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2009年11月 5日 (木)

やっちゃいましたね(本仮屋ユイカ)お母さーん(吉田里琴)カイザー、カイザー、カイザー(藤原紀香)

宇宙は今加速しつつ膨張している。

科学を信仰する人々は収縮しなくなった宇宙に神を見る。宇宙は永遠になったが太陽が死に、地球が滅び、人が死ぬことには変わりが無い。

神様はいるが何もしないのがお約束なのである。

だから「神様がいてよかった」も「神様なんていない」も不正解である。

繰り返すが、神はいるし、いたからといって人にとってよいことはひとつもないのである。

水曜日のダンスは「相棒」お休み、「ギネ」50分遅れスタートというものすごい変則だが・・・奇跡のダンスになりました。

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%

これは取り残されたものたちのナイス・ステップ。

で、『ギネ 産婦人科の女たち第4回』(日本テレビ091104PM1050~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・久保田充を見た。実はこの脚本家はどちらかといえば奇をてらう方だと思う。キッドは奇をてらうタイプをあまり好ましく思わないが、この脚本家の場合は基本が地味なのでなんだかいたいけない感じがしてほだされる場合があります。「ハンドク!!!」(2001年)の場合、地味な脚本を派手にしてしまう演出がなんとも言えずに微妙な味わいをもたらしていた。今回は医療ものとしてそれに順ずるだろう。

すでに大きな問題がある。このドラマには産科医の現状というものが苛酷であるという視点がある。当然、標準的な医師たちが現実と折り合いながら妥協点を見出していくというメイン・テーマが浮かびあがる。ところがドラマの主人公は精神障害者というある意味では突出したキャラクターとして設定されている。それは社会的な問題ではあるが精神障害と言う点で普遍的であり・・・産婦人科医としては標準ではありえない。つまり、ドラマ全体は産婦人科の問題を描きつつ、主人公は個人的問題を抱えているのである。

これはドラマとしてはかなりアクロバットな展開を要求されるので・・・奇をてらっているというしかないのだな。

よく言えば冒険的で・・・野心的なドラマだが・・・結局、主人公がドラマのメイン・テーマとは違う場所で生きている違和感はどこまでもつきまとうだろう。

今回もドラマとしてはとても面白いのだが・・・それはボーダーラインをタイトロープでヨロヨロしていた主人公がついにダーク・サイドに転落した面白さである。そんなことでいいのか・・・と思わざるを得ないのだな。

母の命と引き換えにこの世に生まれてきたことを柊(藤原)が気に病むようになったのがいつなのか・・・それは謎とされている。自然の掟では母親がいなければ子は育たないが子を失っても母親は新たな子を生むことができる。その掟に基づいて母子に危険がある場合には母体が優先される。

妊娠・出産・育児の様々な段階で親が子供より自分を優先させることは現代では憚れることだが・・・かって漢帝国の創始者である劉邦は敵に追われ馬車で逃亡する際に荷を軽くすめためにわが子を投げ捨てたという。「子供はまた生めばいいから」である。

もちろん・・・現代ではそういう論理は許されないのが建前だが・・・個人的な本音がそういう方向にあってもおかしくはないのである。

たとえば・・・本心でなくても・・・妻を失った夫は疲労困憊の果てについ「お母さんが生きていればなぁ」とわが子にこぼしたかもしれない。それを子が「お前が死んでお母さんが生きていた方がマシだった」というニュアンスで受け取ることはままあるだろう。それを飲み込んで折り合って生きていく子供もいるが・・・そうでない子もいるだろう。

そのことの是非とか・・・母を持たない虚無感、想像上の喪失感、胸に残るもやもや・・・そうした一切と距離を置こうとすれば虚しさがつのり、思い切って向き合おうとすれば悲しみが満ちる。

そういう葛藤を抱えつつ、能力に恵まれた柊は母体を守る産婦人科医になってしまったのである。さらには愛にも恵まれ、結婚し、息子の雄太(中村柊芽)を出産するに到る。しかしその後の離婚の理由は伏せられている。

とにかく・・・夢の中で誰かが「自分の母親を殺しておいて母親になるのか。母親を不幸にして自分だけ幸福になるつもりか」と囁くことはありえる。

1万人に1人いるかいないか・・・十年に1人いるかいないかの・・・特別な存在。生まれてきたときにすでに人殺しだった子供。母親殺しの汚名を身にまとい・・・ついにそれを克服できないまま・・・他人の子供をとりあげる日々。

もちろん理性では「そんなことを気に病んでも無意味だ」ということは柊にも分っている。しかし、心のどこかに「とりかえしのつかないことをしてしまったものはどんな償いの道も残されていない」と囁き続ける何者かをすまわせているらしい。

