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2009年12月31日 (木)

リトル・レッドは冒険がお好き(上野樹里)日本民族は自滅がお好き(黒木メイサ)

赤頭巾ちゃんことリトル・レッドの日本語版が上野樹里の吹き替えである。なにやらせても上手いよな。オリジナルの声優は「プリティー・プリンセス」のアン・ハサウェイ。ティム・バートンの新作『アリス・イン・ワンダーランド』の白の女王である。そういう連想では「リアル・クローズ」を上野樹里が主演していたら・・・という妄想が膨らみました。

今年、最後のレビューがアニメ映画の二本立てになるのは・・・まあ、声優対決なのであるからなのだが・・・米軍兵士ベクシルの黒木メイサはかわいそうな感じがする。基本的にセリフがひどいのである。まあ、シナリオ全体もひどいのだが。こんなものによく金だすよな。

で、『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!? (Hoodwinked)(2006年公開)』(テレビ東京091231AM0325~)脚本・監督・コリー・エドワーズ(他)を見た。この手の日本語版はベースのギャグが翻訳不能だったり、つい面白いつもりでつまらないことを言ったりして難しいのだが、この作品に関する限り抑制されたいい日本語版だったと思う。

話は童話「赤頭巾ちゃん」をベースにした裏話という趣向である。赤頭巾ことレッド(上野)がオオカミ(加藤浩次)に襲われ間一髪のところを木こりに救われる・・・ところで動物の森の警察が介入。この事件が森を騒がす「お菓子のレシピ連続盗難事件」の真相に迫っていくという展開となる。事件を解決するのは名探偵カエルのニッキー(ケンドー・コバヤシ)である・・・こうなるとお分かりのようにドタバタ喜劇である。

中盤はアンブローズ・ビアス「ザ・ムーンライト・ロード」や芥川龍之介の「藪の中」よろしく、事件関係者が一つの事件についてそれぞれの立場から証言するというスタイルとなる。

しかし、事件で嘘が語られることはなく、それぞれの話の中で起こる突拍子もない出来事、たとえば雪崩の発生とか、空中浮遊するレッドの祖母とかが・・・実際に起きた出来事だったことがパズルのように説明されていくところが楽しいのである。

その中で、オオカミが新聞記者だったり、木こりが歌手志望の串かつ売りだったり、レッドの祖母が有名なプロ・スキーヤーだったりと奇想天外な事実が判明していくのだ。

その中でレッドは祖母に騙されていたことに気がつきブルーになったりもする。

最後はすべての証言の中に何気なく登場する森のかわいい小動物が極悪の真犯人であることがわかり、アクションに突入である。

子供が見て・・・多くのものが面白いかどうかは別としてキッドはきっと大満足できただろうと思える傑作でございました。

まあ・・・あなたが「だまされた」と思ったらそれは趣味の違いというものですな。

関連するキッドのブログ『怪物王女

で、『ベクシル 2077日本鎖国(2007年公開)』(TBSテレビ091231AM0033~)脚本・監督・曽利文彦を見た。「リトル・レッド」はアメリカ映画だがこちらは日本映画である。どちらも素晴らしいCGのテクノロジーで見せてくれるのだが・・・こちらはその技術の素晴らしさに最後まで引きづられて・・・だから・・・なんだというのか・・・というウルトラスーパーデラックスゴールデン金返せ的駄作アニメに仕上がっている。

公開の年から60年後の近未来、日本は鎖国し、その10年後、米軍が侵入してみると一人のマッド・サイエンティストによって機械化ウィルスに犯された日本人は滅亡していた・・・という話である。この監督、映像クリエーターとしては素晴らしいので、オリジナルより原作ありのものを手がけた方がいい・・・と実感できる作品である。この後、「ICHI」そして「TO」と続くのだが、よりオリジナル色の薄まるに従ってなんとか鑑賞に耐えうるものになっているのがその証拠である。つまり、デビュー作「ピンポン」が一番マシだ・・・ということだ。

ただし・・・ロボット工学に対する国際規制に反発して情報鎖国とか・・・一企業にたやすく支配とか・・・そのために日本人だけ滅亡とか・・・お笑いとしてはいけてる部分もあります。

だけどそれを作品としてまとめる力量が不足しているのですな。

その象徴が・・・特殊部隊員ベクシル(声優・黒木)、レオン(谷原章介)、日本人レジスタンス・マリア(松雪泰子)の三角関係の描き方。

米国人レオンと刑事マリアはかっての恋人同士。しかし、突然の日本の鎖国政策でレオンは国外追放になる。

その時、マリアはレオンとともに渡米しようとするが・・・何者かの妨害でそれができない。

おそらく・・・その何者かとはマッド・サイエンティストでマリアが国際条約違反で逮捕したが起訴を逃れた上にいつのまにか日本国の独裁者となったキサラギ(森川智之)の意趣返しであった・・・ということになるのでしょうが・・・さらに言えばキサラギはマリアに偏執的な片思いをしているとも考えられる筋立てです。しかし・・・それを描いていない。

そして・・・レオンは日本に置き去りにしたマリアを思いながらベクシルと深い関係になっていく。ベクシルはレオンの志願の理由を知れば思い悩むところがあるはずですが・・・それを描かない。

何よりも・・・日本を完全に支配できるものがいるとすれば世界を完全に支配することも容易なのになぜそれをしないのか・・・という重大な齟齬があります。

まあ・・・アメリカに「トレマーズ」があるなら日本には「野づち」(Ⓒ水木しげる)がある・・・ということを言いたかっただけなのかも・・・それか「銀河鉄道999」へのノスタルジックか・・・。

まあ・・・シナリオの酷さを我慢すれば凄い映像で楽しめるのかもしれません。

キッドはまた見たいかと言われたら・・・そんな時間があったら「昔のガンダム見るよ」と答えます。

関連するキッドのブログ『任侠ヘルパー

まあ・・・今年最後の記事がガッカリ作品というのも・・・運命というものだと考えます。

結局・・・素晴らしい作品に出会うためには駄作を見続けるのが一番ですからね。

それでは皆様・・・よいお年を・・・。

金曜日に見る予定のテレビ『相棒・元日SP』(テレビ朝日)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年12月30日 (水)

物理学者(福山雅治)VS数学者(堤真一)VS愛の女刑事(柴咲コウ)

堤真一で数学者といえば「やまとなでしこ」(2000年)の中原欧介が思い出されるわけだが、今回は石神哲哉である。特徴はより落ちぶれた感じになっていることだ。

その隣人を演じるのが花岡靖子(松雪泰子)で・・・松雪・堤となると「ビギナー」(2003年)の司法修習生カップルが懐かしい。二人は変則的な共犯者になるのである。

今回、ガリレオこと湯川学(福山雅治)が挑むのは親友・石神の用意した犯罪トリック。

問題そのものはタイトルが暗示する通りの展開だが・・・モラル的には結構綱渡りの部分がある。

特に罪なきものを殺したことについての釈明がやや弱い。

まあ・・・愛のためにホームレスの一人くらいは殺してもいい姿勢なのだというならそれはそれで清々しいですが。

で、『容疑者Xの献身(2008年公開)』(フジテレビ091229PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、監督・西谷弘を見た。物理学者・湯川を探偵役とする「ガリレオ」シリーズの劇場版である。冒頭でレールガン(電磁投射砲)が犯罪の凶器として使用されたことを実験で証明するガリレオ。

コメンテーター(石坂浩二)「まあ、厳密に言うと磁力加速による運動量保存の法則に従った衝突弾発射銃ということもできます。まあ・・・文系の方はなんとなく凄いと感じればOKでしょう」

ニュース・キャスター(八木亜希子)「一応、早稲田の哲学科出てます」

コメンテーター「八木さん、かねてよりファンでした」

ニュース・キャスター「私のどこが好きなんですか?」

コメンテーター「・・・別に」

大爆発でつかみはOKである。

ここからは・・・主人公・ガリレオとヒロイン・内海刑事(柴咲)は後退して・・・犯人グループの愛の軌跡が描かれていくのである。

一人の高校の数学教師が登場する。ガリレオの同窓生でガリレオが天才と認める男である。しかし、家庭の事情で数学者としての成功は叶わず・・・鬱屈した日々を送っている。師走の風がその男・・・石神を冷たく包む。

石神が通う弁当屋の店長はあきらかに美人である。夜の接客業で金を貯め弁当屋を開いたしっかり者なのだ。花岡靖子(松雪)である。

言葉では示されないが・・・靖子に寄せる石神の好意は仄かに匂いたつ。

そこへ招かれざる客がやってくる。靖子の元夫である富樫(長塚圭史)だ。

靖子がローティーンの娘の美里(金澤美穂)と二人で暮らすアパートの一室に乱入する富樫。富樫は美里とは血縁がなく・・・過去に何か陰惨な出来事があったことが暗示される。

「ヨリを戻そう」という富樫は健気な母子を食いつぶそうと舌なめずりをしているのである。

母親は小銭をやって追い払おうとするが、娘は背後から鈍器で男に殴りかかり抹殺の姿勢を示す。しかし、致命傷を負わせることができず、男は逆襲に転じ娘に暴行を開始する。娘の悲鳴に逆上した母はコタツのコードで男の首を絞めにかかる。男は抵抗するが娘が母に加勢して・・・ついに息の根を止められるのである。キッドが裁判官なら母娘は無罪の上に表彰したいところだが・・・場合によっては殺人罪を宣告される状況だった。

その地獄絵図を耳をすまして透視していたのが隣室の石神だった。

石神は・・・部屋を出ると・・・母子の部屋のドアをノックする。

石神「ゴキブリを殺したにしては大騒ぎでしたね・・・」

靖子「私・・・自首します」

石神「いや・・・こいつはゴキブリ以下だ・・・そんなものを殺したって罪には問われません」

そして・・・まもなく・・・河川敷では草野球のチームが身元不明の死体を発見するのだった。

男は顔を砕かれ、指紋を焼かれていたが・・・盗難届けの出ていた放置自転車の指紋と盗難届けの出ていた簡易宿泊所の鍵の指紋が一致し、宿帳から・・・住所不定無職の富樫某であることが判明する。

捜査にあたった警視庁の刑事・草薙(北村一輝)と所轄の刑事・内海(柴咲)は富樫の経歴から元・妻の靖子を割り出し・・・その部屋を訪ねる。

刑事の勘が靖子が犯人であることを告げていたが・・・靖子と美里の母子には鉄壁のアリバイがあるのだった。

聞き込みのために隣室を訪れた草薙は石神が面識のない同窓生であることを知る。刑事の勘はこの男も臭いと告げていた。草薙の刑事の勘もまた問答無用レベルなのである。

草薙はさっそく親友のガリレオに相談に行く。もちろん・・・ひそかにガリレオを愛している内海刑事も同行するのである。

万年助手の栗林(渡辺いっけい)をはじめとした湯川ゼミの学生たちは健在だった。ただし、森英太(伊藤隆大)はこれが遺作である。彼以上の瀬川悠人が考えられるだろうか。合掌。

ガリレオは草薙から石神の存在を知り・・・「彼が関与しているなら・・・捜査は難航するだろう」と推測するのだった。

内海「でも殺人事件ですよ・・・」

ガリレオ「数学よりも殺人の方が簡単だからな・・・しかし、私の知る限り彼はそんな愚行はしない男だ」

内海「でも人間は変わります」

草薙「それに弁当屋の店長は美人だしな」

美人と聞いて事件に興味が湧くガリレオだった。

ガリレオは十数年ぶりに石神と再会する。石神は「君はいつまでも若々しくて羨ましい」と語り、ガリレオは石神が恋をしていることを推測するのだった。

・・・誰にもとけない問題を作るのとそれを解くのとではどちらが難しいか・・・ただし、答えは必ずあるものとする・・・

ガリレオはすでに石神の犯罪を見抜き・・・石神の行動を見守る態度である。

ガリレオ「友人として見守っているのだ」

石神「ボクには友人はいないよ」

そして、突然、雪山遭難のサービスである。万歳だな。

レギュラー・シーズンでは運動し続けるガリレオだったが・・・劇場版では石神に体力で劣るところをさらけ出す・・・。

真相にたどり着いたガリレオを闇に葬るチャンスを与えたガリレオだったが石神は躊躇なく・・・ガリレオを救助する。

やがて、第三の男、工藤(ダンカン)が現れる。工藤は靖子の昔馴染みであり、靖子も工藤との交際を開始するのだった。

それを見つめる石神の目は嫉妬に燃えるようでもある。

靖子はそれとなく石神の下心を知った気になり、工藤との交際に気が咎める。

冷徹な心を持つ娘の里美はそういう靖子のふしだらさを不実であるとなじる。

・・・だけど、アタシは自由恋愛がしたいんだよ・・・石神さんとつきあうんじゃ・・・縛られるじゃないか・・・

かって不実な男と結婚したことで自分や娘がどんな目にあったかを忘却している実の母に軽く失望する里美だった。

お茶の間がすっかり・・・石神は嫉妬で狂ったとミスリードされたところで・・・石神は最後の手紙を靖子に渡す。

一通はストーカーを偽装するために捏造した証拠の脅迫文。

一通は真相を語るラブレターだった。

そして・・・石神は富樫殺害犯として自首するのである。

あくまで靖子を犯人と疑う内海刑事はガリレオを追及する。

内海「こんな終わりでいいの・・・」

ガリレオ「彼は美しい犯罪をしたのだ・・・それを汚す権利は誰にもない」

内海「犯罪はすべて汚いのよ・・・そして犯罪者を捕まえるのが私の仕事です」

ガリレオ「それは・・・友人としてのアドバイスなのか」

内海「・・・こ、恋人だっていい・・・」

ガリレオ「待て・・・すべて話す」

石神はガリレオとの立場の差にこだわった。

石神「警察のルールを無視してボクとの会見をセッティングするとは・・・君の立場は凄いのだな」

ガリレオ「君は私にヒントを出した。それは誰かに愛を語りたかったからだろう。君は天涯孤独になり、機会を逸したことで疎外され・・・ついに自殺を決意した。しかし、引越ししてきた美人店長に会い生きる希望をとりもどしたんだ。それは献身的な愛と言えるのだ。タイトルが容疑者の献身である以上・・・単なる共犯者から主犯になった君こそが献身しているわけだ・・・君は愛に狂ったストーカーを偽装しているように見えて・・・本当に愛に狂っているのだろう・・・君にとって美人店長が全てであり、それ以外のものは自分も含めて無価値と考えるほどに。君は数学を愛するように彼女を愛したのだ」

石神「物理学者が物理を愛するようにな」

ガリレオ「君は美人店長のアリバイを偽装しているようにみせかけて・・・実は死体のすり替えを行った・・・彼女たちに死亡時刻の完璧なアリバイがあるのは死体が彼女たちの殺したものではなかったからだ。あれは一体誰の死体なんだ」

石神「それを語ることには何の意味もないが・・・君の熱意に免じて教えよう。それは富樫と同様にボクにとっては何の価値もない誰かさ・・・もちろん、ボク自身でもよかったのだが、それでは真犯人がいなくなってしまうからな・・・ボクは子供が楽しむために弱いものを殺すようにボクにとって無価値な誰かを犠牲にしたのだ」

ガリレオ「たとえば・・・誰も捜索願いを出さない家を失った野生人間とかか」

石神「口に出すと弊害があるというのはこの社会の鉄則だろう」

ガリレオ「いいのだ・・・これは本格推理ではなくて・・・モラルの問題なのだから」

石神「とにかく・・・君の言う別の死体が発見されない限り・・・ボクは真犯人として裁かれるしかないのだよ」

ガリレオ「申し訳ない・・・すべてを美人店長に打ち明けた」

石神「友達甲斐のない奴だ」

石神にはない・・・心の呵責に耐えかねた靖子。

靖子「すみません・・・でも・・・あなただけに罪を背おわせて・・・私たちが罪を逃れるなんてできません・・・一緒に罪を償いたいのです」

石神「ああ・・・ああ・・・あああああああ」

内海「単純に死体をどっかに埋めとけば案外迷宮入りになったんじゃ・・・」

草薙「おい・・・一番言ってはいけないことを・・・それじゃ・・・勤務表の2日欠勤が意味なくなるだろう・・・第一・・・捜査が始まらないと俺たちの出番もなしだぜ」

弓削(品川祐)「俺のボケである金融暴力団がらみのガサ入れも消滅だよ」

内海は思う。愛の数式は難しい。1+1=2なら、おそらく幸福。1+1=1なら同性愛。1+1=0なら無理心中。私はまだ+や=を手に入れることができない・・・無関係の数字なんだわ。

四色定理は常に隣接する領域と色違いである地図を作るためには四色で充分だという解決された問題である。

人間も四色で足りる・・・童貞はシロで処女はピンク、刑事は赤で犯人はクロだ。

処女の刑事は・・・何色なの?

ち、ちがうもん・・・あ、あたしは処女じゃないーっ。

とにかく・・・美しい犯罪の材料として処理されたホームレスの魂の冥福を祈りたい。

認知症傾向者のための石神の犯罪メモ

①某日、失意のために自殺を決意、実行直前に靖子に出会い恋に墜ちる。

②靖子・美里母娘が富樫を殺害。アリバイ工作を進言。

③一日目の欠勤日、ホームレスを殺害、死体を富樫に偽装する。母娘は映画に行く。

④二日目の欠勤日、富樫の死体を解体し河川水中に遺棄。

⑤ホームレスの死体を発見した警察は身元を富樫と誤認。

⑥ホームレスの死亡推定時刻から母子のアリバイは確定。

⑦母子に対するストーカー行為を偽装。

⑧富樫殺害犯として虚偽の自首。靖子にラブ・レターによる愛の告白。

⑨富樫の献身に感動した靖子に泣かれてもらい泣き。

⑩靖子の富樫殺害自供後、ホームレス殺害および富樫の死体遺棄を自供する。

関連するキッドのブログ『ガリレオ

妄想抜きで数式的あれこれを語ってもらいたい方は例によって天使テンメイ様が貴重なレビューをなさっているので推奨しておきます。

本作品の正しい感想はエリお嬢様のレビューを参照なさってくださりますように。

上映当時のレビューはくう様をご覧下さりますように。

ホームレス(鈴木卓爾・その他)の配役を知りたいあなたはシャブリ様の容疑者χの献身へ。

木曜日に見る予定のテレビ『続サラリーマン忠臣蔵』(テレビ東京)『ガキの使いやあらへんで大晦日スペシャル』(日本テレビ)

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2009年12月29日 (火)

トリック貧乳誕生(仲間由紀恵)ひとりかくれんぼ(谷村美月)厄災の天使(アナソフィア・ロブ)

ものすごい深夜だったな。「永遠のマリア・カラス」「トリック」「ダメージ」「ライアーゲーム」「リーピング」の横並びである。どれをとってもそこそこ面白いのである。

まあ・・・恒例の年末ホラーの流れから・・・ここは「リーピング」である。

ただし、「トリック」の最初の話も捨てがたい。クレジットの塚本璃子が懐かしいしな。

結局、谷村美月、成海璃子、アナソフィア・ロブと美少女たちの梯子になるのである。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「はぐれ刑事純情派・最終回スペシャル」17.3%(がんばったな~)、「坂の上の雲」↘12.9%(司馬遼太郎の原作も歴史も踏みにじればそうなるわな~)・・・以上。

で、『物呪~モノロイ~』(日本テレビ091228PM1149~)構成・折戸泰二郎(他)、演出・黒川高(他)を見た。日テレ版の「ほんとうにあったこわい話」である。特徴を出すために「もの」にかかったのろい・・・という趣向にしているが・・・まあ建前なのでグダグダである。実は物は物の怪(もののけ)というように妖怪変化を示す言葉でもあるが、モノとはタマの対義語的要素もある。タマはタマシイのタマである。モノはその入れ物を示している。また、魂には和魂、荒魂があるわけだが、和魂をタマとすれば、荒魂はモノであるという発想もある。つまり、モノとは本来悪霊を指すのだな。

ドラマだけのオムニバスでは持たないと考えたのか擬似ドキュメンタリー展開が付加されている。全体をナビゲーターとして成宮寛貴が括るという形式である。まあ・・・基本といえば基本だが・・・ホラー・ドラマを楽しみたいと思う視聴者には煩わしい。フジテレビだって「ほんこわ」より「トリハダ」の方がスタイリッシュで楽しめるのだと感じるキッドなのである。

今回は①「ひとりかくれんぼ」②「13階段」③「おいらん淵」の三篇で構成されるが、「13階段」は島田秀平のネタだし、「ひとりかくれんぼ」は西田麻衣がドラマネタを再現で「ほとんどなにもおこらない」というグダグダ加減。「おいらん淵」は一応、山梨県甲州市の「花魁淵伝承」を元に地元でのインタビュー構成になっており、まあ・・・心霊スポット紹介要素や・・・ネタとしての「おいらんのかんざし」の遺物があったりしてそこそこ成立している。

おいらん淵の怪現象に怯えるタクシー運転手(田中要次)もいい味だしてました。

「ひとりかくれんぼ」は深夜部屋にいる率ナンバーワンと言える谷村美月の一人舞台である。

午前三時に家に一人でいるものが、ぬいぐるみに米と自分の爪をつめ、風呂場で鬼として風呂場でぬいぐるみを包丁で刺し、今度はぬいぐるみを鬼として隠れるという・・・ある意味なにやってんだ的一人遊び。これをネットを利用して中継するというのが流行しているという設定である。

自殺した友人から「ひとりかくれんぼ」を試してと遺言された女学生(谷村)はなんとなくやってみる。生前、友人に素っ気無かったことが心のとがめになっているのである。一人暮らしの個室だと味気ないと考えたのか・・・両親が留守で一戸建てに一人という設定がわざとらしい。儀式は単調に進むが・・・隠れる側になってから次々と恐ろしいことが・・・。

まあ・・・ぬいぐるみによる交霊というのがかわいいっていえばかわいい。

それにしても・・・谷村・・・あえてこういう仕事ばかりなのか。

まあ、貴重といえば貴重だけどな。

関連するキッドのブログ『トリハダ

で、『朝までトリック』(091229AM2~)脚本・蒔田光治(他)、演出・堤幸彦(他)である。・・・まあ、なんどめだ・・・なのであるが。第1シリーズのepisode1~3の一挙オンエアはなかなかにお徳である。「母之泉」篇をまるっと見れるのである。ある意味三時間ドラマなのである。何より、2000年の作品である。山田奈緒子(仲間)も上田次郎(阿部寛)も実に初々しいのである。そして、このシリーズの主題である「貧乳と巨根のラブ・コメ」が最初から存在していたことが確認できるのである。

矢部警部補(生瀬勝久)の部下も金髪こと石原(前原一輝)で「あにぃ」が聞けるのである。「劇場版」では薄倖の美少女役だった成海璃子がこちらでは少女時代の山田でキャスティングされているのもファンには嬉しいのである。

そして・・・実は未だに解決されていない父・剛三(岡田眞澄)と本当の超能力者の関係・・・一応は娘に対する父の配慮という謎解きはされている・・・を墓場に持っていってしまった剛三のフリも見ることができるのである。

そして・・・インチキ超能力者と山田・上田コンビの最初の相手はビックリ・マザー菅井きんというのがまた楽しいのである。

そして・・・救いを求める人たちが愚かにも救いが嘘だと見破る二人を憎むという救いようのない苦い結末もまた心弾むのだなあ。

とにかく・・・これが傑作シリーズの原点であることは間違いないのだ。つまり、この三時間は傑作なのである。エヘヘ。

関連するキッドのブログ『アンタッチャブル

で、『リーピング(The Reaping)(2007年公開)』(テレビ東京091229AM0335~)脚本・ケイリー・ヘイズ(他)、監督・スティーヴン・ホプキンス、製作・ロバート・ゼメキス(他)を見た。「エルム街の悪夢5」とか「プレデター2」の監督である。そつなくB級ホラー映画になっています。

環境化学者のキャサリン(ヒラリー・スワンク・・・「ギフト」のヴァレリー)はかっては宣教師だった。しかし、布教のために訪れたスーダンで現地人の狂信者により娘と夫をいけにえとして殺害されるという衝撃的な過去を持っていた。

その苛酷な現実により、信仰を捨てたキャサリンは「宗教的な匂いのする環境問題を科学的に処理する迷信ハンター」となったのである。

今日も助手のベン(イドリス・エルバ)をつれて「チリで起こった神の奇跡」を「何が腐らない死体よ・・・工場がら有毒な廃液が垂れ流されて腐敗が進行しないだけなのよ」と一刀両断なのである。

しかし・・・そんなキャサリンに昔の宣教師仲間のコスティガン神父から連絡があり、死を招く悪霊ケールの呪いが預言されたことを伝える。キャサリンに死の危険が迫っているというのである。

もちろん・・・とりあわないキャサリン。

次の仕事はルイジアナ州の田舎町ヘイブンで起こった怪現象の調査だった。

川の水が赤くなったのだという。

依頼主である土地の名士・ダグ(デビッド・モリシー)はなかなかのハンサムで知的な紳士だったが、町には不穏な空気が満ちていた。

町外れに住む未婚の母の一家が凶事の原因だと・・・私刑を始めかねない雰囲気である。

迷信深い辺境の人間を心底憎むキャサリンはたちまち・・・未婚の母の娘で実の兄を殺したと噂される呪われた少女ローレン(アナソフィア・ロブ・・・「チャーリーとチョコレート工場」のヴァイオレット)に興味を抱く。

しかし・・・調査に入ると事態はそれどころではない異常さを示していく。

川は真っ赤に染まり・・・それは人間の血液による染色だった。

ベン「どんだけの人間からしぼりだすと・・・こうなるんだ・・・」

キャサリン「ざっと30万人分ってとこかしら・・・」

続いて・・・川からは巨大なカエルがあふれ出す。

ベン「川が赤く染まり・・・魚が死に・・・そしてかえるの登場か・・・まるで十の災いがおっぱじまるみたいだ」

キャサリン「バカなこと言わないで」

十の災いとは「旧約聖書・出エジプト記」に示されるイスラエルの神がエジプト人に与える神罰である。

出エジプト記はエジプト人の奴隷となっていたイスラエルの民が指導者モーゼを得て、エジプトのファラオ(王)の支配から逃れ、約束の地カナンへと民族大脱出する物語である。

この時、イスラエルの神はモーゼに味方し、エジプト人に様々な災いをもたらす。

それは次のようなものである。

①ナイル川の水を血に変える

②カエルの怪物を上陸させる

③吸血虫(ぶよ)を放つ

④吸血虫(あぶ)を放つ

⑤疫病で家畜を殺す

⑥人に腫瘍を生じさせる

⑦雹をふらせ作物を枯らす

⑧イナゴ大発生

⑨エジプトを暗黒で包む

⑩神の矢で長子を皆殺し

全能の神の異教徒に対するやりたい放題である。

まだまだ・・・危機感のないキャサリンはダグの豪邸に宿泊。妻を亡くしたダグと意気投合して一夜をともにする。しかし・・・その時からキャサリンは悪夢の世界にさまよいこむのである。

スーダンの砂漠で起きた・・・恐ろしい飢饉・・・そして生贄の台に横たわる変わり果てた愛娘の姿。

いつしか・・・娘の姿は汚れた服を着て彷徨う謎の少女ローレンと重なっていく。

そして・・・街では家畜が原因不明の病で続々と死に始め、吸血虫(小)、吸血虫(大)が出現・・・いよいよ十の災いが再現されているような状況になっていく。

ベン「こりゃ・・・神の仕業かな・・・」

キャサリン「よしてよ・・・紀元前のエジプトでは・・・ナイル川に有毒な微生物が異常発生・・・魚が死んで、生態系のバランスが崩れ蛙が大量に発生し、その死骸から虫がわき、病気を流行させ、それに砂嵐が吹き荒れて、イナゴが飛来・・・天変地異の連続攻撃があった・・・というだけよ」

ベン「まあ・・・神の思し召しだろうが自然災害だろうが・・・遠慮したいもんだ」

しかし、雹が降り人々が腫瘍によって次々と死に始めると・・・街の人々は呪われた少女を殺すために立ち上がる。

そうはさせじと先回りするキャサリンだが・・・ローレンの母には異常を感じる。

キャサリンは相手にタッチするだけで過去をリーディングする霊能力が発現し・・・ヘイブンの呪われた過去が明らかになっていく。

ローレンは実の娘にも襲い掛かる凶暴さを示す。

コスティガン神父は「魔王の再来」をキャサリンに警告するが超自然的火災で焼死してしまう。

ローレンは魔王なのか・・・キャサリンが思いかけたとき、ローレンを殺しに街の人々がやってくる。しかし、同時に蝗の群れが襲来するのである。街の人々は蝗に撃退されてしまう。

ついに・・・ローレンを葬る決意を固めたキャサリン。しかし・・・ローレンに触れると新たなる真相が明らかになる。

ローレンの母も・・・ローレンの兄も・・・悪魔崇拝者だったのである。

兄は妹を殺そうとして初潮を迎えたローレンの血によってミイラ化したのであった。

その頃、ベンは逃げ込んだ地下室で膨大な数の子供の死体を発見する。

その直後、何者かに殺害される。

キャサリンの前に現れたダグはローレンを殺すように唆すが・・・キャサリンはすべてを理解していた。

キャサリン「報い(The Reaping)を受けているのね」

ダグ「昔・・・ヘイブンの街は亡びた・・・生き残った人々は神を呪い・・・悪魔主義者となったのだ・・・」

キャサリン「十の災いは神の行い・・・それを為すローレンは悪魔ではなく天使」

ダグ「あんたも・・・娘を奪われて神を呪ったろう・・・」

キャサリン「いいえ・・・私が憎んだのは人々の愚行よ・・・」

やがて、天からは燃える流星が飛来し・・・悪魔主義者を街ごと焼き払うのだった。

キャサリンもダグとともに業火に焼かれるが・・・天使ローレンはダグだけを焼き払う。

ヘイブンは亡び・・・生き残ったキャサリンとローレン。

キャサリン「これから私たち二人は家族よ・・・」

ローレン「いいえ・・・三人よ・・・あなたは受胎している」

父親はダグである。キャサリンの胸に不安がよぎる。死んだ神父の不吉な預言を思い出したのである。

「亡びを免れ思春期を迎えた第2子は・・・悪魔の子となる」

だが・・・とローレンは思う。天使だろうと悪魔だろうと・・・子供なんてものはみな同じようなものなのである。そうでなければ母親なんてやってられないのだな。

どんな子が生れてくるのか・・・楽しみなのだった。

関連するキッドのブログ『デッドリー・フレンド

水曜日に見る予定のテレビ『リトル・レッド』(テレビ東京)『ベクシル 2077日本鎖国』(TBSテレビ)

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2009年12月28日 (月)

坂の上の雲の下の薔薇(菅野美穂)禁欲的な人でした(マリーナ・アレクサーンドロヴァ)

さて・・・いよいよ明後日の方向へ迷走を始めたこのドラマ。

墓の下で司馬遼太郎が、野沢尚が、そして無数の軍神たち、無名の英霊たちが歯軋りしている音が地鳴りのように聞こえてくる。

まあ・・・でも・・・何も語らないことよりはましだしな。

「自分は手も握りませんでした」と広瀬武夫(藤本隆宏)が弁明しても死人に口なしなのである。

まあ、アリアズナ・ウラジーミロヴナ・コヴァレフスカヤ(マリーナ・アンドレーエヴナ・アレクサーンドロヴァ)がものすごく美人なのでよしとするしかないのである。

一方で、国王の妻・閔妃と国王の父・大院君との権力闘争に発する内部抗争にたまたま一方に肩入れしていたというだけで「閔妃暗殺事件」を日本の陰謀であったと断定するような捏造は一体、誰の入れ知恵によるものなのだろうか。吃驚仰天である。だが・・・今もなお、日本国の中に何食わぬ顔をしてそういう工作員が紛れ込み、公共放送で嘘を垂れ流しにする現実がある・・・ということは結構面白いことなのだな。

いざとなったらフィクションですから・・・ですませるしな。

で、『坂の上の雲・第5回』(NHK総合091227PM8~)原作・司馬遼太郎、脚本・野沢尚(他)、演出・一色隆司を見た。とにかく、日清戦争のようなものが瞬きする間に終わり、日清戦争後に突入したわけである。心を鬼にして銃をとり故郷を思いつつ戦火に散った先人に敬意を払う気持ちはひとかけらも感じなかったわけだが。

この調子で日露戦争もやられたらたまらんな。

どうせなら、明治28年、凱旋した秋山好古(阿部寛)は四谷信濃町に戻り玄関で生れたばかりの長女を抱いて「パパでちゅよ~」と言えばよかったと思うよ。

歴史の教科書の年表式に言えば

明治27~28年(1894~1895年) 日清戦争

明治28年(1895年) 三国干渉(この場合の三国はフランス・ドイツ・ロシアである)

つまり、死にもの狂いで戦った日本が奇跡的な勝利を治めた直後に列強諸国は外交圧力によって戦争をなかったことにしたのである。

こうして日本が勝ち取った遼東半島は清国に強制返還された。

そして・・・明治30年、ドイツは膠州湾を占領(租借)。

明治31年、ロシアは旅順・大連を占領(租借)。

明治32年、フランスは広州湾一帯を占領(租借)。

ドラマの中で伊藤博文(加藤剛)の語る「軍事力を背景としない外交」がいかに虚しいものであるかが一目瞭然である。

陸奥宗光(大杉漣)「あなたはこわいお兄さんの煙草の路上ポイ捨てを厳重注意できますか・・・くはっ」(明治30年没)

陸奥の遺志を継ぐ小村壽太郎(竹中直人)は次なる年表上の出来事の予感に怯えながら「外交を背景とする軍事力」の獲得を目指す。

明治37年~38年(1904~1905年) 日露戦争

小村「誰も好意で優しくしてはくれない。英国も国益のために日本を利用する。日本も国益のために英国を利用する。そうする他はないのだ。かって英国は米国原住民(イロコワ族)をもって米国原住民(その他の部族)を駆逐した。インディアンは嘘つかない。白人はみな嘘つき。頭の皮はいで何が悪い・・・という程度では狡猾な白人に食い物にされるだけだ。しかし、日本人はそれでも英国人の手に乗らねばならない。というか乗せてもらうのだ。さもなくばロシアに骨の髄までしゃぶられてしまうのだから」

小村はシケモクを拾いながら考えるのだった。その結果が年表に次の項目を挿入させる。

明治35年(1902年) 日英同盟

だが・・・それはまだ先の話である。

つまり・・・ロシア・フランス・ドイツによってたかって労働の報酬を奪われた日本はイギリスにすがりつくしかなかったのである。外交官たちは必死の努力で「お役に立ちますから仲間にしてください・・・一人ぼっちにしないでください・・・誰か助けてください」とアピールするわけである。

涙ぐましいぞ。

日清戦争ではほとんど触れられなかったが・・・日本の勝利の原動力は密偵の働きによるところが大きい。特に陸軍は総力を結集して清の内情を探ったのだ。

もちろん・・・それは海軍も同様で・・・日露戦争に向けて諜報活動は活発になっていく。

真之(本木雅弘)もまた密偵の一人となる。

原作には次のような件がある。

・・・前略・・・

明治二十九年十一月、真之は「軍令部出仕」を命じられた。

「海軍軍令部諜報課課員に補す」

というのが、その辞令である。海軍で戦略・戦術の才能ある士官をえらんでこの任務につかせたのはむろんきたるべき大戦を予想してのことであった。

広瀬武夫に対しても同様である。

・・・中略・・・

ふたりの官歴を見ると

秋山真之 明治三十年六月二十六日米国留学仰せ付けらる。

広瀬武夫 明治三十年六月二十六日露国留学仰せ付けらる。

とある。おなじ日に発令されている。

・・・後略・・・

つまり、真之はアメリカに、広瀬はロシアにそれぞれが諜報員として派遣されたのだ。

真之はどちらかといえばアメリカが味方についてくれるかどうかを見極める任務であり、広瀬は仮想敵国潜入なのである。

さらに言えば真之はアメリカの海軍力を内偵しに行ったということになる。キューバをめぐる米国とスペインの戦争開始は時間の問題であると観測されていたはずであり、真之が米西戦争の観戦武官となったのはけして偶然とばかりは言えないのである。

米国が南北戦争を経て一国となったように日本も戊辰戦争を経て一国となった。

太平洋を挟んだ日米は国土の規模はまったく違うがどこか似ている側面を持っている。

それは・・・国家としての若さのようなものかもしれない。

そのために向学心が旺盛なのである。

近代的軍艦による海戦であった日清戦争は米国によって徹底的に分析されていた。

真之が観戦武官として米西戦争を研究したように、日清戦争も世界各国に観戦されていたのである。

米国は「日清戦争」の研究により、自国海軍の戦略・戦術を練り、無敵艦隊の伝統を誇る老舗のスペインを一蹴したのだった。

つまり、日清戦争をよく研究した米国がスペインを破った。

そして、今度は米西戦争をよく研究したものが勝利者となるのである。

それが日本なのか・・・ロシアなのか歴史的には明らかなのだが・・・ドラマとしてはこれからなのである。

この頃からただの秀才軍人だった真之は天才の片鱗を現していく。

一方、広瀬もまたロシアにおいて諜報活動を繰り広げるのだが、ロシア軍の情報を収集するついでにロシア海軍の将軍の娘と恋の花を咲かせたりしてジェームス・ボンド化します。

もちろん、ロシア陸軍についての諜報活動についてはこの後、好古正五位陸軍少将が明治36年に大々的に行う予定です。

ちなみに真之大尉が米国留学していた頃の好古は従五位陸軍騎兵大佐です。

ま・・・子作りをしているだけでなくこっそりと出世しています。

そうした・・・秋山兄弟の活躍を眩しげに見ながら・・・正岡子規(香川照之)の死期は刻一刻と迫っていく。

日清戦争後の物見遊山的従軍も病身には響き、帰路に吐血後、一進一退をくりかえしつつ、地下への道を辿っていくのである。

松山から根岸へ。病を養いつつ・・・子規は国文化の革命に心血を注ぐ。

言語を統合し、一つの共通文化にたどりつくこと。それもまた国家の一大事であった。

真之「戦というものに迷っている」

子規「時間があるのじゃ・・・迷うことも可なりじゃろ」

真之「・・・」

子規「この国の文化を磨き上げる・・・それも国があってこそじゃ・・・国が滅んだら文化も終いじゃろ・・・このネイティブ・アメリカンの毛布のように異国の地でぬくもりを伝えることもできようが・・・言葉の文化はそうもいかん。軍人さんには・・・それを護ってもらいたいのじゃ・・・」

命の残り火を燃やしながら真之を励まそうとする子規の心に真之が震えるのだった。

その兄をそっと支え涙をこらえる律(菅野美穂)だった。

律「・・・淳さん(真之)はどんどん・・・出世するのに・・・うちはなんもかわらん・・・」

(二回も出戻ったら充分ですが・・・)とは口に出せないドラマ版の真之だった。

薔薇の花マリーと呼ぶは妹なり(子規)

