« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年11月30日 (月)

坂の上の雲の下の撫子(菅野美穂)ささやかな巡洋艦・筑紫(吉田里琴)

世の中にはタブーというものがある。たとえば第二次世界大戦に敗北した後に日本では「戦争の美化」はタブーであった。

もちろん・・・多くの場合、戦争は関係者にとって悲惨なものである。

しかし、時には美しいと言って良い戦争もあり、このドラマの原作はそういう戦争を描いている。

もちろん、それを美しいと断じることは非常に心落ち着かないことだ。

それがタブーの魔力なのである。

原作者が平成8年(1996年)に没し、最初の脚本家が平成16年(2004年)に没した後に・・・ついに放送が開始されたこのドラマ。タブーにどこまで逆らえるのかがキッドにとって第一の興味あるポイントである。

で、『坂の上の雲・第1回・少年の国』(NHK総合091129PM8~)原作・司馬遼太郎、脚本・野沢尚(他)、演出・柴田岳志を見た。このドラマで描かれるのは主に日清戦争(1894年~1895年)と日露戦争(1904年~1905年)である。19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけて日本は清国と帝政ロシアという巨大な帝国と戦い勝利を治める。勝利は美しさの源泉であるので・・・この戦争は必然的に戦勝国にとって美しい。

しかし・・・美しさとはただ勝つことではないだろう。世界の予想に反して日本が勝ったという美しさもあれば・・・そこへと導いた人々の美しさもある。

そういうキッドの美的概念を裏切らないドラマでありますように・・・と祈りつつ・・・三年間を過ごすのは・・・大変だなぁ。

主軸となるのは四国・伊予国(愛媛県)の松山出身の三人の男たちだ。

二人は兄弟である。

最初にこの世に生を受けたのは秋山好古(田中祥平→染谷将太→阿部寛)で安政6年(1859年)に松山藩(藩主・松平(久松)勝成)の御徒衆の家に生れた。松山藩は慶応4年(1866年)の第二次長州征伐の幕府軍の主力であり、長州軍に手痛い敗北を喫する。続いて慶応4年(1868年)の鳥羽・伏見の戦いでも敗北し・・・結局、明治維新を迎えた時には負け組だった。松山は戦勝国側の土佐軍によって一時期占領される。好古は齢10才で敗戦国の一員となるのである。このために味わった苦味が好古を日本騎兵の父と成し、日露戦争においては世界最弱の日本騎兵を率いて世界最強のロシア騎兵を打破するという快挙に導くのである。おいたちの記とも言える今回は好古の辛苦はほぼ省略である。17才で松山を旅立ち大坂、名古屋、東京と食い扶持を求めて転々として行くその姿は描かれない。

次に生れるのが正岡子規(ささの貴斗→香川照之)である。慶応3年に松山藩馬廻衆の家に生れた彼は秋山兄弟よりも裕福な家庭に育つ。「東京に行きたい」と言えば行ける身分である。もちろん・・・言わずと知れた「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の作者である。そしてドラマとしてのヒロイン・律(吉田里琴→菅野美穂)の兄である。いじめられて三才年下の律に助けられたのはフィクションではありません。宮沢賢治のトシと並ぶ二大文学的妹萌えだが・・・トシははかなく律はたくましいのが特徴。

井戸端に妹が撫し子あれにけり(子規)

そしてどうやら主役らしい秋山真之(小林廉→本木雅弘)は慶応4年3月に生れる。慶応4年は9月に明治元年になるため・・・まさに明治と共に育った子なのである。

真之は主にわんぱく小僧として描かれるが・・・幼少時代に花火騒動を起こすのはフィクションではありません。しかし、異常に記憶力があり、さらに画力に優れ、子規に賞賛されるほどの文学的素質があったと言われている。

モックンは16才くらいからを演じ始めるのであるが実に凄まじい演技を展開している。

兄・好古に続き、親友の子規も松山を旅立ち・・・取り残された感が漂う真之。そこに兄から「上京しても良し」の便りが届く。父の久敬(伊東四朗)からそれを伝えられる真之の場面。

原作小説では次のように描写されている。

「・・・(前略)・・・兄の信から手紙が来たんじゃ。すぐ上京せい、と」

「あしが」

真之は、畳の上から両ひざごと飛びあがらせた。真之はそんな器用なことができた。・・・(後略)・・・

見事に飛んでました。モックンもまたそんな器用なことができたのである。

成立したばかりの日本は幼い国である。

たとえば、明治元年には日本政府には外務省も大蔵省もなかった。

明治2年に公家の沢宣嘉が外務卿に、越前藩主の松平慶永が大蔵卿になって初めて外務省と大蔵省(現在の財務省)が発足する。

真之が4歳の時には大木喬任が文部卿となり文部省(現在の文部科学省)が、江藤晋平が司法卿になり司法省(現在の法務省)が成立する。

さらに真之が5才になるとようやく陸軍省と海軍省が機能し始めるという状況である。

その何もかもが生れたばかりと言う状況で真之は兄の後を追いかける子供のように上京し・・・やがて軍人となっていくのである。ただし真之は海軍軍人となる。

真之が10才の時には西南戦争がおき・・・維新の英雄・西郷隆盛の反乱軍が政府軍に鎮圧され・・・士族の時代が終焉したりもするのである。この時、兄の好古は出来たばかりの陸軍大学校に潜り込んでいたのだった。官費(ただ)で給料ももらえる路線を兄弟はひたすら走っていくのである。

そして・・・15才で上京した真之が横浜で見たのは・・・ボリビア・ペルー対チリの南米太平洋戦争(1879年~1884年)のためにチリが発注したイギリス製巡洋艦アルトゥーロ・プラットを完成前に契約解除したため・・・完成後に日本が明治16年(1883年)に買い上げ巡洋艦「筑紫」(つくし)と命名した日本初の完全蒸気機関軍艦なのである。

帆走しない軍艦をたった一隻しか持っていなかった日本海軍・・・。

そして・・・真之は日清戦争でこの艦に乗艦することになるのである。

真之と筑紫・・・運命の出会いなのだった。

世界の水準から見ればささやかな軍艦に目を輝かせ強きを挫き、弱きを助けという言葉に胸躍らせる真之。

もう涙が止らない。強きものとは列強。そして弱きものとは我が国に他ならないのである。

美しい日本の戦争に向けての素晴らしい序章だった。

関連するキッドのブログ『篤姫

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (8) | トラックバック (11)

2009年11月29日 (日)

大切な命のための殺意(尾野真千子)お腹がすいてもプリンセス(志田未来)

さてと・・・「サムライ・ハイスクール」はもういいかな。基本的に実利主義の話だからな。

そういうのって結局、能力のある人は能力を発揮するべきだ。能力のない人はそれに気がつくべきだ。そして気がつかないなら幸せだ・・・ということだからな。

たとえば・・・目があるなら見るべきだし、目がないなら見えないことを自覚するべきだし、そもそも目があることを知らなければそれはそれで幸せだもんな。

そういう自明の理をもったいぶって語るならもう少し、醒めた目の妹(大後寿々花)を上手に使うべきだろう。

で、『小公女セイラ・第7回』(TBSテレビ091128PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・中井芳彦を見た。いろいろと大変な状況を妄想するわけだが・・・今回はもう開き直った感じでいい感じのドタバタ・コメディーになっていると思う。謎の学園・ミレニウス女学院を追放されたセイラ(志田未来)は・・・所持金ゼロで路頭に迷う。パン屋の前で500円玉を入手したセイラは気のいいパン屋の主人(ふせりえ)にパンを恵んでもらう。ただし500円はパン屋が回収しているのである。拾ったお金でパンを買った感じにしないためにパンサークローから田中(ふせ)が復活したとしか思えない・・・お前だけな。しかし、空腹のままパンをもって歩き出したセイラの前に行き倒れ寸前の空腹の幼い兄妹が・・・近未来の日本はそういう国になるということなのか。セイラは「星の金貨」の主人公のようにパンを与える。パンをむさぼり食う兄妹。ついに最後の一個が妹の手にうつったとき・・・それを食い入るように見つめる空腹のプリンセス。しかし、妹からパンをとりあげた兄はセイラにそれを恵んでくれるのである。黄色の傘をさして去る幼い二人は気高い魂を持った天使なのだな。すべてを見つめていた謎の男(要潤)。クリスと聞いただけで原作を知るものははは~んのキーマンである。結局、寄付金目当てでセイラの使用人雇用存続を決める千恵子(樋口可南子)にセイラはお金の威力を噛みしめるのである。今回は北国の早めの冬休みを利用してカイト(林遣都)を慕うゆかり(日向千歩)がセイラをいじめにやってくる。セイラをカイトがおんぶしているシーンで嫉妬の炎を燃やす場面をなぜ作らないのか。ゆかりはとにかくセイラが憎くて憎くてたまらないのだが原作的に小学生の心を宿すセイラとはかみあわない。そもそもカイトは原作的には男じゃないしな。あまりに見え透いたいじめにお嬢様方は庶民の趣味の悪さにげんなりしてゆかりを追放しようとする。特に真里亜(小島藤子)にすれば死活問題である。「セイラを苛めるていいのは私だけなのだ」宣言である。階級社会の壁に古典的左翼テロリストと化したゆかりは千恵子の「大切なブローチ」を盗み出して捨てる。それを察したセイラは千恵子譲りの平手打ちをゆかりにぶちかます。「誰かが大切に思う何かを尊重しないなんて最低」なのである。ゆかりは金持ちサークルからは嘲笑され、仲間であるはずのセイラに説教されてやるせない気持ちで一杯になり故郷に帰っていく。セイラはゴミの山から千恵子のブローチを探し出し・・・千恵子はそうとは知らずにセイラに初月給を渡すのだった。来週はセイラちゃん授業参観日の巻です。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『外事警察・第3回』(NHK総合091128PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・梶原登城を見た。実際には存在しない建前の警視庁公安部外事第四課(ウラ)をドス黒く描く物語である。ちなみに第一~三課(オモテ)は実在します。民間人を協力者として運営する住本(渡部篤郎)は心に哀しい殺意を秘めた非情のライセンスを持つ闇の刑事なのだ。

自らの不倫行為が発端で夫を交通事故による植物状態に追いやった理容師の愛子(石田ゆり子)は店の客がたまたまテロリストに関与する人物・ジュリオ(チェホ・イムレ)だったことからたまたま知り合いだった住本の部下・松沢(尾野)を通じて協力者として仕立て上げられる。実は住本が松沢をオモテから引き抜いたのはそのためだったらしい。

日本で開催される国際会議でテロが決行される恐れがある。アメリカ大使館書記官で実は極東CIAのボスから警備会社の売り込みをかけられた内閣官房長官・村松(余貴美子)は警察庁警備局長・有賀(石橋凌)を呼びつける。

村松「警備は大丈夫なの」

有賀「万全を期しております」

村松「大丈夫なのね」

田中真紀子を想起する方も多いようだがキッドは小池百合子じゃないかと妄想する。

しかし・・・実際にはテロの脅威は確実に迫っていた。

ウラの世界では情報がすべてである。人類滅亡を目指す以外には人間の殺傷力には限界があり、結局、敵味方の識別が要なのである。

誰が敵であり、誰が味方であるか判断する情報を持つかどうかが生死を分けるのだ。

敵が分れば、敵の所在地を探り、敵の弱点を探り、懐柔方法を探り、場合によっては抹殺する。

住本は人命を軽視しないが尊重はしない。情報を得るために協力者の生命・財産が危機に及ぶ場合でも運営者として為すべきことを為すのみだ。

いわゆる一つの当局は一切関知しない姿勢である。

住本を魔物と呼ぶオモテの顔役・警察庁警備企画課(通称ZERO)の倉田理事官(遠藤憲一)は住本の行動を抑制しようと圧力を加えるが・・・そのためには情報を与えもするのである。情報を得るためには情報が必要とされるのが情報工作の鉄則なのである。

たとえば「逃走経路担当者」に「攻撃方法」を問うてもムダだということだ。

倉田は住本の弱点を探る。

倉田「お前の協力者・ニケ渡辺(ルドルフ・マッカラン)の妊娠中の妻・昌代(遊井亮子)がオモテに怒鳴り込んできたぞ・・・夫を帰せってな・・・奴に何やらせた」

住本「早急に調査して報告します」

倉田「なんだ・・・知らないのか・・・協力者の消息を・・・」

住本「当該事項が判明しだい報告します」

倉田「・・・もういい・・・奴を記録から消せ・・・警察と奴は徹頭徹尾無関係ということにしておけ・・・」

協力者・ニケの仕事は終っているはずだった。しかし、ニケは色気を出して単独工作を行い・・・敵の手に落ちたのだった。

ニケから・・・自分の情報を辿られる危険を察知した住本は妻(奥貫薫)と娘(稲垣鈴夏)を緊急避難させる。

妻「あなたは本当は何者なの」

夫「死にたくなかったら聞かないでくれ」

住本は警察関係者だった父(堀部圭亮)の記憶に拘泥する。何らかの任務によって植物状態となった父の介護に疲れ果て母(占部房子)は父を絞殺しようとして果たせなかった。母に代わって父を殺そうとしたが未遂に終った。母は彼を罵った。「恐ろしい子」と。

手詰まりとなった情報収集。松沢は植物状態からの離脱治療の費用を餌に愛子にジュリオの携帯電話の情報のコピーを命じる。

しかし・・・松沢ができるのはそこまでだった。

テロリストとの連絡に専用のカードを使用していたジュリオ。愛子はさらに・・・危険な任務を求められる。松沢は拒絶し・・・住本が愛子の運営者となった。植物状態の夫の前で愛子を果てしなく柔らかく脅迫する住本。

住本「介護に疲れて・・・殺したくなることもあるでしょう・・・私が代行しますよ」

愛子「よして・・・私が恐ろしいのはあなたから与えられる危険な仕事に愉悦を感じる自分の心なのよ」

愛子はジュリオに一服盛り、鍵を奪い密室に潜入しようとする。しかし・・・ジュリオは薬に屈せず愛子の体を求めるのだった。

途中からその気になって・・・ジュリオを受け入れる愛子。

盗聴する松沢はその艶やかな喘ぎに耐えられず一人ヘッドホンを置く。

任務を果たす愛子・・・しかし・・・手に入れた情報を渡した後で住本をなじる。

愛子「一緒にしないで・・・私は夫に殺意を感じたことは一度もないの・・・ただ・・・もう一度おはようって言ってあげたいだけなのよ」

愛子のスパイ行為を知りつつすべてを素知らぬ顔でやり過ごしたジュリオ。彼は本気で愛子の体に溺れているらしい。黒幕への定時連絡。

テロリスト「何か・・・変わったことはなかったか・・・」

ジュリオ「ないぜ・・・なにもな」

愛を手にいれるためには愛が少なくとも必要なのだ。暗いバーの床で獣のように体を潤ませ交わりあう行為を愛と呼べるものならば。

住本は愛には興味がない。しかし・・・テロリストに一歩近付く情報は入手した。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (4)

2009年11月28日 (土)

スクープは寝て獲れ・・・泥酔は禁物(仲間由紀恵)営業再開嬢王V?09(原幹恵)

体を張る舞(原幹恵)・・・イメージを張る朋(黒川芽以)・・・そしてなりふりかまわぬ遼子(仲間)・・・。

平成VS昭和VS三十路の夜の女対決もついに最終章に突入するのだった。

ま、混ぜるな。

長女・愛(宮崎あおい)が保険のCMでガンガン稼ぎまくる前後で次女・銭形泪(黒川)は悪女の限りを尽くすのである。

三女・舞(堀北真希)と四女・零(夏帆)はどのような気持ちで見守っているのだろうか。

まあ・・・女優の行く末もいろいろなんだな。従姉妹の銭形雷(小出早織)は「浅見光彦・最終章」の光彦の死んだ妹役で写真に納まっているし。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子~・第7回』(テレビ朝日091127PM9~)脚本・橋本裕志、演出・唐木希浩を見た。もうなりふりかまわず、番組内で見所フラッシュ・カットの多用である。週刊アンタッチャブルの鷹藤(佐藤智仁)、城之内(酒井敏也)、中原(田中要次)はタイアップCMにも登場してナビしたり鍋したりしているわけだが・・・営業もなりふりかまわないのである。

バックボーンのはっきりしない週刊アンタッチャブルだが、結局、永倉(寺島進)のポケット・マネーで運営されている気配である。そのために父・一郎(深水三章)を庇って闇の組織に利用される遠山(要潤)は「国民ジャーナル」を退社し、前回死亡した樫村(田中哲司)に替わって週刊アンタッチャブル編集長になりました。もう・・・なんていったらいいか。

スキャンダルを捏造し、与野党の候補者をバッシングして選挙に挑む永倉。その事実を知っているのはアンタッチャブル編集部だけという恐ろしい事態になっている。

にもかかわらず・・・泥酔して夜明けのコーヒーを飲んで以来、遠山と交際していると思い込んでいる遼子(仲間)は新編集長の命じるままに新たなるスキャンダルを求めて、与野党の新候補者が出入りする高級クラブ・ヒミコ倶楽部に潜入取材を敢行するのだった。

ダンディー坂野上(ダンディー坂野)をはじめとする一流の常連客で賑わうヒミコ倶楽部のオーナー・氷川(川上麻衣子)は実は元・新聞記者で・・・行方不明の同僚の謎を追いかけるためにこの高級クラブを経営しているという超絶設定である。設定もなりふりかまわない。

氷川の追いかけるのは「ゾマリア共和国」と永倉との暗いつながりである。ちなみにゾマリアはアフリカの東海岸沿いにあるマダガスカルのような島国で存在そのものがなりふりかまっていない感じだ。

「取材源とは夜のベッドでつながる」という信念を持つ氷川はホステスとなった遼子に駐ゾマリア大使・牛丸(大和田伸也)との店外デートを命じるのだった。

二人掛かりで牛丸を篭絡した氷川と遼子は「永倉がゾマリヤ人民を薬害で苦しめてから救済するという偽善行為をした」という証言と証拠の領収書を押さえる。

しかし・・・牛丸と氷川は何者かにホテルの一室で証拠もろとも爆死させられてしまう。

その事件に一郎が関与している証拠を携帯電話で撮影した遠山の本当の恋人・美鈴(芦名星)だったが、何者かに携帯電話を奪われてしまう。

遠山を問い詰めた遼子は「家族を守るために永倉の指示にしたがっていたこと」を告白するが・・・洗脳された遠山一郎は息子を刺して・・・息子が美鈴から盗んだ携帯電話を強奪する。

遼子と兄の鳴海刑事(小澤征悦)らが一郎を追跡するがホテルの一室に逃げ込んだ一郎もまた爆殺されてしまうのだった。

連続爆弾殺人事件発生なのに・・・鳴海とその部下しか捜査に動員されない淋しい警察はなりふりなまわぬ脚本のなれの果てである。

そして・・・兄から遼子に突然もたらされる鷹藤も爆破事件の生き残りだという情報。

こうなるともう・・・ひっそりとお茶を入れたりしているアンタッチャブルの若手記者・西尾里香(浦野一美)が一番怪しいとなりふりかまわず言わざるを得ない。

そして・・・なりふりかまわず予告編で「最終章」って言ってます。

なんていうか・・・もう少し落ち着こうよ・・・とスタッフ一同に言ってあげたくなるドラマになっている。

関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

で、『嬢王Virgin・第9回』(テレビ東京091114AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・森田昇を見た。いじめられて男性恐怖症となった舞(原幹恵)は過去の自分をチェンジするために嬢王を目指したのである。しかし、二階堂亜莉沙のニセ媚薬により性の喜びに目覚めた舞。さっそく、好意を感じる桜木貴志(大口兼悟)と一夜を共にする。そして身も心も桜木の虜になるのだった。もはやタイトルに偽りありだが・・・そんなことを言ってたらキャバ嬢のドラマなんてやってられっかよ・・・というなりふりかまわぬ姿勢は「アンタッチャブル」より説得力があります。

舞の手ブラ・サービスつきの濡れ場でファン一同が昇天する頃・・・背徳天使として帰還したリストカットの朋(黒川芽以)は黒の限りを尽くし始める。愛する雨宮(永田彬)の婚約者であり、ボス(大河内浩)の娘である桐島香織(かでなれおん)の秘密を握った朋は「ボスの悪事の証拠を掴め」と香織に命じるのだった。雨宮はボスの弱みを握り、独立しようと狙っていたからである。

香織「私を脅迫するなんて・・・父が知ったらあなたは殺されるわよ

朋(一筋増量したリストカットの傷痕を見せて)「私が死ぬときはあなたも道連れにするわ

香織を支配下に置いた朋は何食わぬ顔で朝帰りの舞の前に姿を見せる。

朋「私はどうしても・・・嬢王になりたかった・・・だから一番大切なともだちにひどいことを・・・」

舞「無事でいてくれてよかった・・・」

朋「私、エスコートとして・・・舞ちゃんを助ける」

舞「でも・・・私は誰の力も借りずに嬢王になりたいの」

朋「私は舞ちゃんの心の支えになるわ

舞「わかった・・・ありがとう」

朋「・・・舞ちゃん、好きな人が出来たのね・・・桜木さんと・・・」

舞「・・・」

朋「私にも好きな人がいた・・・でも彼は夜やってるような女はイヤだって・・・去っていったの」

ある種の発達障害者である舞はその一言に呪縛されるのだった。

エスコートとしてキャバクラ「MUSELVA」に戻った朋は桜木に心を奪われた舞を冷ややかに見守るのだった。

ワイン通の常連客が8万円のオーパス・ワン(カリフォルニア)をオーダーしているのに上の空で桜木からの電話を待つ舞。接客しながら携帯電話を見つめる舞はキャバ嬢というより職業人としてダメだろ。

そんな舞がボトルを倒すようにさりげなくテーブルに配置する朋だった。

さらに舞の携帯電話を盗む朋。桜木との連絡手段を失った舞は完全に舞い上がるのだった。

再び来店したワイン通はドンペリを注文するが、そこへ桜木が来店する。

桜木以外は目に入らない舞は一目散に桜木の元へ。

しかし、朋は舞をワイン通の席に戻すと珠里(木口亜矢)と翔子(横山美雪)を桜木の席に刺客として送り込む。

二人「なんで舞のヘルプなんて・・・私らが・・・」

朋「舞さんの大切なお客様なんです」

二人「舞の太客(ふときゃく)か・・・」

目の色が変わった二人は桜木に猛然とアタック開始である。

「舞はワインで言うとボジョレヌーボーみたいなものだな。しかし、本当のワインの味を知るには三年かかる。ワインから雨の香りが沁みこんだまじりっけのない土の味がするみたいな・・・紙巻煙草は駄目だが葉巻はいい」などと語る薀蓄を語り続ける客だが舞いは上の空で桜木を見つめるのだった。

そして・・・桜木が店を出ると夢中で追いかける舞だった。体は大人の女でも心は仔犬だからである。

舞「桜木さん・・・どうしてお帰りになってしまうの」

桜木「君の仕事に迷惑がかかる・・・」

舞「私・・・桜木さんがイヤなら・・・キャバ嬢をやめます」

桜木「嬢王は君の夢だったはず・・・嬢王グランプリが終るまで私は君とは会わないことにする」

傷心して店に戻った舞を待っていたのは舞専用ドンペリだった。

ワイン「客がトイレから帰ったのにおしぼりも出さないとは・・・客は金づるか・・・客より情夫か・・・二度と来るか」

ドンペリを頭から浴びて・・・しかし・・・桜木のことしか頭にない舞は涙を流すのだった。

そんな舞を平手打ちする朋。

朋「しっかりして・・・そして憎しみのバーナーに点火して」

そこへ桜木の異母妹の優衣華(原紗央莉)が割り込む。

優衣華「あなたは私の母と同じ。桜木家の男に身も心も奪われて・・・そして捨てられたのよ・・・」

舞はもうどうしていいかわからないのだった。

そこへ突然現れる小悪魔agehaそのものの昭和風キャバ嬢・菜々(桜井莉菜)・・・「昭和をなめんなよ・・・

雨宮「わかった・・・来週は昭和VS平成の嬢王バトルだ」

朋「これが・・・雨宮様の売り上げ倍増計画

喪服のキャバ嬢(吉沢明歩)復活をはらんで・・・企画もの復活である。

その夜・・・約束の資料を用意して朋を訪ねる車イスの香織。

香織「持ってきたわ・・・」

朋「ここまで持ってきてよ・・・」

クララ・・・じゃなくて香織は立った。

香織「お願い・・・彼には言わないで・・・」

朋「不自由な体だと縛れるけど・・・自由になると縛れないものな~んだ?」

今回は舞の暗愚劇場&朋の暗黒劇場だったな・・・。ダブル・ヒロインか・・・っていうか・・・このメンバーでキューティー・ハニーを・・・まだ言うかっ。

まったく・・・恋ってやつは・・・時には身も心も滅ぼすよな・・・ふっ。

日曜日に見る予定のテレビ『坂の上の雲』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)・・・さて・・・どうするの?

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (3)

2009年11月27日 (金)

不毛地帯は清らかだったのだ(唐沢寿明)グッバイ・ママは近い(多部未華子)

とにかく・・・大ベテランの描く「不毛地帯」はかなり不毛な感じ↘10.6%になることが分りました。

とにかく重厚すぎるっていうか・・・トム・トラバーツ・ブルース/トム・ウェイツにこだわりすぎるっていうか。

二回・・・流すか普通。確かに、すでに50才半ばに達している壹岐(唐沢)の心に潜む不毛なロシアの大地をさすらいのブルースで表現したいという意図は分るのだが・・・お茶の間にはこれっぽっちも伝わっていない予感でいっぱいになるのである。ポーレシュカポーレでも困るけど。なんだろう・・・ジャニス・ジョプリンとかが良かったかも。

とにかくトムだとすでに終焉が近い壹岐夫妻の苛酷でドラマチックな人生が煤けて見えるような気がします。

すまない・・・本当にすまない。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%↘*9.9%↗11.8%↘10.7%↘10.6%

②大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%↘*9.6%→*9.6%↗10.6%↗11.0%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%↘*7.8%↘*7.6%↘*6.0%↗*8.4%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください。

で、『不毛地帯・第7回』(フジテレビ091126PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・澤田鎌作を見た。一瞬で終った中東六日間戦争の如く、昭和42年(1967年)7月は唐突に始まる。なにしろ・・・あれだけ痛打されたように見えた東京商事の鮫島(遠藤憲一)がたった一ヶ月で不死鳥のように蘇っているのである。

情報戦によって近畿商事に莫大な利益をもたらした壹岐常務・業務本部長だったが、里井副社長(岸部一徳)をはじめとする旧経営陣は壹岐の唱える変革に徹底抗戦の構えを崩さない。そんな折に米国大手自動車メーカーの経営者・フォークⅡ世が自家用ジェットで緊急来日。その背後に東京商事が暗躍していることを察知した壹岐だったが・・・出遅れを横山やすし化した大門社長(原田芳雄)に「あほんだら、怒るでほんまに」と叱責されるのである。

この年の夏、日本の自動車保有台数は1000万台に達した。米国、英国、フランス、西ドイツに次ぐ世界第5位の保有数である。自動車による国内輸送量は鉄道を抜き、交通事故の死者は1万人を越えたのである。

当時の国産車のメーカーといえば、①トヨタ ②日産 ③マツダ ④いすゞである。

ドラマの中では①愛知自動車 ②日新自動車 ③東和自動車 ④千代田自動車になっている。

ちなみにその後、日本車に食われることになるとは夢にも思っていない米国の自動車メーカー・ビッグスリーは①GM ②フォード ③クライスラーである。

ドラマの中ではフォークⅡ世が来日するわけだが、フォードの経営者は創業者の孫のヘンリー・フォード2世であり、フォード・ムスタングなどでブイブイいわせていたのである。

まあ・・・ネタバレになるが・・・広島東洋カープのオーナーでもあるマツダがロータリーエンジンの栄光でやがてフォードと提携するのは歴史的事実。ただし・・・そこにいたるまでには紆余曲折があり・・・ドラマ的には鮫島の涙目にはリーチがかかっている。

そして、べレットや117クーペで有名ないすゞ自動車は昭和46年には伊藤忠商事の仲介によりゼネラルモーターズと資本提携することになる。

出遅れたかに見える壹岐だが・・・恋敵・丹阿弥泰夫(加藤虎ノ介)の愛車・レベッカの千代田自動車と組んで逆転勝利は目前なのである。

しかし・・・ドラマは華々しいビジネスの世界に背を向けて・・・壹岐家の内情にシフトしていくのだった。

ちなみにこの年、9月、スカルノ前大統領のデビ夫人(27)は「来日してから週刊誌などでの中傷がはげしく私生活もおびやかされてもう耐えられない」とニューヨークに旅立った。

突然、千代田自動車の新車の設計図という極秘資料を持って壹岐の前に姿を見せる小出(松重豊)・・・。その態度は荒み・・・壹岐に対する逆恨みで満ちていた。

資料を基に強請りをかける小出に壹岐は千代田自動車への仲介を引き受けざるを得ない。心のどこかに・・・小出の没落に対する負い目を感じているのだ。

小出は嫌がらせの電話を壹岐の自宅にもかけ壹岐の妻・佳子(和久井映見)を不安に陥れる。

佳子はしば漬を送ってきたり、壷を送ってきたりする陶芸家・秋津千里(小雪)の存在も気にかかっていた。

妻「しば漬のお礼を千里さんにおっしゃってください」

夫「当分会う予定がないのでお前が礼状を送っておいてくれ・・・」

妻(あら・・・いままではそんなに頻繁にお会いになっていらしたのかしら)なのである。

息子の誠(斉藤工)は地方の大学に在学中らしく、夏休みなので帰宅するという。長髪がやや先取りすぎるかな・・・。2年くらい早い感じ。

妻「来週の木曜日は・・・一家四人でスキヤキなので早めにお帰りくださいませ」

夫「ああ・・・」である。

数日前から仕込みに入る佳子に娘の直子(多部)は呆れかえる。

娘「く、腐りますよ・・・夏だから」・・・直子、出番終了である。

しかし・・・木曜日の夜・・・クラブ「ル・ボア」に千代田自動車の重役がいるとデ・・・・黄夫人(天海祐希)におびき出された壹岐は重役の甥である丹阿弥泰夫と婚約した千里に遭遇してしまう。

愛妻家の壹岐に愛の罠を仕掛ける邪な黄夫人なのである。黄夫人にとって欲望に忠実でない壹岐は陥れたい対象だった。

婚約者を前にして恋心を顔に出し不機嫌になる壹岐とそれとなく誘いをかける千里。

男のロマンなのか・・・。

それにしても千里・・・丹阿弥泰夫の前で笑顔少な目すぎで・・・いつもより能面度アップだな。

婚約者が能役者だからかっ。

今後の展開を考えるともう少し別の演技プランがあってしかるべきなのだが・・・。

まあ・・・演出家が昭和丸出しだからしょうがないか。

ともかく・・・婚約者を先に帰郷させ・・・一人ホテルで壹岐の誘いを待つ千里。

壹岐は迷いに迷って・・・妻への操を貫くのだった。

しかし・・・一家四人の食卓を楽しみにしていた佳子は不機嫌の極みになるのである。

妻「なぜ約束を守ってくれないのです」

夫「仕事だ・・・」

妻「あなたには仕事があるけど私には家族しかないのです」

夫(オレだって今日は浮気しないで帰ってきたのに・・・)

妻「あなたが・・・戦地から戻ってこない間・・・どんなに辛かったか・・・」

夫(オレはシベリアで死ぬほど辛かったんだよ・・・)

妻「私は・・・今が一番辛い・・・」

夫「佳子・・・すまなかった・・・私が悪かった・・・」

ひしと抱き合う夫婦鏡である。これは・・・死亡フラグなのですが・・・すごくわかりにくいぞ・・・。

妻「次のスキヤキパーティーは一緒に食べてくださいね・・・」くらいの方がいいのに・・・。

まあ・・・それは来週、幸せの絶頂が展開すると予告されているからいいのか。

それにしても兵頭(竹野内豊)、田原(阿部サダヲ)よりうま味のないポジションだな。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『尾野真千子の外事警察』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『綾瀬はるかのHEROレジェンドなんどめだ』『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)『上戸彩の結婚』(テレビ朝日)午後九時にまたもまたも四つのドラマ激突。勘弁してくださいってば。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (6) | トラックバック (6)

2009年11月26日 (木)

お悔やみを申し上げなかったことを謝罪します(藤原紀香)彼に代わってお詫びします(本仮屋ユイカ)子役あつかいかっ(吉田里琴)

このまま・・・出番終了じゃないだろうな・・・母を殺した病院と思い込み、絶叫しながら不機嫌な顔で退場って・・・子役扱いにもほどがあるだろう・・・って子役ですけどね。

水曜日のダンスは

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・↘17.8%↘17.6%↗18.0%

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%↗12.2%↘*9.5%↗11.8%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%↘*8.0%↘*6.7%→*6.7%

*6.7%の人たちは浅見光彦・命なのだな。かなり低空だが「相棒」と「ギネ」のダンスは続く。時間変更によく耐えたな。

で、『ギネ 産婦人科の女たち・第7回』(日本テレビ091125PM10~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・本間美由紀を見た。原作の小説「ノーフォールト」のタイトルの意味はfault(過失)がないことを示す。そして・・・誰のせいでもない不幸をどうするかという問題を含んでいる。昔は「手遅れでした・・・」ですんだことがすまない時代だということである。

「悪いことをしたら謝る」という教育を受けたものも社会に出れば「簡単に謝ってはいけない」ということを教えられたり学んだりする。「謝罪」は「過失」を認めることになるからである。この皮肉は言葉に反映している。謝罪を意味する「apology」は弁護や弁明も同時に意味する。

つまり、「お詫びのしようもありませんが仕方のないことだったのです」ということである。

それが過失だったのか、不可抗力だったのか・・・判断は第三者に委ねられるのだが当事者が形勢不利だった場合の文句も決まっているのである。

それが「記憶にございません」だ。

しかし・・・カイザーの女王・柊奈智(藤原)が「忘れたい」のは「自分の過失」ではなく「不幸な出来事」だったことは間違いない。

空気を読めない桧口(板谷由夏)には単なる心無い言動だが、訴訟をおこした徳本(八嶋智人)には実はそのことは最初から分っていたのだと思う。分っていながら誰かにやりきれなさをぶつけなくてはいられない気持ち。それがやつあたりだとわかっている心。徳本は終始無言だがそれを好演していたように思う。

だから・・・奈智がノーフォルトでありながらアポロギーした時、彼はいたたまれず逃げ出した。

もちろん、謝罪や感謝そして解放の涙を誰にも見られたくなかったからである。

「すまない・・・そして、ありがとう・・・これでおわった」なのである。

桧口の心ははじめての男・徳本(喪失現場・理科室)に揺らいでいるのか・・・かなり感情的である。どちらかといえば自慢のコレクションを傷つけられたコレクターの気持ちに近いのかもしれない。童貞キラーだから精子マニアになったのか精子マニアだから童貞キラーになったのかは定かではない。おタクの人の趣味の不可解さは男女を問わない時代である。とにかく・・・そのために桧口は奈智に対して冷淡なのである。

有能な二人の部下の穏やかならぬ確執に管理職の君島産科医長(松下由樹)はまたもや管理能力を問われることになるのか・・・と不安になった。

徳本の妻・美和子(西田尚美)が医療過誤による院内感染の死に至ったという疑いで病院と医師の過失を問う裁判で被告席に座らされた君島は医療訴訟で稼ぐ悪徳弁護士・岸本(半海一晃)に「柊医師が度々たちくらみを起こしていたことをご存じなかったのですか」と責められたばかりなのである。

「40時間も働き続けるなんて・・・異常だと思わないのですか・・・」

「しかし・・・そうしないと・・・出産のできる病院はなくなってしまうのです」

過労の招いた過失という絵図を描いている岸本はほくそ笑む。しかし、実際に現場で医師たちの懸命な努力を見ている徳本の心には同情や後ろめたさが浮かぶ。徳本は「妻の敵討ち」を口実にをやりきれなさを他者にぶつけて駄々をこねている自分が見えているのである。

けれど・・・誰も悪くないのに妻が死んだという事実には耐えられないのだ。

「倒れるまで働いたからって・・・俺の妻を殺していいってことはないはずだ」

徳本は最後の一線にしがみつく。

そんな徳本の気持ちを反映した娘・優美(吉田)は学校内の事故で負傷。救急車で運ばれたのが聖修大学医学部附属病院だったために激しい拒絶反応を起こす。

「この病院だけはいや」なのである。

しかし、外傷を治療したERの飯村医師(川渕良和)は優美の出血状態に疑念を抱き、血液内科の奈智の元・夫・柊隆弘医師(長谷川博己)に相談する。

元・妻を密かに監視している隆弘は患者名から訴訟中の徳本の関係者だと思い当たる。

患者の血液に遺伝的な問題があったのではと仮説を立てた隆弘は桧口医師が研究用に保存していた徳本の妻の血液を入手し、遺伝子検査をするのであった。

今回のゲスト患者である星名(吉田羊)は遺伝性の血管神経浮腫であった。蕁麻疹の一種だが皮膚表面ではなく気道内や腸管などの体内に一過性の浮腫が生じるものである。玉木医師(上地雄輔)が症状緩和のための注射を行った直後に症状が悪化したためにアナフィラキーショック(薬物過敏症)が疑われるが、「声がかすれていた」という言葉を手がかりに奈智はHANE(遺伝性血管神経浮腫)と診断する。浮腫の発生によって呼吸困難が生じていたのだった。そして・・・星名は陣痛開始。

「カイザー・グレードAです」

伝家の宝刀「カイザー」(帝王切開)を要緊急強化型で叫ぶ奈智。君島や藤木医局長(近藤芳正)は悪夢の再来に怯えるが、奈智の治療法の指示を聞き、なるほどと納得するのだった。

