こうして私は第四の課員になったのです(尾野真千子)始発待ちのプリンセス(志田未来)偽者の巻(三浦春馬)
さて・・・困りましたな。もはや「小公女」ではなく少女時代の怨みで子供を虐待する中年女性と貧乏な中卒男女の恋物語と化している「セイラ」と・・・「暴力」ですべてを解決するくせにいろいろと説教したがるヤクザの親分みたいな傾向を示してきた「サムライ・ハイスクール」・・・。どちらもつまらないわけではないけれどキッドが見てスカッとする話かと言うと・・・そうではなくなってしまったなぁ。二つともベテラン作家でそつなくまとめているけれど・・・趣味とか主張のゴリ押し感がたまらなく漂ってきて・・・うざいのである。
第一に、志田未来と大後寿々花のムダ使いという「どうしようもなさ」が匂い立つ。
困ったもんだ。
それに対して「外事警察」はネチネチとハードボイルドです。
し、しぼりきれん。
で、『小公女セイラ・第5回』(TBSテレビ091114PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・金子文紀を見た。謎の学園・聖ミレニウス女学院の修学旅行のために一人で留守番を担当することになったセイラ(志田未来)だったがカイト(林遣都)に誘われ里帰りについていってしまう。修学旅行が終る前に学園に戻るつもりだったがアクシデントで終電をのりすごしてしまう二人。田舎の駅のベンチで夜明かしをした後でカイトはセイラの額にこっそりキスをするのだった。カイトはこのまま駆け落ちしようと誘うがまさみ(岡本杏理)に上高地のおみやげを買って来てもらう約束をしたセイラは拒絶する。のこのこと朝帰り状態のセイラを院長先生(樋口可南子)は問答無用ではりとばしセイラは屋上までふっとんだのである・・・いい加減にしとけよ・・・だってそういう話なんだろう。
関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー』
で、『サムライ・ハイスクール・第5回』(日本テレビ091114PM0915~)脚本・井上由美子、演出・狩山俊輔を見た。ステータス(社会的地位)というものがあるとして、このドラマがそれについての寓話であることは間違いない。ステータスには階級闘争がつきまとう。より高い地位を目指して競争社会が形勢される。地位はひとつには経済的な優位性で示される。経済的な優位を占めればたとえば高度で先進的な医療を受けられるというように生物学的な生存に有利であるし、また最新流行の生活を享受できるなどの楽しみも生じる。しかし、競争社会である以上、誰もがその地位を確保することはできない。安定した社会では富裕が相続されるように貧困も相続され、上流と下流の軋轢が生じるのが自然の成り行きである。第二次世界大戦後に出発した日本国は中流の厚みを増すことでこれを緩和し続けてきたが、世界的な下流階級の台頭により日本国の占めるうまみは相対的に減少し、中流の閉める割合は減少。ひとつかみの特権階級とほとんどの下層という幻想を大衆に抱かせるようになっている。このために学業において高級官僚となるか特技においてスターになるかしか「幸福」が約束されない若者たちの心はすさんでいくのである。このドラマはだから石川遼みたいな高校生プロゴルファー結城(小柳心)はちょい悪で、特待生だけれどJリーガーになれなさそうな高校生サッカー選手・岩永(賀来賢人)は小悪党として描かれる。志望大学合格率ランクDの小太郎(三浦春馬)は踏みつけられても耐える小心者だがある日突然、定規で人を斬り始めるのである。警察につかまったら・・・「心の中で別の誰かが目を覚ます」という人がいるのはこういうことなのだな。それでももっとも基本的なセーフティネットという名の家庭でぬるま湯につかっていた望月一家を父親リストラの嵐が襲うのである。まさにお家の一大事なのだが・・・それは戦国時代というより江戸時代の話である。ひとにぎりの異常者のために社会で子供を育てるなどという恐ろしい発想をする与党が支配する国家となった日本国の将来が非情に危ぶまれるのだな。
