NHK総合090913PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はあらすじが5項目の大盤振る舞いです。長めの五行ともいいます。妄想を含め幽かに戦の匂いがあったためでしょうかぁぁぁぁぁ。まあ「お笑い」としてはかなり傑作だったということでしょう。いつから大河ドラマがチープなコントになったのかはさておき。まあ、ムダ毛なみに処理された武将多数のこの大河。あの人もいない。この人もいないで・・・よく話が成立するよな・・・と思うこともありますが・・・話として成立していないのか・・・と気がつくわけです。しかし、ここに至って志駄義秀も下吉忠もいないというのは驚愕ですな。ま・・・畠山義春とか・・・上杉家中の乱れを感じさせる人物は極力排除という流れですからね。当然、関ヶ原寸前に家康に降った藤田信吉も抹殺です。おそろしい捏造でございます。戦の弱さに定評あるくせに作戦成功を確信した豊臣兼続・・・景勝を斬るという架空戦記でも始めればいいのに・・・。しかし・・・今回は大爆笑展開満載なので皆さんの視線も優しいみたい。ついにバカな子ほどかわいいの境地にお茶の間も導かれたのか・・・。毛利輝元の大坂城占領の正体を知りたい方は小早川隆景の秘密もお楽しみください。

Tenchijin160001 で、慶長五年(1600年)に突入である。まるで無能の人に描かれる春日山城主・堀秀治であるがすでに越後各地では上杉景勝・豊臣兼続主導による一揆が年明けから始まっており、越後国内は内戦状態なのである。秀治がその証拠を押さえれば上方に急報するのは当然なのである。そのために上杉家は豊臣家から詰問され、返答に屈している。なぜなら上杉家は豊臣内部の石田派と福島派の抗争に乗じて東北制覇を開始しているからだ。上杉家としてはまず旧領土・越後の回復。そして庄内地方から山形に攻め入り出羽地方の占領。そして伊達との決戦によって陸奥を併合し・・・会津、越後、出羽、陸奥を統合して東北に上杉帝国を築き上げようとしているのである。そうなれば関東の徳川、関西の豊臣、と本土は三分割できるという計算である。もちろん・・・そこには義理はなく欲望という人情があるばかりなのである。

冬の間に準備を整えた越後の軒猿たちは雪解けとともに各地で反乱を開始した。本庄城の村上義明、新発田城の溝口秀勝など小大名の領地では各所で城方の屋敷が襲われ、代官が殺されたり、逃げ出したりする騒ぎになっている。

一揆勢は鉄砲を含めて武装されており、すでに領内の統制は失われた状況である。越後・東北では不作が続き、百姓たちにも不満が鬱積している。一揆は扇動され面白いように火の手をあげていく。越後一揆を支配するのは樋口一族の惣領・与一である。

織田・北条・新発田と数々の激戦を生き残ってきた戦忍びはおびただしい傷跡の残る顔に笑みを浮かべる。

「さあ・・・ものども・・・こうるさき上方の侍どもを血祭りにあげるのじゃ。越後の忍びの凄まじさを弓矢鉄砲で味あわせ火をかけていたぶって目にものみせてくれよう・・・まもなく会津でも庄内でも戦の太鼓が打ち鳴らされ・・・上杉の天下がやってくるぞ・・・待ちに待った時は今ぞ・・・存分に働くがよい」

軒猿たちに組織化された一揆勢は連携し・・・かって知ったる春日城へとじわじわと圧力をかける。

景勝の上洛拒否を受けて徳川の息のかかった上杉臣下は粛清を逃れて会津を脱出する。

景勝はその動向を注意深く見守る。

「藤田信吉は失せおったか・・・」子飼いの軒猿の報告を受けた景勝の顔は一瞬曇る。小田原合戦から10年・・・。国内から戦が消えて人々の交わりは複雑となっている。敵味方の峻別は難しい。景勝が忍びを放ったと同様に家康も忍びを放っている。景勝は身内に戦国の血が蘇るのを感じる。手厚く養った小姓が・・・優しく愛撫した姫がいつ刺客に豹変するかわからぬ日々。そのどうしようもないはかなさが心を満たす。

心に浮かぶのは兼続の顔である。辛苦をともにした股肱の臣も裏切る修羅の世界。その恐ろしさが景勝の血をたぎらせるのだ。

兼続は最前線となる白河の砦にいた。東海道に放った忍びからは次々に諸城の動向が報告される。すでに上杉討伐軍は上方を発している。家康は石田や真田の送った刺客をことごとく葬りすでに江戸城に入っていた。下野・上野の徳川軍は連携して会津への封鎖を強めている。慶長五年七月・・・すでに戦は始まっている。

兼続は刻一刻と変わる状況を冷静に吟味する。徳川軍北上軍の合計は10万。対する上杉軍は5万である。そのうち3万が若松城南部に集結している。兼続にとっては上方における石田勢の蜂起の時期が問題であった。それは討伐軍と上杉軍の戦端が開かれる前なのか・・・後なのか。しかし、情報を分析しているうちに家康の意図が見えてくる。家康は待っているのだ。三成の挙兵を。つまり・・・あえて進軍を停滞させている気配が窺えるのである。

すると・・・兼続は懸命に頭を働かせる。白河での防衛戦は発生しない可能性があった。

兼続は忍びを呼んだ。「酒田の直江衆に・・・知らせよ。最上川のぼれだ」

七月下旬、庄内地方の上杉衆は酒田城の志駄義秀、大山城の下吉忠を中心に最上川沿いに出羽最上領への進軍を開始する。会津側に戦力を集中していた最上勢は各所で上杉軍に敗退する。軒猿たちはのろしで会津に勝利を意味する「虎」の符号を送る。

その頃、石田三成は挙兵していた。佐和山城に集結した犬神勢は夜陰に乗じて琵琶湖を渡り、家康の腹心・鳥居元忠の守る伏見城への攻撃を開始する。

結界を張っていた隠密衆から報告を受けた元忠は寝床から跳ね起きる。

すでに城外では戦闘が始まっていた。伏見城本丸には鍛冶場が特設されている。そこでは城内にためられた銀を弾丸に加工しているのである。

「ふふふ・・・石田勢の犬侍どもにはこの銀の玉がさぞや応えるだろうて・・・」

鳥居自慢の鉄砲衆の銀の弾丸攻撃に石田三成の先鋒衆はきゃんと悲鳴をあげる。

ついに天下分け目の戦が始まったのである。

伏見城攻城が始まって10日目の夜。しぶとく、抵抗を続ける鳥居元忠はあやしの気配を感じる。城内に侵入したものの気配があった。鳥居は片手に短筒、片手に槍を構えて待ち構える。物見の櫓から巨大な物体が舞い上がり、天守の扉を突き破る。

「うぬ・・・大谷刑部少輔か・・・」

それは巨大な蝙蝠だった。その蝙蝠から黒い物体が分離する。

一瞬の逡巡が元忠の命を奪う。黒い物体から無数の弾丸が吐き出される。

暗闇の中で穴だらけになった鳥居はそのまま、城外へ飛び出し落下する。

変身して大谷吉継となった蝙蝠男を従え、天守から連射銃をかまえた鉄砲忍びが名乗りをあげる。

「雑賀孫三郎重朝・・・鳥居元忠殿を討ち取ったり」

城の内外から歓声が起こる。豊臣秀家の軍勢が乱入しすでに城内では虐殺が始まっていた。大谷吉継は逃げ惑う小姓衆の生き血を吸い上げる。

慶長五年は八月になった。すでに徳川方は反転行動を始めている。

会津では上杉対伊達・最上連合軍の闘いが始まっている。すでに領内白石城を伊達軍に落とされた上杉軍は出羽と陸奥の二方面作戦に引きずり込まれていた。兼続の計算は徐々に狂い始めていく。

真田忍びの神八は信州・上田城へと駈ける。真田家二分の計の実行を知らせるために・・・。

関連するキッドのブログ『第36話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『救命病棟24時』『チーム・バチスタの栄光・総集編プラス』(フジテレビ)吸血鬼打ち切りの余波か・・・。

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2009年9月13日 (日)

私が愛した巡査長(速水もこみち)女の涙は煙幕よ(深田恭子)

政権交代である。民社国政権誕生によって我が国の秘密諜報部がどうなってしまうのか・・・。

非常に心配だが・・・それはキッドが心配性だからにすぎないだろう。

敗残自民党のおたおたぶりもなんだが・・・あきらかに仮想敵国のスパイである人物が入閣したりして・・・国民の良識ある選択の結果はとんでもない方向に向かいつつある。

これはもう爆笑の展開が待っているのである。それが我が国の国民にとって幸せであればいいと思う。

国際的地位がどんどん下降しつつある我が国だがもちろん世界はそれを待っているのだ。

次の首相はきっと言うだろう・・・「ゲームの世界でもっとも安全策はゲームに参加しないことなのです」と。

でもね。たぶん。きっと。シナの夜のシナが支那って書けなくなるようなことが・・・くちびるは動くけど言葉は風になる・・・。

で、『こちら葛飾区亀有公園前派出所・第6回』(TBSテレビ090912PM0756~)原作・秋本治、脚本・マギー、演出・武藤淳を見た。ついに原作からの乖離は両津(香取慎吾)にまで及んできたのである。現役アイドルであるAKB48のセレクションについて両津が知らないわけはないのである。それこそ意味もなく各メンバーの今日の下着の色まで何故か知っているのが両津なのである。「かわいー」「おもしろいー」とアイドルに言われてなははーってなるのが両津だろう。

もちろん・・・テレビ版はオリジナルでいいのだが・・・それって面白いのか。

なんとなく・・・脚本家は・・・それぞれのキャラクターが言わなさそうなセリフをあえて書いているようだ。それがファンに対しては遊び心になるのかもしれないが・・・「こち亀」を知らない人には一番魅力的なキャラのあり方を伝えてないということでもあるのだ。

そうかと思うと・・・「山田太郎ものがたり」(2007年)の執事・磯貝(綾田俊樹)のキャラをそのまま中川財閥執事・須崎に持ってきたりして・・・すごく安易である。

とにかく・・・中川は洗練されたお坊ちゃまであり・・・両津にいくら迷惑をかけられても基本的に面白がって後始末をなんとかつけるスマートさを持っている。たかだか50億円の絵画で鼻息を荒くしたりはしないのである。

さて・・・物語は「転校生」のパロディーで中川と中身が入れ替わったフリをした両津が中川家を私有化しようとする話と・・・施設の子供たちが泥棒になった話の二本立てである。

小さい子供たちが見ているのに「泥棒した人間を警官が特別に見逃す話」である。

さすがは坂本弁護士一家殺害事件に関与したテレビ局のドラマだと言わせたいのか?

ドラマなんだからいいじゃん・・・と言う人もいるかと思うがキッドは明らかにやりすぎだと思う。「サラリーマンNEO」では許されても「こち亀」でそれをやってはいけません。

この世界で泥棒をやってもいいのは両津だけだからです。その両津だって償いはいつもしますからね。

150億円の絵画を盗んで無罪放免なら警察いりません。

強盗団のエンジェルダストはゲストの島袋寛子、田中幸太郎、小柳友の三人。人間を誘拐して人質にとりチェーン・ソウで脅したりする凶悪犯を野放しにしてもいいのかよっ。

施設で育った子供は何をしても許されるんですかーっ。

ま、そんなことこの「こち亀」に言ってもムダか。

ちょっとかわいそうな子の設定がどことなく臭う麗子(香里奈)はかわいいです。そのうち、ひまわり~って叫びだしそうだ。

で、『華麗なるスパイ・第8回』(日本テレビ090912PM9~)脚本・君塚良一(他)、演出・狩山俊輔を見た。出来の悪さっていうか・・・なんだか思っていたのと微妙に違うって感じでは「こち亀」と1、2を争う「カレスパ」である。カレー・スパゲティーの略ではありません。

とりあえず・・・こちらは無理矢理混ぜた感じの人情風味とコメディー映画のパロディー・・・そして突然始まる小劇場的芝居のとりあわせが胸をむかつかせるのである。

あるいはカレーライスだと思って食べたらハヤシライスだったみたいな・・・残念な感じ。もっと下品なたとえをしたいぐらいだが自粛しておく。

突然・・・「テロリストなんて騒いでいるのはみんな軍国主義者なのれす~」と言い出す三九(杏)の謎を残したまま・・・結局、人間操縦装置というメカにコントロールされていたのだ。超科学すぎるだろう。

そして突然、始まる匠(柄本明)と京介(長瀬智也)のロシアン・ルーレット。

ロシアン・ルーレットを始める意味も意図も不明だ。

もちろん・・・ただやりたかっただけなのである。

まあ・・・百歩譲って・・・二人は死にたがっていた・・・ということにしておく。

匠と京介の頭のおかしい演技合戦はそれなりに楽しめるが全体のムードから言えばちっとも面白くないとも言える。

そしてドロシー(深田恭子)の目薬は「差したら死ぬで」クラスの威力を発揮である。

想像しただけで目が痛いのでその手の趣味の人は万歳ですね。

衛星は軌道上から都内各所に仕掛けられた生物兵器をセンシングできるし、暴風雨の進路予想とか残り時間設定とか・・・もうなんでもありの連続である。

その上・・・総理大臣の諮問機関である秘密諜報部が野党に国会で追及されると・・・そんなもの秘密でもなんでもないよう。

こんなどうでもいい状況で・・・スリルとかサスペンスとかスパイと一般人と主人公の三角関係とか・・・本当にどうでもいいでしょう。

スタッフ一同・・・人の楽しませ方の根本を見失っている・・・と考えます。

まあ・・・初回から第二回の視聴率15.6%↘*8.3%がかなり効いていると思いますが・・・忘れて・・・忘れて・・・気持ちを楽にして深呼吸。もうすぐくるしかった季節も終わり・・・すべては闇の歴史になりますからーっ。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『オトメン(乙男)~夏~・第6回』(フジテレビ0909121110~)原作・菅野文、脚本・半澤律子、演出・阿部雅和も見た。この回↘*6.0%と視聴率的には苦しいが面白さではゴールデン・タイムの二作品よりもずっと期待に答えている。

今回はヤマトナデシコの怪しい命名譚があり・・・ミス・コンテストものに突入する。

ここで「扇を矢で射れば結婚」という仕掛けが登場する。

フリでは「賞品が柳原可奈子」であるために求婚者が意図的に矢を外すが的が風で動き残念なことに的に的中してしまう・・・といういにしえの物語が紹介される。

後半では弓の名人である小針田(桐谷美玲)と都塚(夏帆)がミス・やまとなでしこの座をかけてこのゲームでの対決となる。

小針田は風のために的中を逃し・・・都塚は風を読んで的中させるというオチである。

実はこのフリオチはかなり苦しい。つまり・・・はずしたものがあたるというオチが最初から見えているからである。

もちろん・・・全体がそつなくまとまっているのでそれほど気にならないし・・・最初からわかっている結末の強化という意味ではあえてそうするのもありだと思う。

しかし・・・興をそぐことの回避という意味では伝説の中のオチは別のアイディアにした方が無難である。柳原可奈子がわざとそらした矢を風で的中コースに戻すとか・・・的が無数に出現するとか、的が巨大化するとか・・・なんでもあるだろう。「オチの絵を見せない工夫」が大切なのです。

ま・・・ささいなことですが・・・秋からプライムタイム移動なので要注意なのでございます。

関連するキッドのブログ『第3回のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)

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2009年9月12日 (土)

伝説なんだ(滝沢秀明)伝説なのか(錦戸亮)私はくだらない正義感で仕事をしているわけじゃない(木下あゆ美)

人々は正当性を求めるものだ。もちろん正しいことは悪いことではない。だが・・・絶対的な正しさというものがあるかと問われれば・・・その答えは昔から風に吹かれてしまうことに決まっているのである。

人は自分が正しいと思ったことをするのが一番だが・・・その正しさは他人にとっては正しくないものだったりする。

それでも人は今日もなにかしらの正しさを探す。

真珠湾攻撃は正しかったのか。それでは広島への原爆投下は。そして・・・セプテンバー・イレブンは。

まあ・・・誤字・脱字をなるべくしないように文章を書く姿勢はまあまあ正しいと言えるかな。

正しさを疑えばきりがないのでほどほどにしておくのは正しい・・・かもしれない。

で、『オルトロスの犬・第8回』(TBSテレビ090911PM10~)脚本・青木万央、演出・加藤新を見た。龍谷村には何百年に一度・・・神の手を持つ子供が生れるという伝説があった。そしてその子が生れると村は滅びると言い伝えられていた。

さて・・・この伝説は正しいのか・・・どうか。

つまり・・・周期的に神の手を持つ子供が生れるとして・・・その度に村が滅びるとして・・・滅びた村でどう伝説が・・・まあ、いいか。

真珠湾でも広島でもニューヨークでも生存者はいたのだからな。

滅びた・・・というのは全滅のニュアンスがあるが・・・いつだってそれを逃れる人間はいるのである。

まあ・・・伝説だっていうんだからしょうがないよね。

二宮(六角精児)の主張「神の力があれば・・・人は正気ではいられない・・・神の力にすがって・・・欲望が膨らむからだ・・・神の力を利用しようとして・・・争いが起こるからだ・・・神の力は・・・いつだって人間に不幸をもたらすんだよ」

涼介(錦戸)の主張「俺や竜崎は生きていちゃいけない人間なんだよ」

加奈(波瑠)の主張「私はお母さん(朝加真由美)を奇跡の力で治してもらうの」

爆弾魔(実は加奈の行方不明の父親=布施博)「竜崎を病院に連れてこい・・・さもなくば病院を時限爆弾で爆破する」

水川あさみ「言ってることが意味不明だわ」

後藤刑事課長(中原丈雄)「すぐに避難してください」

入院患者たち「いやだ・・・病気を治してもらうんだ」

水川あさみ「ますます意味わからん」

沢村理事官(佐々木蔵之介)「澪(熊田聖亜)の命は預った」

渚(水川)「病院に行ってちょうだい」

竜崎(滝沢)「もうヘリを飛ばす予算もないんだな」

前園(原田夏希)「私の役って・・・」

患者たち「治してくれ」

竜崎「もう時間がないからそっちで順番をきめてくれ」

患者たち「じゃ・・・全員出て行くからゆっくり治してくれ」

竜崎「・・・・・・ちっ」

患者たち(空気を読んで)「よし・・・順番を決めよう・・・誰か・・・ビンゴセットもってないか」

涼介「なんで・・・こんなことをする」

竜崎「もちろん・・・オレが理屈っぽい中学生みたいなことを言うためだ」

涼介「そんなことをして・・・楽しいのか」

竜崎「何が楽しいかは人それぞれだろう・・・このドラマのDVDを買う人がいるぐらいだからな」

涼介「・・・それ以上言ったらダメだ~」

爆弾魔の妻「あなた・・・」

爆弾魔「お前・・・」

加奈「お父さん・・・」

沢村の部下たち「医師免許がないのに医療行為をした疑いで逮捕だ」

竜崎「ふふふ・・・この国は法治国家ではないんだね・・・」

水川あさみ「まだ・・・つづくのね・・・しかも残り2回もあるのね・・・ある意味伝説よね」

熊切親子「ふふふ・・・金さえあれば・・・犯罪者は生れない・・・ある意味ね」

榊(高畑淳子)「きぇぇぇぇぇぇぇ」

錦戸「風邪治りましたーっ・・・えーっ、先週って第7回にカウントされるんですかーっ・・・まあ、総集編だけど↗*7.3%だったしね~・・・生放送トリオ万歳」

滝沢「・・・生と・・・死こそが人間をもっとも輝かせる・・・ものは言いようだろ」

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

で、『み屋本舗REBOOT・第10回(第5話「愛され上手・後編」)』(テレビ東京0909112412~)原作・栗原正尚、脚本・演出・黒田由布子を見た。架空のニュース番組「NEWS 24」でキャスター大橋未歩がお伝えするのは「旅行代理店・ホリデープラスの女性社員同士の争いは同社の社員にとって格好のエンターティメントを提供している・・・」なのである。そういう切り口のニュース見たいぞ。