とにかく・・・いよいよ本番に突入していくドラマなのだが・・・この続きは一年後である。

どんな放置プレーなんだ・・・。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『容疑者Xの献身』(フジテレビ)『叫』(TBSテレビ)

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2009年12月27日 (日)

マック宇宙へ行く(アレックス・D・リンツ)

誰か・・・と言えば「ホーム・アローン3」(1998)のアレックスである。

少し成長していますが、まだまだあどけない。

2009年はこども店長こと加藤清史郎(8)が一世を風靡した年だったと言えるだろう。「ぼくの魔法使い」(2003年)の留美たん(篠原涼子)道たん(伊藤英明)の子供ミニみったんから6年である。

「マンハッタンラブストーリー」(2003年)の土井垣智(松尾スズキ)と春子(YOU)の息子ゆうやからも6年である。開花するまで結構苦節しているよな・・・子役ですけど。

まあ・・・これだけ爆発すると・・・いろいろ心配だが・・・まあ、なるようになるよね。

だから・・・というわけではないが・・・久しぶりの洋画である。

作品はアレックス主演ということでジュブナイルであり、勧善懲悪だが敵役の罪名が「国家反逆罪」だったりするところがキッドとしては微妙にツボである。国家反逆罪・・・なんて素敵な響き。

で、『スペース・ミッション 宇宙への挑戦(2001年米国)』(日本テレビ091226AM0325~)脚本・エリック・ガードナー(他)、監督・ショーン・マクナマラ、を見た。原題は「RACE TO SPACE」なので「宇宙競争」と言った趣だがニュアンスとしては「宇宙への道」とか「宇宙種族」まで連想させる。日本未公開なのでものすごく力の入ってない邦題であり、こういう映画のタイトル案をのんびりと考え出すことは個人的には楽しい。・・・お前だけな。

マックは実験用チンパンジーの愛称である。人間に先駆けてロケットによる大気圏脱出と地球への帰還というミッションを行うために選抜されたのだ。

実際に米国のマーキュリー計画ではアカゲザルのサムや、チンパンジーのハムなどが地球から発射されている。

猿が無事に帰ってこないようでは人間を打ち上げるわけにはいかないからである。

現在においても宇宙飛行は人命尊重という意味からけして安全とは言えない。死亡率は*5%である。つまり、20人に1人は宇宙から生きて帰ってはこれないのである。

ママたるもの「お願い、宇宙飛行士だけにはならないで」と言うべきだが、そんなこと知ったことじゃないのが人間の素晴らしいところなのだな。

しかし・・・主人公のウィルヘルム二世またの名をビリー(アレックス)は幼くして母を亡くしたので宇宙に行こうが深海に行こうが自由なのだな。

時は1960年。第二次世界大戦から15年が経ち冷戦時代に突入している。

第二次世界大戦では優秀なドイツ人の一部はアメリカに亡命し、原爆開発の主力となった。この経過を見たソ連はベルリンに侵攻した際にドイツ人科学者を最優先で捕獲した。そのためにソ連はヒトラーの遺産であるロケット技術を入手したのである。

核兵器開発ではリードをした米国だったが、その運搬技術である大陸間弾道弾では遅れをとったのである。性能の悪い核弾頭でも相手に届けば威力抜群なのでソ連が軍事的優位を獲得する。

米国はこの窮地を脱するために宇宙開発に熱中する。ヴェルンヘア・フォン・ブラウンのような移住科学者が活躍するわけである。

ビリーの父親もウィルヘルム・フォン・フーバーという元ドイツ人科学者で・・・米国宇宙開発の現場のリーダーとして招聘されたのである。

母を失ったばかりの転校生ビリーはこうしてNASAの基地の側の学校へ通い、心ないヤンキー児童たちからのナチス野郎呼ばわりといういじめに遭遇する。

ビリー「ジャーマン・ソーセージなんか食べたくない」

ウィルヘルム「なぜだ・・・好物じゃないか」

ビリー「ナチス野郎の食い物だからさ」

ウィルヘルム「じゃ・・・ハンバーグにするか」

ビリー「・・・それもドイツがらみじゃん」

メイド「旦那様・・・祖国にこだわりすぎるのでは・・・」

ウィルヘルム「じゃ、真っ赤なオープンカーでドライブしろというのか・・・ま、ベンツならいいかな」

ビリー「ハイル、ヒトラー」

・・・いい加減にしとけよ。

学校に友人ものいないビリーは基地施設内に潜り込み、そこで宇宙飛行用実験動物飼育センターに迷い込むのだった。

責任者は開発チームの紅一点。動物学者のドニ・マクギネス博士(「ミスティック・ピザ」(1988)でジュリア・ロバーツの妹役だったアナベス・ギッシュ)である。たまたまマックという名のチンパンジーと気があったビリーは臨時の訓練係として採用される。

なにしろ・・・父親がプロジェクトの重要人物なのである意味、ルール無用である。

しかし・・・動物と心を通わせることができる超能力の持ち主であるビリーはたちまちマックと仲良しになるのである。

マックも人間の言葉を理解できる天才チンパンジーなので二人は最強のタッグ・チームを組むのだった。

マックも母猿を亡くしたばかりでビリーとは似た者同志の境遇なのだった。

こども訓練員の大活躍に最初は基地での息子の活動に反対だった父親も賞賛の姿勢を示す。まあ・・・単なる親バカです。

やがて、開発チームの広報の発案で「マックとビリー」は宇宙開発の広告塔としてもてはやされるのだった。そのためにクラスで一番かわいい女の子がデートに誘ってくれるのである。しかし、ビリーが多忙につきデートシーンはありません。

その裏で軍産複合体の利権をめぐる駆け引きやソ連の工作員による暗躍などでロケット打ち上げには魔の手が忍びよる。・・・おいっ。

おそろしいことに開発チームのマネージャーが敵に寝返り、ロケットに細工をするのである。

こうして日本のロケットも何度も打ち上げに失敗してきたのであろう。

ちなみに、日本では原子力発電所を搭載して打ち上げるロケットがあれば北朝鮮と対抗できるわけである。・・・おいっおいっ。

だが、言葉が通じぬと考えて・・・悪い奴はマックをからかう。

悪い奴「英雄さんよ・・・残念だったな・・・お前のロケットはボーンッなんだよ」

マックは直ちにビリーに伝えるのだった。「・・・てなこと言ってござる」

ビリーは父に「大変だ・・・マックが死んじゃう」と大騒ぎ。

父「部品がありすぎて・・・どこに細工されたかわからない」

しかし、そこにメイドの連絡により開発チームの仲間たちが駆けつける。

メイドはもちろんCIAの工作員だったのである。おいおいおいっ。

手が届かない場所も小柄なビリーの活躍で修理することができ、敵の野望は潰える。

そして悪い奴は「国家反逆罪で逮捕」なのである。

打ち上げに成功したマーキュリー・レッドストーン2号はたびたびのピンチを心の通うビリーとマックの活躍で切り抜ける。そしてマックは地球に無事に帰還するのだった・・・。

父「これで地球のどこにでも核爆弾を運搬できる・・・そしてついでに月旅行も夢ではないのだ」

マック「ウキキ・・・」

アメリカ万歳である。こんなにいい国と敵対して現政権は共産党独裁人権弾圧万歳の国と親睦するなんて・・・正気の沙汰とは思えないよね。

関連するキッドのブログ『サイレントヒル

月曜日に見る予定のテレビ『朝までトリック』(テレビ朝日)『リーピング』(テレビ東京)

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2009年12月26日 (土)

自分の幸せを探す女(中島美嘉)自分の幸せを選ぶ女(市川由衣)

両雄並び立たずと言うがダブルヒロインはなんとかなるものだ。

しかし、「NANA」では成立するものが「NANA2」では成立しない。

それは基本的に原作のキャラクター設定の問題もあるが、脚色の問題でもある。

スケジュール問題とかプライベートがからんだ濡れ場の問題などいろいろと取り沙汰された小松奈々役のチェンジだが・・・この役は相当な難役なのである・・・なぜならものすごく嫌な女の役なのである。

そうでありながら最後は「だってしょうがないじゃない・・・生きていくってそういうことだもの」という奇跡の着地点に導かなければならない。

そういう意味でこの役から逃げた宮崎あおいはその後の大成功からして本能的に成功だった。ある意味、本人が奈々そのものと化したのである。

そして、逆に貧乏くじを引いたカタチになる市川由衣にとっては不本意ながら・・・だからこそ「NANA2」は哀愁漂う作品にたどり着けたということになる。

「NANA」の続篇としてマイナスのフィルターをかけられながら、「夢追い人ではなくすぐそこにある幸せにすがりつく女」奈々を市川は見事に演じきっているのである。

その結果・・・興行成績は前作を凌がないという残念な結果になるのは構造的な問題であり、奈々(市川由衣)であることとは無関係だと思う。

「ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲」に市川みどり(市川由衣)が出ますように祈りをこめて。・・・まあ、出ないかも。

で、『NANA2(2006年公開)』(TBSテレビ091224PM1140~)原作・矢沢あい、脚本・監督・大谷健太郎を見た。ひょんなことからミュージシャンのナナ(中島)と普通のかわいい女の子奈々(市川)は出会い、同居生活をすることになる。奈々は実はかなり美少女で平凡な家庭で育ったために家事能力があり、一昔前には「いいお嫁さんになるタイプ」だったのだが男女雇用機会均等法以来、ただの無能の人の側面も持っている。さらに華やかな世界に憧れる奈々は自分を「中身からっぽの人間」として強く意識しているのだった。

一方、インディーズの世界で名の知れたバンドBLACK STONES=ブラストのボーカリスト・ナナは天涯孤独の身の上ですでにメジャー・シーンで活躍するTRAPNEST=トラネスのギタリスト・蓮(姜暢雄)と因縁浅からぬ恋仲で密会する女の子のカリスマ的存在である。

ナナは奈々の幸せを求める優しさを愛しく思い、奈々はナナの夢を追いかける強さに憧れる。

失恋に傷ついた奈々をナナの音楽が癒し・・・彷徨い出すナナの魂を奈々が繋ぎとめる。こうして二人は親密な女友達になったのである。

しかし、かわいい女である以外は超絶的に無能である奈々はたちまち実社会から放逐されフリーターと化してしまう。アルバイトはスーパーの試食コーナー担当である。

親友であるナナと比較して惨めな境遇であることに心ふさぐ奈々。

そんな奈々にトラネスのリーダー・巧(玉山鉄二)は誘惑の手を伸ばす。

憧れのバンドのリーダーから誘われた奈々はスィート・ルームでスィーツと化すのである。

不幸な家庭に育ったことから他人に対して冷酷な一面を持つ巧にとっては奈々はその他大勢の女の一人だった。

奈々はそれを知りつつ、夢のような一夜に身を任せるのだ。宮崎あおいが逃げ出すようなものすごいラブ・シーンを期待しているとガッカリするので注意してください。

それ以後は放置され・・・悶々とする奈々。

その関係はナナやブラストのメンバーにも知れ渡ることになる。

ブラストのメンバーにとっては奈々はマスコット・ガールなのである。かってメンバーである蓮を引き抜かれ上に、奈々も美味しくいただかれたナナと愉快な仲間たちは呆然とするのだった。

ブラストのギタリスト・ノブ(成宮寛貴)は奈々に片思いをしており、ベーシストのシン(本郷奏多)に慰められるのだった。

ナナは奈々が弄ばれただけではないかと不安を感じつつ・・・メジャー・デビューのチャンスを得るために練習中心の生活に入る。

ナナは親友のノブが親友の奈々と交際してくれることを願っていた。

一方、音沙汰のない巧のために不安を抱えつつ明るくふるまう奈々。得意の手料理をふるまうチャンスもないのだった。

それを察しつつ・・・ついにノブは奈々に告白をする。

奈々はものすごいスピードでノブの腕の中に飛び込むのだった。

多忙を極め、連絡もつかない巧に電話で「決別宣言」をした奈々は同じように平凡な家庭出身のノブと充実した恋愛を始める。

しかし・・・それは微妙な時期の妊娠により脆くも崩壊するのだった。

奈々の女の本能はめまぐるしく心を揺らすのである。

一方、クールでありながら計算高く義理堅い面を持つ巧は奈々の異常をいち早くキャッチし、ノブよりも素早く奈々の心を制御する。

「どちらの子供であったとしても・・・俺は・・・俺の子として育てても構わない」

奈々の心は激しく揺れる・・・第三者から見て・・・子供は巧の子供であると確信しているのは明瞭だし、子供の親としてフリーターのノブよりスターの巧を選択したとしか思えない結論は・・・愛よりも富を選んだしたたかな女を感じさせるわけである。

巧に遅れて現れたノブは・・・泣きじゃくる奈々を安心させるどころか・・・「巧と二股かけていたのか・・・」と疑う始末なのであった。

そして・・・ナナに巧は「奈々と結婚する」と宣言するのである。

ナナは裏切られた気持ちになり・・・動揺して奈々との思い出のグラスを割ってしまう。

「とりのこされたらかわいそう・・・」

奈々の昔のセリフを思い出し・・・おそろいのグラスをあえて割るナナだった。

そして・・・白昼の路上で「私の胸で泣け」とノブを慰めるナナだった。

そんなナナに蓮は「祝福してやれよ・・・あの娘はお前をヒーローだって思ってるんだ・・・凄く喜ぶし・・・お前もあの娘の笑顔が見たいんだろう・・・」とアドバイスする。

ナナ「そんな理不尽なことができるかよ・・・」

蓮「ヒーローっていうのはそういうものなんだ」

奈々のためにおそろいのグラスを持って奈々と巧の新居である超高級マンションを訪れるナナ。

入り口で門前払いである。

・・・ある意味、ドラマとしてはここでクライマックスである。この後はかなり、観客におまかせの展開となっていく。

突然、ナナと蓮との交際がパパラッチによって熱愛報道され・・・時の人となるナナ。

ブラストのリーダー・ヤス(丸山智己)は「これをメジャー展開の足掛かりとする」と宣言。実力以外での評価に愚図るノブ。しかし、ナナは「もう・・・踏みつけられるのはまっぴらだ・・・誰も無視できない存在になってやる」と叫ぶのだった。

トラネスとブラストが肩を並べる・・・そうでなければ・・・親友の幸福を祝福することもできやしない・・・とナナは思ったのだろう。

メジャーへの道への第一歩・・・新宿アルタ前でのゲリラ・ライブにナナは奈々を招待する。

あの日の約束は忘れていいよ

自分の幸せを願えばいいよ

自分の幸せを探せばいいよ

その夢の中でおやすみ・・・

ノブの作った曲を歌いあげるナナだった。

やがてナナと奈々は再会する。奈々の手に光るダイヤの指輪。

ナナ「巧が浮気したら・・・ぶんなぐってやれよ」

奈々「うん・・・がんばる」

やがて・・・奈々は二人の子供の母親になったり・・・ナナは恋人の蓮が麻薬に溺れたあげく交通事故死したり・・・と波乱万丈の物語の続きがあるのかもしれないが・・・ナナと奈々の二人の友情はどこまでも続いていく・・・。

この世にとって女の友情こそが宝石のようなものなのである。

なぜなら男女の恋愛と違ってそれは色褪せないと信じられているからである。

やや散漫なところがあってこの主題が埋没しかねない結末だが・・・その点にしぼって見れば結構泣ける作品なのです。

関連するキッドのブログ『2006年6月6日の中島美嘉

               『流星の絆

              『オトメン(乙男)~秋~

               『ゼブラーマン

              『アニメ版NANA

日曜日に見る予定のテレビ『坂の上の雲』(NHK総合)『武士の一分』(テレビ朝日)

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2009年12月25日 (金)

地上最大のバカップルだぜ!(松本潤)運命共同体だっつーの(井上真央)

どうしようもなくバカな感じがして困った気分になるのに限りなくヒットして当たりに当たる作品というものはある。

これがそうだ。

まあ、世の中はバカが常に多数派なのでこれでいいのである。

だが、賢いものはどんなものにも喜びを見出してしまうが、バカはそうはいかない。

バカを楽しませるのは難しいことだ。

まあ、たまたま作り手のバカさ加減がフィットしていた・・・という考え方もあります。

・・・いい加減にしておけよ。

で、『花より男子ファイナル(2008年公開)』(TBSテレビ091224PM0843~)原作・神尾葉子、脚本・サタケミキオ、監督・石井康晴を見た。大ヒットした『花より男子』(2005年)、『花より男子2(リターンズ)』(2007年)を受けてリターンズの四年後という設定で原作とは違うオリジナル展開の映画化である。

大学卒業を目前に控える牧野つくし(井上真央)、何の相談もなく、道明寺司(松本)が「つくしとの婚約を発表」したために周囲の喧騒に巻き込まれる。

すでに二人の交際は牧野家、道明寺家の公認なのだが、庶民の牧野家に対して、超絶的な財閥の道明寺家という貧富の差は否応なく牧野家を困惑の渦に巻き込んでいく。

父(小林すすむ)にも母(石野真子)にも弟(冨浦智嗣)にもプライバシーのない生活が待っていたのだ。

もちろん、つくしも例外ではない。

そんな折、司の母・楓(加賀まりこ)は女中頭のタマ(佐々木すみ江)を通じて、道明寺家の嫁の印である「ヴィーナスの微笑みのティアラ」をつくしに贈るのだった。

ところがその夜、覆面の盗賊(AKIRA)が忍び込み、ティアラは強奪されてしまうからさあ、大変である。

楓に内緒でティアラを奪還するべくつくしと司の大冒険が始まるのだった。

要するに少女マンガのキャラクターを借りて結婚のための通過儀礼を行うという趣向である。

リターンズの頃から、嫉妬深い俺様キャラの司とウジウジと悩むつくしという一部スタッフの趣味なんだろうなあと思わせるキャラクター造形が続き、「またか」という展開の連続だが・・・ゴージャスな背景に趣向をこらし、見せ場もそれなりにあってそこそこ楽しい展開になっている。

そこには少女たちの見果てぬ夢である「王子様との結婚こそが人生のゴール」があり、「王子様との濃厚キス」がある。

すごい美女や美少女と交際することになっても案ずることはない。みんな小学生くらいで「花より男子」を見て、「好きな男の子とのキス」を夢見たことのある女の子の成れの果てなのである。・・・と娘たちをそれとなく観察している父親は知っているのである。

一方で女の子たちは道明寺司のような男の子にはまず巡りあわないが、バカな男の子はくさるほどいるのでそこそこのキスにはありつくのである。

それが世界の真の姿なのだな。

アメリカの希望

強奪現場のホテルのオーナー・鏑木(藤木直人)が怪しいとにらんだ二人は鏑木を追って米国のラスベガスに向かう。

荒野の道を赤いオープンカーでかっとばすつくしと司だった。あきらかにバカっぽい。

実はこのドラマの重要なキャラクターである司の姉・椿(松嶋菜々子)はプライベートでリターンズの後に第二子を出産しているためかどうか、本編には登場しません。

その代わりにリターンズでつくしの恋敵を演じた令嬢・滋(加藤夏希)は登場する。鏑木の交際相手である。

滋と親友となったつくしは親友の恋人としての鏑木に興味を持つが司は嫉妬で目の前が真っ暗になるのだった。

しかし、疑いを晴らすために鏑木はお金に困ったつくしと司に6億円ほど恵んでくれる。

ティアラは闇のルートで香港のオークションにかけられ高値で取引が予想されるというのである。

カジノのルーレットの一点掛けで六億円を36倍にしようとする司。

その金銭感覚に将来に対する漠然とした不安を抱くつくしだった。・・・まあ、いいじゃないか。

何度同じことで悩むのだと記憶力のいいお茶の間は思うかもしれないが、本編の主人公たちは基本的にバカなのでちょっと前のことをいちいち記憶に残しませんから。

結局、賭けに敗れてカジノを放り出されるつくし。

その前に華道の花沢類(小栗旬)、秋山さんじゃなくて茶道の西門(松田翔太)、広域暴力団後継者の美作(阿部力)そして司を加えたF4(花の四人組)が現れる。

「つくしがピンチの時は助ける・・・それがF4」なのである。華道、茶道ときて極道というのがお約束である。

噴水を背負った会話の後で100万ドルの夜景、香港につくし・司専用F4ジェットで旅立つ二人だった。

香港の涙

美作のコネで盗品専門の闇のオーディションに潜り込んだつくしと司。

華道茶道極道の資金援助で600億円で落札に成功。未来の夫の金銭感覚に再び眩暈を感じるつくしだった。

「このまま結婚しても大丈夫かしら」とこのシリーズ特有のお悩みモードで鏑木に相談を持ちかけるつくし。誤解されやすい行動を無理矢理ヒロインにとらせるのがこの脚本家の常套手段である。

バツイチである鏑木は「お互いの夢の中にお互いがいなかった」と離婚の原因を語る鏑木。ものすごく嘘くさいです。

そんな折につくしは類と覆面の盗賊が握手をする場面を目撃してしまう。

司「昨日の夜は何してた?」(嫉妬)

つくし「類が泥棒と怪しい関係がある」(疑惑)

司「何言ってんだ、親友を疑うのか」(男の友情優先)

つくし「私を信じてくれないの」(自己中心)

衝突である。せっかく、ティアラを取り戻したのに気まずくなる二人だった。

そして、東京に戻る飛行機の中でどこにでも顔を出すゲストのベッキーに一服盛られ失神するのである。

南海に浮かぶ愛

目を覚ますとジーン・シモンズ、ブルック・シールズ、ミラ・ジョボビッチでお馴染み、「青い珊瑚礁(ブルー・ラグーン)」である。

サバイバル生活に突入する二人だった。

漂流もしないで無人島生活を始めるところが安易である。

もうそろそろ壮大な陰謀に気がついてもいい二人だがバカなのでそんなことには気が回りません。

何よりも普通の人間なら一週間程度で死亡するところを心身ともにタフな二人は平気で孤島暮らしに順応します。

つくしにいたっては鉄拳一撃、野生の熊を撃退です。

そんなつくしが胸を痛めるのは司にプレゼントされた土星のネックレスをなくしたこと。

不眠不休で探し回り寝込んだつくしを司が救助でおんぶです。

つくし「司の夢って何・・・」

司「俺の夢はもう叶ったよ・・・愛してる・・・お前と一緒にいるんだもの」

ま・・・馬鹿野郎です。

すっかり・・・島の生活に慣れ・・・いちゃいちゃする二人にお迎えが来ました。

いにしえの秘密

すべては「貧乏よりもっとつらいことがあっても二人が仲良くしていけるかどうかを試したい」と考えたつくしの両親の陰謀だったのです。そしてそれを手伝った楓と楓の昔の男(北大路欣也)でした。つまりバカップルはバカップルから生れるということです。

ま・・・とにかく・・・花沢類神父の元・・・挙式をする二人。

司の姉は欠席ですがつくしの最初の恋敵・三条桜子(佐藤めぐみ)がかけつけて花を添えます。

苦しいことは1/2に楽しいことは2倍になる結婚生活が待っているのです。

何しろ・・・バカップルなので倦怠期はないのです。

記憶力が弱いと何事もいつまでも新鮮なのです。

思い出の孤島を訪れた二人・・・。

司「つくしの夢はなんだったんだ」

つかさ「司の赤ちゃんが欲しかった・・・もうもらったけどね」

司「ええーっ・・・・シャンプーの後のやつかな」

つくし「落とし穴の時のやつだと思う」

ま・・・誰もが思うことは100年先にも二人は愛を誓うだろうということです。バカは長生きするというのが定説ですから。

ああ・・・今度生れるときはバカップルになれるといいなぁ・・・と思います。

そして夢多き女の子たちに憧れのキスを提示するのです。メリー・クリスマス。

まあ、視聴率は*9.0%でしたけど。劇場で稼いだからいいのか。

関連するキッドのブログ『花より男子2(リターンズ)』

Hcinhawaii0598 ごっこガーデン・憧れのラスベガス・セット。くうやっほーっ。カジノで遊んで、香港で飲茶して、南国セットでサバイバルッって、仕上げは誓いのキスに抱っこで決めるよ。花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だっつーの、グッバイ花男・・・いい夢見させてもらったわ~・・・まこ小公女マコラも豪快にカジノで一発あてるのでしゅ。じいや、スロットル全開バリバリでヨロシク!」ikasama4ふう・・・司ロイドも類ロイドも久しぶりの出動でメンテナンスが・・・。まあ、なんだかんだ・・・今年の暮れは仁でしたな・・・やはり映画化かなぁ・・・花男とは客層が少し違うかもしれませんがね・・・みのむし絶景ーっ。絶景ーーーるるる、2010年ドラマはどうでしょう?」久しぶりにボギャーンデス・・・更新アリマセンエリおやおや~、コードブルー2のセットはまだ未完成なの~・・・じいやーっ・・・応答せよ~」

土曜日に見る予定のテレビ『はぐれ刑事純情派・最終回スペシャル』(テレビ朝日)・・・安浦刑事(藤田まこと)最後の事件か。まさか・・・殉職はしないよね。22年か・・・。

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2009年12月24日 (木)

壊れかかる世界で流れる砂時計(夏帆)愛の呪いの話(岡本杏理)

さて・・・TBSテレビががんばって師走の深夜邦画特集をしているのである。

「長澤まさみのそのときは彼によろしく」から「夏帆の砂時計」ときて「市川由衣のNANA2」というラインナップ・・・。ものすごく微妙だぞ。

少し間を置いて黒沢清の「叫」年明けに「四日間の奇蹟」そして「綾瀬はるかの僕の彼女はサイボーグ」である。

なんとなく、テーマなきオールナイトみたいな感じ。まあ・・・年末純愛祭り、年始ファンタジー祭りなのか。

今回は久しぶりにバラエティー・ショーでもレビューしようと思ったのだか・・・なんとなく軽い気持ちで砂時計にしておきます。

で、『砂時計(2008年公開)』(TBSテレビ091224AM0010~)原作・芦原妃名子、脚本・監督・佐藤信介を見た。柴咲コウの主題歌「ひと恋めぐり」でおなじみのドラマ版(2007年春の愛の劇場全60話)はベタベタの少女マンガ&昼メロ展開で一部愛好家を熱狂させているわけだが、その要素を121分でまとめあげるというのはものすごいチャレンジである。・・・その結果、ある意味ものすごく意味不明の作品に仕上がっていてそこが面白い。

ドラマ版の主人公・杏は美山加恋→小林涼子→佐藤めぐみというかなりゴージャスなリレーなのだが、映画版は夏帆→松下奈緒である。

もちろん、凄いのは中学生時代が巨乳で大人になると微乳になるというキャスティングの妙である。まあ、成長とともにそうなることもあっておかしいことではない。いや、松下だってB82なので貧乳というわけではないのだな。

・・・いい加減にしときなさいよ。

杏は両親の離婚によって母親(戸田菜穂)の実家である島根に都落ちする。もちろん、都会から田舎に来たのでものすごく残念な気分になるのだが、田舎の少年・大悟(池松壮亮→井坂俊哉 )に初恋することで気をとりなおす。

しかし、精神的に問題のあった母親は杏を残して自殺してしまう。

杏「私も連れてって」

母親「ダメよ・・・あなたは留守番してなさい」

と言い残して去っていった母。杏は形見の砂時計を遺影に投げつけるのだった。

杏「いくじなし」

しかし・・・杏の心はこの日に負った傷を大人になっても克服できないのである。

子供を残して自殺というのは一種の子捨てであろう。

親が子供に対するひどいこととしては子殺しというものがあるが・・・「捨てられるのと殺されるのとどっちがいい?」と親に問われる子供はきっと困るだろうなぁ。

そういえば今日の朝刊にはこんなニュースが乗っていた。

「宮城県警大河原署などは22日、12歳だった娘に性的行為をさせたなどとして、児童福祉法違反の疑いで母親の無職の女(37)を追送検した」

母親に「捨てられるのと売られるのとどっちがいい?」と親に問われる子供もきっと困ると思う。

そんな「白夜行」みたいなことが現実に起こると「白夜行」というフィクションがいけないみたいなことになるのか・・・恐ろしい気持ちになります。

まあ・・・想像するだけでも胸が痛い出来事である。しかし、それが子供の心理にどんな影響を与えるかは人それぞれなのである。

しかし・・・母親に自殺され・・・祖母(藤村志保)と二人暮らしを始めた杏は鬱屈し、その鬱屈の中で溺れるタイプの女の子になっていく。

そんな杏を大悟は懸命に支えるのだが、杏の心は大悟を愛されれば愛されるほど不安定になっていくのである。

それはそれとして早熟な杏は大悟と肉体的にも早めに結ばれてしまう。

そのきっかけを作るのは共通の友人・藤(塚田健太)の杏に対する片思いである。

大悟に不貞を疑われた杏は即座に体を奉げるのだった。

しかし、杏の精神は不安定で「母親の死体が発見された夜」を毎夜夢に見る。

大悟はそんな杏を慰めようとするが、杏は自分の特殊性を否定する大悟にさらに傷ついてしまう。そのために二人の間は穏やかではないが大悟は杏を神のように崇めているために誠心誠意を尽くすのである。

「一生一緒にいてやるわ・・・」

大悟の献身に心の平穏を感じ始めた杏だったが、別居していた父親(風間トオル)が現れ杏を東京に引き取る。二人は遠距離恋愛になってしまう。

再び不安定になる杏。

突然、島根に戻って大悟に甘えたくなるのである。

そんな杏に対して大悟に片思いしている椎香(岡本杏理→伴杏里)は「杏はいつでも自分のことばかりで大悟がどんなに傷ついてもお構いなし」と指摘する。

母親の死の呪いによって心に闇を抱える杏は・・・その闇がいつか大悟をも巻き込んでしまうのではないかと恐れ・・・別れを決意する。

杏「真っ黒い砂に大悟を引きずりこんでしまうよ」

大悟「望むところだがや」

杏「そんなのだめ・・・だから別れる」

大悟「なんや・・・それ」

こうして二人は別れ・・・十年の月日が流れた。

二人を結びつけた藤と破局させた椎香は兄妹である。兄妹はそれなりに幸せになったが・・・大悟は島根で孤高を貫いている。

一方、杏は母親の死の呪いと好きな人と別れた呪いの二つを胸に渦巻かせつつ、流れるままに押しの強い男(高杉瑞穂)と婚約してしまう。しかし、杏が母親の自殺を隠していたという理由で男は一方的に婚約を破棄するのだった。

そのショックが背筋から這い上がった杏は幻想の中に投げ出され母親を追いかけて知らぬまにリストカットをするのである。

血まみれになってようやく正気を取り戻す杏。しかし・・・失血のために砂浜を血に染めて倒れる。

それを発見し救命する大悟。おそらくストーカーとして杏を影からそっと見守っていたのであろう十年間なのであった。

意識を取り戻した杏はようやく砂時計の呪縛から解放されたことを知る。

思い出の場所へ舞い戻る杏の大悟。

大悟「俺はいつもいつもお前を幸せにしようと思ってきた・・・でもそれは間違ってた・・・お前が俺を幸せにしてくれ・・・」

杏「・・・まかせといて」

二人はようやく愛がお互い様であることに気がつくのだった。

しかし・・・そんな二人を巨大な砂時計が冷酷な目つきで見下ろしている。

帰りたくなったよ

君が待つ家に

聞いて欲しい話があるよ

笑ってくれたら嬉しいな

砂時計はゆっくりと口を開き、黒い砂を二人の上にそそぐのだった。

どんなに素晴らしい愛もやがて時の彼方に消え去って行くのである。

しかし・・・つかのまの幸せがあればそれはそれで素敵なことなのだね。

関連するキッドのブログ『オトメン

金曜日に見る予定のテレビ『浅田真央の全日本フィギュアスケート』(フジテレビ)『天国の本屋・恋火』(テレビ朝日)『相武紗季の古代エジプト』(NHK総合)

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2009年12月23日 (水)

私は何度も何度も何度も何度も騙されてしまうのです(戸田恵梨香)だが俺が助ける(松田翔太)

つまり、キノコこと福永(鈴木浩介)が何度も何度も何度も「人を信じちゃダメだ」と言っているにも関らずだ。

今回の脚本家がちょっと不安定なのは後で結末を合わせるにせよ、部分的に不合理なセリフを作ってしまうことである。

今回で言えば、葛城(菊地凛子)のターゲットは直(戸田)の脱落だったはずである。

想像するに・・・昔、葛城は秋山に求愛して拒絶されたのだろう。その時に恋敵を死に追い込んで秋山に復讐したのだと思われる。今回は秋山が直に恋しているのは一目瞭然なのでとにかく直を目の仇にしているのである。直をつぶすことが快感であるのたな。つまり葛城は他人はコントロールできるが自分をコントロールするのが苦手なのである。あくまで妄想です。

最後に葛城は「勝ったとは思わないで」と負け惜しみを言うのだが・・・その時点で直の脱落と言う目的は達成不可能になっており・・・語るに堕ちているのである。

さらに言えば、葛城が勝ったのは偶然の結果・・・たまたま悪魔である土田(森下能幸)と接触しなかったからに過ぎない。

そのことは葛城自身が「天使」であることを確認した時に「勝った」と呟いたことで示している。

しかし、目的の達成こそが勝利と言うべきで葛城はこのままだと負けていることになるのは間違いない。

本当に葛城が勝つ気なら・・・契約書に「直とだけは接触しない」の項目を加えておけばよかったのだから。

火曜日のドラマ対決は①「リアクロ」↗*9.3% ②「ウソゲ2」↘*8.5%

逆転で「リアクロ」が最終回を飾る。

で、『 2・第7回』(フジテレビ091222PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・大木綾子を見た。天使と悪魔ゲームの第2ピリオド終了間際である。天使と天使が接触すると出来る十字架を四つ以上集めると後半戦への進出ができるというこのゲーム。ここまでの途中経過は。

天使の葛城++ 天使のマリエ(MEGUMI)++ 天使の安川(春海四方)++

天使の直++

天使の福永++++ 天使の秋山++++

天使のタツヤ(姜暢雄)++++ 天使のモモコ(片桐はいり)++++

接触なしが土田(森下能幸)、謎の高校生ヒロカ(武井咲)、色白のテッペイ(忍成修吾)、鉄人28号を操る金田正太郎のようなワタル(夕輝壽太)でこのうちの一人は悪魔である。

ここで天使を名乗り、直に味方すると宣言したワタルと秋山が接触したのが前回まで。

果たして・・・ワタルは天使だったのか・・・悪魔だったのか・・・。

天使でした。

この結果・・・秋山+++++、直+++、ワタル++となる。

そこで直が福永、タツヤ、モモコに「ワタルさんと接触してください」と頼み込む。

ここで福永は「保険だ」と言ってワタルと接触。タツヤとモモコは拒絶。

福永+++++、ワタル+++となって前半終了である。

葛城はワタルが天使だったのかどうかを確認するために途中経過の発表を待つとして第2ピリオドが終了する。

(第2ピリオド終了)天使11 悪魔1

ここで秋山と直は愛の会話を交わす。

直「どうしてワタルさんと接触してくれたのです」

秋山「ワタルは天使である確率が高かったからだ」

直「でも悪魔かもしれなかったのに・・・秋山さんは暖かいです・・・それにくらべて葛城さんは冷たい」

秋山「あきらめるな・・・ワタルが天使であったから・・・こっちはすごく有利になったのだ」

直「えっ・・・」

秋山(ヒソヒソ)

直「まあ・・・」

直に冷たいと陰口を言われた葛城は作戦指導である。

第3(最終)ピリオド開始と同時に天使である三人と悪魔一人を含む三人がペアを組んで接触する。

これで天使+++が二人。天使++が二人。悪魔+が一人。天使が一人できる。

悪魔+が誰かを確認することでだれが悪魔だったかがわかる。

悪魔+は天使となり、全員が天使になったところで相互に接触。

これで天使+++++が四人、天使++++一人、天使+++一人になる。

天使+++がワタルと接触すれば失格するのは直一人と言う計画である。

第3ピリオド開始。

葛城グループは接触を開始。

葛城はヒロカ。マリエはテッペイ。安川は土田と接触。

安川がチェックをしようと審判の部屋を訪れるとそこは満室になっていた。

審判の部屋は四つの個室で鍵がかかるのである。

葛城は直、秋山、ワタルと気まぐれなキノコが部屋を占拠していると推理。

狼狽する安川とマリエをたしなめる。

「向こうだって出てこないと負けるので出てきます」

しかし、直とワタルは外にいた。

審判の部屋にいるのは秋山、キノコ、モモコ、タツヤだった。

葛城(×)。

直「お願いしたら接触は出来ないが占拠は手伝うって言ってくれたんです」

葛城「そう・・・返報性の原理ね。借りを作った人間は返さないと後味の悪い思いをするという心理と難しい依頼よりも易しい依頼を引き受けると得をした気分になる心理をミックスした詐欺師のテクニックね」

直「後味が悪いというのはお人好しっていうことですよね。それに高いものより安いものを買うのは市場原理でしょう。そんな屁理屈じゃなくて・・・一生懸命頼んだから引き受けてくれたってことで説明できるじゃないですか」

葛城(××)。

直「それより、これで残った皆さんは全員天使なんですから・・・私と接触してください」

葛城「待ちなさい・・・私が凄い実験してみせるから・・・しゅへっ」

葛城は白紙の小切手をそれぞれの部屋に差し込む。

葛城「さあ・・・部屋から出てきた人には賞金を出しますよ・・・ただし早いもの勝ちです」

秋山の占拠が反則ギリギリだとすれば葛城の買収はもはやゲーム性もへったくれもないな。ある意味なんでもありだよ。

直「そんな・・・みんな約束を護ってくれるはず」

葛城「世の中でお金こそが最高の約束なのよ」

ここでキノコは二億円で手を打つ。

しかし、小切手が本物だっていう証拠はどこにもないけどな。

モモコとタツヤは口惜しがって退出。

三部屋が空室となる。

勝ち誇った葛城たちはそろって審判の部屋へ。

部屋を出た三人を待ち構える秋山。

「で、誰が悪魔だったんだ」

悪魔は安川だった。

それを確認するとヒロカ、テッペイ、土田は次々と直とワタルと接触する。

直++++++ ワタル++++++

ヒロカ+++++ テッペイ+++++

土田++++

である。この時点で「直だけをつぶす」葛城の計画は挫折した。

秋山「だってそうだろう・・・そこに悪魔がいるならこっちは全部天使なんだから」

葛城(×××)