で、『外事警察・第1回』(NHK総合091114PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・吉村芳之を見た。NHKは木曜日に続いて土曜日もテロリストの影と戦う人々のドラマである。なんだかそういう気分なのか。「坂の上の雲」から明石元二郎の活躍を割愛することの反動なのか。それとも単純な謀略なのか妄想の膨らむところである。
そもそも日本放送協会とは情報機関の一種である。総務省が所管する法人であるので早い話がNHKの職員は全員、総務省のスパイであると言っても過言ではない・・・過言そのものだろがっ。
情報機関とは情報を収集し分析し総括する機関であるのだから報道機関はすべて情報機関なのである。
その職員がスパイと呼ばれないのは情報機関の上に秘密がつかないからであろう。
だからNHKの中に秘密情報機関がありその職員がスパイであるというのは過言にならないだろう。そういう機関があるのかどうかは秘密なのである。
人間には秘密がつきものである。家族に秘密にしていることなんてあるのが普通だし、倉庫を管理するものは秘密厳守を強要されてつい告発雪印乳業を解散に追い込んだりするわけである。みんなで実弾発射しにいって爆死したりして家族には内緒だったりするのである。つまり・・・警察にも秘密警察があってもまったく不自然ではないのだな。
で、それが外国からの脅威とかに敢然とたち向かうヒーローたちならエンターティメントなのである。もちろん、接待や慰安のために秘密にプールされた資金を守るための秘密を暴くのもそれなりにエンターティメントなのである。
しかし・・・警察職員が温泉に行くための積立金を守る秘密警察はみっともないが外国人テロリストと戦う秘密警察はなんだかかっこいいのである。
もちろん・・・汚れ仕事であるのでそれを誰もがかっこいいとは思わないのがミソなのである。
人間は泥縄・・・泥棒を捕まえてから拘束するための縄をなう・・・を愚かと思うわけだが、一方で他国からの侵略を防衛するための武装を無駄と決め付けたりもする。
100万人を殺そうとしているテロリストを射殺すれば人殺しとののしることも辞さない。
なぜなら・・・100万人は殺されていないし、テロリストは殺されたからである。
結局・・・すべては妄想の戦いである。100万人を救うために一人を殺す人々にも苦渋はあるのだろうか。おそらくあるものは沈黙し、あるものは苦しみにたえ、あるものは命を軽視する哲学を身につける。人それぞれなんだな。
そのあたりのことを・・・警視庁公安部に外事第三課までしかないにもかかわらず存在する外事第四課はそのどす黒い姿を見せることで訴えるのか。
「この国にテロの脅威はない」といい続ける人々は「今もまだ消息の分らない拉致被害者は存在しない」と言っているのと同じなのである。それはつまり某国のスパイであることを告白しているのと同じである。
四課・主任・住本(渡部篤郎)はターゲットを徹底的にマークする。ハム(公安)の刑事である。彼が追い求めるのはテロリスト・fish(正体不明)・・・。それにつながる外交官ラモン(エディ・サイトウ)の家族を盗撮し、盗聴し、追尾して監視する。ラモンに国外に持ち出し禁止の機密を売ろうとする町工場の経営者の谷村(田口トモロヲ)の家族を盗撮し、盗聴し、追尾して監視する。彼らのプライバシーは国家の保全の大義名分のためには存在しない。
住本の部下たちの任務は神経をすり減らす仕事だ。彼らには秘密が命取りなのである。
五十嵐刑事(片岡礼子)が配置転換を願い出たために・・・住本は捜査課の刑事だった松沢陽菜(尾野真千子)をスカウトする。
就職に際し「親友が犯罪にまきこまれた傷ついた」ことを警察への志望動機としていたことをウソだと知っていたからである。「親友は単なる知人」で「彼女は傷ついていない」・・・そういう臨機応変さが求められるビジネスなのだった。
彼らは破滅にむかう犯罪に誘惑される谷村を黙って監視する。
そのことに後ろめたさを感じる陽菜だったが・・・ついに谷村に忠告することはできなかった。
谷村を破滅させるためにそっと背を押した住本は子飼いの工作員・架空のファンドの男(陰山泰)に報酬を届けるのだった。
こうして陽菜は汚れた世界に片足をつっこんだのだった。
家庭に戻った住本には妻(奥貫薫)と娘(稲垣鈴夏)がいる。もちろん彼の家族が盗撮され、盗聴され、追尾され監視されていることは言うまでもない。
関連するキッドのブログ『山田太郎ものがたり』
