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2009年10月31日 (土)

この世の闇の作り方(仲間由紀恵)友情と宿命の嬢王V05(原幹恵)

人にとって世界は闇そのものである。そういう考え方もあるわけだが、「陽のあたる場所」は光に満ちている。光と闇はこの世を示すもっともシンプルなシンボルのひとつである。

昼と夜。それは光と闇の存在を人に教えてくれる。光の中で人は自由を感じるし、闇の中で人は平等を感じる。光は心に闊達をもたらすし、闇は心に安寧をあたえる。

健やかな人は光にも闇にも美点を見出す。

しかし・・・時に人は闇をおそれる。暗いところで眠ることをこわがる子供のように。闇の中に何か得体の知れぬものが潜んでいる思いに不安になる。

あるいはその気持ちの果てに神秘的な憧れが生じる場合もある。やがてそれは闇に輝きを求める心を生む。

エンターティメントで闇が重要な主題になるのには理由があります。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子・第3回』(テレビ朝日091030PM9~)脚本・橋本裕志、演出・唐木希浩を見た。演出が変わりかなり見にくくなってしまった今回だが、脚本的にも一種の転調部分であり、やや雑然と盛り込みすぎたのが粗(あら)になっている。演出はこの世の闇についての考察が不十分だし、脚本はそれを伝える段取りの構成力が未熟なのである。

もちろん、演出力を読み込んで脚本を書くのは至難のワザだが、この世の闇を描くにはそれなりに力量が求められるということです。

まず、前提としてこの世界における「闇の組織」について考えてみよう。ある意味、掟破りの明解さで主人公に敵対する闇の組織はお茶の間に提示されている。

その組織は「永倉ホールディングス」で社長は永倉(寺島進)である。どんでん返しのためのミス・リードが仕掛けられていないとすると永倉は「名無しの権兵衛」を名乗り、マス・メディアに対する情報操作を行っているらしい。ただし・・・「名無しの権兵衛」は別人の可能性がないわけではない。

主人公と闇の組織の対立軸を見ると遼子(仲間)は名無しの権兵衛の正体を暴くための記事を書き、それを「週刊アンタッチャブル」の編集長・樫村(田中哲司)に握り潰されてきた。「週刊アンタッチャブル」のスポンサー企業は永倉ホールディグスである。樫村は永倉社長から圧力を受けているようでもあり、それとは別に「特ダネ」をリークしてくれる名無しの権兵衛に対する持ちつ持たれつの関係への配慮が窺える。

永倉社長と名無しの権兵衛が同一人物と見せかけて実は違うというのはよくある手なのである。

ただ、今回の主題は「闇の組織」であるのでそれについては推移を見守ることにしよう。

金曜日は「アンタッチャブル」が闇の組織にふれた後で「おひとりさま」「マイ・ガール」と自分の人生で精一杯で闇の組織なんて知ったことじゃないという日常のドラマがあり、ローカルだが「嬢王Virgin」で生活そのものがすでに闇社会というサンドイッチになるわけである。まあ、ハムやレタスも食べたいが今日はパンに塗装されたバターとマスタードについて書きたい気分なのだな。

さて、「アンタッチャブル」における闇の組織とは「世論を誘導する組織」と考えることができる。人々が自分で考えていると思うことの多くは他の誰かの考えであることは多い。思考そのものが情報の処理に過ぎない以上、有益な情報をそのままの形で利用するのは経済的だという心のシステムがあるからである。もちろん、そういうシステムは「詐欺」の温床でもある。「息子だと信じて金を振り込む」のも「恋人だと信じて金を貸す」のも自分の考えが自分にとってでなく他人にとって都合のよいものに過ぎないという懐疑をすりぬけて成立する行為なのである。

それと同じように・・・人は「郵政民営化賛成の小泉政権」に投票し、「郵政民営化反対の鳩山政権」に投票する。もちろん、考えが変わるのはよくあることだが、それが誰かに変えられていることもよくあることなのである。

この誰かに変えられること。つまり他人にコントロールされていることに恐怖を感じるかどうかがひとつの分岐点だ。「アンタッチャブル」も「嬢王Virgin」も恐怖を感じているドラマで「おひとりさま」や「マイガール」はその点については興味がないドラマなのである。もちろん、どちらがいいとか悪いとかの問題ではありません。

さて・・・闇の世界がある以上、光の世界があるわけである。遼子は遠山(要潤)に顔を近づけただけでうっとりしたり、その名を怨みノートに記して怨んだり、全くその気がない鷹藤(佐藤智仁)に過剰な欲望を妄想して拒絶したりとかなり心に闇を抱えているわけである。・・・脱線するが、この部分は明らかにボケなので鷹藤はスルーではなくえーっとわざとらしいあきれ返ったリアクションにしないと笑えない。・・・それはともかく、遼子は自分の心の闇は置いて社会の闇を暴くことが自分の使命だと考えている。言うならば、その正義を貫徹することが光の社会を守ることだというのがジャーナリストの建前なのである。

この場合はジャーナリズムが正義であり、その他のあらゆる不正は悪なのである。しかし、本来、ジャーナリズムはビジネスであり、ビジネスである以上、善悪併せ持つのである。少なくとも敵対企業がある場合、各社は互いに自分を悪、他社を善とは位置づけない。

つまり、その根底にあるのは自分以外は敵。敵は悪という考え方である。そういう考え方はあまり得策ではないという考え方もあるが、多くの人間が自分の心を覗き込んでみれば悪を見出すのも必然である。たとえば拉致被害者には同情するが、憲法を改正して北朝鮮に宣戦布告することはできないという人は多いはずであり、それが善悪の共有であることは言うまでもないだろう。

つまり、自分に悪がある以上、他人にも悪があるのは必然で、その悪が恐ろしいから他人を敵であると考えるのはごくまともで健全な考え方であるということだ。

もちろん、それに凝り固まるのは疑心暗鬼というもので敵とも仲良く付き合うのが人間というものなのである。

以上のような心の闇と社会の闇の付かず離れずの関係を描くドラマというものがある。その原型のひとつが「沙粧妙子~最後の事件~」(1995年・フジテレビ)である。犯罪心理を研究するものが犯罪にとりこまれ犯罪者に変容するというスタイルが主人公(光)が敵(闇)を倒すというファンタジーの定番に対するアンチテーゼであることは間違いない。それは「ケイゾク」(1999年・TBSテレビ)に続いて、ここでは光と闇はめまぐるしく立場を変えていく。心の闇と心の闇の衝突なのである。この場合、社会そのものがすでに闇なのである。さらに「トリック」(2000年・テレビ朝日)では闇の社会も心の闇もジョークに過ぎないという究極の黄昏が訪れる。貧乳と巨根という心の闇を抱えたコンビが光を装った闇を迎え撃つのである。

「鳴海遼子」がその系譜に名乗りを上げているのは明らかなのだが・・・そして仲間が「トリック」のヒロインである以上、その資格はあるのだが・・・今のところ、完成度の低さが障害になっていて・・・ちょっと困難な感じになっています。最近ではこの系譜に属する「MR.BRAIN」がありましたしね。

今回・・・遼子は空から降る1億円の雨に遭遇して、スリット美香子ではなくて整形外科医・桂木ミチル(高橋ひとみ)の闇に迫っていくのである。

①アイドル・安奈サクラ(多岐川華子)の整形疑惑を追った遼子と鷹藤。桂木美容整形外科に闇を感じる。

②一流誌「国民ジャーナル」の遠山(要潤)などに「名無しの権兵衛」から桂木病院の顧客リストが流出する。

③その名簿には与党の大物議員・岸川(六平直政)の名前があった。

④岸川は整形疑惑を否定。

⑤一万円札の降った川から美容整形に失敗した死体が発見される。

⑥岸川は献金を受け桂木の不正をもみ消していた。

⑦サクラの妹・ツボミ(小野真弓)はその犠牲者としてすべてを内部告発する。

ここまでが今回の事件なのだがここから・・・転調が始まるのである。

⑧遼子の兄・鳴海刑事(小澤征悦)の活躍で岸川と桂木の悪事は発覚する。しかし、その裏には「名無しの権兵衛」とつながる「日本福祉募金振興会」の影が浮上する。遼子の記事は三度目のボツになるがそれを拾い上げた美鈴(芦名星)は鷹藤の指示に従って自分の署名記事として記事を掲載し発刊してしまう。おタクの人・城之内(酒井敏也)は驚愕し、編集長は破滅の予感に怯え・・・記事の盗用に憤慨した遼子が美鈴をたずねると・・・美鈴の部屋は名無しの権兵衛の強迫的な落書きで埋め尽くされていたのである。

この中で・・・鳴海刑事、城之内、遠山が実に怪しいそぶりをするのである。

どう考えてもつめこみすぎだろう。結局、構図としては総裁候補の一方の側が政敵である岸川を名無しの権兵衛を用いて潰した・・・という図式になっている。

基本的にはよくあることなので「闇の組織」の恐ろしさはもうひとつ伝わらない。美鈴は戦慄するのだが・・・だから芦名星がおののいても訴求力がないんだって言ってるだろうがっ。

大衆は多数派であり、個人は少数派である。闇はそのはざまに潜んでいる。禁煙社会では喫煙者は隠れてタバコを吸い、闇社会はたちこめる煙で一寸先が闇なのである。其の中では紫煙はもはや迫害される悪のシンボルである。そんな社会に誰がしたのか・・・キッドは考えるだけで恐ろしいのに。

関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

で、『嬢王Virgin・第5回』(テレビ東京091031AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・岩田和行を見た。闇の社会と社会との境界線にはいつもお水の世界があるわけである。違法行為である売春と合法行為である接客の狭間・・・限りなく闇に近い世界が舞台である。SMの女王様キャラである沙羅(辰巳奈都子)の客・志賀に同伴を求められた舞(原幹恵)はカラオケ店でレイプされかかる。スタントなしで乳をもまれる体を張った演技である。なにしろ・・・キャバクラ嬢だけどVirginなのである。舞はピンチなのだった。

そこへ駆けつけたのは朋(黒木芽以)だった。朋は志賀を灰皿で殴りつけ昏倒させる。

地獄を見た暗さを雨宮(永田彬)に買われた朋だったが・・・はじめて出来た友達・舞だけはどうしても焼き尽くすことができないのだった。今回は最終決戦の前の舞と朋の友情関係の再確認に費やされる。

朋は志賀に強姦を命じた沙羅に矛先を向ける。

朋「警察には黙っておいてあげるから嬢王レースは辞退するのよ」

沙羅「そんな証拠もないことで警察は動かないわ」

朋「私・・・見たんです・・・沙羅さんが志賀さんに舞さん犯せって・・・命令しているところを・・・って、私ウソ泣き上手いでしょう・・・私の涙の証言は立派な証拠になるのよ」

沙羅「朋・・・恐ろしい子・・・」

沙羅はアドバイザーの亜美(麻美ゆま)に泣きつく。しかし・・・。

亜美「あなたは自分の欲望に負けて犯罪に手を染めた・・・愚かな人間は一生、欲望の奴隷なのよ・・・

一方・・・はじめての体験でショックを受けた舞。なにしろキャバクラ嬢だが・・・Virginなのである。部屋に引きこもり出勤しなくなる。

朋は「地獄を見たもの」としては舞を放置しなければならないのだが・・・舞は朋にとって特別な存在なのでまたしても手を差し伸べるのだった。

海岸に誘い・・・舞に「走る喜び」を思い出させる朋。

舞「・・・どうしてって・・・なんで私がこんなひどい目に遇うんだろうって考えた。考えても考えても答えが見つからなかったの・・・」

朋「つらいことって・・・みんなそうじゃん

舞「だから・・・もう考えることはやめた・・・私・・・最後まで逃げないでまっすぐに走る

こうして舞を救った朋に雨宮は「友情に負けて手をさしのべるなんて・・・お前の地獄はそんなものか・・・」と朋と握った手をきるのだった。

一方、予選最終ジャッジメントに向けて、火花散らす嬢王レース。舞の売り上げを支えているのはドンペリ・ゴールドを入れ続ける桜木(大口賢吾)だった。すべては優衣華(原紗央莉)を予選敗退させるためである。

亜美は脱落した沙羅の後釜に朋を帝王に推奨するが・・・それ以上、上の世界に踏み込むことは拒絶される。窓に胸乳を押し付けられるほどに。

帝王「その女・・・どんな感じなんだ」

亜美「あの声で蜥蜴食らうかホトトギス(宝井其角・・・つまり美しいものでもゲテモノ食いだったりするということ)・・・です」

しかし、朋はタバコの火を指先でもみ消して「私の心はもう死んでいる」と根性を示すのだった。

雨宮の婚約者・香織(かでなれおん)の父で夜の帝王(大河内浩)は雨宮にレース結果を工作するように命じる・・・すべては大物議員である桜木の父親の命令だった。その理由はアンタッチャブルなのである。

しかし・・・雨宮は拒絶し・・・優衣華は予選を1位通過してしまう。

帝王によって優衣華の対抗馬として仕立てられた朋も、前回決勝進出者である亜莉沙(蒼井そら)の応援むなしく敗退してしまう。まして、長期病欠の上、桜木が「接客させてくれないならドンペリ・ゴールドもいらない」などと意味不明な主張をする舞は負けるべくして負けるのだった。舞・・・主役としていいとこないぞ。

荷物をまとめて帰れと云われ泣きべそをかく舞だった。

最後まで走りたかった・・・」だったらもう少し形振り構わずがんばるべきなのだが。

しかし・・・雨宮が帝王に逆らうために桜木に接近・・・「どうして優衣華を妨害するのか」と問う。

桜木「・・・妹だからです

つまり・・・大物議員の娘が嬢王になったら・・・アンタッチャブルなのである。一族の恥だからです。そんなものを目指している主人公は・・・アンタッチャブルなのです。

雨宮「私は女たちのレースを弄ることはできないが・・・演出することはできる

雨宮たちに呼び出された敗残者たち。

「これより・・・敗者復活戦を開始する。勝ち残ったものは・・・優衣華とともに決勝に進出できる・・・ただし一人だけだ」

ふたたび・・・生き残りを賭けて朋と舞のいじめられっこ同志の骨肉の争いが再開するのだった・・・闇の社会もただの社会も社会は社会なのである。(つづく)

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

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2009年10月30日 (金)

私が殺した刑事(米倉涼子)図書館で勉強してもいいですか?(多部未華子)

さて・・・本当は「不毛地帯」一本にしぼりたいのだが・・・一応・・・ヨネクラく~んにも触れておく。当然・・・今回は出番多めだった「美山加恋のROMES/空港防御システム」↗*7.0%はスルーになります。まあ・・・もういいよね。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%

②多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください。

で、『交渉人THE NEGOTIATOR(Season2)第2回』(テレピ朝日091029PM9~)脚本・寺田敏雄、演出・松田秀知を見た。第1回が前編(15.0%)であり、今回が解決編(↘13.0%)なのだが、事件の仕掛け人であるサマー・クロースの正体は不明・・・長い話になりそうである。前シリーズで失脚した高林課長(大杉漣)に代わり警視庁刑事部捜査一課長には弓坂警視正(浅野ゆう子)が就任する。特殊犯捜査係の宇佐木交渉班主任(米倉)とは早くも敵対である。「決めるのは私だから」だ。

新人刑事として王子(八神蓮)が配属される。前シリーズの新人刑事・甘利(高岡蒼甫)の前途に暗雲がたれこめているのだ・・・。それにしても毎度のことながら役者かぶりまくるな・・・。昨日は犯人、今日は刑事みたいな。

組織犯罪対策本部の現場指揮官・片山警視(高橋克実)のマークしていた拳銃密輸組織の密輸船が漂流されているのが発見される。船内には無数の血痕とデジタル・カメラが残されていた。そのカメラには「密輸犯人と思われる無数の死体と・・・テーブルに並べられた27丁のグロック17(オーストリア製の自動式軍用拳銃)」の画像が残されていた。

そして・・・都内各所では部下(鈴木拓)が上司を射殺、下請け業者(渡辺いっけい)が取引先で発砲、幼い兄妹が拳銃の奪い合いで負傷とグロック17を使用した事件が多発する。

正体不明の宅配業者が「サマー・クロース(夏のサンタ・クロース)」を名乗り・・・グロック17を無差別配布したことが判明する。

相変わらず監禁されている真里谷(城田優)は「心を人質にとられたんだ」と宇佐木に語りかける。「力を与えれば欲望が覚醒するから」なのである。城田、三本かけもちか・・・。一週間に三回も会うのかよ。

そんな折・・・精神的に不安定な甘利は「ひきこもりの少年・弘樹(立花裕大)」の相談相手になるが本人が鬱なのに・・・困ったものだの展開である。

中学生時代にいじめを受け、四年間ひきこもっていた弘樹の元へもグロック17が送られてくるのである。力を手に入れた弘樹は外出可能となり・・・やがてサマー・クロースの代理人であるという妄想を発症する。

警察への脅迫電話の声が・・・弘樹の声であると感じた甘利は・・・弘樹の家へ向かうがすでに弘樹は母親(長野里美)を人質に立て篭もりを始めていた。

弘樹の憎悪は・・・いじめから自分を守ってくれなかった両親へと向かっていたのである。

強行突入寸前・・・説得に失敗した弘樹、甘利、宇佐木の三人の拳銃がお互いに照準を向ける。

その時、弘樹の母親が宇佐木に体当たりを敢行。暴発した宇佐木の拳銃から発射された弾丸は甘利に致命傷を負わせる。

甘利、殉職である。すべてが古きよき刑事ドラマの香りだな。しかし・・・いきなり殉職って・・・エンターティメントにもほどがあるだろう・・・。

やがて26丁までが回収される拳銃。弓坂課長は「線引き」をして事件の終息を宣言する。

真里谷「最後の一丁はでてこないよね・・・」・・・その一丁はおそらくサマー・クロースが記念品として持っているのだろう・・・。

まあ・・・可もなく不可もなく・・・そういうお話でございます。

人は「線引き」をしないではいられない。たとえば新型インフルエンザワクチンの副作用の問題がある。摂取した85万人のうち重い副作用(いずれも回復)の報告は6件あり、推定される発生率はおよそ0.0007%である。人は線引きをするだろう。おそらく「ワクチンに問題なし」というラインをだ。ちなみに季節性インフルエンザワクチンの副作用発生率はおよそ0.0003%とされている。

そうした線引きをときに人はまるでものすごい間違いであるように主張することがある。そしてそれが間違いであるのかないのか・・・人はまた線引きをするのだ。

関連するキッドのブログ『交渉人(Season1)

で、『不毛地帯・第3回』(フジテレビ091029PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・平野眞を見た。第2次防衛力整備計画をめぐる次期戦闘機機種選定の熾烈な戦いが本格化する。

ロッキード社のスターファイターをモデルとしたラッキードF-104か・・・グラマン社のスーパータイガーをモデルとしたグラント・スーパードラゴンか・・・。

巨額な予算が発生することにより・・・ラッキード社とグラント社から伸ばされた触手は・・・二つの大きなパイプとなって・・・日本国内の対立を形勢する。

ラッキード派は商社・近畿商事、仕掛け人・壱岐正(唐沢寿明)、防衛庁・川又空将補(柳葉敏郎)、政府要人・久松経済企画庁長官(伊東四朗)・・・ちなみに現実の岸内閣(1957~1960年)の経済企画庁長官は宇田耕一→河野一郎→三木武夫→菅野和太郎とリレーされていく。

グラント派は商社・東京商事、仕掛け人・鮫島辰三(遠藤憲一)、防衛庁・政府要人を兼ねて貝塚官房長(段田安則)という布陣である。

「墜落・・・うひゃひゃひゃ」とラッキードの墜落事故で人が死んで喜んだのは鮫島だ。恐ろしいことである。鮫島は飼っている新聞記者・田原(阿部サダヲ)に米軍の極秘データをリークし・・・ラッキード欠陥機の捏造記事を書かせようとする。

壱岐は記事の掲載を防ぐために久松に手を回し政府所有地の払い下げで新聞社と取引して田原の記事を握りつぶす。

田原は圧力には屈するが記事をライバル紙に売り渡し・・・結局、捏造記事は世に出てしまう。

そこで壱岐はラッキード社の社長を来日させ、緊急記者会見を開くことで「事故の真相」を明らかにし・・・欠陥説の火消しを行う。

この勝負は壱岐の勝ちである。

しかし、近畿商事の古いコネクションが壱岐の足を引っ張るのである。壱岐の上司である近畿商事里井専務(岸部一徳)→元防衛庁職員・小出(松重豊)→現防衛庁職員・芦田(古田新太)という機密漏えいルートがあり・・・芦田の金銭の要求に里井が近畿商事の株券を譲渡するという失態を演じるのだ。

鮫島はこのルートに目をつけ、女スパイのホステス(白石美帆)から情報を得ると・・・貝塚官房長を動かし、警務官(憲兵)に芦田を内偵させる。

警務隊は芦田の機密漏えいの証拠をつかみ・・・同時に動いた警視庁捜査二課の刑事(設楽統)によって小出も取り調べを受ける。

一方・・・壱岐の家庭にも波風が立っていた。直属の部下である小出の逮捕を・・・小出の妻からの電話で知った壱岐の妻・佳子(和久井映見)はただならぬ事態に心を乱される。

「あなた・・・大丈夫なのですか」

「心配するな」

「そんなこといっても・・・」

「お前は・・・俺が信じられないのか・・・俺が11年もの間留守をしたことを咎めるのか・・・それとも俺が軍人だったことを責めるのか・・・」

深夜の夫婦喧嘩を諌めるのは娘の直子だった。

「お父さんがいない間・・・お母さんはひっそりと泣いていたのです・・・なにがあってもお母さんだけは・・・大切にしてください」

「・・・すまなかった・・・」

翌朝・・・何事もなかったように平穏さを取り戻した壱岐の朝食風景。ある意味、やりすぎの鮫島の息子(石田卓也)と図書館デートの直子はルンルンなのである。

その平和を破る刑事の訪問。小出は自供し・・・壱岐は任意での出頭を求められた。

現在・・・壱岐と鮫島が火花を散らしているのは第2次防衛力整備計画をめぐる商戦である。それはその名の通り、日本の防衛力を強化する予算の話である。

つまりこの時点では第1次防衛力整備計画(1958~1960年)が執行中なのである。

第二次世界大戦に敗戦し、解体された日本の軍備は世界情勢の変化とともに再生し、主に米国の主導の下に生育していく。

国家に軍備が必要不可欠がどうかには賛否があるだろうが、好むと好まざるとに関らず人類は戦争する生き物であり、朝鮮戦争(1950~1953年)はすでに起こり、まもなくベトナム戦争(1965~1975年)が起こり、やがてソビエト・アフガン戦争(1979~1989年)が起こるのである。日本が戦火を逃れているのは米国による核の傘もさることながら・・・防衛力を獲得していたからだと言っても過言ではないのである。

壱岐がまだシベリアに抑留されていた昭和30年(1955年)、現実の鳩山一郎(鳩山由紀夫の祖父)内閣は国防会議(現在の安全保障会議)によって「国防の基本方針」を決定した。

国防の目的は直接および間接の侵略を未然に防止し

万一侵略が行われるときはこれを排除し

もって民主主義を基調とする我が国の独立と平和を守ることにある。

この目的を達成する基本方針を次の通り定める。

イ 国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。

ロ 民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。

ハ 国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。

二 外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。

以来・・・キッドの知る限り・・・この基本方針の変更はなされていないはずである。祖父の名の元に決定されたこの方針に・・・孫の鳩山内閣が異を唱えるならば・・・キッドは唱えかかっていると考える・・・方針の転換をはっきりと安全保障会議で決定するべきである。そうでないなら・・・いい加減なことを言うでないと墓の下で鳩山一郎(1883~1959年)は言うのではないか。

ともかく・・・ハの項目にしたがって・・・防衛力整備計画が立案されるのである。

壱岐が苛酷で悲惨な経験を胸に秘め・・・防衛力の実現に真摯にとりくもうとするとき・・・真っ白な不毛地帯に直立する彼の姿が示されるのはおそらくそこに姿勢を正して聞くべき彼の悲痛な叫びがあるからだと考える。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

Hcinhawaii0593 ごっこガーデン。アンナ様芯様のお誕生日祝賀会々場。お誕生日おめでとうございます。今年もアンナ様は高校2年生、芯様は中学3年生でよろしくお願い申し上げます。なお・・・ドラマ・レビュー・ブロガーの集いH☆Cについてはお気楽事務所を訪問してください。キャラクター・イラストはikasama4画伯によるものです。その他のメンバーの皆様についてはこちらの「薔薇のない花屋をめぐるメンバー大集合」を参照してください。皆さん、秋ドラマもよろしくお願いします。また、最近、更新少なめの方もいらっしゃいますがすべての問題はキッドの妄想が責任を転嫁します。地球滅亡まであと・・・。

土曜日に見る予定のテレビ『オトコマエ2』『チャレンジド』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)『木下あゆ美の検事・朝日奈麗子⑧』(テレビ朝日)・・・しかるべく。

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2009年10月29日 (木)

狂乱産婦人科(藤原紀香)火災産院・天井崩落妊婦水泳(本仮屋ユイカ)母再出血(吉田里琴)

さて、水曜日はダンスの日だが・・・そっといつもの水10体制に移行である。

今日の浅見光彦(沢村一樹)は朝美(笛木優子)に「もう一泊しませんか・・・」ともちかけられたのに「ボ、ボクは東京に仕事が・・・」とうろたえるので「・・・冗談ですよ」とお茶を濁させてしまう。脚本は「怨み屋本舗」シリーズの川嶋澄乃だ。いつものオチも一味違う気がするのが妙である。

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%

メイン・ダンサーに二人のバック・ダンサーみたいなことに。「ギネ」は内容にも問題あるが先週の野球延長が響いたな。「相棒」(脚本・太田愛)は「ふざけた大きなおともだち」に復讐者(草笛光子)がお灸をすえるわけである。「若い芽」の新相棒ミッチーが「あなたには摘めません」といいところをもらえるのだった。笛婦人対決も草笛が笛木を一蹴である。まあ・・・キッドとしては大きなおともだちがお兄さんではなくお姉さんやカップルでもよかったと思う。しかし・・・視聴率的にはこれが正解なんだな・・・きっと。

で、『ギネ 産婦人科の女たち・第3回』(日本テレビ091028PM10~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・岩本仁志を見た。う~ん。微妙だ。柊の元夫・隆弘医師(長谷川博己)の語る柊医師の異常人格の理由が・・・である。出産の時に母親が産褥死し、まもなく父も他界・・・伯父に引き取られて・・・両親の愛を知らない。それは・・・あれだな・・・弱いな。もう半端のない異常人格なんだから・・・もっと海外で暴徒に両親を殺害されて12才くらいまで現地の少女売春宿にいたのをたまたま買春ツアーに来た伯父が発見くらいでないと・・・それはどうだろう。

まあ・・・母親のいない理由を父親から怨みがましく聞かされて・・・父親もやや鬱で子供を虐待してあげくに自殺くらいな感じか?

どちらにしろ・・・自己中心的が過ぎた性格なので・・・これは疑問が解消されないのかもなぁ。まあ・・・この脚本家にはよくあることだしな。よっぽど他人からブスって言われたことがトラウマだったんだろうなぁ。気難しい主人公ばかりを造形しちゃうのもそのせいかなぁ。「四つの嘘」の永作博美と同じといえば同じだし。

とにかく・・・①無口である ②離婚前に何があったか不明だが夫の言葉に耳を貸さない ③とりあえず患者の生活より生存を重視する。

このキャラクター設定への応答はまだ未解明ということにするしかない。

とにかく・・・そういうもどかしい気持ちを感じつつ・・・聖修大学医学部付属病院・産婦人科主任教授・須佐見(國村隼)の何度目かの誕生日がやってきた。その日は会費五千円で焼肉パーティーが開催される予定だったのだ。

どうしても愛人のようなものを出さないと気が済まない脚本家なので不倫かどうかもわからない交際相手の弁護士・瀬川(内田有紀)を焼肉屋に同伴する國村だった。

しかし・・・関係者は誰一人いなかったのである。

その数時間前・・・久しぶりに休日を迎えた柊は息子の雄太(中村柊芽)と過ごす。息子・・・生きてました・・・すると障害児か・・・五体満足そうです・・・すると精神障害児か・・・買い物中に工事現場で遊んでいた少年たちが巻き込まれる事故発生。たまたま居合わせた徳本(八嶋智人)に雄太を預け負傷者の応急手当をする柊。今日の関東地方はお昼頃から建築資材の降る空模様らしい。

そこへ・・・病院から非常呼集の合図が鳴る。柊は「託児所から迎えが来るまでお願いします」と言い残し・・・他人の都合は一切考えず・・・去って行く。

呆れる徳本と娘の優美(吉田里琴)に雄太が一言。「いつものことですから・・・」・・・しゃべった~しかもかなり普通に・・・ということは子供には何も問題ないのだな。

そうなると・・・もう・・・変な人だ・・・ということだな。この主人公・・・これは・・・困ったなぁ。

かけつけると・・・多数の妊婦のいた産院が火事。さらにマタニティー・スイミング教室のプールの屋根が崩落で・・・大量の妊婦が搬入され・・・お祭り騒ぎの産婦人科である。

各所で同時出産、各所で負傷治療なのだった。

別大学の外科部長で君島医師(松下由樹)と同期の菊池(山下容莉枝)は初産で錯乱しながらドーンと出産するのだった。

蹴っ飛ばされた柊は足の届かない範囲で待機である。押取り刀で駆けつけた須佐見がかっての教え子のお産を軽く処置する。・・・名医らしい。

須佐というのは嵐のことである。それを見るというネーミングが何かを暗示している模様です。

結局・・・この狂騒的なお祭り騒ぎは・・・嵐の前の静けさだったらしい。

やがて・・・須佐見と瀬川が二人焼肉を始めた頃・・・入院中の徳本の妻・美和子(西田尚美)の容態が急変する。出産後に大量出血を起こし止血したばかりなのにまた原因不明の出血である。

再手術を執刀する柊。子供を生んだ後の母親の死。それが柊のトラウマである以上・・・物語的には・・・美和子の命が風前の灯であることは間違いないのである。

それが・・・心に沁みるかどうかは別として・・・。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『長澤まさみの隠し砦の三悪人』(日本テレビ)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)『平愛梨の行列48時間』(NHK総合) 

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2009年10月28日 (水)

ヒロインの出番はありますか?(夏帆)マザコン(岡田将生)ストッキングにコンタクト(香里奈)

火曜日はドラマ対決だ。

っていうか・・・ゲスト勝負になってきたな。

「オトメン」は恋敵役として菅野莉央が登場。「リアル・クローズ」には黒木瞳の親友として片平なぎさ登場である。

で、①「リアル・クローズ」↗11.2% ②「オトメン・秋」↗*8.4%

菅野莉央・黒木瞳といえば映画「仄暗い水の底から」(2002年)である。なんとなくそんな感じの数字の上がり方です。

で、『オトメン(乙男)~秋~・第3回』(フジテレビ091027PM9~)原作・菅野文(『別冊花と夢』)、脚本・野口照夫、演出・阿部雅和を見た。ものすごく変則な感じの放送形態をとったこのドラマ。はっきり言って意味不明である。そこで今回は「オトメン・夏」から「秋」までのサブタイトルを振り返ってみる。

其の壱「恋せよオトメン」・・・各サブタイトルはもじりになっている。初回は歌謡曲「ゴンドラの唄」(1915年)の歌詞「命短し恋せよ乙女」からのパクリである。

其の弐「猟奇的な親子」・・・韓国映画「猟奇的な彼女」(2001年)である。オトメンである父子が猟奇的なのか・・・それを許さない妻であり母である浄美(山本未來)が猟奇的なのか・・・という視点がもっと強調されるべきなのだ。

其の参「ねらわれたオトメン!」・・・小説「ねらわれた学園」(1973年)である。薬師丸ひろ子、原田知世、新田恵利、村田和美・・・あなたはどのヒロインを思い出しますか?