土田「ごめんね・・・直ちゃん、最初に悪魔って言えなくて・・・でも葛城は保険をかけてるよ」

直「?」

この時点で葛城グループは

葛城+++、マリエ+++、安川・・・・。

秋山「四本持ってないのはお前たちだけだ」

マリエと安川は錯乱モードに・・・。

そこで直が「大丈夫です・・・皆さんを助けます・・・」

葛城(××××)ドッカーンである。

葛城「私は負けてないもん・・・ここに誓約書がある限りね」

それは「土田、テッペイ、ヒロカが葛城グループと接触しないと罰金2億円」という契約書だった。

葛城「勝ちなんていうのは甘いのよ」

ここで秋山は葛城のセリフをポーカーフェイスで聞き流すが内心はニヤリである。

なぜなら・・・葛城が安川でないのは偶然。

そして安川は三人と接触しても+++なのである。

結局・・・善意の誰かがいないと失格ポジションなのだ。

葛城は審判の部屋の占拠というアイディアを失意していたという他はないのである。

つまり葛城の最後のセリフは「負け惜しみ」そして虚勢の「しゅへっ」なのである。

まあ・・・何がどうなろうとも直は安川と接触しちゃいますけどね。

そして別室ではあの男ヨコヤ(鈴木一真)が十字架を11本集めていたのだった。

そして・・・LIAR GAMEセミファイナル後半戦は年越しである。

まあ・・・葛城強敵モードの演出がしたいのは分るがヨコヤも控えているのだし、今回の葛城はゲーム的には敗北しているわけで年内最後ということで秋山が「しゅへっ」とやって葛城がキーッとなった方が視聴率的にも得策だと思うけどね。

ついでにフジテレビ・・・変則編成は百害あって一利なしだといい加減気がついた方がいいぞ。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『忽那汐里と酒井若菜の7万人探偵ニトベ』(テレビ朝日)『グイン・サーガ』(NHK総合)『井上真央の花より男子ファイナル』(TBSテレビ)メリークリスマスF4か・・・。オンエア時間3時間23分って・・・長すぎないか。途中ニュースで中断って・・・。同時上映「NANA2」か・・・。こっちも2時間43分って・・・。ま、いいかぁ。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年12月22日 (火)

仁は摘出(大沢たかお)万華鏡のバラード(中谷美紀)辻褄も結納も水に流してくださりませ(綾瀬はるか)

鬼から非道へ。そして非道いカップルへ。さらに夢の途中で夜明けを待つヒーロー仁(大沢)とヒロイン咲(綾瀬)だった。

しかし、それもまた道である。

ものすごく鮮やかな原作への軌道修正だったな。

そもそも未来の未来(中谷)がいるのは原作のオリジナル。そのために未来のそっくりさんである花魁・野風(中谷二役)は特殊な存在となっていたのである。

そのためにマジック・アイテムの未来の未来の写真が挿入され、近未来の十円玉が挿入され、仁の心の葛藤がドラマ版にコクを与えていた。

しかし、仁にとっての過去である未来は改変され・・・おそらく未来のいない未来が誕生し・・・仁は幻となった最初の未来の記憶から解放される。つまり・・・原作に限りなく近い状態になったのである。

もちろん・・・記憶が抹消されない限り、仁には最初の未来の「思い出」が陰りとなって残るわけだが・・・少なくとも原作にあるエピソードを続けていくことに対する障害はなくなったのだな。

なにしろ、未来の未来と仁を繋いでいた絆である魔法の写真は消滅してしまったのであるから。

そしてダブル・ヒロイン状態に耐えに耐えた本当のヒロイン咲は最後の最後で正ヒロインの座を勝ち取ったのである。

まあ、結納の席からの離脱までさせておいて・・・仁が「女の幸せよりも医術をとるなんて咲さんは本当に医術が好きなんですね」とかいけずの極みを言い出さない保証はないですけど。

なにはともあれいろいろな意味で見事なお手並みであったと言えます。

つづく・・・だけどね・・・つづく・・・なんだろうねーっ。

非道い道のためにもねーっ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↘*7.3%(この枠でトリックの再放送を続けると数字がどうなるのか見てみたい)、「おひとりさま」↘10.3%(観月・小池のラブコメという狙いはよかったと思うけど笑いが薄いんだよね)、「シスター」*2.8%(あらあら)、「のだめ第1夜」16.6%、「第2夜」15.5%(映画版の早めのオンエアがありますように)、「石原さとみの椿山」12.5%(地味だ・・・)、「セイラ」↗10.9%(初回*7.4%、平均*8.1%よりも最終回が高いというのはある意味立派)、「外事警察」↗*4.7%(義務教育で見せるべき内容)、「坂の上の雲」↘17.8%(なぜ勝利のシーンを描かないのか・・・スポーツニュースで日本の勝ち試合を敵のゴールだけ見せる編集が成立するか?)、「仁」↗25.3%(すげぇぇぇぇぇぇぇ)、「M-12009」20.6%(100点の笑い飯の鳥人を受けて仔犬が死んだ話をするハライチのあたりがツボだった)・・・以上。

で、『JIN~仁~・最終回』(TBSテレビ091220PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。まあ、いろいろとご不満のある方もいるかもしれないが、日曜劇場的にはブラボーといえる作品だったのではないか。ファンタジーでミステリーでヒューマン・ドラマ・・・こういうドラマをみんな待っていて・・・そして期待に応えたのである。アイドル俳優抜きでも面白いドラマを作れば視聴率だって取れるということが証明されたのだな。まあ、大沢たかおも内野聖陽も小出恵介もアイドル俳優だという考え方もあります。そういう意味では桐谷健太だって・・・それはないか。

とにかく・・・様々な謎を秘めて最終回である。最後の最後までひっぱっておいて・・・未来が変わったのですべてなかったことになりました・・・というのは凄いテクニックである。まあ、それを汚いとか卑怯だとかずるいとか反則だとか邪道とか言うのはすべて敗者の戯言なのである。格闘技かっ。

とにかく・・・前回、主人公を鬼にしておいて・・・最後はひどい男と女が寄り添い逢うというほろ苦いラブストーリーと考えれば大人の味なのである。あなたって手も握らないなのである。まあ・・・最後が文久何年なのかは教えてもらいたい気持ちです。

刺客に襲われた・・・仁(大沢)と龍馬(内野)・・・二人は崖から転落するが・・・龍馬はそのまま消息不明になってしまう。

龍馬暗殺を命じたらしい久坂玄瑞(林泰文)は「そろそろ京都に上らないと一緒に死ぬ同志の立場がないからこれにて御免」とそれ以上の追求をあきらめるのだった。

仁は困ったときには橘家で・・・恭太郎(小出恵介)に龍馬の探索を托す。

しかし、その行方はまったく知れないのだった。

一方、やはり華岡流の弟子だった佐分利(桐谷)は「乳がん」の患者がいるならお役にたちたいと仁に申し出る。

未来の未来のために野風の死にいたる病から目をそむけている仁は「もしも乳がんでないなら気持ちが楽になる」と再診を決意する。

しかし、佐分利の診断は「乳がんに間違いなし」なのである。

手術を決意しない仁の煮え切らない態度に不審を抱く佐分利。

「私の看立ては信用できまへんか」なのである。

なんとはなしに全ての事情を察しているように仁に従う野風。

心を鬼にした仁の胸ははりさけそうになるのだった。

そして・・・全ての事情を知りつつ母の栄(麻生祐未)の奨める格上の蒲生家との縁談が進む咲だった。

龍馬の行方を案じる仁に勝海舟(小日向文世)は都会人のクールさで応える。

仁「龍馬さんは特別な人なのに・・・」

勝「なあに・・・世の中なんてものは・・・誰かがいなくなれば・・・その穴にいつの間にか別の誰かがはまって・・・なんとかなっていくものさ・・・」

ひょっとしたら・・・と仁は思う。龍馬は未来に行ったのではないか。あの包帯男は龍馬で・・・医療セットを持ち出したのは単なるみやげ物強奪だったのではないか。

そしてあの胎児はタイムスリップを起こす力があって・・・龍馬を未来に残し、仁を過去に送り込んだ。

すると・・・もう自分は未来に帰れないのではないか。

せっかく護った未来の未来に再会することもなく・・・このままこの時代で生きて・・・やがて死んで・・・。

ふと寂寥感に襲われる仁だった。

仁は江戸時代で気がつけば一人なのだった。

順庵(田口浩正)は佐分利の心を代弁する。

「佐分利が華岡流であることを隠していたのは・・・昔、手術にしくじって後ろ指をさされたからです・・・あなたと出逢って過去に決別しようと・・・腑分けに手をだしたことで緒方先生に迷惑をかけてしまった・・・そのことを償いたいと考えているのです」

仁は鬱屈した思いを洪庵の墓前で告げる。

「一人を救えば一人を失う・・・どちらを選んでも心がつぶれてしまいそうなのです」

仁の告白をひょっこり帰ってきた竜馬は盗み聞きしていた。

龍馬は川に流され海辺の漁師町にたどりつき、海の幸と広末涼子似の海女とよろしくやっていたのだった。いや・・・単にハチキン(金玉八個の略)って言ってただけだろう。

龍馬は勝に相談してみた。

「どの道を選んでも地獄ときたらどうしますか」

「そりゃ、お前、賭け事なんてみんなそんなもんだよ」

「ははあ」

「迷ったら東スポの印通りに買ってみるのも一つの手だな」

「有馬記念ですか」

龍馬は決意した。友達の心の重荷を変わりに全部背負ってしまおうと。

ついでに野風にいいところをみせられて一石二鳥である。

恭太郎が悩み相談にかこつけて初音(水沢エレナ)と逢瀬を重ねている間に歴史的有名人は話を進めるのだった。

「南方先生・・・やってもやらなくても後悔すると思うなら・・・わしのためにやってほしいぜよ・・・やらなければ後悔はいつまでも続くがやってしまえば後悔は半分ですむじゃろう」

仁の心は鬼になるには弱すぎた。龍馬の優しさは仁の頑なな想いをあっさりと溶かすのだった。

乳がんの手術をしたい。仁の言葉に野風は生きがいを感じるのだった。

「先生の・・・いえ・・・医術のお役にたてるなら・・・本望でございます」

野風の身請けは沙汰やみになった。そして乳がんの手術を受けることで野風の花魁としての稼業には終止符が打たれたのだった。

もちろん、たっぷり稼がせてもらった鈴屋(六平直政)は渋る女将(水沢アキ)を説得する。

「死ぬか生きるかって修羅場に行くんだ・・・もうお役御免でいいじゃねえか」

野風を望んだ大名家の隠居は残念な気持ちを藩医の三隅俊斉(深水三章)にぶつけるのだった。

「野風の病を見抜けぬとは・・・お前も未熟だのう」

俊斉は逆恨み体質だった。

咲の結納の日は野風の手術の日だった。それを知った咲はもはや心を縛ることができなくなった。

仁の心を鬼にした未来の恋敵は・・・もはや敵ではないのである。

それならば・・・私はただあのお方のおそばにいられるだけでよい。

野風と恋を競うのもまた一興。

私も徒な女になってみせます。

ついに破談を願い出る咲。恭太郎の見せ場到来である。

「ええい・・・他の男・・・いや、女だてらに医術にうつつをぬかし、心根さだまらぬ不心得者め・・・この兄が成敗してくれるわっ」

刃傷沙汰に蒼ざめる蒲生家の使者。この機を掴んで恭太郎。

「後は私が引き受ける・・・そなたは気持ちのままに生きるがよい」

いよっ・・・恭太郎。日本一。

走る、走る咲。湯島の橘家から神田の医学所までかな。慣れたコースだな。

手術室には三隅の走狗(甲本雅裕)が因縁をつけにやってきていた。

「何人たりとも消毒せずに手術室の立ち入りは許されませぬ。どうしてもというのならこの私の骸を越えて参りませ」

いよっ・・・お咲。世界一。

喉に突きつけた懐剣で血のしたたる咲をかばうように仁が出る。

「手術は成功しました・・・あなた方は本当にお殿様のお使いですか」

走狗は黙って引き下がった。最後まで渋く豪華なゲスト陣である。

仁の心を縛っていた魔法の写真は消失した。ドラマのオリジナル要素はなかったことになったのである。

未来の未来は消えた。彼女は生れなかった。だから彼女と仁が出会うこともなく、仁が彼女の手術を失敗することもない。すべては幻想だったのだ。

脚本家はプロデューサーに聞いた。「これでよかったのかな」

プロデューサーは「はい」と頷いた。

何がよくて何がよくないか・・・本当はどうでもいいのである。

ただその場、その場が楽しければそれでいい。

そういう生き方は概ね正しいものだ。

もう一人のヒロイン退場の場。

最後に鮮やかな唇盗みの技を決める元・花魁だった。

仁「これから・・・どこに・・・」

野風「横浜あたりで手習いの塾でも開くでありんす」

仁「でも、あとあとまた絡んだりもできるんですよね」

野風「スケジュール次第でありんしょう」

龍馬「わしんとこにくればいいのにのう・・・」

野風「では・・・皆様・・・おさらばえ」

咲「まあ・・・雪が・・・ホワイトクリスマスですね」

龍馬「まっこと・・・今は何月なんじゃろう」

仁「野風さん・・・助けられてよかったです」

野風「先生・・・新しい命を・・・ありがとうござりんした・・・」

咲「雪・・・溶けて水に・・・水は湯に・・・湯は湯気に・・・形はかわれどなにもかもがけしてなくなることはないのですね」

仁「万物流転ですね」

龍馬「人の縁もまたしかりじゃ」

咲「ま、視聴率で左右されたりもしますけど」

仁「・・・また・・・また逢えるといいですねー」

咲「はい」

こうして・・・人々の営みは新たなる局面に入った。

やがて・・・新たなる仁友堂が落成するだろう。

そこでは咲が仁の汗を拭くだろう。

そして、出番のなかった幕末の有名人たちが次々とやってくるのだろう。

その物語にお茶の間が再会できるかどうか・・・すべては運しだいなのである。

運とはつまり誰かのやる気があってそれが実行に移されるかどうかという実に単純明快なことだったりするわけだから。なにはともあれトレビアン。

そして失われたように見えるすべての魂に幸いあれ。

関連するキッド『第10話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『ゴッドタン・キス我慢選手権』(テレビ東京)『夏帆の砂時計』(TBSテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年12月21日 (月)

坂の上の雲の下の桃(菅野美穂)酔って旅順へゆくぞなもし(阿部寛)

とにかく・・・頭の中が日清戦争でいっぱいだったので、ものすごくものたりなかったという気持ちはする。

たとえば高陞号の撃沈の描写では沈み行く船から清国兵がさかんに銃撃し、沈没後の海域から英国人船長らを救出する間、千人の清国兵が溺死していくのを六時間あまり見守った東郷艦長の眼差しというものをスペクタクルとして表現してもらいたかったのである。

それをあっさり在りし日の写真一枚に差し替えるのはあまりにも淡白である。

その前後での豊島沖海戦の戦闘の経過も実におざなりで、黄海海戦も威海衛海戦もナレーション処理である。

この戦争に日本が勝ったと思えるような描写がほとんどないのである。

そのあげくに紋切り型の悪い日本陸軍登場である。ある意味、なんじゃこりゃ・・・という気分も少し感じました。

ただし・・・主人公グループとしての正岡子規の無邪気さを描写している・・・という意味ではまあ・・・しょうがないか・・・という感じである。

まあ・・・死人にくちなしなのであれだが・・・あまりにも原作とずれた主張を盛り込むならオリジナルで作ればいいのにと素人みたいに言っておきたい。

で、『坂の上の雲・第4回』(NHK総合091220PM8~)原作・司馬遼太郎、脚本・野沢尚(他)、演出・柴田岳志を見た。やはり戦争を美化するということに対する心理的抵抗というものは思った以上に根強いらしい。日本軍といえば略奪というイメージで育ったスタッフとしてはそれを描写しないとリアルでないと感じるくらいなのかもしれない。何よりも戦争は悲惨なものとして描かねばならないという使命感みたいなものに拘束されているのだろう。そのくせ、帰宅すれば大量虐殺ゲームはそれなりに楽しんでいるはずなので・・・創作者としてはバランスを欠いているとしか思えない・・・そりゃ、お前の妄想だろう。

とにかく・・・日清戦争というものをもう一度簡単に振り返っておく。まず・・・その原因である。前回述べたようにフランスがベトナム(越南)を清帝国(シナ)から分捕った。このことにより清は軍の近代化を模索する。イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなどの欧州諸国は清の完全なる植民地化を狙っていたが、やせてもかれても大帝国が相手なので用心深く、租借という形で出方を窺っている。

日本にとっての恐怖は朝鮮半島がベトナム化することであった。もし、そうなれば次は日本列島がベトナム化するのである。

朝鮮半島を狙っているのはロシアと近代化を目指す清である。そしてついに清が朝鮮出兵の挙に出たのである。そうなることを予測し、準備を整えていた日本軍の清による朝鮮半島の植民化を阻止する戦い。それが日清戦争の発端である。

戦前の予想では世界中が清の勝利を確信していた。

日本でも知識階級ほど清が有利だと考えていた。清には日本にはない巨大な戦艦があるし、広大な領土と膨大な人口がある。第一に金持ちなのである。

だから伊藤総理大臣も日本が負ける考えていたし、明治天皇も日本の勝利を信じていなかった。

原作では正岡子規(香川照之)の気持ちを次のように描写している。

・・・前略・・・

「いくさがいよいよおこったと聞いたときにはさすがに平和になれた耳を驚かしたよ。もしか日本が亡びてしまいはすまいか。明日にも東京に敵兵が這入ってきてわれわれもどこかへ逃げねばならぬようなことになりはすまいか。そのときには書物を置いてゆくのは惜しいがどうしたらよいか、などという取り越し苦労もした」

・・・後略・・・

しかし、陸海軍の実力者たちはある程度の勝機はあると考えていたのである。

第一に日本軍が清よりも先に近代化を始めたこと。第二に清が腐敗した帝国だったこと。

この二点が敵の隙であると認識されていた。

川上は無数の忍び(諜報員)を清国内部に送り込んでいたのである(実話)。

そのために日本軍は常に清の先手を打ち、緒戦を勝利したのだった。

緒戦とは朝鮮半島からの中国軍の駆逐である。

真之(本木雅弘)の属する帝国海軍は最初の連合艦隊を組んだ。海軍が平時において持ついくつかの艦隊を戦時に連合艦隊として一括運用するシステムをとったのである。

初代・連合艦隊司令長官は伊東祐亨中将だった。連合艦隊の戦力は軍艦28隻に水雷艇24隻である。

これに対して清国艦隊の持つ軍艦は82隻とも64隻とも言われた。この当りの曖昧さが清国の弱みである。清国は北洋艦隊、南洋艦隊、福建艦隊、広東艦隊の四大艦隊を持っていたがそれぞれが独立艦隊であり、たとえば清仏戦争において南洋艦隊がほぼ全滅に近い打撃を受けたときにも北洋艦隊は静観をしていたのである。艦隊同志は味方というよりも縄張りを争うライバルだったのである。

北洋艦隊だけを相手と考えれば軍艦は25隻、水雷艇13隻で日本軍が上回る。

日本としてはこわいのは戦艦「定遠」と「鎮遠」という二隻の巨艦だけであった。

ついでに言っておくがこの時代、まだ無線通信は装備されていない。艦隊同士は旗で交信し、陸路は伝令である。

日本側は旗により味方同士の通信が可能だったが、清側は近代化が遅れたために海上での意志の疎通が困難であった。このことが清国海軍の深刻な敗因のひとつとなったのだ。

とにかく、明治二十七年(1894年)七月・・・佐世保から日本初の連合艦隊は出陣した。

Tenchijin18947 最初の海戦は豊島沖海戦である。出港から三日目、戦闘に参加したのは日本海軍第1遊撃隊の「吉野」「浪速」「秋津洲」の三隻の巡洋艦だった。「吉野」は4000トン級だが、当時の世界最速艦。「秋津洲」は3000トン級、東郷大佐(渡哲也)が艦長の「浪速」も3000トン級である。三艦は前衛として朝鮮半島の西岸を北上していた。そして清国海軍の巡洋艦「済遠」(2000トン級)と「広乙」(1000トン級)と遭遇する。この二艦は清国兵を輸送する英国汽船「高陞号」とその護衛である砲艦「操江」(640トン)の露払い役だった。「高陞号」は兵員を上陸させるために仁川(インチョン)を目指している。

この戦力差は一目瞭然の如く、日本側の有利である。排水量でいえば日本側は清国の三倍である。

そのために済遠は攻撃開始と同時に逃走する。広乙も一撃で大破し、戦場を離脱、擱座した。吉野は済遠を追跡。

そこへ操江と高陞号が現れる。操江は即座に逃走を開始。秋津洲がこれを追跡する。

現場には高陞号と浪速が残されたのである。

ここで敵国の兵員を乗せた中立国(英国)と浪速の艦長東郷との駆け引きが開始される。

いわば中立国民を人質にとった敵国兵をどうするかという問題である。東郷は国際法にのっとった手順を踏み・・・これを撃沈したのである。

それでも伊藤首相は海外世論の評判を恐れ、震え上がったのだった。

それほどまでに神経の細やかな大日本帝国であった。

しかし、戦歴のある古強者たちは阿吽の呼吸で東郷を護る。

海軍軍務局長・山本権兵衛(石坂浩二)「理想を言えばキリがないが・・・さすがじゃ」

東郷「他に仕様はなかっただけでごわす」

山本「戦じゃもんな」

東郷「戦でごわす」

もちろん、実際には浪速と東郷艦長はこの後も黄海海戦、威海衛海戦で大活躍する。呼び出し云々はあくまでドラマでの話である。勝つか負けるかの戦争中に大事な戦力を離脱させるバカはいないのである。もう一度言うがこの時代、艦隊には無線が装備されていない。もしも浪速を呼び戻そうとしたら伝令船を出すしかないのである。そんな余力は日本海軍にはないのだった。

たとえば直後に成歓(ソンファン)牙山(アサン)で戦闘が発生し、真之が乗艦する筑紫は支援のために牙山に向かう。木口二等兵は死んでもラッパを離さなかったのだが、清国軍は早期撤退。その後の命令が届かず、筑紫は牙山で暇をもてあましたのである。

なお、豊島沖海戦で逃亡した済遠も操江もその後日本軍に捕獲され、帝国海軍のものとなった。いわゆる戦利艦である。

この後、日本海軍は清国海軍に連戦連勝してついに清国海軍司令官丁提督を自殺に追い込むのだが、清国自慢の巨艦のうち「定遠」は自沈、「鎮遠」は鹵獲され戦利艦となった。

「鎮遠」はその後帝国海軍の軍艦として日露戦争にも参加する。

とにかく・・・日本海軍にとって日清戦争は戦利艦を多数もたらした戦だったのである。

一方陸軍は、8月に平壌(ピョンヤン)の戦いで朝鮮半島から清国軍を駆逐、10月に朝鮮と清の国境である鴨緑江を渡河。11月には酔いどれた好古(阿部寛)の大活躍で旅順を占領する。

ここで非戦闘員に対する日本軍の虐待行為があったとして戦後問題になるが、当時どころか現代でも戦時にはよくある行為であり、特に日本軍に限ったことではないので深刻な問題とはならなかった。

それをことさら陰湿にとりあげなかった代わりに正岡子規の従軍記者の架空のエピソードが追加されたのであろう。子規は戦後に最初で最後の海外旅行をして戦跡の地を訪れ興奮し、疲労し・・・周囲の人々の心配した通り、喀血して病状を悪化させたのであった。

明治二十八年二月。清国海軍降伏。清国は戦意を喪失し、三月には清国宰相の李鴻章が来日して講和会議が開かれた。

妹が頬のほのかに赤し桃の宴(子規)

最愛の妹・律(菅野)に見送られて子規が満州に旅立ったのは四月のことだった。

もちろん、子規が現地で軍人に逆らったなどという逸話はないのである。ただ、はしゃいだ子規が戦後の無法地帯に入り込み、周囲の常識ある人々に叱られた可能性は高いと思う。

先輩記者「あそこは危険だと申したでしょう・・・」

子規「・・・だんだん」

日本が清国に勝利したことに世界はあっと驚き・・・ロシアは警戒心を抱き、英国は日本に急接近をする。もちろん、好意ではなく、日本にロシアの番犬の役割をさせるためである。

威海衛の港口で直撃弾を受けた筑紫では三人が即死した。その骨肉と血にまみれた光景を真之は死ぬまで夢に見たという。もちろん、そのことで少将に進級した東郷に教育的指導を受けたりするのはドラマとしてのフィクションである。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『長澤まさみのそのときは彼によろしく』(TBSテレビ)

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2009年12月20日 (日)

時のないホテルの外事警察(尾野真千子)天下無敵のプリンセス(志田未来)

人々というものは外交とか陰謀とかとは無縁である。

相続税に頭を悩ますこともあまりないし、賄賂とか法外な利益の享受とも無縁だ。

民主主義の恐ろしいところはそういう人々が清き一票を持っていることである。

一体、誰にとって恐ろしいのかはそれぞれで見解が異なるだろう。

人々にとって怪物のように見えるものたちにとって人々は怪物のようなものである。

そしてゆうべロビーのソファで出会い愛し合った紳士が朝焼け前に姿を消すような世界を人々は憧れたりもするものだ。

しかし、本当にそんな世界に身を置けば命はいくつあっても足りないのである。

で、『小公女セイラ・最終回』(TBSテレビ091219M0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・金子文紀を見た。やりたい放題やった後は原作的世界に回帰してよりかかる天晴れな姿勢である。その心は「罪を憎んで人を憎まず」なのである。そもそも不公平を悪と考えれば富の偏在は悪の権化と言うことができる。持たざるものにとってその現実は受け入れがたい場合があり、「金持ち」は「悪」であるという図式が成立するのだった。しかし、自分が金持ちである場合は例外なのである。セイラ(志田未来)に感情移入がしにくいと考える人間は「世界でもっとも価値があるのは金だ」と言うことを知りつつあまりお金と縁がない人だ。なにしろ・・・セイラはお金持ちで善人というありえない存在なのである。まあ・・・そう考えることは心が貧しい証拠だという考え方もある。三村千恵子(樋口可南子)は愚かな人間の典型の一つである。千恵子は持たざるものとしてすべてを持ち合わせる黒田薫子(黒川智花)を激しく憎悪する。そのために苦境に陥った薫子の娘セイラに必要以上の冷酷さで接する。もちろん貧しいものがこの世界で生きていくことは困難を伴うことが予想され、その逆境を生き抜くための試練を心を鬼にして与えるという描き方もできるわけだが、千恵子の場合はそのような高尚な存在ではなく、自分の感情の赴くままに未成年者を虐待し、自分の世界を守護するために容赦なく未成年者を切り捨てる。場合によっては未成年者に濡れ衣をきせて貶めて恥じることもないのである。そういう宿命の相手をしつつ神の気まぐれによって与えられ奪われまた与えられるセイラは富豪、極貧、富豪と立場を変えるのである。時には絶望の淵にも立つセイラだが再び、全能の大金を手にすると愚かな千恵子に救いの手を差し伸べる。そして愚か者は恥を知らないのでたやすくその手にすがりつくりである。なぜ・・・全能者は人々を愛するのだろうか。もちろん・・・貧乏人がいなければお金持ちであることの喜びを実感できないからである。貧乏人は金持ちを見上げ、金持ちは貧乏人を見下す。この図式こそが美しい物語の世界なのである。人々は今夜も祈りを奉げるべきだ。どうか持てるものが賢き人でありますようにと。そうでないと貧乏人のお先は真っ暗だからである。さらば増殖しないネズミたちよ。そしてプロポーズして答えを待たずにあきらめる亜蘭先生(田辺誠一)よ。謎のミレニウス女学院よ。小公女は小学生のプリンセスという意味だが結局、高校生のプリンセスなので高公女セイラにすればよかったのにというどうでもいいつぶやきよ。この世にお嬢様が絶えることがありませんように。そのためにも貧乏人はお金持ちになる努力を怠ってはならないのです。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『外事警察・最終回』(NHK総合091219PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・堀切園健太郎を見た。戦争と経済競争の境界線は曖昧である。しかし、人々は核戦争よりも経済競争の方が平和的だとなんとなく思うだろう。しかし、目的のためには手段を選ばないという言葉がある以上、経済競争のために核戦争があってもおかしくないと想像するべきなのである。

実際、経済競争のために密輸された戦争のための兵器が発見されたと報道されたばかりなのである。

そういうことはメッシが神がかり的に胸でボールをゴールに押し込んでバルセロナを勝利に導くのと同じように現実の出来事なのだ。

住本(渡部篤郎)は恐るべき茶番劇につき合わされていることを知る。

巨大な諜報組織・米国中央情報局の触手である官僚のジムが民間の警備会社のスペイダーと手を握り、テロリズムをビジネスにしようとしているのがことの真相だった。

そのために巨大な資本と時間が投入され架空のテロリストfishがでっちあげられたのだ。

ジムとスペイダーは警備会社を売り込むために売り込み先の国家にfishを送り込み、テロを計画させ、その情報を売り込み先の国家に流すことで国家的警備力の弱体を吹聴し、警備力を買わせようとしているのだった。要するに情報機関の上層部による小遣い稼ぎなのである。

住本の心を蝕む闇は「そんなことのために俺の協力者ニケは殺されたのか」と疼く。

国益の敵に一矢報いるために擬似テロリストの触手であるジュリオ(チェホ・イムレ)を捕獲した住本は擬似テロリストのリーダー・クレメンテ(ロア・アラン)をおびき出す罠を仕掛けることにする。

そのために愛子(石田ゆり子)に危険な協力を求めるのだった。

一方、住本に弱みを握られ、ニケの妻(遊井亮子)に邪な心を抱く久保田刑事(平岳大)は保身と小銭稼ぎのために松沢(尾野)に「住本の告発」のために協力を要請する。

すでに闇の中に身を置く松沢は久保田刑事のささやかな暗躍を軽くいなすのだった。

「雑用をすませたら・・・協力するわ」

松沢の雑用はもはや永遠に終ることはないのである。

松沢は住本のためにモグラ(二重スパイ)を炙り出す作業に着手していた。

モグラは元外事の五十嵐(片岡礼子)だった。

実際には存在しない建前の警視庁公安部外事第四課(ウラ)は実在する外事第1~3課(オモテ)を支配するZEROこと警察庁理事官・倉田(遠藤憲一)にも秘匿して活動を続行していた。

密かに村松官房長官(余貴美子)と通じている倉田だったが、倉田の上司でもあり住本の影の支配者でもある有賀警備局長(石橋凌)は当然のようにそれを察知している。

村松は米国警備会社と密かに通じて警備会社の日本進出について便宜をはかるとともに見返りを求めようとしていた。

「それは国益を損なう」と意見具申する倉田だったが、村松と有賀はすべては条件次第だと柔軟な対応を考える。

すべては「利」に基づく事柄であった。

「向こうがこちらを利用しようとすればこちらも向こうを利用できる」と村松は微笑む。

五十嵐がなぜモグラになってしまったのかは語られないが、妄想で補完すればジュリオが愛子と情を通じたようにクレメンテと情を通じたと考えるのが穏当だろう。

ミイラ取りはミイラになるのが宿命なのである。

住本班はジュリオを囮にしてクレメンテと爆薬の所在を掴むと同時に、松沢は単独でクレメンテの愛人である五十嵐に現場へと案内することを強要する。

松沢は倉田が住本班に送り込んだモグラであると同時に住本が倉田の元へ送り込んだモグラだった。そして同時にかっての協力者である愛子をかっての運営者として保護しようとしていた。

五十嵐「もう・・・元いた場所へ帰りなさいよ」

松沢「私には能力がないと言うの」

五十嵐「そうじゃない・・・あなたには帰れる場所があるってことよ」

松沢「そんなもの・・・もうないのです」

しかし、一瞬の隙をつかれ、松沢は失神し五十嵐の逃走を許す。

現場では住本がクレメンテを追い詰めていた。

住本「あきらめろ・・・起爆装置はダミーだよ」

クレメンテ「手榴弾が一個あれば同じことさ」

そこへクレメンテのオーナーである警備会社から連絡が入る。

クレメンテ「どうやらゲームは終ったようだ」

米国情報部員、警備会社と日本政府要人、警備局の間でトップ交渉が成立したのだった。

おおよその取り分は米国側6、日本側4という決着だった。もちろん資金源は国民の血税である。結果としては日本側が米国側の仕掛けた偽装テロに屈した形である。

住本にも有賀から連絡が入る。

有賀「テロリストはいなかったという結論で手打ちをした。クレメンテはCIA経由で解放する」

住本は心の底から納得がいかなかった。

住本「テロリストはいますよ。目の前に・・・真実なんてあってないようなものですから・・・いると思えばいるのです。人間は信じたいものを信じることができる生き物ですからね」

クレメンテ「おいおい・・・戯言はやめてくれ・・・ゲームが終れば握手で別れるのが大人というものだろう」

住本「いや・・・お前には黒幕を吐いてもらうよ・・・」

住本はクレメンテに拳銃を突きつける。

クレメンテが進退に窮した時・・・銃声が響く。

撃ったのは保険として見届け人となっていた米国の回し者である。もちろん口封じのためである。

狙撃者は住本も狙うが間一髪、五十嵐が身代わりとなる。

五十嵐「いつのまにか・・・とりこまれていた」

住本「何も言うな・・・分っているから」

五十嵐「私は帰りたい・・・外事として死にたいの・・・」

住本「殉職扱いになるように善処するよ」

そして・・・住本は手榴弾をとりあげテロリストの自爆を偽装した。

松沢は爆発に巻き込まれ顔に傷のある女になった。

隠し様のない大爆発と意図的にリークされた情報で・・・架空のテロリスト「fish」は実在となった。

五十嵐から住本の手を経由して有賀は有効な情報を握った。

米国側の二人がクレメンテと一緒に写った証拠写真だった。

国益の敵「馬鹿な・・・テロリストなんて存在しないとあんたも知っているだろう」

有賀「そちらが膨大な予算と周到な準備で育て上げたフェイク(偽者)だ・・・充分に本物として通用するだろう・・・これがそっちの上に知られたらやばいだろう?」

再交渉の結果、米国の取り分4、日本の取り分6ぐらいになった模様。

そして・・・有賀と住本はすべての責任をとって警察を退職した。

もちろん・・・表向きの話である。

住本の妻子は表向き復縁した。もちろん、住本の妻は裏ではどこかの組織の工作員であることは疑いようのないことである。

そして愛子の夫は愛子の信頼に応え一時的に機能を回復する。実際に最近は植物状態からの回復の成功例があるから奇跡ではないのである。このことは脳死と誤診された植物状態の患者が臓器提供処理された可能性のあることを暗示している。

松沢は倉田と対峙した。

松沢「私は・・・警察の暗部を知っています・・・消しますか・・・それとも利用しますか」

倉田「ふふふ・・・すっかり住本仕込だな」

松沢「私は住本を越えてみせます」

倉田「まだまだだよ・・・私が嫌いなあの男は裏から抜けたわけじゃない・・・裏の裏に潜り込んだだけさ」

松沢(ニヤリ)

世界のどこかの裏通り。スーツに身を包んだ住本は刺客に襲われる。

住本(ニヤニヤ)

たとえ・・・住本の死体が発見されても騙されてはいけない。住本は死なず。ただ裏の裏の裏に潜り込んだだけなのだ。

そして、今日も地球は回っている。昼の世界は光に満ち、夜の世界は闇に包まれて。

・・・大傑作。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)『火と汐』(TBSテレビ)

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2009年12月19日 (土)

勘違いしないでアンタッチャブルなのだから(仲間由紀恵)最終決戦嬢王V?12(原幹恵)暗闇にさようなら(黒川芽以)

気がつけば今年の秋ドラマはクリスマスを前にほとんど姿を消していくのである。そういう意味でいろいろな問題はあるが「クリスマスのデート」を決め手にしてきた「東京DOGS」は月9の伝統をおごそかに受け継いでいるとも言える。そして「アンタッチャブル」もまた最後に聖なる夜を匂わせてくるのだが、実はホラー映画としては常套手段である。クリスマスは言わずと知れたナザレのイエスの生誕を祝う祭日だが、その裏返しには「闇の子」の誕生を示すオーメンの物語が存在する。神の精霊により処女マリアが懐妊するように闇の精霊もまた獣の数字を持つ御子をこの世に為さしめる。「アンタッチャブル」は解読次第でその手の物語であることは明らかであろう。そういう妄想がらみで見ないともたない作品ではあるが。

一方、深夜にわが道を行く「嬢王世界」は暗闇に飛び込む聖女の物語である。

そこには男を食い物にする女たちの神々しき戦いが繰り広げられるが・・・最後は真の闇に堕ちかかる天使をその他の天使たちが救うという冒険譚になっている。女と女は激しく憎悪し、やがて女と女の愛にたどり着くのである。ヒロインの男の恋人が最終話から退場させられるのは本筋ではないから・・・ということになるのだな。

今季の金曜日のドラマは非常に刺激的でいろいろな意味でかきたてられるものばかりだったな。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子~・第9回(最終回)』(テレビ朝日091218PM9~)脚本・橋本裕志、演出・唐木希浩を見た。遼子(仲間)の身近な存在であると言う謀略家「名無しの権兵衛」・・・その一人と目された鷹藤(佐藤智仁)の卒業文集の魂百までの醜悪な過去は捏造されたものだった。その情報をもたらしたものは遼子の兄の鳴海刑事(小澤征悦)の部下である片山刑事(辻谷嘉真)だった。しかし・・・鳴海刑事はその仮説を否定する。

鳴海「片山は俗人すぎる・・・名無しの権兵衛はもっと高尚な人間のはずだ」

江島博士(荻野目慶子)殺害の容疑で全国に指名手配された鷹藤だったが・・・遼子に電話で無実を主張する。

先週から優しくされて鷹藤が気になる異性になってしまった遼子は素直にそれを信じるのであった。

一方、永倉(寺島進)の主導する新政党・地球党に対抗するために与野党は大連合で応じ巨大政党・新世界党が誕生する。

脅威を感じた永倉は新世界党幹部を暗殺するために毒ガステロを計画する。

協力を求められた天才児・遠山(要潤)は父親を殺害されたことを理由に拒絶しようとするが、永倉は新たな人質として遠山の遺伝子によって誕生した遠山ジュニアを提示するのだった。もはやファンタジーの領域に突入したのである。