「それはカイザーだ」「絶対カイザーよ」カイザー・トリオ結成である。

大事なヒントを出し惜しみした玉木は君島に決まり文句を言われるのだった。

「いい勉強になったわね」

君島と藤木は一皮剥けた奈智の動向に安堵する。

君島は奈智を改良した婦人科医長・榎原(中村橋之助)に感謝する。ピーマンではなくてグリーンピースが食べられない榎原は昔から女殺しだったが・・・本人が奥手なのでゲイだと思われていた。

君島が榎原に密かな好意をよせているのは自明の理だが、榎原が桧口に好意を持っていることを知ると素知らぬ顔で面白がるのである。

もちろん、奈智が榎原に心を奪われていることを部下の行動に関して知らないことが多すぎる君島は認知していない。

主題とは別にこだわる院内相関図はまた複雑になりました。

君島は榎原に好意を寄せつつ藤木と不倫。藤木は看護師小山(鈴木恵美)とも不倫。

榎原は奈智を調教しつつ桧口に片思い。

桧口は徳本をはじめ奈智の元夫まで精子提供者を手広くである。

悪徳弁護士の情報源となっている助産師は木村(映美くらら)であることは明瞭だが、それは憂さ晴らしのためである。同棲中を直訴の必死の抵抗にも関らず、玉木は院長の娘えりな(本仮屋)とのカリフォルニア医大留学を選択するのだった。この話の成り行きからして木村が妊娠している可能性は高いのである。ついでにえりなも妊娠するという話も充分ありえます。

君島「明日・・・裁判に出廷だから・・・帰宅しなさい」

奈智「はい」

玉木「・・・絶対に帰りませんよね」

奈智の仕事熱心を暖かい目で見る関係者一同だった。

翌日、奈智を迎えに来た刺青入り顧問弁護士・瀬川(内田有紀)は主任教授・須佐見(國村隼)の子供を妊娠中である。二人の会話から柊の離婚の原因が「妊娠・出産・育児のために当直のない転科」を隆弘が薦めたことにあることが判明する。

隆弘は「男ってそういうところがダメよね」という地雷を踏んだのだった。地雷を踏んだらサヨナラだ。

奈智にとってカイザーは夫よりもわが子よりも優先するのである。お茶の間には周知の事実だがそれで隆弘を責めるのは憐れである。

そういう異次元の精神を全く理解せずに悪徳弁護士はあくまで「奈智の過失による医療過誤」を立証しようとするのだった。

「あなたは・・・亡くなった患者の夫に対してひどいことをいいましたよね・・・亡くなった患者のことは思い出したくもないとか・・・」

しかし・・・徳本には奈智の本心は分っていた。夫が妻を失ってショックだったと同じように・・・あるいはそれ以上に奈智という医師が患者を失ってショックだったこと。それを思うと泣きたい気分になる徳本だがこらえていたのである。なぜなら誰も悪くないのに死んだ妻が不憫であり、その夫である自分がかわいそうだからだ。

しかし・・・奈智の夫から血液検査の結果を知った桧口医師が裁判を根底から覆す新情報を持って入廷する。

「血液検査から故人は20万人に一人の奇病であるフォン・ヴィレブランド病であることが判明しました。患者は血小板が損傷組織に粘着するのに必要なフォン・ヴィレブランド因子と言う接着因子が先天的に欠損している遺伝子を持つために・・・皮膚粘膜出血が止らなかったのです。事前にこれを認知しないまま予測することは不可能であり、手術を担当した医師にまったく落ち度はなかったということです・・・遺伝病であるためにすでに出産された嬰児にも同じ病が確認され・・・おそらく娘さんにも遺伝していると思われます」

こうして実は徳本にとってもっとも地獄だった裁判は終わり、悪魔は顔をしかめたのだった。

どのように正義の冠をかぶせようと争いごとはすべて悪魔の手の内にあるるからだ。

悪魔の傀儡である岸本弁護士は舌打ちをしつつ法廷から退場するのだろう。

妻を失った徳本と患者を失った奈智。悲しみに背を向けるのではなく、共有することもできると熱愛する榎原から仕込まれた奈智は徳本を訪ねるのだった。

「あの日・・・ご主人に言った言葉を心から謝罪します」

悪くないものからわびられて徳本の涙腺は限界に達するのだった。

それを知ってか知らずか・・・奈智は明日に向かって歩き出す。

なにしろ・・・桧口の口から「榎原先生の精子はすごく元気がいい」と聞いて心が喜びに満ち溢れている奈智なのである。意味不明だぞ。

まあ、あれだ・・・好きな人のセンスがいいと誰かが褒めているのを聞いて誇らしい気持ちになるみたいなアレだよ。

そして・・・主題である「無過失で死亡した患者に対する救済の重要性」を説いた須佐見教授はついでに「顧問弁護士とのできちゃった婚」を発表し・・・医局員一同を唖然とさせるのだった。

人々の祝福の拍手の幻聴を聞きながら・・・わが子のためのベビー服をショッピング中の刺青弁護士は・・・大腿部を伝う出血を残して意識を失うのだった。

神は与え奪う。そして奪ってまた与える。さらに与え奪うのである。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)『岩田さゆりの行列48時間最終回SP』(NHK総合)『平愛利のダブルブッキングで岡部警部シリーズ④』(フジテレビ)・・・「20世紀少年」の余熱か・・・。 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (5)

2009年11月25日 (水)

私たちの敵はプレイヤーでなくゲームのマスターなのです(戸田恵梨香)まず目の前のモンスターを倒してからな(松田翔太)

ゲームというものは不思議なものだ。

ゲームは人生でもあるわけだが、それは人生がゲームである場合、非常に限定的に「人生ゲーム」だったりもする。今や、ネット内にヴァーチャルな人生ゲームは満ち溢れている。

たとえば、このブログそのものも人生ゲームの一種と考えることができる。

その場合、プレイヤーはキッドなのか、それとも運営者を含む読者なのか。

そしてゲームのマスターはどちらなのか。

そうした認識を進めることももちろんゲームなのである。

ゲームが楽しいものなのか、それとも虚しいものなのか。

人生について考えることとゲームについて考えることは同じである。

「一刻もはやく、こんな馬鹿げた戦争はやめましょう」と誰かが言う時、「こんな楽しいことやめられますか」と言う人がいないわけではないことを反戦ゲームをする人々はルール・ブックから見落としたりする。

今回の直(戸田)の呼びかけが鼻で笑われるが如くに。

火曜日のドラマ対決は①「ウソゲ」↗12.6% ②「リアクロ」↗*9.9%

で、『 2・第3回』(フジテレビ091124PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・長瀬国博を見た。さてお気付きのようにブログの表示が変わっている。トップページが折りたたみ式になっているのである。こうすると読者はお目当てのページに行きやすいという利点があるのだが、ブログの主催者がこれを採用しているのはスポンサーのリンクが高めにくるからである。ココログは良心的なので全面表示に設定変更もできるのだが・・・まあ・・・しばらくはこの形式にしておく予定である。ちょっとより強く民放気分を味わってみるのもいいかと思うからだ。これもまたゲームだし。

キッドはこのブログで小銭を稼ぐゲームには参加していないわけだが、それは読者的にそういうものに対する拒否感がある人がいると考えると同時に、そういうものを始めるとそれはそれで面白いので熱中してしまい違うゲームになる恐れがあるからである。

キッドがこのゲームで目指しているものはキッドが思うところでなるべくたくさんの人を楽しませることなのであり・・・そこに全力を尽くすともはやキッドにはあまり余裕はないのである。

・・・ということです。

さて・・・ライアーゲームの四回戦、中堅戦の攻防が続いている。第1シーズンも穴がないわけではないが・・・やはり第2シーズンの脚本家はかなりこなれていない部分が目立つ。

ドラマとしてはかなり特殊なコンテンツであるから・・・ある程度は割り引くのだが・・・ゲームとしての面白さとドラマとしての面白さの折り合いが鍵になってくるので注意してもらいたい。

たとえば、ゲームとしての面白さに「勝敗の行方」はかかせないだろう。スポーツ観戦者に生中継と結果の分っている録画の面白さを問えば、生中継の面白さに軍配があがるはずだ。もちろん・・・録画には録画の面白さがある。

ドラマの場合は冷静に考えると・・・スポーツ中継の録画みたいな部分はある。なにしろ、主人公側が勝つに決まっているだろうという予測があるわけだ。

それだけに途中経過の面白さというものが重要になってくる。

そのためには勝負全体のルールというものが大切になってくるのだ。

最初に団体戦であるということが断られている。

分りやすくなるかどうか分らないが・・・サッカーにたとえてみよう。

まず、サッカーには勝ち点というものがある。一般的に勝利の場合は3点、引き分けの場合は1点という加点がある。負け0点なので1勝1敗1引き分けならば勝ち点は4点である。

勝ち点が多い方が勝利だが・・・同点の場合がある。

その場合、得失点差というものがある。それまでのゲームの総得点から総失点を引いたもので、総得点が50点で総失点が40点なら得失点差は10ということになる。

数字の多い方が勝利だが・・・同値の場合がある。

そうなると総得点の多い方とかもうじゃんけんでいいや・・・ということになるのである。

とにかく、一般的に優先順位は勝ち点を上とするわけである。

だから勝ち点5で得失点差100のチームと勝ち点6で得失点差0のチームでは後者の勝利ということになる。・・・どんな試合をしてるんだっ。

・・・で、ライアーゲームの四回戦は先鋒・中堅・大将戦の三試合があり、それぞれについての勝敗とともに得失コイン差というものがある。

勝敗と得失コイン差の優先順位についての説明が曖昧なのである。

たとえば一回戦がマイナス100の負け、二回戦もマイナス100の負けで勝敗が問題になるのなら三回戦に勝ってもトータル一勝二敗でゼロサムゲーム(一方が負けた場合相手が必ず勝ち)なので相手は二勝一敗になり、二回戦でゲーム終了である。

だが、得失コイン差の勝負なら三回戦プラス300の勝ちならトータルプラス100で逆転勝利も可能なわけである。

この点についてほとんど説明がないのである。

ちなみにコインは各チーム450枚持ちのスタートである。勝負の間にコインは移動するのだがこのコインが途中で尽きた場合についても明確ではない。たとえば2回戦でマイナス50枚になった場合、追加のコイン借用はありなのかとか・・・それともその時点で負けなのかの説明もなしに勝負は始まっている。

ちなみに一回戦では勝負は引き分けだがキノコは164枚くらい獲得コイン差をつけている。もしも獲得コイン差の勝負なら勝っているのである。

さて、そこで問題なのは中堅戦で秋山(松田)がピンチになったとき・・・「このままじゃ・・・四回戦は負けちゃう・・・」と悲鳴をあげる直(戸田)なのである。

もしも・・・中堅戦に秋山が負けても一敗一引き分けなのである。直が勝てば一勝一敗一引き分けなのである。

つまり・・・直は最初から負ける気満々なのである。

逆に秋山は必ず勝つと信じていたわけだ。

それならそれで筋は通っている。

しかし・・・秋山が勝った結果、一勝一引き分けになったときの展開がおかしいのである。もう負ければ一勝一敗一引き分けが確定で・・・直の狙い通りなのだな。

それなのに急に勝たなくては・・・と言い出す直なのだ。なんじゃ・・・そりゃ。

この場合は、ドローの場合はコイン差勝負とか・・・コイン残量ゼロになったら無条件で敗北とかあらかじめ明示されていないと・・・勝負が楽しめないではないですか。

そういう点がとにかく・・・今回の脚本はダメなのですな。せっかくの直のボケどころも表現しきれてないしね。

まあ・・・それはそれとして・・・中堅戦の「17ポーカー」第2ゲームまで秋山の連勝で迎えた第3ゲームである。ここまでは秋山は100コインのリードである。

しかし・・・「17ポーカー」はジョーカー(ワイルドカード=W)を持ったものが勝つというセオリーと・・・シャッフル前のトランプの配列は常に同じ・・・そしてボクサーとしての動体視力で菊地(眞島秀和)はジョーカーの位置を見抜くという必勝法を確立していたのだった。

そのためにカードを支配し・・・必ずジョーカーが自分の持ち札になるようにコントロールすることによって第3~4ゲームを連勝する菊地。秋山のリードは22コインに。

そこで・・・直がタイム。「皆さん・・・本当の敵はライアーゲーム事務局です。私たちが勝ったら皆さんを救済することをお約束します」と演説する。

敵チームである月ノ国の西田(荒川良々)は先鋒戦で受けた恩から動揺するが・・・大将戦を控える小坂(広田レオナ)は「馬鹿じゃないの・・・」と嘲笑する。

しかし、菊地は「今の話・・・乗るよ・・・俺はわざと負ける・・・」と秋山に告げる。

だが・・・それは真っ赤なウソで秋山を勝負に誘い掛け金をつりあげる口実だった。

第5ゲームで秋山はマイナスに変わり、菊地のリードが78枚になる。

もしも・・・勝ち点ゲームなら・・・残り2ゲームを菊地は場代の5枚払っておりていればいいのである。それでも68枚のリードで菊地の勝利だ。そういう意味では秋山は最初に31枚以上のリードをすれば残り全部おりれば勝利なのである。

もちろん・・・この場は欲にかられた勝負の場だから・・・勝てるだけ勝とうとするという流れがあったとしてもだ。

結局、勝敗のルールが曖昧なのでそういう疑問が湧き起こるのである。

ともかく・・・直の「もうだめ~」という嘆きを他所に・・・実はジョーカーどころかすべてのカードの配置をパーフェクトシャッフル(乱雑さの発生しないシャッフル)の場合、一瞬で計算できる秋山は相手に罠を仕掛けていたのだった。

秋山は全てのカードを支配して菊地を賭けに引き釣りこみ、フォーカードを連発、第6~7ゲームを勝利して、秋山の獲得コイン196枚、菊地の獲得コイン104枚でトータル92枚差のコインを獲得する。

ここで画面に表示される獲得コイン数。

太陽ノ国522枚 月ノ国316枚

その差は206枚で先鋒戦でのキノコこと福永(鈴木浩介)の稼ぎが114枚だったことが分る。ちょっと計算合わないが・・・まあ、いいか。

ちなみに両者一度もおりていないので場代の回収はゼロである。

コイン総額は900枚。ただ今の両チームの合計は838枚。つまり、事務局が62枚を獲得していることになる。そこは計算あってます。

事務局としては大将戦で238枚以上回収しないと赤字なのである。

はたして・・・大将戦「回らないルーレット」がどんなぶったくりゲームなのか楽しみであります。

そして・・・要するに何が勝ちなのか・・・はっきりするしね。

ちなみにオセロの白い方じゃなかったもう一人の天才・葛城リョウ(菊地凛子)は17ポーカー途中で敵チームを敗北させたということは持ち点ゼロでぶっとびゲームなのか?

それなら・・・先鋒・中堅でぶっとびにさせていた方が直の理想には近かったのに・・・まあ・・・いざとなったら直がバカだから・・・で片付けるのも「ライアーゲーム」のセオリーといえばセオリーだからな。

さて・・・どうでもいいことだが、ポーカーについて考えておく。普通はポーカーはスペード・クラブ・ダイヤ・ハートの各13枚、あわせて52枚。ワイルドカードとしてジョーカーを加えると53枚のカードを使用する。

このうちの5枚が最初の手札になるわけだ。その組合せは何種類あるのだろうか。

それは結局、異なる53枚から異なる5枚を選ぶ組合せである。

₅₃C₅で計算すると53×(53-1)×・・・×(53-5+1)/5×(5-1)×・・・×1

53×52×51×50×49/5×4×3×2×1=28696845

つまり2869万6845通りの組合せがあることになる。

しかし、17ポーカーになると₁₇C₅ =6188で組合せはぐっと少ない。

その中でファイブカードはJJJJW、QQQQW、KKKKW、AAAAWの四つの組合せしかない。

6188/4=1547なので1547回やって1回できる組合せである。

確率にすると4/6188=0.000646412・・・

最初の手札がファイブカードになる確率はパーセンテージにするとおよそ0.065%である。

ついでにフォーカードはまずJJJJもしくはJJJWになればよく、

これは₅C₄=5×(5-1)×・・・×(5-4+1)/4×(4-1)×・・・×1=5

JQKAの四種類があるので5×4=20

残りのカードは17-5=12であるため20×12=240通りである。

6188/240=25.7833333・・・なのでおよそ26回に1回くらいはできる計算になる。

最初の手札がフォーカードになる確率はパーセンテージにするとおよそ3.878%である。

ちなみにこのゲームではロイヤルストレートフラッシュはスペード・クラブ・ダイヤ・ハートの4つの組合せしかできない。だからファイブカードと発生確率は同じである。ファイブカードが最高の手とされるのは単なるお約束なのである。

まあ・・・ゲームバランスとしてはフォーカード決着というのはまあまあだなあと思うのである。ちなみに1/26の確率なら天使の直は実は7回連続イカサマなしでフォーカードを平気で作る可能性があります。最後はラッキーで乗り切るのが直なのですから。そんなバカな・・・と確率論者を真っ青にさせる直も見たいぞ。

まあ・・・とにかく・・・シャッフルは適当が一番という話です。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (0) | トラックバック (7)

2009年11月24日 (火)

ナース式汗拭き始めました(綾瀬はるか)仁は植皮(大沢たかお)蚊帳の外からご忠告(中谷美紀)

ノリノリである。ついに生CMまではじめました。キッドは醤油はキッコーマン。めんつゆはヤマキですが・・・ヤマサもいいかなとつい思う仁の手口です。

さて、今回は喜市(伊澤柾樹)のひきとられた小豆問屋の娘とおぼしき茜(橋本真実)が患者となるわけだが、手術室はおそらく茜の家なのだろう。喜市が今はなきタエと暮らしていた本所相生町から遠からぬ場所だと思われる。もう少しヒントが欲しいところである。次に自宅で療養している緒方洪庵の江戸における住居である。洪庵の墓は文京区本駒込の高林寺あるのだが、大坂から江戸にきてただ1年を過ごした洪庵の住居はどこだったのだろう。医学所頭取役宅に家族と住んだというから・・・医学所内に屋敷があったのか・・・。もう少しヒントが欲しいところである。

今回、最も場所が明確なのは日本橋・蛎殻町のペニシリン製造所。ちなみに現在のヤマサ醤油の東京支店は日本橋蛎殻町1丁目にあります。そのまんまじゃねえか・・・です。

現在は目の前に首都高速の高架がかかっているわけですが、実はここは昭和46~47年(1971~1972年)に埋め立てられてしまった箱崎川の流れていたところ。蛎殻町の東には日本橋川が流れているわけですが江戸橋をこえたあたりで今の高速道路が箱崎に向かうように箱崎川が流れていたわけです。仁は河岸を歩いて新しい製造所に向かうわけですが・・・それが今は亡き箱崎川だったと妄想します。箱崎川は隅田川に流れこみます。つまり、箱崎川は日本橋川から墨田川にかかるバイパス水路だったのです。

ちなみに実在する実業家であるヤマサの浜口儀兵衛(ドラマでは石丸謙二郎)は佐倉順天堂(蘭方医学の塾のちの順天堂大学)の佐藤泰然とも親交があった。佐藤泰然は松本良順の実父である。

そして、下総佐倉藩の藩主は元老中(この時点では一橋派に睨まれて蟄居中)堀田備中守正睦(~1864)なのである。そして箱崎河岸には堀田家江戸上屋敷があったのである。種痘所のバックにはヤマサもいれば佐倉藩もついていたのだった。

さらについでにいえば本郷にある順天堂医院は仁(大沢)の所属する東都大学附属病院のロケ地である。

まあ・・・とにかく仁的には「もうあったんだ・・・あってよかった」ヤマサなのである。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↗*9.1%(編集長あげてきた~)、「おひとりさま」↘*7.5%(愛の自覚でさがった~)、「マイガール」↘*7.5%(紙とラブラブになれば爆笑なのに)、「ラピュタ」15.4%(ラピュタは夏に見たい)、「セイラ」↗*8.4%(セイラママ~強し)、「サムライハイスクール」↗11.0(パパがんばった・・・)、「外事警察」↗*4.9%(ゲロゲロ)、「ハッピーバースデー」10.9%(ポニョの草笛・・・)、「棟居刑事」11.6%(ささやき娘殺しの勝利)、「天地人」↗22.7%(最後の最後まで・・・)、「仁」↘16.8%(ここが固定層か)・・・ついでに「東京犬」↘14.7%(犯人と刑事と愛人の三角関係・・・ここがきゅんなの?)、「いのちの島」*8.6%(弱すぎる・・・)・・・以上。

で、『JIN~仁~・第7回』(TBSテレビ091122PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。緒方洪庵(武田鉄矢)は史実では文久3年6月10日(1863年7月25日)に死去したとされている。基本中の基本だが、江戸時代の日本は太陰暦である。だから西暦とはズレが生じるのだ。仁はナレーションで西暦を口にするわけだが・・・それはややおかしいのである。もちろん・・・現代に戻ってきていろいろと調べてああ、あの日は西暦にすると7月25日だったのだなあ・・・と言っている場合もあるのだが・・・現実的には文久三年の六月十日と言う方が違和感がない。それで史実通りに死んだということでいいのである。もし、文久三年の七月二十五日に死んだとすると仁が看護したおかげで少し寿命が延びたという話にもできたのである。まあ、平成21年の1月1日がストレートに2009年の1月1日である現代人には一番分りにくい部分なので西暦でおしきったけど・・・やはり違和感の残るナレーションだったという話なのだな。

季節感を大切にするドラマである。仁が苦闘する間は梅雨の雨に打たれ・・・苦境を乗り切ったときに紫陽花は咲き、梅雨も明ける。そして・・・夏、緒方洪庵逝く・・・。こういう流れの中での7月25日(1863年)なのである。これが六月十日(文久三年)だと江戸時代の人には五月雨(梅雨)が終ったことになるのだが、現代のお茶の間的には6月10日なら東京はまだ梅雨のはしりじゃないの・・・という疑念をもたれるおそれがあるからな。

どっちでいくか、脚本家は迷ったはずだと妄想します。いや、迷っていてほしい。

さてドラマ版「仁」では文久2年の夏に薩摩藩が大名行列を乱したイギリス人を生麦村で殺害するという「生麦事件」をスルーしているわけだが、そのためにイギリスは幕府から賠償金をふんだくると同時に薩摩藩に対して実行犯の処罰を求めるのである。薩摩藩がこれを拒否したために文久3年7月(1863年8月)、薩英戦争が勃発する。薩摩藩、イギリス艦隊はともに損害を受けるが最終的には薩摩が交渉のテーブルについたので薩摩側の敗北ともとれるし・・・その後イギリスが幕府よりも薩摩に肩入れするようになることから、イギリスが薩摩の実力を認めたということにもなる。

一方、1863年5月には馬関海峡(関門海峡)を長州藩が封鎖、米仏商船に陸上砲台から砲撃を加えた。このため、同年6月に米仏軍艦は長州軍艦を殲滅する。しかし・・・長州はなおも海峡封鎖を続けたために・・・1864年、イギリス・フランス・オランダ・アメリカの四国は連合艦隊を結成。長州は大敗北を喫する。

今回の「仁」ではそういう歴史的背景は勝海舟(小日向文世)と坂本竜馬(内野聖陽)たちの会話でなんとなく匂わされるだけである。

もちろん、尊王攘夷、佐幕開国、尊王開国、佐幕攘夷、公武合体、富国強兵、文明開化が入り乱れる幕末をあますところなくお伝えするのは無理があるのだが・・・この道が竜馬暗殺に通じる道である以上・・・仁も少しは考えるべき問題なのである。

少なくとも・・・竜馬の姉の名前を知っているくらいに竜馬のことを知っている上に・・・もはや仁は竜馬の友なのですから。

今回はペニシリン製造所壊滅。竜馬は松平春嶽から幕府海軍資金を調達。

長州が関門海峡を封鎖。緒方洪庵が蛎殻町にペニシリン秘密製造工場開設。

長州艦隊が英仏艦隊によって壊滅。茜の火傷が完治。

緒方洪庵と南方仁の秘密会談。緒方洪庵死去。

仁は竜馬から手紙をもらう。薩英戦争勃発。仁、私立病院・仁友堂を開設する。

こんな流れになっていましたな。

さて・・・平成22年の刻印のある10円玉。

一つ解けた謎は「仁が落ちていたのをひろった」という点のみ。

仁は「別の誰かが未来からやってきたのか・・・それとも天からふってきたのか分らない」と自ら説明する。

しかし・・・可能性として、仁が落としたものだとすると・・・歴史が変わって・・・平成21年が平成22年になってしまった可能性があるわけです。

その可能性を含めて・・・仁はまた思い悩む。歴史に介入することは許されることなのか。歴史に介入することで未来の未来(中谷美紀)は植物状態を脱することができるのか。そもそも自分はなぜ過去にやってきたのか・・・。悩みは尽きず・・・仁はまたしても停滞する。

そんな仁に肩を並べて歩く咲(綾瀬)。「それをしてはいけないのではなかったのでは」と戸惑う仁に・・・咲は「もうつまらないことにこだわるのはやめにしたのです。それをしたくてもできない人もいるのですから。私はできることをすることにしました」と語る。

もちろん・・・仁に好意を寄せてもどうすることもできない花魁の野風(中谷二役)の心中が念頭にある。

仁につくすことは野風の願いを叶えること。咲の心にはその愛が矛盾なく成立するのだ。

仁は・・・しかし・・・まだ迷いの中にあった。

そんな折に発生した茜の火傷事件。仁は首元の焼け爛れた傷を植皮によって治療しようと計画する。そのために必要な抗生物質ペニシリンを医学所に求める仁。快く引き受けた緒方洪庵は仁に醤油商人の浜口儀兵衛を紹介する。

緒方門下の純庵(田口浩正)と佐分利(桐谷健太)はペニシリン作りに燃える。

門下生たちは一度荒らされた工場を再建していたが、下手人の追及はおろそかにされていた。緒方は「うらみはうらみを買うだけだ」と弟子たちに告げるが・・・揉め事から逃げたいという気持ちがあったことは否めず、それが緒方を強く後悔させることになる。

手術は順調に進んだが、手術中にペニシリン工場が放火されて壊滅したことが知らされる。

手術後の感染症対策への暗い予感に一瞬、我を忘れる仁。

しかし、助手をつとめる咲は穏やかにガーゼで仁の汗を拭う。

できることをするためである。

仁は我を取り戻し・・・手術に集中するのだった。

焼け落ちた製造所の前で・・・降り注ぐ雨の中、純庵は唯一残された菌種の一鉢を抱えて呆然としている。命懸けでそれを救い出したのだった。

争いをさけ悪意あるものたちから目をそらしたことで大切なものを失ったことを悟る洪庵。

労咳(結核)に侵された体にムチをふるい、「仁の与えてくれた奇跡の医術を今度は命がけで守り抜く決意」を固めるのだった。

抗生物質抜きの経過は思わしくない。仁は思い悩んだ末に・・・漢方に活路を見出そうとする。

「化膿止めの生薬を何か・・・お分けください」

しかし・・・本道(内科)の医師たちは外科の天才・仁に悪意を向けるばかりだった。仁によって命を救われた福田玄孝(佐藤二朗)は後ろめたい表情をするが薬を分けてはくれなかった。

手詰まりに陥った仁の元へ・・・咲の母・栄(麻生祐未)が届けものを示す。もはや江戸時代の母なのか。

「こ、これはペニシリン」

どこで調達したのか・・・二週間はかかると思われたペニシリン製造を純庵は一週間でやりとげたのだった。

快調に届くペニシリンに茜の回復は順調に進んだのである。

庭に咲く紫陽花に緒方洪庵は微笑むのだった。

竜馬が「ペニシリンという秘密兵器がありますが・・・幕府海軍の創設こそがこの国のペニシリンになりえるきに」と幕府総裁相手に怪気炎をあげる頃・・・仁は純庵たちにペニシリンの秘密を教えてもらうのだった。

ペニシリンは緒方洪庵の依頼により、蛎殻町の醤油蔵で醤油職人たちの手を借りて製造されていたのだった。

経営者である浜口は「すべては・・・あなたを守ろうとする緒方先生の大いなる心に・・・私が惚れたからなのです」と仁に語る。

洪庵が重篤な労咳であると教えられた仁は・・・我を忘れて走りだすのだった。

「仁先生・・・あなたは私の師だ・・・一つだけ教えてください・・・あなたは未来から来た方なのでしょう」

「・・・そうです。時の流れを越えて未来からやってきたのです」

「私は・・・大坂から江戸にきて心細くて泣きましたが・・・なんと不甲斐ないことでしょう。未来にすべてを残してきたあなたのお寂しさを思うと・・・胸が痛くなるのでございます」

「いえ・・・緒方先生・・・江戸の人々はよくしてくれて・・・それほど辛くはありませんでした・・・こちらこそ・・・ご恩に報いるにはどうしていいものかと」

ここで・・・緒方は坂本竜馬モードに突入。

「医の道は平らの道に続いていると思うのです。武士も百姓も流れているのは赤い血で腹を開けば同じ臓物がつまっている。医をつきつめれば人間は皆同じということになるではありませんか。人のため・・・道のため・・・医のために・・・もっともっとよりよい医療をひろめていただきたい・・・それはきっとよりよい未来を作ることになると思うのでございます」

仁は心を打たれた。未来がどうなるかを考えても仕方がない。いつも最善を尽くすこと。それが最善の結果になると信じること。それ以外に人ができることはない・・・と思い切ることができたのである。もちろん、来週までは・・・ですが。

仁はたちまち迷ってなんぼですから。

一方、坂本竜馬の華々しさに追われ、同じ弟子として勝海舟の前で忸怩たる思いに捉われる咲の兄・恭太郎(小出恵介)は遊女・初音(水沢エレナ)に溺れメガネ娘プレーを楽しむのだった。

そんな恭太郎を大切な仁先生の身内の人と考えて茶を馳走する野風。

「遊女の言葉は手練手管でございます。すべて誠と思し召すな」

「ふん・・・花魁が旗本に説教かい」

「私どもは・・・真の世からは蚊帳の外の身の上でありんす」

「オレだって・・・蚊帳の外さ・・・」

恭太郎はすぐ拗ねるのが決まりのようです。そこがかわいい・・・のか。

一方、緒方の死を悼む仁の元へ・・・咲の母・栄が手紙を届ける。やはり・・・江戸の母なのだな。

竜馬からの手紙には「日本国を洗濯して・・・一つにまとめたい」という志が述べられていた。

友からの手紙に啓示を受ける仁。漢方と蘭方のせめぎ合いに悩み、蘭方同士のつぶしあいに悩んだ末に客死した緒方洪庵の恩に報いるために自分にできること。

「そうだ・・・蘭方と漢方を融合した・・・新しい医療を切り開く病院を作ろう・・・結構トレンドっぽいし」

栄は橘家に「仁友堂」の看板をかけられても暗黙の了解らしい。「ぶらぶらしてないでお働きなさい」なのか・・・さすがは江戸の母なのだな。

とにかく・・・松本良順(奥田達士)が不在なのは229年ぶりに上洛将軍となった家茂に付き添って京都に滞在中だから・・・ということなのである。

いよいよ、後半に突入したこのドラマ。もう四人くらいしか治せないのですかーっ。

まあ・・・ベストを尽くして原爆を作ってしまい、ベストを尽くして広島に投下したりするのも人間なのでほどほどでいいという考え方もあります。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

               『篤姫

Hcinhawaii0594 ごっこガーデン。医学館から医学所への道大江戸セット。アンナ今回はこれ一本で攻めているぴょん。もう緒方先生の熱く優しい思いに涙がとまりませ~ん。仁で心がジンジンぴょ~ん。ってじいや、もう少し道幅広くしてくれないと・・・ダイエットごっこになってしまうのぴょんikasama4人が孤独でないのはあなたがいるから淋しくないと言ってくれる人がいるからこそなのですな。緒方先生を思う南方先生。南方先生を思う緒方先生。二人は固い絆で結ばれたのですな・・・それはそれとして咲は仁と結ばれないのでしょうか・・・それもまた天命でございますか・・・ここは伊勢国津藩江戸上屋敷、お殿様は裏切りものの犬で名高い藤堂和泉守高猷でござる

水曜日に見る予定のテレビ『相棒』(テレビ朝日)『浅見光彦・最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (10) | トラックバック (14)

2009年11月23日 (月)

さらば天地人と言おう(妻夫木聡)お疲れ様でございました(常盤貴子)

最後は家康(松方弘樹)とお船(常盤)の老いの演技合戦である。

松方さんはさすがだが・・・常盤もがんばったと思う。達者になったなぁ。

こうしてお家大事の世の中が始まるわけだが・・・徳川家は幕末まで続き、直江家は絶える。

継続は宝なり・・・という言葉があるが結局、今年の大河ドラマが言いたかったことは「負け犬の遠吠えは意外と長引く」ということなのであろう。そしてそれは意外と人気があるのだな。なぜ、そうなのかはあえて書かないのが武士の情けというものだろう。

で、『天地人・第47回』(NHK総合091122PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。まずはお疲れ様でございました。最後までリンクを貼らせてもらえて望外の幸せでございます。もういつ脱落されても誰も責めることのできない凶悪な大河でございましたからねえ。どんな悪路でもそれなりに走る。無事これ名馬でございますな。今回はなんと総評つき。最低の時代考証。最悪の物語。最愚のホームドラマ展開。最劣の毀誉褒貶脚本。もうすべての面でグダグダだったストーリーに開いた口のふさがらない日曜夜8時でございましたな。ドラマの途中で設定変更、どこにあるのか不明の城登場、すぐに消息不明になる武将たち、そして歴史より長寿のファンタジー武将たち・・・もう悪の限りを尽くしてくれましたな・・・。まあ・・・石田三成の愛好家とか直江兼続の愛好家というのは基本的にお馬鹿さんですから・・・しょうがないか。とにかく・・・今年もご苦労様でございました。

Tenchijin161501 で、慶長20年(1615年)である。ちなみにこの年は7月13年に改元されて元和元年となる。元和が豊臣家の滅亡を記念するとともに戦国時代の終焉を示していることは言うまでも無い。この後も島原の乱などの一揆が絶えることはないが・・・明治維新まで内戦は絶える。ただし、日本という国家が成立したわけではなく幕府を頂点とする各州連合が成立したという色彩が強い。各州(藩)は徳川幕府という権威に従いながら半独立国家として機能していくのである。小国が和する国。国家であって国家ではない・・・その歪は250年後に尊皇攘夷運動として爆発するのだった。ともかく、攻城砲の猛威と結局、味方する大名ゼロという冷酷な事実を突きつけられ大坂・冬の陣は豊臣家の降伏で終った。しかし、大坂城に集った浪人衆は行き場もなくその場に留まった。大坂城に居る限り、食えるからである。いわば・・・豊臣家は包囲なき篭城戦に突入したのであった。10万人という居候が大坂城の兵糧を食いつぶし始めたのである。その間、幕府軍と傘下の諸大名は再戦の軍備を整えたのである。包囲されていない以上、警備の必要もなく、そのため大坂城の防諜状態は最低だった。なにしろ間者の出入り自由なのである。浪人衆の中で有力なものは生き残りを賭けて続々と幕府に寝返っていった。信長の実弟であり淀の方の叔父である織田有楽斎や最初から間者として入り込んだ小幡勘兵衛はよく知られている。

豊臣家にはまだ金銀の蓄えがあったが、兵糧・弾薬の補給は難航した。また盗賊のような浪人衆は城内から兵糧を持ち出してそのまま逃亡したりもした。大坂ははみ出し者たちの楽天地と化していた。

徳川家に遣える真田家当主・信之は大坂城に篭る弟・信繁に再三忍びを放っていた。

兄「夏の陣において充分高名を果たしたであろう。大御所(家康)も将軍(秀忠)も厚遇をもって迎えると言っている。すぐ帰服せよ」

弟「まだまだ戦がしとうございます。戦の無い世で永らえるのは武家に生れたものの恥なれば戦の中で命燃え尽きるまで戦う所存。お体ご自愛ください」

信之はやんちゃな弟に胸を痛めた。

大坂城の兵糧残量は幕府側に筒抜けであった。兵糧が尽きれば浪人衆は暴発し、京など近隣諸国に騒動が及ぶのは必定だった。幕府はその寸前に開戦するための準備を整えていた。

ついに大野治房と浪人衆が大和国郡山に乱入するという騒ぎが発生した。幕府は賊軍討伐の名目で全国に出陣要請を出す。大野治房はただちに撤退し、今度は和泉国堺に乱入。略奪の限りを尽くす。すでにそうしなければ明日の米にも欠く豊臣家の台所事情であった。

紀伊国和歌山城から浅野長晟が出撃。豊臣家先手を一蹴すると大野治房はただちに撤退した。大野治長は無謀な弟・治房の行動を諌める。

兄「いきあたりばったりでは戦には勝てんわい」

弟「他にどないな手があるっていうのや」

兄「今、幕府に恭順を願い出ておる」

弟「阿呆くさい」

大坂城内で唯一、諜報網を持つ真田源四郎信繁は幕府軍始動の動きを掴んでいた。忍びである真田源次郎幸村から使いの忍びが真田屋敷に走りこむ。

「徳川方は軍を発し、すでに京で集結を終えています。おそらく大和郡山を経由する別働隊と二方面から攻め寄せる模様」

「大御所はどちらじゃ・・・京か・・・大和か・・・」

「京を発するが将軍家というのは判明せりものの、大御所の所在は不明・・・」

真田信繁は最後の賄賂を使い、秀頼御前での軍議への参加を許された。すでに何の実力もないに等しいにも関らず豊臣家は官僚機構だけが機能していた。

真田信繁は毛利勝永、後藤基次という勇将を同道させている。秀頼の左右には淀の方と千姫が座している。真田たち浪人衆と上座の間には大野治長・治房・治胤の三兄弟がいる。その向いには木村重成ら豊臣家の重臣が座している。