其の四「そのオトメン、凶暴につき」・・・映画「その男、凶暴につき」(1989年)は北野武の初監督作品である。ここで女男である飛鳥(岡田)と男女であるりょう(夏帆)がともにオトメンであることを認識するべきだ。どちらかといえば凶暴なのはオトメン(女)の方なのである。

其の伍「オトメンたちの大和!」・・・映画「男たちの大和/YAMATO」(2005年)である。この年の邦画興行収入1位である。反戦かそうでないかの論議があったわけだが・・・戦争を描くことが許されない社会は不健全であると考える。戦争が恐ろしいものであることを描かなければどうやってその恐ろしさを伝えることができるというのか。しかし、物語の舞台が海であることをのぞけばドラマはほぼ映画と無関係だった。

其の六「やまとなでしコン」・・・ドラマ「やまとなでしこ」(2000年)である。古来からの日本女性の美称でもある大和撫子をもじった美少女コンテストが開催される。オトメン(男)がオトメン(女)を大和撫子に仕立てるという話である。結局、個人的なイメージに過ぎない性差というものの本質をおちょくっていて楽しいのである。

其の七「ガラスの乙面」・・・コミック「ガラスの仮面」(1976年)である。少女マンガとしてはもっともパロディー化の元になっている作品なのである。本当に恐ろしい子といえば北島マヤなのである。男らしさも女らしさも演技に過ぎないという考え方があります。

其の八「乙男の祈り」・・・ピアノ曲「乙女の祈り」である。19世紀に二十代で夭折したポーランドの女性作曲家テクラ・バダジェフスカ=バラノフスカの小品である。作曲者自身の薄倖さが乙女への妄想をさらにかきたてる。それははみだしものの子守唄なのだな。

ここからは「秋」である。

第1話「オトメン♂パラダイス」・・・ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(2007年)である。突然、恥も外聞もなく人気ドラマのパロディーとなるのだった。

第2話「花より乙男子」・・・コミック「花より男子」(1992年)であるが同名ドラマにあやかっている。「秋」になってからは山下リオ→市川由衣→菅野莉央と女性ゲストでつないでいてヒロインりょうの存在感が非常に希薄になっている。

第3話「贈るほどでもない言葉(前編)」・・・金八先生の主題歌「贈る言葉」(1979年)である。「夏」は深夜枠でやりたい放題だったが・・・背景があまりに前面に出すぎて方向性を見失った一瞬があった。要するにスタッフが磯野(澤部佑)にはまってしまったのである。もちろん・・・磯野は面白いのだが・・・それとドラマそのものの完成度は別なのだ。

花沢夢子(柳原可奈子)と磯野に時間をとりすぎて・・・もう誰が主人公で誰がヒロインだか分らなくなってしまったのである。

そういう意味では目つきの悪いクマのぬいぐるみジュリエットを愛するロリータなお嬢様・咲山入香(菅野)の登場はいかにもフィナーレの匂いがする。そして・・・飛鳥はオトメンである前に単なるマザコンになってしまっている。さらにヒロインりょうはもどかしいばかりに出番がないのである。

まあ・・・ライバルの登場ですっきりした決着を迎えることができるのを祈るばかりなのである。

飛鳥「僕には好きな人がいるのであなたとは婚約できません」

入香「私・・・お母様にあなたがオトメンだって告げ口しちゃうかも・・・」

飛鳥「パ・・・パトラッチュ・・・助けて・・・・」

りょう「・・・・・・・・・」(つづく)

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『リアル・クローズ・第3回』(フジテレビ091027PM10~)原作・槇村さとる(『YOU』)、脚本・大島里美、演出・白木啓一郎を見た。非情にオーソドックスな26才の働く女・絹恵(香里奈)の話である。もちろん・・・のれない人はまったくのれないと思う。キッドの場合は大手百貨店の正社員の絹恵が配置転換された途端に無能になってしまうという設定がもういただけない。しかも派遣社員の凌(加藤夏希)の方が有能だったりするのである。あのおどおどした態度では入社試験をパスできないだろう。縁故入社でもないわけだし。

それはともかくとしてコンタクト・レンズにしたのでもはやキョロキョロしないと美人になってしまう絹恵なのである。いくらレッグ・ウェアの巨匠・水嶋(片平なぎさ)が「いい足してるけど細けりゃいいってもんじゃないのよ」と言ってもスカートはかせたらスタイル抜群なのがバレバレなのである。・・・無理があるにも程があるだろう。

しかし・・・抜群の演技力でそれほど美人じゃない絹恵を演じる香里奈だった。

今回のテーマは「仕事」と「プライベート」のどちらに傾くかという問題なのだが・・・20時間も働くのは明らかに働きすぎです。

もちろん・・・本気で仕事をすれば24時間フルタイムということになるのだが・・・ほどほどにしないと死にます。

婦人服統括部長・神保(黒木)のアシスタントに抜擢された絹恵は超富裕層専門のショップで四時間で1000万円の売り上げを見てのぼせあがるのだった。

そして神保に同行してクタクタになる。

一方ブライベートでは恋人の達也(高岡蒼甫)が婚約指輪を用意してプロポーズする気満々なのだが・・・絹恵はまったく気がつかず、軽くスルーなのである。

結局、仕事もプライベートも中途半端なのだ。そんな絹恵に神保は「鏡を見て・・・二十歳の顔は贈り物・・・五十歳の顔はご褒美なの」と意味不明の激励をする。ちなみにココ・シャネルは20才の時にはキャバレーの歌手で、50才の時には売れっ子イラストレーターの愛人だった。そして第二次世界大戦が始まるとドイツ軍将校の愛人になります。この頃、60才です。そういう人と同じバイタリティーを持つのは並大抵のことじゃないと思います。

取引相手のストッキング・メーカーの水嶋から優しくされた絹恵は・・・親友といいながらビジネスで水嶋との取引を優先しなかった神保を「不人情」と断じますが・・・水嶋が「プライベートとビジネスの区別がつかない相手とは親友にはなれない」と語るのを聞き・・・この世の上層部の奥深さに慄くのである。

絹恵はまたひとつ大人の階段を昇ったのです。

もうずっと・・・これなんだなきっと。

まあ・・・きっと次から次へと着替えていく神保や絹恵の着せ替え人形的な部分が見せ場なのでしょうが・・・キッドは着替えている途中にしか興味が持てないのでなんとなくのれません・・・所詮、男だからかな・・・。

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

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2009年10月27日 (火)

仁は点滴(大沢たかお)すべて拝見いたしました(綾瀬はるか)江戸の夜明けぜよ(内野聖陽)

まあ・・・とにかく投げ飛ばされる重要参考人(吉高由里子)に保護の必要な子供の面倒を見させる刑事ドラマについて・・・もう語ることはないよね。少子化のために文化祭なのに無人な小学校とかもどうでもいいしね。仕事が忙しくて子供(小林海人)の行事に参加できない父親(杉本哲太)を責める時代でもないしね。とりあえず食わせてくれれば御の字のご時勢ではございませんか。

たとえ秘書(中村ゆり)でもだーっ。以上、今週の「東京DOGS」情報でした。ワンワン。

そしてあんぱんち様がエキストラで参加なさっていたとしてもーっ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↘*9.7%(とりあえず東京の犬たちよりは面白いのにな)、「おひとりさま」↘*8.6%(東京の犬たちよりつまらないということもないのに)、「マイガール」↗*9.1%(東京の犬たちより確実に面白い)、「小公女セイラ」↗*8.0%(東京の犬たちと遜色なし)、「サムライハイスクール」↘11.3%(東京の犬たちが50分遅れスタートになればいいのに)、「チャレンジド」↗*5.9%(東京の犬たちより見る価値あり)、「天地人」↗20.9%(これは・・・東京の犬たちとどっこいどっこいか)、「JIN 」↗17.2%(とりあえず今週は東京の犬たちより上であってほしい・・・そうでないと日本のドラマ作りの未来が死にます)・・・ところが「東京DOGS」↘18.2%(日本のドラマ終ったな・・・)以上。

で、『JIN~仁~・第3回』(TBSテレビ091025PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・山室大輔を見た。「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか」(戦国自衛隊)の場合、自衛隊は織田信長の生まれなかった歴史に召喚されて重武装と戦車とヘリコプターと哨戒艇で織田信長不在の穴埋めをして歴史を正史コースに戻してから全滅するのだった。

この場合、歴史というものは神のような存在で・・・改変を許さないという意思を持っている。

人間は一般的には現在という一瞬の過去を認識する生き物である。その認識力でもし現在過去未来を俯瞰することができれば「時間」は一瞬の隙もなく凍結しているのだ。その場合、人間の意志などというものが無意味であるような気がしてくるのが普通である。

人間が自分の意思で何かを選択したとしてもそれはすでにあらかじめ決められた結果に過ぎないということである。

それは時間があくまで一本の場合である。

これが多元宇宙の場合はあらゆる可能性のある世界が無限に存在することになり、始まらない世界から終らない世界までが同時並行的に存在することになる。

この場合は「何かしでかしたってどっかの世界でもう誰かがやってるかもしれない」ということで無気力になるわけである。

まあ・・・とにかく・・・鬱になる人は何をしても鬱になります。

それはそれとして・・・誰もがタイムスリップして幕末に行ったりはしないので・・・仁(大沢)の悩みはすごく特殊・・・のはずなのだが・・・これがとても共感できる悩みだったりするわけで・・・人間って不思議だ・・・と感じることのできるドラマである。

現在から超常現象で文久2年(1862年)の江戸にタイムスリップした仁は医師という職業柄、現地(過去)の人々に医療行為を施し・・・死すべき命を助けてしまうのだった。

これが競馬好きなら・・・横浜で開催される外国人向けの日本初の競馬を見学に行くことくらいしかすることないのである。去年の大河ドラマ『篤姫』だと第34回あたりである。大河ドラマでも文久2年ではかなり足踏みして、第37回まで4回も使っている。つまり濃密な年なのです。もちろん、文久3年だってかなり濃密だが大奥ではそれほどのことはなかったのだった。

医師としての仁が文久2年に召喚されたことに作為があるとしたら・・・それは文政5年(1822年)、安政5年(1858年)に続く、日本での第三のコレラ大流行の年だったからということになる。それが作為なのか・・・偶然なのかはドラマでは未だ明らかにされないが・・・できれば未来に戻っておいしいものが食べたい仁は・・・おいっ・・・だってキッドなら確実にそう思うしぃ・・・いいから・・・医師としてこの病気を本格的に治していいのか迷うわけである。しかし・・・目の前の患者がいたら抛ってはおけないのが医者なのです。

馬に蹴られたタエ(戸田菜穂)の命を救ったようにタエの息子・喜市(伊澤柾樹)がコレラに罹患した以上、見て見ぬフリはできないのである。

治療への協力を申し出た緒方洪庵(武田鉄矢・正史では1810~1863)に仁は「点滴」の可能性を探る。容器とゴム管そして注射針がそろえば消化器からの経口補給塩(ORS)による水分補給が難しい患者に対し、生理食塩水の投与・・・点滴が可能になるのである。

「うむ・・・江戸の職人ならできるでしょう・・・」と緒方は用具調達を承諾するのだった。

試作品の完成までを注射器一本による生理食塩水注入でしのぐ・・・仁。

洪庵は伊東玄朴(小林勝也・1801~1871)や松本良順(奥田達士・1832~1907)ら実在する医学所の医師たちと対策を練る。

さらに勘当覚悟で「コロリとの戦」に討って出た咲(綾瀬)も看護の手伝いとして参戦する。その気迫に仁も「帰れ」とは言えないのだった。

やがて・・・メイド・イン・江戸の点滴用具が完成。コレラ退治に光明がさす。

そして喜市も洪庵の弟子・山田純庵(田口浩正)も快方に向かう。

隔離病棟からタエを呼ぶ喜市。

喜市「母ちゃん・・・俺・・・あと四日で全快だって」

タエ(安堵で腰が抜ける)

一方、坂本龍馬(内野)は汚物処理班として穴を掘って掘って掘りまくるのだった。西洋医学所では点滴用具の大量生産に入り、恭太郎(小出恵介)は勝海舟(小日向文世)に働きかけ幕府から予算を引き出すことに成功するのだった。時の将軍は聡明で知られる徳川家茂である。

かくして江戸の町を救急戸板が駆け巡るのだ。・・・何故大八車を使わないのか。

ともかくその朗報を伝え聞いた仁が喜んだのもつかの間・・・コレラはついに仁に襲い掛かるのだった。

必死に看病する咲。しかし・・・疲労の色は濃い。そこへ・・・母の栄(麻生祐未)がやってくる・・・。

栄「戦に挑んだからには・・・勝って帰ってくるのです」

咲「はい・・・母上」

咲は母の握り飯で大量と気力が向上した。咲は母の手作りナース服(白)を手にいれた。

しかし・・・仁の容態は悪化。タエが洪庵を呼びに走りだす。ここからは静かにタエの死亡フラグが立っていきます。

洪庵「・・・危篤ですな・・・」

だが・・・咲はあきらめない。仁に教えてもらった最後の秘術。大腿部の静脈への大量点滴のワザが残っているからだ。もはや仁の局部を見ても大丈夫のナース咲の誕生である。

その頃・・・なんとなく超常現象との関係を匂わす仁の悪夢の世界。

現代だが・・・どことなく元いた場所とは違う感じのする病院。植物状態となっているはずの友永医師(中谷美紀)が起き上がり屋上で発見される。そこにふりそそぐ雨。

ひとつのハッピーエンドとして・・・①友永の手術が失敗した未来。②仁は過去にタイムスリップし歴史を書き換える。③負傷した仁が未来に帰環すると手術に成功した友永が仁を治療する。④その世界では仁は生れていなかったが・・・仁と友永には愛が芽生える。・・・という展開が暗示される。

咲「じゃ・・・過去に取り残された私はどうなるのでございますか・・・」

とにかく・・・過去の世界。まだ仁の手を握る咲のこぼした涙は仁を覚醒させるのだった。

そして・・・大量の死者を出した文久2年のコレラ流行は正史よりずっと小規模の様子で終息する。

仁(俺は歴史を変えてしまったのか・・・)

不安を感じつつ・・・仁は病から逃れた江戸の町に安堵する。

そんな・・・仁の家に心ばかりのお礼を届け・・・家に向かって手をあわせるタエ・・・仁はタエにとって神なのだ・・・しかし・・・そんなタエを正体不明の辻斬りが襲うのだった。

一説によれば当時の江戸は政情不安から治安が悪化、兇徒による辻斬りが横行していた。あるものは金品目当てに・・・そしてあるものは嗜虐のために夜な夜な罪もなき者を惨殺したのである。

救ったはずの命が他愛もなく失われていく。

仁「歴史は修正力を持っているのではないか・・・」

仁の心を襲うむなしさ。神田川のほとりで仁は咲に心情を吐露する。

仁「ボクは未来人。時の流れを越えてやってきた・・・人助けをしたら歴史が変わって元いた時代に戻れなくなるのも不安だけど・・・せっかく助けた命がすぐになくなっちゃうのもイヤになっちゃう・・・このやりきれないもやもやに救いはあるのかな・・・」

咲「よく・・・わかりませんが・・・先生に出会って咲は今がとっても楽しいのです。タエさんは残念でしたけど・・・私は生きてます」

咲の笑顔にたちまち励まされる仁だった。

その頃・・・坂本龍馬は「コレラ対策に一肌脱いだ軍艦奉行」の勝海舟に会っていた。

正史では坂本龍馬は千葉重太郎(平山浩行)の紹介で松平春嶽に出会い、さらに春嶽の紹介で勝海舟に面会する。それは・・・文久2年の暮れの出来事だった。

しかし・・・文久2年の夏に起こる歴史的イベント・・・生麦事件もまだ起こった様子もないまま・・・龍馬は「仁のアドバイスで己の道を模索した果て」に「敵に学んで敵を討つ」主義の勝に弟子入りしてしまったのである。

歴史・・・変わってますから・・・。

関連するキッドのブログ『第2回のレビュー

               『篤姫

水曜日に見る予定のテレビ『草笛光子の相棒』(テレビ朝日)『笛木優子の浅見光彦・毎週が最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

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2009年10月26日 (月)

手取り21万円が7万円になったらやってられっか(小泉孝太郎)兄弟手切れの天地人(妻夫木聡)

天下分け目の決戦・・・関ヶ原の戦いでは著名な、真田信之・信繁(幸村)の東西分裂など、親子兄弟が敵味方に分かれるケースがあるわけだが、これは家名存続をはかる意味もあっただろうが、それぞれの血縁関係から必然的にそうなる場合もある。また実際に兄弟仲が悪いことも原因となるのである。

前田利家の長男・利長と次男・利政の場合は兄が東軍、弟が西軍であった。本多正信の倅では兄・正純が東軍、弟・政重は西軍である。

豊臣兼続、大国実頼の兄弟はそろって西軍だったわけだが、関ヶ原合戦後、東西に分かれるわけである。大国実頼の上杉家からの離脱が江戸幕府の開闢と時を同じくしている以上、東西冷戦の中で暗躍するスパイが連想されるわけである。東西の暗闘はベルリンの壁崩壊・・・大坂の陣まで続くわけだが実頼にいたっては追放された。いや出奔した。出奔後すぐ(1605年)死んだ。いや実は還暦過ぎ(1622年)まで生きていた。・・・などと生死さえ定かではない。

これを忍びと呼ばずしておかれようか。

で、『天地人・第43回』(NHK総合091025PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・尾崎裕和を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。戦国の非情さ、人間の凄惨さを描くならば・・・実頼の生死不明をいいことに家康に土下座して謝罪する兼続が家康に「謀反の疑いをかけられたならば妻子の命さえ手にかけねばならぬのがこの世じゃ・・・上杉にその覚悟ありやなしや・・・」と問われると・・・「大国実頼が首・・・持参いたしまして候」とすでに塩漬けにされた実頼の首を披露するという展開が見たかったのですな・・・まあ・・・このスタッフではありえませんけど~。どうせ捏造するならとことんして欲しいですな。兼続が苦しい言い訳をして去った後の本多父子の会話は父「相変わらず、兼続は何を言っているかわからんのう・・・」息子「まあ・・・あの調子なので上杉は道を誤ったわけですから・・・」父「もう・・・政重を養子を出して・・・なんとかしてやらんと民が憐れじゃのう・・・」であったに違いありません。まあ・・・それは兼続が悪いのではなくて脚本が極悪なだけなのですけれど~。・・・実際の家康は必要以上の命はとらない主義なので昌幸だって利政だって毛利(縮小)も宇喜田(追放)も島津(安堵)も長宗我部(追放)も上杉(縮小)も存続できたという歴史的事実があるわけですからねえ。

Tenchijin160401 慶長九年(1604年)、この年の梅雨の季節・・・上杉家では後継者の玉丸(定勝)が誕生している。母・おまんの方は藤原北家閑院流西園寺家一門の四辻公遠の娘だが難産のため産後の肥立ちが悪く夏の終わりに落命した。おまんの方(桂岩院)は直江家の養女として側室にあがったのでお船が玉丸の養育にあたることとなる。後に四辻公遠の娘・与津姫が後水尾天皇の寵を徳川秀忠の娘・和姫と争うことになり、公遠が一時期失脚したりするため・・・玉丸の母が四辻家の出身であるこが憚られた時期があるためにおまんの方の出自には薄いベールがかかっている。その頃、貧窮した上杉家では後継者誕生という光も曇りがちだったのである。一挙に三分の一の稼ぎとなった大国家も例外ではなく・・・台所事情は苦しかった。しかし、京の事情に詳しい大国実頼は上杉家の外交官として上方を動くことはできなかったのである。

その実頼の京屋敷に忍んでくるものがあった。・・・くのいち淀の方である。

実頼は42才になっている。淀の方(大虞院)は35才である。二人の関係は長い。実は早世したと言われる秀吉と淀の方の第一子・鶴松は実頼と淀の方の子であった。実は鶴松は生きており・・・信州の隠れ里で育ち・・・現在15才になっている。名は佐助である。現在、11才になっている第二子の名は豊臣秀頼である。第一子が何故神隠しにあったのかは忍びの掟により語ることはできないのだが・・・第二子もまた淀の方と実頼の子であることは名の示す通りである。知らぬは秀吉ばかりなりなのであった。淀の方の秘術をもってしても秀吉から子種を吸い取ることはできなかったのである。

もちろん・・・実頼にはその実感はない。実頼は最初の上洛以来・・・淀の方の傀儡(くぐつ)の術の支配下におかれている。

夢現の狭間で淀の方を抱き・・・そして心を操られているのである。

淀の方は大坂城を抜け出し一日千里(普通、人は一日十里(40キロメートル)の旅をする)を走る神速の術で京の都に出没しているのだ。

淀の方は実頼に玩具としての愛着を感じていた。

「小太郎(泉小太郎=樋口与七=大国実頼)よ・・・汝も老いたのぉ・・・」淀の方は精気を吸い取った実頼の男根の周囲に白い陰毛を見つけ嘆息した。夜の闇の中でも淀の方には真昼のようにものが見える。淀の方はまったく老いを感じさせない。まるで二十歳のような若さを発散している。小太郎はことの終った後・・・うつろな目で天井を見ている。その口元には至極の快楽を味わった後の微笑みが浮かんでいた。内腿を伝う愛の名残を感じながら小太郎を見つめる淀の方には茶目っ気が浮かんでいるが・・・それは一種の暗さも含んでいる。

淀の方にいつどこで何者の手によって闇の血が流れたかは定かではないが・・・大谷吉継がそうであったように淀の方も西洋から紛れ込んだ闇の主から血を受けたのである。

一般に闇の血に適応できるものは万人に一人と言われる。適応したとしても吉継のように体組織の崩壊という副作用が出る場合もあるし、死霊舞いと呼ばれるゾンビ化を起す場合もある。淀の方は幸運にも悪しき副作用に犯されず超人的能力を手にしたのである。不老・・・神速・・・そして幻術・・・闇の主の力は淀の方の体内に定着していた。ただし・・・血を与えることはできない。闇の主になれるのは男性だけだからである。美しき闇の女王と化した淀の方だったが・・・その心には冥界の陰りもまた宿っている。

それは一言で言えば滅びへの希求である。淀の方の心では人としての生への欲望と魔族としての死への渇望が怪しく交錯している。

「のう・・・小太郎よ・・・家康は征夷大将軍となったそうだ・・・。征夷大将軍となったは・・・汚れたものを払う勤めがあるからじゃろう・・・その汚れたものとは・・・どうやら妾であるらしいのだがや・・・。しかし・・・妾もそう簡単に滅びてしまうのも口惜しいからのう・・・悪あがきをせねばならん・・・上杉も豊臣から徳川に乗り換えるそうじゃが・・・これは許しがたきことじゃ・・・汝も太閤がご恩をよもや忘れぬであろう・・・まして今や関白は汝の血を分けしいとしごじゃ・・・どうかの・・・上杉家家老の直江と徳川家謀臣の本多の縁組・・・潰してしまうことはできんかの・・・」

実頼は惚けた顔のまま・・・コクリと頷く。

淀の方の顔に遊戯の仕上がりを示す冥い喜びが浮き上がった。

大坂から伏見に向かう駕篭の中で兼続は驚愕の知らせを受ける。

兼続は江戸から廻船で大坂に渡り、秀頼に挨拶した後で家康にご機嫌伺いに向かう途中であった。

知らせを届けたのは服部半蔵影の軍団の中忍・服部半蔵影四郎丸である。

「なんと・・・実頼が乱心したと・・・申すか・・・」

「京の上杉屋敷にて本多・直江双方の世話役が政重様婿入りの算段を相談している折、実頼殿が乱入、多数の死傷者を出してございます・・・」

「そんな・・・実頼がそのようなことをする道理が・・・」

「わが父・・・服部半蔵が申すところでは・・・実頼殿にくぐつ使いの気配これあり・・・」

「馬鹿な・・・実頼は・・・泉小太郎・・・そのような術に・・・」という言葉を飲み込んで兼続は駕篭を降りた。

その一瞬後、兼続は樋口の与六に戻り、猿飛の術で山を越えた。最短ルートで京を目指す。護衛の軒猿衆が及ばぬ速度であった。

兼続が京に辿りついた頃・・・服部忍軍と支援する柳生忍軍の猛襲を受けた実頼は鴨川の畔に骸を横たえていた。周囲には百を越える徳川の忍びが屍を累々とさらしている。

秘術を尽くした死闘はすでに終焉していた。

兼続は呆然と立ちすくんだ。その傍らに柳生新左衛門が跪く。

「直江山城守様とお見受けいたす・・・拙者・・・柳生の忍びを束ねるもの・・・憚りながら大国様を討ち取りし申した・・・かの方は恐ろしき・・・忍びでごさりました・・・」

兼続は搾り出すように答えた・・・。「かたじけのう・・・ござる」

兼続の心に暗雲が湧き上がった。

(これは・・・なんとしたことぞ・・・これは・・・与七・・・与七)

関連するキッドのブログ『第42話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『オトメン(乙男)・秋』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

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2009年10月25日 (日)

ボロは着てても心はプリンセスなの・・・てへっ(志田未来)侍高校騎馬武者の巻でござる(三浦春馬)

まあ・・・小公女スタッフは全員蒼ざめるスタートだったわけだが・・・原作者のせいにしちゃえばいいんじゃない。

一方、意外な好スタートをきった侍高校。みんなでマイム・マイム(お水・お水)を踊ったのか?

で、『小公女セイラ・第2回』(TBSテレビ091024PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・吉田秋生を見た。貧乏令嬢となったセイラ(志田)はビッグ・リボン真里亜(小島藤子)に水びたしの刑を受けて辱められる。親友のまさみ(岡本杏理)は気が弱いので救いの手をさしのべることができない。お嬢様育ちの悲しさでセイラはたちまち風邪をひいてしまう。

そんなセイラをお姫様抱っこするカイト(林遣都)だった。

夜中にこっそりとセイラを訪ねたまさみはおいしいパンとお菓子をセイラにプレゼント。ちょっと臭いセイラとともにペットのネズミにネミーとズミーと命名する。

そのころ、紫のバラのフランス語教師・亜蘭(田辺誠一)は理事長(樋口可南子)に「フランス語の上手な生徒がいたらフランス人が500万円くれる」という耳よりな話を持ち込んでくる。

理事長「セイラをピンチヒッターに起用します」

理事長の妹(斉藤由貴)「クッキーは五枚まで」

その頃セイラは「私が自分をかわいそうと思ったら同じ境遇のカイトに失礼だからもう思わないことにする」と決意する。

理事長「一日だけ生徒に戻るのよ」

セイラ「使用人には過ぎた申し出なのでお断りします」

理事長「奴隷がつべこべ文句を言うなーっ」

フランスから来た偉い人の前でスピーチをする。セイラ。

セイラ「Bonjour・・・(以下・日本語訳)・・・私の一番好きなフランス人はマリー・アントワネット。彼女のことを悪く言う人は多いけれど、彼女は首ちょんぱの時もプリンセス魂を失わなかったプリンセスの鏡だからです」

フランス人は少女趣味だったのでセイラを絶賛するのだった。

代打を出された真里亜は唇をかみしめるが、ポッキーかをり(忽那汐里)は無表情。

しかし・・・理事長は憎いライバルだったセーラの母(黒川智花)も同じようなことを言っていたのを思い出し母が憎けりゃ娘も憎いと憎悪の炎をかきたてる。

そして、セイラに「マリー・アントワネットなんて目標にしたら人生おわり」と忠告する。

セイラ「理事長は私が嫌いなんですか?」

理事長「嫌いよ、嫌い、大嫌い」

セイラ「愚民たちはマリーをののしって断頭台に送り込みましたが、マリーは最後まで愚民たちを愛していたので首チョンパになってもにっこり微笑んでいたのです。だから・・・私は理事長が大好きです・・・それが私のプリンセス道ですから」

理事長「・・・なんじゃ、そりゃ」

私の胸の片隅に咲いてる赤い花

その花が強く生きてとささやくのです

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『サムライ・ハイスクール・第2回』(日本テレビ091024PM0950~)脚本・井上由美子、演出・猪股隆一を見た。怪しい古文書の呪いでご先祖様の侍に憑依された望月小太郎(三浦)は絶対絶命になるとサムライモードに変化し、現代人の想像を陵駕する超人的な体力を発動する。しかし、心もご先祖様に支配されてしまうので、小太郎はその力をコントロールすることはできないのだった。

サムライモードになった小太郎はそのまま、家族に対面。

「これにて御免」などという兄に妹の優奈(大後寿々花)は「バカがもっとバカになった・・・」と呆れるのだった。大後本日の出番終了です。・・・短いわっ。

サムライモードのままの小太郎は学校に登校。体育祭の騎馬戦にクラス代表としてエントリーしてしまう。

そして幼馴染でクラスメートの永沢(杏)を体育館のマットの上で手篭めにしようとするが・・・そういう状況になるとシステムダウンするお茶の間向きのシステムになっています。

ダメ男モードになった小太郎は騎馬戦に対して消極的な姿勢だったが剛(城田優)を馬として乗りこなすうちに騎馬戦を心から愛するようになる。

しかし、全国レベルの秀才・黒田(若葉竜也)にテレビ取材が入ることになり、奸賊校長(室井滋)と奸賊教頭は「黒田くんに見せ場をつくるために騎馬戦での八百長」を画策し、全選手にわざと負けることを指示するのだった。

不満を感じつつ、小太郎に「八百長」を命ずる担任のサヤカ先生。

しかし・・・すっかり騎馬戦が好きになってしまった小太郎は「不正を見逃すのが大人だというのならそんな大人にはならない」と宣言。

全力で騎馬戦に挑み、黒田チームを追い込む。

そこで奸賊ペアは前半戦終了後、黒田の馬を強化するとともに総がかりで小太郎の騎馬を粉砕する作戦に出る。たちまちリンチされる小太郎。しかし・・・その衝撃がサムライ・モードを発動させる。そして小太郎は校舎裏に騎馬たちを誘い込み、一気呵成にハチマキの全取りを達成する。

校長「めんぼく丸つぶれ~」(卒倒)

教頭「ただ今の試合・・・小太郎チームはコースアウトで失格です。それでは名物の全校生徒によるフォーク・ダンスでお楽しみください」

突然始まるユダヤ人の踊り「マイム・マイム(神様、お水をありがとう)」に包囲される小太郎。

小太郎「むむ・・・面妖な南蛮渡来の妖術か・・・これはしたり・・・おのおの方であえであえ」

生徒たち「マイムマイムマイム」

小太郎「であえであえ」

生徒たち「マイムマイムマイム」

小太郎「であえであえ」

テレビの前でキッドは大爆笑でござる。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)

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2009年10月24日 (土)

三十路一週間前にはアンタッチャブル(仲間由紀恵)オセロで嬢王V04(原幹恵)

さて・・・金曜日である・・・四本立ての日なのだ。

かなり無理があるのである。

もちろん・・・「おひとりさま」や「マイガール」は脱落候補だが・・・斬りがたく・・・これを斬るなら「東京DOGS」も斬らないと不公平だ・・・。

だから・・・無理を承知の四輪車である。いや・・・ブロガー入れると五輪車だ。いやブロガーいれたら変だろう。四輪車って2対2だよね。じゃ、「鍋まつりだんごシリーズ」のCMで田中要次が美女三人に囲まれているようなプレイはなんて言うんだよ。・・・4Pだけどもはやハーレムプレイでいいんじゃね・・・おいっ・・・脱線にも限度があるだろう。

つまりだ・・・ブロガー一人で一日四本のレビューはすでに地獄じゃないのか・・・という話である。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子・第2回』(テレビ朝日091023PM9~)脚本・橋本裕志、演出・下山天を見た。とにかく二回目でかなりこなれてきた。やはり・・・カメラマン・鷹藤(佐藤智仁)の能弁が気になるが抜擢したいというなら・・・それもありなのだろう。「ごくせん(第2シリーズ)」出身だし、「1リットルの涙」で錦戸亮の死んだ兄貴だし、、「ヴォイス」の羽井くんだし、そして仮面ライダーガタックだしな。実年齢もうすぐ五歳年下の男の子で「おひとりさま」とかぶるのが・・・なんとなく気持ち悪いだけなのだ。

すると・・・「国民ジャーナル」の遠山(要潤)は元・同僚で遼子(仲間)がストーキングしていた片思いの人。その相手として美鈴(芦名星)も抜擢されて遼子のライバルとして女の武器で体当たり取材をする女記者を演じるということだ。結構、スリリングなキャスティングである。まあ・・・芦名は「嬢王V」に出ていてもおかしくないタイプだから・・・遼子よりもてるというポジションがものすごく微妙なのだが。

遼子の兄・洸至(小澤征悦)は公安部刑事という肩書きが浅見光彦の兄のような後ろ盾になっていくわけである。

そして・・・遼子の敵は「不可触領域」に位置する永倉栄一(寺島進)なのである。虹の羽根をつける栄一が経営する「永倉ホールディングス」の傘下には「日本福祉募金振興会」「杉の子育英基金」「ワールド・エデュケーション・システム」などがあり・・・福祉や慈善そして教育事業の裏に潜む闇社会を暗示しているのである。

かって・・・学生運動が華やかであった頃、本気で革命を起こす気があれば、自衛隊や警察に就職し、臥薪嘗胆して革命を起こすのが堅実な手段であることは明瞭だったのだが・・・早い話が学生たちはそんな下積み生活はまっぴらで華麗な革命戦士になりたかっただけなので日本には革命は起きなかったわけである。しかし、宗教団体となると話は別で、前世紀末にはオウム真理教が自衛隊や警察に触手を伸ばしたのは記憶に新しい。オウムの場合は組織自体が非合法活動に走り自滅していったわけだが、もっと巧妙に組織の触手を浸透させている団体はいくらでもあるだろう。

一方で大衆は操作されやすいものだ。たとえば「小泉政権」、たとえば「鳩山政権」・・・ある意味で180度違う「主」を同じ大衆が選ぶのである。それらを操作している何者かがいたとしても全く不自然ではないだろう。

闇社会の支配者は善き隣人として微笑みかけるのが鉄則なのである。

はたして・・・遼子はこの「巨大なる善」を暴くことができるだろうか。もし暴くとしたらそれは「ルパン三世・カリオストロの城」オチになるだろう。

今回は「闇組織の資金規制法案」の廃案化をめぐる「名無しの権兵衛」の暗躍が描かれるのだが・・・その過程がちょっと曖昧だったのが残念な感じなのである。

弱者を嬲るのが「いじめ」だとすれば、強者を弄るのが「おちょくり」である。

その本質は同質だと思うが・・・「おちょくり」が大いなるリスクを伴うのが普通である。

そこに面白みを感じるのが「悪戯心」というものだ。

たとえば「トリック」ではお習字の題材という姑息な部分で・・・当時圧倒的な視聴率獲得を誇る「スタジオ・ジブリ」の作品が裏番組であることをおちょくって「ナウシカなんどめだ」の名言を残すのである。

そういう意味では前回・・・もはや巨匠となった「トリックの演出家」の「20世紀少年」のパロディーをしたのは「おちょくり」なのだが・・・相手が「おちょくる」ほど強くないし、凄く「面白い」わけでもないので不発感が生じるのである。ここは上映映画館から出てきた仲間が「ヒトネタを引っ張りすぎだよねえ」ぐらいでよかったと思う。

宗教組織そのものはミンシュ教ぐらいの方がスリリングだろうし・・・この局でできるかっ。

今回、闇社会を描いてきたベストセラー作家たちが相手とするのは「カルト教団」「過激政治組織」「暴力団」なのであるが・・・それらは末端に過ぎないというのが妄想的な闇社会なのである。

いざとなると末端が「自殺」してしまう組織はまだ健全といえる。これが「突然死」となるとやや病的なのである。正義感や使命感は一種の病だが「毒をもって毒を制す」と言う言葉がある以上・・・性格に偏執的な部分を宿す遼子は劇薬なのである。

実際に疑わしい死はいくらでもあるのだな。闇資金をおちょくった映画監督は飛び降りたし、某宗教団体に関った小説家は焼死したし・・・秘書の自殺なんてありふれた出来事だしねぇ。

小説「闇夜のカーニバル」をめぐる死者は以下の通り。

女子大生・太宰瞳(福田萌)・・・名無しの権兵衛より「闇夜のカーニバル」の資料を渡され、小説化。名前は太宰治と山口瞳の合成か。小説のコピーを二人の作家に渡した後、駅のホームよりの転落事故で電車に轢かれて粉砕死。

大学生・吉行周作(若葉竜也)・・・山形名産こけしのストラップを持ったまま死んだ太宰の遺作を二人の作家が盗んだと告発後、太宰殺害を告白する遺書を残して桜の木で首吊りで自殺。名前は吉行淳之介と遠藤周作の合成か。

芥川春彦(京本政樹)・・・こけしのストラップをなぜかいつまでも置いていたため遼子に問い詰められ、盗作を告白。しかし、その裏には「名無しの権兵衛」の陰謀があると示唆。療養のため入院した病院で心不全で病死。名前は芥川龍之介と大藪春彦か。

夏目龍堂(相島一之)・・・こけしのストラップをなぜかいつまでも置いていたため美鈴に寝物語で盗作を告白。芥川と同じ病院で心不全で病死。名前は夏目漱石とエロマンガ家の龍堂ねねか・・・なんでここだけ猫賀じゅんなんだ。

そして・・・遼子はまたしても記事を改稿されてしまうのだった。く、くりかえしか。来週もそうなら「なんどめだ」って言うぞ。

関連するキッド『先週の金曜日のレビュー

で、『おひとりさま・第2回』(TBSテレビ091023PM10~)脚本・尾崎将也、演出・植田尚を見た。今週は「斉藤さん」(日本テレビ)である。

公園で喫煙している高校生を発見したおひとりさまこと秋山先生(観月ありさ)・・・。

秋山「なによ、あんたたち、高校生なのにタバコなんて吸ったらダメでしょ」

不良「うっせーんだよ、ババア」

秋山「変な髪形~」

不良「ババアにはこのセンスわかんねーんだよ」

不良たちから強引にタバコを奪取する秋山先生。

秋山「これは二十歳になるまで預っておきます」

不良「えーっ」

斉藤さん以外の誰がこんなことをするだろうか。真野若葉(ミムラ)はどこにいるのだ。

来週は神坂先生(小池徹平)と同居。「ナースのお仕事」(フジテレビモード)だな。

こうなりゃ・・・観月ドラマの集大成をこのまま見せてくれっ。サザエさんとかもなーっ。

で、『マイガール・第3話』(テレビ朝日091023PM1110~)原作・佐原ミズ、脚本・荒井修子、演出・麻生学を見た。正宗(相葉雅紀)の母(室井滋)は息子を奪った女・陽子(優香)は許せなかったが孫のコハル(石井萌々果)は半分許せるので・・・息子ともども回収しようとする。

しかし・・・死んだ陽子の暮らしたかった家に執着し、コハルの育児よりも己の思い出を優先するのだった。

正宗「コハルはおばあちゃんたちと暮らしたいかな?」

コハル「正宗くんがしたいようにして。コハルは正宗くんの言うことを何でも聞くよ」

正宗「じゃ、シイタケを食べなさい」

コハル「それは・・・ちょっと」

正宗は父(山崎一)から正宗のタマネギ嫌いを直すために母がソースにたまねぎを摩り下ろして混ぜ込んだテクニックを教えてもらい、しいたけを鬼微塵切りにするのだった。

正宗「タタタタタタタタタタタタタタタタ」

その頃、大家(八名信夫)はいつ果てるともなくコーヒー・ミルを回し続ける・・・「コハルがいなくなったら鬱だし・・・」(つづく)

で、『嬢王Virgin・第4回』(テレビ東京091024AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・根本和政を見た。男たちに拉致された舞(原幹恵)だったが、地下駐車場で待っていた謎の男・桜木貴志(大口賢悟)から「優衣華(原紗央莉)の情報を探って欲しい」と頼まれるが拒絶する。舞は桜木と優衣華の関係を問うが桜木は「知らない方があなたのためだ」と答える。