月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)『相武紗季と上野なつひの1969年のオヤジと僕』(TBSテレビ)・・・絶対彼氏コンビの刺客だ。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
そして住本を追尾し監視しているのは、スクランブルスーツを来た住本その人だった……。というような『暗闇のスキャナー』日本翻案版(それもゴールデンタイムで)も、『JIN -仁-』の視聴率的成功を見ていると、できない話じゃぁないような。
投稿: 幻灯機 | 2009年11月15日 (日) 22時20分
そうですねえ。
「仁」ができるならば
なんでもできるじゃないか・・・
というパワーがございますな。
しかし・・・なかなか・・・
こういう成功が・・・
仇花になることは多いのですな。
最近だって「七瀬」もあったし
「スピカ」とか
「ゴーフレ」とかも
あったわけで
全部惨憺たる結果だったりするわけで
・・・全部「木8」じゃないか。
まあ・・・ディック翻案を
日本でドラマ化するようになったら
うれしいことこの上なしです。
アニメじゃなくて実写なら・・・
最高ですけどね。
そういう意味で
キッドは「キューティーハニーTHE LIVE」を
高く評価するのですな。
あれはあなたの活躍を見ているのはあなたの世界だから。
投稿: キッド | 2009年11月16日 (月) 00時14分
敵を騙すには味方から
そして「正義」=「国益」のためには手段を選ばない。
これぞ、この部署が「ウラ」と呼ばれる所以なんでしょうね。
こんなのがオモテに出たら
確実にマスコミに叩かれますしねぇ ̄▽ ̄
渡部さんの刑事役というと
ついつい「ケイゾク」が思い浮かんできます。
たしか、この時は元公安って設定でしたね。
でもって、その時、真山を調査していた役を
演じてたのが今回、住本の部下になっている
渋川清彦さんってとこにちょっとした平行世界を
感じさせてくれます。
ちなみに私は尾野真千子さんは可愛いと思います(〃▽〃)ゞ
投稿: ikasama4 | 2009年11月16日 (月) 22時24分
「外事警察」はネタとしては
「相棒」レベルですが
渡部といえば真山とも言うべき
当り役を彷彿とさせ
KEEこと渋川清彦まで
登場させるとは
泣かせる味を出してます。
関係ありませんが
映画「実録・連合赤軍あさま山荘への道程」で
渋川が演じるのは梅内恒夫。
赤軍派の活動家で生死不明の男。
森永(渋川)もそのうち
消息不明になったりして・・・。
まあ・・・公安の外事なんて
妄想的には忍びそのものでございますので
痺れるほどにそそられるドラマでございました。
アンタッチャブルには描けない
本当のアンタッチャブルに
限りなく接近してもらいたいものですな。
尾野真千子は
限りなく
リアルな感じの女優さんで
存在そのものが
かわいく感じるのでございますよね。
まあ・・・真山にかかれば柴田も
ただの変な女でございますからねぇ。
ものすごい言われようでしたが
キッドも充分に
注意を魅かれるのでございます。(*´Д`)
投稿: キッド | 2009年11月16日 (月) 22時49分
>そういう意味で
>キッドは「キューティーハニーTHE LIVE」を
>高く評価するのですな。
いーんぷっと、いーんぷっと、ちぃ覚えた。楽天レンタルで借りました。ていうか2007年にウチのほうでもネットされていたのに迂闊にも観てなかった……ていうか、山本彩乃はイイなぁ……じゃなくて、とにかくまぁキッドさんに「劇薬」情報もらってしまったなぁ(笑)。
投稿: 幻灯機 | 2009年11月29日 (日) 22時51分
ふふふ・・・まだ見てないなんて・・・
いいなーっ、これからアレとかアレも見れるなんて。
ちなみにキッドの第1話のレビューはこちらです。
http://kid-blog.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_58f1.html
もう・・・メイン脚本家の
ジュブナイル魂に
敬服しましたな。
いつも心にセクシーなアンドロイドを!
それがキッドでございますから~。
投稿: キッド | 2009年11月30日 (月) 01時36分