僕と彼女とバイクの走る道(内村光良)こち亀・本田編(香取慎吾)二重スパイがいっぱい(深田恭子)
実は「オトメン(乙男)~夏~・其の七・ガラスの乙面」は爆笑の連続だった。しかし、前座に映画「カンフー・ハッスル」があると正常な判断力は失われがちなのである。
「カンフー・ハッスル」略してカンフルは麻薬のようなもので・・・その異質性、悪魔のようなロマンチック、有無を言わさぬ破壊力は鑑賞力をほとんどマヒさせるのだ。なんでも面白くなっちゃう可能性がある。
くわえて「ERⅫ」は怒涛のシーズン最終回である。主要な登場人物がほとんど瀕死のままつづくって反則そのものの攻撃を耐えるのである。
だから・・・どんなに少女マンガの世界で押し続け、岡田将生と夏帆がシュールな領域のくりかえしのボケを展開し、女装した鶴見辰吾が実の息子の前で「自分に正直であれ」などと物騒なアドバイスをしたりしてヒーヒー笑ってしまったとしても・・・「カンフル」と「ER・シーズン最終回」の隙間に生じた亜空間の出来事だったのかもしれないのだ。
まあ・・・ほとんど意味不明の前置きだが・・・こればかりはわかる人でないとわからないと思うのだった。
さて・・・そこそこ面白かった「こち亀」とある意味すでに死に体の「カレー・スパゲティー」のレビューをいい加減な感じで始めよう。
で、『こちら葛飾区亀有公園前派出所・第7回』(TBSテレビ090919PM0756~)原作・秋本治、脚本・マギー、演出・坪井敏雄を見た。相変わらずドラマとしてのオリジナリティーに微妙な違和感が漂い続けるのだが・・・それを邪推するとこうなる。
「こち亀」のファンは百万人くらいいるので何をやっても大丈夫だ。だから結構独自色を出してみたい。何しろ、みんなに愛されているキャラだから・・・少しくらい遊んでも大丈夫だろう・・・あれ?
百万人に愛されるものはかなり普遍性を持っている。しかし、百万人は視聴率にすると1%にしかならない。実は百万人には一般的な百万人と特殊な百万人がいて・・・「こち亀」のファンはかなり特殊な百万人なのである。
この場合正解は特殊性を薄めるアレンジなのだが・・・本作はさらに特殊な方向にアレンジして袋小路に入っているのだ。
しかし・・・今回は二重人格ネタで・・・実にシンプルなキャラである本田速人の登場である。白バイに乗ると豪胆無双、下車するとオトメンというものすごくわかりやすい二重人格である本田のラブコメは鉄板である。それをウッチャンが演じるのである。
もはや脚本家のしゃらくさいアレンジを受け付けない強固さがあるのだな。
だから・・・今回はかなり面白く仕上がっています。
まず、主要メンバーのポジションが明確。
①両津(香取)・・・本田の昔馴染み・・・本田の性格をすべて知っていておちょくる。
②麗子(香里奈)・・・本田と初対面。二重人格のスイッチであるエンジン音やバイクのハンドルといった小道具をふるために配置。
③中川(速水もこみち)・・・本田と初対面。本田の恋を持ち前の経済力でバックアップするという本来のポジションに徹する。
④大原部長(伊武雅刀)・・・孫へのプレゼントである三輪車を壊されるだけという外野の定位置をキープ。
ああ・・・スッキリしてるぞ。
そして本田が恋に落ちる相手は幼稚園の美佐先生(本上まなみ)である。隙がない布陣。
さらにストーリーは起承転結なのである。
①本田が登場・・・引ったくり犯人(尾上寛之)相手に傍若無人ぶりを披露。通りすがりの美佐に「乱暴なおまわりさんはキライ」とイメージされるがそれが本田とは思われない。
②両津が失恋王・本田のために面白全部で美佐とのデートを設定する。中川と麗子がこれをアシスト。
③限度外で予想外の恋のライバルである幼稚園の園長(温水洋一)がオトメンである本田を貶めようとするが・・・両津のエンジン音を使った一瞬凶暴本田によってピンチをのりきる。美佐は本田の秘められた男らしさに好意を持ち・・・本田は正体を隠したまま交際を開始する。仮のカップル成立。
④突発事件が発生。バスジャック犯(前田健・・・十二月田出番がないと思ってたらこんなところでアルバイトを・・・)によって美佐と園児が人質に。両津は壊れたハンドルで本田の変身をうながす・・・本田は美佐に嫌われることを覚悟でハンドルを握り凶暴に。お約束のカンフー・コントがあって一件落着である。そして美佐は「私・・・勘違いしていました・・・あの白バイのおまわりさんは乱暴をしているのではなくて・・・誰かを守るために戦っていたのですね・・・」・・・合体・・・じゃなくて真のカップル成立である。さらに美佐もバイクに乗ると暴走族になって「本田と本田の彼女をなめんなよ」オチである。
つまり・・・感動させてもいいが・・・このくらいにしとけよっ・・・てことなのだ。来週は木村拓哉登場です。MR.BRAIN?
構成としては5話→6話→7話→4話でスタートしておくべきだったよ~。
関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー』
で、『華麗なるスパイ・第9回』(日本テレビ090919PM9~)脚本・君塚良一、演出・石尾純を見た。ちょっと整理してみよう。
①総理大臣吉澤(渡哲也)は総理大臣の権限で秘密諜報部を極秘に創設した。テロの脅威から日本を守るためである。
②秘密諜報部のエースとして服役中の詐欺師・京介(長瀬智也)を起用する。
③日本を狙うテロリストは全員ミスター匠(柄本明)に統括されている。匠は吉澤の幼馴染であり吉澤の最初の妻・さくらをめぐって三角関係になる。京介はどちらかの子供であるらしい。
④匠の科学力は「超」である。
⑤ドロシー(深田恭子)には性転換疑惑がある。
⑥三九(杏)は京介に惚れているらしい。
⑦匠の手下は無尽蔵にいる。
⑧結局、匠は吉澤のストーカーなので吉澤が殺されるか辞職すれば日本は平和だ。
・・・ああ・・・そうか・・・この話が盛り上がらないのはここだな。
もう・・・国家とか国民とか世界情勢とか・・・関係なく・・・ただの痴話ゲンカの常軌を逸した話なのである。
それがスパイごっこに置換されているのだ。
そうね・・・国際的テロ組織が個人的な怨恨で動いていくというのはお笑いスパイものの王道だものなぁ・・・。
それを匠VS吉澤にしただけなのだ・・・そして京介は痴話ゲンカ孤児であると。
ああーっ・・・すっきりしない話。元はドロドロなのにやっていることはドタバタ・・・そして家族愛とか友情とかの無理矢理な人情話にこじつける・・・。
「踊る大捜査線」てさ・・・いろいろあったけど・・・刑事の生き様は淡々と描いていたよね。責任とらない上司とか・・・婚カツする女刑事とか・・・容疑者との禁断のふれあいとか・・・接待ゴルフとか・・・つまり・・・警官だってサラリーマンだ・・・だから悩むという含みがあった。
そうね・・・だから・・・きっと今なら秘密諜報部員だってハケン社員だ・・・という含みくらいでやればよかったのかも。愛人とか・・・詐欺師とか・・・ハッカーとかが失敗なんだよな。
公務員になったのに気がつくと秘密諜報部員に配属されていた主人公・・・そんなテイストで見たかった気がします。
まあ・・・それができないのが土9だと言われればそれまでなんですがーっ。
「ごくせん」(学園)とか「女王の教室」(学園)とか「野ブタ。」(学園)とか「マイ☆ボス」(学園)とかそういう路線のヒットが足枷になっているのは確かなんだよなぁ。
初回・修学旅行もの(学園)15.6%で、第4回・水泳部もの(学園)12.7%・・・ここまでの平均10.8%・・・ねーっ。
まあ・・・もう来週、最終回だし・・・どうでもいいか。
本当に残念なことでした~。
それにしても(月)山P (火)優馬 (水)イノッチ (木)草彅剛 (金)タッキー・・・帝国の攻勢すさまじい夏だったな・・・。
月曜日に見る予定のテレビ『ブザー・ビート 崖っぷちのヒーロー』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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