一方、Clubミュゼルヴァの雨宮(永田彬)はボス(大河内浩)の娘で足の不自由な婚約者香織(かでなれおん・・・「いちばん暗いのは夜明け前」(2005)の第7話主演・クミコ役)から受け取った婚約指輪を机の引き出しに放り込む。

ボスは昭和生まれの亜美(麻美ゆま)に桜木貴志を特別指名客のリストに付け加えるよえにベッドの中で命じる。桜木の正体を詮索する亜美にボスは「好奇心は猫を殺すって言葉を覚えておけ・・・さもないと死ぬ」と恫喝する。

本日のイベントは「オセロゲーム式デスマッチ」である。客は特別指名客のみに限定されキャストたちは指名客を奪い合う。最下位脱落方式なのでキャスト不足になったのでエスコート役だった昭和生まれの亜美とモモ(森山綾乃)が参戦するのだった。まあ・・・方式として問題あるもんな。最後は二人で決勝戦じゃ・・・もはやキャバクラとは言えまい。

雨宮「客が求めているのは刺激だ・・・お前たちの火花散るバトルで興奮させろ」である。

朋(黒木芽以)の手首の自傷跡をメイクで隠してあげる舞。「朋ちゃんはライバルだけど友達だから

亜美を味方につけた女王様あがりの沙羅(辰巳奈都子)は舞をお尻の下にアイストングなどでいじめつつ、指名客を奪っていく。

来店した謎の男・桜木は舞を指名する。

桜木と優衣華の間に確執があると考えた舞は「桜木さんが優衣華さんを追いかけるのなら逃げていないで一度会って話し合ってみたらどうですか」と助言するが優衣華は「あなたこそ戦わないで逃げてばかりでは嬢王にはなれない」と説教されるのだった。

くやしい気持ちで一杯になった舞は朝のジョギングで香織と知り合う。雨宮が香織を邪険に扱うのを見た舞は「ひどいじゃないですか」と雨宮を叱る。しかし雨宮は「奴隷に意見などする資格はない」と断言する。

舞「私は奴隷じゃなくて・・・心のある人間です」

雨宮「キャストは奴隷で俺の所有物だ」

舞「あなたみたいな人は絶対にこの世界で成功しないわ

雨宮「ならば賭けをしよう・・・俺は成功する・・・そしてお前は滅びる」

舞「受けて立つ・・・私は嬢王になる・・・そしてあなたは滅びる」

舞がよくわからない賭けを成立させている頃、優衣華は昔なじみのスター・ダンサー(北代高士)にベッドでサービスをするのだった。

男「君が夜の世界で輝くことを楽しみにしている

優衣華「過去が私を邪魔しにくるの・・・」

一方、朋は自分の客(渡辺隆二郎・・・3年J組ツッパリ先生)を奪われそうになり、優衣華の名紙入れに評判を落とすために避妊具を仕込もうとして失敗する。

朋「これ・・・落ちてました」

優衣華「この店には蝙蝠がいるみたいね。闇をとびまわる蝙蝠が

沙羅の嫌がらせはエスカレートし、自分の客・志賀直哉(馬場恒行)にアイスペールでタバスコ・クラッカー・カクテルを作らせ舞に飲ませようと仕掛ける。

志賀「ほら・・・未成年だから・・・ノン・アルコールだぜ」

舞「飲みます」

根性の一気飲みを披露する舞。

そんな舞を邪眼で見つめる朋。すでに弱みを握られた朋は雨宮にコントロールされていた。

朋「私は・・・強いものにふみにじられ・・・その度に心など何の役にも立たないと思い知った。私は力が欲しいのです・・・そのために命をかけて嬢王になるのです」

雨宮「お前は嬢王になれる・・・地獄をみたものだけが支配者になれるからだ。炎を操れるのは焼かれたものだけだ。お前の敵を地獄の炎ですべて焼き尽くせ

今週のジャッジメント。はじめてのセリフで退場する黒宮なつき(キャバドルこと小久保ナナ)である。「何がデスマッチだよ・・・よってたかってアタシの客を奪いやがって・・・お前ら汚いよ

舞の首をつないだのは唯一の指名客・桜木のドンペリ・ゴールドだった。

優衣華「あなたは桜木と組んだのね」

舞「違うの・・・あれは桜木さんが一方的に・・・」

優衣華「桜木は私の敵。桜木と組んだのなら私はあなたを潰す・・・」

タバスコ・カクテル強要の謝罪を理由に志賀に同伴出勤を申し込まれた舞はカラオケ・ルームに連れ込まれ衣装を剥ぎ取られるのだった。

舞「やめてぇ・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」・・・つづくである。

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

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2009年10月23日 (金)

花子先生守護パンチ!(国仲涼子)これはお母様に似合う色ですもの(多部未華子)

さて・・・秋ドラマはなんちゃって高校生の陣再びである。

これは2008年の夏ドラマで多部未華子(実は女子大生)と大後寿々花(実は中学生)そして志田未来(実は中学生)が華麗なる戦いを繰り広げたことによるのだが・・・そんなこと言ってるのはお前だけだがな。

最終結果は

①多部未華子(実は女子大生)のヤスケン→

12.3↗13.1↘11.2↗12.9↘10.6↗12.3↗14.9↘13.0↗13.4↗16.3%・・・・・・・・・平均13.0%

②大後寿々花(実は中学生)のシバトラ→

13.0↘12.2↗13.4↗14.0↘11.7↘*9.6↗13.7↘11.3↗12.1↘11.6↗15.0%・・・・平均12.5%

③志田未来(実は中学生)の正義の味方→

13.2↘10.1↘*8.7↗*9.4↗11.6↘*9.5↘*7.8↗10.5↘10.0↗12.2%・・・・・・・・・平均10.3%

結局・・・年上なんちゃっての多部未華子の優勝だったのだ。

で・・・今回、多部未華子(実は女子大生)は健在だが・・・大後寿々花(元劇団ひまわり)、志田未来(元セントラル子供劇団)は16才になってともに高校現役世代なのである。だからなんちゃっては多部だけになったのだが、大後も志田も20才くらいまで高校生であり続けることは充分に予測され・・・多部がなんちゃって高校生であり続ける限り・・・この戦いは続くと想定した・・・どんな想定なんだよ。

とにかく・・・秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3の陣は開戦したのだ。(順位は平均視聴率)

①大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%

②多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%

まあ・・・主演とそうでない人を比較することはある意味ナンセンスだが・・・そういう風に楽しんでいるということです。

で、『ROMES/空港防御システム・第2回』(NHK総合091022PM8~)原作・五條瑛、脚本・佐伯俊道(他)、演出・梛川善郎を見た。驚くべくことにこの回は解決篇なのだが謎の病弱少女・閑野流斐(美山加恋)が登場しません。・・・なんじゃそりゃ。

後は・・・ちょっと間抜けな警備システムROMESにそれを上回る間抜けな窃盗団が敗れるという話です。

基本的に監視という・・・防犯のための機能が個人情報の流出(プライバシーの侵害)と密接に関係しているという問題点を避けて通るために非情に空虚になっているのだとキッドは思う。

監視カメラの設置は当然、盗撮行為である。しかし、そこで収集される情報は防犯目的に使用されるという大義名分で合法化される。しかし、監視者が「お気に入りの誰か」を限定的に盗み見て個人的にその「映像情報」をダウンロードすることは不可避である。

ROMESは熱源分析カメラも持っているし、赤外線透視カメラも持っている。任意の個人を「ハダカ」にすることが可能なのである。

そのために便宜上は監視不能ポイントが浮上する。たとえばトイレ内部の監視は公序良俗的に問題になるだろう。当然・・・テロリストはトイレで自由に作業をすることができる。時限核爆弾ならばトイレに仕掛けるだけで空港を壊滅できるのである。

ということは当然、トイレだって監視対象にならざるを得ないということだ。それは便宜上は監視しておりません・・・ただし警備上の機密は存在します・・・ということなのである。

トイレのどこにどのようなカメラが設置されているかをここで書き始めるとキッドが変態だと思われるので書かないが・・・もう遅いわ・・・エロゲー的には存在して当然だと考える。

ま・・・そういう点を含めて・・・こんな気の抜けたサスペンス・・・窃盗未遂の花子先生・・・いやリョウ(小西美帆)に対する主人公(大倉忠義)の「少しだけ一人にしてあげてください」的優しさも何もかも・・・どうでもいいよね。

関連するキッドのレビュー『先週の木曜日のレビュー

で、『不毛地帯・第2回』(フジテレビ091022PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・澤田鎌作を見た。さて前回は・・・大日本帝国最後の戦争の終末(1945年)から日本国の復興と主人公のシベリア抑留を交えて昭和31年(1956年)に帰国するまで・・・そして二年の療養生活を経て大手商事会社に就職し社会復帰するまでをいい意味では重厚に悪い意味ではとりとめなく描いたのであるが・・・今回は反動的にというほどシンプルな構成になっている。そういう意味では・・・構成ミスと言えないこともないが・・・まあ・・・これは原作の構造的問題もあるし・・・スタッフの限界もあるし・・・お茶の間の許容量もあるし・・・まあ・・・精一杯なのでしょう。

なにしろ・・・主題は国防問題なのである。敗戦国の国民である我が国のお茶の間は「政治家の汚職」には些少興味があるが、「国家を防衛すること」にはまったく関心を抱かないように洗脳されていますからね。

この「国防についてのバカの壁」はかなりぶ厚いのであって・・・スタッフが死ぬほどに命を削って精進しても主人公の「心」を伝えるのは困難であると予想できるのだ。

ドラマは別にして・・・歴史的にはこの「話」は次のように推移する。

①1958年 次期戦闘機がロッキード社のスターファイターとグラマン社のスーパータイガーに絞られ、決定直前にスターファイターが事故を起こしたためにスーパータイガーの採用が内定する。

②1959年 スーパータイガー内定についての黒い噂が表面化し・・・汚職問題として証人喚問に発展した結果・・・内定は撤回され再調査の結果、スターファイターの導入が決定されるのである。

今回は①の部分までが描かれるのであるが・・・たとえば・・・なぜ、主人公の壱岐正(唐沢寿明)が信念に基づいて「スターファイター」にこだわるのかがお茶の間に充分に伝わっていないのである。

まず、スターファイターはすでに実用化された機体だった。

これに対してスーパータイガーはタイガーの改良機であるが米国ではタイガーを性能不足、スーパータイガーを運用上不適格として不採用としている。

つまり・・・タイガーは非力なので改良型のスーパータイガーを作ったが・・・結局採用されなかったので試作機があるだけの状態だったのである。さらに言えばタイガーは艦上戦闘機であり・・・空母があって運用に利点が生じる機体なのだ。もちろん・・・自衛隊は当時も今も空母は運用していないのである。

もちろん、スターファイターも速度がタイガーをわずかに上回る他、航続距離や武装、さらには管制システムなどに様々な問題を抱える機体であったが・・・実際には開発途上の機体であるスーパータイガーと実戦配備されているスーパーファイターとでは・・・どちらが実用的かは火を見るよりも明らかである。

そうであるにもかかわらず・・・賄賂によって機種を決定する政治家・官僚システムに壱岐が感じたのは「戦力分析を欠いたまま悲惨な戦争に突入した」戦争指導者としての自分自身の「愚かな姿」だったのである。

ドラマの中では・・・領空侵犯を犯すソ連軍機と自衛隊との防空戦闘が一瞬、描かれるがあくまでレーダーに映る機影と航空指揮所の映像だけで語られる。これではいかに日本が危機的状況に置かれていたかは・・・まったく意味不明だろう。

当時は東西冷戦の真っ最中なのである。それはアメリカ合衆国とソビエト連邦の鍔迫り合いであって・・・米軍と同盟する日本はソ連と国境を接する以上、最前線なのである。

1957年にソ連は大陸間弾道弾を実戦に配備し、米国は1959年に配備する。それらはいわゆる核兵器であるが・・・それまで核兵器の運用は爆撃機によってなされていた。

ソ連も米国も核爆弾を搭載した長距離爆撃機を運用し・・・どちらも相手の先制攻撃を警戒しながら限界点までの飛行を継続していたのである。

ソ連が日本の領空を侵犯するというのはその爆撃ルートを模索するということなのだ。

戦闘機とはこの爆撃機を迎撃するための防衛兵器なのである。そのために仮想敵国(この場合ソ連)は戦闘機を迎撃して露払いをする戦闘機を投入する。防衛側(この場合は日本)は敵戦闘機を駆逐してさらに敵爆撃機を撃墜しなければならない。そうでなければ都市(たとえば東京)が核攻撃される可能性があるわけである。

その「盾」(次期戦闘機)の選択の話なのである。

壱岐は「幻の盾」ではなく制空防衛の可能な「盾」を配備するべきだという信念を持っているのである。だから・・・「幻の盾」を売り込もうとする「敵」の送金ルートを絶ち、「敵」の見積りを盗み出す。そしてそういう違法行為に心を沈ませるのである。

そんな壱岐の心を慰めるのは最愛の妻(和久井映見)だったり、恩師の娘(小雪)だったり、夜の女(天海祐希)だったりするわけだが・・・極めつけは娘・直子(多部)でなければならない。

朝食で・・・直子は「御茶ノ水女子大に入学して仕事をしたい」と「短大卒業して嫁に行け」という壱岐の願いを一蹴するのだが・・・そういう娘を壱岐は頼もしく感じるのである。帰宅した壱岐は妻への贈り物を買ってくる・・・それを開封し・・・さりげなく妻へ着せ掛ける娘の要領のいい優しさに壱岐は癒されるのだ。

息詰まるスパイ合戦と・・・妻と娘のいる家庭の慰安・・・このメリハリだけでもキッドは実に美しいと思うのだが・・・昭和の中に戦後ともはや戦後ではないがあったり、戦後ではないに60年代や70年代や80年代があることを知らない世代にはあまりにも地味で分りにくいだろうなぁ・・・と推測します。

土曜日に見る予定のテレビ『オトコマエ2』『チャレンジド』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『石原さとみの裸の大将』『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)もう・・・殺す気かっ。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2009年10月22日 (木)

ジャズは青春のほろ苦い疼き(水谷豊)赤ドクター(藤原紀香)白ドクター(本仮屋ユイカ)

さて・・・水曜日はダンスの日だが・・・ついに殴りこんできた「沢村一樹版・浅見光彦」しかもいきなり「最終章」である。そして案の定、返り討ちである。一方、「ギネ」は野球延長でステップを踏み外す。ああ・・・日本テレビ・・・相変わらずだな。

「相棒」19.4%↘16.6%

「ギネ」14.8%↘11.6%

「最終章」・・・・10.9%

まあ・・・エロ男爵はそれなりに「相棒」と「ギネ」を削りましたね。

で、『相棒・Season8・第2回』(テレビ朝日091021PM9~)脚本・太田愛、演出・和泉聖治を見た。大学のジャズ研の同窓会に集まった青柳(大浦龍宇一)などのおっさんたち。誰が誰やら区別がつきません。ある意味・・・光学迷彩で容疑者不明です。しかし・・・右京(水谷)にはたちまち犯罪が見えてきます。青柳にはアリバイのある殺人事件発生なのですが・・・仲間が現場にいる以上「交換殺人」は選択の範囲内。しかし・・・もうひとりの被害者かと思われたジャズ研のマドンナは無事で死んだのは最初の殺人事件の実行犯。彼はマドンナの夫・黒木(神尾佑)でした。マドンナを思う恋に破れたものどもはマドンナを裏切ろうとした夫に鉄槌をくだしたのである。「甘酸っぱい思い出があれば男は殺人も厭わないものだ」というロマンに溺れる犯人たち・・・。しかし右京さんは「もはや苦い思い出になってしまいましたがねえ・・・」と鞭打つのだった。まあ・・・この脚本家なのに殺人事件があってよかったと思う。

関連するキッドのブログ『先週の水曜日のレビュー

で、『ギネ・産婦人科の女たち・第2回』(日本テレビ091021PM1025~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・久保田充を見た。聖修大学付属病院産婦人科は女医だらけなのであるが新人産科医・嶋えりな(本仮屋ユイカ)は院長の娘らしい。その院長というのは専修大学付属病院の院長なのだろうか・・・。雲の上の人らしく登場しないのだが・・・松方弘樹じゃないだろうな。

その院長が娘に送ったアドバイスは「うまく流されなさい」ということだった。

その流れにまったく乗らない女・・・それが主人公の赤い制服の女・柊(藤原紀香)なのである。1回目はまだ曖昧だったが・・・柊は「医者は患者の命を救うためなら殺人をしても許される」という狂った信念を持ったマッド・ドクターなのである・・・おそろしいことだ。

柊は狂信者であるために・・・自分のガードは固い。様々な大人の事情から「患者の命よりも大切なものがある」という柊にとって邪悪な考えを持つ異教徒と常に接する可能性があるため・・・コミュニケーションは最低限に控えている。悪魔の言葉に耳を貸せば・・・自分というものを見失う恐れがあるからだ。

そんな精神異常者が自分の指導医であるとは露とも知らず、新人産科医・玉木(上地雄輔)はごく普通の感覚で・・・無口だが腕のいい指導医・柊になんとか教えを乞おうと健気に努力するのだった。

しかし・・・病院の手術室がふさがっていても、輸血用の血液が不足していても急患を受け入れる柊によって・・・輸血が充分でなかったために子宮外妊娠の摘出手術を受けた女子高校生利香子(石橋杏奈)は止血のために子宮の全部摘出をされてしまう。いわゆるひとつの子供の生めない体になってしまったのである。

それを知らない利香子は病室から玉木にVサインを送る。

立ちすくむ玉木。二人の人間を助けるために一人の人間は障害者になった。一人の人間を障害者にしないようにするためにはもう一人は死んだ。この究極の選択と結果に玉木のやわなハートは震えるのであった。

しかし・・・えりなは「流されるしかないのよ」と玉木の手をそっと握ってあげるのだった。

そのえりなを親切丁寧に指導するスペルマ・ドクター桧垣(板谷由夏)は筆おろしした相手の顔も理科室での経験も忘却するが「精子ちょうだい」だけは言い忘れないのである。

「急患を受け入れたことによって訴訟の可能性が生れたこと」について産婦人科主任教授・須佐見(國村隼)と顧問弁護士・瀬川(内田有紀)は柊と柊の上司である産科医長・青ドクター君島(松下由樹)を指導する。

青ドクターは「管理不行き届きだった」と謝罪するが・・・赤ドクターは「二人とも命があるので最適の選択でした」と反省の色を見せないのだった。三女・愛のくせに長女泪に逆らうなんて生意気なのよ・・・誰が実写版「キャッツ♥アイ」の話をしろと。

もちろん・・・全員が赤ドクターの正気を疑うわけだが・・・人手不足なので精神がちょっとくらい異常でも腕のいいドクターを解雇できない現状なのである。

すでに長女・優美(吉田里琴)を出産しているのでそれほど緊張感のない妊婦・美和子(西田尚美)だったが・・・難産となる。赤ドクターは出血箇所を特定できず・・・大量出血をしてしまう。青ドクターは叱咤し交替・・・なんとか手術を終了させる。

これを機会に説教しようと・・・青ドクターは過去の自分の過ちを見せる。

10年前・・・青ドクターは己の腕を過信して急患を受け入れ・・・生れた子は植物状態になってしまった。最近では両親も面会にこない・・・見捨てられた眠れる王子を作った責任を私は感じている。今のあなたは昔の自分のようだ・・・。あやまちをくりかえさないために変革が必要で・・・そのためにはチームワークが不可欠。私の手駒になれば悪いようにはしないわよ・・・である。

しかし・・・赤ドクターは「これはあやまちではありません。だって彼には命がある」と微笑むのだった。

交渉決裂である。

ふふふ・・・この頭のおかしなやりとり・・・最高にしびれるな・・・。それはさておき・・・美和子担当のナース・洪(滝裕可里)は美人である。えりなとうっかり間違えないでください。

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『とってもこわいゴーストシップ』(日本テレビ)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)『平愛梨の行列48時間』(NHK総合) 

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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年10月21日 (水)

きっと来る~あみぐるみも得意な私(夏帆)磯野、駅前に死す(岡田将生)おしゃれに関する記憶喪失(香里奈)

さて・・・火曜日はドラマ対決の日であるのです。(言い方替えるのはマリネラ常春の国の真似か・・・)

今回は驚きの①「リアル・クローズ」↗10.0% ②「オトメン~秋~」↘*7.2%

香里奈の底力発言かっ。すっぴん風メイクの香里奈はじりじりあげるタイプだけど・・・今後・・・素敵になっていくとどうなるんだ。

しかし・・・今回は「リアル・クローズ」は佐々木凌(加藤夏希)、「オトメン」はゲストの萌松音羽(市川由衣)とのヒロイン・ライバル系の大御所対決なのである。・・・二人とももう・・・大御所なのか。

このグループからは戸田恵梨香が突出してしまったので・・・二番手決定戦とも言える。・・・どういうグループなんだよ。

そして・・・視聴率的にはストレートに香里奈を苛める夏希が・・・夏帆に戦わずして敗れる由衣に勝利をおさめたのだった。

そんな風に見てるの・・・お前だけな。

で、『オトメン(乙男)~秋~・第2回』(フジテレビ091020PM9~)原作・菅野文(『別冊花と夢』)、脚本・吹原幸太、演出・谷村政樹を見た。些少好みの問題もあるが・・・同じ深夜風のドラマでも「東京DOGS」よりも「オトメン」の方がはるかにクォリティーは高い。それでも視聴率が取れない理由は先週書いたので・・・もういいよね。

まず、男女の性差にまつわるテーマというものに基本的にお茶の間は保守的なのである。

次に美醜の問題についてはあからさまに触れると避けられる。

この二点を徹底的に追求していく「オトメン」はお茶の間の通俗的視点とはまったくおりあわないのだーっ。

たとえば・・・エレガントなお嬢様→奥様だった浄美(山本未來)がある日突然夫(鶴見辰吾)から「私・・・昔から女になりたかったの」と去られてしまう・・・という事態についてこれない人がいます。そしてそのために浄美が「男らしくない男」に激しい憎悪を向け常軌を逸した振る舞いをするという爆笑場面に置き去りなのです。

もう抱腹絶倒なのでございますがーっ。

今回は浄美が理事長を務める銀百合学園から「オトメン(大和撫子的日本男児)」を排除するために刺客として年齢不詳の教育実習生・萌松音羽(市川)が起用されるのである。学園が目指す健全なる日本男児と大和撫子の育成のために「アキバ系ロリ萌えメイド」キャラを起用するという茫然自失ぶりがまたまた大爆笑なのであるが・・・お茶の間はクスリともしないことが予想され涙目だ。

ともかく・・・萌松の使命はその明らかに大和撫子とは方向ちがいの乙女チックパワーで男子生徒を虜にして隷属させ・・・彼らにオトメンを攻撃させるという意味不明さだ。

しかし・・・夫に受けた屈辱を思い出すと見境のなくなる浄美は「オトメンが排除できれば男子生徒が日本男児にあらぬことになろうが女子生徒が大和撫子でなくなろうが知ったこっちゃない」のだった。この本末転倒ぶりは相当に面白いのである。

そして・・・萌松先生ティーチャーは男の子ボーイと女の子ガールに過剰な男らしさと女らしさを押し付けていくのである。

しかし・・・その過去には恋人ケンジ(竹財輝之助)に「がさつな女は嫌いだ」とふられた怨念が隠されていたのだった。

だから・・・かわいいあみぐるみ教室で・・・信じられないほど貞子なあみぐるみをつくる日本男児的大和撫子のりょうを見ると・・・「ああ・・・このままではこの娘の人生は悲惨なものになる」と見当違いの同情をするのであった。

さらにかわいいテニス教室ではフリフリ・テニスウェアでジャージ・スタイルのりょうを教育的指導しようとするが逆に光速炎上爆裂スマッシュで卒倒させられてしまうのだった。

いじめっ子にいじめさせない過激なヒロインです。

一方、オトメン四天王・ケーキ作り大好き・飛鳥(岡田)、メイクの達人・多武峰(木村了)、乙女よりかわいい大和(瀬戸康史)、少年少女マンガ家・橘(佐野和真)に手ごわさを感じた萌松は・・・オトメンたちをメロメロにする自分を含めた合コンのローマ帝国四大将軍を招集するのだった・・・。

もちろん・・・イケメンの上に家事もおまかせのオトメンたちに・・・普通の乙女はメロメロになってしまうのだった。

結局・・・イケメンだったらなんでもいい理論です。同様に・・・いくら女の子ぶってもかわいくなけりゃ・・・という結論にお茶の間の主にブサイクな人々は目を塞ぎ・・・脱兎の如く逃走するでしょう。

そして・・・オトメンをおびき出す道具として使い捨てにされた磯野(澤部佑)は・・・永遠に来ない待ち合わせ相手を待って・・・忠犬ハチ公のように朽ち果てるのです。

ボクは・・・生まれ変わったら桜の木になりたいな・・・。

そしてみんなにボクを見上げて微笑んでもらいたい。

毎年・・・春が来る毎にさ・・・。

ああ・・・ほとんどの人が自虐的になれさえすればこんなに面白いドラマはないのにねぇ。

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『リアル・クローズ・第2回』(フジテレビ091020PM10~)原作・槇村さとる(『YOU』)、脚本・大島里美、演出・白木啓一郎を見た。本来は絹恵の役は山崎静代(しずちゃん)がやってこそコメディーなのであるが・・・森三中の誰かでもいい・・・しかし、コメディーではないので絹恵を演じる香里奈はあきらかに「アグリー・ベティ」のヒロイン(アメリカ・フェレーラ)を意識した役作りをしているのである。

そういう時の香里奈はやる気全開で・・・バイヤーの田渕に笑えと云われて笑う場面では本当にブサイクな感じさえ醸し出します。

ある意味、「アグリー・ベティ」は「人間の外見なんか内面の輝きでどうにでもなる」という主題を嘲笑しつつ主張するというアクロバットなコメディー。

そういう意味では「オトメン」も「リアクロ」も少女マンガ的「ヒロインになりたくてなれない人に贈る寓話」なのでございます。

かっては・・・「ふつうの女の子のようにおしゃれをしていた」絹恵がいつしか「なりふりかまわぬ職場」で「おしゃれすることを忘れてしまう」のだが、「突然、最高におしゃれであることが求められる職場」に追いやられる・・・という構造的な矛盾を抱えた作品です。

まあ・・・おしゃれじゃないと・・・お呼びがかからないだろーってところがありますから。

しかし・・・高級婦人服の世界は美に不自由な人に美を売りつけるビジネスでもある。

そういう意味では・・・絹恵は「客の心」を理解する能力を秘めているわけです。

まあ・・・とにかく・・・絹恵が目覚めて美しくなったら終了ですから・・・毎回、絹恵は目覚めては眠りにつくまどろっこしさが繰り返されます。

今週の絹恵の目覚まし時計は佐々木(加藤夏希)・・・かって佐々木は優秀すぎて職場を追われたタイプ。愚鈍な絹恵を見て怒りつつ・・・しかし・・・放置はできないのです。

あなたを軽蔑します。

はっきり云ってダサイ。

あなたとわたしを一緒にしないで。

めざわりです。

死ね。

数々のありがたい言葉によって・・・恋人の達也(高岡蒼甫)の「そのままのキミでいて」という願いもむなしく・・・「美への貪欲さ」を静かに感じ始める絹恵でした。

しかし・・・最後は「でも・・・人と論争するのは苦手だな~」とか言い出して佐々木をイラっとさせてリセットです。そうじゃないと終りますからーっ。

ああ・・・どこにもない本当の自分に本当に似合う衣装を求める本当は虚しい絹恵の旅は本当に果てしなく続いていくのです。

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)・・・激戦だ・・・。

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2009年10月20日 (火)

仁は医術(大沢たかお)本所相生町(綾瀬はるか)東京の犬たち(吉高由里子)

とりあえず・・・前回コメント欄で相生町を神田相生町(秋葉原あたり)と推定していたのを謹んで訂正します。本所相生町(現在の両国あたり)でした。

仁(大沢)が渡っていた橋は両国橋だった模様。

神田川沿いをふらふら歩いて大川(墨田川)を渡ってしまったのだな。JRの駅名で言うと総武線を御茶ノ水・秋葉原・浅草橋・両国でキッドの足で徒歩40分くらい。仁・・・フラフラしすぎだぞ。

そう考えると先週の咲(綾瀬)はものすごくがんばって走っていたのだった。一駅だと思ったら三駅も走ったのでございます。

本題に入る前の恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」11.6%(月並みなスタート。金9はここからどこまで落さないか勝負)、「おひとりさま」10.8%(女の園は化粧濃い目です)、「マイガール」↘*8.9%(こらえてるこらえてる)、「行列48時間」*4.4%→まこ様の行列48時間、「小公女セイラ」*7.4%(セイラは視聴率でも苛められています)、「サムライハイスクール」14.0%(過去→現代で三浦春馬と城田優で好発進)、「JIN~仁~」↘*16.4%(現代→過去でこれはガッチリつかんだ模様)、「天地人」↗18.2%(おバカ大河比嘉姫逝去で5円高)・・・ついでに「東京DOGS」18.7%(小栗旬と水嶋ヒロでおバカ刑事ドラマ快調発進・・・)・・・以上。

で、『JIN~仁~・第2回』(TBSテレビ091018PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。「あの坂本龍馬(内野聖陽)・・・」と邂逅した現代から不思議なホルマリンくんの導きによって幕末に転生中の仁だった。ちなみに脱藩したてで土佐藩家老・吉田東洋を暗殺した疑いをかけられ(冤罪と言われている)江戸に逃亡中の龍馬は免許皆伝を伝授された北辰一刀流千葉道場桶町支店に転がりこんでいる。伝説では文久2年暮れ(西暦1863年1月)に道場主の千葉重太郎と勝海舟を自宅で「斬りにいこうぜっ」しているわけだが・・・この世界では江戸の過激派組織の会合に参加したりして・・・名も知れぬ同志と勝海舟を橋のたもとで待ち伏せしたりしている・・・ので。

すでに歴史は変わっている可能性があります。

さて・・・仁と坂本龍馬の人生は激しくクロスしているわけだが・・・それは東西南北的クロスといえる。坂本龍馬が居候している桶町千葉道場は現在の八丁堀周辺にある。江戸時代にはもうすぐそこが東京湾であり、隅田川の河口と考えていい。ここから北上していく・・・つまり墨田川沿いに上流に向かっていくと両国橋に出る。そこからさらに北上すると何があるのかと言えば浅草寺さらに吉原・大門である。吉原は幕府公認の売春地帯であることは言うまでもない。つまり花魁・野風(中谷美紀)を含む「きれいなお姉さん」がたくさんいるのです。

ドラマでは吉原の大店・鈴屋の彦三郎(六平直政)が命を救われたお礼に龍馬を吉原に案内するのだが・・・龍馬はその前から両国橋あたりで仁とすれちがっているのである。

だから龍馬は隅田川を八丁堀-吉原で南北にいったりきたりしていたと邪推します。

一方・・・幕末に迷い込んだ仁が居候する湯島から近い神田川は東西に流れて隅田川につきあたります。仁は神田川に「現代とつながる郷愁」を感じているのか・・・神田川沿いを東へ向かうのです。神田川を東に向かうと両国橋につきあたり、橋を渡れば命を救ったタエ(戸田菜穂)喜市(伊藤柾樹 )母子の住む本所・相生町の長屋があるということです。

江戸の長屋は多くは貸家ですが大別すると表店(表通りに面して日当たり良好)と裏店(路地裏の庶民の住処)があるので今回は手術をした番所(町内会事務所兼交番)ではなくてタエの住居に仁は案内されます。

とにかく・・・仁は江戸の町を東西に移動し、龍馬は南北に移動する。そして両国橋あたりでクロスするのです。

現代から意味不明のまま幕末の江戸時代に転移してしまった仁は様々な懊悩に苦しみますが・・・今回は「もしもここが同じ時間軸の過去だとして・・・未来から来た自分が介入することによってバタフライ効果によって歴史が改変されてしまうと・・・時間ターミナルで軸が切り替わり本来の時間軸の未来へ戻れなくなってしまう・・・という恐怖」が仁にとりつきます。時間旅行ものでは基本の考え方ですが、ドラえもんを見ていれば常識ですね。藤子先生ありがとう。この場合もしも時間が一本しかないと仁のいた未来がなくなりつまり仁もいなくなるという恐怖が仁の中に芽生えたわけです。まあ・・・この世から一刻も早く消えたいと思い電車のダイヤを乱しちゃってテレビに人身事故のテロップ流しちゃうような人にとっては願ったり叶ったりの状況ですな。

ちなみに今、仁が未来に戻るためには海岸で子供に苛められている亀を助けて竜宮城に連れてってもらうのが一番です。乙姫と適当に時間を過ごして戻ってくれば、現代に到着します。玉手箱はあけなければいいのです。しかし、うっかり遊び過ぎると未来に到着してしまうので注意が必要です。その場合は玉手箱をあけてもかまいません。

竹ブラシで歯を磨いた仁はお口クチュクチュも歯磨きガムもない生活に疲れ果て「死ぬ運命の人を助けたりするとその人が誰かを殺したりして本当は死なない運命の人が死んだりしてそしたらボクって間接的な人殺しじゃん」と鬱な気持ちになり「よし、二度と手術なんてしない」と心に誓うのです。

しかし・・・仁の不思議な医術を目撃した西洋医学所(現在の東大医学部)の学生・佐分利(桐谷健太)は大先生・緒方洪庵(武田鉄矢)に報告します。緒方はこの年、幕府に招かれ医学所頭取として着任したばかりです。すでに天然痘予防接種の普及で実績をあげているのです。ちなみに・・・今回ちなみにばっかりだな・・・龍馬暗殺は1867年ですが・・・緒方洪庵は1863年に病死します。つまり・・・残り寿命一年を切ってます。

つまり・・・緒方洪庵の命を救ったりすれば確実に歴史は変わるのです。

だから文久2年のコロリ(コレラ)大流行(江戸だけで死者七万人超)を前に緒方洪庵が「もしもコレラの治療法を知っているなら教えてください」と頭を下げても「ボクは知りましぇん」とウソをつく仁なのである。

ところが・・・咲とともに訪れた本所・相生町のタエの家で喜市がコレラ発症なのである。

なんとなく仁がコレラの治し方を知っていて隠していると直感で見抜いている咲は「どんな事情があるのかは存じませぬが・・・医者が患者を見殺しにしてよい事情なんてございますのでしょうか」と仁を責める。四年前の安政コレラで父を失っている咲にとってコロリは憎い仇なのである。

そんなことを綾瀬はるかに言われて逆らえる男性は少ない。

たちまち・・・コレラの治し方・・・知っていること全部話しますの仁であった。外科医なので専門外だが坂本龍馬の姉の名前を知っているくらいだから仁の記憶力は抜群なのである。教科書通りのコレラ治療法をまくしたてるのだった。

コレラはコレラ菌が引き起こす伝染病です。下痢と嘔吐を引き起こすので食事はオンエア前にすませておくことを推奨します。致死率80%ですが・・・オーラルで飲む甘めの塩水略してORSで水分補給をすることで10%前後に抑えることができます。本当の成分は水1リットル、ブドウ糖20グラム、塩化ナトリウム3.5グラム、その他ですが水と砂糖と塩を味見しながら調合してみます・・・。とにかく・・・患者は隔離します。コレラ菌を殺すために患者や患者の排泄物と接触した人は焼酎で肌が露出していた部分を消毒・・・来ていた着物は焼却処分します。ボクは医者なのでハダカには慣れているから大丈夫。すぐに脱いでください。