テロ計画は新世界党の結成パーティーで来賓として参加する地球党の子供たちを含めて犠牲とすることを前提としていた。

遠山はこのテロを阻止することを決意し、鷹藤と情報を交換する。そして遼子におそるべき真実を告げるのだった。

「永倉を影であやつり・・・君の両親や鷹藤の家族を爆殺したのは・・・君のお兄さんだ」

「そんな・・・お兄ちゃんは・・・私のたった一人の家族なのに・・・」

非力ながらテロを阻止しようとする遠山はパーティー会場を警備する警官に拘束されてしまう。

絶望に襲われる遼子の背後に佇む鳴海刑事。

ついに対決の時は来たのだった。

「どうして・・・そんな馬鹿なことを・・・したの」

「あれほど真相には近付くなと言ったのに・・・聞き分けのない妹だ」

「カレーライスが好きで鯛焼きの好きないつものお兄ちゃんに戻ってよ」

「しかしお前の母親と精霊との交尾によって生れたのがお前の兄なのだ。お前の父親は聖なる浮気を憎悪し、そして俺に体罰をもって報いた。父親は神に嫉妬し、闇に堕ちたのだ。父親の中の光は人の子であるお前に注がれた。お前は溺愛され、お前の兄は乱暴に扱われた。お前の父親の闇はお前の兄に注ぎ込まれ、そして一匹のモンスターを育てたのだ・・・それが・・・俺なのさ」

「お兄ちゃん・・・まさか・・・頭に・・・」

「あるとも・・・聖なる獣の数字の刻印がな・・・」

「お兄ちゃん・・・かわいそう・・・」

「かわいそうではないよ・・・わが愛しい妹よ・・・俺はやがて輝ける光の帝国を築くだろう・・・そしてお前こそはその帝国の女王となるのだ」

「私はそんなものにはなりたくない・・・お兄ちゃんがやっているのはただの憐れな復讐に過ぎないの」

「復讐・・・そんなちっぽけなものではない。この薄汚れた世界を浄化し、正しい友愛に導かれた秩序ある理想郷を作る・・・これは革命なのだよ」

「愚かだわ・・・復讐と革命が同じことだとなぜ分らないの・・・」

「そんな味噌と糞を一緒にするようなことを言ってはいけないよ・・・さあ・・・防毒作業衣に着替えなさい・・・二人で新世界の到来を待とうじゃないか」

「こんな不細工なものを着ちゃだめだってコーディネーターが言うに決まっているでしょう。私があえてちょっとダサダサに着こなしているからってタイアップをなめないでただでさえ経費節減なんだから」

「じゃあ・・・その手で俺を葬るがいい。愛しい妹の手にかかるなら俺も本望だし・・・お前は俺を殺すことによって俺の孤独に触れることができる。人に正しくものを伝えるためには体験してみることが一番だと学校で習わなかったか・・・」

「私は闇を拒否するわ・・・ただ哀願するのみ・・・もうやめてください」

「それはできん」

しかし・・・鳴海刑事に家族を殺された男・鷹藤は・・・近親憎悪する兄を鳴海刑事に殺されたと思い込み恩義を感じる傀儡・永倉を人質にとり、鳴海刑事の計画をぶち壊す。

「毒ガスはどこだ」

「・・・あそこです」

警備陣によって発見される毒ガス発生装置。

鳴海刑事が配置した手駒もすべて逮捕されてしまう。

「ふ・・・これまでか・・・弘法も筆の誤りとはこのことだな」

駆けつけた警官に確保される鳴海刑事。

「お兄ちゃん・・・」

「まだ・・・俺を兄と呼んでくれるのか・・・愛しい妹よ・・・だが・・・案ずることはない。俺を裁くことは誰にもできないのだ。なぜなら・・・我こそが世界を裁くものなのだから」

心身ともにすべての人を置き去りにして去って行く鳴海刑事。

護送車輌を見送りながら・・・遠山が囁く。

「疲れているだろうが・・・締め切りが迫っている・・・君の兄のとんでもない罪のすべてを記事にできるかい・・・えーと全部で何人殺したんだっけ・・・まあとにかく死刑は間違いないよな・・・死体で山ができる感じ・・・まあ・・・何人かは人間じゃなかったのかもしれないけどね・・・いや失礼」

「真相を追究するのが私の仕事ですから」

そう嘯く遼子の目の前で鳴海刑事を乗せた護送車輌は制御不能となり、空中に舞い上がり火球となってやがて海中に没する。

人々は恐怖に立ち竦むのだった。

人の子である遼子は過去をたやすく忘れ去る。クリスマスシーズンを前に恐ろしいのは一人ぼっちの聖夜を過ごすことだけだった。しかし・・・今年の聖夜はきっと素晴らしいことが待っているにちがいないと信じる遼子である。

遼子の誘いを「ラーメンくらいなら付き合うよ」と受ける鷹藤。

そんな遼子の背後にはサンタクロースが立っている。そしてその影には闇の子が潜んでいた。

彼はつぶやく「メリークリスマス」と。

関連するキッドのブログ『先週の金曜日のレビュー

トリック

で、『嬢王Virgin・第12回(最終回)』(テレビ東京091219AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・岩田和行を見た。最終回のサブ・タイトルが「感涙驚愕結末!!最後の裸」である。「アンタッチャブル」の「虹の彼方」と比べると同じ地球上の出来事とは思えない。もちろん・・・舞(原幹恵)も堂々たる下着姿を披露するが、最後となると亜美(麻美ゆま)のポロリである。とにかくもう万歳三唱というか天晴れ連打である。

朋(黒川)は闇の王女である香織(かでなれおん)に拉致され、闇の組織の男たちに六本木近郊の倉庫街でいたぶられるのだった。

香織「よくも私からすべてを奪ってくれたわね・・・私の前にはいつくばって許してくれといいなさい。さもないと・・・

朋「・・・・・・」

一方、瀕死の床にある優衣華(原紗央莉)は舞に夢を託す。

優衣華「行きなさい・・・あなたの大切なゴールに向かって・・・そして私に勝って・・・あなたに嬢王になってもらいたいの」

舞は遅刻した。

しかし・・・すでにゲスト(客)にもキャスト(キャバ嬢)にも絶大な人気を誇る舞。たちまち店内は活気づくのだった。

過去のゲストも大量来店し最終回には華を添える。

そこへやってくる亜美。

亜美「朋が香織に拉致られたわ」

舞「私には嬢王グランプリがありますから」

すっかり舞贔屓になった珠里(木口亜矢)と翔子(横山美雪)はヘルプとして舞の売り上げに貢献するのだった。

加藤店長(津村知与支)「舞さん、ぐんぐん売り上げ伸ばしています・・・逆転も充分ありえますよ・・・」

客「俺・・・再就職できたんだ・・・ピンドンいれるよ」

客「ゴールはすぐそこね」

舞「ゴール・・・」

舞は回想した。くじけそうになったとき励ましてくれた朋。貞操の危機を救ってくれた朋。ライバルとして火花を散らした朋。そしてともにゴールを目指そうと誓った朋を。

舞は途中退場した。

夜の町を舞は走った。ハイヒールの踵が折れても走り続けた。ハニーフラッシュをしそうな勢いで走った。

その頃・・・倉庫では・・・香織が「しぶとい女・・・どうして謝らないの」と舌打ちしていた。

血まみれの朋はまさに裸に剥かれようとしいてた。一部愛好家が目をそらそうとしてもどうしても画面に釘付けになる瞬間。

失望と安堵のため息を背景に舞の登場である。

香織「この女も好きにしていいわよ」

男たち「どうせ殺すんならその前に味見させてもらおうか」

その手を払いのける舞。そして自らドレスを脱ぎ去り青い下着を披露するのだった。

このシーンのために絞りすぎたんじゃないかと心配になるほどのナイス・ボディーだ。

舞「どうにでも好きにしていいわ。やりたければやればいい。そのかわり朋ちゃんは助けてあげて」

香織「馬鹿じゃないの!・・・こんな女のために」

舞「私は決めたんです・・・どんなにつらいことからも逃げないって・・・」

そして下着に手をかける舞。

朋「やめてーっ」

泣きじゃくる朋だった。

朋「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・

舞「力で人を押さえつけたってむなしさが残るだけじゃないんですか」

朋「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・

香織は心が折れた。そして闇の中へ退散した。男たちは下半身の疼きと戦いながら追従するのであった。

朋「ごめんなさい・・・

舞はそっと朋の手を握った。

ふたたび「MUSELVA」に戻った舞。その乱れた服装にすべてを悟った客(伊佐山ひろ子)は「三分あげるわ・・・着替えてらっしゃい」と言葉をかける。

その頃、朋は優衣華の病室に現れていた。舞の代わりに優衣華を看取るためである。

最後の追い込みをかける舞。病床で最後の戦いをする優衣華。ついに「嬢王GP 2nd」には終了のゴングが鳴らされる。

優勝は優衣華だった。不在の嬢王に沈黙する店内。

加藤店長「わずかに及ばなかった2位は舞さんです」

客は暖かい拍手を贈った。

「優勝しなければ滅びるのみ」という哲学の主催者・雨宮(永田彬)は口を閉ざす。

その時・・・訃報を伝えるために朋が駆けつけた。

舞「一言挨拶させてください・・・嬢王になった優衣華さんはここにはいませんが、最後まで戦いぬきました。私は優衣華さんにもそしてお客様にも大切なものをたくさん与えてもらいました。そして・・・ゴールすることが大切なのではなく・・・ゴールまでの道程が大事なのだと教わったのです。どうか・・・乾杯してください。嬢王優衣華さんに・・・乾杯」

客たち「乾杯」

名残を惜しむ客たちの中に姿を見せた初代嬢王・藤崎彩(北川弘美)・・・。

彩「キャストにとって・・・一番大切なことはお客様との心のやりとり・・・あなたはきっと素晴らしい嬢王になれるわよ・・・」

事務所の先輩の言葉にはにかむ舞だった。

ものいわぬ優衣華の亡骸に嬢王のティアラを奉げる舞。

おめでとう・・・よくがんばったね

エピローグである。

闇の帝王・桐島(大河内浩)から独立を許される雨宮。

桐島「それが娘の願いなのだ」

非情の男、雨宮の前から人々は去って行く。

雨宮「俺は・・・負けたのか・・・」

舞「あなたは私に・・・心なんて捨てろと言ったけれど・・・それでは戦う意味を感じることもできなくなってしまうでしょう・・・今なら間に合います・・・あなたを愛してくれる人がいるのですから」

雨宮は闇の帝国を出てファースト・フードで働く香織に会いにいった。

そして・・・香織を取り戻した。

店長は亜美にプロポーズした。

亜美「こんなズブズブの愛人あがりの女なんてやめておきな・・・私は人より犬がお似合いなの」

店長「私は亜美さんの犬になります

亜美(ぽろり)

店長と亜美は結婚して花屋になった。

初体験の相手である桜木(大口兼悟)から舞に花が届く。

桜木「ゴールまで走り続けたあなたを尊敬します」

表の世界の男は・・・結局すべてから逃げたのか。

朋「これからどうするの?」

舞「優衣華さんみたいになりたいれど・・・私はあんなに輝いていないし・・・」

朋「舞には優しさがある。私の心を照らしてくれた・・・舞は充分輝いているよ

そして・・・朋は流離の旅に出るのだった。

やがて舞は・・・夜の闇の中で輝く蝶になったと言う。

次なる原幹恵はTBSの深夜ドラマ(2010年1/20スタート)「新撰組異聞PEACE MAKER」に登場する模様。山崎烝の姉役である。もちろんくのいちだ。その運命は・・・。「菅野美穂の曲げられない女」と戦うのか・・・そりゃ・・・困ったな。ま、鬼が笑うからこの辺で。

日曜日に見る予定のテレビ『坂の上の雲』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

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2009年12月18日 (金)

疾しいときには向きになる(多部未華子)愛に怯えるセレナーデ(小雪)

心にやましいことがあると向きになるタイプは表のリーダーには向かない。

ただし、向きになっても可愛い感じだとそれなりに愛される。

与党の影の支配者が損をしているとすればそういう点だろう。

こればかりは天が与えるものなので仕方ないのだな。

しかも陰謀家としてのなみなみならぬイメージがあるわけである。

昨夜から朝にかけて関東地方は地震が相次いだ。

かって政権交代時に関西で大地震があったことを思い出す。

天変地異と政治が関連するわけはないのだが、それはどちらも運命ではあるのだな。

官僚と対峙することを大衆が望み誕生した政権である。

それは乱に他ならない。そうした乱を招いた官は猛省するべきだが、民はまた乱を望まない。

どこに和を求めるか。不安な日々は続く。天変地異はそこに追い討ちをかけることがある。

それは天変地異は政治とは無関係に起こるからである。

政治はいつでも待ったなしだということをそろそろ新政権は自覚する頃合いだと考える。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%↘*9.9%↗11.8%↘10.7%↘10.6%↗11.4%↘10.9%↘10.8%

②大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%↘*9.6%→*9.6%↗10.6%↗11.0%↘*9.9%↘*9.3%↗10.1%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%↘*7.8%↘*7.6%↘*6.0%↗*8.4%→8.4%↘*7.0%↗*9.8%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください。

・・・「セイラ最終回」を残しているが・・・とりあえずいい勝負だったと思う。

で、『不毛地帯・第10回』(フジテレビ091217PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・水田成英を見た。あくまで架空の物語なので韓国と言ってもあの韓国ではないのである。ただし、あの韓国では昭和45年(1970年)の大統領は朴正煕である。大日本帝国の陸軍士官学校出身で日本名は高木正雄だった。日本語が上手なのはそのためである。この時、50代であるが、28才までは日本人だったのである。1963年に大統領になり1979年に部下に射殺されるまで16年間、軍事独裁政権を布いた。1965年に日本と国交回復することで得た多額の資金を使い現在の韓国の繁栄を築いたある意味優秀な独裁者である。とにかく北の独裁者が人民をひたすら貧しくしていったのに対して南の独裁者は国民をまがりなりにも豊かにしていったのだった。

米国からの帰途、壹岐(唐沢寿明)が韓国に立ち寄ったのはフォーク社との仲立ちをした実業家・李(榎木孝明)への答礼だったが、李と同じように陸軍士官学校の仲間である韓国大統領と旧交を暖め、日本の後を追いかけて経済成長を遂げる韓国とのビジネスのパイプを作ったのである。

ビジネスマンとして中途採用の壹岐はコネクションの利用によって手土産をつくり、里井副社長(岸部一徳)らの出る杭は打つ的な態度を緩める努力をする他はないのであった。

しかし、そういう壹岐の低姿勢をいいことに里井はつけあがる。

このあたりの里井の厚顔さは実にみっともないのだが、そのくらいでないとビジネスの戦場では生き残れないわけである。

壹岐は戦地に屍をさらした無名の戦士たち、潔く自決した上官、そして虚弱ゆえにシベリアから戻れなかった戦友たち、さらには愛妻の屍の上にたち、それでも生き恥をさらしていく自分に忸怩たる思いを拭い去ることはできない。

けれど生きていくということは所詮そういうことなのである。

そんな壹岐の心の支えはすでに鮫島と名を替えたが、東京の壹岐家を護る長女・直子(多部未華子)だった。

だが・・・それだけでは壹岐の心の空虚さは埋まらないのだった。

自決した上官の娘、秋津千里(小雪)からの陶芸展の招待状に胸が高鳴るのである。

そんな壹岐の心を見透かしたように亡妻・佳子(和久井映見)の怨念は孫である赤ン坊を泣かせるのだった。

もちろん・・・そんなことでは壹岐の心は停まらないのである。

いそいそと陶芸展に出かけた壹岐は千里との2年半ぶりの逢瀬にひたる。

客の引いた会場の暗がりで千里にコートを着せ掛ける。それだけで壹岐の心は半ば満たされるのだった。もちろん、半ばであって・・・壹岐の妻の死を知って婚約解消をした千里もまた心の空虚を埋めるべく壹岐をひたすらに見つめる。

はっきりいってものすごく悠長なのである。

壹岐は千里の作品をねだり、千里に手によって作られた壺を手元に置くことで満足を得ようと考える。

しかし、千里はニューヨークでのデートをおねだりするのだった。

そんな気配を知っているかのように壹岐をちょっとつついてみる直子だった。

「千里さんてすごく美人よね・・・ああいう方ってパトロンみたいな方がいらっしゃるのかしら」

「そんな・・・失敬な」

「おやおや・・・むきになっちゃって・・・怪しい」

そんな風に娘にからかわれて甘酸っぱいのか・・・壹岐正。

東京での社内内部の調整を終えてニューヨークに戻るとフォーク社との条件交渉が待っており多忙な壹岐だったが・・・千里の米国入りを一日千秋の思いで待ち望んでいるのである。

千代田自動車のこととか、東京商事のこととか、通産省のこととか・・・どうでもいいじゃないかという気分があります。

そして、千里を相手に陸軍諜報部仕込の社交ダンスを披露するのだった。

ニューヨークの夜は更けていくのである。

そしてダンスですっかり満足する壹岐だったが、千里の生殺し状態は続く。

ニューヨーク最後の夜に千里はついにアタックに出るのである。

「まだ帰りたくないの・・・」だ。

壹岐はついに自宅に千里を招く。

「見せたいものがある」と千里の壺をみせて愛を告白する壹岐。連続ドラマ10回をかけてついに結ばれる二人だった。日本の敗戦、シベリア抑留、近畿商事の興亡・・・すべてはこの一夜の契りのためにあったのだな。

しかし・・・壹岐にすべてを奉げた千里はたちまち不安にかられるのだった。

壹岐は壺を手元に置きたがるが生身の自分を置きたがらないかもしれないという予感に襲われたのである。

もちろん、壹岐がそういう女心をはかりかねる男であることは言うまでもないのだった。

壹岐は家庭を思うだけで11年間のシベリア抑留に耐えられる男なのである。

そんな壹岐の前に里井は牙を剥き出しにして襲い掛かるのだった。

「ご苦労だったけど、君の仕事は白紙に戻して美味しいところはこの里井が全部いただくよ」

フォーク社と千代田自動車の提携話を私物化しようとする里井に我慢の限界を感じ殺意を芽生えさせる壹岐である。

しかし・・・その続きは来年なのである。一ヶ月も待ったら全部忘れちゃうよね。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『尾野真千子の外事警察』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)『石原さとみの椿山課長の七日間』(テレビ朝日)

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2009年12月17日 (木)

愛の記憶喪失(吉高由里子)待っている女(星野真里)しらばっくれる女(井上和香)

リップ・ヴァン・ウィンクルを知ってますか?・・・といえば映画「野獣死すべし」(1980)の松田優作である。

リップ・ヴァン・ウィンクルは19世紀の米国作家ワシントン・アーヴィングの小説の題名であり主人公の名前である。

リップ・ヴァン・ウィンクルには口うるさい妻がいて彼は閉口している。ある日、猟師である彼は深い森に迷い込む。そこで不思議な老人に出会った彼は不思議な広場に集う不思議な男たちの遊びに参加する。ゲームはボウリングである。そのあまりの面白さに夢中になる彼。やがて男たちの宴会に参加した彼は美酒に酔う。目が覚めて森から町へ戻ると彼にとっての一夜は実は20年だった。すでに彼の妻は他界しており知り合いはすべて年老いていた。

日本人の多くは即座に昔話「浦島太郎」を連想するだろう。

ここで疑問になるのは昔話の浦島太郎にはなぜ妻がいないのか・・・ということである。

逆に言えばリップ・ヴァン・ウィンクルにはなぜ妻がいるのかと言う話である。

ここに「愛」についてのひとつの秘密がある。

愛し合った夫婦に訪れる倦怠期・・・そしてその結末のありかた・・・なのである。

この題材を愛する作家は多い。邯鄲の夢(一夜の夢が永遠を秘める)的な要素を転換すると「記憶喪失」という手法になる。

それをロマンチックに感じる人々は多いらしい。

たとえば小劇場の芝居ならまだしもドラマ化して失敗した「歌姫」がある。記憶を失った男が見知らぬ少女と愛を交わし、過去に置き去りにした妻があることに困惑するという話である。

なぜそれが失敗するのかについては歌姫の時に語ったので書かない。

しかし、「東京DOGS」が男を女に変えただけでまったく同じ路線であることは指摘しておく。記憶を失った女が刑事と愛を交わし、過去に置き去りにした犯罪者の恋人があることに困惑するという話である。

まあ・・・誰だって最初のことってあるからな。

で、『東京DOGS・第9話』(フジテレビ091214PM9~)脚本・福田雄一、演出・成田岳を見た。楽しかった「ギネ」が終わり、ゆとりが生じたのでこの話をしておきたい。刑事コントときどきサスペンスのこのドラマは深夜でやればいいのにプライム・タイムでやり、しかもそこそこ高視聴率である。このメンバーで真面目に刑事ドラマやったときの視聴率と比べようがないのでなんともいえないが・・・キッドとしてはものすごく残念な感じだ。

「へへへ、お茶の間なんてこんなもんでげすよ」という下衆なスタッフの声が聴こえてくるのである。

・・・あくまで妄想です。

麻薬という「人間」を著しく傷つける薬物を利用した犯罪をめぐるドラマである。常識的に考えて麻薬犯罪シンジケートのボスの神野(仲村トオル)の愛人である由岐(吉高)は麻薬漬けになっているはずである。

「彼が犯罪者だなんて知らなかった」と由岐は言うのだが・・・顔さえ忘れていた男が犯罪者がどうか知っていたのか知らなかったのかも断定できまい。

そして17年前に高倉刑事(小栗旬)の父親を殺害した神野は現在40才。23才の時には警察も正体をつかめない麻薬犯罪シンジケートのボスだったということになる。

名前以外はその正体が一切不明という謎の人物である。

ある意味、警察はものすごく無能である。

ところが由岐が「顔を思い出した」ので似顔絵を描くとたちまち、神野の正体は判明し、その生い立ちまでが明らかになるのである。

ある意味、鈴江刑事(志賀廣太郎)はものすごく有能である。

もちろん・・・そんな馬鹿な話があるかっというところだが、脚本的には笑うところなのだろう。そんなわざとらしい笑いにのれるかよ。

ただもう・・・唖然とするしかないのだな。なんでそんなことが楽しいと思うの?

とにかく、記憶を失って少女のようになった由岐を保護監視するうちに愛を感じ始める高倉刑事とその相棒の工藤刑事(水嶋ヒロ)なのである。

しかも由岐はなんとなく高倉刑事を好きになっていく。

そこで話の伸展にあわせて都合がいい感じで蘇る由岐の記憶。

これを解説するのが民間の医師・西岡(ともさかりえ)である。これがまたものすごく話の進展にあわせて都合のいい感じで由岐の病状を解釈していくのだ。

警察監修と医療監修がクレジットに名前を連ねているのだが・・・ちゃんと仕事しているのか・・・ものすごく疑問である。

警察監修「そんな警察はありませんよ」

医療監修「そんな精神障害はありませんよ」

スタッフ「まあまあ、あくまでフィクションですから」

こういう会話が毎週繰り返されていることは間違いない。

・・・あくまで妄想です。

とにかく・・・あれだ・・・神野は築き上げてきた悪の帝国を投げ出すほど由岐を愛してしまい、高倉刑事は父の復讐を忘れるほど由岐を愛してしまい、工藤刑事はなんとなく由紀を愛してしまったのである。

はたして・・・由岐の愛の記憶は誰を選択することになるのか・・・そんなことを今さら言われてもなぁ・・・なのだけれど。

ここはジュリーの歌でも聞いておくか・・・。

極悪の犯罪者と無垢の娘の許されない愛。犯罪者の愛人と正義の刑事の許されない愛、親友の恋人に片思いの元・暴走族総長の許されない愛を思いながら・・・。

忘れられないけど

忘れようあなたを

めぐり逢う時が

二人遅すぎた

関連するキッドのブログ『第1話のレビュー

で、『相棒・Season8・第9回』(テレビ朝日091216PM9~)脚本・ハセベバクシンオー、演出・和泉聖治を見た。さて「ギネ」とのダンスを終えた「相棒」である。新・相棒の神戸刑事(及川光博)もかなり馴染んできています。さて、この脚本家はサラブレッドなのでどちらかといえば趣味的な感じの作品を提示する。今回は「仮出所者の失踪事件」である。もちろん、塀の外と内の物語は斬新だ・・・というほどではないが、やはり変化球なのである。もちろん、それが共犯者の出獄ということになれば「分け前をめぐるもつれ」も常套手段だが・・・そのあたりをふまえて・・・巧みな物語を構築していて渋いのである。

今回は塀の中にいる受刑者塀の外の愛人・美代子(井上和香)が秘密の通信をしていることが鍵となるのであるが、それはまあ置いておきます。

美代子である。もう・・・水商売の女選科になってきた井上和香がいい味出してます。

美代子の同棲中の情夫は麻薬取引の現場を強襲してヤクザから麻薬と金を強奪するというワイルドなチンピラ。しかし、検問でひっかかりあえなくお縄に・・・。

残された美代子は隠されていた現金を取りあえず使っちゃいます。もう高級な腕時計が欲しいと思ったら我慢ができない女です。

そして残された現金を使っちゃうと塀の中の男には未練がありません。

しかし・・・塀の中から男が「金目のものがある」と便りをよこすと目の色をかえて男に協力します。ものすごくやばい橋を平気で渡るタイプです。

明らかに阿漕な女ですが・・・右京(水谷豊)はどちらかといえば好意的な視線で最後まで接します。

荒んだ生活をしているのですから少しぐらい荒んだ性格でも仕方ないですねぇ・・・。

こういう姿勢。最後には美代子に協力させて途中で発生した殺人事件の真犯人に罠を仕掛けたりなんかして・・・。

違法捜査ギリギリですが・・・まあ・・・いつものことですからねぇ。

そして・・・美代子は何事もなかったように・・・汚れた金で買った腕時計を身に纏い嬉々として夜の闇に舞い戻ってく。

これはこれでファンタスティックでございます。

どこにでもいそうな特別じゃない夜の蝶・美代子・・・再登場してもらいたいくらいです。

関連するキッドのブログ『第2話のレビュー

で、『浅見光彦・最終章・最終回』(TBSテレビ091216PM9~)原作・内田康夫、脚本・石原武龍、演出・村上牧人を見た。とにかく編成的に無謀な戦いを仕掛け、木端微塵に砕け散った沢村一樹の浅見光彦なのである。

本シリーズの最終話のヒロインは光彦の幼馴染の野沢光子(星野真里)である。

ちなみに月曜ゴールデンの浅見光彦(沢村一樹)24「漂泊の楽人」(2007年)のヒロイン・漆原肇子も星野真里だ。

とにかく・・・家族にはやく結婚しろとせっつかれる奥手の男である光彦が事件に巻き込まれ、ヒロインといい感じになるが絶対にヒロインとは結ばれないというのがお約束である。

結婚できないルポライターなのである。

今回も幼馴染の光子は昔から・・・光彦のことが大好きで今回も「抱きしめてくれるのを待っています」まで言うのである。

そして、最終章の最終話なので兄(風間杜夫)から「女を口説くのはえいやあとうだ」というアドバイスを受け告白にのぞむ光彦。

しかし・・・すれちがって光子は車で走り去る。

とにかく、しばらくは走って車を追いかける光彦。

走る。走る。走る光彦。車の中では光子が光彦の写真を見て微笑んでいる。

しかし・・・雪道でついに力尽きる光彦。峠の釜飯をおみやげに買って帰るのである。

後で電話しろよ~とお茶の間は絶叫なのだが・・・。

それが世界最強の恋愛へたれが売り物の浅見光彦シリーズなのです。

関連するキッドのブログ『浅見光彦・姫島殺人事件

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『アンタッチャブル』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)『加藤ローサのシスター』(NHK総合)

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2009年12月16日 (水)

信じあうことで勝つのです(戸田恵梨香)信じさせることで勝つんだってば(松田翔太)

疑心暗鬼とは「疑心暗鬼を生ず」という「列子杲斎口義-説符篇」の注釈に示された言葉である。

男が斧を失くす。そして隣家の男が盗んだのではないかと疑いを持つ。すると隣家の男はいかにも盗人のように歩き、盗人の顔つきをしているように見え、盗人のように話していると聴こえる。しかし、斧は男がただ山に置き忘れていただけだった。それに気がついて隣家の男を見るとそこには盗人らしさは微塵もなかった。

そこで猜疑心が存在しない鬼を作り出すことが説かれるわけである。

四回戦で直(戸田)は「善意を実現するためにウソをつくこと」を覚えたわけだが・・・人を騙せるようになったからといって騙されないとは限らないということである。

ライアーゲームでは「人がウソをつくこと」が前提である。なにしろ、世界で一番のお人好しである直までがウソをつくのである。

格差のある社会では誰もが幸せになれることが分っても人は幸せにならない・・・という趣向を含むゲームである。

もちろん・・・それは疑心暗鬼を生ずという心理的要素も含んでいるが・・・秋山(松田)と葛城(菊地凛子)の対決は別の因縁を持つようだ。

もちろん・・・みんなが幸せでは幸せになれないという特殊な心理も考慮しないといけないし。

隣家の男はこれから斧を盗もうと考えているのかもしれないし。

結局、嘘つきの世界では見破られない嘘をついたものが一番嘘つきなのかもしれないし・・・。

火曜日のドラマ対決は①「ウソゲ」↘*9.3% ②「リアクロ」↘*8.3%

早めの忘年会か・・・。「ベストアーティスト」14.6%か。カラオケの予習か。

で、『 2・第6回』(フジテレビ091215PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・長瀬国博を見た。LIAR GAMEセミファイナル前半戦は天使と悪魔ゲームである。リハーサルによって生じたアドヴァンテージのために格差が生じている状態でゲームはスタートされる。30分×3ピリオドの90分の間に天使と天使が結ばれることで生じる十字架を4本持つものが前半戦を通過できるというルールである。

(第1ピリオド)

グルであることが明らかになったと同時に天使であることが判明した三人はそれぞれが結ばれ十字架を作る。

その結果。

天使の葛城++ 天使のマリエ(MEGUMI)++ 天使の安川(春海四方)++

告白を信じれば悪魔の福永(鈴木浩介)

同様に天使の、天使の秋山

残りのメンバーは顔なじみの土田(森下能幸)、謎の高校生ヒロカ(武井咲)、濃い顔のタツヤ(姜暢雄)、色白のテッペイ(忍成修吾)、鉄人28号を操る金田正太郎のようなワタル(夕輝壽太)、ゴールドクローのようなモモコ(片桐はいり)の六人である。

福永の告白を信じればこのうちの一人が悪魔である。

葛城「私たちは完全に有利。私たちのグループに入れば天使でも悪魔でも救済します。ただし十字架4本になったら募集は終了します。だから早いもの勝ちです・・・しゅへっ」

ロケ地がボーリング場なのでピンを立てる葛城だった。

脱兎の如く駆け出す一同。

秋山「待て・・・この中で不利なのは悪魔だ。だから悪魔は最初にグループ加入を申し出る。この女はそいつを仲間にすると思うか?・・・つまり・・・参加を申し出た人間はこのゲームに勝てない」

秋山はボールを投げる。ガーターである。

(第1ピリオド終了)天使10 悪魔2

秋山はインターバルで宣言する。「俺には必勝法がある」

(第2ピリオド)

秋山「俺はこの腕時計のシステムを知っている。この腕時計は医療用の特殊な振動数を持つ電磁波を発しているのだ」

そしていつの間にか作った怪しい振り子を取り出すのである。

秋山「この振り子で天使と悪魔を判別できるのだ」

秋山、直と福永が振り分けられる。

ここでタツヤが参戦。秋山、直、タツヤが同種であると秋山が宣言。悪魔は二人なので三人は天使だと判明したと秋山は告げる。

そのためにモモコも判定を受け・・・それぞれが天使であると考え腕輪を交わす。

直+++、秋山+++、モモコ+++、タツヤ+++である。

このままでは敗北する葛城はクレームをつける。

葛城「でも悪魔を助ける人がいるかしら?」

秋山「助けるさ・・・最後にな」

葛城「それは・・・どうかしらね・・・」

直「助けます」

福永「頼む・・・直ちゃん・・・今助けてくれ」

秋山はノーのサインを出すが、直は暴走し天使モード全開で福永を救済してしまう。

天使の福永、悪魔の++→天使の

さらに福永は天使たちと交接する。

福永++++、秋山++++、モモコ++++、タツヤ++++、++である。

ここで葛城は秋山の嘘をばらす。

「秋山くんたち三人はグルだったのよ・・・そして・・・もう四人は十字架4本達成しているから協力しないでしょう・・・残りのみんなは私たちの仲間になるしかないの・・・しゅへっ」

もちろんキノコこと福永は「ごめん、直ちゃん・・・その通りなんだーっ」と協力拒否の姿勢である。それに賛同するモモコとタツヤ。

直「そんな・・・ひどいですぅ」

葛城「さあ・・・残りの皆さん、こちらへどうぞ」

なんとなく・・・流れで葛城にいきかける残りのメンバー。

しかし・・・ワタルは残留する。

直「どうして・・・」

ワタル「昔・・・火事場からボクを助けてくれた友人がいました・・・そいつはガンで死んじゃったけど・・・みんなを救いたいっていう君をみていたら・・・彼のことを思い出して・・・」

キノコ「嘘くさーい」

秋山「で・・・どっちなんだ」

ワタル「もちろん天使さ・・・」

キノコ「嘘だろーっ」

秋山「いや・・・俺は信じる」

そしてワタルと秋山はまぐわ・・・交接した。関係ないけど、「ぷっすま」で小倉優子が「目合い」に凄く好意的に反応していてちょっと受けたのだった・・・そうなのか。

葛城「しゅへっ」

果たして・・・ワタルは天使か悪魔か・・・もしも悪魔なら。

天使のワタル、悪魔の秋山+++→天使の秋山++である。

そして、ワタルが葛城とグルなら・・・秋山と直は大ピンチ。

しかし・・・これで悪魔は消滅。

最後は直が「たしゅけてください」とおねだりすれば元々仲間の土田、悪役は似合わないヒロカ、最後はいい奴のテッペイが助けてくれてめでたしめでたし・・・なのかどうかは来週のお楽しみである。

ようやく直が愚かにも程があるだろ天使モードになって萌えなのである。

やはりこうでないとね。

それにしても秋山と葛城の過去の「何か」にまったく興味がわかないのはキッドだけでしょうか。しゅへっ。

関連するキッドのブログ『第5話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『忽那汐里と酒井若菜の7万人探偵ニトベ』(テレビ朝日)『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

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2009年12月15日 (火)

万華鏡はパラレルワールドの象徴(中谷美紀)仁は誤診(大沢たかお)鬼と涙(綾瀬はるか)

愛のために鬼になる。虫も殺さぬ顔をして女殺し。君子豹変級の変心である。

好きな女のために目の前の命を見捨てる主人公・・・。

ものすごく陰惨な話になってきました。

吃驚仰天である。

毎回、よくも悩む種が尽きぬものだと思うほど揺れ続けた仁の心は最後の最後でとんでもない境地にたどりついてしまったのだなあ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↘*6.4%(これは一回休みが効いたな)、「おひとりさま」↗11.0%(観月もてもてドリームか)、「マイガール」↗10.0%(甘~いハッピーエンドの極み)、「セイラ」↗*9.8%(最終回フタケタなるか)、「サムライハイスクール」↗10.1%(軽~い夢おち)、「外事警察」↘*4.1%(そりゃそうだな面白すぎるもの)、「終着駅VS事件記者冴子」15.7%(単に終着駅でいいのに)、「HERO」17.7%(年末年始だからな)、「坂の上の雲」↘19.5%(来週は一日三回見そうだ)、「仁」↗20.1%(凄いな・・・)、「さんスマクリスマス」22.2%(だってこれがあったんだぜ~)・・・以上。ついでに「東京ワンワン」の視聴率はショコラ様のTBへゴー!