さて・・・社交的で男性社員にも人気が高い後輩の青山ちはる(満島ひかり)に嫉妬した地味な先輩社員・関口(李千鶴)は・・・ちはるの表裏のある仕事ぶりを注意する。

しかし・・・醜い容貌で両親に疎まれて育ち美しい妹を溺愛する周囲の人々への怨みで歪んだ全身整形美女のちはるには関口のささいな注意が許容できない。

たちまち、罠を仕掛け・・・関口の仕事を奪い、関口の信用を失わせる。

すべてがちはるの罠だと知った関口の前に怨み屋(木下)登場である。

怨み屋は関口の社会的抹殺を100万円で引き受ける。

情報屋(加藤雅也)はちはるが整形美女だとつきとめると、ちはるのもとに工作員シュウ(小野健斗)を送り込み盗聴・盗撮の監視体制を強化する。シュウは熟女専門がタテマエだが熟女は醜女である場合もあり整形美女も醜女なので守備範囲なのである。・・・まあ、なんでもありとも言います。そしてシュウはけして多くはないちはるの貯金をホストとして吐き出させるのだった。

やがて・・・ちはるの幼馴染で・・・過去にちはるをいじめたこともある男・武田(田中周貴)がホリデープラスの社員・松島(宮崎吐夢)の大学生時代の後輩であることをつきとめた怨み屋は工作員・里奈(葵)を使って・・・ちはるのいる酒席で武田と松島を引き合わせる。

「ちはる」の名前を聞いた武田は・・・何気なく「昔いじめた同姓同名の女の思い出」を語るのである。

その「思い出」にちはるの顔はひきつるのだった。

ちはるを演じる満島はアンドロイドを演じるほどの整った顔立ちだが・・・ひきつりやゆがめなどいわゆる「変顔」のテクニックで暗闇の心を持つ整形美女の内面を文字通り表情豊かに演じていく。最後には特殊メイクで「二目と見られぬ顔」になるのだが・・・そこまでに至る美しさに潜む醜さの表現が見事です。

一方でちはるが顔を隠し月一で訪れる整形美容外科の桜井(仁木啓介)を監禁した怨み屋は情報屋を偽医師に仕立て「費用200万円の再手術をしないと顔面崩壊してしまう」とちはるの恐怖心を煽るのだった。

幼い日の自分と整形美女となった自分・・・二重人格となったちはるは夢の中で両親に冷たく扱われ泣き暮らす過去の自分を優しく抱きしめる・・・しかしそれは顔面崩壊の悪夢へと変わっていく。

美しさを維持するために必要な金は美しさを楽しむためのシュウとの交際で消えていた。

いじめを根に持つ摂食障害者でもあるちはるはプリンとビールの大量摂取を行い、すべてを吐瀉して涙にくれる。

監視カメラで冷酷にそして笑みさえ浮かべちはるを見守る怨み屋一同。

収穫の時がきたのだ。葡萄はたわわに実ったのである。

老人ホームのオーナーに偽装した怨み屋は関口が考え、ちはるが横取りした企画「身体障害者のための海外ツアー」に総額200万円の大口申し込みをホリデープラスに行う。

その金が現金で入金された日・・・社員たちは企画発案者であるちはるを祝うためにサプライズ・パーティーを会議室で準備していた。

ちはるは関口のカード・キーを盗み、金庫室に入室する。そして200万円を手にするが・・・その部屋には関口が潜んでいた。

一方、太田部長(井田國彦)をはじめ社員が顔をそろえるちはるを祝う会に届けられたのはちはるの整形を暴露するチラシと・・・金庫室のライブ映像だった。

関口「お金を盗んでまた私に罪をなすりつけるつもりね・・・私の企画を盗んだみたいに」

ちはる「へへへ・・・あの時はいい思いさせてもらったぜ・・・」

一同は隠されていたちはるの本性に驚愕し・・・金庫室に向かう。

200万円を奪い合っていた二人をとりかこむ社員たち。太田が「話は全部聞いた・・・こんなものも送られてきた・・・」とつきつけたチラシをひったくるちはる。

「ウソよ・・・こんなのウソよ・・・」と我を失うちはる。太田は「もうすべてわかってしまったんだ・・・」と改心を奨める。

「お前らなんかに私の気持ちがわかってたまるか」とちはるは200万円を奪うと逃走を開始する。ハイヒールで非常階段を駆け下りるちはる。追う社員一同。そこには挽歌が流れ出す。

やがて・・・足を踏み外したちはるは顔面から転落。整形した鼻は無惨にひん曲がるのだった。「大丈夫か」と声をかける社員たち。しかし・・・ちはるがふりかえるとそれは悲鳴に変わる。

全てが終わり・・・支払いにやってきた関口はちはるの過去を知り・・・心が咎めていた。

ただの地味な女には想像もつかない醜い女の悲惨な過去。関口はその咎めを緩和しようと怨み屋に同意を求める。「たとえ・・・どんな過去があったって・・・彼女が私にしたことは許されないってことですよね」・・・しかし、怨み屋は無言だった。

立ち去ろうとする怨み屋に関口は重ねて問う。「彼女のことをすべて知っていてどうして依頼を引き受けたんですか・・・」

怨み屋「私はくだらない正義感で仕事をしているわけじゃないからよ。また怨みが出来たらいつでもどうぞ・・・」

情状酌量が問われるのは裁判の席。怨み屋はただ怨みを代行するだけなのである。

これは・・・怨み屋がエンターティメントとして成立する重要なポイントなのである。相対的・・・歴史的に考えれば・・・絶対的な悪・・・本質的な悪などは存在できない。

しかし・・・真珠湾を・・・広島を・・・セプテンバー・イレブンを絶対に許せない人々は一瞬だが存在する。しかし・・・その怨みもいつしか風に吹かれていくのである。

怨み屋はその一瞬を金に替えるビジネスなのである。

一方・・・東京ベイテレビの星影記者(長谷部瞳)は怨み屋を追ううちに少女(柴田杏花)時代の記憶が蘇る。女の生首の刺青。女を犯す男。幼い頃に死んだ母。星影は父親に過去の出来事を問うが父親は答えることを拒絶する。そして・・・母親の墓には何者かがオトギリソウの花を供える・・・オトギリソウの花言葉は「怨み」である。

そして・・・このシリーズも最終章に向かっていくのだった。

関連するキッドのブログ『第9回のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)

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2009年9月11日 (金)

毎日死に目にあってるようなもんだよな(草彅剛)待つ身は辛いぜ(黒木メイサ)泣き虫ですから(加藤清史郎)

認知症の親を持つ子は大人だってつらい。

親が親でなくなる日がいきつもどりつ訪れるのである。

まだ8才の涼太(加藤)にはかなりつらいことだろう。

それを思う母(夏川結衣)の心もまた重いのである。いっそ一思いに死にたいと思う。

しかし・・・一命をとりとめると自分が死のうとしたことも・・・何故死のうとしたのかも・・・忘れているのである。

ああ・・・記憶よ。人の心の主成分よ・・・。

どれほど美しく知識を積み上げてもすべては無に帰るばかり。

流した汗がかわくように・・・こぼれた涙がかわくように。

で、『任侠ヘルパー第10回』(フジテレビ090910PM10~)脚本・古家和尚、演出・石川淳一を見た。実際には福祉関係とヤクザ関係はかなり密接な関係を持っているわけだが一般の人々は思ったより世間知らずなので・・・任侠ヘルパーと聞けば・・・そんなバカなと思うわけである。絵空事の世界だと。このお茶の間の空気と適当に距離を置きながら・・・ここまでのらりくらりとやってきたこのドラマなわけだが・・・最終コーナーを曲がったところでヤクザがヘルパーやって何が悪いんだという姿勢を打ち出してきたわけである。

まあ・・・外国人が日本の米を作っている時代である。人手不足だからヤクザだって使えればいいのである。

ただし・・・ヤクザの幹部候補生は・・・ヘルパーにはならない。基本的に体がきついのはイヤだからだ。彼らは当然・・・使う側となるのである。そして従業員からも搾取するし、介護サービスを受ける側とその家族からも搾取するのである。だってそれがヤクザってことですから。

前回の抗争で組長に対するクーデター未遂が発覚、鷲津組を破門となったものたちは・・・逆恨みから彦一(草彅)たち隼会系のヘルパーたちの正体を暴露するという嫌がらせに出た。・・・ま、かなり無理がありますけどね。そんな一銭にもならないことやらないでしょう・・・ヤクザは。

とにかく・・・そのことで窮地に追いやられたのは介護施設「タイヨウ」の経営者・園崎(大杉漣)である。

人手不足なのである。任侠ヘルパーたちを残留させれば・・・こわがった一般ヘルパーが退職するし・・・任侠ヘルパーがいなくなるのも困る。

ものすごいジレンマなのである。しかし・・・園崎はどこか・・・達観しているところがあり・・・別の言い方をすれば投げやりで・・・成り行きにまかせるのだった。

その結果・・・美空(仲里依紗)と松原(橘ユキコ)をのぞいて・・・一般ヘルパー全員辞職である。まあ・・・不況なのでそうなるとも限りませんが。

そのため・・・「タイヨウ」は実質的破綻状態となり・・・最後は要介護老人に対する管理不行き届きで火災を発生させてしまうのである。

まあ・・・この大筋にそって怒涛の展開というかほぼカオスで進行していきます。

また・・・この脚本家は・・・仕掛け考えすぎですから。

もうどこを見ていいのかお茶の間・・・とまどうよね。

①彦一の羽鳥晶・涼太母子に対する思い・・・愛なのか義侠心なのか分らない心で二人を見守り・・・最後は火災現場から命懸けで救出。

②ヤクザで処女のりこが彦一に奉げる初恋・・・胸倉つかんで「こっちはいつまで待てばいいんだよ・・・」・・・キスするのかと思いました。でも奥手だから無理なんだよな。

③美空と任侠ヘルパーとの絆・・・彦一に裏切られ・・・黒沢(五十嵐隼士)に乗り換えか。

④羽鳥の認知症の進行と涼太の将来の行方・・・別の家庭を持っている実の父親(陣内孝則)が登場・・・しかも福祉関係の役人である・・・こういうところがやりすぎ。

⑤羽鳥と園崎の介護施設の理念の問答・・・身体拘束の是非について・・・いや・・・そういうことを語り合っている場合じゃないだろう。お互いに。

⑥任侠ヘルパー第一の離脱者・和泉(山本裕典)は隼会若頭の鷹山(松平健)の命を受け・・・黒い噂の火消しを試みるが・・・時すでにおそく・・・マスコミに「任侠ヘルパーの存在」がリークされてしまう。

⑦たちまち巻き起こる市民運動とマスコミの大騒ぎ。ヤクザよりヘルパーが性に合うと感じ始めた黒沢や二本橋(宇梶剛士)はうなだれる。

⑧任侠ヘルパー第二の離脱者・六車(夕輝壽太)が鷹山に「隼会の多重債務者でヘルパーの資格を持つもののタイヨウ派遣」を直訴。

⑨いろいろあったんでどうでもよくなった三樹矢(薮宏太)のりこに対する発情。

⑩そして様々な人々の思いの交錯する中・・・紙の鍋を空焚きする老女に「タイヨウ」で火災発生である。ついに刺青を人前にさらした彦一は・・・美空が外野にむかって・・・「この人たちはヘルパーなんです」とかばってくれたことをありがたく思いつつ・・・「お前ら・・・うるさいんだよ・・・ヤクザなめんなよ・・・オレたちはタイヨウを出て行く・・・それでいいだろう」・・・しかし・・・そこへ役人が登場・・・タイヨウの認可について問題が生じたことを伝えるのである。早い話が業務停止命令である。姥捨て山の老人たちはどうすればいいのだ。

ネタがなくてスカスカなドラマも困るが・・・ネタの入れすぎで何がなにやらのドラマも困るのである。

まあ・・・とにかく・・・最後はきったはったに期待したいと考えます。相手は・・・お役所?

まあ・・・ヤクザと役人は基本的に商売敵なので・・・当然といえば当然なのだな。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『こち亀』(TBSテレビ)『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『牧瀬里穂の再生の町』(NHK総合)『薬師丸ひろ子の戦場のメロディー』『オトメン(乙男)・夏』(フジテレビ)『水谷豊のだましゑ歌麿』(テレビ朝日)うわーっ・・・もうだめだ。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年9月10日 (木)

季節はずれの卒業式(大泉洋)私たちの闘いはこれからだ(香椎由宇)あーっ(神木隆之介)

水曜日のダンスは・・・。

「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%・・・・・・・↗12.3%↗13.2%↗13.9%↗15.0%↘13.6%↘12.7%↘11.3%

「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%↗10.2%↘*9.2%↗*9.8%↘*8.1%↗*8.5%↗*8.9%↘*8.7%↗*9.5%

「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%↘*8.2%↘*7.9%↘*6.9%↗*7.9%↗*8.7%↘*8.3%↘*7.0%↗*9.8%

もう・・・今シーズンはステップバラバラだな。とにかく・・・20%以上いる9時台のお客さんを半分しかいただけない「赤鼻」だったということだ。

で、『赤鼻のセンセイ・最終回』(日本テレビ090909PM10~)脚本・山岡真介(他)、演出・佐久間紀佳を見た。土田英生で始まった脚本家のリレーは根本ノンジ、佐藤久美子、高梨一起を経て山岡と根本で終わりである。かってな推測だが・・・最後は根本はゆうたきいた担当だったのだろう。人は笑うために生きている・・・という結論をいただけばこのドラマは嗤われるために作られたと言えるだろう。

もちろん・・・嗤われるのが嫌な人ばかりではないのでそれはそれで幸せなことなのかもしれない。終ってみれば平均*8.3%でこの枠の前作14.8%の半分ほどの視聴率だがこの時代としてはまあまあなのかもしれないし。

そうなった原因についてはこれまで書き続けてきたのでもういいだろう。

とにかく・・・最後はこれでもかというハッピーエンドである。

職業的なお笑いというものは・・・「人を笑わせてお金を稼ぐ」ということである。よく「笑わせる」のであって「笑われる」のではないというプロの流儀が語られるわけだが・・・受け手は「笑えれば」どちらでもいいのである。

だから「お笑い」と称して笑えなければ嗤われるということだ。

いくつかのボケとツッコミをした後で兄弟愛の話を始めるゆうたきいた(まえだまえだ)は誰がいい話をしろと言った。泣かせてどうするである。

感染症を併発し・・・生死の境を彷徨う急性骨髄性白血病の患者・和田(須賀健太)の耳元でインターフォン越しに「日本史の授業」を行う赤鼻のセンセイ(大泉)・・・。必死の治療をする白衣のセンセイ(香椎由宇)・・・。ここは病院だから生と死はいつも隣り合わせ。

盲腸で入院した時に赤鼻は隣のベッドの患者・漆原(ダンカン)の死に触れる。

しかし・・・その臨終には立ち会わない。この世に「死」のあることを隠蔽するのは・・・優しい配慮であり現実逃避である。

だからインパクトは薄い。しかし・・・それもまた一つの「手」ではある。

そういう意味で実は第1回で和田と八重樫(神木)そして田中(高良光莉)の中学生トリオも「死」に触れている。しかし・・・それはドラマ開始前の出来事でやはり隠蔽されているのである。「仲間である子供の死」に傷ついた彼らと・・・赤鼻が出逢うところからドラマは始まるのである。

「死」の影は彼らの心を暗くする。それに対して赤鼻は三流教師の上に超三流のお笑いのセンスしかないくせにお笑い好きという無邪気な男だった。

長期入院中の子供たちのための院内学級の実質上のボス(校長)であるシルク(小林聡美)が前途を危ぶんだのも当然である。

しかし・・・赤鼻は持ち前の無神経さで・・・子供たちと交わっていく。その過程で彼らの死の影は薄くなり・・・そして赤鼻は少し大人になったのだった。

大人になるということは死の影に慣れ親しむことだからだ。

やがて赤鼻の無邪気さは病院全体に浸みこんで病院は奇跡の空間となっていく。

お笑いの基本に「ボケとツッコミ」があるが・・・この場合の「ボケ」とはピントのずれた「何か」を示す。

たとえば「人間は絶対に死なない」と断言するのは強烈なボケと言えるのである。

なぜなら「人間は絶対に死ぬ」と誰もが知っているからである。

もちろん・・・それが事実とは限らないのだが・・・ここは相対的にそうだということにしておきます。

とにかく・・・赤鼻の愛した子供たちは死神の目を逃れるのである。

そのために白衣は「子供たちにとって病気が治ることだけが幸せなことではないかもしれない」などと医師としてあるまじき妄想にとりつかれる。

さらにシルクは「赤鼻はいい人間だしいい教師だ」と言い出し最後はハグまでする意気投合ぶりなのである。

瀕死だった和田は造血幹細胞移植のドナーが見つかり生存率が高まった。もちろん・・・それでも完治するかどうかは確率の問題である。だが・・・希望の灯は点ったのである。

八重樫は高校進学が決まり・・・院内学級閉鎖に伴う卒業式では退院者として答辞を読む。滅菌室(クリーン・ルーム)にいる和田に「送辞を読んでくれよ・・・掃除のいきとどいたクリーン・ルームから」と気の利いたジョークを言うのである。そのあまりのつまらなさに一同はほがらかに笑うのである。

もちろん・・・それは無理のある笑いだが・・・無理にでも笑わなければいけない瞬間は人生にはつきものなのだ。

その笑いに勇気をもらったダメ院長(上川隆也)は父親(神山繁)に「院内学級」の廃止中止を訴えるのだった。もちろん・・・この父親こそが赤鼻の持つ奇跡の能力を信じ・・・院内学級にスカウトしてきた張本人なのであることはお茶の間の記憶のいい人は知っている。