「もはや決戦の時が参りました・・・徳川家は京を発しましてございます」

信繁の言に諸将は静まりかえる。

「此度の戦はすでに本丸の周囲にわずかに残る堀ばかりになりて篭城は不可能。野外で決戦するしかございませぬ」

治長が蒼白な顔色で口をはさむ。「しかし・・・大坂の城の軍勢はもはや五万ほど・・・徳川は総勢十万を越えるというではないか」

「二十万ほどになりましょう」

「に・・・」と言ったまま治長は絶句する。

「かって織田信長公は五千の兵で今川勢二万を討ち果たしましたぞ」

「桶狭間か・・・」

「もはや・・・残された手はそれしかございませぬ・・・野戦を仕掛け、先手が圧力に耐える間に奇襲部隊が大御所の首を獲るのでございます」

「しかし・・・無謀な・・・」と治長は反論するが木村重成が賛意を示すことで大野一味の反論は封じられた。信繁と重成の間には暗黙の了解があったのだ。

そこで地響きのような声が降りかかった。

「桶狭間なれば総大将が出るが必定というもの」

身の丈七尺(およそ二メートル)を越える巨人・秀頼が言葉を発したのである。

信繁の目が輝いた。

「なりませぬ」と淀の方が冷たく言う。

「あの折の伯父上は尾張の国主・・・天下人の秀頼殿下とは格式が違いまする。主たるもの軽々しく兵を率いることはできぬものなのです」

「・・・」

母に睨まれて秀頼は押し黙った。もちろん、淀の方の眼力に敵うものはこの城には一人もいなかったのである。

豊臣軍は出陣した。幕府軍の集結地点を道明寺と読んだ信繁は相談の上、奇襲部隊を後藤基次に定めた。出陣順は以下の通りである。先手(伏兵)後藤部隊、次手(陽動)真田部隊、中堅(後詰)毛利部隊、副将(遊撃)木村重成、大将(要)長宗我部盛親である。

五将の連携が絶妙であれば万に一つ成功の可能性がある作戦だが・・・司令官なき戦闘であるからにはそれは死出の門出と同じであった。しかし、将たちの目には冥い輝きが宿っていた。奇襲こそが武将たちの最も心が燃える作戦だからである。

しかし、彼らの一挙一動は逐一、大坂城の西、星田に本陣を構える戦国最大の忍び徳川家康に報告されていた。家康は豊臣勢が出陣したことを知り、くのいちたちにマッサージを命じた。老齢を克服するための準備運動だった。彼は戦国最後の忍び武将として前線に立つ決意を固めていた。

先鋒の後藤軍は大坂城を南下、大和川流域から西へ向い、河内の古墳群を越え、小松山に伏兵をする予定だった。家康が大和国側から進軍することに賭けたのである。

次手の真田軍が背後の道明寺に陣を張り、敵をひきつける間に家康本陣を奇襲する作戦であった。時間を稼ぐために毛利隊、木村隊が交替で参戦し、さらに長宗我部隊が京からの将軍本軍に備えるという作戦である。致命的なのは家康の本陣が大和側ではなく、京側にあったということである。

豊臣軍奇襲部隊は最初から罠に嵌められていた。

しかし、後藤隊は順調に進軍していた。歴戦の勇士である後藤又兵衛基次は背筋に冷たいものを感じていたが・・・もはや後戻りは出来なかった。

後藤隊が展開予定地に迫る頃・・・次鋒の真田隊は予想外の濃霧に包まれていた。

充分に調査をした地形といいながら、一寸先が見えぬほどの霧の発生に進軍速度は急速に低下していた。

もちろん、発生源は霧隠才蔵である。彼はすでに五代目服部半蔵を襲名していた。真田忍軍に身を投じていたこの伊賀忍者は最初から徳川家康の忍びだった。

その半蔵にひっそりと近付くものがあった。

殺気を感じた半蔵は一の太刀を危うく交わした。

「才蔵・・・裏切りか・・・」

「これは・・・幸村様・・・なるほど・・・この才蔵の秘術・・・あなた様には通じませんでしたな」

幸村は盲目の忍びである。永遠の闇を生きるものにとって霧など単なる湿り気にすぎなかった。すでに・・・才蔵は遁走に移っていた。幸村はそれを追わず、真田軍を先導するために自軍に向かっていた。才蔵は幕府本軍先手・藤堂高虎に報告するために楠根川を越えた辺りで息絶えた。一の太刀を放ったとき、幸村は必殺の含み針を才蔵に吹いたのである。痛点をはずしているため・・・才蔵はそのことにまったく気がつかぬまま生涯を終えた。

真田信繁がようやく道明寺に到着した頃、すでに石川を越えた小松山では後藤軍三千が大和口の徳川別働隊に発見され包囲されていた。先手指揮官・水野勝成(家康の甥)軍三千、本多忠政軍五千、松平忠明(家康の孫)軍五千、伊達政宗軍一万、松平忠輝(家康の六男)軍一万、あわせて三万三千に包囲され重厚な射撃を浴びせかけられた後藤軍は一瞬で消滅していた。

真田軍一万が待ち伏せ予定戦場の道明寺に到着した時、徳川別働隊はおよそ二万が石川を越え、真田軍を待ち伏せていた。

「おのれ・・・」歯軋りをした真田信繁の残り少ない奥歯が一本抜けた。誉田古墳を間ににらみ合った両軍は真田の前衛部隊が一斉射撃で倒れた後は乱戦となった。

真田の鉄砲忍びは無敵の強さを示したが、相手は伊達政宗の騎馬鉄砲軍団である。真田旗下の渡辺糺、福島正守(福島正則の庶子)、大谷吉久(大谷吉継の長男)、細川興秋(細川忠興の次男)などの諸隊も奮戦したが、連携は悪く、各個撃破の様相を呈し始める。一万が七千になり、七千が五千になり、五千が三千となり、真田の赤備えを密集させた信繁が方円陣を組み直し討ち死にの覚悟を決めた時、北方から明石全登隊二千を伴った毛利勝永軍三千が到着した。

敵増援を察知して、そこそこ損耗した伊達軍は後詰の松平忠輝軍を前進させるために兵を下げる。

この機に真田軍は残兵をまとめて毛利軍と合流する。

勝永「一大事じゃ・・・家康はこちらにはおらぬ・・・」

信繁「何・・・」

勝永「そちの影武者の通報じゃ・・・」

信繁「ではプランBで・・・」

勝永「長宗我部隊が囮となり、木村隊が星田の家康本陣を目指したぞ・・・いかがする」

信繁「戦術的退却をしつつ・・・長宗我部に合流しましょう」

その頃、木村隊は真田忍軍の手引きで幕府本軍先手の藤堂高虎五千をやり過ごし、八尾から若江へ進軍、星田の家康本陣を目指していた。

後方ではすでに長宗我部軍五千が藤堂隊と互角の戦闘に突入している。

長宗我部盛親は本陣を長瀬川の西に構え、先手で藤堂軍と対峙していた。藤堂高虎は玉串川の東に布陣し、各方面に放った忍びの情報を分析している。全員が忍びで構成された藤堂軍団は一族を長とする小部隊を多く持つ。

囮として持久戦体制の長宗我部軍とは実にかみ合わない戦になっていた。

およそ二千の長宗我部軍先手は敵影を求めて前進するが、藤堂良勝、藤堂高刑、藤堂氏勝、藤堂高吉らは基本的に押せば引き、引けば押す斥候戦術を展開する。

長宗我部軍は相手の手応えのなさに「まるで野犬を追い散らしているようじゃ」と嘆くのだった。じれた長宗我部盛親はついに全軍を押し出すが、しとめられたのは藤堂高刑の一部隊だけだった。

その頃、木村重成は奇襲するどころか、幕府本軍次鋒の井伊直孝隊に若江村で捕捉され戦闘に引きずり込まれていた。木村隊五千、井伊隊五千と戦力は互角だったが、すでに榊原康勝、小笠原秀政、丹羽長重、仙石忠政、諏訪忠澄、保科正光など幕府本軍の後続部隊が接近していた。

奇襲攻撃の失敗は誰の目にも明らかだった。

木村旗下の浪人兵たちは脱走を始めていた。

木村重成はつなぎの忍びとして遣わされている真田の忍び・穴山小助を呼んだ。

「もはやこれまでじゃ・・・真田殿に先に参ると申し伝えよ」

「ここは退いて・・・お城に戻られては・・・」

「ふふふ・・・この策、秀頼様に献上したのは拙者でござる。おめおめと城には戻れぬ」

「木村殿・・・お供しますぞ・・・」

「そなたは・・・」

「この三好清海入道・・・天文年間から戦に染まりてはや70年・・・このあたりで死に花を咲かせとうございます・・・」

穴山小助は目を見開いた。「じいさん・・・齢八十を越えているのかよ・・・一体いくつなんだ」

清海「忘れたわい・・・」

先頭をきって飛び出した清海に井伊の赤備えが襲い掛かる。清海は群がる敵をちぎってはなげちぎってはなげ豪快無双に暴れまわるがふと息切れした瞬間に無数の槍に串刺しとなる。清海の心に秀吉や信長など様々な武将たちの面影が蘇る・・・最後に浮かんだのは父・三好政長を討った三好長慶の顔だった。

清海の切り開いた進路に続き、木村重成と彼の旗本隊が騎馬突撃を開始する。目指すは玉串川の東に布陣する井伊の本隊である。しかし、井伊隊から一斉射撃の轟音があがると人馬の一団は玉串川の川面に潰えた。

木村隊の消滅を知った長宗我部盛親は退却を決意した。

八尾を目指す真田隊の元へ・・・穴山小助がたどり着いた。

「なに・・・木村は討ち死に・・・長宗我部ははや・・・退いたとな・・・わが事破れたり」

真田隊は仕方なく大坂城に撤退した。その真田隊を左右から幕府本軍五万、別働隊三万が追撃する。

豊臣軍奇襲部隊はほとんど壊滅状態で城にたどり着いた。敗報を聞いた浪人衆は続々と脱走し・・・大坂城に残るのは一万にも満たない人数となった。

浪人衆はもちろん大坂城下で略奪を行い落花狼藉の騒ぎがあったのである。

信繁は城には戻らず冬の陣で家康本陣となった茶臼山に上る。

大助(信繁の子)「父上、いかがなされるのです」

信繁「末期の茶を喫するのよ・・・大御所の御殿がそのままになっておるわ・・・」

しかし・・・そこには略奪後の廃屋があるばかりだった。

やがて大坂城周辺には幕府軍の兵が満ち始めた。真田信繁の最後の突入によって家康は切腹を覚悟したという伝説があるが・・・20万人の大軍の背後におり、無数の忍びに守られた家康に総勢一万手勢千人の信繁がたどり着くことは到底無理だっただろう。

家康から指揮権を委ねられた将軍秀忠は粛々と軍を進め・・・豊臣家を滅亡させた。

真田ら武将は最後の一戦を挑みほぼ全員が討ち死にを遂げた。

その間に秀頼一族は残った火薬を集め爆死して果てたのである。千姫は自力で脱出した。もちろんくのいちだからである。

略奪を楽しみにしてきた軍兵たちはすでに浪人衆が奪うべきもの、攫うべき人を根こそぎ略奪してしまった後であることを知り落胆した。

秀頼の巨大な焼死体を検分した家康はその夜のうちに京に戻った。その夜は大雨が降ったという。季節は梅雨だった。

大坂城の焼け跡の一角がこそりと動き、闇夜の雨の中に亡霊のような人影が現れた。

たちまち雨が泥を洗い流す。そこには一糸纏わぬ姿の淀の方が立っていた。

その前に一人の老女が現れる。

「初音か・・・・・・」

「お久しゅうございます」

「・・・不死の体とはつくづく面倒なものじゃのう・・・」

初音は黒く染めた小袖を淀の方に着せ掛けた。

「ふふふ・・・忍び装束か・・・はじめて纏うぞよ・・・」

「鞍馬の山に・・・お方様のようなくのいちの里がございます・・・」

「そうか・・・なるほどの・・・人はなかなかに一人にはなれぬものじゃな」

「では・・・参りましょう・・・」

二人のくのいちは一瞬で闇に消えた。幾千幾万の死体の上にただ雨がふりそそぐ。

関連するキッドのブログ『第46話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (12)

2009年11月22日 (日)

汝の隣人を愛せそして弱みを握れ(尾野真千子)ママはプリンセス(志田未来)父子相克の巻(三浦春馬)

かって大人は大人だったし子供は子供だった。

しかし子供の国では大人も子供だし子供はもちろん子供だ。

大人は子供のままでそれを恥じることもない。

そんな国がいつまでも滅びないはずはないだろう・・・と思うのだがそうとは限らなかったりして。

で、『小公女セイラ・第6回』(TBSテレビ091121PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・吉田秋生を見た。もちろん、この場合は謎の学園・聖ミレニウス女学院の院長・千恵子(樋口可南子)が乙女心に支配された成人女性であることは言うまでもない。今回はセイラ(志田未来)のとった行動を少女時代の千恵子(溝口まりも)がとっていたという離れ業でどんな人にも美点はあるという予定調和の伏線をはったわけだが、とにかくセイラの国籍がどこにあるかは不明だが、セイラが孤児になった時点でしかるべき役所にしかるべき保護の申請なり手続きなりを進めるのが大人というものだろう。そんなこと言ったらドラマにならないと言われるかもしれないがそこをしかるべく作るのもドラマのテクニックである。まあ・・・そういう言わずもがなのことを言うのは子供の証拠だけどね。

とにかく富豪の男(安田顕)がやってきて学院に幼い娘(春日香音)を預け、その子守りのために学院追放の執行猶予を得たセイラだった。子供ながらやや大人のかをり(忽那汐里)はポッキーの分際でセイラに「他人と距離を置くこと」を推奨するが神との不義密通の子を宿した聖母マリアに例えられるほど唯我独尊のセイラにそんなこと言ったってムダなのである。セイラは子供のくせに大人を説教して大人の仮面をかぶった子供に激しく顔面を殴打されるのだった。

そしてどんなに子供であろうとも金さえ出せば王様だと「銭ゲバ」の名残を感じさせつつ・・・このしょうもない物語は続く。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『サムライ・ハイスクール・第6回』(日本テレビ091121PM0930~)脚本・井上由美子、演出・佐藤東弥を見た。人間の能力には差異があるというのが神の作った掟である。その差異の存在と折り合いをつけるか否かが子供と大人の境界線であるという考え方がある。そういう意味では望月一家は全員子供であるが・・・唯一、子供のフリをしている大人が小太郎(三浦)の妹・優奈(大後寿々花)であることはほぼ確定であるだろう。父親の失職に際し一瞬我を忘れたフリをして「せっかく勉強してきたのに大学進学もままならないのか」と絶望して号泣するのは親の不甲斐なさと自分の不運を嘆く正当な自己表現であり、そんな子供じみた行動をエンジョイしているのである。目は醒めている。やがて兄が「俺が働いて学費くらい稼いでやる」と宣言すると「まるでお兄ちゃんみたい・・・」と優しい表情を作るが兄にそんな甲斐性はないと見抜いているので目は醒めているのである。やがて父と子がお互いの鬱屈をぶつけ合うチャンバラごっこを始めるとフッと笑いながら出来の悪い人間に対しての惜しみない憐憫を示すのである。なんていうか小林聡美っていうかだ。もはや作品の中身はどうでもいいが大後寿々花の出番が多くて良かったよ。まあ、我が家には中学生くらいで父親の入浴中を襲撃して半殺しにするくらいでないと父親に男として見てもらえない家風があるのでなんともいえないが。

で、『外事警察・第2回』(NHK総合091121PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・吉村芳之を見た。実際には存在しない建前の警視庁公安部外事第四課(ウラ)をドス黒く描く物語である。ちなみに第一~三課(オモテ)は実在します。外交官でテロリストの手先であるラモンを現行犯逮捕した住本(渡部篤郎)は心に哀しい殺意を秘めた非情のライセンスを持つ闇の刑事である。

ウラの仕事は諜報活動である。任務の主目的は外国人による犯罪の防止と摘発だがその重要な課題はテロリズムによる事件を未然に防ぐことにあり、そのためには手段を選ばず超法規的な業務を日常とする。

諜報活動は情報の収集と分析を伴うが情報の収集には盗聴や監視はもちろん、潜入操作も辞さない。情報を得るには情報をある程度与える必要もあり、そのための資金も秘密に用意されている。対人的要素も強いため「協力者」と呼ばれる民間の下請けを雇用する場合もある。

もちろん、情報屋と呼ばれる業者を利用することもあるが事件関係者をなだめすかして協力者に仕立て上げることもある。一般的には「協力者」とは手先の美名であり、要するに使い捨ての端末ということである。

渡部は闇の世界であるが家庭を持っている。渡部は妻(奥貫薫)にもウラの世界の人間であることを隠蔽しているが妻は住本の正体を知っている模様。おそらく敵対する外国の諜報機関の手先なのであろう。

住本の言う「おともだち」という名の協力者となることを求められたラモンは住本に家族を人質にとられたために追い詰められ承諾する。しかし、直後に暗殺されてしまう。

その失点をオモテのリーダーである倉田(遠藤憲一)は追求するが住本はサラリとかわす。

住本はラモンの残した手がかりから調査を再開する。協力者の一人で身重の日本人妻(遊井亮子)をかかえる不法滞在外国人に危険な橋を渡らせ海外送金のための地下銀行の存在をチェックするのだった。

地下銀行経営者をマークするウラ。しかし、テロリストらしき人物と接触寸前、オモテの不手際で本命の確保に失敗するウラ。

正体不明のテロリストfishにつながる外国人向け飲食店経営者ジュリオ・ロッシ(チェホ・イムレ)だけが唯一の手がかりとして残る。

ジュリオと親しい理髪店の女主人・下村愛子(石田ゆり子)と交通課勤務時代に知遇を得た松沢陽菜(尾野)はそのためにウラにスカウトされたのであった。

交通事故によって植物人間となった夫を介護しながら一人で理髪店を経営する愛子に陽菜は同情していた。

陽菜は先輩でありウラから抜けた五十嵐(片岡敬子)に相談を持ちかける。

五十嵐「よしなさい・・・あなたに協力者のコントロールは向かないわ」

陽菜「もし・・・私が手を引けば住本主任はどうするのでしょう」

五十嵐「どんな手段を使っても・・・彼女を協力者に仕立てあげるでしょうね」

陽菜は住本の魔手から愛子守るためにあえて自分が彼女を協力者として使うことを決意する。

しかし・・・陽菜にアドバイスをした五十嵐もまた住本にコントロールされた協力者であったのだ。

まんまと住本の手にのった陽菜は愛子に対する簡単な仕事の依頼に成功する。

だが・・・それ以上の仕事をするかどうかは愛子の自主性を尊重するべきだと陽菜は考える。

しかし、陽菜とともに愛子を訪問した住本は大金を見せられても協力を拒む彼女に・・・。

「あなたは協力者としてそんな大それた行動は出来ないという。しかし・・・かってあなたは不倫をしてそれが結果としてご主人を植物状態にする事故につながった。あなたはすでに大それたことをしでかした人間じゃないですか」

陽菜の制止を振り切って愛子の心の闇に踏み込む住本に陽菜は暗澹とした気分になる。

「もう・・・彼女を協力者として使うのは無理じゃないですか・・・」

「そうかな・・・彼女を苦しめているのは心に潜んだ闇なんだぜ。その闇を一緒に身に纏い・・・ともに暗がりに潜まなくて本当の協力なんて得られないものさ・・・お前が一緒に闇に落ちなければ・・・彼女の命を自由にする権利も生れないのだ」

「な、何を言ってるんですか・・・」

「それが・・・ウラの仕事なんだよ・・・」

よりドス黒くつづく・・・である。ちょっと痺れてきたぞ。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)『永作博美のいのちの島』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2009年11月21日 (土)

熱愛報道の罠って自分たちもであります(仲間由紀恵)なんとなく嬢王V08(原幹恵)

朋(黒川芽以)が復帰するだけですごくステータスのあがる嬢王なのである。結局、ビキニにフィットしない体型になってしまったのか・・・「猿ロック」の智花のように玉砕して果てるのも味があるのに。

もう二人とも暗黒面が使えるのだから悪いコンビでダブル黒川が見たいな。まあただそう願うだけですが。

一方、熱愛相手として微妙な選択の仲間である。もちろん、この場合、田中に選択権はないが・・・哲司でなく要次だったら爆笑のインパクトだったよな。どんな変態プレーをしているのか妄想するだけで眠れなくなりそうですから。

で、『アンタッチャブル・第6回』(テレビ朝日091120PM9~)脚本・橋本裕志、演出・常廣丈太を見た。誰かが支配している幻想というものがある。しかし、それは個人的な問題だったりする。野党から見れば与党は支配者である。しかし、自分が与党に支配されていると自覚しない野党関係者は多いだろう。たとえば独裁者という幻想もある。独裁者の側近であろうと名もなき一市民であろうと独裁者には支配されていないと考えるものはあるはずだ。

しかし、ある程度の民主主義が確立していて国民の自由と平等が保障されていても政府に支配されていると感じる人もいるわけである。

もちろん、奴隷のように支配されたがっている人もいるわけである。

この支配から卒業したいと考える人間はまず支配されていると考えるわけだ。

もちろん、支配するのは人でなくてもいい。金が支配する場合も多いし、神が支配する場合もある。人に支配されることを拒絶する人もそういう人以外の支配は受容したりもする。

個人的な問題ということはそういうことである。

基本的に誰からも支配されたくない人間はそう考えるだけで自由の身なのである。

しかし・・・実際には人間は支配したり支配されたりしているという幻想があるのである。

たとえばオウム真理教事件で信者となった子供たちを信者でない親たちが・・・教団に子供を奪われたと主張するのは・・・子供の支配権を奪われたと親たちが考えていると認識することができる。その場合子供たちが親の支配を逃れて教団に自由を求めたとも言えるし、親の支配よりも教団の支配を選択したとも言えるし、あるいは子供たちは最初から誰にも支配されていなかったと言うこともできる。

個人的な問題というのはそういうことである。

だが・・・何者かに支配される恐怖というのはかなり普遍的なものだ。そこに恐怖がある以上、それはエンターティメントとして成立する可能性がある。

一方で支配されることの安心も普遍的である。親の愛を受けて生育したものならその安心感がかなり甘美であることは明白だろう。

支配には二つの顔があり・・・それがユートピアが常にディストピアとしての側面を持っていることに通じていく。この両面性を受け入れることが人間の支配に対する適度さを作るのである。

たとえば君臨すれども統治せずの王政が比較的穏やかな民主主義を作ることはイギリスや日本を見れば明らかである。

人間の平等を謳う社会主義が獰猛な全体主義になってしまうことは中国やソ連が示している。

逆に絶対民主主義のフランスやアメリカ合衆国が防衛としての侵略戦争に国民を狩り出しても誰も拒絶できないのは民主主義の限界を示している。少数者は多数者に支配されるしかないからだ。

そういう世界において・・・誰かが支配されることを望まぬものを支配しようとすること。

それが陰謀である。

少なくとも・・・現在の日本では自己責任を拒絶し・・・責任を負わないですむ支配を求めた国民が多数派となっている。そういう人々は官僚の支配から逃れることと自己責任から逃れることを同一視していると言えるだろう。

もちろん・・・そこに危うさを感じるかどうかは個人的な問題である。

しかし、さすがに新興宗教の支配する党が一党独裁で政権与党になることはないだろう・・・と多くの国民は考える。かってそういうジャンルに属する党が政権与党にいたことからは目をそむけつつである。

今はガマガエルの親分が鶴の一声を発する政党が与党であるにもかかわらずだ。

我こそが神の国の王だと武道館で演説したりする党首の党には一議席も与えていないという自信を持ってなのである。

そういう国民にこのドラマはチャレンジしているわけである。

誰もが賞賛する慈善を行い、社会から尊敬される地位があり、世の中を正しく導く以上、人命を尊重するかしないかの選択権は自分にあるという男が国家を支配するのはイヤだという国民に・・・そうなったらどうします・・・と誘いをかけているのだな。

まあ・・・それが・・・そういうこともあるかもなあと思えるかどうかがこのドラマを楽しむポイントなのです。

キッドは謎めいた死以外、どんな支配も受け付けない体質なので感情移入する相手は永倉(寺島進)になるわけですが・・・ほとんど正体を見せないので感情移入がしにくいです。

人々に情報を与えることで人々を踊らせ間接的な支配を目指す名無しの権兵衛。

その正体を追いかける三流週刊誌の記者・遼子(仲間)。

深まっていく名無しの権兵衛の背後に永倉がいるという疑惑。

与えられたヒントは「名無しの権兵衛」は身近にいるということだけ。

最初の容疑はおタクな記者の城之内(酒井敏也)に向けられるが・・・その疑いは晴れる。

仲間は永倉を庇う様々な工作を実現してきた編集長(田中哲司)が怪しいと感じ始める。

そんな編集長が指示する今回の取材対象は「実力が疑問視されながら聞くものを失神させるほどのコンサートを行う美人姉妹演奏家」だった。

姉・春果(桜井淳子)、妹・千夏(雛形あきこ)である。

最初は高額すぎる家賃の住居に対する嫉妬のあまり美人姉妹による陰謀を疑った遼子だったが・・・美人姉妹が与党・野党の大物議員と交際し、かつ選挙に立候補するという事態となったとき・・・二大政党双方に打撃を与えるスキャンダルが作られたことに気がつき戦慄する。

美人姉妹もマスコミも手玉に取られていたのである。美人姉妹も知らないことだったが熱狂する聴衆はすべてサクラだった。ついでに長州力もサクラだった。

やがて・・・美人姉妹と交際中の議員が二人そろって不審な死を遂げ・・・マンション住民全員が永倉傘下であることを示す虹の羽根グッズを着装していることに気がつく遼子。

しかし、「むひょー、なんてムダに大掛かりなことを」とはツッコミをいれない遼子。

いれるべきではないのか遼子。

一方、実は傘下の一員だった編集長は・・・かって永倉がヤクザの手から自分を救い出した件が「やらせ」であったことを知り、反撃の狼煙をあげるための単独取材をしていた。

「お前は一流の三流週刊誌の記者だ」と明らかな死亡フラグをたてて資料を遼子に託す編集長だった。

永倉に痛撃を与えるための記事を書き下ろした遼子である。

しかし・・・アンタッチャブルの発刊日に・・・編集長は「記事は誤報であり謝罪する」というメッセージを残した後で水死体として発見される。

そして・・・遼子がストーカー的に片思いする遠山(要潤)の父親(深水三章)が美人姉妹スキャンダルの仕掛け人であったことが示されるのである。

遠山も怪しいが、永山資金の恩恵を受けた同僚の鷹藤(佐藤智仁)も怪しいし、兄の鳴海刑事(小澤征悦)も怪しい。そしてアンフェアだけど遼子だって怪しい今日この頃です。

とにかく汚れた二大政党を追い落とすべく新党を旗揚げする永倉だった。実にオーソドックスな光あるところに影がある・・・という展開である。

関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

で、『嬢王Virgin・第7回』(テレビ東京091114AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・植田泰史を見た。愛しい人のラブレターをいじめっ子にとりあげられて「返して~」と追いかける舞(原幹恵)。もう何度思ったことだろう。ハニーフラッシュしちゃえばいいのにと。「怨み屋」のスペシャルが出来るならお正月とかに「キューティー・ハニーTHE LIVE SP」やってくれてもいいよね。

復活した朋(黒川芽以)は雨宮(永田彬)に「桐島の弱み」を知っていると宣言する。

大物議員・桜木と興行界のドン・桐島(大河内浩)の癒着の証拠を握れば桐島に首根っこをつかまれた雨宮にとっては喉から手が出るほど欲しい情報だった。

朋の交換条件は「嬢王グランプリ」のエスコートとしての復活である。

死んでいた私を生き返らせたのは憎しみ・・・その憎しみの炎を消そうとする舞は私の敵」と断言する朋だったが・・・その真意はまだ隠されているニュアンスがある。

雨宮は意味ありげに「気をつけろ・・・憎しみは愛の裏返しだからな」と告げる。

一方、亜美(麻美ゆま)の画策で舞に対する疑惑を誘導される桐島の娘・香織(かでなれおん)は雨宮の愛を探り始める。雨宮はごまかそうとするが婚約指輪をはずしていることを無視されたと感じた香織は見当違いの嫉妬の炎を燃やすのだった。

「そう・・・彼女たちは男の気をひくプロフェッショナルですものね」

場面変わって嬢王になるために加藤店長(津村知与支)を誘惑しようとする亜美。しかし・・・店長は「実は亜美さんは最初から対象外なのです」

亜美「私が・・・咬ませ犬」

その頃・・・舞は桜木議員の息子であり、優衣華の兄である貴史(大口兼悟)に傾いていく心を止めることができない状態だった。

一度は「君を利用していただけだ・・・」と舞を拒絶した桜木だが「特別な思いを止めることができない・・・」と舞を誘い出す。ものすごくバカヤローだ。

ついに明かされる兄妹の関係。

「私の父親は・・・優衣華の母親を愛人にしていた。ホステスをしていた彼女の存在が邪魔になった父親は手切れ金を渡そうとしたが・・・彼女は受け取らない。そこで私は父の命令で彼女の店を潰して・・・彼女を自殺に追い込んだ。そしてまた今回も・・・妹である優衣華の夢をつぶそうとしている・・・だって愛人に生ませた娘が嬢王になったなんて・・・父には命とりのスキャンダルですから・・・しかし・・・優衣華には心からすまないと思っている」

突然、どこからともなく出現する優衣華(原紗央莉)・・・。

「何が・・・謝罪よ・・・この偽善者が・・・私は絶対に許さない・・・そしてこの男に味方する舞も絶対につぶす」

兄と妹の恩讐の彼方に立ちすくむ舞だった。

しかし・・・貴史への情熱に火がついた舞は身も心も奉げる決意を固める。

タ、タイトルがVの部分が崩壊ですかーっ。

しかし、もちろん、ブラ紐が撫でられる如く、つつーっとつづくである。

ついでだが・・・何故か朋のターゲットは香織になっている。

香織「こんなところに呼び出して・・・何のつもり」

朋「私は・・・あなたの秘密を知っているのよ・・・あなたが誰にも知られたくない秘密を・・・

朋の手は香織の股間にある秘密の場所へ伸びていくのだった・・・それは解釈が違うだろうっ。

本日お店・・・休みかよっ。間奏曲なんだな。さすがに名言もネタが切れてきたかなーっ。

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (3)

2009年11月20日 (金)

疾しいことは何もないと目をそらす(唐沢寿明)あの方はお元気ですかと釘を打つママ(多部未華子)

世界情勢とホームドラマの落差激しいエリアである。

どうしようもないドラマとして評判の高い「東京DOGS」と重厚さが仇の「不毛地帯」が全くかぶるポイントがある。

壹岐家

家長・正(唐沢寿明) 妻・佳子(和久井映見) 娘・直子(和久井映見) 娘の恋人・鮫島倫敦(石田卓也 )

高倉家

家長・奏(小栗旬) 母・京子(田中好子) 妹・カリン(川口春奈) 妹の恋人・中谷祥太(吉村卓也)

家長というものは基本的に家族の恋人に対し闖入者的なものを感じ敵愾心を抱き不機嫌になる。

しかし・・・そういう時期をすぎれば・・・原型であるあの家のような平穏が訪れる・・・。

磯野家

家長・波平 妻・フネ 娘・サザエ 娘の夫・マスオ

フジテレビはそういう幻想をなんとなく肯定する局である。

まったく関係ないが味の素のCMで小栗旬の妹といえば川島海荷であり、NTTドコモのCMで田中好子の娘といえば成海璃子である。人間は量的にも情報を認知するので小栗の妹で田中の娘を演じる川口春奈のプレッシャーは大きいと考える。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%↘*9.9%↗11.8%↘10.7%

②大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%↘*9.6%→*9.6%↗10.6%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%↘*7.8%↘*7.6%↘*6.0%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください。

志田未来をみるとなんとなく杉田かおるでも安達祐実でもなくチャコちゃん(四方晴美)を思い出す・・・。

ちょっと舌ったらずだからかな。

で、『不毛地帯・第6回』(フジテレビ091119PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・水田成英を見た。昭和42年(1967年)5月22日、エジプトのナセル大統領はイスラエルの生命線とも言えるアカバ湾封鎖を宣言。中東における緊張感は一気に高まっていた。戦争で儲ける商社の群れはこぞって情勢を見つめ情報を分析する。近畿商事の壹岐常務(唐沢)は東南アジアの豪商・黄(石橋蓮司)との太いパイプ構築のために黄の要求するタンカーの発注を東京商事の鮫島(遠藤憲一)と競合していた。

そんな壹岐が憩いの家庭に戻ると待っていたのは鮫島の息子ロンドンくん(石田)と愛娘・直子(多部)の忍び笑いだった。

壹岐「ふ、不愉快だ」

ロンドン「まあ、お父さん、最近評判のケーキでも如何ですか?」

壹岐「娘とのお付合いはご遠慮願いたいと君のお父上に申し上げたはずだが・・・」

直子「まあ・・・お父様、帰っていらしたの・・・」

ロンドン「どうやら僕たち親同士のケンカの巻き添えになってるみたい・・・」

直子「まあ・・・ロミオとジュリエットみたいで素敵・・・」

壹岐「誰がキャピレットだと言うのだ!」

ロンドン「えへへ」

直子「うふふ」

壹岐は苦虫を噛み潰すという言葉の意味を知った。

一方、ライバル企業だけでなく、壹岐の出世を喜ばぬ近畿商事の副社長・里井(岸部一徳)にも足を引っ張られる壹岐。

里井の暗躍で近畿商事船舶部によるタンカーのチャーターは停滞する。

里井「新聞などの情報分析によるとアラブ有利のために開戦はなさそうじゃないか。第一、45万ドルでチャーターしたタンカーを40万ドルで貸し出したら損失が大きいだろう」

壹岐「それでは営業努力で35万ドルのタンカーを手配すればお許しがいただけるのですね」

しかし、何が何でも壹岐に手柄をたてられたくない里井は大門社長(原田芳雄)にあることないことを吹き込むのだった。

ユダヤの商人・日東交易の安蒜(団時朗)のコネクションでユダヤ系オレンジの輸入と引き換えにユダヤ系の格安タンカーを手に入れる壹岐。

一方、壹岐の部下である兵頭(竹野内豊)は黄に土下座して契約期日の引き伸ばしを頼み込む。

しかし、日東交易の顧問であり裏社会の顔役でもある国際的ロビー活動家・竹中莞爾(清水紘治)が大門社長を訪問したことを里井に利用され・・・タイミングから言って里井の画策と思われる・・・裏社会の介入を嫌う大門に壹岐の行動は悪印象を与えてしまう。

里井はその大門の言動を誇張して壹岐に伝え、日東交易との取引も黄との取引もすべて白紙に戻してしまうのだった。

兵頭「そんな・・・俺たちの不眠不休の努力は里井副社長の横槍一本で一切が無になるのですか」

壹岐「無ではない・・・和なのだ・・・耐えがたきを耐え忍びがたきを忍ぶのだ」

兵頭「・・・大和魂ですか・・・」

黄との契約は東京商事が横取りした。

商談を終え日本を出発する黄の見送りに出た壹岐と兵頭の前に鮫島が現れる。

鮫島「この度は当社をご利用いただきありがとうございました」(ニヤリ)

壹岐「ご期待に沿えず申し訳ありませんでした」

しかし、黄は「これからの国際貿易において壹岐さんの情報分析を頼りにしています」と慰める。そして壹岐贔屓のデ・・・黄夫人(天海祐希)は鮫島と黄の握手を妨害するのだった。

その帰路、壹岐と兵頭の乗る車を追い越す鮫島の車。

鮫島(ニヤニヤ)

壹岐「・・・」

兵頭(運転手に)「負けるな・・・抜き返せーっ」

だが本当の勝負はこれからだった。

壹岐「我々の分析によれば近代化されたイスラエルの軍事力はアラブ諸国を圧倒しています。戦争は短期で集結するでしょう」

戦略家としての壹岐の発案により、開戦後の物価高騰の波は戦後素早く沈静化すると予測して「高値で売り抜ける」作戦を準備する近畿商事。

またしても里井は「新聞などの予想によると長期戦にもつれこむ可能性は大きいようです・・・壹岐の読みを信用して大損したらどうするのです」と横槍を入れる。しかし大門は「わからん・・・」と言いつつ勝負師の勘で今回は壹岐に賭けるのだった。

6月5日、第3次中東戦争開戦。イスラエル空軍は奇襲攻撃により、エジプト、シリア、ヨルダン、イラクのアラブ諸国の空軍基地を爆撃。アラブの空軍戦力を壊滅させ制空権を握ると戦車を中心とした機甲部隊と空軍との連携も鮮やかに電撃作戦を進行させる。アラブ軍は各地で敗走し、6月6日イスラエル軍はガザ地区を占領。6月7日イスラエル軍はシナイ半島を制圧するとともにアカバ湾入り口のチラン海峡を解放。6月8日国連の停戦決議を敗色濃厚なアラブ側が受諾。6月9日エジプトのナセル大統領敗北宣言。6月10日ナセル「戦争は負けたが大統領は辞めない」と涙目で宣言。6月11日戦闘終結。世に言う六日間中東戦争である。

近畿商事は壹岐の作戦通りに物資を高値で売りに転じて大儲け、東京商事を始めとする各商社は調子に乗って買い続け大損害を蒙ったのであった。

鮫島(涙目)「泣いてなんかいないさ・・・煙草のケムリが目にしみただけ」

大勝利に沸く東京商事を他所に壹岐はシベリア抑留者の会に参加する。勝って兜の緒をしめよ・・・なのである。「あの戦争だって最初は大勝利だったのだ」・・・壹岐は不毛の大地に眠る英霊の魂を忘れることができない。

しかし、前線で戦って生き残った秋津(佐々木蔵之介)のように世を捨て反省の日々を送ることもできない壹岐だった。そして、壹岐はまだ知らない。南方の戦線では日本の敗戦を信じず、グアム島では横井庄一伍長(1972年恥ずかしながら発見)、ルバング島では小野田寛郎少尉(1974年天皇陛下万歳投降)が未だに死線をさまよいつつ戦争を継続していたのである。敗戦の日から22年を経たその時もなお・・・。