そして・・・娘を心配する咲の母・栄(麻生祐未)の思いを汲んで治療を手伝おうとする咲を帰宅させる仁。ナース咲の誕生はまだ先の模様。

しかし・・・咲の中のもやもやした気持ち・・・父上の仇をとりたいーっとか仁先生のお手伝いがしたいーっとかとりあえず胸キュンとかが矢も盾もたまらないのである。

咲は本郷までひとっ走りして緒方洪庵を呼びにいくのであった。

一方、咲の兄・恭太郎もまた「義をみてせざるは勇なきなり・・・攻撃は最大の防御・・・武士の魂はやっとうです」と仁を手伝うために家を出る。

ちなみに勝海舟(小日向文世)はこれより20年ほど前までは本所相生町の先の本所入江町に住んでいたがこの時には赤坂田町に住居がある。またしても橋でクロスする人生である。おそらく吉原で遊んだ勝の帰り道で勝の家に向かう恭太郎と坂本龍馬他1名の刺客団が合流である。しかし・・・坂本龍馬はすでに武力闘争に疑問を持っているために刺客を妨害する。そこで名もなき刺客がコレラを発症である。

恭太郎から仁の隔離病棟を教えられ、患者を担いで竜馬がゆくのだった。

仁からコレラの情報を聞いた緒方洪庵は心中頷くところがあったが・・・最初に口をしぶった仁を疑わしくも感じる。

まあ・・・本当のところは名医としてのプライドが邪魔をしているのである。

そこで権威主義の弟子・純庵(田口浩正)がナイス・タイミングでコレラ発病。

半信半疑の緒方一派は「接触経口感染」をおそれて倒れた純庵から後ずさる。

しかし到着した竜馬に「医者が患者に触らんでどうして手当てができるのかのう・・・」と上手いこといわれてわだかまりがとける洪庵だった。純庵をかつぐと仁に「弟子を助けてやってください」と頼むのだった。

次週・・・医者が感染の巻です。

さて・・・神田にも本所にもある相生町なのだが・・・相生(あいおい)ってなに?というお若い方もあるだろう。これは基本的には「相生の松」などと言って二本の樹木が成長にしたがって合体して一本化してしまったものを指す。融合した太い幹から二本の幹が伸びる奇観を呈するので名物になりやすい。転じて・・・夫婦が和合し「共に白髪が生えるまで」という長生き仲良し夫婦のシンボルとなっていく。つまり・・・相生町とは仲良し夫婦長命の町というイメージであります。ニュータウンですな。ニュータウンなのですなーっ。「相生」の歴史は古く謡曲の「高砂」も相生伝説で成立しています。この場合は播磨の相生の松「高砂」と攝津の相生の松「住吉」が夫婦だったとさらに奇想天外な話になっていくのでございます。

運命が変えられなくても

伝えたいことがある

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

で、『東京DOGS・第1回』(フジテレビ091019PM9~)脚本・福田雄一、演出・成田岳を見た。案の定、ドラマのようなものが提示されたわけだが・・・このおふざけも小栗旬、水嶋ヒロ、勝地涼のトリオ・ザ・刑事と・・・記憶喪失の謎の女(吉高由里子)・・・課長・大友警視(三浦友和)と係長・舞島警部(大塚寧々)の流した演技、二人の警部補・光男(志賀廣太郎)と礼二(東幹久)のいつもの演技に支えられて面白いと思えば面白いかもしれない。

もちろん・・・ケータイ男刑事である奏(小栗旬)のママ(田中好子)に娘がいる以上、成海璃子であるべきだが・・・これがドラマデビュー作であるカリン(川口春奈)だっていいじゃないかとか、堀川巡査(勝地)の恋人・田中真紀(臼田あさ美)は「メイちゃんの執事」で太陽四人衆筆頭・大地由真だったせいか・・・暴走族あがり刑事・マルオ(水嶋)と妙に息があってるなとか・・・とりとめのないことを考えながら見るドラマなのである。

もちろん・・・警視庁はニューヨーク市警の下部組織なのか・・・とか。ニューヨーク市警は管理職に外国人を起用してテロ対策は大丈夫なのか・・・とか。麻薬取引現場で大爆発があった後・・・ただフラフラしていただけで松永由岐(吉高)はなぜ拘束され保護下に置かれたのか・・・とか。「拳銃を何丁持っているのかわからない」とは云わずに「ピストルをいくつもっているかわからない」というセリフなのか・・・とか。なぜ「手錠(ワッパ)」のことを「わっか」と呼ぶのか・・・とか。ジャパニーズ・マフィアであるジンノは17年前に奏の父親(飯田基祐)を殺すほどに追い詰められていたのに奏の父親は息子とのんびり川遊びをしていたのか・・・とか。17年前に相当にビッグなのに17年たっても現場でコソコソ動き回っているのはなんでだ・・・とか・・・もろもろのあれこれをどうせ「33分」とか「猿ロック」を書いてる脚本家の仕事だからいちいち気にしないことだと自分に言い聞かせながら視聴すればである。

少なくとも・・・由岐を現場で確保。記憶喪失であることが判明。パスポート(帰国しているので保持していると思われ)から身元を照会。しかし・・・由岐の過去の経歴・・・戸籍、両親の記録、学歴、現在の職業などが一切不明なことから・・・重要参考人として保護下に置かれたことぐらいきちんと説明するべきなのである。

そして蜂の代紋背負ってる組を徹底検証なのである。

そんな17年も組織そのものが摘発されない闇のシンジケートなんて・・・警察官の手に終える組織じゃないだろう。ましてママや妹のいる刑事なんか脅迫電話一本で沈黙させられるのである。

なにしろ・・・手下のチンピラ(成宮寛貴)が秘密厳守のために自決するほどの洗脳技術を保持している組織なのである。

まあ・・・ガムテープで窓を封鎖したり、問答無用で発砲したりするくせにチンピラ自決の際にはゲストだから黙って許すというのはいただけない。そういう挙動をした時には腕を射撃して自殺を阻止すればいいのである。猿轡かませて身柄を拘束。密室で廃人になるまで自白剤を投与して洗いざらい情報を引き出しゴミ焼却場で処分すればいいのである。ジンノらしき男もすぐに射殺すればすむ話じゃないか。

奏のいた軍隊ではそういう基本的なことは教えなかったのか・・・。

まあ・・・なんだかんだヘタな鉄砲も数撃ちゃ・・・ピンポンやってる吉高のかわいさ炸裂とか一生懸命記憶を思い出そうと言語連想ツリーをかき出す吉高のけなげさ浸透とか飲まず食わずで空腹絶頂とか・・・ピーチクパークチビーチクバッチグーとか・・・おいっ・・・吉高由里子が素晴らしかったのは認めます。

関連するキッドのブログ『白い春

               『スマイル

               『MR.BRAIN

水曜日に見る予定のテレビ『内山理名の相棒』(テレビ朝日)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

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2009年10月19日 (月)

謙信公の血を引くおやかた様の子でなくばーっ。(比嘉愛未)オレ・・・養子だけど・・・はっ母上が姉弟で(北村一輝)うわ言でございます(妻夫木聡)

まあ・・・越後守護代・長尾為景の血筋という意味では姉・仙桃院と同母弟の謙信と景勝の血縁は濃いですが・・・断じて史上は謙信の血は引いてませんから~。もしそうなら御館の乱そのものが発生しなかった可能性大ですもの~。

どんな名場面を描いても必ず地雷を踏む・・・さすがだ。さすがだな。

まあ・・・側室の子ではお家が傾くという・・・幻想は菊姫自身が側室油川夫人の娘であるので特殊なこだわりがあったかもしれません・・・。まあ・・・菊姫に子があれば武田・上杉両家の血を引く貴種として名家好きの秀吉や家康に珍重されたことは間違いなかったとも言えます。

それに信濃や越後をすでに失った武田や上杉の家名にはもはやそれほどの脅威はありませんしね。

で、『天地人・第42回』(NHK総合091018PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はツッコミつつあらすじ五行ですな。スタッフの苦しいネタ作りに同情気配でございます。まあ・・・家康は江戸にいて、景勝は米沢にいて、菊姫は伏見にいるという設定で創作しているわけですが・・・家康の将軍宣下の儀式は伏見城で行われるわけで・・・この時期・・・家康も景勝も伏見にいたわけです。まあ・・・家康がインチキで領土配分を行ったみたいな無理矢理なナレーションにも眩暈を感じるわけですが。実力がなければだれが領地配分を認めるというのでしょうかーっ。実質、室町幕府は崩壊していても最後の室町将軍・足利義秋は慶長2年(1597年)まで生きていたわけで慶長8年(1603年)に家康が征夷大将軍に宣下されるのも「そろそろ将軍がいた方がいい」と誰かが考えたからという考え方もございます。ふふふ・・・とにかく直江家の悲願は上杉家の子種を授かることですからな・・・家督を継ぐものなければお家取り潰しの管理社会の到来に対して・・・景勝が後継者を得るために手段を選ばなかったとしたら・・・お船もお手つきになったかもしれないわけです。まあ・・・景勝・兼続は兄弟のような主従ですから・・・別の意味でも兄弟になったことは充分考えられますな。ちなみにお船はすでに慶長3年に兼続が米沢城主となったときに米沢入りしているのですな。この時に京から養女おまんを伴っていたという説がございます。おまんが四辻公遠の娘であればこの時11才。その後直江家の養女として景勝の側室にあげたとすれば辻褄は合うのです。おまんは17才で懐妊。定勝出産後18才で産後の肥立ちが悪く逝去するのです。さて大坂の陣まで戦不足にお嘆きの方は毛利勝永の秘密をお楽しみください。

Tenchijin160301 慶長8年(1603年)、関ヶ原の戦い・前哨戦で焼失した伏見城は徳川家康の指示によって再建され、その後の西軍追討作戦で壊滅した城下町も急速に回復した。軒猿陣の活躍により焼け残っていた上杉屋敷では梅の花が見ごろになっていた。甲斐御料人こと菊姫は病の床についている。父・武田信玄譲りの労咳であった。異母弟である武田信清が看護の采配をしているが病状は思わしくなかった。信清の母は根津夫人であり、信清には根津の忍びにつなぎがある。窮乏する上杉家は正室の医薬にも事欠くありさまだったので信清は根津の忍びに薬草を求めさせていた。この他にお船の姉・お悠の配下である軒猿衆、お船の前夫・信綱の子で高野山聖である龍光院清融の配下の寺医などが看病にあたっている。菊姫は微熱に犯され度々喀血していた。

菊姫は武田忍びを統括するくのいちである。忍びは本来・・・誰が主であるかは秘するものであるため・・・その実体を把握するのは主本人であっても困難である。しかし・・・菊姫が武田忍びの首領である以上・・・真田昌幸でさえ・・・その中忍にすぎない。菊姫は伏見の上杉屋敷で病床にありながら・・・世の動きを驚くほど精密に把握している。

その部屋に与六こと豊臣兼続が入ってきた。兼続が病気見舞いの言葉を述べ終わるのを待って菊姫は忍び声を発する。

「与六よ・・・まもなく・・・家康様に将軍宣下が下るであろう・・・そこで豊臣兼続の名乗りは不都合じゃ・・・改名せねばならんな・・・」

「・・・は・・・」

「直江兼続に戻したのでは外聞が悪い。諱もあらためるのじゃ。まずは樋口兼光以来の・・・先祖伝来の兼を光にするがよかろう・・・そして母・お蘭殿の父・尾崎重蔵より重をいただくがよい。直江重光とするのじゃ・・・よいな・・・信濃の名にこだわるのは・・・妾なき後・・・武田忍びの名跡を汝に継がせるためよ・・・」

「・・・菊姫様・・・」

「もっとも・・・武田しのびは絶えたも同然じゃがの・・・しかし・・・透破、乱破、突破の父・信玄の教え・・・伝えぬわけにはいかぬからの・・・妾亡き後・・・弟の信清がことを頼むぞえ・・・」

「・・・・・・御意にて候」

「・・・実力でいえば初音殿が相応しいが・・・あの方は別格じゃからの・・・もはや孤忍として生きて参るであろう・・・真田の忍びであり・・・抜け忍であり・・・渡りであることができるお方じゃ・・・九度山の昌幸ごときには手にあまるじゃろうからの・・・」

「昌幸殿はこのたびの家康上洛の折に忍び戦を仕掛ける様子ですぞ」

「ふ・・・真田の十人衆がどれほど・・・てだれ・・・であろうとも勝ち目などあるまいに・・・」

「さようでございましょうか」

「真田忍軍とて・・・半数は真田信之についておるのじゃ・・・家康様の忍び使いはなみなみならぬもの・・・信玄公・・・謙信公・・・信長公・・・秀吉公・・・すべてを越えておるかのようじゃ・・・そして・・・おそらく・・・初音殿はこの戦には参加すまい・・・」

「・・・」

「あの方が仕掛けるときは・・・おそらくお一人でなさるだろう」

「御意」

「さて・・・後は・・・上杉家の跡目の問題じゃ・・・四辻の姫君はどうかのう・・・」

「おてつきになりましたが・・・残念ながらご懐妊の気配はございません・・・」

「まったく・・・殿の精は薄いからのう・・・できることなら淀の方にお願いしたいくらいだわ」

「・・・」

「そうじゃ・・・与六の倅が嫁にも見当をつけておいたぞ・・・その昔、家康様が竹千代君と呼ばれていたころ、その身をかどわかして織田に売った戸田の一族じゃ・・・下総の松平康長の遠縁での・・・竹千代誘拐犯の戸田康光の従兄弟の氏輝の血筋じゃ・・・今は膳所城にある戸田一西の惣領・戸田氏鉄の娘じゃ・・・今七つの祝いを終えたそうじゃ・・・まあ・・・そのうち本多あたりが申してよこすじゃろう」

「・・・き、菊姫様・・・」

病床にあって悟りを開いたかのような菊姫の言葉に与六は涙を禁じえなかった。

「ふふふ・・・妾は人の話を聞く姫じゃ・・・与六・・・お前は涙もろいの・・・」

その頃、九度山を出立した真田十人衆は京都郊外で鷹狩りを楽しむ家康の元へ殺到した。

真田佐助、根津陣六、亀田太郎、亀田次郎、望月兵庫、海野一兵衛、筒井三蔵、伊賀才蔵、上和泉重三、穴山大介の十人の忍びは警護にあたる柳生衆によって家康の顔を見ることもかなわず殲滅された・・・。ただし・・・才蔵だけは落ち延びたという。

影の世に言う真田十勇士一の陣である。

吉野の桜が咲き誇る頃・・・征夷大将軍・徳川家康は己が妻を殺し、己が息子を殺した果ての栄光の座にたどり着いた。

関連するキッドのブログ『第41話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『オトメン(乙男)・秋』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

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2009年10月18日 (日)

女の子はみんなプリンセスなの・・・てへっ(志田未来)侍高校でござる(三浦春馬)んだとこらぁ(中別府葵)

ドラマ「14才の母」(2006年)の母(志田)と15才の父(三浦)が土曜の夜の二本立て劇場でともに主演を飾る。

当時13才だった志田は16才に、16才だった三浦は19才になっている。つまり、三浦はすでになんちゃって高校生の仲間入りである。

ともにドラマとしては奇想天外レベルに属する「現代版・小公女セイラ」と「ファンタジー・サムライ・ハイスクール」だがお子様向けドラマとしては秀逸の出来になっている。

お子様向けドラマにあれやこれやツッコミを入れるのはなんだが・・・キッドなので入れます。

まあ・・・その後で超おバカな「ターミネーター(テレビドラマ版)」があり、さらに「醜いベティー2」もあるので土曜の夜はもう・・・てぃひって感じです。

で、『小公女セイラ第1回』(TBSテレビ091017PM0655~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・金子文紀を見た。原作の「小公女」は1888年に書かれている。バーネットが38才の作品であり、イギリス生まれの彼女は16才で渡米しているのでその当時の現代としても感覚的には10年前後のズレは生じていたはずである。まあ・・・今も昔も自由の国アメリカにおいては女王陛下の君臨するイギリスはファンタジー・ゾーンであるということだ。そこでイギリスを舞台にすればお金持ち→極貧→お金持ちの御伽噺がもっともらしくなるわけである。1888年には山岡鉄舟が亡くなり、菊池寛が生れている。ロンドンでは切り裂きジャックが連続売春婦殺しを展開中である。ブラジルではイザベル王女が奴隷制廃止法案にサインをした。日本は明治21年である。

そんな時代の物語を現代に翻案すること自体がかなり冒険であるのだが・・・まあ・・・21世紀に「銭ゲバ」ができたんだからできるんじゃね?と脚本家は考えたのだろう。

案の定・・・役所の福祉課は何してんだっ・・・という非難轟々なのであるが・・・まあ・・・いいのではないでしょうか。云うならばこれはまさしく学芸会の出し物なのです。

黒田セイラ(志田)はインドからの帰国子女。ダイヤモンド鉱山を経営する父(谷中敦)を異国に残し日本の聖ミレニウス女学院に転入してくる。成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、父親は大富豪というまさに恵まれたお嬢様である。唯一の神の意地悪はセイラが幼い頃に母親・薫子(黒川智花)を天に召したことであろう。しかし、それがどうしたというのだ。

その母親の口癖は「女の子は誰でもプリンセス(公女)なのだ」ということである。

その口癖通りにかって聖ミレニウム女学院に在籍した薫子は輝くプリンセスだったらしく、ドス暗い子だった現在の学院理事長・三村(姉=樋口可南子/溝口まりも)は薫子に激しくドス黒いこだわりを持ち・・・それが今もくすぶっているらしい。

しかし・・・最近の学園経営者は少子化のために金に目がくらんでいるのが基本である。多額の寄付金を約束してくれた黒田家のお嬢様を外面如菩薩、内面如夜叉で迎えるのだった。

女の子ならできればなりたい女の子であるセイラはたちまちみんなの人気者である。

特に落ちこぼれのまさみ(岡本杏理)は優等生なのに自分を蔑まないセイラに素直にメロメロになってしまう。「セクシーボイスアンドロボ/最終回」の反発転校生・里奈とは真逆である。もうこのまま蒼井優になっていくのか。

一方、セイラが来たためにトップの座から落とされた武田真里亜(小島藤子)は当然の如くセイラを憎悪するのであった。真里亜は父(不破万作)母(松本じゅん)の擬似お嬢様なのである。真里亜も偽名らしい。ちなみに「キミ犯人じゃないよね?」(2008年)の森田さくら(貫地谷しほり)の妹かえでである。元をただせば2007年度おはガールだ。体重変動の激しい時期なのでがんばってもらいたい。

落ちこぼれでもいじめっこでもその他大勢でもないクールな位置に水島かをり(忽那汐里)・・・魔女裁判からココのポッキーは相変わらずドラマだと目立たないな。

その他大勢の生徒には「ふたつのスピカ」で鈴木秋(中村優一)の妹さくら役だった菊里ひかり、「任侠ヘルパー」で二本橋(宇梶剛士)の娘・瑞穂役だった指出瑞貴、「ウルトラQ dark fantasy」で呪われた妖精・綺亞羅役だった中村有沙、「怨み屋本舗REBOOT」で小悪魔的ないじめっこ紙田鈴役だった増山加弥乃などが潜んでてます。みんなナイスな出番があるといいよね。

この他にフランス語教師亜蘭(田辺誠一)、小心者の三村(妹=斉藤由貴)、料理のできる使用人(大和田伸也)などが配置されています。この辺は昼メロテイストです。

そして原作ではメイドのベッキーにあたると思われる中卒の少年召使がカイト(林遣都)です。貧しい家庭に生まれ住み込みしながら実家に仕送りしています。平成残酷物語です。友達は屋根裏ネズミ。黒死病(ペスト)に気をつけろっ。映画「バッテリー」(2007年)の原田巧です。

まあ・・・そんなこんなで父親が事故で死亡・・・突然、無一文で私有財産がゼロになるセイラ。リスクマネージメントはどうなったっ・・・まあ・・・それは秘密です。

とにかく・・・お嬢様が貧乏令嬢になって・・・屋根裏部屋に住む。そして「誰もがプリンセス」という合言葉が嫌いな三村理事長に・・・父からの最後の誕生日プレゼントを奪われた上に顔面殴打されて罵られる・・・役所に福祉課も孤児に人権もない世界の幕が開くのです。

果たして・・・こんなもんで今の子供たちは泣けるのかーっ。楽しみです。

とにかく屋根裏で不味そうなパンをひっそり食べさせたら志田未来の右に出るものはいないのだ・・・他に誰もそんな役やらないしーっ。

関連するキッドのブログ『正義の味方

で、『サムライ・ハイスクール・第1回』(日本テレビ091017PM9~)脚本・井上由美子、演出・佐藤東弥を見た。いかにも「ライトノベル」にありそうな題材が・・・「仁」とかコレとか・・・あのクソ大河ドラマが高視聴率なので立案した感じが妄想できますなーっ。しかし・・・コレはこの時間ならではの学園もの。なんとなくNHKのドラマ8(木曜夜8時)はこういうの作りたくて作れないんだー的なまあまあの仕上がりです。特にダメダメな高校生・小太郎と妄想人格・小太郎のスイッチする三浦春馬の演技力が炸裂します。なんとなく戦国武将・望月小太郎万歳です。

私立千国高校3年生の百合香(小林涼子)のスカートはいい感じに短いのだった。やたらとでかいレギュラーなんちゃて高校生たちに囲まれて実年齢19才である。百合香の親友・あい(杏)なんて実年齢23才だからな。そしてでかいくせに小心者の剛(城田優)も実年齢23才である。しかし、「エリートヤンキー三郎」の橋本じゅん(45)が成立する以上、まだまだなんちゃって高校生の道は遠い。今回アゲハ嬢なギャル高生・香苗を演じる中別府葵なんて意外にもまだ実年齢19才です。

とにかく・・・百合香の親友・あいは同じワクで変な新聞記者をやっていたとは思えないほどのっぽだけど普通にかわいい女子高校生なのである。凄いことにあいは幼馴染で初恋の男の子とクラスメートです。昔、あいが葵わかな(子役)だった頃、いじめっ子のチビ男子に「デカ女」っていじめられてたら「あいちゃんをいじめるな」と小太郎(大前喬一)がかばってくれたとか。それ以来お慕いしてんのかよっ。うっひっひでかわいい奴じゃの。

まあ・・・とにかく・・・そんな親友のあいの恋は応援したいのは山々だけど・・・肝心の小太郎はもはや・・・正義の味方のかけらもないのだな。

まあ・・・天下御免の競争社会・・・勉強だって・・・スポーツだってちょっと出来の悪さを指摘されれば誰だってめげますよね。

しかもほとんどの人間は出来が悪いわけだし・・・まあ・・・鈍感でそういうのが気にならない人は平気だけど・・・ちょっと繊細だったりするとたちまち・・・「オレみたいな出来の悪いのが正義だとかなんとか口にしてもなぁ」って萎縮しちゃうわけです。

一方いつの時代にも出来が悪ければまっとうな社会に背を向けて「悪」で生きていくって手もあるわけですが・・・そこそこ優しい両親に育てられるとそう簡単に道も踏み外せません。もうどうせなら夜逃げしちゃうくらいの両親なら思い切って不良にもなれたりしますけど。負けて傷つくのをおそれていてはいつまでも勝てない。戦って木っ端微塵のススメです。まあ・・・暴力反対の世の中だとそれもなんだかね。

そんなわけで・・・いつしか小太郎はちんまりしたただの落ちこぼれになっちゃったみたい。

まあ・・・親友としてはあんまりお勧めできないかな。

ところがぎっちょんちょん。・・・お前誰だよ。怪しい歴史図書館の怪しい司書ひみこ(ミムラ)が「ギザお勧めの怪しい古文書」を一読した小太郎は「文字の魔力」によって遺伝子組み換え・記憶変換・大和魂書き換えと思しき超常現象のあげく活力向上を伴う二重人格化あるいは妄想人格憑依をされてしまうのです。意味不明だぞ。

そして・・・ダメ小太郎の中で怪しい戦国武将・望月小太郎が目覚めたとき・・・小太郎は剣技に優れ女に子種を残すことを厭わぬ命知らずのサムライに変化するのです。そんな馬鹿なぁぁぁぁぁ。

解説しよう。戦国時代の武将・真田幸村(加藤雅也)の家来で大坂の夏の陣で討ち死にしたとされる望月小太郎は実在しないが・・・望月六郎は実在した。だから小太郎もいたかもしれないといっても過言ではないのだ。そして望月小太郎は現代の望月小太郎の先祖である可能性が全くないとはいえないのだ。・・・っていうかそういうことはどうでもいい話です。

とにかく・・・変化した小太郎はほとんど奸賊と化した現代人を一刀両断で峰打ちするのである。

デッキブラシのどちら側に刀の刃があるのかは質問しないでください。

とにかく・・・石川遼みたいなスーパーゴルファー高校生(小柳心)に貢ぐために母親思いの気が弱い剛に万引きさせようとした香苗たちアゲアゲトリオを制止した小太郎を誤認逮捕した本山巡査(金子ノブアキ)はブザビ方面から来ました。

一方、深夜には相葉雅紀の頭の悪そうな母親役をやる室井滋はここでは頭の悪い校長先生。無実の剛は処分しようとしますが真相が発覚するとスキャンダルをおそれて石川遼みたいな高校生のために穏便に処理します。

そこで顔を歪ませる担任教師はサヤカ(市川実日子)です。

さて・・・肝心の大後寿々花は小太郎の出来のいい妹・優奈。それを鼻にかけて小太郎をからかう役・・・ええーっ・・・なんて大後寿々花を贅沢に使うんだ・・・っていうかもう無駄遣いのレベルなのではーっ。

そこだけは改善お願いしますーっ。

それから3年F組にはポスト沢尻エリカな折山みよ(「海容」からココ)が潜伏中。

まあ・・・家を作るなら家を作るなら草の萌える匂いのするカーペットを敷きたいと思うのであります。

関連するキッドのブログ『ウォーキン☆バタフライ

               『ブラッディ・マンデイ

               『14才の母

               『セクシーボイス アンド ロボ

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)

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2009年10月17日 (土)

絶対に触れられない領域があります(仲間由紀恵)貧乳VS巨乳(石井萌々果)浴衣で嬢王V03(原幹恵)

えーっ・・・またもスパム対策にひっかかりそうなタイトルじゃないかっ。

えっとー・・・「マイガール」はぁ、亡き母・陽子(優香)と忘れ形見の娘・コハル(石井)の正宗くん(相葉雅紀)をめぐる母性的な巨乳と幼女的な貧乳の家族愛のトライアングルだしぃ、それに「アンタッチャブル」の貧乳と「嬢王Virgin」の巨乳が見事に非対称的であることがかかってますぅ・・・。

また・・・だれも気がつかないことを自分で解説するかぁぁぁぁぁっ。「おひとりさま」はどうしたっ。

だってぇ・・・でかい女たち(観月ありさ、松下奈緒)に囲まれた小池徹平がひたすらかわいいだけのドラマじゃないですかぁ・・・これを絶賛すると変態だと思われますよぉ。

ああ・・・金曜日は案の定・・・大激戦になっちまったじゃねえか・・・エイリアンVSプレデターとか見ている場合じゃないほどに。

で、『アンタッチャブル・第1回』(テレビ朝日091016PM9~)脚本・橋本裕志、演出・下山天を見た。ここまでテレ朝金9といえば「コールセンターの恋人」平均視聴率*6.1%、「必殺仕事人」11.7%、「ギラギラ」10.2%、「ロト6」*6.6%、「パズル」10.0%、「4姉妹探偵団」*7.0%、「オトコの子育て」*8.6%、「女帝」11.6%、「生徒諸君」*7.6%、「わるいやつら」*9.4%、「家族」11.9%、「レガッタ」*5.4%、「富豪刑事デラックス」12.0%と2006年春ドラマまで遡らないと平均視聴率が12%に届かない・・・そして伝説の「レガッタ」も生んだワクなのである。様々な戦士たちが挑み・・・倒れていったこのワクに仲間由紀恵登場である。

しかも・・・ジャーナリストが業界のタブーに挑むという・・・かなり地味ネタだ。

とりあえず「トリック」でコミカルな仲間をプッシュする戦略で番宣していたわけだが・・・この脚本・演出コンビではあの域には届かないし、それはやめた方がいいと思う。じっくりと人の心の闇を追いかけていって仄かに笑うくらいで名作になると考えます。

「志」は一流のジャーナリストだが「実体」は三流ゴシップ誌「週刊アンタッチャブル」の記者である鳴海遼子(仲間)は上司とケンカして辞めるまでは本当に一流週刊誌「国民ジャーナル」に在籍していたので・・・プライドだけは高いのだった。

人間は情報を利用する生物である。もちろん、すべての生物は情報を利用するのだが人間はとりわけ情報を活用する。しかし、ほとんどの人間は情報とは何かということについては深く考えないしそれで日常生活にそれほど支障はないのである。

ほとんどの情報は不確実性を含んでいるが・・・その代表的なジャンルが「予測」とか「予言」である。たとえば多くの人間は「このままで地球温暖化が続けば世界は大変な危機に襲われる」という「予測」を信じているわけだが・・・実際に世界がそうなる保証はどこにもないのである。

しかし・・・科学という情報の体系は宗教という情報の体系よりも予測が当たる確率が高いとされる。

たとえば「物質を核分裂させると想像を絶するエネルギーが放出される」という予測は現実的に事象となって発生し、広島や長崎の人間はそれを身をもって体験している。

そういう意味では「広島」に「原爆」が投下されることを予測できるという考え方も成立する。

たとえば原爆を投下したB-29の搭乗員たちはそれをフライト中には予測できたはずだ。

もちろん、米軍の司令官にも予測できただろう。米国の大統領にもできた。しかし、「原爆」を製造した人々がそれを予測できたかどうか疑わしい。「原爆」をどこに投下するかはまた別の秘密情報だからである。

一方で情報を収集し、的確に処理すれば日本人がそれを成し遂げることも不可能ではない。

もちろん・・・未来からタイムスリップしなくてもだ。

科学技術の情報があれば・・・「原爆」の製造は予測できる。現に日本でもそれを作ろうとしていたのである。米国の技術水準や国力の情報があれば「原爆」がいつ完成するかの予測もできる。そして太平洋戦争の軍事的推移を分析すれば「完成した原爆を米軍がいつどこで投下する可能性があるか」も予測できるのである。

そう考えると・・・広島に原爆が投下される前に「そのこと」を予測していた日本人が一人もいなかったとは考えにくい。いや・・・いなかったかもしれないがいてもまったくおかしくないのである。

太平洋戦争における真珠湾攻撃が宣戦布告前の奇襲攻撃だった。この「事実」はよく知られている。米国ではそれが「真珠湾を忘れるな」ということで戦意高揚に利用されたことも「事実」らしい。そして大日本帝国の計画では「宣戦布告即時先制攻撃」だったものが外務省の不手際で通告予定時刻を過ぎてしまったこともよく知られる「事実」である。さらにすでに日本の暗号文を解読していた米国が通告前に通告内容を知っていたことも「事実」なのである。

どの「事実」を知るかによって「事件」の印象はまったく違うものになる。

「だまし討ちをした」と憤慨している人に「本当はあえてだまされたフリをしていたのでしょう」と言えば「なんのことかね?」ととぼけるのが情報戦争の基本なのである。

だから・・・「広島原爆投下前」に「それ」を予測していた情報分析者に「なぜだまっていたのか?」と問うことは無意味なのである。「それで事態が変わる可能性はほとんどない」ことも予測できるからだ。

しかし・・・場合によっては・・・「その日は・・・東京に一家で出かけることになった人」もいたはずでその家族が「秘密」を知らなかったとは断言できないのも「事実」だ。

こうした「ファールプレイ」(反則行為)を求めて人々は貴重な情報をいつも探している。

それを知っていれば自分だけが得をできる「なにか」を求めて・・・しかし・・・そこにはある種の浅ましさがあり・・・浅ましさがあれば・・・人はつけこまれやすいという「事実」もあるのである。

そういう悲劇は情報の受け手ばかりではなく送り手にも生ずる。なぜならば情報の送り手も情報の受け手にすぎないという「事実」があるからだ。

ジャーナルとは定期刊行物のことである。その発行人もしくは書き手がジャーナリストだ。ジャーナリストの仕事は情報を収集し分析し加工処理(発表)することである。当然、情報源を持っていて・・・情報源から情報を受け取るときは受け手になるわけだ。

ジャーナリズムが第4の権力と呼ばれるのは行政、司法、立法の権力者たちを情報操作によって攻撃・守備できるからである。しかし・・・同時に他の権力者たちもなんらかの実力でジャーナリズムを攻撃する。

その情報的なきったはったが報道の醍醐味であることは間違いないのである。

ミステリの領域に「事件記者」ものが成立するのはそういう背景がある。

遼子の最初の敵はテレビ・レポーターあがりのカリスマジャーナリスト・有栖川スミレ(浅野ゆう子)だった。彼女は「抜群の取材力によって企業の落ち度による事故を予測・・・最悪の事態を予言すること」で虚名を得ていた。

遼子は「巨大企業の不正行為」(おいしいネタ)を次々と暴く有栖川をうらやましく思いつつ・・・なぜ、彼女だけにそれができるのかを疑問に思う。

他人にできて自分にできない何かがあって・・・それによって自分が損をしていると感じれば怨まずにはいられないキャラクターなのである。

そんなことやっている間に仕事すればいいのでは・・・と思いつつ恨みノートを書きます。

わかります。キッドの怨みノートも5年で10メガバイトくらいたまりますから。

やがて取材対象(情報源)である有栖川から様々な教えを受け・・・芽生える擬似師弟関係、擬似先輩後輩関係、擬似友情関係・・・。

有栖川「読みが甘いのね・・・だから三流は底が浅いって云ってるの」

遼子「実力不足はしつこさでおぎないますから・・・」

有栖川「だったらのこのこと危険な場所に足を踏み込まないことよ・・・」

怪しい宗教団体ひので教幹部(篠井英介)から情報を得ることでひので教の敵対企業を弱体化させ共棲していた有栖川はすでに人命も情報にすぎないという程度に人格を歪ませていた。教団信者によって事故にみせかけた死刑を執行されそうになる遼子。

遼子「私の最後の武器は隠しコネクションなんです。私のお兄ちゃんは・・・警視庁の刑事なんですよ・・・しかも公安部です」

駆けつける兄・鳴海刑事(小沢征悦)・・・。

街を見下ろす高層ビルの屋上は大都会の断崖絶壁です。

鳴海「気をつけなさい・・・不可触領域にはご用心。私のようにならないように・・・ね」

最後のアドバイスをした有栖川はエレガントに投身自殺である。ただし墜落死体はけしてエレガントではありません。よい子のみんなは想像してみようね。グチャグチャのドロドロですから。

どこでも編集長・樫村(田中哲司)と同僚のカメラマン・鷹藤(佐藤智仁)や元・同僚の遠山(要潤)そしてなんでもおタクの城之内仁・・・おいっ(酒井敏也)の支援を得て・・・女・三流・事件記者の最初のスクープです。

・・・「ズバリ!予言的中の裏にはインチキ宗教団体の暗躍があったのだ!?」・・・

情報闇社会の黒幕。名無しの権兵衛こと永倉栄一(寺島進)・・・情報屋・・・お前はまたこんなところで。

ラーメンとカレーライスは相性抜群です。認めます。

関連するキッドのブログ『ありふれた奇跡

で、『おひとりさま・第1回』(TBSテレビ091016PM10~)脚本・尾崎将也、演出・植田尚を見た。聖華女子学院高校ものである・・・どんなジャンルなんだよ。主人公は神坂真一(小池徹平)で・・・裏コマンドで名前を入力できます・・・できねぇよ・・・舞台となる女子学園は美人教師揃い(観月ありさ・松下奈緒・酒井若菜・鈴木亜美・北川弘美・麻尋エリカなど)・・・実はママかもしれない校長先生(真矢みき)を含む・・・女子高生もグラビアアイドル・大谷澪、元ジュニア・アイドル小林さり、ファッションモデル・石井美絵子とよりどりみどりです。目指せ!ハーレムエンド・・・どんなエロゲだよっ。

おいっ・・・。

失礼しました・・・宅配ピザ配達員のゴリと観月ありさの遭遇で「鬼嫁日記」はフジテレビだろうがっと思ったものですから。ついでに小池徹平と観月も「鬼嫁日記」で共演済み。

さらにいえば小池徹平と真矢みきはどうしても「シバトラ」(フジテレビ)の童顔刑事と千葉さくら係長みたいですからぁぁぁぁぁっ。ここは本当にTBSなの?