つまり・・・すべては院長の父親の親バカのなせる物語なのである。

その心底にあるのは「バカな子ほどかわいい」という真理である。

そしてめがねっ娘・田中はめがねをはずしたらかわいいをアピールしつつ、「高校受験」を宣言するのだった。

めでたしめでたしである。これを楽しめた人はそこそこおめでたいと考えます。

花咲き招く明日へのこの道

虹の彼方へ行こう

いつか旅立ち「サヨナラ」する時も

君は笑顔でいてね

原由子にそんな風に歌われたら・・・はにかむしかないのである。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』『メイド刑事』(テレビ朝日)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』『田中麗奈・鈴木杏の派遣のオスカル』(NHK総合) 

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2009年9月 9日 (水)

永遠に生きるくらいなら塵となった方がましさ(中山優馬)失われたひと夏のトワイライト(加藤ローサ)喪服女医24時(松嶋菜々子)

火曜日のドラマ対決は①「救命病棟24時」↘18.8% ②「恋して悪魔」↗*7.5%である。

最終回の「恋して悪魔」は平均*6.6%・・・なかなかに獣の数字だが*6.66%ではなくて*6.64%なのだった。ちなみにすでに最終回を迎えた「ダンディ・ダディ?」も平均*6.6%だが・・・実は*6.59%なので中山優馬は舘ひろしに勝ったとも言える。・・・まあ凄くレベルの低い勝負ですがーっ。

「恋して悪魔」はヴァンパイアを大人ヴァンパイアと子供ヴァンパイアに分け・・・「子供ヴァンパイアはハンガー・ストライキで餓死できる」というおバカなアイディアをお子様ランチ風に仕上げたある意味自殺礼賛物語として完結した。こわいものを知らないってこわいな。

ああ・・・ヴァンパイアの先輩がカイト(近藤真彦)でなくて進藤先生(江口洋介)だったらどうしたろうか。

ルカ(中山)「オレは・・・愛する女をヴァンパイアにしたくないんだ・・・」

進藤「わかった・・・とりあえず輸血だ・・・」

ルカ「・・・すみません・・・オレは永遠を拒絶したいんだ・・・」

進藤「永遠をためしもしないで・・・どうして否定する・・・」

ルカ「ヴァンパイアとして生きることにどんな意味があるんだよ」

進藤「生きることに意味なんか最初からない・・・ただ生きていけばいいじゃないか・・・」

ルカ「・・・」

真琴(加藤)「あの・・・私はどうすれば・・・」

進藤「今、治療中です・・・小島・・・この人から採血してくれ」

小島(松嶋)「はい・・・進藤先生」

ルカ「ほっといてくれよ」

進藤「オレは目の前の患者を死なせない・・・相手が人間だとかヴァンパイアだとか・・・関係ないだろう」

まあ・・・とにかく・・・下北沢あたりで一部ファンをロマンチックな気分にさせるのが関の山の作品をお茶の間に見せるなよ・・・ということだな。深夜でひっそりやる分には構わんが。

香織(桜庭ななみ)「あの・・・私は脱がなくていいんですか」

澤井(ユースケ・サンタマリア)「できれば・・・この後、『ぷっ』すまで・・・あの子が水着にきがえたらって企画があるから・・・そっちでお願いできるかな・・・でも・・・とりあえず脱いでもらおうか」

・・・いい加減にしとけよ。

で、『救命病棟24時(第4シリーズ)・第5回』(フジテレビ090908PM9~)脚本・小川真、演出・大木綾子を見た。ついにここまで毎回脚本家チェンジである。なんとなく気の抜けたサイダーのような作品が続いているな。どこかで見たようなネタを繋ぎ合わせてでっちあげているような・・・。結局最後は・・・仁術と算術の対立です・・・みたいな。

今回は母づくしである。フィアンセ(石黒賢)を事故で失って以来、四年間も男性と交際していない娘を案じて小島の母(赤座美代子)が登場する。「結婚して家庭を作り子供を養育しないと孤独死が待っている」と脅迫である。小島は「任侠ヘルパーによると子供がいたって看取られない場合があるみたいよー。お母さんだって私に看取られるとは限らないってことよ」とぎゃふんと言わせるのだった・・・おいっ。

東都中央病院高度救命救急センターに子供が熱中症で搬送されてきた。母親はパチンコに熱中して車内に放置したのである。またまだ暑い日がありますけどネタとしてはやや季節はずれ。

小島が注意すると母親は「あたしだって忙しいんだ・・・育児経験のない人にとやかく言われたくない」と逆ギレである。

ナース横溝(市川実和子)は沖縄のインストラクターと遠距離恋愛中・・・休暇がとれないと子作りもできないのだ。まあ・・・かなりやっつけのネタである。ナース坂口(西原亜希)もナース鴨居(北乃きい)も独身だが・・・看護師長・堀田(山野海)も独身だった。

救命唯一のママさんナース・山城(木村多江)は幼い子供から「ママはボクより病気の人の方が大切なんだよね」と言われて悩んでいる。その問題は一度クリアしたのに再燃である。問題を深めていくと言うよりくどい感じがするぞ。

山城の子供がケガをして入院。夜中に病院を走り回る。お尻ペンペンしろよ。

元教師の老女(りりイ)が腰痛を訴え搬送されてくる。末期ガンであることが判明。告知するかどうかで・・・悩む小島・・・高度救命救急センターの仕事ではない。落ち着いたら内科に転院だろう・・・ここは総合病院だろうがっ。

身寄りがない・・・母にならなかった老女の死・・・さぞや淋しい葬式だろうと寝るヒマもないくらい忙しい小島は参列に向かう。しかし・・・そこには教え子たちがはるか地平線の彼方まで列をなし・・・生前の老女の好きだった「椰子の実」を合唱するのだった。ウソくせ~。おい・・・泣くとこだぜ。ファンタジーなんだから。

「どんな人生だって死んだら葬式に誰が来たかなんて分らないわよね・・・死後の世界を信じない限り・・・私は今を生きるしかないのね」となんとなく思う小島だった。

まあ・・・じっくり見ればそれなりにテーマが浮かびあがるドラマとは言える。しかし・・・凄く面白くはないのだった。ま・・・それでいいのか。「水戸黄門」としての医療ものだからな。

もはや・・・そういうドラマは存在しない理想と現実の狭間とやらを捏造するしかないのだ。

つまり今や・・・日本には理想もないし現実もないのです。・・・おーいっ。

いや・・・ないでしょう。誰もが理想と思う理想とか。誰もが現実と思う現実とか。抽象論ではなく・・・実感として。たとえばこれから「欲しがりません、数値目標達成までは」という政策を実行しようとしている政党を国民が選択しちゃったわけですから。次に来るのは「人はパンのみで生きるものにあらず」です。まあ・・・なんか食わないと死にますけどね。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ・最終回』(フジテレビ090901PM10~)脚本・小川智子、演出・村上正典を見た。平均視聴率で火曜10時ドラマの歴代最低平均視聴率を獲得したこのドラマ・・・。あの「喜多善男」平均*7.1%を下回るとは・・・ま、当然と言えば当然か。

ヴァンパイアになるくらいなら死んだ方がましだ・・・という理念に従わないものは抹殺されそうな世界である。

なんでもありにも程があるよね。

ついに最後までヴァンパイアになるリスクというものが明確にされず・・・「オレが嫌なものは嫌なんだ」という好き嫌いを安易に肯定する子供っぽさで押し通しましたーっ。

誰かーっ・・・頭のいい人/ヴァンパイア・・・ルカを説得しちゃってくださいよーっ。

・・・最後はヴァンパイアの生命力が勝つと楽観していたカイト。

しかし・・・ルカの「人間としての死」への憧れは異常といえるレベルだったのである。

それはついにヴァンパイアの本能を凌駕してしまう。

あせったカイトはルカと真琴を窮地に追いやることでルカの永遠への嫌悪を除去しようとする。

しかし・・・あくまで人間として死にたがるルカに効果はない。

一種の宗教にとりつかれた人間を解放することの難しさをカイトは味わう。

つまりバカは死ななきゃ治らないということだ。

ルカは自己満足をあくまで追求し・・・自分の正しさを主張するのだった。

その自己陶酔の波は周囲の人間を巻き込んでいくのだった。

そしてルカは一人よがりの死を迎える。恋人を残し将来を悲観して自殺である。

そして・・・あげくの果てにすべてはなかったことになるのである。

ルカとのキラキラした初恋も友情もクソもミもフタもないのである。

しかし藤井(姜暢雄)に対する真琴の態度を見ると真琴だけは記憶を残しているようだ。

そうなると・・・ルカが藤井には真琴を渡したくないだろうとカイトが気をきかせたことにになる・・・。それはそれとして・・・カイトの運命の女はどこでなにをしているのかな。

それから・・・カイトは永井豪のコミック「デビルマン」を呼んでいたことは確実である。

一種のデビルマン幻想の構築だからな。すごく・・・チープな・・・もう言うのはよそう。

とにかく自分の手で真琴をヴァンパイアにしたくなかったから消えたルカ・・・すると残酷なヴァンパイア・ハーデス(横山裕)が引き返してきたら・・・誰が真琴を守るのかな・・・。

まあ・・・ヴァンパイアの中にもどうしようもない愚か者がいるということです。

さてさて・・・とても満足できた代物ではないけれど暗闇に潜むもの。月光に支配されしもの。人の心とは別の粒子で構成された魔界の「それ」は・・・謎めいていて人知の及ぶことではない・・・という空気はありましたね。

そして・・・命よりも大切なものがあるというテーマも悪くはないです。

あえて解読すればすべては・・・恋人を事故で失った女子高生が・・・心神喪失状態となり長い長い夢を見ているということですからね。

まあ・・・キッドは史上最低の夢オチだったなぁと思います。

だって絶望的に面白くなかったんですもの・・・。

ただし・・・これは香織=真琴の物語なんだと思えば・・・とにかく・・・心を鎮めることはできるでしょう。

この夏・・・素敵な思い出作りに失敗したなぁ・・・と思っているあなた。

けれど・・・もしかしたら・・・あなたはヴァンパイアとひと夏の恋をしたのかもしれない。

きらめく青春で二人かさねたメモリーが消去されてしまっただけなのかも・・・。

机の中になぜか・・・写した記憶のないあなた一人のスナップ写真が一枚あったとすると・・・それは本当はツーショット写真だったのかもしれませんよ。

ほら・・・夏の終わりを告げる風に甘酸っぱい匂いを感じませんか。

それこそが・・・輝く塵となって消えたあなたの愛したヴァンパイアの残り香なのです。

木曜日に見る予定のテレビ『石橋杏奈の猿ロック』(日本テレビ)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『野波麻帆の科捜研の女』(テレビ朝日)『東京少女岡本杏理』(TBSテレビ)

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2009年9月 8日 (火)

ただ愛していると云ってくれ(山下智久)息をしてもいいですか(北川景子)会心のブザー・ビート(相武紗季)

直輝(山P)・・・恐ろしい男である。昔、こっそり隠しておいた昔の恋人の写真をその時の恋人に発見され写真ごと焼かれそうになった経験のある男なら絶対に云えないことを平気で云うのである。

「元カノの悪口を言わないでくれ・・・彼女とは君の知らない素晴らしい思い出が一杯あるんだ。それを汚すようなことを云うような人は嫌いだ」

餓えで苦しんでいる人がいるので恋人をステーキにして差し出すような善人のセリフである。

そんなことを悪気もなく言われた恋人は・・・あいた口がふさがらなくなるのが自然である。

しかし、直輝のさらに恐ろしいところは・・・そういう自分の独善的な「愛」が誰かを傷つけるはずはないと本気で信じている気配が濃厚なところなのだな。

いつでも自分の信念を第一に考える人は・・・自分がよかれと思って秘密にしていたことが発覚すると・・・うろたえ・・・そこに「悪意」がないことを主張することで精一杯になる。そして・・・なぜ秘密が発覚したのかという肝心な部分を見過ごすのである。

莉子(北川)もまた・・・「直輝のことだけを考えている」と云いながら川崎(伊藤英明)に対してガードが甘すぎると批判する人もいるだろうが・・・愛の天使・直輝にかかったらどんな乙女もこうなってしまうというところがポイントなのである。

好きな人がいながら他の人に身を委ねる女。あえて「ビッチ」と呼んでもいいだろう。しかし、莉子も菜月(相武)も・・・直輝にかかれば・・・そうなるしかないのである。まさに・・・直輝こそは「ビッチ製造マシン」という凶悪で美しいラブ・マシーンなのだ。

そのどうしようもなさを・・・いつものように冷徹に描ききる今回。本当に悪魔のシナリオだね・・・ファンタスティックだね。視聴後ただちにドラマだってことを思い出さないと登場人物のそれぞれのせつなさで胸がはりさけちゃいますから~。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「コールセンターの恋人」↗*6.1%(ミムラの悲しい過去・・・ピントがズレすぎ~)、「ホストの女房」*8.7%(虚飾の世界の実録ものという矛盾)、「オルトロスの犬(生)総集編」↗*7.3%(ハハハ)、「派遣のオスカル」↗*6.3%(ダブルがんばっていきまっしょい)、「こち亀」↗*6.5%(アニメだと思えば並)、「再生の町」↗7.9%(あげたーっ)、「華麗なるスパイ」↘*9.9%(さげたーっ)、「オトメン・夏」↗*6.3%(夏帆のヴァイオレンス不足)、「サッカー強化試合・日VSオランダ」17.1%(だから憲法九・・・ぐふっ)、「ジャングル大帝」13.1%(パンジャの子は高所恐怖症を克服)、「天地人」↗20.4%(歴史は死んだ)、「官僚たちの夏」↘*7.5%(国産機無惨)・・・ついでに「ブザー・ビート」↘15.0%・・・以上。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・第9回』(フジテレビ090907PM9~)脚本・大森美香、演出・永山耕三を見た。激しい雨の中、重ねた手を・・・なんとかふりほどく直輝・・・。もはや愛のデストロイヤーと化した菜月はじっくりと直輝を観察する。直輝には困惑が浮かんでいる。そこには愛の残り火が確かに感じられるが・・・その傾斜は新しい女と自分の間で幽かに揺れている。しかし、まだシーソーのようには動き出していない。もし動いているとすれば直輝は手をほどかないだろう。直輝は「友達と約束」があると言う。その友達が莉子を指しており、莉子と直輝が友達以上の関係であることは菜月にはお見通しである。しかし・・・直輝の中にある菜月への未練と・・・性格上の特性から直輝はその場を動くことはできない。

菜月は素早く計算する。「直輝を束縛すること」と「直輝を解放すること」の損得を。その結果・・・菜月は「解放」を選択する。直輝は菜月に生じた「ただならぬこと」を感じ、それについては好奇心を持っている。これは「種火」である。この「種火」を消さないことこそが肝心だと菜月は考える。

「私は大丈夫・・・だから行って」

直輝はその場をとりつくろうために「仲間に対する仲間による好意」という「きれいごと」で「自分の中の菜月に対する未練」を隠蔽する作業に固執する。

「一本しかない傘」と「タオル」を渡すこと。それが「もうひとつの別の愛への裏切り行為」だとはまったく考えない。

菜月は慣れ親しんだ直輝のその挙動の意味を吟味する。

菜月は考える。直輝の愛を取り戻すことはできないかもしれない。しかし・・・直輝の新しい愛を壊すことは簡単にできるだろう。

(だから・・・私はここから立ち去ろう。直輝はそれで安堵し・・・同時に後ろめたさを感じるだろう。だが・・・誰にだ?・・・私にか・・・それともあの女にか」

菜月はほくそ笑みながら・・・苦渋する。

直輝は「愛している女」との約束を簡単にやぶった自分を認めない。それは「仕方のない成り行き」で「裏切った相手を愛しているから大丈夫」ということである。

しかし・・・菜月には分っている・・・直輝の「愛」が相手を手ひどく傷つけることを。

直輝は待ち合わせの公園で莉子を発見する。直輝の「愛に対する自信」は深まる。・・・ほら・・・こんなにも愛されているじゃないか・・・。

しかし・・・自分の裏切りによって相手の予定が狂ったことにはほとんど配慮しないのである。

そして愛する者を相手にすぐにばれるウソをつくのだ。「練習が長引いた」・・・そのウソがいかに安易なものであるかは後に莉子と同居する秦野(溝端淳平)が帰宅して「練習が早めに終ったので麻衣(貫地谷しほり)と食事をした」でバレることからも明らかだ。

しかし・・・菜月はそれを待つような悠長なことはしない。

自分に対する「直輝の愛の種火」が消えないように・・・莉子に楔を打ち込むのである。もちろん・・・莉子はそれを拒否することもできるのだが・・・莉子もまた「人に優しくすること」に慣れた無防備さをさらけ出す女なのだ。

「直輝と一緒でしょう。友達と会うと云ってたから・・・あなたのことじゃないかと思って。あなたたちの約束の邪魔をしてごめんなさい。でも直輝は悪くないのよ。私が傘をもってなかったので・・・直輝が走ってきて傘とタオルを貸してくれたのよ・・・直輝が私のためにしてくれたことであなたの予定が狂ってしまったらすまなかったわね。でも・・・直輝は今、大事な時期だから風邪をひかないように注意してもらいたいの。それじゃあ・・・また食事でもご一緒しましょうね」

暗い部屋同様に莉子は菜月の暗黒の力にぐいぐいと引きづりこまれる。

そして・・・冷たい雨に打たれて待ったご褒美の時間はキスもなく抱擁もなく終了するのである。

菜月の指図通りに・・・直輝の体調管理のために部屋を送り出した莉子は直後に帰宅した秦野・麻衣カップルにより・・・「直輝がウソをついた」確証を得るのだった。

一方・・・自宅で一風呂浴びた直輝は「思い浮かぶのは莉子の笑顔ではなくて・・・菜月の哀れな後姿だった」などと浸るのである。直輝・・・再び・・・恋愛の崖っぷちに立っています。

さて・・・今回はオープニング主題歌ありである。成り行きから印象に残るのは莉子と直輝が子供の遊具であるブランコに乗り・・・はしゃぐ姿であろう。一見楽しそうだが要するに二人は激しくすれちがうのだ。

これは「二人の運命」のすれ違いを象徴するものだろう。さらに云えば・・・「それぞれの夢」をである。

直輝の夢である「プロ・バスケットボール・プレイヤーとしての成功」は国内リーグでの優勝や、日本代表への選出、そして本場米国への進出とまだまだ道半ばであるが・・・莉子の夢である「ヴァイオリニストへの道」はほとんど閉ざされつつある。

もちろん・・・両者の夢を描く時間配分は残されていない。かといってこのままでは莉子はなんの希望もないヒロインになってしまう。

そこで謎の客であった男(升毅)が三回目の登場でいかにも「クラシック音楽界の実力者」である八尾先生であることが明確になる。しかも「莉子の演奏を酷評したのは発奮を促すためである」と述べた上で「なんらかの音楽的事業」のために演奏者としての莉子に接触しようとしているのである。もちろん・・・部下の仕事次第では・・・ついに間にあわない事態もあるわけだが・・・よくあることです・・・とにかく・・・いつでも緊急救助ができる伏線は張られたのである。同時にそれは・・・莉子と直輝の破局の可能性を高める効果も含むのである。