で、『JIN~仁~・第10回』(TBSテレビ091213PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎を見た。人それぞれの命は突き詰めれば人それぞれの全世界である。命が全てであるというのはそういうことである。そうでありながら人は愛のためにその全てを失っても惜しくないと思いつめることがある。わが子のために命を投げ出す親だとか、失恋の後にリストカットとかである。命の掛替えのなさにくらべれば愛など代わりはいくらでもあるのが本当のところだが、人間の認識力は時に命と愛を天秤にかけ我を忘れることがあるものだ。ドラマはそういうあたりを狙ってくるわけである。

これまで仁(大沢)は目の前で苦しむ患者を捨ててはおけない・・・と失敗をおそれず手術を行い、伝染病の流行の中に身を投じ、歴史的にあってはならない薬を作り出し、効き目が薄いと改良を重ね、よりよき未来を作ることを恩師と約束し、歴史的有名人である友達が殺されそうになっても助けると約束してきた。

ところが悪魔の呪いがかかった(と思うしかない)マジックアイテムである未来の未来(中谷)の写真に変化が現れると「歴史を変えすぎたために未来が生まれなくなってしまう」と思い込む。

そして悪魔の囁きによって(としか思われない)「野風(中谷二役)が隠居した大名に身請けされないと未来が生れなくなってしまう」と信じるのである。

ものすごく激しい思い込みである。

たとえば「写真を撮るときに未来はただトイレに行ったのでツーショットでなくなった」可能性だってあるわけである。

逆に仁と野風が結ばれなければ未来は生れないという可能性もある。

しかし、このドラマでは「野風と未来が目の前で毒を飲んだ。解毒剤は一人分。どちらに投与しますか?」という究極の選択を提示するためにそういう流れを作っているわけだ。

残酷な世界があるのではなく、仁の心が残酷さを宿すためにである。

この脚本家は残酷な魂を持つ男に冷たくされたい変態なのだな。

あるいは悪魔になっても自分だけを愛してくれないとイヤというタイプなのである。

・・・あくまで妄想です。

タイムマシンで人類発生前の過去にやってきた冒険家が虫を踏み殺す。その虫こそが人類の共通の先祖であったために冒険家はその瞬間に消滅するというのはタイムパラドックスの初歩のアイディアである。つまり、人類は発生しなかったのにどうして男は虫を踏み潰せたのか・・・という矛盾が生じるからだ。

そういう初歩とは無関係に蝶の羽ばたきが嵐を巻き起こすという怪しいカオス理論の中でもさらに怪しいバタフライ・エフェクトを利用したストーリー展開である。

そのシンボルは万華鏡に現れる。

万華鏡は鏡と色紙あるいはセルロイド片によって構成される模様の変化を楽しむ玩具である。いくつかの断片は不変だが、それぞれの位置によって模様は変容する。

人と人が出会い運命を形勢するゆえに歴史の歯車が変則することによってまったく違う人間関係が出現するということである。

万華鏡の中で蝶模様は花模様になり花模様は別の蝶模様になる。

仁はその新しい局面を楽しまず・・・あくまで未来となった過去に固執するのである。

そのために身も心も奉げる咲(綾瀬)の愛にも気付かないし、死をもおそれずただ一夜の思い出にすがろうとする野風の切なく痛ましい思いもスルーする。

実はとんでもない男なのである。

だが、まあ・・・21世紀から19世紀にとばされた男なんてそんなもんだなという考え方もあります。

とにかく・・・仁が未来の未来以外のことにはあまりこだわらず時計の針をすすめたために時間は狂いだしているという趣きらしい。

だから・・・京都で長州尊皇攘夷派の必死の巻き返しを図っているはずの久坂玄瑞(林泰文)が江戸でうろうろしているし、神戸で海軍塾塾頭をしている坂本龍馬(内野聖陽)もまた江戸でうろうろしているのである。

さらに季節さえもが狂いだしているようだ。浅草と湯島の間にあるいかにも上野の山の桜並木を歩く仁。

すでに文久三年も暮れにさしかかり・・・枯れ枝である。しかし・・・足元の草むらは青々と萌えているのである。

そして咲は季節はずれの蝶の死骸を発見する。

時間は壊れかかっているのかもしれない。

あるいはタイムスリップというありえない経験によって仁の頭が壊れかかっているのだ。

さらに言うならば・・・すべては仁の妄想にすぎないかもしれないのである。

脳腫瘍により昏睡状態に陥った仁の夢の世界・・・。

しかし・・・つつましやかな野風の胸を触診した仁が探り当てた病が乳がんであり・・・医学所の医師・佐分利(桐谷健太)がわざとらしく・・・19世紀の初めに乳がん摘出手術に成功したとされる華岡青洲門下生であると匂わせている以上・・・結局は野風の乳がん摘出手術を仁がしてしまうだろうことも明瞭なのである。

それを前提として・・・未来の未来のために・・・野風の乳がんを一度は見逃す仁だった。

「いつかは忘れることができるでしょうか」

縁談の話が持ちあがった咲は2億5000万円で身請けの話の来ている野風に相談する。

武家の娘と苦界にある女郎とがガールズ・トークを展開するのはいくら男尊女卑の世界とはいえ・・・幸不幸の落差は激しいわけだが・・・ものすごい腕力でなんとなく成立させるのも腕前である。

「できません・・・でもそれが女の生きる道でありんす」

二人の片思いの女はえいえいおうえいえいおうなのである。

別れの朝。咲はがんばってお弁当を製作。

龍馬ほどではないが、少しは女心が分るようになった恭太郎(小出恵介)は咲の涙腺を刺激するのだった。

「お前が夢中になったのは医術じゃなくて先生なんじゃないのか」

「でも・・・優しい先生が心を鬼にするほどのお方が相手では叶わないと思うのです。原作ではヒロインなのにドラマ版ではオリジナル・ヒロインに負けそうなのです・・・しかも現在と未来のダブル攻撃なんですよ」

ともかく・・・咲のお弁当箱といえば黴団子だと思っていた純庵(田口浩正)は揚げ出し豆腐を見て複雑な気持ちになるのです。

一方、江戸で奇跡の長州・土佐会談を果たす。久坂と龍馬。

「長州は戦に負ける・・・それよりもペニシリンで儲けた方が富国強兵の早道じゃ」

居合わせた仁は歴史にくわしくないのでどれほど変な感じか分りませんでした。

しかし・・・龍馬を悪質な佐幕派と断じた久坂は龍馬暗殺を決意した模様。

刺客団に襲われた二人。龍馬は北辰一刀流免許皆伝なのでいい勝負をしますが多勢に無勢です。懐にはまだ短筒も隠していない模様。

「先生は・・・運命がわかるのか・・・」

どこぞの坂を転げ落ちた二人は神田川へ転落。

そして・・・龍馬は消えてしまったのである。

顔は仁、声は龍馬の謎の男の正体は。

そして未来は変わるのか。

本当のヒロイン咲の運命は・・・。

幕末・・・「陽だまりの樹」・・・ペニシリン・・・「火の鳥」・・・畸形嚢腫・・・「ブラックジャック」となんとなく手塚治虫色を感じるこのドラマ。

最後はほろ苦いのか・・・それともエンドレスなのか・・・。

いよいよ最終回である。ま・・・これはきっとあくまでアナザー・ワールドなんだよな。

続編のために未来のいない仁が過去に戻る展開だったりして。

キャストも第二の仁だったりして。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『相棒』(テレビ朝日)『浅見光彦・最終章』(TBSテレビ)

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2009年12月14日 (月)

坂の上の雲の下の椿(菅野美穂)ご武運お祈りしております(松たか子)

死亡フラグというものがある。「この戦争が終ったら彼女と結婚しようと思うんだ」と言ったら戦死確率100%なのである。・・・一部フィクションの話だろうが。しかし、武人は戦争前に子種を残すべきなので戦前に結婚するのが王道である。

そういう意味で好古(阿部寛)の結婚はまさにナイスタイミングなのである。

「子供の名前は男の子でも女の子でもいいようにもう決めてある」もかなり死亡フラグだが・・・現実とは恐ろしいもので好古は戦死しません。

「生きて帰ってくると約束してください」と妻・多美(松たか子)は見送りに出る。

しかし・・・好古はただ笑顔を返す。ものすごい死亡フラグだが・・・生きて帰ってきます。

だって日清戦争はあくまで前座なんですもの。

で、『坂の上の雲・第3回』(NHK総合091213PM8~)原作・司馬遼太郎、脚本・野沢尚(他)、演出・柴田岳志を見た。時間は刻々と過ぎていく。明治22年(1889年)五月、正岡子規は喀血する。俳句に目覚めた子規が肺苦になったのである。これだけはずっと言ってみたかったので言っておく。子規とは漢語でホトトギスを意味し、この鳥が血を吐くまで鳴くと言われたことから自虐的な趣を好む子規はそれを雅号としたのである。

子規は結核に罹患した。当時は(実は場合によっては現代でも)死病である。沖田総司も高杉晋作もショパンも樋口一葉もみな結核によって世を去った。子規も死を覚悟した。

療養に戻った松山で松山中学の教師と二度目の結婚をした妹の律(菅野)と真之(本木雅弘)の話をする子規(香川照之)・・・。

子規「去年、淳(真之)さんと会ったのじゃろう・・・どんな感じじゃった」

律「そりゃあ・・・もう」

立派になっていた・・・という言葉を律は飲み込む。兄が不憫だったからである。

律「悪相になっていた」

子規「悪相?」

律「色黒で目つきが悪くなって・・・」

子規「そりゃ・・・日焼けじゃろう・・・淳さんは海軍ぞなもし」

結局・・・真之は健康・・・という話になるのである。

だが、子規はくじけない。前へ前へと進んでいく。命は短いが為すべきことを為すために。

いもうとの袂探れば椿哉(子規)

帰省した真之は旧・松山藩公設プールで股間を探る。

ちんぽがかゆうてたまらん

これは原作のままです。NHK万歳。そしてこの記事のスパム扱い確率急増である。

ついでに言うと戦争にまつわる歴史を描くことについて原作はこう語る。

・・・前略・・・

科学に、悪玉か善玉かというようなわけかたはない。たとえば水素は悪玉で酸素は善玉であるということはないであろう。そういうことは絶対にないという場所ではじめて科学というものが成立するのだが、ある種の歴史科学の不幸は、むしろ逆に悪玉と善玉とわける地点から成立してゆくというところにある。

・・・後略・・・

そういうことである。核爆弾に善も悪もないようにいかなる戦争の歴史にも善も悪もないのである。そこにはただ兵器や戦争があるだけなのだ。そのことを理解できない人は戦争を犯罪だと言うし、軍人を犯罪者のように言い出すのである。

本当に無知で無教養とは恐ろしいことだ。

真之がまだ大学予備門にあった明治17年。清国はベトナム(越南)を巡りフランスと戦争をしている。朝鮮と同様にベトナムもまた清帝国に属する王国であった。しかし、日本における明治維新の前後からフランスの侵略戦争が開始され、明治16年にはほぼベトナム全土がフランスの支配下となったのである。

これを良しとしない清はフランスとベトナムの保護権をかけて戦闘に踏み切った。清国軍はフランス相手に善戦したが結局は明治17年ベトナムのほとんどがフランスの領土に帰した。ベトナムのフランス植民地としての実体は太平洋戦争終了後の昭和時代まで続いていくのである。

そういう時代なのである。ちなみにこの時の日本の外務卿(現在の外務大臣)は井上馨だった。彼はこの戦争にフランス側として参戦することを企画したが政府の合意を得られなかった。

ベトナムの運命は・・・やがて朝鮮の運命となっていく。そして朝鮮がそうなれば次は日本の番なのである。

真之が海軍に身を投じることがそのような時代とまったく無関係であったとは言えないだろう。

日本は秋山兄弟のようなエリートを軍人として育み、そして驚くべき速度で軍備を強化していったのである。

清もまた西洋列強の脅威に抗するためには西洋式の軍備が必要であることを痛感していた。

そして日本よりも資金力においては格段に勝っていた清は・・・近代兵器の購入を行った。

その代表格が戦艦・定遠と戦艦・鎮遠という姉妹艦であった。ドイツ製の装甲艦であり、主砲は30.5センチ砲4門を有し排水量は7000トン超クラスである。巨艦だった。

すでに南下するロシア勢力とともに清国は朝鮮半島を巡る日本の仮想敵国であった。

しかし、日本の有する戦艦・扶桑はイギリス製装甲艦で主砲は24センチ砲4門。排水量は3000トン超級である。

その兵器の実力差は明らかだった。

しかし・・・日本は国家予算の枠を越え建艦に走ったのである。そうしなければ滅びると考えたからだ。そして十年の歳月が過ぎていった。

清国が朝鮮国内の動乱に対し派兵を決めた明治27年(1894年)夏。

真之は海軍少尉となっていた。上京して目撃した「筑紫」の航海士である。建造されて12年。排水量は1000トン超級であり、もちろん主力艦ではない。

日本海軍の最新艦は「松島」「厳島」「橋立」のいわゆる三景艦であった。主砲は32センチ砲1門、4000トン超級である。「橋立」はこの年に就役したばかりであった。それでも「定遠」級にくらべればぐっと小型艦なのである。

しかし・・・日本軍は兵器は運用次第で勝てると考えた。そして何よりもあるもので戦う他はなかったのである。

時の総理大臣は伊藤博文(加藤剛)である。清仏戦争時の外務大臣井上馨とは竹馬の友だ。

ドラマの中で・・・陸軍参謀の川上操六(國村隼)に開戦を迫られ渋々容認する役割である。

だが・・・伊藤博文と井上馨は長州出身で・・・高杉晋作の子分だった。幕末、文久2年(1862年)の英国公使館焼き討ち事件(全焼)の御盾組襲撃部隊メンバーである。

隊長・高杉晋作(1867年病死)、副将・久坂玄瑞(1864年自刃)、火付け役・井上聞多(馨)、伊藤俊輔(博文)・・・他なのである。

つまり・・・日本の総理大臣は元テロリストなのだ。

一方、時の外務大臣は陸奥宗光(大杉漣)である。子規と同じく結核に冒されている。そして陸奥宗光は坂本龍馬の海援隊の一員である。龍馬暗殺の後・・・容疑者の一人を暗殺しようとして失敗した天満屋事件を起こしている(死者三名)・・・。

つまり・・・日本の外務大臣も元テロリストなのだ。

伊藤「まだ高杉隊長の夢を見るのであります」

陸奥「私も坂本隊長が夢枕に立ちます」

伊藤「やるからには後ろ指をさされないようにしませんとな」

陸奥「さっとやってさっと終るのが肝心です」

二人は進むも地獄、引くも地獄の死線を潜り抜けた倒幕同志だった。戦は勝つことも大事だがその後の評判も大事だということを体で理解していた。

こうした明治維新の実戦組を長として・・・維新後に育てられたメンバーが実戦配置につく。

それが日清戦争なのである。

陸軍は清国軍の先手を打って上陸作戦を敢行し、朝鮮宮廷を制した。

一方、帝国海軍は朝鮮半島西岸の豊島沖で清国海軍と清国の兵員輸送中の英国商船と遭遇。巡洋艦「吉野」(主砲15センチ砲4門4000トン超級)、「秋津州」(主砲15.2センチ砲4門3000トン超級)、そして「浪速」(主砲26センチ砲2門3000トン超級)の三隻は戦闘を開始したのだった。

浪速艦長・東郷平八郎(渡哲也)は清国兵士満載の英国商戦「高陞号」を国際法の手続きに従って撃沈。「猿」にも国際法が分ることを世界に知らしめたのである。

世界は驚愕しやがてルールを厳守した東郷は世界に賞賛されることになる。

そして戦場には新婚間もない秋山好古少佐率いる騎兵第一大隊が到着した。

日清戦争開幕である。それは大日本帝国陸海軍の栄光の序曲だった。

関連するキッドのブログ『第2回のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

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2009年12月13日 (日)

知らぬが正義の味方(尾野真千子)お毒見なしのプリンセス(志田未来)まもってあげたい(大後寿々花)

外交とは漁夫の利をめぐるゲームである。人間は常にエビでタイを釣ろうとするものだ。

安全策とは型にはまることだ。パターンと言ってもいいだろう。

道理とはパターンの中から最適を選択することだ。人はそれをセオリーと呼ぶ。

外交において安全策が必ずしも安全策ではなく、セオリーが最適とは限らないことはパターンであり道理なのである。

プレイヤーが漁師であるとは限らないからだ。

日本はエビなのか・・・タイなのか・・・そういう場合もあるということである。

うっかりエビを食べて自分がタイだったと気がついた時の恐ろしさをタイは知らなくて幸せだ。

で、『小公女セイラ・第9回』(TBSテレビ091212PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・吉田秋生を見た。「こち亀」の平均視聴率が*9.3%、「セイラ」は前回まで*7.6%である。「MR.BRAIN」は20.5%なので下り坂だが、半分以下になった「こち亀」よりは下げ率は少ないという考え方もある。考え方というのもパターンの一種である。誰が用意したか不明の食事を食べるということは毒殺のリスクを伴うわけだが、現在の日本ではコンビニで誰が作ったかわからないものを多くの人々が平気で食べている。もちろん、そこには「信用」というものがあるらしい。それにしては「中国製毒ギョーザ事件」がまったく捜査が進展しないままに風化していくことは人間のしたたかさを象徴するのだろうか。それとも迂闊さを。とにかく、セイラ(志田未来)はカイト(林遣都)とともに出所不明の食事をおいしくいただいたのです。こういう人たちに危機管理の仕事だけはしてもらいたくないのです。それはさておき、原作に喧嘩売ってんのか・・・というドラマ版だが、最後はそこそこのハッピーエンドに向かって進行中。めでたしめでたしの童話にケチをつけるのは大人気ない行為なので謹んでもらいたい。本当はこわいシンデレラとか・・・どうでもいいですから。もちろん、創作の基本は模倣であり、独創の基本は手本の裏である。台所が火事なのにパーティーを台無しにしたくないから誰も「火事だ」と叫ばない場合、空気を読むことも充分に恐ろしいということだ。セイラの母(黒川智花)に憧れながら嫉妬する謎の学園聖ミレニウス女学院・院長の千恵子(樋口可南子)はタフであるために優しさを置き去りにした女らしい。タフであることより優しさを求める亜蘭(田辺誠一)は千恵子の心を溶かすことに失敗する。経営危機に陥った学院の危機にまたもや多額の寄付金つきの転校生がやってくることになる。千恵子はセイラのように不測の事態が発生して・・・寄付金を失ったらどうしようと怯えるのだが・・・転校生の親は学院の実態調査に乗り出し・・・セイラの身の上を知り・・・学院の情の薄さを理由にわが子の転校の中止を申し出る。実際は自らの招いた事態にも関らず心のくもった千恵子にはただセイラが疫病神としか映らない。千恵子の嫉妬を示す学生・真里亜(小島藤子)、優しさを示すまさみ(岡本杏里)、理性を示すかをり(忽那汐里)が配置され、この物語の主人公がなぜ院長なのかが示される。しかし、だからもうひとつピンとこないのだといい加減気がつくべきなのだ。追い詰められたセイラはカイトの寝顔にキスをして・・・またもや学園を去るのだった。来週、千恵子がひどい目に遭うことに三千ダカット賭けてもいい。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『サムライ・ハイスクール・最終回』(日本テレビ091212PM9~)脚本・井上由美子、演出・佐藤東弥を見た。ライトノベル風ドラマという感じだった。結局、霊的存在だった侍の小太郎(三浦春馬)は子孫である小太郎(三浦二役)のふがいなさを案じて教育的指導にやってきたという結末である。最終回の中盤まではまったく結末の予想のつかない状態だったが・・・結局、なんの結末もないというある意味、ひどい構成だが・・・たとえば侍の小太郎の「本懐」が何だったのか・・・まったく明らかにされないのである。少年法によって未成年者の匿名性が保たれるのは地位のある人間の係累が犯罪を起こしたときのための防波堤である・・・ということくらいしか主張もないしね。しかし・・・まあ・・・侍なら武芸を磨いて戦う必要があるが現代社会は語学力を磨いて弁護士か脚本家になるべきだという話なのかもしれない。小太郎を演じた三浦春馬がかっこよかったとか、永沢(杏)がキス・シーンに挑戦したとか、中村(城田優)も演技派になったとか、百合香(小林涼子)は出番不足。狭間(折山みゆ)はもっと出番不足とかいろいろ問題はあったが、歯列矯正モードの妹(大後寿々花)が圧倒的な存在感を見せ付けたので・・・いいか。まあ、ライトノベルなんて・・・こんなもんだ・・・ということが言いたかったのかもしれない。謎の女司書(ミムラ)は侍の妻(谷村美月)の亡霊ということでよろしいですか。まあ・・・17代もたつと子孫の数は膨大になっていると思ったりもするわけですが・・・。単なる直系(本家)至上主義だったりして。はいはい・・・野暮でございますねーっ。ご先祖様万歳。

関連するキッドのブログ『第6話のレビュー

で、『外事警察・第5回』(NHK総合091212PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・堀切園健太郎を見た。回を追うごとにより濃密になる闇の色。実にエキサイティングである。これは狩猟というゲーム(獲物)の本来のスタイルを貫いているからだ。人々の生活には何の保証もないのが前提である。たとえばセコムしていて警備に万全を期しても北朝鮮から核ミサイルが飛来すればほとんど無意味だということである。それは、広島市民や長崎市民ならよく知っているはずだ。核兵器を使わない通常兵器でも東京大空襲の犠牲者はよく知っている。ただし、犠牲者というのは妙に無口なのである。

その中で、安全を保障するというのはどういうことなのか・・・という話である。

かって北朝鮮は大韓航空機を爆破してそれを日本人の仕業にしようと画策した。空中に砕け散った人々の安全は脅かされたのである。それを韓国の自作自演だという主張もあるわけだが犯人が誰にしろテロが実行されたことは間違いないのである。

その爆破事件に関与した人間に日本から拉致された日本人がいる。その事実が拉致問題をそう簡単に解決させない要因があるわけである。拉致被害者が生存しているのかいないのかは別として拉致というテロ行為はあったのだ。

米国を襲った同時多発テロが米国の政治的な姿勢に遠因があるとする人々がいる。そういう人の立場に立てばミサイル化した旅客機の乗客や崩壊したビル内の市民は自業自得で死亡したことになる。

日本人が平和に邁進して自堕落な日々を送っている間に前線で流血している人々がいる。そういう人々に「戦うなんて愚行」と言いつづける人々がいる。人間の愚かさには本当に限度がない。

しかし、ただその日の生活を送るために懸命に生きる人々を護ろうとするビジネスはある。

その現場では正義と悪の境界は限りなく曖昧で・・・何が正解で何が間違いなのかはよくわからない。それでも人々は時には名も無き前衛に感謝する心を持つべきではないのだろうか。

たとえ・・・不特定多数の平和を守護するものがそれを願っていないとしても。

日本に潜入し、国際会議に爆弾テロを仕掛けようとする謎のテロリスト・fish・・・。

実際には存在しない建前の警視庁公安部外事第四課(ウラ)の主任・住本(渡部篤郎)は敵の手ごわさに震撼する。

国内で製造された爆弾の消息をつかみ損ねたウラはとある団地内に爆弾が隠されているという情報を得る。しかし、住本はそれが罠である疑惑につつまれる。

誰かがテロリストの情報を雑誌にリークした。

警察庁上層部では対テロ鎮圧のための特殊部隊の投入が決断される。

住本の常識外の仕事ぶりに恐れを感じた松沢(尾野)は実在する外事第1~3課を支配するZEROこと警察庁理事官・倉田(遠藤憲一)に庇護を求め、住本に対するZEROの内偵者となる。

そのことによって主導権を握った松沢は民間人の協力者・愛子(石田ゆり子)の運営者という立場を取り戻すのだった。

住本によって過去のちょっとした役得を暴かれた所轄の刑事・久保田はその鬱憤をかっての同僚の松沢にぶつける。

すでに闇の中に身を投じつつある松沢は・・・かっては共感した久保田の薄汚れた心情に同調することはできない。しかし・・・住本のような暗闇を抱えることもできずに葛藤し・・・久保田と住本を直接対決させるために情報をリークする。

・・・あなたの光が闇を照らせるかどうか・・・やってごらんなさい・・・なのである。

死んだことが闇に葬られた協力者ニケ(ルドルフ・マッカラン)の妻・昌代(遊井亮子)を連れ出した久保田は住本に部外秘を開示させようと罠を仕掛ける。

昌代「ニケは・・・生きているのですか・・・いないのですか」

住本「それは私にもわからない・・・ただ・・・彼の無事を案じている」

目論見の敗れた久保田は鬱憤を晴らし、昌代にいいところを見せようと無抵抗の住本を殴打する。心の中では妊婦との変態性交も悪くないと考えている。

彼はほんの少しの暗がりに身を置く薄汚れた所轄の刑事なのである。

しかし、心に闇を宿した住本は妻が托したニケからのプレゼントがネクタイだと知ると死にたくなってしまうのだった。

「妻子の安全が護れないから離婚」を決意した住本にとって「家族を持つことが間違いだった自分の仕事」に心が疲れ果てたのだ。

しかし・・・失神から回復した住本はニケの残した最後の情報を入手する。

それは愛子をエサに釣り上げようとしているテロリストの触手・ジュリオ(チェホ・イムレ)の若き日の軍服姿だった。

ジュリオには軍歴がなく・・・現在のジュリオが本当のジュリオではないと悟る住本。

実際のジュリオはすでに死亡し・・・軍歴のある何者かが成り代わっていたのである。

敵の周到な計画性に解決の糸口を見出した住本は任務に復帰する。

すでに出動準備に入っていた特殊部隊に待ったがかかる。

住本はジュリオを拘束しようと決断するが・・・暗さに限界のあるオモテはジュリオを取り逃がしていた。

ZEROは同志となった村松官房長官から機密費を流用しジュリオとの取引に1億円を支出させる。愛子とジュリオにコンタクトをとらせ情報を入手しようとするのだ。

しかし、住本は切り札を取り戻すために松沢と愛子にプレッシャーをかける。

住本(松沢に)「彼女はもう限界だ・・・やめさせろ」

松沢「こわれたら・・・こわれたでいいと教えられました」

住本(愛子に)「ジュリオは本物のテロリストだ・・・命の覚悟はいいか」

愛子「やめるわ・・・こわいから・・・」

松沢「そんな・・・いまさら・・・」

ZERO「もういい・・・心が折れたら事故のもとだ・・・協力者は登録抹消だ・・・松沢・・・お前もお払い箱だ」

テロリストのアジトへの特殊部隊の突入直前。

住本「やはり・・・頼む」

愛子「あなたのために・・・やるわ」

松沢「私は用なしですか」

住本「・・・お前も来い」

松沢は住本の配下に戻った。愛子は待ち合わせの場所に赴いた。愛子に溺れたジュリオは来た。

愛子「ごめんなさい・・・あなたをだましていた」

ジュリオ「殺せと命じられた・・・でも愛している」

住本「突入中止」

住本の同志である警備局長・有賀(石橋凌)は決断した。

有賀「撃つな」

アジトは単なる出稼ぎ外国人労働者のタコ部屋だった。間一髪、日本は国際問題を回避した。

情報誤認の責任はウラにふりかかる。しかし・・・存在しない組織には責任のとりようがないのであった。

発令しない謹慎処分の住本班は真相を突き止めた。

日本のどの情報機関よりも強大なアメリカの警備会社の仕掛けたプロモーション活動。

それが・・・fishのビジネスの実際だった。

部下たち「相手はプロです・・・アマチュアじゃ太刀打ちできません」

住本「ははは・・・ははは・・・ははは」

日本のウラと米国の警備会社の面子をかけた情報戦の火蓋がきられる。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)『中央流沙』(TBSテレビ)

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2009年12月12日 (土)

覚悟はきめてもやりきれない女(黒川芽以)決勝前夜嬢王V?11(原幹恵)試験管ベイビーズ(仲間由紀恵)

魔性のマッド・サイエンティスト江島博士(荻野目慶子)に暗殺の危機が・・・ということで博士のもとへ急ぐ鳴海兄妹。

兄(小澤征悦)「いやな・・・予感がする名無しの権兵衛が先回りしているような・・・」

妹(仲間)「そんな・・・」

と言ってるそばから車を停めて兄妹喧嘩を始める二人・・・誰かを先回りさせるための時間稼ぎかよっ。

そうでなかったら・・・緊迫感もクソもないだろうがっ。

一方、恋に狂った魔性の女を演じる黒川芽以。今後の映画のお仕事が・・・「完全なる飼育・メイド、for you」(ただし主演ではない)、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(心身ともにものすごく汚れたビッチ・ヒロイン)、「スイートリトルライズ」(中谷美紀・池脇千鶴・大島優子につぐ四番手)・・・銭形泪はどこまで荒野をめざす・・・のか。

だからこそ・・・もきゅに胸きゅんである。

で、『アンタッチャブル~事件記者・鳴海遼子~・第8回』(テレビ朝日091211PM9~)脚本・橋本裕志、演出・常廣丈太を見た。フィギュアスケートで一週遅れなのだが、結局、オリジナル脚本の限界なんだな。仲間由紀恵のとぼけたキャラクターによるシリアス、社会の黒幕に噛み付いたサスペンス、奇想天外なディストピアスリラー、報道過信に対する風刺、三十路直前女のロマンチック・コメディー・・・盛り沢山だけれど美味しいかどうかは微妙というAランチである。「東京DOGS」を無視してこれをとりあげているのは依怙贔屓じゃないかと反省したくなる展開である。まあ・・・もう成り行きっていうか・・・スケジュールの問題というか・・・惜しい感じはこっちの方が上っていうか・・・あっちはもう生理的に受け付けないだけっていうか・・・おすっ。

さて・・・シリーズとしての縦軸である「日本を情報によってコントロールしようとする謎の名無しの権兵衛の正体」は現在のところ、遼子の身の回りの人ということで・・・三人に絞られている。

一人は前置きで示したように人命がかかっているのに兄妹喧嘩を始めてしまう鳴海刑事。

一人は父親が永倉(寺島進)教の信者の一人で自身も永倉と親密にしているエリート記者・遠山(要潤)。

一人は鳴海兄妹と同様に家族を爆破事件で失ったカメラマン鷹藤(佐藤智仁)。

兄だから除外されている鳴海刑事は「永倉は落ちこぼれで・・・優秀な兄と家族を恨んでいた異常者。光は闇より輝くなどと意味不明なことを言っている。そして鷹藤も同様に優秀な兄を持ち・・・家族に殺意を持ち・・・爆弾などに異常な興味を持ち・・・鳴海家をテストケースとして爆破してから自分の家を爆破した疑いがある。闇は怨みに満ちているなどという戯言を寄せ書きしたりもしているのだ」と鷹藤を疑う。

しかし・・・遼子にとって鷹藤は遠山がダメだったときのキープくんなので疑うことはできない。

ただし・・・「別に疑ったり、こわがって遠ざかったとかじゃなくて・・・そんな気がしたからそうしただけ」という意味不明な態度で鷹藤に接するのだった。

そんな鷹藤は遠山が永倉とつながっているのは確かなんだから「遠山が怪しいに決まっている」と主張する。

しかし、最初から関係がないにも関らず、遠山とヨリを戻そうとしている遼子は聞く耳もたないのだった。

「カレは絶対違うもの・・・」なのである。だからカレじゃないぞと思う遠山だった。

さて、シリーズとしての横軸である「永倉の関係する奇妙な事件簿」、今回は「天才少年・少女塾」で・・・永倉は英才教育でゴルフ・テニス・将棋などでプロに圧勝する天才ちびっこを育てあげていると宣伝される。

将棋はまだしも、スポーツでちびっこはプロに勝てないだろう・・・体力的に。

だからスポットライトが当たるのは天才将棋少年・葵(嘉数一星)だった。

天才能力開発塾の塾長は江島である。

「たまたま・・・能力のある子供を集めて、教育の成果詐欺をしているのではないか」と例によって江島本人に失礼な取材をする遼子。

しかし・・・そこに葵の父親を名乗るホームレス・稲垣(浅野和之)が現れる。

取材費50万円で明かされた秘密とは「開発塾では天才を集めて乱交パーティーが開かれ・・・かって大学教授だった自分も参加した。葵はその時の子供。私が真相を暴こうとすると身に覚えのないセクハラ訴訟で大学を追放されたのだということ」なのであった。

何故か・・・研究室の場所を知る遠山と遼子は郊外までウキウキデート兼調査を実行する。

そして・・・そこで手島と冷凍保存された大量の精子と卵子を発見するのだった。

天才の精子と天才の卵子を人工授精させても必ずしも天才が誕生するわけではないので恐ろしい数の凡人が廃棄されているのは明らかなのである。

そして・・・サンプルの中には遠山の精子も・・・。

遼子に「むひょー、私のカレの精子がここに・・・」くらいのセリフを作ってほしいよね。

危なく爆死させられるところだった稲垣元教授を救い出した遼子は・・・妹を殺された美鈴記者とともに「週刊アンタッチャブル」を前倒し発刊させて告発記事を世に問う。印刷所も販売網も不況で暇なのか・・・。

しかし、「星が好きだ」という我が子に50万円の天体望遠鏡をプレゼントするためにのこのこと姿を見せた稲本は天才塾のビル屋上から転落死してしまう。そしてその現場にいたのは鷹藤だった。

稲本は「金欲しさに虚偽の告白をしたという遺書」を残しており・・・またもアンタッチャブルは汚名を着せられるのだった。

記事の発表に「やりすぎだ」と咆哮する鳴海刑事。

そして鳴海家は・・・美鈴の部屋と同様に落書きされてしまう。

さらに・・・「私はクビになった・・・殺されちゃうかも」と遼子に電話で告げる江島。・・・他にかける相手がいなかったのか。

あわてて・・・現場に急行する鳴海兄妹。しかし・・・手間取ったので到着した時には江島は瀕死状態だった。

「金魚ちゃん・・・かわいそう・・・品種改良されてお気に召さずばポイッ・・・遠き山に日は落ちる・・・」

そして・・・現場ではナイフの鷹藤と拳銃の鳴海刑事の部下・片山(辻谷嘉真)が接近戦をしていたのだった。

もう・・・どうでもいい感じで最終章はつづくのである。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

で、『嬢王Virgin・第11回』(テレビ東京091212AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・岩田和行を見た。主役の特権で雨宮(永田彬)に愛されている杏藤舞(原幹恵)と直感した木下朋(黒川)は激しい嫉妬にかられて舞をハサミで脅す。

ハサミの先端で舞の肉を抉った朋はその血をなめあげる。

朋「あんたが憎い」

舞「私と雨宮はそんな関係じゃ・・・」

朋「(原幹恵のものまねで)私は悪くないの・・・(黒・黒川で)そんなの信じられるか」

通りすがりのキャバ嬢たちは・・・「何・・・あの二人・・・レズ~」と冷やかす。

朋「ほら・・・私があんたの敵だって言ったって誰も信じやしない・・・」

突然、週刊FACEで「嬢王関係者が愛獣!狂宴乱交!?」というゴシップ記事が掲載される。従業員同志が乱交パーティーをしているという内容で客足が落ちたとメンバーは嘆くが、そんな報道されるような風俗店にこわくて足が運べるかっての。

とにかく・・・売り上げがた落ちで・・・嬢王グランプリそのものが危機に。

あきらめモードになるキャバ嬢たち・・・舞は記事をでっち上げたのが朋ではないかと疑う。

しかし・・・朋は先手を売って舞の部屋に記事のコピーを忍ばせる。

生活のかかったキャバ嬢たちに問い詰められる舞。停めに入った余命いくばくもない優衣華(原紗央莉)は実は東北出身だった翔子(横山美雪)に頭突きをされ吐血してしまう。

一方、売り上げ減に頭を抱える雨宮。そこへ朋がやってくる。

朋「私は何があっても店長についていきます・・・地獄の底までも・・・私はあなたが好きですから

しかし、雨宮は無視である。

朋「みんなムチャクチャになればいい

一方、雨宮の元・婚約者・香織(かでなれおん)は亜美(麻美ゆま)を呼び出し「木下朋をひどい目に合わせて・・・」と依頼。

亜美は金だけもらって動かない。

病院で目覚めた優衣華は「運命は私から全てを奪っていく・・・家族も・・・嬢王グランプリも・・・命までも・・・」と嘆く。

見舞いにきた舞はベッドに優衣華がいないことを発見。屋上にダッシュである。

舞はすでに鉄柵を乗り越えた優衣華をキャッチしてこの世に連れ戻す。・・・どう見てもキューティー・ハニーだろう・・・。

「負け犬・・・いつか・・・優衣華さんは私に言ってくれた。自分に負けたら負け犬だって・・・。今の優衣華さんは負け犬です・・・最後まで戦ってください・・・」

ついに立場が逆転する二人だった。

お客に営業電話をかけ・・・ついでに週刊FACEの編集長に訂正記事の掲載を申し込む舞。出版社は応じなかったが・・・その夜、舞を指名する怪しい女性客が。

客「いんらんな女たちを見にきたわ・・・どうせ下半身で男たちから金を搾り取るんでしょう

殺気立つキャバ嬢たち。

一方、事務所の雨宮の所には車椅子の香織がやってくる。

香織「私を捨てないで・・・」

そこへ現れる朋。

香織「あなたはその女にだまされているのよ・・・」

しかし・・・朋は強引に雨宮の唇を奪う。

思わず立ち上がるクララ・・・ではなく香織。

朋「だましていたのはどっちぃ?」

雨宮は割れたビール瓶を香織に突きつけるが・・・「憐れな女だ・・・」と一言。

その頃、舞は客に演説していた。「私は・・・ダメな女の子だったんです・・・そんな自分を変えたくて嬢王グランプリに応募しました。そして様々なお客様に接することで人と人は出会って・・・そして変わっていくことを知りました。ここにいる女の子たちは様々です。病気の親のために働いている子もいれば・・・なくした夢をもう一度取り戻すために働いている子もいる。でもみんなゴール目指して走っているんです

「青臭い・・・でも感動した」と実は編集長だった三上(伊佐山ひろ子)・・・。「私だって白い指の戯れでエロスは甘き香りで濡れた標的だったもの・・・わかるわ・・・変な記事書いてごめんね。がんばればそのうちいいことあるよ」と好意的な記事を掲載した上に部下を連れて来店。売り上げに協力するのだった。

そんな様子を見た店長(津村知与支)は「舞さん、やりますね」と雨宮に・・・。

雨宮は「ああ」と初めて同意する。「スキャンダルを乗り越えてこその嬢王だ

その言葉が針のように心に突き刺さる朋。

朋「なんで・・・舞がいいの・・・私はあなたのために尽くしたのに・・・」

雨宮「店を売ったのはお前だろう・・・オレはお前を殺したい・・・しかしお前には殺す価値もない

そこにどうしていいのかわからず立ちすくむ舞・・・・

朋はナイフを取り上げると舞に突進する。

「お前さえ・・・いなければぁぁぁぁぁぁぁ・・・みんなあんたが悪いんだ・・・

しかし、間一髪舞の前に立ちふさがる雨宮を刺してしまう朋。

朋は絶望して逃げ出す。

その頃・・・香織は床に倒れて呪う。

き・・・の・・・し・・・た・・・ともーっ

嬢王グランプリ最終日・・・第一位は優衣華、第二位は舞。売り上げ差は300万円。

しかし・・・優衣華は倒れてしまい・・・舞とともに病院へ。

そして・・・香織は男たちを従えて街を彷徨う朋を拉致するのだった。

いよいよ・・・クライマックスである。

関連するキッドのブログ『第10話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『坂の上の雲』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

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2009年12月11日 (金)

はじめてのおんぶはじめました(多部未華子)何もしてやれなくてすまん(唐沢寿明)

省略はドラマの大切な要素だが・・・不毛地帯の最大の見せ場の一つ、結婚式前夜愛娘をおんぶが省略されなかったのは素晴らしいことである。

もちろん・・・軍人として、虜囚として、商社マンとして父親不在の家庭を作ってしまった壹岐正(唐沢)は不本意なのである。けれどそれをわびようとする。しかし、娘の直子(多部)はそれをなじったりはしない。ただ首をふるだけである。意思疎通ができているからだ。よくできた娘なのである。

そして・・・二人は亡き母が見たかったであろう・・・父が娘を負う姿を仏前で披露する。

娘をおんぶしたことのある父親全員涙です。

名シーンなのだが・・・例によってお茶の間にその感動が全面的に伝わっているのかどうか不安になるのだな。

すべては・・・このシーンにたどりつくまでの逆算が甘いからなのだな。

高貴なる家の侘しい家族愛。それを描こうとする根気に欠けているのである。大味なんだよなぁ。コメディー・タッチは上手いのになぁ。シリアスになると恥ずかしくなっちゃうのかなぁ。

ただでさえ・・・一般的には想像しにくいこの父娘の心情を回想シーンで表現したらダメじゃないか。

流れで見せないと。ただし、シーンのみで言えば演技も演出も申し分なかったと思う。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%↘*9.9%↗11.8%↘10.7%↘10.6%↗11.4%↘10.9%

②大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%↘*9.6%→*9.6%↗10.6%↗11.0%↘*9.9%↘*9.3%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%↘*7.8%↘*7.6%↘*6.0%↗*8.4%→8.4%↘*7.0%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください。

で、『不毛地帯・第9回』(フジテレビ091210PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・澤田鎌作を見た。妻・佳子(和久井映見)の交通事故死のあった昭和42年夏から2年半。その間にプライベートでは娘の直子が結婚。鮫島直子となった。この結婚には鮫島家も反対だったが・・・今では長男・太も誕生し、夫婦仲は良好らしい。事業では千代田自動車が起死回生を狙った新車が不発に終わり、近畿商事の里井(岸部一徳)の奨める合併話も立ち消えになった。経営不振に陥った千代田自動車を救うべく秘策をもって壹岐は米国近畿商事社長としてニューヨークに赴任した。

東京商事の狙うフォーク社と日本大手企業との合併話も難航し、伸展のないまま昭和44年のクリスマスを迎えたのだった。

淡々と話が進むのでアレなのだが・・・この2年半、日本は大荒れなのである。京大紛争に東大紛争、日大紛争と続き、ソ連のスパイに踊らされたバカな学生がお祭り騒ぎに浮かれに浮かれ新宿騒乱節で圭子(宇多田ヒカルの母)の夢は夜開く自衛隊に入ろうで三里塚でコインロッカーベイビーで赤軍派アジト捜索で高校生の政治活動禁止でヤマザキ撃てで東名高速開通で霞ヶ関ビル建設でジャイアント馬場とアントニオ猪木で三億円事件で無知の涙で明治百年なのだった。

アポロ11号は月に飛び、ウッドストックなのだ。中ソは険悪となり国境で軍事衝突している。

そういう喧騒とは切り離された壹岐の生活である。まさに静かなる生活と言えるだろう。

壹岐の去った近畿商事本社では業務本部長に腹心の角田(篠井英介)を据えた里井がなんとなく勝った気分に浸るのだった。業務本部には不破(阿南健治)が壹岐のスパイとして残っていた。兵頭(竹野内豊)は石油部長に昇進している。

ニューヨーク支社組は海部(梶原善)、塙(袴田吉彦)、八束(山崎樹範)トリオが壹岐の手駒だった。暮らしのために家政婦のハル江(吉行和子)が登場し、主に肉じゃがを作るのだった。

壹岐の秘策とは「千代田自動車とフォーク社の業務提携」である。

しかし、すでに東京商事の食い込むフォーク社からは門前払いが続いていた。

そんな壹岐だったがいち早くフォークとの提携を果たした韓国の光星物産の会長・李(榎木孝明)が自分と旧知の間柄であったことに気がつく。

李と壹岐は陸軍士官学校の同期だった。若い人には意外かもしれないが、1945年までは朝鮮半島は日本の領土であり、現在の韓国人も北朝鮮人もすべて日本人だったのである。だから朝鮮半島生まれのエリートが壹岐と同級生ということがまったく自然なことだったのである。敗戦によりソ連と米国の冷戦が始まり、朝鮮半島が日本から分離され、南北に分断されたのは真に残念なことだ。日本・韓国・北朝鮮のメンバーがそろえばサッカー・ワールドカップで予選リーグを突破することもまったく夢ではないのである。満州を米国と共同経営し、中国を英国と山分けしておけばよかったのに・・・。

壹岐はコネクションを利用して、突破口を開くのだった。

まもなくやってくる石油ショックの予感を感じる兵頭は日本が油断となることをおそれて壹岐の出陣を要請するが、壹岐は「一仕事片付けるまでしばし待て」と告げる。

一方、鮫島はまたまたニューヨークで暗躍するが、デ・・・紅子夫人(天海祐希)に翻弄される。

昭和45年(1970年)壹岐はついにフォーク社との交渉に成功する。

このゲームは次のように展開する。

フォーク社は日本に進出したいと考えている。

そのために有利な条件で日本の自動車メーカーと提携したい。

しかし、米国の資本進出で日本の独立性の喪失をおそれる日本政府は国内企業の合併などで資本の強化をはかり、米国資本の締め出しを画策していた。

そのためにフォークの求める日本国内のシェア7%以上のメーカーとの合併は実現不可能である。東京商事の暗躍がはかどらないのもこのためだった。

そこで壹岐はシェア1.5%の千代田自動車との提携なら可能だと提案する。

ここで千代田自動車の希望。

フォーク社の出資率25%、フォーク社からの役員派遣なし。

フォーク社の希望。

フォーク社の出資率50%、フォーク社からの役員派遣あり。

という条件の折り合いとなる。

ここで壹岐は韓国での合併が順調とは言えないことを指摘、円滑に提携を進めることがフォーク社の利になると説得する。

別室で聞き耳を立てていたフォークⅡ世は聡明にも壹岐の意図を察知した。

何よりもすでにパートナーとなっている李の推薦がものを言ったのである。

こうして・・・フォーク社と千代田自動車の業務提携は近畿商事におまかせになったのである。

東京で果報を寝ないで待っていた大門社長(原田芳雄)は小躍りするが・・・それを知った里井はエレベーターで待ち伏せ、大門の心臓を止めようとするが失敗する。

一仕事を終えガウン姿で美酒に酔う壹岐はデ・・・紅子夫人に自宅を急襲される。

紅子は人妻であるが人妻になる以前から壹岐を狙っていたのである。

しかし、愛妻家の壹岐に付け入る隙はなかったのだ。しかし、妻に先立たれて2年半、そろそろ下半身が淋しかろうと情にすがりにきたのだった。

しかし、壹岐は紅子にまったく女性を感じない冷たさで応じるのだった。

悔し紛れに紅子は千里(小雪)の名前を出して壹岐をなじるのだった。

「このいくじなし。偽善者。役立たず。悪趣味、唐変木、私より千里さんがいいっていうの。それならさっさと手を出してしまいなさいよ。あっちだって待っているのに・・・蛇の生殺しみたいなことして・・・こっちだって私にも脈ありとか・・・期待しちゃうじゃない」

「何言ってるんだ・・・千里さんは結婚したじゃないか・・・」

「あら・・・本当に知らないの・・・千里さんが婚約解消したこと・・・」

「・・・なんだって」

紅子・・・それを言ったらダメじゃないか。

その頃・・・佳子の死後、即行で丹阿弥泰夫(加藤虎ノ介)との婚約を解消したが奥ゆかしすぎて壹岐にお便りできずに2年半の千里は漸く壹岐への手紙をポストに投函するのだった。

もちろん・・・壹岐の不毛地帯はこれからが本番です。

それにしても、壹岐と佳子と紅子と千里の関係は仁と未来と野風と咲の関係とかぶっているのだが・・・なんで印象がこんなに違うんだと思う?