まあ・・・というわけで無数のライバルに囲まれて独身教師・秋山(観月)が唯一の獲物・新人教師・神坂(小池)を狙うラブコメ・・・そのままの設定だと視聴者すごく限定されている気がしますからぁぁぁぁぁぁぁぁっ。

まあ・・・徹平に癒される観月・・・気持ちはすごくわかりますけどぉぉぉぉ。

それはそれで気持ち悪いわっ。

今日のイベント・交互に酔って介抱→成り行きお泊り2回。

関連するキッドのブログ『OLにっぽん

               『シバトラ

で、『マイガール・第2回』(テレビ朝日091016PM1130~)原作・佐原ミズ、脚本・荒井修子、演出・高橋伸之を見た。とりあえず・・・コハル(石井萌々果)のかわいさが炸裂します。

正宗くん(相葉雅紀・・・実の父)「着替え手伝おうか」

コハル「自分でできるから大丈夫です」

・・・。

同僚「その子、誰?」

正宗くん「し、親戚の子ですっ」

コハル(うつむく)

・・・・・・・。

同僚たち「その子誰の子だよっ」

正宗くん「ボクの娘です。笠間コハルです」

コハル(微笑む)

・・・・・・・・・・・・・・・・。

正宗くん(自転車にチャイルドシートを装着してコハルと二人乗り)

コハル「わーい、すごいーっ。正宗くん。早いーっ。早いよーっ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かわいすぎるわいっ・・・。

途中・・・こころあるお茶の間の人が正宗くんを殴ってやりたくなるポイントがあります。

しかし・・・淋しくなったら恋人のこととママのこと(共に優香)を語りあう約束をした正宗くんとコハルだったのです。それじゃしょうがねえやーっ。

正宗くん「陽子さんがいなくて淋しいです(泣く)」

コハル「ママに逢いたいです(泣く)」

・・・。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

で、『嬢王Virgin・第3回』(テレビ東京0910162412~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・植田泰史を見た。・・・四本立てかよっ・・・ぜ、善処します。ある意味・・・テレビ東京でなければコレだけにできるのに・・・かといって「アンタッチャブル」「おひとりさま」「マイガール」は甲乙つけがたく・・・。困りましたーっ。

さて、前回・・・凶悪トリオのうちエリナ(朝比奈あかり)が脱落。舞(原幹恵)は共同浴場で昭和生まれだから嬢王レースに参加できない昔のナンバーワン・キャバクラ嬢・亜美(麻美ゆま)から裸の交渉で「バックアップ」の申し込みを受ける。

亜美「私にあなたの優勝のお手伝いをさせて・・・悪いようにはしないから

舞「ごめんなさい・・・私は自分の力で勝ちたいんです

亜美「ちっ・・・」

エリナを脱落させた画像流出の嫌疑を舞にかける沙羅(辰巳奈都子)と美羽(桜木凛)・・・今回は定番のモップでいじめプレーである。

真犯人の朋(黒川芽衣)はいじめが終った後で「舞ちゃん・・・大丈夫」と舞を慰める。そろそろ・・・黒い朋が浮上中です。

一方、やり手婆あ色を強める亜美はメイド嬢・アイドルあがりの美羽をリクルート。

亜美「あなたに必殺技を伝授するわ・・・」

美羽「そんな・・・ただのマクラ営業(アフターと称して店外デートをして性交渉におよぶこと)じゃない・・・」

亜美「・・・あなた・・・衣装代がかさんでやばい筋から借金してるじゃない・・・あんたも胸の孤独を衣で包むタイプ・・・もうマクラするしかないんじゃないの?」

こうして・・・亜美に魂を売った美羽。美羽はメイド喫茶時代のアイドルあつかいが忘れられないのだった。

たちまち・・・客を食い散らかす美羽。客たちは「あなただけペンダント」を貰うのだった。同じ品物じゃすぐばれるだろうがーっ・・・ばれます。

そんな美羽を見下す指名1位の優衣華(原紗央莉)だった。

美羽「あんただってマクラしてるでしょう」

優衣華「私はマクラ営業はしない・・・私がしているのは色恋営業よ」

本日のイベントは浴衣ナイトである。季節的にはギリギリセーフかっ。

巨乳のために・・・浴衣を着こなせない舞。

それを笑って帯をつかって独楽回しプレーに興ずる極悪トリオあらため極悪コンビの沙羅と美羽。

そこになぜか手を差し伸べる優衣華。

「脱ぎなさい・・・」「きゃっ・・・」の原々対決お約束プレーがあって美乳を披露しつつ浴衣の着付けを指導する優衣華だった。

優衣華「巨乳を抑えるためにはサラシを巻いて凹凸をコントロールするの胸の間にパットを挟めば汗対策にもなるのよ・・・朋には気をつけなさい・・・自分はかわいく浴衣を着て・・・あなたを手伝おうともしない・・・裏表のある娘よ・・・」

舞「そんな・・・朋ちゃんは優しいいい娘です・・・」

しかし・・・朋はせっせと匿名メールを発信し「美羽のマクラ営業の噂」が客内に伝達されるのであった。

浴衣ナイト限定の「追加指名料金フリー・サービス」により・・・次々と相手をチェンジする客たち。

マクラ営業をされて傷心の客をそっと慰めることでまたもや客のハートをキャッチする舞。

一方・・・朋は純情ドキドキ・・・こっそり手つなぎプレーで美羽の客を奪取するのだった。

ついに黒い笑みを浮かべる朋。ブラック芽衣生誕です。

リーダー雨宮(永田彬)はその一挙一動を冷酷に見つめる。

今週のジャッジメント・・・複数客への枕営業が客の間で知れ渡り・・・美羽が脱落である。

その結果に同情し・・・美羽を見送る舞。

美羽「もっと人気者になりたい・・・もっと愛されたい・・・自分がそんなにたいしたことないって気がついていたのに私は・・・自分の弱さに飲み込まれてしまった・・・

美羽が去って行くと舞の前に現れる優衣華。

優衣華「この世界では弱いものは強いものに食べられる宿命だから・・・あなたもそれを忘れないことね・・・強いものに支配されたくなければ強くなるしかないの

一方・・・深夜の共同浴場ではついにピンとなった極悪トリオ最後の一人・・・沙羅に亜美が襲い掛かる・・・。

亜美「約束通り・・・美羽をつぶしてあげたわよ・・・さあ・・・私にすべてをまかせなさい・・・口約束なんて信用できない・・・私たちが信じるものは欲望だけ・・・さあ・・・身も心も私に委ねなさい・・・

沙羅と亜美は湯煙官能プレーに突入するのだった・・・つづくである。

「アンタッチャブル」延長で「マイガール」と「嬢王V」まるかぶりである。同時刻にどんだけ異世界なんだよっ。っていうか・・・「マイガール」と「アンタッチャブル」時間帯チェンジした方がいいよね。

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2009年10月16日 (金)

ちょっと前なら覚えているが50年前だとちとわからねぇな(多部未華子)不毛地帯か・・・(大倉忠義)

「ヤスコとケンジ」のヤスコ(多部未華子)とケンジの妻エリカの弟の純(大倉忠義)が連続登場であるのだが・・・そのドラマのあまりの落差に爆笑なのである。

しかし・・・大倉忠義主演の「ROMES/空港防御システム」はあまりの出来の悪さに単独でも爆笑である。

まあ・・・このワクのドラマには最初から期待していないのにそれを上回るひどさってある意味すごいな。

一方、主人公・壹岐正(唐沢寿明)の娘・直子を演じる多部未華子の「不毛地帯」は重厚でひとつのシークエンスごとにCMが入るので生放送で見るのはしんどいがドラマとしてはひとつの頂点といえるだろう。

初回視聴率は「不毛地帯」14.6%で、「ROMES」が*6.0%である意味、「不毛地帯」はもう少しとれてもよかったし、「ROMES」はとりすぎだろう。ちなみに「その男、副署長シーズン3スタートスペシャル 」は12.7%でちょうどいい湯加減です。

で、『ROMES/空港防御システム・第1回』(NHK総合091015PM8~)原作・五條瑛、脚本・佐伯俊道、演出・梛川善郎を見た。キッドが思い出したのは初期のテレビドラマのエピソードで「怪人20面相が黄金の観音像を盗むと予告した時間が過ぎたので金庫を開けてみると観音像は無事なので出演者一同立ちすくんだみたいな・・・つまり・・・すでに金庫は空っぽのはずなのに小道具さんが取り出し忘れていたのである。しかも生放送なのだ」というものである。もうそのくらいの仕上がりです。

ROMESとは監視カメラと画像解析装置を組み合わせた不特定多数者同時観測システムであって・・・今回、見る限り・・・空港防御システムではまったくない。

なにしろ・・・東京湾に開港された新ハブ空港・東京湾国際空港が舞台である。羽田と成田を両方敵にまわした恐ろしいフィクションなのだが・・・特に説明がない以上、そこは近未来なのである。

で、システム開発者が成嶋(大倉)なのだが、すでにシステムは現場で運用開始がなされ部外者となっている。その成嶋は「謎のメール」によって送られてきた「死者の画像」に誘われ久しぶりに東京湾国際空港に降り立ったのである。

しかし、システム運用にあたって成嶋の指導を受けた職員たちは畏敬の念を持って成嶋を迎えるのだった。おりしも、開港一周年記念イベントで空港内では世界の至宝「誘惑の女神」が展示されていてその強奪予告が届いている。

些少煩雑だし・・・国際空港で美術品窃盗ネタがうってつけなのかどうかは疑問だが・・・それなりに考えられた設定と言えるだろう・・・それがお茶の間に伝われば・・・。

キッドの考える限り・・・もうまったく伝わっていない気配があります。

窃盗団が単独なのか複数なのかも不明だし、レズビアンの二人組が犯行前日に興奮で眠れないから痴態の限りをつくしたことも伝わりません。どうせ映像化できないのになぜそんな設定を・・・と唖然とするばかり・・・。

さて・・・ともかく・・・成嶋は麻薬犬が好きだったり、心臓病の少女・閑野(美山加恋)とチェスをしたりするのですが・・・凛ちゃん(「僕と彼女と彼女の生きる道」2004年)大きくなったなぁ・・・以外の感想がありません。

とにかく・・・ROMESシステム発動です。空港内の不審人物を次々とチェックするシステムですが・・・肝心な工作員は見逃します・・・しかし、華麗なるアクションを披露した警備スタッフ・葵(国仲涼子)が直感で不審を感じIDカード(身分証明書)をチェックします。これを警備センターに報告。相手が空港内の航空会社の部員だったために・・・巡回中の警備員が航空会社のカウンターに照会に向かいます・・・。

ええーっ・・・空港内の全職員の動向さえ・・・センターで把握できないのかよーっ。リ、リンクって概念がこの世界にはないのか?

さらにROMESシステムはレズビアンの工作員を発見。警報が発令されますがそれを受けるのは別の用件で稼働中の警備スタッフ砂村(安田章大)だけなのです。他の警備員はあっさり工作員の侵入を許可します。しかも・・・レズビアンの工作員は銃器で武装しているのです。そんな空港から離発着する飛行機なんてこわくて乗れるかっでございます。

そして最初の工作員が空港内の動力管理システムに入り込んだ頃・・・ようやく不審者であることが判明。しかし・・・どこに行ったかのかはわからないROMESシステムって。

もう・・・大爆笑するしかないではありませんか。なんじゃこりゃ。「SP」もひどいと思ったがそれを上回るひどさの「ブラッディ・マンデイ」があったのに・・・「SP」も「ブラッディ・マンデイ」もまともにみえるひどい自称サスペンス作品がここにまた誕生しましたよ~。

関連するキッドのブログ『ヤスコとケンジ

               『ブラッディ・マンデイ

                『SP

で、『不毛地帯・第1回』(フジテレビ091015PM9~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・澤田鎌作を見た。これまで主人公・壹岐正は仲代達矢(1976年東宝映画)、平幹二郎(1979年毎日放送)らによって演じられてきた。原作者の作品は最近では「華麗なる一族」(木村拓哉主演2007年)や「白い巨塔」(唐沢寿明主演2003年)とドラマ化されていて・・・唐沢は「白い巨塔」の財前五郎に続いて壹岐正も演じることになるのである。

壹岐正は1912年(明治45年であり大正元年でもある)生まれという設定なので現在97才である。まあ・・・ここまで生きたら長寿です。第1回は回想シーンが錯綜してただでさえ・・・難解なもうすぐ100才の人が現役だった頃の話がなにがなにやらだったお茶の間も多いのではないかと思う。脚本家や演出の責任もあるが基本的には現代史をまともに教えない義務教育に一番責任があることは確かなのである。

現在、ロシアと呼ばれている国がソ連と呼ばれていた頃、どれだけ悪逆の限りを尽くしていたかを小学生くらいからきちんと教えておけばぐっと身近な話題なのである。・・・ま、それができないのが敗戦国の苦しさということです。まあ・・・その結果が・・・今・・・コレをやってもロシア人に石を投げる国民は皆無だろう・・・ということだったりして。

まあ・・・戦争責任を軍部のエリートに押し付けてきた国民なので恥知らずな人間に育っても仕方ないということである。戦争に責任というものがあるとすればそれは国民全員にかかわってくるのが自然というものなのにだ。

そういう理論さえも語ると石を投げてきた国民たちなのである。

だから・・・もうなにがなにやらでもしょうがないのである。

ともかく、壹岐正は昭和20年(1945年)に大日本帝国が消滅した時に33才だった。妻がいて二児の父である。

帝国陸軍のエリート軍人として作戦指導に携わった壹岐は敗戦のショックを抱えたまま、日本が降伏する一週間前に突如参戦したソ連軍と対峙する満州に展開中の関東軍に停戦命令を伝えるために帝国陸軍一〇〇式司令部偵察機III型(最高速度630km/h)に搭乗して大陸に渡るのである。

そこでは終戦後も血と女に飢えたソ連軍の暴虐な殺戮劇が繰り広げられ老若男女を問わず強姦され拷問され虐殺されるというこの世の地獄が続いていたのである。ソ連の侵攻から昭和21年春まで続く満州占領での日本人の死者はおよそ六万人とされる。その後も大陸からの引き上げは難航し、在留した日本人180万人のうち20万人以上が飢餓や酷寒などで死亡したとされる。もちろん・・・それはソ連という国家が戦後も日本人を人間として扱わなかったという証拠である。まあ・・・ソ連の場合は自国民も人間として扱わないことが多いので仕方ないとも言えるのである。

戦後処理のために満州に残った壹岐正は帝国軍捕虜およそ57万人とともにシベリアなどで抑留生活に入る。極東裁判という勝者が敗者を裁く茶番劇に参加するために一時帰国した壹岐正は赤軍スパイとなることを拒否したため・・・家族と再会も出来ぬまま・・・奴隷として11年の月日を凍土で過ごすのである。抑留中、奴隷となった捕虜は五万人以上が死亡した。

昭和31年(1956年)、壹岐正は解放され・・・故国に戻る。妻の佳子(和久井映見)は大阪府庁で働きながら二人の子供と強制労働と栄養失調で心身ともに疲弊した壹岐の回復を支える。

壹岐が社会復帰を決意した昭和33年(1958年)はおよそ現代より半世紀前である。壹岐は46才になっていた。娘の直子(多部未華子)はまだ女学生であるため十代後半である。17才として現在68才なのである。

68才になった多部未華子が想像しにくいように・・・半世紀前のあれやこれやはお茶の間にとって霧の向こうの出来事である。

よほど丁寧に描かないと・・・何も伝えることはできないのではないかと思う。

たとえば・・・現在50才の人間ならば・・・ラッキード社と聞けばロッキード社がすぐに連想されるし・・・田中角栄の顔も思い浮かぶし無性にピーナッツが食べたくなるわけである。しかし、40才ともなるとピーナッツは食べたくならないかもしれないし、30才ともなると田中角栄よりも田中真紀子の方が馴染み深いかもしれないし・・・20才ともなるとグラントとグラマンは連想不能だったりする。

まして・・・ロッキードF-104を見てああ・・・超音速ジェット戦闘機スターファイターはジェット機の中のジェット機だよな・・・性能はともかくスタイルがとは思ったりしないのである。

この当時、航空自衛隊のドンの一人は元帝国海軍大佐で特攻作戦の発案者の一人である源田実である。源田は第二代の自衛隊航空幕僚長の佐薙毅(元帝国海軍大佐)の後を受け昭和34年(1959年)第三代の航空幕僚長に就任する。そして次期戦闘機について結論を出すことになるのである。

実は次期戦闘機(F-X)は常に黒い霧を身に纏う。何よりも軍事機密であり・・・そして取引額が巨額だからである。

当時、調査対象となった戦闘機は他にF-100スーパーセイバー(ノースアメリカン社)、F-5フリーダムファイター(ノースロップ社)、F-102デルタダガー(ジェネラル・ダイナミクス社)、F-11タイガー(グラマン社)などがある。

敗戦に終った戦争の指導者として万単位の人命を損なった重圧を背負い・・・軍事から離れた場所で再出発を成すべく商社に籍を置いた壹岐正だったが・・・結局・・・彼の心を動かしたものは戦闘機の聖なる轟音だった。

次期戦闘機をめぐり防衛庁と商社そして売り手の米国航空会社が暗躍する軍事ビシネスの世界に今・・・目覚めた壹岐正が足を踏み出すのである。

昭和33年10月14日。東京タワーが竣工する。そして壹岐正は不毛地帯に立つ。そして王貞治は読売巨人軍に入団するのだった。

関連するキッドのブログ『華麗なる一族

               『霧の火

土曜日に見る予定のテレビ『オトコマエ2』『チャレンジド』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)さあ・・・困るよね。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年10月15日 (木)

少数派の中での裏切り行為は尋常ならざる怨みを生むことがありますからねぇ(水谷豊)夜の相棒(及川光博)ギネ・・・(吉田里琴)

さて、水曜日は浅見光彦(沢村一樹)が杉下右京(水谷豊)に挑むという・・・そりゃ・・・ダメだろうという対決もあるのだが・・・ダンスの日なのである。

今回はかなりいいダンスが期待できる・・・ような気がします。まず最初のステップがきっちり踏み分けられてるし。

今年の春ドラマの「相棒」「キイナ」のダンスが思い出されます。

「相棒」↗20.5%↘18.8%↗20.2% -----↘16.1%↗17.3%↗17.9%↘16.9%↗21.7%↘19.5%

「キイナ」・・・・・・ 16.5%↘15.5%↘15.3%↘12.7%↗14.2%↘13.3%→13.3%↗14.9%↘14.8%

こんな感じでした。さて、今回は

「相棒」19.4%

「ギネ」14.8%

でスタートです。

で、『相棒・Season8スタートスペシャル・カナリアの娘』(テレビ朝日091014PM8~)脚本・輿水泰弘、演出・和泉聖治を見た。政治紛争が青春に直結していた時代。革命戦士はまるでヴァンパイアの群れのようだったと感じることがある。原理的で刺激の強い思想に侵された「革命家」たちは周囲の人間の血を吸って「同志」という闇の仲間を拡散していく。それは熱病にうなされながら増殖していく患者のようでもある。やがてほとんどの吸血鬼たちは冷酷な「現実」の光に照射され、あるものはキャリアとして社会に復帰し・・・あるものは闇の世界に消えた。その闇の中から苛酷な闘争を生き延びたドラキュラ伯爵が蘇る。そして、人間社会に残した宿命の愛娘を思い夜霧にむせびなくのである。

1970~80年代、連続企業爆破事件などを指導・実行したとされる旧ソ連諜報組織の下部実行部隊・赤いカナリア(明らかに実在のモデルがありますがフィクションです)の元・幹部・本多(古谷一行)は日本に残した妻に手紙を書いた。

「君からの便りが途絶えて何年になるだろう・・・私も年のせいか・・・記憶が曖昧だ・・・あの情熱的な日々からもう30年近い月日が流れたのだ・・・君と私の愛の結晶もあの頃の私たちの年齢を追い越してしまうのだから。あの頃・・・私たちが理想の世界の実現を目指して人々の血を流すことを厭わなかったあの頃。ただ侵略を狙う外国人たちに自分たちが触手として利用されているだけだったとは夢にも思わなかったあの頃・・・自分たちの正義をひたすらに信じて手段を選ばなかったあの頃。なんと愚かなことだったろう。今、世界の果ての戦地をさすらい漂泊する己のなんと無惨なことか・・・ああ・・・会いたい。一目君に逢いたい。そして愛しいわが子を胸に抱きしめたい・・・」

しかし、本多の妻は数年前に他界しており、手紙を受け取ったのは本多の娘・茉莉(内山理名)だったのである。

一度も会った記憶のない父からの手紙を読んだ茉莉は冥い輝きを瞳に宿すのだった。

それから一年後。ロンドンから戻った特命係長(警部)右京を出迎えた神戸警部補(及川)。警視庁特命係の唯一の係員で実は警察庁から右京を監視するために送り込まれたスパイである。

右京は持ち前の嗅覚で不審な白バイ警官・脇田(弓削智久)に接触した男を嗅ぎ出す。

男はやはりその日に帰国した本多だった。

本多は偽装されたパスポートで入国し何者かに「娘の命を人質にテロの強要」を受けていたのだった。

不審な白バイを見失った右京と神戸だったが・・・男の車のナンバーから自宅を割り出し・・・床下から腐敗した男・本人の死体を発掘する。

まさに帰国早々死体を嗅ぎ当てる右京に警視庁・刑事部長の内村警視長(片桐竜次)は恐怖を感じるのだった。

一方、囚われの身となった本多は過激派おタクの大学助手(鈴木一真)から「ぜひ、すんごいテロを見せてください」と懇願的な脅迫を受け爆弾を作り始める。しかし・・・すっかり仏心がついている本多は娘の身を案じ・・・かっての親友であった警察庁官房長の小野田警視監にプライベート・コールをするのだった。

本多「娘の身の安全が保障されるなら自首する」

小野田「テロリストととりひきは・・・自首するの・・・それなら政府方針とは逆行しないかな」

そこで・・・相棒チームに茉莉の護衛を命じるのだった。

同性愛者であることを告白した警視庁監察官の大河内(神保悟志)の友人でもある神戸から「同じ部屋で朝を迎えるなんてうれしい」と言われた右京はパニックに襲われるのだった。

しかし・・・ホテル内で背後から襲われ失神したのは神戸だった。

犯人は茉莉を奪い逃走する。

しかし・・・茉莉のいた室内を点検した右京はたちまち・・・誘拐が狂言だと見抜く。

「あなたを呼び出したタイミング。衣装をいれたままのトランク。そしてどこにもない化粧道具・・・まあ、彼女が内山理名だった場合・・・最初から化粧道具をもっていなかった可能性もありますが・・・」

「テレビ版の松子ですか・・・」

やがて・・・松子ではなく茉莉の部屋を家宅捜索する右京。茉莉の母の残した茉莉の成長写真集の最後のページに残された二枚の成人式の写真と残された本多からの手紙ですべての謎にピンときたのだった。

そこに素人の悲しさから茉莉の着替えを取りにきた暴走族あがりの脇田がのこのこやってきて・・・警視庁捜査一課トリオを巻き込んで泳がせて追跡劇である。

たちまち・・・アジトに乱入する相棒・捜査一課合同クインテット。

茉莉がお見合い会社で知り合った男を殺して本多の入国のために戸籍を奪った罪で脇田たちを逮捕するのだった。

茉莉は父親が過激派だったために周囲からは無差別殺人犯の家族として迫害され公安に監視される日々を憎み・・・父親に復讐するのが目的だった・・・と結論付けられる。

しかし・・・娘を思う父親はふたたび小野田に電話するのだった。

本多「娘を釈放するなら自首する」

小野田「だから過激派とはとりひき・・・まあ自首するならいいか」

あわれな独身男殺害の罪が不問とされテロを未然に防ぐ小野田の大局的判断に同意できない右京。

小野田「だけど・・・お前ね・・・それで迎賓館が爆破されたりしたら・・・仕事が増えるじゃないか」

神戸「何事も臨機応変ですよ・・・」

二人に言い負かされて気分の悪い右京は茉莉に八つ当たりをするのだった。

茉莉「私に何か用ですか・・・」

右京「あなたはテロリストだった父親をただ怨んでたのじゃないでしょう。あなたは人殺しの娘である自分を正当化するためにテロを神格化した・・・テロリストというあなたにとっての正義の使者に挫折した父親が許せなかったんだ・・・」

茉莉「あなたは・・・家宅不法侵入もするけど・・・心の中にも土足であがりこむのね・・・まあ・・・それが趣味なのだしたら・・・悪趣味だこと」

茉莉の嫌味を聞き流し・・・自分の推測に間違いがないことを確認した右京は冥い喜悦にひたるのだった。

彼もまた真相究明という菌に侵された闇の使徒なのである。

次回は怪獣を殺したがらないウルトラマン脚本家の担当の模様。「トリック2」のゾ~ンの回担当作家である。ちょっと楽しみ。こちらに過去の作品シナリオ集があってお勉強できます。→シナリオ集

関連するキッドのブログ『相棒Season7

               『内山理名の嫌われ松子の一生

で、『ギネ・産婦人科の女たち・第1回』(日本テレビ091014PM10~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・岩本仁志を見た。さてまるで深海の水圧のような空気の重さの中で「命の大切さ」病におかされた女医が口を開けば人を傷つけて自殺されてしまうのではないかと恐れずっと無口でいるかのようなドラマの開幕である。まあ・・・命なんかそんなに大切じゃないよと言ったら角が立つ世界なのでその正論はまるで中学生の戯言のようにも聞こえますがこの脚本家にはよくあることなのでスルーすると追い込まれた新人医師の部屋の目の前で突然貧乏な出稼ぎ中国人が産気づいてもそれほど気にならなくなります。

聖修大学医学部付属病院産科の君島医長(松下由樹)は産科医・柊(藤原紀香)の奇行に悩まされていた。柊が対人技能の発達障害か・・・なんらかの恐怖症を抱え精神に問題があることは明らかだが人材不足に悩む産科としては柊の医療技術を簡単には手放せなかったのである。柊が人生において何かトラブルかトラウマを抱えていることは明らかだがそれを問いただしても回答は得られない。

病院は組織であり・・・組織として有効に機能するのは完璧な細胞ばかりとは限らないのである。

たとえば柊の指導力のなさによって研修医や新人医師がつぶされても柊は戦力として有効なのである。

しかし・・・「死の回避」についての異常なまでの粘着は時には破綻寸前になる。

たとえば急患の受け入れだ。

マニュアルに定められた確率的に充分な安全体制を欠いた状態でも患者を受け入れてしまう柊にはヒヤリとさせられる。お前は進藤先生かっとののしりたい夜もある君島医長だった。

病院の顧問弁護士・瀬川(内田有紀)に「そんなにリスクをおかされては困るんです」と云われても脚本家が個人的に好きな婦人科医長(中村橋之助)に「いねむりしている新人は起こしたらどうだ」と云われても「私の知ったこっちゃない」という態度をつらぬく柊。

一度ぶんなぐってやればいいのに。

しかし、運よく最悪の事態をまぬがれていく柊に君島医長はついギャンブルをしてしまうのである。

わがままでもいい・・・腕があれば・・・そして失敗しなければ。

そんな柊に対して精子の研究にいそしみつつ業務をこなし人あたりもいい桧垣医師(板谷由夏)は天使のような存在感である。天使すぎて彼女が指導医を担当する新人産科医・えりな(本仮屋ユイカ)の出番がほとんどないのである。あくまで桧垣が着々と指導し、えりなが着々と学んでいく優等生師弟である。

一方、柊が指導担当となった新人産科医・聡(上地雄輔)は事後避妊薬剤の処方も許されない柊の「妊娠」教的な聖域への信仰と出産後の人間への無関心さに神経症へと追い込まれていくのだった。

一緒に食事さえしてもらえない疎外感に耐えかねてついに医師の名札をたたきつける聡。

だからものにあたらないでぶんなぐってしまえってば。

しかし・・・産科医の神は聡を見捨てないのだった。沈静のために自宅のベランダで一服しようとする聡に悶え苦しむ妊婦をお与えになるのである。

「私、貧乏なチャイナ妊婦アルね。あなた医者。私の苦しみなんとかするアルよ」

と妊婦に請われた聡は「よーし、やったる」と安請負をするのだがたちまち痙攣をはじめた妊婦に腰を抜かし・・・藁にもすがる思いで柊に電話をかける。

「そこに妊婦がいるのね」とたちまち機嫌がよくなる柊。まるでピーマンがキライな人間がピーマン抜きのチンジャオロースーに出逢ったような人格豹変である。おそらく柊は妊婦溺愛症候群なのである・・・そんな病気はありません。

的確な指示を出すと妊婦を聡つきで回収するのだった。

妊娠・出産という人生の節目に悩む胎児の父親と母親。

しかし・・・柊の目に映るのは胎児のみである。

ゲストの南夫妻の胎児は双生児で循環異常を起こし帝王切開による未熟児出産しか生存の道しか残されていなかった。

君島「無事出産の確率は10%・・・後遺症の残る可能性もあります」

父(波岡一喜)「死産でお願いします」

柊「・・・それって人殺しですよね」

母(酒井美紀)「う、生みます・・・一割の可能性に賭けます」

父「お前っ・・・それじゃ、人生設計とかリスクのマネージメントが」

母「こわいのよ・・・あの先生(柊)の目がこわいの~」

しかし・・・初回サービスで手術は無事終了するのだった。

一方、人生一寸先が闇だと知らぬ妊婦(西田尚美)は便秘で苦しんだが下剤を処方され夫(八嶋智人)と娘・優美(吉田里琴)とともに夜の病院で哄笑するのだった。

深夜、柊は思わせぶりに男児のケータイ画像をながめる。

ぶんなぐられなくてよかったと思う。

こうして努力して医者になったのに思ったより楽でないから泣き言をいう人々の新たなる物語がまた始まりました。どんな泣き言を言うのか楽しみです。

関連するキッドのブログ『メイちゃんの執事

               『オー!マイ・ガール!!』

               『救命病棟24時

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『エイリアンVS.プレデター』(日本テレビ)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『マイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)『平愛梨の行列48時間』(NHK総合)もう何が何やら・・・。 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年10月14日 (水)

バットも警棒もジャンボ・ジェットも得意な私(夏帆)磯野、恋のあと(岡田将生)パリの旅(香里奈)

さて・・・火曜日はドラマ対決の日である。

日テレ火10がなくなって・・・フジテレビVS関西テレビになってしまっているのだが。

前クールは①「救命病棟24時」平均視聴率19.1% ②「恋して悪魔」平均視聴率*6.6%

三倍差の圧勝だったフジテレビ。

今回は①「リアル・クローズ」*9.8% ②「オトメン・秋」*8.2%と苦戦のスタートである。

まあ・・・磯野かつお(澤部佑)の主演ドラマだからな・・・ある意味・・・当然かっ。

で、『オトメン(乙男)~秋~・第1回』(フジテレビ091013PM9~)原作・菅野文、脚本・野口照夫、演出・谷村政樹を見た。「オトメン・夏」の最終回・視聴率が*5.1%である。そこから*3.1%あげてきたから良しと言う問題ではないのである。「オトメン・夏」の初回視聴率は*9.6%あったのである。それよりも*1.4%も低いスタートなのだ。問題山積みだろっ。

しかし・・・個人的には磯野かつおを中心としたドタバタ・ラブ・コメディーがキライじゃないのだな~。

だからこそ・・・目を覚まさなければいけないのよね。

ざっと・・・面白さのポイントを拾ってみよう。

Ⓐ銅蘭学園が銀百合学園と練習試合をする。

基本的に「ごくせん」のパロディーである。

Ⓑ「銀-1グランプリ」の伝説

基本的に「クローズ」のパロディである。

Ⓒ模擬店で飛鳥(岡田)がりょう(夏帆)に父親譲りの「ふっくらハンバーグカレー」を伝授。

基本的にガストとのタイアップである。

Ⓓカレーの試食中に飛鳥が「胸がドキドキする」とりょうに告白しかかる。

基本的にオトメンと男まさりの女の子のラブコメである。

一方で話の展開は次のような感じである。

①磯野が銅蘭高校で山野(山下リオ)に出逢う。山野は銅蘭高校剣道部に兄がいる。

②磯野が「銀-1グランプリ」に多武峰(木村了)を誘う。

③磯野が剣道部の部費を使いこみ、山野に貢ぐ。

④磯野がりょうの父親(高田延彦)にアコギな手段で使いこみを見抜かれる。

⑤磯野が飛鳥の告白を邪魔する。

⑥磯野が多武峰を利用して下ネタで笑いをとり、りょうが受ける。

⑦磯野が山野に騙されていたことに気がつき金を取り戻して逃げる。

⑧磯野が絶対絶命のところで飛鳥とりょうは磯野のピンチを救う。

その他の要素として・・・。

⑨多武峰が小針田(桐谷美玲)のメイクをするときに「男は黙って仕事をしなさい」と言われる。

⑩花沢(柳原可奈子)が伝説のネタを披露。

⑪飛鳥の母親が「ふっくらハンバーグカレー」に疑問を抱く。

⑫有明(瀬戸康史)はまだしも橘(佐野和真)の出番が極端に少ない。

ざっと見て磯野の出番があまりにも多すぎることは言うまでもない。

そして・・・最後は飛鳥とりょうの見せ場の殺陣になるのだが・・・ここが柴咲コウの主題歌「ラバソー 〜lover soul〜」のプロモーションビデオである。

もうね・・・時間配分がまったく違います。それから・・・流れの決着がつかないことが多すぎる。

たとえば・・・Ⓐの要素では全国大会の前哨戦で・・・全国大会があるから飛鳥は力を封じられている。ところが最後は「もう秋だから・・・いいのだ」的に実力を行使します。意味不明です。最悪でも全国大会が終っていることが必要です。

Ⓑの要素では多武峰が「下ネタ担当」になって舞台を降りた後・・・釈然としない表情をしますが・・・そりゃそうでしょう。脚本家は「下ネタ」が基本的に汚れのすることだという最低限の常識がわかっていません。イケメン設定の多武峰にそれをさせたのだから何かフォローが必要なのです。小針田が「あなたのものは私のものに決まってますわ」ぐらい云わないと。

Ⓒの要素では飛鳥の父親(鶴見辰吾)がオトメンとして生きるために家出した(要するに男であることをやめた)ことで母親(山本未來)が深く傷ついていることをもう少しフリ直さないといけません。男っぽいりょうが好きなオトメンの飛鳥と・・・女装趣味の父親とは違うぐらいの設定変更でもいいくらいです。いわばドラマの核心とも云うべき部分をさらっと流して・・・「オトメン・夏・最終回」の金八バロディーのくりかえしのギャグなんかしている場合ではないのです。本末転倒もいいところだわ。

Ⓓの要素の延長は・・・殺陣の前にりょうが「私も胸がドキドキする」ということで結実するのだが。その決めのあった後で主題歌プロモーション・ビデオというのは微妙なのだな。それも「夏」の使いまわしである。

ここが完全に間違っています。

殺陣になると何故か時代劇というのは毎週お約束であってもいいのですが、それなら毎週新撮しなければコンテンツとして成立しません。そこで飛鳥もりょうも七変化を見せ、華麗にザコどもを退治するということです。「ごくせん」がいつもお決まりの倉庫に行くといっても殺陣はさすがに使いまわししないよねぇ。

まあ・・・どうしても磯野かつおのラブ・コメやりたいならそれはそれでいいけどさ。

それにしたって山野に裏切られたと知った磯野が「ガンダム、ガルマ様の仇~」ぐらい言ってもいいのに・・・それが一番意味不明だわっ。磯野とイセリナは「い」しか合ってないし。