これで少なくとも莉子と直輝の「夢」のお茶の間的なバランスし確保できた。ただし・・・夢に向かって着実に進み始める直輝と・・・ほとんど絶望状態の莉子の対比は続く。

今週の「A DAY IN THE LIFE/THE BEATLES」のインストゥメンタル挿入はそんな二人の一日である。

莉子は直輝約束破りのために一日遅れで山梨県の実家に到着する。田舎道で出迎える母(手塚理美)は背景にひまわりを背負い、莉子に慰安を与える。莉子は食事を与えられたちまち1500グラム増量である。莉子の都会での暮らしがけして楽ではないことがわかる。闘う莉子の歌を闘わないやつらが嗤うのである。

菜月は即行でタオルをクリーニングし・・・手紙を添えて直輝に届ける。直輝はあろうことか匂いを嗅ぎ郷愁を感じる。チームの身体検査で直輝は1500グラム増量である。莉子が痩せていた時期に太ったということだ。そして・・・ルックスのよさを買われチームを代表してシーズン開幕の記者会見に宇都宮(永井大)と参加する。田舎で「父親が来年定年退職になる前ならコネクションで就職先が確保できるから・・・ヴァイオリンをあきらめて帰ってこい」と最後通牒を母親から突きつけられる莉子と・・・その他大勢ながらスポットライトを浴びる直輝。

二人の一日は激しく軋みをたててすれ違っていくのだった。

重大な裏切り行為をしながらまったく自覚なく・・・莉子との話題の種にしようと「ヴィバルディのヴァイオリン協奏曲集・四季」のCDを購入する直輝。

直輝だって一生懸命愛を育てようとしているのである・・・ただし・・・中学生のようにだ。

のほほんである。のほほんついでに代々木(金子ノブアキ)としおん(小松彩夏)のデートを目撃する。

直輝と別行動の宇都宮は菜月を誘いケーキを食べる。

これまでの経過から宇都宮は「相手のいる女性に長い間片思いしていることが分る」のだがその相手が菜月である可能性はかなり高まってきた。そうだとすれば全く穏やかにつらい恋の日々を宇都宮は送っているのだ。そうなのかもしれない宇都宮に菜月は知ってか知らずか・・・心情を吐露する。

「私・・・今・・・心の醜さが顔に出ていませんか。私・・・直輝はつぶれてしまえばいいと思ってるんです。私をふって・・・その後で直輝が幸せになるなんて許せないと思うんです。同時に直輝とやり直したい・・・直輝をもう一度振り向かせたいという気持ちで一杯なんです。愛と憎しみがせめぎあって息をするのも苦しいくらい・・・直輝がそんな私を残して・・・誰かと幸せになるのを祝福するなんて夢のまた夢なんですよ」

菜月もまた邪悪ではあるが冷たい水の中をふるえながらのぼっているのだ。

先行系カップルである秦野と麻衣は宇都宮たちチームメイトを集めてあっさりと交際宣言をする。その席に招かれた直輝は・・・麻衣に「莉子がまたマグカップを狙っている・・・あなたとおそろいにするためにね」と告げられニヤリとする。しかし・・・「川崎さんが帰国したらはっきりさせるから・・・それまでは秘密にしてくれ」と麻衣に頼むことを忘れない。麻衣はその態度に不穏なものを嗅ぎつけるが「もしも莉子を不幸にしたら許さない」と釘を刺すしか術はない。そこで直輝は・・・「莉子の夢についての情報」を入手するのだがまったく有効活用しないのだった。ゲームならバッド・エンディングに確実に向かう勢いである。

闘うものたちの歌を闘わないやつらは嗤うのだが・・・闘うものたちはお互いの歌を聴いている余裕がないものだということだ。

「ロッキー」や「フラッシュダンス」など・・・「夢を追う者の苦闘の果ての成功物語」はエンターティメントの基本の一つである。

基本的に学歴社会は競争社会の一つの側面である。「学力試験」により順位が決められ上位のものほど社会生活を優位に送ることができるというのはある意味では平等主義でもある。しかし・・・それは機会の平等色が強く、結果においては不平等だという考え方もある。そういう意味で、スポーツや芸能はある意味で学力以外の実力があるというセーフティーネットでもある。しかし・・・当然・・・学力の競争以上に熾烈な闘いが繰り広げられることになる。

闘いを観ることは伝統的な娯楽なのである程度様式化されていると言っていい。

そこで語られる夢はあえてリアルである必要はないが・・・実現可能であった方がいい。

そういう意味では学力競争の中である意味、体育や音楽の分野に特化したにすぎないバスケットボール・プレイヤーやヴァイオリニストは分りやすい素材だろう。

現実では「恋と夢」の実現の有無は各自の能力差に尽きるということができる。しかし・・・苛酷な競争をしている場では・・・夢以外のものを犠牲にしたものが成功する方が分りやすい。

ある程度、成功した上で・・・「プロ野球選手にはなったけど・・・恋のひとつもしないでオレは人間としてどうなのだ」と悩むという「手」があるからである。

もちろん・・・ダルビッシュのように勝利もサエコも手に入れる「手」もあるわけだ。

青春物語は・・・ある意味・・・この「恋」と「夢」のバランス加減の勝負なのである。

とにかく・・・ブザー・ビートが・・・夢を追う男女とそうではない女の三角関係であることは今回かなり強調されるのである。

人間には二通りしかない。「夢をあきらめないもの」と「夢をあきらめたもの」である。だから・・・どちらかの立場がよく分るのであり・・・全員がドラマに感情移入できる手法だと言える。

中盤は・・・東京に戻ってきた莉子に菜月が特攻することにより・・・人々の心は真っ二つに分かれるのである。

菜月「川崎さんが帰ってくるのにうれしくないのね。どうしてかしら。もしかして浮気とかしているから。浮気をするのは仕方ないわよね。私も直輝に大切にされていても浮気をしたし、だって大切にされたからってどうにもならないことってあるじゃない。生活とか生活設計とか出産に育児に老後の生活、病気やケガをした場合の備え。マネーよ。マネーが夢より大事。私は直輝にそのことを分ってもらいたかった。それなのに直輝は私からあなたに乗り換えた。すごくむかつくわ。夢を追いかける仲間同士で意気投合なの。かなうはずもないドリームちゃんで話題にことかかないわけ。綿菓子のような甘さでお口がネバネバ。そのくせ大事なことは何一つ分かち合わない。肝心なことからは目をそらすのよ。直輝が足に爆弾を抱えていることだってあなたは知らないでしょう・・・あなたたちは夢だけのおつきあいよね。そして世間にちょっと冷たくされたらお互いの傷口をなめあうのよね」

設定上・・・口下手の莉子はもう・・・返す言葉がないのである。

絶体絶命の莉子を麻衣が救助する。

麻衣「言いたいことがあれば・・・本人に直接言って・・・あなた・・・今夜は泣くと思いますって別れた男の今カノに電話をかけるために今カノの友達になろうとするなんて順番が違うでしょう。そういうのは私が莉子に彼氏を取られたときに土曜でなけりゃ映画も早いホテルのロビーもいつまでもいられるわけもないって悪女になったりするものでしょうがっ。あんたはただの最悪逆上変則ストーカーじゃない・・・もう・・・警察呼ぶわよ」

菜月「・・・」

莉子「私・・・私の夢なんか・・・もうダメっぽいし・・・私をいくらバカにしたっていい・・・でも・・・カレのことをバカにするのは許せない。カレはきっと夢をかなえるんだから・・・カレは凄いんだから・・・」

菜月「あなたって凄くバカね」

麻衣「あなたはかわいそうな人・・・人を攻撃することでしか関係を作れないのね」

菜月「今・・・あなたがしているようにね・・・」とは菜月は反論しない。菜月の計画はすでに達成されていた。菜月の憎しみは確実に莉子に転移しただろう。莉子がどうあがこうと情報の持つ力は・・・彼女の愛を内側から蝕むのである。

菜月はそのことをよく知っていた。なにしろすべては過去にあったことなのである。

菜月は「そこにいるあいつを電話に出してよ」とは言わないのだ。その代わり・・・莉子に口移しをするのである。言葉は必ず伝言される。そして本人の意思とは関係なく・・・必ず愛を壊すだろう・・・。菜月は邪悪な吐息をもらす。

そういう女に生まれてきたのだ。傷つける爪だけがぬけない棘のように光る。その爪だけが神様の贈り物。冷たいゲームをするほかないのである。

それでも莉子は耐えた。もう・・・夢を追いかけて暮らす日々は終るのである。そうしろと大好きな優しい母が言うのである。残る願いはとにかく少しでも直輝と一緒にいたい。それだけだ。

直輝はそんな莉子に明日逢おうと約束する。

しかし直輝には莉子の心情を思いはかる気持ちは微塵もない。

直輝は自分の夢で精一杯、その上、危険物である菜月の手紙が気になってしょうがないのである。

ヴィバルディの四季・・・協奏曲第三番「夏」のプレストが「急速に」であると莉子から教えられ・・・まったりとするのだが・・・目の前に大荒れの夏の嵐が来ているという危機感皆無なのである。

そして・・・代々木が自分から奪った菜月を「もろ・・・ビッチ」呼ばわりすると・・・理性がふきとんで殴り合いを始めるのである。もちろん・・・それは菜月の不実を目撃したあの日からずっとくすぶってきた「怒り」の発露に他ならない。

もちろん・・・直輝はそんな自分にまったく気がつかない。ただ・・・菜月が不憫だからそうしたと仲裁に入った宇都宮に告げる。

宇都宮は・・・片思いの相手が菜月だとしたらすでに変態レベルの自制心で・・・「菜月とやり直したらどうだ・・・」とアドバイスするのだった。

直輝は一瞬迷うのである。そして莉子との約束をすっぽかすのである。しかもそうなったいきさつは当然の如く隠すのだ。

もちろん・・・秦野から莉子に情報だだ漏れである。

深く深く闇に沈む莉子の乙女心。裏切りの裏切りの裏切りなのである。

翌日・・・まったく悪びれず・・・莉子の前に姿を見せる直輝。

バスケットボールのドリブルでお呼び出しである。

直輝・・・ある意味・・・恐ろしい男です。

直輝がしている隠し事について問い詰める莉子。この期に及んで・・・何が悪いのか分らない直輝。

ついにあふれ出す・・・莉子に埋め込まれた菜月の邪悪な言葉たち。そして・・・恋敵を庇う心情と女の意地と持って生れた性格から菜月の仕打ちを抜きにする莉子。

直輝「なぜ・・・菜月の悪口を言うんだ・・・それが君の本性なのか・・・君の口からそんな言葉は聞きたくない」

莉子「私は・・・傷口をなめあうのに都合のいい女だってこと・・・」

直輝「君が何を言ってるのかわからない・・・」

莉子「私があなたのことを考えているときに・・・あなたは昔の恋人のことを考えている・・・どうしていつも私を見ていてくれないの・・・」

直輝は驚愕した。莉子にそう言われるまで・・・自分が莉子を裏切っていたことにまったく気がついていなかったからである。しつこいようだが・・・直輝・・・本当に恐ろしい子だ。

莉子は直輝の答えを待って・・・部屋に戻っていく。直輝が本当に私を愛してくれているのなら・・・せめて追いかけてくるだろうと思ったからである。

しかし・・・直輝は考え込んでいたのである。自分が本当に愛しているのが誰なのかを。

その間・・・途絶えることなく莉子は苦しみ悶えながら底なしの沼に沈んでいくのだが。

直輝が答えを出したのは・・・翌日・・・待ち伏せを仕掛けた菜月が再び攻撃したからである。

菜月「代々木とは終ったの・・・私とやりなおしてくれないかな・・・」

直輝「君には感謝している・・・でも・・・僕は別の道を行くよ・・・」

菜月「莉子さんと行くのね・・・」

何故・・・そこに莉子の名前が出てくるのか・・・不思議にも思わない直輝なのである。

人を捨てるのなら九月なのである。冬が近いからだ。一件落着した気分の直輝は冬の支度を急ぐようなスピードで莉子の元へと向かう。余裕があるので花屋にもよるのである。

そうです。・・・性懲りもなく直輝はまたもや崖から足を踏み外してしまったのです。

その頃・・・苦悩の果てにすでに心が仮死状態の莉子を一日早く帰国の川崎が奇襲攻撃。

しかし・・・健気にも川崎に贈られた指輪を返却する莉子。

莉子「私は上矢くんを好きになってしまったのです・・・」

川崎は一度は脅しをかけるが気分を変えて「直輝はいい奴だから・・・幸せにしてくれるだろう」とやさしいやさしい声で叫ぶ。

莉子は夢の終わりを告げるふるさと行きの最終列車のしまりかけのドアの幻影を見る。そこからもれ出る明るさに涙がにじむのである。

莉子「私にはもう直輝の心がわからないのです」

川崎はそっと肩に手をかける。それをやっとの思いで押し返す莉子。

しかし・・・川崎が優しく抱きしめると・・・莉子に抵抗する力はもはやないように見える。

とにかく面白すぎて月曜日の午後9時から一時間が消失してしまう亜空間的事態にも別れの時は近付いているのでございます。

関連するキッドのブログ『第8/11話のレビュー

Hcinhawaii0586 ごっこガーデン。川崎帰国記念激励会セット。エリもう・・・山P先輩が心配で心配で・・・雨のつづきごっこを中止したのでスー。温水でも・・・やはり24時間耐久あすなろ抱きは先輩をもってしても無理があったのですyon!・・・でもね~でもね~・・・予定通り第9回のオンエアができて本当によかったでス~。さすがは山P先輩・・・ど根性でしゅね。ここまでくると実際の山P先輩と直Pはものすごく落差がありましゅ~。それをさりげなく演じる山P先輩さすがのさすがなのでしゅ。フレンチトーストは得意ですができないフリをしてみましゅ~。はうぅ~んお気楽うーん、お気楽プロのパソコンの調子が悪いのよね。ツッコミは想像で補ってね。風邪ひかなかったけどインフルにはなったのねとか。五十嵐圭がいたのねとか。母子で花背負ってるねとか。囁き説明っぽいぞとかね。菜月の親の顔も見てみたいぞとか・・・ヨロシコまこダメ~っ、莉子・・・最後の力をふりしぼってつきはなせ~、もげっとぉ。それにしても莉子たんと直P先輩のタイミングの悪さはピカイチでしゅね~。まさに菜月の恋愛黒魔術の神髄を実感なのでしゅ~。あなたのハートを釘付けで本当にトンカチ出すほどの迫力がありましゅ。エリ姉ちゃん、今回はハラハラはあったけどイチャイチャなしで録画見ても大丈夫デスヨ~・・・さあ、二次会はカラオケ・ルーム「夜会」で朝までみゆきメドレーを歌うど~みのむしるるる~川崎さんお帰り~・・・潮の香りが仄かに香り・・・いきなり大活躍。そして物語はベタベタのドロドロ~・・・もう最高るるる・・・それにしても莉子はもはや菜月のあやつり人形だよね・・・二番手ヒロインポジションは水を得た魚のごとしるるる・・・ふわふわした幼稚な恋愛・・・何もかもがなつかしい・・・くう私は断固として莉子の根性なしを認めません~、男なら最後まで誠を貫かないと~って・・・莉子は男じゃないけれど~・・・やまとなでしこは欲しがりません勝つまではの精神で・・・一人のお部屋に殿方をあげたりしてはダメダメなので~す・・・川崎さんがかわいそうなことになるんでしょうがぁぁぁぁぁそれは断固阻止~ikasama4久しぶりにゾンザイロイドを増産しました。これも作品が面白いからなのですな。っていうか複雑すぎて・・・相関図にまとめきれませんでした~。宇都宮の相手は守口さんの奥さんだったりして~。菜月は人間を支配しないと安心できないタイプなんですな・・・戦国時代ならいい姫武将になったりして・・・ところで最終章は麻衣の正義の鉄槌物語になるんですか・・・あんぱんちウツの片思いはズバリ菜月でしょう・・・そのウツの心を知ってサイド攻撃を仕向けるかのような菜月。深謀遠慮すぎるわぁ(爆)・・・もう絶対に策士策に溺れるタイプよね。それでも次から次へと繰り出される毒攻撃に・・・莉子のライフはゼロなので・・・海猿、現地へ直行要救助なのね(爆々)」

Hcinhawaii0587 ごっこガーデン。アトラクション・なつきオニごっこコース。mari今日ははうぅんシーンが番組史上初めてなかったので・・・インフルがうつるから?・・・ikasama4画伯特製アイプロイドと鬼ごっこをするのです。制限時間を逃げ切ったら賞金1億円・・・って明日・・・会社休みマース~花火シーズン終了です~う~ん・・・このまま二人は別れてそれぞれの夢を追いかけるの・・・はっ・・・再会スペシャルかっいざとなったらぼぎゃぁぁぁぁんデス、更新ありませんシャブリついに麻衣の家に草々兄さんがお宅訪問。それにしても一回のドラマで主人公が二度も恋人のイケナイシーンを目撃するとは・・・まあ・・・直輝の場合は・・・身から出たサビなのかもーっ。そんなお寿司を食べたら目から涙が出るのでありました~・・・赤鼻かっ・・・akiみんなーっがんばってーって仕事忙しすぎて遅刻っしょーっ。1123ヨロシクね~ミマムインフルでオルトロスと同じように延期かもっと思ってのんびりしてたら遅刻っしょ~・・・みんなの回復をお祈りしますわ~い・・・みんなが遅刻なので気が楽なのです~。夏の疲れがどっと出てくる頃・・・皆さん、栄養補給と睡眠はバッチリとってくださいね~アンナ〆のスマスマいきま~す。今回はエンディングトークがまるぴょんでしたびょん。アンナもダーリンにそっときゅっとつねってほしいのぴょんぴょんぴょん。はうぅ~ん

水曜日に見る予定のテレビ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)

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2009年9月 7日 (月)

波のまにまに漂えば行方も知れぬ天地人(妻夫木聡)さすらいの忍びなれどもしみじみと(長澤まさみ)

諸説というものは必ずある。

たとえば・・・石田三成は豊臣の仕置き(政権)でいくつかの大名の配置転換や取り潰しなどの陰謀に加担したとされる。しかし、その潰された大名家の家来の面倒を見たりしているので・・・本当は陰謀の主ではなかったという説も出る。もちろん・・・潰された原因をつぶさに調べるとお家騒動があり、三成が面倒を見た家臣がその一派だったりもするのである。