忸怩たる思いの壹岐だったが、秋津の妹の千里(小雪)の縁談にはなんとなく不快を感じるのだった。

壹岐「・・・」

そんな壹岐の心を読み取ったように釘を刺す妻・佳子(和久井)。

佳子「何かありましたか」

壹岐「いや・・・何もない・・・」

もやもやした壹岐は怒りを大門社長にぶつける。

壹岐「私が立案した作戦を・・・妙な嫉妬心で妨害されるくらいなら・・・肩書きなど無用。あるいは・・・」

大門「もっと出世させろかいな・・・壹岐くんにも娑婆っ気が出てきたか・・・しかし・・・社長の座は渡せんぜ」

壹岐「そこまでは申しません(今のところは)・・・」

短期的視野では短期で終った第三次中東戦争であるが・・・長期的視野に移れば中東の火種は消えることはない。スエズ運河を挟んでにらみ合うイスラエルとエジプトは翌1968年には挑発的な砲撃戦を開始、消耗戦争と呼ばれる長期戦を続けるのである。このためスエズ運河は通行不可となっていく。事態はまだ流動的だった。

その頃、京都大学では自衛官の入学を拒否するという教育の自由をないがしろにする決意を表明。日本の防衛力の弱体化を図る日本国内のソ連軍スパイの暗躍が続いていた。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『尾野真千子の外事警察』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『大橋のぞみのハッピーバースデー』『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)『貫地谷しほりの棟居刑事の黙示録』(テレビ朝日)午後九時にまたもや四つのドラマ激突。勘弁してください。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (5)

2009年11月19日 (木)

医者である前に(藤原紀香)惚れたはれたのケダモノごっこ(本仮屋ユイカ)親が憎けりゃ子も憎い(吉田里琴)

爆笑の連続・・・キッドが今季、一番目が離せないのは「仁」でも「不毛地帯」でもなく「ギネ」だったりして・・・。

しかし、水曜日のダンスは

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・↘17.8%↘17.6%

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%↗12.2%↘*9.5%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%↘*8.0%↘*6.7%

ポーランドに勝った男子バレーの快挙は凄いのだが10.9%である。そのために30分も待たされたらお客は逃げていく。ある意味・・・「ギネ」はそれが最初から想定内の不憫な子・・・。バカな子ほどかわいい法則発動です。

横山めぐみ、いとうあいこを投入して急降下の「浅見光彦・最終章」は編成ミスと言わざるを得ない。

「相棒」はどんなに地味でも右京さんと鑑識さんが見れればそれでいいという人は多いらしい。

で、『ギネ 産婦人科の女たち・第6回』(日本テレビ091118PM1030~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・久保田充を見た。第2話25分遅れ。第4話50分遅れ。第5話10分遅れ。第6話30分遅れである。6回待ち合わせして4回遅刻してくる相手と付き合うのは我慢強い人間と言えるだろう。世の中には遅刻せずにはいられない人間というものがいて定刻通りの人間とか、待ち合わせの五分前に到着がエチケットという人間には考えられないルーズさを感じさせる。ちなみにキッドは遅刻魔だが他人の遅刻は絶対に許さないタイプでございました。この場を借りて関係各位にあらためてお詫び申し上げます。

人間は社会的な動物であり、人間関係は大切だ。その要は「約束」である。

しかし・・・「約束」にも極私的なものから道徳的なルール、そしてがんじがらめのくせに意外とザルの法律まで様々なものがある。

桧口(板谷由夏)は思う。・・・人間には不可抗力というものがある。自分が男にしてやった徳本(八嶋智人)の妻(西田尚美)の死は避けられようのないことだったと思う。医療スタッフは人事を尽くした。それでも天命が非であることがあるのが現実だ。しかし、家族を失った遺族のやりきれなさは理解できる。徳本の妻が信頼していた担当医の柊奈智(藤原)から「死因」を直接聞きたいという徳本の心を慰めることも医師としての仕事と言えるだろう。だからプライベートで徳本と奈智の対話の場をセッティングした私はなんて気がきくのだろう。そこで奈智は「手を尽くしたが力及ばず信頼に応えることができず無念です」と詫びれば徳本の心も少しは救われるはずである。それなのに・・・奈智ときたら。

「もう・・・その件については思い出したくもないのです」

おい、そりゃないだろう的空気読まない態度なのである。・・・え、そういうことになるだろうことを読めない私にも落ち度があったのではないかって・・・えー、私が悪かったって言うの・・・信じられな~い。私が悪いなんてことは100%ないから~。だって私って完璧な女なんだもん。

とにかく・・・奈智の心ない一言に傷ついた徳本は悪徳ゴロまき弁護士・岸本(半海一晃)に唆されて勝ち目の薄い医療訴訟に踏み切ったのだった。

「妻の仇は俺が討つ」という幻想が徳本の生きる原動力になったのである。徳本はレンタル店でドラマ「太陽は沈まない」(2000年)のDVDを借りて滝沢秀明気分にひたったのである。あの時優香は若かったのである。最終回20%越えも夢ではないのだ・・・妄想停止。

産婦人科主任教授・須佐見(國村隼)は顧問弁護士・瀬川(内田有紀)から二つの問題を示される。一つは瀬川の妊娠。一つは医師と病院を相手とした医療訴訟の発生である。

須佐見は妻に先立たれて子供たちもすでに家庭を持っているので・・・問題ないから「子供を生んでくれ」とプロポーズ。

しかし瀬川は「あなたと結婚するのはいいけど子供は堕胎したい。だってこの世の中に生れて幸せになる保証のない子供の親になるのはイヤなんですもの」とダダをこねるのだった。

須佐見「やくざから足を洗って法律家になった君だ。なんでもありだし、なるようになるって分ってるくせに」

瀬川「でも刺青ものがママになってもいいのかな・・・悲しいことにならないのかな」

須佐見「君は僕に神様がくれた一つ目の贈り物だ・・・二つ目の贈り物が君のお腹の中にある。エロゲでも妊婦プレーには根強い人気があるんだぜ。これは今夜は燃えるな」

瀬川「まあ」

・・・いい加減にしとけよ。

須佐見の避妊失敗で愛人関係が明らかになった教授と弁護士の夜の炎上はさておき、奈智とともに訴えられた産科医長・君島(松下由樹)は憂鬱な気分になるのだった。それに追い討ちをかけるように「訴訟のリスクは重すぎる」と離脱する部下の産科医・井本(サコイ)・・・人手不足の産科は地獄の様相を呈し始める。

個人の頑張りではなくチームワークで理想の医療を作っていこうという私の理想はどうなるの。がんばったってムダじゃない。泣きたくもなるじゃない。みんな勝手なことばっかししてどうして私の言うこと聞いてくれないの。もう、やだあ。私もやめちゃいたい~。

「そんなことされたら俺の立場がないじゃないか」と必死に君島を慰める医局長・藤木(近藤芳正)・・・ナース小山(鈴木美恵)と不倫中の藤木だが体を張っても君島をつなぎとめようと決意するのであった。

一方、院長の娘である嶋えりな(本仮屋ユイカ)は父親から「リスクの高い産婦人科は縮小したいから米国留学でもしろ」とレールを敷かれ真夜中の電話で意中の人・玉木(上地雄輔)に相談を持ちかける。「あなたが行くなって言えば行かない」と意味不明の束縛を要求するえりなだっだが、玉木から携帯電話をもぎとった玉の輿狙いの助産師・木村(映美くらら)は「私たち一緒に暮らしているので真夜中にプライベートな電話をかけてくんなって言っとくわ」と火花を散らすのであった。

ああ・・・このドラマはもはや完全に性の荒野に向かって脱線する急行列車です。

もう、お茶の間としてはいつ転覆するのかと手に汗握って見守るしかありません。

ファンタスティックというよりはエキセントリックです。

てんやわんやの病院での訴訟騒ぎの原因が自分の余計なセッティングにあったことから目をそらす桧口は全開バリバリの空元気で人材不足を埋めようとしますが体力にも限界がありふらふらに。ごめん・・・キヨタン・・・ママもうダメかも・・・という心情に・・・ドラマが違うぞ。

産科は大混乱だが、体は大人だが心は幼児の奈智は婦人科医長で女性選科のセラピスト・榎原の元で再教育という名の心の育てなおしというか、再訓練というか、調教を受けている。

柊、榎原、桧口はひいらぎ、えのき、ひのきと材木シリーズです。

これに準じるのが玉木と藤木の三角関係コンビになってます。

心の調教師である榎原は手頃な末期ガン患者の三井さやか(永井杏)の「生と死」を道具として利用。奈智の肥大化した自我と患者の死によって混乱した情緒を最適化しようと試みます。

娘の死と真摯に向き合うことのできないさやかの母の理不尽な態度こそが「奈智そのもの」と指摘された奈智は榎原の言葉の鞭で調教されつつあった心の反動で・・・理不尽な母親の犠牲としての娘さやかに同調します。

「母と娘」がかって一心同体であったように「生と死」も実は同じものである。

この真理をさやかから聞かされた奈智はいつしか「母殺しの呪縛」から解放され始めるのだった。

榎原は奈智の心を修復するために道具化したさやかをコントロールするため添い寝も辞さないのだった。

もちろん、そのためにさやかは榎原に恋をするのである。

心理も情報にすぎないため、それをコピーして複写(転移)することは可能である。

榎原のレシピは次のように展開する。

理不尽な母に殺される娘さやかというストーリー。理不尽な母と奈智の同化。さやかと奈智の同化。さやかが死を受け入れることに同意する奈智。さやかが理不尽な母を許すことに共感する奈智。これによって奈智は母を殺した自分の宿命を許容し・・・許されざる自分自身を許すことができる。

自分を客観視することができない奈智にさやかを同化させることによって「死」を擬似体験させた榎原は・・・奈智の心に吹きあれる「死への恐怖」をなだめたのだった。

しかし・・・副作用として・・・不在の父親としての恋人をさやかに対して演じた榎原はさやかに恋をされ・・・さらにさやかに同化した奈智は恋人としての父親として榎原を認知してしまったのである。

心理操作恐るべしだな。

おそらく奈智の幼児性を知らずに奈智と結婚し、子供まで設けたのにどこかで那智の幼児的癇癪玉を踏んで未だに激怒されている元夫の血管内科医・隆弘(長谷川博己)別れた妻をひそかに監視しているらしく・・・「榎原先生への恋に燃えてもいいけど自分の子供がいることを忘れるな」と哀願してまた癇癪玉を踏んでしまうのだった。

さやかの死を看取り・・・母親に主治医として「娘さんの最後の言葉は・・・ママでした」と慰めの言葉をかける能力を獲得した奈智を見て「子犬の躾」が終ったことを判断する榎原。

産科への復帰を奈智に告げるが副作用で小学生のように榎原に盲目的な恋をしている奈智は榎原の側から離れることはできないのだった。

ナースからコーヒー・サービスを受ける榎原に父親に対する独占欲的嫉妬の炎を燃やす奈智。しかし、そのコーヒーを横取りして間接キスをすることで小学生的な恋は海よりも深く充足するのだった。

「あなたと一緒に飲んだコーヒーの味」を恋の思い出として榎原への思いを封印した奈智は「徳本の妻の死以前の・・・現在に比べれば安定した自分」を取り戻す。

結局・・・榎原のカウンセリングは効果があったのかどうか不明なのであった。

いや・・・桧口に「徳本家の家族について話がある」と語りだしているので紙一重の成長は観測できるのであるな。

一方、父親の案じる通り、母親の暴走のとばっちりを受ける奈智の息子(中村柊芽)は母親譲りの表現力不足で・・・顔見知りの徳本の娘・優美(吉田里琴)に「(お姉ちゃん覚えている・・・)ものすごい医者の母親(の子供のボク)だよ」と話しかけ水を浴びせられて泣く羽目になるのである。

そういう神々のものすごい心理状態を預り知らぬ徳本は男ヤモメに蛆がわく暮らしの中で「子供にやつあたりしちゃダメだぞ・・・お母さんの仇はお父さんが必ず取るから・・・まかせておいてくれ・・・お前はいい子にしてくれよ」と甘い見通しを語るのだった。

はたして・・・優美は母のようなお惣菜屋さんになるのか・・・母の仇である奈智のような女医になるのか・・・それともやさぐれて刺青を入れたあと一念発起して弁護士になったりするのかは天のみぞ知るしこのドラマはそこまで描かないことは確実である。

ただ吉田里琴の顔の整い方は半端ないということだけがこの世の真理である。

とにかく・・・産科に復帰した奈智は何事もなかったように業務を開始。地獄にあれば鬼も仏とばかりに開放感を感じる医療スタッフ一同なのである。そして・・・奈智贔屓のえりなは面白い玩具の復帰に謎の微笑みで応じるのだった。

ギネ・・・ものすごく対象限定だけどものすごく面白いと考えます。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ) 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (4)

2009年11月18日 (水)

あれはウソですよ(戸田恵梨香)世界で一番バカな女にだまされる男って(松田翔太)

どんなに女がバカでもそれに騙される男がいる以上、世界一のバカは男に決まっている。

絶対で永遠で必勝法的真理なのでございます。

・・・それはお前がバカな男だからだろっ。

前作を見てないとちょっとわかりにくいのではと思える場面がありますな。

基本的には神崎直(戸田)は世界で一番バカだけど天使。

「ライアーゲームに招かれたかわいそうな人たちを救済したい」と願っている直。

直のことをバカだと思っているが欲に目がくらんで最後は墓穴を掘るのがキノコこと福永(鈴木浩介)・・・。

そして「俺には関係ない」と言いつつ結局、直のピンチを救う秋山(松田)・・・。

これが「ウソゲ」のお約束です。

おっと忘れてた。火曜日はドラマ対決の日。①「ウソゲ2」↘11.1% ②「リアクロ」↘*8.9%

昨日・・・みんなおでかけしてたのか?

で、『 2・第2回』(フジテレビ091117PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・松山博昭を見た。人間関係のふりなおしも甘いところがあるが、得点経過の描写もやや曖昧である。ひょっとしたら狙いなのかもしれないが、ゴールデンタイムではよりわかりやすさが求められるので両チームおよびゲームを運営する事務局の獲得賞金は念入りに示した方がいいだろう。

ライアーゲーム四回戦は団体戦。先鋒戦「24連想ロシアンルーレット」(24連発のリボルバー(回転式弾倉拳銃)に3発ずつ計6発の弾丸を込め、交替で発砲。発弾(空砲)で死の代償としてチップ50枚(5000万円)を相手側に支払う。)の続きである。

直「このゲームには事務局(ディーラー)の罠が仕掛けられているんです。だってファイブ・パスで流れになると事務局に3100万円回収されちゃうんです。10回流れたら合計3億1千万円でボーナス3億円は1000万円の赤字なんですよ」

秋山「そんなことはキノコにも分っている・・・それに四回戦が先鋒戦・中堅戦・大将戦の三度の勝負で争われるってことは事務局は流しを四回すれば先鋒戦の事務局回収額1億2400万円でノルマ達成なんだな・・・しかし・・・この勝負はもうキノコの勝ちなんだ」

直「どうしてですか・・・もう死んだようになっているブタ坊主こと西田さんはきっとパスし続けますよぉ」

ある意味、観察力ゲームでもあるこのゲーム。

太陽ノ王国はいくつかの観察による情報を持っている。

①弾丸は連続して装填してある。それについて月の王国にもリークしている。

ここで二つの三連発が弾倉に隠れていることが分っている。

一方、相手にリークしない情報として・・・。

②弾倉は重力によって下部に弾丸が集中する傾向がある。

弾倉は24発。頂点である一発目から最下部の13発目に線分を引くとバランスによって三連発は左右対称となる。9・10・11が三連発であった以上・・・12・13・14は不発で・・・15発目から三連発になると推測されるのである。

しかし・・・「直観力はあるが分析力がない」とキノコに断定されたブタ坊主はその事実に気がつかない。そこでキノコは15発目をブタ坊主に撃たせるために罠を張るのである。

キノコの獲得チップが214枚(2億1400万円)の時点で「2億7400万円も勝たせてもらって・・・」と嘯くとブタ坊主は「パスによってキノコがコインを稼ぐつもりの額からキノコの想定実弾装填位置を算出・・・」15発目は安全と読んで引き金に手をかける。

アウトである。これでキノコの獲得チップは2億6400万円となる。

これまでディラーが回収したのは6200万円。

残り2発を流しても・・・先手の損失額は2100万円×2で4200万円。キノコは2億2200万円を獲得できるのである。

「でっかいバカだったなあ・・・」と勝ち誇るキノコ。

しかし・・・ブタ坊主がかわいそうになった直は作戦タイム(五分)を要求する。

そして「このままだと確実に大儲けのチャンスを逃がすことになります。だから・・・二発撃って引き分けにしてください・・・」とキノコにもちかける直。

「そんな話にはのらねーっ」というキノコだったが「俺はでかいことを考えている」と直へ助け船を出した秋山の言葉に揺れる。

頭の中に膨らむ「確実に大儲け」の一言。

確実に大儲け・・・カクジツニオオモウケ・・・確実に大儲け。

キノコは二発打って1億円払い勝負は引き分けである。

この場合の獲得チップはチャラになるらしい。強調されないのでひょっとしたらキノコは1億6400万円は稼いだのか・・・とも思われ・・・このあたりの描写が弱い。

ちなみに別会場では別の四回戦でオセロの白い方ではない天才教授・葛城(菊池凛子)のチームが「24連装ロシアンルーレット」を葛城の作戦で勝ち抜いたらしい描写が挿入されるのだが説明するセリフが全くないため・・・それを読み取れないお茶の間難民が予想できる。

せっかく、変な事務局員エリー(吉瀬美智子)と前金の事務局員・谷村(渡辺いっけい)が配置されてモニターで確認しているのだからセリフにしないと無意味だろう。

ともかく・・・ムードとしては十分に楽しめるが親切設計ではないのですな。

キノコ「で・・・大儲けってどんな・・・」

直「あれはウソです」

キノコ「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

直「何を驚いているの・・・これはLIAR GAMEじゃないですか・・・えへへ」

キノコ・・・かわいいよ、キノコ。

キノコ「でかいことって」

秋山「ライアーゲームそのものをぶっつぶす」

キノコ「・・・もうかるのか・・・それ」

ともかく、若干の疑問を残しつつ、中堅戦がスタートする。

太陽の秋山 VS 月の菊池(眞島秀和)

中堅戦のゲームは「17(セブンティーン)ポーカー

ワイルドカードとしてのジョーカー1枚と各スート(スペード・クラブ・ダイヤ・ハートの四種類の絵柄)のジャック、クイーン、キング、エースの16枚あわせて17枚を使ったポーカーである。

今回の場代(アンテイー)は各500万円、どちかがフォルド(勝負を降りるか)、双方ともがチェック(勝負を回避)した場合はディーラーが回収する。

七回戦すべての回収でも7000万円であり、ディーラーの回収率は低いゲームである。

ポーカーを誰もが知っているという前提でドラマは進行していくのだが・・・これもギリギリの前提だよな。

ポーカーには二つの側面がある。

ひとつは役作りのゲームである。そういう意味ですべてのカードを使うポーカーと17ポーカーの最大の違いは17ポーカーにはブタ(役なし)がないということである。

基本的に五枚の手札で役を作るゲームだがジョーカーをのぞけば数札はJQKAの四種類しかない。ジョーカーがなければ必ずワンペアができ、ジョーカーでワンペアになる場合は必ずストレート、ジョーカーでフラッシュになる場合は必ずロイヤルストレートフラッシュになるのである。逆にジョーカーでストレートにならない場合はスリーカード以上ということになる。

さらに手札が双方に五枚配られた時点で残りは七枚。

双方が四枚チェンジをするとすでにカードは一枚不足して・・・捨て札の再利用ということになる。

ちなみにそういう意味では相手の手はかなり予測可能である。

たとえば最初の手札がAAAJKで、JKをチェンジしてJKがきた場合、すでにAAAJJKKが見えていて、相手の手および山にはAJJKKQQQQW(ジョーカー)が残されている。相手がチェンジなしならジョーカーありでストレートかフルハウス場合によってはファイブカードができているためまったく勝ち目はないのである。

もうひとつは「ポーカーフェイス」に代表される心理戦の側面である。

ポーカーフェイスは無表情の代名詞であるが・・・練習試合での直VSメッシュ菊池のように「勝てると読んで強気の直」に対して「勝てると読んであえて弱気のメッシュ」というように欺瞞の表情を作る場合もある。

無表情と演技のどちらが作戦として正しいのかはギャンブラーの資質によって違うとこの場合は申し上げるが・・・長い目で見てポーカーフェイスが無表情になっていくのは演じることにギャンブラーたちが疲れ果てるからだと妄想できるのである。

ギャンブルは表裏を当てるゲームだが・・・「弱気の演技」が「本当に弱気」なのか「弱気を装っている」かもまた表裏なのである。

「弱気だが強気だと見抜く」「弱気だが強気だと見抜かれると分っているので強気」「弱気だが強気だと見抜くと分っていて強気だと見抜く」「弱気だが強気だと見抜かれると分っているので強気だと見抜かれると分っているので強気」とどこまでも深く読みあっていくので疲労度も果てしないのです。

ポーカーフェイスは「虚実にどちらでもない」という選択肢をくわえ三択になっているとも言えるし、相手の表情なんて関係ないという態度でまったく選択に影響しない結果を招くとも言える。

そして勝負は「勝てるとき」にベット(掛け金)をつりあげ、「負けるとき」に最低限の失点で降りることが大切になるが・・・勝てると思ったときに大敗するリスクがつきまとうことは言うまでもないのだった。

練習試合の直は手作り的にも心理作戦でも負けるべくして負けるのだが・・・メッシュはさらに奥の手を持っているらしい。

17ポーカーに絶対強い職種ってなんだろう。マジシャン?・・・それとも17ポーカーのプロ選手・・・。

とにかく・・・メッシュは好きな場所にジョーカーを招聘できるテクニックを獲得しているのである。

二勝した秋山だが・・・前途は多難なのである。とにかくこれも勝敗の決し方についてのルールが曖昧。最後にチップが多い方が勝ちってことでいいのかな?

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』『サマータイムマシン・ブルース』(フジテレビ)なぜ・・・この季節に・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (6) | トラックバック (6)

2009年11月17日 (火)

手のひらを太陽に(綾瀬はるか)仁は触診(大沢たかお)暗闇でバッサリ(中谷美紀)

ああ・・・またも勘違いしていた・・・西洋医学所は本郷にあるものだとばかり思っていたのに・・・神田お玉が池にあったのだ。キッドがそう書いたので本郷にあると信じた皆さん・・・ごめんなさい。

神田お玉が池は現在の岩本町あたりと考えられるので神田川を挟んで医学館(漢方医学)のあった神田佐久間町とは近所になる。

「医学所の近所にある医学館」というセリフがなかったらずっと間違えたままだった。

神田川には西から昌平橋、万世橋とかかり、現在の昭和通りにかかるのが新橋である。

最初に勘違いした相生町(実は本所相生町だった)のかたわれ神田相生町の昭和通りを挟んだ東側が医学館のあった神田佐久間町。そして新橋で神田川を渡ると神田岩本町である。

日比谷線秋葉原駅と都営新宿線岩本町駅は連絡していないのだがキッドは昔、よく秋葉原で下車して徒歩で神田川を渡り岩本町駅で乗り換えをしていた。とある場所に遅刻しそうなときにもっとも近道だったからである。知らずに医学館と医学所をつなぐ道を歩いていたのだなぁ。

神田お玉が池には千葉周作の道場もあったわけだが、伊東玄朴が種痘所を開いたのもこの地である。そしてそれがそのまま西洋医学所になったわけである。西洋医学所は東大医学部(加賀前田屋敷跡)の前身なので本郷にあるとばかり思いこんでいました。思い込みって恐ろしい。

これで咲の家(湯島)→医学館(秋葉原)→神田川を渡る→医学所(岩本町)というルートである。渡らないで東北方面に歩いていくと吉原大門(浅草寺裏)にたどりつきます。

だから・・・どうした・・・ということですが・・・キッドが「仁」で一番楽しいのはこの部分なのです。

・・・と思っていたらice様からのコメントで西洋医学所は1858年に火事で神田和泉町にお引越ししたとか。

神田和泉町は現在では神田平川町をはさんで神田川の佐久間町側。キッドの関係者が入院していたこともある三井記念病院のあるところではないですかーっ。またもや脳内地図変更・・・右往左往です。楽しーっ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↘*7.6%(安定しないのは演出のせいだと思う)、「舞妓Haaaan!!!」12.2%(いや・・・これか・・・やはりワクか)、「おひとりさま」↘*8.7%(コレもくわれてるしな)、「マイガール」↗*8.2%(こっちはあがってるし)、「小公女セイラ」↘*6.0%(もはや小公女ではないからな)、「サムライハイスクール」↗10.6%(ねばっています)、「外事警察」*6.6%(かわいい視聴率キターッ)、「新・美味しんぼ」11.7%(グルメものも限界か)、「ヤメ検の女」14.3%(賀来千香子の勝利か・・・ドラマ合計43.2%もあるんですけど)、「天地人」↘21.7%(もう・・・最後までか)、「JIN~仁~」↘20.2%(連続20%越えキターッ)、「観月ありさのサザエさんSP」20.9%(はーい、サザエでございます・・・長谷川町子凄すぎる)、ついでに「東京DOGS」↗17.1%(2位をキープ)、「相武紗季の1969年のオヤジと僕」*9.5%(タイムスリップすればいいってもんじゃないんだよね・・・堤下は整形しないと西ヤンになれないし・・・相武が泉ピン子になるのはあんまりだろ)・・・以上。

で、『JIN~仁~・第6回』(TBSテレビ091115PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・山室大輔を見た。前回は過去の人々のどうしようもない苛酷さを描いたわけだが、今回は現代人のとりとめない生への執着を描くのである。くさくなりがちの主題をものすごく上手に料理している。なんだか・・・超常現象のようなはまり方だ・・・こういうことってあるんだようなぁ。

「こちらに来てから半年がたった」と仁(大沢)は語るのだが、今がまだ文久2年(1862年)なのか・・・それとも文久3年になったのか定かでないところが油断できないのだな。

文久2年には伊東玄朴(小林勝也)は医学所取締(頭取)である。シーボルト(18世紀生まれのドイツの博物学者)の弟子で仁が来江(タイムスリップして江戸に来る)前の文久元年にはクロロホルム麻酔による脚部切断手術を成功させている。

一方、松本良順(奥田達士)はポンペ(19世紀生まれのオランダの軍医)の弟子である。

松本良順は伊東玄朴より30歳年下の江戸っ子である。良順は養父の良甫も蘭方医で奥詰医師だった。松本家は一時改易されたが本来奥医師の家系である。農民出身で佐賀の田舎者の玄朴に師事することにはいろいろと葛藤があるわけである。

伊東玄朴は江戸の蘭方医の元締めのような立場にあり、そこにいたる課程には幕府の奥医師(将軍の侍医)の主流を閉める漢方医・多紀一派との確執があった。しかし、将軍家定の脚気治療に際し蘭方漢方の協力体制が故・井伊直弼によって可能となり、奥医師は医学所(蘭方)と医学館(漢方)が両立する体制となっている。

緒方洪庵(武田鉄矢)は玄朴より10歳ほど年下で大坂で名を馳せた蘭方医である。洪庵は幕府の要請により仁が来江する直前に江戸に出てきたのである。

洪庵を招聘したのは玄朴と言われるが、東の玄朴、西の洪庵と称せられる蘭方の二大巨頭の顔合わせに松本良順が噛んでいると考えるといろいろと妄想が膨らむわけです。

松本良順は文久2年に医学所頭取助になっている。文久3年に玄朴が失脚し、医学所取締の任を解かれ、洪庵が頭取に。そして文久3年夏、洪庵が急死(享年54)して良順が三代目頭取に就任なのである。実に怪しい成り行きなのである。

つまり、幕末の江戸の医学界では医学館派(漢方)、医学所伊東派(蘭方)、医学所松本派(蘭方)が火花散る権力闘争を展開していたのである。

そこへ登場した新参者の秩序破壊者が仁なのである。

洪庵が仁に心を寄せたのは・・・権力争いの板ばさみで心が疲れているときに、純粋に医学の新境地を示す仁が輝いて見えたからかもしれない。ただし・・・仁は別に情熱に燃えていたのではなく・・・ただ江戸時代のみんなが知らないことを知っていただけなのである。

難病を治療し、正体は不明。新しいものが大好きな江戸っ子たちは仁を「南方大明神」ともてはやし、霊験あらたかな御札まで売り出されるのである。

その噂を聞きつけ・・・医学館の総裁・多紀元琰(相島一之)は漢方医・福田玄孝(佐藤二朗)を医学所に遣わし、仁を召喚しようと目論む。

しかし、医学館との確執を抱える医学所としてはそう簡単に貴重な先進医療を持つ仁を医学館に見せることはできず、拒絶する。使者である福田の困惑を見かねた仁は「行きます」と承諾してしまうのだった。面子をつぶされて鼻白む頭取・洪庵、頭取助・良順。しかも医学館は仁に危害を及ぼす恐れもあった。

たまたま居合わせた勝海舟は弟子の坂本竜馬(内野聖陽)と旗本無役の恭太郎(小出恵介)に仁の用心棒を命じる。

一方、吉原花魁の定期健診に医学を志すものとして参加した咲(綾瀬はるか)は野風(中谷美紀)の顔を見て放心してしまう。

「うらやましいのです・・・(仁の恋人とそっくりの)お顔が・・・」

野風は笑ってうけながすが・・・仁に対する咲の思いを赤子の手をひねるように察知するのだった。その純情な咲の心を野風は野の花のような可憐さとしてうけとめる。野風にとっては武家の姫である咲のすべてがうらやましいのである。

医学館を訪れた仁は多紀総裁から激しい問責を受ける。「記憶が定かでないものに医療を行わせるなど不謹慎」という追求に言葉をつまらせる仁。助け舟を出した恭太郎も理詰めで負けてしまう。

そこで竜馬は「それは幕府の機密じゃ」とホラを吹いてケムにまくのだった。

唖然とする空気の中、緊張に耐えかねた福田が腹痛を訴えて七転八倒を始めるのだった。

簡単な問診と触診によって「胃穿孔」と診断する仁。ただちに手術である。

誤診だったら切腹という約束の中、手術道具を持参した咲と佐分利(桐谷健太)を助手として麻酔による開腹手術を行う仁。

手術中・・・はじめての内臓目視に失神寸前になる咲。しかし・・・佐分利は平気で立ち会うのだった。

「お役にたてなかった・・・」と落ち込む咲。兄の恭太郎も竜馬のような臨機応変の対応ができない自分に「俺だって・・・」と落ち込むのだった。ああ・・・純情旗本兄妹・・・健気です。

佐分利がはじめての手術に対応できたのはご法度の腑分け(違法解剖)をしていたからだった。病死した遊女の遺言で「薬代としての献体」の約束があったというのである。

しかし、何者かの策謀によって死体の発見された佐分利の刻印入りのメスが発見され・・・佐分利は奉行所の取調べを受けることになった。

佐分利「そうでもしないと・・・医術は進歩しないではないですか・・・」

洪庵「それならば声を大にしてお上に腑分けの必要性を説くべきではないか」

洪庵は合法的な発想で佐分利の非合法を叱るのだった。

そして、弟子の監督責任を理由に医学所から身を引くことを覚悟する。

しかし・・・「佐分利をそそのかしたのは私です・・・私が身を引きます」と申し出る仁。

「そんな・・・仁さん・・・ここは私が」

「いいえ、洪庵さんにはいつもお世話になってますから・・・ここは私が」

などとレシートの押し付け合いの一幕があって・・・坂本竜馬が爆発。

「なにが・・・ええのじゃあ。仁ちゃん・・・人がいいのにもほどがあるきに。人間、どんなきれいごとを言ったって根本は欲じゃろう。金が欲しいのも欲なら、病気を治したいのも欲・・・じゃきに・・・仁ちゃんときたら・・・ギラギラしているところがちっともないんですもの。仏様みたいなんですもの・・・それじゃ・・・人としては死人と同じみたいなの」

竜馬の直感が冴え渡る。未来からやってきた仁にとってはすべて夢の中の出来事のようで実感がなかったのである。

「だってさ・・・神様あつかいされたり・・・勝海舟とか坂本竜馬とか歴史的な有名人と気軽に話したりとかさ・・・とても本当のこととは思えないんだもん・・・実は瀕死の重傷で病院のベッドの上で夢を見ているだけだったりしてさ・・・」

そんな人生他人事の仁に危機が迫っていた。

花魁仲間から「仁をなき者にする」という相談がお座敷でされていたと聞かされた野風。

一言危機を知らせたくても吉原大門からは一歩も出られぬ買われた女の身である。

野風は咲に手紙を書きおくり仁の無事を祈るばかりだった。

「わちきは咲さんがうらやましい。好いたお方のお側にすぐに飛んでいけるあなた様が・・・」

仁の身の危険を知った咲は走り出したら止らないのだった。

一方、竜馬の護衛も遠慮して医学所からお出かけ中の仁。人気の無い場所でついに刺客が姿を見せる。

白刃を前に茫然自失の仁を間一髪救い出す咲。

命拾いをした仁は手の震えが止らない。

「死ぬのがこわくないなんて・・・勘違いだったんだ・・・こんなに恐ろしいなんて・・・」

「当たり前でございます・・・南方先生は生きておいでなのですから」

そういう咲の手も激しく震えるのだった。

何故・・・そうなったのか・・・マジックアイテムの未来の未来(中谷・二役)の写真は一回前に戻っていた。前々回(ジュースのみ)、前回(ビールとバーベキュー)、今回(ジュースのみ)なのである。これは医学所から身を引くことが医学の異常進化に歯止めをかけるというサインなのか。

「一歩後退か・・・」となんとなく感じた仁は落ちていたのか、ふところからかは定かではないが10円玉を発見する。

しかも・・・それは平成22年(来年)発行の10円玉だった。

まったく意味不明のまま、ただし最高のボルテージで・・・つづくである。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『相棒』(テレビ朝日)『浅見光彦・最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (10) | トラックバック (12)

2009年11月16日 (月)

雪が降る恩顧大名は来ない天地人(妻夫木聡)むなしい夢(深田恭子)白い涙(川島海荷)

苦笑のしすぎでシワが増えたと評判のこの大河ドラマもいよいよ大詰めである。

もう最後の最後までなんじゃこりゃのネタがつきないというのはある意味天晴れである。

ただひとつ言えるのは淀の方(深田)、千姫(川島)という伯母姪にして嫁姑コンビは歴代史上最高の萌えキャスティングでございました。

で、『天地人・第46回』(NHK総合091115PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・片岡敬司を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回もあらすじは五行ですが最後の一行は団結の言葉です。見回せば周囲は疲れ果てトホホの種もつきたブロガーばかり・・・おのおの方・・・もはや仕舞いでございます。心を一にして高視聴率を盾にスペシャルまでしでかすこの遠慮知らずのスタッフの乱暴狼藉に耐えましょう。神は乗り越えられる試練しか与えないそうですからーっ。それにしても上杉・直江主従の最後にしてほとんど唯一の勝ち戦をまったく描写しないって・・・凄いの一語につきる。そういえば豊臣傘下で戦った関東辺境戦も描写しなかったし、越後内戦の描写もほとんどなし、朝鮮戦役もなし・・・これほど戦不足の戦国絵巻がかってあっただろうか。家康に蹴り飛ばされ悔し涙の福島正則・・・やはり物語の原動力が大坂人の怨念としか思えませんねん。そんなに口惜しかったのか・・・大阪に生れたことが。東京にはようついていかんなのか。まあ・・・とにかく大河ドラマの歴史に暗黒の一年を加えて・・・残り一回。これを過ぎれば素晴らしいことが待っている予感がします。皆様、臥薪嘗胆、艱難辛苦に耐えましょうぞ。

Tenchijin161401 時は流れて慶長19年(1614年)である。本編では冬・夏を一挙に駆け抜けるが来週は回想シーンの嵐かもしれないのでここでは大坂冬の陣を前編としておきます。紆余曲折あって結局、東西手切れとなるのだが、つまるところ、大坂方は反乱軍である。家康はそういう手続き上のことに手抜かりをしないからだ。征夷大将軍・徳川秀忠の命に背く豊臣秀頼を成敗するというのがこの戦の名目である。武家にとってこれ以上の「義」はなく・・・天下の大名はすべて徳川家に従った。対する豊臣家に味方するのは取り潰せされあるいはリストラされた浪人衆である。その兵力は徳川20万人に対して豊臣10万人であった。しかし、豊臣勢は難攻不落の大坂城に篭城し徹底抗戦を叫ぶのである。

この時、家康はすでに70歳の坂を越えていた。永禄元年(1558年)今川義元配下として織田側の寺部城攻めを初陣として以来55年の戦歴を持つこの老将は「野戦は得意だが城攻めは苦手」と評される。しかし、秀吉配下として小田原城を攻略したのは実は家康である。兄と奉る信長(家康は信長の娘の舅)、秀吉(家康は秀吉の妹の夫)の配下として戦国を終焉に向かわせた稀代の英雄にとって孫婿である21歳の豊臣秀頼は敵としては全く役不足であった。なにしろ・・・秀頼はこれが初陣なのである。

江戸城で大御所よりの大坂攻めの陣触れを受け取った将軍・秀忠は老中・本多正信を振り返った。

「この期におよんで戦とはの・・・佐渡守(正信)よ・・・見通しを述べよ」

「まずは・・・この度は叛徒を鎮西せしめ・・・将軍家の戦の誉を残すためのことと判じまする」

「ふ・・・父上は我に手柄をくだされるおつもりか」

「御意。此度は遅刻厳禁ですな」

「しかし・・・大坂の城は簡単には落ちまいて」

「古来・・・篭城とは援軍ありてはじめて利あるもの・・・いかに名城ありといえども孤立無援ならばやがて日干しになることこれ理にて候」

「しかし・・・長引けば・・・費用がかさむであろう」

「これは佐渡守の私見にて候えども・・・まずは大坂の城をお囲みになり一戦これあり」

「ふむ」

「すでに大御所においては攻城砲を西洋より多数購入してございますればアウトレンジ(敵の射程外)にて威圧砲撃をなされまする」

「なるほど」

「敵方の弾薬尽きせしおりに和議を申し込めば敵方は烏合の衆なれば渡りに船とあいなりましょう・・・ここで一旦、休戦し・・・大坂の城を廃棄せしめまする」

「堀を埋めるか・・・」

「御意・・・後は相手次第となりましょう」

「姉上(淀の方)は折れてくれるかのう・・・」

「さて・・・そればかりは・・・それよりは千姫さまのご心情が慮れるばかりにて」

「ふ・・・姫は好きにするであろう。生きたければ一人で抜け出してくるであろうよ・・・あれもまた生まれついてのくのいちなれば・・・さて・・・将軍として陣触れを出さねばならぬ・・・土井などを呼べ」