とにかくこれでは視聴率は一生とれないよ。ま・・・「ライアーゲーム シーズン2」へのつなぎだからいいか。

関連するキッドのブログ『オトメン(乙男)~夏~

で、『リアル・クローズ・第1回』(フジテレビ091013PM1010~)原作・槇村さとる、脚本・大島里美、演出・白木啓一郎を見た。昨年秋のスペシャルでは12.8%を獲得しているが今回はヒトケタ発進である。スペシャルはなかったことにして再スタートを切っている。一部、キャストなどに変更があるが・・・ほぼ同じ話を同じメンバーでやっていて・・・ある程度、記憶力があるとものすごい違和感を感じます。

とにかく・・・問題があるとすれば・・・この話を誰が求めているのか・・・ってことだな。

百貨店の正社員で恋人(高岡蒼甫)がいて・・・休暇にはパリでグルメ・ツアーをエンジョイしているメガネッ娘の25歳、絹恵(香里奈)である。モットーは「人間は外見より内面を磨くことが大切・・・だからおしゃれには興味がない」・・・もう・・・それでいいじゃないですか・・・という感じ。

ところが絹恵はなぜかリビング・寝具売り場から婦人服売り場に配置転換され・・・なれない職場に戸惑うわけです。

そして販売員として成績があがらないと「私はふとんを売っていたかった・・・」と弱音を吐きます。

もうこの時点で「ふとん売り場では売り上げトップだった」ことが嘘くさくなります。

そして「内面を磨く」のがモットーでもなんでもないことに・・・。

しかし・・・ベテランの下請け販売員(榊原郁恵)に「お客様の喜ぶ顔を見るのが喜び」と言われたり、上司の神保美妃(神保美喜ではなくて黒木瞳・・・二人は同い年だけどな)に「自分の本当の姿を見つめることもできないのに自分を磨くことなんかできない」と云われ・・・突然・・・木綿のハンカチーフより絹の靴下を売った方が儲かるという商売の原点に気がつく・・・という話である。・・・違うと断言しておきます。

とにかく・・・つまり・・・絹恵がダメ人間なら・・・世の中・・・ダメダメだよなーっ・・・というスタートラインの問題がつきまとうのです。

パリに行って・・・何も吸収せず美味いもの食べてリラックスしたっていいじゃんという話です。

基本的に・・・富裕層相手の「百貨店」が・・・富の階層変化にどう応じるか・・・という話であり・・・ある意味・・・ファッションの本質とは無縁な血なまぐささのある話。

たとえば・・・日本人相手ではなく・・・アジア諸国の成金相手に商売をしなければならない流れとかをどうするか・・・といったような問題です。

そんな中で「ふとんを売っていたら輝かなかった」絹恵が「婦人服売り始めたら輝きだした」というなんだか苦しい展開をどう処理していくのか・・・面白いといえば面白いのですな。少なくとも全国のインテリア販売員は敵に回したわけですからーっ。

ま・・・それはともかくとして・・・前作「恋悪」にくらべれば①本当はたまたま性にあってただけの職場でのほほんとくらしていた主人公。②新しい職場でライバル佐々木(加藤夏希)に軽蔑されるほど仕事ができない自分に愕然。③過去の自分になんとかすがろうともがく。④前を向き新しい自分になることでなんだかすっきりする・・・という王道な起承転結でドラマとしては完璧です。

ただ・・・興味のない人には一切面白くないという点をのぞけばねーっ。

スペシャルの田渕(山本太郎)がレギュラーでは田渕(西島秀俊)になっていたり、木村(能世あんな)はそのままですがミチル(えれな)はアヤ(えれな)となり、神保の下僕チームを結成。三女香里奈を苛める展開らしい。そういうところで面白くしていくなら・・・昼ドラマでやればよかったのではーっ。

ああ・・・火曜日・・・本当に・・・早く「ライアーゲーム」が始まるといいと思うよ。

関連するキッドのブログ『ラブ・シャッフル

               『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(脚本・大島里美)』

木曜日に見る予定のテレビ『猿ロック』(日本テレビ)『その男、副署長』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)・・・ああ・・・これを忘れてたな。ま、お手上げだよな。

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2009年10月13日 (火)

浮世は万華鏡でありんす(中谷美紀)文久2年でございます(綾瀬はるか)仁です(大沢たかお)

久しぶりだな。医師の大沢たかおを見ると「星の金貨」を連想するのはキッドだけですか~。

倉本彩が何もかもなくして裸になって尻の穴まで調べられる被告になるとはなぁ・・・。

中谷美紀は「白州次郎」に続いてだが・・・民放連続ドラマとなると「おとうさん」(2002年TBSテレビ)以来か・・・。

何もかもがなつかしい・・・。ま、電車男のエルメスとか嫌われ松子とかスクリーンでは会っているわけだが。

大沢たかお、中谷美紀、綾瀬はるか、麻生祐未、小出恵介、内野聖陽、小日向文世、山本耕史、武田鉄矢。

この主演級のそろい踏み・・・重厚すぎる。バ、バランスをよろしく。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「ナイチンゲールの沈黙」11.1%(可もなく不可もなく)、「マイガール」*9.6%(父と娘ものはこのあたりが底辺かな・・・死んだ母をどう評価するかだ)、「チャレンジド」*5.3%(苦言を呈しただけのことはある苦しいスタート)、「天地人」↘17.7%(さがってまいりました~)、「JIN~仁~」16.5%(がんばりました~)・・・以上。

で、『JIN~仁~第1回』(TBSテレビ091011PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。タイム・トラベル(時間旅行)ものではタイム・スリップの漂流記テイストである。初回を見る限り、時間旅行のシステムは超能力・魔術系で・・・SFというよりはファンタジーに属するものと窺われる。階段から落ちても江戸時代には普通は転落しないからである。含みとしてホルマリン漬けになってもなんらかの生体反応を示す超生命体が示されるが・・・まあ・・・夢物語と割り切った方がエンジョイできるでしょう。

現代の東京。実は腕のいい外科医・南方仁(大沢)は鬱屈した日々を送っていた。脳腫瘍を患った同僚で婚約者の未来(中谷美紀)のリスクの高い手術を執刀し、未来はいわゆる植物状態になってしまったのである。

心を苦しめる手術の前日の記憶。

未来「夕陽を見ながらビールが飲みたいの」

仁「ダメに決まってるだろうが」

未来「いや~ん」

仁「バカっ」

ここは爆笑でしのぎたい。おそらくこのあたりは脚本家の趣味なのだろう。

ついでに若き医師・野口(山本耕史)にナース博美(原千晶)が事情を告げたり、明らかにイントネーションのおかしい博美のナレーションで脱力したりするのもご愛嬌である。

野口「事情は聞きましたが・・・だからといって難しい手術を他人におしつけるのは卑怯というものです」

仁「そうなんだよ~へへへーっ」

と主演が笑って誤魔化すくらいです。

とある夜。包帯で顔を覆った不気味な急患が運ばれてくる。その包帯からのぞく目は明らかに大沢たかおにそっくりだが・・・正体は不明なのである。

患者は刀傷を負いさらに頭部には腫瘍が認められる。そしてその腫瘍は胎児の形をしていた。「ブラック・ジャック」的には双子が一方の体内に閉じ込められた奇形児(ピノコの元である)だが・・・ここでは「変な腫瘍細胞」として即効でホルマリン漬け標本である。アッチョンブリケっ。

しかし・・・その標本がただの標本でないことは「突然目を開いて仁を見つめる」イメージで表現される。ちなみに仁はいかにも脳に腫瘍があるが如き頭痛に悩まされている。だが・・・謎の患者の正体は謎である。

やがて意識を取り戻した患者はまるで医師であるかのように最低限の手術道具を持ち脱走する・・・しかし正体は不明である。

屋上に追い詰められた男は「あん世界へ。戻るぜよ」と怪しい土佐弁で語るのだ。後に過去の世界で坂本龍馬(内野)に出会った仁は「あんたの声が・・・聞こえた」と語るのだが・・・とにかく・・・坂本龍馬のような大沢たかおのような謎の患者の正体は不明なのである。

とにかく・・・やや・・・ドタバタした現代のシーンは終わり・・・階段から落ちた「謎の物体」入りのビンを拾おうとした仁は転落し・・・意識を失う。

目が覚めるとそこは異世界だった。

どこぞの夜の林の中である。そして仁は途方に暮れるのだが・・・ペンライトを片手に人の声のする方向へ。たちまち始まる剣戟の響き。侍たちの暗闘である。巻き込まれた仁は通りがかったお武家様たちによって九死に一生を得るのだった。そこには重傷を負った幕府旗本の橘恭太郎(小出)が残されている。手早く診察した仁は緊急手術が必要だと訴えるのだが周囲の人々は対応が普通ではない。

仁も「ドラえもん」とかをまったく知らないわけではないし「地下鉄に乗って」未来の人に出会ったこともあるわけで・・・なにしろ釈由美子と地獄の門で逢ったりしているわけであり・・・おい・・・とにかくこれはあれか・・・タイムスリップってやつか・・・と薄々感づくのであった。

とりあえず案内された橘家で・・・恭太郎の母で未亡人の栄(麻生祐未)や恭太郎の妹・咲(綾瀬)を説得し・・・満足な設備も道具もない場所で頭蓋骨を開き、脳内出血による血種を除去する手術を決行する。何故か緊急医療パックに謎の男が麻酔薬・キシロカインやメスや注射器などの医療機器をつめこんでいたから「神は克服できる試練しかあたえない」状況が作られたのであった。もちろん・・・ご都合主義という言い方もできます。

ともかく・・・息子の頭をノミとトンカチでかちわる男の振る舞いを激しく動揺しながら・・・藁をもすがる思いで見守る栄。絶品である。

そして、健気に助手を務めながら仁の針さばきにすぐに心を奪われ萌える咲。一目惚れ演技をさせたら天下一、ニを争うのだな。この場合、対抗馬は堀北真希になります。穴で長澤まさみ、もう一点抑える場合は新垣結衣まで。戸田恵梨香は障害に転向しました。ああ、沢尻エリカがいないのは残念だ。・・・おいおい。

やがて・・・ある意味、奇跡的に手術は成功。恭太郎は回復に向かう。

夢の中で「現代の病室で目覚め未来に手術された」と思ったがそれも夢で目覚めると橘家にいる仁。

おそるおそる咲に年号を聞くと「文久2年」なのだった。

もちろん・・・大河ドラマの作者でさえ元号を把握していない昨今である。文久2年が西暦何年なのかは理解できない仁だった。しかし・・・すでに黒船が来航していることを知り・・・幕末であることを察知する仁だった。

ちなみに・・・。

嘉永6年(1853年)浦賀沖にペリー提督の黒船来航。第12代将軍家慶が死去し第13代将軍を家定が継承。

安政3年(1856年)篤姫が家定の正室となる。

安政5年(1858年)に家定が死去し、第14代将軍を家茂が継承。

安政7年(1860年)桜田門外の変(井伊直弼暗殺事件)。

万延元年(1860年)勝海舟、米国より帰国。

文久元年(1861年)土佐勤皇党結成。

文久2年(1862年)和宮が家茂の正室となる。坂本龍馬が脱藩。

・・・で咲は「黒船は十年ほど前に参りました」となるのである。

壮大な江戸のセットに戸惑う仁。

やがて散歩中に坂本龍馬に出会い、馬に蹴られて死にそうになるタエ(戸田菜穂)に出会い、その息子で枝豆売りの喜市(伊澤柾樹)に会い、たまたま居合わせた緒方洪庵(武田鉄矢)の門下生・佐分利(桐谷健太)に出会い幕末に馴染んでいく。

タエの手術ではあわてんぼの咲が「手術のお道具」の麻酔薬を忘れたために「麻酔なしで脳の血管を縫うハメ」になる。そこで昔の人の辛抱強さと呪術である「智仁武勇御代の御宝」の効力を知り、医術の奥深さに目覚めるのであった。

とにかく・・・恵まれた医療環境で贅沢な悩みでたそがれていた自分に喝!なのであった。

しかし・・・自分が過去に戻ったことでたまたま持っていた未来の写真の手の位置が変わるなど歴史が変わっていく可能性を目にして・・・ふたたび不安になる仁だった。

まあ・・・写真が変わるなら意識も変容していて変わったことに気がつかないはずだとか細かいツッコミはさておき・・・。

まあ・・・大スター共演。幕末。医療。ミステリ。タイムスリップと盛り沢山の内容で初回としては充分面白かったのだった。

なぜか呼び出し花魁(座敷持ちや太夫にくらべれば格落ちするが幕末では超高級娼婦)の野風は未来のそっくりさん。現在でも過去でも出番を確保し、若きヒロイン・咲との三角関係に持ち込む展開は必至です。

さて・・・後は「月9」の出来次第で・・・秋ドラマのレビュー・スケジュールを決めたい。「月9」「日9」がともに同じくらいの面白さだったら・・・困るけどな。

ま・・・仁と同じでいざとなったら人間はなるようになるのである。

運命が変えられなくても

伝えたいことがある

なんて無理を言われても困るけどさ。

関連するキッドのブログ『プロポーズ大作戦

               『篤姫

                『MR.BRAIN

水曜日に見る予定のテレビ『内山理名の相棒』(テレビ朝日)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)さあ・・・今回はいいダンスがあるかもね。

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2009年10月12日 (月)

どじょっこホイだよ!天地人(妻夫木聡)貧乏姫になりました(比嘉愛未)

とにかく展開に困ったら「どじょっこホイ」を踊るのだな・・・。

なにしろ会津・米沢・庄内・佐渡150万石から一挙に米沢・福島30万石に減棒なのである。

それで家臣は減らさないというのは・・・一瞬美談に聞こえるが・・・すでに士農工商の萌芽があった時代で結局は武士が農民から収奪するのである。つまり米沢の百姓の負担が一挙に五倍にふくれあがったということだ。

本来、米沢は直江兼続とその与力衆が上杉家から半独立的に支配していた土地だった。

その旧支配層と新支配層の兼ね合いが身内の中でなされるのである。

ある意味難民キャンプ状態であったと言えるだろう。

そして・・・そのすべては負け戦を指導した主君景勝・家老兼続の責任なのである。

風当りは相当に強かったはずである。

その度に兼続は「取り潰された宇喜田家や長宗我部家よりはマシ。あの毛利家だってものすごく苦労している。浪人したけりゃするがいい」と言い訳したはずである。

なぜなら景勝は無口なのだから・・・。

で、『天地人・第41回』(NHK総合091011PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・野田雄介を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回もあらすじは五行ですが、参考資料として大作業・直江家系譜のまとめ大特集があります。これはかなりの労作ですのでお得感が本編の数十倍ございます。大河ドラマのスタッフもこれくらい緻密な作業をしてもらいたものです。ちなみに本多政重と阿虎の間には本多政遂が生まれ下野榎本藩主になっているという説もございます。本庄長房の長女は菊姫の甥・武田勝信に嫁しています。景明は大坂の陣後に病没しますが・・・上杉景勝の指揮の下、鴫野の戦いで戦功をあげ徳川秀忠から感状を与えられ父の戦に弱いという汚名を雪いだという説もございます。兼続が戦に弱いという流れならここは感涙の名シーンになるのでございますけどね。そのような戦国の渋さをお求めの方は浅野長政の秘密もお楽しみください。

Tenchijin160201 慶長7年(1602年)の春の米沢城下は荒んでいた。上杉景勝の主城となった米沢城は手狭であった。城下町は伊達政宗が去った後に直江兼続の居城となったが、豊臣政権下においては兼続は上方での政治工作が忙しく、城下の整備は城代となった父・樋口兼豊に委ねられていた。しかし、費えの主たる部分は会津若松城や伊達・最上などと接する前線に置かれ米沢城にまではまわらなかったのだ。周囲を最上・伊達・蒲生に囲まれ敗戦国として米沢30万石を運営していくためには米沢の城下町の整備が急務であったが、佐渡金山も失い、庄内地方という海運ルートも失った上杉家の財政は窮乏の一途をたどっている。先立つものがないのである。越後・上田時代から景勝の財政を運営してきた樋口兼豊の肩には巨大な負荷がかかっていた。何より・・・上杉家を支える軒猿衆の駄賃さえ滞る事態である。侍と違い自由度の高い忍びたちを動かすためには金が必要なのだ。財政的困窮は諜報網の弱体化を招き、情報不足は追い詰められた上杉家をさらなる危機にさらす可能性を高める。

兼豊はようやく上方より戻った兼続と米沢城本丸で会っていた。景色は一面の雪野原である。

「父上・・・お顔の色がすぐれませんな」

「ふふふ・・・米沢は冷えるでの・・・老骨には堪えるわ・・・」

「して・・・荒砥城への使いは・・・」

「秀兼を向かわせた・・・もうついておるじゃろう」

荒砥城は山形・米沢の国境で対最上の最前線である。荒砥城には兼続の従弟・志田義秀が篭っているが戦後処理の一環として志田の出羽攻略戦は仇となり高野山への追放が決まっている。死罪を免れたので折りを見て上杉家への帰参を認めるという算段になっている。言うなれば謹慎処分である。兼続の弟である樋口秀兼がその旨を志田に告げ城代を変わるのである。

上杉家の影守りを司る樋口家は総力をあげて国境を守っていた。荒砥城と米沢城のつなぎの城である高畑城には泉太郎こと大国実頼が入っている。また、伊達は白石城に片倉景綱を置いているがこれに対する最前線は梁川城である。城主は須田長義だが兄の満胤には兼続の妹於北が嫁いでおりしのびが組織化されている。その後備は金山城で城主は色部光長である。光長には兼豊の娘で兼続が養女とした於梅が嫁している。さらに最終防衛線となる福島城は城主・本庄繁長の三男・長房が直江家で養育され忍びとしてしつけられており、目付けとして兼続の娘・於竹が嫁している。

北の最上家、東の伊達家に対し、樋口家と直江家の忍びはできるかぎりの結界を張っているのである。

兼豊は国境の守備へ思いをめぐらせつつ、兼続を見た。

「上方はどうじゃ・・・」

「もはや・・・徳川の天下は動かしがたく・・・」

「それはそうじゃろう・・・内府様(家康)が急死でもしない限り・・・もはや徳川に手をあげるものはおるまい・・・初音殿とは逢うたか」

「いくさしのびの伝授を受けました・・・」

「もそっと早く・・・そうするべきだったの・・・」

兼豊は兼続の目に戦忍の暗い翳りを見てとっていた。

「陽忍となった・・・御主には不必要と判じた・・・ワシが愚かだったわ。抜かったわ・・・」

「父上・・・」

「京ではさぞや・・・お船殿が難儀しておるじゃろうの・・・」

「先立つものがありませんからな・・・伏見屋敷を維持するのが精一杯でございます・・・高野聖(兼続の義理の息子)に頼るほどの有様です」

「菊姫様にも苦労をかけてすまぬことだわ・・・真田のしのびとのつなぎもこれで仕舞いじゃの・・・」

「これからは本多のしのびとつないで参らねばなりませぬ・・・」

「ふふふ・・・本多のしのびはしわいと聞くが・・・」

「本多佐渡守殿は・・・どこか父上に似ておるようでございました・・・」

「さようか・・・」

兼豊は若き日に出逢った本多の忍びを思い出していた。その忍びは越中の一向一揆に身を投じていた。あれから・・・長い闘争の日々であった。城内に運び込んだ謙信公の遺骸に心の中で手をあわせつつ・・・兼豊に慙愧の念がこみあげる。謙信・景勝と二代に渡って築きあげた財が散じてしまった実感がわく。豊臣秀次に賭け、石田三成に賭け・・・賭け損じてしまったのである。費やした金はあまりにも莫大であった。

「兼続・・・いや与六よ・・・もう負けることは許されぬぞ・・・」

「父上・・・」

「忍びとして自害など虚しいことだが・・・この義は陽忍として貫かねばならぬ・・・」

「・・・・・・」

「此度の負け戦の責は・・・この樋口兼豊が負うてやるわ・・・兼続よ・・・樋口と直江の惣領として・・・しかと上杉家をお守りせよ・・・ぐ・・・」

「父上・・・陰腹をお召しになりましたな・・・」

「兼続・・・もう・・・二度と・・・敗けてはなら・・・ぬ・・・ふはっ・・・」

「・・・父上ーっ」

上杉家敗北の咎を背負い・・・樋口兼豊は切腹して果てた。

関連するキッドのブログ『第40話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『オトメン(乙男)・秋』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

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2009年10月11日 (日)

座頭教師見参!(佐々木蔵之介)正々堂々と勝負しなさいよ(村川絵梨)

ハンディキャップ(不平等な条件)には二重の意味がある。

ひとつはある特定の人々が大多数の人々よりも不利な立場に置かれているということだ。

もうひとつはゲームのルールとして強者を不利に弱者を有利に導く規定である。

前者の代表として身体の不自由な人々や、知能の不自由な人々あるいは資産に恵まれない人などがいる。

後者の代表として競走馬はレース結果の予測を混迷させるために錘を背負ったり背負わなかったりする。

前者は立場の違いというものをどのように認識するかと言う問題である。

後者は人間が勝負の白熱を好むという傾向を示している。

これもまた微妙な問題でキッドの口が憚る分野である。

これを公の場で口にする場合はなぜか「弱者保護の立場」であることが望まれる。たとえば「身体障害者は人の迷惑にならないように大人しくしているべきだ」と言ってはいけない不文律があるわけだ。そこがなるべく自分を無責任でニュートラルな立場に置きたいキッドの本心を刺激するのである。なぜなら平和共存の美名は弱肉強食の自然の掟を圧殺しがちだからである。

作家の中にはあえて・・・この美名の表明にチャレンジするタイプがいて・・・キッドがそれを評論するとどうしてもきわどいタイトルが浮上する。

そういう時のキッドは実は怯えているのです。こわいのです。おっかなびっくりです。

で、『チャレンジド・第1回』(NHK総合091010PM9~)脚本・渡邉睦月、演出・国本雅広を見た。脚本家は「ケータイ刑事」シリーズで知られるが、XP(色素性乾皮症)患者を扱った「タイヨウのうた」(2006年)も担当している。「ドリーム☆アゲイン」では志田未来が重度の心臓疾患だったし、「恋空」は原作ありだがほとんどの登場人物が知能に問題があるような状態で・・・ハンディーキャップものが大好きなのだと思う。

中学の国語教師・塙啓一郎(佐々木)は数千人に一人の割合で発症するといわれる網膜色素変性症となり中途失明者となる。成人してからの失明であり、生まれつきの障害者とはまた別のハンディーキャップを背負うことになるのだ。

啓一郎には妻子があり、専業主婦であるらしい幸子(富田靖子)は失明した夫を優しく保護するのだった。経済的にはそれほど多くを望まないタイプなのである。啓一郎は教職に異常なこだわりを持っており・・・盲目になったら教壇にたてなくなると絶望する。

しかし、妻の励ましによってとりあえず盲人としての訓練を受け、盲導犬ポン太も得て、日常生活に支障がない状態まで社会復帰する。

鍼灸師やマッサージ師の職業訓練を推奨されるが啓一郎はあくまで教職への復帰にこだわるのだった。

しかし、競争社会の激しい都会では教師のハンディーキャップは生徒のハンディーキャップに直結し「盲目の教師に教えられてウチの子の成績が下がったらどうしてくれるのザマス」という正論が通るので全盲という障害をかかえた教師の再就職は困難なのだった。

そこである意味マジシャンである幸子は出身地である静岡県に「全盲の教師を受け入れてくれる校長先生がいる」と朗報をもたらすのだった。おそらく、幸子の実家は資産家で親は県の教育委員会などにも顔が利く実力者なのであろう。

そのために全盲の教師・啓一郎が誕生するのだった。

おかげで・・・副担任から担任に昇格の決まっていた若い教師・新谷京子(村川)は昇格を取り消されるのだった。校長の花村(西郷輝彦)には幸江の実家から相当な経済的見返りがあったのである・・・おい・・・いい加減にしておけよ。

だから・・・まあ・・・京子が啓一郎に①タイムカードの捺し方を教えない。②教室の場所を教えない。③読めないと知っていて生徒の資料を渡す。 ④ホームルームで揚げ足をとるなどの意地悪をするのは生存権を賭けた戦いをしているのであってまったく悪くない。それなのに「ハンディキャップを持った人間に優しく出来ない人間としての未熟さ」風に描かれていると受け取られてはたまったものではないのだな。

その証拠に態度をあらためるのは京子ではなく、啓一郎なのであった。

「皆さん・・・私は目が見えないので・・・どうか助けてください」と頭を下げるのである。

利害関係の薄い教師たちはどうやら実力者と裏でつながっているらしいこの迷惑な全盲の教師を受け入れることにする。しかし、まだまだ長いものにまかれることを潔しとしない京子の反抗姿勢は続くのである。がんばれ、京子・・・目の見えない教師になんかに負けるなよ~。

反面教師と言う言葉があるが・・・あんな先生にだけはなりたくないという見本として役立つのである。しかし、生徒が自分にハンディキャップがあると卑下するタイプだった場合、ハンディキャップのある教師はストレートに有効だったりするだろう・・・というのがこのドラマのゴリゴリに押してくるテーマである。

今回、脚光を浴びるのがパニック障害を苦にする生徒・奥寺(小池里奈)だった。自分の障害を他人にとって迷惑だと考えて萎縮していた奥寺は啓一郎が「目が見えないんだから助けてもらって当たり前」とふてぶてしい態度をとるのを見て、「よし、私も」とやる気を出すのである。そのたくましさに涙を禁じえません。

まあ・・・人間、いつ全盲になったりパニック障害になったりしてそういう身の上になるかもしれないのだからバリアフリーの社会を作ることは機能的であるという考え方もありますがそんなの知ったことじゃないという考え方もあっていいのではないかとキッドは時々考えます。まあ・・・自分の気持ちが楽な方の考え方をチョイスすればいいということです。

人間の運命は考え方ひとつで変わる場合もありますし・・・たとえば障害を得るかどうかは選択の余地なしだったりします。

キッドは自分が不幸を感じたときは神を呪うことにしています。

なんだって・・・「セイラ」も「サムライ・スクール」も来週スタートなんだよ・・・触れたくもない部分に触れちゃったじゃん。神めぇぇぇぇぇぇぇっ。

ま、たまにはいいか。

関連するキッドのブログ『タイヨウのうた

月曜日に見る予定のテレビ『税務調査官・窓際太郎の事件簿19』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年10月10日 (土)

引きずり男とマイガール(相葉雅紀)嬢王Virgin02(原幹恵)自責の連鎖(山田優)

まあ、激しく漏れちゃう「ファイト一発充電ちゃん」(チバテレビ・他)はさておき・・・結構、攻め立てる金曜日である。

単発の「ナイチンゲールの沈黙」はさておき・・・「マイガール」と「嬢王V」の落差激しすぎるだろう。

これに「観月ありさのおひとりさま」と「仲間由紀恵のアンタッチャブル」が来るのである。視聴はともかくレビューは予断を許さない状況だな。

とりあえず・・・様子を見るよ。

で、『金曜プレステージ・ナイチンゲールの沈黙』(フジテレビ091009PM9~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・今井和久を見た。心療内科医・田口(伊藤淳史)と厚労省・白鳥(仲村トオル)のコンビによるドラマ版「チーム・バチスタの栄光」の続編である。やはり2時間ドラマの方が見やすいのだった。いかに前回無理があったかだ。怪しい共感覚の話はねぐったのだな。

小児科病棟の看護師(山田優)が沈黙するナイチンゲールなのだが、その沈黙の理由は「かばいだて」である。脳手術を要する二人の少年が登場し・・・少年A(中島健人)は自分の病気が家族に迷惑をかけることで自責の念を感じ、少年B(高田翔)に「もしも失敗したら殺してくれ」と依頼する。少年Bは酒乱の父親を憎悪し少年Aと協力して殺害しようとする。つまり変則の交換殺人である。

しかし・・・父親は何者かによって殺害。そして少年Aの手術は成功したのに何故か容態が急変してしまうのである。

意識を取り戻した少年Aが少年Bの父親を殺した犯人を見ていることが発覚。しかし・・・少年Aは口を閉ざす。誰かを「かばいだて」するのである。

そこで田口は登場人物の誰よりも背が低いので少年たちが少年に見えない問題はさておき・・・「だれかをかばっていれば・・・その間かばわれた人は罪の意識に苦しむのです」と説得するのである。罪の意識に苦しんでなかったら迷惑です。

しかし、ドラマなので・・・次々と事実が明らかになる。少年Bの父親を殺したのは優しい医者。しかも正当防衛。少年Aを殺しかけたのは少年B。しかも「手術が失敗した」という勘違いによるもの。看護師はそれを見ていたが「かばいだて」をしたという結末。

しかし・・・医療装置を悪戯した少年を見過ごし・・・それによって起こった事態を医師に報告しなかった看護師のささいな「気持ち」がどんなものだったのか・・・すごくわかりにくかった気もします。

あれか・・・看護師は少年Bが好きだったのか・・・それならわかるけどな。

まあ・・・キッドは高田翔はふかわりょうに似ているということしか思いませんでした。

殺人医師は袴田吉彦、こわい顔の天才脳外科医は遠藤憲一でした。

あれぇ・・・合コンとか、スキヤキとか、オレの大活躍はふれないのかなぁ。まぁ・・・今回は確かにいてもいなくてもよかった感じぃ?

私の「星に願いを」は・・・。

関連するキッドのブログ『チーム・バチスタの栄光

で、『マイガール・第1回』(テレビ朝日091009PM1115~)原作・佐原ミズ、脚本・大島里美、演出・高橋伸之を見た。今回から60分プログラムとなり、AM0015分までのオンエアである。そうなるとAM0012スタートの「嬢王V」と後半3分かぶります。どんな意地悪なんだ。前回、原幹恵の下着が切られたところで引かれている男子全員を敵に回す気か?

それはともかくとして『オー!マイ・ガール!!』(2008年日本テレビ)、『白い春』(2009年フジテレビ)に続く、男優・少女子役ものである。まあ・・・この「パパと呼ばないで」の系譜はひとつのジャンルだから別にいいのだが・・・擬似親子関係(速水もこみちと吉田里琴で叔父・姪)、名乗れない親子関係(阿部寛と大橋のぞみで前科者と養女)といろいろとマイナー・チェンジをしてくるわけである。

で、今回は相葉雅紀と石井萌々果で認知しなかったけど血はつながっている父と娘なのである。

認知しなかった・・・というか・・・させてもらえなかった理由はただ一つ・・・笠間正宗くん(相葉)が頼りなかったからだ。

もう正宗くんの頼りなさっぷりが最高である。

キッドはこういうタイプの主人公だと必ずイラッとするのだが・・・正宗くんは別格。

もう・・・しょうがない奴だなあ・・・ふふふなのである。

さて、未婚の母は塚本優子(優香)である。設定はやや曖昧で・・・原作とも変更がされているのだが・・・推定するとこうなる。

出会い。優子・大学四年(22才)・正宗高校3年(18才)、つまり四つ年上の彼女である。

春に出逢って夏くらいには深い関係になり・・・翌年春には海外留学するという理由で正宗は別れを告げられる。しかし・・・実際は優子は正宗の子供を妊娠・・・正宗の将来性を考えて一方的に身を引き・・・母子家庭を始めたのだった。

そんなこととは露知らず・・・優子にふられたことを引きずったまま・・・大学卒業後も写真家の事務所でアルバイト生活(大学時代から六年間も)・・・ぼんやりと過ごす24才なのである。

師匠の林(北村有起哉)にも「そろそろ自立しないとね・・・」と叱責されている。

助手の木村(日村勇紀)にも便利屋あつかいである。

母(室井滋)からも「そろそろ就職しなさい」とせっつかれている。

しかし本人は自分が「ぼやぼやしている」つもりがないほどの「ぼんやりくん」なのである。

そんな時・・・優子が交通事故死・・・残された六歳のコハル(石井)とご対面である。

優子は働きながら正宗の近所でコハルを育てていたのだった。

ものすごいうかつさだがうかつなので自分のことをうかつと思わない。

静岡から出てきた陽子の母・志織(朝加真由美)に事実を告げられただ「えーっ」と驚くのである。

「もうどうしていいのかわからない」のである。もうダメな子ほどかわいい感じでダメなのだーっ。

静岡でコハルを育てるために手続きをするために1日だけコハルを預ることになる正宗。

子供とどう接していいかわからず・・・ボーっとします。もう子供と歩調をあわせることさえできない頼りなさです。

さて散歩の最中に仕事の失策で木村から呼び出された正宗はあろうことかコハルを路上に放置・・・おりしも雨が降り出して・・・健気にその場を動かなかったコハルは発熱です。いやその前に保護責任遺棄で犯罪的行為なのだ。

しかし・・・とにかく・・・だからといってなんなのだ・・・という態度の正宗。

すごいぞ・・・この役を淡々と演じて嫌味がないって・・・これが可能な他の役者が思い浮かばない。

しかし・・・翌日・・・コハルは行方不明に・・・。コハルから「淋しくならないように」と渡されたお守りの中身を見た正宗。

そこには「優子にはじめてあげた手作りのテントウ虫のアクセサリー」が・・・。

優子との出会いの桜の木にかけつけた正宗はコハルを発見。そこで糸がたるんでいるから本当は聴こえないけど近距離だから会話の成立する糸電話で会話。

正宗「・・・ど、どうしたの?」

コハル「みんな・・・悲しいことはすぐに忘れろ・・・って言うの。でもコハルはママのこと忘れるなんてできないよ・・・ええ~ん」

もうかなりの萌えが発生しています。正宗の中で何かがはじけて飛ぶのですが・・・「嬢王V」の時間です。・・・録画しとけばいいだろうがっ。いや・・・ここは意地でも見ないっ。

関連するキッドのブログ『白い春

              『オー!マイ・ガール!!

で、『嬢王Virgin・第2回』(テレビ東京091010AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・大和田雅和を見た。さて・・・キャバクラ凶悪トリオ・沙羅(辰巳奈都子)、美羽(桜木凛)、エリナ(朝比奈あかり)に更衣室でブラジャーを剥ぎ取られた杏藤舞(原)・・・いじめられっ子仲間の木下朋(黒川芽以)はこわくてただ見守るばかり。

さらに最後の一枚を脱がされようとした時にエリナが止めにかかる。「もうこのへんで勘弁してあげる・・・」

舞は感謝しますがその肩に足を乗せるエリナ・・・「あんたは私の飼い犬よっ」です。

その後の接客では舞をエサに客をおびき寄せ、いざとなるとピンヒール踏み攻撃で舞を追い払い売り上げを伸ばすエリナ・・・。

朋は「助けてあげらけなくて・・・ごめんね・・・私・・・こわいの・・・」と謝るが舞は「気にしないでいいよ・・・苛められるのなれているから・・・」

恒例の今週の中間発表。トップはリピート率の高さで稼ぐ優衣華(原紗央莉)だった。

エリナ「2位以下の順位を教えてください」

リーダー雨宮(永田彬)「トップでなければ2位も3位もない・・・嬢王は一人だ

エリナは黒服に体を預けて指名をコントロールすることで売り上げアップを図る。

舞の売り上げは下降線である。

営業終了後もトレーニングルームでナイスボディに磨きをかける優衣華。

遭遇した舞は「優衣華さんは凄いな・・・私なんか何をやってもダメなのに・・・」

愚痴りながらルームランナーで走る舞。優衣華はいきなりトップスピードにあげて舞を挑発する。

舞「何をするんですかっ」

優衣華「・・・脱ぎなさいっ」

舞「そんなこと・・・できません」

優衣華「できないできないってウザイのよ」

舞「じゃ・・・優衣華さんが同じこと言われたらどうするんですか」

優衣華はたちまち一糸纏わぬ体を披露である。

優衣華「逃げてるだけでは勝てないわよ

今週の原原対決終了です。

今週のイベントは「ハーレムナイト」である。超優良客だけが招待され・・・五人を指名。ただし売り上げは最終的に選ばれた一人に与えられるルール。

エリナは裏工作で最上客の指名を優衣華から奪い、沙羅、美羽、朋、舞を引き連れて勝負にでる。

客「ここに1億円用意した。婚姻届にサインしてオレの奴隷妻になったものにやる」

エリナ、沙羅、美羽は「私を奴隷にしてください」宣言である。

黙っている舞と朋にからみだす客。まずは舞の胸をわしづかみである。次に朋の自傷傷を隠している腕飾りに目をつける・・・。「はずせ」と命ずる客。拒絶する朋。三人組は客の命じるままに・・・朋に襲い掛かる。

舞「やめてください。お金で何でもできるわけじゃないんです

はずされた腕飾の下に自傷傷を発見した客は態度を一変する。「ザコ」はいらないと三人組を追い出すと・・・ドンペリ10本の大盤振る舞いである。

影があるのは恥じることじゃない。それは個性だからな。影があるから俺だってここまでやってこれたのさ

営業終了後・・・。

朋「かばってくれてありがとう・・・」

舞「私・・・逃げるのはやめにしたの・・・ゴールにたどりつくまで走り続けるの」

朋「・・・私なんか・・・いつもいつも苛められて」

舞「その傷隠してあげる・・・美容師のお母さんが餞別くれたから」

メイクで傷跡を跡形もなく消す舞。

朋「すごい・・・」

舞「ママが言ってた。女の子が幸せになるためには隠すことも大切だって

舞の役に立つために朋はエリナが客の悪口を言いながら黒服と激しく上下運動している姿を盗撮・・・すべての客に動画配信するのだった。

たちまち指名が激減するエリナ。

今週の結果発表。「売り上げ最下位の脱落者はエリナさんです」

最下位次点でクビを免れた舞がほっとして入浴していると現れたのは昭和生まれだから女王レースに参加できない元ナンバーワンの亜美(麻美ゆま)である。

亜美「あなたに・・・私のテクニックのすべてを教えてあげる・・・

ど、どんなテクニックなのだ・・・つづくである。

とにかく「マイガール」→「嬢王Virgin」の温度差ただならぬ感じです。湯冷めするレベル?