石田三成が善人だったか悪人だったかにはあまり意味がないのである。

人の世の恐ろしさを学ぶためにこそ歴史上のキャラクターは存在するのだから。・・・え、そうじゃないの。

で、『天地人・第36回』(NHK総合090906PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回もあらすじ五行を維持。すでにあらすじさえもツッコミの気配がありますな。もはや見所は男と男のはうぅんな妄想的関係がどういう場面で引き起こさせるかと作者が苦心している点ですな。そして女たちはそんな男たちをはうぅんと見守ると・・・。褒めどころが三成の使者の様子がいいところだけですからな。とにかく・・・これまで「戦のない世の中を作るための戦」というスローガンからはどう考えても逸脱する「平和なのにあえて戦」を仕掛ける主人公はまさにマニフェストを臨機応変に作りかえる政治家のパロディーでしょうか。まあ・・・小学生みたいなツッコミはしませんが・・・こここそが「義」の出番なのに説明しないとは・・・わかりませんね。まあ分らないのは最初からですが。そして佐和山城の三成の一族郎党は何処に・・・。ちっとも軍略に口を出さない島左近に軍師不足をお嘆きの方は黒田官兵衛の秘密もお楽しみください。

Tenchijin159901 で、慶長4年(1599年)である。総司令官の死亡により中止が決定した朝鮮の役。進軍していた各大名軍は撤退を余儀なくされる。あくまで作戦中止であり・・・敗戦ではない。もちろん・・・侵略された側にとっては敵軍が帰れば勝利した気分になってもおかしくはないのである。それがいつしか秀吉が死ななくとも敗色濃厚だったみたいな脚色になっていくのだな。それは違うのです。なぜ違うのかと言えば大名たちがこの後・・・日本内戦史上稀なる一大合戦を巻き起こすことからでも明らかなのである。大名たちはこの戦に参戦するために半島を後にしたのですから。その前夜は・・・恐ろしいほどに熱いエネルギー渦巻いていたと想像できるのです。

今や・・・秀吉の残した日本は・・・二つに裂けようとしていた。秀吉は愛児・秀頼に権力を継承させるためにあえて権力の分散を画策した気配がある。それは一種の権力の二重構造であった。秀吉は内政を徳川家康に預けた。その拠点となるのが伏見城である。それは秀吉が作り上げた天下を不動のものとするために必要な処置だった。一方で大坂城に後継者である秀頼を隔離し、その守護者に前田利家を指名した。家康も利家もかっては味方であり敵でもあった戦国生き残りの大名である。秀吉はこの二人に相応の権力を与え・・・二者を互いに牽制させることで豊臣家の継承を確実なものとしようとしたのである。

秀吉の誤算は・・・前田利家の命脈が尽きようとしていることだった。

大坂城の前田屋敷には晩春の陽射しがそそいでいる。すでに城内の桜は緑色に染まっていた。奥の間に臥す利家にはすでに死相が濃い。

人払いを命じた利家のために長子利家をはじめとした身内のものは控えの間に下がっている。奥の間にいるのは利家と正室のまつ・・・そして高山右近である。一番若い右近がすでに五十目前・・・まつはすでに五十を越えており、利家は六十を過ぎて三年を経ている。二人の老いた忍びと一人の老いたくのいちは忍び言葉で囁きあう。

「上様(信長)はよく・・・人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり・・・と敦盛をお舞いになったが・・・もう・・・わしはそれより十年も永く生きておる・・・だが・・・もはや仕舞いのようじゃて。お前たちはわしよりも長生きするがよかろうず・・・」

利家の言葉にまつは顔を紅潮させる。まつが涙をこらえたときの顔色となったのを見て利家は微笑む。

「情のこわいくのいちよのう・・・十二でわしの嫁ぎし時よりついにわしの前で一度たりとも涙を見せぬとは・・・まつ殿・・・息子ども・・・娘どものことお頼み申しますぞ」

まつは頷く。利家は高山右近を見る。

「ユスト殿(右近)・・・もはや上様の戦を知るものも残り少なくなった昨今じゃ・・・わしが逝ねば・・・天下は内府(家康)の手に落ちるであろうな」

「お見通しの通りでございましょう・・・」

「しかし・・・その前に合戦はさけられまい・・・だが・・・天下を見回すに残る大老はまず上杉景勝・・・しかし会津の地は京・大坂には遠すぎる。豪の夫、秀家はなかなかの武者なれど経験不足じゃ・・・家臣どもの統制も上手いとは言えぬ・・・毛利・小早川も所詮は若輩。老臣が補佐しようとも大戦をまとめることはできまいて・・・まして・・・わがせがれたちも帯に短し襷に長しじゃ・・・」

「・・・」

「後は右を見ても左を見ても小物だけだ・・・秀頼様の行く末は心もとないの・・・わしが生ある間に家康を討つ手もあったが・・・残るもののことを思えば心がくじけるものよ」

「お気持ち察しまする」

「わしの死後・・・利長には・・・家康に従わせるのじゃ・・・よいな」

利家は右近とまつが同意を示すと息を吐いた。そして・・・次に息を吸い込むことはなかったのである。前田利家は死んだ。

利家の逝去の知らせはその日のうちに伏見城に届いた。

伏見城の徳川屋敷で家康は本多正信と囲碁を打っていた。盤上は家康の不利であったが家康は知らせを聞いても表情を変えなかった。

しかし・・・伏見城に集ういくつかの大名屋敷では歓声が上がっていた。そして夕刻までにはかがり火が焚かれ戦仕度が始まっていたのである。

伏見城下の女郎屋・信濃路は真田忍軍の拠点である。京の真田衆を仕切るのは清海の舎弟・伊三であった。そこには実質的な真田忍軍の首領・真田源太郎幸村が訪れていた。

「戦支度を整えしは・・・加藤清正、福島正則、黒田長政、細川忠興、浅野幸長、池田輝政、加藤嘉明、藤堂高虎、蜂須賀家政、その他多数にございます・・・」

幸村は光を失った目を閉じたまま・・・酒を呷るとつぶやいた・・・。

「石田治部少輔め・・・怨まれたものよの・・・それにしても加賀大納言(利家)に組し加藤清正や細川忠興まで大納言の弔いも待たずにことにおよぶとは・・・徳川殿の調略は凄まじきものよな・・・のう・・・伊三入道よ・・・」

「ふふふ・・・なにしろ・・・徳川の忍びは真田の里にまで手を伸ばしておるそうですから・・・」

「父上(真田昌幸)の手前・・・知らん顔もできまいて・・・治部少輔を逃がす手引きをせねばなるまいの・・・」

「すでに決着はつきましてございます。初音様の手のものが石田屋敷から毛利屋敷へと案内しましたが・・・毛利屋敷は受け入れを拒絶・・・仕方なく一端・・・佐竹屋敷に逃れましたが、石田討伐隊が迫ったために次に上杉屋敷へ・・・ここもまもなく討伐隊に突き止められました。屋敷内主従ともども途方にくれているとそこへ・・・服部半蔵なるものが訪れまして・・・」

「なに?」

「家康が三成めを呼び出したのでございます」

「敵ながら天晴れなことよ・・・」

夜明け前だった。徹夜で伏見城下をかっての同僚たちに追われ逃げまくった三成は精魂尽き果てていた。

家康はゆっくりと起き出すと・・・屋敷を囲んだ石田討伐軍を「おって沙汰する」の一言で解散させ・・・やつれた顔でもてなしの汁粉をすする三成の前に現れた。

「三成殿・・・お疲れであったの・・・。今は亡き前田殿が申されておった。蒲生の家督相続の折じゃ。蒲生の後家は亡き信長公の姫ゆえ・・・泣きつかれれば・・・手を尽くしたいと思うが人情・・・その人情に砂をかけられてはいかに忠義者とて怨まれようとな・・・。その辺りの気配のことをじっくりと佐和山でお考えになるがよかろうず・・・なに・・・御主ほどの知恵があれば悟るまでに時はかかるまいて・・・」

三成はうなだれたまま・・・屈辱に耐えたが瞳には鬼火を燃やしていた。

「お言葉・・・痛み入る・・・」

三成はすべての権限を剥奪され・・・徳川軍によって佐和山城に護送された。

その行列を見守る僧侶と旅の女芸者がいる。

「見よ・・・猿のお気に入りの小猿が檻に入れられて行くぞ・・・福よ・・・御主の父御どもの仇を討つ日も遠くはあるまいて・・・」

「天海様・・・そのような義・・・福にはもうどうでもいいのです・・・怨みではその日の食は賄えませぬゆえ・・・それに仇とやらはもうこの世のものではありますまい」

「ふふふ・・・父御(斉藤利三)も面白き男だったが・・・御主も面白いのう・・・」

琵琶湖の湖面には初夏の陽射しが反射している。二人は伏見城下にはいると辻で別れる。福は小早川屋敷の家来長屋に入ると装束を改める。福は小早川秀秋の家来・稲葉正成の後添えだった。もちろん・・・福は美濃・明智流のくのいちである。

関連するキッドのブログ『第35話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『救命病棟24時』『恋して悪魔・ヴァンパイア☆ボーイ』(フジテレビ)

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2009年9月 6日 (日)

物語の中だけにある永遠の春(香里奈)華麗なる失敗(深田恭子)

土曜日は落ち着かない。「めちゃ²イケてる」でお笑いレディースクラシックでものんびり眺めて・・・後は「真マジンガー衝撃!Z編」が始まるまで読書でもしたい気分なのである。

ドラマとしては「ERⅫ」を見れば充分だ。今回は進藤先生などの登場する医療ドラマがナレーションで処理する紛争地帯での医療の場面をそれなりに見せてくれる。味方は誰も死なない・・・とかUSAなムードはあるが・・・まったく見せてくれないよりマシなのである。

日本は政権交代の激動期にあるわけだが・・・なんとなく政治の季節という感じがしない。人々は倦怠にかられ変化を選択し・・・たちまち不安に包まれている。

日本人は目隠しを好むのか・・・それとももはや情報量が多すぎて何が何やら把握不能なのか。

それにしても・・・前政権党の敗北後のただならぬみっともなさはどうだろう。メディアが恐ろしく残酷にありのままを伝えているだけだといえばそれまでだが・・・。

現実がそうである以上・・・ドラマがある程度みっともなくても仕方ないのか。

で、『こちら葛飾区有公園前派出所・第5回』(TBSテレビ090905PM0756~)原作・秋本治、脚本・マギー、演出・英勉を見た。くりかえしになるが・・・やはり、麗子(香里奈)と中川(速水もこみち)という両津(香取慎吾)の二人の部下について・・・最初からきちんと描くべきだったのだと考える。

設定としてはすでに麗子も中川も派出所にいて・・・両津とも親交を深めている時点でいいが・・・回想として・・・初登場の頃を物語っておくべきなのである。

両津と大原(伊武雅刀)だけがいるこち亀の世界に最初に中川が登場し・・・そして麗子がやってくる。そこがあって初めて両津・中川のコンビが最強であることが分るし、両津・中川・麗子のトリオがさらに超最強であることが分るのである。

そうしておいて・・・過去四回で・・・麗子の両津に対する仄かな思いをそれとなく描いておいて・・・今回、白鳥麗次(稲垣吾郎)を迎えればもっともっとスムーズに話が展開したのである。一話完結とはいえ・・・連続ドラマなのだからそのぐらいの配慮があって当たり前なのだな。

この脚本家は「山田太郎ものがたり」の時はそれができていたのだが・・・今回は原作のダイジェストの作業に押しつぶされたか?

フィクションには永遠の春というものがある。つまり「サザエさん」である。新婚さんはいつまでも新婚さんのまま。赤ちゃんはいつまでも赤ちゃんのまま。そして子供たちはいつまでも子供たちのままである。

その中に「永遠の春」がある。愛する二人がときめいている瞬間を永遠に引き伸ばす手法だ。なんといってもその瞬間が一番いいのである。現実の世界では春が永すぎると22才で別れたりするのだが・・・「永遠の春」に「卒業」はないのである。

両津と麗子の関係はその一例である。両津は麗子を最高の女だと思っているし、麗子は両津が自分以外の女と結婚するとなると心中穏やかではなくなる・・・そのような相思相愛の関係にありながら・・・キスもしないし・・・告白もしない。永遠に恋愛一歩手前の超友情を感じあうのである。

その「素晴らしさ」を描くための手段が「白鳥麗次」なのである。

もちろん・・・脚本はそれを描こうと努力しているのだが・・・フリが効いていないのでオチが効かないのである。

稲垣吾郎の白鳥はキャスティングとしてはヒットなのだが・・・白鳥よりは稲垣色が強すぎてスマスマのコントみたいになっている。それを狙っているのはわかるのだが・・・それで失敗を重ねているのだから・・・もう少しなんとかしてもらいたい。

白鳥は麗子が同情するくらい・・・片思いで・・・残念なお坊ちゃんでないとならないのである。

少なくとも・・・麗子の実家の貿易会社の下請け末端企業の御曹司であるという立場くらいは明確にするべきだろう。

そして・・・鼻持ちならない金持ちぶりが・・・超富豪である中川や麗子に圧倒されていくところを見せてくれないとつまらない。

まあ・・・こち亀は毎回判で押したように同じ失敗を繰り返しているよ。

ストレートにお笑いで勝負したら・・・めちゃ²イケにはそりゃ負けますから・・・。

まあ・・・でも今回は麗子メインでそのキュートなミニスカートでのドタバタも堪能できたし・・・そこそこ満足いたしました。

係の人(泉ピン子)のサービスもそっときゅっと楽しめたしね。

で、『華麗なるスパイ・第7回』(日本テレビ090905PM9~)脚本・君塚良一、演出・岩本仁志を見た。実はここまで平均11.0%弱でそれほどひどい数字でははない。初回の貯金も大きいが・・・子供たち・・・特に男の子はそれなりに楽しんでいるのかもしれないと思うことがある。基本はドロシー(深田恭子)を核としたエロスな部分においてである。それと・・・京介(長瀬智也)の見せる変顔とか・・・ロッカーを使ったネタとか・・・水着美女をそろえた第4回は12.7%を獲得しているし・・・ただ・・・それ以外はまったく期待はずれなのである。

トーンは基本的に人情話である。非情が売り物のスパイもので「それ」をやることをユーモアだと感じてほしいのかもしれない。

キッドは総理(渡哲也)とミスター匠(柄本明)は元夫婦で・・・京介は二人の忘れ形見。ミスター匠のテロの動機は屈折した総理への愛であるべきだと思うのだが・・・どうもそうではないらしい。

もちろん・・・洗脳された三九(杏)が語る「テロは総理の自作自演で・・・すべては日本の軍事大国化を望む総理の陰謀・・・ミスター匠は正義の抵抗組織のリーダー」はウソだと思うが・・・それが「悪」として語られる論理がおかしいのである。

自国が豊かであることはすべての国民の願いで・・・豊かである以上・・・軍事大国となるのは必然なのである・・・金持ちがアコムするのと同じだから。

そして本来・・・スパイとはその最前線で働く工作員なのである。

それをどう文民が統制していくかは技術的な問題に過ぎない。

ま・・・とにかく・・・今回も後半は「とらわれのお姫様を敵の城から救い出せ」というミッションでゲーム感覚で面白くないこともないのである。でも・・・ゲームをした方がもっと面白いのは確実なのだな。

ちなみにミスター匠の付き人(TERU)は「湯けむりスナイパー」のトラも演じています。

まあ・・・とにかく・・・磔にされて変な拷問されるドロシーが素敵なので細かいことはどうでもいいやぁ。

『第二章』に入っても別に変わったところもなく相変わらずグダグダです。

まあ・・・ドラマとしてはもはや失敗作と断言したいと思います。

要するに最前線で命懸けで働いているスパイに対する愛が欠如しているのです。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)

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2009年9月 5日 (土)

これで済んだと思うなよ(満島ひかり)どこかで私を見かけても声をかけてはいけない(木下あゆ美)

思いがけないことというのは起こるものだ。

錦戸亮が2009年8月31日にインフルエンザに感染した影響で、緊急生放送特別編(実質・総集編)である。

内容はタッキー、復帰した錦戸、水川が総集編を眺めるという・・・スタッフの底力ゼロで語るにおよばない。

そのために・・・満島(みつしま)ひかりがタイトルに登場である。

これはまさに・・・めぐりあい・・・だ。

いつのまにかドラマ・レビューに特化してしまったこのブログだが、基本的にはもうすぐ消滅するアナログ放送追悼のエッセイなのである。

で・・・このブログが開始された年2006年にすでに満島ひかりは登場している。

2006年6月22日(木) セーラーヴィーナスVSアンドロイド・エリー。

深夜番組「ダンドリ娘」のレビューだがタイトルはセーラーヴィーナスの小松彩夏とウルトラマンマックスのエリー(満島)であり・・・話題はほぼエリーについてだ。エリーのキッドの中での萌え度はかなりのものなのである。

その後もエリーこと満島ひかりは定期的に登場するが・・・その活躍は非情に限定的である。

2006年8月24日(木) 好きな女の子の水着を着用してみること。それが青春。

「ダンドリ娘」の最終回レビューだが話題は木南晴夏が第8話に登場したことと・・・小松と満島が水着になったこと。

2006年10月28日 (土) キツネ、ちょうちょ、ワシ、モスラーッ!(長澤まさみ)

ドラマに混じり「金曜ロードショー20周年特別企画・DEATH NOTEデスノート・前編」のレビューである。もちろん、主人公の妹が満島ひかりだからである。

2007年4月28日 (土) もらっていくよっ(麻生久美子)VS皆さんそれはないんじゃないですかっ。(小出早織)

「時効警察」でハヤタ隊員とエリー(満島)がゲスト共演なのである。

ま・・・このようにして「252 生存者あり episode.ZERO」とか、「メン☆ドル」 第10話 とかも・・・満島目当てでチェックしてきたのである。しかし・・・基本的に・・・満島ひかりは常に不足気味なのだ。

そこへ・・・「怨み屋」の怨まれ役で満島ひかり登場なのである。怨み屋の怨まれ役はメインゲストであるといっても過言ではないだろう。これは・・・萌えました。第4話の「怨み屋」としては低調なトーンが払拭されましたーっ。

で、『み屋本舗REBOOT・第9回(第5話「愛され上手・前編」)』(テレビ東京0909042412~)原作・栗原正尚、脚本・演出・黒田由布子を見た。怨みが何故生じるのか・・・予想もつかない人間は幸福である。そういう人間はまた少し認知症の傾向がある。最近テレビで「日本でもテロが起こる可能性がある」と語っているコメンテーターがいて・・・もちろん・・・それはこれから先の将来についての話なのだとは理解できるのだが・・・ひょっとしたら過去には「日本ではテロらしいテロがなかった」という認識なのかもしれないと一瞬疑いを抱かせる瞬間があった。人間は忘却する生き物である。現在も北朝鮮による国際テロにより「誘拐」されたまま帰国していない人の存在。TBSテレビを加害者側に置いたオウム真理教の数々のテロ。過激派によるハイジャックや連続企業爆破。日本はテロの標的にさらされてきたのである。さらには通り魔による無差別殺傷事件は立派なテロ行為だ。そのすべてが「怨み」に根付くとは断言しないが・・・「怨み」と「テロリズム」には密接な関係があると考える。