柊の心の一部は荒涼とした孤独な世界を常に無意識状態で彷徨っているのだ。

いつもの産婦人科医たちのエレベーター。「昨日は大変だったね」「誕生日のお祝いに出席できなくて申し訳ありません」「いや患者のことが一番だ」「徳本さん(西田尚美)また出血して最手術したそうだね」「でも今は安定して快方に向かっています」「そうかよかった神様はいるもんだな」「教授(國村隼)は何か信仰をお持ちなんでしょうか」「玉木(上地雄輔)、神様なんていないわよ」

いれば・・・私から母親を奪ったりしないはずだから。

しかし・・・徳本の出血原因の特定は不明だった。新人の玉木にはもちろん、柊にも分らず、上司の君島(松下由樹)にもわからなかった。

柊は薬の副作用を疑った。投与を控えれば症状の改善が期待できるからだ。

しかし、新人で経験の浅い嶋(本仮屋ユイカ)は率直に院内感染を疑っていた。

新人に分るほどだから柊も君島も当然分っているのである。そのために血液検査を急がせていた。

しかし・・・院内感染ならば・・・もはや打つ手はないのである。誰もがその可能性から目を背けていたのである。その細菌はどこにでもある細菌である。健康な人間には何の問題もない細菌である。しかし、手術による出産と大量出血そして再手術で抵抗力を失った母体には凶悪な毒性をふりまく。すでに毒素は体内を駆け巡っている。

しかし・・・そんなことは起こるべくして起こることではない。万にひとつの出来事なのである。手術室は清潔に保たれ・・・そのような細菌は存在を許されない。

「それはどうかな」「お前は呪われた子だからな」「万にひとつの起こらないことが起こる子だ」「どうする・・・また出血したら」「また血種をとりのぞくのか」「そしてもっともっと体力を奪うのか」「DIC(播種性血管内凝固症候群)か・・・MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)かもよ・・・それとも」「もはや万事休すだろう」「死んではならないものが死ぬのだ」「いやお前が殺すのだ」「命をまかされたお前が殺すのだ」「呪われたお前がな」

じわじわと自分の首を絞めにかかる柊の中のもう1人の自分。

最初の手術の執刀医の1人である君島は・・・自分が菌の搬入者である可能性に戦慄する。そして再び始まる徳本の出血。

君島「手を尽くしたということを示すために三度目の手術をするべきよ」

柊「それでは患者の生きる気力を奪ってしまいます」

・・・いいや・・・お前が絶望したくないだけなんだろう。お前が望みを失いたくないからだ。もう・・・手遅れだと認めたくないのだ。

正体を隠したまま緑膿菌はゆっくりと着実に徳本を蝕んでいく。

発熱40℃越え。

自宅に戻った柊に緊急呼び出しがかかる。

かけつけると徳本は重態だった。すでに出血箇所は拡散していた。

夫・慎一(八嶋智人)と娘・優美(吉田)が駆けつけると妻であり母である女・美和子はすでに心臓が止っていた。心臓マッサージを続ける柊・・・しかし・・・君島が臨終を告げる。

柊「だめなの・・・あなたは死んではいけないの」

優美「お母さん、お母さん、あああああああ、お母さん、あああああ。お母さん、お母さん、お母さん、お母さん・・・・あああああ・・・・・」

優美の完璧な泣きに同化して幼児退行を起こし、自我が崩壊し、やさぐれて、不機嫌な柊は・・・出棺を見送りませんでした。

万にひとつの母体死亡に・・・震え上がる顧問弁護士・瀬川(内田有紀)。

瀬川「経過報告書をすぐに・・・」

翌日、躁状態で出勤する柊。「前向きに生きるので経過報告書は書きません」と意味不明な言動を開始する。名曲「鬼のパンツ」を院内で熱唱。誰の目にも正常には映らない。

世界中が後ろ指をさしている気分が喉元までこみあげる柊。

それを無造作に押し上げる嶋。「こわいですね・・・起こってはいけないことが起こるのは」

柊の鳩尾を世界中の夫と子供がスマッシュする。

「暖めすぎたあちち」「お母さん」「ミルクはあちち」「お母さん」「哺乳壜はあちち」

昇天の定まらない目で妊婦を見る柊。

恐怖を感じて陣痛が始まる初産の佐藤(西尾まり)・・・。

助産師・木村(映美くらら)「羊水が混濁していますけど・・・」

柊「えーっ、なんですってー。・・・カイザー(帝王切開)です。もうカイザーしか母子を助ける方法はありません。カイザー、カイザー、カイザーです」

お母さんあちちカイザーお母さんあちちカイザーお母さんあちちカイザー・・・・・・・。

君島「誰か・・・柊を捕まえて・・・柊を止めて・・・前から変だったけど・・・今や完全にまともじゃない・・・」

痛いほど痛いほど

笑ったり泣いたり・・・

関連するキッドのブログ『第3回のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『仲間由紀恵のアンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ) 

