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2009年9月29日 (火)

十津川警部・・・(古川りか)そんな娘はウチの子じゃありません(原田佳奈)そこまでしらばっくれなくても(藤谷美紀)

さて・・・「十津川警部」シリーズである。いつも見ているけどレビューはしたことがない。

なにしろミステリはネタバレに対する心構えが微妙な感じになる。

トリックにしろオチにしろ・・・その「作品」の面白さそのものだったりするので何を語ってもおいおいそれを言ったらおしまいだろう・・・な感じになるのである。

しかし・・・まあ・・・とりとめない感想ならいいかなぁ・・・とつい語りはじめるのである。

まあ・・・「相棒」とか「BOSS」とかも語っているし・・・何を今さらってことなんですけれどもーっ。

本題に入る前の恒例の週末視聴率チェック。「オルトロスの犬」↗*9.5%(フタケタに届かずじまい)、「派遣のオスカル」↘*4.5%(さがるわ~)、「つばさ・最終回」17.0%(最後はがんばった・・・)、「こち亀」↗11.8%(キムタクはがんばった)、「特急かもしか途中下車連続殺人」16.5%(高橋英樹の十津川もがんばった)、「華麗なるスパイ」↗11.2%(最終回はこち亀に敗北)、「再生の街」↘*6.8%(最終回はスパイに敗北)、「天地人」↘19.5%・・・以上。

で、『西村京太郎サスペンス・十津川警部シリーズ42・九州ひなの国殺人ルート』(TBSテレビ090928PM8~)原作・西村京太郎「イヴが死んだ夜」、脚本・安本莞二、監督・池澤辰也を見た。『土曜ワイド劇場』版は現在、十津川(高橋英樹)、亀井刑事(愛川欽也)だが、こちらの『月曜ゴールデン版』では十津川(渡瀬恒彦)、亀井(伊東四朗)である。これまでにも様々なアクターが十津川を演じている。三橋達也とか、天知茂とか、高島忠夫とか、宝田明とか、夏八木勲とか、萩原健一とか、神田正輝とか、若林豪とか、石立鉄男とか、小野寺昭とか、高嶋政伸とかである。高嶋親子二代で十津川達成である。

まあ・・・とにかく・・・みんな・・・十津川が好きなのだな。

十津川警部は警視庁捜査一課係長である。いわゆるひとつの「殺し」担当である。

その相棒が亀井警部補である。この二人が名コンビとして様々な事件を解決するのだが・・・トラベル・ミステリで有名な原作者なので様々な場所へ捜査の手をのばし観光もします。また・・・アリバイ工作でおなじみ時刻表トリックとか移動手段の特定なども絡んできますが今回は・・・東京で殺された被害者・イブの出身地である九州・大分県日田に東京からは羽田より飛行機、大分空港からホバークラフトで大分駅。そして列車で日田まで・・・とルートが紹介されるだけです。

謎解きの主題は・・・イブの身元の特定と・・・イブの正体がわかったのに遺族に引き取ってもらえないイプの死体に秘められた悲しい人生ということになります。

今回は3時間ということでもう一人、亀井刑事の親友の新聞記者の娘でジャーナリストの妙子(藤谷美紀)が被害者と容疑者とは別の立場のゲストとしてからんできます。

もちろん・・・彼女を容疑者リストに加えても構わないのですが・・・十津川も亀井も全く妙子は疑いません。

ミステリはひとつの事件をおもに捜査関係者からみていくわけですが・・・ここはゲストの大物政治家・首尾木大造(西岡徳馬)を妄想追尾です。狩矢警部ではありません。

大造は与党の大物政治家ですが、地元は日田です。中央政界に睨みをきかせ・・・地元では名士。日田は温泉もある観光地で祇園祭があったり、羊羹が特産品だったりします。それなりに田舎の花柳界があって芸者もいます。大造は芸者の雛菊(木村理恵)と深い仲になり、雛菊は大造に何も告げずに身を引き私生児として史郎(RIKIYA)を出産します。

それから月日は流れて大造は汚職をしても隠しきれるほどの大物政治家となりました。妙子の父は新聞記者としてこのスキャンダルを追求しましたが無念の病死。妙子は父の志を継いで大造の汚職暴きを狙っています。しかし・・・それは本筋ではありません。

大造にはすでに他界した妻の残した二人の娘がいて姉・美也子(原田佳奈・・・シバトラの千葉さくらの死んだ妹ゆり)と妹・咲子(野間れい)です。

一方、ロック・シンガーとなった史郎には親友・朝倉(猪野学)がいて朝倉は美也子と婚約・・・将来は政治家を目指しています。共に貧しい母子家庭で育った二人には固い絆がありました。

史郎は東京暮らしでしたが祭りになると日田に戻ってくるのですが町で偶然、保母さんをしている咲子と出逢ってしまうのです。実は二人は異母兄妹なのですが・・・そんなこととは露知らず愛し合ってしまうのです。まあ・・・もうお約束ですが。