「畏まって候」

秀忠主従の予想通り・・・将軍の命に異を唱える大名は一人もなく、北は南部から南は島津まですべての大名が大阪城攻めに参加した。そのために大坂城周辺は大混雑となっていた。

大坂はすでに冬であった。日によっては雪が舞う季節である。淀の方と秀頼そして千姫の三人は本丸天守閣から四方を見回す。

「ふふふ・・・身を切る風が冷たいの・・・天下泰平で身の鈍った者どもにはさぞや野陣はこたえるであろう」

小谷城落城から北ノ庄城落城そして攻め手としての小田原合戦。幼き頃より城攻めに慣れ親しんだ淀の方にとって守るも攻めるも城攻めそのものは故郷に帰ったような懐かしさをかんじさせる。

21歳の秀頼も17歳の千姫もはじめてみる戦に目を輝かせている。

「しかし、大御所様(家康)は茶臼山に御殿をお築きなされたとか」

「おう・・・南の方に見えるであろう・・・あの灯がそうよ」

と若い夫婦は南の窓から彼方を見る。

「家康も齢七十を越え、冬の戦は身にこたえるであろうからな」

「殿(秀頼)、お父上(秀忠)の陣所はどこでありましょうや」

「将軍家は岡山に陣を構えているそうだ・・・それ真田丸の楼が立つ先を見よ。あの先に見える灯があろう・・・篠山の奥の方じゃ・・・」

淀の方は仲睦まじく無邪気な息子夫婦に思わず微笑んだ。十余年ぶりの戦に心は浮き立ち忘れていた何かを思い出したような心地である。

その頃、京街道を南下した上杉軍は大坂城の東側にある今福砦、鴫野砦の攻略を命じられていた。上杉軍は五千の兵力を持ち、与力として佐竹義宣軍1500を伴っていた。目付けとして榊原康勝が軍監兵300ほどを率いて同行している。

榊原康勝は榊原康政の三男である。時は過ぎ去り徳川四天王と呼ばれた勇将たちもすべて他界している。その中で戦場を支配する家康は普代大名たちを外様の軍団の目付けとして配している。上杉軍と前田軍の中間には関ヶ原合戦以前に逝った酒井忠次の一子家次が配置されている。大坂城の南側正面に突出した真田丸に対峙する前田軍1万2000の西側には井伊直政の次男・直孝が配置されている。その反対側、大坂城北方には最後まで豊臣方に臣従していた老臣・片桐旦元の陣があり、その目付けをしているのは本多忠勝の嫡男・忠政である。

対岸に佐竹軍を残し大和川の上流を渡河した上杉軍は戦列を整える。

すでに前哨戦は始まっており、五日前には蜂須賀至鎮・浅野長晟・池田忠雄という豊臣恩顧を代表する三軍が大坂城西南の木津川口砦を襲撃し、これを奪取している。守将は明石全登だったが城内に呼び出され留守だったと言われる。

とにかく先端は開かれ・・・前線に緊張が高まったのである。

それを受けての今福・鴫野攻略戦だった。関ヶ原の手痛い敗北以来、上杉・直江主従は戦忍びとしての訓練を重ね・・・ついに秘術を編み出していた。

大和川の南の森に潜んだ上杉景勝は直江重光の呪言を聞きつつ、座禅を組んでいた。

「・・・おんあびらうんけんばざらだとばん・・・なうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか・・・おんあぼきゃべいろしゃなうまかぼだらまにはんどまじんばらはらばりたやうん・・・」

景勝が渇と目を開くと軍神が降臨した。重光は景勝に憑依した謙信の気配を肌で感じる。

「与六・・・久しいの・・・」

「お屋形様・・・」

「ふふふ・・・戦の世もこれで仕舞いじゃ・・・最後に一働きするのも一興じゃ・・・」

三重の柵を組み、正面を守っていた大野治長配下の鴫野砦鉄砲隊は薄明の東の空に怪異を見る。

「あれは・・・なんじゃ」

「毘沙門天ではなかろうか」

巨大な仏像が森から姿を見せ陣地に迫ってくるのである。

「目くらましじゃ、撃て、撃て」

恐慌に襲われた砦からは上空めがけて発砲が行われる。その隙に地を這うように接近した上杉の鉄砲忍びは柵前に迫っている。目前から狙撃された大坂方の鉄砲衆は血しぶきをあげて叫ぶ。いつのまにか結ばれたのか柵には縄がつながれ、上杉の力士忍びが力任せに引き倒す。その柵の隙間より足軽勢が乱入する。

混乱した砦の兵は上杉勢が第三の柵に取り付いたところで漸く体制を立て直す。

柵を挟んで超接近戦となった銃撃の応酬である。

鬼神の乗り移った上杉兵は死もおそれず突進し、柵を素手で引き抜く怪力ぶりを見せる。

大坂城内で砦の危機を看破した後藤又兵衛基次は手勢を引き連れ大和川に軍船を出す。北岸では今福砦が佐竹軍の急襲により出火している。

後藤又兵衛は後方から木村重成の軍船が続くのを見て、今福砦側に渡河する。

木村重成は鴫野砦後方の猫間川を大坂方の渡辺糺が率いる一万の大軍が渡るのを確認して後藤に続く。

鴫野砦を占拠しつつあった上杉勢は城方の増援が接近しつつあるのを察知すると、虎の子の騎馬鉄砲衆を押し出した。猫間川を渡りさらに平野川の浅瀬を渡りつつあった渡辺軍は突然あらわれた300ほどの騎馬武者に銃撃され、出鼻を挫かれる。しかし渡辺軍は数を頼みに鴫野砦に殺到する。

どよめきがあがり、新たなる騎馬武者が上杉勢の中央から躍り出る。

「上杉景勝見参」

景勝自ら槍を構えて突撃すると精鋭をそろえた旗本騎馬隊は渡辺隊の足軽衆を寸断する。

一瞬で敵を蹴散らした騎馬隊が潮が引くように交替すると上杉鉄砲隊が前進して渡辺隊に一斉射撃を加える。渡辺糺は声をあげて兵を叱咤するが浮き足立った大坂方は退却の気配を露わにする。

そこへ再び上杉騎馬隊が突進する。

「見たか・・・これが上杉の軍法ぞ」

鉄砲隊を鼓舞しつつ直江重光は叫ぶ。景勝の率いる騎馬隊と重光の率いる鉄砲隊は芸術的な連携で倍する敵軍を粉砕した。

今福砦に上陸後、佐竹軍を押し戻し、戦況を有利に導いた後藤・木村の連合部隊は対岸の鴫野砦が制圧されたことを知るや退却を決意する。

上杉景勝が渡河を開始すると後藤・木村の軍船はすでに退いていた。

「ふふふ・・・さすがは後藤又兵衛・・・引き際も見事なことよ」

夢から醒めたように我にかえった景勝は今福砦で佐竹軍と合流し・・・勝鬨をあげる。

戦国時代の終盤を彩った上杉軍団の最後の戦いは終った。

殺戮の限りを尽くした上杉軍団の戦ぶりに城方は沈黙した。

着実に大坂城を包囲しつつあった徳川勢は・・・城方に圧力を加えるために南方に突出した真田丸を奪取する作戦を開始した。

豊臣方で淀の方を除けば唯一、忍びによる諜報網を持つ真田信繁(幸村)はその報を忍びから受け取る。すでに家康の本格的な城攻めは迫っており、各所で地下道掘りが始まっていた。

「ふふふ・・・そろそろ・・・目にものをみせてやろうぞ」

信繁は真田鉄砲忍びに命じ、根来忍者とともに真田丸前方の篠山砦から徳川勢に挑発射撃を行う。大阪方の最前線である篠山砦から前田勢が陣を構える水野砦へ猛射が打ち込まれる。徳川方は鉄砲避けの鉄盾を配備していたが、隙間を狙う根来の忍び鉄砲に犠牲者が続出する。

水野砦後方の岡山の将軍本陣で秀忠は前田利光(利常)に篠山の奪取を命じる。

前田陣では元の直江勝吉で今は前田家家老・本多政重が名乗りをあげる。

本多は夜襲の名手であった。雪の舞う夜の闇に潜んで本多隊は篠山に向かう。その本多の目に見目麗しい女の姿が映る。

「おっ」とその怪しさに心が動いた瞬間、本多政重はくのいち望月六郎太の乱心法女淫の術にかかっていた。

本多隊の目指した篠山砦はすでにも抜けのからであった。しかし、本多隊は篠山占拠という初期目的を忘れたように前進を続ける。その動きを見ていた前田の別の諸将は新参者の本多に抜け駆けされるのを恐れ無許可で前進を開始する。

前田の各隊にはすでに真田の忍びがまぎれこんでいる。彼らは巧妙に前田諸隊を誘導する。

前田隊が突然、前進したのを受けて、古田隊、脇坂隊、寺沢隊などが連動して動き始める。ついには軍監である井伊直孝隊までもが引きずられるように夜の闇を進軍し始める。

先頭を切った本多隊を率いる本多政重は坂を下りると天女のような美女が裸体をさらしているのを発見した。政重は甲冑をつけたまま、女の横に寝そべる。女が政重の下腹部に手を伸ばすとえもいわれぬ快感の波が政重を包むのであった。

夜が明けたが一帯は怪しい霧に包まれていた。徳川諸隊は前進をやめ・・・霧が晴れるのを待つ。やがて霧が晴れるとおよそ2万の徳川軍が大坂方の銃眼に見下ろされた空堀に収納されていることが判明した。

真田信繁の目に獲物を捕らえた漁師の喜悦が浮かぶ。

「撃てーっ」

真田丸を始め、大坂城南側の守備陣から一斉射撃が開始された。空堀に詰め込まれた徳川軍は身動きも出来ず堵殺される。

事態を知った秀忠は松平忠直、藤堂高虎、伊達政宗らに救援を命じるが大坂方の猛射はやまない。真田丸は立体的な長篠の戦再現装置であった。七階建ての塔の各層が交互に発砲する鉄砲忍びで満載され、三方向に連続的な猛射を加えるのである。

しかも鉄砲忍びの持つ銃は真田科学忍びの開発した鉄盾を打ち抜く「熊殺し」であった。

殺戮の成果として空堀は徳川軍兵士の血液で満たされ始めた。

退却の時間を稼ぐために援護射撃を行う徳川の鉄砲隊が射殺される始末であった。

「そろそろ仕上げにかかるかの・・・」

真田鉄砲忍びの頭筧重蔵は真田丸上方の鉄の観音扉を開く。現れたのは真田科学忍びのからくり術の粋を集めた機関砲「鬼殺し」だった。救援にやってきた徳川勢は鬼殺しの連射でなぎ払われる。

徳川勢は壊滅的な打撃を食らう。

茶臼山の湯殿で入浴していた家康は報告を聞き「さても真田の忍びは恐ろしきものだがや」と嘆息したという。

その頃、空堀の中で味方の死体に埋もれた本多政重はうっとりした表情を浮かべ何度目かの絶頂に達し甲冑の下で褌を汚していた。

関連するキッドのブログ『第45話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (8)

2009年11月15日 (日)

こうして私は第四の課員になったのです(尾野真千子)始発待ちのプリンセス(志田未来)偽者の巻(三浦春馬)

さて・・・困りましたな。もはや「小公女」ではなく少女時代の怨みで子供を虐待する中年女性と貧乏な中卒男女の恋物語と化している「セイラ」と・・・「暴力」ですべてを解決するくせにいろいろと説教したがるヤクザの親分みたいな傾向を示してきた「サムライ・ハイスクール」・・・。どちらもつまらないわけではないけれどキッドが見てスカッとする話かと言うと・・・そうではなくなってしまったなぁ。二つともベテラン作家でそつなくまとめているけれど・・・趣味とか主張のゴリ押し感がたまらなく漂ってきて・・・うざいのである。

第一に、志田未来と大後寿々花のムダ使いという「どうしようもなさ」が匂い立つ。

困ったもんだ。

それに対して「外事警察」はネチネチとハードボイルドです。

し、しぼりきれん。

で、『小公女セイラ・第5回』(TBSテレビ091114PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・金子文紀を見た。謎の学園・聖ミレニウス女学院の修学旅行のために一人で留守番を担当することになったセイラ(志田未来)だったがカイト(林遣都)に誘われ里帰りについていってしまう。修学旅行が終る前に学園に戻るつもりだったがアクシデントで終電をのりすごしてしまう二人。田舎の駅のベンチで夜明かしをした後でカイトはセイラの額にこっそりキスをするのだった。カイトはこのまま駆け落ちしようと誘うがまさみ(岡本杏理)に上高地のおみやげを買って来てもらう約束をしたセイラは拒絶する。のこのこと朝帰り状態のセイラを院長先生(樋口可南子)は問答無用ではりとばしセイラは屋上までふっとんだのである・・・いい加減にしとけよ・・・だってそういう話なんだろう。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『サムライ・ハイスクール・第5回』(日本テレビ091114PM0915~)脚本・井上由美子、演出・狩山俊輔を見た。ステータス(社会的地位)というものがあるとして、このドラマがそれについての寓話であることは間違いない。ステータスには階級闘争がつきまとう。より高い地位を目指して競争社会が形勢される。地位はひとつには経済的な優位性で示される。経済的な優位を占めればたとえば高度で先進的な医療を受けられるというように生物学的な生存に有利であるし、また最新流行の生活を享受できるなどの楽しみも生じる。しかし、競争社会である以上、誰もがその地位を確保することはできない。安定した社会では富裕が相続されるように貧困も相続され、上流と下流の軋轢が生じるのが自然の成り行きである。第二次世界大戦後に出発した日本国は中流の厚みを増すことでこれを緩和し続けてきたが、世界的な下流階級の台頭により日本国の占めるうまみは相対的に減少し、中流の閉める割合は減少。ひとつかみの特権階級とほとんどの下層という幻想を大衆に抱かせるようになっている。このために学業において高級官僚となるか特技においてスターになるかしか「幸福」が約束されない若者たちの心はすさんでいくのである。このドラマはだから石川遼みたいな高校生プロゴルファー結城(小柳心)はちょい悪で、特待生だけれどJリーガーになれなさそうな高校生サッカー選手・岩永(賀来賢人)は小悪党として描かれる。志望大学合格率ランクDの小太郎(三浦春馬)は踏みつけられても耐える小心者だがある日突然、定規で人を斬り始めるのである。警察につかまったら・・・「心の中で別の誰かが目を覚ます」という人がいるのはこういうことなのだな。それでももっとも基本的なセーフティネットという名の家庭でぬるま湯につかっていた望月一家を父親リストラの嵐が襲うのである。まさにお家の一大事なのだが・・・それは戦国時代というより江戸時代の話である。ひとにぎりの異常者のために社会で子供を育てるなどという恐ろしい発想をする与党が支配する国家となった日本国の将来が非情に危ぶまれるのだな。

で、『外事警察・第1回』(NHK総合091114PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・吉村芳之を見た。NHKは木曜日に続いて土曜日もテロリストの影と戦う人々のドラマである。なんだかそういう気分なのか。「坂の上の雲」から明石元二郎の活躍を割愛することの反動なのか。それとも単純な謀略なのか妄想の膨らむところである。

そもそも日本放送協会とは情報機関の一種である。総務省が所管する法人であるので早い話がNHKの職員は全員、総務省のスパイであると言っても過言ではない・・・過言そのものだろがっ。

情報機関とは情報を収集し分析し総括する機関であるのだから報道機関はすべて情報機関なのである。

その職員がスパイと呼ばれないのは情報機関の上に秘密がつかないからであろう。

だからNHKの中に秘密情報機関がありその職員がスパイであるというのは過言にならないだろう。そういう機関があるのかどうかは秘密なのである。

人間には秘密がつきものである。家族に秘密にしていることなんてあるのが普通だし、倉庫を管理するものは秘密厳守を強要されてつい告発雪印乳業を解散に追い込んだりするわけである。みんなで実弾発射しにいって爆死したりして家族には内緒だったりするのである。つまり・・・警察にも秘密警察があってもまったく不自然ではないのだな。

で、それが外国からの脅威とかに敢然とたち向かうヒーローたちならエンターティメントなのである。もちろん、接待や慰安のために秘密にプールされた資金を守るための秘密を暴くのもそれなりにエンターティメントなのである。

しかし・・・警察職員が温泉に行くための積立金を守る秘密警察はみっともないが外国人テロリストと戦う秘密警察はなんだかかっこいいのである。

もちろん・・・汚れ仕事であるのでそれを誰もがかっこいいとは思わないのがミソなのである。

人間は泥縄・・・泥棒を捕まえてから拘束するための縄をなう・・・を愚かと思うわけだが、一方で他国からの侵略を防衛するための武装を無駄と決め付けたりもする。

100万人を殺そうとしているテロリストを射殺すれば人殺しとののしることも辞さない。

なぜなら・・・100万人は殺されていないし、テロリストは殺されたからである。

結局・・・すべては妄想の戦いである。100万人を救うために一人を殺す人々にも苦渋はあるのだろうか。おそらくあるものは沈黙し、あるものは苦しみにたえ、あるものは命を軽視する哲学を身につける。人それぞれなんだな。

そのあたりのことを・・・警視庁公安部に外事第三課までしかないにもかかわらず存在する外事第四課はそのどす黒い姿を見せることで訴えるのか。

「この国にテロの脅威はない」といい続ける人々は「今もまだ消息の分らない拉致被害者は存在しない」と言っているのと同じなのである。それはつまり某国のスパイであることを告白しているのと同じである。

四課・主任・住本(渡部篤郎)はターゲットを徹底的にマークする。ハム(公安)の刑事である。彼が追い求めるのはテロリスト・fish(正体不明)・・・。それにつながる外交官ラモン(エディ・サイトウ)の家族を盗撮し、盗聴し、追尾して監視する。ラモンに国外に持ち出し禁止の機密を売ろうとする町工場の経営者の谷村(田口トモロヲ)の家族を盗撮し、盗聴し、追尾して監視する。彼らのプライバシーは国家の保全の大義名分のためには存在しない。

住本の部下たちの任務は神経をすり減らす仕事だ。彼らには秘密が命取りなのである。

五十嵐刑事(片岡礼子)が配置転換を願い出たために・・・住本は捜査課の刑事だった松沢陽菜(尾野真千子)をスカウトする。

就職に際し「親友が犯罪にまきこまれた傷ついた」ことを警察への志望動機としていたことをウソだと知っていたからである。「親友は単なる知人」で「彼女は傷ついていない」・・・そういう臨機応変さが求められるビジネスなのだった。

彼らは破滅にむかう犯罪に誘惑される谷村を黙って監視する。

そのことに後ろめたさを感じる陽菜だったが・・・ついに谷村に忠告することはできなかった。

谷村を破滅させるためにそっと背を押した住本は子飼いの工作員・架空のファンドの男(陰山泰)に報酬を届けるのだった。

こうして陽菜は汚れた世界に片足をつっこんだのだった。

家庭に戻った住本には妻(奥貫薫)と娘(稲垣鈴夏)がいる。もちろん彼の家族が盗撮され、盗聴され、追尾され監視されていることは言うまでもない。

関連するキッドのブログ『山田太郎ものがたり

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)『相武紗季と上野なつひの1969年のオヤジと僕』(TBSテレビ)・・・絶対彼氏コンビの刺客だ。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (6) | トラックバック (5)

2009年11月14日 (土)

前人未踏の三十路宣言ドラマ手作りケーキで呪いいや祝い(仲間由紀恵)ビキニで嬢王V07(原幹恵)

朋(黒川芽以)が一回いなくなるだけでものすごくステータスの下がる嬢王である。もちろん・・・それは偏見に満ちた清浄なる世界のステータスだが・・・そういうものは現実に存在する。

もちろん・・・その逆に汚辱の世界があるわけでそれをキッドは完全否定もしないわけである。

しかし・・・この深夜だからといって何の根拠もなくやりたい放題の嬢王だからこそ。

清浄なる世界と汚辱の世界のバランスは大切なのだな。

それはつまり清浄なるものを汚辱することに淫靡の神髄があるからに他ならない。

舞(原幹恵)だけではマイナーにメジャーが埋没してしまいそうです。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子・第5回』(テレビ朝日091106PM9~)脚本・橋本裕志、演出・唐木希浩を見た。このドラマのポイントは①仲間由紀恵が最高にイタい女を演じること。②常識を越えた闇の組織の実在に対する疑心暗鬼の追求。この2点だと思う。しかし、唐木演出になると微妙にこのポイントがずれていくのである。もう、こうなると天性とか偶然とかのレベルだけどな。

たとえば・・・①イタい部分では鳴海遼子(仲間)が間違って妹・美穂(名高梨緒)を殺された美鈴(芦名星)を遼子が片思いしている遠山(要潤)に優しく慰められ二人が抱擁するシーンで遼子は激しく嫉妬の感情を示すのだが・・・その演技をアップでとらえないのである。

これは隠し味にするべきところでなく・・・この後、遼子はこの嫉妬を原動力に犯罪コメンテーター楠田(中村獅童)との交際に溺れていくのである。そこがイタすぎて爆笑ポイントなのだが笑えるところまでもっていけなくなってしまう。

②についてもそろそろ・・・遼子の兄・鳴海刑事(小澤征悦)と片山刑事(辻谷嘉真)が口封じのために犯人を殺害しているという線がお茶の間には提示されているのだが・・・それについての疑念が芽生えたらしい鷹藤(佐藤智仁)の表情の演技だけでそれを示そうとしているらしい演出である。中途半端なんだよなぁ。

今回は前回、疑惑の対象となった城之内の疑惑が晴れたカタチになるのだが・・・それも安易である。この手のストーリーでは・・・最後には誰も味方がいないのでは・・・と遼子が追い込まれていくことがお約束である。

味方だと思っていた人が敵の連打ではもたないのである。敵だと思っていた人が味方だと思っていたら敵だと思っていたら味方だと思っていたら敵ぐらいの揺さぶりを登場人物全員にやらせるぐらいにしないと食い足りないのである。

なんだか・・・あっさりしていてメリハリないんだよな。

とにかく・・・仲間以外はやや弱いキャスティングだけに・・・もっとベタでくさい演出していかないと。

たとえば美鈴はどうみても・・・かわいい女には見えないのである。それをあえて見せる演出が必要なのだな。生前の姿を一度も見せぬまま死体となった妹を回想シーンに登場させるだけでいいわけだ。

たとえば鷹藤はかわいい男に見えないのである。占いを信じないと言われながら「ヒゲを剃るといいことがある」と言われて剃っちゃうくらいでいいのである。ついでにヒゲがあることでヒロインポジション適性を下げているのだから剃っちゃえたのに。

鷹藤と美鈴がかわいいキャラであることが・・・遼子が最高にイタい女になるために必要なのだし・・・二人がかわいいことがもしも本当に二人が死ぬことになれば闇の組織への敵意を遼子にもお茶の間にも強く持たせるのである。

美鈴はキャスティング的には今回、殺されていた方がインパクトがあったが、生き残って遼子の心の闇を拡大させるならそれをもっとお茶の間に伝わる形で見せないと・・・どこが面白いのか分らなくなってしまうのです。

まあ・・・とにかく・・・そんなこんなで面白いのにつまらないという微妙な部分をこのドラマは漂流中なのだ。

永倉ホールディングスが関係する環境保護のボランティア活動を支援する団体ラボネイチャリング。立てこもり犯人・菅原はそこで洗脳教育をされたと城之内(酒井敏也)は語る。Jリーガー高城(井上正大)とアイドル南彩香(松本若菜)との「交際疑惑そして異母兄妹発覚スキャンダル」を追いかけた遼子は事件を暴露したとされる占い師マーサ(三浦理恵子)とマーサをかばうカリスマ探偵の楠田と出会う。

何故か遼子に色仕掛けを仕掛ける楠田にいろいろあって心が痛い遼子はメロメロになっていく。

前回の歌手(金子さやか)に続いてちっともアイドルに見えない南が「全国的な盗聴組織がある」と言い出せば・・・誇大妄想と一笑にふすのである。

しかし・・・実際はカリスマ探偵として探偵学校を経営する楠田は卒業生の探偵をコントロールし、全国的な盗聴網を構築していたのだった。

それに得た情報をマーサに流し莫大な資金を稼ぎ出していたのである。

すべてはラボネイチャリングが新党を立ち上げて政界参入を目論むための資金集めだったのだと城之内は解説する。

その証拠に美鈴を狙い・・・美鈴の妹も殺したと告げる楠田・・・。遼子を刺そうとしてナイスタイミングで現れた鳴海刑事が射殺である。一方・・・マーサも自殺していたと片山刑事から報告が入る。

そして・・・遠山は東京にいるのに東京にいないと言って電話をしつつニヤニヤである。

もはや最も名無しの権兵衛に敵対するのは妹を殺された美鈴になるのだが・・・もちろんその場合も美鈴が普通に妹を愛していた場合である。

とにかく・・・遼子が15歳の時に鳴海兄妹の両親は放火によって殺害されたらしい・・・イノセント・ラヴかっ。

どこか・・・浮世離れした鳴海兄妹の描き方も不十分で・・・本当に面白いのにつまらないドラマなのである。そして公式裏サイトの間違い探しは七つ目がどうしても発見できないのである。・・・妙に不機嫌だと思ったらやつあたりかよっ。

関係するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

で、『嬢王Virgin・第7回』(テレビ東京091114AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・岩田和行を見た。お茶の間にオンエアされるドラマのサブタイトルとしてはもはや限度を越えたな・・・。「㊙蜜汁絶頂昇天!生ビキニ」である。誰か、止めてやってくれと叫びたい夜があります。オスカープロモーションの原幹恵に対する態度はソニンに対する和田マネージャーの如しなのか。

もちろんクマのプーさんが蜜壷かかえているというオチでもないのである。

そして・・・失踪中の朋はこのサブタイトルから逃げたのではないかと妄想しました。

その密汁を垂れ流すのは舞であった。「いじめによるトラウマで男性と接することができない」という悩みを持つ舞に何故か優しく接する亜莉沙(蒼井そら)・・・。「ガリレオ」ではできないトップレス・サービスの後で怪しい飲料を舞に奨める。

亜莉沙「毒でもお酒でもないからお飲みなさい

舞(亜莉沙が先に飲むのでつい飲む)

亜莉沙「飲んでしまったわね。これは媚薬なの。インドのカーマ(性愛)について書かれた「カーマスートラ」(4~5世紀成立)が伝える秘密の薬よ・・・・」

舞(たちまち喘ぎだす)

亜莉沙「人間のすべてを知らなければ最高のおもてなしはできないの・・・さあ、あなたの心のフタをあけてあげる・・・」

亜莉沙の超絶テクニックで絶頂昇天いる舞だった。・・・おいっ。

一夜あけて・・・。

亜莉沙「昨夜は燃えたね」

舞「あの・・・クスリのせいです・・・」

亜莉沙「ふふふ・・・あれはただのハーブ・エキス・・・あなたの中にかくれていた欲望がただあふれ出しただけなのよ・・・性と愛は表裏一体・・・あなたの中に愛しい男への思いが隠れていて・・・それを私が引き出しただけ・・・」

暗示による偽薬(プラセボ)効果である。愛が錯覚に過ぎない以上、媚薬と偽薬の区別は無意味だという話なのだな。

とにかくだ・・・男が女を犯すのは犯罪だが・・・女が女を犯すのは犯罪ではなくて単なる変態だと・・・スタッフは主張しているのである・・・なんだかなぁ。

もう、とにかくお茶の間にオンエアされたドラマとしての一線を越えたのは間違いないな。

しかし・・・舞の心に性愛の相手として桜木(大口兼悟)が浮上したのだった。こんな本命の表現方法がかってなかったことだけは評価してください。

舞の心を見抜いたように優衣華(原紗央莉)が登場。

そんな二人の前に姿を見せる決戦出場者たち。九州代表(予選通過総合順位2位)の小悪魔系・珠里(木口亜矢)、そしていきなりパンチラ・サービスをする関西代表(総合第3位)のメガネ娘系ヤンキー・翔子(横山美雪)である。もうだれがグラビア・アイドルでだれがAV女優なのか判別不能です。

珠里「キャバ嬢の仕事はチームプレイが大事よね

優衣華(鼻で笑う)

珠里「無視かよ・・・」

一方、翔子はぬいぐるみの首を引きちぎる凶暴さを見せる。なんかクスリやってんのか。

とりあえず・・・本選大会メンバーがパワーダウンしていると感じたのか・・・特別枠として・・・亜美(麻美ゆま)を出場させる雨宮(永田彬)・・・焼け石に水とはこのことか。

香織(かでなれおん)の体の不具合の原因は雨宮のおこした交通事故にあったらしい。

とりあえず・・・香織は雨宮を一生縛りたいらしい。

香織の父の愛人である亜美はなぜか・・・舞に対する敵愾心を香織に植え付けようと画策するのだった。

本選第一夜はビキニ・ナイトである。下着で濡れ場を演じた後だがビキニ着用をためらう舞。朋はこれもパスしたな。とにかく桜木から送られたバラのコサージュに励まされ店に出る舞だった。

しかし・・・優衣華は店の子の反感を肩代わりさせるために自分の売り上げを舞に流す。

いきなりトップに躍り出る舞だった。

たちまち・・・店の子たちは舞を苛めるのである。

一方、兄に怨みを抱く優衣華に真意を質す舞。

舞「なぜ・・・兄と妹が憎みあうの?」

優衣華「あいつは・・・人殺し・・・」

舞は真相を確かめようという口実で桜木に会う。

そして・・・桜木に唇を許し・・・ふたたび密汁絶頂昇天なのである。もう笑うしかないな。

これ・・・ファースト・キスなのに・・・なにがなにやらでございます。

完全に一回休み状態で届く朋のファクス。「私には策があります」・・・つづくである。

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年11月13日 (金)

独り飲む酒七年後(唐沢寿明)彼と映画を観てクルマで送ってもらいました(多部未華子)

エンディング・テーマがかかると原田芳雄がグラスを片手に「独り飲む酒~悲しくて~映るグラスは~Bluesの色~」と歌っている幻影が浮かんでくる人は多いらしい。一種の集団幻想か。

トム・ウエイツの「トム・トラバーツ・ブルース」は1976年頃の作品。原作の前半分が刊行された年である。

歌の内容はこの世のふきだまりに迷い込んだ流れ者のくだまきという趣きである。だから、まあ、「Yokohama Honky Tonk Blues」でもよかったんじゃないかと思う。

とにかく・・・このドラマがズタ袋をかついでさまよい歩く主人公を描いているのかどうかは微妙だな。それは「あしたのジョー」にまかせておけばいいと思うよ。

で、『不毛地帯・第5回』(フジテレビ091112PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・水田成英を見た。同志を死に追いやって日本の空にスターファイターF-104J栄光(ドラマの中ではラッキードF-104戦闘機)を導入した壹岐(唐沢)だった。その過程で国家機密漏洩の罪で社内から逮捕者を出した責任をとり辞表を提出する壹岐。しかし、近畿商事・大門社長(原田芳雄)は「作戦が失敗して多くの将兵が犠牲になる度に辞表を出す参謀などいない」と壹岐を慰留をする。

「死んだ者たちへの償いは戦い続けることしかないのとちゃうか?」

痛いところを突かれた壹岐は我武者羅に働くことを決意したのだった。壹岐の洞察力により近畿商事は繊維中心の商社から鉄鋼などの非繊維業務に手を広げ、総合商社として変貌していくのである。

そして・・・七年後。近畿商事・東京本社は巨大なオフィスを構え、社長直轄の経営戦略本部を率いる壹岐は常務取締役に就任していた。この異例の出世に旧世代の副社長・里井(岸部一徳)、繊維部門担当専務・一丸(山田明郷)たちは嫉妬の青い炎を燃やす。

いつのまにか豪邸になっている壹岐の自宅ではいつまでも若い妻・佳子(和久井映見)が編み物をし、娘の直子(多部)は26歳になって肩パットいれてジャパン航空勤務である・・・って高校卒業から26歳までの直子の青春は描写しないのかよーっ。

とにかく・・・七年前から交際している鮫島ロンドンくん(石田卓也)とは映画を見て夜遅くまでデートをする仲らしい。

当時の感覚で言えば行き遅れているとも言える直子の「縁談などまだ早いと言うのだ」という典型的な娘溺愛タイプとして描かれる壹岐はロンドンくんの笑顔に拳を握りしめるのだった。しかも・・・ロンドンくんは親友の川又(柳葉敏郎)を自殺に追い込んだ元凶であり商売仇でもある東京商事の鮫島(遠藤憲一)の息子だった。

「鮫島めぇぇぇぇぇぇぇぇ」と血管切れそうになる壹岐だった。

時は昭和42年(1967年)である。少年マガジンで「天才バカボン」の連載が始まった年である。二人の見た映画は春なのでアランドロンの「冒険者たち」・・・そして夏になったらシドニー・ポワチエの「夜の大捜査線」を見るのだろう。

彼女たちは戦前の生まれだが・・・戦後生まれの若者がすでに大学生になっている年なのだった。ティーンエイジャーはグループ・サウンズに・・・子供たちは怪獣に夢中なのである。

政治の世界では汚職が蔓延し、日本全土が黒い霧に覆われていた。明治大学の学費値上げ反対闘争で全学連のパックアップする学生会と大学当局の理事会が対決。間にはさまれノイローゼになった教授は電車に飛び込み自殺。米黒人兵と日本人女性と間に生まれた黒人混血少年が連続殺人を起こし、米国ではアポロ宇宙船が爆発、元トルコ(ソープ)嬢と付き合っていた無職青年が羽田空港のトイレを爆破、ソ連のソユーズ1号は墜落、新潟水俣病裁判開始、中国では文化大革命の嵐が吹き荒れ、中国とソ連の関係は悪化、インドネシアではスカルノ大統領解任、デ・・・米軍は正月にベトナム・メコンデルタに本格侵攻し二月には枯れ葉作戦を開始、泥沼に突入していくという全世界が活気に満ちすぎた様相を呈していた。

ベトナム戦争には多大な軍事予算がつぎ込まれ・・・軍事関連物資の価格は急騰。近畿商事は総合商社として荒稼ぎをして急成長していくのである。

壹岐は戦争で苦渋する側から戦争で大儲けする側に立場を変えたのだ。

世界で商売するためには情報の収集が欠かせないため・・壹岐の元には兵頭(竹野内豊)や不破(阿南健治)ら一騎当千の社員が集められていた。

世界の果てで算盤を弾くと言われたジャパニーズ・セールスマン伝説の始まりである。・・・そんな伝説はないだろう。

そんな商社マンたちの目下の関心は緊張を高める中東情勢だった。

第二次世界大戦でユダヤ勢力、アラブ勢力のどちらの協力も得ようとした連合国側は二枚舌外交を展開、戦後、聖地エルサムレムでのユダヤ国家イスラエル建国によりアラブとの摩擦を起こす結果を招く。以来、イスラエルとそれを包囲するアラブ諸国の対立は深まり、第一次中東戦争、第二次中東戦争と軍事衝突を繰り返していた。

イスラエルの背後には米英がアラブ諸国の背後にはソ連が暗躍していたが、宗教的な問題と経済的な問題が複雑にからみあい・・・大国の思惑を越えたところで爆発する中東の火種の着火点は予測不可能の領域を含む。

そのうかがい知れぬ戦争開始の時期を予測することが商社にとっての生命線だった。

元・軍人として壹岐は独自の情報源を開拓・・・情報戦の勝利を掴もうとする。

そのひとつはデ・・・インドネシア華橋の黄(石橋蓮司)の第2夫人となった紅子(天海祐希)だった。デ・・・・・・紅子のコネクションにより昭和の政商とも裏世界の黒幕とも言われる竹中氏経由で在日ユダヤ人安蒜(団時朗)とコンタクトを持った壹岐は・・・ユダヤ人国際情報網という協力な情報源を手に入れる。

米国CIAもソ連KGBも及ばぬ現地直結情報を獲得するために流通の力を最大限に活用する壹岐に嫉妬に目がくらんだ社内から反発の声が高まる。

そんな大技を駆使しながら、仄かな好意を寄せる千里(小雪)とデートしたり、シベリア抑留時代の旧交を暖めたりと壹岐は五十代ながら果敢に動くのだった。しかし・・・かっての部下・小出(松重豊)の零落した姿よりも千里を優先するあたりが・・・人としての限界である。

米軍がベトナム戦争に本格介入し・・・中東での影響力が低下すると、イスラエル国内では危機感が高まっていた。周辺諸国はすべて敵であり、ソ連のバックアップを受けるアラブ諸国は日々、軍備を拡大している。

四面楚歌の状況の中、イスラエルは先制攻撃による局面打開を決意するのである。

日本の商社にとって重要なのはヨーロッパとアジアを繋ぐバイパスであるスエズ運河の通行問題であった。戦乱によってスエズ運河の運行が不通となればアフリカ大陸を迂回する喜望峰コースを通行しなければならず、そのための船舶確保が貿易の課題となる。

いつ、そしてどのぐらいの間、スエズ運河は利用できなくなるのか。

近畿商事も東京商事も熾烈な情報戦を展開する。

5月22日、アラブ諸国のリーダーであるエジプトのナセル大統領はイスラエルの死命を制するアカバ湾封鎖を宣言する。

この情報を日本の商社マンで最も早く知ったのは壹岐だった。

そして6月1日イスラエルは国防相に軍人政治家・片目のダヤンを任命し、臨戦態勢を示すのである。

ズタ袋をかついで

ズタ袋をかついで

さあ・・・さまよいあるこうぜ・・・オレとな

女たちはみんな苦界に沈み

男たちはみんな落ちぶれ果てる

それがこの世の運命なのさ

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『外事警察』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)午後九時に四つのドラマ激突だが・・・もう外事にのりかえちゃうか?・・・いや、それはないだろう。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (0) | トラックバック (6)