テロリズムを暴力威嚇主義と訳すか・・・報復主義と訳すか迷うほどである。

つまり・・・「怨み屋本舗」とは「テロル代行業」なのだと言えよう。

怨み屋(木下)は常に「正義ではない・・・必要悪だ」と自らの行為を定義付ける。

さて・・・ついに怨み屋らしき女をカメラに収めることに成功した東京ベイテレビの報道記者・星影(長谷部瞳)は上司の城島(田中哲司)に報告する。

そして・・・城島は「この美人が本当に怨み屋なら視聴率は稼げる。お前は怨みを持っている人間を探せ・・・案外・・・身近にいるかもしれないぞ」と嘯くのである。

もちろん・・・前回・・・「あなたの怨みを晴らしてあげる」という幻聴を耳にした星影の過去にはなんらかの禍々しさが潜んでいることは明らかだが・・・まだそこへは到達しないのである。例によって架空のニュース番組「NEWS 24」でキャスター大橋未歩がお伝えするのは「新しい顧客開拓に乗り出した旅行代理店の話題」・・・そこにも新たな怨みが生じているのである。

そして、お茶の間はたちまち・・・怨念に満ちた閉鎖空間へ突入していくのだ。

旅行者に勤務するOLの関口真紀子(李千鶴・・・「非婚同盟」の貧乏な和子)は仕事に生きがいを見出している・・・しかし孤独な雰囲気のあるもうすぐ三十路の女である。彼女にはかって弟がいたが彼はバイク事故によって半身不随となりそれを苦に自殺している。

車イス生活に悶々としていた弟をヒントに真紀子は「障害者もエンジョイできる海外ツアー」の企画を立案し提出の機会を窺っていた。

そんな時、試験登用中の美少女・新人社員・青山ちはる(満島ひかり)との間に確執が生じる。

もちろん・・・非は僻みっぽい真紀子の本質にもある程度関係するのだが・・・先輩社員として後輩社員の至らぬ行為を注意するという真紀子の正論的行動が・・・悪意の権化であるちはるの逆鱗に触れてしまうのである。

真紀子「あなたのように・・・実力もないくせに女を武器にして男性社員に媚を売るのはどうかと思う」

ちはる「私は愚かな男たちの心理を操作することを楽しんでいるのよ。あなたこそ・・・この世の楽しみ方を知らずにただ仕事に逃げ込んでいるだけでしょう・・・」

真紀子は言葉を失うが・・・すでにこの時点で多くのものを失っていることに気がつかない。

真紀子は愚かにも毒蛇を踏みつけすでに噛まれてしまったことに気がつかないのである。

ちはるはまず、真紀子とちはるの間にいじめ関係があることを周囲に印象付ける。

先輩の真紀子がちはるに過剰な仕事を押し付けているような印象操作である。愚鈍なところのある真紀子は上手に誤解を解くこともできないのである。

ここからは小悪魔・ちはるの魅力爆発である。

ちはるはここにいたってまだ無防備な真紀子のパソコンに侵入。真紀子にとって業務上、重要なデータを消去し・・・同時に真紀子の企画書を盗み出す。

顧客管理の重要情報を操作された真紀子は旅先の顧客が航空券の入手不能などのトラブルでクレームをつけてくるまで事態に気がつかない。

さらにちはるは盗み出した真紀子の企画書を企画会議で先に発表してしまう。

真紀子「それは私の企画です」

ちはる「私が先輩の企画を盗んだとおっしゃるのですか・・・」

真紀子「証拠は私のパソコンに・・・」

もちろんないのである。困惑した表情をつくるちはる。そして真紀子に注がれる職場の冷たい視線。やがて真紀子の顧客にトラブルが続発し・・・真紀子の職場における地位は下落する。

ロッカールームで真紀子はちはるに詰め寄る。

真紀子「すべてあなたの仕業ね」

ちはる「証拠は?・・・あなたは私を怒らせた・・・これですんだとは思わないことね」

勝ち誇るちはる。最高に魅力的である。

「絶対に許さない・・・」一人口惜しさを噛みしめる真紀子の前に怨み屋の名刺が滑り込む。

・・・基本的に怨み屋は怨みの気配を察する超感覚を持っていると考えていいだろう。すでに怨みの念は真紀子にもちはるにも生じているのであり・・・二人は怨み屋の監視下に置かれているのである。

すでに星影記者の心の中に怨みの影があることを怨み屋が察しているのはこのためなのだ。

ロッカールームのどこから名刺が飛んできたか疑問に感じる人はマジシャンに弟子入りしてください。

怨み屋に面会した真紀子は「ちはるは私の企画を盗んだだけでなく・・・私と弟の愛の絆も踏みにじったのです・・・天国から見守ってくれている弟を死んだら虚無だなんて・・・ひどいわ・・・」

怨み屋はちはるの社会的抹殺を100万円でしかるべく引き受ける。

情報屋のちはるに対する身元調査は予想外に難航する。そして意外な調査結果が怨み屋に届く。

ちはるは全身整形美女だったのだ。

その頃、ちはるは企画課に昇進配属され・・・真紀子は屈辱感に包まれる。

真紀子「どうなってるの・・・復讐が遅いわよ」

怨み屋「落ち着きない・・・そしてもう少し待ちなさい・・・それから・・・私をどこかで見かけても声はかけないように・・・」

この一言・・・料金設定も低いし・・・まだ裏がありそうな・・・気配である。

そして・・・美しく仕上げられた自分をちはるは今夜もうっとりと鑑賞する。

その邪悪な美しさ・・・堪能である。後編が待ち遠しいのである。もうなんとなく一話短縮の「オルトロスの犬」なんかどうでもいいよね。

さて一方・・・今回の件とは別に怨み屋はすでに星影の過去についても調査を開始している。

その星影は怨み屋を追う寄木刑事(きたろう)に再び面会をする。

「なぜ怨み屋を追う?」という寄木の問いに「怨み屋なんて・・・絶対に間違っている。復讐は新たな怨みを生み、不幸の連鎖を作るだけ。復讐代行業はあってはならないビジネスです」と答える星影。

その答えに何か不穏な影を読み取った寄木は「やめとけ・・・おまえがつぶされちまうぞ・・・」と忠告する。

もちろん・・・その忠告が役立つとは思えないことは・・・寄木自身が身をもって知っているわけだが・・・。

人を傷つけないで

人の幸せはないの

なんでふたりは出逢う

なんでひとりじゃいられない

関連するキッドのブログ『第8回のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『官僚たちの夏』(TBSテレビ)あれからもう一週間か・・・。

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2009年9月 4日 (金)

世話焼かせやがって(草彅剛)人参は抜いとくぜ(黒木メイサ)介入の介は介護の介(仲里依紗)

5年もヘルパーやってる和泉(山本裕典)が隼会構成員だった以上・・・まあ何でもありだわな。

しかし、いくら大手とはいえ一企業の社長辞任の会見をノーカット生中継でテレビで報道するかどうかは微妙だよな。社員が覚醒剤所持で逮捕されてもだ。もう少しスキャンダルとしての「母親殺し疑惑」のフリが必要だった。

そうなると・・・匿名で送られてきた「任侠ヘルパーの正体暴露写真」を見て驚く・・・美空(仲)も疑わしい・・・。

なにしろ「アキバの受け師」だけど「メイドのみるく」でもあった中静そよを演じた女優(「ハチワンダイバー」より)である・・・本当は・・・西の方の巨大組織から送られてきた任侠ヘルパーだったりして・・・。まあ・・・何でもありだから。最後は関西弁になったりして・・・さすがにそれはないよな。

チャカもドスも使わないで殴りこみ・・・掟か・・・任侠ヘルパーの掟なのか。単なるキレイゴトか。

で、『任侠ヘルパー第9回』(フジテレビ090903PM10~)脚本・古家和尚、演出・葉山浩樹を見た。ものすごくダイナミックな詰め込み主義である。この脚本家のシスティマティックな特徴が出ているな。もちろん・・・かなり破綻している部分もあるがこれだけ騙りを仕掛ければ・・・まあなんとかごまかせるということだ。

突き詰めると彦一(草彅)をめぐる三人の女の戦いの物語なのである。

第一の女・・・ヘルパー美空。彼女は健気な新人ヘルパーである。美空の過去はまだ語られないが・・・修羅場をくぐってきた気配は濃い。天涯孤独な境遇であることは充分に妄想できる。すでに家族に見放され・・・介護施設「タイヨウ」に「看取り介護」を托された末期の老人・夏夫(峯のぼる)を実の息子(梶原善)に代わって献身的に看護するのである。

自腹で夏夫のために花を買い、終末日記をつける甲斐甲斐しい美空に・・・同室の鷲津も「気立てのいい娘じゃないか」と目を細める。

敵対組織の組長でもある鷲津(竜雷太)から「オレのクビがほしけりゃとらせてやるぜ」と言われて「甘えるな」と説教した彦一も・・・美空には一目おいているのだ。見習いたい気分なのである。

そして・・・家族には誰も看取られないまま・・・介護仲間に見送られて夏夫は旅立つ。

いつものように大事な会議に出席した息子に届いた知らせは黒い縁取りがあるのである。

葬式もきっと葬儀社まかせだったりして。

マラソン・ランナーのように息をきらしてゴールした夏夫の流す涙は幸せの涙なのか・・・不幸の涙なのか・・・鷲津が迷うと・・・美空は夏夫の遺言を取り出す。そこには「みんなありがとう・・・花をありがとう・・・鷲津さんありがとう」と書かれている。

鷲津は「親の血を引く兄弟よりも固い契りの介護施設仲間」の冥福を祈るのだった。

第二の女。任侠ヘルパーりこ(黒木)は鷲津襲撃に失敗して「タイヨウ」を脱走する。四方木組組長としてかわいい子分の仇をとらないと面子が立たないのである。りこの兄貴分・鷹山の実子である三樹矢(薮宏太)は惚れた弱みで彦一が見失ったりこの行方を追う。

すべては鷲津組長暗殺により鷲津組と隼会との抗争勃発を狙う鷲津組系尾国組の尾国組長(鈴木一真)の画策だった。

三樹矢はりこの兄である四方木組・元組長の墓前でりこを発見し真相を伝える。

りこは三樹矢相手にラブホテルで緊縛プレーを楽しみつつ、尾国を狙うが逆に三樹矢ともども拉致されてしまう。

おなじみのそういう倉庫に監禁された三樹矢とりこ・・・。尾国がスピードやらエクスタシーやらで実は男性未経験のりこを薬漬けの性奴隷に調教しようと服を脱がし始めたところで・・・任侠ヘルパー組到着である。

チョーパン(頭突き)の連打で尾国の手下に引導を渡す彦一。怪力無双の二本橋(宇梶剛士)も敵をなぎ倒し、手加減無用の黒沢(五十嵐隼士)もそこそこ活躍し、六車(夕輝壽太)がりこを解放する。りこは尾国をビール瓶で叩きのめすのだった。

そこへ・・・かけつけた黒塗りの高級車の一群。尾国は息を吹き返すが・・・到着したのは鷲津組幹部と鷲津組組長本人。そして鷹山と和泉。

尾国の陰謀はすべて露見し・・・鷲津組と隼会は手打ち(抗争集結宣言)である。

彦一に「ムチャするんじゃねえ」と言われたりこは「馬鹿野郎」と言い返すが・・・罰として命じられた食事当番では・・・人参嫌いの彦一のために人参抜きのカレーを煮込むのだった。フジテレビは主役の偏食礼賛週間か・・・。

まあ・・・所詮・・・餓鬼の見る夢ってこってす。三樹矢・・・片思い継続中。

第三の女は総合介護事業組織ハートフルバード社の女社長・羽鳥(夏川結衣)・・・。彦一の舎弟ヘルパー・涼太(加藤清史郎)の母である。

羽鳥は「介護につかれて老母を見捨てた過去」を持ち・・・理想からは遠いが世の中のニーズに応えた合理的な姥捨て山を作り上げた。しかし・・・自慢の高級老人ホームを彦一に「ブタ箱」呼ばわりされたことも忘れる認知症を発症中である。

秘書の弥生(中別府葵)に病状を見抜かれ社長辞任に追い込まれるが・・・甘えん坊の涼太のために失いつつある記憶が残るうちに楽しい生活をしようと決意する。

しかし・・・彦一と連れ立って遊園地に出かけた折に・・・ついにわが子を認識できなくなってしまう。呆然とする彦一と涼太。はたして涼太はこども社長になってしまうのか・・・つづくである。

まあ・・・三人の女の誰が彦一と結ばれるのか・・・それとも彦一はお約束で最後は誰かに刺されて死ぬのか・・・。クライマックスはもうそこまで・・・でございます。

そっときゅっと結ばれるのか・・・そっときゅっと刺されるのか・・・乞うご期待。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『御曹司白鳥のこち亀』(TBSテレビ)『華麗なるスパイ』(日本テレビ)『真マジンガーZ』(テレビ東京)『牧瀬里穂の再生の町』(NHK総合)『ジャングル大帝』『オトメン(乙男)・夏』(フジテレビ)

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2009年9月 3日 (木)

赤鼻のセンセイ(大泉洋)白衣のセンセイ(香椎由宇)今なら毛髪検査されなくてすむ(須賀健太)毎日採尿されてるだろう(神木隆之介)

水曜日のダンスは・・・。

「 9係の夫」13.5%↘13.3%↘12.2%・・・・・・・↗12.3%↗13.2%↗13.9%↗15.0%↘13.6%↘12.7%

「芝生の妻」11.4%↘*9.8%↘*9.0%↗10.2%↘*9.2%↗*9.8%↘*8.1%↗*8.5%↗*8.9%↘*8.7%

「赤鼻のセンセイ」・*9.4%↘*8.9%↘*8.2%↘*7.9%↘*6.9%↗*7.9%↗*8.7%↘*8.3%↘*7.0%

赤鼻のセンセイ(大泉)が失敗したら産休明けの働くゴン(篠原涼子)が緊急リリーフである。もはやドキュメントハケンの品格か。そのまんまハケンの品格なのか。

で、『赤鼻のセンセイ・第9話』(日本テレビ090902PM10~)脚本・高梨一起、演出・佐久間紀佳を見た。病気になると人は憂鬱な気分になる。憂鬱な気分は人を病気にさせる。人々はなんとなく・・・そう思い「病は気から」などという格言を生んでいる。身体的な病と精神的な病の境界線は実は曖昧である。そこで「笑う門には福来る」という格言を導入したのがパッチ・アダムスであった。

このドラマは明らかにそのパロディーをしようとしていたのだが・・・もう自分が何をしているのか・・・よく分らない状態になっている。

主人公を「院内学級の教師」にしたのはアイディアだったが・・・そのためにホスピタルクラウンによる不確実な医療的効果と厳密な医療との対峙はまったく未消化のまま霧散し、「医療」と「教育」の共存の問題を浮上させ・・・よくわからないドラマになってしまったのである。

要するに「笑い」の本質に対する考察が甘いし、「笑い」による免疫効果向上という個人差が激しく「信仰」の域を出ないものに対する覚悟も不足していたのである。

その形骸としてほとんど意味もなくオープニングを飾る松竹芸能所属のまえだまえだが演じる「ゆうた・きいた」の劇中漫才の虚しさはものすごいレベルに達していると思う。ある意味、健康な人も鬱にさせる域である。

趣向としては毎回の主題をネタとして展開させる狙いがあったはずだが・・・もはやほとんど無関係である。

どうせなら「持ちネタ」でもいいと思うが入院患者としての設定が残っていて毎回、劇中オリジナルネタであると推定していいだろう。

今回は「九九」が覚えられない弟・きいたのために骨折で入院中の兄・ゆうたが「問題を出す」と弟がボケて・・・兄がツッコミを入れるという展開である。

兄「にく(2×9)」

弟「おいしーっ」

兄「(受けて)さざんが(3×3)」

弟「オールスターズ」

兄「(受けて)しさん(4×3)」

弟「うんよー」

・・・この部分がすでにネタとして聞き取り辛く、ボケはまったく違う意味だったのかもしれないが・・・要するに漫才としての体を成していないのである。

(受けて)はここではツッコミを示す。たとえば掛け算の問題を出しているのに「肉と言えば美味しい」と答えたボケに対して「誰が食い物の話をしろって言った」とか「そうそう・・・特にカルビをたれにつけて・・・その肉じゃなくて掛け算だ」などと基本的にボケを解説しつつ笑いそこなったお客に追加サービスをするのである。

この部分がグダグダなのである。

「さざんがオールスターズ」は「サザン・オールスターズ」だがだじゃれとしてもすでに苦しいので「ちょっと無理があったな」などと「気持ちをつけたす」場合もある。

そういう部分も含めて「ネタ」というものは練られて行く。そんなに甘いものじゃないのである。

まして「資産運用」は相当に苦しいネタである。「意味わかって言ってるのか」ぐらいはツッコミを入れないと話の運びが悪いのである。

ここは「さんし(3×4)」「いらっしゃ~い」で「事務所(桂三枝師匠は吉本興行所属)違うから怖いもの知らずだな」にしてほしかった・・・それが言いたかったのか。

まあ・・・とにかく・・・プロの作るドラマ水準に達していないのはこの一点で明らかだということです。子供にこんな恥をかかせてひどいスタッフだ。

さて・・・この後はにえきらない院長(上川隆也)と赤鼻(大泉)が「すでにクビになった赤鼻を院内学級閉鎖まで残れるように処理した院長」という立場でハグをする場面となる。

熱烈にまるで同性愛者のように抱き合った二人をシルク(小林聡美)が目撃し立ち去る。

誤解を解くためにシルクを追いかけた赤鼻。ここでは「同性愛者」と思われたくないのだ。

しかし・・・シルクは「何にも見ていない・・・あなたがクビにならずにすんだことも聞いてません」と答える。

つまり・・・最初からすべてを聞いていたシルクは赤鼻を同性愛者だと疑ってはいなかったのである。

ここでもシルクが「全部聞いてた」と明らかにしたところで赤鼻が「最初から聞いていたのですか云々」というセリフを言わないために「同性愛と誤解されたと誤解した赤鼻の恥」が落ちないのである。もちろん・・・暗黙の了解としてそうする高度なテクニックもあるわけだが・・・そんなゆとりのある状態ではないので・・・単に基本的な素養の欠落なのです。

なんていうか・・・わかっていないのだな。

もうひとつ・・・病状が悪化して滅菌室に隔離された和田(須賀)が赤鼻に「将来の夢」を語るシーンがある。

そこまでには和田が「僕にはもう明日がないかもしれない」と言ったことに対して間を置いて友人の八重樫(神木)が「そんな甘えたことを言うな・・・お前があきらめたらダメじゃないか」と心を鬼にして叱るシーンがあり・・・その気持ちを汲んだ和田が一生懸命に「明日について」語るのである。

それは「16才になったら免許をとって・・・バイトをして・・・バイクを買って・・・退院したら高校に行って・・・大学に行って・・・就職して・・・地味に職場恋愛をして・・・地味に結婚して・・・地味な家庭を作りたい」という未来だった。