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『尾野真千子の外事警察』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『HERO』『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)『終着駅VS事件記者・冴子』(テレビ朝日)

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2009年12月10日 (木)

母に代わって弟を護る(吉田里琴)もったいない女(本仮屋ユイカ)カイザーのない世界なんて無理(藤原紀香)

あどけない少女のような柊(藤原紀香)・・・「スタアの恋」の桐島ヒカル子とともに本当は世間知らずは紀香のはまり役なのだな。

登場する医師たちは基本的にエリートである。人間の価値は勉強できるかできないかで決まるわけではないが医師には勉強できなきゃなれないのである。

今季のドラマのここまでの平均視聴率順位を見ると①仁 ②相棒 ③東京犬 ④交渉人 ⑤ギネとなっていて「医療」と「警察」の人気の高さは相変わらずである。これはもちろん「病気」と「犯罪」に対する人々の関心の高さが根底にあるわけだが・・・どちらかといえば「刑事」はバカでもできるが「医者」はバカではできないというのも間違いないところである。

しかし、「ギネ」の主人公はちょっとバカなんじゃないのか・・・と思われやすい設定だったのだが・・・本当は医療に夢中になりすぎてその他のことを置き忘れた人だったことがわかる最終回なのだな。

だから病院という家庭の中での母・君島(松下由樹)に「口答えするんじゃありません」と叱られて萎れる柊はなかなかに童顔万歳なのである。

水曜日のダンスは

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・↘17.8%↘17.6%↗18.0%↘16.1%↗18.0%

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%↗12.2%↘*9.5%↗11.8%↘*9.5%↗12.7%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%↘*8.0%↘*6.7%→*6.7%↗*6.9%↘*6.7%

せっかく前田愛登場だったのに・・・また底に戻った光彦・・・やはり編成ミスだよな。テレビの編成員にはバカでもなれるということなんだな。「相棒」お休みの日が最高なんだから。

で、『ギネ 産婦人科の女たち・最終回』(日本テレビ091209PM10~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・岩本仁志を見た。玉木(上地雄輔)は利香子(石橋杏奈)から受けた傷を見ながら思う。医者の息子として迫害から逃れるためになるべく流されて生きてきた自分の人生を。流されても結局、痛い目見るのなら・・・少しは逆らってみるか・・・と決意するのである。

だから・・・一度助けてもらったこともある上司の柊に逆らって意見してみることにした。

「君島先生は・・・柊先生を庇ってるんです。そのために次期教授の座だって危ういのに・・・だから・・・柊先生・・・君島先生に反抗するのは控えてください・・・」

「・・・え?」

もちろん・・・この情報は院長の娘・えりな(本仮屋)がおそらく寝物語で語るトップシークレットである。そんな情報を空気の読めない柊に漏らしたら・・・。

「私・・・病院を辞めます・・・だから、教授になってください」

ということになるのである。他の医師や助産師、看護師の見守る中でそんなこと言われた君島は・・・。

「何言ってるの・・・そんな話・・・ないわよ」

と否定するしかないのである。しかし・・・。

「・・・え?」と驚く藤木医局長(近藤芳正)だった。

須佐見教授(國村隼)は新妻の弁護士・刺青の一代(内田有紀)のカイザーによる出産、卵巣がん削除同時手術の日をもって引退をすることを決意・・・同時に君島産科医長の教授昇進が決定する。そして同日、柊は病院を去ることになった。

そして・・・みちのく病院の教授に招聘された藤木は片腕として桧口(板谷由夏)を誘うが精子の膨大なサンプル数を武器に成し遂げた研究が評価された桧口はあっさりと袖にするのだった。もはや桧口は精子研究の権威となったのである。

逆らうことに味をしめた玉木はえりなにも逆らってみた。

「私をふって病院に残るですって・・・そんなことができると思ってんの。ここは父の病院なのよ・・・私があなたをふってあげる」

まだまだ考えが甘い玉木だった。

その頃、玉木にやりすてにされた助産師の木村(映美くらら)は麻酔科の安川医師(浜田学)に乗り換えていた。

「どこにいくのですか」と玉木に問われ「それは秘密」と答える柊だったがお茶の間はみんな小笠原に行くつもりだと見抜いているのだった。

その日・・・教授のためのカンファレンス(会議)は・・・教授と花嫁患者とのサプライズ結婚式だった。

結婚指輪の交換で・・・主催者側はうかつさに青ざめたが教授は何食わぬ顔でクーパーを借りると認識票のヒモをクーパ(医療用ハサミ)で切ると即席の手作り指輪を作る。糸を縛るのは医師の得意技なのだな。

そして一代の手術直前・・・急患の受け入れ要請が周産期医療センターに届く。

妊婦が火事に遭遇・・・頭部打撲で意識不明の重態である。

あっちもカイザーこっちもカイザーの上に手術室の空きがない。

もちろん柊は「一代さんに待ってもらいましょう・・・命の重さは同じです」

君島「教授におまかせします」

教授「(そんなこと言われたら受け入れるしかないじゃないか)・・・よし、受け入れよう」

どちらのカイザーにも参加しようとする柊をなだめる君島。「どうどうどう・・・どうどうどう」

患者は硬膜外血腫の上に要カイザーだった。桧口・藤木ペアは脳外科と合同で救命・出産処置を敢行する。

この患者はこの総合病院のシステムがなければ母子ともに絶命していたということだ。

医療技術は運命への挑戦である。死ぬべき命の境界線を少しでも生に引き寄せること。それがすべてである。

しかし、助かるかどうか微妙な命を受け入れて、助からないと訴えられるから受け入れないというのは何かが間違っているのである。

もちろん・・・すべてに限界はある。慢心や怠惰による医療ミスを認めないにも程がある。

医療の地域格差を埋めるのにも様々な可能性がある。

すべてがよりよくなりますようにと祈る他はないのである。

そこで第三の難産が通常の分娩室で発生。またしても要カイザー(帝王切開)である。

カイザーでカイザーでカイザーなのだ。柊はカイザーを呼ぶ女なのだ。そんな女が設備のない島行くへなんて考えただけで恐ろしいのである。

またしてもカイザーに向かおうとする柊を教授が止める。もはや手術室はないのだ。

玉木を助手にした教授は伝家の宝刀・キーランド産科鉗子を抜くのだった。

「これが・・・鉗子分娩の術だ・・・よくみておけ・・・」と教授。

(帝王切開なしの自然分娩で難産により遂娩が滞った場合、胎児の頭を挟んで娩出するのか・・・これはカイザー殺しだな・・・)と感嘆する玉木。

周囲に満ちるカイザーの呼び声に落ち着かない柊。

「大丈夫・・・教授は鉗子分娩が得意だから・・・」となだめる君島。

そして急患の手術は終わり、一代のための手術台が空く。

柊と君島はそれぞれの最後の手術に臨む。柊にとってこの病院での最後のカイザー。君島にとって産科医長としての最後の複合手術である。

カイザーは無事終了。

麻酔で眠る一代に「おめでとう」と語りかける柊。

しかし・・・続いての卵巣がん除去手術は難航する。がんの転移により除去に限界が生じる。

君島「患者が持たない・・・閉じるわ」

柊「しかし・・・生存率が・・・」

出血が限界に達し・・・心拍停止。

無事に鉗子分娩を終えた教授は手術室へ走る。

一代は自動対外式除細動器(AED)によって電気ショック蘇生を受ける。

一回目・・・心拍再開せず。

二回目・・・心拍再開せず。

三回目・・・心拍再開せす。

四回目・・・心拍・・・再開。

本日の聖修大学医学部付属病院産科。死亡 0   元気な赤ちゃん  3

埠頭をわたる風。案の定、小笠原諸島父島に向かおうとする柊だった。

しかし、玉木は見送りに来る。手には餞別のキーランド産科鉗子が握られていた。

玉木「これ・・・カイザーができないときは・・・最後の手段です」

柊「カイザーが・・・できない?」

そこへゆっさゆっさとかけつける君島教授。

君島「ばかね・・・産科医もいなければ設備もないのよ・・・島で超難産になったらおいそれとカイザーはできないのよ・・・」

柊「・・・そんな!」

君島「本当にあなたは世間知らずのお嬢ちゃんだわ・・・私のところで修行しなさい」

柊「でも・・・私がやめないと先生が・・・」

君島「そんなもの・・・教授になっちまったらこっちのものよ」

お前はジーンか・・・ガンダムネタ禁止警報発令。

かくて・・・復帰した柊は玉木と同棲し、今日もカイザーか鉗子分娩かで激論を交わす。

柊が想いを寄せる榎原(中村橋之助)に想いを寄せられているのを知ってか知らずか桧口はそんな二人を微笑んで見守るのだった。おそらく産科医長の座は・・・。

母を失った徳本家では遺児がお茶の間に立つ。優美(吉田里琴)は仏壇に報告である。

徳本(八嶋智人)は「周産期医療センターの廃止反対署名運動」に署名する。

「死ぬ恐れがあるからって助かる患者を見殺しにするなんて・・・ものすごくバカみたいだもんな・・・」

世界は回っていく。時々愚かに・・・そして概ね賢く。

大石静・・・久しぶりにやりきった感じ・・・。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『アンタッチャブル』『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)『加藤ローサのシスター』(NHK総合)

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2009年12月 9日 (水)

やはり私は天使なのでした(戸田恵梨香)15才だけど四回戦突破者です(武井咲)

いよいよ秋山(松田翔太)よりも天才の葛城(菊地凛子)が正体を明らかにしたのだが・・・それよりもサエキヒロカ(武井咲)である設定年齢は定かではないが実年齢15才。「オトメン」の久利子からここである。高校生がライアーゲームに参加していてしかもここまで勝ち抜いてきたということは中学生から参加している可能性があり・・・ある意味、天才なんじゃないですか。

まあ・・・神崎直(戸田)もスタート時点では18才の女子大生だったわけですが・・・。

火曜日のドラマ対決は①「ウソゲ」↗11.3% ②「リアクロ」↘*9.3%

とにかく・・・ゲームにはゲームの人生には人生の面白さがあるわけです。人生ゲーム万歳。

で、『 2・第5回』(フジテレビ091208PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・松山博昭を見た。最初に四回戦終了後のつかのまの日常が描かれる。直にLIAR GAMEセミ・ファイナルの招待状を渡すのは前だけ金歯の谷村(渡辺いっけい)である。

直「信じる力があれば勝ち抜けます」

谷村「あなたならできるかも・・・」(そいつは・・・どうかな)

谷村が優勝候補と考えるのは・・・謎の大学教授・葛城である。どうやら心理学を教えているらしい。天才がやる分野なのか?

ゼミらしき講義では「人間には偽善が遺伝レベルで組み込まれている」という怪しい仮説を述べる。

学生には尊敬されているらしく「あなたのレポートよかったわ」と褒めて伸ばすタイプを演じる。

招待状を届けにきたエリー(吉瀬美智子)が「ピグマリオン効果ですね」と指摘すると「学生を操るのは楽しいです・・・しゅへっ」である。

ピグマリオン効果とは「期待される相手は期待に応える」という怪しい心理学の仮説である。怪しい心理学の中でもほとんど無意味レベルで怪しい学説である。

ともかく・・・天才にとっては人間は人形(ピグマリオン)のようなものらしい。ちなみに「期待されない相手は期待に応えない」というゴーレム効果もあります。

ともかく・・・秋山(松田翔太)は菊地にとって「あなたにはまた会えると思ってました・・・しゅへっ」な相手らしい。もちろん直のことは眼中にない模様。

直は「秋山さんと彼女ってどんな関係なのか」気になるのだが秋山は「余計なことを考えずにゲームに集中しろ・・・」とクールなのである。

とにかく・・・セミ・ファイナルのディーラーはフォルリ(喜山茂雄)なのであった。仮面は変わっても声は同じなのである。

セミ・ファイナルの参加者は・・・。

直、秋山、キノコこと福永(鈴木浩介)というお馴染みのメンバー。

2~3回戦を戦った土田(森下能幸)・・・直の誕生日会のメンバーの一人である。

謎の高校生・ヒロカ。

普通に怪しいテッペイ(忍成修吾)、かなり怪しいマリエ(MEGUMI)、絶対に怪しいタツヤ(姜暢雄)・・・。

格別に怪しいモモコ(片桐はいり)。

メイちゃんの執事で任侠ヘルパーなブラジル生まれのワタル(夕輝壽太)・・・。

芸名がすでに怪しいおっさんの安川(春海四方)・・・。

そして菊地の12名。

セミファイナルは前半戦と後半戦の二段構えである。

前半戦の種目は・・・「天使と悪魔ゲーム」(原作では感染ゲーム)である。

説明書を読んだ段階では意味不明のゲームなので例によってリハーサルがあるのだが、今回はリハーサルの結果でアドヴァンテージがつき・・・緊張感を持たせるスタイルになっている。

四回戦で大赤字の事務局は・・・前半戦は貸し出しなしの一億円返しというぶったくりに出た。後半戦進出者のみが1億円を与えられるのである。

ま・・・なんじゃそれ・・・ですが・・・とにかく・・・四回戦を勝ち抜いた勝者の集いである。

全員、ゲームに参加します。

ゲームは怪しい腕時計をはめて行われる。この装置には双方向性があり、時計と時計を合わせると情報が交換されるのである。

そして・・・ゲームとしてはかなり不公平なことにスタートと同時に12人のうち2人がアットランダムに悪魔に決定されてしまう。

そして、残りのメンバー10人は自動的に天使となる。

自分が天使なのか悪魔なのかは審判の部屋に一人で入ると当人にだけ示されるシステムである。

天使は悪魔と触れ合うと悪魔になる。天使と触れ合うとお互いが聖なる十字架を得る。ただし同じ相手と十字架を作れるのは一回だけ。

悪魔は天使と触れ合うと天使を悪魔に変える。

十字架を持つ天使は十字架を消費して悪魔を天使に変えるが自身は悪魔になる。

十字架を持つ悪魔は十字架を消費して自分を天使に変えることができる。

ゲームを通過するためには十字架を4本獲得した天使であること。

つまり、天使が五人いれば、お互いと触れ合うことで全員が十字架を四本手にいれることができるのである。

このゲームでは悪魔は最初に天使になるための一段階がマイナス要素となるため、不利なポジションと考えられる。

リハーサルでのアドヴァンテージとは聖なる十字架獲得数において上位3人は本番の最初の選定で必ず天使になるというものである。

天使なので天使だった直はさっそく、信頼に基づく必勝法を思いつく。

「最初に悪魔二人が名乗り出てくれれば天使同士で十字架を増産した後で、悪魔を救済・・・全員が十字架4本以上を持つことは簡単だ」と明かすのである。

しかしキノコは「悪魔だとばらしたら見捨てられる可能性があるので悪魔は自己申告できないよ」と言う。

「でも信じあうことができればみんな勝利することができるんです」

そこで菊地が「このゲームでは天使五人と悪魔二人つまり七人が賛同すればそれが可能になるとアドバイスする。

最初に五人が4本の十字架を作り、二人の天使が二人の悪魔を解放、解放された天使は残りの天使と合流し4本の天使となる。三人の天使は6本の天使となる。

堕天使は十字架を使い2本の天使となり、解放された天使と交わり4本の天使となることができる。

・・・ということだ。

そこで全員が直の意見に賛同する。

悪魔として名乗りをあげたのは・・・怪しいおじさん安川と、怪しい女マリエだった。

さっそく・・・直の作戦を実行する一同。

しかし・・・直が二人の悪魔を解放しようとすると・・・秋山が制止する。

「直・・・お前が本当に天使のままでいるかどうか・・・確認してこい・・・」なのである。

天使の直は悪魔になっていました・・・。

そこでリハーサル終了である。

結果は・・・天使3人悪魔9人だった。

「えーっ」とうろたえる一同。

しかし・・・秋山は「真相を教えてやる・・・その前にアンケートだ・・・自分が誰と最初に触れ合ったのか・・・紙に書いてくれ」

天使の中に悪魔がいるという秋山に・・・「ボクです」というワタル。「なぜ・・・」と問いかける一同に・・・「申告しようとしたら先にあの二人が・・・」というワタル。

秋山は「あの二人は天使だ」と断言。

「もしも・・・悪魔が一人なら・・・こんなに悪魔は増えない・・・増えたのは誰かが意図的に悪魔を増やしたからだ・・・つまり、悪魔は最初に次々と握手をした奴ということになる・・・アンケートの結果・・・それは菊地だ」

それならば・・・安川とマリエはどうして悪魔だと虚偽の申告をしたのかという一同の疑問に秋山は「簡単なことだ・・・三人はグルだったのだ・・・」と答えるのだった。

菊地は最初から安川とマリエを金で買収していた。そして自分は「ライアーゲームの必勝法を知っている」と二人の勝利を約束する。

自分が悪魔となった菊地は二人に「悪魔だと言え」と支持をする。

そして自分は天使のふりをして天使たちを悪魔に変える。

安川とマリエは天使だったので・・・天使プラス十字架1になる。

どちらかが菊地を天使に。菊地は残ったものと交わり天使プラス1に。

残ったものは天使プラス2になるため、堕天使を天使にかえ、自分を天使に戻す。

この結果、菊地は天使プラス1、安川とマリエは天使ゼロになる。

三人以外は全員悪魔なので・・・上位3位までを獲得する。

菊地「その通り・・・でもそれがライアーゲーム・・・そして今さら真相がわかっても・・・私たちがこのゲームにおける絶対的な優位性を確保したことは変わらない・・・しゅへっ」

秋山「しかし・・・9人を敵にまわしたものがこのゲームに勝てるかな」

・・・という話である。

いよいよ本番。ゲームは1ピリオド30分。それぞれインターバルをはさむ1~3ピリオド、合計90分で行われる。

菊地、安川、マリエが天使確定のために・・・残り9人のうちの二人が悪魔である。

そして・・・直は・・・今回も天使でした。

秋山も天使・・・キノコも天使だと自己申告する。

しかし、秋山は「キノコ、よく考えろ・・・お前がもしも悪魔ならウソをついたままだと俺たちは全滅だ・・・しかし・・・本当のことを言えば助かる可能性はある」

キノコ「・・・本当は・・・悪魔でした」

これで秋山が天使ならば・・・菊地の手順で・・・。

キノコ天使1、秋山天使0、直天使0となる。

一方、菊地のアドヴァンテージチームは・・・。

菊地天使2、安川天使2、マリエ天使2である。

残る6人のうち・・・悪魔は一人。それは誰なのか・・・。

そして秋山は・・・中立グループを味方に引き入れることができるのか・・・。

それは次回のお楽しみである。

関連するキッドのブログ『第4話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『忽那汐里と酒井若菜の7万人探偵ニトベ』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2009年12月 8日 (火)

火事と喧嘩は江戸の華でありんす(中谷美紀)仁は脈診(大沢たかお)聴診器事始(綾瀬はるか)

新門辰五郎(中村敦夫)の登場である。彼の墓はキッドの密林の近所にある。

江戸の大親分である。江戸は17世紀から19世紀まで世界第一の都会であったが東京になってからもずっと続き、言わば400年くらい地球で一番の大都市をやっている。

都市型火災の記録でもぶっちぎりのナンバーワンであろう。

そういう意味で火消しの辰五郎は世界でも類を見ない凄い奴と言えるだろう。なにしろ、娘が徳川慶喜の妾という町人である。しかも侠客(ヤクザ)の親分なのである。さらに大喧嘩で入牢した前科者である。江戸っ子のナンバーワンと言えるだろう。世界一の都市で一番の男なのだから世界ナンバーワンの男と言えるだろう。・・・意味不明だぞ。

とにかく・・・仁が歩けば幕末の有名人にあたる・・・ということで仁と辰五郎・・・男の意地の見せ所の巻です。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「おひとりさま」↘*8.6%(女性版年の差カップルの恋愛もの・・・TBSはこの呪縛から逃れられないらしい)、「マイガール」↘*7.9%(平岩紙と相葉くんの恋愛ものという夢を見た)、「小公女セイラ」↘*7.0%(→のあとに下げるとは・・・)、「サムライハイスクール」↘*9.3%(超常現象の謎では持たないよな)、「外事警察」↗*5.5%(三週連続微上げでも初回に届かず・・・)、「フィギュアスケートGF」21.8%(これか・・・)、「坂の上の雲」↗19.6%(しかし、あの大河を20%にしていた人たちって・・・誰?)、「仁」↘16.1%(坂→仁の録画事故はかなり発生しているだろうな)・・・ついでに「東京犬」↗15.7%(あの大河を見ていた人たちはここに?)・・・以上。

で、『JIN~仁~・第9回』(TBSテレビ091206PM9~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・山室大輔を見た。さて・・・終局の近付く仁である。最初の予想通り、仁が「双子の腫瘍のサイキック能力」により過去へ・・・江戸見物を経て未来に戻り、仁とチェンジする永遠の繰り返しの物語になってきている。ただし、予想外に人気が出たのでプラスアルファをどうするか・・・という問題が残る。胎児はホルマリン漬けになっているのでもう一度奇跡を起こす力はないはずだが、仁の中の胎児は生きているので・・・二度目もありである。

最初のパターンは①別の時間軸の仁Aが現代に来る。②仁B(ドラマの主人公)が仁Aから胎児を摘出。仁Aは時間旅行能力を喪失。③仁Bの内部の胎児が目覚め幕末へ。④仁Bは幕末でいろいろやって歴史を変える。⑤仁Bは別の時間軸となった現代へ戻る。⑥そこに仁Cがいればくりかえし(バッドエンド)、いなければ手術に成功した未来の未来が仁Bの胎児摘出手術を行い二人は恋におちる(ハッピーエンド)ということであっただろう。

しかし、続編を作るためには⑥そこには仁も未来もいないために摘出手術は行われず、仁はもう一度、幕末に戻る。ただし、今度は文久三年以後の世界に到着するということになる。この場合は腫瘍による頭痛に耐えながら・・・歴史改変の続きをする・・・ということになるだろう。

まあ・・・そのように予想しておきます。

とにかく・・・短期決戦のために挿入したアイディアが仇となっているけど災い転じて福と成すことは可能ということです。

まあ・・・とにかく・・・そういうSF的な部分よりも・・・江戸でいろいろ泣かせることをやる仁と仲間たちが楽しいドラマなんですけどね。

マジック・アイテムである未来の未来(中谷)の写真は「未来の姿が消えかかる」という心霊写真展開に・・・まあ、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」からの戴きものなのでさもありなんです。

仁(大沢)はまたもや不安になるのだった。大きな歴史を変えずに、医学だけを発達させて、仁の個人的な幸福である未来の未来の治癒を可能とする・・・つもりだったのに・・・やはり医学を進歩させると大きな歴史も影響を受けずにはいられないのでは・・・と思うのである。

仁はタエの救命・・・回復後の殺害という経験から「時間が歴史を修復する」と考えていたわけだが、それは単なる偶然で・・・仁がいなければ死んでいたものを助ければ未来はどんどん変わってくという気分になってきたのである。

その頃・・・何故か未来の未来にそっくりな花魁の野風(中谷美紀・二役)には身請けの話が舞い込んでいた。隠居した大名が側女にしたいらしい。もちろん、断ることもできるのだが、鈴屋(六平直政)に恩義を感じる野風は鈴屋の顔を潰すことはできないのである。

「借金のかたをつけるのに否応ないのが吉原のしきたり」という運びである。

一方、咲(綾瀬)は仁のお役に立ちたい一心でからくりお咲と化している。仁の「あれがあればなあ・・・」というぼやきを聞き逃さず、図面を書いて、医学所スタッフに発注なのである。

双耳形聴診器、人工呼吸のためのアンビューバック、さらには台車付ストレッチャーなどがヤマサ秘密工場で試作されるのであった。

「勝手にどんどん進歩している・・・」と思う仁だったが写真に変化は起きない。

そんな仁の前に浅草の火消し「を組」の頭で子分三千人の大親分、新門辰五郎が現れる。

「医者なんて火事の時にはものの役にたたない」という辰五郎に仁は「そういう医者ばかりでありません」と主張。売り言葉に買い言葉である。

「ようし、上等じゃねえか、今度の火事の時には先生に助けてもらおうか」と仁が火事場に顔を出すことを約束させる辰五郎だった。喧嘩の仲裁の基本に問題の先送りがあるということです。

仁が橘家に帰ると上がりこんでいる龍馬(内野聖陽)・・・おい・・・神戸に行かなくていいのかよ・・・歴史改変なのでいいのです・・・そうか・・・「仁先生・・・ワシのフレンドたちはよ・・・みな・・・梅毒で自暴自棄になっておるきに・・・先生のペニシリンを売り込んでやろうと思っちょります・・・先に望みができれば・・・物騒なことを考えんですみますからの・・・」

ともかく・・・世界の海援隊はペニシリン艦隊になっていくらしい。

そこへ届く・・・野風からの手紙。「内密で相談したいのでお越しください」なのである。

咲は女の勘で胸騒ぎを感じるが仁を送り出すのだった。

野風と聞いては龍馬は黙っていないのである。今宵も千葉道場では婚約者の千葉さな子(貫地谷しほり・来年の大河より妄想出演)はキーッとなっているのである。

季節は冬である。もはや京都では八月十八日の政変が起こっており、倒幕勢力は一時的な負け組となり、龍馬とともに脱藩した吉村虎太郎が吉野山で戦死している。龍馬・・・。

ともかく、この世界の龍馬は野風が仁と今宵契りを交わそうとしていると知ると否や嫉妬の炎で妨害する気満々である。野風が蓄えた金をすべて費やして設けた宴の席に乱入なのである。仕方ないので野風は龍馬に一服盛りました。

ようやく・・・二人になれた野風と仁。

「咲様と夫婦になられるおつもりなのでしょう」

「そんな父娘みたいに年が違うじゃないですか」

「そのお心にある方のお話を聞きとうありんす」

「その人は・・・頭がよくて・・・気がつよくて・・・」

「今宵は私をその方と思って抱いてくださりなんしょ・・・さすれば不義にはなりますまい」

思わず・・・その気になる・・・仁だった。

しかし・・・その時・・・未来の未来の写真が変化する。

(未来の未来と・・・野風さんはつながっている・・・)

と仁が確信すると・・・江戸では火の手があがるのだった。

仁が幕末にくる前では安政の大地震にともなう大火があったわけだが、文久三年にもそこそこの火事が発生しているのが江戸の粋である。六月には飯倉五丁目から出火して江戸城の西の丸全焼の大火事があったし、九月には馬喰一丁目から出火して伝馬町などを焼き払った。十一月には江戸城から出火して本丸と二の丸が全焼。江戸城に本丸がないのはこのためである。とにかく・・・冬の江戸は乾燥していてよく燃えます。そして、この時期の火事には過激派の放火の疑いもあるわけである。

「私はいかなければ・・・」

「妾が汚れた体だから・・・」

「ちがいます・・・約束があるからです」

「野暮なお人・・・」

しかし・・・野風はそれだから愛しい仁だったのである。

現場にかけつけた仁はとりあえずトリアージ。ナース咲をはじめ医学所スタッフもかけつけて火事場から搬送された負傷者の治療を開始する。

しかし、泣き叫ぶ子供に純庵(田口浩正)はつい治療順の変更を・・・。「情におぼれてはなりません」と佐分利(桐谷健太)・・・。

そこへ・・・医学館の漢方医・福田玄孝(佐藤二朗)が現れる。

「この子はケガではなく腹くだしじゃ・・・冷えたのじゃろう・・・私にできることがあれば手伝いたい・・・」

医学所・医学館の垣根を越えた三枚目のトライアングル達成だった。

桐谷健太・・・昔は二枚目だったのに・・・。

蘭方、漢方の協力による救命センターに気道熱傷を負った千吉(川村陽介)が運ばれてくる。

片腕の千吉を案じて辰五郎が顔を出す。

「そうなったらもう助からねえ・・・千吉を寺に運ぶぜ」

「待ってください・・・喉を切って呼吸を助ければ助かります」

「喉を切ったら死ぬじゃねえか・・・火事で死ぬのは火消しの誉だが喉を切られて死んだんじゃ浮かばれねえ」

「助かる命を助けるのが医者の誉れです」

「そいつは俺の片腕だ・・・もしものことがあったらお前さんの腕をたたっきる」

咲の作った自慢の手術用具が投入され・・・手術は無事成功である。

仁が救命センターの蔵を出ると・・・火事は鎮火していたが・・・周囲には建物はなかった。

江戸の火消しの消火活動は類焼を防ぐために建物を撤去するのが基本なのである。

「火は消したぜ」

「命は助けました」

「この火事で逃げ出さないとはあんた男だねえ・・・」

「医者が患者を救うのは当然です・・・あっしには関りのねえこってではすまないのです」

「ってやんでい、べら棒めっ」

またしても仁に惚れる男が一人である。

目を覚ました龍馬は性懲りもなく野風と仁の寝床に乱入・・・。しかし、一人の野風を見て事情を察するのだった。

「色仕掛けなんてらしくないの」

「・・・絆がほしかったのです・・・。しかし・・・袖にされるというのは辛うございますな。こんな心を教えてくれるなんてありがたいことです」

「泣きたいときは泣くがよい」

「女郎の涙は嘘の華・・・真に流しては花魁の名が・・・」

問答無用で抱きしめる龍馬だった。北辰一刀流免許皆伝である。

「こうすれば泣き顔は見えんき」

「雪に・・・雪になって・・・・好いたお方の手の中で溶けてしまいたい・・・」

「野風・・・ちくとせつないのう・・・そんなこと言われたら・・・ワシが泣くぜよ・・・」

龍馬、女心の分る27才です。さすがは江戸に許婚があるくせに京都妻とも結婚する男だぜ。

ふたたび・・・写真の未来の未来は半透明に変化して・・・疑問を増す仁。そして、咲には栄(麻生祐未)縁談の話が・・・。野風の胸にはしこりが。さらに龍馬には刺客が。風雲急を告げる幕末である。

それにしても京都で暗躍しているはずの久坂玄瑞(林泰文)・・・だから歴史は改変されているからぁ・・・便利だな。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

Hcinhawaii0597ごっこガーデン。浅草寺・猿若町・吉原周辺セット。アンナ夜中にやったヤマトのアニメちんぷんかんぷんだったぴょん・・・でもきっとダーリンが演ずればピタリと当たるぴょん。仁はあと2話で・・・もう別れがつらくて涙が出るぴょ~ん。このセットはもはや迷路になっていてぬけられません。年末体制で見たい番組攻撃が沢山あるのも困るぴょんぴょんぴょんまこ十秒でわかる宇宙戦艦の話。悪い宇宙人が地球を攻めてくるけどいい宇宙人が秘密兵器をくれるっていうので沈没していたヤマトを宇宙船に改造してとりにいってドンパチデス・・・ああん・・・先週から吉原にたどりつけましぇ~ん。じいやのいけず~くうああ・・・仁と野風はどうなるの?・・・でも仁と野風が結ばれたりしたら・・・野風が未来の未来のひいひいおばあちゃんだったりすると・・・それはそれで問題あるし・・・で、野風が死んだら未来は生れなかったりして・・・ああ~どんなクライマックスが待っているんだーっみのむしすっかり・・・仁が進藤先生に・・・いや・・・現場に行くことになると藍沢先生のモードも~。江戸の消火活動って破壊工作なのですねーっ。咲はついでに消防ポンプとかも発明すればいいのに・・・。とにかく未来と野風と咲の四画関係・・・さて・・・どんなオチなのかしら・・・楽しみでございまするるるikasama4いなせだね・・・夏を連れてきたひと・・・渚まで噂走るよ・・・めっ!・・・っと歌ってる場合ではないですな。内野龍馬アップ・ヴァージョンも描いてみました。もう・・・龍馬がいいとことりまくりですなお気楽ねー、やはりBTTFだよね。咲はホントにいい子だね。・・・未来は仁の子孫だったりして・・・。そうなると未来と結婚はできるの?できないの?・・・仁だけが未来に戻っておしまい?・・・江戸時代のメンバーと別れるのは淋しいよね・・・仁にはこのまま江戸で生きてほしいなあ・・・

水曜日に見る予定のテレビ『相棒』(テレビ朝日)『前田愛の浅見光彦・最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

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2009年12月 7日 (月)

坂の上の鬼灯の花(菅野美穂)狆は鯛で陪臣を釣る模様(松たか子)

たとえば昭和の時代には冷戦があった。すでに大日本帝国は滅び日本国が成立している。

日本を中心に考えると冷戦時代の同盟国は米国である。米国の最大のライバルはソ連(現在のロシア)であった。ソ連の極東におけるパートナーは北朝鮮と中国だったがソ連の独裁政権と中国の独裁政権の間に亀裂が入り始める。ソ連は中国を支配しようとするし、中国は自立しようとする。

この機に乗じて米国は中国へ接近し、新たな関係を構築しようと考える。

驚いたのは日本だった。パートナーが突然、敵と仲良くし始めたのである。当時の首相は「ま、そのう」といいながら日中国交をあわてて回復したのである。

時は流れて平成の時代となりソ連は滅び去り、中国は驚異的な大国となった。今、また米国は中国に接近しようとしているが、その流れは昭和の時代とは微妙に違う。

ロシアは依然として米国のライバルたろうとしているが、むしろ米国の実際のライバルは中国であり、そして日本でもある。

国力というものを簡単に計ることは困難である。たとえば人口なら、日本を1とすれば米国は2倍、中国は10倍だ。国内総生産(GDP)なら日本を1とすれば米国は3倍、中国は日本とほぼ同じである。