史郎から咲子を紹介された雛菊は驚き・・・「この娘だけはだめ・・・」と忠告。

そして大造に真相を知らせるのです。「えっ」となった大造。

このことを咲子は立ち聞き。史郎に真実を知らせます。父親は海の男で生れる前に死んだと聞かされていた史郎は「えっ」となります。ここが父子の遺伝です。

さて・・・ここで微妙な気持ちになったのが・・・朝倉です。娘の婿と・・・本当の息子・・・大造はどちらを後継者と考えるか・・・と魔がさしたのです。

真実を確かめようと・・・雛菊を問い詰めた朝倉は誤って雛菊を橋の下に突き落としてしまいました。雛菊は死亡。事故として処理されてしまいます。

もちろん・・・雛菊さえ死ねば・・・史郎が認知される可能性は低くなると朝倉が考えなかったわけではないのです。

やがて・・・史郎は東京に戻り家出同然に追いかけてきた咲子と同棲生活を始めます。

どうせ戸籍的には無関係なので愛し合ってるなら兄妹でもいいじゃないか・・・とキッドは思いますが二人は思わなかったらしく・・・やがて史郎は酒とギャンブルに溺れ多額の借金を作り、咲子は売春婦となってそんな史郎を救おうとするのです。

そんな二人を筆頭秘書に命じられて監視していた朝倉は客を装って咲子を絞殺します。この辺りはかなりイージーです。おそらく・・・朝倉は咲子と寝てしまい・・・そのことで咲子かに強請られていた可能性があります。

あるいは有名な変態政治学者が咲子の客になったことから・・・ひょんなことで咲子が首尾木の娘だとばれたら困るということで暗殺指令が出た可能性もあります。

そんなことより遺伝子検査をして大造がとっとと認知しちゃえばよかったのにと思いますが田舎の人には田舎の人の考え方がありますからねぇ。

とにかく・・・朝倉は身元が特定できないように・・・咲子の死体を全裸にして放置したのです。

そして十津川刑事出動です。

まあ・・・この後は朝倉がなんとかして身をかわしていこうとするのですが・・・ごめんですんだら警察いらないんだよ的に十津川は犯罪を明らかにしていきます。

やがて・・・部屋にのこされたひな人形や羊羹みつめて泣いていた咲子の目撃証言などからコールガールのイブが首尾木咲子であることが特定されていきます。

そして・・・地元の警察は担当刑事(的場浩司)をはじめ・・・イブが咲子なんてとんでもにいとシラを切るのですが警視庁の刑事をなめんなよ状態で真実は明らかになっていくのです。

まあ・・・朝倉はイブが咲子であることを証言した元・担任教師を殺したり、妙子を拉致監禁したり、史郎をクルマでひき殺そうとしたり、やりたい放題やってくれるわけですが。

さて・・・ミステリの創作にも様々な技法があるだろうが・・・この作品に関して言えば特にトリックはないし・・・ただ目立たないところにいる真犯人が大胆に犯罪を連続していくだけである。

だから・・・ミステリとは考えないで朝倉の人生を考えるだけでも始めることができる。

田舎の貧乏な母子家庭の優等生。彼には親友がいて・・・親友もまた母子家庭。しかし親友には出生の秘密があって・・・という感じである。

そして、ついに朝倉が親友の母親を殺してしまう。ここからがミステリの領域。

しかし・・・田舎で人が橋から転落しても事件にならないので・・・東京で親友の妹を殺害してようやく十津川が登場なのである。ドラマはこの部分から始まり、十津川は過去を掘り返し朝倉はそれを回避しようと犯行を重ねるのである。

朝倉をもう少し丹念に描けば・・・性的に少し変質的なところがあり・・・妙子を殺さなかったのは監禁して凌辱しようとしていたことは明瞭なのだな。

まあ・・・キッドの見どころは朝倉に轢かれた史郎がそうとは知らずに朝倉に病院からの脱出補助を依頼。洗濯係に変装した朝倉が病室に侵入し洗濯籠に史郎を詰めて運び去った後・・・見張っていた村川刑事(古川りか)の「してやられました~」という表情である。村川刑事今回はさりげなくおちゃめな美人刑事でした。

ともかく・・・父親は若い頃、芸者に子供を生ませているわ、妹はその子供と恋仲になり真相を知ってちょっと精神を病んで東京で売春婦になりあげくの果てに殺されて、犯人は自分の婚約者でそれどころか異母兄の母を殺してるし、妹の元担任教師も殺してるし、美人ジャーナリストを山小屋に監禁しているという・・・ものすごい犯罪者であったことが発覚しても淡々としている長女・美也子・・・ある意味・・・凄いなってことである。

まあ・・・三時間も十津川警部とつきあっていると些細なことはどうでもよくなるってことだな。ロック・シンガーが突然刺青を彫り始めてもまあ・・・そういうこともあるかもなー的に。

十津川「自分の娘一人守れない奴に日本が守れますか・・・」

首尾木「ダメな父親がいい政治家ってことなんていくらでもあるじゃん・・・いや、むしろその方が自然じゃないか」

ちなみに視聴率は12.7%でした。

関連するキッドのブログ『シバトラ

               『ちりとてちん

               『おみやさん

               『浅見光彦シリーズ

水曜日に見る予定のテレビ『八木優希の白旗の少女』(テレビ東京)『谷村美月の三日月・第2夜』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

今回の十津川警部、肝心な最後が録画できていなくて、がっかりしてたら、キッドさんのブログを発見しました!
とても分かりやすく、おもしろかったです。ありがとうございましたm(__)m

投稿: A | 2009年10月 2日 (金) 23時47分

♠♦♥♣・・・A様、いらっしゃいませ・・・♠♦♥♣

A様、A(えー)様とお呼びするべきか、
A(エース)様とお呼びするべきか、
迷いました。

おもしろがっていただきありがとうございました。

録画できていないとショックでございますよね。
キッドはオイオイと泣くことにしています。

ただし・・・キッドのレビューは
かなり妄想が混入しているので
あまり信用しないことを推奨いたします。

また遊びにきてくださいね。

投稿: キッド | 2009年10月 3日 (土) 04時21分

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