その後で教職員・医療チーム共同のスタッフ・ルームに戻った赤鼻は同僚の教師たちに「和田と何の話をしたのですか」と聞かれる。教師たちも医療スタッフも聞き耳を立てる。ここで赤鼻は「ふつうのことでしたよ・・・」とまとめてしまうのである。キッドはテレビの前でソファからずり落ちました。

確かにお茶の間的にはもう聞いた話です。だから要約して無駄を省くというテクニックはあります。だが・・・ここはあえてリフレインするところでしょうが・・・。

「16才になったら免許をとって・・・バイトをして・・・バイクを買って・・・退院したら高校に行って・・・大学に行って・・・就職して・・・地味に職場恋愛をして・・・地味に結婚して・・・地味な家庭を作りたい・・・すごく普通の・・・普通の夢なんですよ・・・あいつの夢は」と言いながら涙がとまらない赤鼻。和田の前では泣けないからここで泣くのです。そして室内の全員がもらい泣きです。

そういうシーンを作らなかったらどこで泣いたらいいのかお茶の間だってわからんのじゃ。

だって・・・もう・・・「お笑い」で楽しませるドラマじゃないことは冒頭から明らかで・・・ここはすでに「お前がいらないと思う今日は誰かがほしかった明日かもしれない」という勉強しない子や生きる努力をしない人へのお説教の場と化しているのである。

それならそれでそういう風にしないと・・・。何の役にも立たないよ。

ま・・・死者に鞭打つみたいで申し訳ありません。・・・おい・・・誰も死んでないぞ・・・まだ。

いや・・・ドラマとしてはもう死に体だろう・・・。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『怨み屋本舗REBOOT』(テレビ東京)『コールセンターの恋人』『メイド刑事』(テレビ朝日)『タッキー&錦戸亮のオルトロスの犬with水川あさみ』『田中麗奈・鈴木杏の派遣のオスカル』(NHK総合) 

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2009年9月 2日 (水)

私を吸血してください(加藤ローサ)ゴクリ。(中山優馬)不潔。(桜庭ななみ)青椒肉絲24時(松嶋菜々子)

火曜日のドラマ対決は・・・。

①「救命病棟24時」↘19.0% ②「恋して悪魔」↘*6.2%

「恋して悪魔」の下げ幅の方が大きいって・・・ハーデス小早川のファンは通り魔か・・・。

で、『救命病棟24時(第4シリーズ)・第4回』(フジテレビ090901PM9~)脚本・林誠人、演出・佐藤祐市を見た。ここも脚本の流動性激しいが、基本「水戸黄門」なので安定感のある展開である。小島(松嶋)は研修医時代の1999年からかれこれ十年も進藤先生(江口洋介)と付き合っているのに「ピーマンをキライなこと知りませんでした~」で「なんかむかつく」で無理矢理にでも食べさせようとして逃げられて「逃げた~」である。小学生かっ。

古代より・・・「最近の若いものは・・・」と「じじいに何がわかる」というジェネレーション・ギャップの波は続く。しかし・・・逆に「老人に知恵では勝てない」と「若者に力ではかなわない」という真理も続いているのである。それを越えるのはヨーダだけのようだ。・・・おいっ。

今回は言語化しにくい情報をいかにして伝えるか・・・という主題である。

たとえば・・・死者を敬うこと。

「いじめじゃなくてかわいがりなんです」と親方がいくら釈明しても情報公開で説明責任を求める世の中である。世の中は「誰かがむずかしいことをやさしくしてくれる」のが当然だと考える傾向にあるからだ。

研修医の工藤(石田卓也)は医師免許を取得できる知能の高さを持っているわけだがバカである。これはいわゆるバカの壁(解剖学者・養老孟司のベストセラーのタイトル)的バカであって・・・医者の資格を取得するための情報収集力はあるが総合的に見て人間としての情報が不足しているわけである。

たとえば死体にツバをはきかけたりする。死体にツバをはきかけても文句は言わないだろうと思うからである。

そんなことをしても何の意味もないという情報が処理できていないし、死体の関係者の心情というものを無視している。そして自分以外の医療スタッフが死体の関係者だとも考えが及ばない。

こういう子を教えるのは大変なんだよなぁ。

っていうか、明らかな発達障害者でも医師免許を取れるシステム・・・問題あるのじゃないか・・・とも思うが「人間らしさ」を計量化する考え方も少し恐ろしいのである。

しかし・・・現在の精神医学は基本的に統計処理されたデータに基づいて診断を下しているのが実情なのである。

刑事は職務質問した相手の挙動によって直感的に「こいつは覚醒剤をやっている」と判断するのだがそれだけでは逮捕できないのである。

しかし医師はデータに基づき心の病の線引きをするのである。

工藤は「指導される立場」でありながら進藤を「医者としては優秀だが指導医としては失格だ」と評価までする。そのために進藤の上司である澤井(ユースケ・サンタマリア)に「指導医のチェンジ」を要求するのである。トリハダ的にまた進藤先生だったらこわいぞ。・・・意味不明の例はやめなされー。

まあ・・・実際には工藤の親の社会的地位とかその人格、澤井との関係とか、進藤の立場とかで・・・チェンジ可能であることがありえるのも社会の複雑さです。

そこまでして面倒みられるか・・・と投げ出すことも可能ですが・・・ヒーローである進藤先生はぐっとこらえます。もちろん・・・周囲は進藤先生にシンパシーを感じているものも多く・・・なんとか気持ちの抑えようがあるのです。これが・・・周囲も「死体につばをはくくらいかまわないでしょう」という状況なら進藤先生泣いちゃうと思うし。

まあ・・・「口」で言っても分らないものは「体」で覚えてもらうしかなく・・・結局、論より証拠なのです。

そこで「女の道は一本道」の大家・認知症老婆(佐々木すみ江)登場である。

工藤は似顔絵を描いてくれた子供の患者を診断ミスで死の一歩手前へ。

子供を孫と思いこんだ老婆は「なまんだぶ・・・なまんだぶ・・・わたしのいのちとひきかえに・・・この子のいのちを・・・おーたーすーけーくーだーさぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇ・・・あんぎゃーおえほわー」と絶叫なのである。

そのあまりのやかましさに工藤は認知症の老婆の前では子供の患者は絶対に助けなければいけないと心に誓うのだった・・・違うだろうっ。

まあ・・・子供じゃないから・・・意図するところは読み取りますが脚本的には成立していませんからーっ。

一人一人の患者の命に向き合うことの大切さは精神論だし。

ついでに先週の結論・・・「ナース鴨居(北乃きい)は患者が死んだ時は泣かず助かった時に泣く」をナース山城(木村多江)が今週終盤にセリフでフォロー。ものすごく遠いわ。

そして澤井は「君が進藤先生に不満を持つことも・・・やがてその不満が解消することも・・・私にはお見通しですが・・・そのことを君がやがて後悔することも断言する」と予言者気取りである。思わせぶりだわ。

相当に荒っぽい脚本だけれどなんとなく面白いと評価されるのはお得ですね。というわけでついに全員が仲間となった救命センター・・・ここからが本当のスタートですかー?・・・なお・・・アフリカ時代の進藤先生の活躍を「ERⅫ」ぐらい描写してくれる日はくるんですかーっ。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ・第9回』(フジテレビ090901PM10~)脚本・半澤律子、演出・都築淳一を見た。なんと来週最終回である。まあ・・・全10回と言えば普通なのだが。これはロミジュリなのかシンデレラなのか判別しがたい展開である。シンデレラは結婚したらお終いなのだが・・・吸血したらお終いという設定だったらしい。シンデレラを連続ドラマでやるというのは相当に根気のいる作業である。まあ、ロミジュリもロミジュリが時間差心中したらお終いという一種のシンデレラ・ストーリーだが・・・。

ここまでの9/10回をおさらいしてみよう。

①高校教師の真琴(加藤)は謎の転校生ルカ(中山)の登場に戸惑う。ルカは10年前に溺死した歩にそっくりだったから。

②未吸血のヴァンパイアであるルカは牙が生えてから次の満月までに吸血しないと死ぬことが判明する。

③ルカは真琴からしか吸血したくないし真琴から吸血することはできない。

④カイト(近藤真彦)のような真のヴァンパイアになるためには吸血しなければならない。

⑤香織(桜庭ななみ)がルカに欲情する。藤井(姜暢雄)が真琴に欲情する。

⑥ルカが歩だったことを思い出す。

⑦真琴がルカ/歩に気がつく。

⑧第三のヴァンパイアによってルカがヴァンパイアであることを真琴に知らしめる

そして今回は⑨真琴はルカが真琴から吸血しなければ滅びることを知るなのである。

展開が遅いわぁぁぁぁぁなのである。もちろん・・・その間をルカと同居先の家族とのふれあいやルカとクラスメートたちのふれあいのエピソードでつないでいるのだが・・・非情に間がもたないのである。

だって・・・すぐ側に正体不明の怪物が生息しているのに・・・中華料理店「しんじょう」の娘の敦子(堀内敬子)の死んだ亭主への操とか・・・クラス一の美少女に恋するお調子者半田(中島健人)の心情なんてどうでもいいじゃん・・・なのである。

もちろん・・・すべては「死んだ歩に対する真琴の思い」や「人間だった頃の歩の真琴への思い」にリンクされていると解釈することはできるのだが・・・その裏で展開する辻褄のあわなさがそういう抒情を台無しにするのである。

たとえば・・・結局・・・ルカが歩だった以上・・・歩は消息不明のまま死亡届が出されたことになる。そういう特殊なケースでは・・・単に交通事故で高校時代の恋人を失った心情とは別の思いが真琴に生じているはずで・・・それが丹念に描かれなければならない。

そういう知性に欠けたまま・・・ヴァンパイアの物語は語れない。

・・・とヴァンパイアは主張するだろう。彼らは誇り高き一族だからな。

もう一つは失われた記憶に対するルカ/歩の対応である。

今回・・・ようやく・・・吸血鬼親(誰の吸血によってヴァンパイア化したのかを示す)がカイトであることが判明する。自分が歩であることにカイトが気付いてからそこまでが長いのである。あまりにも知性に欠けたルカ/歩なのである。

すると・・・ヴァンパイアの「心」が人間とはかけ離れた存在である・・・という結論が導き出されるのだが・・・それはまだルカ/歩が真のヴァンパイアではないから・・・という注釈もできる。何も知らないルカ/歩に対してカイトはすべてを知っているからだ。

だったら・・・半人前のルカ/歩をカイトが催眠誘導して真琴の血を吸わせちゃえばいいじゃん・・・と思うのである。それがなぜダメなのか・・・語られないまま・・・ここまできてしまったのだな。

キッドは・・・こう思う。「トワイライト」をパクるにあたってパクリ元を知らない人と知っている人への対応が脚本家の中でかなり混濁しているのだと。

さらに脚本家によって「ドラキュラ」→「トワイライト」→「恋悪」という流れを組んでいるものとそうでないものとの隔絶があり・・・さらに混迷するのである。

ルカが餃子のムチャ食いをするのは「ニンニク」による服毒自殺に挑戦しているわけだが・・・美味しいという意味不明の結論にたどり着くのは何故なんだ。

まあ・・・とにかく・・・今回は・・・筋立てはしっかりしています。

ルカがヴァンパイアだと知って困惑する真琴。

ルカの吸血しない宣言で安心する真琴。

とりあえず藤井との婚約を解消する真琴。

香織に「ルカとの交際は無理だと思う」と善意の忠告をする真琴。

忠告されて「不潔です」という香織。

しかしルカに拒絶された香織は半田でとりあえず妥協する。

真琴をヴァンパイア化しないために滅びを決意する歩/ルカ。

しかし本能の赴くままに真琴を襲いそうになるルカ/歩。

すべてに別れを告げて立ち去ろうとする歩/ルカ。

カイトから「ルカの滅びについて」説明される真琴。

恋に溺れて精神のバランスを失った藤井が真琴を襲う。

影となって真琴につきまとっていたルカは真琴の危機を救う。

真琴は突然・・・夜の闇に落ちた世界でルカ/歩を求め・・・思い出の場所を彷徨う。

出会いの歩道橋。ふれあいの桟橋。ルカの下宿先。そして学校。教室・・・音楽室。

ルカを見出した真琴は告げる。「私の血を吸ってちょうだい・・・そして永遠に美しく・・・二人で時を渡っていきましょう・・・」

もう・・・それで終わりでいいじゃないか・・・まだ歩/ルカはダダをこねるのかよ。

次回・・・人間たちがいかに騒ごうが・・・記憶を操作できるカイトの前ではすべては無意味なのでは・・・。

ヴァンパイアとして生きるよりは人間として死にたいと思うほど・・・ヴァンパイアより人間の方が素晴らしいとどうしてルカは思い込んでいるのだろう。

まさか・・・本当にヴァンパイアが邪悪な存在だと思っているとは思えないし・・・。

最初からすべて説明不足なんですよ。それは謎に包むこととは違うのです。

夜の街で・・・私は彼を探した。失われた恋人・歩を・・・謎の転校生・黒宮クンを・・・いいえ・・・違う・・・私は彼を探しているの・・・あの美しい瞳。あの甘い唇を。ルカ・・・ルカ・・・私のルカ様・・・どこに隠れてしまわれたの・・・私は淋しくて死んでしまいそうなほど。

木曜日に見る予定のテレビ『猿ロック』(日本テレビ)『黒木メイサの任侠ヘルパー』(フジテレビ)『科捜研の女』『ダンディ・ダディ?』(テレビ朝日)『東京少女大政絢』(TBSテレビ)

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2009年9月 1日 (火)

悲しいディスティニー(山下智久)愛している人は誰ですか(北川景子)冷たい雨のブザー・ビート(相武紗季)

まったく、困った奴だよ~。直輝(山P)は~。・・・なのである。

もちろん・・・菜月(相武)もそれなりに難儀である。

そうなると莉子(北川)も穏やかではいられない。

「恋愛ドラマ」なんて同じだ・・・という考え方はある。確かに誰かが誰かを好きになってすったもんだという意味ではそうだろう。

どんな「恋愛ドラマ」も「ロミオとジュリエット」だ・・・という言い方もできる。

さらに言えばディティールだって似たようなものだとも言える。

たとえば・・・前回・・・直輝を好きな莉子と直輝に未練が残る菜月はトイレで邂逅する。

最近の月9に限っても「のだめカンタービレ」(2006年)に千秋(玉木宏)を好きなのだめ(上野樹里)と千秋に未練が残る彩子(上原美佐)がトイレで邂逅するシーンがあるのである。

しかし・・・彩子が大人としてのだめに好感を持ち一種のあきらめの気持ちを深めるのに対し・・・菜月は莉子に毒々しく危険なアプローチを仕掛けていくのである。

こうして恋愛ドラマは変幻自在の深みを示しだす。

菜月はまた・・・別れた恋人に未練の残る普通の女の子のようでもあり・・・愛と憎しみの区別がつかなくなった心の病を発症しているようでもある。人によっては哀れを感じ、人によっては恐ろしさを感じるだろう。そして人によっては哀れで恐ろしいほどの共感を感じたりもする。

そして・・・あっという間の一時間なのである。今回はトレビアンを奉げます。さあ・・・褒め言葉のストックが残り少ないぞ~。だって初回からここまで残念な回が一つもないのだもの~。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。とりあえず日曜日は自民党を民主党が完膚なきまでに叩きのめした総選挙の投票日だったことを記しておく。「コールセンターの恋人」↘*4.0%(できる男3点セット沈没)、「派遣のオスカル」*4.7%(田中麗奈と鈴木杏で)、「オルトロスの犬」↘*6.7%(タッキーと錦戸で)、「外科医鳩村」12.0%(船越と美山加恋で)、「20世紀少年もうひとつ2」17.5%(ものすごくたくさんのスターと木南晴夏で)、「こち亀」↘*5.9%(民家の汚し方が中途半端)、「再生の町」*7.3%(た、高く感じる)、「にぃにのことを忘れないで」20.5%(錦戸と田中麗奈で)、「新聞記者・鶴巻3」11.8%(村上弘明と床嶋佳子で)、「天地人」19.9%(豊臣秀吉と淀の方で)、・・・ついでに「ブザー・ビート」17.5%・・・以上。

で、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~・第8回』(フジテレビ090831PM9~)脚本・大森美香、演出・西浦正記を見た。24才の不安定な職種の二人が・・・様々な人間関係にも拘束され・・・心に秘めていた恋愛感情を爆発させた前回。もちろん・・・先行していたのは莉子で・・・直輝は覚醒させられたという傾きはあります。このドラマの評価されるべき特徴は冒頭でそこからもう一展開もって行くことである。

熱烈キスから・・・押し倒す・・・お姫様抱っこ・・・もう一度抱擁・・・そして熱烈キスである。

痛いほど好きだ。私もよ・・・なのである。

そこで・・・買い物に出かけた麻衣(貫地谷しほり)と秦野(溝端淳平)が帰って来る。超常感覚というべき莉子の聴覚は麻衣の足音を察知し・・・野獣の時間終了である。

二人は何故かあわてふためく・・・これにはいくつか理由が考えられるが・・・ここは恥ずかしさということにしておく。なにしろ直輝にいたっては土足で貪っていたのである。莉子の部屋に収納される直輝。

間一髪・・・莉子は何事もなかったように二人を迎えいれ・・・そして莉子の誕生日会再開である。莉子は最高の誕生日プレゼントをもらったので・・・テンション高めなのである。そして24才の抱負を莉子に語らせる麻衣。

夢を追いかけていく・・・私はあきらめない。

その頃、直輝はいつも見上げていた窓から・・・莉子のような気分を感じてみるのだった。

三人は夜明かしで飲むが・・・最後まで眠らないのは莉子だった。麻衣・・・秦野の寝顔を楽しんだ後で・・・莉子はとっておきの直輝の寝顔を堪能しようとする。

しかし・・・直輝はただちに覚醒して・・・莉子をベッドに引きずり込むのだった。

もちろん・・・健全な男女なのでいろいろなことを行うのであるが・・・お茶の間的にはお茶を濁すのである。それでも充分刺激的な描写にチャレンジしています。

とにかく二人は隙間もなく凸凹を密着させたのである。変形横臥あすなろ抱きをクリア。

莉子・・・って呼んでみた。

直輝・・・って呼んでみた。

馬鹿野郎っである。おめでたいわ。

莉子の心は語る必要もないが・・・直輝は語る。

こんな気持ちになったのはまるで初めてみたい・・・不思議なほどの心地よさなのである。

時々・・・人は今までの好きとは違って信じられないほど好きだ・・・と感じることがあるが・・・まあ・・・多くの場合は・・・前の好き加減を忘却していることによる錯覚である。

しかし・・・時には比較して・・・これが本当の好きっていうことかと思う時がある。

まあ・・・それは幸せなことだよなあ・・・そういう時人は死ぬなら今だと思ったりもします。

しかし・・・死ななかった二人は・・・今後のことについて話し合うことになる。

もはや・・・当面の問題は・・・「川崎(伊藤英明)の片思い」をどうするか・・・である。

莉子が「好きな人が出来たこと」は告げたというと・・・直輝は「莉子と付き合うことを報告する」と言う。このあたりから・・・直輝の基本的な性格である根性なしが頭をもたげ始めているのである。それを理性といえば聞こえは良いが要するに及び腰なのである。

「だから・・・川崎さんが帰ってくるまでは・・・清い交際をしよう」

ああ・・・腰がすわらない。国際柔道で日本男子が金なしになるわけである。

詰めの甘い直輝はメール・アドレスを聞きそこなうが莉子は紙飛行機でお届けする。

その光景を朝食買出しカップルは見た!