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年10月 9日 (金)

モラルなき正義の行方(市原隼人)飼い犬はケルベロス(原幹恵)

さて・・・そろそろ秋ドラマの開幕なのだが・・・そういう意味でイレギュラーな終幕を迎えつつある「猿ロック」である。

この脚本家が次の月9を書くのである。非情に不安だ。

キッドは小劇場的な脚本というものが苦手だからである。

それはどんな脚本か?・・・と言われると困るのだが・・・。

たとえば寺山修司とか、つかこうへいとか、野田秀樹は大丈夫なのだな。まあ、基本的にはドラマの台本はそれほど書いていないわけだが。それからクドカンは別格で堪能できるのである。

ダメなのは最近では「歌姫」がいい例でもうまったく面白くない。

もちろん・・・深夜なら大丈夫なのである。ある意味、小劇場だからな。「歌姫」だって深夜でこっそりやってる分にはきっと楽しめただろう。

ああ・・・ダメなことやってるなぁ・・・で済むわけだ。

だから「33分探偵」とか「猿ロック」の脚本家がいくらしょうもないことをやっていても・・・まあ深夜だからなですむのである。

クドカンと彼らの違いをもっともっと分析していけば説得力のある「ダメの理由」が分る気もするがそこまで根気がないんだよな。

で、『猿ロック・第12回(Episode5-2)』(日本テレビ091009AM0019~)原作・芹沢直樹、脚本・福田雄一、遠藤光貴を見た。エピソードは2話完結だったり、3話完結だったりする展開である。今回は3話展開で中篇にあたる。前編はこんな感じである。

代議士の息子で不良の松藤龍平(黄川田将也)は手下の高校生を使って陰湿ないじめを行っている。持ち前の正義感でそれを制止したリツコ(芦名星)や友人のエリ(中村ゆり)はいやがらせのターゲットに。リツコのピンチにサル(市原)がかけつけるが龍平に逆襲される。そしてサルは重傷を負ってしまうのだった。

・・・というわけで今回である。

なぜかサルの入院した病院は松藤の息のかかった病院なのである。

そこで松藤は入院患者を自由になぐるけるしていいのだった。・・・もう意味不明です。

そんな病院に入院しているサルは入院患者たちから「童貞狩りナース」の伝説を聞かされ無性に興奮するのだった。サルはチェリー・ハンターFを求めて積極的に看護師たちにアプローチするのだった。

その噂を聞きつけ山本(渡部豪太)も自傷して入院である。

そんな二人の前に現れたナース深田(森下千里)とナース藤森(柳沢なな)とどちらもイニシャルがFなのだ。

だが・・・彼女たちは医療ミス隠しを暴きに来た某医療機関の工作員だったのである・・・こういうところが最高につまらないのだな。

医療ミスの証拠となるカルテの入手に成功するサルと隠密ナースたち。

しかし・・・龍平が現れサルたちに暴行を加えるが何故か一線を越えない・・・グダグダです。

結局、Fは婦長(山下裕子)のFで身動きできないサルの貞操は・・・。

とにかく驚異的な回復力で退院するサルは何故か不機嫌だった。

そして・・・サルとリツコは龍平に車で拉致されてしまう。偶然、目撃した山田巡査(高岡蒼甫)は追跡を開始する・・・最終回へ続くである。

不法侵入と開錠はモラルや正義を語る上で素晴らしい題材だと思うがちっとも料理されていないのだな・・・つまりまったく深みがないのである。

原作があって・・・こんな感じ。月9「東京DOGS」の出来が心配になるのがお分かりになられるでしょうか。それとも大化けするのか?・・・おっかなびっくりで待っています。

で、『ラストメール・第2回』(テレビ朝日091009AM0310~)脚本・ますもとたくや、演出・二宮浩行を見た。BS朝日からのお下がり番組である意味再放送で深夜ドラマという・・・もうケータイ刑事クラスのなんでもいいレベルの話である。

主人公は女子大生の渡瀬(飛鳥凛)だが「死者からのメール」が届く携帯電話を持っていて三途の川からの「生前の心残りを解消してほしい」というおねだりに応えていくのだ。

渡瀬は何の疑いもなく指示に従って今回はホステスになってしまうのだが・・・ある意味、ガードが甘いっていうか・・・オレオレ詐欺にひっかかるタイプだな。

今回の死者のお願いは「政治家の秘書で身代わり自殺したけど政治家の不正を暴いてほしい・・・」という義憤に答えるわけである。敵対政党の差し金じゃないの?

で・・・中身は「クラブのパイナップルの中に不正な政治献金が仕込まれて受け渡しがされていた」ということでパイナップル争奪戦である。

で、オチは愛犬ケルベロスの散歩中、渡瀬の親友である新堂今日子(原幹恵)が「エロおやじにだまされている渡瀬」という誤解の上で悪い政治家をノックアウトである。

ま・・・なんじゃ・・・こりゃ・・・ですが・・・深夜だからまったくOKなのです。・・・お前の基準がよくわからんわっ。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

Hcinhawaii0592 ごっこガーデン。アンナ様専用遙かなる旅立ちセット。さて・・・来年の映画の話でございます。鬼が笑うのですがテレビアニメを語る上で欠くことのできない『宇宙戦艦ヤマト』の実写版『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年12月公開予定)の公式WEBサイトが開設されたので一応妄想しておきます。現時点では表紙とCREWのページ(干上がった海底に埋もれた大和が見れます)しかないのですが。キッドはすでにいくつかのコメント欄で発言していますが古代進の実写化となると木村拓哉以上のキャスティングはないと断言しておきます。古代進は2181年生まれ。2199年18才でヤマト発進。という初期設定から年齢的に合わないと考えるのはいかにも短絡的です。なにしろ実写化なのです。古代進というビッグなキャラを受け止める素材というものが第一なのですな。古代進が別に30代であっても問題ない。あの巨大戦艦の戦闘指揮官ですからむしろ自然。さらに言うならば木村拓哉ならばなんちゃって18才も可だと思いますぞ。やらないと思うけど。キャスティング的には真田志郎(柳葉敏郎)がはまりすぎ・・・義手で義足なのかっ。本来レーダー手で生活班長だった森雪(黒木メイサ)がブラックタイガー隊所属なので本来の隊長である加藤(波岡一喜)という配役から考えると確執発生は確実かっ。謎のメンバー古屋(三浦貴大)は一体何者なのかっ。相原(マイコ)なのであの悲しいエピソードはどうなるのか・・・何より心配なのはデスラーとかドメルとかスターシャとかの宇宙人キャストなのでございますけどねーっ。 

土曜日に見る予定のテレビ『オトコマエ2』『チャレンジド』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『めちゃ²オボえてるッ』(フジテレビ)『トリック3(再)』『終着駅23』(テレビ朝日)2とか3とか懐古とか・・・仲間由紀恵のアンタッチャブルPRかっ。

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2009年10月 8日 (木)

死体の処理に困っています(谷村美月)トリハダ6的に・・・(足立梨花)

さて・・・連続ドラマの端境期に・・・お気に入り女優たちが大活躍なのだが。

まず、原幹恵・・・「バカ殿様」(フジテレビ)「今夜もドル箱」(テレビ東京)は良しとして「KUNOICHI」(TBSテレビ)にエントリーはどうなんだ・・・秋ドラマの主演女優なのに・・・。ま、ケガしなくて良かったけどな。

次に黒川芽以である。夏ドラマからゲスト、レギュラーおりまぜて「リミット」でストーカーされる女。「帝王」でキャバクラ王の情婦。「科捜研の女」で怪しい花屋の娘。「オトコマエ!2」で押しかけ女房、「嬢王V」でいかにもラスボスなキャバクラ嬢。そして昨日は検察官である。しかも「ケータイ刑事銭形泪」である。七つか。七つの顔を持つ女か。

そして・・・谷村美月なのだな。「さよならが言えなくて」であの事件の真っ最中に麻薬の常習犯、「恋のから騒ぎ~LOVE STORIESⅥ~」で尽くす女、「恋うた・三日月第二夜」でふたまたをかける女。そして昨日は痴漢冤罪者の娘である。さらに「探偵Xからの挑戦状シーズン2」にも。働き者かっ。そしてやってまいりましたトリハダの季節・・・だからいつなんだよっ。

とにかく・・・この一週間はなんか・・・すごかったよね。台風通り過ぎて行ったよ。

で、『トリハダ6』(フジテレビ091008AM0155~)原案・吉田さやか(他)、脚本・監督・三木康一郎を見た。トリハダがたつような話にはスーパー・ナチュラル・ホラー(霊的なこわい話)とナチュラル・ホラー(マジでこわい話)があるのだが・・・そのボーダー・ラインを彷徨うのがトリハダ・シリーズである。

人間の恐怖の根源は「死」である。それと関連して「死後の世界」もちょっとこわい。逆に死も死後の世界も恐ろしくない人間はある意味恐ろしいのである。キッドは時々、そうなるのでそういう時は自分がこわいのです。

まあ・・・大人というものは「死」も「死後の世界」も畏れない存在であるべきだという考え方もあります。

とにかく・・・どちらかといえば「トリハダ」シリーズは「死後の世界」をあまりおそれない人間が「死」をじりじりとだったり、突発的にだったり「他人」にもたらしていく・・・という主題が見え隠れします。人間は何故か「こわいものみたさ精神」を発達させますので・・・エンターティメントとしてこの手の作品はかかせないのですが・・・前回あたりから絶対に見逃したくない絶品の気配がしています。

脚本・演出・・・すべてが「いい味に仕上がっている」状態です。

例によって都会で一人暮らしのゆり/谷村美月

今回は朝のトイレの後からスタートです。なんともいえず・・・庶民な感じの洋式便所の便座が女の子の一人暮らしだからおりている。慌しい朝。美月はトイレの照明はつけっぱなし、トイレのドアは半開きでおでかけです。トイレの流水がゴボッと止り・・・一人暮らしのシンボルとして粗末な洗面所におかれたコップの中の一本の歯ブラシ・・・。あなたの目はあなたの体をはなれ鳥肌たちまくる世界へ案内されていくのです。

第一話「計画された別れの演出と戦慄」例によって美月の物語をクッションにしながらオムニバスが展開されます。都会のどこかのマンションの一室。男(弓削智久)と女(松岡恵望子・・・のだめの薫です)の別れ話。女「別に好きな女ができたのね・・・」男「とにかく・・・すまない」・・・心の醒めた男の言葉は慇懃無礼が鉄則です。女「じゃ・・・荷造りしないと・・・」・・・この一言がすでにこわい。しかし、男は安堵しているのでこのこわさに気がつかない。まあ・・・トリハダの世界にいるとは本人思ってないからな。やがて女は手頃な感じのダンボール箱を持ってくる。

男「なんだ・・・それ」

女「バースデイ・プレゼントよ・・・新しいパソコン・・・欲しいって言ってたでしょ」

男「そんな・・・もらえないよ」

女「いいから・・・もらってよ・・・私、使えないし・・・」

男は半分は面倒くさく半分は欲が出て・・・了承する。

やがて荷物をまとめて出て行く女。男は解放された気分でベランダに出ると「新しい女」に早速電話をかける。が、留守電だ。男はメッセージを吹き込む。「あ、オレだよ・・・あいつと話ついた・・・ねばられちゃったよ・・・」などと調子のいいことを喋っていると・・・眼下の路上をトランクを引きずりながら去って行くふられた女が目に入る。女はふりかえって「バイバイ」と手をふるのだ。男は気が咎めたのか居たたまれず一度電話を切って室内に戻る。

「なんだよ・・・あいつ」・・・男は捨てた女の明るさが不気味になりつつあるが気をとりなおして新しい女に再度電話をかける。するとさっきは気がつかなかった振動音が響くのである。

その音は・・・追い出したばかりの女の贈り物のダンボール箱から聞こえる。

男が電話を切ると・・・振動音は途絶える。箱の中には「新しい女の携帯電話」がマナーモードで梱包されているとしか思えない。

ふと見ると・・・ダンボール箱には持ち運びのためのちょうどいい感じの穴が両サイドについている。そしてよく見るとダンボールを運びこんだ床には血痕のような汚れが・・・。

まさかな・・・まさかなまさかなまさかな・・・と思いつつ・・・箱を覗き込んだ男は箱の中の「新しい彼女」と目があってしまいました。

帰宅したゆり/美月。トイレの電気の消し忘れに気がつきます。そして目撃するのです。トイレの便座があがっている。自分があげない限りあがらないはずのそれが。恐怖に襲われた美月は例によって親友あかね/浅野かやに電話します。しかし応答なし。そこへ非通知の電話が着信。美月は恐怖に震えながら応答。

かや「ごめんごめん・・・携帯忘れちゃってさ・・・」

美月「も・・・もう・・・そりゃ迷惑だよ」

かや「迷惑って・・・何が・・・」

第二話「日常に潜む不条理の確率」どこにでもいる特別じゃない少女A(足立梨花・・・ふたつのスピカの万里香である)は学校ばっくれるためにトイレで着替えて制服を駅のコインロッカーに入れようとして・・・躊躇する。空のコインロッカーにおかれたコインロッカーのキーを発見したのだった。好奇心は猫を殺すので赤いナンバープレートに示された最寄のロッカーを開錠してしまう梨花。

そこには額面500万円也の小切手が・・・と、またもやコインロッカーのキーである。

次はドナーカードとコインロッカーのキーである。

しかし・・・そのナンバーのコインロッカーは見当たらない。

けれど・・・「地下のコインロッカーもご利用ください」の案内が目に入る。

おいおい・・・そろそろ友達との約束におくれるぞ・・・と思いつつ・・・好奇心は猫をも殺すのである。

とにかく・・・もう・・・どう考えても臓器売買がらんだ・・・やばい話なのである。

だが・・・地階への階段をおり・・・屋外にロッカーを発見しつつ・・・自動ドアがゆっくり閉まるまで躊躇する梨花。やめとけやめとけ。

しかし・・・とりあえずキーをロッカー(大)に差し込む梨花。

人気の無い地下である。

「やめた・・・」第六感でロッカーを開けない梨花。立ち去ろうとするが背後ではギィッとロッカーが開く音がするわけである。

そして案の定・・・ロッカーの中から獣のような男が登場である。「ひっ」と声をもらす梨花。現場から走り去る黒いワゴン車。静寂。

例によって警報機の鳴る線路沿いの道を歩きながら相談するゆり/美月とあかね/かや。

かや「とりあえず今日は止まってあげようか・・・ハブラシかわないと」

美月「・・・おごる」

かや「当然でしょ・・・」

第三話「保身に必要な最低限の代償」ギスギスした職場である。職場に相応しくギスギスしていかにもやり手で仕事がギスギス出来る女的な上司(石堂夏央・・・オートバイ少女みのるである)といかにもオドオドでドジでグズで一日中うろたえてます的な部下(野嵜好美・・・映画「ジャーマン+雨」のよし子である)である。

上司「あの書類できてる?」

部下「ま、まだです」

上司「どういうことよ・・・」

部下「あ、あの・・・そ、その・・・」

上司「できるの?できないの?」

部下「が、が、がんばります・・・」

上司「精神論じゃなくて何時にできるの?」

部下「じ、じ、じ、時間までにはなんとか・・・」

上司「・・・何これ・・・やりなおし・・・」

トラブルが重なって上司の大切な写真が部下によってシュレッダーにかけられる。

上司「あなた・・・まさか・・・」

部下「こ、こ、こ、こ、この中に写真がががががががが」

シュレッダーに手をつっこみ指が裁断され血しぶきをあげる部下。

蒼ざめる上司。

上司「う、動かないで・・・い、今・・・救急車呼ぶから・・・」

上司の思いもかけない優しい言葉が心からうれしい部下の血まみれの微笑。

第四話「持たざる者の恐怖と狂気」・・・加害者と被害者の境界線は実は両端のもつれた一本の糸なのかもしれない。トリハダ5でラブチャットの女(石橋杏奈)を激しく慄かせた男(地曳豪)が今回はしがないサラリーマン(そこそこ二枚目きどり)である。

ケータイ片手に友人と合コンの相談をしながらタクシーを停めるサラリーマン。

タクシーの運転手(辻修・・・下北サンデーズの野田秀夫)は口数の少ない男だった。

第一・・・客を乗せたのになかなか走りだそうとしない。できればこの時点で脱兎の如く逃げ出すべきなのだ。トリハダの世界に生きる自覚があれば・・・ね。

しかし・・・顧客を田町の駅前に待たせているサラリーマンはそうのんびりもしていられないのである。

客「おい・・・早く行ってくれよ」

運転手「・・・シートベルトしめてください・・・」

客「なんだよ・・・うるさいな」

運転手「・・・規則なんで・・・」

客「田町までどのくらいかかる?」

運転手「20分ってとこかな・・・」

しかし、突然停まるタクシー。

客「おい・・・どうしたんだよ」

運転手「私ね・・・今日が最後なんです・・・リストラされちゃって・・・」

客「え・・・」

突然、走り出すタクシー。そして横断歩道を渡る女を跳ね飛ばす。

交差点に巻き起こる悲鳴・・・。

しかし、タクシーは停まらない。

運転手「今の女・・・女房です・・・浮気しやがってね・・・」

客「え・・・」

運転手「さて・・・田町でしたっけね」

サラリーマンは声にならない悲鳴をあげる。しかし、タクシーは停まらないのだ。

いや、むしろ加速して・・・。

ゆり/美月の問題のあるアパート。お風呂あがりの美月とかやである。

暢気に大学の授業について話す二人。今回は大学生だったらしい。

美月「やだ・・・濡れてる」

かや「何がぁ?」

美月「・・・濡れてるの・・・」

朝、使ったきりの美月の歯ブラシだった。もう夜なのにビショビショに濡れているのだ。

思わずしゃがみこむ美月。

美月「もう・・・いや・・・」

心配そうに見つめるかやだが・・・トリハダの世界なので気を許すことはできない。

第五話「天使の中にある恐るべき残酷」・・・ショウタ(佐藤涼平・1998年生まれ)は母親らしき人と遊園地に遊びに来ている。母親はビデオカメラで可愛いわが子を撮影しているという設定で映像はその一人語りである。

最初は揺れる新幹線の遊具に乗りご満悦の涼平。やがて母親の指示で風船をくばるクマのきぐるみキャラクターの元へ行く。

風船をもらう涼平。

母の声「ショウタ~よかったね~」

そこへショウタよりやや年長と思われる二人の男の子が乱入し・・・クマに対し殴る蹴るの狼藉を始める。

子供相手なので一方的にやられるクマ。

悪童「なんだ、こいつ。中の奴。バカじゃねえの。変なクマ。クマかよ。これ。ほれほれ~。脱げよ。脱がしちまおうぜ。クマ~。バカクマ~・・・」

母親は巻き添えをおそれてショウタを呼寄せる。

ふと視線を戻すとクマと悪童たちは消えている。

ショウタと母親はベンチで小休止をするがショウタはクマを発見する。

再びクマさんと遊びはじめるショウタ。クマさんに無邪気に抱きつくと・・・。

その顔にはべったり血が・・・。

恐怖に襲われた母親のカメラはガクガクと震えるのだった。

いじめっ子も傍観者も・・・いじめられっこにとっては同じかもしれない・・・という連想。

やがてイマジネーションは現実に姿を変え・・・母親の絶叫。カメラはブラックアウト。

かやの推奨する監視カメラを部屋に設置するゆり/美月。

かや「すご~い。24時間監視可能なんだって。でも・・・なんか映ったらこわ~い」

美月「・・・」・・・トリハダ的には二人が本当に仲がいいなどとはけして信じてはいけないのですが・・・ここで突然二人が殺し合いを始めてもまったく不自然ではありません。

心なんて誰にも見えない。それがトリハダの世界。ただし・・・世界の住人はそういう常識を知らないのが一般的なのです。

第六話「無欲で得た悲劇の主人公の座」・・・最後はヒマな若者(平方元基・・・神の雫でもっとも目立たない存在だった雫の同僚の木戸)登場である。トリハダの世界にもある名無しの人々が集う掲示板。そこで若者はユウジと名乗っている。

無名の人「人を殺しちゃった。死体の処理に困っています」

ユウジ「とりあえずできるだけ細かく裁断してみれば?」

無名の人「ありがとう・・・やってみる」

無名の人「やばくね」

無名の人「(≧∇≦)ノ彡 バンバン」

無名の人「いいんじゃね」

無名の人「トリハダ6ハジマッタ」

無名の人「結構細かくなった。電ノコで切った。この後どうするの?」

ユウジ「少しずつ生ゴミに出すとか・・・」

無名の人「ユウジさん、ありがとう・・・やってみる」

無名の人「通報シマシタ」

無名の人「(≧∇≦)ノ彡 バンバン」

無名の人「どうせウソさ」

無名の人「ウソじゃないもん」

無名の人「ウソツキはシネ」

無名の人「(≧∇≦)ノ彡 バンバン」

無名の人「証拠を見せる・・・地図はコチラ→」

もちろん・・・→には恐ろしいことが待っているのがトリハダの世界の常識だが・・・その世界に住むものは常識に疎いのがあくまで普通なのである。

ユウジは世界とつながっているネットなのにいつも意外と近い現場へと向かっていくのだった。

現場に置かれた黒いバッグ。惧れを知らぬユウジはバッグを開く。そこにあったのはカメラだった。

やがてトリハダの世界の画像掲示板に投稿されたのは。

カバンを覗き込んだ若者が背後からだれかに喉笛をかき切られる衝撃の瞬間。

ゆり/美月は帰宅する。さっそく監視カメラの映像をパソコンでチェックする。

再生されるゆりのいない部屋。しかし・・・突然画面に登場する不法侵入者(大橋智和・・・コードブルー最終回でトンネル事故の負傷者・小西の恋人の谷口)・・・不法侵入者はゆりの下着を持って押入れに隠れる。そこにゆりが帰宅する。

ゆり/美月は毎回毎回殺されてばかりはいられないのである。

CM明けで疲労困憊しているゆり。とりあえずネットに接続して掲示板に質問してみた。

「人を殺しちゃった。死体の処理に困っています」

それから凶器の刃物をまたぎ死体となった不法侵入者をまたいでゆりは粗末なキッチンにておもむろに手を洗い始めるのだった。

関連するキッドのブログ『トリハダ5

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『キングコング』(日本テレビ)『マイガール』(テレビ朝日)『ナイチンゲールの沈黙』(フジテレビ)金曜日早いな。 

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2009年10月 7日 (水)

どんなことが起きましたか(黒川芽以)こわくてできませんでした(佐津川愛美)やってないんだもんね(谷村美月)

映画「それでもボクはやってない」(2007年)と同様に痴漢冤罪の被告人となった主人公のドラマである。

実に微妙な問題なのである。

痴漢行為は迷惑防止条例違反であり、悪質なものは強制わいせつ罪となる。

キッドが最後に満員電車に乗ってから歳月がたっているが・・・キッドの知る限り満員電車はすでに迷惑防止条例違反であり、強制わいせつ罪だと思う。

だが・・・そういう責任回避は公序良俗を乱すので許されないのが現実の恐ろしいところである。

犯罪の性格から立証が困難であるにも関らず推定無罪の原則を逸脱し、有罪率が100%に近いとされるこの「特別な犯罪」の不可思議さをある程度は表現できたドラマだと考える。

もちろんかっては「泣き寝入り」をしていた被害者たちが勇気を出して犯罪者を告発することは賞賛に値する。

一方で「触られたって減るもんじゃないだろう」という迂闊な本音が通用しない時代でもある。

あるいは満員電車で手を下ろしていることがすでに「甘い」という考え方もあるわけである。

また・・・集団で「でっちあげ」をしようと考えるグループがあればその魔手から逃れるのは不可能であるとも言える。

そして「君子満員電車に乗らず」は都会に住む一般人には実行不可能なのだ。

もちろん・・・指紋がのこる痴漢対策スカートとか・・・DNA採取パンツとかの開発も面白いと思うのだがそれにしたって悪意による逆用は可能である。

今回のドラマはものすごい「シベリア超特急的どんでん」を持ってくるのだが・・・そんなことが起きる確率は・・・。

で、『誰かが嘘をついている・有罪率99% 家族はあなたを信じてくれますか?』(フジテレビ091006PM9~)脚本・上杉隆之、演出・宮本理江子を見た。時計メーカーの企画部長・佐藤敏昭(水谷豊)は妻・美羽(宮崎美子)と長男・貴浩(手越祐也)そして娘・由香(谷村美月)と平穏な暮らしを営んでいた。あの日、普段より一本遅い急行電車で通勤しようとするまでは。満員電車を降りた敏昭は女子校生・持田舞(佐津川愛美)に「痴漢行為」で現行犯逮捕されてしまうのである。

身に覚えのない敏昭がうろたえている間に身柄は駅事務所から警察署に移され気がついた時には容疑者として拘束され取調べを受けることになる。

いかに無実を訴えようとも痴漢の現行犯逮捕の有罪率は100%に近いという慣例があり、被害者の証言が確固たる証拠となり起訴・裁判の運びになってしまう。

そして・・・容疑者は被告となり犯人となって社会的地位は喪失し、家庭は崩壊するのである。

いくら善良な市民でも魔がさすということはあると誰もが思うし・・・夫を信じる妻も体調不良になり、男である長男はそういうこともあるかもしれないとふと思い、被害者と同じ年頃の娘はお父さん不潔に傾きやすいのだ。

まあ・・・キッドは悪魔なので不潔ですわーっと叫びたい気持ちもあるのだが、本筋ではないのでやめておく。

この場合、被害者はいたいけない美少女であり、いかに被告人が正義の使者・右京さんに似ていても裁判官の心証はどんどん被害者に有利になっていく。

まして検察官は小川(黒川)なのである。ちなみに番組公式ホームページでキャストが黒川芽衣になっていてそれはいつのまにか芽以に訂正されていたが、オンエアのクレジットでは芽衣になっていました・・・もきゅっ。

小川「何をされましか?」

持田「おしりを・・・さわられました」

小川「それだけですか?」

持田「下着に・・・手を入れられました」

小川「どちらの手ですか?」

持田「右側にいたので左手だと思います・・・」

この検察側証人尋問に興奮するようだと人格が疑われるので内緒にしてください。

・・・というような反道徳的な視点があるために被害者が未成年の場合はついたて登場で非公開で行われる。演出的配慮として検察官のアップも挿入されず、被害者と検察官のやりとりが公然わいせつ罪に問われないようにしていると推定できます。

被告の娘・由香は傍聴することに耐えられずトイレで泣いていると・・・証言を終えた被害者がトイレにやってきて泣くということで冤罪を生み出しつつある被害者に悪意がないことが強調されます。これもまた演出的配慮です。けして女子トイレをのぞきたいわけではないのです。・・・おい・・・ほどほどにな。

とにかく・・・こうなってはもう・・・会社としては社員をかばいきれません。

そして・・・被告弁護人が何を言おうが一審は有罪判決で懲役1年6ヶ月執行猶予3年です。

すでに失うものは失い犯罪者となった敏昭。無念です。しかし・・・ドラマなので家族は敏昭を見捨てませんでした。

「控訴をして・・・裁判を続けたい」という敏昭を受け入れる妻と子供たち。

由香「そうよね・・・だってお父さんは・・・何もやってないんだもの・・・」

娘にここまで言われれば結婚式でなくとも父親は男泣きでしょう。

さあ・・・とにかく・・・ドラマですから・・・鬼塚弁護士(平田満)が無力でも・・・たまたま知り合いの山崎弁護士(モト冬樹)が耳寄りな情報を持ってきます。

たまたま・・・別の事件で捕まった盗撮マニアの押収された証拠品の中に事件当日の車内の盗撮映像が残っていたのです。

そのマニアは「痴漢されているところを盗撮する」変態だったのです。

鬼塚「この下着はあなたの下着ですね」

持田「・・・はい」

鬼塚「被告の着ていた服は何色でしたか・・・」

持田「グレーです」

鬼塚「今、下着に手を入れている袖の色は?」

持田「・・・黒です・・・えーっ」

つまり・・・痴漢電車には盗撮マニアを配備するのが正解なのです・・・ちがうわっ。

持田「じゃあ・・・だれが犯人なの・・・」

被害者の痛切な一言に失うものがあまりにも多すぎた元・犯人の敏昭はあふれかかる言葉を飲み込みます。

今日もどこかでいたいけない人々を傷つけるかもしれない魔が躍動しています。

痴漢行為を立証するのが難しいように冤罪を証明することも難しい。

その魔がどうか・・・誰かを苦しめませんように。

無力な者は祈るばかりなのでございます。

視聴率も*9.8%と水谷豊主演としては微妙なことに・・・。

関連するキッドのブログ『HERO

               『アイシテル~海容~

                『スマイル

                 『おとり捜査官

                  『相棒

木曜日に見る予定のテレビ『猿ロック』(日本テレビ)『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『グイン・サーガ』(NHK総合)

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2009年10月 6日 (火)

触らぬ神に祟りなし(笛木優子)空気感染の憑神(妻夫木聡)イザナミ(森迫永依)

節分の豆まきで福の神に対応するのは鬼である。

凶事をもたらす「人知を越えた存在」を神と考えることについては様々なアプローチがある。

キリスト教においては神は善悪を超えた存在として君臨する。

神道においては善悪を為す八百万の神は統べられる。

仏教においては神は存在しない。

人々はそれぞれの得た情報の中で「この世にあらざるもの」を妄想する。

「憑神(つきがみ)」もまたそのひとつにすぎない。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「歌枕殺人事件」13.7%(浅見光彦さすがだ)、「キングコング」10.3%(コングよりゴジラが見たい)、「断絶」11.1%(愛人殺人の勝利か)、「ザ・マジックアワー」10.7%(つまらないからな)、「左目探偵EYE」*9.1%(さらにつまらないからな)、「天地人」↘18.8%(さあ・・・このままさがってください・・・最終回10%前後を希望)、「派遣のオスカル」↘*4.4%(空前のつまららなさだったからな)、「憑神」*9.2%(まあまあ面白かったけどな)・・・以上。

で、『憑神(つきがみ)2007年公開日本映画』(TBSテレビ091004PM9~)原作・浅田次郎、脚本・監督・降旗康男を見た。『駅 STATION』(1981年)とか『鉄道員』(1999年)の監督である。『鉄道員』は原作者も同じだ。そこそこ面白い映画を作るコンビである。まあつまらない映画ばかりだから貴重な組合せとも言える。

主演は妻夫木聡で週末は「天地人」「ザ・マジックアワー」そして「憑神」と妻夫木だらけだったのである。

その中ではコレが一番マシだった。

なぜなら一人二役で・・・主人公である幕府の貧乏旗本と・・・そっくりさんである最後の将軍・徳川慶喜を演じるのだが・・・この慶喜が抜群にいいのである。

鳥羽・伏見の戦いに敗れ江戸に逃げ戻った慶喜はどこか物憂げで冷淡でしかも品がある。そして「命を粗末にしないことだ・・・」などと似合わぬセリフを吐いてさっと退場する。

いい。実にいい。こういう役でこそ妻夫木聡は輝くし・・・最高にかっこいいのである。

さて・・・話は前後するが・・・時は幕末である。史実的根拠はないが・・・先祖が家康の影武者として敵に討たれた別所家は代々、影武者として影武者専用鎧の番人を務める下級役人の家柄である。彦四郎(妻夫木)はその次男坊で部屋住み。一度婿入りしたが不始末を理由に離縁された出戻りで肩身はせまい。

婿入り先の井上家には妻子が残っている。別れた妻の八重(笛木)はまだ彦四郎に心を残している。しかし・・・跡継ぎが出来れば婿などただ飯食いと考える守銭奴の井上(石橋蓮司)は陰謀で婿を追い出したのだった。

彦四郎の兄・左兵衛(佐々木蔵之介)は嫁(鈴木砂羽)も子もあるのに怠け者で仕事をさぼっているし家宝の刀は錆び付かせるというダメ旗本である。

勝海舟(江口洋介)ら出世組を見てぼやく彦四郎だったが・・・井上家の下男で山伏くずれの小文吾(佐藤隆太)や蕎麦屋の甚平(香川照之)には慕われる気風の良さを持っていた。

そんなある日、彦四郎はご利益のある三廻稲荷と間違えて怪しい三巡稲荷に詣でたことでもののけに近い三神にとりつかれてしまうのだった。

三神は貧乏神の伊勢屋(西田敏行)、疫病神の九頭竜(赤井英和)、死神のおつや(森迫永依)である。

どちらかいえば祟り神といえる三神だが・・・その正体は狐狸のたぐいであるらしい。

貧乏神は稲荷の一種である。貧乏という神そのものは古来から存在したが庶民がそれを強く意識するために貨幣経済が発達しなければならず、三神の中では新参者なのであろう。本来、貧乏な彦四郎をさらに貧乏にしようとする。しかし、山伏の小文吾の未熟な祈祷でも霊験あるほどの実力のなさで・・・彦四郎に宿替えを申し出る。つまりたたり先の変更である。

ちょうど井上家の陰謀が明らかになり義父の不人情に腹を立てた彦四郎は宿替え先を言いつける。たちまち出火で無一文となる井上家。しかし彦四郎は焼け出された元の妻子を見て気がとがめる小心者である。

役目を終えて去った貧乏神に続いて現れたのは疫病神。疫病神の歴史は古く、聖徳太子も霊力で疫神とは戦っている。まあ・・・病気は人につきものですからな。西洋でも流行病は悪魔の仕業と決まっています。

たちまち病となる彦四郎。おりしも兄の左兵衛の怠け癖が上役の目にとまりお役御免の危機が。そこで兄を隠居させ危機を乗り切る別所家。采配を揮うのは後家のイト(夏木マリ)である。