2009年11月12日 (木)

むきだしの私のものさし(藤原紀香)バランス(本仮屋ユイカ)私の母を殺したのは誰ですか?(吉田里琴)

社会的な問題の多くは個人的な問題を避けて通る口実である。

・・・まあ、時にはそれが真実だったりして。

水曜日のダンスはまたも変則ワントップに。2+1=1.5みたいな不思議な数学になっちゃうのよね。

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・↘17.8%

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%↗12.2%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%↘*8.0%

相棒は一回おやすみで浅見に*1%とられたし、ギネはグラチャン・バレーに踏みつけられてます。

深夜のテレ東「ゴッドタン」の「ドスベリサミット」には白衣・眼鏡ゲストとして日本一かわいい女子高校生・折山みゆが登場。18歳の誕生日の前日の収録ということで紹介されるとドブスベリクイーン大島美幸に「前日とか収録日とかで誕生日アピールするな」とからまれ一年くらい習ったことのある空手の正拳突きで大島のボディを強打。大島の腹部に手首までもぐりこませる。劇団ひとりがフィリピンパプでの営業ネタがらみで「ナメタイヨ」を連発するとしっかりとリアクションを抜かれていた。・・・矢作「緊張してるでしょ」折山「吐きそうです」矢作「昨日は眠れた」折山「・・・三時間くらい」大島「充分だろが」(笑い)・・・基本的に正直者はすべらない。

で、『ギネ 産婦人科の女たち・第5回』(日本テレビ091111PM1010~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・岩本仁志を見た。ついに発狂して分娩室から担ぎ出される柊奈智(藤原)・・・このまま、精神科で拘束されるのかと思ったら・・・隔離して説諭である。一過性の気の迷いとして処理する気満々の周囲の医療スタッフたち。まあ・・・精神に問題のある医師が「母体死亡のケース」に関っているなんて世間体が悪いからな。全人類が発狂している現代においては正常と異常のボーダーラインは専門家だって判別しがたいわけである。なにしろ、専門家そのものが狂っているのだからな。

奈智は「一貫して孤立した行動を好む」「情緒的な冷たさ・超然とした態度・平坦な感情」「感情というものを他人に伝える能力が限定されている」「社会規範や慣習への無関心」「賞賛にも批判に対しても無関心」という統合失調質人格障害の診断基準をほぼ完璧に満たしている。受診すれば病名を特定されることは明瞭なのである。

しかし・・・奈智の上司・君島産科医長(松下由樹)の相談を受けた榎原婦人科医長(中村橋之助)は「人間としての精神的発達が未熟なだけで教育・指導で改善できる」と判断する。もちろん・・・この場合も広汎性発達障害ではなく・・・健康だがちょっと迷いが生じている人間を矯正するという認識である。

「機知外の人を機知外といえない以上機知外の人は存在しない」という考え方である。

もはや「医療現場のかかえる社会的問題」ではなく、「奈智という問題児をかかえた聖修大学医学部附属病院のスタッフの管理能力の問題」の話である。

とにかく・・・脚本家はその点をえぐりこむ。そしてキッドは面白くてのめりこむ。

こうして奈智は産科から婦人科にトレードされるのだった。

榎原は奈智を「病人」ではなく「未熟な人」として扱うために奈智の「社交的でない側面」はあくまで「幼児的な全能感に支配された未熟な精神」によるものと考える。

もし・・・この問題が救いようの無い世界の話であるとすると・・・すでに榎原は「人間性至上主義という信念において全能感を持っている」ことになり・・・奈智の間違った全能感を榎原の正しい全能感で洗脳するという虚しい展開が提示されるのである。

しかし、脚本家はそこまでは踏み込まず贔屓の俳優に優秀な指導者としての「いい人」を演じさせると思われる。

それは理屈では割り切れない社会ではある意味正しい選択なのである。

人々は意外な組合せで時には救われることがあるからだ。

たとえばお医者様でも草津の湯でも治せない恋の病を・・・なんのとりえもない恋人が治すがごとくである。

統計医学としての精神医学を拒絶して榎原は怪しげな心理学の理論を素人解釈で応用し始める。

産科医長の「トラウマ」連発と同様に奈智は「親の愛に満たされないまま育ったので自我が肥大化し自己中心的で他人の存在を軽視する全能感に人格が支配されている」と確信するのである。もう一度言っておくがこの態度は「全能感」に支配された人間の言動といえる。

人間は「是非」で情報を処理する生物である。そのために「自己」も「肯定」したり「否定」したりできる。しかし、複雑で高度な情報処理は限りなく中立的にもなっていく。

「自己肯定」と「自己否定」は「どちらでもない」に落ち着くのが普通である。

もちろん・・・自己否定が強まれば「自殺」への道は近いのだが、逆に「自己肯定」が強くても「自殺」への道は近いのである。

「生死」もまた限りなく曖昧なものだからだ。

だから本当は奈智はたまたま機知外になってしまったかわいそうな人だとキッドは考えるが・・・二人の上司は指導すれば・・・なんとかなると前向きに考えるのだった。

はたして・・・どうなのか・・・楽しみである。

一方で相変わらず・・・必要以上に肉体関係の描写にこだわる脚本家。

なにしろ、産婦人科が舞台なので妊娠・出産は日常的光景であり・・・その前提条件として性行為があるのは自然だと激しく主張します。

基本的に作家は作品世界に没頭するあまりに統合失調質人格障害的に見えることがある。それは職人気質の異称だからである。

それを客観的視点で見ればかなり滑稽な感じもしてくるがある意味同病相哀れむのである。

活躍するのは①科学者のくせに天中殺を気にする教授の須佐見(國村隼)と顧問弁護士の瀬川(内田有紀)・・・ふたりの家族関係は不明だが明らかに不倫の匂いを漂わせている。脚本家は医学部教授と顧問弁護士は不倫関係でなければ不自然だという病的な信念があるのだな。

②はじめてのカイザー(帝王切開分娩)を成功させた玉木医師(上地雄輔)はモテモテ設定らしく、とりあえず助産師の木村(映美くらら)を愛人としつつ積極的にアプローチしてくる同期の女医・嶋えりな(本仮屋ユイカ)もそれとなくうけとめるのである。源氏物語である。

③実は常識的で対人処理能力に優れた人格に見えて・・・精神的に問題のある医師を精神的に問題のある患者の家族に個人的に引きあわせるという空気の読めない人格であることを暴露する奈智の同僚・桧口(板谷由夏)は死亡患者の遺族である徳本(八嶋智人)の初体験の相手であり、前世の因果を気にしたりする妙に信心深い寡夫となった徳本と同情などからただならぬ関係になる可能性は充分であり・・・脚本家はそういう展開にしたくてたまらない感じが匂い立っている。

この性に対するこだわりは・・・「全能感」や「天中殺」あるいは「前世」といった怪しい精神世界用語をつい使用してしまう「スビリチュアル」で「霊的」で「ニューエイジ」で「ドラッグ中毒」で「トランスパーソナル」的なものへの傾斜とともに・・・この作家独特の淫靡でいかがわしいムードを作品世界にたちこめさせ・・・なんとも言えず味わい深いものがある。

全面的に否定していませんのでご注意ください。

とにかく・・・榎原の指導のもと・・・精神の改善をほどこされた奈智だが・・・ゴミ箱にあたる姿を目撃した藤木医局長(近藤芳正・・・この日「相棒」では勘違い殺人犯)は「効果なし」を感じるのだった。

徳本の娘・優美(吉田里琴)は美少女すぎるので私ってブスだった脚本家の憎悪の対象になりやすいのだが・・・前回、奈智の発狂の引き金を「母を惜しむ絶叫」で引いたあと・・・通夜の席では躁病気質の桧口を眼力で不安な気持ちにさせている。ここだけキャリーの世界である。

しかし・・・今回はその不気味さを子役の先輩・「女王の教室」の馬場ちゃん・・・ではなくて末期の子宮がんの少女(永井杏)が半分引き受ける。余命いくばくもなく、いじめられた過去があり、リストカッター・・・そして夜の屋上で縁に腰かけ足をぶらぶらである。

「この患者への告知をまかせる・・・」と奈智に告げる榎原。結局、荒療治である。

榎原は「死と向き合い、克服したものだけが本当の医者だ」と言う信念があるわけである。

しつこいようだが・・・それも一種の全能感的な思い込みの一種なのであるが・・・要するにそれが実用的であれば問題ないのである。

だが・・・「病的に死から目をそむける」奈智には「告知したら自殺してしまう可能性のある少女」に告知をすることはできない。

そうした世界の恐ろしい部分から目を背け、医療技術者としての医師に特化してきた奈智の情緒はたちまち不安定なものに。

そんな奈智を機知外を見る目で批難するスタッフたちを発狂させた張本人の一人・嶋は「それは言いすぎです」とお嬢様気質でたしなめるのだった。マッチをすってポンプで消すタイプである。

そして・・・徳本家には「演歌の女王」で国境なき医師団に身を投じた医師・・・ではなくて売名を目論む偽善的で悪徳的な感じの弁護士(半海一晃)が浸透してくる。

「隠蔽体質の大学病院の言うことなんてすべてウソですから」という弁護士に徳本は疑心暗鬼状態に。

そして・・・「アイシテル~海容~」のキヨタンのママ・・・ではなくて桧口の空気の読めないお節介でセッティングされた徳本と奈智の対話の場。

徳本「あなたの口から妻(西田尚美)の死因を聞きたいのです」

奈智「そのことはもう忘れたいのです。前を向いて進みたいのです。そのためにはそれを思い出したくないのです」

桧口「ええーっ・・・・」である。

面白すぎる。

私が私でいるため

昨日よりも強くなれるために

損失すものよりも得るものがどれだけ大きいか

歯をくいしばりながら噛みしめた

何が絶対なんてわからない

どれかひとつだけってこともない

今自分のものさしで歩いていこう

ある意味、ドラマ本編は主題歌のテーマの完全否定を展開中。凄いぞ。言わば元気ソングに「がんばれ」って言っちゃダメなときもあるよねと言ってるのか・・・。

関連するキッドのブログ『第4回のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ) 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (3)

2009年11月11日 (水)

今度こそ騙されませんからね(戸田恵梨香)お人好しさんいらっしゃい(松田翔太)

さて・・・火曜日はドラマ対決の日なのだが整形逃亡容疑者逮捕で「ニュースウオッチ9」20.4%、「報道ステーション」22.0%である。お茶の間ってやっぱりちょっとバカだよな。・・・ほっといてやれ。

①「ウソゲ2」12.4% ②「リアルクローズ」↘10.6%

ウソゲは・・・第1シリーズの平均視聴率が11.4%なので好発進といえる。

「リアクロ」は仕事か結婚かという二者選択があまりにもベタである意味トホホです。

そういうわけで・・・火曜日は久しぶりに「ウソゲ」に一本化されます。

まあ・・・初回なので少し回顧してみます。

フジテレビの土曜ドラマ枠の新設による第1弾が「LIAR GAME」・・・2007年の春ドラマです。大河ドラマは「風林火山」でしたが・・・このクールの連続ドラマはなかなかに秀作がそろってます。「プロポーズ大作戦」「セクシーボイスアンドロボ」「わたしたちの教科書」「帰ってきた時効警察」実に充実のラインナップ。楽しかったなぁ・・・。

さて・・・ウソゲの楽しさはなんと言っても戸田恵梨香のブリッ子ヴァージョン、そしてゲームです。

キッドはゲームとドラマについては「CHANGE」(2008年)でも解題材料にしています。→CHANGEとゲーム

しかし、先行系はウソゲのレビュー。実は私的事情で2~3話があっさりレビューになっていて心残りなのですが、ここはキッドのブログとしては珍しい全話リンクを作っておくことにしました。単なる自己愛でございます。

待っていろと言われたから待っていた。(戸田恵梨香)01

導入部は非情にシンプルな騙しあい。ある意味、普通のドラマである。特に特殊なゲーム会場がないためにこのドラマのテーマ・パーク性は秘められている。

02は「LIMIT OF LOVE 海猿」のオンエアに押しのけられている。

女ですかと訊かれたからハイと答えた。(戸田恵梨香)03

アニソンで三昧していた関係でタイトルのみである。全記事中最短という記録ホルダーだ。

私はMなのに、Sと言えと言われたのでSと答えた。(戸田恵梨香)04

前回から二回戦に突入しているのだが・・・キッドがドラマの中にゲームを見出すことにした回。お気楽様へのリンクがあるので内容を確認したい人はここから飛ぶといいと思うよ。

私しかいないと言われたので助けにきました。(戸田恵梨香)05

シーズン2の始まりと同じテイストです。しかし、この回は「めぞん一刻」に圧縮されています。

約束したのに約束なんて守るわけないじゃーんと言われた。(戸田恵梨香)06

すでに直(戸田)のこのドラマにおける魅力全開である。そしてこのドラマの本当の主人公といえるフクナガ(鈴木浩介)もキノコ全開である。

やられたらやりかえせと言われたから・・・やりかえした。(戸田恵梨香)07

ゲームはリストラゲームに。ここから・・・直のがんばりに涙しない日はないのだった。

8億5千万円で私は恋を買いました・・・。(戸田恵梨香)08

ああ・・・直が主導権を握るとは。投票のパラドックスへの言及はCHANGEの到来を暗示している。

チャンスが五倍ならリスクも五倍になると言われなくても分かるようになりました。(戸田恵梨香)09

密輸ゲームのスタートなのだが・・・バカな子ほど成長の喜びもひとしおなのである。キノコ、チビキノコ(坂本真)のノリもいい感じだ。合理的なブタのゲームである。

空だと言われたからパスした・・・カードを渡せと言われたから渡した。(戸田恵梨香)10

お気づきのように原点回帰しています。しかし・・・人の成長は螺旋階段を昇る如しですからね。これでいいのです。もうキャラクターの展開が最高潮。ゲームとはルールなのです。

私の真似をしてはいけません。私は天使だからです。私には神様が味方ですから。ってことなのです。(戸田恵梨香)11

とにかく・・・四回戦に進出した直たち・・・しかし・・・原作に追いついてしまったので・・・2年間充電なのである・・・原作的には数日後の世界がドラマでは長いブランクになってしまった。それもまたリアルなゲームと言えるでしょう。待ちくたびれたわっ。

で、『 2・第1回』(フジテレビ091110PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・松山博昭を見た。脚本家が古家和尚からチェンジして、ヤングシナリオ大賞(2007)の佳作受賞者にチェンジである。今年の秋の「世にも」の生田斗真の「自殺者リサイクル法」の脚本担当であるが容赦ない大抜擢だ。しかし・・・まあ・・・無難な立ち上がりだった。ゲーム系には強そうだ。

そして・・・様式美を感じさせる演出は目に優しいのである。

暗がりに置かれた赤いリンゴ。佇む美少女。不気味な赤い傘。雷雲渦巻く暗黒の空。火花散るネオン・パイプだらけのパーティー会場。まさしく・・・ヒロイン・神崎直(戸田)はホラー映画の主人公であり・・・観客がそっちにいったらダメ~という方向に迷うことなく向かっていく正統派であることを暗示するのである。痺れるよ。

そこに待っていたのはチビキノコこと大野(坂本真)ら・・・ライアーゲームで死線をくぐった戦友たちだった。「四回戦」ではなく誕生パーティーだったのである。

「また騙されたね・・・直ちゃん・・・」

嘘と欲望にまみれたライアーゲームにもっとも不向きな女、バカ正直の直が再登場である。もちろん・・・その夜・・・一人暮らしの直の家には本当の「LIAR GAME・四回戦の招待状」と貸付資金の現金1億円が届くのである。

ライアーゲームは基本的に借りた金を元手に大金を賭けたゲームをし、大儲けするか莫大な借金を背負うかというルールです。

途中棄権の場合は獲得賞金の半額を主催者であるライアーゲーム事務局に返還しなければならない。

しかし、直は三回戦をプラスマイナス・ゼロで終了したため、無料で棄権できるのだった。

例によって前だけ金歯略して前金の事務局員・谷村(渡辺いっけい)は見え透いた手口で直をその気にさせる。

「君が・・・棄権したら・・・残された参加者たちは・・・きっとひどい目に遇うだろうな・・・君は彼らを見捨てるのか・・・」

もちろん、一番ひどい目に遇う可能性が高いのは直であることは誰の目にも明らかですが・・・直は参加を決意します。だって・・・それがライアーゲームだから。

一方、直の王子様、天才・詐欺師・秋山深一(松田)は二年間消息不明。ある意味、ヒロインに対してもっとも残酷なのは秋山でしょう。直にはくもの巣が・・・おいっ。

しかし・・・変な事務局員エリー(吉瀬美智子)は秋山の母の命日に墓前で待ち伏せです。

秋山「ライアーゲームの黒幕(北大路欣也)に会いすべてを知った以上・・・もう用はない」

エリー「あの人は黒幕ではなかったのです。すべてはまだ謎なのです」

秋山「シーズン2だからな・・・」

一方、変なヘアスタイルの新人事務局員(遊井亮子)に招待状を届けられたのはシルクハットをかぶったオセロの白い方こと松嶋尚美ではなくて史上最年少教授・葛城(菊池凛子)・・・。秋山とは学友らしい。

直と葛城はすれちがいますが・・・対決はまだ先らしい。もったいぶってるよね。何様だよ。アカデミー賞ノミネート女優だよ。「ノルウェイの森」で直子やるよ。なるほどスカシか。

そして会場に待っていたのはメフィラス星人に支配された三人の宇宙人、バルタン、ザラブ、ケムール人ではなくて・・・四回戦の対戦相手・・・「月ノ王国」の西田(荒川良々)、菊池(眞島秀和)、小坂(広田レオナ)だった。オマージュだな。

四回戦は団体戦。そう告げるのは新しいディーラー・ソラリオ。ちょっと派手になりました。

直の所属する「太陽ノ王国」のメンバーは・・・四回戦参加理由(省略)のフクナガこと福永ユウジ(鈴木)・・・そして秋山だった。

直は再会を心の底から喜びスキップしたい気分です。しかし、フクナガとはハグはしません。事務所的にNGなのかい。フクナガはここだけのスターだからかいっ。

換金である。メンバーは資金1億円を納入。一枚100万円のチップを150枚渡される。

個人総額1億5000万円。ゲーム終了後の返済額は1億円なの5000万円はボーナスである。

チーム総額4億5000万円(ボーナス1億5000万円)、場の総額は9億円(ボーナス3億円)である。

これを先鋒戦、中堅戦、大将戦の三つのゲームで争奪するのが四回戦となる。

チーム制であるため個々の戦いはトータルされ決着がつく。

仮に太陽ノ王国が場の9億円をすべて奪えば、3億円を返却して残り6億円。山分けで一人2億円の儲けとなる。

一方、月ノ王国は3億円(一人1億円)の負債を背負うことになる。

つまり・・・ライアーゲーム事務局は3億円の損失である。しかし・・・勝者がゲームを続ける以上、それは預金と同じだし・・・棄権の場合は儲けの半額返しなので3億円は戻ってくる。

だが・・・ライアーゲームである以上・・・そう簡単な決着にはならないのである。

先鋒戦のゲームは「24連想ロシアンルーレット

24連発のリボルバー(回転式弾倉拳銃)に3発ずつ計6発の弾丸を込め、交替で発砲。

発弾(空砲)でチップ50枚(5000万円)を相手側に支払う。

弾丸の装填場所はチームごとに指定できる。

パス(発砲権の移動)はチップ1枚(100万円)を保険金として場に置く。

パス返しはチップ2枚(200万円)。

スリー・パスでチップ4枚(400万円)。フォー・パスで8枚(800万円)。

ファイブ・パスで16枚(1600万円)となる。

ただし、ファイブパスをした時点ですべての保険金は事務局に没収され、引き金は事務局が引く。

パスの途中で発砲を選択することにより、発弾なら保険金は相手側に奪取され、空射ちなら保険金を回収できる。

(例)太陽・パス(100万円)、スリーパス(400万円)、発砲(空射ち)の場合

   月・パス返し(200万円)、フォーパス(800万円)なので合計1000万円を獲得。

ちなみにファイブパスをした場合の総額は3100万円の保険金で、先手の保険金損失額は2100万円となる。

この場合、資金は事務局が回収するので場の総額は8億6900万円となる。

ファイブパスを10回すると合計3億1000万円。場の資金は元手の6億円を割り込む。

24発のうち6弾なので最初の発砲確率は1/6である。

リハーサル(練習試合)は直と西田が行い、直が装填したのは18・20・23。

その結果・・・無策の直はギャンブル勝負をして2億円以上の負債を背負う大敗をする。

直「ちっとも役に立てませんでした・・・」

秋山「そんなことはない・・・この勝負には必勝法があることがわかった」

直「えーっ・・・」

そして・・・先鋒戦本番。

太陽の福永 VS 月の西田

序盤戦・・・福永はパスと発砲を絶妙に使いこなし・・・圧倒的なリードを作る。

直「どうして・・・」

秋山「偏って装填した弾丸の重さで・・・あの回転式弾倉は下側に弾丸が偏る特殊性を持っている・・・そして相手もそのように装填するようにオレが誘導したからだ」

直「そんな・・・あこぎな・・・設定を・・・」

秋山「それが・・・ライアーゲームさ」

つまり・・・弾倉の偏りによって最初の六発と最後の六発は安全圏と福永は読んでいたのである。一方・・・相手は三連続で当りがくることしか知らなかったのである。

たが・・・果たして・・・その読みは正しかったのか・・・。

そして・・・おびえる小動物の瞳を持つ直はそれよりも恐ろしいこのゲームの正体に気がついた模様である。

とにかく・・・ライアーゲームは・・・楽しい。

そして直は・・・かわいいのである。

脚本はいくつか説明不足や不明瞭な点があるが大目にみます。

関連するキッドのブログ『BOSS

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (0) | トラックバック (10)

2009年11月10日 (火)

万華鏡ブルースでありんす(中谷美紀)仁は抽出(大沢たかお)男装ナイチンゲール(綾瀬はるか)

用を足す度に地獄の病・・・痛い、痛いぞ仁。

その痛みを通り越して20.3%到達である。凄い、凄いぞ仁。

あえて無視するしかない語ると凄いことになってしまう「東京DOGS」があるだけに「仁」があってよかったという気持ちでいっぱいである。

もちろん、類、類と叫ぶ人がいればごっこガーデンは開催するのでございますがーっ。ヒロくんは萌えなしだし。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↗*8.4%(転調して踏みとどまったな)、「おひとりさま」↗*9.7%(今回はシバトラだよ・・・)、「マイガール」↘*7.2%(他人の家庭の話だしな)、「小公女セイラ」↘*7.6%(志田、痛恨の選択ミスだがこらえている)、「サムライ・ハイスクール」↘*7.8%(裏番組で21.6%獲得の巨人優勝のテロップをいれる日本テレビって・・・)、「チャレンジド」↗*7.5%(見事なラクダ的しり上がり・・・さて外事警察か)、「天地人」↗22.2%(妻夫木聡のダメージ深いな・・・)、「仁」↗20.9%(華麗なる一族以来の20%越えである)、「天と線・特別」14.3%(ここが再放送と知って流れたか)・・・ついでに「東京犬」↗16.1%(食べると死ぬで首位陥落)・・・以上。

で、『JIN~仁~・第5回』(TBSテレビ091108PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。花魁の野風(中谷)がかむろ(遊女見習い)をしていた憧れの花魁・夕霧(高岡早紀)は梅毒に犯されてすでに病状が進行し末期の患者となっていた。現代の日本ではお目にかかれない症例に仁(大沢)は息を飲む。性行為によって感染する梅毒は遊女にとって宿命的で当時としては不治の病である。

現代では抗生物質の投与によって克服できる病気だが・・・感染症治療に革命をもたらす抗生物質ペニシリンの発見は1929年・・・文久2年(1862年)は時差67年でペニシリンは入手不能なのである。

野風「なおせますか?」

仁「なおせません」

野風の顔に失意が浮かぶ。同行した咲(綾瀬)も夕霧の無惨な姿に言葉を失うのであった。

仁はせめて感染の予防ができないかと問診を試みるが・・・女郎たちは感染しても症状が軽いうちは売春を続けるほかはなく、病状が進行すれば死を待つばかりなのである。

浅草寺裏の吉原大門から北には日光街道が続いている。その日本堤側にある三ノ輪の浄閑寺は投げ込み寺としての名を残している。引き取り手のない遊女はこの寺に投げ捨てるように葬られたという伝説がある。少なくとも明治の文豪・永井荷風はそう信じていたようだ。

キッドの密林はこの近所にあるため・・・なんとなく心騒ぐエピソードである。つい最近まで・・・といっても20年以上も前の話だが、街道沿いにはいつも老婆が立っていた。キッドの感覚では数十年以上立っていたと思う。誰に教えられたかは記憶にないのだが、その老母は「たちんぼ」だったという。つまり・・・夜鷹(路上売春婦)である。一体・・・そんな老婆を誰が買うというのか・・・キッドの想像を絶した世界だったが・・・結構、常連客がついていたのだという。キッドにとって売春婦のシンボルは彼女だった。キッドは売春という行為に心底馴染めないのだが・・・それは彼女の存在があるからだろう。一体・・・この昭和や平成の世にしかも場末とはいえ東京都内に・・・そんな存在があっていいものだろうか。

ある冬の夜。街道沿いの歩道で正座しまま・・・前のめりになっている老婆を目撃した。キッドはその前を足早に通り過ぎた。それ以来・・・彼女は消えたのである。

「もう梅毒に感染して・・・一度は病床に伏し・・・妊娠しにくい一人前の娼婦になったのだ」とののしる女郎の言葉に唖然とする仁はそんな気分なのかい?

野風「梅毒になったからとて客と寝ないのではごはんが食べられません」

仁「・・・」

うちのめされた仁だったが・・・彼は未来から来た医者なのである。梅毒が治る病気であることを知っている。ペニシリンがあればだ。

ここでドラマとしては工夫がある。たとえば・・・キッドはパソコンでこの文章を記述しているわけだが、パソコンは作れないと思う。同様に普通、カメラマンはカメラを作らない。だから医者にもペニシリンは作れないのではないか・・・というお茶の間の感覚である。

もちろん・・・医者も科学者であるから・・・科学の実験行程さえ学習していればアオカビからペニシリンの成分を抽出することは絵空事ではないだろう。

ちなみに医学所頭取の緒方洪庵はこの頃、歩兵屯所の医師として弟子の手塚良仙を選出している。手塚良仙は手塚治虫の曽祖父である。その手塚治虫が1967年に描いたマンガが「火の鳥・黎明編」である。

この中で・・・ヤマタイの医師グズリがアオカビを飲ませて感染症患者を治す・・・という描写がある。アオカビにはペニシリンが含まれているから・・・という医師でマンガ家ならではのフィクションなのである。

現代にいた仁はこれを読んでいた・・・という設定なのである。

そして・・・「そんなの無理だろう・・・」と医者仲間と笑っていたのである。

それを聞きとがめたのが未来の未来(中谷・二役)だった。

彼女は・・・「無理だ・・・という言葉が嫌い」だったのだ。

そして・・・「天然のアオカビからペニシリンを手作り抽出するレポート」をまとめて先輩の仁に提出したのである。仁は・・・告白かと思ったよ・・・と笑うのですが・・・これはある意味、告白なのではーっ。うう~ん。仁のイケズ~(朴念仁)。

しかし・・・仁は・・・どうしてもアオカビからペニシリンを作り出す行程が思い出せなかったのである。

みかんに生えたアオカビを見て思い悩む仁。

一方・・・咲は「ものすごく上手な絵(写真)の中の女」と野風が瓜二つなことに心を悩ませていた。女の直感で女が仁の恋人であることは察した模様だが・・・母・栄(麻生祐未)に尋ねてみたいのは・・・。

咲「母上・・・父上にそっくりな人にあったら・・・愛しく思うのですか」

栄「ひ、ひぇぇぇぇぇ、な、なにを言うのです。父上は姿形ではなく父上だから父上なのですーっ・・・ああ、は、はしたないことをーっ」

今日の栄のコーナー終了である。もっと見たいぞ。

それを確かめたくて仁の元へ向かうと・・・。兄・恭太郎(小出恵介)登場である。

恭太郎「・・・その先生は・・・心に思う人がおありだったのでしょうか・・・」

咲(兄上・・・なんてかゆいところに手が届く質問を・・・)

しかし・・・他人の恋愛感情には何故か察しがいい仁。

仁「どなたか・・・思われる人があれば・・・積極的にアタックするべきです」

恭太郎は実は・・・やぶにらみの遊女・初音(水沢エレナ)に一目惚れなのである。

とにかく・・・仁と橘一家は・・・和むわっ。

しかし・・・その時・・・思わずこぼした油でとっさに咲がついた言い繕い「油汚れは油で落としますと申します」こそがキーワードだったのだ。

「油をつかった成分の分離」という未来の未来式成分抽出の要を思い出した仁。

ペニシリン精製の扉は開かれたのである。

そして・・・即座に西洋医学所にてペニシリン製造蔵が開設されるのだった。緒方洪庵も梅毒患者の苦しみにはかねてから心を痛めていたのである。

ペニシリンの薬効を確かめるために夕霧の患部から病原菌を採取に向かう仁。

原料となるアオカビを捜索する咲。

二人のコンビネーションは抜群である。

野風「梅毒を治せないお医者が何の用ですか」

仁「なおせるクスリを作ります」

野風「夕霧姉さんが笑えば春風を感じる心地になりました・・・私の憧れだった夕霧姉さん・・・梅毒に犯され・・・病の床で・・・花魁となった私に万華鏡をくだされた・・・苦しいことばかりの遊女の生活・・・笑っても泣いても・・・苦しみが消えるわけでもあるまいに・・・私に泣くのはいやだ笑っちゃお・・・と教えてくれた夕霧姉さん・・・どうか・・・夕霧姉さんをお助けくださりませ」

しかし・・・すでに野風は重篤な状態に・・・。

祈るような作業を続ける医学所一同。

そして・・・ペニシリンの薬効を判定するときに到る。

山田純庵(田口浩正)・・・いい役だ。

純庵「一番・・・薬効なし。二番・・・薬効なし。三番・・・薬効なし」

田口がサラリーマンNEO以外でこれほど注目を集める場面がかってあっただろうか。

仁も祈る。駆けつけた咲も祈る。一同が祈る。

純庵「十八番・・・せ、先生・・・これは」

仁「や、薬効ありです」

ペニシリンの語源は・・・アオカビ(ペニシリウム)である。ペニシリウムは毛がふさふさとした状態を指す言葉で・・・カビが生えた姿をあらわしている。ここからペンシル(筆)という言葉が生れている。そして・・・生えたものとしてのペニスという言葉もである。

梅毒といえばペニスをも溶かす病気としておそれられるのであるが・・・その梅毒を退治するのがペニシリンであることにキッドは奇妙な縁を感じます。

しかし・・・ペニシリンで命が助かったからと言って子供にペニ男とかペニ子とか命名するといじめの原因になるので注意が必要です・・・そんな奴おらんわっ。

あるはずのないペニシリンの投与で驚愕した梅毒スピロヘータ。

夕霧の無惨な姿は表面的には劇的な改善が見られた。

恩人の店主・鈴屋彦三郎(六平直政)を救って以来・・・再び野風にとって仁は神様・仏様・南方様に・・・拝むしかないのである。

しかし・・・すでに夕霧の奥深くを蝕んだ梅毒に・・・ペニシリン製造は間に会わず・・・。

仁「残念ですが・・・もはや・・・」

咲「お化粧させてください・・・」

男装のナース・咲の進言に一同はもはや涙をこらえるばかり・・・。

夕霧「先生・・・ありがとうおざんした・・・でも・・・顔で笑って心で泣くのも・・・飽き飽きしたので・・・お別れさせてくださいなんし・・・おさらばえ・・・」

野風「はい・・・おさらばえ・・・」

仁「・・・」

屋上がないのでやってくる土手。

仁「死も・・・救いなのですね」

咲「でも・・・夕霧さんが安らかに死ねたのは・・・先生のお手柄でございます」

と仁を救う咲だった。

そして・・・写真の中の未来の未来は食欲旺盛になったようだ。

歴史は変わったのだった。その証拠に文久3年に山内容堂が許す坂本竜馬の脱藩の罪は文久2年のうちに許されたのである。

もはや・・・歴史年表の通用しない世界に突入したので時代考証お役御免である。

さて・・・写真が変わったのなら・・・仁の記憶も変化するはずだという考え方もあるのだが・・・変わっていても仁は気がつかないという考え方もあることを記しておく。記憶というものは本当に摩訶不思議なものなのだな。

それについての考察はこちらでもしているので興味のある方はどうぞ→『プロポーズ大作戦・第3回と筒井康隆の秒読み

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『相棒』(テレビ朝日)『浅見光彦・毎週が最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)・・・今度はグラチャン・バレー攻撃か・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (16) | トラックバック (12)

2009年11月 9日 (月)

続・浪花節だよ天地人(妻夫木聡)さらば上杉と言おう(黄川田将也)

ああ・・・そうなのか・・・この大河ドラマの正体わかっちゃったんですけど。

これは・・・大坂人だけが持つ・・・特有のコンプレックス。

「世が世なら日本の首都は大阪でんねん。東京ちゃいまんねん」なのである。

そういう大坂人にとって日本の戦国時代を終息させた偉人・徳川家康は「大阪を日本第二の都市に貶めた極悪人」なのだな。

作者は越後の人、直江兼続の口を借りて・・・その恨み言を言いたいだけなのである。

そして・・・それに同調する日本人は22.2%くらいいるということなのだ。

大阪周辺の関西人の郷土愛・・・おそるべし。

まあ・・・京都の人の「都と言えるのは京都だけでおます」もおそろしいですけどね。

で、『天地人・第45回』(NHK総合091108PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・野田雄介を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回もあらすじは五行。いきなりお習字からツッコミです。まあ、作者が怒ってるのは日本の首都が大坂(大阪)ではなく江戸(東京)になってしまうということですからね。大阪人は自分は都会人だと思って育ち、上京して田舎者あつかいされて逆上するというのが基本でございますので。ある意味、お可哀想なのですな。その怨みがあまりにも激しいので周囲は唖然とするばかりなのでございます。そのすべての根源は家康にあるとしているわけですが・・・関東の支配者だった北条家家臣、遠山を不老不死の超人となし悪の権化として描いているのもその表象なのでございましょう。もはや公式のあらすじさえ裏切る暴走ぶりも一重に怨念だからでございます。ああ・・・もうすぐこの腐れ大河が終ってくれるかと思うと・・・苦しいことはいつまでも続かないという救いの言葉を思い出すことができますな。いわば・・・今年の大河ドラマファンはお茶の間において末期の梅毒患者だったということです。脳にきた、脳にきた、脳まできたよ・・・天地人。

Tenchijin160901 慶長10年(1605年)、徳川秀忠が江戸幕府第2代将軍に就任すると時の流れは一気に加速し始める。様々な出来事が走馬灯のように通り過ぎていくのである。家康は駿府城に居城を定め大御所政治を開始する。京・大坂の目付けとしての役割を伏見城から淀城に移していくのは仮想敵が大坂城の主であることを示している。家康の異父弟にあたる松平定勝を伏見城主とし、その子松平定綱を淀城の普請奉行としていることもその現れである。秀吉とは違い、家康は血縁武将に不自由がなかった。家康と定勝の母である伝通院は三年前に伏見城で死去したが、その年に家康は10男の長福丸(徳川頼宣)その翌年には11男の鶴千代丸(徳川頼房)を伏見城で出産させている。後継者である秀忠にはすでに長男・竹千代(徳川家光)があり、娘の千姫は元服した豊臣秀頼に輿入れをしている。徳川一族の繁栄を天が祝福しているような運気を示していた。そして・・・慶長11年に秀忠に国松(徳川忠長)が誕生すると・・・もはや分裂の危機さえ萌芽させるのである。すでに天下争奪は徳川と豊臣によって争われるのではなく・・・徳川内部で行われる兆しが生れている。

家康はその人自体が空前絶後の忍びであったが・・・その軍事的な相談役は本多一族が担当していた。この時期、本多正信は新・将軍・秀忠の相談役となっているが・・・実質は家康がわが子・秀忠につけた目付けである。家康は正信の子の正純を手元に置き、薫陶している。そして正純の弟の政重は上杉家の目付けとなっている。

政重は本多の軍法に基づき、上杉家に根を張り、その軍事力を測り、そして操った。

時は夢のように過ぎ去り・・・戦国の世は遠ざかりつつあった。

隠居城としての駿府城に身を置く家康は正純に現状分析をさせている。

「上杉家の仕置きはほぼ終った模様でございまする」

「ふむ。上杉の出兵力はいかほどと読むか」

「五千と五百ほどかと・・・」

「その五百を削ってやるがよかろうず」

「それはいかなる思し召しでありましょうや」

「上杉景勝の義弟が一子の旗本・畠山義真より・・・上杉家の窮乏緩和の嘆願があがっておるわ。上杉も冷や飯を食らいて大人しゅうしておるのは・・・殊勝なことだでのん。この辺で少し手綱を揺るめてやるのが乗り上手というもの。目付けとしてのそちの弟を加賀の前田に遣わすがよかろう。前田の百万石に目付けを置く潮時でもあり、一石二鳥だがや」

「なるほど・・・弟に上杉の家来衆を五百ばかり引き抜かせ、前田にて三万石ほどの目付けとなさるのでごさいますな。さすがは殿の吝さは格別でございまするな」

「その方も口が上手になったの」

「おそれいりまする」

こうして慶長15年(1611年)、本多政重は上杉の家来衆とともに上杉家を去り、前田家の目付けに配置転換されたのである。やがて加賀本多家は前田家の家老の家柄となっていく。