それでも三国を同等の国家と考えてみると、その関係はどういう可能性を含んでいるだろうか。

現状は日米同盟と単独の中国という構図である。同盟を結んでいるために有利なことはたくさんあるがある意味では不自由さもある。特に日本の場合は人口も経済力も米国には劣っており、弱い。弱いものは強いものにある程度は従うしかないのがこの世のルールである。そうでない場合は猛烈な摩擦が生じることがある。

しかし、国家には内と外があり、内の中で上下や左右がもめれば外はじっとそれを観察しつつ、場合によっては付き合い方を変えることもあるわけである。

たとえば朝鮮半島を見ればいい。かっては朝鮮という一つの国だったものが、大日本帝国と合併し、大日本帝国が滅亡すると・・・それ以来、北朝鮮と韓国に分れ・・・現在に至っているのである。

その間、朝鮮半島がいかなる悲惨を味わったかをよく考えるべきだろう。

はたして・・・日本は米国とも中国とも対等のパートナーシップをもち、自主独立して繁栄していけるだろうか。

もしも、米国と中国が同盟して・・・日本を山分けしようと考えたら・・・どうするの

明治の日本は現在よりもさらに苛酷な状況に置かれていた。侵略すること火の如しという巨大な帝国がいたるところにうろつく世界で・・・はだしで立っていたのである。よく、まあ、ご無事で。

で、『坂の上の雲・第2回・青雲』(NHK総合091206PM8~)原作・司馬遼太郎、脚本・野沢尚(他)、演出・柴田岳志を見た。ドラマでは兄の好古(阿部寛)が10才ほどもはなれた弟の真之(本木雅弘)が下駄の鼻緒を切ると裸足で行けと命ずるのだが、それは極普通のことだった。好古も陸軍士官学校に入校し、軍靴を支給されるまで靴などはいたことはなかったのである。しかし、誰もが裸足なので「はだしのゲン」のような惨めさはなかった。裸足で当然なのである。いや、草鞋とか下駄とかはあったわけですが。

さて、ドラマには描かれないが、原作には好古が真之と暮らした麹町三番町土手の佐久間家で暮らした頃、好古が時々、朝帰りをした描写がある。

行き先は吉原である。

幕末の吉原の花魁の値段は基本料金一両、祝儀、飲食費などセットで三両ぐらいだったと言われる。もちろん、高級になればなるほど時価の世界です。一両を10万円と考えると一回30万円くらいである。明治になっても大店(高級)で一等(高級)の料金(玉代)は1円である。ちなみに天丼は2銭(1円=100銭)であり、天丼50杯か、一夜の夢か・・・なのである。

今回、巡査の園田(徳井優)が10数年のエピソードをつなぎ、一人微妙に老いて時の流れを好演するわけだが巡査の初任給が5円前後である。ファーストフードの天丼なら500円なので現代なら250杯食べて12万5000円くらい。現在の東京の最低賃金くらいな感じである。そうなると1円は2万5000円くらい。本来、一両は一円で現在のお金で10万円くらいのはずが明治ではインフレが加速しています。明治10年に20銭だったうな重が明治30年には30銭になったりしますから。

好古は陸軍士官学校を卒業し、明治16年(1883年)には陸軍騎兵中尉になっており、同時に設立されたばかりの陸軍大学校の第一期生として進学します。学費は無論免除ですし、中尉としての給与が支給されます。もちろん、高級ではありませんが、弟の一人くらいは養って時々吉原に遊女を買いに行くことはできたということです。

ただし、一等遊女を買ったかどうかは定かではありません。

原作の件はこうである。パリに留学した好古は四国の父親(伊東四朗)に手紙を書く。それにはパリにおける自分は田舎の処女が吉原に担ぎこまれた如しとある。それを読んだ父は帰省中だった真之に問うのである。

・・・前略・・・

「淳、信は東京のころ吉原によく行っていたのか」

「さあ、存じませんな」

といったが、真之は知っていた。好古とおなじ下宿だったころ、ときどき「淳、きょうは帰らんぞ、吉原で寝る」といって出て行ったことをおぼえている。

・・・後略・・・

まあ・・・とにかく・・・好古も男だったということである。

さて・・・真之が生れた慶応4年(1868年)、松山藩は鳥羽伏見の戦いで敗北する。この前後は日本国内で内戦があり、それは明治維新後、西南戦争まで続いていくと言ってもいい。それは王政復古の戦争でもあったが無数の藩に分裂していたわが国の祖国統一戦争でもあった。一方、ヨーロッパでは1866年にドイツ統一戦争が開始されている。ドイツもまた無数の小国に分れていたのである。その中で古の神聖ローマ帝国の皇帝をいただくプロイセンと列強としての新興国家であるオーストリアが台頭し、両者はそれぞれが群小国家を引き連れて激突したのである。プロイセンの首相はビスマルク。参謀総長が鬼才モルトケである。モルトケはナポレオン(初代)が徒歩と馬で行った分進合撃戦術(別ルートで進軍させ合流することで大兵力を集中させる攻撃)を最新技術の鉄道と電信で再現し、戦力的にはほぼ互角のオーストリア軍を打破した。プロイセンは盟主としてドイツを統一するべくオーストリアを滅ぼそうとしたが、ここで隣国のフランスが介入する。分裂している弱いドイツが統一されて強くなるのはフランスにとって歓迎されることではなかった。そのためにフランスはプロイセンに休戦を求めるのだった。フランスのナポレオン三世はこの後もプロイセン(ドイツ)の勢力拡大を妨害し続ける。

しかし、律(菅野美穂)が生れた明治三年(1870年)、ついにプロイセンは「文句ばっかり言うなってんだ」的にフランスに戦争を仕掛けるのである。フランスという強国の前に不統一だったドイツ国内は一時的に同盟し、大戦力を出現させる。フランス領土に侵攻したドイツ軍はまたもや分進合撃でこの戦法の本家であるフランス軍を撃破。ついにはフランスを屈服させる。この結果、プロイセンはドイツをほぼ統一すると同時にフランスからは一部領土をぶんどったのだった。

もちろん・・・フランスは激しくプロイセンを憎み、それは第一次世界大戦の導火線となっていくのである。

ともかく・・・旧幕府軍がフランス式だったために・・・それを引き継いでフランス式だった日本陸軍はこのプロイセン(ドイツ)・フランス戦争の結果からドイツ方式への転換を決定する。

どうせ真似するなら強い奴をという発想である。

新設された陸軍大学校に鬼才モルトケの愛弟子であるメッケル少佐が招聘され、老若が入り混じる新生日本陸軍を調教したのはそういうわけなのだ。

兵力の運用には集中と分散が欠かせない。そのためには指揮官は兵というものの機能を具体的に把握する必要がある。

たとえば狭い場所に大軍を押し込んでもそれは身動きができなくなるという不利を招いたりもする。メッケルは「兵力の多寡と必要な場所の広さ」を日本の学生に問い、答えられなければ「そんなことも知らないのでは死ぬしかない」と教えるのだった。

ちなみにメッケルは少佐で大隊長クラスである。大隊の兵力は大体千人くらいです。

・・・それが言いたいだけか。

大隊は中隊が四つ集まった単位。そこで中隊は250人くらい。

そして中隊は小隊が四つ集まった単位。ただし、小隊の兵力は40人です。

これは中隊には中隊指揮という別の組織が付属するからです。

ついでに小隊は分隊が四つ集まった単位。分隊は10人です。

つまり、分隊のパーティーはその辺のカラオケ屋でも可能だが、小隊のパーティーともなるとちょっとしたクラブを貸切にしないとできない。さらに中隊のパーティーなら大宴会場が必要だし、大隊のパーティーとなるともはや場所探しに相当苦労するということをメッケルは言っています。

さらに大隊が四つで連隊、連隊が二つで旅団、旅団が二つで師団になるのです。

師団のパーティーともなると武道館とか東京ドームを予約する必要があります。

・・・もういいか。

ともかく、明治16年に相次いで上京した正岡子規(香川照之)と秋山真之。二人は共立学校(現在の開成高校)で受験勉強をすると翌年には東京大学予備門(現在の東大教養課程)に合格してしまう。ある意味快挙である。

現代で言えば東大一発合格である。もちろん・・・青春爆発なのである。

この頃、正岡子規の妹の律は15才。同郷で陸軍士官学校を卒業し陸軍大学校の三期生となった恒吉忠道(後に陸軍少将)と結婚するがまもなく・・・離縁する。もちろんいろいろあったわけだがそこはお茶を濁すのでお茶の間は察するしかないのである。

鬼灯に妹がうらみを鳴らしける(子規)

ちなみに原作では律には秋山家の兄弟のどちらかに嫁ぐ縁談があったことが紹介されている。しかし、秋山兄弟はそろって軍隊で地位を築くまでは結婚しない主義だった。そういう意味で律の思いが年の近い真之にあった可能性は充分にあるわけである。

ちなみに和歌の世界では妹といえば実際の血縁関係ではなく恋人や愛人を示すわけだが・・・もちろん・・・古代には異母であれば婚姻も可なので文字通りの場合もあります。

子規の俳句に登場する妹は律でもあり・・・子規の幻想の恋人のようでもある。

もちろん・・・それが一致しても妄想的には萌えなのである。

ともかく、そういうもやもやとしたものをこの後も正岡兄妹と真之はせつなく生きていくのである。

一方、ナレーション的に秋古の嫁になることが明らかにされている佐久間多美(松)ははつらつと笑いをとっていくのである。ちなみに子規と真之が鯛で予備門合格を祝ってもらうこの頃、多美もまた14~15才です。ご了承ください。

佐久間家の女中のよし(佐々木すみ江)は「松山藩の陪臣(またもの)なんて直参旗本の佐久間家のお姫様とはつりあわない」と怒るのだが、佐久間家では出世間違いなしのエリート軍人の下宿人に早くから目をつけていたと言われる。

ちなみに・・・秋山兄弟の母(竹下景子)は律の離縁に対して「軍人の家とはあわなかった・・・」などと怪しいセリフを言ってしまうのだが・・・本来は秋山も正岡も武家である。そもそもがみんな軍人一家です。

真之が上京した年には徴兵令が改正され免役規定の代人料が廃止されている。これによって兵役逃れが難しくなったのである。

それはすでに兵員を増員する必要を政府が感じ始めていたことを意味する。

ただし・・・徴兵される兵隊さんと・・・士官学校出身のエリート軍人はまったく違う存在であることを認識する必要があるだろう。

正岡子規の文学の友となる夏目漱石(小澤征悦)は偽装転居までして兵役を逃れようとするのだが、あえてエリート軍人の道を選ばなかったのに・・・下っ端の兵隊にされてたまるかという気持ちがあったのである。けして今で言う反戦的な意図ではないことを理解する必要ある。

ともかく・・・青春を謳歌する子規と真之だった。

江の島無銭旅行の件ではドラマでは海にたどり着く一行だが・・・原作的にはもう少しグダグダである。なにしろ全員下駄ばきなのである。

深夜に神田あたりを出発した一行はすでに芝の増上寺あたりでくたびれはじめ、品川あたりではもうヘトヘトだった。ドラマでは怪しい遊郭の描写があるがここで登場するのは品川宿の女郎たちなのである。一行は夜明けに鉄道の神奈川駅(横浜市)まではたどりつく。そこから昼までには戸塚までは行くのだが江の島まであと12キロという地点で精も根も尽き果てるのである。たまたま一人が汽車賃をもっていたため・・・「もう汽車で帰ろう」と言い出すと「帰ろう」「帰ろう」ということになり帰ってしまったのだった。

ドラマでは許されないことが現実では起こるのだな。

東大予備門に入ると子規と同居をはじめる真之だったが・・・そこには妹を好きな子規、妹の慕う真之という怪しいプラトニックラブの世界があったと想像できる。

真之は天才的に勉学もできたが、秀才ばかりが集まる予備門で子規はひとつの壁につきあたる。思ったほどできない自分を発見したのである。特に語学がダメだった。

末は博士か大臣かというコースにのりつつ、日本一でなければ我慢できないというのが書生堅気なのである。子規が野球に熱中するのは逃避なのである。

やがて哲学者を目指したり、国学者を目指したりする子規だが・・・最後には俳句にたどり着くのであった。

一方・・・真之は経済的な問題から将来を考えていた。

兄も大学生。自分も大学生となったとき、学費は免除されても教材費(洋書購入など)で展望が開けなかったのである。

そうなれば兄と同じ道を目指す他はないのである。

しかし・・・陸軍では兄が日本一になる。だから真之は海軍を選ぶのだった。

もちろん・・・理由はそれだけではない。真之が大学予備門で楽しい日々を送っているその時。

日本に遅れつつ、西洋化を開始した清国では大帝国の威信をかけて海軍を近代化・・・植民地として最後に残された朝鮮や沖縄(琉球)をめぐり日本との対立を深めていたのである。

この年の八月・・・清の北洋艦隊は日本には一隻もない巨大戦艦・定遠をはじめ四隻で日本を威嚇するために砲艦外交を展開。長崎に上陸した清国水平が日本の警官隊と衝突して死傷者を出す長崎事件が発生しているのである。

脅威を感じた政府首脳は海軍建設を急務と考え・・・無謀と言うべき予算の投入を開始する。

天才的軍人・秋山真之の魂は帝国の行く末に暗雲が立ち込めるのを察知していたのだった。そして・・・おいしそうな海軍のカレーライスにも心ひかれたのである。

日本海軍は世界に名だたる大英帝国を規範としていた。もちろんカレーも含むなのである。

だから真之は幼馴染の子規に背を向け・・・英雄への道を歩みだす。

秋山真之、明治19年(1886年)に海軍兵学校に17期生として入校。18才だった。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム・シーズン2』『リアル・クローズ』(フジテレビ)『ケータイ刑事銭形命』(TBSテレビ)

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2009年12月 6日 (日)

男と女の騙しあい(尾野真千子)死んだ原作者に口なしだけれどプリンセス(志田未来)

故人に礼を尽くすのが美徳であるのは故人というものが無力だからである。

もちろん、ゾンビになれば服を汚すゲル状のものをしたたらせて何かしてくるかもしれないが・・・普通は無力なものだ。死して司馬懿を走らせるのは諸葛亮くらいなものである。

脚本家は基本的に悪人だから何をしても自由だし、ある程度の自由がなければ面白くない。

ただし作品がそういう「悪」を含んでいることを客もまた知っておくのが作法というものだ。

原作者が生きていたら「クソだ」と思うようなアレンジであってもそれが原作の寿命を延ばすものなら意外と原作者は墓場でニヤリとしているかもしれない。

しかし・・・どのような邪な世界であろうとも住めば都であり・・・別れが近付けば胸がつまるのがフィクションの醍醐味なのだな。

この世のどこにもない世界のどこにもいない登場人物たちに乾杯である。

で、『小公女セイラ・第8回』(TBSテレビ091205PM0756~)原作・フランシス・E・H・バーネット、脚本・岡田惠和、演出・金子文紀を見た。謎の学園・聖ミレニウス女学院の使用人セイラ(志田)は千恵子(樋口可南子)から支払われた労働の対価で「暖かい毛布」を買わずにカイト(林遣都)に英語の本を、そして、まさみ(岡本杏里)をお茶会に誘うためにティー・セットを購入する。「お嬢様だからと笑わないで」とカイトに釘を刺すセイラだがもちろんお嬢様だからである。あればあるだけ使うのはお金の価値を知らないからなのだな。セイラからのプレゼントに中途半端に色気づいたカイトは天にも昇るような気分になるのだった。もはや陰鬱な気分を愛するものはなくうつ病が大手をふって歩く時代だからな。しかし、この世界の陰鬱の正当な守護者である千恵子はセイラが浮かれて朗らかに笑うことは断固として許さないのだった。暗い気持ちで世の中を見つめていなければいざという時にろくでもない結果になることを知っている千恵子はお嬢様から転落し使用人になってもすぐ明るさを取り戻すセイラは自然の理に逆らう悪魔の申し子に他ならない。使用人が深夜の学校で勉強したり、使用人と生徒が深夜にサバトを開くなど言語道断なのである。断固粉砕なのだな。できれぱ火炙りにしたいくらいだ。理想の親でない親を恥じる真里亜(小島藤子)に人としての道を説くセイラだが、実は養女であったまさみ(岡本杏理)は「セイラさんは神様ではないのだからほどほどにしなさい」と忠告する。そうやって「いじめ」を止める「正しい行い」をしたものは「いじめ」を受けるのである。だから「正しい行い」をするものは減少しこの世は一歩ずつ地獄に近付いていくのだな。お茶の間でいじめっ子やいじめをとめなかった賢いものたちがうんうんと頷いているのが目に見えるようだ。そしてある日、ふと自分や自分の家族が苛められて思うのである。ああ・・・セイラがここにいてくれたらと。セイラなら代わっていじめられてくれるかもしれないのにと。しかし、原作に敬意が払われるならばセイラはそのころには高みへと戻ってしまい・・・普通の人々はセイラには頼ることはできない。さよなら・・・聞き分けのない人なのである。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

で、『外事警察・第4回』(NHK総合091205PM9~)原案・麻生幾、脚本・古沢良太、演出・吉村芳之を見た。空と海は水平線で分割されているが夜の闇が覆えばどこまでが空でどこまでが海なのかたちまち曖昧になる。情報(information)と情報(intelligence)の区別もまた同じである。日本ではその厳密な区別は形容詞で補うのが普通だ。確かな情報とか・・・いい加減な情報とかいい回すのである。しかし、英語ではintelligenceには知的な情報が、informationには雑多な情報がニュアンスとして生じる。インテリジェンスを加工された情報、インフォメーションを生の情報と考えてもいい。

情報機関にとって情報とはインテリジェンスであることが大前提となる。たとえば人間は誰でもテロリストになる可能性があるなどと言えばそれは単なるインフォメーションだが、現在の総理大臣はテロリストであるといえばインテリジェンスなのである。もちろん、そのインテリジェンスがどの程度の確度があるのか・・・情報機関は分析してさらにインテリジェンスの精度を増していく。

もちろん、ママからもらったお金を適当に処理して脱税するような首相を納税者にとってものすごいテロリストだなどと当たり前のことを言うのはインフォメーションに過ぎない。周到な盗聴と監視によって不適切な組織や好ましくない人物との定期的な接触があり、オペラ鑑賞の間に違法所持物を入手したりしてその爆発物をさりげなく口封じしたい秘書の席に置くぐらいではテロリストとは断定できないのである。

インテリジェンスは確実な情報であるが、確実であろうとすればするほど不確実になっていくのがインテリジェンスの宿命なのだ。

正体不明のテロリストfishをめぐってテロ活動の阻止を目指し情報活動をする外事警察。

住本は協力者・下村愛子(石田ゆり子)を用いてテロリストの一味と推定されるジュリオ(チェホ・イムレ)にハニー・トラップ(色仕掛け)をさせてまでも情報入手を優先させる。

インフォメーション(あるがまま)の世界からの新参者である松沢(尾野真千子)はその非情さに怒りを覚える。女の貞操に価値があるというインフォメーションに毒されているからだ。松沢は下村のかっての運営者として手持ちの札を傷物にされたようなショックを受けるのだった。

魔物としてインテリジェンスの世界に身を置く住本はそんな松沢を冷静に観察するのだった。松沢に・・・部下としての価値があるかどうかをインテリジェンスしなければならないからだ。

たとえば・・・協力者・下村が「私は植物状態の夫を殺そうとなんて思ったことはない」と見栄をはっても・・・下村が夫を殺害しかけたことがあることを住本は把握している。かって住本の母がそうしたように。

インテリジェンスの深みは実際には存在しない建前の警視庁公安部外事第四課(ウラ)の方が暗く濁っている。実在する第一~三課(オモテ)と比較してだ。しかし、オモテも所轄の刑事より暗く、刑事は一般人より暗いのだ。ウラが暗いのは暗黒の極みであるテロリストと敵対するためである。

それは建前としては市民の安全を保守し、社会の秩序を維持する目的によるものだが・・・深みにもぐればもぐるほどその一筋の光は薄れていく。

ウラの刑事とテロリストは暗闇の中で判別しがたいものになる。

その暗闇に怯える松沢はかっての同僚である所轄の刑事・久保田(平岳大)に救いを求める。しかし、一度暗闇を体内にとりこんだものは簡単に明るくはなれないのだ。

そうとは知らぬ久保田は下心をオブラートに包んだ仲間意識で住本をマークするのだった。

しかし・・・住本は暗闇に紛れ込んだ目の見えない犬を排除する。

「幼馴染の風俗嬢にガサ入れの情報を垂れ流して、美味しい汁を吸った泥棒刑事の出る幕じゃねえんだよ」

久保田は尻尾を巻いてやや明るい世界に退散する。

オモテの影の支配者である「ZERO」こと倉田理事官(遠藤憲一)はオモテの表の長である有賀警察庁警備局長(石橋凌)とウラのリーダーである住本の癒着を自分の出世の障害と考えている。

住本が自分を飛び越えて有賀と組み、組織の秩序を乱す以上、同様の手段をとるべきだった。

学閥を利用して村松内閣官房長官(余貴美子)が接触してきたのは渡りに舟である。

次は住本の部下を抱き込めば情報的な包囲は完成する。

倉田はすでに松沢に目をつけていた。

倉田-村松-(有賀)-倉田-(住本)-松沢-倉田

倉田はインテリジェンスの勝利の予感を感じる。

倉田にとって敵とはテロリストではなく、上司である有賀と部下である住本なのである。

保身と言ってしまえば話は簡単だが自分の身も守れないようでは情報活動などに意味はないと倉田は考える。

住本は協力者から得た情報によりテロリストのアジトを突き止める。しかし、爆弾を製造したテロリストはタイミングよくアジトから大挙する。

情報を分析しテロリストの作った爆弾を硝酸アンモニウムと燃料油からなる硝安油剤爆薬(ANFO)と推定する。生産量は2トンである。安価でとりあつかいの容易な爆薬である。

取り逃がしたテロリストと爆薬を追う住本に部下の金沢(北見敏之)は現場に残された血染めの文字を示す。

➑❷❼

それは「警備対象となる国際会議に出席する要人の来日予定日」である八月二十七日を示しているようにも見えた。

住本は血液鑑定を待つ。その血がかっての協力者№11907のものである確率は鬼のように高いのだった。

住本の心に残る一筋の日向には身重の妻(遊井亮子)が夫の名を叫ぶ声がこだまする。

「ニケ」

住本の運営から解放されたニケは自ら死地に飛び込んでいったのだ。

闇にまつわる危険の醍醐味に溺れてしまったのである。

住本はできればそうでないことを祈る。心の日当たりが悪くなるのが厭なのである。

しかし・・・官房長には国際会議中止勧告のメッセージとともに「耳」が送られてくるのだった。

そしてニケは死後硬直で閉じ込められたままの姿勢を住本の前にさらす。

死体置き場で住本はメッセージの意味をインテリジェンスする。

ニケの血でかかれたメッセージ。

書いたのはテロリストか・・・何のために。

書いたのはニケか・・・何を伝えようと・・・。

しかし・・・住本はニケが書いた可能性は低いと考えていた。

ニケは協力者であり・・・住本は運営者。

二人には絆があった。

住本はその絆に基づき父が命を贖った男・・・有賀にニケの遺族への補償を求める。

有賀「無理だ・・・まだこの国には本当の正義はないのだ・・・その男は闇に葬られるのが運命なんだ・・・こらえてくれ」

その頃・・・二人の女がそれぞれのインテリジェンスに従い暗躍を始めていた。

松沢は住本に利用されたことで自我が傷ついていた。それは痛みの出口を求め下村愛子にたどりついた。傷心の一般人を保護することは刑事として心の休まるところだ。松沢は所詮、インテリジェンスの素人だ重要な情報・・・たとえば住本の情報を民間人に流してそれを迂闊とは考えないのである。

下村は灰色の日常を忘れられる暗い戦場の刺激に溺れていた。それはアルコールとセックスをともない・・・下村の心に華やぎをもたらすのである。

松沢は下村を住本という闇から守ろうとした。

下村はより深い闇を求めていた。

倉田は二人を運営しているのは自分だと信じた。

松沢は下村を運営しているの自分だと信じた。

下村はジュリオを運営しているのが自分であると信じた。

やがて・・・ZEROは「爆発物の所在地」を示す情報を得た。

住本たちは現場で輸送に使われたトラックを発見した。

その中には1トンの爆薬が残っていた。

そして「827号室」が浮上する。

金沢は「ニケが住本主任に書き残したメッセッージ」であると仮説を述べる。

しかし・・・その可能性は低いと住本は考える。

やがて・・・倉田からもたらされた「父親をソ連のスパイに暗殺されて殉職あつかいされなかった住本の怨み」という情報を鵜呑みにして「憐れさ」から住本を見下すまでに至った松沢の屈折した心理が住本に威嚇として示される。

松沢「あなたなんて・・・女をあつかいきれないマザコンなんでしょう・・・だから下村愛子さんは私の協力者№20488にさせてもらったわよ。あなたには指一本触らせないわ」

住本「なるほど・・・お前か・・・上手く踊らされたな」

松沢「踊った・・・私が」

住本「ニケはな・・・⑦って書くんだ❼とは書かないんだよ・・・書きたくても書けなかった場合もあるが・・・その場合は情報として無意味だからな・・・」

松沢「何言ってんの・・・」

住本「テロリストがすべてを運営しているんだ・・・下村愛子はガセネタをつかまされたんだよ」

下村「そんな・・・」

住本「それとも・・・下村愛子・・・あんたは・・・最初からテロリストの一味だったりしてな・・・おい・・・あれほど理容師に戻れと言ったのに危険に溺れてしまった民間の人・・・そうでなければそんな人間を装ったテロリスト・・・あんた・・・どっちなんだ・・・どっちなんだよ・・・」

ついに光と闇が交錯する住本の本性・・・それとも挑発的な演技なのか・・・。

インテリジェンスは断定の波間を漂う小舟なのである。

月曜日に見る予定のテレビ『吉高由里子の東京DOGS』(フジテレビ)

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2009年12月 5日 (土)

あんたなんか滅びればいい(黒川芽以)平成VS昭和嬢王V?10(原幹恵)

さてと・・・「アンタッチャブル」は「フィギュアスケート・グランプリファイナル2009」で一回休みである。

そして、深夜にはサッカー・ワールドカップの組合せ抽選会が・・・。

和戦の二つのカタチは個人の戦いとチームの戦いにも通じる。チームの和が戦いの鍵を握るのである。

つまり、和をもって敵を倒すということである。

和はつまり戦いの道具なのである。

現在の日本の総理大臣は「和があれば戦いは散じる」と考えているようだが・・・根本的に間違っているのだな。

和を乱すのは個が己の都合に執着する時に起こる。「在日米軍は必要に応じて展開するべきだ」というのが現在の日本の総理大臣の論拠であるという。その方がリーズナブルだからだという。つまり、「危機的状況になったら救援してもらう」という考え方である。「安全保障」としては非常にスリリングな考え方と言えるだろう。この考え方の基本には「武力を放棄すれば戦は生じない」という性善説があると言える。

つまり、「鍵をなくせば泥棒はいなくなる」と言っているのと同じだ。もちろん、そういう考え方もあるだろうが・・・「まったくその通りだ」と同意するのは馬鹿と泥棒だけであると考える。

そろそろ・・・夏の選挙の結果の恐ろしさが・・・人々の心にも浸みこんでほしいものだな。

まあ・・・それもまた日本の歩く道だと言えばそれまでだが。

抽選の結果・・・日本はグループE。組合せはオランダ(2009FIFAランク3位)、カメルーン(11位)、デンマーク(26位)で・・・日本(43位)である。データ上は予選通過は絶望的だが・・・戦いというものはデータ通りにはいかないので希望を失う必要はない。

東アジアで言えば、韓国(52位)、北朝鮮(84位)だが・・・日本がこれらの国にいつも必ず勝つわけではないからだ。しかし、このグループでは実力以上の何かを出さないと勝てないのも確かなことだろう。そしてこの戦いには「危機的状況になっても救援は来ない」のである。

何かを得れば何かを失うのは必然だが・・・失ったものを取り戻すことは得たものを投げ出すだけでは不足することが多い。

そういう心配をママから何億円ももらう宇宙人はしていないとキッドは断言しておく。

まあ・・・自ら選んだ道なので国民はそれを受け止めるしかないわけだが。

クマやドラゴンの前で虎の威を借りていたキツネが独立宣言なんてしたら身の毛がよだつような結果になることは間違いない。

もちろん、キツネがどうしてもそうしたいならそうするしかないのである。

で、『嬢王Virgin・第10回』(テレビ東京091205AM0012~)原作・倉科遼(他)、脚本・梶木美奈子、演出・小山田雅和を見た。舞(原幹恵)の前で体調不良となり、「私は死ぬかもしれない」と突然弱音を吐く優衣華(原紗央莉)・・・。「嘘よ・・・古傷が痛んだだけ・・・」と一度は強がるが失神してしまうのだった。

救急車を呼ぶという発想も浮かばない頭のちょっと弱い子である舞は途方にくれるが通りすがりの雨宮(永田彬)が肩を貸してくれるのだった。

実はすでに優衣華の異母兄・桜木(大口兼悟)に処女をささげた舞だったが・・・キャスティング的な相手役は雨宮である。ここからどんなアクロバットが展開されるのか楽しみである。

舞「優衣華さんを運ぶの手伝ってくれてありがとうございました」

雨宮「お前との賭けが続いていることを忘れるな・・・俺が滅びるか・・・お前が滅びるか」

・・・そんなことより、医者を呼べ。

しかし・・・優衣華の体調よりも朋(黒川)が舞と雨宮のツーショットを目撃して嫉妬の炎を燃やすことの方が大切なドラマである。

ついに開幕する「昭和VS平成チーム対抗売り上げバトル」・・・昭和チームが勝ったら嬢王即刻中止なのである。

昭和チームのエースは小悪魔agehaそのもののキャバ嬢・菜々(桜井莉菜)・・・カメレオンのように客にあわせてキャラを変える魔物である。

大坂代表だけに平成チームの翔子(横山美雪)に「この神戸のヤンキーが関西の面汚しか」と近親憎悪である。

「なんやと」と翔子も臨戦態勢に・・・。

そこへ「おやめあそばせ!」と登場したのが昭和チームの真打ち・・・喪服のキャバ嬢望月メグ(吉沢明歩)であった。今回・・・すべてを持っていきます。

あなたたちのことも葬ってあげてよ・・・ムフフフ」なのである。

第1シリーズのおニャン娘からキャラチェンジしたメグの未亡人よろめき術が炸裂する店内。平成チームはチームワークもバラバラで昭和チームの年季の入った連携プレーにタジタジなのである。

メグ「主人に先立たれて早二年、殿方の温もりが恋しくて悶える夜・・・そんなはしたない私をお許しください」

客「・・・許します」

ノンアルコールの平成組は冷えた飲み物の過剰摂取で体調不良になり・・・ナンバー2の珠里(木口亜矢)も肩を痛める始末。

席をはずすと同じチームの翔子が客を体で奪い取る始末。

翔子「特別な人にしかこういうことしないのよ・・・チュッ」

客「あはん」

昭和組はメグが諸肌脱いでサービスしつつ「主人が磨いてくれたこの体・・・若さなんかにゃ負けないにゃん」なのである。

そんな状況に嬢王グランプリ主催者の雨宮が追い込まれたと考えた朋はキャバ嬢への復帰を匂わす。

「私がお助けしましょうか・・・」

「君には他に頼んでいることがあるはずだ・・・桐島社長の不正の証拠はまだか」

すでにそれを入手済みの朋だが・・・切り札を手放すことを躊躇する。

「もう・・・まもなくです」

一方、実は足が不自由ではないことを朋に脅された香織(かでなれおん)は婚姻届をもって雨宮に迫る。しかしいつものようにはぐらかす雨宮。

その頃・・・追い詰められた舞は桜木のラブレターを見つめる。

君の力を信じてます。

最後まで走り抜いてください。

客を寝取られた珠里は「この自己中の枕女」と翔子に詰め寄るが「もう嬢王グランプリもお終いや・・・なら日銭稼ぐしか他ないんじゃ」と開き直る。

そこへ現れた舞。「あきらめるのは早い・・・珠里さん・・・体が冷えて・・・肩が痛いのでしょう・・・この生姜入り葛湯をどうぞ・・・それから・・・このとうがらしクリームを肩に・・・」

「馬鹿じゃないの」「ドブス」と舞を拒絶する珠里と翔子。

珠里は舞のプレゼントをゴミ箱に捨てる。

しかし、それを拾い上げて優衣華が珠里を追う。珠里の腕をねじ上げる優衣華。

「なにしやがる」

「楽になったでしょう」

「・・・!」

運動不足はダメなのよ・・・それからこれも」

渡された舞のプレゼントには手紙が入っていた。

「おばあちゃんは女の子は体を冷やしちゃダメと言ってました」

翌日・・・来店した客に手紙つきプレゼント攻撃を行う珠里。

珠里「最近、手紙をもらってうれしくて・・・」

客「・・・うふん」

平成チームは手作りプレゼントとお手紙で客のハートを鷲掴みにするのだった。

舞という核を中心に連携プレーさえ見せる平成チーム。(例)翔子から舞へ。「おっぱい星人に乳首ギリギリ攻撃でどうぞ」・・・こうなれば若さの勝利なのだった。

珠里は「おばあちゃんによろしく言ってくれ」と空になったクリームケースを舞に渡すのだった。

敗れたメグは「まるで主人が死んだ時のようなショック」を受けるが・・・最後に舞を相手に決めるのである。

メグ「おもてなし・・・その語源は表裏なし。つまり真心のこと。あなたの真心に負けちゃったにゃん」

舞「にゃん・・・って」

舞もこのドラマ初のツッコミをそつなく決めた。ちなみにもてなしの本当の語源は「実力行使をもって成果をあげること」である。(例)ヤクザの親分が「ちょっともてなしてやれ」

香織の婚姻届を見せて朋にすがる雨宮。「オレを助けてくれ・・・

朋はついに切り札を雨宮に渡してしまう。

朋「これからどうしましょう」

雨宮「お前にはもう用はない

雨宮と偶然に会い「いい気になるなよ・・・お前はまだ裏切りというものを知らない」と悪態をつかれる舞。それを目撃した朋は虚無の炎に焦がされるのだった。

雨宮は「桜木議員と桐島社長の癒着の証拠」を桐島につきつけ婚約指輪を投げ捨て・・・桐島父娘との縁切りを宣言する。

「私は独立します・・・」

その頃・・・舞に忍び寄った朋は舞の喉に鋏を突き付けて・・・。

死ね・・・あんたなんか死んでしまえ・・・

さあ・・・残り二回・・・盛り上がってまいりました。舞にも決め台詞があるといいのに。

関連するキッドのブログ『第9回のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『坂の上の雲』(NHK総合)『JIN・仁』(TBSテレビ)

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2009年12月 4日 (金)

妻を助けてくれたまえ!(唐沢寿明)私は軍人の娘ですから人前では泣きません(多部未華子)

やはり・・・バランスが悪いのだなぁ。

いや・・・「不毛地帯」のドラマ化としては最高水準に達していると思うが・・・お茶の間との距離の取り方が失敗している気配がある。

主人公の壹岐が「いけない恋心」を誰に対してもどうして隠せないのか・・・という疑問が沸き起こるのは必定なのである。

これはその点については純情可憐な青年のままの男だから・・・ということなのだが・・・もう、そういう心情って誰も理解できないのじゃないかと思う。

昔は・・・不器用なんだなぁ・・・で済んだ話なのである。

ま・・・男の不器用さで殺される妻なんて・・・お茶の間的にはもっとも耐え難かったりして・・・。

秋ドラマ第二次なんちゃって高校生ビッグ3(もう二人なんちゃってじゃないじゃん)の陣(順位は平均視聴率)

①多部未華子「不毛地帯」・・・・14.1%↘11.1%↗11.6%↘*9.9%↗11.8%↘10.7%↘10.6%↗11.4%

②大後寿々花「サムライハイスクール」14.0%↘11.3%↘*9.6%→*9.6%↗10.6%↗11.0%↘*9.9%

③志田未来「小公女セイラ」・・・*7.4%↗*8.0%↘*7.8%↘*7.6%↘*6.0%↗*8.4%→8.4%

※主役と脇役を同列で論じる脈絡のなさを責めないでください。

で、『不毛地帯・第8回』(フジテレビ091203PM10~)原作・山崎豊子、脚本・橋部敦子、演出・平野眞を見た。最初に「おことわり」のつくドラマである。つまりフィクションだということなのだ。ドラマがフィクションなのは当たり前なのだが・・・まあ・・・実在というフィクションにかなり近い部分があるのでアレなのである。さらに言えばこの物語の主人公たちは特権階級に属している。同じような特権階級の人々を描いた「華麗なる一族」との最大の違いは「戦争」を色濃く描写することによって「戦後まもなく」の暮らしがあり・・・壹岐の一家が貧しかったような誤解を生じさせていることである。当時の東京は焦土から復興していたので特権階級も庶民も同じような住居に住んでいた・・・という話にすぎない。

そこでこのドラマでは壹岐(唐沢)や壹岐夫人(和久井映見)が庶民のように描かれてしまっていることが・・・中途半端なことになっているのである。

研究不足か・・・狙いなのか・・・は微妙なのだが・・・たとえば零落した小出(松重)でさえも庶民ではないのである。当時の庶民はもっとド貧乏なのだ。

だから壹岐や壹岐の妻の心情が同時代人なら分るというのも誤解である。

壹岐や壹岐の妻の心情は雲の上の世界の話であり・・・当時の人々は原作を読んでうっとりするのが普通なのだな。

同時に秋津千里(小雪)の存在だって意味不明だろう。庶民が食うや食わずの時代に陶芸なんて始めてしまうことが・・・超お嬢様の世界なのである。

しかし・・・今は、庶民が陶芸をやっても違和感ないし・・・妻子ある男性に心を寄せても死は覚悟しない。

たとえば・・・登場人物の中では秋津千里と壹岐直子は同格なのである。

二人とも軍人の娘だからだ。

一方で妄想上では壹岐夫人の佳子は政治家の姪であり、父親は軍人の凶弾に倒れているのである。壹岐が11年も不在の間、戦後の混乱期で滞りなく子育てをしているのは佳子もまた超お嬢様だからなのである。

庶民の戦争未亡人たちの暮らしはもっといくらでも悲惨だったのだ。

だから・・・原作はある意味、御伽噺なのだな。

それを妙にリアルな話として作ろうとしているところに失敗を感じます。

まあ・・・だから・・・あのエンディングにしちゃっているわけですから・・・。

東京商事の鮫島(遠藤憲一)との売り上げ競争・・・近畿商事内部の里井副社長(岸部一徳)との権力闘争・・・壹岐にとって・・・それらは戦いとしては大したことのない戦いである。過去に彼は何千何万の将兵を死に至らしめるような作戦をしてきた男なのである。