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

じいやさま、昨日は待ちくたびれて
ビールbeer飲みすぎたわ。
何がなんだかの状態でボケーっと見終わった感想は
「正気の沙汰じゃない」でしたのよ。
けど、何が狂気なのかすっかり忘れてたら
じいやさまの再現ドラマで爆笑です。
綺麗に甦ったわ。
あのカイザーと叫ぶ柊に
お母さんと泣く女の子の姿がかぶさって。
すんごいラストでしたね。
柊の描写があんまり奇なので
よく医師になれたものだと驚くばかり。
ま、ドラマですから~。

そうそう先日はアンナちゃんのお誕生会ありがとうデス。
乙女のアンナちゃんはただいまロンバケ中。
先日出てきたシーンのセリフにあった
「星屑を天使の涙で割ったカクテルbar」を
さしあげてね~。
じいやさまには、熱燗bottleどうぞ♪

投稿: エリ | 2009年11月 5日 (木) 18時08分

ribbon✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿ribbon

まあ、日本テレビは
巨人が勝てば世界が薔薇色という
依存症の人々の専門病院ですからねぇ。
ドラマ風情の狂気は片隅に追いやられるのでございまいす。

じいめは
「地球には68億人の精神障害者がいる」
という信念をもっております。
ようするに正気な人間なんて
1人もいないのですな。

しかし、そうすると「狂を発する」とか
「狂いが生じる」
と言う言葉が無意味になってしまうので
人々は重度とか軽度とか
日常生活が送れるかとか
反社会的でないか
などという様々なものさしを用意するのですな。

心の闇などといいますが
基本的には心は闇ですからな。

情報は基本的に無味無臭で色もないのです。

そういう意味でストレートに
機知の外に出てしまった人を
描くこのドラマは最近では貴重でございました。

鬱屈は厄介ですからな
お嬢様に爆笑していただき
じいめは安堵の限りでございます。

この手のものをお笑いで
表現するのはかなり
危険な感じがするものなのです。
そういう意味で
「お笑いは劇薬」なのでございますね。

じいやの妄想と
柊の心理が一致しているのかどうかは
不明ですが
お茶の間的にはこのくらい
説明しないと意味不明では
ないかと心配性のじいめは思うのでございます。

じいやというものは
基本的にそういうビョーキですからな。

で・・・なんですと
野球延長で
手持ち無沙汰だったから
ビールをかっくらったと
お、お嬢様~
ドサクサにまぎれて
なんでもやるというのは
まこ様におまかせくだされーっ。

星屑を天使の涙で割ったカクテル・・・

さすがに「ロンバケ」ですな。
ロマンチックこの上なし・・・。

どんなカクテルでございましょうか?

スターダストというカクテルはあってもよろしいし
天使の涙というカクテルもありそうですな。

じいめのオリジナルですと

星屑「スピリタス」(ポーランドのウォッカアルコール度96)

天使「マラスキーノ」(チェリーのリキュール)

涙「ホワイト・ペパーミント」(ペパーミントリキュール)

を秘密のレシピでシェークして・・・。

天使が住むという「セブンス・ヘブン」もどきで
ございます。

これは一発ノックアウトの強烈さが
ございますぞーっ。

じいや試飲をくりかえしてそれが死因になりそうでした。typhoon

投稿: キッド | 2009年11月 6日 (金) 05時12分

こんにちは~…

今、携帯からキッドじいやの記事を読んで
初めて50分遅れだった事を知りました(´・ω・`)
今日 録画を見るつもりだったのに~!
ショックだわ~…

でも、じいやさまのおかげで内容は何となく分かったわ(^o^;)
ありがとうです。

投稿: くう | 2009年11月 6日 (金) 13時18分

rouge❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀rouge

おいたわしや・・・。

まったく日本テレビの
巨人最優先にも困ったものですな。
しかし、キッドも
巨人ファンなので
さらに申し訳ない気分です。

今回はじいめといたしましては
徳本ママの昇天と
柊の発狂とで
かなり見応えのある回でございました。

本筋がまとまるのかどうかは別として・・・。
特にここまで中途半端だった
柊のキャラ設定が
要するに尋常じゃない人だった
というのが判明しスッキリしましたぞ。

日テレも再放送枠が一応あるので
緊急再放送があるとよろしいですな。
結構・・・要になる回でございましたし。
まあ、キッドは
あ、やっぱり・・・という感じでしたけれどもーっ。

投稿: キッド | 2009年11月 6日 (金) 14時07分

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