家康はもてる力のすべてをふるい・・・戦国の終焉の完成を目指していた。

できれば・・・もはや戦を抜きとして。

しかし・・・それを良しとしない忍びはまだ残っていたのである。

本多正信もその一人だった。時は慶長11年に遡る。

秀忠の下で帝王学を教授する正信には家康が迂遠の道を歩くことに一筋の危惧を感じていた。

「大御所様、ご存命の間は天下は平穏でありますが・・・もし一大事あれば」

「危ういと申すか」

「御意」

「しかし・・・大坂はわが婿(秀頼)じゃ・・・」

「つまり・・・競い争う者ということでございます」

「だが・・・大御所は大坂を滅ぼすこと認めぬであろう・・・」

「天海僧正にお命じなされよ・・・」

「明智の忍びか・・・」

しかし・・・江戸城にもまた家康の忍びが置かれていた。

秀忠による秀頼暗殺計画を知った家康は迷った。正信の危惧を叱ることは出来なかった。家康の心にも禍根を断つことへの欲望は滾っていたのである。

その頃、大坂城の片桐東市正は淀の方に情勢を説いていた。

旧浅井家の家臣として・・・そして秀吉旗本の老臣として・・・淀の方と秀頼の行く末を案じることにかけては・・・片桐の右に出るものはなかっただろう。

「姫様・・・もはや徳川の天下は動かぬのでございます」

「じい・・・そのような言葉、茶々は聞きとうはないのじゃ」

初音は鞍馬山に庵を構えていた。真田忍びの筧重蔵は真田信之の配下にあり・・・信繁配下の真田忍びとの仲立ちをする初音に急を知らせたのである。

「そうか・・・江戸がの・・・」

慶長11年秋のとある夜更け・・・関ヶ原に近い古寺・・・。盲目の忍び真田幸村がそこにいた。その荒れ果てた本堂に一本の灯がともる。

豊臣系真田忍軍は回船・真田丸を根城として海運業で生計をたてていたが・・・その主である海六こと海野六郎が姿をみせる。

やがて・・・もう一本の蝋燭に火がつく。現れたのはくのいちの望月六郎太だった。望月は女装のくのいちなので男である。

さらにもう一本。くのいちの穴山小助が現れる。穴山は男装のくのいちなので女である。

次々と蝋燭に火が灯り・・・忍びたちが姿を見せる。

「三好清海入道」「・・・伊三入道」「由利鎌之介ここに」「根津神八参上」「筧重蔵」

幸村は立ち上がり・・・忍び言葉を発する。

「江戸より・・・秀忠が放った刺客が参る。すでに・・・佐助と才蔵がものみにでておる。これより・・・関ヶ原で忍びいくさとなるであろう。一人も生かして通すでない」

次の瞬間・・・蝋燭の炎は消え・・・荒れ寺に静寂が戻る。

その夜・・・明智忍軍は消滅した。

忍びの世界で真田十人衆の恐ろしさが伝えられるのはこのためである。

忍びとしての力を失った天海は慶長12年・・・家康の探題として比叡山に入った。

かって・・・信長の命により自らが焼き払った延暦寺を再興するためである。

「ふふふ・・・五月雨か・・・濡れて参ろう。大人しく討たれれば和もなるが・・・雨も降らずにはおられまい。最後の戦に武士(もののふ)は狂えばよかろうず、それも一期というものよ・・・」

天海は過ぎ去りつつある年月を思った。山崎から大坂へ。真の戦国最後の戦は目前に迫っていた。本編が10年くらいかけさるので青息吐息になりました。

関連するキッドのブログ→第44話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (6) | トラックバック (5)

2009年11月 8日 (日)

ロミオとジュリエットとプリンセス(志田未来)侍高校一家離散の巻でござる(三浦春馬)

優奈(大後寿々花)が引きこもりということでようやくスポットライトが当たるのかと思えば、不登校の小清水(濱田岳)くんのゲスト展開である。

ちなみに濱田岳はなんちゃって高校生だが(21)なのでまだイケルということだろう。

「サムライハイスクール」は実は多重人格というビョーキの人が主人公で、「ギネ」の主人公も強迫神経症を発症しているので日本テレビのドラマは頭のおかしい人中心である。「傍聴マニア」だって傍聴席依存症だしな。

出口が見えないからとりあえず違うドアを開けてみて見慣れぬ光景に不安を感じている国民の心の病が・・・そのままドラマになっているのかと・・・戦慄する。

しかし、TBSテレビの狂い方の方が深刻なのかもしれない・・・なぜ・・・「小公女」を実写化しようと考えたのか・・・そして・・・とてもスタッフが正気とは思えない方向に話は展開中である。

で、『小公女セイラ・第4回』(TBSテレビ091107PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・金子文紀を見た。謎の学園・聖ミレニウス女学院では毎年、生徒たちが「ロミオとジュリエット」を上演する行事があった。基本的にこの私立学園には1クラスしかないし、おそらく1学年しかない。その生徒数しかいないので相当に動員をかけないと客席埋まらないのである。・・・謎だ。

さて・・・ドラマの中で芝居をする・・・となると基本は「ガラスの仮面」である。まあ、主人公が女優なのでこれは当然なのだな。劇団つきかげとか劇団オンディーヌとかも登場するが主人公が学園で1人芝居をしたりもしする。ドラマ版(1997年)では北島マヤを演じるために生まれてきた安達祐実が月影千草を演じるために生まれてきた野際陽子などと共演しているが田辺誠一の紫のバラの人はそこそこである。

まあ・・・これがあるのでそう簡単に手が出せないジャンルだが、女子高校の演劇部に限定して「櫻の園」(吉田秋生)がある。創立記念日にチェーホフの「桜の園」を上演するのが恒例という設定である。これに痺れるタイプの人というのがいるので二度も映画化されているのだが・・・仕上がりはかなり微妙である。「女の園」への憧れと生々しい萌えの加減が難しいのだと思う。1990年版では中島ひろ子、つみきみほ、白鳥靖代というトリオがドゥニャーシャ(女中)、ヤーシャ(執事)、ラネフスカヤ(女主人)である。

一方、興行成績がものすごく悲惨だったという2008年版では福田沙紀、寺島咲、杏というトリオがペーチャ(学生)、ロパーヒン(商人)、ラネフスカヤ(女主人)である。どちらにしろ、微妙なものができあがりそうな空気が漂っています。

観客動員したいさ。私は動員できなくても動員できるテクニックを誰かに教えてもらいたい・・・とスタッフは祈ったのだろう。

劇中劇を使用する際には他人の褌で相撲をとってる心構えが大事だと思う。

この亜流には映画「エコエコアザラクIII -MISA THE DARK ANGEL-」(1997年)があるがあまりにも萌えに徹しているので佐伯日菜子のファン以外には微妙すぎる仕上がりである。いや佐伯日菜子のファンでもか・・・。

まあ・・・とにかく・・・ここではジュリエットという主役の座をめぐって・・・乙女心の葛藤が描かれるのである。伝統行事であるために・・・過去と現在が交錯して・・・心の襞は濃厚にさらされるのであるが・・・まあ・・・脚本家の趣味についてこれない人はなんじゃこりゃ状態であることは想像できます。

①千恵子(樋口可南子)の苦い思い出・・・それは風邪を引いた薫子(黒川智花)の代役を演じたこと。

②回想の千恵子(溝口まりも)はセリフを忘れ舞台で立ち往生。

③薫子は娘のセイラ(志田)にジュリエットの夢を託す。

④ジュリエットに選ばれた真里亜(小島藤子)は風邪をひいてしまう。

⑤まさみ(岡本杏理)はセイラに代役をすすめる。

⑥かをり(忽那汐里)はポッキーなんだから赤い服着て踊り狂えと言われる・・・おいっ。

⑦セイラは真里亜を看病して舞台に送り出す。

⑧カイト(林遣都)だけが見守る中、ジュリエットを演じるセイラだが・・・千恵子は意地悪く照明を消す・・・しかし・・・セイラにとってはちょうどいい感じの暗転だった。

この・・・乙女心の意地とすれちがいとこだわりとわだかまりの謳歌よ・・・なのである。

ま・・・こんなことなら・・・志田未来で「ガラスの仮面」をやればよかったのに・・・樋口可南子の月影先生もイケルと思います。紫のバラの人は・・・また、あんたかっで。

弱虫は庭に咲く

どんな時もほほえみを忘れない

ひまわりに笑われる

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『サムライ・ハイスクール・第4回』(日本テレビ091107PM9~)脚本・井上由美子、演出・猪股隆一を見た。ジェネレーション・ギャップというものがある。そのお題目が「最近の若い奴は」であることは有名だが、それが世代を越えて存在することも有名なのである。で、このドラマは「誰かの理想の男性像」である「サムライ」が・・・現代人に物申すという形式でそれをやっている。最終的に暴力でカタをつけるという方法論はおなじみのものだが・・・それなりにセリフがしっかりしているのでなんとなくスカッとする・・・ような気がします。

ま、要するにドタバタ・コメディーです。

だって闇金業者をたたきのめしたら治療費や慰謝料を請求され望月家は崩壊するわけですから。ここは・・・ひっそりと全員を実質的殺害し・・・山奥に無許可埋葬しないと決着しないわけです。しかも・・・最近、流行中の30代の女のように警察の追及を受けないような計画性が求められます。・・・いい加減にしておけよ。

今回・・・完璧に幽霊であることを示したひみこ(ミムラ)も小太郎(三浦)に説教をするわけですが・・・これをもっともだ・・・と思うか・・・幽霊に現実の何が分るってんだ・・・と思うかは人それぞれですな。

これを説教として聞くと・・・耳が痛いので・・・科学では説明のつかない存在に脅かされる恐怖で楽しんだ方がいいと思うのです。

「自分のことは自分で考えろ」とひみこは言うわけですが・・・不登校の同級生について・・・ただの同級生である生徒が自主的に対処するというのは無理がありすぎるという考え方もありますし。

小太郎の父(岸谷五朗)の「待っている人間をすっぽかすよりも押しかけて迷惑がられた方がマシ」というのはある意味、ストーカー肯定論で万歳ですが。

まあ・・・とにかく・・・子供手当てを選択し、扶養控除を捨てた国民の結婚生活に幸あれという願いは伝わってきますね。

落ちこぼれたから自殺するのはダメで・・・底辺からはいあがる努力をしろ。

そういうことですね。そして・・・最後の決め手は自分。

正論ですが・・・それがどうしたーっという気分もしてくるのはキッドが悪魔だからですか。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2009年11月 7日 (土)

この世の闇よりも心の闇の冥きこと(仲間由紀恵)ルイ13世300万円で嬢王V06(原幹恵)

金曜日のドラマ4本立てはやはり甲乙つけがたい・・・。

しかも流れるような・・・4本立てなのである。ただし・・・「マイガール」から「嬢王Virgin」は3分かぶるのである。嬢王をあらすじから見るためには「マイガール」の泣かせどころが見れないのである。

これは絶対に闇の組織の陰謀だと思う。・・・録画しろっ。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子・第4回』(テレビ朝日091106PM9~)脚本・橋本裕志、演出・下山天を見た。謎の匿名告発者「名無しの権兵衛」を追及する遼子(仲間)の記事は三度目のボツになるがそれを拾い上げた美鈴(芦名星)は遠山(要潤)の指示に従って自分の署名記事として記事を「週刊アンタッチャブル」に掲載し発表してしまう。うっかり最終チェックを怠った編集長・樫村(田中哲司)は蒼ざめる。

そこには「日本福祉募金振興会」が名指しで闇の組織とつながると示されていた。

しかし「日本福祉募金振興会」を傘下にする永倉ホールディングスは「週刊アンタッチャブル」のスポンサーだったのである。

美鈴の自宅は何者かによって荒らされ「信念なき腐れ外道ジャーナリスト」として美鈴が標的になることが暗示される。

中原は美鈴に謝罪記事を書くように求めるが・・・美鈴は「国民ジャーナル」への移籍を宣言するのだった。国民ジャーナルは朝日新聞のような大新聞「国民新聞」系列で「テレビ国民」では「日本福祉募金振興会の闇」を糾弾する報道番組を企画。一流ジャーナリストの遠山が番組に関与しており、美鈴も一緒に参加するという。

遼子は「記事も昔の男も盗られて可哀想」と編集部一同に同情される。

ここで・・・どう考えても貫禄不足のヒロイン(主人公の相手役)・ポジションのカメラマン鷹藤(佐藤智仁)と主人公・遼子の共通点が明らかになる。

二人は苦学生で「永倉ホールディングス」の傘下の「杉の子育英基金」の奨学金にたよって大学を卒業していたのである。ふたりは「永倉ホールディングス」に「お世話になりました」的シンパシー(親和性)を感じているのだった。

テロリズムとジャーナリズムにはいくつかの共通点がある。それはテロが暴力を伴うようにペンにも暴力性が伴うからである。すでに思想闘争の終焉した国家においても右翼と左翼は必ず羽ばたく。右翼は常に既成権力寄りの翼で左翼は反権力の翼である。この場合は資本主義者と共産主義者という対比ではないのでご注意ください。現在の日本のように権力者の交代が起こるとジャーナリズムは混乱するのである。

「今の政府は間違っている」と主張してきたジャーナリストはその意見が入れられ「正しい政府」が誕生した場合は当然、それを支持する言論を行う。そうでなければジャーナリストの正当性がなくなるからである。しかし、一方で新しい権力を批判する姿勢がジャーナリストには求められる。このあたりの戸惑いが今、テレビのコメンテーターたちの揺れる言動になって現れるのである。

いつ・・・「今の政府は間違っている」という方向に言論を翻し、本来の役割に戻るかのタイミングをはかっているわけである。つまり「民主党最高だ」から「民主党最低だ」にシフトしても「言ってること違うじゃん」と後ろ指をさされないために・・・。なにしろ・・・権力者を批判しないことにはおまんまが食べられないのだから。

で、このドラマはこのあたりのニュアンスを痛烈に批判してくるわけです。

なにしろ・・・朝日新聞、週刊朝日、テレビ朝日的な国民新聞、国民ジャーナル、テレビ国民が長いものに巻かれていく話なんですから。ある意味、凄いぞ。

ただし・・・左翼的ジャーナリズムの矜持なのか敵対組織は極右的様相で描かれるところが微笑ましい点であると言えます。

何度も言いますがこの点についてはジャーナリストとテロリストは同じ穴の狢なのでございます。

国民ジャーナルのように「闇の組織」を追及したいと主張する遼子ですが・・・与えられた仕事はイケメン俳優・雨宮翔(内田朝陽)のスキャンダル追求取材だった。

雨宮のマンションで張り込んだ遼子と鷹藤は・・・雨宮とテレビ国民アナウンサーの小池雫(国分佐智子)の密会現場に遭遇する。鷹藤がさらなる待機にそなえ買出しにでかけると・・・雨宮の部屋にはアイドル歌手の鮎川ミク(金子さやか)も現れて三角関係の大スキャンダルに発展。遼子は「うひょひょひょ・・・」と鷹藤のカメラのシャッターを切るが調子に乗りすぎて発見されてしまう。四人がドロドロになってもめているところに・・・ロープと拳銃を持った男(原田龍二)が現れ、四人は雨宮の部屋で監禁されてしまうのだった。

三角関係の俳優と歌手とアナウンサーと雑誌記者を人質にとった男は手始めに雨宮がテレビ国民のドラマで語ったセリフ「真実を報道するためには手段を問わない」について謝罪をするように要求する。テレビ電話で雨宮が拉致されたことを知ったドラマのプロデューサー湊(神保悟志)は報道局長(山田明郷)に相談。犯人の要求を呑むと同時に現場に中継車を派遣し、警察に通報する。

そんな大事になっているとは知らず、消息不明となった遼子を探して美鈴の荒らされたマンションを訪ねた鷹藤は「温泉グルメ」の取材で箱根にいるはずの同僚・城之内(酒井敏也)が美鈴のマンションから姿を見せたのを目撃。疑惑を感じる。

通報を受けて雨宮の現場に到着したのは何故か警視庁・公安部の刑事で遼子の兄・鳴海刑事(小澤征悦)と部下の片山(辻谷嘉真)だった。

しかし、その姿は周囲に仕掛けられた監視カメラで犯人の知るところとなる。

「警察には知らせるなと言ったのに・・・ま・・・いい・・・中継させてやるからテレビ・カメラを持って1人遣せ、そして警察には付近の住民避難させろ・・・下手にケガ人出したくないからな」と支持する犯人。否応なく湊は中継カメラを持って部屋に召喚されるのだった。

人質(内田朝陽)、犯人(原田龍二)、追加人質(神保悟志)・・・もうサスペンスな顔ぶれがそろって今週、「相棒」お休みのためスケジョールが空きました的賑わいです。

現場に戻ってきた鷹藤は意外な成り行きに驚愕。

編集長は遼子の監禁体験手記で発行部数倍増が見え興奮です。

そしてお茶の間はスキャンダル含みの立てこもり実況中継に釘付けです。

ああ・・・ドラマでなかったら確かに視聴率はうなぎのぼりだ・・・。

室内では犯人の出す「1人だけ解放」の支持に醜い人間関係が展開。しかし、犯人が「信念なき腐れ外道ジャーナリスト」というキーワードをもらすことで・・・遼子には真相が見えてきます。

「あなた・・・日本福祉募金振興会の支援者ね・・・報道特番をつぶすのが目的なのでしょう・・・」

「余計なことを詮索しない方がいい」

「私は真実を追究します」

「ふふふ・・・身内相手にできるかな」

思わせぶりな犯人である。しかし犯人の狙い通り・・・報道特番は緊急生中継により潰されるのだった。もちろん・・・そういう報道のためにお蔵入りになった番組スタッフの怨念がこもる話なのである。

犯人は遼子を残し、人質を解放・・・遼子を盾に脱出を図ろうとするが・・・鳴海刑事たちの待ち伏せにあって阻止される。

「約束がちがうじゃないか・・・」という謎めいた言葉を残し・・・見えない場所で自殺する犯人。

「そんな・・・子供もいるし・・・死ねないと言ってたのに・・・」・・・遼子の心に疑惑が宿る。

鳴海刑事も片山刑事も・・・恐ろしく怪しいのである。

一方、遼子に会った遠山は「日本福祉募金振興会の件はガセネタだった」と明らかに口ごもる言動である。しかし・・・心の貧しい遼子は「美鈴の移籍の件も立ち消えになった」と聞かされ冥い喜悦に満ちるのだった。

編集長のおごりのウナギ弁当をえさに先輩記者の中原(田中要次)に性感マッサージじゃなくてただのマッサージを受けつつ手記を綴る遼子・・・。

その頃・・・鷹藤は美鈴の部屋で女性のものと思われる猟奇的な死体を発見していた。

さあ・・・面白くなってまいりましたーっ。

関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

で、『嬢王Virgin・第6回』(テレビ東京091107AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・小山田雅和を見た。腹違いの妹・泉優衣華(原紗央莉)の嬢王への夢を断ち切ろうとする桜木(大口兼悟)の意向を酌んで「敗者復活戦」を実施する雨宮(永田彬)・・・桜木に応援される舞(原幹恵)と桜木の父に恩を売ろうとする桐島(大河内浩)に応援される朋(黒川芽以)の親友同士のデス・マッチが始まる。

「お互いをつぶし合え」という雨宮に・・・「朋ちゃんをつぶすことなんかできない」と答える舞だったが・・・朋は舞に水をぶっかけ「宣戦布告」をするのだった。

そして・・・清楚な白から妖艶な黒へ衣装チェンジした朋は「夜の蝶」へと鮮やかな変身を披露するのである。もきゅファンを悩殺である。

一方、桐島と桜木の客としての参戦を封じる雨宮。桜木はともかくオーナーである桐島が店につぎ込んでどうするという話である。

一方、前回大会で嬢王にはなれなかったものの戦い抜いたことで自信を得、昼の世界で成功した亜莉沙(蒼井そら)は前回・嬢王・彩(北川弘美)に通ずるものを舞に見出し接近する。

返り咲きを狙う亜美(麻美ゆま)は再び、朋に接近するが・・・実は武芸の達人でもあった朋に軽くあしらわれるのだった。

朋「あたしを落としいれようとするなんてムダよ・・・雑魚がっ

そんな亜美に先輩として亜莉沙は「社長に体を許して何かを勝ち取ろうとしてもそれはあなたが勝ったことにはならないのよ」とアドバイスするが・・・亜美には理解不能なのだった。

敗者復活戦は蝶に変身した朋と舞の一騎打ちの様相となる。しかし・・・出勤途中で道に倒れた老女を救ったためにお約束の遅刻をした舞は遅刻の罰金を科せられた上に指名客を朋に奪われ・・・200万円のビハインドを負ってしまう。

亜莉沙「さすがは毒蜘蛛女・・・なかなかやるわね」

しかし・・・舞はあくまでマイペースで・・・様子を探りにきた雨宮にお礼の気持ちをこめておにぎりを作ったりするのだった。

雨宮が恋人である優衣華にキャバ嬢をやめさせようとしていると誤解した舞は優衣華に「雨宮様の気持ちは分るけど私は自分のために戦いたい」と告げる。

しかし優衣華は「よしてよ・・・愛だなんて・・・私と雨宮は兄と妹なのよ・・・」

雨宮「そうなのだ・・・ボクは・・・妹の夢を潰そうとしているのさ・・・」

舞はとりあえず困惑するのだった。

のほほんと・・・舞の敗北が決定しそうになった瞬間、お約束で来店する老女とその夫。

認知症を発症している老女は舞を亡き娘と思い込み、病院で夫がかけつけるまでつきあった舞に夫は感謝の意を示すために来店したのだった。

喜んで接客を開始する舞に加藤店長(津村知与支)は「このままだと負けるよ」と告げる。

しかし・・・舞は「今、私のお客様はあの方たちなのです」ときっぱり。

朋が勝利を確信した瞬間・・・事情を察した老女の夫はメニューを指差し注文するのだった。

加藤「そ、それはコニャックの最高峰レミーマルタン『ルイ13世』・・・この店ではお値段が300万円になりますが・・・」

夫「支払いはこれで・・・」と差し出すのは利用限度額不明のブラックカードである。

舞「そんなことをしていただいては・・・」

夫「子供のために何かしてやれるのは親にとって最高の喜びなのです・・・親孝行をしたと思ってくだされ

そんなのありかよ・・・と予想外の敗北に我を失う朋。

朋にとってはようやくできた親友も嬢王の座も一度に失う二重の敗北だった。

そして・・・最後に胸元を強調しつつ・・・グラスの破片でざっくりいくのだった。

トイレで自殺未遂の朋を発見した加藤店長。またしても朋は地獄から生還する。

逆転勝利をした舞を加藤店長が祝福しようとするが、強姦未遂がフラッシュバックした舞は加藤を突き飛ばしてしまう。

気色ばむ加藤を「乙女の恥じらいは仔猫の爪のようなもの・・・許しておあげなさいな」と宥める亜莉沙。成り行きで舞をお持ち帰りするのだった。

亜莉沙にマッサージをほどこし・・・サービス・タイムの亜莉沙。

舞「私・・・こわくて・・・男性と交際したことがないのです」

亜莉沙「処女・・・というわけね・・・いいわ・・・私があなたのフタをあけてあげる

舞「・・・・・・・・・あぅ」

そして・・・決勝ラウンドに顔をそろえる予選通過者たち・・・新たな戦いのゴングが鳴るのだった。

一方、朋は・・・失踪である。もうなんか・・・朋と舞は力石と丈みたいな感じがします。どこまで限界サービスを続ける気なのだ・・・。(つづく)

日曜日に見る予定のテレビ『天地人』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2009年11月 6日 (金)

私が殺した将軍(唐沢寿明)お母さんを泣かせるようなことはなさらないで(多部未華子)

ドラマはあくまでフィクションなのだが・・・ラッキードなんていう軍用機メーカーが登場すれば現実世界に対してモデル料金を払わなくていいから小説家は楽だよなぁと思ったりもする。

今回は政府与党の三島幹事長(神山繁)が登場し、うっすらと鼻の下に髭を伸ばし、ややダミ声で語り始めれば・・・この当時の岸内閣で一時期郵政大臣を務め、数年後、佐藤内閣で自民党の幹事長になり、やがてロッキード事件の主役となる田中角栄を連想するしかなかったりして。

その三島幹事長と盟友的な役割を果たす久松経済企画庁長官(伊東四朗)は田中と連携する三木武夫を彷彿とさせたりして・・・それでも原作者はモデルなんてございませんと断言したりしちゃったりして。

そうなると徹底して悪として描かれる防衛庁の貝塚官房長(段田安則)のモデルも連想したくなるわけだが・・・本来は派閥抗争なのでどちらが善でどちらが悪とはいい難い側面があり・・・武士の情けなのである。

ドラマとしては汚職は許容範囲・・・ただし自衛隊員により堅実な戦闘機を与えようとした主人公側にやや正義があった・・・という話なのだから。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%↘*9.9%

②大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%↘*9.6%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%↘*7.8%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください

で、『不毛地帯・第4回』(フジテレビ091105PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・平野眞を見た。次期戦闘機の機種決定をめぐり、激しく火花を散らすラッキード社とグラント社。軍人としての苦い経験から民間企業に就職した元・帝国陸軍参謀の壹岐正(唐沢)だったが・・・かっての戦友で現在は自衛隊幹部の川又空将補(柳葉敏郎)に「日本を独立した国家として維持するための必要最低限の軍事力の確保」に協力してほしいと頼まれる。

当時の自衛隊はシビリアン・コントロールの名の元に「軍事」を知らない「官僚」が私腹を肥やす温床になっていたのである。

「あいつら(代表=貝塚官房長)はワイロさえもらえば実体のない戦闘機を平気で購入する売国奴なのだ」と愛国の志に燃える川又は壱岐の心を揺さぶるのだった。

実際にグラント社の戦闘機スーパードラゴンがプロトタイプの二機しかないことを知った壹岐は勤務する近畿商事を通じて実績あるラッキード社のF-104の導入実現に向けて、グランド社の窓口である東京商事の鮫島部長(遠藤憲一)と謀略合戦を展開する。

グランド社から東京商事を経て政府に流れる賄賂の流れを遮断することで窮地に追い込まれた鮫島は・・・壱岐が防衛庁の機密を不正入手したルートを突き止め、近畿商事の不祥事を追求しようとする。

情報源である自衛隊隊員・芦田(古田新太)に自社株を譲渡したことでシッポをつかまれたのは里井専務(岸部一徳)だったが、壹岐の部下である小出(松重豊)を警察に差し出しトカゲのしっぽ切りを命ずる。

実行部隊として汚れ仕事をこなしてきた小出は鬱屈し・・・汚職の指導的役割を果たしたのは壹岐だと自供するのだった。

ついに捜査の手は壹岐の穏やかな朝食風景に及んだのである。

ちなみに壹岐のモデルはある実在の経済人(故人)だとされる説がある。そのモデルを思い浮かべると妄想が膨らむのが壹岐の妻・佳子(和久井映見)の存在である。戦後11年間、夫の帰りを待ち家庭を守った佳子だが・・・モデル通りだと佳子の父は陸軍軍人で総理大臣秘書官なのである。そして母は内閣総理大臣の妹だ。この内閣総理大臣は二・二六事件(1936年)の当時の総理大臣である。つまり佳子のモデルは総理大臣の姪なのである。二・二六事件で佳子のモデルの父親は義理の兄の身代わり(影武者)となって反乱軍に射殺され、押入れに隠れていた総理大臣は九死に一生を得たのである。つまり・・・佳子はそういう血縁を持つ娘をモデルとしているのである。ただのエリート軍人のよくできた妻ではないという妄想もしてください。

つまり、壹岐の娘の直子(多部未華子)にとって母方のお祖父ちゃんは総理大臣の身を守って死んだ英雄であり、直子の母は超有名総理大臣の姪なのである。壹岐が時々・・・すごい人脈を持っているのはこのためです。

前回・・・佳子が高圧的にふるまって驚いた人もいるかもしれないが・・・佳子はある意味超・お嬢様なのでございます。

だから娘が警察に連行される壹岐に食ってかかるのは演出的にはギリギリアウトで・・・本来は「お父様、よもやお母様の一族にご迷惑がおよぶようなことはないのでしょうね」ぐらいでないと。それに対して壹岐は「安心しなさい・・・お母さんの父上(当然・故人)や伯父上(故人・昭和27年死亡)の名を辱めるようなこと断じてない」と答えるべきなのです。

いや・・・あくまで一説による壹岐のモデルとされる人物の上での妄想ですから・・・くれぐれも事実誤認にご注意ください。

ただし・・・キッドはそういう妄想の上で見ているということです。

だから・・・小出を取り調べた刑事(設楽統・36歳)に対して、壹岐を取り調べる刑事(藤木孝・69歳)が貫禄あるのはただ厳しいだけでなく手心を加えられる配慮があるからだと考えるべきです。

刑事「小出はすべてあなたの指示だと自供しているのですがね・・・」

壹岐「小出くんが何故そのような事実無根の証言をするのか・・・理解できません」

刑事「・・・なるほど・・・よしなにということですな」

こうして壹岐は任意で出頭、無罪で放免である。

なぜなら・・・その間に・・・近畿商事は与党の幹事長と与党の大臣に働きかけ、ごねる官僚の貝塚官房長を昇進を餌につりあげ・・・政治的決着にこぎつけたからである。

日本政府首脳はグラントからもラッキードからも賄賂を受け取っており・・・それが証拠付で表沙汰になることは全く望まない。

鮫島は・・・やりすぎたのだった。

しかし・・・機密文書の出所が川又だったという動かぬ証拠だけが残ってしまう。

つまり・・・与党幹部と捜査関係官僚の間で賄賂汚職までは踏み込まないが、機密文書の流出には決着を着けるという線引きがなされたのだった。

釈放された壹岐は娘に「一体・・・お父様は何をなさったのです」と問われると「安心しなさい・・・何も問題はなかった」と答えるのだが・・・戦争には犠牲がつきものであるとは説明しないのだった。

近畿商事で川又を庇うための工作をしようとする壹岐に大門社長(原田芳雄)は「これは手打ちなんよ・・・仁義を欠いたら破談になるんや・・・出すもんは出さんとおさまらん・・壹岐くん、こらえてや」と冷酷に告げる。

一方で文官として軍官を蔑む貝塚は結局「ラッキード」に決まったことの腹いせに川又を左遷の上に尋問にかけ貶めることに淫靡な喜びを見出す。

貝塚「ふふん。キミの横槍で煮え湯を飲まされたことをボクが忘れると思ったかい。キミのような危険な軍人野郎は拷問されちゃえばいいと思ってるんだよ~ん」

川又は貝塚の下腹部をひねり上げて言う。「ほほう・・・貴様のような腐れ官僚は去勢されているのかと思ったがついているものはついているんだな。我が国の将来に禍根を残さぬためにオレがひねりつぶしてくれる」

貝塚「いや~ん。やめてーっ」

決意を秘めて防衛庁に背を向ける川又。救いは祖国の空を守る戦闘機が・・・「実用的なもの」であることを・・・死守できたことだった。

川又は壹岐に別れを告げ・・・敬礼する。しかし・・・壹岐は敬礼を返さない。

壹岐「俺は・・・もう軍人ではないのだ・・・そう家族に約束したのだ」

そして川又は貨物列車を使って轢死し、我が身の始末をつけた。

壹岐「川又・・・すまない」

その葬儀に善人顔でやってくる貝塚。

貝塚「川又空将は・・・変な遺書など残していないでしょうな・・・」

壹岐「お前は・・・ここへ・・・何をしにきたのだ・・・!」

ついに軍人魂が着火し貝塚の息の根を止めようとする壹岐。

しかし・・・それを制止する佳子。

佳子「あなた・・・いけません・・・戦争はもう・・・終ったのです・・・」

壹岐「佳子・・・・・・・・・・・・・すまない」

貝塚「野蛮人、バカ、単細胞・・・おぼえてらっしゃい・・・」

貝塚は失禁しながら走って逃げた。こういう官僚は今も妄想的には実在します。

とにかく・・・これは一種の時代劇なので・・・もう少し説明しないと分からないし・・・説明すると退屈されそうだしで・・・困っている雰囲気は伝わってきます。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『チャレンジド』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (12)

2009年11月 5日 (木)

やっちゃいましたね(本仮屋ユイカ)お母さーん(吉田里琴)カイザー、カイザー、カイザー(藤原紀香)

宇宙は今加速しつつ膨張している。

科学を信仰する人々は収縮しなくなった宇宙に神を見る。宇宙は永遠になったが太陽が死に、地球が滅び、人が死ぬことには変わりが無い。

神様はいるが何もしないのがお約束なのである。

だから「神様がいてよかった」も「神様なんていない」も不正解である。

繰り返すが、神はいるし、いたからといって人にとってよいことはひとつもないのである。

水曜日のダンスは「相棒」お休み、「ギネ」50分遅れスタートというものすごい変則だが・・・奇跡のダンスになりました。

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%

これは取り残されたものたちのナイス・ステップ。

で、『ギネ 産婦人科の女たち第4回』(日本テレビ091104PM1050~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・久保田充を見た。実はこの脚本家はどちらかといえば奇をてらう方だと思う。キッドは奇をてらうタイプをあまり好ましく思わないが、この脚本家の場合は基本が地味なのでなんだかいたいけない感じがしてほだされる場合があります。「ハンドク!!!」(2001年)の場合、地味な脚本を派手にしてしまう演出がなんとも言えずに微妙な味わいをもたらしていた。今回は医療ものとしてそれに順ずるだろう。

すでに大きな問題がある。このドラマには産科医の現状というものが苛酷であるという視点がある。当然、標準的な医師たちが現実と折り合いながら妥協点を見出していくというメイン・テーマが浮かびあがる。ところがドラマの主人公は精神障害者というある意味では突出したキャラクターとして設定されている。それは社会的な問題ではあるが精神障害と言う点で普遍的であり・・・産婦人科医としては標準ではありえない。つまり、ドラマ全体は産婦人科の問題を描きつつ、主人公は個人的問題を抱えているのである。

これはドラマとしてはかなりアクロバットな展開を要求されるので・・・奇をてらっているというしかないのだな。

よく言えば冒険的で・・・野心的なドラマだが・・・結局、主人公がドラマのメイン・テーマとは違う場所で生きている違和感はどこまでもつきまとうだろう。

今回もドラマとしてはとても面白いのだが・・・それはボーダーラインをタイトロープでヨロヨロしていた主人公がついにダーク・サイドに転落した面白さである。そんなことでいいのか・・・と思わざるを得ないのだな。

母の命と引き換えにこの世に生まれてきたことを柊(藤原)が気に病むようになったのがいつなのか・・・それは謎とされている。自然の掟では母親がいなければ子は育たないが子を失っても母親は新たな子を生むことができる。その掟に基づいて母子に危険がある場合には母体が優先される。

妊娠・出産・育児の様々な段階で親が子供より自分を優先させることは現代では憚れることだが・・・かって漢帝国の創始者である劉邦は敵に追われ馬車で逃亡する際に荷を軽くすめためにわが子を投げ捨てたという。「子供はまた生めばいいから」である。

もちろん・・・現代ではそういう論理は許されないのが建前だが・・・個人的な本音がそういう方向にあってもおかしくはないのである。

たとえば・・・本心でなくても・・・妻を失った夫は疲労困憊の果てについ「お母さんが生きていればなぁ」とわが子にこぼしたかもしれない。それを子が「お前が死んでお母さんが生きていた方がマシだった」というニュアンスで受け取ることはままあるだろう。それを飲み込んで折り合って生きていく子供もいるが・・・そうでない子もいるだろう。

そのことの是非とか・・・母を持たない虚無感、想像上の喪失感、胸に残るもやもや・・・そうした一切と距離を置こうとすれば虚しさがつのり、思い切って向き合おうとすれば悲しみが満ちる。

そういう葛藤を抱えつつ、能力に恵まれた柊は母体を守る産婦人科医になってしまったのである。さらには愛にも恵まれ、結婚し、息子の雄太(中村柊芽)を出産するに到る。しかしその後の離婚の理由は伏せられている。

とにかく・・・夢の中で誰かが「自分の母親を殺しておいて母親になるのか。母親を不幸にして自分だけ幸福になるつもりか」と囁くことはありえる。

1万人に1人いるかいないか・・・十年に1人いるかいないかの・・・特別な存在。生まれてきたときにすでに人殺しだった子供。母親殺しの汚名を身にまとい・・・ついにそれを克服できないまま・・・他人の子供をとりあげる日々。

もちろん理性では「そんなことを気に病んでも無意味だ」ということは柊にも分っている。しかし、心のどこかに「とりかえしのつかないことをしてしまったものはどんな償いの道も残されていない」と囁き続ける何者かをすまわせているらしい。

柊の心の一部は荒涼とした孤独な世界を常に無意識状態で彷徨っているのだ。

いつもの産婦人科医たちのエレベーター。「昨日は大変だったね」「誕生日のお祝いに出席できなくて申し訳ありません」「いや患者のことが一番だ」「徳本さん(西田尚美)また出血して最手術したそうだね」「でも今は安定して快方に向かっています」「そうかよかった神様はいるもんだな」「教授(國村隼)は何か信仰をお持ちなんでしょうか」「玉木(上地雄輔)、神様なんていないわよ」

いれば・・・私から母親を奪ったりしないはずだから。

しかし・・・徳本の出血原因の特定は不明だった。新人の玉木にはもちろん、柊にも分らず、上司の君島(松下由樹)にもわからなかった。

柊は薬の副作用を疑った。投与を控えれば症状の改善が期待できるからだ。

しかし、新人で経験の浅い嶋(本仮屋ユイカ)は率直に院内感染を疑っていた。

新人に分るほどだから柊も君島も当然分っているのである。そのために血液検査を急がせていた。

しかし・・・院内感染ならば・・・もはや打つ手はないのである。誰もがその可能性から目を背けていたのである。その細菌はどこにでもある細菌である。健康な人間には何の問題もない細菌である。しかし、手術による出産と大量出血そして再手術で抵抗力を失った母体には凶悪な毒性をふりまく。すでに毒素は体内を駆け巡っている。

しかし・・・そんなことは起こるべくして起こることではない。万にひとつの出来事なのである。手術室は清潔に保たれ・・・そのような細菌は存在を許されない。

「それはどうかな」「お前は呪われた子だからな」「万にひとつの起こらないことが起こる子だ」「どうする・・・また出血したら」「また血種をとりのぞくのか」「そしてもっともっと体力を奪うのか」「DIC(播種性血管内凝固症候群)か・・・MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)かもよ・・・それとも」「もはや万事休すだろう」「死んではならないものが死ぬのだ」「いやお前が殺すのだ」「命をまかされたお前が殺すのだ」「呪われたお前がな」

じわじわと自分の首を絞めにかかる柊の中のもう1人の自分。

最初の手術の執刀医の1人である君島は・・・自分が菌の搬入者である可能性に戦慄する。そして再び始まる徳本の出血。

君島「手を尽くしたということを示すために三度目の手術をするべきよ」

柊「それでは患者の生きる気力を奪ってしまいます」

・・・いいや・・・お前が絶望したくないだけなんだろう。お前が望みを失いたくないからだ。もう・・・手遅れだと認めたくないのだ。

正体を隠したまま緑膿菌はゆっくりと着実に徳本を蝕んでいく。

発熱40℃越え。

自宅に戻った柊に緊急呼び出しがかかる。

かけつけると徳本は重態だった。すでに出血箇所は拡散していた。

夫・慎一(八嶋智人)と娘・優美(吉田)が駆けつけると妻であり母である女・美和子はすでに心臓が止っていた。心臓マッサージを続ける柊・・・しかし・・・君島が臨終を告げる。

柊「だめなの・・・あなたは死んではいけないの」

優美「お母さん、お母さん、あああああああ、お母さん、あああああ。お母さん、お母さん、お母さん、お母さん・・・・あああああ・・・・・」

優美の完璧な泣きに同化して幼児退行を起こし、自我が崩壊し、やさぐれて、不機嫌な柊は・・・出棺を見送りませんでした。

万にひとつの母体死亡に・・・震え上がる顧問弁護士・瀬川(内田有紀)。

瀬川「経過報告書をすぐに・・・」

翌日、躁状態で出勤する柊。「前向きに生きるので経過報告書は書きません」と意味不明な言動を開始する。名曲「鬼のパンツ」を院内で熱唱。誰の目にも正常には映らない。

世界中が後ろ指をさしている気分が喉元までこみあげる柊。

それを無造作に押し上げる嶋。「こわいですね・・・起こってはいけないことが起こるのは」

柊の鳩尾を世界中の夫と子供がスマッシュする。

「暖めすぎたあちち」「お母さん」「ミルクはあちち」「お母さん」「哺乳壜はあちち」

昇天の定まらない目で妊婦を見る柊。

恐怖を感じて陣痛が始まる初産の佐藤(西尾まり)・・・。

助産師・木村(映美くらら)「羊水が混濁していますけど・・・」

柊「えーっ、なんですってー。・・・カイザー(帝王切開)です。もうカイザーしか母子を助ける方法はありません。カイザー、カイザー、カイザーです」

お母さんあちちカイザーお母さんあちちカイザーお母さんあちちカイザー・・・・・・・。

君島「誰か・・・柊を捕まえて・・・柊を止めて・・・前から変だったけど・・・今や完全にまともじゃない・・・」

痛いほど痛いほど

笑ったり泣いたり・・・

関連するキッドのブログ『第3回のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ) 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (4) | トラックバック (5)

2009年11月 4日 (水)

強い男(岡田将生)強い女(夏帆)弱い女(香里奈)弱い男(高岡蒼甫)

そういうジャンル分けでないとしたら超人VS凡人か・・・青春のはじまりVS青春のおわりである。

その結果として火曜日のドラマ対決は①「リアル・クローズ」↗12.5% ②「オトメン」→8.4%

とりあえず→キターッ!!は言っとくとして、日本シリーズ17.2%が来ているので→はがんばったと思う。

とにかく「オトメン」は剣道がらんだら視聴率はとれない法則をまた証明しました。

ちなみに「東京DOGS」は暴走族がらんだら↘14.4%である。っていうか・・・店主が元ヤクザであることが発覚し殺人の容疑で逮捕されたクリーニング屋が平常営業は無理だろう。いや・・・ワンワンワンに何言ってもしょうがないけど。まさか・・・少女時代の吉高由里子・浅見れいな(子役・文屋愛海・中川真桜)姉妹に吠えかかった犬が東京DOGSじゃないだろうな。友達だと犯罪者を見逃す刑事というキャラ設定って・・・ま、いいか。

で、『オトメン(乙男)~秋~・最終回』(フジテレビ091103PM9~)原作・菅野文(『別冊花と夢』)、脚本・野口照夫、演出・谷村政樹を見た。最終回にしてようやくヒロインがヒロインとしての出番を確保である。飛鳥(岡田)とりょう(夏帆)といえばデビルマンのサタンだが・・・最後まで怪奇趣味は貫かれていた。磯野(澤部佑)の熱狂的ファンは別として、この最終回ぐらいのバランスでないと・・・そもそもドラマとして成立しないのである。

その最終回もほとんどが回想シーンで押すのだが・・・土曜深夜枠時代(平均視聴率*6.3%)の回想をやられても「秋」の視聴者には意味不明なのである。

もちろん・・・「夏」からのファンは堪能できる。しかし、それじゃダメじゃないの?