病を押して務めをする彦四郎の健気さにほだされる疫病神。蕎麦屋の甚平の口添えもあって今度は左兵衛に宿替え。

健康を取り戻した彦四郎だが・・・伏した兄を見てまたもや気が咎めるのである。

九頭竜「まあ・・・怠け者は苦手だわ。無理がたたると言う如く。無理しない奴にはたたりにくい・・・養生すれば案外長生きするで・・・」

いよいよ、死神登場である。洋の東西を問わず死神の歴史は古い。西洋ではカマをもった髑髏だったりしますが、今回は幼女である。

まあ・・・表現は小狸になっていますが・・・神道的にはイザナミが黄泉の国の大神である。日本を国生みしたイザナギ・イザナミ二柱の神のうち・・・一人が死神なのだからその歴史的古さは疑いようがない。

死神おつやは早速、殺鼠剤のネコイラズを飲ませたり、井上の跡取り息子(彦四郎の実の倅)に襲わせたりと彦四郎を狙う。

命にかかわることだからと・・・今度は死んでも宿替えをしないと心に誓う彦四郎。

そんな心がけがいいからか・・・演じているのが妻夫木聡だからかなのか・・・おつやは彦四郎に惚れてしまうのだった。

そんな折・・・将軍・慶喜と出会う彦四郎。

ここからが彦四郎の心理の複雑なところなのだが・・・映画はそのあたりのことはかなり手際悪く描いていきます。

将軍に殉じるという精神が現代人にはわかりにくいと考えた気配があります。

まあ・・・キッドとしては将軍にお声をかけられた彦四郎が感激して身代わりを引き受けたと解釈することにします。その方がスッキリしますから。

おつやは彦四郎の恋によって将軍に宿替えしたのだが、彦四郎は恩に感じて将軍の影武者として上野の山に登り官軍と一戦交えるのです。

やがて・・・戦火に消える彦四郎。

おつやは彦四郎と心中したかったのだが・・・神なので果たせず・・・彦四郎との恋の思い出を胸に今も・・・ひっそりと三巡稲荷の祠の中で哀れな犠牲者を待つのです。

まあ・・・いわゆるひとつの落語ですな。お後がよろしいようで・・・。

HC関連リンク→くう様の憑神

関連するキッドのブログ『ザ・マジックアワー

               『どろろ

                『ケータイ捜査官7

水曜日に見る予定のテレビ『谷村美月のトリハダ6』(フジテレビ)

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2009年10月 5日 (月)

義と愛のあげくの天地人(妻夫木聡)関ヶ原その後で(深田恭子)

景勝「また負け戦じゃったの・・・」

兼続「いかがなされますか?」

景勝「豊臣に膝を屈した我らじゃ、徳川に下るなど造作もないこと」

兼続「御意」

・・・・・・・・・・・・。

景勝「ごめんね、ごめんね」

家康「やはり、2回言うのがトレンドか」

・・・・・・・・・・・・。

秀頼「上杉を残せ」

家康「御意、御意」

淀の方「からくりTV超特大号を見たのね」

で、『天地人・第40回』(NHK総合091004PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・野田雄介を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回もあらすじはあっさり系五行。もう萎えまくっておいででございます。しかし・・・ここまでくるとこのスタッフに天罰があたらないのが不可解になってきますな。まあ・・・神も仏もないのですな。家康に「戦を始めたのは御主たちではないか」と言われて「ギギギ・・・」ときしむ上杉主従。ひたすら謝罪して土下座外交しまくった歴史はどうなるのか・・・そんなものを闇に葬って上杉の夜明けは来るのか・・・あ・・・来ないのか・・・。兼続が養子にこだわるのは養子劣等感ともいうべき心のこだわりがあったのかもしれません。逆に養子慣れしているお船は婿取りにそれほど抵抗なかったりして。まあ・・・どう考えても上杉側からのアプローチではなくて徳川の政略を受け入れたに違いないわけですが。ああ・・・あと2ヶ月もこの地獄の責め苦が続くのか・・・と思うとうんざりなのでございますよね~。そういう方はつかの間の覇者・最上義光の秘密でお楽しみください。

Tenchijin160101今回はある意味過激な描写が後半にあります。生理的な不快感を持ちたくない方には読み進めることを推奨いたしません)慶長六年(1601年)は新体制の発布に費やされた。家康がことさら慎重に行ったのは毛利輝元120万石の処遇である。毛利秀元・毛利秀包・吉川広家などの一族をあわせると安芸・周防・長門・備後・石見・出雲・豊前・筑前におよぶ巨大な毛利王国となる。これを家康は密約を反故にして周防・長門35万石に押し込めた。没収した領地には福島正則や細川忠興など豊臣系大名を配置していく。福島正則は尾張・清洲・20万石から安芸・広島50万石の太守となり、細川忠興は丹後・宮津20万石から豊前・小倉50万石の出世である。東軍に加担した大名たちは莫大な実利を得た。一方、毛利が処分を受け入れたのを見定めて、上杉の処分が決まる。景勝の会津120万石は没収。兼続の米沢30万石も没収である。ただし、上杉には替地として米沢が与えられる。つまり、景勝・兼続主従の150万石の領地は30万石に減少したのである。家康の忍びは上杉がこの仕置きを受け入れると観測したのである。会津120万石のうち60万石を得たのは元の領主である蒲生秀行であった。家康は山形25万石の最上義光に大きく加増を認め出羽60万石とした。岩手山の伊達政宗もまた60万石であり、最上と伊達を奥羽の要とする意図が見える。また上杉の転封を監視するために最上義光に奥羽で3万人の常備兵を許し、不測の事態に備えさせた。上杉はこれで転封に応ずる以外の道を絶たれた。これに対して徹底抗戦の構えを見せつつ恭順の意を示した島津義弘は薩摩50万石の安堵を勝ち取った。そのためには匿っていた宇喜田秀家を差し出す駆け引きの冴えを見せる。そうした諸々の処分が終ると200万石あった豊臣秀頼の直轄地は30万石ほどになっていた。まさに家康の政治的魔術である。

源頼朝のファンである家康は関東の武家政権樹立を目指し着々と手を打っていった。鎌倉に代わる地として江戸を選び・・・江戸城の改築を開始する。豊臣恩顧の大名たちは家康の主城建設のために駆り出される。

家康は大阪城を拠点に大津城や伏見城など戦火に焼けた京の都の復興にも着手する。関東で近畿で・・・経済活動は活発となった。

上杉景勝は家康の前で土下座をして謝罪し・・・転封を喜んで受け入れた。

お家存続のお礼に付き添った直江兼続は賑わう大坂の城下町に出た。

すでに関ヶ原の合戦から一年が過ぎている。しかし・・・戦国の夢が醒めぬ侍たちは禄を食むものも浪人も活気を示している。そんなものたちで盛る楼閣が大坂の町の一角に立ち並んでいる。

そのうちの耀貴楼は新築の巨大な館だった。黄昏が迫っている。

建物に入る前から酒と男と女の匂いが漂ってくる。背に刀を背負った浪人の装束を纏った兼続は応対に出た小娘に名乗った。

「主に樋口の与六が約定通りに来たと伝えてくれ」

小娘は心得た表情を示すと店の奥へと案内する。迷路のような廊下を進み一室に入るとそこに与六の忍びの師匠が女郎の姿で待っていた。初音である。与六は驚きが顔に出そうになるのをこらえる。

(オレが40を越えたのだから・・・初音様もとうに40を越えたはず・・・)

与六は疑いを抱かずにはいられなかった。初音はどう見ても20才そこそこの乙女に見えるのだった。

(さすがは・・・お師匠様・・・化けものだわ)

「ふふふ・・・与六・・・久しいの。まあ・・・腰をおろせ・・・酒など進ぜよう」

与六は疑心を隠しながら座に落ち着く。さきほどの小娘が現れて膳を整える。

与六が酒を杯であおぐのを待っていたように初音は声をかける。

「此度は負けいくさ・・・残念じゃったの・・・」

初音は優しさのにじむ声色で与六をねぎらった。

「真田の殿はさすがでございましたな・・・」

与六は初音が真田昌幸の娘だと知っている。

「ふふふ・・・しかし・・・所詮は負け戦よ・・・。なにしろ・・・内府(家康)の忍び使いは尋常の域ではない・・・父上のおよぶところではないわ。それは与六も承知のはず・・・」

真田家が東軍西軍の二手に分かれねばならぬほど・・・徳川の隠密は真田忍びにも入り込んでいた・・・と初音は言う。それは上杉の軒猿衆も同様だった。すでに戦う前に勝負はついていたも同然で・・・それでも戦わざるを得ない流れに乗せられてしまったのである。

与六は苦い思いを蘇らせる。

「さて・・・与六の願いを入れ・・・忍び送り(秘儀教授)をいたすのだが・・・うかみの習いと違い・・・これはただ覚悟を示すもの・・・かたなのしるしを受け取るか?」

「畏まって候」

与六は戦忍びとして・・・初音から秘儀伝授を受けるためにつなぎをつけたのだった。

「陽も落ちて・・・頃合もいいようじゃ・・・参る」

気がつくと初音は忍びの黒装束となっている。

すでに屋外は夕闇に包まれていた。耀貴楼の屋根に出た二人の忍びは大坂の町を走り出す。

「与六よ・・・大坂の町・・・京の町・・・江戸の町・・・いずれの町で今はやるものが何かしっているか・・・」

「さて・・・」

「辻斬りよ・・・若侍たちは度胸をつけるために試し切りをするものと相場が決まっているからの」

「・・・」

「与六よ・・・御主が戦に弱いわけを知っておるか」

「・・・」

「後生大事(死後の世界の極楽往生を願うこと)の心が抜けておらぬからじゃ・・・」

「・・・」

「御主は腕がよく頭が良すぎるゆえに修羅場を回避いたす・・・そのために忍びとして一番大切なものが抜け落ちておるのだわ」

「それは・・・」

与六は初音の問いかけに戸惑いを感じる。

二人の忍びは城下を過ぎ田畑の広がる地に入っていた。

初音が足を止めたのは古い百姓家だった。

「ここには後家が一人、乳飲み子を抱えて暮らしておるのだわ。夫は関ヶ原で西軍の足軽として命を落としたそうじゃ」

与六は初音の言葉の意味を図りかねる。

「では伝えるぞ。かたなの教えは二つだ。まずは妾(わらわ)を殺すのじゃ。殺さねば妾はこの家の後家を殺す」

言い終わると初音は家の戸を蹴倒した。囲炉裏の炎だけを灯とする小屋内の囲炉裏端で鍋を使っていた女が振り返る。

側には赤子が粗末な衣をつけて寝息を立てている。

次の瞬間、女の首は胴体を離れ血が囲炉裏の火に照らされ噴出するのが与六の目に入る。

「受けたか」と初音が問う。

「受けて候」と与六が応じる。与六の中で次の流れが読み取れ、心が波打ち騒ぐ。

「さすれば二つ目の教えじゃ。汝がその赤子を殺すのじゃ。殺さねば妾が汝を殺す」

与六の心が刹那のとまどいを見せれば与六の生は終っていたはずである。

しかし・・・与六の忍び刀は赤子の首を一瞬で切り落としていた。赤子の首がころころと転がる音がする。

生理的な痙攣をする二つの死体を残し与六と初音は夜の闇に消えていた。

「しかと授けたり」と初音の声が闇に響く。

「かたじけなく候」と与六の応答がある。

与六の心で何かが死に・・・新たに一人の忍びが生まれ出ていた。その名を鬼と呼ぶものがいる。しかし・・・それはただ忍びの別の名に過ぎない。二つの命を屠った二匹の鬼はそれぞれの修羅の道を駈けていく。

残されたのはただ秋の風。

関連するキッドのブログ『第39話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『谷村美月の誰かが嘘をついている』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形泪・最終回』(TBSテレビ)

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2009年10月 4日 (日)

最後に撃たれちゃいました(綾瀬はるか)最初に撃たれちゃいました(星野真里)

実際には夏子(綾瀬はるか)は弾着をしかけられただけの愉快な女の役で、沙希(星野真里)は橋の下で死体となる悲しい女の役である。

もちろんどちらもいい味を出しているわけである。

週末は見るものが多すぎてくたびれてしまいました。

本当は何かにしぼりたいのだが・・・甲乙つけがたい「もの」の連打だったから・・・あえて軽いメモにとどめておくことにする。

で、『ドリーム・キャッチャー(2003年公開・米国映画)』(テレビ朝日091003AM0315~)原作・スティーブン・キング、脚本・ウィリアム・ゴールドマン(他)、監督・ローレンス・カスダンを見た。ある意味、キングの集大成ともいうべき作品の映画化である。まあ、セルフ・パロディーと考えることもできます。まず、『スタンド・バイ・ミー』のメンバーが登場します。基本的に小学生チーム(善)で中学生チーム(悪)の対立である。善は知的障害者が悪のいじめから救う。この助けた亀が恩返しで悪いエイリアンから地球を救ってくれます・・・というとんでもない展開である。この善の小学生たちは『IT』みたいに大人になっても友情で結ばれるし『シャイニング』な力を手に入れます。『トミー・ノッカーズ』よりも邪悪なエイリアンとの戦いは例によって醜悪です。このてんこ盛りの長編小説をよくぞ136分でまとめたよな。モーガン・フリーマンは国防意識が強すぎて味方を殺してしまうという残念な軍人役で登場。まあ、こわい夢見ちゃう映画です。出るクソは絶えずして元のクソにあらずが合言葉。

関連するキッドのブログ『ニードフル・シングス

で、『花祭』(TBSテレビ091003PM2~)脚本・市川森一、演出・堀場正仁を見た。奥三河(愛知県)に伝わる花祭という郷土の行事にまつわる過疎と恋の物語。花(稚児)の舞、やまみ(鬼)の舞、さかき(鬼)の舞など多数の舞によって構成される神楽が祭りの中心にある。ドラマでは過疎により祭りの担い手が不足してしまい伝統があやうくなるひとつの山村を舞台に展開していく。てーほへてほへ。

白山乙弥(大滝秀治)は花祭を生きがいとする老人である。物語では語られないが、オトメンである。彼は「花」を舞うのであり、さかき鬼を舞う保坂老人とは同性愛的に結ばれている。ただし、愛と生殖は別次元にあるために乙弥には孫の茜(高畠華澄)がいるし、保坂老人にも孫の陽助(小川弦)がいる。

乙弥はかなえられない恋の縁として孫同志が結ばれることを密かに願っているが茜は名古屋の民俗学好きの中学教師・及川(蟹江一平)に憧れているし、陽助には許婚だったケイ(土田愛実)がいる。

茜は及川に会いたくて祭りを絶やさないために奮闘努力するが及川は別の女と結婚していた。一方、ケイは別の男と駆け落ちするが祭りを機に村に戻り陽助とヨリを戻す。

保坂老人は老衰死して・・・乙弥の恋は泡と消えるし・・・二人の孫は結ばれることはない。

ただ祭りがとりとめもなく続いていくのである。まあ・・・趣味の作品です。

関連するキッドのブログ『すみれの花咲く頃

で、『断絶』(テレビ朝日091003PM9~)原作・堂場瞬一、脚本・岩下悠子、演出・梶間俊一を見た。大物政治家、大物政治家の愛人、大物政治家の愛人の息子の愛憎劇である。まあ・・・十津川警部でやったばかりなほどよくある題材ということです。

今回のポイントは親子二代に渡って愛人が登場し・・・少しもつれるところ。

与党大物代議士の剱持(松平健)は愛人との間に子供を作りますが、愛人は産褥死。子供は剱持の親友・石神(長塚京三)の子供として育てられ石神刑事(西島秀俊)となります。一方、正妻の子・一郎(黄川田将也)は愛人・沙希(星野)を身ごもらせ、スキャンダルを畏れて自殺にみせかけて射殺。石神刑事は犯人が異母弟は知らずに捜査をすすめ、ついに実の父親の失脚を招くという趣向です。

まあ、剱持の秘書が本田博太郎や津田寛治だったり、後援会長が石橋蓮司だったり、石神刑事の上司が渡辺いっけいだったり濃い目のメンバーですが・・・なかなか明らかにされない沙希の身元を証言する沙希の後輩社員・愛子が小松彩夏だったことが一番の見どころでした。

星野真里・・・惨殺です。

関連するキッドのブログ『十津川警部42

で、『左目探偵EYE』(日本テレビ091003PM9~)脚本・秦建日子、演出・大塚恭司を見た。こちらは兄・夢人(横山裕)を殺された弟の中学生の愛之助(山田涼介)が凶悪犯罪に立ち向かうというサスペンス風コメディー。中学教諭の石原さとみが『パズル』とほぼ同じ守銭奴キャラクターで登場。相棒ではなくなった寺脇康文もおバカな刑事役で登場します。死んだ兄から移植された角膜で視力を回復した目に過去の出来事が映り謎解きのヒントになるという趣向です。銀行強盗とか細菌テロとかくりひろげる悪人の黒幕が死んだはずだよお兄さんオチ。ま、なんじゃこりゃドラマですな。・・・う、撃たないで。

関連するキッドのブログ『ホカベン

で、『ザ・マジックアワー(2008年公開・日本映画)』(フジテレビ091003PM9~)脚本・監督・三谷幸喜を見た。これでもかと豪華出演陣が登場する小劇場的映画です。映画のセットのような田舎の港町で起るギャングのボス(西田敏行)と愛人(深津絵里)と間男(妻夫木聡)の三角関係を軸にだまされて幻の殺し屋を演じることになった脇役俳優・村田(佐藤浩市)の悲喜劇というかドタバタです。

もう筋立てがかなりアクロバットなのでいたるところが破綻していますが・・・それを気にしなければ次から次へと登場するスターの魅力でなんとか最後まで見ることができます。

夏子(綾瀬)は悪い女にだまされる男をそれとなく慕う役。全編にくまなく登場するのでファンとしては満足できるでしょう。最後に殺されるフリでクルクルターンをするところは圧巻です。

主題は「人生のマジックアワー(日没後に世界が黄金色に輝くと言われるゴールデンタイム)はいつくるかわからない」ということ。まあ・・・こんな映画で楽しめる人はおおむね人生が薔薇色なのかもしれないと考えます。

まあ・・・こういう顔見世映画も悪くはないかな・・・たまには。

関連するキッドのブログ『THE 有頂天ホテル

月曜日に見る予定のテレビ『世にも奇妙な物語・秋の特別篇・釈由美子・井上真央』(フジテレビ)

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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年10月 3日 (土)

なんちゃって平成生まれですフラッシュ(原幹恵)同じく!嬢王 Virgin01(黒川芽以)

ちなみに原も黒川も1987年(昭和62年)生まれの22才である。

この二人がそろい踏みするとは・・・テレビ東京・・・おそろしい子なのである。

東京ローカルのネタばかりだとアクセス数が減るのよっ・・・ま、いいけどね。

連日の原幹恵ネタとは・・・神は何をさせようとしているのか。

っていうか・・・秋ドラマのスタートが「嬢王 Virgin」とは!

「怨み屋本舗R」から休みなしで・・・さすがだ。テレ東。チャンネルをテレ東に。リモコン持ったら速やかに(テレ東/相対性理論)である。矢野顕子とやくしまるえつこの声はそっくりだな。

またか・・・秋もまた金曜日はテレビ東京に釘付けなのかっ。

で、『嬢王 Virgin・第1回』(テレビ東京091002PM2412~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・岩田和行を見た。「嬢王」(2005年)の続編であるが・・・前作との関連性はほとんどないと言っていいだろう。

なにしろ・・・大不況に襲われたキャバクラ業界は「昭和生まれのキャバ嬢」を全員解雇して平成生まれの女たちのバトル『嬢王グランプリ・セカンド』を展開するという話なのである。全国各地で予選が展開され・・・優勝賞金1億円のキャバクラ嬢王を目指すのだ。

そして・・・巨乳で処女の杏藤舞(原幹恵)は高校卒業したのに就職決まらないからキャバクラ嬢になる決意をして・・・嬢王GP2ndの関東地区予選に出場するのだった。

ああ・・・なんてよどみなく、ちょっとおバカな展開なんだ。ハニー。

そしてパンツは平気で見せるけど胸元は隠す舞。胸元を抑えたら「ハニー・フラッシュ」しそうな勢いです・・・しないけどね。

舞の臀部には傷跡がある・・・それは少女時代から巨乳であるためにいじめられ、悪い同性いじめグループの迫害を逃れようとして鋭利な突起物が刺さった痕跡である。巨乳であることの劣等感といじめによるトラウマをかかえた平成生まれの18才なのである。・・・あくまで設定上です。

嬢王GP2ndの主催者は東大卒で巨大企業・L&Kホールディングスの飲食部門「夜(ナイト)」の新社長・雨宮(永田彬)である彼はキャバクラ嬢たちを「全員、私のメイドだ」と豪語するのだ。そして舞には「バカな女だ」と指摘しつつ「お前の武器は巨乳だ。有効に使え」とナイスというかそのまんまというか・・・なアドバイスをするのだ。

その雨宮が「お前は童顔だから唇紅を濃い目にしろ」と命令されるのが清純派キャバ嬢・木下朋(黒川芽以)である。内気な性格でリストカッターの18才である。朋もまたいじめられっ子だったのである。

そしてキャバクラ嬢たちの三食つき寄宿舎で舞と朋は同室になるのである。

たちまち生れるいじめられっこの絆。しかし・・・同盟を組んでもいじめからお互いを守ることはできないのがいじめられっこの宿命なのだ。とりあえず序盤はねーっ。

研修期間はなく、いきなり実戦投入のサバイバルレース。

雨宮「最初がダメなら二度目のチャンスなんかない」のである。

ともかく・・・くりだされるセクシー場面の数々・・・夜のテレビ東京にはこわいものはないのです。五輪開催地に第二次投票で東京落選とかもシカトです。

そしていきなり全裸を披露するのは泉優衣華(原紗央莉)・・・。設定年齢20才。実年齢21才。モダンダンサーになる夢破れ嬢王レースに参戦する謎の美女。まるでアイドルの夢破れた七海まいの如しです。

その他、どS系キャバ嬢・水城沙羅(辰巳奈都子)・・・「ゴッドタン」ではマダムMフライと呼ばれてましたが「スウィングガールズ」のトロンボーンです・・・お嬢様育ちのキャバ嬢・神崎エリナ(朝日奈あかり)・・・純白の果実でいやらしい美尻の最高の美少女なのです・・・メイド喫茶出身キャバ嬢・春名美羽(桜木凛)・・・「おねだり!!マスカット」の第二期エースなどテレビ東京の夜のどエロパワーを結集する覚悟が満々です。

・・・ふう。

この他にも昭和生まれだから物語の舞台「クラブ・ミュゼルヴァ」のナンバーワン・キャストの座を追われ復讐を誓う一条亜美(麻美ゆま)、その手下モモ(森山綾乃)なども虎視眈々としているのでございます。

実戦の舞台で怒って帰ろうとする客をなだめる舞。

舞「私・・・お客様に・・・楽しんでもらおうと思ったのに・・・何にもできなくて・・・ごめんなさい・・・でも・・・帰らないでください・・・」

客(気をとりなおしてすわる・・・そして自分の解雇通知を披露)

舞「そうですよね・・・」

(凍りつく店内)

舞「でも・・・不況だから・・・私も就職が決まらなくて・・・思い切ってここに来たんです・・・ピンチはチャンスだっていうし・・・お客様もホームレスになってもやる気があれば出直せると思うんです」

(さらに凍りつく店内)

客(なぜかドンペリを頼む)

(意外な展開にため息)

客「ホームレスのオレに乾杯だっ」

・・・無職の男・・・支払いの方は大丈夫ですかーっ。

しかし・・・早速、ロッカー・ルームでお姉様たちに苛められる舞。

「何・・・調子こいてんだよ・・・脱げ」である。脱がしてどうするつもりなのかは知らないが、いじめられた記憶のフラッシュ・バックに身悶え、お姉様の取り出したナイフで下着の紐を切り裂かれる舞・・・つづくである。

制御されていた巨乳があふれ出る寸前引き・・・魂胆があざとすぎるぞーっ。

まあ・・・とにかく・・・原幹恵の主演ドラマがあってめでたいのである。しかもモキュつきである。たとえそこが地の果てテレビ東京深夜だとしてもーっ。

リオデジャネイロめぇぇぇぇぇ。まあ・・・妥当か。

関連するキッドのブログ『昨日のレビュー

               『夜光の階段

               『ギラギラ

               『帝王

               『リミット

                『刑事殺し

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『憑神(つきがみ)』(TBSテレビ)

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2009年10月 2日 (金)

ピンクのウエイトレス(原幹恵)水色のウエイトレス(平岩紙)この世は悪と悲惨です(飛鳥凛)

BS朝日からのおさがりである。つまり2008年10月に発した光が2009年10月にアナログ・テレビ朝日に到着したわけでBS朝日とアナログ・テレビ朝日との距離はおよそ1光年あるということだ・・・違うか。

まあ・・・そういうわけでここで語られる出来事は1年前の出来事なのです。

人々は同じ世界に生きながら様々な時の流れを生きているのだな。

「うんと後悔しろ・・・後悔して後悔して・・・そして絶対に忘れるナ・・・幾日も徹夜を重ねて果てしないトライ&エラーのセッティングをくり返した宝石のようなマシンがあっというまにゴミになっちまう・・・忘れちまうわけにはいかないんだ・・・それがチューニングカーなんだ」というのは「湾岸ミットナイト/楠みちはる・第11巻」のセリフだが・・・キャストとスタッフにも同じような関係はあると思う。

アクターあるいはアクトレスに対してスタッフはマネージャーから作家、演出家、技術屋さんと様々である。

時にはパスミスだって起こる。たとえば照明さんなら「オレがあんなにいい光あてつづけてきたのに・・・一体なんてことしやがる」と別の照明スタッフの凡手に断腸の思いを味わうことがあるだろう。

それでも「どんな光でも見事に受けてみせる」とキャストが成長した姿を見せたりすれば「おっ」と思ったりするのじゃないかと妄想します・・・一部愛読者をのぞいてものすごく意味不明だぞ。

で、『ラストメール・第1回』(テレビ朝日091002AM0310~)脚本・國澤真理子、演出・大塚徹を見た。女子大生の渡瀬希美(飛鳥)は行方不明の恋人・透(小柳友)の部屋で青い携帯電話を発見する。その電話には「SUNS&RIVER」・・・三途の川(あの世とこの世の境界線を流れる川)から「この世に遣り残したことのある人のメッセージ」がメールで届くのである。希美は彼氏に何が起こったのかを探ろうと・・・死者の要求に答え始めるのだった。

そんな希美の親友が新堂今日子(原)である。喫茶店「六文銭」のウエイトレスなのである。メイド服でターンである。また・・・そんな役を・・・。ちなみに相方は御霊珠実(平岩)である。まあ・・・平岩より原の方が役名がまともなだけマシ?

ちなみに「六文銭」のマスターは真田(蛭子能収)である。

最初に天国からメッセージを送ってきたのは交通事故死したサラリーマンで・・・妻(伊東由美子)と子(宮武美桜)がいる。そして・・・渡瀬を一目見るなり、母娘とも渡瀬を夫の愛人と断定する。口下手な渡瀬はまったく誤解を解くことができないのだった。

ちなみに死んだサラリーマンは「企業秘密」を自宅パソコンから抹消してほしいとおねだりするが・・・実は「エッチな画像フォルダ」だったというオチで、さらにその中に妻へのラブレターが含まれていたというとってつけた二段オチである。

まあ・・・いいか。

最後にいかにも霊的存在になっている感じの渡瀬の恋人が登場するのだが・・・渡瀬が追いかけると消えるのである。

まあ・・・心霊ラブコメが好きな人はコレクションの一画に加えてもいいかな程度の仕上がりです。

後は「死者の思い残したこと」がどれだけ面白いかどうか・・・だけじゃないか?

ちなみに「あなたが・・・夫の愛した人・・・そりゃ・・・私みたいなブヨブヨよりもよりも・・・あなたみたいな人の方がねえ・・・」という妻を演じるのは劇団離風霊船の主催者の一人である。もう一人の主催者は大橋泰彦で第32回岸田國士戯曲賞を「ゴジラ」で受賞している。岸田戯曲賞は第13回に別役実、第15回に唐十郎、第17回に井上ひさし、第18回につかこうへい、第27回に野田秀樹(他)・・・もういいか・・・などの錚々たる顔ぶれが受賞しています。伊東も劇作家なのだが受賞はしていないのだった。「ゴジラ」はまあ・・・ホームドラマにゴジラが乱入するというよくある一発ネタオチです。

そういう意味では携帯電話に死者からメールが届くというのも同じタイプのオチですな。

で・・・もうオチているのに出演者一同・・・それに気がつかず淡々と話を進めるというのがおとぼけです。長いノリツッコミと言ってもいいかな。

まあ・・・要するに原幹枝が出ているので見てみました・・・。

関連するキッドのブログ『キューティーハニー THE LIVE

土曜日に見る予定のテレビ『高畠華澄の花祭』『星野真里の断絶』(TBSテレビ)『石原さとみの左目探偵EYE』(日本テレビ)『綾瀬はるかのザ・マジックアワー』(フジテレビ)どうすんだ・・・これ・・・。

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2009年10月 1日 (木)

白い褌の旗の少女(八木優希)

少女は死線を潜り抜けた。

ガマ(洞窟壕)のじいじとばあばは白い褌を裂いて白旗を作ってくれた。

少女は戦後を生きた。

テレビ東京をなめたらあかんぜよ・・・か。

で、『白旗の少女』(テレビ東京090930PM9~)原作・比嘉富子、脚本・神山由美子、演出・土方政人を見た。沖縄戦を描いた傑作と言っていいだろう。まず、テレビドラマとしては限界まで挑んだといえる「悲惨」の描写がいい。悲惨から目を背けて戦争を描こうとし続ける民放各局は見習ってもらいたいよ。・・・っていうか沖縄でオンエアないのかよっ。

全編を通して違和感があるのは昭和52年(冒頭)と平成21年(末尾)に登場する戦後の富子(38)と富子(70)を演じる黒木瞳だけである。しかし、これは戦争の時代と平和の時代の異質性を表現していると考えることにする。平和の時代、おばさんもおばあさんも区別がつかないのはよくあることだ。まあ・・・役作りとして女優としてそれでいいのかっとは思いますけど。ちなみに黒木瞳の実年齢は48才である。若作りはしても老け役は拒否なのか。時々、鼻につくよな。今回、中身が秀作だっただけに浮きまくっていたが・・・そこがいいと本人とその周辺は思っているのかもしれない。あと特殊なファンもね。ま、ザ・黒木瞳としてはそれが正解なのかもねーっ。

ともかく・・・実在の富子は昭和52年に写真集で自分の写真を発見し・・・それが6~7才で沖縄戦を体験した自分であることを知り自らの体験に基づいた物語「白旗の少女/比嘉富子」を執筆する。あくまで物語なのでそんなバカなっという出来事の連続だが・・・それが荒唐無稽ではないところに戦争の悲惨が満載なのである。

昭和19年。すでに大日本帝国の敗色濃厚な太平洋戦争の末期である。しかし、沖縄県の首里に住む農民・松川一家はまだまだのどかな思い出を残す。

二人の男子は出征、母は病死した松川家は一家そろって畑仕事をする。

その帰り道・・・父・直彰(石黒賢)におんぶされる富子(八木)だった。10才になる兄の直裕(神谷涼太)は「おねむのふり」をするからかうが、父も二人の姉・・・18才には見えないヨシ子(鈴木杏)と15才だけど16才の初子(大平うみ・・・沖縄は美少女しか生まんのか)・・・も妹が微笑ましいのである。

お約束で登場する画家志望の陸軍兵・光男(勝地涼)と初子の淡い恋の情景も一瞬でたちまち始まる昭和20年の沖縄戦である。

軍のための食料調達に出たまま戻らぬ父。首里には上陸した米軍が迫り、ヨシ子は妹二人と弟一人を連れて行方不明の父を探すために真壁に向かう。

真壁にたどり着いたヨシ子たちだが父の行方は知れない。

米軍機による上陸支援のための無差別銃爆撃が続く中、水を汲みにいった初子が戻らず、探しにいったヨシ子の留守中に・・・負傷した日本兵によってガマ(壕)を追い出された幼い兄と富子。

姉を探して戦地を彷徨う兄妹。基本的に初子はここからサバイバル状態になります。

①留守の家では「ありがとう」とお礼を言えば盗み食いは許されると教えるにいに。初子は空腹は父の教え「他人のものを盗んでいけない」より強いことを知るのです。

②最初は他人にも水を恵んでくれた沖縄の優しい人々は追い詰められると自分のことしか考えられなくなる。兄妹は食べ物を恵んでもらうどころか、ガマに入ることも許されない。

③にいにの生き残りのテクニックその2。人の行く道とは逆を行け。かくれんぼの必勝法であるこの教えに従い、逃げる人々の来る方向に進んだ兄妹は逃げ遅れていた姉に再会できる。

ちなみに初子が遅れたわけは優しいおばさんが爆撃中、井戸に落ちて死に水が汲めなくなっていたためだった。四人のいたガマは爆撃で崩壊し、兄妹を追い出した日本兵は生き埋めである。

再会を喜んだ姉妹たち。しかし、一夜を過ごした米須の浜で朝一番の爆撃で被弾したにいには富子を腕枕したまま死亡。

ヨシ子「もしも富子だけが生き残ったら米須ににいにの骨を拾いにくるんだよ」と不吉な命令である。ちなみに鈴木杏はもう八木優希のお母さん役ができるよね。

ふたたび始まる沖縄・死の行進。しかし・・・幼い富子は赤ン坊に気をとられた隙にたちまちはぐれてしまうのだった。

④ここから本格的に幼女一人旅である。父に教えられた通りに野の食べ物で自活する富子。死んだ兵隊さんは金平糖を隠し持っていたりする貴重な食料源なのだった。

しかし、突然息をふきかえして足をつかまれたりするとこわいので充分に死んでから接近することが大切です。

⑤にいにの生まれかわりであるウサギの導きで爆撃を逃れる富子。

⑥姉を探して昼間からガマめぐりをするので市民からは石を投げられ、「多数の安全のためにかわいそうだが殺す」と決意した将校(渡辺いっけい)からは日本刀をかざされて追いかけられます。あげくの果てに断崖絶壁から墜落する富子。・・・しかし九死に一生スペシャル的に途中の枝にひっかかり無傷です。

⑦雨期のために・・・逃亡中の人々は雨水で命をつなぐ。

⑧もう草臥れ果て、至近弾もへっちゃらの富子。

⑨自決組にさそわれますが手榴弾不足と血縁主義の壁に阻まれて天国から退場。

⑩血の池地獄の水を飲み・・・遠くのミソの匂いを嗅ぎ分ける超感覚が発現した富子はついに安住の地を見出すのである。

手足を失ったじいじ(菅原文太)、と視力をうしなったばあば(倍賞千恵子)のガマにたどりついた富子。

そこではじめて子供らしいあつかいを受ける。

富子「すぐにでていきますからっ」

じいじ「でていかんでもいいさー」

富子「本当?」

じいじ「童子(わらし)は笑さ笑さ・・・」

こうしてじいじの傷口にわいたうじが骨肉を食う音を子守唄に富子は安堵します。

やがて「戦争は終りました。穴から出てきてください。穴は危険です。もうすぐ穴に爆弾を投げ込みます」という米軍所属の日系二世の投降勧告が密林に響く。

じいじ「白い布を出せ」

ばあば「包帯にしようと思っていた褌がある」

じいじ「それじゃ」

富子はじいじとばあばの作ってくれた白旗をかかげ・・・胸をはって降伏する。

やがて・・・捕虜収容所で再会する姉妹たち。姉妹たちの戦後が始まったのである。

八木優希・・・子役としての集大成とも言える珠玉の作品はこれだ。

ちなみに視聴率は10.4%でした。

関連するキッドのブログ『最後のナイチンゲール

                『赤鼻のトナカイ

                 『薔薇のない花屋

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『キングコング』(日本テレビ)『ドリームキャッチャー』(テレビ朝日)『野波麻帆の浅見光彦35』(フジテレビ)『田中麗奈・鈴木杏の派遣のオスカル』(NHK総合) 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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