しかし・・・家庭に戻ればそこには壹岐にとって不得意な平和維持活動が待っている。長い抑留生活の間、壹岐の顔を知らずに育った長男・誠(斉藤工)、ライバル・鮫島の息子と交際している長女の直子、そして・・・最愛の妻・佳子・・・この家族との距離の取り方が難しいのである。

上官の娘である千里の間に生じる思いも複雑すぎて壹岐の手にはあまる。生死をともにした上官の娘であることに対する保護の気持ちと、美貌の本人に対する恋情が入り混じり混沌としている。

どちらかといえば娘の直子に対する感情に近いのだが、直子と違って近親相姦のタブーがないだけにさらに恐ろしいのである。

そうした葛藤の激しさが壹岐にとっては不本意な独特の不機嫌な表情を顔に出現させる。

その態度があまりに不自然ゆえに・・・佳子としてはあらぬ疑いをかけざるを得ないのである。

壹岐の滑稽さは何もないことを隠そうとすることである。いや邪な心はあるわけだが・・・その心を克己しようとするあまり・・・隠そうとする不自然さが残るのだった。

そういう感じをお茶の間は理解してくれないような気がする。

一方で東京商事の主催するパーティーで外人相手におぼつかない英語で話したり、里井夫人(江波杏子)や大門夫人(赤座美代子)に疎外されたりする佳子夫人もかなり唐突なのである。

なにしろ・・・世が世なら・・・民間企業の社長夫人といえども気を使わねばならない身分の佳子なのである。

前回も言ったが・・・壹岐の政界へのパイプは壹岐夫人の力に負うものなのだ。

その辺りのことは少なくとも大門夫人には社長が一言言うはずなのである。

そして夫人たちはみんな昭和の生まれではないのだ。明治の女だったり、大正の女だったりするのである。やや・・・ネタを作りすぎて失敗していると考える。

双方の部下の妻と考えれば余計なのだな。嫌味を言う場面ではない。ここは同じセリフで大門夫人から里井夫人へのけん制としてしつらえるべきで演出ミスだ。

まあなあ・・・お茶の間にわかりやすくと・・・より面白くがちくはぐになるのはこのドラマの根本的な問題点だけどな。

せっかくの美しい妻との晴れがましい舞台も・・・新聞記者・田原(阿部サダヲ)の特ダネ魂が打ち砕く。

情報を得るには情報をの鉄則で・・・田原は米国大手自動車メーカー・フォーク社と東京商事の情報を得るために・・・近畿商事の内部事情を鮫島に流す。

これを得た鮫島は壹岐の秘密工作を里井に明かすことで・・・近畿商事の足並みを乱そうとするのだが・・・ここも作りすぎなのである。

そんなことして・・・鮫島に何のメリットがあるのだろうか。

すべてが・・・壹岐や壹岐夫人をひきたてさせるネタに見えてしまい・・・ちょっとゲンナリするのだな。そういう中学生のいじめレベルの話ではないのである。

少なくとも、里井が大門の顔に泥を塗るような真似はしないだろう。

まあ・・・でも・・・低視聴率のプレッシャーにスタッフがなんとかしなければ・・・と思っている熱意は伝わってきます。

ともかく・・・不器用な男の不可解な態度で・・・妙な嫉妬心にかられた佳子はささいなケンカを夫としてしまう。

レベルとしては・・・夫婦で銀座を歩いていたら、グラビアアイドルとすれちがい、夫の視線が彷徨ったのを妻が見逃さなかったあとの亀裂程度です。

そこで・・・「帰ります」「勝手にしろ」・・・と別れた後で・・・夫が気が咎め・・・「やさしい言葉」をかけようと・・・妻を呼び止める。

そこは横断歩道。そして無謀な運転の車が信号無視をして・・・。

「佳子ーっ」である。

佳子の遺言は・・・「あなた・・・会議は・・・会議に・・・」

現代なら高度救命センターが何とかしたかもしれないが・・・ここは「手遅れです・・・」が問答無用でまかり通った昭和42年(1967年)なのである。

最愛の母を失い気丈にふるまう娘だったが・・・母がそうしていたように一人涙にむせぶ。

壹岐はもう自決したい気分なのである。

それを諌めるシベリア時代の上官・谷川(橋爪功)「貴様がいない間、細君が家を守ったように・・・今度は貴様が家を守る他あるまい・・・」なのである。

しかし・・・壹岐はとても家にはいられず・・・仕事に没頭するのだった。

大門はそんな壹岐にニューヨーク支社長を命ずるのだった。

「単身赴任で安くあがるからな・・・金髪美人で慰安もバッチリじゃよ・・・壹岐くん」

もちろん・・・それは間近に迫る・・・米国からの貿易自由化の圧力と国内の企業再編成を睨んでのことなのである。

何も知らない泰夫(加藤虎ノ介)はフィアンセの千里に禁句を言い墓穴を掘る。

「壹岐さんの奥さん・・・亡くなったんだって・・・」

これも劇化しすぎでちょっと不自然なんだな。入院していた竹村(中丸新将)ルートの方が自然だろう。

まあ・・・直子のミニスカートは膝下で地味だったが・・・逆光のシルエット・サービスはセクシーだったから納得の出来ではあります・・・結局そこかよっ。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『尾野真千子の外事警察』『アグリー・ベティ2』(NHK総合)『志田未来の小公女セイラ』(TBSテレビ)『大後寿々花のサムライ・ハイスクール』(日本テレビ)『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(フジテレビ)

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2009年12月 3日 (木)

子供の前でする話(吉田里琴)娘は何でも知っている(本仮屋ユイカ)私の知らない世界(藤原紀香)

世の中はいつも二分割されるものだ。

たとえば子供に聞かせる話とそうじゃない話を区別する人と区別しない人という二分割がある。

母子に危険がせまった場合、母体を優先することとしないことの二分割。

ある程度妥協する人と絶対に妥協しない人。

分割した場合に敵対する人と流される人。

その様々な要素がてんこ盛りなのである。

とにかく・・・脚本家が常軌を逸していることは間違いないと思う人と思わない人もいる。

キッドは今・・・選択に迷っています。

水曜日のダンスは

「相棒」19.4%↘16.6%↗18.9%・・・・・・・↘17.8%↘17.6%↗18.0%↘16.1%

「ギネ」14.8%↘11.6%↘11.1%↗12.1%↗12.2%↘*9.5%↗11.8%↘*9.5%

「最終章」・・・・10.9%↘*7.0%↗12.2%↘*8.0%↘*6.7%→*6.7%↗*6.9%

何はなくとも「FNS歌謡祭」18.5%か・・・。師走だ。

で、『ギネ 産婦人科の女たち・第8回』(日本テレビ091202PM10~)原作・岡井崇、脚本・大石静、演出・久保田充を見た。同時出産の長谷部美緒(三倉茉奈)と江川理緒(三倉佳奈)の場合、美緒は出産後、即妊娠なのである。聖修大学医学部附属病院産婦人科はもの凄い難産ばかりが押し寄せてくるようだが、「周産期医学」的な専門病院として婦人医学、妊娠・出産管理、新生児医学に対応できる病院としてレア・ケースが集中するということだ。

嶋病院長(津嘉山正種)は病院経営者としての判断に迫られている。「リスクに対応できる」メリットと「それによって生じるリスク」のデメリットを天秤にかけるのである。

死亡した徳本美和子(西田尚美)のケースに続いて、子宮全摘出の山本利香子(石橋杏奈)の親が訴訟に踏み切り・・・病院長は決断を下す。

産婦人科部門の縮小により、リスクの少ない出産しか受け入れない方針である。

そして訴訟に必ずからんでくる柊奈智(藤原)は解雇リストに載せられたのである。

そして・・・そういう方針を病院長は新人医師で実の娘の嶋えりな(本仮屋ユイカ)にはペラペラ喋っているのである。これは次期経営者に対しての薫陶と考えるべきなのか・・・娘との話題に困ってついなんでも話してしまうのか微妙なのである。

同様に・・・徳本美和子の夫・慎一(八嶋智人)は訪ねてきた精子と血液のコレクター・桧口医師に対して「訴訟をとりさげたのは娘のためだ・・・裁判していると娘から笑顔が消えてしまうって気がついたんだ。母親の命を奪った奇病の治療を病院が出してきたからじゃないぜ」とやや意味不明なことを娘の前でする。

娘は空気の読めない大人たちに憐れを感じつつ・・・桧口に対してはお愛想を言うのである。

「先生・・・病気を見つけてくれてありがとう」

娘の優美(吉田)は母親に似て聡明で気がきくタイプだったのである。

その頃、奈智は当直過剰で睡眠不足の体で息子と外食をしつつ居眠りをする。

息子は母をいたわる姿勢だが人によっては親が子供に甘えすぎというように映る場面だ。

子供の国では親たちも子供と同等で平気で弱いものによりかかり恥じることがないのだな。

しかし、人間はいつでもどこでもいい子でいられるわけではないので・・・これはこれでいいのである。ただ・・・いつもそうだといつかは堤防は決壊するということだ。

お嬢様らしい発想で「人間にとって大切なものはファッションとグルメとセックスだ」と断言するかおり。衣食住ではなくて性を持ってくるところが・・・住む場所に困っていない証拠なのである。そんなかおりとすでに婚約している玉木(上地雄輔)である。お坊ちゃまなのだが苦労人なのだった。そのために相手に合わせすぎるのである。玉木から見れば妥協しない人々は子供っぽいのだと感じる。

しかし、自分の意見をもたないことも子供と言うことができ・・・そのことで結局、摩擦を起こしてしまうのが人生の面白いところなのである。

かおりとのデートの服まで用意した間柄なのに軽く捨てられた助産師の木村(映美くらら)は胸の奥に明らかな地獄の炎を燃やしている。

コレクター桧口にとって血液型がB型Rh-の人である女子校生の利香子だが、救命処置のために子宮をすべて失った利香子はもちろん玉木に恋をしているのである。子宮をとりさったことを知らず命が助かった利香子はVサインを出したが、子宮をとりさったことを知っていた玉木はなす術もなくVサインを返してしまう(第2回)。現実を知った利香子の中で何かがねじれたのである。

おそらく利香子の親は大切なものを失った女として利香子を見たのであろう。

利香子の中でねじれたものはさらによじれていったのだ。

ドラマの中では描かれないが・・・利香子の歪み、利香子の玉木に対する仄かな思いをたちまちに推察する木村はさりげなく囁いているはずである。

「玉木先生は院長先生のお嬢さんと結婚するみたいよ」

利香子は悪魔の悪戯にネジを巻かれた人形のようにカッターを握りしめ玉木に突進するのだった。

血まみれの玉木は刺されてもなお・・・穏便な道を探す。玉木はそういうものが大人のあるべき姿と考えるタイプなのである。

しかし、要するに流されているだけなのだ。

なぜならそれで問題が解決するとは限らないからである。

奈智は木村の告げ口で犯人が利香子と知ると本人と連絡を取ろうとするが・・・玉木が「自分の責任で何とかする」と言うと簡単に同意する。賛辞を述べるほどだ。

これは奈智にとって成長の証だが、見方によっては「自分の主張を貫くことは常に正しい」が「他人が主張を貫くことは正しい場合もある」が加わっただけなのである。まあ、それを大いなる成長と考えてもいいですけど。

やがて・・・この病院ではよくある同時多発類似ケースである。

ゲストは竹尾小枝(須藤理彩)・・・胎児が染色体異常の18トリソミー(エドワード症候群)を発しており、出産しても生育の可能性は極めて低い。死産となる可能性も高いが、瀕死となった胎児を抱きたいと小枝は希望し、奈智はもちろんカイザーを提案する。

小枝の夫はカイザーに伴うリスクを知っており不服をとなえる。

居合わせた産科医長・君島(松下由樹)は次期教授としてリスク管理を優先すると同時に、柊を解雇リストからはずすためにコントロールしようとする。

夫と君島、妻と柊に別れた論戦は・・・結局、患者の意志が最優先され、君島は「カイザー・グレードB」を発動するのだった。

生れた奇形の新生児をただ一度、胸に抱く小枝。一瞬の母としての歓喜。

しかし・・・次に触れるわが子の息はなかった。

君島と柊の間には再びしこりが残る。

適当に理想の医療を目指す君島と過度に理想の医療を目指す柊。

二人の間の亀裂は須佐見教授(國村隼)夫人一代(内田有紀)の妊娠中にも関らず卵巣から悪性腫瘍が発見されたことでさらに深まる。

早期治療のために胎児をあきらめることに決めた須佐見教授に対し、一代から意見を求められた柊はリスクを冒して出産させる方向に誘導してしまったのである。

一度は胎児をあきらめて摘出手術に同意した一代が叛旗を翻したためにパニックに陥った須佐見は手術を強行しようとする。

しかし・・・さすがに医局員は全員反対である。

君島「それは犯罪です」

須佐見「そ、それがなんだーっ」

・・・である。

一代「手術をしてもしなくても生存率が低いなら・・・私は赤ちゃんを抱いてから・・・」

柊「いいえ・・・お母さんも赤ちゃんも助けます・・・28週まで待ってカイザーですから」

医局員全員が柊がカイザーと口に出すとドキドキするのだが・・・とにかく・・・患者の意志が優先される以上・・・柊の方針に従う他ないのである。

須佐見「仕方ない・・・」

ホッとする一同。しかし・・・それを黙って見つめている院長。その心に去来するものが何かは最終回のお楽しみである。早いな・・・九話完結なのか。番組自体が難産あつかいで早産だっのか・・・こういうたとえを穏当と感じる人も不穏当と感じる人もいるわけだが。

関連するキッドのブログ『第7話のレビュー

Hcinhawaii0596 ごっこガーデン。クリスマス新装開店・CLUB・RICO。エリ秋ドラマは仁一色の一人勝ちでしたが・・・エリはマイガール、リアクロ、ギネだったのでスー。でも昨日は歌謡祭でいそがしかったのyon・・・。来年はいきなり亀梨先輩、山P先輩の二本立てですよ~。もう、クリスマスもお正月もふっとばしてお待ちかねでスーくうほったらかしていたエピソードをきちんと回収・・・ベテランだから投げっぱなしはしないのね。生んだら生んだで大変。生まなければきっと後悔する・・・生んだって楽しいことたげじゃないけど楽しいこともあるはずだしねぇ・・・。世界が今あると感じられるのは誰かがどこかで生れるからなんだし・・・それを思うと泣けちゃうよikasama4しかし・・・ものすごく沢山の課題が山積みになっている気が・・・とにかく、大人たちの話を聞かぬふりで聞いている優美・・・見事な演技でございましたシャブリ例によって遅刻ですが・・・すべての親と子供たちに幸あれと祈るばかりなのでありましたーっ

金曜日に見る予定のテレビ『嬢王Virgin』(テレビ東京)『石井萌々果のマイガール』(テレビ朝日)『酒井若菜のおひとりさま』(TBSテレビ)・・・妙にスッキリしたな。「フィギュアスケート」かっ。 

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2009年12月 2日 (水)

正しいことをするために少し賢くなるのです(戸田恵梨香)キィノォコォ(松田翔太)

人にやさしくすること。人を大切にすること。そういう良いことをするためには強くなる必要がある。

これはハードボイルド文学の鉄則である。死んで花実が咲くものか・・・ということだ。

つまり、平和共存の前提条件は弱肉強食ということである。

こういう哲学が虚しいのは強者が最後まで貪り尽くすという現実が目の前に展開するときだが、まあ・・・ドラマだからロマンチック(理想的)でもいいじゃないか・・・とキッドは考える。

たとえ・・・かわいい上に賢いなんてずるい・・・と恵まれない人々に激しく憎まれることになろうともだっ。

火曜日のドラマ対決は①「ウソゲ」↘10.2% ②「リアクロ」↘*9.8%

超接近。

で、『 2・第4回』(フジテレビ091201PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・黒岩勉、演出・大木綾子を見た。ライアーゲーム・四回戦は団体戦。先鋒戦、中堅戦と進み、いよいよ・・・神崎直(戸田)と小坂妙子(広田レオナ)の大将戦である。

種目は「回らないルーレット」である。ゲームとしては親の隠した数字を当てる「ホンビキ(手本引き)」を連想させるものだ。しかし、ドラマでは目の流れを推測するというような駆け引きではなく城外乱闘のような詐欺行為で展開していく。ライアー・ゲームらしいといえばそれまでだが・・・ゲーム愛好家にはちょっと物足りない展開かもしれない。

しかし・・・ライアー・ゲームもシーズン2なら少しは上手にと中森明菜が歌うように・・・歌わんわっ・・・お人好しの直が成長することによってちょっと違うキャラになっていくという点では見応えがあったようだ。とにかく・・・ただでさえウザいキャラが小賢しくなることでさらにウザさを増すという大胆な展開である。こうして直のファンは自分のM度を磨いていくのである。

渡辺いっけいアナ「そこんところ、どうなんですかね、解説の変な事務局員さん」

変な解説員「渡辺さん、行列48時間とのかけもちご苦労さまでした」

アナ「いやいや・・・そちらこそこの映画もあればのだめの映画もあり、さらに来年はまたあの微妙なブラッディ・マンデイのシーズン2で変なテロリストをやるそうじゃないですか」

エリー「さあ・・・そろそろゲームスタートのようですよ」

アナ「シカトですかぁぁぁぁぁぁぁ」

ライアーゲーム・コインを賭けて争われるこのゲーム。

スタート時点に両チーム三人の一人あたり1億円(要返済)プラス5000万円が配布され、一枚100万円のコインにして合計900枚のコインが場にあった。

それが先鋒戦・中堅戦を経過して

太陽ノ国 522枚 月ノ国 316枚 事務局回収 62枚

・・・となっている。

「回らないルーレット」とは一方のチームが1~4の数字から一つを選び・・・1~4の任意の数字に持ちコイン中から任意の枚数を賭ける(攻撃側と呼ぶ)。これに対し相手は選ばれた数字を隠されたまま1~4の任意の数字2つまでを選択し攻撃側の賭けた枚数以上のコインを賭ける(守備側と呼ぶ)。ただし、残額を越えた場合は全額を賭けることで救済される。

当りがあった場合、その数字に賭けた枚数の比率でハズレのコインを分配する。

当りがなかった場合、事務局がすべてのコインを回収する。

攻撃と守備を交互に行い、これを1ゲームとすると合計4ゲームまで。

ただし、途中でどちらかのコインがゼロになった場合はその時点で敗北となる。

・・・というもの。

アナ「練習戦では秋山(松田)が西田(荒川良々)を軽くノックアウトしていましたがどうですか」

吉瀬「私はあの手を使うと事務局が儲かるのでいいと思うんですが・・・そうさせないための伏線に使われていると思います」

アナ「マジな解説じゃないですか・・・」

美智子「妄想上の本人なので気配りです」

アナ「広田玲央奈といえば、だいじょうぶ・マイフレンドでピーター・フォンダとも共演したスーパー・アイドル女優ですがあれから26年・・・変われば変わるものですねぇ」

エリー「最近でも栞と紙魚子の怪奇事件簿のゼノ夫人とか、メン☆ドルの鴨嘴冴子とかものすごい存在感ですよ・・・主に深夜ドラマですけど」

アナ「深夜ドラマと言えば妄想姉妹の市川晶子もセクシーでしたね」

エリー「まあ、お上手」

アナ「おっとー・・・先攻の月ノ国の小坂・・・1~4に10枚づつベッドだ」

エリー「妙に弱気なキャラになって・・・小坂様は神崎様を騙しにかかりましたね」

アナ「それがライアーゲームだから・・・番組の途中ですがこんな書き方だと疲れちゃうことが分ったのでここで中継を終了します・・・ゲームの結果はライアーゲームニュースでお伝えします」

小坂は月ノ国を救済するという直に当りを教えると言う。素直に直がその目に賭けるとハズレである。

直は40枚を小坂に巻き上げられる。

直の攻撃。

実は小坂は裏切り者で名高いキノコこと福永(鈴木浩介)から必勝法を伝授されていた。

「直はウソをつくとき、まばたきをする」と言うのである。

ここからは直のまばたきショーで・・・一部愛好家はうっとりです。

直は秋山から伝授の一点賭け戦法を使わず何故か1~4枚に25枚ずつを賭けるのだった。

これに対して小坂は「あなたが賭けたのは一番ですか?」とどこかの泉の女神のような質問を始める。

「ちがいます」と素直に答える直だが三番の時にはげしくまばたき。

小坂は三番にチップを100枚置き当り。

当りが直25枚、小坂100枚なのでハズレに置かれた直の75枚のチップは

小坂に100/125×75で60枚。直に25/125×75で15枚の配当になる。

結局、一回の攻防であわせて100枚のコインを失う直。

途中経過は

太陽ノ国 422枚 月ノ国 416枚 事務局回収 62枚

たちまち接戦になってしまう。

ここで福永がタイムをかける。福永は直をひたすら罵倒である。

たちまち五分経過である。

次の小坂の攻撃は天使の直が1/2の確率で当りを引くが、直の攻撃で直の25枚オールに小坂はまばたき一点100枚でまたしても60枚を奪取。

ついにリードが月ノ国に変わってしまう。

三回目の小坂の攻撃。小坂は1枚オール。直は今度はハズレでロスである。

ここで秋山が一つの真相を見抜く「キノコ・・・お前、小坂に入れ知恵をしたな・・・そしてポケットにはビスケットを入れているのだろう・・・」・・・だがそれは真実の半分だった。

三回目の直の攻撃。直は「三回連続の一点掛けが当たる確率は低いので勝負します」と残り372枚を93枚ずつオール。

直の計算は1/4×1/4×1/4=1/64で正しいのだが

常に1/4だという考え方もあり、さらには当たるか外れるか常に1/2だという発想もある。

この場合、小坂はまばたき情報で1/1だと信じている。

ギャンブラーに信念はつきもので大抵妄信なのである。

直は4番でまばたきしたので・・・小坂は4番に372枚の一点張りである。

結果は3番で小坂はハズレ。

小坂「じゃ・・・まばたきは・・・ウソだったのね」

直「ライアーゲームですから」

途中経過は・・・

太陽ノ国 744枚 月ノ国 94枚。

残り一回の攻防で小坂が94枚を全部張って直がはずしても

太陽の国 650枚 月ノ国 188枚。

最後の攻撃で直があたり一点に全額はればフィニッシュである。

小坂「嘘つき・・・」

直「でも皆さんを救済するのは本当です」

月ノ国は太陽ノ国の天使にひれ伏すのだった。

秋山「・・・もしも・・・リードされたところで相手が気がついたら・・・とか・・・最初から騙されていたフリをしていたら・・・とか考えると穴だらけの作戦だが・・・まあ・・・直にしてはがんばった・・・と言うほかないよな・・・結果オーライはドラマの常套手段だからーっ」

直「えへへ」

次はいよいよセミファイナル・・・まさかオセ・・・葛城(菊地凛子)・・・決勝戦まで未対決ってことはないよな・・・そうだとしたら・・・それほどのものかというしかないけれど。

っていうか・・・事務局赤字じゃないか。

関連するキッドのブログ『第3話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『傍聴マニア』(日本テレビ)『その男、副署長』『交渉人THE NEGOTIATOR』『飛鳥凛と原幹恵のラストメール』(テレビ朝日)『ROMES/空港防御システム』『グイン・サーガ』(NHK総合)『不毛地帯』(フジテレビ)

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2009年12月 1日 (火)

他に好きなお方があるのです(綾瀬はるか)仁は濃縮(大沢たかお)ぬしと朝寝がしてみたい(中谷美紀)

今回は三代目澤村田之助(吉沢悠)が登場する。現在の当代田之助は六代目である。

幕末の正規の芝居小屋はすべて猿若町にあった。現在の浅草六丁目のあたりである。

天保の改革(1841~43)で水野忠邦は遊興娯楽の大弾圧を行い、芝居(歌舞伎)そのものを廃絶しようと愚かに考えたのだが遠山の金さんが助言して封じ込めに留まったのである。

その封じ込め地になったのが猿若町だった。浅草寺の北東の地である。

ここに中村座、市村座、河原崎座、結城座などの芝居小屋が建っていた。

猿若町の北には山谷堀が流れている。これを西に進むと吉原大門である。吉原は浅草寺の北西にあるわけだ。

浅草寺、猿若町、吉原遊郭は江戸庶民の娯楽のトライアングルを形勢しているのである。

ただし、浅草寺にも猿若町にもないものが吉原にはあった。それがお歯黒どぶである。大門以外はこの溝で囲まれ外の世界から隔離されているわけだ。もちろん・・・遊女の逃亡を許さないためだ。

ここには伏見丁、京丁、江戸丁などという結界内の町が連なり、夜の遊びが繰り広げられていたのだ。

芝居小屋の周囲には芝居茶屋と呼ばれる高級料理店も密集していた。

ちなみに田之助の屋号は紀伊国屋(澤村家初代が紀伊国出身だった由)だが・・・引退後は芝居茶屋・紀伊国屋を経営したのだった。田之助の父・五代目澤村宗十郎は芝居茶屋・泉屋の出身だった。役者と芝居茶屋には密接な関係があったのである。

一方、吉原にも揚屋茶屋があり呼び出し花魁を呼び出すために客は大金を払って一席設けるのである。

この周囲にそこそこうまいものを出す店があると言われる所以である。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「アンタッチャブル」↘*7.9%(やはり鳴海ではなくて山本遼子とかにしておけばよかったのかな)、「おひとりさま」↗10.5%(行列48時間が裏だからな)、「行列48時間」↗*3.3%(二本立てでかわいい視聴率達成)、「マイガール」10.1%(魔法使い萌々果最強伝説)、「シーラカンス殺人じけん」*9.9%(平愛梨ダブルブッキングの果てに)、「小公女セイラ」→*8.4%(→キターッ)、「サムライハイスクール」↘*9.9%(室井滋の回じゃな~)、「上戸彩の結婚」16.8%(謎の家族、しかもダブル)、「HERO(再)」18.8%(こんなに安上がりなことって・・・)、「外事警察」↗*5.3%(あえぎつつ微上げ)、「坂の上の雲」17.7%(わははちん)、「仁」↗22.3%(わははははぽが)、「世界フライ級タイトルマッチ内藤VS亀田(兄)」43.1%(わはははははははははかゆうてたまらん・・・日本はハングリーになったのだな)・・・ついでに「東京DOGS」↗15.3%、「タイトルマッチドキュメント」10.7%(東京ワンワンはボクシングの八百長ネタならもっと爆笑だったのに・・・最後の試合を投げさせて逮捕・・・純真なファンの気持ちを傷つけることこの上ないな)以上。

で、『JIN~仁~・第8回』(TBSテレビ091129PM0925~)原作・村上もとか、脚本・森下佳子、演出・川嶋龍太郎を見た。未来の未来(中谷)というオリジナル・キャラクターを配置したことでアナザー・ワールドとしての色彩の強いこのドラマ。終盤戦というかまとめに入ってきているのだが・・・予想外のヒットでかなりバタバタしているのではないかと妄想する。仁が現代に戻ってくるということで終らせる予定が結構、うれしい誤算になっているのではないかと思うのだな。まあ・・・来年は大河が「龍馬伝」という含みがあって・・・もう・・・そりゃ・・・いろいろ迷うわな。とにかく・・・ここまで八回、毎回泣かせてきたものすごいコンテンツであることは間違いないけど。

未来から幕末に突然やってきた仁は・・・いろいろあってついに病院「仁友堂」を立ち上げる。そこが橘の家を間借りしているのかどうかは謎だが・・・ものすごく近所にあることは間違いないと思う。咲(綾瀬)、恭太郎(小出恵介)、栄(麻生祐未)と橘一家三人、ずっといますし・・・。のっとりか・・・のっとられてんのか。

とにかく・・・仁としては橘家には器を認められている模様。

まあ、当主・恭太郎にとっては命の恩人、栄にとっては息子の命の恩人、(当時の嫁入り前の娘としては)とうがたった咲にとっては・・・である。

そのうち家賃をとるつもりかもしれない。

「仁友堂」が開業すれば「コレラを退治し、外科の腕抜群、お値段お手頃」は江戸中に鳴り響いているのだから・・・行列の出来る医院になると思うが・・・今回は予約患者があるらしく・・・仁は新薬研究を始めるのだった。

助手の咲と二人、「ペニシリン」の濃縮を試みるのだった。研究室も橘家かっ。

その結果・・・たちまち完成する「新型ペニシリン」は威力三十倍の優れものである。

さっそく・・・蛎殻町での量産体制に入りたい仁だったが、佐分利(桐谷健太)たちスタッフの計算によると設備投資に400両かかるという。

幕末・・・米一石が一両だったとされる。一石は千合である。

米一合は白米でおよそ150グラムである。

サトウのごはんの小盛りは150グラムだ。この1セット(20個入り)が1998円である。

50セットで一石である。だから一両は99900円になる。

つまり400両は39960000円だ。もちろん、安売りの店で買えばもう少し値引きできます。

ざっと4000万円である。とにかく・・・幕末に来てから衣食住すべて橘家もちの仁としては400両がどの程度のお金だかわかっていないのである。

そのために・・・仁は医学所の出資者であるヤマサの儀兵衛(石丸謙二郎)に単刀直入に融資を申し込む。

仁「400両(4000万円)貸してください」

儀兵衛「そ、それはちょっと・・・」

これまで、儀兵衛が医学所につぎ込んだお金が300両なのである。それを越える借金を無担保で申し込んでいる仁。しかし・・・そこは儀兵衛も商売人なので間を取るのだった。

仁「まあ・・・しばらく先生の器などを検討してみますので・・・」

まあ・・・仁の場合・・・無担保で融資はきつい・・・ということです。

しかし・・・すでにペニシリンが相当高価な薬のはずだが・・・薬価の問題が・・・(以下省略)

たちまち・・・新薬製造は暗礁に乗り上げるのだった。そこへ顔を出すのは坂本龍馬(内野聖陽)である。彼は幕府総裁から海軍設立資金五千両(サトウのごはん換算でおよそ五億円)を巻き上げた男なのである。

友である仁の相談を受けると龍馬が仁や恭太郎とともに向かった先は吉原だった。

お目当ては野風(中谷・二役)である。

しかし・・・野風は龍馬の熱い眼差しは眼中になく・・・見つめるのは仁なのである。

野風「急患なのでありんす」

患者は・・・恭太郎が橘家家宝を売り払って眼鏡を貢いだ馴染みの女郎・初音(水沢エレナ)だった。

そして・・・恭太郎にとっては・・・聞きたくない話である。

初音の情夫は幕末きっての女形・三代目田之助だった。初音は堕胎のために中条流という堕胎薬を使用したのだがその時の後遺症で敗血症にかかっていたのだった。もちろん・・・遊女の子供なので田之助を責める筋ではなかったが・・・見舞いにも来ないのは不実だと野風はなじるのだった。

恭太郎は自分にも責任があると知りつつ・・・初音の思う相手が自分ではなかったことが衝撃なのだった。

野風(だから・・・忠告したのに・・・)

初音は重傷で従来のペニシリンでは薬効が薄い。新型ペニシリンがあれば・・・と唇をかみしめる仁。

しかし、田之助が千両役者(サトウのごはん換算で年収およそ1億円)であるために・・・ひょっとしたらと仁一行は芝居小屋のある猿若町をたずねるのである。

実は田之助は文久二年(1863年)に宙吊りの演技中に舞台に落下、負傷したのだがその時の傷が壊疽(壊死)を起こし・・・病を押して舞台に立っている。史実では慶応3年(1867年)に左足を切断するにいたるのである。つまり・・・現在の田之助はすでに病状悪化の途上にあるのだ。

恭太郎「たんまり稼いでるんだ・・・憐れな女郎に情けをかけてくれてもいいだろう」

田之助「こっちだって身を削って稼いでるんだ・・・このおあし(金)はさ・・・あたしの血肉なんでさ・・・びた一文出す気はないね・・・旗本の旦那・・・こんな河原乞食に頼るなんて了見が違うわな。こっちは吉原に表から通うこともできない身分なんですぜ」

恭太郎はかなりのダメージを受けた。

一方、龍馬は中条流を処方した町医者(大久保篤)を訪ねた。

町医者は意外に好意的で七年の約束で400両(4000万円)を貸してくれるのだった。

中条流の医師は江戸時代の川柳に「罪なこと中条蔵をまた一つ」とあるほどに商売繁盛だったのである。もちろん避妊具が発達していないから当然のことである。

資金投入でさっそく量産体制に入る医学所薬剤部。

ナース咲も投入されて新型ペニシリン投与開始である。

回廊でふとすれ違う・・・咲と野風。

野風「お姫様は・・・南方先生と夫婦になるのでございますか・・・」

咲「先生には・・・(野風さんそっくりの)別にお慕いする方があるのでございます」

野風「それは・・・お辛いことではござんせんか・・・」

咲「・・・私には・・・先生の医術がありますから・・・」

一人になった野風はふと思う。

野風(私には・・・何もないのでありんす)

一方で・・・熱にうなされる初音は「田之助」の名をうわ言で口にする。

それを耳にした恭太郎のダメージはさらに深まるのだった。

そこへ・・・姿を見せる金を貸した悪徳医である。

悪徳「この証文をごらんなされ・・・期限は七日・・・返済なき場合にはペニシリンの権利のすべてをいただくことになっておりますぞ」

龍馬「お前はシャイロックかっ」

妹が身売り話で時間を稼ぐ間に恭太郎は全てを忘れて走るのだった。

恭太郎「お互い・・・イケメンだけど脇に徹したポジション同士じゃないか」

田之助「それなら・・・ひとつ臭い芝居で誠意ってやつを見せてもらいましょうか」

恭太郎(土下座)「田之助様、どうか南方先生の命を懸けた薬をお守りください」

田之助「な・・・同じ脇でもあんたはM、あっしはS・・・棲み分けてるんですぜ。そこんところ間違えちゃいやですぜ」

田之助が江戸っ子は宵越しの銭は持たぬと400両(4000万円)をたたきつけ、ちくしょうおぼえてやがれと退散する悪徳医師の場あって・・・。

新型ペニシリンの薬効はあらたかで・・・快方に向かう初音。

女郎の勘で気配を察し「私はなにかうわ言を申しましたか」

咲は素直に「田之助の名を・・・」

初音が恥じて言うことには「女郎は浮名を売るものなのに・・・お客に心を見せ、欺くことをおろそかにするとは口惜しい・・・」

咲は「人の心の誠は隠せぬもの・・・仕方ないのです」と慰める。

その頃・・・男たちは・・・。

仁「武士が役者(人に非ず)相手に土下座なんてよくできましたね・・・」

恭太郎「能無しですから・・・」

龍馬「そんなことないぜよ・・・惚れた女に尽くす・・・まっこと・・・ナイトぜよ」

恭太郎「また・・・そんないい加減なことを・・・あなたのそういうところが嫌いです」

龍馬「なんでじゃあ・・・」

恭太郎「だって私は土下座して400両、あなたは大法螺吹いて5000両でしょう。なんだか・・・やる気なくなるんですよ。石川遼以外の男子高校生ゴルファーみたいな気分だ」

仁「そんな・・・私にとって・・・あなたはかけがいのない人だ・・・どこの世の中に・・・無一文の私を居候させてくれる旗本がいると思うのです。私なんか・・・あなたがいなかったら野垂れ死にしてました・・・恭太郎さんは私にとって一番の恩人です・・・」

恭太郎「・・・武士とは人前で泣いてはならぬもの・・・それなのに私は・・・今・・・泣いちゃってます」

龍馬は新たなフレンドシップの成立を眺め微笑むのだった。

やがて・・・仁はもう一度・・・ヤマサに融資を申し込む。

仁「私は緒方洪庵先生に医術を伝えることが恩返しだと・・・遺言されたのです。どうか・・・もっと恩返しをさせてくださらないでしょうか・・・でもそのためには・・・おあし(金)が」

儀兵衛「緒方先生の名前出されたら・・・かないませんな・・・まあ・・・南方先生・・・私はできる範囲で最初から先生をお助けするつもりでしたよ・・・なにしろ・・・商人ですからな」

先見の明のある儀兵衛にとって仁が金のなる木であることは最初から火を見るよりも明らかだったのである。ただ・・・少しもったいぶらないとありがたみがないという基本を知っているまでだった。やりすぎるとあざといですけど。

そして・・・龍馬の前に刺客が登場。歴史が加速して・・・平成21年が平成22年になるように・・・明治維新が早まれば・・・龍馬暗殺も早まるのでは・・・。

仁はようやくそのことに思いがいたったのでした。

心配なのは・・・龍馬の姉の名前が乙女であると知っている仁が龍馬暗殺の経緯を知っているかどうかなのである。普通は知らないよね・・・歴史おタクじゃないと。歴史おタクだってなんとなくだったりしてさーっ。

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Hcinhawaii0595 ごっこガーデン、きれいなお姉さんのいる大江戸セット。まこ浅草寺にお参りして猿若町で芝居見物して・・・それから日本堤をブラッとしていざ大門へーっ。うひょひょー、噂に聞いた花魁エレクトリカル・パレードはまだでしゅかーっ。しゃなりしゃなりと行列48時間するのでしゅかーっ。ムキ~?・・じいや・・・なんで止めるのでしゅかーっ。まこもパーッとやりたいのデスッ・・・」お気楽あー、面白い。時代劇は苦手なのにまったく気にならない・・・泣かせるしねぇ。咲さんはけなげだし・・・写真はどうなってたのかな?」ikasama4坂本竜馬像アップしました。そうですねぇ。写真も気になるし10円玉の謎も気になります。残酷な未来って・・・まあ・・・現代から考えると登場人物全員死んでるので・・・残酷っていえばそうかもしれません・・・咲さんは仁と一緒にこっちきちゃえばいいのに・・・あんぱんち体を売って稼いだ田之助・・・恭太郎に体を張れと言うからには田之助は恭太郎と・・・ポッ。そして・・・その後は龍馬と仁と恭太郎が涙にむせぶのね~・・・ポッポッポッ・・・そして仁は小さいけど美しい器なので儀兵衛はニヤリなのかしら~くうああ・・・忙しい日曜日・・・先週までのゆとりはなんだったのでありんすか?・・・そして男泣きに泣く男たちをそっと見守る女たち・・・けなげだわ~・・・そしてみんな精一杯なんだわ~・・・シュテキ!」mariありがたい恩を小さな器にためて大切にこぼさないように歩いていく・・・仁先生の思いは熱いですね・・・果たして・・・どんな未来が待っているのか・・・ちょっとこわいくらいな感じですよ

水曜日に見る予定のテレビ『久遠さやかの相棒』(テレビ朝日)『小出早織の浅見光彦・最終章』(TBSテレビ)『本仮屋ユイカのネギ・産婦人科の女たち』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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