突然、女になると言って出奔した夫の為にノイローゼになった母・浄美(山本未來)のために乙女心を隠し男の中の男として生きる宿命を背負う飛鳥。しかし・・・飛鳥は同性愛者ではなくて・・・ただ料理とか裁縫とかファッションとかかわいいものが好きなだけで異性であるりょうを愛しているのだ。

一方、父親(高田延彦)に男として育てられたりょうもまたがさつで下ネタ好きで豪快で乱暴だがけして同性愛者ではなく異性である飛鳥を愛している。

このニュアンスがすでにかなり分りにくい。お茶の間向きでないんだよなーっ。それなのにそこをかなりスルーして・・・ブサイクであるから人間として扱われない磯野の哀愁にスポットライトを当てられても困っちゃうんだな。

そんな二人の間に仄暗いかわいい世界から突然出現した・・・ロリータ姫・入香(菅野莉央)は少女マンガの定番「親が決めた許婚をゴリ押し」である。

入香は「オトメンであることをお母様にばらされたくなかったら婚約しなさい」と飛鳥を脅迫し・・・婚約式の挙行を迫るのだった。

そんな折・・・福岡にいるりょうの祖父の容態が悪化・・・りょうは看病のために転校を決意するのだった。

お互いの心を知りながら・・・なかなか告白できない二人に現役高校生少女マンガ家・充太(佐野和真)は気をもみ尊敬するマンガ家で実は飛鳥の父であるミラ(鶴見辰吾)に相談する。

ミラのアドバイスは「正直ものは少ないがあなたにはそうであってもらいたい」という願いであった。

まあ・・・はっきり言うと・・・諸悪の根源はミラという考え方もあります。

迷いながら・・・飛鳥とりょうは思い出の残る校舎で夜のデートをする。

はじめて作った巨神兵ケーキ・・・夏の夜の貞子・・・声をつまらせてむせび泣くことが嗚咽・・・二人の思い出は楽しいことばかりだし、足元には呪怨の少年が佇むのである。

そんなコネタも悪くはないんだけどね。

りょうは「卒業試験に成長した私のケーキを食べてください」とかなり進化したストロベリー・オン・ザ・ケーキを作る。

しかし・・・飛鳥は「まだまだ伝えたいことがあるんです・・・」と勇気を出して告白しようとするが浄美がそれを阻止する。

充太の妹・久利子(武井咲)や典型的なお蝶夫人・雅(桐谷美玲)もりょうにこのままでいいの?と説くが「男」だけど「乙女」のりょうは「告白は男子から」の一点は譲らないのだった。

かっては敵役だった多武峰(木村了)も「飛鳥とりょうは二人で一人であるべきだ」とりょうに忠告する。

これほど周囲にくっつくことを求められるカップルも珍しいのである。現実的でない以上・・・これは理想のカップルなのだなぁ。

しかし・・・りょうの旅立ちの日・・・。その日は飛鳥と入香の婚約式当日でもあった。

充太は「飛鳥が・・・悪の秘密結社に攫われた・・・」とりょうに伝える。

ここで充太は(我ながら何言ってんだ・・・)と自嘲するが・・・疑うことを知らぬりょうはただちに救出に向かうのだった。

ここで充太は(信じるのか~い)とか(さすがだーっ)とかベタにツッコミを入れるべきなのだが・・・それを書けないのがこの脚本家の未熟なところだ。

一方は飛鳥は・・・「僕には好きな人がいるので君とは婚約できない」と宣言。

入香は「王子様とお姫様は結ばれるべきだ」と最後の抵抗。

しかし、ガードマンを必要最低限のダメージで無力化したりょうが登場。

「僕が・・・好きなお姫様は・・・りょうなんだ」と告白である。

ここで浄美は「周囲に流されず・・・自分の信念を貫く・・・それでこそ男の中の男。そうであれば生涯一人の女を愛しぬきなさい」と手のひらを返すのだった。

入香「私・・・間違ってました。飛鳥さんはお姫様だったのですね・・・だって王子様が助けに来るんですもの・・・」

りょう「私は・・・飛鳥さんと会って守ってあげたくなって・・・戦いたくなって・・・そして今ははなれたくないんです・・・」

飛鳥「僕は思い出を大切にしたいなどと逃げていました・・・思い出なんていらない・・・キミがいればそれでいいんです」

一同「万歳」である。最初からこのくらい主人公とヒロインを立てる方向で作らんかっ。

まあ・・・いくら「イエスタデイ・ワンス・モア/カーペンターズ」と願っても昨日犯した過ちはとりかえせないのである。悔いのない青春をおくってもらいたい。

好きな きみのそばにいつもいたい

ずっと あたしのことだけ 見ていて

交わした約束守り抜く

世も末 嘆かないでオトナたち

関連するキッドのブログ『先週の火曜日のレビュー

で、『リアル・クローズ・第4回』(フジテレビ091103PM10~)原作・槇村さとる(『YOU』)、脚本・大島里美、演出・本橋圭太を見た。抜群の男と抜群の女の夢の後は・・・どこかどん臭いファッションの世界の話である。キッドは都会人と田舎者のどちらが創作者として有利かと考えると・・・いつも田舎者に軍配をあげる。たとえば東京都民を1000万人と考えると日本人のが1億人なら10%の少数派である。つまり、90%を占める田舎者の気持ちは分らないのである。他人の共感を得る創作をする場合・・・この不利はものすごい。基本的に都会の人間は田舎の人間の10倍努力をしないと田舎者の気持ちは勝ち取れないのである。もう、こんなこと書いていることが問題外なのだな。

そういう意味で・・・このドラマがじりじりと数字をあげている感じ・・・あせります。

なにしろ・・・主人公とその恋人が福島県出身で・・・高校の先輩・後輩である。

別々の会社に就職して通い同棲である。

もう・・・東京生まれの人間には意味不明ですわ・・・いい加減にしとけよ。

さて・・・そういう背景は別として和田アキ子役で有名な中鉢明子が演ずる同級生の結婚式に出席した絹恵(香里奈)と達也(高岡)・・・共通の友人たちは「そろそろ結婚すれば・・・」と冷やかし、達也は結構その気なのだが・・・「見果てぬ幸せを求めるタイプ」である絹恵は潜在的にそれを拒絶する。その気持ちが顔に出ているのである。

絹恵は百貨店の正社員として昇進試験に合格し・・・仕事に対して積極的な気持ちになっていたのだった。さらに母子家庭で育った絹恵は漠然としたわだかまりを・・・結婚に対して持っている。

一方・・・絹恵には黙っているが故郷の父親が重病で心穏やかではない達也。実家は工場を経営しているが・・・職人気質の兄を営業面でフォローするために・・・実家に戻るのも悪くないと考えているのだ。この不況の時代にそれが是か非かは別として・・・要するに帰る場所があると考えるのが田舎ものです。

そして・・・ついに父が死亡・・・絹恵にプロポーズである。

達也の心にどんな野望が秘められているかは謎だが・・・日本一の自動車修理工場にしようとか・・・かな・・・とにかく・・・絹恵のキャリアは全部捨てて黙って俺についてこいなのである・・・つまるところは。

そうでなければ別れると云われ・・・「一人ぼっちはイヤだから結婚する」という絹恵だった。

ああ・・・ものすごく・・・特殊そうで・・・ものすごく・・・ありふれた話である。

とにかく・・・そうなるとリアル・クローズ(おわり)なのでそうはならないという先の見えた話なのだ。

そして・・・故郷で美容師になったそれなりにいい女・晴美(山田麻衣子)登場である。

山田麻衣子といえば「青い鳥」(1997年)で鈴木杏の後の姿を演じたわけだが・・・今年の夏の昼ドラマ「夏の秘密」が初主演というものすごい遅咲きでいつの間にやら28歳なのである。高岡蒼甫と同い年なのだな。香里奈は25歳だが・・・達也と晴美が高校三年の時、絹恵が高校一年の設定なのか・・・まあ・・・凄くせまい人間関係なんだなぁ。

きっと地方出身者にはすごく分りやすいことなんだろうなぁ・・・やはり地方出身者は有利だよなぁ。

大丈夫~ 大丈夫~

きっといつかたどり着ける

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (11)

2009年11月 3日 (火)

星影静香からココでありんす(柴田杏花)仁は掘削(大沢たかお)吉原潜入(綾瀬はるか)

ドリルでゴリゴリで気弱な人が退場する「仁」なのだが・・・根性がためされているな。

関東ローカルなテレビ東京ネタで申し訳ないが「怨み屋本舗REBOOT」で母親が凌辱を苦に自殺したヒロイン星影(長谷部瞳)の幼少時代を演じた柴田杏花が野風(中谷美紀)の幼少時代を熱演である。ちなみにその前は「Tomorrow~陽はまたのぼる~」の遠藤医師(緒川たまき)の幼少時代を演じている。

長谷部瞳、中谷美紀、緒川たまき・・・その幼少時代を演じて違和感なしということは・・・すごい美少女なのである。

今回、坂本龍馬(内野聖陽)は落語「明烏」をモチーフに行動するわけだが、ドラマ「タイガー&ドラゴン」(2005年)では第6話のサブタイトルが「明烏」である。ここでは女嫌いの落語家・どん吉(春風亭昇太)が竜二(岡田准一)とどん太(阿部サダヲ)という遊び人に「女遊び」に誘われたあげく甘納豆の販売員(薬師丸ひろ子)のハートを射止めるというオチになっている。

「明烏」というタイトルはこの廓話の元ネタである新内節「明烏夢泡雪」が夢オチであることによる。遊女・浦里と町人・時次郎が恋の果てに心中を覚悟で廓の塀から飛び降りるがそこで夜明けの烏がカアと鳴き・・・すべては夢だったという趣向なのである。

まあ・・・ともかく・・・悪い遊びを覚えるとつい人に教えたくなり、教えた相手が自分より遊び上手になったりすると・・・複雑な気持ちになるというのが「お笑い」のポイントなのであります。

で、本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↘*6.2%(「オールスター芸能人歌がうまい王座決定戦スペシャル」20.3%なんてことを~)、「おひとりさま」↘*8.4%(「オー・・・以下同文」)、「隠し砦の三悪人」11.6%(ひどいもんな~無駄遣いの極み)、「マイガール」↗*9.7%(金曜ドラマのトップだよ)、「行列48時間」↘*3.8%(このワク・・・辛すぎる)、「チャレンジド」↗*6.7%(ラクダ、アンタに勝つ)、「小公女セイラ」↘*7.8%(エロゲだからな)、「サムライ・ハイスクール」↘*9.6%(文句を言う相手が違うんだなきっと)、「検事・朝日奈耀子8」14.8%(悪い母子を成敗・・・やはり怨み屋テイストか)、「天地人」↘19.5%(ついに最後まで・・・)、「JIN~仁~」→17.2%(→キターッ!!)・・・以上。

で、『JIN~仁~・第4回』(TBSテレビ091101PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・川嶋龍太郎を見た。タイム・パラドックスというものがある。これは「時間旅行」ものというジャンルが生んだ「矛盾」のヴァリエーションである。たとえば「タイム・マシンで過去に戻りタイムマシンの発明前に発明者を殺す」とどうなるのか?・・・という問題がある。一つの答えは「それではタイム・マシンが発明されないゆえに発明者が過去に戻れないので行為そのものが実行できない」というものだ。そこでは時間は一本化されていると考えられている。しかし、多元宇宙であれば時間軸の乗り換えという考え方が導入され、殺人者はタイムマシンの発明される時間軸からタイムマシンの発明されない時間軸に乗り換えるだけなので実行可能となる。その世界では「過去の自分を殺しても自分が消えたりはしない」のである。

このドラマでは明らかな「タイム・マシン」は登場しない。一種のマジックによって仁(大沢たかお)は現代から幕末にタイム・スリップするわけだが、時間軸が一本なのか、多元なのかはまだ伏せられている。マジックということはファンタジー属性なのでいわば「なんでもあり」なのである。そういう意味ではそのことにこだわっても仕方ないという一面はあります。でもあえて言うと、仁が過去に干渉することによって歴史が変容し・・・それが未来の仁に影響を与えるのはかなり・・・時間の一本化に近いアイディアです。それが示されるのは「写真」の変化。つまり・・・未来が変わると同時にその未来から持ち帰った「写真」も変わるという現象。しかし・・・その場合は仁の記憶も同様に変容するのが辻褄としてはあっています。つまり・・・もし未来の未来(中谷)が発病していないとすると・・・仁の記憶も更新されているはずなのです。まあ、心と体は別ものだという宗教的発想もあるわけですが・・・現代では記憶がほぼ物質的現象に過ぎないことは明白なわけですから。

その場合、仁の持っている写真は一種の「マジック・アイテム」だと考えることが必要です。仁の記憶が変容しない以上、そうでないと辻褄があわないからです。あの写真は未来の出来事が判る一種の超科学装置なのです。きっとそうなのです。

さて・・・もしも、時間が一本だった場合には、そろそろ、タイム・パトロールが来るはずです。だって~、未来が変更されて自分たちが消滅するなんて・・・未来人は絶対反対だからなのです。・・・来ないと思うぞ。特にスーパー・ジェッターはな。

さて・・・いくら、大金を積まれても好かない人のお相手はしない・・・という建前の吉原の花魁世界。もちろん・・・ほとんどの花魁は大金を積む人即ち好きな人なんですが。

ただ、欲望処理機関にも情緒は大切で、恋愛気分を楽しませるのも重要な要素にはなっています。

そのための建前が「好きな人だからお相手をする」というお約束なわけです。

とにかく、吉原の鈴屋(六平直政)を暴漢から救った坂本龍馬は鈴谷お抱えの花魁・野風(中谷)に一目惚れしてしまいます。この手の高級娼婦はいろいろと手間暇がかかるのですが、基本的に最初の一回が初見(ふり)、二回目が裏を返すことになり、三回目から馴染みとなるという段取りがあります。ところが・・・高級になると最初の初見がなかなか敷居が高いのです。客をじらすのも手のうちなのですな。「遊ぶ金」はかなりかかるのが普通です。そもそも、寝床のある部屋にたどり着くのが至難のワザなのです。まずは、茶屋でご馳走したり粋なところを見せて花魁の気をひかねばならない。

坂本龍馬はこの・・・初見にもたどり着けないのでございます。そんな折、鈴屋が病床に・・・。鈴屋を父と慕う野風は医師を求めます。たちまち、龍馬の頭に仁が浮かび、野風に恩を着せようと仁を「明烏」よろしく吉原に誘い込むのでした。

仁が吉原に行ったと知った咲(綾瀬)は「夕餉には揚げ出し豆腐」を用意したのに・・・と心穏やかではないのですが・・・野風と会った仁は未来の未来のそっくりさんに遭遇して唖然とするのです。

しかし・・・病人を目の前にするとたちまち医は仁術モードに・・・。

検査機械などに頼ることの出来ない仁は「脳内の血種」の除去手術をヤマカンで決行します。まあ・・・まさに運も実力のうちの展開。鈴屋の頭、穴だらけにならないでよかったよ。

その頃、夜風から身の上話を聞いた龍馬はますます野風に惚れこむわけですが・・・女郎の身の上話なんて筋書き決まってますから~。

ちなみに鈴屋の女将が水沢アキ、咲の兄・恭太郎(小出恵介)がふと見つめあう女郎が水沢エレナです。まあ、たまたま苗字が一緒です。

結局、野風が気に入ったのは仁だったらしく、龍馬涙目です。

一方、咲は仁と未来の未来の写真を発見、吉原に乗り込むとそっくりの野風を発見、またも唖然です。

そして・・・吉原には不治の病(当時)に冒された女郎・夕霧(高岡早紀)が待っていたのでした。

さて・・・なんとなくおっさんくさい・・・そこがいい・・・坂本龍馬ですが、文久二年(1862年)にはまだ25歳・・・いくら昔の人が老けやすいと言ってもまだピチピチの若者でございます。しかし・・・なんとなく坂本龍馬としては最高のフィット感がございます。

歴代龍馬を演じた俳優を振り返ると・・・故人をのぞく・・・映画『竜馬暗殺』(1974年)の原田芳雄をキッドはかなり印象深く感じるのです。暗殺寸前なのですでに31歳の竜馬ですが当時原田は34歳。ほぼ実年齢。中岡慎太郎を石橋蓮司が演じていて、その妻(桃井かおり)をいきなり犯そうとする竜馬。妻「さ、坂本様はケダモノですっ」というのが龍馬の獣性を象徴していて・・・そういう意味では内野龍馬はかなりいい感じにケダモノ感がございます。

同じ年、大河ドラマ『勝海舟』では藤岡弘が坂本龍馬。こちらはショーケンの演じた岡田以蔵がもの凄いインパクト(脚本・倉本總)だったのですが・・・仮面ライダーの演じる龍馬もなかなかに存在感があり、龍馬暗殺の報を聞いた勝海舟(松方弘樹)が「もう・・・日本には本当の夜明けは来ないかもしれねぇなぁ」というのが凄く納得だったのです。この時、藤岡は28歳。しかし・・・どちらかといえば大人顔でしたから・・・原田との落差はそれほどなかったような記憶があります。なんといっても改造人間としての超越感があった。これ以上ない正義の味方です。

とにかく、原田と藤岡の坂本龍馬は結構、原型を形成しているようです。役者も研究対象になりますからね。龍馬は結構ワイルド、そしてとてつもない正義漢なのです。

最近の大河では「翔ぶがごとく」(1990年)で佐藤浩市(当時30歳)、「新撰組!」(2004年)で江口洋介(当時37歳)、「篤姫」(2008年)で玉木宏(当時28歳)となっています。とにかく・・・龍馬は30歳前後のイメージが強いらしい。ちなみに内野聖陽は現在41歳。ま・・・とにかく・・・それがドラマというものでございます。それとも・・・最初から歴史は変わっているのかもしれないっ。坂本龍馬が15年早く生れた過去に~。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『浅見光彦・毎週が最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (10) | トラックバック (15)

2009年11月 2日 (月)

ええいああ天地人(妻夫木聡)契りたいのです(逢沢りな)いのちがけだよ(並木瑠璃)

とにかく・・・もうあとちょっとです。大国実頼(小泉孝太郎)の退場によりついに解禁、本多政重あらため直江勝吉(黄川田将也)である。ご存知、仮面ライダー1号・二代目本郷猛である。1999年デビューなのでもう10年目でクールな二枚目の代名詞と言っていいだろう。最近は悪の役も多くて「怨み屋本舗REBOOT」第7回で悪徳金融業者で実質的殺害されてました。

謎の多い本多一族の中でも特に怪しい政重役はうってつけだったな。

勝者が敗者の家系を犯すのはよくあることで・・・織田家でいえば信長の息子たちは信長が伊勢を攻略した後に北畠信雄、神戸信孝と伊勢の名族の跡目を簒奪したのである。

そういう意味では家康が家来筋の本多に上杉の家来の直江の名を継がせるのは勝利の刻印というべきものだ。

しかし、それはまた平和的な解決の手段でもある。すべては安全保障のためなのである。

文字通りの政略結婚の相手はお松(逢沢りな)だった。逢沢りなといえば「炎神戦隊ゴーオンジャー」(2008年)のゴーオンイエローなので・・・仮面ライダーと戦隊ヒロインの結婚なのである。

とにかく・・・二人とも臭い演技にヒケはとらないのでしっとりと泣かせます。

ついでに言えば早世するお松の妹(並木瑠璃)は「さんまのSUPERからくりTV」のギター少女である。

二人とも突然出てきてさっと死ぬのですが・・・その呆気なさが逆にジンと来たりして・・・憐れで。

で、『天地人・第44回』(NHK総合091101PM8~)原作・火坂雅志、脚本・小松江里子、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回もあらすじ五行ですが・・・ま・・・仮面ライダーとゴーオンイエローの熱演に免じてこらえてつかあさいっ。とにかく・・・政重と結婚してすぐ亡くなったのは政重が精力絶倫だったからではないか・・・と考えたりするわけですが。特にキッドは姉のお松が先に死んで、お梅が後妻に入ってすぐ死んだのではないかと考えているのです。もう夜の生活が激しくて身が持たない感じ?・・・だから・・・三番目の妻となるお虎はものすごいタフネスだったのだと考えます。そういうあれやこれやを妄想すると・・・人身御供状態の直江姉妹が憐れで涙でモニターが見えない状態にっ。そしてお虎は天晴れです。・・・これはしたり。

Tenchijin160501 慶長10年(1605年)である。前年の夏にお市の方の三女で徳川秀忠を三番目の夫とした江の方は長男の竹千代(後の家光)を出産している。家康はこれを天佑と感じただろう。すでに天下の実権は征夷大将軍たる家康にあったが・・・織田家と徳川家の血を引く家光こそはまさに名実を伴った天下の支配者足りうるからである。すでに秀頼に嫁いだ千姫に子があれば話は別となる。千姫の子は徳川・織田・豊臣の血が流れるからである。しかし・・・七歳で嫁いだ千姫は未だ九歳だった。初潮を迎えていなかったのである。家康は天下統一の潮流が流れ出したのを感じた。征夷大将軍を秀忠に譲り・・・さらに家光に譲る。それで・・・と家康は考える。徳川家は将軍家と呼ばれるようになるだろう。家康は決断した。

米沢城下の直江屋敷に婿入りした本多政重は景勝より直江勝吉の名を賜っていた。二十五歳の勝吉は精気に満ち溢れている。重光(兼続)も樋口の忍びとして修行し、初音に鍛えられ、戦場を往来したそれなりの忍びであったが・・・陽忍として城勤めが長い。その野生は抑圧されるうちに輝きを失っている。さらに言うならば政重は常人とは異なる獣の匂いを発散している。勝吉は十七歳で主君家康の後継者である秀忠の乳兄弟を切り殺し、徳川家を一度出奔している。それからは流浪と仕官、そして出奔の漂泊の日々を重ねてきた。関ヶ原の戦いでは宇喜田秀家の侍大将として東軍と戦ったのである。その実力は天下に知れ渡り、戦後も福島正則、前田利長ら有力大名に招かれ万石級で召抱えられてきた男である。

その恐ろしいほどの獣性はただ座っているだけでも周囲の空気を生臭く感じさせるのだ。

その凄まじさは婿に迎えてわずか半年で・・・重光の長女・お松を衰弱させていた。お松とてくのいちとして相応の鍛錬は受けていたが・・・相手が強すぎたのである。慶長10年が明け早春の雪も溶けぬ季節・・・お松は逝った。重光は衰弱したお松の体を見て・・・その無惨さに胸を痛めたが・・・本多との縁を切ることはできなかった。

重光は後添えとして次女のお梅を勝吉に差し出した。

重光「・・・のう・・・婿殿・・・少し・・・控えてくださらぬかの・・・」

勝吉「・・・こればかりは・・・」

勝吉は重光の懇願を一蹴した。

お梅もまた夏を越えるのが精一杯であった。二人の娘を失った重光は悄然とした。そこへ・・・大国家より・・・亡き弟・実頼の忘れ形見・お虎がやってきたのである。

「伯父上・・・心配めさるな・・・このお虎の名・・・伊達ではございませぬ・・・」

お虎は十三歳、しかし・・・その姿からは重光と同じ気が発散していた。そのギラキラした輝きに目を細め・・・重光はお虎を拝み伏した。

その夜から直江屋敷は夜な夜な獣の咆哮が聞こえるようになる。

勝吉はようやく己に相応しい女を得たのである。

嬉々として勝吉の世話を焼くお虎の姿に重光はようやく安堵の息をもらす。

その頃、宮本玄信は京から越前へと向かっていた。玄信は三兄弟の長男である。古い藤原の忍びの末裔である父・無信に育てられた戦忍びである。何れも武蔵守玄信を名乗っているが後に宮本武蔵として高名になるのは三男の鞭助だった。次男が槍助。そして長男は剣助である。ちなみに剣助は勝吉と同じ年の生まれ、槍助は二つ年下、鞭助はさらに二つ年下だった。剣助は勝吉とともに宇喜田秀家の下で戦っている。まだ、修行中の身だった槍助と鞭助は父・無信とともに東軍である黒田勢に加わっていた。

弟の鞭助が京に出て、修行を始めたのを機として・・・剣助は武者修行の旅に出たのである。

武蔵守剣助が越前で結城忍軍の結界に足を踏み入れたのは偶然ではなかった。武蔵は女を追いかけていたのである。近江で見かけたその女は巧に穏形していたが並々ならぬ力量を秘めていた。

「一手お相手したい」という熱望が武蔵に巻き起こった。しかし・・・女は巧に武蔵を交わし北に向かっていた。武蔵は追う。しかし・・・武蔵の健脚をもってしても女には追いつくことはできなかった。それでも女は誘うように後姿を武蔵に見せている。

「くのいちか・・・」武蔵は相手の正体をそう見たが・・・かといって女に追いつくわけでもない。武蔵は執念深い性質であったので女に固執した。

もはや・・・剣の相手ではなく凌辱する女として武蔵の目には女の後ろ姿が映っている。

越前の国境を越えたところで・・・女がふと振り返ったとき、武蔵の男のものは激しく怒張しているほどだったのである。

女は笑ったように見えた。武蔵の胸に甘美なものがこみあげた瞬間、女は姿を消し、次に恐ろしいまでの殺気が武蔵に襲い掛かってきた。

「女の連れと思われたか・・・」と武蔵が悟ったときには忍び戦が始まっていた。武蔵は国境を守る結城忍びの結界の真ん中に飛び込んでいたのである。

火薬の匂いを感じ取った武蔵は素早く森に飛び込む。銃声がこだまし、左右からは抜刀した忍びが斬りかかって来る。武蔵は一撃で左右の敵を同時に切り伏せる。

真っ二つになった胴体が二体、吹き飛ぶように転がった。武蔵の中に修羅の風が吹き荒れる。それから一昼夜、武蔵と結城忍びの暗闘は続いた。二日目の夜明け、無数の死体を残し・・・ついに武蔵は力尽きた。

「女め・・・せめて名など知りたかったぞ・・・」

武蔵にとどめを刺した忍びもまた精魂尽き果てていた。

その頃・・・初音は結城秀康を闇に葬っていた。偶然にもその日、江戸では秀康の弟の一人、松平忠吉も古傷が原因で死んだと言う。

数日後・・・徳川二代将軍に秀忠が就任する。

家康は同時に二人の息子を失ったが・・・彼にとって身内の死は日常のことだった。そして家康は天下をほぼ手中にしていた。

関連するキッドのブログ『第43回のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『オトメン(乙男)・秋』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (9)

2009年11月 1日 (日)

侍高校許婚は顔を隠して(谷村美月)調教されてもプリンセス(志田未来)

「わたしたちの教科書」(2007年)ペアである。

谷村美月も虐められ続けているが、今回はシークレット・ゲストである。クレジットを見るまで気がつかんわっ。

一方、いじめられっ子の集大成か・・・セイラ(志田未来)・・・。

で、『小公女セイラ・第3回』(TBSテレビ091031PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・吉田秋生を見た。超亜空間に存在する聖ミレニウス女学院。そこでは未だに人身売買と奴隷制度が残されているのである。ネットとか携帯とかはたまに気が向いたときだけ存在する。どこなんだよ~とか、いつなんだよ~とかけして思わないでください。

昔風にいえば明らかに成金の武田寛(不破万作)の娘、武田寛子いや真里亜(小島藤子)はせっかく練習したフランス語のスピーチの出番をセイラに奪われ、ついに堪忍袋の緒がきれたのであった。

父親から女学院への援助を引き出し、院長(樋口可南子)を巻き込んで、本格的なセイラいじめを開始するのである。

手始めにセイラに自分の召使とするのである。

しかし、セイラは「貧乏だってプリンセスなの」と意地を張るので真里亜の怒りはさらに増幅するのであった。

「貧乏なセイラには何の価値もないことを思い知らせる」ために、いかなる手段を使ったのかセイラを無視させるのだった。

言うことを聞かないセイラの友人・まさみ(岡本杏理)には言うことを聞かないとセイラを家なき子にするという脅迫をし、カイト(林遣都)は高校進学資金で買収する。

この透明人間攻撃にセイラの心は折れてゆく。

極力中立のかをり(忽那汐里)にも「頑固さ」を辟易され・・・セイラは孤独に耐えかねる。

カイトは「これは神にあたえられた試練だとか言ってるけど家は仏教徒なんだよ。日本じゃまだまだお墓に十字架立ってる人は少ないぞ~」と云われ・・・違うだろう・・・とにかく・・・自分がまだまだ貧乏人を下に見るお嬢様気質であったと思い知らされ・・・さらに鬱になるセイラだった。

もはや天国の母(黒川智花)の声も届かなくなったセイラ。ネズミたちとでは会話が成立しないのだ。

ついに真里亜に膝を屈するのである。脚本家は凌辱系育成ゲームのやりすぎではないのか。

そして「謝るくらいでは許せなくてよ」と真里亜は嗜虐的な性格をあらわにする。もう怨み屋に実質的殺害を依頼されるレベルの悪である。ここまでいくともう悪の道からは戻れない。

いかなる手段を使ったのか・・・子分の二人以外にもトマト投げを実行させる真里亜。

いろいろな部分がトマトまみれになるセイラ。一部愛好家熱狂である。

そういう変態の一員にならないためにかをりはいち早く脱走である。

しかし・・・セイラを守るためにセイラにトマトを投げざるを得ないまさみ。

その最後の一投を阻止したのは・・・カイトでした。

真里亜「なんてことを・・・高校に行きたくないの」

カイト「行きたいさ・・・しかし、頭にビッグ・リボンをつけた女の金では行かない」

泣きじゃくるセイラをかかえるカイト・・・突然ラブ・ロマンスですかっ。

眠れよ眠れすみれの様に

幼い少女の その頬の 涙の中の悲しみよ

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『サムライ・ハイスクール・第3回』(日本テレビ091031PM9~)脚本・井上由美子、演出・佐藤東弥を見た。今週の妹・優奈(大後寿々花)は「お兄ちゃんが模試で志望校合格率*5%未満だと私がとばっちりを受けるのよ・・・しっかりしてよ」・・・以上である。む、無駄遣いじゃないか。

一方、模試がA評価だったあい(杏)だが・・・なんとなく受験鬱になり、ストリート・シンガーを突然始めるのだった。芸達者なのでYUIみたいな歌を披露するのである。

しかし、その盗撮画像がネットの掲示板に公開すると書き込みが殺到(主にクラスメート)・・・怪しい音楽プロデューサーも書き込んできて・・・有頂天になるあいだった。

しかし、罵詈雑言が始まるとたちまち落ち込むあい・・・もはやちょっと危ういキャラだな。

まあ・・・現在の普通の高校生は小学生あるいはそれ以前からネット世代なので・・・ネットに対しての耐性は問題なくあるだろう。ネットがあるから問題なのではなくて・・・トイレの落書きだって傷つくタイプは傷つくだけだ。

しかし・・・サムライモードの小太郎(三浦春馬)には到底許せることではなく・・・果たし状で書き込み者に勝負を挑むのであった。

ちなみに今回、ただの小太郎が鬼スタディーしたのは「サムライには許婚(谷村美月)がいる」ということである。サムライは「天下をとれば戦はなくなる」などといっているが・・・真田幸村(信繁)の家来のサムライが参戦するのは上田城攻防戦や大坂の陣なので・・・どちらかといえば戦国時代が終焉しているのに好戦的なサムライたちが乱を好んで挙行した反平和戦争である。まさか・・・この脚本家も大河ドラマの脚本家と・・・同じ種族なのか?

とにかく・・・意外なことに書き込みをしたのはあいの親友の百合香(小林涼子)だった。

百合香「だってこうでもしないと・・・出番がないんですもの」

和沙(折山みゆ)「それは私も同感・・・ごめんじゃねーよーだけなんです」

あいは百合香を突き飛ばして擬似パンチラ・サービスを許した後で仲直りするのだった。

強い男になれと死んだ父親の願いがこもる剛(城田優)はあいを密かに懸想しているのでホッとする。

この展開に教師・サヤカ(市川実日子)はひそかに感激、亀井校長(室井滋)は「アホクサ・・・」と退出する。

勇気を出して音楽プロデューサー大室(丸山智己)の面接を受けるあいだったが・・・大室は単なる変態だった。

幼馴染の嗅覚でたちまち拉致されたあいを発見する自転車に乗った小太郎だったが、誤って川に転落。サムライモードに変身するとジャンク船の手作り鉄弓に傘の柄の矢で大室のクルマを撃破。

「将を射んとすれば馬を射よなのだ」である・・・そんなセリフはないけどね。

まあ・・・ひょっとすると歴史オンチ・・・の匂いが漂ってきたが・・・ま・・・これはそれでもいいか。

幽霊司書(ミムラ)いわくスイーツな夢とは袂を分かつらしいし・・・。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)『前田亜季の狩矢警部⑦』・・・さあ、最初の刺客だな。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

| | コメント (2) | トラックバック (9)

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »