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2009年9月25日 (金)

死~タナトス~に挑むものを誉め讃えよ(二宮和也)天国はありますか(八木優希)

「銭ゲバ」でこの脚本家を再評価していなければ脱落してしまうドラマだった。

「南くんの恋人」(1994年)・・・「イグアナの娘」(1996年)・・・「銭ゲバ」(2009年)の脚本家である。

「ビーチボーイズ」(1997年)もあるがこれはひたすら広末涼子がかわいいだけのドラマだからな。

で、今回は概ねこの脚本家のちょっと恥ずかしい部分の羅列である。ま・・・それが好きな方にはたまらない魅力なのかもしれません。

つまりだ・・・人間は「優しさ」があればすべて許されるという主張だ。

これは正解なので退屈ということである。

だから・・・根に毒を持つコミックを脚色するとそれを浄化しようとするパワーが脚本家の内面から滲み出ていい感じになるのだ。

で、『天国で君に逢えたら』(TBSテレビ090924PM9~)原作・飯島夏樹、脚本・岡田惠和、演出・土井裕泰を見た。演出家は「ビューティフル・ライフ」、「マンハッタンラブストーリー」がある。つまり王道も邪道もOKのタイプである。ただし、邪道では視聴率がとれないので行き過ぎるのかもしれない。そういう意味では今回は・・・やや・・・オーソドックスに傾きすぎたかな。

ガン治療センターの外科医・四宮(ユースケ・サンタマリア)が精神科医でカウンセラーの野々上の前で躓くくりかえしのギャグがあるのだが、ただ躓くだけである。

ここは「ああ・・・また躓くんだな」とフリをしてから三回躓かないとギャグとしては成立しない。・・・ギャグにするつもりがないのですか。そうですか。

若い精神科医の野々上は大病院での診療に不向きで上司の紹介で千葉の海が見えるステージの高いガン患者専門病院に転職する。

入院患者は主に治癒の見込みのない末期ガンに犯されている。世話役の原田(平泉成)は「私の息子もこの病院で逝ったのです」と遠くを見る。

野々山は優しい妻(井上真央)に励まされてこの「天国に近い病院」でカウンセリングを始める。

カウンセリング・ルームには専属ナースみずほ(宮本信子)が配置されている。みずほは「私の夫もこの病院で逝きました・・・」と遠くを見つめるのである。

病院内の敷地の海辺に立てられた古い一軒屋が舞台である。

ここで野々山は患者たちの悩みを聞き、病める体に健全な精神を宿させるのが仕事なのである。

訪れた患者第一号は愛(八木優希)である。彼女は「働きたい」と申し出る。なぜなら「人は大人になったら働くけれど・・・自分は大人になるまで生きていないので・・・今、働いてみたい・・・」と野々上の目を見つめるのである。

双子(古舘優空・古舘玖優)の父親でもある野々上は涙をこらえて承諾する。

みずほが愛にコーヒーの点て方を教え、カウンセリングルームを訪れる患者はたとえコーヒー嫌いでも必ずブラックで愛のコーヒーを飲み「美味しい」と言わなけれ人でなしと後ろ指をさされることになるのだ。

こうして・・・まもなく死ぬ人々を野々上は毎日毎日カウンセリングするのである。

時には妻(富田靖子)が助からないと知り逆上した夫(津田寛治)が「病気を治せないなんてそれでも医者か」と血が出るほど四宮を殴りつけたりする。しかし、おそらく病院は警察の管轄外なのであるし、警備員はいないのだ。四宮は殴られ損であるどころか「医者のくせに病気をなおせないなんてダメだよなぁ」と野々上に愚痴るほど慈悲深いのだった。

しかし、正気に戻った夫は人々に謝罪し・・・会社を辞めてキャンピング・カーで妻と二人旅に出るのだ。おそらくどこかの崖から飛び出すつもりなのだろうが・・・病院の人々は優しく夫婦を送り出すのだった。

死期の迫った板前の春夫(ゴリ)は「どうしても妻に感謝の言葉を伝えたいのだが・・・口下手で言えない・・・手紙を代筆してくれないか」と野々上に頼む。

春夫の妻・仁美(矢沢心)は手紙を受け取り「いつもお前のことブスって言ってごめん・・・オレはお前のこと世界一美人だとは思わないが・・・いつもすごくかわいい女だと思っている・・・病気になってごめんなさい・・・そしていつも優しくしてくれてありがとう」という代筆された夫の気持ちを読んで涙が止らないのだった。

ナースみずほは「お化粧を直してあげる」と慰める。

化粧をして少しきれいになった仁美に春夫はうっとりしてしまう。そんな春夫の頬に口づけした仁美は鮮やかなキス・マークを残すのだった。

思わず仁美を抱きしめる春夫。

ゴリと矢沢心で泣かされるとは思いませんでした。

これを機にカウンセリング・ルームは「手紙屋HEAVEN(天国)」として新装オープンする。

そこに現れたもうすぐ死ぬサイパン在住のサーフショップ経営者・シュージ(緒形直人)・・・死を受け入れられず自暴自棄になっているシュージは「後は死ぬのを待つばかりだ」と荒れる。天使のような愛が「死んだら天国に行けるのよ」と言うと「ガキに何が分る。死んだらお終いなんだよ・・・焼かれて灰になってそれきりだ」と凄むのだった。

シュージは愛を「野々上の親戚のガキ」だと勘違いしていたのだが・・・愛が余命わずかな自分と同じ患者仲間だと知り・・・腰が抜けるのである。

シュージは覚悟を決めて死を受け入れ・・・野々上に妻への手紙を頼むのだった。

その手紙は「浮気をしてごめん」という告白だった。

やがて・・・シュージはサイパンに戻り死ぬ。一度も海外に行ったことのなかった野々上は旅のついでにシュージのよく日焼けした妻・リサ(木村多江)に逡巡しながら手紙を渡す。

リサはさめざめと泣いた後でシュージから愛への伝言を野々上に托すのである。

「シュージは死ぬまでウォータースポーツの虜だったんです。最後はカイト・サーフィンに熱中していました。そしてついに空へ舞い上がったのです。シュージは愛ちゃんに伝えてほしいそうです。サイパン上空10メートルくらいに天国があった・・・と」

おしゃれな人だったんだなぁ・・・と思う野々上だった。

ま・・・そんなバカヤローな感じのドラマでございました。視聴率*9.3%です。

原作者はシュージにあたる人物で2005年に闘病の果てに永眠されたそうです。冥福をお祈りします。

関連するキッドのブログ『銭ゲバ

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ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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