恋愛に限らずあらゆる共同作業には「内政的な部分」と「外交的な部分」がある。

内政的には直輝と莉子は極めて建設的で絶好調な状態になったのであるが・・・外交的には非情に際どい局面に入ったのだ。莉子にとっては一方的とはいえ好意を寄せてくれ、強奪とはいえキスも交わし、それなりに交際もしている上にだまし討ちとはいえ婚約指輪のようなものを渡されている川崎に対する軽い後ろめたさがある。直輝はさらに直属の上官であり、尊敬すべき先輩であり、職業的には自分を高く評価している川崎が「絶対手を出すな・・・信じているぞ」と念を押した「女」を寝取ってしまったのである。その筋なら破門である。

しかし・・・恋に溺れる二人にとっては「きっと許してもらえるだろう」という希望的観測がある。なぜなら・・・他にどうしようもないからである。

外交は一筋縄ではいかないが、よりスケールの小さな先行略奪愛カップルである麻衣と秦野に目撃されたことは偶然とはいえ・・・「秘密にしようと誓った直輝と莉子」の暗黙の了解による機密情報の漏洩とも勘ぐることができる。「公式発表ではありませんが・・・否定はいたしません」という情報リークは常套手段とも言える。これは「既成事実」の浸透による「多数派工作」なのである。二人のような愛は特別なことではないと世間が認めることは有効なカードとなる。敵対者・・・この場合は川崎が「二人の仲を認めない」とクレームをつけてきた場合に周囲が知っていることによって大人気ない行動を慎むようにというサインとなる。「たしかに恋愛的にはルールに抵触していますが・・・ビジネスの分野で意趣返しなどをなさることは批判の対象となりますよ」という警告となるのである。

もちろん・・・当の本人たちにはそういう意図はさらさらなく・・・無防備なだけだが・・・それもまたDestiny(運命の女神)のなせるワザなのである。

「白川さん」を「莉子」と呼ぶことによって・・・直輝には幸運が舞い込み始める。

まず・・・菜月の裏切りによる傷心とそれに発する別離の孤独から・・・心身ともに解放されたことによって精神的な充足感を得られる。それによって体質改善がはかられ故障した足首も一時的な改善が見られるようになる。直輝には運命の女神が微笑んでいるように感じられるのだ。

そのために直輝は「莉子・・・」と一人口に出すことで快感を感じるのである。

一方で莉子は直輝のために周囲に暗雲が立ち込め始めていることに気がつきながら・・・それを恋愛絶対主義で乗り切ろうとする。

第一に直輝を選択することで川崎という「援助交際者」を失うのである。麻衣はそのことの危険性を莉子に説くがそういう自分が「高嶺の花」である宇都宮(永井大)をあきらめ「野の花」に「美」を見出してしまったために説得力を欠くのである。

第二に不安定な直輝を選択することで自分自身が不安定になるという悪循環を莉子は招いてしまう。「夜の仕事でも音楽の仕事だから」という理由で「音楽家になるという自分の夢に一歩ずつ近付く」ために始めた酒場のヴァイオリニストとしての仕事を「直輝の不実な態度によって乱され失うこと」になるのだ。

酒場の常連客(升毅)の正体は以前として不明だが・・・ここで作劇のアイディアとして上手いのは「辛辣な批評」が音楽家としての莉子の「成長」を促進するか否やという方向の問題ではなく・・・その批評による社会的効果により莉子の「失業」を招くというテクニックである。これには冒頭にオチながらつづきに対してさらにもう一度落とす・・・といういい意味での裏切りと同様のサービスが潜んでいる。お茶の間の意表をつきつつ目をひきつけるのである。つまり・・・その「手」についての考慮が深いのである。

もちろん・・・結局は悪意なき罠を仕掛けてしまった謎の常連客が最後に善意の救済者になる可能性も残してある。ただし・・・またしても莉子は見返りに体を要求されるかもしれませんが。音楽家は色事とビジネスのボーダーラインが最初から曖昧なものですからーっ。

第三に直輝はそのような莉子の内面的苦渋には頓着しないのである。絶好調状態となった直輝に対し莉子は「愛」以外には失うものが多い。「私の夢は遠ざかる」とふともらしても直輝はあっさりと聞き逃す。そして得意の「フレンチ・トーストのレシピ」をくれるのである。

だから莉子は「直輝」と呼んだことではなく「莉子」と呼んでもらえたことを噛みしめるしかないのだ・・・。

通信手段の発達によって・・・簡単には使えなくなるセリフというものがある。

もしもし私・・・誰だかわかる?・・・というのは発信者不明の電話を絶対に開かない人間には使えない。テレビ電話なら変装しないと使えないのである。

しかし、その分、たとえ「海猿」ロケ中でも使えるテクニックも生れる。・・・おいっ。

米国出張中の川崎はチームの状態をテレビ電話で聞くわけだが・・・基本的にチームの監督的立場の人間がシーズン開幕直前のこの時期に長期出張してて大丈夫なのかという問題はさておき・・・海外の川崎が直輝に不安げなアイ・コンタクトを送ることはできるのである。昔なら無言電話でプレッシャーをかけるところである。

一方的に愛する女を残して・・・おそらく電話もメールももらえない川崎の眠れない夜は続いているのである。

今週の「A DAY IN THE LIFE/THE BEATLES」のインストゥメンタル挿入は短い。ほんの一瞬であり、それは不在の川崎を象徴するものになっている。

直輝の心を曇らすものはただ一つ「川崎が帰ってくるその日」の憂鬱さだ。

しかし・・・ここから不在の川崎に変わり、直輝と莉子の幸せに水を差す低気圧が発生する。もちろん・・・菜月である。

菜月は何事もなくても「あの日に帰りたい」という切実な願いを持っている。

直輝と莉子が・・・川崎の不在に義理立てして・・・健全に・・・しかし誰がどう見てもイチャイチャしているところを菜月は通りすがりを装いつつタクシーから監視しているのである。

この一点だけでも菜月はヤンデレ・・・病めるような愛に染まりつつあることが瞭然なのだな。しかし・・・一方で理性的であろうとする菜月はストーカーとしての一線をまだ越えない。

ただ・・・もう許してくれたっていいころだと思ったのに直輝は川崎と交際しているはずの莉子とキャッチ・ボールなのである。もちろん・・・菜月は一瞬で直輝と莉子のただならぬ関係を見抜いている。

こんな気持ちのままではどこへも行けないと感じている菜月は薄氷の上で佇んでいるのである。そんな氷にヒビを入れるしおん(小松彩夏)の痛恨の一撃。

しおんと代々木との交際の発覚である。

しおん「すみません」

菜月「何に対して謝っているの?」

しおん「マニュアル通りの応対ですよ。悪いとは思わないですよ。だって先輩だって直輝さんとつきあっていたのに代々木さんと寝たわけじゃないですか。私は先輩を見習っただけですから」

菜月「ああ・・・なるほどね」

菜月の冷静な仮面がピシリと割れてからなにやら不穏なものが滲み出すのである。

そして・・・もちろん・・・怨む相手は直輝一人でもいいのだが直輝の相手を知った以上・・・その幸せを祝うことはできないし・・・呪うべきだと菜月は思う。

その狂った誘惑の手は莉子に伸びていく。

莉子の守護者である麻衣はその暗雲に気がつくが・・・莉子が選んだことには文句をつけつつ了解するのが礼節だと思っている。

親友の莉子の心の暗部に「麻衣を選び莉子を選ばなかった楽団に対する怨み」「相思相愛の秦野と同居している麻衣への羨ましさ」が潜んでいることを理知的な麻衣は察しているのである。

莉子と酒席をともにした菜月は一方的で懲罰的な暗黒のガールズ・トークを繰り広げるのである。

「あなたが直輝と知り合う前に私は運命的に直輝と出会ったの。まだ私も直輝もまだ大学生だった。あなたが知ることのできない若い直輝はそれは美しく素敵だった。私は夢中になった。そんな直輝と一緒の会社に入ったことに私は運命を感じだわ。そしてこともあろうに直輝から私は愛を告白されたのよ。私は運命を確信したわ。もう別れた相手だなんて信じられないくらい。そりゃあ・・・最初の頃は激しい夜を過ごしたものよ。バスケットボール・プレイヤーならではのタッチ・プレイに私は何度も何度も幸福を味わったわ。運命的で超絶的なフィンガー・ロールで愛撫されて・・・私は放物線を描いて何度も何度もゴールした。直輝は優しいからその後はフレンチ・トーストを作ってくれたり、お風呂の掃除までしてくれる・・・そしてまた夜のコートでマンツーマンなのよ・・・ふふふ・・・別れた人の話ばかりでごめんなさいね・・・でも私はまだ未練だらけ・・・私は直輝を愛しているの・・・だって運命なのだから」

もげっ、もげっ、もげっと菜月の暗黒面にひきずりこまれた莉子はまたしても・・・聖なるヴァイオリンの音を失うのだった。

直輝と交際することで「直輝の愛を得た」以外には失ってばかりいる莉子なのである。

麻衣は「21世紀の24才はタダの二度目の年女」と豪語するが「クリスマスケーキの売れ残りを心配する」莉子の山梨の実家からは「帰ってこいよ」コールがかかる。

そのことを告げると直輝はただ「見送ること」を約束するのだった。

しかし・・・心の暗部に踏み込めば直輝には「最近あった菜月からの着信」が気がかりであった。近い将来、菜月との間に「何か」が起こるかもしれない。その時に莉子が不在である方が好ましいと直輝は計算しているのである。

だが・・・すでに盗聴器を莉子の周囲に仕掛けている菜月にはそんなものは計算にも入らないのだった・・・おいおい・・・妄想が過ぎました。

けれど・・・莉子と直輝の短い別離の夜に待ち伏せを仕掛ける菜月はすでに魔女の気配を漂わせる。

菜月の秘めた呪力は突如として低気圧を発生させ・・・街は豪雨に包まれるのである。

菜月の心には何があるのだろう。それはおそらく「三年目の浮気くらい大目に見ろよ」という呪文である。「直輝のことは一日たりとも忘れたことのない私なのだから」なのだ。

菜月は代々木を挑発する。「私でなくてあの小娘のところへ行けばいいじゃない。結局あなたは直輝の潜在ポテンシャルに怯える小物だわ。かっての負け犬根性が抜けていないのよ。バスケットボールはチームプレイだからチームとフィットしなければあなたは誰にも勝てない・・・勝つ気があるのならもっと大人になりなさいよ・・・」

そこへやってくる直輝。菜月と代々木の不穏な空気を感じ取る。菜月の計算通りである。

しかし・・・菜月は自分の計画の不幸さにも気がついている。

すべてはムダなあがきではないのか・・・しかし・・・恋の病に依存してしまったラブ・ホリックな菜月には他に手はないのである。

玄関で間合いをはかる菜月。用意周到な菜月が傘を持っていないことなどありえないのだが、菜月には雨と傘がない自分が必要なのだった。

直輝に自分の「本気」を信じさせる魔法を使うためには・・・欠かせないのだった。

一方、すでに直輝は運命の女神の手の中にいる。直輝の中には「つめたくされて・・・いつかはみかえすつもりだった心」が眠っているのである。その心は「莉子にも実は心を許していない心」なのである。その悲しいディスティニー(置き去りにされた使命)は実は「愛のよみがえり」を待っているのである。

たとえ安いサンダルのようなちんけなプライドが邪魔しようともだ。

直輝ががんばるのも自分を飾るのも・・・すべては復讐のためである。しかし・・・その復讐は愛があるために生じた悲しいディスティニー(見捨てられた宿命)なのである。

冷たい雨に打たれたフリをする菜月にまんまとおびき出されていくのである。

そして「別れた女に中途半端に優しくしないで・・・」とツンデレ(キライキライもスキのうち)を仕掛ける菜月に「でも・・・お前は自分で思う以上に弱い奴だから」というキーワードを与えてしまうのだった。

たちまち由緒正しい最終兵器「行かないで・・・私を一人にしないで」とバック攻撃である。

今回の直輝は後から前からどうぞ状態である。

前回の逆あすなろ攻撃は夏の暑さで不発だった菜月だが今回は冷たい雨のあわせワザである。伝わるぬくもりが違います。

みんなに優しいのは誰にもやさしくないのと同じという真理を拒絶して墓穴を掘った直輝が同じ過ちを繰り返すのか・・・。

それとも大切なものを守るためには誰かを傷つけることが必要だという真理を悟るのか。

はたして・・・雨にうたれてふぞろいのフレンチトーストをかかえて一人直輝を待つ莉子をないがしろにしない新しい直輝になっているのかどうか・・・。

菜月が「存在しない愛」を見つめていればボーダーラインもしくはパラノイアであるが、「愛の破片」が実在すれば単にドロドロなだけなのだ。

恋人と友達の優先順位はわかるけれど・・・仲間と友達の優先順位は甲乙つけがたいし・・・違いがよくわからないお茶の間のとまどいを残しつつ・・・つづきをしりたいあなたはワクワクとして待ち遠しい来週を待つことになるでしょう。大丈夫。涙こぼれるように時もこぼれていくのです。

ちなみにキッドの他人優先順位はヒューマノイド→地球人→日本人→知人→友人→良い仲間→悪い仲間→親友→戦友→家族→愛犬→愛人→自分の中の他人の順です。

え・・・インフルエンザ・・・発症・・・夏ドラマにまで来たか。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

Hcinhawaii0584 ごっこガーデン。後から前からベッドセット中央制御室。エリきゃーっ・・・エリの理性は崩壊寸前でスー。照明弱めでお願いしますyon!うえ~ん・・・ハードなキスはピュアなハートにギザギサのララバイ対ショック対閃光防御グラスが必要なのでしゅ~。私はカモメ・・・鷲や鷹にはまだまだなれましぇ~ん。小鳥のようにくるまれたいお年頃でスー。菜月ごっこはお終いかと思ったらなかなかどうしてです。言葉責めもなかなかですyon!・・・勉強になりまスー。さあ、次は雨のシーンでスー。じいや、インフルエンザが怖いので雨シャワー温水にしてねお気楽菜月のいやらしさがクセになりそうだよね。大きな声ではいえないけどね。普通は雨の中で待たないでベランダから見てるよね。誰かを一人にしなければ誰かが一人になるよね。3Pしない場合・・・まこエリ姉ちゃんのために録画装置を破壊したりいろいろとラブ・ドロンボーは忙しいのでしゅ~。ラブ・ドロンボーとしては菜月の盗みのテクニックにも興味がありますが・・・乙女としては直輝逃げて~・・・うしろうしろ~という気持ちデス。待ち合わせをしているのに直輝が携帯を留守電にしているところにイケナイ下心を貫地谷しほりマス~ikasama4エリちゃんのためにモニタリングしたこの場面は隠蔽ですな。新しい相関図をマスター・ブレインにインプットして脇役ロイドのA.I.をヴァージョン・アップせねばならんのです。プロなんだから当たり前的バスケット能力を一平ロイドに付加しないとならんのです。怪しいタクシーも開発せねば・・・はたして川崎は無事帰国できるのか・・・山梨セットは増築する必要があるのか・・・面白いけど忙しくて目が回りますくうさあ・・・来ました~・・・菜月のターン。同じ24才とは思えないおっとりの莉子に・・・不安かかえすぎの菜月・・・その捨て身の攻撃・・・直輝は断固として拒否しなければ人としたダメだけど~、拒否されたら菜月がどうにかなってしまいそうで心配だよ~。菜月・・・ソースケになるの・・・ブザー・フレンドになっちゃうのーっ・・・ああ、心が痛いーっみのむし一挙にドロドロ・モード加速ーっ。るるる。ダーク菜月最高ーっ。帰ってこないかもしれない川崎のためにもここはダメ人間直輝にお灸をすえてあげるべき。優しいだけで毎週誰かを傷つける直輝・・・いい加減・・・目覚めないとーっ・・・でもなー真矢ママが甘やかすからな・・・は・・・すると天海先生登場かっ・・・ないないるるるあんぱんちもう離れたくない・・・とかせつなさ全開の変態どMもげ天使莉子のミニスカのスカ丈には脱帽だわ~。フレンチトーストのレシピもメモしておくの。中途半端こそがわがポリシーなのよ。謎を残すのも大切でしょでしょ。とにかく・・・深夜バスに間に合うのかどうか心配だわね・・・ふるさとで待つ母のためにも・・・真矢ママ朝加ママに続く第三のママは(爆)」

Hcinhawaii0585 ごっこガーデン。どしゃぶりの冷たい雨のハイ・ファイ・セット。mariいかないでーっと濡れた背中をキャッチーっ。莉子にも菜月にもよく似合うイチブトゼンブ。いい曲ですねー。じいや~BGMの音量ガンガンでお願いしま~すっ。さあ~、こうなるとまたまた面白くなっていくのです~。直Pはどちらを選ぶか・・・じゃなくてどっちに捕まっちゃうか・・・ですよね~きゃーっギュっと捕まえたい~逆あすなろでキャッチしたらすかさずぼぎゃぁぁぁんなのデス。更新ありましぇんシャブリ遅刻なので仮記事アップなのでありました~。秦野と麻衣のアツアツぶりを知っていながら秦野と宇都宮のやりとりをさらっと交わしてそそくさと帰る直輝・・・根本的に女の子にだけ優しいタイプなのでは~メアドは飛行機にのって莉子発直輝着です。川崎さんの飛行機は無事着陸できるのか・・・麻衣の予言が気になります。それにしてもいけないと知りつつ優しくする直輝・・・殺し文句すぎますよーっ。最初から運命を感じた莉子と・・・それに気がつかなかった直輝・・・危険な温度差ですねぇ・・・ママの前では実力が発揮できないらしい直輝・・・まさかマザコ・・・ともかく菜月のアタックチャンスは逆転勝利できたのでしょうか・・・気になりますぅ・・・ワクワクミマムおっと~パヒュームのコンサートに行ったので遅刻っしょ~aki先週はダンスのしすぎで肩こりでした~。普通は肩こり解消のためにダンスするんですけど~。彼氏の元カノに会うなんて・・・莉子はどこまで天真爛漫なのでしょう・・・アーティストとしてももう少し読みが必要だわ~・・・彼女にはしっかりとした指導者が必要みたい・・・天性の素質はあるみたいだから・・・きっと千秋先輩に出会えなかったのだめちゃんなのね・・・アンナ今週はMステネタで~。夜中におしゃれな元彼映画も見ましたけど~ぴょ~ん・・・元彼はちょっと懐かしいくらいがいいのにねぇ

水曜日に見る予定のテレビ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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